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1949-11-18 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 松本 一郎君    理事 米窪 滿亮君 理事 大西 禎夫君    理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    黒澤富次郎君       高橋 定一君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       松井 政吉君    柄澤登志子君       石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         (運輸大臣官房         長)         運輸事務官   荒木茂久二君         (大臣官房観光         部長)         運輸事務官   間嶋大治郎君         (鉄道監督局         長)         運輸事務官   足羽 則之君  委員外出席者         観光事業振興方         策樹立特別委員         長       栗山長次郎君         運輸事務官   紙田千鶴雄君         会計検査院事務         官       綿貫 龍一君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十一月十七日  猪谷から船津上宝を経て松本に至る間に鉄道敷  設の請願岡村利右衞門紹介)(第四三六  号)  大牟田、島原間航路就航許可に関する請願(  前田郁紹介)(第四三八号)  高山線電化請願岡村利右衞門紹介)(第  四四三号)  相生、西大寺両駅間に鉄道敷設促進請願(若  林義孝君外七名紹介)(第四四六号)  五日市線拂下反対の請願(佐々木更三君外三名  紹介)(第四四八号)  草軽電気鉄道株式会線路縮小反対に関する請願  (黒澤富次郎君外一名紹介)(第四五二号)  上野、宇都宮間及び両毛線電化促進請願(大  澤嘉平治君外一名紹介)(第四五三号)  鉄道用炭海上輸送施設請願橘直治君紹  介)(第四五四号)  同(池田正之輔君外三名紹介)(第八一九号)  陸運局分室地方庁移讓反対に関する請願(稻  葉修紹介)(第四五六号)  同(渡邊良夫紹介)(第五三六号)  同(林百郎君外二名紹介)(第六一四号)  同(上村進君外二名紹介)(第六一五号)  同(田中堯平君外一名紹介)(第六一六号)  同(小林信一紹介)(第六一七号)  同外三十五件(今村忠助君外五名紹介)(第六  九〇号)  同(山本利壽紹介)(第六九一号)  同外二件(保利茂紹介)(第七一七号)  同(黒田寿男君外五名紹介)(第七二二号)  同(高橋定一紹介)(第七三〇号)  同(松木弘紹介)(第七九六号)  同(高倉定助君外一名紹介)(第七九七号)  同(小淵光平紹介)(第七九八号)  同(風間啓吉紹介)(第七九九号)  同外一件(篠田弘作紹介)(第八七八号)  同(木村榮君外二名紹介)(第八七九号)  同(林好次紹介)(第八八〇号)  千代駅昇格請願今村忠助紹介)(第四六  一号)  奈半利港築の請願大西正男君外一名紹介)(  第四六七号)  今市、田島間鉄道敷設促進請願大澤嘉平治  君外一名紹介)(第四七五号)  げたを貨物運賃値上げから除外の請願神田博  君紹介)(第四七九号)  同(船越弘君外二名紹介)(第五九三号)  同(柄澤登志子君外一名紹介)(第七五五号)  同(砂間一良君外二名紹介)(第七五六号)  観光事業振興対策に関する請願岡村利右衞門  君紹介)(第五二三号)  竹田、日の影両駅間に鉄道敷設請願(羽田野  次郎君外五名紹介)(第五三二号)  下松港修築の請願佐藤榮作君外五名紹介)(  第五三四号)  野岩羽鉄道全通促進請願大和田義榮君紹  介)(第五五七号)  要田駅の正式営業開始請願大和田義榮君紹  介)(第五五九号)  岐阜駅前と加納町を直結する地下道開設請願  (大野伴睦紹介)(第五八一号)  岐阜駅改築促進請願大野伴睦紹介)(第  五八二号)  鳴門、明石間の省営連絡航路開設並びに鳴門、  讃岐相生間に鉄道敷設請願生田和平君紹  介)(第五八六号)  千里丘駅に貨物取扱開始請願田中萬逸君紹  介)(第五八七号)  吹田駅北出口地下道開設工事促進請願田中  萬逸紹介)(第五八八号)  只見線全通促進請願外一件(圓谷光衞君外八名  紹介)(第五九三号)  札幌、小樽間電化請願苫米地英俊君外一名  紹介)(第五九六号)  尾札部港拡張工事施行請願田中元紹介)  (第六〇七号)  釧美線敷設促進請願松田鐵藏紹介)(第  六二六号)  隼人、大泊間鉄道敷設等に関する請願岩川與  助君紹介)(第六三〇号)  八尾駅、堺港間に臨港鉄道敷設請願小西寅  松君外二名紹介)(第六三八号)  陸中黒崎燈台設置請願鈴木善幸紹介)  (第六四八号)  平野駅のホーム拡張請願高橋英吉紹介)  (第六七八号)  道南海運株式会社航路補助金交付請願(冨  永格五郎紹介)(第七〇一号)  姫路市に鉄道局設置請願井之口政雄君外五  名紹介)(第七〇七号)  一戸、沼宮内間鉄道路線変更に関する請願(山  本猛夫君紹介)(第七一一号)  石灰の鉄道運賃に関する請願阿左美廣治君紹  介)(第七五四号)  可美村に国鉄操車場設置反対請願中村幸八  君紹介)(第七六一号)  日本通運株式会社港湾運送業進出反対請願  (前田郁紹介)(第七六二号)  上有生駅を一般駅に昇格請願小澤佐重喜君  外三名紹介)(第八〇九号)  探浦港に防波堤築設の請願山崎岩男紹介)  (第八二三号)  長崎佐世保間に西彼杵半島経由鉄道敷設請願  (岡西明貞紹介)(第八四一号)  瀬戸、明知間国営自動車運輸開始請願(三宅  則義紹介)(第八四四号)  国営長崎自動車拂下反対の請願岡西明貞君  紹介)(第八六二号)  湧別駅改築請願林好次紹介)(第八八九  号)  鶴岡、落合間に電車線敷設請願池田正之輔  君紹介)(第八九五号)  山口線電化に関する請願佐藤榮作君外二名紹  介)(第九〇一号)  室蘭を中心とする内地定期航路設定請願(篠  田弘作紹介)(第九一〇号)  室蘭港のふ頭倉庫増設請願篠田弘作君紹  介)(第九一一号)  室蘭ふ頭工事促進請願篠田弘作紹介)  (第九一二号)  室蘭港に漁船及び機帆船けい留施設築設の請願  (篠田弘作紹介)(第九一三号)  日振トンネル工事継続請願篠田弘作君紹  介)(第九一四号)  の審査を本委員会付託された。 同日  魚類容器返還運賃現行すえ置に関する陳情書外  二件  (  第一八一号)  県営バス長崎市内線延長免許陳情書  (第一八三号)  秋田市に鉄道局設置陳情書外三件  (第一八四  号)  陸運局分室地方庁移跡反対等に関する陳情書  (第一八八  号)  国有鉄道用石炭陸上輸送切替反対に関する陳  情書(第二〇三  号)  長野市に鉄道局設置陳情書  (第二〇五号)  山田線平津戸茂市間復旧工事施行陳情書  (第二〇九  号)  貨物運賃値反対陳情書  (第二二八号)  を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二一号)  国際観光ホテル整備法案に関する件     ―――――――――――――
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより運輸委員会を開きます。  稻田委員長が少々遅れておいでになりますので、それまで私がかわつて委員長の職を行います。  議事に入ります前に御報告申し上げます。昨日本委員会付託に相なりました請願は七十一件、送付になりました陳情書は八件であります。なお去る十一月十日に付託になりました請願は十七件と申し上げましたが、昨日の公報によりまして二件追加になりましたので、念のため右お知らせいたします。  それではこれより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたし、前会に引続き質疑を行います。
  3. 高橋定一

    高橋(定)委員 日本国有鉄道会計及び財務に関して、公共企業体能率的運営を目標としての改正案として、今回提出されている各條項を通覺いたしますると、第一に予算編成及び運用においても、第二に資金調達及び現金取扱においても、第三に運賃決定に関しても、従来の国有国営としての鉄道特別会計運営と、ほとんど進歩の跡が見られないように考えられますので、この改正程度をもつてしては、せつかく公共企業体として独立採算制を標榜して、有能なる総裁以下の幹部がいかに努力をされても、所期の成果を上げられることは、期待し得ないと考えられるのであります。以下順を追つて政府所見を承りたいと思います。  第一に質問いたしたい点は、日本国有鉄道の毎事業年度予算編成に関してであります。第三十九條によれば、款項目節の詳細なものを提出して、大蔵省と折衝しなければならないこと、あたかも他の一般消費勘定予算審議と同じように考えられますが、国有鉄道ごとき生産会計におきましては、むしろ当該年度調達資金総額支出総額について、大きなわく決定国会において承認されることが望ましいと考えるのであります。そして国会において承認された包括的な予算わくの範囲内において、鉄道経営諸費経済界状況の変化に応じて活発自在に運用されて、年度末においてりつぱな成績上つた。さすがに総裁以下国鉄予算運用は、よろしきを得たというように行かないものかどうか。国会の任務といたしましても、予算制度に対する事前監督としては、右に述ぶる程度包括予算承認程度にとどめて、国鉄がこれをいかに運営したかということについては、事後監督として決算の審査に重点を置いたらどうかというように考えられますが、予算編成についての政府の御意見を承りたいと思います。
  4. 足羽則之

    足羽政府委員 今高橋委員からお述べになりました点につきましては、改正案検討いたします際に、そういう点に触れましてもいろいろと検討いたしました次第でありまして、まことにごもつともな御意見だと考える次第でございます。ただいろいろ検討いたしました結果、鉄道のような非常に厖大な企業組織でありまして、予算の形において議会提出をして、議会によつてこれを審議されるというふうに取扱うことが、適当であろうという結論によつて、現在のような改正案に到達した次第でございます。なおすでに申し上げたことを繰り返して申し上げるのでありますが、今度の改正案におきましても、予算実施の面におきましても、いろいろ従来の拘束を相当脱却して参つた。その点から予算運用実施の面には、相当国有鉄道自主性が認められる現状におきまして、まず最も妥当なる、また現状に適応し得る結論として、やむを得ない改正かと考えている次第であります。
  5. 高橋定一

    高橋(定)委員 足羽局長の御答弁によりますと、予算編成についても現在のような詳細な予算を出すことは、必ずしも望ましくないと考えておられるようでありますが、特に予算実施に関して相当自主性が認められておるというようなお話の点に関連いたしましても、予算をあらかじめ国会承認を経る場合に、現在のように詳細に款項目節というようにわけて承認を得られると、その実施運用の面におきましても相当困難が伴うと考えられますので、私は将来の予算編成に関するさらに一歩進んだ計画が、この次あるいは次の国会に提案されて、新しく予算編成については、もう少し運用の自由になるような制度に改められたいという希望を付して、一応この質問は打切ります。  第二の点でありますが、ただいまお話のありました予算実施の面につきましての提案の理由に、広く自主性を認めた、こういうように説明しておられますが、前三十九條の九に、「国会提出した予算実施計画に定める区分に従う」とある。この予算央施計画粗密程度をお伺いしたい。
  6. 紙田千鶴雄

    紙田説明員 お尋ねの粗密程度でございますが、この点につきましては、現在実行いたしておりますところの勘定区分に、多少の改善を加えまして実施いたしたい、こういうふうな構想のもとに目下検討中であります。
  7. 高橋定一

    高橋(定)委員 紙田財政課長お話によりますと、現在の予算実行よりも大して運用が自由になるというようなことが、予定できないよう考えられますが、この点はいかがでございますか。
  8. 紙田千鶴雄

    紙田説明員 お話のように現在の体系は、非常に理想的な体系そのものであるとは必ずしも申し上げられないと思います。しかしながら昭和二十二年度以来非常に厳密な検討を加えまして、現在の体系にたどりついたものであります。別に一般会計その他の特別会計区分に比校いたしましても、格段の進歩があり、またその進歩からして、相当高度の弾力性というものが、その中に含まれているものであると考ええている次第であります。勘定科目は一応款項その他の在来の区分によつておりますけれども、しかしながらその区分によつて盛られますところの内容は、いかなる内容を款とし、いかなる内容を項とするかということについては、何らの束縛はないわけであります。現在の国鉄勘定科目も、表面上の款項という名前においては同じでござざいますが、相当に重要なものを比較的勘定区分の低いところで、そういう表現をいたしておりまするので、表面上からごらんになるよりも、はるかに弾力性があると思われます。たとえば現在の営業費一つの項になつております。従いまして営業の種類として、御承知のように鉄道自動車その他関連事業におきましては、この款の流用は、そういう重要な内容を項以下の欄に下げるという形式よりも、実施の調整におきまして実行をいたしているようなわけであります。ただ大きく考えまして建設営業費、こういうものにだけ線を引くというような構想のもとに、勘定体系編成いたした次第であります。今後なお先ほどから申し上げましたような改正の余地は十分にあるとは考えますけれども、相当高度な程度検討されたものでありまして、少くとも他の特別会計あるいは公社会計の同等のものに比べまして、最も進歩したものであるということが、総体的に申し上げられると信じている次第であります。
  9. 高橋定一

    高橋(定)委員 紙田財政課長の御説明によれば、三十九條の十に「日本国有鉄道は、予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。」となつておりまするし、三十九條の十には「日本国有鉄道に、予算で指定する経費の金額については、運輸大臣承認を受けなければ、流用することができない。」こういう二つの運用に対する制限なり、また由なりがあるように考えられますが、ただいまの御説明によりますと、予算相当に手の込んだ編成になりましても、これが実施の場合、運用におきましては款項目節等の置き方についても、相当弾力性が持てる。従つてこれが運用については、国有鉄道を高能率運営して行くことができる。特に流用という問題については、かなり弾力ある運用ができるというように考えておられるものかどうか、この点を御質問申し上げます。
  10. 足羽則之

    足羽政府委員 予算のうちで三十九條の十及び十一につきましては、先般も御質問があつたので御説明申し上げましたが、予算に定められておる款項は、これは議会予算でございますから、かつてに動かすわけには参りかねると思います。三十九條の十の予算に定める目的は何かということは、これはちようど現在の財政法の三十三條と同様、政令でたとえば款項の項のごとき科目を指定する。こういうふうに考えておりまして、それによつて予算目的が定められる、こういうふうに考えられると思います。三十九條の十一の目節は、議会で制限される予算でありませんから、この点につきましては流用承認がある場合に流用ができる。こう考えております。ただある事項について流用承認の制限が指定されると思いますが、しかし目節について流用ということの承認が行われる、こう考えております。
  11. 高橋定一

    高橋(定)委員 予算運用については、これらの規定を十分に弾力性のあるように運用していただくということを希望して、その質問は打引ります。  第三には資金調達及び現金取扱いに関しましては、先日岡田委員質問しておられますように、私も岡田委員所見を同じうするものでありまして、第四十二條但書において、例外的に市中銀行を利用することができるとし、原則としては依然国庫に預托しなければならないというようにしておりますことは、国鉄取扱うところの現金が、普通世間で行われておるような経済的な運営を拒まれているということであつて総裁が意図されておるところの企業精神から、著しく離脱しておるものと考えられるのであります。従つて今後適当の機会に、原則と例外とが主客転倒するように法律改正を企図されるか。あるいは大巾の運用によつてその目的を達成せられるか。いずれかの一つを選ばれるよう希望を申し添えておきます。  次に第四十二條の二においては、鉄道債券の発行ができることとなりまして、民間資本国鉄事業への吸収が期待されているのでありますが、さらに国鉄取扱うところの現金を、一般市中銀行に預け入れて、世間並経済的運用ができるようにするとともに、これらの銀行から長期、短期の資金調達し得て、国鉄経済的企業として、自由活発に運営し得るようにすべきであるという希望を申し添えておく次第であります。  第四に質問いたしたい点は、運賃決定に関してであります。国鉄のごとき国の鉄道企業経営原則といたしましては、企業自体存立確保と、公共利益の保障との併立調和を指標とすべきであります。従つて運賃決定関連して考えねばならぬことに、少くとも当該企業収入をもつて当該企業が負担すべき諸費用が、支拂い資金として十分であることが保障されるよう、鉄道旅客運賃貨物運賃、手数料その他の収入が、確保されなければならないということは当然であります。この鉄道支出予算と見合う鉄道運賃決定が、他の一般物価改訂と時を同じうし、歩調を整えて実施されないところに、ややともすると鉄道運賃改正が、実は他の一般物価よりも遅れて改正されるにもかかわらず、世間的には一般物価改訂の先行をなし、物価騰貴に拍車をかけるがごとき誤解を招くのであります。この運賃決定最終機関は現在国会でありますが、運賃決定最終機関国会であるということは、必ずしも運賃決定機構として最善のものであるかどうかということは疑問であります。     〔大澤委員長代理退席委員長着席運賃改正のためにのみ国会を召集するということも困難であろうし、また運賃のごとき企業経営の細部にわたり、かつは多年の経験と知識を持つている專門家にしても、なおかつ困難を伴う複雑な運賃審議のごときは、国会としてはやや適正を欠くものであると考えらるるのであります。従つてこのことは、国会運賃決定について無関心であつてよいという意味ではもちろんありません。公共的利益のために、国鉄独立採算維持ということよりも、より優越の必要ある場合においては、国家的見地より国会運賃決定について、修正あるいは拒否の要求をなし得ることは、これを認めておかなければならぬと考えまするが、私の考えといたしましては、運賃決定機構政府または国会とは独立した、常設機関を設けるべきではないかというように考えるのであります。この運賃決定械構の問題について、政府はこれを研究されたことがあるかどうか。私は本改正案においてただちにこの問題を取上げて、これが決定を促す考えはないのでありまするが、少くともこの運賃決定機構については、将来研究を要するものと考えまするので、これらに対する政府の御所見を承りたいと思います。
  12. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまの御意見につきましては、一々ごもつともな点があると私考えます。運賃決定機構につきましては、従来非常に重要な問題といたしまして、国有鉄道が改組になりますずつと以前から、この問題については常に検討はされておつたのでございますが、ただ現状関連してこれに対する意見を申し上げますと、現在のような時期と、それから経済の非常に安定しておる時期と、多少そういうふうな点にわけて考えてみる必要もあろうかと考えております。経済の安定しております平常の時期におきましては、運賃改正のようなことは、実はそうしばしば行われなかつたのでありまして、たとえば貨物運賃にいたしましても、大正九年以降昭和二十年ごろまでは、部分的な改正は行われましたが、全面的な改正は行われなかつた。このような通常の経済事情のもとでは運賃改正はあまり行われませんし、また行われたとしましても、部分的な改正が行われておつた、こういう実情でございます。またそういう場合には、おおむねこの内容が、今お話のように運賃は非常に專門的な、また技術的な観点からこれを検討し、これを決定して行かなければならない。こういうものでございまして、そういう観点から申しますと、たとえばアメリカのICCとか、あるいはイギリスの運輸審判所のような機構のもとで決定されることが合理的ではないか。そういう意味でただいま高橋さんのお話になりました、そうした機構合理性考えておる次第でございます。そういう観点から申しますと、非常にこまかい点にわたつて、あるいは国会で御審議を願うというほどのこともない、こういうふうにも考えられるのであります。ただ、現在のような終戦以来の経済混乱期におきましては、インフレの関係において相当大幅の改正を必要とするというような事態が経験されておるのでございますが、あるいは一般物価その他の問題との関連におきまして、包括的に、かつある場合には政策的に運賃決定する。こういつたような必要が、ある時代におきましては、その点に関していろいろほかとの関連において御判断をいただける国会において御審議を願う。こういうのが現在の情勢においては適当であろうと考えております。お話のような運賃決定について、運賃をいかに構成するか、運賃内容がいかに検討さるべきかということにつきましては、将来の問題としてなお検討を続けて参りたい、こういうふうに考えております。
  13. 高橋定一

    高橋(定)委員 運賃決定の問題につきましては、現段階においてはこのままでいいと思いますが、将来は運賃決定は、政府並びに国会とは独立した常設研究機関を設けてやるというように、進むべきものであろうと、私は考えますので、その点を申し上げて御参考にし、次の質問に移ります。  最後に、前数委員質問事項に当つておるのでありまして、多少重複いたしますけれども、利益金処分に関する第四十一條第二項及び交付金に閥する第四十一條の二の規定は、独立採算制を建前とする公共企業体たる日本国有鉄道の本来の性格を、著しく弱体化するがごとき誤解を招くおそれがあるので、これが解釈については、質疑の形においてこれを一定しておきたいと考えます。すなわち第四十一條の第二項は、日本国有鉄道経営利益を生じた場合においては、まず第一に前事業年度からの繰越し損失がある場合においては、その利益は優先に繰越し損失の補填に充てなければならない。第二に、なお残額がある場合は、別に予算を定めて改良、建設その他の福利施設等費用に充当し、第三に、それでもなお残額があり、しかも一般会計においては財源に窮しておるというような、国の財政状況の場合においては、これを一般会肝に繰入れ使用することもあるという順序に、利益金処分はなさるべきものであるという趣旨を規定してあるものである。第四十一條の二の「特別の必要があると認めるときは」という意味は、生じたるその損失日本国有鉄道の本来の経営上より生じたものでなくて、すなわち国鉄の独立採算という観点よりも、より優越した国策的見地に基いて、国鉄の意思に反してある措置が行われたために損失を生じたる場合、たとえば今回の補正予算に現われておる運賃値上げが、国鉄は十二月一日から実施したいと希望していたものが、政府並びに国会の都合によつて、一月一日から実施することとなつたというような、時期的ずれによる損失は、その限度においては政府はこれを交付金として、一般会計よりこれを交付することができる。また国鉄の立場から言えば、かくのごとき場合は積極的に交付金として、政府に請求することができるという趣旨と解釈してさしつかえないかどうか。政府の御所見を伺いたいと思います。
  14. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまの御質問は、四十一條の二項の解釈ということでございますが、まず第一に損失の補填に充てるということは、法文で明らかでございます。それから第二に、別に予算に定める場合を除いて、政府一般会計に納付するという点の解釈について、別に予算に定める場合、建設、改良その他の福利施設等に充当する場合というふうでいいかとの御質問でございますが、予算に定める定め方がいろいろあると思うのでございまして、必ずしもそういう場合に限定されないで、あるいは建設、改良のための積立金と申しますか、あるいは資金予算に定める場合もありましようし、その他いろいろな場合が考えられると思うのでございます。従つて予算にいかに定めるかという問題については、その具体的な必要性によつて、必ずしも内要が限定される必要はないのじやなかろうかというふうに考えております。なおまたそういうふうに予算に定めて、それを国鉄で使いまして、その残額一般会計に納付するということになるのでありますが、その場合に一般会計の状態に応じて、これを一般会計に納付するかしないか。この問題は今御質問のような限定された意味ではございません。やはり繰越し損失の補填に充て、さらに具体的に予算に定めた定め方に従つて使うようにし、その残額一般会計に納付する、こういうふうに制限されていないものというふうに考えております。  それから四十一條の二の交付金の問題でございますが、この交付金政府において特別な必要があると認めた場合でありまして、ただいまお話になりました御例示の場合のごときも、あるいは例として該当するかと思いますが、政府において特に一般会計予算として提出して、具体的にそのときどきの問題について、御判断を願うことになろうかと考えております。
  15. 高橋定一

    高橋(定)委員 ただいま足羽局長の御説明になりました、四十一條の二項における別に予算に定める場合ということにつきましては、私も改良、建設福利施設というふうに、あえて限定する必要はないと思いますが、ここの條文の書き方から見ますと、今回国有鉄道公共企業体として独立採算制を建前とし、企業の活発なる運営を期待するという精神から、非常に離れるような誤解を生ずるおそれがあるという意味において、私はこの最後の條項の「一般会計に納付しなければならない。」という精神は、他の普通の会社と違つて利益金の剰余があれば、これを積立てればいいということではなくて、現在の国有鉄道の資本が、全部国が株を持つているという形になつている公共企業体であるから、他に使途が明らかでないものは、一般会計に繰入れるのだという精神だろうと思いますが、現在の国有鉄道運営状況から考えますと、現在新線の建設であるとか、線路の改良、その他設備の改良という問題について、急を要するものが非常にある際でありますから、この最後の一般会計に納付するというようなことは、おそらく近い将来においては起らないのじやないかというように考えられます。その点を明らかにするために、利益金処分としては、第一に前年度までに繰越されている損失の補填に充て、第二には建設、改良その他の、従来国有鉄道がとつてつたような利益金処分の順序に従う。それでもなおかつ処分に困るような金があつた場合には、一般会計に繰入れる。おそらくそういうことは、国の財政状況一般会計が窮屈なときであろうということを想定して申し上げたのでありまして、必ずしもそういうように限定する必要はないと思います。  それから四十一條の二の「特別の必要があると認めたときは」ということについて、私は現在の段階において想定し得るものは、政府なり国会なりが国有鉄道の意思に反して、ある措置を講じさせた場合というように考えられるのであります。現在そのほかに特別な必要があると認められるようなことを、政府では何か想定されることがあれば、お聞きしたい。
  16. 足羽則之

    足羽政府委員 最後の御質問でございますが、その点は特に今予想をして考えているものはございません。  それから四十一條第二項の点につきましては、来年度予算が現在査定中でございますが、その姿から見ましても、まず繰越し損失に充て、さらに益金があつた場合に、それを建設、改良の資金に充当するという従来の姿で、事実上当然取扱われるようになると私たち考えております。
  17. 高橋定一

    高橋(定)委員 私の質問はこれで打切ります。     —————————————
  18. 稻田直道

    稻田委員長 質疑の途中ではありますが、この機会にちよつとお諮りいたします。ただいま観光事業振興方策樹立特別委員会において立案中の、国際観光ホテル整備法案につきまして、運輸省の間嶋観光部長が御報告いたしたいとの申出があります。これは本委員会としても関係がありますので、発言を許したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 稻田直道

    稻田委員長 それでは発言を許します。間嶋観光部長。
  20. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 現在観光特別委員会で御審議中の、ホテル整備法案について御説明申し上げます。  最近御承知の通り外客の来住が非常に多くなつて参りまして、これに対する受入れ施設、特にホテルの施設の整備が重要になつてつたのでありますが、現在御承知の通り大部分のホテルは、進駐軍に接収をせられております。非常に宿泊施設が不足しているのであります。これについてさつそくこの整備をはからなければならないのでございますが、従来までの実績に徹しますに、ホテル事業そのものが収益率がそう高くない事業でございますし、またその建設には相当の設備資金を必要とし、それがまた非常に長い間固定するという事業でございますので、なかなかこのホテルの整備ということは実現しがたいのであります。これについて業界等からは、多客の泊るホテルに対して、いろいろ助成策をとる必要があるということで、いろいろな陳情もあつたのでありまして、国際観光事業を主管いたしております運輸省としても、かねがね研究は進めておつたのでございます。ところが幸い前国会の終りに、観光事業特別委員会が設置せられまして、いろいろな問題について御審議なつたのでございますが、まずこの国際観光ホテルの整備についての法律的措置を、議員立法としてやりたいという御意向がございまして、運輸省に対しても資料の提出を求められたのでございます。その後継続審議になりまして、最近において大体御成案を得られたようでございます。  簡單にその内容を御説明申し上げますと、まず国際的に見ても、一定の水準に達し、外客を宿泊させるに十分な内容を持つホテルの基準というものを定めまして、その基準に合致したものが希望いたしますと、登録を行うことができるようになつております。運輸省に請求いたしまして、ホテルの登録を要求いたします。そういたしますと、この一定の基準に合致いたしましたものであれば、登録をしなければいけないという建前になつているのでございます。そうしてこの登録を受けましたホテルに対しましては、一定の恩典を與える。その恩典といたしましては、現在までの一応の法案によりますと、登録税及び家屋税の減免、あるいは遊興税の一部の減免、それから法人税に関しまして、現在ホテル施設に対します固定資産の耐用年数が非常に長くなつております。それがために毎年の償却に計上いたしまする金額が非常に少いために、利益金と認められまして、法人税が非常に多額に賦課されるというようなことがございますので、大体外国の例等をもしんしやくいたしまして、固定資産の耐用年数を、現在の半分程度に減らすというような案になつているのであります。もつともこの点につきましては、現在まで拜聽いたしましたところによりますると、登録税あるいは遊興税等につきましては、大蔵省関係の方の意向もございまして、このままの案で進むかどうかは今わからないというふうに聞いているのでございます。そのほかさらに施設を改善いたさせまするために、運輸大臣が必要と認めました場合には、施設あるいは経営の改善に関する勧告ができることになつております。そうした勧告をいたしました場合には、運輸大臣はそれに要する資金のあつせんをする。こういうふうな規定であります。しかし運輸大臣がこういうふうな行為をいたしまする場合には、民間の代表者あるいは関係官庁の代表者を加えましたホテル審議会というふうなものにかけまして、民主的な決定をする。こういう建前になつているのでございます。なおホテルを建てますには、相当多額の資金がいりますので、過渡的措置といたしまして、外客の宿泊に適するような設備を持ちました旅館に対しましても、一部の適用をするというふうな準用規定が入つているのでございます。主たる内容はただいま御説明申し上げました通りでありますが、現在なお観光委員会の方で御審議中でございます。この法律は私どもの立場から考えましても、かねがね業界から要望のありました点の一部が含まれておりますので、こういう法律ができましたならば、観光施設の中核でございます外客の宿泊施設の整備の促進に、非常に大きな貢献をするのではないかと存じている次第であります。簡單でありますが、以上で説明といたします。
  21. 稻田直道

    稻田委員長 間嶋観光部長になおお尋ねしておきますが、この法案につきまして、本委員会において何か特に注意すべき点があるかないかということを、私から一応聞いておきます。
  22. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 別に御注意願う点はないと存じますが、私個人といたしましては、この法律の主管が運輸大臣というになつているのでございますので、観光特別委員長にも十分な御連絡を願うようにということは、個人的に申入れしてございます。
  23. 稻田直道

    稻田委員長 原案通り向うが可決する場合には異議ありませんが、何か修正するような場合には特に注意するところはありませんか。
  24. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 この問題につきましては、大体先ほど申し上げました一部の恩典が大分問題になつておりますがこれも大局上やむを得ないのではないかと考えるのでございます。ただ現在、運輸省が従来こういつた仕事を戦争前からやつておりましたにつきまして、一部の官庁で、端的に申上げますとなわ張り的な考え方から異議を申し立て、また厚生委員会等からも、ある程度の申入れがあるやに聞いているのでございますが、私どもといたしましては、戦争前におきましても御承知の通り、全国に観光ホテルの整備を預金部資金をもつて実施いたし、また終戦後におきましても、現在資金、資材のあつせん、あるいは建築の指導等を一元的に実施いたしておりますので、こういつたことはわれわれがやるのが当然の責務である。われわれといたしましては大きな義務を感じている次第でございます。どうかそういう点で問題がございましたら、よろしくお願い申し上げたいと存ずるのであります。
  25. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 実は私観光の方に関係ございますので申し上げますが、きのう観光の委員会で大分討論がございまして、私どもの方でも大蔵の方から税の特典に対しまして大分異議がございます。また厚生の方面でも、ただ單なる官庁のなわ張り争いという点からではなく、いろいろな点でこの法律に対しての意見がありまして、たしか本日合同審査を要求するというようなことに相なつているように伺つております。ただいまの御報告では、どうもその点が十分御報告になつていないようでございますが、私ども運輸委員といたしましても、この点に関連して御質問申し上げたこともございます。実は来年の列車の計画なども承つてみますると、観光列車の寝台車が九十両予定に上つている。しかしながら三等旅客の列車は一台も新造の計画がない。二等車、展望車等は優先的に新造の計画があるけれども、いわゆる一般の勤労大衆の、広汎な九割以上の人民のための計画がないというようなことも漏れ承つておりますので、そういう観点からもひとつ運輸委員会としても、関心を拂つていただきたいと思うのでございます。ただ私どもは單に外貨の獲得であるということのような、まだそういう表面の美名だけで、この案を審議できない。こういうふうに考えているものでありまして、そういう点も当運輸委員会としては十分御考慮の上、單にこれは観光特別委員会の法案だというように、お考えにならないでいただきたいと思う次第でございます。
  26. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 運輸省設置法に関しまして、ちよつとお伺いしてみたいことは、その要点といたしましては、「運輸に関連する観光」とある項目であります。ただいま間嶋観光部長からこの関係の一端を伺いましたが、私どもが今まで観光特別委員会におきまして審議いたしましたホテル法案の内容につきましては、今間嶋観光部長が言われたことくであります。しかし運輸省が観光に関するというこの問題につきまして、重大な問題が起つているのであります。ただいま他の委員からもその一端が漏れたのでありますが、実際この観光という面は、運輸省が長い間、輸送上からいたしまして、外客の誘致に対しましては絶大なる経験と、またその抱負を持つているのでありますが、今日国家の法律改正されまして、この所管が厚生省にある、あるいは建設も関係する、また文部も関係する、また通産省にも関係があるというように、各所に営業方面が関連いたしておりますので、ややもすればなわ張り争いみたいなことが起つておるのであります。現在もこの問題につきまして、各方面からかような点が起つておるので、観光特別委員会といたしましても、これをどういうふうにきめたらいいかということに、苦しんでおるやさきでありますから、私はこの運輸に関する観光のある部分に対しまして、どれだけ弾力性があるものか。どれだけの内規があるかということを、この際お伺いいたしたいと思います。  その要点といたしましては、まずホテルを整備する問題、あるいは観光道路をつくる問題、またはホテルを建てるに対しましての外資の導入とか、あるいは融資問題につきましては、いろいろなむずかしい点が起つておるのであります。これを運輸省が実際にあつせんするだけの用意があるか。またそれだけの機構が備わつておるかということが、今日これが解決に大きな問題となつておるのでありますが、この際私は運輸大臣にお尋ねし、また鉄道総裁にお伺いしたいのであります。本日審議いたしております国有鉄道法の一部改正法律案を見ましても、この観光に関する面ということは一つも現われておりませんので、私はこの所管を聞きましたところ、これは官房に付随しているものだということを聞きましたが、何を申しましても運輸という面よりいたしまして、運輸省がこの観光部面を担当することになつておるのでありますから、どこかにこれが現われて、りつぱに運行できるようにしなければ、実際外客を吸引する観光事業の完成は、むずかしいのじやないかということを私は考えますので、この際御当局の責任ある御答弁をお願いする次第であります。
  27. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 御答弁申し上げます。運輸省設置法にまず書いてございます運輸に関する観光は何を意味するか、こういうお尋ねだと思うのでありますが、実は運輸省設置法ができます場合に、運輸省が従来とも観光事業を主管しておりましたので、この点を当然入れなければならなかつたのでございますが、従来観光という言葉が、場合によりまして非常に広く解釈されております。ことに行政面におきましても、観光に関係のある行政と言えば、ほとんど各省に関係がございます。特に関係の深いものといたしましても、文部省の史跡、名勝、天然記念物保存行政、あるいは建設省にあります道路行政、また国立公園行政というふうに、各省にもそれぞれ観光に関係のある行政がありますが、そういつたものも含まれるような誤解も受けるから、これを幾らか限定したらよくはないか。運輸省は運輸というものを主眼として設置せられた省でありますので、そういつたほかの省の所管のものは含めないで、本来の固有の観光行政というものは運輸省であるけれども、それはすベて突き詰めて行けば、人の輸送ということに関連しておるから、運輸に関連するという言葉をつけておけば、幾らかそういう難点が解決せられるのではないかという意見によりまして、非常にあいまいな、漠とした言葉ではありますが、ただ観光というよりは、幾らか限定されておりはしないかというふうなことでできたのでございます。また実際問題といたしまして、それではどういうことをやるのであるかということでありますが、それも運輸省設置法に書いてございまして、運輸に関連いたしまして、観光事業全般の発達、改善、調整をはかるということ、それから観光地、観光施設を調査いたしまして、これを改善すること、あるいは観光宣伝に関すること、またこういつた施設に関しまして、資材の割当をするというようなことが、観光に関係いたします所掌事務として、運輸省設置法に書いてございます。  一つの例をあげて申し上げますと、たとえばホテル等につきましては、まずその建設についてはもちろん建設大臣の許可が必要でございますが、建設省といたしましては、観光事業の主務官庁としてホテルあるいは外客宿泊に適する旅館等につきましては、すべて運輸省の意見を徴しまして、運輸省が妥当なりと認め、またその内容につきまして適当な訂正を加えまして、これに資材をつけて建設大臣へ移管する。そうして建設大臣が許可をおろす。こういうふうな道筋をたどつております。また資金につきましても、現在御承知の通り資金が一番難点でございますが、この問題につきましては、現在ホテル施設も旅館業という範疇に入りまして、融資順位が丙になつておりますが、外客誘致施設につきましては、かねがね甲に引上げてもらいたいというふうな要望を、関係各方面に提出いたしておりますが、さしあたりの問題といたしましては、外客宿泊施設につきましては、どうしてもそういつた全般的な順位の引上げを待たずして、至急にやる必要がございますので、国会にあります観光事業特別委員会の方にもたいへんお骨折りを願いまして、全国の代表的な観光外客宿泊施設で、さしあたり増改築計画を持つものに対しまして、日銀の融資あつせんを現在実行いたしております。またそういつたものにつきましては、一応暫定的に融資順位を乙に引上げるという措置が講ぜられたのでございます。先ほど申し上げました現在の観光特別委員会審議せられておる、観光ホテルの整備法ができましたならば、こういつた現在の行政上の措置に、さらに牽制を加えるものではあるまいかと考えておるのでございます。
  28. 稻田直道

    稻田委員長 ただいま観光事業振興方策樹立特別委員長がお見えになりましたから、この機会におきまして、参考になりますから、発言を許しまして、大体の委員長お話を聞きたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 稻田直道

    稻田委員長 それでは許します。観光委員長
  30. 栗山長次郎

    ○栗山観光特別委員長 お許しを得まして、観光事業特別委員会でなしております事柄につき、報告をさせていただきたく存じます。  観光事業は各省にわかれて担当されておる面が多いものでありますから、結局衆議院において観光事業振興方策樹立特別委員会というものが設置されまして、その委員会におきましては、全国的観点から観光事業を振興いたしますために、共通の事項についてまず取上げたのでありますが、その一つとして最初に具体的に練りましたものが、外客宿泊施般の整備改善の点であるのでございまして、これを実施いたしますためには、法的な根拠を必要とするという観点から、国際観光ホテル整備法案を準備いたしましたので、まだ最終的に至つておりませんが、近く最終的なとりまとめにしたいものであるという希望を持つておるのでございます。ここでお許しを得て御報告申したいことは、ただいま申しました国際観光ホテル整備法案の趣意についてでありますが、御案内の通りホテル施設が著しく低下いたしております。外客を誘致いたします一番の基礎になるものが弱いために、これを拡充するの急務に迫られておるわけでありますが、何分にも外客の宿泊施般としてのホテルは、採算が非常にとりにくいために、民間にいたしましても外国の資本にいたしましても、もくろみは若干あつたように伝えられておりますけれども、いよいよ実施をしようという者がほとんどない状態であります。さりとて政府が国の金をもつてこの施設をなすということは、今の財政状態上不可能に近い困難なことでありますので、奨励をして、国家目的である、国家の今の経済要請である外貨の獲得の足場を築こうという点に、この法案を起草するに至りました根本理由があるのでございますが、一言にして申せば、それには助成をしなければならぬ。助成をするのには補助金を與えるということが方法として一つ、いま一つは計算のとれるように重い税金を斟酌するという、二つの点よりないと委員会では考えたのであります。補助金を與えて一つの仕事を助成いたしますことは、今まで御同様国会議員として見て参りました経過並びに結果から申せば、好ましくない事態がたくさんありますために、委員会としては、補助金によるということを、避けよう。そうしてその事業がペイする程度の、税の方面で一応考慮をしてみようという趣旨で、できると思われる税目をとりまして、それについてどのくらい減税できるものか検討して、一応のとりまとめもいたしたのであります。それによりますと、まず第一に考え得るのは、現行の制度から申しますと家屋税でございますが、外客を宿泊させるホテルは、例を引きますと。船には外洋を航行する大きな船から伝馬船まであります。宿泊施設にも、大きな旅館から小さな旅館までありますが、その大規模なるものは、主として外貨の獲得に役立つという両方の相似点をそこに見て、観念の基礎といたしたのでございますが、御案内の通り船には現在産業復興公団あたりから、船の建造について多額の融資がなされております。しかしホテルの方にはそういうふうな便宜がございませんし、等閑に付されておるわけてあります。そこで優秀なホテルがある地点に設計、建設せらるるといたしました場合に、その地元は、それによつて雇われる人員も増して来るし、またみやげものを買い、その他のものを買うという点から、地元が潤う。そうしたならば、その地元の税収入となる家屋税というものを、一つ考え得るのではないか。そこで家屋税をかりに半分にいたしましても、その地元へ別の金が落ちるから、地元の繁栄策としてはプラスマイナス残るところが、あるいはプラスになるではなかろうかという観点から、家屋税というものを一つつたのであります。その次に拾いましたものは、これは法人税に関係のあることでありますけれども、耐用年数、償却年限でございますが、これが現行の扱いにおいては非常に長過ぎるのであります。鉄筋コンクリートのホテルの建物が、六十年ということになつております。これは法律ではございませんが、国税庁の扱いであります。実際に視察をいたしてみますと、六十年はとても持たないのでありまして、かりに建物の形骸は残るとしても、それが使用目的に沿わない程度まで損傷されることが、幾多の事例によつて明らかになつたのであります。またアメリカ等も、これも法律にはよつておりません。査定によつてホテルの耐用年数は三十箇年間といたしております。そうすると日本の今の六十年は長過ぎる。鉄筋コンクリートであつても、四十年程度にすベきであるということで一応押えたのであります。これに準じて現在日本の国税庁で査定をいたしておりますよりも、若干短縮をいたしました。法人税を納めます場合に、税額が若干減つて参ります。この二つだけは取入れても大きな障害はなかろうというので、この二つを取入れて、助成の実質的の事柄にしようというのが、委員会における最終的の考えの方向であります。またそれによつて採決的なことはいたす段階でありませんからいたしておりませんので、最終的な方向であると申し上げるにすぎないのであります。
  31. 稻田直道

    稻田委員長 栗山委員長にお願いいたしますが、運輸省になるべく関係のある方面だけお話を願います。
  32. 栗山長次郎

    ○栗山観光特別委員長 以上のような二つの実質的な事柄がありまして、これによつて運輸省が任務としておられます運輸に関係がある観光事業、この事業とうらはらにこの施設を拡充いたしますならば、日本人の外貨獲得がより以上の額に上る、かように考えておる次第であります。  いま一つ、やがてはこの法案を皆様に御審議願わなければならぬことでありますから、申し上げておきたいことは、国際観光事業が国際競争の立場にあるということでありまして、日本の施設が劣つておれば、運輸省の観光事業の任務を全うせられる上におきましても、他国にかなわぬのであります。そこで国際競争にたえ得るところまでにしよう、こういうことも助成方法を考えます上に、理由として持つておる一つの事柄であります。直接運輸省に関係のあります事柄と申しますと、この委員会においては、この法案が通過して法となつた場合の、主務大臣をだれにするかという点であります。実質的な理由は幾つか、これは常識的にお互いわかつておるところでありますが、設置法によりましても、運輸省の設置法の中には無、運に関する観光事業、任務のところにこれが書いてあります。設置法中の任務の点は、その役所で何をなし得るかということを示し得るものであつて、最も重要と思いますが、運輸省の設置法中の任務のところには、運輸に関する観光事業と書いてあります。一方、厚生省の任務のところには、国民保健と書いてあるだけで、観光事業という事柄は任務のところには一切書いてございません。法的な観点から申しますと、私どもはこれは運輸省によつて主管さるべきものであると考えておる次第であります。その他実際に徴しての事柄は、私がここで取立てるまでもないことでありますので省きますが、かような観点で運輸省の主管さるべきものであるということを一応の押えとしておりますが、今は主管をどこにするかという問題についていろいろな御意見があります。そのとりまとめはしかるべき方法によつて、やがてなさるべきだと存じます。  以上準備をいたしました国際観光ホテル整備法案に関して、お時間をいただいたわけであります。
  33. 稻田直道

    稻田委員長 ただいまの栗山委員長の御発言に何か御意見がありますか。
  34. 松井政吉

    ○松井(政)委員 委員長にお伺いしたいのですが、観光事業に関する特別委員会を設置するときに、われわれは議院運営委員として十分に御協議したのでありますが、観光事業特別委員会を真に必要とする事柄は、観光そのものか、たとえば厚生省に関係を持つている。あるいは国立公園等になりましたりいろいろなことになりますと、文部省にも関係が出て来る。それから輸送は一切運輸省が引受けている。いろいろな意味におきまして各省々々が、思いつき思いつきの立場で観光事業をやることに、はなはだもつて不合理であるから、各省間における観光事業を統一調整する意味において、特別委員会が必要だということが強く主張されて、われわれ設置をして来たのであります。従つてそういう事柄を担当するのが、観光事業に対する特別委員会の使命でなければならないと思つておるのであります。ところが観光事業特別委員会の方で、長期にわたつて閉会中も審査をなされ、あるいは国勢調査をしたことも承知いたしております。その結果生れて来たものが観光ホテルに対する——国際ホテルといいますか、そういうものに対する一つのものがまとまつて来たということで、われわれは意外に考えております。従つてその特別委員会の使命と、今のホテルの問題について、われわれは大きな疑義を持つておるものであります。この点を明瞭に御説明願いたい。  それからもう一つ、私はこれが運輸省の管轄になるかどうかということに対しましては、ただいま立法上の説明をお伺いしたのでありますが、免脱をしたり、資金のあつせんをしたり、こういうことになりますとそのことまでも運輸大臣が責任を持たなければならない。運輸大臣がそれまでやらなければならないということに、また一つの不合理が起きます。特に免税の中における家屋税の耐用年数等におきまして、ホテルに対する耐用年数を縮める措置を講じますならば、現在炭鉱におきまする労働者が、長屋に住んでいる。長屋の耐用年数はぎりぎり一ぱいに押えられてとられているのであります。従つて今の国際ホテル等に関する免税の措置を、講じなければならないといたしますならば、いわゆる衣料品に関する差益金等は、すでに暴落いたしまして、差益金を査定いたしたときよりもはるかに落ちて、業者が苦しんでおります。そういうものに対する免税を国家として先に考えるべきであつて、ホテルに対する免税を先に考えるということが、正しい政治であるかどうかということについて、疑義を感じております。さらに資金のあつせんをすることにつきまして、観光委員会ではどういう御相談をしたのかわかりませんが、あらゆる補助金、補給金を打切りまして、完全な自主経済を建てようとして努力が行われている際に、ホテルにのみ逆に資金のあつせんをしなければならないという事柄が、今の日本の経済政策に合致する建前で、この法律をつくらんとしているかどうか。こういう点について一切不合理だらけの法律が、出てくるとしかわれわれは考えられない。従つて私はこういう不合理な内容を持つ法案を、われわれ委員会及び委員全体が信頼する運輸大臣が、これを管轄するということは、ひとつやめていただきたいと考えております。この問題についてつまびらかに御説明願いたいと思います。
  35. 栗山長次郎

    ○栗山観光特別委員長 私の申しましたように、観光事業は各数個管庁によつて管理執行されておる。そこでこれを調和して一本にまとめるという考え方は、委員会の支配的な意見でありまして、できれば観光庁というようなものを設けて、そこに統合できるだけ統合したいという考え方を持つておりますが、行政機構をかえますことはすぐにできませんので、まず観光事業を組立てる上に、どれだけの要素があり、どれだけの必要事項があるかについて、委員会研究し、研究調査要項というものをつくり上げて、そのうち重点的に必要なものから、取上げて行こうという方針で進んで参つて、今の現状を見ますと、重点的に一番先に取上げるべきものは、何しろ外客が来ましても、泊るところがなければどうにもなりませんから、ホテルにしようということで、ホテルに手をつけたわけであります。同時にほかの目前の諸問題についても、数項目にわたつて審議を遂げ、あるものは行政官庁に申入れをなし、また勧告をなしております。これは御質問外のことですから、省略いたします。  第二点の、これに助成をするのにはどうかと思うという御趣旨のように拜聽いたしましたが、国内消費と外貨獲得と二つにわけて、私どもは考えたわけであります。つまり外貨を獲得するということは、日本経済の要請であつて、これは国際的になされることである。国内の消費の問題は、それに不合理な点、是正すべき点があれば、これは社会政策的な面によつて取上げて、善処すべきものである。社会政策的な施設と外貨獲得の施設と、混同して考えてはならぬ。しかしてこれは外貨獲得の施設であつて、今盛んに要請されている輸出貿易の振興と、歩調を一にすべきものである。かように考えましたので、社会施設的な事柄は、これは別の担当者において別の観点から取上げ、国会としては、やがて貿易の振興も社会施設的な面も、調和的に具現されるものと期待しておる次第であります。
  36. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そこで私は、観光委員会に出ておられる方々もまた国会議員であつて、日本としてどういう事柄を先に手をつけるべきであるかということを、十分に御考慮の上に審議されているということは、了承いたしております。しかしその場合におきまして、現在日本に一番必要なものが何で、あるかと申しますと、今の議論に対する私のむし返しになりますが、社会施設が大事であるか、外貨獲得という形においてホテルに助成することが先であるか、こういう議論になろうと思いますが、それはあなたの方はホテルの助成の方が、外貨獲得のために必要だとお考えになる。私たちの方は少くとも社会施設が先だということになります。これは見解の相違になりますが、少くとも国立公園とか温泉地等は、われわれは社会施設の立場から言つて、保健、厚生、こういう関係に国民全体が使うことによつて、地元が生き、それによつて国民の保健、厚生が保たれるということの、社会施設の方を先にやらなければ、日本再建が不可能であると考えております。従つてホテルの助成の方が先ではない。こういう解釈を持つわけでありますので、意見として申し上げておきます。
  37. 栗山長次郎

    ○栗山観光特別委員長 ただいま拜聽いたしましたことは、見解の相違になりますので、おそらく最後までまとまりはつかぬと思いますが、私どもは両方並行してやりませんことには、国力が培養できませんので、国力が培養できませんければ、やはり国民生活全体の充実もはかり得ない。だからむしろ社会施設をより多くやろうとすれば、こうした外貸獲得を十分に立てて、そこから国力を充実して、大いに社会施設を行うべきである。これは両面ともに同時に取上げ、並行して進めることが国策でなければならぬ、かように考えております。
  38. 稻田直道

    稻田委員長 この際運輸大臣より本件についての御意見を承つておいた方がいいと思います。運輸大臣、何か御意見をひとつ。
  39. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 観光特別事業委員会の議に乗せられておりまする内容をただいま承りましたが、運輸大臣といたしましては全面的にこれに賛意を表します。
  40. 大西禎夫

    大西(禎)委員 ただいま松井さんからお話がありましたが、私は今委員長の言われましたホテルの設備その他については、極力やつていただきたいということを表明いたしたいのであります。今観光の問題が出ましたけれども、私は香川でありますが、御承知のように香川は、産業の面から申しますとはなはだ貧弱な県でありますが、観光の点から申しますと優秀な所なのでございます。従いまして現在大体観光によりまするものが、二十五億ないし三十億くらいは入つておるのであります。こういう面から見ましても、外貨獲得という点から見ましても、今松井氏の言われた社会的な施設という面を考慮しましても、どうしてもこういうことをやつていただかなければならない。従つて償却年数にしましても、私は今少しくよけいやつていただきたいというような考え方をしておるのであります。今日外国貿易と関連をいたしまして、どうしても観光によるところの外貨獲得ということは、地理的な條件はあるとは存じますけれども、場所によつてはどんどんとこれをやつて行かなければならない情勢に、差迫つておると思うのでありまして、どうぞこの点については特別委員会の方において、ますますこの面を強力に施行していただきたいということを表明いたしておきます。どうぞよろしく。
  41. 稻田直道

    稻田委員長 栗山委員長にお願いしておきますが、なお本委員会におきましては、今ただちに本問題に結論を出しませんから、あなたの方で結論を出される前に、今一応いつ幾日に結論を出すという御通知が願いたいと思います。
  42. 栗山長次郎

    ○栗山観光特別委員長 承知いたしました。
  43. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私実は観光委員会理事をいたしております立場もございますので、共産党といたしましては観光委員会をつくりますこと自体に反対したのでございましたが、できました以上はこの委員会が、国の全体の立場から、正しく運営されなければならないと思いまして、理事にも参加したわけでございます。  実は委員長にお伺いしたいのでございますが、きようここへおいでになりましたのは、当委員会に対してどういう立場でおいでになつたのか。きのう実は厚生委員会に対して全部の理事が集まりまして、委員長に対しまして、厚生委員会からの意見書に対して返答の書類をつくりまして、行つていただくことをお願いしたのでございまして、午後一時からこちらの方から持つて参りましたものを取上げる厚生委員会へ、持ち込まれることになつていたと思うのであります。どういうお立場でおいでになつたのか、私理事として伺つてみたいと思います。
  44. 栗山長次郎

    ○栗山観光特別委員長 その委員会からお求めがあれば、どの委員会でも参つて説明するのが、関連事項については当然だと考えております。そういう立場でこの委員会委員長からお求めがありましたから参りました。
  45. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 運輸大臣にちよつと……。運輸大臣にたいへん御賛成の御趣旨でございました。私当運輸委員会委員として申し上げたいのでございますが、御承知のように国鉄運賃が値上げになるということはきのう、ただいまの日本の情勢では、これは妥当だという御答弁であつたのでございますが、この赤字の原因をいろいろ調べてみますると、一等旅客や寝台の運賃というものは、いつも採算割れがしておるのでございます。そしてただいまでは三等の旅客の大衆が、ほとんどこの国鉄の赤字を背負つておるような状態でございます。そういたしますと、独立採算制を目指して赤字にならないと言つておいでになつて、こういう方針でお進みになりました現在、一等旅客の寝台列車とか、そういうものの赤字が非常に大きな負担となつておることが明らかでありますのに、そういう観点からも観光の列車などをふやしまして、そうして赤字がふえて行くということに対しましては、私ども運輸委員としても賛成できないのでございます。これは社会党の松井委員からもお話がありましたように、この国有鉄道の公共性ということと、企業性ということが非常に衝突しておるのでございまして、そういう観点からも運輸大臣として、簡單にそういうふうに御答弁になりますことは遺憾でございますが、どういうふうにそういう点が、この運輸行政の立場から利益になるという御観点でございますか。あるいは大局的に外貨の獲得に、観光事業がいいというふうに考えていらつしやるかということでございます。意見は別といたしまして、その点の御答弁を一言伺つておきたいと思います。
  46. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 柄澤さんの今のお話でありますが、この一等の運賃ないし寝台旅客運賃は、赤字にはなつておらぬのでありまして、外客を誘致するという面からいたしますれば、今までしばしば経験いたします。すでに日本に参つた外人が、いかに日本の国鉄が貧弱であるというようなこと、それからホテル設備が貧弱であるというようなこと、また道路の設備が貧弱であるというようなことに対しまして、観光事業的に見、かつ外貨の獲得という点から見ますれば、さらにこれらの点に力を入れる必要を痛感いたしておりまするわけ合いでありまして、その意味から私はただいまの栗山さんのお話に賛意を表する、こういうふうに申し上げたわけであります。
  47. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいま横道の議論がたいへん多くなつて、私の本問題はそつぽへ行つてしまつた観がありますが、私は総括した言葉で申し上げるならば、ただいま柄澤委員から非常に反駁的な御意見がありましたが、しかし日本の小さい島だけから言つたら、今の柄澤さんの御意見、またほかの方の御意見もいいと思いますが、日本が再建途上にある立場からいたしまして、国際的に伸びようという際には、私は過去の小さなことにこだわらずに、これから大局的にすべての方法に当たつていただく。その任務は運輸省がしつかりと引受けて、これをやつていただけるか、いただけないかということに、大きな問題が関連しておると思うのでありまして、私はこまかいことはさておきまして、その点を運輸大臣にもつと強く確立した御回答をいただきたいと、先ほど申し上げた次第であります。
  48. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ただいま柄澤君に御答弁申し上げたと同じ趣旨で、日本の現在の状態におきまして、どうしても外貨を獲得するということが非常に重要なものの一つでございますので、そのためにはやはりただいま申し上げました観光事業にさらに一層專念いたして、経費をつぎ込み、われわれが努力するということは、さらにこれをやる必要があると強く考えておる次第であります。
  49. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいま栗山観光委員長も来られて、その際に委員長に必要があればやろう、また出て説明をしてもらいたい、御連絡もしてもらいたいというお言葉のようでありましたが、ここに一番重要なことは、運輸省がどこまでこの観光に力を入れていただけるかというところに、大きな問題があると思いますから、委員長におかれましてもこの点を十分に御了承くださいまして、万全を期していただくようお願いいたしたいと思います。
  50. 稻田直道

    稻田委員長 間嶋観光部長の説明に対する質疑応答は、大体これをもつて終りまして、なおこの問題につきましては各位の御研究を願いまして、一応何らかの結論を出しまして、その結論を観光委員会の方に申し入れるとか何とかいたしたいと思います。     —————————————
  51. 稻田直道

    稻田委員長 これより柄澤委員の本委員会における質疑を継続いたします。柄澤君。
  52. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 運輸大臣にお尋ねしたいことは、運輸大臣はこの前の国会におきまして、九月の十二日だつたと思いますが、滿尾委員の御質問に御答弁になつておりました際に、国有鉄道が六月の一日からコーポレーシヨンの形態をとりましても、今の国有鉄道は、国有鉄道であるということに間違いないという御答弁がありました。私設鉄道であることは例外だということをおつしやつていたように思うのでございます。今度この新しい法律によりまして、日本国有鉄道法というものが改正されるわけでございますが、その第三十六條に「日本国有鉄道の会計及び財務に関しては、本章の定めるところによる。」ということにかわつたりでございますが、これは現行法の一條に「国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、」というところがございますが、この国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営しているということは、この三十六條によりまして改正されるわけでございますか。その点につきまして、大臣がこの前に御答弁になりました今の国有鉄道が国有であるという点に、どういうふうにその根本的な問題がかわつて行くかどうかということでございます。その点の御答弁をお願いしたいと思います。
  53. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 その三十六條の改正によつて国有鉄道国有鉄道でなくなる、性格がかわるということではございませんので、現在存しておりまする日本国有鉄道法に基きまして、すでに特別会計からの羈絆を脱しまして、コーポレーシヨンは独立した会計をみずから所持した、いわゆる公共企業体に相なつたわけでございます。しかして今回の日本国有鉄道法の一部の改正は、すでに資料を御配付申し上げておりまするが、主として会計の面に関する規定をかえたのでありまして、そのかえ方が、すなわち国有鉄道国有鉄道にあらざる性格にかえるという意味ではございませんので、国有鉄道の性格は既存の法律でかわつてしまつておりますので、かわつたものの中の会計に関する面を一部改正するというのが、今回の法律一部改正の趣旨でございます。
  54. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、古い話にさかのぼるのでありますが、明治三十九年に設置されましたところの国有鉄道法の精神であります日本の鉄道というものは、その公共性から国有であらねばならないという、この根本的な精神に対しまして、大臣はどうお考えになつておられますか。
  55. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 その古い伝統を今年の五月三十一日まで継続して参つたのが、六月一日から日本国有鉄道法によりまして新しい、従来かつてなかつた性格の公共企業体というものに切りかわつたのでありまするが、しかし、公共企業体目的は、この日本国有鉄道法の第一條に書いてありまする通り、在来の特別会計経営しておつた事業を、特別会計にあらざる形にいたしまして事業を経営し、かつ将来の発展を期するというふうにいたした次第でございます。
  56. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますると鉄道経営というものは、やはり国有であるという根本精神にかわりがないという点を確認してよろしゆうございますか。
  57. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 国有であるというふうに確認するのは、誤弊がございます。実質は第一條によりまして、今まで会計の方式が国の会計で、国の会計は一般会計特別会計でございまするが国の管轄いたしまする会計のうちの特別会計でまかなつておりましたものを性格をかえまして公共企業体という、かつて今まで存在しない一つの組織をつくつたのであります。しかしてその内容は、いわゆるコーポレーシヨンの、公共企業体内容の財産は、全部政府がこれを出資いたしておりますので、国有鉄道は在来の形とは違いますがこのコーポレーシヨン、公共企業体の財産全部は、政府の出資というふうに相なつておるので、そこをそういうふうに区別をして御解釈を願いたいと思います。
  58. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますると、その点の御質問はこれで打切りまして、給與準則についてでございまするが、第四十四條に「その役員及び職員に対して支給する給與について給與準則を定めなければならない。この場合において、この給與準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度予算の中で給與の額として定められた額をこえるものであつてはならない。」というところがあるわけでございまして、その前に追加予算の三十九條の六には「予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り追加予算を作成し、」ということがございます。ただいま国有鉄道の労働者諸君が出しました要求が、調停を拒否されまして、仲裁にかかつているのであります。この仲裁がきまりました場合にはその決定に服さなければならないということがあります。補正予算を拝見いたしますと、補正予算には新しい給與の分としては全然考慮に入つていないように考えられるのでございますが、この仲裁の法律に服さなければならないという場合が、この避けることのできない事由に該当しないかどうか。三十九條の六の避けることのできない事由というところに、法の規定によりまして仲裁の決定に服さなければならないということが適当しないかどうか。大臣の御見解を承りたい。
  59. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 それは該当しないのです。公共企業体の労働法の十六條にありまする趣旨に従いまして、運輸大臣は仲裁委員会の裁定が出ました場合に、予算を伴うものとしからざるものと区別いたしまして、もし予算を伴うものがございました場合には、運輸大臣はこれに対して意見を付して国会提出し、議会がこれをいかように処理するかによりまして、また次の予算を組むとかいうような措置が生れる、さように御解釈を願います。
  60. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 いろいろ御意見もあるようでございますが、コーポレーシヨンになりましてから、このたびの新しい法律改正の主たるものはコーポレーーヨンの企業性ということと、それから公共性ということの統一をどういふうにやつて行くかという点で、今度の改正に非常に御苦心なさつておるように思うのでございます。企業性を主にして行きますればただいまいろいろ国有鉄道のやつておりますような、ほろ酔い列車であるとか、そうしたようなおかしなものが行われますし、公共性を中心にして参りますると、どうしても勤労大衆の運輸の点と、それから産業の輸送の面を中心にして、お考えになるという点が出て来るのでございますが、運輸大臣はそれに対しての権限を持つておいでになると思うのでございますが、ただいまの日本国有鉄道が赤字を出しておりまして、そして新しい予算では、補正予算として三十億も組んでおるのでございますが、その点につきまして、現在の日本国有鉄道に対して運輸大臣として、どれだけの指導、監督をおやりになつたかということにつきまして、実は本年度予算で要求いたしました結果、ようやくこの報告ができたのでございますけれども、その中で、きようは会計検査院の方もおいでになつておりますので、御答弁を願いたいと思つておりますが、現在国有鉄道の五月の三十一日から六月の一日に引継ぎましたいろいろの作業資産、固定資産等があるのでございますが、私どもの調査によりますとこれが非常に現品と帳簿との食い違いがあるというようなことも聞いておりまして、そういう点の検査、監督、指導、調査というものが、実は運輸委員会としても国政調査として要求されておつたのでございますが、運輸大臣はこの点につきまして、どういうような指導、監督をなさつたか。その経過はどうなつておりますか。こういう点について御答弁を願いたいと思います。
  61. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 前段の国有鉄道運営の目途が、企業性と公共性をどういうふうに考えているかということを申しますと、何しろ独立採算にしたのでありますから、俗に言えば、採算がとれるように運営をして行くことも、非常に大切なことなのでありまして、さればと思いまして、全然これがそろばん本位でということもむろんいけない。両方の観点を調和いたすように、柄澤君もお認めくださるように非常に苦心いたしておりますので、将来もこの両者の調和を十分にとつて、独立災算をますます堅持して行かなければならないと考えております。後段の点は政府委員として答弁をさせます。
  62. 足羽則之

    足羽政府委員 柄澤君の御質問のうちの、国有鉄道特別会計から公共企業体にかわりました前後の、資金経理状況内容につきましては、先般詳しく財政課長が御説明申し上げたと思います。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 詳しくないのです。そのためにわざわざきようは会計検査院の方に来ていただいたのでございます。この間はただここにございます表に現われた数字の御説明つたと思うのでございますが、その内容につきまして、私ちようど北海道の小樽の機関に参りましたときに、会計検査院の方がお見えになつておりまして、その調査の状況なども拝見したのでありますが、全国的にどういうふうになつてるかということでございます。そういう点の御説明がいただきたいと思つております。できますならばその後、貯蔵品の中から新しい予算として、不用、不急品としての拂下げ等も行われている予算が組まれておつたのでございますが、そういうものの経過もどのくらいになつておるかというようなことも承りたいと思います。
  64. 足羽則之

    足羽政府委員 御質問の点が具体的にはつきりいたしませんので、もし具体的な点でありますれば、いずれ承りまして、後刻調べて御返答申し上げたいと思います。
  65. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 会計検査院の方がお見えになつておりますので、会計検査院の方に、足羽局長はおわかりにならないようでありますから、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  66. 綿貫龍一

    ○綿貫説明員 ただいま御質問のありました六月一日の財産引継ぎに関する事項でございますが、実はきよう突然出てくれというお話がありましたのでどういう点に対する御質問か、内容がはつきりいたしておらないわけでありまして、国有鉄道法の一部を改正する法律案関連してというお話でありましたので、実はその面だけしか書類を持つて来ておりません。なおかつそういう二十四年度に入りましてから実施されました、コーポレーシヨンに引継がれた財産の面につきましては、われわれとしては検査はいたしてはおりまするが、何せまだ二十四年度のことで最近の問題でありますから、調査をいたしておるということだけを申し上げる程度にしかなつておりません。具体的に何がどうなつておるかということは、それがもしもわれわれの見ます立場から、国会に報告していい。あるいはすべきものであるということになりますれば、いずれ二十四年度の決算検査報告として申し上げることになると思いますが、いかんせんまだ調査中で、完結もいたしておりません。内部でこれをどうするかということも決定いたしておりませんので、具体的にお答えできないのを遺憾に存じます。
  67. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 赤字が出て、そして補正予算を組んで、貸付けを国からまたしなければならないというような状態になつておりますのに、ただいまの会計検査院の方の御答弁は、非常に遺憾なわけでございますが、できておらないというのではしようがないことでございまして、関係方面からも会計検査院のあり方につきましては、逓信の関係でもいろいろ御注意があつたということを聞いておりますが、ことに国有鉄道の場合には、加賀山総裁が伏魔殿と言われたようなこともございましたので、そういうお調べがあつた上で、当然この調査ができたと思うのでございますが、たとえば作業資産の中に、繰越貯蔵品として二百五億なにがしというものがございます。あるいは積送品とか未成品がございますが、こういうものが会計検査院がお調べになりまして、出て来たのではございませんか。引継ぎの際にはまだやられていなかつたのでございますか、その点を伺えればよろしゆうございます。
  68. 綿貫龍一

    ○綿貫説明員 ただいまの点でございますが、私どもは会計検査をいたしておるわけであります。いろいろと調べております。しかしながら検査院の意思としてこちらへ御報告いたしますのは、まだ時期が早過ぎる。私どもゆるがせにして、検査をしておらぬという意味では決してございません。検査は着々いたしておりますが、まだ結論に到達しておらない。こういうつもりで申し上げたわけであります。先ほども申し上げましたように、その点においてわれわれの立場から見て、もしも不当である。あるいは違法であるということになりますれば、それは明年度、つまり二十四年度の検査報告に掲載されて、こちらへ御報告いたすことになる、こういうお話をいたしたわけであります。調べておらぬということではございませんので、その点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  69. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは二十三年度の分がただいまできておるわけでございますか。
  70. 綿貫龍一

    ○綿貫説明員 二十三年度は目下調整中であります。二十二年度まで国会に御報告してございます。それでコーポレーシヨンの問題は二十四年度になりますから、普通に参りますれば、明年の十二月ごろ国会にまわるはずに相なると存じます。
  71. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 二十二年度の決算の検査報告が、政府の方にも提出されてございますが、この中で国有鉄道に関しまして、特殊物件の処分に関して措置の当を得ないものとして、決算委員会で問題になつておる点があつたように承つておりますので、二、三でもよろしゆうございますから、御報告願いたいと思います。
  72. 稻田直道

    稻田委員長 柄澤君、一時からこの部屋で法務委員会があるので、この法案に直接関係のないことは次の機会にお願いいたします。
  73. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 運輸委員会は、運賃値上げの問題でもそうでありますけれども、いろいろな点で全国民の注目の的になつております。與党の方は、運輸省と特別の会合などもお開きになつていらつしやるようでございますが、私ども野党としては、当委員会でこういう問題を検討する以外に方法がないのでございます。予算にも関係して、いろいろ運営方針についても明らかにしたい点もございますので、ぜひ会計検査院の方のお答えを願いたいと思います。
  74. 綿貫龍一

    ○綿貫説明員 先刻も申し上げましたように、国鉄法律の一部改正に関する事項をやるから出て来いというお話でありましたので、実は決算の書類は一切手元に持つて来ておりません。決算委員会というお話でありますれば準備して来たのでございますが、今間違つたことを申し上げましてはどうかと思いますので、もしぜひということで、委員長のお許しがあつて、決算報告事項をここで述べろというお話でありまするならば、後刻書類をもつて説明いたしたいと存じます。決算の検査報告のことでございますから、間違つたことを申し上げますると、こちらに対して相済まぬばかりでなしに、相手方の官庁もお見えになつておりまするので、その点御容赦願いたいと思います。
  75. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 おいで願いましたのは、私の言い方が足りなかつたかもしれませんが、当局のお出しになりました独立採算制に関する資料に関係して、ぜひ会計検査院の資料を持つて来ていただくためでございます。きようはその点徹底しておりませんために、資料を持つておいでになりませんでしたならば、次の機会にぜひこれをお願いしたいと思います。
  76. 稻田直道

    ○稻田委員 残余の質疑は次会に移します。次会は公報をもつてお知らせします。  本日はこの程度で散会いたします。     午後零時五十九分散会