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1949-11-22 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十二日(火曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 米窪 滿亮君 理事 佐伯 宗義君    理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    高橋 定一君       土倉 宗明君    坪内 八郎君       滿尾 君亮君    松井 政古君       河木 敏夫君    清藤 唯七君       柄澤登志子君    山崎 岩男君       石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         (運輸大臣官房         長)         運輸事務官   荒木茂久二君         (大臣官房観光         部長)         運輸事務官   間嶋大治郎君         (海運局長)         運輸事務官   岡田 修一君         (鉄道監督局         長)         運輸事務官   足羽 則之君         (鉄道監督局国         有鉄道部長)         運輸事務官   石井 昭正君         (自動車局長)         運輸事務官   牛島 辰彌君  委員員外出席者         専  門  員 岩村  勝君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)     —————————————
  2. 稻田直道

    稻田委員長 これより運輸委員会を開きます。  それでは日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。昨日をもちまして本案に対する質疑を終局いたしましたので、これより本案に対する討論に入ります。討論通告があります。これを許します。米窪滿亮君。
  3. 米窪滿亮

    米窪委員 わが党はただいま議題となつている日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、数点の修正意見がございまして、それぞれ手続を経て目下関係筋OKを求めておりますが、いまだ先方において審議中で、OKが下つて参りません。しかし本委員会は本日討論に入るということを多数でおきめになつた以上、私はわが党の主張する修正意見を申し上げて、本改正法案に対して反対意見を申し上げたいと思います。  それは国有鉄道法の第十二條の一項の中に、商業金融業等産業別知識経験ある者を監理委員会委員として任命するとあつて、一番われわれが大切と思う労務に関して知識経験のある者ということをここで規定してございません。この点は従来の幾多の情勢並びに経験から見まして、ここに商業金融業その他そういつた産業別のいわゆる知識経験者を入れるならば、労務に関して知識経験のある者を入れるということは、これは常識的に見ても当然のことだ。しかるにこれを省いておる。われわれはこの点の修正を申し上げて、皆さんの御了解を得たいと思うのですが、事本日に至つてこれがOKがまた参つておらない関係でございます。  また第二十六條におきまして、国務大臣国会議員またに政府議員(人事院の指定する非常勤の者を除く)は、議員であることができないというこの條項は、その他の公共企業関係のあるところり従業員、たとえばタバコあるいは塩、しよう油等専売事業関係のある者については、この制限がないのにもかかわらず、この国有鉄道だけは制限をここに設けた。この理由について政府は、国有鉄道従業員は非常に重大なる責任があるからして、政治活動制限する。こう言つて、ひとしく公共企業体従業員であるにかかわらず、一方は制限を設けず、他方に制限を設ける。この差別を設けるという点について、政府説明が不十分であります。しかもこういう権利を剥奪しておるにかかわらず、給與の点については何らの差別を設けておらない。これでは能率から考えましても、従業員をして喜んでこの事業の発展をはからしめるだけの、何らの鼓舞激励にならない。また法律的に見ても非常な不公平である。この点をわれわれは修正をしたいと思つて手続をとつておるような次第であります。  それから新しく改正の三十九條並びに同じく四十條の各項におきまして、大蔵大臣権限が非常に強く押し出されております。いやしくも独立採算制であり、しかも公共企業体になつているこの日本国有鉄道公社につきまして、こういう大蔵大臣監督が非常に強く出ておるということは、決して民主的でない。従つてこれに対してわれわれは反対して、これも修正手続をとつております。  最後に新しく第四十四條の後文において、給與準則の点について、これは予算の範囲内においてという制限を加えられております。すでに公務員でなく、すなわち公共企業体になつておる。役所仕事でない。独立採算個である。こういつた国有鉄道公社予算が、依然として国家事業と同じ形態において給與がきめられるということについては、われわれはこれに承服することができないのであります。この四十四條の後段は削除するという修正意見をわれわれは考えておつて手続をとつております。  以上申し上げた三つの点については、われわれは本委員会修正意見成規手続を経て出すように今まで努力しましたが、いまだに関係筋から〇Kの手続が来ない。従つてやむを得ずわれわれはこの法律案全部に対して、反対意見を表明いたします。
  4. 稻田直道

    稻田委員長 次は關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 この法律案提案理由説明にもありましたことく、鉄道事業の高能率に役立つための会計法でありまして、またその自主性も認められることになつておりますし、ことにただいま米窪委員から十二條あるいは二十六條につきましての反対討論がありましたが、これは現在なお任期がみんな残つておりますので、その期間に十分検討をして、また考慮しても決しておそくにないのでありまして、私は本法案賛成の意を表するものであります。
  6. 稻田直道

  7. 柄澤登志子

    柄澤委員 日本共産党は大体において国有鉄道公共企業体に本質的に反対したものでございますが、この法案ができまして以来、みごとに私ども反対しましたその理由が、経営の上にも説明されているごとく、その独立採算制というものは、今日明らかに破綻を呈しておるりでございます。しかしながらこの破綻を、いかにも公共企業体がまだ完全に自主性を持つておらないというような理由をつけまして、この法案によつてそれを改正するという意図がここに現われているものと、私どもは考えられるのでございます。その観点から、かりにこの法案を考えましても、まだまだ会計検査院の検証を要するとか、大蔵大臣運輸大臣の協議を要するとか、完全に企業性を持つた公共企業体としての目的を達するには、この改正は不十分であり、さらにまだ今日の日本国有鉄道の財政の引継ぎその他も十分に行われておりませんのに、ここにもし間違いがあつた場合には、これが従業員に転嫁されるというような、実に無責任きわまるところの第四十八條のごとき規定もあるのでございまして、その点からもわれわれはこの法案賛成することができないのでございます。さらに国有鉄道公共企業体に移りましたときに、あの貧弱な予算と、それらが九万数千の大量の首切りを前にして、国有鉄道は、これはひとり従業員のその心構えいかんによるとか、その苦労によつてしのぐより以外に道がないということを強調しながら、従業員給與至つては、まつたくこれを予算のわく内と規定いたしまして、やむを得ざる場合に追加予算を組むことができるという條項を設けながら、その條項給與の場合には該当しないというなうな委員会における御答弁を聞きましては 私どもは絶対にいかなる見地からもこの法案には賛成することができぬ。簡單でございますが、公共企業体に対する根本的な反対討論は、前の国会にいたしてございますので、この両点をもちまして反対の要旨といたしたいと思います。
  8. 稻田直道

    稻田委員長 次に石野久男君。
  9. 石野久男

    石野委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、本法案に対しては反対意見を開陳するものであります。  日本国有鉄道法ができまするときに、私たちはそれに対しては根本的に反対いたしたのであります。その後公共企業体としての日本国有鉄道ができまして、ただいま三十六條から約五十一條までの改正法案がここに出たわけでございますが、この法案を貫くところの精神が、かりに私ども公共企業体へ移行しました国有鉄道のことは一歩を譲りまして、公共企業体立場から見ましても、この法案改正は、その公共企業体へ移行する根本の趣旨であつた独立採算制意味を抹消するものが、非常に多いということでございます。これは先ほど社会党及び共産党委員の方々の御意見にもありましたように、会計法を貫きまして、独算制を確立すべきこの法案の中において、特に国家行政機関と同じような形での運輸大臣または大蔵大臣等の——特に運輸大臣権限が強くそこに出されておるのでありまして、たとえば五十二條、五十四條のごとき監督、命令に関する職権、あるいは三十九條の予算に関する規定のごときは、ほとんど公共企業体としての性格をなくしてしまうというような実態を持つているものでございます。独算制実態は、特にこの四十一條利益金一般会計への繰入れ等を含めまして、ほとんど企業体の独自の操作経営というものができ得ないような実態になつております。收入の面、予算の面におきましても、非常に大きな制約を加えられているにかかわらず、ただいま柄澤さんの言われましたように、給與の面につきましては、特に四十四條の規定等におきまして非常に大きな制約を加えておりまして、ほとんど企業体内部におけるところの、いわゆる労働生産性から来る高能率経営というものをはばむかのごとき、断定的な規定がされているわけでございます。また第十二條監理委員会規定等につきましても、その運営が非常に非民主的でありまして、しかもそれが官僚的でありまして、ほとんど公共性実態を失うというふうにわれわれは考えるのでありまして、各点から見まして私どもは、かりに一歩を譲つて、この公共企業体立場からする法案といたしましても、その独算制の将来をはばむものである。いわんや私ども公共企業体としての日本国有鉄道法というものに対して反対した立場、そのいずれからしても、本法案に対しては反対意見を申し上げるものでございます。
  10. 稻田直道

    稻田委員長 これにて討倫は終局いたしました。  これより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 稻田直道

    稻田委員長 起立多数であります。よつて本案は原案通り可決いたしました。(拍手)  なおお諮りいたします。衆議院規則第八十六條による本案に対する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 稻田直道

    稻田委員長 御異議ないと認めさようとりはからいます。  これより道路運送法の一部を改正する法律案議題といたして質疑に入りますが、その前におきまして理事会を開きたいと思いますから、暫時休憩いたします。     午後二時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時五十五分開議
  13. 稻田直道

    稻田委員長 それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。  道路運送法の一部を改正する法案議題といたし、質疑に入ります。質疑通告があります。これを許します。關谷勝利君。
  14. 關谷勝利

    關谷委員 運輸省設置法審議にあたりまして、運輸委員会におきましては全会一致をもちまして、道路運送監理事務所、いわゆる陸運局分室と申しますか、これは地方委譲をしないということに決定をいたしておつたのであります。ところがこれが省令で行い得るという理由のもとに、去る本月一日からこれが地方委譲をせられておるのであります。その当時大臣といたしましても、この分室を廃止することには反対であられたということをよく承知しておるのであります。突如としてこのようになるのについては、いろいろその間に事情がおありであろうと存じまするので、一応その経過をお聞かせ願いたいと思います。
  15. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいま關谷君の御質問でありますが、この道路監理事務所を廃止して、分室を置くことを得ということにおきめを願つたのでありますが、そもそも道路監理事務所を廃止するという考え方のうちには、これを地方委譲するという議論が出て参りまして、当時運輸大臣地方委譲することを不可なりと信じまして、種々考慮折衡いたしました結果、各府県一つずつ当時ありました道路監理事務所を廃止して、地方委譲するかわりに、道路監理事務所かわり陸運局分室を置くことを得ということで、しかもその分室を置くことを得というところまでにこぎつけましたまでには、分室を各地に置くということでなしに、十六、七箇所置く。従いまして従来は道路監理事務所として都道府県一つずつありましたのが、分室制度になりまして、しかもそれが十七箇所というようなことに相なりますと、従いましてたとえば三つの県が一つのある地点の分室において、その事務が取扱われるというようなことに相なるわけでありました。ともかくそういう線で前国会協賛を得たのでありますが、その後運輸大臣におきまして、事務のやり方を種々考慮いたしました結果、分室という形で十七箇所の分室を設置するということよりも、むしろ各都道府県一つずつこれを扱う役所がある方が、仕事運営して参ります上に、より便利であるという信念に到達いたしました。同時に地方委譲するという声も非常に強くありました。結局分室十七を置きますかわりに、この仕事を各都道府県に委任いたしまして、各府県の知事の直属のところにこれを扱う新たなる課というようなものを設けろということに、運輸大臣信念を変更いたしまして、その結果、去る幾日だつたか、この仕事が六つございますが、そのうちの一つの、道路運送に關為る指定生産資材、新車及びガソリン、タイヤ、チユーブの割当配給、及びこれらのための運送上の調査は、これは省令をもつて地方委譲をいたしました。さらに自動車検査道路整備事業等監督、貨物軽車輛運送事業監督、これらは十月二十八日政令をもつて地方委譲いたし、今また自動車運送事業監督自家用自動車の使用の監督を、今回提出いたしました法律によりまして、その内容を地方委譲せんといたすに至つた次第でございます。
  16. 關谷勝利

    關谷委員 いろいろ分室の数というような点において、各方面から意見がありまして、各県へ置かなければならないというふうな意見から、さような信念変化が来たというような大臣の御答弁、あるいはむりからぬと思います。これが省令をもつて行い得るというようなことになつておりますが、その場合といえども法律改正を必要とするので、このような御提案になつておるのでありますが、議会において法律改正し、その後において省令を出すのが、順序であり、至当であると私は考えるのであります。今回の措置が、何がゆえにこのように急いでやらなければならなかつたか。今のような事情大臣が誠意をもつ披露した場合に、おそらく各県に設置せられざる点については、ほとんどがそれに同意するのではないか、こういうふうに思われるので、今回の措置法律改正後にその理由を述べてすることが、当を得たものではなかつたか、こう考えるのであります。大臣はこれに対してどういうふうに考えておられるか。  なお、この法案委員会並びに本会議において否決せられた場合に、省令効力がどういうふうになるか。またいかなる不便な事態が起つて来るか。そうしてもしそういうふうなことがあつた場合には、大臣にいかなる処置をとられようとするのか、この点をお尋ねいたしたい。
  17. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸大臣におきましても、この省令はともかくといたしまして、政令の分は議会が開会をいたしまして、今回提案いたしました法律とともに審議を願いまして、手続をするということも考えましたが、結局ただいま申し上げました三点の仕事は、政令によつて公布いたすことにいたした次第であります。この可否につきましては、しばしば研究をいたしましたが、その結果、政令でとりあえずこの仕事地方委譲することにいたした次第であります。
  18. 關谷勝利

    關谷委員 この法案委員会並びに本会議で否決した場合の効力がどういうふうになつて来るか。またどういうふうな不便が起つて来るか。
  19. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいま提案中の法案が否決されますと、道路運送に関する行政事項が、一部分地方委譲されて行わしれ、一部分陸運局に残るということになりまして、道路運送行政の上から参りまして、非常に不便がそこに生ずると考えております。
  20. 關谷勝利

    關谷委員 分室地方委譲するということを前提としまして、分室が設けられたと申しますか、道路運送監理事務所があつた当時からの委任事務のうちに、この地方委譲に先だつ、分室権限というものは非常に縮小している。そうして今まで分室でやらせておつたものを陸運局でやるようにした、こういう事実をよく聞いておるのであります。こういうことを考えると、地方委譲をするということは不合理である。また運輸省自体にも非常に不便が起つて来るということを承知しておられたのでにないか。そのときからすでに、この地方委譲をするということに対しては、運輸省自体内部的にも非常に反対であるというふうに受取れるのでありますが、この点ひとつ詳細なる事情をお知らせ願いたいと思います。
  21. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸大臣も当初は、全面的にこれを地方委譲することを好まなかつたのでありますが、種々研究いたしました末に、全部かような方式によつて委譲せざるを得ないという信念にかわつてつた次第であります。
  22. 關谷勝利

    關谷委員 この分室議員中、大体四、正名程度の者は陸運局へ残して、一部の者は地方委譲するのだということを聞いておりますが、こういうことになりますと、行政整理というふうなことで、出先を廃止し、あるいは地方委譲する、こういう趣旨に反すると思います。もしこれを地方委譲するというなら、その職員ことごとくを地方庁の方へ委譲すると申しますか、引渡す、こういう方法をとるのが至当であると考えますが、この実情と理由をお尋ねいたしたいと思います。
  23. 牛島辰彌

    牛島政府委員 今回第一次といたしまして、新たにできました地方庁陸運事務所に転出いたしました人員は、一千八十四人であります。この法律改正いたしまして、実際の行政許認可等事務地方庁委譲になりますと、さらに七百五、六十人の人が委譲になる、こういうことになつております。分室のきわめてわずかな事務的な仕事は、陸運局ができました当時におきまして、道監から分室に移るときにかわつておりますけれども、原則といたしましては、事務を移動させておりません。そのまま地方庁委譲をいたしております。ただ実際問題としまして、定員の面におきまして若干保留してあるものがございますので、そういうのは陸運局に残しているという点がございます。
  24. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、妙なことになると思う。陸運局がやる場合には相当の人がいるが、地方庁へ移譲すると人間が少くてやれる。こういうことに今の答弁を聞くとなるのであります。陸運局で一元的にやつている方がむしろ能率的でやつてつたのかと申しますと、それを委譲した方が簡便に、人間が少くてやれる、以前の道監なり分室の方が人員がよけいにいる。こういうふうに承知していいのでありますか。
  25. 大屋晋三

    大屋国務大臣 御承知のように陸運局の所在地におきましては、分室というものを置いておりませんでした。従つてそれは陸運局が直接にその事務をとつております。今回委譲いたす場合には、九箇所の陸運事務所を新たに設置する、こういう事態が起つて参りました。しかもその九箇所は業務量の非常に多いところであります。その意味合いからしまして、各分室における定員上の一部操作を行つたわけであります。
  26. 關谷勝利

    關谷委員 結局私たちの最もお尋ねいたしたいことは、この分室地方委譲によつて陸運行政の完全なる運営ができるかどうか。これに対して大臣がこれらは完全に行い得るという信念があるのかどうか。これをお尋ねいたしたいと思います。
  27. 大屋晋三

    大屋国務大臣 十分にやつて行けると考えております。
  28. 關谷勝利

    關谷委員 それでは一応質問を打切ります。
  29. 稻田直道

    稻田委員長 次は米窪君。
  30. 米窪滿亮

    米窪委員 九月十二日の本委員会におきまして、満期一致決議案が通つたことは、關谷委員の言われている通りであります。その際、民主自由党高橋委員の朗読された全文を読みます。「陸運局分室都道府県に設置するということは第五国会決定事項である。しかるに閉会中閣議決定事項として、これに反対都道府県への委譲を実現せんとすることは、国会決定を無視するものと認めるから、政令等により処理せられんとする計画はこれを中止せられ、本問題の最後的処理を次の国会まで保留せられんことを要望する」これが快議案全文であります。しかもこの決議案を採択する場合において稻田委員長から、本委員会政府当局に注意を喚起するという意味においての快議案と了承してよろしいか、こういう発言がありまして、それに対して私から、そういう條件をつける必要はない。決議案意味をそのままの意味としてひとつ御採択を願いたいということを申し上げまして、稻田委員長はその通り決議案政府提出した次第であります。ところが先ほど關谷委員の御質問に対して運輸大臣は、その後心境変化があつたとか、自分の信念変化がある。こういうことを言われていらつしやる。ところがこの政令が出されたのは日付に十一月の一日になつておるが、事実は十月の初めごろ、それぞれ内示を各関係者に出したということを私は確かめております。そうすると九月の十二日にこういう決議案通つて運輸大臣賛成であると言われて、しかもそれからわずか一箇月たつかたたないうちに、すでに委譲をするという前提としての政令を出している。わずか一箇月の間に大臣その他運輸当局が、このような百八十度の回転をしておるということについては、どういう信念変化であるか。また百八十度の変化を見なければならないという、その当時において運輸大臣は、これらの変化をする客観的條件が起つて来るという見通しがなかつたのであるか。これらの点は、私は決して運輸大臣をいじめるつもりで申し上げているのではない。国会の権威を尊重する意味において申し上げているのである。この点をもつとはつきりお聞きしたいと思います。
  31. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸大臣信念変化を来しました重大なる理由は、御協賛を願い、かつ御決議趣旨十分研究、尊重いたしたのでありますが、何分に、よく再検討をいたして見ますると、十七箇所くらいの分室を置いて処理するという事柄よりも、むしろ各府県一つずつ置く。たといその形が地方委譲の形になつても、その方がはるかに関係業者に対して便利であるという重大なる点に翻意いたしまして、さように心境変化をいたした次第でございます。
  32. 米窪滿亮

    米窪委員 大臣心境変化ですか、信念変化は、今伺つたのですが、それでにそりときに十七でなく、各都道府県に置きたいと思われたのに、それが通らなかつたから、委譲の決意をされたというが、この決議案が通つたときに、何らわれわれにお話がなくて一箇月たつかたたないうちに、そういうぐあいに念変化されたということについては、私は運輸大臣という重要な職責に対してはなはだ遺憾の意を表しますが、さらになおそういう見通しが、そのときにつかなかつたかどうかということをお聞きしたい。
  33. 大屋晋三

    大屋国務大臣 米窪君のただいまの御質問でありますが、それはしばしば前国会においてこの問題を審議いたしました際に、分室制度を存置して地方委譲を必要といたしました点に私は賛成をいたしまして、各委員もその線に沿うて御審議願つたのでありますが、その当時は十七くらい以上は置けない情勢にあることはしばしば繰返して申し上げ、皆さん方のお耳に達しておるはずでございます。私が自然十七の箇所における仕事は、所詮各都道府県に全部置きます府県委譲に及ばないという信念に達したことについて、なぜ相談しなかつたかということに、しばしばあなた方委員諸君のお耳に入れておきましたことで、これはもう大多数の方がそれを御了承のことというふうに私は確信いたしております。
  34. 米窪滿亮

    米窪委員 大臣信念変化という陰には、われわれいろいろ想像できる情勢があるのでございます。従つて非常にお気の毒な立場に立つておることはよくわかる。しかし運輸委員会としてに、国民を代表しておるわれわれと大臣との表向きの場所ですから、さらに私は承りたいことがある。それに何であるかというと、この委譲反対という業者の声、その他関係者の声は、災に全国からわれわれの机の上に山のごとくに陳情書となつて来ておる。もしこれを打切つて政令を出すなり、あるいは法律案改正して委譲するということになつたならば、民自党が平素から言われておるところの、民意を尊重しないということが、ここに事実になつて現われると私が申し上げたときに、稻田委員長は、君の言うことははなはだ不妥当であるから、お取消し願いたい。今後はそういうことを言われないようにと言われたのですが、ここに明らかに民意を尊重しないという実が上つておる。委員会決議でさえも、わずか一箇月の間にくつがえされるということは、民自党の各委員も不満であり、遺憾と思つておられると思うのですが、こういうぐあいに大臣の属しておられる同じ党の委員を含めて、運輸委員会の全員が委譲反対の堂々たる決議をしておるのに、わずか一箇月の間にくつがえされるようであるならば、この内閣並びにこの運輸委員会を否めた国会の権威が全体どこにあるか。私はこの点について運輸大臣がどういう責任を感じておられるか伺いたい。
  35. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸委員会決議趣旨は十分尊重いたしました。しかしながら運輸大臣のとりました措置運輸大臣権限においていたしたのでありまして、少しも国会委員会の諸君の精神を冒涜しておるものではないと確信いたしております。
  36. 米窪滿亮

    米窪委員 そうすると大臣は、九月十二日においてはそういう委譲反対の御決意をわれわれに披露されながら、わずか一箇月の間にそれを百八十度転回したような意見にかわられるという、見通しがつかなかつたということを、お認めになるかどうかということをお聞きしたい。
  37. 大屋晋三

    大屋国務大臣 先ほど来申し上げました通り、当時は委員会の諸君とまつたく同じ考えでおりましたが、その後冒頭に申し上げました理由を考えまして、その間に運輸大臣は全然前の考えを翻す信念に到着したわけであります。
  38. 米窪滿亮

    米窪委員 これ以上大臣と責任問題の応酬をとりかわしても、大臣信念変化の一本やりで押し通しますから、何べん尋ねても同じことで、それ以上に出ない。ただここでお尋ねしたい点は、すでに継続審議が行われておる国会において、その継続審議中の運輸委員会に諮らずに、その委譲の中の一部を改令でもつて、十一月一日から、先ほどを申し上げた九月十二日の決議案に相反するような、権限の一部を都道府県知事に委任するの政令を出された。その理由をお尋ねいたします。
  39. 大屋晋三

    大屋国務大臣 これは国会が開かれたときに、これもあわせて御審議を願つてもよかつたのでありますが、なるべく政令で合法的に処理できますものは、一日もすみやかに委譲して、その措置をした方がよかろうという考えのもとに、実にやつた次第であります。
  40. 米窪滿亮

    米窪委員 継続審議がない場合には、ただいまの大臣の御説明はわれわれは一応は同意できると思う。しかし継続審議が行われているようなときで、運輸委員長をして委員を招集せしめることもできるし、またすでに休会中においても運輸委員会は継継的に開かれたにもかかわらず、法律案改正を出さずして、政令を出して、一部都道府県委譲したということについて、それほどの緊急なことを認めたのかというその理由と、そしてなしくずしに政令で一部を委譲し、どうしても法律にまたなければ委譲できないものを、本日ここへ改正法律案として出した。その幾つかに区切つた真意をお尋ねします。
  41. 大屋晋三

    大屋国務大臣 当時これを一括してやつた方がよかろうという議論もありました。しかしながらよく考えてみますと、やはり小口から早く委譲して、業務を地方にやらせるということがよかろうという意見もございました。運輸大臣といたしまして、いろいろ両者を比較検討いたしました結果、とりあえず政令で行けますものは政令でやつた方がよかろうということで、実はやつた次第であります。
  42. 米窪滿亮

    米窪委員 これは先ほど申し上げた通り、繰返して申しませんが、明らかに民意を尊重しない政令の公布であり、かつ改正法律案の上積であります。主権在民の今日において、こういつたことをおとりになるという非常的な措置に対しては、私は運輸大臣に対して、運輸大臣は明らかに民意を尊重しない政令を出し、あるいは法律案改正するものと、国民全般は認めると思うのですが、運輸大臣はこれに対して道義的な責任をお感じになるかどうか。
  43. 大屋晋三

    大屋国務大臣 これはやはり業務の便不便という、実際の面に重点を置いてやつたことでありまして、しかも事柄自体は、法律的に政令で、内閣の立法行為で一向さしつかえない法律上の根拠がございますので、私は国民に対して何らやましいとは考えておりません。
  44. 米窪滿亮

    米窪委員 しかりとすれば、運輸大臣はわれわれ全会一致による運輸委員会決議を、今回の法律改正並びに先般の政令の公布によつて、無視するお考えであるか。無視したとわれわれ認めてよろしいか。この点をはつきりとお伺いいたします。
  45. 大屋晋三

    大屋国務大臣 運輸委員会のお考えを決議文によつて十分尊重したのでありますが、当該の責任者であります運輸大臣は、現在進行いたしましたかような事柄、並びに今回提出しました法案の行き方の方が、はるかに業務の実態に対してベターであるという信念をもちまして、運輸大臣は少しもこれでやましくない。不合法でないと考えております。このあとの二点は、これは国会議員権限でございますから、十分に御審議を願つてしかるべきであると考えております。
  46. 米窪滿亮

    米窪委員 大臣のただいまのお言葉は、奇怪しごくであります。私に言わせれば言語道断で、いやしくも民意を尊重し、国会を尊重するというならば、委員会で一ぺん決定し、委員会決議が通つたのに対して、何らわれわれに御相談がなく、すなわち運輸委員会へ諮る前に、あるいは政令で出される前に、少くともわれわれに懇談的の措置をおとりになる必要があるが、こういう公式な席上で突如として法律案改正で出し、さらに十一月一日から政令で出された。こういうことは運輸大臣のお気持はどうであろうと、結果から見て、明らかに民意を無視し、院議を無視し、委員会の快議を無視したというぐあいにわれわれは了解する。この点重ねて運輸大臣のお気持を伺います。
  47. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの御発言はごもつともな点もありますので、そういう点に気はついておりましたが、実は休会中でありましたので、何分委員の諸君をこの休会中にお集まり願うというようなことも、たいへん煩雑で御迷惑なことでもあろう。しかもこれは運輸大臣権限において、政府権限において、合法的措置であるという点にかんがみまして、今日から考えれば、米窪委員のおつしやる通りにやつておけばよかつたとは思つておりますが、立法的には何ら過失にないと考えております。
  48. 米窪滿亮

    米窪委員 これ以上運輸大臣の責任を追究はしませんが、この際委員長の御決心をお伺いいたします。  運輸委員を代表するのは運輸委員長です。運輸委員長委員会決議を尊重されるか。大臣の心事の変化をよしとするか。この際運輸委員長のこれに対するお考えを承つておきたいと思います。
  49. 稻田直道

    稻田委員長 米窪君の御意見にお答えする前に、大屋運輸大臣に一言お尋ねしておきますが、政府にこの「置くことを得」ということの解釈を、いかように解釈されたものであるか。置くことを得というのだから、置かなくてもいいというような御意見で押しつけられたものであるか。運輸委員会政府のとられた措置はよろしくないという決議に対して、——よろしくないことをやられたということについて、あやまちがない。すなわち違法でないという御意見であるかどうかということを承つてみたいと思います。
  50. 大屋晋三

    大屋国務大臣 「分室はこれを置くことを得」と書いてありますので、ただいまるる申し上げました理由によりまして、置くことを得でありますから、これを置かざるもまた違法にあらずと解釈いたしました。
  51. 稻田直道

    稻田委員長 ただいま大屋君の政府の方の御意見は、置くことを得であるから、置かないでもよろしいという法律解釈であつて委員会意見国会無視であると言われるけれども政府では別に無視したわけではない。置かないでも済むという、政府のまた別の解釈でやつたのであるということでありますならば、政府意見が正しいか、この委員会意見が正しいかということは、委員長としてもちよつと解しかねますが、その当時委員会といたしましては、第五国会における審議過程を顧みますと、ガソリンなりタイヤなりというものは輸入品でありまして、現在におきましては、はなはだその量が少くて困つているものを、府県委譲いたしまして、これを統制配給して行つた方がよろしいか。運輸省においてこれを統制し、配給した方がよろしいかという考えから申しますと、やはり運輸省の方でこれを統制し、配給した方が当分はよろしいという委員会なり、国会なりの意見でありまして、それで数をきめることが率直にできなかつたために、数は後日政府においてきめて、それを一番早い国会に、こういう程度に数をきめたという報告をすればよろしいというような意味におきまして、置くことを得ということに法文がきまつたと私は考えておりましたので、ああした決議をこの委員会においてするのがいいと思つてしたのでありまするが、政府の方においての解釈は、今も大臣の言われた通りに「得」だからして、あるいは得なくてもよろしいという解釈でやつたというのでありまするからして、私は米窪君のお話のように、この委員会決定というものは当時正しかつた。現在もその方がいいと思いまするけれども政府においてそうでなくてもよろしいという解釈でありまするならば、これはいかんともいたしかねるのでありまして、その処置につきましては、いずれこの法案決定になりますまでに、委員長は各員にお諮りいたしまして、その措置を講じたいと思つております。
  52. 米窪滿亮

    米窪委員 委員長の今のお言葉で、委員長に対する点は十分納得いたしました。ただ私の質問を打切る前に、大臣答弁に対してにはなはだしく不満足であります。私はそういうわずか一箇月くらいの間で、その心境が百八十度も転換するような大臣に対しては、私は今後大臣の弁明というものに対しては信頼を置くことができないということを申し上げて、私の質問を打切ります。
  53. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は最初に事務的なことをひとつお伺いいたします。今回の法律改正案が出まして、今度委譲せられるであろうと予想せられます事務は、これは国家事務でありまするか、地方事務でありまするか。法律的性格はどういうふうの御見解をおとりになつておるか。はつきり御答弁いただきたいと思います。
  54. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 これは依然として国家事務でございまして、国家事務を俗に申します地方委譲するということでございますが、條文にもありますところによつて明らかな通り、これに国家事務を公共団体自体に委譲するのではありませんで、公共団体の長であるところの知事に委任する。こういういわゆる機関委任でありまして、自治体委任ではございません。従つてこの事務の性質は、依然として国家事務たる性質を持つておるわけであります。しかしてこの国家事務と考えて措置をいたしておるわけでございますけれども、御承知のようにシヤウプ勧告によりまして、今後地方事務国家事務の部分を明瞭ならしめて、それに応じて財政上の問題を正すという意味におきまして、本国会提出になつておるはずでございますが、地方行政制度調査委員会におきまして十分に論議され、一年ないし一年半内にその点がはつきりと将来の問題としてきまると思いますが、現在におきましては政府といたしましては、この事務は依然として国家事務である。かように考えております。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕
  55. 滿尾君亮

    滿尾委員 事柄の性格におきまして、明確に国家事務であるというふうの御答弁でございまするが、何ゆえ国家事務を知事に委譲いたしますことが、事務能率を高めるというふうに御判断になつておるのか。実態について御説明を願いたい。
  56. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいま官房長より説明いたしました通り、これらの陸運事務国家事務でございますが、陸運行政から申しますと、末端の行政になつておりまして、その資材の配給にいたしましても、現実に需要者に配給するという事務になつております。これを国家機構において、運輸省の一元的の機構の中において配給いたす方法がよいか。あるいは地方庁の機構の中に入つてこれをやる方がいいかということが、根本の問題でございまして、実際問題としまして、他の別の面から地方自治の観念からいたしまして強い要求もありまして、その間の調整をはかつて地方庁の中において、しかも国家の公務員たる地方事務官、地方技官の性格において、実際事務をやつて参りますれば、陸運行政並びに一般行政と調整がはかれて、地方実態に即して、かえつて能率が上るだろう。こういう見解のもとに実施いたした次第であります。
  57. 滿尾君亮

    滿尾委員 かえつて能率が上るかどうかということは、これは相当見解がわかれるとことでありまして、大臣能率が上るとお考えになつてやることになつた。私どもは事柄の理念の明確さにおいて、陸運行政の一貫という点から見て、おそらく能率は上らぬという、逆な見方をしておるのであります。私はあらためて大臣にお伺いいたしまするが、この問題の本質は、大臣提案理由説明にございます通り地方自治強化の見地からということになつております。一体運輸大臣地方自治を強化するために、今回御提案になりましたような、あるいは政令で先般御改正になりましたような、陸運行政の一部を地方庁委譲しなければ、地方自治は強化されないと見ておられるのであるかどうか。おそらくは地方自治を強化する方法はたくさんある。そのうちのきわめて一つの部分にしかすぎないと思う。しかるに一方陸運行政の一貫性という見地から見ますると、運輸大臣は御自分で主管しておられる事務に即して考えますと、今回の措置は非常に大きな打撃を受ける。両方の利益を考量して見ますときに、私は今度の措置運輸大臣が、自分で自分の陸運行政に自殺的行為をしておられるようにお見受するのでありますが、この両者間の価値考量、利益考量の問題について、大臣の所見を伺いたい。
  58. 大屋晋三

    大屋国務大臣 これはやはり前には地方で扱つてつたこともありますので、現段階におきましては、やはり地方庁にこれを扱わしめた方が、より実際的に行ける面もあろうという点を考慮いたしまして、賛否両論いろいろございましたが、結局かような結論になりました方が、より効果的であるという点でいたしました次第でございます。
  59. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでに次になぜ、今回のように委譲せられるにいたしましても、分割的な委譲をせられるか。先ほどのお話を伺いますと、小口に委譲せられた方がよかろうと考よたのだ、こういうお話がありましたが、実際実務の点から見れば、一月、二月の区切りをつけて、業務の半分が先に行く。あとから法律改正して、もとの部分が迫つかけて行くことは、事務の混淆を来しまして、明らかに能率は低下すると思う。こういうやり方をもつて能率が上るとおつしやるのに、むしろ議弁のように聞えるのであります。私は道路運送法そのものにつきましても、実は今日の客観情勢から見まして、いろいろの同時を含んでおるように思う。運輸大臣は近き将来において、道路運送法の一般的な御改正をせられる意図があるかどうか。お伺いいたします。
  60. 大屋晋三

    大屋国務大臣 これを小口に分割せずに、一括してやつた方がいいじやないかという御意見でございますが、ただいまも申し上げました通り、やはり小口に、できるものに分割して、地方委譲をした方がよかろうという見解でやりましたので、もし見解が違えば、それはほんとうに見解の相違であろうと思います。なお後段の道路運送法改正の意図はないかということでございまするが、改正する意図を待つております。次の通常国会にその改正法案提出いたそうと考えております。
  61. 滿尾君亮

    滿尾委員 道路運送一般について改正の用意があるという御言明でありますが、まことにけつこうなことでありますけれども道路運送法改正の他の要点と、今回あわててこれだけの改正をおやりになるということの、ばランスの問題であります。今回の改正は他のいかなる改正に先んじてかようなあわただしい、きわめて緊急な形態をもつて提案しなければならぬとお考えになつたのでありましようか。御見解を承りたい。
  62. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまも申し上げました通り、限られた数の分室を置くよりも、やはり全面的に各都道府県仕事ができた方がよろしいという考えで、政令でまかなえるもの、あるいは省令でまかなえるものに、法律に先んじて措置をいたした次第であります。
  63. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでは次の質問に移ります。私は今度のようなやり方だと損だと思うのでありますが、見解の相違だとおつしやられればいたし方がありません。今回お取運びになりましたプロセスにつきましては、当運輸委員会としては遺憾の意を表せざるを得ない気持がいたすのであります。ことに常任委員会という性格を運輸大臣はどういうふうにお考えになつておりますか休会中といえどもわれわれは会議を聞きますのにやぶさかではないのでありますから、この点常任委員会である運輸委員会の性格について、大臣にお見落しがあつたのじやないかと考える次第であります。私はさらに根本の問題について大臣の御所見を伺いたいのは、今回のいろいろなプロセスを考えてみますと、大臣心境変化信念変化という一語で説明しておられますけれども、ひそかにそのプロセスを貫いてわれわれが感得いたしますところのものは、どうも大臣は御自分の主管業務に対する信念が少し足りない。足りないと言つてははなはだ失礼であるが、動揺しておるように見える。これが私は当運輸委員会の一員といたしまして、残念に思うのであります。いやしくも国務大臣としてお立ちになります以上、そう簡単に短時日のうちにすぐひつくり返るような御信念では、われわれは信頼感を置きます上において、非常に心もとなく感ずる次第であります。私は先ほどの御説明の中で、十七箇所の分室を置くお考えであつたのが、全国に置いた方がよいというように御信念がかわられたように伺いましたが、最初の十七箇所がすでにおかしいと思う。一体だれが十七箇所ときめたのか。運輸大臣がきめたのか。あるいはほかの人がきめて運輸大臣に押しつけたのか。私にはそんなこととは思われない。なぜならば運輸大臣は運輸行政を握つておられますから、分室を幾つ置くかを、運輸大臣以外の人がきめるはずがない。少くとも閣議でとんだお話が出ようとも、運輸大臣に主管大臣たる立場において、運輸大臣の分野のことについて、数などについて制肘を受けられるはずがないと考える。従つて最初の十七箇所ということについて、すでに疑念を抱かせるように思う。内閣には統一性がなければならぬが、閣議において御相談になるときに、主管大臣として主管業務に関する限り、運輸大臣としての自主性をお持ちになり、おれの畑のことについては、おれの意見を閣議は尊重してくれとおつしやるべきであろう。またそうおつしやつているに違いないと思う。しかるに十七から全部へという考えの移りかわりは、どうも私どものふに落ちないことだ。今回のことはこれで片づいたといたしましても、今後において運輸大臣に主管業務に対する自主性をはつきり握つて、こういう疑念を生ぜしめないよう希望する。これは運輸行政のために実に残念に思うので、運輸大臣の所見を伺います。
  64. 大屋晋三

    大屋国務大臣 いろいろの御意見がございましたが、いろいろの経過をたどつてそのことがきまりました。その結果に対しては、運輸行政に関する限り運輸大臣が責任をもつてこれをやるのでありまして、その結論に到達いたすまでには、いろいろな見解をもつて運輸大臣が、あるいは孤軍奮闘する場合もしばしばあるわけでございます。     〔大澤委員長代理退席、委員長着席〕 そのことは練達な滿尾君においては、御洞察が願えると思うのであります。要するに運輸大臣信念変化が、諸君の御議論の焦点となりましたことについては、まことに運輸大臣として遺憾に存ずる次第でありますが、何分にもよろしくお願いいたします。
  65. 稻田直道

    稻田委員長 残余の質疑は次会にこれを延期することといたし、本日にこれをもつて散会いたします。     午後三時四十五分散会