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1949-11-25 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)     午前十一時五十五分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 松本 一郎君    理事 米窪 滿亮君 理事 佐伯 宗義君    理事 田中 堯平君 理事 木下  榮君       小川原政信君    川端 佳夫君       關内 正一君    高木  章君       黒澤富次郎君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       河本 敏夫君    柄澤登志子君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸事務官         (運輸大臣官房         長)      荒木茂久二君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     中村  豐君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君 十一月二十五日  委員岡田五郎君、尾崎末吉君、尾関義一君及び  小西寅松君辞任につき、その補欠として小川原  政信君、關内正一君、高木章君及び川端佳夫君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月二十四日  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)  日本通運株式会社を廃止する法律案内閣提出  第四五号)  通運事業法案内閣提出第四六号)  日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会  社の施設処理等に関する法律案内閣提出第  四七号)  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)     —————————————
  2. 稻田直道

    ○稻田委員長 これより運輸委員会を開きます。  本日はまず昨日本委員に付託に相なりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。  まず政府より本案に対する説明を求めます。運輸大臣大屋晋三君。
  3. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまから国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  国有鉄道におきましては、去る五月旅客運賃改正行つたのでありますが、その後の経済事情の変化その他の事情によりまして、予定の收入を得られず、本年度大体八十六億の赤字を生ずる結果に立ち至りました。来年度におきましては、このまま推移いたしますれば、大体二百数十億円の收入不足となるわけでございます。  国鉄におきましては各般にわたり経営合理化を行い、これに対処していることは言うまでもないことでありますが、何分にも運送原価の半ばにしか達しない貨物運賃のもとにおいて、收支均衡を得ることはすこぶる困難と言わざるを得ません。このような事情によりまして、今回公正な原価を償うという観点から、貨物運賃の八割値上げをいたしたいと存ずるのであります。この八割値上げによりまして、平年度においては收支均衡を得ることができ、輸送力維持増強に必要な経費をまかない得ることとなるのであります。しかし国鉄貨物運賃は、單に国鉄の財産上のみから考うべきでないことはもちろんでございまして、現在問題となつております海陸輸送調整観点からも検討さるべきでありますが、これにつきましては国鉄運賃八割値上げによりまして、海運賃採算ベースに基く自由運賃形態に到達することが期待され、海陸調整は十分その目的を達し得ることとなるのであります。  国鉄貨物運賃を八割値上げすることにつきましては、それが一般物価に影響を与えるのではないかという論議があるかと考えますが、検討いたしました結果、最近におきましては、インフレも終熄の段階にあり、価格統制も漸次緩和されつつありますので、この程度値上げでは消費者価格に影響する程度は、僅少であると考えるのであります。  次に旅客運賃調整の問題につきましては、財源の関係上、来年度において通行税法改正されます機会に、それとにらみ合せて遠距離遁減、一、二等倍率の引下げ長期定期割引等について考慮したいと考えておりますので、あるいは来る通常国会国有鉄道運賃法一部改正として、御審議いただくことになるのではないかと考えます。  以上、国有鉄道運賃法の一部改正法律案提案理由と、その内容について御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議いただきまして、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 稻田直道

    ○稻田委員長 次に日本通運株式会社法を廃止する法律案通運事業法案、及び日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に關する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷勝利君 私的独占の最たるものでありまして、過度経済力集中排除の対象であるべき日通の解体、細分化が、今日まで遅延しておりましたことに、各方面から奇異の目をもつて見られておつたのでありまするし、政府当局の態度につきましても、一部から疑惑が向けられておつたのでありまするが、ここに通運事業法によつて、その独占は解消せられんとしておるのでありますが、この法律案によりましても、経済力集中排除の点につきましては、いまだ十分の措置が講ぜられておらないのであります。またこの法案を見ましても、まだ日通擁護観念から脱却していない。このように思われるのでありますが、     〔委員長退席大澤委員長代理着席〕  政府当局はいかにお考えになつておりますか。御答弁を願いたいと思います。
  6. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいまの御質問でございますが、問題は、日本通運株式会社の駐中排除が、どういう指令が出るかという点にかかつておると思うのでございます。日本通運株式会社といたしましては、昨年の四月にその再編成計画を、持株整理委員会の方に提出いたして、今日に及んでおるわけであります。それに対しまして、その他の多数の指定されました会社に対しましては、すでに集中排除指令が出ておりまするのに、日本通運が最後に残つたと聞いております。その再編成計画提出したときにおいて、その内容等につきましては、すでに新聞紙上にも出ておりますので、御承知のこととは思いまするが、日本通運といたしましては、相当多数の支店、その当時におきまして、第二会社として分離すべきものを約百六十九店、日本通運支店として存続するものを二百九店、そういうふうに分割するような案を立てておつたのであります。また現在日本通運投資しておりました会社は、四百十九社ございますが、そのうち継続的に、非常に密接な関係にあるところの五十二社を残して、他は処分する。またその当時の計算におきまして、特別損失七十三万円ほどになつておりますが、これは繰越し欠損として処理する。また再編成の円滑な運営をはかるために、現在の資本金二億一千五百余万円のものを、五億五千九百万円程度に増資する。また本社支社支店等機関を簡素化する。その他分離いたしますところの店所処理というような点もきめておりました。しかしこれに対しましては、いまだに持株整理委員会としては何らの指令をいたしておりませんが、最近これに関連いたしまして、本法案に盛り込みましたようなことが、正弐に私の方に示されたわけでございます。それが日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案に書いてありますようなことが、示されたわけでありまして、これが私ども考えといたしましては、日本通運株式会社持株整理委員会から指令をいたしますうちの一部分であり、またその指令によりまして、日本通運株式会社は拘束はされまするけれども日本政府といたしましては特別の措置をとりませんと、日本通運株式会社集排が実施できない。従いましてこの法律にあげておりまするものは、日本政府として法律的に措置をいたしまして、日本通運株式会社集中排除の実施の一助にするといいますか、裏づけをする。こういう意味合いにおいて解釈いたしております。私ども正式には何らそのほかには聞いておりませんけれども、聞くところによりますれば、日本通運株式会社支店等を分離するということは、その指令の中に入つていないというようなことも聞いております。またこの法律案において規定しました以外の物件につきましても、日本通運は処置しなければならぬ。たとえば投資会社に対するところの株の処分、あるいは機帆船であるとか、はしけの面におきましても、処分をするというようなことが入るということを、非公式には聞いておりますけれども、正式には何ら聞いておりませんので、政府としてこの日本通運株式会社集中排除に伴うとるべき措置を示し、それをこの法律案に盛り込んだ次第であります。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 今お尋ねいたしましても、まだ支点の分離というふうなことについて、持株整理委員会等において指示がない。こういうふうに承つたわけでありますが、いかに通運事業法を制定いたしまして、そして新規事業者免許するといたしましても、現在の日通細分化して、その横の連絡といいますか、それを絶たぬ限りは、新規免許者はとうていこれと同じように競争するということは不可能であつて経営が成立たないというようなことは、これはいささかでもこういう方面に経験のある者でありましたならば、ひとしく認めるところであります。日通細分化に関しましては、これは政府といたしまして、持株整理委員会その他関係方面等に対して、その日通細分化をしなければ、この通運事業法というものは無意味であるというような点から、この方面に対して勧告をするというような御意思があるかないか承りたい。
  8. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ご質問の御主旨は、日本通運全国各地支店を持ち、小運送業一つの網を持つておる。この網は、たとい通運事業法を制定しても、日通が非常に勢力が強すぎるので、ほかのものの事業が成立たぬ、こういう御趣旨だと思います。私どもといたしましては、小運送業の最も理想的な形態と申しますのは、やはり全国に小運送網を持つておるものが、小運送業そのもの各地取引の性質から考えまして、当然だろう。最もいい形態だろうと思つておりまするし、また食糧その他の重要物質統制になつておりまする場合におきまして、この重要物質流通秩序を確保するという上からいたしましても、やはり小運送業といたしましては、全国的に網を持つておるものが、最も望ましいと考えております。ただ問題は、この小運送業一つの方がいいか、複数の方がいいかという問題になりますれば、私どもといたしましては、全国に多数の小運送業ができることが望ましいと思つております。その意味合いにおきまして、しからば現在免許して参ります新しい免許通運事業者を、一挙に全国的なものにすることは、とうてい現在の事情からいたしましてできませんし、すべきではありませんので、すぱつとこの法律が通りますれば、できるだけ早く全国に新しい、しかも事業経営の健全な事業者免許いたしまして、これらのものがお互い通運計算事業などを通じまして密接に連絡し、事実上の小運送網を形成することによりまして、日本通運形態に対しては相当対抗し得るものと考えておる次第でございます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 今のお話を聞いておりましても、今回やつておりますことが、明らかに日通擁護観念からやはり抜け切れておらないと私考えるのであります。そういうふうになりますと、全国に網を持つものが理想的で、そういうものをつくりたい。こういうことで、全国に小運送の網を持つということになると、非常に大きな資本がいることになつて来るのでありまして、とうてい中小企業などは成り立たないということになつて来るのであります。それでもやはり政府当局としては、そういうふうな大資本だけで、中小企業は成り立たないでも、小運送業に関する限りはやむを得ない。こういうようなお考えであるのかどうか。
  10. 牛島辰彌

    牛島政府委員 新しい免許を得ました通運事業者は、全国代理店であるとか、取次店であるとかというような形態におきまして、実際上は網を張つて参るのであります。従いましてその点で、さほど大資本を要せずしても、対抗し得るような形態になると思いますし、また小運送業全国的の網を必要といたしますことは、国有鉄道全国に網を張つておりまして、これに最も密接に関係のある小運送業でありますので、やはり運送業全国的に張ることが理想的なことであると考えております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 私はどうもその意味がわからぬのでありますが、もちろん各駅あたりで、どれだけの複数制になるのかわかりませんが、そういうことでやることになつて、それがお互い相互代理形態をとつて、そうして網を形成するということはあり得ることでありますが、日通あたりのような一つ資本をもつて、それで全部やつておる場合に、その資本力に押されて、とうてい将来やつて行く方の網を形成する各網が成り立たない。これは私たちの今までの事業体験から割り出して、必ずそういう結果が出て参ると考えるのでありますが、当局はどのようにお考えになりますか。
  12. 牛島辰彌

    牛島政府委員 通運事業法によりまして、新たに免許します事業者が漸次ふえて参りますと、日通と対抗する意味合いにおいて免許せられた事業者でございますので、それらのものの間には必然的に商取引が実現され、またその計算というものは、通運計算事業によりまして、相互に密接にまとまつて来るというような意味合いから、事実上小運送業は完成されて参りまして、相当対抗し得るものと考えます。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 私がお尋ねするのは、日通の現在の形態細分化するというのは、経営上のつながりということは、小運送業を営む上においてはどうしてもなければならぬのでありまして、新しくつくりましても、これが相互代理店契約というようなことで、一つの網をつくることはやむを得ぬと思うのでありますが、先ほどから局長が言われるのを聞いておりますと、日通の現在の資本形態をそのまま認めることが、まことに理想的であるかのように受取れるのでありますが、その点どのようなご見解でありますか。
  14. 中村豐

    中村(豐)政府委員 今局長がいろいろご説明した点を補足いたしますれば、日本通運の現在の形態は、全国的な網の組織を大体において一つ資本でやつておるのでありますから、これが通運事業としては一番理想的な形だと思われるわけであります。というのは、取引店代理店契約、あるいはそれに通運計算事業が介在しまして、一つの網を形成すると言うことは、今後望ましい方向として育てて行かなければ行けないのでありますが、それよりもさらに進んで一つ形態でやるということの方が、より相互連絡を円滑かつ迅速にやらすことになりますので、それが理想であると思うのであります。従つてそういう理想と逆行するようにこれを分割することは、通運事業形態からして望ましい形ではないと思われるわけであります。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、日通の現在の資本的なつながり全国的なものをそのまま置くということになると、これは過度経済力集中排除法にひつかかつて来るようなことになりませんか。
  16. 中村豐

    中村(豐)政府委員 過度経済力集中排除の見地からは、持株会社整理委員会からいかなる指令が出るかは存じませんけれども関連事業あるいは直接関連のない事業に対する投資であるとか、兼営というようなことについては、これは排除しなければいけないけれども通運事業そのものの形としては、こういう形がいいのであるという点で認められれば、それは過度経済力集中ではない。他のいろいろの事業を兼営したり、投資することが、集中であるというふうに考えておられるのじやないかと考えるわけでありまして、もし微細に申し上げますれば、そういう大きな形態と、今後出て来る小さい形態との関係は、事業能力の較差ではないかということならば、これは一つ議論になると思いますけれども、この点は独占禁止法の精神からいろいろ判断しなければいけないと思うのでありますが、これまた通運事業理想的な形態は何であるか。通運事業のあるべき姿はどういうものであるかを考えて、判断して行かなければいけないものだと考えるわけであります。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 結局そういうことになると、私はこの上その点について議論をかわしても無意味だと思いますが、この法案におきまして、どうも現在の日通形態をそのまま残すということになりましたならば、この通運事業法有名無実になつてしまう。そうして新しく免許せられたものは、ことごとく倒れて行くというような状態が出て来るということを、私は今から予言しておくものでありまして、その際にそういうものに対してどういうふうな扱いをするかということが、再び問題になつて来ると思うのでありますが、それは見解の相違と申しますか、それ以上の追求はいたしませんが、一つの大きな資本で、日通のような形態のものがありますと、私こういうふうな例をよく承知いたしておるのでありますが、もし肥料その他の公団あたりが、その輸送全国的に一本に契約をするというようなことになつて参りますと、相互代理店契約をやつて営んでおるような新しい免許者のところでは、とうていそれをとり得ないということになつて資本一本の日通全国的網を持つておるために、それがやる。部分的のものであれば、安く契約ができるというものであつても、新しい免許者ではとうてい全国的なものの請負契約は、一括したものができないということになつて日通に非常に高い料金をもつて請負わす。これが現実なんであります。そうしてこの国家の財政が非常に窮迫していると言いながら、日通厖大な利益を占める。こういうようなことに事実がなつておるのでありますが、こういうようなことを地区的に分割して、これが運送契約というようなことをまとめる場合には、非常に節約ができる。こういうことで、私は通運事業法ができるということに非常に期待をいたしておつたのでありますが、日通があの形態をそのまま保つのであつたならば、そういうふうなこともとうていでき得ないのでありまして、依然として日通が、この鉄道によりますものの六〇%以上も運ぶというような結果が生れて来るだろうと私たち考えるのでありますが、公団その他に対しましては、やはり国家経費でありまするがゆえに、この運送契約等が非常に高く契約がせられておる。そうして厖大なものを中間搾取をやつて、下請させておる。これが現実なんでありますが、こういうことに対しまして、公団その他に対して部分的にこれを契約するような方法をとつて経費を節減する。運賃引下げというふうなことで、国家経費を節約するために、公団その他に運輸当局としてこれを勧告されるような用意があるかどうか。承りたいと思います。
  18. 中村豐

    中村(豐)政府委員 運送の点は、現在のような全国的な組織を持つている日本通運が、現在においては確かに有利であろうと思うのであります。ただそれは何度も申しますように、全国的な組織でなければ、こういう重要物資輸送統制配給統制、あるいは流通秩序の確立というような点から申しまして、どうしてもそういう全国的な組織を使わざるを得ない。たとえてみますれば、絶えず物の流動の模様によりまして、着駅を変更して需要供給をうまくやつて行くというような点から見ますと、自由に動くような全国的な組織を使わざるを得ないというのが、この元請制度の発達した原因でございます。  もう一点といたしましては、運賃プールにしなければ、とうてい個々の運賃計算ではできないから、運賃プール制をとる意味からも、全国的な組織を必要とする。こういうことから起つたのでありますが、現在それは日本通運が大部分扱つておりますけれども、先ほど申しましたような新規業者取引店関係、あるいは代理店関係を使い、その間に通運計算事業者が介在して、新しい網ができますれば、それに十分対抗して、新しい元請業務をとることができるであろうと思うのであります。その点は、元請をさせる物資を持つておる官庁や公団と、運送店との契約でございますから、これは自由契約になるわけで、われわれとして関与する余地はありませんけれども、ただ今ご指摘のような運賃が高いとか、高い料金を与えておるというような点につきましては、運送請契約賃率というものについて、物価庁が認可をしなければいけないということで、     〔大澤委員長代理退席委員長着席〕 それについては運輸省十分相談に乗つておるわけでございますから、そういうような点から不当な運賃料金を拂うことは、押えることができるであろうと思うのであります。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 どうも今の運輸当局あたりは、日通擁護に陥つてしまつて病盲に入つておるのではないかというふうに思うのでありまして、これを全国一本でなければ流通秩序が成り立たない。こんなばかげた議論はないと思いますし、なお運賃プールでやるがために、これが一本で、請負わさなければいかぬのだ。この疑問は成り立たぬのであつて、その売渡し価格というものを決定しておつて、それで実際にその面の中から運賃支拂うのは、各部分的な契約をする場合に非常に安上りがするということは、私は事実を握つており、体験をしておるのでありまして、そういうことでありましては、流通秩序が成り立たぬ。プール運賃制が成り立たぬというようなことは、まことに日通擁護以外の何ものでもないというふうな考えを持つておるのであります。私はいま少し日通というものを細分化して、そうして新規免許を受けたものが成り立つような方法考えなければならぬと思うのでありますが、これに対しては依然として、新規事業者が成り立つということは第二として、日通形態をそのまま置くという政府のお考えであるかどうか、もう一度承りたい。
  20. 中村豐

    中村(豐)政府委員 先ほどの説明で少し漏れましたが、地域的な部分的な元請ということは考えられると思うのでありまして、現在日本通運しかありません。その中でも本社一本で全国でやるほかに、支社あるいは県における支店ことの元請契約をやつておるようなものも、相当あるわけでありますから、そういうものにつきましては、何度も全国的組織と申しましたけれども地方的な地域的な組織を持つておるものでも十分やつて行けるし、とり得ることができるだろうと思うわけであります。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 そういうお考えであるならば、それぞれ地方には地方の特殊の運送機関というようなものもあり、その状態によつていろいろ小運送業者というものも将来できて行くのに、新しい免許者を生かすという意味においてその区域というようなものをあまり細分化するというようなことも、あるいはできないかとも思いますけれども、ある一定の地域を限つて、そのあたりは一本の元請でやつて行くというようなことは、地方的な新規営業免許をせられたものが成り立つような方法考えてもらいたい。そうして公団契約その他に関しましては、物価庁あたりに対して運輸省発言権があるというなら、そういう方面にもよく留意をしていただきたいと思います。  なおこの通運事業法を見ますと、すべて新しくやろうとするものがみな免許制をとつておるのでありますが、海上運送法によつて見ましても、貨物運送というようなことは届出制でやつておるのであります。陸の方は免許制にし、海の方は届出制で自由にやれる。こういうことになりますと、陸の方からは海へはいくらでも進出する機会があるが、海の方から陸の方へ進出しようとすると免許がいる。そうしていろいろな條件がいる。こういうようなことになつて一貫作業をやろうというようなことに非常に不便な場合があるのでありますが、海陸平等の立場から言うて、これは両方とも免許制にするか、あるいは両方とも届出制そのままの自由企業でやるか。いずれかにすベきものであると思いますが、政府当局はこの海陸の不平等ということに対して、どのような考えを持つておられるか。
  22. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいまの御質問の、港湾運送業と陸上の通運事業などの調整の問題は、運輸省といたしましても、非常に重要な問題として考えておるのであります。御承知のように港湾運送業は、戦後統制をやめまして、自由営業になつております。通運事業につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、昭和十二年以前におきましては自由営業でありましたものを、自由営業の各種の弊害からいたしまして、昭和十二年に免許営業にいたしまして今日に及び、そのために現在のごとき、ただいまの御説のごとき強大な日本通運ができまして、そのために独占というような経過をたどつておりまして、沿革的にも小運送業と港湾運送業とは違つておるものでありますし、また小運送業と港湾運送業は、おのおのその事業の分野においても違つておると考えられる点もございますので、小運送業と港湾運送業とを必ず兼営しなければならぬということにはならないと思うのであります。また港湾運送業を全部陸の通運事業者として免許するということになりますると、陸上におきます道路運送業者、いわゆる貨物自動車運送に当つておりますトラツク業者、あるいは荷馬車その他のものに対しても、すベてを自由営業にしなければならぬというような点も考えられるのであります。私どもといたしましては、港湾運送業者免許出願しますれば、本法案免許基準に適応するものに対しましては、他の者と同様に公平に、港湾通運業者としての一般免許をいたして参りたいと思います。また特定の港湾、たとえば六大港あるいはこれに準ずる港湾等につきましては、港湾運送の特殊性からいたしまして、しいて経済地位を広くとらずに、その港湾におきまする一駅あるいは二駅を指定いたしまして、免許をすることについて考慮をいたしたい、こういうふうにも考えております。また港湾運送業者のうちには、貨車の積みおろしにつきまして、相当の実績を有しておるものもございますので、これらのものにつきましては積みおろしに関するところの限定免許を与えてもいいと考えております。このことによりまして港湾運送業者が、通運事業者としての免許を受ける機会は相当ふえて参るものと考え、また現在いろいろ問題になつておりまする点につきましては、解決し得るものと考えております。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 海上運送法において海上の貨物の輸送、これはことごとくが届出制になつておるのであります。そうしてこの陸上におきまするものは鉄道で運ぶからというので、小運送あたり免許制になつている。こういうところが海陸不平等である。これに対しては運輸大臣はどのようにお考えになつておられるか。御答弁を願いたいと思います。
  24. 大屋晋三

    大屋国務大臣 海の方の運送業は、元来外国貿易との関係がございまして、ずつと自由にやつて来ておるのでありますが、陸の方は、ただいま牛島局長が申されました通り、昭和十二年以前において無数の業者が濫立をいたしまして、非常に弊害があつたことにかんがみて、昭和十二年に現在の法律をつくつたのでありまして、今日はその法律がすでに現在の経済事情に適応しないというので、ただいま免許制でありまするが、しかもその免許をただ腰だめでやるということでなしに、四項目でしたか、五項目でしたかの基準を明瞭に法律の中に書きまして、それに該当するものを免許するということにいたした沿革的なことがありますので、一律に港湾の方は自由であるから、關谷委員のように陸でも自由にするか、あるいは陸が免許制だから海の方も免許制にした方がいいというようなお考えは、その間に差別待遇的な観念でお考えになつておりますがこれはやはり実情に即した沿革的な発達を遂げた関係で、現在はさように考えておる次第であります。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 差別的に考えるというようか意味でもないのでありますが、現在国内の海上運送が、運送業者といいますが、回漕店というようなものが濫立をして、非常な競争状態に陥つておるのでありますが、そういうことは届出制でだれでもやれるというようなことで、濫立しようがどうしようが、海のことに対してはあまり運輸省は関心を持たない。小運送などになると非常な関心を持つて免許制にする。その考え方がどこから出ておるか。海上の実体をご存じないのでそのような方法をとられておるのか。もう一度伺いたいと思います。
  26. 大屋晋三

    大屋国務大臣 海の方の業者が非常に濫立状態で、陸上の昭和十二年以前のような状態がもしあつたといたしますれば、それに適応する規定なり法律をつくつてもよろしゆうございますが、陸の方にすでに過去においてさんざん苦しい経験をなめましたので、免許制が最も適当であると確信いたしておる次第であります。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 大体現在の形体が現在の形体を保つて行く。こういうことになりますと、これはすべて輸送の一貫請負をやるというようなことで、日通が海上の部分までも一貫して請負う。そうしてその海上部分は、きわめて安い運送料金によつてこれを下請させしめる。また海上輸送の方で、これが陸上を含めて一貫請負をいたしました場合に、海上の運送業者の方から日通の方にその下請を依頼する。こういうことになりますと、規定料金以外には一切引かないというようなことで、全部日通の言う通りにならなければならない。こういうようなことになつておるのでありますが、この際日通というものが海上に進出するというようなことを、何らかの措置によつてこれを抑制して、そうして海上方面運送業者が成立つような方法をとつて、海の方がしいたげられ、陸の方が暴利をとるというようなことがないように、業界が非常に健全に発達するような、海上輸送方面にも健全な輸送が行われるというようなことを、政府当局としては何らか措置講ずるというふうなお考えがあるかないか、この点伺いたいと思います。
  28. 牛島辰彌

    牛島政府委員 最近港湾運送業者の方々から、日本通運各地の港湾に非常に進出するというようなことからいたしまして、各種の陳情が参つておることはよく承知いたしております。現実にある港湾につきましては、相互にいろいろの問題を起しておるようであります。しかし実際の数字によりますと、現在進出をいたしておりますものも、全国的に不均いたしますと約一割くらいの程度のものだそうでありますが、しかしこういう紛議が起き、また日本通運といたしましても、現在支店を置いておりますところが、今回の新規免許関係その他の関係よりいたしまして、支店を縮小しなければならぬというような点もございます。相互にいろいろ利害得失が考えられますので、運輸省といたしましてはこれら紛議のある港湾、あるいは将来日本通運が港湾運送に進出しようというふうな場合におきましては、関係当事者においてよく相談をして、しかる後に解決をはかろう、こういう考え方でおります。
  29. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまの日本通運関係者の間に相談をするようにと言うとおりましても、日通はどんどん現地でやつておりますのを、運輸省なりその出先機関がじつとそれを直接見るわけではないのでありまして、それに対しては何らかの方法を講じなければ、この港湾運送あたりの小企業は、この日通の大資本に押されて、とうてい成立たぬということは、業界におります者は痛感をいたしておりますが、何らかの政府としてとるべき措置とか、あるいは何らかの形においてそれを抑制する方法をとらなかつたならば、とうてい港湾運送業者、あるいは海上の運送業者というものが成立たぬのでありますが、それに対してただ当事者と相談をするようにすると言いましても、そういう状態に遭遇したならば、一々言うて行かなければならぬというようなことになりますが、それよりむしろ何らかの措置を講じて、それが円滑に行くような方法を、前もつて講ずるということが私は必要ではないかと思いますが、どのような方法によつてやられようとするのか、それを承りたいと思います。
  30. 牛島辰彌

    牛島政府委員 個々の港湾につきまして、関係当事者がよく協議をして、相互調整をはかるという方針は運輸省としてとりきめておるのでありまして、これに基きまして各下部の組織に通牒をいたすことはもちろんございます。私ども自動車局といたしましては、日本通運にその旨行政的な指導をいたしたいと思います。御承知のように港湾運送業が自由営業でございまするので、法律によりまして港湾進出を押えるということはできませんので、行政指導によりまして日本通運にこの方針を徹底いたしたいと思います。
  31. 關谷勝利

    關谷委員 日通関係になりますると、まことに不公平であつて日通擁護の何ものでもないということを、繰返して私言わなければならぬというふうに思うのでありますが、これはこの程度でよしておきますが、この免許基準等を見ましても、まことに漠然としておりまして、官庁の裁量というものにまつものがきわめて多いのでありまして、官庁でいけないと言えば、そうかというようなことで、官庁はそう認めたから許可をしたのだということで、そこらが非常にあいまいなような気がするのでありますが、これはある一駅、各駅の扱い数量というものが、大体今の標準によつてきまつている。今まで実績によつて大体わかつておるのでありまして、それをどの程度のクラスのものはどういうふうな設備を持つておれば大体これを許可するというふうな、免許の基準というものをいま少し具体的に決定することが、将来これを免許する上において非常に便利であり、そうして国民の疑惑を招くことがないのではないか。このように考えるのでありますが、どういうふうな御見解を持つておられるか。
  32. 中村豐

    中村(豐)政府委員 免許基準の点について、御質問のような点が出ることはごもつともと思うのでございますけれども免許基準というものをいろいろ研究しまして、もう少し具体的に規定した方がいいようなことにも考えてみたのでございますけれども免許基準というものは、大体全国共通に普遍的なものでなければならないし、また現在のように経済情勢がいろいろとかわりまして、各駅の取扱い数量が非常に変動のあるときに、何か数字的なことを書いても、絶えず動かなければならないというようなことを考えますとある程度数字的な、経済界の変動に影響されない、半恒久的なものにしなければ、基準というものの性質に合わないということになりますので、法律上はまことに抽象的過ぎるようなきらいがあるのでございますけれども、このような表現になつておるわけでありまして、これは外国の例などをいろいろ調べましても、こういうふうになつておるわけでございます。それならばかような抽象的な基準で、運輸大臣の自由裁量の余地を非常に大きく持つている。基準というものは書いてあるけれども、事実は相当広い自由裁量で思うようになるのではないかというような御懸念でございますけれども、この点につきましては、基準が今言いましたような性質上、やむを得ず抽象的になりましたので、その趣旨を十分しんしやくして考えて行かなければならないわけでございまして、実際の適用にあたりましては、申請者からの申出によつて公聴会を開いて、よく実情を調査いたしまするし、またその適用の具体的な場合には、三十三節にもありますように、運輸審議会にかけて、その決定を尊重しなければいけないことになつておりまするから、運輸大臣の主務大臣としての自由裁量の余地は、非常に狭いものになつている。こういうことでございますから、どうか御了承願います。
  33. 關谷勝利

    關谷委員 この法案につきましては、今の政府当局の御答弁では、まことにふに落ちぬ不満な点が多々ありますので、なお皆さんの質問が終りまして後に、もう一囘御質問申し上げたいと思いますが、一応本日は質問を打切ります。
  34. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいま關谷委員政府とのやりとりを聞いておると、私も日本通運株式会社が、特殊法人としての従来の法律が廃止されて、運輸事業法によつて拘束されるという点で、やや独占事業の性格が薄らいで来たようには思われまするが、実際の運用では依然として、実質的には小運送業についてはやはり独占的な形態を保持していると考えております。これに対する政府の答弁も、私聞いておつてはなはだ不満足でありますから、何ゆえに日本通運会社細分化を行わないかという経緯につきまして、持株整理委員会が今日までこの問題をどう取扱つておるか。あるいはこれに対して運輸当局がどういうお考えを持つておるか。もしおさしつかえなかつたならば、その経緯について、あるいは書面でもよろしいし、口頭でもよろしいから、われわれに御報告を願いたいと思います。
  35. 大屋晋三

    大屋国務大臣 米窪君の御質問でございまするが、それは一にかかつて、ほかのあらゆる種類の持株整理委員会におきまする処理と同様に、この日通の問題に対しましても、政府は何らあずかり知るところがないのでございます。
  36. 米窪滿亮

    米窪委員 すでに政府日本通運株式会社法という法律を廃止しまして、新たに通運事業法という法律を出されるのは、何か細分化についての見通しなり、御成算があつて、そういう法律を出されると思いますが、この点をさらにお伺いいたします。
  37. 大屋晋三

    大屋国務大臣 持株整理委員会でいかようにこれを分割するかという内容については、少しも政府としては承知しておらないのでありますが、目下の経済界の現状、この通運事業の現状にかんがみまして、日通法の廃止を目途いたしたにすぎないのでございます。
  38. 米窪滿亮

    米窪委員 従来一駅一店主義であつた日通の小運送形態をおとりやめになつて複数にされた。自由競争にされたということは、形式の上から一段の進歩だと思う。そこでこれは発送駅と到着駅との共同計算をする共同計算事業というものが、日通のみならず、申請をして簡単に許可が与えられるという共同通運計算事業というものが行われるようなぐあいに法律がなつておらない限り、やはりこれは日通独占になると思う。それは二十八條においてきわめて簡単に、運輸大臣の認可を受けなければならない。通運計算事業については、これを経営しようと思う者は運輸大臣の認可を受けなければならない。こうあるのでございまするが、それと同時に附則の第五によつて、従来通運計算事業をやつている者は、三箇月の間認可を要しないという特典を与えておるのであります。しかも新たにこの認可を申請しようとする者は、事業者団体法によつて非常に拘束されるのでございまして、これはほんとうに小運送の民主化をはかつて日通独占を排するために、計算事業者となる手続をもつと簡易にしなければならぬ。それには当然事業者団体法の修正が必要となるのでございますが、当局はこの法律を出されるときに、事業者団体法を私が申し上げた線に沿うて簡易にできるように拘束を解くような何かのお考えがあるのでございますか。あるいは主務官庁との横の御連絡があつたのか。その点をお伺いします。
  39. 大屋晋三

    大屋国務大臣 前の質問に対しまして、私の答弁を補足いたしておきます。持株整理委員会がどういうプランでやつておるかということは、政府は少しも関知いたさないことはただいま申し上げた通りでございます。この通運業法を制定すべきであるということ、それから日通会社を廃止すべきであるということに対しましては、本年九月にその筋からサゼスチョンが参りまして、そりサゼスチョンに従いましてこの法案を起草したということになつておりますから、それだけ補足いたしておきます。
  40. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいまの御質問でございますが、通運計算事業免許制度にいたしますと、通運事業者が出資をするとか、あるいは団体をつくるとかいうようなかつこうで、通運計算事業を開始して、相互の利益のためにやる。こういうふうになると私どもも予想いたしております。それにつきましては事業者団体法の六條の例外として規定をしなければ、できないというようになつて参るのであります。
  41. 稻田直道

    ○稻田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  42. 稻田直道

    ○稻田委員長 速記を始めてください。
  43. 牛島辰彌

    牛島政府委員 この点につきましては、いろいろ関係方面と折衝をいたしました結果、附則の第八において、この第六條の廃止のことを入れなかつた、こういうことでございます。
  44. 米窪滿亮

    米窪委員 将来この事業者団体法の第六條を、牛島局長が今言われるようなぐあいに改正する意図があるというのは、これに関係筋にその意図があるのか。あるいはこの事業者団体法の主務官庁の方でその意図があるのか。この点をもつと明らかにしてもらいたい。
  45. 牛島辰彌

    牛島政府委員 実はその当時この事業者団体法につきましては、関係方面とも、また公正取引委員会方面とも話し合いましたが、公正取引委員会はもちろんその強い意図を持つております。
  46. 米窪滿亮

    米窪委員 繰返して申し上げますが、せつかくこの日本通運株式会社法を廃止して、海運事業法をつくろうとされているのでありますが、実際にこの法律案のいわゆる独占を廃して民主化しようとする真随は、通運共同計算事業者の点を、第二十八條のような簡單なものでなしに、もつとはつきりと、容易に簡單にこれが申請ができ、また認可されるようにきめられないと、私は実質的にこの独占事業というものを排除することむずかしいと思う。そこにおいて事業者団体法によつて拘束されておるのでございますから、この通運計算事業者として申請する者は、必ずしも事業者団体法によつて縛られないという、何か抜け道を本法へお入れになるお考えがなかつたか。また将来お考えになるかということをお尋ねいたします。
  47. 稻田直道

    ○稻田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  48. 稻田直道

    ○稻田委員長 速記を始めてください。
  49. 牛島辰彌

    牛島政府委員 われわれとしては、ただ事業者団体法を改正することに努力したい、こういうふうに考えております。
  50. 米窪滿亮

    米窪委員 しかし關谷委員のお尋ねにもありましたが、日本通運株式会社が特殊法人という資格——優先的な條件がなくなつて、一般の通運事業法に縛られるということになつても、あの厖大なる資本組織を持つておれば、勢いやはりいろいろの面において、この独占排除することの規定がない限り、事実においてはやはり小運送業においては、独占的な形態になることは、關谷委員の言われておる通りであります。一つの例は、これに対して小運送業者が非常な心配と危險を感じておることは事実であります。またわれわれもそう思う。そこでひとしく小運送業としても、港湾運送については一つの制限を設けて、日通がその組織と機能をもつて、港湾における運送事業に対して、小運送業者と競争が容易にできないという、一つの制限をそこに設けるということは、われわれとしては必要だと思うのですが、当局としてそういう政治的の処置をお考えなつたことがあつたかどうか、お尋ねいたします。
  51. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの点を御説明申し上げますが、日通厖大なる資本力組織力で、港湾の方に侵入をいたすことに対して、在来の港湾業者が非常に心配をしておるということは、まことにもつともなことなのでありますが、それはやはり監督官庁といたしまして、運輸省の方でそれぞれの実情に即して、あまり横暴独占をしないように心がけるという以外に、ただいまはそれを法律に明記して、その進出を排除するというところまでは、実は考えておらぬのでありますが、そういう弊害のないように、十分監督行政の方で注意をいたして行きたいと考えております。
  52. 米窪滿亮

    米窪委員 時間を御心配になつておりますから、一応私の質問をこれで打切りまして、なお後に質問することを保留して、一応これで打切ります。     —————————————
  53. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 議事進行に対する動議を提出いたします。この際道路運送法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進められんことを望みます。
  54. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいまの大澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 稻田直道

    ○稻田委員長 御異議なしと認めまして、これより道路運送法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。  この際委員長より発言いたします。先日米窪委員が大臣に対して、道路運送事務所の件について、本委員会の決議をとりはからう上について、遺憾な点があつたことにつき、質問があつたのでありますが、その際に大臣は、心境の変化によつて決議と齟齬するような結果を来して、遺憾に存ずる旨のお答えがありましたが、この点につきまして念のため、委員長がいま一応お尋ねいたしておきたいと思います。大臣のいわゆる心境の変化の要点は、道監を置くことを得という条文の解釈を、委員会の方ではなるべく置くようにするとの趣旨と解して、あのような決議をしたのであるが、政府の方では置かないで済む。置くも置かぬも、そのときの国家の情勢からであつて、国会からその点については善処を政府に委任されたものと解したものであつて政府はいろいろと考えた結果、今日の段階では政府では国内の諸情勢から見て、置かない方がよいと解して、閣議では置かないように決定したのであつて、その際に大屋運輸大臣は、多数の他の大臣のそのような意見に従わねばならなかつたということ、すなわち最初は委員会の置かねばならぬという意見に賛成していたのであるが、右の閣議における設置法の條文の解釈の意見に従わねばならなくなつたといす立場になつたという、すなわちやむを得ない心境の変化であつて、これがためにその間において委員会の決議を無視したとか、あるいは委員会の決議に反対したとかいうようなことではなかつたのである。その間において委員会との連絡がとれなかつたために、意思の疎通を欠いて、このような結果を来したにすぎぬというように、本委員長は解しているが、これに対して大臣はいかに思われますか。
  56. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいま委員長の言われた通りであります。その間の事情をさらに申し上げますと、決議の趣旨は、陸運局の分室が各府県に設置せられ、ガソリン、タイヤー等の配給を受ける側が、遠距離の地に出かけて行く不便をなくし、かつこれら物資が米国の厚意に基く貴重な輸入物資であるから、全国的に見て需要に応じて適正公平に配分されるよう、確保することにあると考えたのであります。他方現内閣は、国の地方出先機関をできるだけ廃止するとの方針をとつておりますので、この方針を曲げないで、決議の趣旨を実現するために、閣議においてもしばしば論議を重ねたのであります。その結果分室を移して、各都道府県の陸運事務所として、都道府県の各部に所属せしめず、知事直属とし、職員は国家公務員たる身分を保有させて、その任免権は運輸大臣に留保したのであります。すなわち地方出先機関を廃止するという方針と分室存置という考えとを、今申し述べました方法によつて調整したつもりであります。このように苦心し努力したことを、分室移管を実施する前に、十分本委員会に御説明し、御了承を仰ぐべきであつたのであります。それをしないで実施しましたことは、まことに遺憾であつたと存じております。今後運輸行政を推進するにつきましては、当委員会に十分連絡し、その御意見を尊重して行くつもりであることを、ここにはつきりと申し上げます。
  57. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいま大屋国務大臣より、本委員長の解する通りに大体違いないという答弁がありました。はたしてしかりとすれば、如上の意味によりまして各位のご理解を得まして、ここに大屋運輸大臣に対しまして、今後においては本委員会と密接なる連絡をおとりになり、今後遺憾なきを期せられることを本意院長よりご注意して、ここに本問題を打切りたいと思いますが、いかがでありましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 稻田直道

    ○稻田委員長 しからばさように決定をいたしました。
  59. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 これに対する質疑はこの程度に打切り、討論を省畧して採決せられんことを望みます。
  60. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいまの大澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  61. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいまの大澤君の動議を、起立採決いたします。賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  62. 稻田直道

    ○稻田委員長 起立多数。よつて本問題は、動議の通り決定いたしました。  これより本案に対して採決をいたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  63. 稻田直道

    ○稻田委員長 起立多数。よつて本案は可決いたしました。  報告書の点は、委員長に一任あらんことを希望いたします。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  64. 稻田直道

    ○稻田委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたしました。     —————————————
  65. 稻田直道

    ○稻田委員長 引続きまして、これより日本通運株式会社法を廃止する法律案通運事業法案及び日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。これより質疑に入ります。柄澤君。
  66. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 免許、許可、認可につきまして、運輸大臣がこれをなすことになつておりますが、運輸審議会に諮問することを条件としておられるのでありますが、この法案が出ます前に、政府は昨年の十一月の三日に閣議によりまして、複数制を決定されたのでございます。これは私どもから考えますと、同法案の出ます前に、こういうことが閣議で決定されまして、今まで日通統制のもとに行われておりましたこの小運送が、複数制にかわつたということは、やはり政府としての非常に独裁的なやり方ではなかろうかと思いますが、その経過について御答弁願いたいと思います。
  67. 牛島辰彌

    牛島政府委員 昨年の十一月に閣議におきまして、日通と申しますか、小運送業複数制を実施いたしました。その複数制と申しますのは、現在の法律によりますれば、小運送業は申請してこれを免許する。免許しない場合がごくわずか書いてございますが、運輸大臣の自由裁量の中において免許をし得るわけであります。しかしこれは行政の必要からいたしまして、一駅に一店とするときめておつたのでありまして、これをその経済の実情その他に適応させまして、一駅に二店も三店も認めて行くということは、経済の実情に合つたことでありまして、非常によいことだと思つておるのであります。またこれをきましても、運輸審議会の関係を御心配のようでございますが、運輸審議会にかけますのは、実際に申請された人が多数ありまして、どの人を一番適当な人として免許するかということについて聴聞会を開きまして、申請者に全部集まつていただき、意見を聞く。その意見を尊重して運輸大臣がきめるということで、まことに民主的な方法で実施しておるのであります。
  68. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、小運送免許につきましては、立法過程の、非民主性ということを私ども考えるのでありまするが、そういうことは断じてないという御意見でありますか。
  69. 牛島辰彌

    牛島政府委員 この通運事業法案は、昨日も申し上げましたように、ここ二、三年提出準備をいたしておつたのでありまして、昨日の十一月に閣議決定をいたしまして、現在やつておりまする免許方法と申しますのは、また免許の仕方というものは、この法律の精神にのつとつてつておるものでありまして、民主的なものだと思います。ただ閣議決定の内容が、その当時におきましては、通運事業法が出るまでは、新たに認める事業者はさしあたり一店にしておこうということであつたのであります。
  70. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私どもは、戦時中に軍事的な目的ではありましたけれども国鉄と相関連いたしまして、小運送全国的な統制をなして来た効果に、やはり認めなければならないと思つております。それが今回のような形におきまして、自由競争ということで、はたして小運送業の国全体におきますところの輸送の秩序の確立、並びに健全な発達ができるかどうかということについては、非常に疑問があるわけでございます。その点につきましては、先ほど来關谷委員に対していろいろ御答弁があつたわけでございますが、その御答弁では抽象的でありまして、決して私どもの満足のいくものでないのでございます。ですからひとつ具体的な問題について、御答弁を願いたいと思います。  ただいまの免許制につきまして私どもの憂慮いたしますことは、自由競争という観点から、小運送が持つております公共性が没却されまして、いたずらな混乱を起すのではなかろうかという点でございます。その例といたしましては、その複数制になりましたときの事情でも、函館、新潟、仙台というようなところで、運輸審議会で審議されました場合に、いろいろ私どもの納得の行かなかつた点があるということを仄聞いたしております。ことに政党的な関係とからみまして、いろいろの業者との取引が行われているというようなことも、仄聞されているのであります。そこで運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、免許制からみまして、昨年の複数制になりまして以来、そういうことは絶対になかつたかどうかということでございます。
  71. 大屋晋三

    大屋国務大臣 在来免許申請が百四十二件ございまして、そのうちで免許をいたしたのが十九になつておりますが、ただいま柄澤委員の言われたように、各地におきまして申請者を審査いたしまするのに、非常な困難な、たとえば実力が相伯仲しておるとか、あるいは片一方には非常な特長を持つておるが、片一方では非常な欠点を持つておるというようなことがありまして、各地におきまして審査上に相当愼重を要し、かつ判断に苦しむような場面はございましたがその間に政党的な色彩がからみ、不正が介在したというようなことは毫もないのでありまして、その点ははつきりと申し上げておきます。
  72. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 運輸大臣にもう一つお伺いしたいのであります。運輸審議会というものは、諮問機関だという点が強調されていたのでありますが、それはあの法律が実施されて以来、大体その方針にかわりはないと私どもは存じておりますが、その点はどうでございましようか。
  73. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸大臣はあの審議会の意見を尊重して、事を処理するのでありまして、前国会においてもしばしば問題になりましたが、諮問機関であります。
  74. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、この小運送免許の場合、運輸審議会の意見を御尊重になつておきめになつたことに対しての責任は、運輸大臣におありになるわけでございますか。
  75. 大屋晋三

    大屋国務大臣 もちろんさようでございます。
  76. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは私ども運輸委員会といたしまして、運輸審議会で審議いたしました決定意見その他についての、具体的な小運送免許制に関します問題についての、議事録のようなものがありましたならば当委員会へ、この法案がきまります前に御提出願いたいと思うのでありますが、ただいま御質問申し上げまして御答弁を煩わすことができますか。
  77. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸審議会の日常の審議は、議事録をとつておりません。決定した事項を運輸大臣に出す場合には、書面をもつて送達されております。
  78. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 岡山の小運送業者免許制の経過につきまして、運輸大臣のお知りになつておられる限りの御答弁を承りたいと思います。
  79. 大屋晋三

    大屋国務大臣 こまかい経過は私存じませんが、愼重審議の結果、岡山商運株式会社免許をしたということでございます。
  80. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 当時運輸審議会でも、この許可に対しましては非常にいろいろな問題がおありになりまして、この審議会が一時中止の状態にあつたように承つておりますが、その理由はどこにあつたのでございましようか。
  81. 大屋晋三

    大屋国務大臣 劈頭に申し上げました通り、この免許の申請者が甲乙丙丁とたくさんある場合に、それを一々検討いたしますると、長短いろいろございまして、その取捨選択に非常な苦心をいたし、また愼重審議、ときには議論沸騰いたし、ときにはいろいろな疑問も生じたようなことが、この審議を通じましてしばしばあつたと聞いております。私は一々審議の経過は存じませんが、運輸審議会の審議の結果が運輸大臣に出されまして、それを愼重審議いたしまして、この免許を運輸大臣においていたしたわけであります。
  82. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 運輸審議会の問題につきましては、またいずれ具体的な資料をもちまして、御答弁を煩わしたいと思つております。  次に、この法案によりまして、トラツク業者が進出するところの道が開かれているように考えられております。また国有鉄道の現在の赤字の打開のために、貨物の輸送の方に進出するように承つておりますが、そのお見通しはいかがでございますか。
  83. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この通運事業に対して、トラツク事業が進出することができるかどうかという御質問でございますが、これは法律の十五條にもありまするように、トラツクの免許を受けておりますれば、それだけで通運事業のうちの集貨配達という仕事は、免許を受けなくともやれるということになつておりまして、今までの法律よりはその点はトラツク業者に非常に有利になつております。これは事柄の性質上当然であろうかと思います。そのほかの一般免許、すベての仕事をやれるかどうかについては、一般の免許基準に照らして判断するのでございますから、トラツク業者であろうと、先ほど、いろいろお話の出ました港湾関係事業者であろうと、倉庫業者であろうと、その他いろいろの方が申請されるでしようが、それについては公正に判断して可否をきめるべきものであろうと思うわけであります。  次に、鉄道がトラツクの方に進出するという御話は、この通運事業関係ではなくて、一般のトラツクのお話であろうと思うのでございますけれどもいわゆる省営自動車の一般のトラツク界への進出、こういう御質問と存じます。その点につきましては、省営自動車は本来省営バスというものを主にしてスタートしましたので、その後機動運営ということで実際にトラツク輸送力が足らなかつたときに、機動的に鉄道の大きな能力でもつて、必要を満たして行くということで出発したトラツクを、相当かかえておるわけでございまして、これを何らかの方法で活用したいということは、鉄道側のかねがねの希望でございまするし、赤字解消の意味からも何らか方法をとることも、もつともだと思うのでございますけれども、その点につきましてははたして省営自動車が、その場所において事業をやつていいか。あるいは民営自動車がやつているか。そこの場所においてはすでに民営のトラツク事業者が、相当大きな能力を持つて存在しているかどうかという需要供給関係と、その地区における特殊な事情をよく考えて具体的には判断しなければいけないことだと思いまして、一般的な結論を出すことはむりであろうと思います。
  84. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、秩序の確立ということを言つておられるようでございますが、いろいろな点で、むしろそういう道路運送の点では無政府的な、見通しのあまりはつきりしないような状態で入つて来ますと、これは非常に混乱して参りまして、やはり今まで独占的な企業の基盤を持つておりますところの、日通の強化になるのではないかと考えられるのでございますが、この点どういうふうに考えておられますか。
  85. 中村豐

    中村(豐)政府委員 先ほど御質問がございましたが、こういう法律で新たにどんどん新規の業者を免許すれば、むしろかえつて競争がひどくなつて、混乱が起るのではないかというお話でございますけれども、そういうことがあつてはいけないものでございますから、免許制度にしてありまして、基準に該当しなければ認めない。基準に該当すれば免許する。こういうシステムになつておるのでございまして、これを自由営業にしなかつたのは、御質問のような御趣旨によつてそうしたわけでございます。いわゆる自由営業ではなくて、規律された免許制度のもとに、業界の健全な発達をはかるというわけでございますから、その意味で通運に関する秩序の確立ということに表現しておるわけでございます。  それから先ほどのトラツクの問題は、この通運事業とは別に、さらにその隣りの場合ででございまして、それについても現在道路運送法において、道路運送の秩序の確立ということを第一の目的にうたつておりまするが、同じように免許制度にかからしめておるわけでございますから、そのトラツクの面においても御心配のようなことは起らないと存じます。なお省営自動車がいいか。一般のトラツク事業がその場所を相当するのがいいかということは、具体的にその地区において判断する、こういうことを申し上げたのでございます。
  86. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 まだ十九件しか行つておりませんのに、免許制はすでに地方では相当な非難と混乱の声が起きておるわけでございまして、そういう具体的な問題につきましては、また別の機会に御意見を承りたいと思つております。これは相当重要な問題だと思つております。  通運計算事業は、業者の死命を制するものだと思つておりますが、これの掌握と統制権を持つのは日通だけだと思うのであります。そういたしますとやはり日通のみが、その点でも有利でないかとわれわれ考えるのでございますが、いかがでありますか。
  87. 牛島辰彌

    牛島政府委員 現在は確かに日通だけでございます。従いましてこの法案によりまして、免許事業といたしまして、新たに健全な通運計算事業者の出現を望んでおるわけでございます。
  88. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この法案にはどうしても荷主、労組、小運送業者の意見を、十分に取入れることのできるようにお願いしたい。これは非常に問題になつておる部分であります。審議会に諮問して、その答申によつて運輸大臣がせられることは、今地方から非常に非難がごうごうと起つております。この形で免許をなさるべきではない。そういう民主的な形の法案をおつくりになる御意思があるかないか、承りたいと思います。
  89. 牛島辰彌

    牛島政府委員 私どもといたしましては、今回の法案の趣旨は非常に民主的であると思つております。
  90. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どういうふうに民主的だというのか伺います。
  91. 牛島辰彌

    牛島政府委員 免許をいたす場合においては、法案免許の基準を設ける。認可をいたす場合、許可をいたす場合、すべてその基準を法律事項にいたしております。さらにこれらの許認可等は、国会において御承認になつた運輸審議会の委員の方に諮問いたしまして、その決定を十分尊重して、大臣がその職権を行使されるということが、現在におきまして非常に民主的であると思うております。
  92. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 免許の基準というものは、この法案に初めてうたわれたのでございます。この法案はまだ審議中でございまして、通過いたしておりません。それにもかかわらずなぜ十九件も免許が出ておるか。こういうふうな形で政府がいつでも国会の権威、運輸委員会の決定というようなものを、片つぱしから無視していろいろなことをやつておられる。この責任はどういうふうにお考えになるか。
  93. 牛島辰彌

    牛島政府委員 大体昨年の十一月に行われました免許基準と申しますのは、今回掲げておりますものとさほど違つておりません。たださしあたり一駅一店を設けるという制限的なもの、あるいは当分の間限定免許はこれを行わないというようなものがございます。従つてそれらの一つの方針が、今度の法案と抵触する点がございますが、この競争を引起さないように、また鉄道施設の能率を妨げないように、免許をして行くという閣議決定の方針というものは、この通運事業法案において掲げてあります免許の基準と、さほど違つておるものとは考えておりません。
  94. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私の質問の趣旨は、法案内容がどういういうことを言つておるのではありませんで、その立法手続、具体的に施行して免許いたしますまでの経過が、今の法案とどういう関係というのではなくて、公聴会も開かれず、委員会にもかけられず、そういう民主的な形を一切とらずに、ただ閣議できまつて、それがただちに複数制の実施となつて免許が行われ、しかもそれがいろいろな点で今非難の的になつているという点、この点を申し上げているのです。それがはたして民主的であるというふうにお考えになるかどうか。私ども民主的であるとは考えられないということを申し上げたいのでございます。
  95. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この法案提出前にそういう措置をとつたのは、もちろん独断でやつたのではありませんで、当時小運送審議会という、各方面の権威の片に集つていただきまして、その小運送審議会によく御相談して、その意見を伺つた上で、今のような基準をつくり、それから現在のような免許をやることを御承認願つたわけでございます。その後運輸省設置法によりまして、運輸審議会ができたものでございますから、小運送審議会は運輸審議会の方に溶け込んでいただいて、運輸審議会の名において、同じような趣旨でやることを御承認願つて、その運輸審議会にかけ、しかもその前に聴聞会を開いてやつておるというようなことでございまして、各方面の学識経験の方の意見を十分伺いながらやつていただく。その点そういうふうな方法で、民主的な措置をやつておると申し上げたのであります。
  96. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大体具体的なことはあとにしてこれで打切ります。
  97. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 本法案は、鉄道運送業が、従来の一駅一店主義を排して、公正な自由競争が行われ、サービスの改善と鉄道運送の効率の向上とによつて、公共の福祉が増進される態勢を規定されておりますが、通運事業における真の公正な自由競争態勢は、荷物の発送駅と到着駅を結ぶ交互の関連性の確立、すなわち通運計算事業があわせ複数化されなければ、その目的は達成されないのでありまして、この法案の第二十八条によつて誕生を予想される通運計算事業者は、第一、現在の日本通運株式会社が従来の独占的な実績を生かし、計算事業の認可を受けて、引続き計算事業を営む場合、第二、これと対抗する立場にある複数化された新規通運事業者が、交互計算の必要から相集まつて形成する場合、第三、通運事業と全然関係のない第三者が、單に計算事業としての営利のみを目的として形成する場合、この三つの場合が考えられるのでありまして、第三の場合は、既存実績を持つ第一のものに対抗することが採算上困難であり、かつ通運事業者に不当な負担を課し、ひいては運貨高となる結果を招来することが予想されるので、ただちにこれが実現は不可能と思われるのでありますが、第二のものがその存立の立場よりして、法律の制定と同時にただちにこれに着手することは当然考えられるところであります。しかしてこれに同一条件のもとにおいて、真に公正な自由競争を行わしめる施策であり、独占禁止法並びに経済力集中排除法等、一連の民主化した産業のあり方を示す立法の本質に合致するものと確信いたすものでありまして、この本質的な問題を生かすため、要すれば諸般の関連上の法規等は、これが排除規定を設けるべきであると思考するものであります。見方によつては、これら通運事業者が集まつて通運計算事業者となると、事業者団体となり、事業者団体法の適用を受けることとなりまして、かくては計算事業経営は不可能となることも考えられ、また事業者団体法の適用を受けるとなれば、その結果は日通独占擁護に陥ることとなりますので、本件は事業者団体法の適用除外を希望する一般事業例とは、まつたくその趣を異にした特別中の特別ともいうべきものでありますから、通運事業法案第二十八條によつて認可、設立を予想される通運計算事業者は、事業者団体法の適用を除外する旨の規定を、附則第八の一項に加えられたいことを希望いたすものであります。すなわち本法案附則第八に「通運事業法第二十八條の規定により認可を受けた通運計算事業者の行う事業については事業者団体法の適用を除外する」という意味の規定を加えられたいのであります。しかしながら今国会においては会期も切迫し、関係方面との連絡等諸般の事情より、これが改正を織り込むことは困難のごとく見受けられますので、通運事業の本質よりいたしまして、新規通運事業者による通運計算事業体の設立は、焦眉の問題であり、一日も早く設立でき得るよう、政府当局におかれては次期国会に法律改正を用意されることをお願いし、さらに運輸委員長としては、本会議の委員長報告に際し、以上の希望意見を織り込んで報告くださるよう、修正意見を希望として申述べた次第であります。
  98. 牛島辰彌

    牛島政府委員 通運計算事業の認可いたしました新しいものができます場合に、事業者団体法第六條の適用除外を規定いたしておりませんために、非常に通運計算事業者ができにくくなるということは事実でございますので、私どもといたしましては、次期国会に事業者団体法の適用を除外し得るように、極力努力をいたしたいと思つております。
  99. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいま自動車局長からの御答弁もありましたが、次期国会にはぜひとも政府当局から、本法案改正に対しての提案をなされるよう、重ねてお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  100. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はまず大臣にお伺いしたいのでありますが、今回の法案の御提出になりました理由が、昨年の九月、その筋のサゼスチョンによつて出したんだというお話でありまするが、私はそれがほんとうであるかどうか、ちよつと疑念に思う。大臣のお話によると、いかにも法案運輸省自体の御研究の結果でなくて、そういうところに端を発しているということは、きわめておかしなことである。運輸大臣はわが国の小運送界の実情に即して、自主的にこの法案をお考えになつたのではないかと考える。それにつきましては、この法案提出が非常に遅れた。私は昨年、一昨年あたりから、すでに運輸大臣としては、まさにこの法案のごとき政策をとらるべきであつたと思つて、期待しておつたのでありまするが、どういうわけでこれが今日まで遅延しておつたのであるか。運輸省からお出しになつ法案はたくさんあつたのでありまするが、最も重要なる政策に対するものが、今日まで御提出が遅れておつたことを、むしろ奇怪に存ずるのであります。その間の事情につきまして、運輸大臣の御見解を伺いたいと思います。
  101. 大屋晋三

    大屋国務大臣 現在の一連の運輸関係の法規を改正するということは、今日に始まつたことではないのでありまして、ここ両三年間引続いて、運輸省といたしまして研究しておつたのでありまするが、ただいま滿尾君の御引用になつた私のさつきの発言は、関係筋からサゼスチョンがありましたのは本年の九月でございまして、そのサゼスチョンによりまして、新しくこの問題をわれわれがとるというのではないのでありまして、たまたまこの九月にサゼスチョンがございまして、本法案提出がそのサゼスチョンの線に沿つて促進されたという程度であることを御了承願います。
  102. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでは政府委員の方に少し事務的な質問をいたしたいと思います。まず第一條の法律の目的でございまするが、「通運に関する秩序の確立」と書いてある。この「秩序の確立」ということが、とかく近ごろの運輸省関係法律にはつきものになつているのでありますが、非常にこれが将来に疑念を生ずるおそれがある。今日「通運に関する秩序の確立」とはいかなることを意味しておられるか、御説明を伺いたい。
  103. 中村豐

    中村(豐)政府委員 その点に先ほどもちよつと御説明いたしましたが、まつたくの自由競争の態勢において、そこに混乱を生することは避くべきでございますので、規律された態勢に置く意味免許制度をとつておるということが、「秩序の確立」の大きな眼目でありますけれども、それのみならず、さらに大臣の提案理由でも御説明申し上げましたように、十七條以下に、通運を利用する者と通運を供給する通運業者との間の、権利義務関係をいろいろと書いてございます。そういうことによつて、従来何ら権利義務ではつきりした規定のなかつたやり方を、できるだけはつきりと現わして、もつて秩序の確立をしようということになつたわけでございますから、具体的な内容は十七條以下二十五條くらいまでが、それに該当する例でございます。
  104. 滿尾君亮

    滿尾委員 秩序ということの内容は、この通運事業を利用する人と業者との権利義務の関係をさして、十七条以下のことを言われるのであるか。あるいは免許業者間における秩序の意味であるか。そこらの点がはなはだ不明瞭でありまするが、どういうふうに考えておられますか。
  105. 中村豐

    中村(豐)政府委員 その業者間における関係は、この第一條の表現ではむしろ「通運事業における公正な競争の確保及び通運事業の健全な発達」、こういうところに業者間の関係はおもに表現してあるわけでございますけれども、業者間の関係、及び業者と利用者との関係、そういう全体の通運に関して、大きく「秩序の確立」と最初にうたつてあるわけでございますから、通運に関する秩序は、全体についてであります。業者間についての特殊の問題は、以下に書いてあるわけでございます。
  106. 滿尾君亮

    滿尾委員 「秩序の確立」の御質問はそれくらいにいたしまして、さらに「目的」でありますが、これは非常に大事な條文でありますから、私は少しくどいようでありますが、念を入れておきます。第二の目的は「事業の健全な発達」、それははなはだ明瞭であります。第三に鉄道によつて「物品運送の効率の向上」ということが書いてある。この「効率の向上」ということは一体どういう内容考えておられるのか、お伺いいたします。
  107. 中村豐

    中村(豐)政府委員 通運事業が公共性があり、きわめて重要であるというのは、申すまでもなく利用者に対して非常な影響を与える意味からである、これが第一点であります。  第二点としては、他の事業と違つて鉄道輸送の業態にあつて、不可分な関係にあり、通運事業の能率のよしあしが、鉄道輸送にただちに影響するというふうな関係にあるものでありますから、そういう特殊な使命を持つ意味で、この事業が重要であるというふうに言われておりますが、そういうような見地から、通運事業を規律するにあたりましては、鉄道輸送の能率向上というものが重要な要素をなすわけでございます。それならば「鉄道輸送の効率の向上」とはどういうものかと申しますれば、通運の供給力がたくさんあればあるほど、多々ますます弁ずでございますけれども、同時に鉄道構内というものが、わが国においては御承知のごとくきわめて狭く、また施設あるいは荷置場、荷役機械、倉庫、上屋というものが、非常に不足している状態でございますので、そういうものをうまく利用して、そこを利用者相互間に円滑な調整をはからなければ、かえつて大きければ大きいほどよいにかかわらずそこの間に相互に摩擦混乱が起るということを心配しなければいけないものでありますから、さような見地からも「鉄道運送の効率の向上」を考えて行かなければならぬというわけであります。
  108. 滿尾君亮

    滿尾委員 そこでいわゆる「鉄道運送の効率の向上」の意味するところはわかりましたが、私はこの第一条の目的ははなはだ重要なことを落しておられるのではないかと思う。私の感ずるところでは、この一條の規定をもつてしては、利用者の権益というものは十分確保せられておらぬ。「秩序の確立」という点において、引受けの義務その他のことはございましようけれども通運事業の第一の目的は、小運送通運事業にかかりますところの荷物が、正確で、迅速で、低廉で、安全でなければならぬ。このことをなぜ第一條に書かれないのであるか。今の「効率の向上」の中に、かような意味を含めておられるかとも思つたのでありますが、分離上若干の無理がある。しかるに「通運に関する秩序の確立」と、「事業の健全な発達」と、「物品運送の効率の向上」と、この三つを並べてみましても、小運送にかかる品物自体の性格、迅速、低廉、安全という意味を表現されておらぬように思うのでありますが、これについての政府の御答弁をいただきたい。
  109. 中村豐

    中村(豐)政府委員 もちろん利用者に対して正確、迅速、安全、低廉に運ぶべきことは、当然の要請でございます。それをねらうことが当然でございますが、それをどこにうたつてあるかと言いますれば、「通運に関する秩序の確立」という点につきましても、混乱のない秩序のもとにおきまして、たとえば荷物事故をできるだけ防止するようにするとか、あるいは不幸にして事故が起つた場合には、その損害の賠償責任をはつきりしてやるというような点で、荷主の利益を保護することは必要なこととして考えたい。従つて先ほど申し上げましたが、十七條以下の條文で、いろいろとそのことがうたわれているわけであります。またさらに「通運事業における公正な競争の確保」とございまして、とにかく公正な競争によつて、十分にサービスを競わし、能率を上げさす。結局そうすることによつて、利用者に対して便益を供与することになるわけでございますから、「秩序の確立」とか、「公正な競争の確保」ということによつて、今のような御要望は達成せられ、そういうことと結びまして、もつて公共の福祉を増進するのだ、こういうふうにいつているわけであります。表現の仕方はいろいろと考えられますけれども、御要望のような点はここに十分盛り込んであると考えるのであります。
  110. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府委員の御答弁でありますが、しかしいずれにしても「公正な競争の確保」と書いてありましても、法律の表現としては率直平明を欠いている。一番の大眼目を表現の上に落している。「秩序の確立」ということは道路運送法にもあるのでありますが、その場合におきましても御説明のようなことまで含めるのは、相当むりでないかと思う。またこの言葉が将来実際の運用にあたつて、いろいろに解釈されまして、問題を将来に招くおそれがある。従つて私は第一条の立案の御精神はよくわかつておりますけれども、せつかくの御精神がこの表現をもつてしては、不十分でないかということの疑念を持つのであります。  その次に、第六條の基準についてお伺いしたい。第六條に基準を明確にうたつたと言われたのでありますが、これははなはだ不明確なのであります。この抽象的な字句は、あつてもなくてもいいようなことが書いてある。特にその中で問題なのは、この第一号に「当該事業の開始が一般の需要に適合するもの」と書いてある。この字句が将来の運用におきまして最も問題であります。「当該事業の開始が一般の需要に適合するものであること。」この「一般の需要に適合するものである」ということはだれが判断するか。これを具体的にもう少し標準を示さなければ、きわめてかようなあいまい模糊の文句で書いてありますと、わからなくなる。この基準の中で一番大事なのはこの第一号でありますが、この第二号の解釈が、将来に非常な禍根を残すと思いますので、具体的にはどういうふうにお考えになつているか、御説明いただきたい。
  111. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この表現は抽象的であり過ぎるということは、先ほど關谷委員からも御質問がございましたが、免許基準というものは全国的に共通なものでなければならないし、経済界の変動によつて絶えず変更されるようなものでは困るので、ある程度の恒久的のものでなければいけないという点から、自然にやむを得ず抽象的になるということは、御了承願いたいと思うのでございます。これの解釈の問題でございますが、普通一般の荷主が、現在の通運業者のほかに、さらに何店もの免許業者ができることを希望する場合は、どんな場合であるかと考えますと、第一としては既存の通運業者の能力が不足である、サービスが十分でないということが、第一番目であると考えられます。また第二番目としては、既存の運送業者の能力はまあまああるけれども、その運営方法が悪くて荷主の需要にこたえ得ないという場合が考えられます。さらに第三番目として、既存の運送業者の能力は十分である。まだサービスも大体よろしいが、さらに自由公正な競争によつて、さらにいいサービスを期待したい。こういうようなことが考えられるわけでありまして、第一番目、第二番目はもちろんでありますが、第三番目についても一般の需要として相当考えなければいけない問題じやないかと思います。但しその場合に、その第三番目を望むの余り、多くの業者ができまして、そこに不当な競争が行われるようなことでは、せつかくの希望が達せられずに、逆の効果として、荷主に不測の損害が及んで来る。こういうことになりますからこの点は、そういうことが予測されるならば、もうその場合は一般の需要に適合しないことになる、こういうように考えられます。さらにもう一つは、その能力や申請の内容が、ある程度そこの地区に適合したような規模でなければ、どうしてもその地区に合うようなサービスができない。ごく小さい規模でも、特殊な専門的な技能を持つている場合には、それは限定免許として考えられるのでありますけれども、いやしくも一般免許として、すべての物品について、すべての通達をお引受けする以上は、その地区に合うような規模を持つていることが、これまた一般の需要に適合するゆえんである。こういうように考えられるので、そういうような意味合いにおいて、この規準を考えて行くべきではないかと思うわけでございます。しかしながらそれを具体的に適用するにあたりましては、もちろん先ほど申しましたように、運輸大臣単独で判断するのではなくて、公聴会あるいは聴聞会を開いて、需要供給関係なり、現在の既存業者のサービスぶりや、今度申請される方の御要望を承つて、よく実情を把握し、その上で運輸審議会にかけて公正な審議をしてもらつて、その決定を尊重する。こういうような仕組みで、いろいろと二重、三重の段階を経ているわけでございますから、十分に公平な結論が出ることであると思います。
  112. 滿尾君亮

    滿尾委員 せつかくの御説明をいただきましたが、まだどうも少しさとり切れぬところがあるのであります。第六條の前段に、左の規準によつて審査しなければならぬ。また合つておれば、免許しなければならぬと書いてある。原則として免許することが建前のように、この文章には書いてあります。従つて第一号の一般の需要に適合するかどうかの問題で、実際の運営は逆の方へ解釈されるおそれがある。従つて私はこの一般需要ということについての御見解を、重ねて伺うゆえんであります。特にこれは道路運送法関係においても同じことになつているのでありますが、運用実績から見てみますと、だれが一体それを判定するのであるか。既存の業者は当然、新しい業者が発生することを好みませんから、そういう需要がありませんと言うのであります。ところがお役人の調査というものでは、かような陸上運輸の数量の判定ということにつきましては、算術的にそう明確に出るものではない。見る目によつていかようにも動く。またこの通運事業というものも、結局鉄道にかかるものでありますけれども、相当の近距離貨物であれば、ある場合は地場トラツクでも参ります。従つて通運事業にかかる仕事の量というものは、限界がはつきりしておるものではない。そのときの経済状態、あるいは輸送状態、あるいは時間の問題、いろいろな要素によりまして、おそらく現在におきましても二百キロ以内くらいの陸上運送というものは、あるときは鉄道により、あるときはトラツクで飛んで行つてしまう。つまりAの機関からBの機関へ、あるいはBからCへ、いつでも転化し得るので、正確にこれを捕捉することは困難であります。ところが運輸省の役人は、いつの間にか自分たちの見る目が非常に正確なものであるというような錯覚を起すおそれがある。従つて、実際の運用につきましては、いろいろな条件がそこに錯雑して参りまして、この第一項の適用が非常に公正だとは、将来言いにくいと私は思う。従つてこの一般需要に適合するものであるということの解釈を、この際はつきり伺つておきませんと、将来このことは非常に問題が起る。そこで私はこういうあいまい模糊な基準は、実はやめてもらいたいことがほんとうのところです。これは陸運の貨物の性格というものが、A、B、C、Dをちよつとしたはずみで、いつでも転化し得るということを念頭に入れることが一つ、またいろいろ願書を出しましても、御審査になるのに時間がかかる。トラツク業の実績に徹すれば、約一年近く書類を温めている。そのうちに世の中はかわつて荷物は減つてしまつて、一般需要がないじやないか。こういう口実に使われることが非常に多い。一体運輸大臣は、これらの陸運の免許事業に対して、この一般需要に適合するということを、時間的にはどう考えておられるか。たとえばある業者が申請をしたが、それがここ二箇月なり三箇月なりに、お役所風の測定に従つて荷物が減つた。そうするとこれは一般需要に適合しないという判定をせられるものであるか。もう少し長期のものの見方をせられるものであるか。そこらについて御見解を伺いたい。
  113. 大屋晋三

    大屋国務大臣 行政官、すなわち役人は非常にとんちんかんの、不合理な経済問題の認定をするという例は多々あるのでありまして、私も認めるのでありますが、しかし行政の要請というものは、滿尾君とくに御承知の通り、その経済的の面、あるいは時間的の間、あるいは社会的の面、公共的の面、いろいろな面をあらゆる資料によつて検討いたして判断するのでありまして、あるいは神様でないから、間違い、不適当な判断をする場合もないとは言えないのでありますが、そういうふうに判断をして行くのであつて、これを近代的には、民主主義的に公聴会を開き、あるいは最近の制度である運輸審議会にかけて、またいろいろな知識経験を持つた委員が、違うアングルからこれを検討して参るというようなことを、総合いたしましてやれば、まあまあそう不合理でない判断ができると思うのでありまして、ただいま滿尾君が、時間的にはどういう感覚を考えておるかというような一々のことに対しては、ここで答弁しても無用である。要するに私はあらゆるアングルから、免許の新出願が、需要に応じた適切なる出願であるかどうかということは、ただいま申し上げたような気持で判断すべきものでありまして、ただいま羅列的にこの場合はこう、この場合はこうというようなことは、もちろん申し上げられないのが、かえつてこの経済現象の原則であり、本質であると考えている次第であります。
  114. 滿尾君亮

    滿尾委員 私が申したのは、こういう意味です。時間的と申すのは、なぜそういうことを言うかと言えば、いやしくも免許事業を出願するのでありますから、ちよつと調子が悪くなつたからといつて、かつてにやめられない。大臣の認可がなくちややめられない事葉を出願する以上は、その事業計画している人は、十年、二十年、五十年、百年の計画をもつて出願すると思うのであります。しかるに免許を御審査になるときに、一般の需要と合致しておるかどうかということを御判定になるときに、わずかここ二箇月、三箇月あるいは半年以内くらいの、きわめて短期間の経済上の、小さなさざなみのごとき波動をもつて、今は輸送力が余つているから、ここに新規免許は許さない。こういうような御判定になるおそれが多分にある。でありますから、この免許事業をやる以上は、今年の夏アイスキヤンデー屋をやつて、一山当てようというような考えで出願する人はないのであります。従つて事業の恒久性という点から見て出願しているのでありますから、御審査になりますときにも、あまりに近視眼的に、一般情勢というものを御判定になることは間違いである。もつと悠久の経済の情勢、わが国の国民経済がどういう動向に向いておるかというところまで立ち返つて、大局的な御判断をしていただくようにいたさねば、この一般の需要に適合するという言葉が、将来非常にあだをなしまして、私はわが国の陸運の進歩をはばむものと考えますので、この法律をつくりますときに、これをはつきりと御答弁を得ておきたいと考える次第であります。
  115. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの御質問の要点でありますが、免許をいたした。それがすぐ不的確であつた。あるいは一般需要にミートしなかつたというようなことがあつてはいけないから、すべからく相当のコンスタントのフアクターをつかまえてやれという気持ちはよくわかるのでありますが、しかし一概にそうも行かないので、経済的現象というものは、非常に昨今激しく変転いたしておりますので、悠久な——これは言葉の綾でありますが、悠久な、非常なイターナルなことを考えて云々という気持はわかりますが、そこに十何年というような先を明確に考えてやるというようなことは、申し上げられないと私は申したので、滿尾君のお気持は、今免許した、ただちにそれが短時間の間に、不的確性を暴露するというようなことのないようにしろという御注意だろうと思いまして、その点は十分注意いたさせるつもりであります。
  116. 滿尾君亮

    滿尾委員 大臣はまつたく私の申し上げることを逆にとつておられる。話はまつたく逆です。つまり目前の情勢から言えば、輸送力は余つている。だから新規のものは許可しないのだという判定が行われがちであるが、そうでなくて、この免許事業というものは、やつた以上かつてにはやめられない事業でありますから、目先の小さな経済上の波動に従つて、許したり許さなかつたりされては困る。もつと大きな気持で、ここ二月や三月ぐらいの様子では少し不景気のようだが、行く行くは必ず需要が起るだろうというような、大きな立場でお許しを願いたいということを申し上げているのです。大臣は私の質問をさかさまにとつておられる。
  117. 大屋晋三

    大屋国務大臣 抽象論でわからなかつたが、私の実現でもう全部を網羅しておるのでありまして、あなたはそういう気持でおつしやつている。私は何となしに総括論をやつただけのことで、御趣旨はよくわかりました。
  118. 稻田直道

    ○稻田委員長 残余の質疑は次回にこれを続行することにして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時七分散会