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1949-11-17 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十七日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 松本 一郎君 理事 米窪 滿亮君    理事 田中 堯平君 理事 大西 禎夫君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    高橋 定一君       土倉 宗明君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       松井 政吉君    柄澤登志子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         (運輸大臣官房         長)         運輸事務官   荒木茂久二君         (鉄道監督局長)         運輸事務官   足羽 則之君         (鉄道監督局国         有鉄道部長)         運輸事務官   石井 昭正君  委員外出席者         文部委員長   原   彪君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 十一月十日  松草、平津戸間の鉄橋修築請願山本猛夫君  紹介)(第一三号)  山形市の都市計画に伴う物件移転費補償に関す  る請願松浦東介君外一名紹介)(第一一四  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)     —————————————
  2. 稻田直道

    稻田委員長 それでは会議を開きます。  前会に引続き日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。松井君。
  3. 松井政吉

    松井(政)委員 大体本法律案全般に対する五つの角度から、質問をいたしたいと考えております。  第一の問題は、今度の改正案内容全体にわたつて予算の問題から、予算実施する場合における問題、資金計画及び事業計画、あらゆる問題に関して、大蔵大臣権限が非常に強くなつております。従つてこういう事柄について私は非常に立法上の疑義を持つておるものでありまするが、少くとも予算が一たび決定されて、その予算実施等によつて運輸大臣大蔵大臣協議をなし、必要な事柄についての事務折衝のための通知を、大蔵大臣に出すというようなことは、私たちも認めるのであります。しかし閣議決定を必要とする事項、及び予算及び計画等に関する問題は、少くとも内閣責任を負うべき性質のものではないか、こういうぐわいに考えるので、その点についてこの改正要点に対するあらゆる問題全部に、大蔵大臣権限が大きくなつたことは、どういう意味であるかということを、第一点にお伺いいたしたいと思います。
  4. 足羽則之

    足羽政府委員 それは現行法よりも実は弱くなつておるのでありまして、ことにこの前御説明申し上げましたごとく、現行法ではたとえて申しますと、各四半期ごと支出負担行為計画とか、あるいは支拂い計画等につきまして、大蔵大臣の事前の承認が必要ということになつております。そういつた問題も全部今度はいたしませんで、資金計画提出するにとどまつておる。その点は特に予算実施について、国有鉄道の経理の運用に非常に自主性が認められたというふうに、御説明申し上げたと記憶しております。その他ここにあげました点では、財政法会計法適用がないものでございますから、單行法として具体的にあげたのでございますが、現在よりも大蔵大臣との関係においては、権限はむしろ弱くなつておる、こういうふうに御承知を願いたいと思うのであります。
  5. 松井政吉

    松井(政)委員 それならばこういう場合が考えられはしないかと思うのであります。たとえば運輸大臣大蔵大臣に報告をしなければならないとか、あるいは提出をしなければならない。大蔵大臣閣議決定を経なければならないという一箇條があります。こういう問題について、大蔵大臣を経なくて、閣議決定を必要とする事柄については、運輸大臣内閣提出をするという事柄の方が、よろしいのではないかと思います。この点が第一点。  その次にもう一つ大蔵大臣との関係におきまする四十七條大蔵大臣との協議意味は、事務的な協議事項であるのか、通知を受けた場合の單なる協議事項であるのか、それともこの協議事項というのは、大蔵大臣権限において協議した事柄に対する認可を與えるところの、認可権限を持つ協議事項であるのか、これについて明確なお答えを願いたい、かように考えます。
  6. 足羽則之

    足羽政府委員 運輸大臣大蔵大臣との関係につきましては、運輸大臣運輸行政一般監督大臣としての立場で、いろいろ関與されるようにこの中に規定してあるわけでありまして、大蔵大臣としましては一般財務関係主管大臣として関與する。こういう立場運輸大臣大蔵大臣との関係を、この法律には現行法よりも弱く規定してあるわけであります。なお四十七條の点でございますが、実はこの点はいろいろ運輸大臣承認をする事柄につきまして、あるいは認可する事項について、大蔵大臣協議するのであります。協議ということは、ご承知のようにその内容について向うの意見を求めるのでありまして、どうしても議が合わなかつた場合には、原案によつてやる、こういうことになると考えております。
  7. 松井政吉

    松井(政)委員 そうすると、この場合における協議という意味は、認可裁定権限協議の結果、大蔵大臣にあるという意味ではないということに相なるわけでございますか。
  8. 足羽則之

    足羽政府委員 普通協議という言葉を使います場合には、慣例としては運輸大臣の方が原議をつくりまして、その内容について大蔵大臣協議するのでございますが、法律上の用語としては、その協議が整わなかつた場合には原議で行く、こういう進め方になると私承知いたしております。
  9. 松井政吉

    松井(政)委員 そこで條文の例をもつてちよつとお伺いしたいのでありますが、私の申し上げておる点は、四十三條の4のごとき場合におきましては「運輸大臣大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。」この事柄は私はいいと思うのです。しかし今度は四十條の二におきまして、「当該年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を添え、運輸大臣を経て大蔵大臣提出しなければならない。」その次の2には「大蔵大臣は、これを内閣に送付しなければならない。」こうなつておるわけであります。従つて内閣に送付しなければならない事柄、及び閣議決定を経るような事柄については、あくまでも内閣責任を負うことが妥当であつて、その間に大蔵大臣が何らかの中間権限を持つというような事柄は、立法上の措置として私は不備だ。かように考えておる点を先ほどから申し上げておるのであります。従つて單なる通知事項及び協議事項等に関する事柄については、大蔵大臣との協議あるいは通知、これは異議ないのでありますが、内閣責任を負わなければならない予算上の問題、及び国有鉄道全般にわたる計画上の問題、及び閣議決定を必要とする事柄について、その中間大蔵大臣が何らかの権限を持つがごとき立法措置が、われわれは承知できない。こういう意味でありまして、この四十條の二の解釈と、その他の條項にうたわれておる單なる通知というものの解釈について、大蔵大臣権限との問題を、つまびらかにお伺いしたいと考えておるのであります。
  10. 足羽則之

    足羽政府委員 この問題は、今御質問になりました四十條の二の点でございますが、これは予算を拠出する前の政府部内の手続規定したものでありまして、現行法とかわりはないのであります。従つて特にこれに対して御質問のような御疑念と申しますか、そういつた点はないかと思うのでありますが……。
  11. 松井政吉

    松井(政)委員 よく答弁の中に現行法現行法ということがありますが、現行法を改めることが改正だと私は思うのであります。従つてその改正の場合に、現行法より強められたとか、現行法より弱められたとかいうことは、改正内容についてはあたりまえのことである。従つてもう一点、三十九條における2、3の場合におきましても、「閣議決定を経なければならない。」とあつて閣議決定を必要とすべき事柄についても、やはりその中間大蔵大臣一役買つております。こういう事柄については、われわれは立法上まことに不合理だと考えておる。あくまでも内閣責任を負うべきものは、運輸大臣から直接内閣責任を持つていただく。それから予算実施における軽い意味通知協議事柄は、これは運輸大臣大蔵大臣がやつて行く。こういう角度からやはり立法をつくつていただかないと、われわれはそこに非常な齟齬が起る。こういう意味でありまして、三十九條の場合における閣議決定を経なければならないという意味についてご説明を願いたい。
  12. 足羽則之

    足羽政府委員 国有鉄道のこの仕事につきまして、これを事業計画というかつこうで出すか、あるいは予算というかつこうで出すかということは、改正案をいろいろ検討いたします際に非常に議論をした点でございます。そこでいろいろ検討の結果、予算の姿においておおむね現行法手続現行法のやり方に従つて出すことが至当であろう、こういう結論に落ちついたわけであります。それを前提といたしまして、この法案をいろいろ審議、検討してまとめたわけなのでございますが、いろいろ予算実施の面、あるいはその他の点について、現行法よりかわつた点はございますが、予算提出手続につきましては、大体現行法を踏襲しておるわけでございます。それで現行法ということを引用して御説明申し上げた点は、実はそういう意味で申し上げたのでありまして、御了承願いたいと思うのであります。
  13. 松井政吉

    松井(政)委員 あの現行法より大蔵大臣権限が弱められているというのは、冒頭の御答弁承知いたしました。しかし弱められているということはあたりまえの話でありまして、公共企業体になりまして、大蔵大臣権限が薄くなるというのは、これは私は当然だと思う。従つて薄くなるけれども、予算の問題における三十九條の場所におきましては、やはり現行法を中心として、解釈いたしましたので、大蔵大臣を経て閣議決定をするということをそのまま残しておいたということに、改正大蔵大臣権限を狭めたとおつしやる事柄と、非常に矛盾が起きて来ると思う。しかしこの事柄は、今議論をいたしますと、考え方相違でありますので、私はほかの観点について質問を移して行きます。  第二番目に私がお伺いしたい点は、これは改正部分でなく、現行法部分についてでありますが、現行法部分における監理委員会構成のところで、ご質問を申し上げたいのであります。第十二條であります。十二條に「監理委員会委員は、運輸業工業商業又は金融業について、広い経験知識とを有する」ということになつております。監理委員会機能は、昨日も同僚委員質問について、非常に重要であるということを強調されたのでありますが、私はその考え方にはまつたく賛成であります。従つてこの監理委員会構成、そしてこの監理委員会日本国有鉄道全般にわたり、事業計画及び資金計画、その実施業績等についての一切の事柄が、この監理委員会機能を活用する場合に大きいことになるわけでありますが、それほど日本国有鉄道事業そのもの監理に当る場合に、やはり多くの職員あるいは労働者を使つておりますので——これは私は職員をさして言うのではありません。国鉄の労働者を直接さして言うわけではありませんが、労働関係に対する権威者経験者知識者をこの監理委員の中に加えることが妥当だと考えておりますが、この点についてお伺いを申し上げます。
  14. 足羽則之

    足羽政府委員 その問題は、この現行法が審議されましたときに、いろいろ論議されました問題であると思いますが、実際の選考につきまして、そういう点も十分考慮して選考されておることと考えております。
  15. 松井政吉

    松井(政)委員 十分考慮されてということになりますが、運輸業工業商業金融業とうたつておりますので、考慮されたと言いますけれども、この運輸業工業商業金融業代表する者が、労働関係に関する代表とはみなされないのであります。従つて考慮されたということにつきましては、納得行かない。考慮されたとするならば、これは労働者代表とか、あるいは職員労働組合代表とかいうふうに私は言うているのじやない。これは学者でもよろしい。あるいはりつぱな知識経験者でもよろしいが、少くとも多くの労働者使つて事業成績を上げ、さらに企業体としての企業性を発揮し、さらに公共性を発揮する。国民全体の利用するサービス、公共性、この点を生かすためには、どうしても労働者の訓練、教育というものが必要になつて参ります。従つてその重要な監理委員会の中に、そういう意味における労働問題に対する権威の項目が入つていないということを私はさしておる。考慮されると言いますれば、何のために委員会運輸業なり、工業なり、商業なり、金融業という、業の名前を使つているかということに私は大きな疑問を持つ。従つて考慮されていないという解釈を持つのでありますが、考慮されておるならば、どういう意味考慮が拂われておるのかということを、もう一ぺんお伺いしたい。
  16. 足羽則之

    足羽政府委員 現行法が審議されましたときのこまかい論議につきましては、私その当時関係しておりませんので、承知はしておらないのでございますが、この條文を見まして、あるいは実際に選考されるにあたつて考慮されたであろうと考えております点についての私の考えを申し上げますと、運輸関係労働問題につきましては、一般労働問題以外の特殊性も相当あると考えます。従つて運輸関係労働問題については、別個な法制をもつてこれが規律されておるような実情でございますので、運輸業工業商業金融業について、広い経験知識を有するという表現によりまして、運輸業について広い経験知識を有するという場合には、運輸業全般にわたつて広い知識経験が必要でありまして、その中には、当然運輸労働に関する知識経験を有するというふうに解釈し得るであろう、こう私考えるのであります。また実際の任命にあたつても、そういう意味でいろいろ深甚な考慮が拂われておることを、私は想像いたしております。     —————————————
  17. 稻田直道

    稻田委員長 松井君の質疑中でありますが、今文部委員長原君が見えておりまして、先般来文部委員会にかかつております商船大学の件でありますが、これにつきましては、關谷委員より連合審査会を開いてもらいたいという御要求がありまして、本委員会では開くことに決定をいたしたのであります。しかるところ文部委員会の現段階における空気は、原案そのまま通るであろうということだそうでありまして、もしさような場合に、運輸委員会といたしまして、なおかつ連合審査会を開く御方針であるかということをお尋ねになつておりますが、もし原委員長お話通りに、原案そのままで文部委員会が通すという條件のもとに、本委員会連合審査会を省略したらどうかという原委員長申出もありますが、この件にいかがとりはからつたらよろしゆうございますか。
  18. 關谷勝利

    關谷委員 私、連合審査を要求しておつたものでありますが、原案をいろいろ検討いたしまして、あの通りで通過するということでありますれば、連合審査は必要なしと考えまして、取消します。
  19. 米窪滿亮

    米窪委員 この前、当委員会で非公式な政府当局との話のときに、私からも質問をしたのですが、この際私からこういう希望を述べて——文部委員会におきましては、原案が今委員長の仰せられる通り條件に通過採択されるようですが、ただ一つの問題は、神戸商船学校の後身である海技専門学院をどう取扱うかということについて、文部委員会において、近い将来において関西方面にもう一つ商船大学を設置する見通しがあるということを、文部次官は言明されておる。従つて委員会原案に対しては、今委員長及び關谷委員の仰せの通り決定になつていいのですが、一つの附帯的な希望意見文部委員会に申し送ることを、皆さんの御賛成得たいと思います。それは取残された海技専門学院については、近い将来において関西にもう一つ商船大学をつくることを希望するという意味意見を、文部委員会の方へ申し送つていただきたいということを、私はお願いする次第であります。
  20. 稻田直道

    稻田委員長 ただいまの米窪君の御意見いかがとりはからいますか。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 これは以前に非公式の話でありますが、米窪委員からもお話がありましたし、あの海技専門学院と現在五つありますところの普通商船学校の処置につきましては、次の通常国会において処理をする、こういうことになつておりまするので、簡單な通知くらいでけつこうじやないかと思います。その程度で賛成いたします。
  22. 稻田直道

    稻田委員長 この際運輸大臣その他御意見があれば御開陳を願います。
  23. 大屋晋三

    大屋国務大臣 米窪君の御意見賛成であります。
  24. 稻田直道

    稻田委員長 それでは原委員長申出通りに、原案で通るならば運輸委員会連合審査をしなくてもよろしい。もし原案で通らない場合には、いま一応何らかの御通知をお願いするという條件のもとに、連合審査会はとりやめということに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 稻田直道

    稻田委員長 それでは御列席の原委員長も、ただいま運輸委員長の申し上げましたことを御了承願つておきます。  なお神戸海技専門学院も、適当な機会に商船大学にするということを希望するという意味を、この際運輸委員会として文部委員会に、何らかの意思表示をするということも決定してさしつかえありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 稻田直道

    稻田委員長 それではここに原委員長も見えておりまするから、ただいま申し上げましたことを原委員長から文部委員会意思を通してもらいましよう。原委員長発言を許します。
  27. 原彪

    原文部委員長 文部委員会におきましては、本法案がかかりましてから、質疑を続行したのでありまするが、大体質疑も終了の段階に至つておりまして、この法案については、現在の見通しとしましては、修正すべき箇所がないように思われます。先般連合審査申出が当委員会よりございましたが、修正の場合は別ですが、連合審査いたしますると、時間的に遅れますので、その観点から、でき得るならば連合審査なしに通過させていただきたいということを、われわれ委員会理事会におきまして、当委員会に申し入れたらどうかという話でありましたので、お願いに出て参つたのでありますが、ただいま満場一致、連合審査をおとりやめになるようにおとりにからいをいただきまして、本法案を通過させる上におきましても、時間的に非常に節約になりますので、ありがたく存ずる次第でございます。  なおただいま附帯的決議的なお申出がございましたが、この点はあす私の方の委員会がありますので、委員会に申入れをいたします。おそらくあすは採決に相なることだろうと思います。ただいま委員長よりお申出がありましたので、一言発言をお許し願いまして、お礼を申し上げる次第であります。     —————————————
  28. 松井政吉

    松井(政)委員 そこでただいまの十二條に対して、もう一点質問したいのでございますが、運輸業工業商業金融業ときめてある。運輸業の中には運輸業全般にわたる経験者ということになれば、運輸業そのもの労働問題にも経験者であるということの説明がございましたが、そうなると工業商業金融業もやはりそういうことになりますので、これにまことにおもしろい解決だと思うのであります。そこで趣旨賛成されておるように私は先ほどお伺いしたのでありますが、そういう考慮が拂われたということでありましたので、考慮を拂われておるならば、今回改正するときに、やはり十二條の中に労働関係に関する代表を入れるというような事柄は、当然改正要綱の中に入れておいていいはずであります。現行法決定するときにやはり論議になりまして、その趣旨考慮の中に入れてということならば、改正のときに当然その考慮が厳格に、実質的に拂われなければいかぬのでありまして、うたうことが当然だと思いますが、うたつておらないで質問しておるわけであります。従つてこれを入れる御意思があるかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
  29. 足羽則之

    足羽政府委員 先ほど御説明しましたのは、運輸業について広い経験知識を有するという中に入つておるという説明は、特に運輸業の中の労働関係というものは、まだ特殊なニユアンスもありますので、時にその解釈としてそういうことを考えることが至当である。またそういうふうに考えられておるであろうという意味で申し上げたのでありまして、また実情においても選考にあたつて、そういうふうに選考なさつたのではないかと私たち思われる点もあるのでありまして、従つてそうした運用によつて十分その考慮も拂い思るわけでございます。それでこの点については私たちとしましては、特に改正考え意思は持つていなかつたわけでございます。
  30. 松井政吉

    松井(政)委員 改正する意思を持つていなかつたとおつしやるのでありますが、今後も持たないのであるかどうか、お伺いしたい。
  31. 足羽則之

    足羽政府委員 大体お言葉のように私考えております。     〔委員長退席大澤委員長代理着席
  32. 松井政吉

    松井(政)委員 この條項については、私たち納得できないということを表明しておきます。  さらに現行法の問題についてもう一点お伺いします。現行法の二十六條の第二項の規定でありますが、これは第十二條の第三項第三号に該当する者を言うておるのでありまして、国務大臣国会議員政府職員または地方公共団体議会議員は、職員になれないという規定であります。これは私たち考えますと、なるほど国務大臣及び政府職員が、日本国有鉄道職員になれないというようなことについては、了承できるのであります。しかし地方公共団体議会議員をも兼ねることができないということになりますならば、これは日本国有鉄道職員は、一切の政治活動ができないということになりまして、憲法に保障されている事柄に徴しましても、納得できない條項となつているのであります。われわれはこれを改めるか、さもなくばこの條項を削除することが妥当と思うが、その点についてこの見解をお伺いしたい。
  33. 足羽則之

    足羽政府委員 この点につきましては、実は現在の日本国有鉄道の三十二條の第二項に、「職員は、全力をあげて職務遂行に専念しなければならない。」こういうふうに職員全力をあげての職務遂行義務というものが、規定をしてございます。そこでそれに対する例外も但書以下にあるのでありますが、ただいまお話のありましたように、国務大臣、あるいは国会議員、その他政府委員地方公共団体議会議員は、この第三項によつて、そうした地位にある人が職員になれないと規定してございます趣旨も、先ほど申し上げました三十二條の第二項と、実際問題として両立し得ないであろう、こういう見地からそういうふうに除外例が設けられている次第なのであります。
  34. 松井政吉

    松井(政)委員 その点についてさらにお伺いいたしたいのでありますが、御承知のように日本国有鉄道は、公共企業体労働関係法適用を受けるのは当然でありますが、これと同じ適用を受けております専売公社の場合にはないのであります。さらに今度は通信関係の場合は公務員でありますので、この規定適用されておる。しからば公務員公共企業体の労務者との区別が、さつぱりついて来ない。しかも専売公社の物合におきましては、こういう規定がない。こういうことに対する立法上の矛盾というものを、いかがお考えになりますか、御回答を願いたい。
  35. 足羽則之

    足羽政府委員 公務員公共企業体職員との間の、そうした違いのあることは、私ちも承知いたしております。ことに専売公社職員日本国有鉄道職員についての差のあることは、はつきり承知いたしておるのでありますが、仕事もおのずから違いますので、そうした考え方相違が出て来ておるというように考えております。
  36. 松井政吉

    松井(政)委員 少くとも国の法律が、公共企業体に対しては公共企業体独自の労働関係法規によつて、一切の事柄をきめて行くということになりますならば、同一取扱いを受ける企業体においては、同一の立場において取扱わなければならぬのが、私は立法上の精神でなければならないと思う。それが今度は作業状態が違うから、事業状態が違うから、特殊の状態だからということで、その場所において法律が立案されるということになりますと、秩序というものを保つ法の精神が生きて来ない。従つてそういう御都合主義的な物の考え方法律考えることは、私はまことにいかぬと思う。従つてあくまでもこの二十六條の二項の規定、要するに職員に対する政治的な立場における可能な範囲——私はむりは申し上げません。国会議員政府職員が、日本国有鉄道職員になるということ、の不合理も認めております。しかしながらやはり末端における自治体等の関係においては、非常に重要な事柄でありますので、これはぜひとも今回の改正に入れるべきが当然であり、さらにそうする事が当然だと思いますが、あくまでもこれを改正する意志はないのか。将来ともその場合におけるお考えはないのか。この点をひとつ明瞭にお答え願いたいと思います。
  37. 足羽則之

    足羽政府委員 お言葉を返すようでございますが、麻光公社と国有鉄道と両方比較いたしましても、あるいは勤務形態なり、あるいは作業状態なり、その実質を観察することによつて、單に抽象的に公共企業体であるから同一に扱うというだけでなく、ある個々の事項について多少の差の出て来ることは、これはあり得ることかと思うのでございます。職員が地方議会職員を兼ねることができぬという問題につきましては、同じその地方議会といたしましても、府県会なり市町村会などは多少違いもあるわけでございますし、その間気持の上で考え方に違いのある点は、私たちも多少感じております。ただいろいろなことを考慮いたしまして、政府といたしましては、改正案提出するという結論には、現在座到達しておらない次第であります。
  38. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいま松井委員から質問された点に関連して、大屋運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、先ほど松井君の言われた通り専売公社の方ではこういう規定がない。ひとしく公共企業体の従業員で、甲乙差別をつけている。これに対して足羽局長の今の御答弁は、専売従業員よりも非常に重大な任務を持つているからという意味の御答弁であつたのですが、重大なる任務を持つているから、こういう政治的活動をさらに一層厳重に制限するのである。すなわち義務を強く課するということであるならば、これに対して相当の優遇をすべきが本当だと思う。この点は予算の問題にわたりますが、幸い大臣もおられますから——いまだに国鉄の方の給與の裁定を、政府としては聞かないという態度である。人事院からの勧告があれば考慮するという程度で、一般の労働者の給與水準との間に、約二千円の開きがある。しかもドツジ公使の予算のわく内では上げられないとか何とか言つて、いまだにこれを上げようとしません。しかも同じ公共企業体の従業員の間に、一方においてはこういう政治的な活動の制限をつけずに、片方はつけるというのならば、幸い国鉄の方の調停委員会ではああいう調停をしているにかかわらず、何ら考慮しない。義務の方は非常な差別をつけておいて、権利については何ら考慮しない。こういうことではたして日本鉄道公社の従業員が満足して、円満に能率を上げて行くかどうかということについて、私は非常な疑いを持つております。国の法律をきめる場合においては、公平ということが一番必要であつて、同じ公共企業体でもつて差別をつけるということは、私としてはどうしてもよくわからぬ。しかもこの政治的活動の権限をつけるときにおいて、ドツジ公使もマツカーサー元帥も、公務員並びに公務員に準ずる公共企業体の従業員に対しては、給與の点については一般的な労働者の平均水準にひとしい点をわれわれは考えているということは、しばしば、関係筋も声明している。政府も大体においてこれを承認していると考えている。これらの点について大臣の御答弁を願いたい。
  39. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまの御質問でありますが、今回の改正法案の主たる動機は、会計法が不備であるからというので、大体この法案が成立いたしますときに、会計法その他に対して審議を十分畫すべきであつた希望を留保して、これを一応パスさして、近い将来に改正案を出すという沿革付でありますことは、御承知通りでありまして、今回は会計の條項に対しまして主として改正のメスを入れましたような次第で、ただいまの公称貧の問題に関しまして、同じコーポレーシヨンでやつて専売公社日本国有鉄道が取扱いが異なつておるという問題は、ごもつともの趣旨もありますので、よく研究いたしまして、もし御提案の趣旨の方がいいという結論が出ました場合には、また政府として改正の提案をいたすようにいたしたいと思います。
  40. 松井政吉

    松井(政)委員 それではその次に移りまするが、もう一点お伺いしておきたい問題は、この前も私御質問申し上げたのでありまするが、四十四條の給與準則の問題に関連してでございます。この給與準則はまだ準備しておらないという御回答だつたのでありまするが、大体お伺いしたい点は、給與準則は、現行法の三十四條に、「公務に従事する者とみなす。国家公務員法は適用されない。」とうたつております。さらにその前におきましては、これは二十八條の二項でございます。「職員の給與は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給與その他の條件考慮して定めなければならない。」と現行法の給與の規定條文化されておるのであります。そうすると今度きめられる給與準則は、まだ準備してないという御回答でありましたが、大体において二十八條の二項の精神が給與準則の中心をなすという考えでよろしゆうございますかどうか、この点をまず第一にお伺いします。
  41. 足羽則之

    足羽政府委員 抽象的に申しますと、お言葉通りであると思います。
  42. 松井政吉

    松井(政)委員 そういたしますると、この前も質問をいたしましたように、今度の四十四條の改正法案における「国会の議決を経た当該年度予算の中で給與の額として定められた額をこえるものであつてはならない。」と、予算措置でぴつたり押えられておるわけであります。その場合において、この二十八條の二項における公務員の給與に対する変動が起つた。経済的物価の関係から生ずる民間事業の給與に変動が起つた。あるいは国鉄の事業が非常にうまく行つて利益が出て来た。こういう場合においても、この四十四條の後段における予算の範囲を越えてはならないという、予算に束縛されておるために給與は改めることができないかどうかということについてお伺いしたい。
  43. 足羽則之

    足羽政府委員 法律解釈といたしましては、そういう必要がありまして、それが予算によつて縛られておる場合には、あらためて追加予算なり、必要な予算措置を講じて行く、こういうことになろうかと思います。
  44. 松井政吉

    松井(政)委員 そうすれば四十四條の、予算の額を越えてはならないということの解釈は、追加予算の場合に、事業計画等において追加予算を必要とした場合の、事業計画の中に織り込まれておると思われる給與の額等もこの中に入つておると、こういう解釈でよろしゆうございますか。
  45. 足羽則之

    足羽政府委員 もう一度御質問の要点を……。
  46. 松井政吉

    松井(政)委員 たとえば、予算にきめられた額を越えてはならないという意味は、この改正法律案の中の追加予算條項のところにありまするように、追加予算を必要とした場合の事業計画、その追加予算を必要としたる事業計画の中には、当然事業計画の中に含まれる給與というものが入つておると私たち解釈をするのです。追加予算の中に入つておる給與、それもこのいわゆる後段の予算の範囲を越えてはならないということに入つておるのかどうか、こういう意味であります。
  47. 足羽則之

    足羽政府委員 実は御質問趣旨がはつきりのみ込めないのでありますが、この改正案の中に弾力條項と申しますか、仕事がふえた場合、それに対して収入もふえました場合、照応してその金が使えるという條項が……。
  48. 松井政吉

    松井(政)委員 もう一ぺん言いましようか。私の申し上げておる点は、四十四條の後段における、予箕の額を越えるものであつてはならないという、その予算意味は、一般予算の場合と、三十九條の六にきめられておりまする追加予算を組むときの、いわゆる事業計画の中に入つておると思われる給與も含まれておるのかどうか、こういう意味であります。
  49. 足羽則之

    足羽政府委員 追加予算として提出する場合でございますね。
  50. 松井政吉

    松井(政)委員 そうでございます。
  51. 足羽則之

    足羽政府委員 それはそうでございます。
  52. 松井政吉

    松井(政)委員 それも含まれておる、こういう意味でありますか。
  53. 足羽則之

    足羽政府委員 予算として組まれたものは、全部含まれるわけでございます。
  54. 松井政吉

    松井(政)委員 私は大体これで終りたいと考えるのでありますが、四十四條の二段の項目に対して、予算の額を越えてはならないということで、あくまでも普通一般予算及び追加予算等によつて、給與の額が締めつけられておるという事柄については、公共企業体として妥当でないという考えを持つておるのであります。というのは、たとえば経済界の変動による物価の異動、及び国秩自身が非常に成績がよくて利益があつた等におきましては、実質賃金あるいに実質給與の部面から、福利厚生等の準備をすることは当然だと考えております。従つてそういう一切の給與に関する事柄が、予算においてぴつたりきめられておるという事柄については、どうも納得しがたい。たとえば利益が上つて参りました場合には、民間の企業体でありまするならば、当然まず福利厚生施設を充実してやろうじやないか、あるいは福利関係を充実してやろうじやないかという事柄が起つて参ります。これは日本国有鉄道の場合でも当然起らなければならない。さらに物価の変動が起きて、公務員の給與ベースが改訂されるときには、やはり当然ベースをかえて行かなければならない。それが一々予算で締めつけられている。いわゆる束縛を受けるという事柄については、自主性を持たせるように改正されたというけれども、この條項には自主性一つもないということになりまするので、こういう点についてもう一ぺんお伺いしたい。
  55. 大屋晋三

    大屋国務大臣 私がお答えいたします。まさに全面的に御意見賛成であります。
  56. 足羽則之

    足羽政府委員 給與準則で、どういう項目が給與としてきめられますか、実はまだ研究中でありまして、はつきりしないのでありますが、しかし福利厚生施設なんかに対しては、これは給與とは考えておりませんので、多分給與準則に入らぬと思います。なお多分予算総則の方に入るかと思いますが、功労金をどう規定するかという問題も、この給與準則外に入ろうかと思いますが、いろいろそうした点につきましては、実際の予算の編成なり、あるいは給與準則の規程、そうしたものについてのいろいろくふうの余地もあろうかと考えております。
  57. 米窪滿亮

    米窪委員 この四十四條の後段について、大臣は、全面的に御賛成であるようですから、この委員会において四十四條の後段を削除するということにもし御決定の場合においては、政府当局はこれに対して御異議がない、こう解釈してよろしゆうございますか。
  58. 大屋晋三

    大屋国務大臣 それではもう少し詳しく私の意見を述べます。私大体大臣としてでなしに——大臣就任前にこの法案議会にかかりましたときに、今松井君の仰せられた趣旨を盛らずんば、この法律はコーポレーシヨンになつてから、何らの機動性を持たないという強烈な意見を持つてつたのでありますが、いろいろな関係で、時の議会でこういうふうになつたのであります。私の長年の事業経営の経験から考えて、公務員でないコーポレーシヨンという制度に国鉄をいたしました場合におきまして、今回提案をいたしましたくらいの改正では、十分にコーポレーシヨンを運用して行くことはできないと信じておるのでありまするが、まず今回はこの程度をとりあえナ当局として出しまして、おいおいに諸君の御協力を得て運用して行きたいと考えておりますので、米窪君のように今疊みかけられて、すぐさまどうこうという点につきましては、実行の上でなければお答えは申し上げられません。
  59. 松井政吉

    松井(政)委員 以上で大体私の質問を打切りたいと思います。そこで最後に、各派の委員の方々及び委員長、並びに政府関係の方々に了解を求めておきたいのであります。本日最初から私が質問をいたしました大体五つの種類に分類された質問でありまするが、この問題に対しましては、わが党といたしまして修正案の準備を進めております。本日法制局の方にお願いをいたしまして、二時ごろには大体修正内容がプリントされることに相なつておりますので、これを拠出したいと考えております。従つてその手続をとりつつあるということの御了解をお願いしておきたいと考えております。
  60. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は満尾君。
  61. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は大臣に特にお伺いいたしたいのでありまするが、今回の改正案の要点が、公共企業体としての能率的経営をするために、会計面に自主性を持たすということにあるように見えます。言葉をかえて申しますると、公共企業体権限につきまして、政治的な影響力を排除し、あるいは政治に経営が依存することを排除するというような意味ではなかろうかと思うのでありまするが、大臣の提案理由の中に、私は一言疑念を持つておるのであります。御説明になりました提案理由を拝見いたしますると、公共的見地から、これに対する統制を必要とすることもまた明らかなところである。この統制の程度、つまり公共企業体に対する統制の程度も、そのときの経済的情勢によつて相当の差があるから、現状として最も妥当な範囲でこれをやる、こういう御説明であつた。私は今回の、特に会計面の法規というものは、どうしても恒久性がなくちやいかぬ。ほかの面はどうか知りませんけれども、会計を運営して参りまするところの規範というものは、無色透明といいますか、抽象的でもよろしいから、とにかく恒久的規定でなくちやならぬところが大臣のご提案の説明では、現状においてさしあたりこの程度の改正をしたい。すぐまたひつくるめて、次の改正が控えておるからというようなことを思わせる御提案の理由のように拝見いたすのでありますが、まず第一段において、大臣はさような経過的な暫定的な御意志を持つて、この改正案を御提案になつたかどうか。これをまずお伺いいたしたい。
  62. 大屋晋三

    大屋国務大臣 今回提案いたしましたこの改正案は、本来これで十分であるとは考えておらぬのでありまして、その気持が提案理由にも現われておるのであります。そこで現段階におきまして一足飛びに、政府事業でやつておつたものをコーポレーシヨンにするために、この日本国有鉄道法ができました。そうしてそのうちの主として会計等に関する部分が不十分であるので、今回の一部の改正提出いたしたのですが、もちろんこれでは十分でございませんので、コーポレーシヨンの運営を将来やつて参りました上で、ありありと不十分であるという点が、この法律の上にたくさん出て来ることが予想されると思いますが、そのときにはひとつまた改正していただきたい。現在十分であるとは決して思つておらないという意味が、私の提案理由に述べてある次第であります。
  63. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はどんな改正案を出しましても、実行に移してみまして、いろいろ技術的な修正を要する面が将来出て来るであろうことは、当然予見しておるのでありますが、少くとも国有鉄道の運営というものが、コーポレーシヨンに切りかわりましても、国民に接触いたしまするサービスの点、事業の物理的な運営そのものの面におきましても、何ら変化がない。従つてこれは企業体としての性格を付與するかどうかだけの改正である。その改正が一拳にしてその段階において理想的だと思われるような案ができないというのは、これは一体どういうわけであるか。あるいは政府当局において時間がなくて、御勉強ができなかつたためであるかどうか。技術上の改正は講ぜられると言われますけれども、最初から不満足の意をもつて御提案になるということは、はなはだその意を得ぬような気がするのであります。のみならず先ほど申し上げる通り、会計に関する規定は他の規定と違つて、どうしても恒久性を持たせなければ、国鉄の財政経済の基本は立たないのではないか従つて会計規定に関しては、他の面におけるよりもどうしても生命を長く、先のことをしつかりお考えになるべきではなかつたかと思うのであります。もう一ぺんこの点について大臣の御所見を伺いたい。
  64. 大屋晋三

    大屋国務大臣 長い間の鉄道の組織を、今回のコーポレーシヨンに切りかえたのでありまして、法律をつくるときに、あらゆる点が全部予見されて法律ができたわけではないのであつて、またこれは厖大な独占企業体でありまして、事業としても非常に重要な事業でありますが、事業の経営を、しかも倉卒の間にこういう法律で新規の形態にいたしました場合には、この運営をやつてみました経験に基いて、逐次修正をして行くというのが、実体に適しておると思うので、不勉強であつたわけでもなく、また見通しが十分つかないという点もありますし、実際の運行に従つてそれに心して、だんだん適切に改正をして行くというのが、このコーポレーシヨンの場合には最も必要であるという見地でおりますので、不勉強とか時間がなかつたとかいうことは決して当らないのであります。
  65. 滿尾君亮

    滿尾委員 これ以上は見解の相違になりますから打切りますが、私ども御相談を受けました者の側といたしましては、御当局の準備が十分でなかつたような感じが多少するのであります。私は端的にそのことを申し上げる。政府委員に昨日お伺いをいたしましたところでは、いかなる会計規定を用意しておるか、いかなる政令を用意しておるか伺つたのでありますが、その要綱について満足する答弁をいただけなかつた。この点につきましては私は運輸大臣に一言ただしたいのでありますが、大体運輸省設置法案を審議いたしますときに、私は運輸大臣に対しまして、陸運に関する機構が小さ過ぎるのではないか。海陸並べてみまして、海運とのバランスにおきまして陸運が小さ過ぎる。これではたして十分な仕事ができるかということをお尋ねしたことがある。今日この法案の審議に直面いたしまして私ども感ずることは、陸運の間の、大臣の補助をせられる方々の非常な御勉強にもかかわらず、十分なる用意をもつてここにお出しになるだけのゆとりがなかつたのではないかということを憂えておる。この点につきましては、この設置法についてもう一ぺんよく考えをいただきたいと思うのであります。  さらに次の質問に入ります。昨日伺つたのでありますが、この会計の決算のことにつきまして、総裁の責任がいつ解除されるかということをお向いしたい。御当局の答弁では、国会に出されて、その決算が承認を受けたときだという御答弁があつたのでありますが、私はひそかに思いますのに、憲法の認めております会計検査院が検査をしてパスいたしまして、それでなお総裁の決算に関する責任を解除されないものであるか。法律的に見ますれば、会計検査の完了したときに解除されるのではないか。国会の承認というものは、政治的責任の解除ではなかろうかという気がしておるのでありますが、あらためて大臣の御所見を伺つてみたい。
  66. 大屋晋三

    大屋国務大臣 その点につきましては、昨日足羽政府委員が御答弁申し上げたそうですが、その通りと御承知を願いたいと思います。
  67. 滿尾君亮

    滿尾委員 今度はこの法律第一條について、大臣の御所見をただしたい。実はこの法律の第一條が、今回のコーポレーシヨンの性格を規定いたしまする最も重大な條文でございます。これは第三国会で審議された法律でございますので、私は当委員会の速記を一応調べてみたのでありますけれども、不幸にして私の調べました範囲においては、第一條に関してどなたも御質問になつておらぬようでありますから、あらためて私は疑念とするところを大臣におただし申し上げたいと思うのであります。  この條文を読んでみますと、「国が国有鉄道特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し」とありますが、この條文の感じが非常に政治的な感じがしている。現に特別会計をもつて経営している現在の路線、現在の鉄道の運営ということに、重点を置かれて書かれているように思うのでありますが、私は国有鉄道がパブリツク・コーポレーシヨンになつて、公共の福祉を増進するためには、当然わが国の将来の鉄道交通網というものを拡充するのだ、交通機関の整備をするのだという理想の一端が、ここにひらめきを見せなければならぬと思うのであります。ところがこの第一條を見て私の感じますことは、新線計画というような将来のわが国の陸運交通機関の整備拡充という理想が、ちつとも出ておらぬように思うのでありますが、大臣の御所見をただしたい。
  68. 大屋晋三

    大屋国務大臣 この第一條に「能率的な運営により、これを発展せしめ」という文句がありますが、私は現状維持、さらに進んでいろいろな理想を実現するという無味合いが、「これを発展せしめる」という中に含まつておるものと解釈をいたします。
  69. 滿尾君亮

    滿尾委員 「これを発展せしめ」というのは、営業キロがちつともふえませんでも、業績が大いに向上いたしますことを、「発展せしめ」というのがほんとうでなかろうかと思うのでありまして、どうしても将来のわが国の交通網を発達せしめるという気持を出さねばならぬ。ことに「経営している」とうたつてつて、「経営する」とうたつてない。ここのプログレシヴな形態をもつて表現している点に非常に疑念をもつ。この点、この法律ができますときに、十分の昇藤がなかつたことを非常に遺憾とするのでありますが、今回の改正を見まして、すベて現在の国有鉄道にわれわれが満足しておるかのごとき、政治的な感じがする。大臣はすべからく将来のわが国の陸運の発達につきまして、大いに新機軸をやつていただきたい。現在赤字だからといつて、現状に目がくらんで、百年の大計を忘れるようなことがあつては、まことに困ると思う。それで国有鉄道規定するこの立法の根本法規が、かくのごとき近近視的見地に立つて制定されておることを、私は遺憾と思うのであります。  それは意見でありますから、そのくらいに打切りまして、その次にもう一、つ伺います。鉄道債券というものが今回新しく頭を出した。私どもはその御構想の妙なのに非常に感心したのでありますが、この鉄道債券なるものは、一体普通の会社の社債と同じ性格を持つものであるか。あるいは国の公債に準ずるものであるか。もし一般社債と異なるものとすれば、いかなる特性——いかなる特権と申しますか、それを付與せられるお考えであるか、ご説明をいただきたい。
  70. 足羽則之

    足羽政府委員 鉄道債券の発行の具体的な点につきましては、政令に譲ることにいたしておるのでありますが、大体社債に準ずるもので、なお個々の点につい具体的な検討を今いたしておる次第であります。
  71. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は、いやしくも政府が法律案を御提出になるときには、それに付属するところの政令なり規程なりの大体の構想というものまで、まとめてお出しになるべきものではなかろうかと思う。少くとも日本の過去においては、そういう慣例があつた。しかるに、ほんとうの具体性を付付與するところのものについて、御構想がまとまらぬ段階において、法律案が出るということは、私は非常におかしいように思うのでありますが、この点におきましても、先ほど申し上げます通り運輸省の機構というものが、咋常に跛行的でないかという感を深くするものであります。  それから大臣にもう一つ伺います。先般来非常に問題になりましたのは、大臣御欠席でありましたが、四十條、四十一條の関係であります。これは一番山のところでございますが、つまり国有鉄道は、利益があれば一般会計に納付するのだ、損をしたら国有鉄道は交付金を頂戴する。これでは一体経営の自主性というものがない。実際の運用は心配いらぬのだという昨日の御説明でありましたけれども、少なくとも法規の上で一般会肝、あるいは国の政治力に依存する程度の高まつたというような形態の法律をつくることは、現在よりはるかに後退するものだと私は考える。ことに私は鉄道のほんとうの運営という見地から考えますと、利益があつたときにはこれを蓄積して、他日の不況に備えなければならぬ。そうしてこそほんとうの自主性というものがある。かつて国鉄の歴史におきましても、経済の波潮に従いまして、年々歳々必要な改良費というようなもの、改良平衡資金という制度を設定したことがあるのでありますが、今回の改正におきましても、何ゆえに改良平衡資金というような制度を御採用にならなかつたか、この点についての御意見を伺いたい。
  72. 大屋晋三

    大屋委員 その点は非常に重要な点でありまして、さしずめ第一段の問題として、利益があつた場合には損失を補填し、かつさらに利益があればそれを国庫に納めるということになつておりますので、民間企業のように、自分の利益を自分で処理するという程度には、まだこのコーポレーシヨンの組織を議する場合に、在来の厖大な国家の予算の範囲でまかなつておつたものを独立採算制にいたし、しかも予算は国家においてこれを査定するというところの過程にありますので、民間の企業のようなぐあいに一足飛びに行かないところに、御議論が発生するのでありまして、今の過程においてはこの辺でやむを得ないというふうに考えておりますが、将来は運営上、またいかようにでもひとつ改正をしていただきたいと思います。現状におきましても利益があれば、それがただいま申し上げたようなわけで国に納入され、従つてまた国の予算の形において国鉄に割当がなされるということになりますから、自由自在にみずからコーポレーシヨンの手でやる場合とは違い、多少煩瑣にになりますが、どんどん能率を上げて事業が利益を上げますれば、従つて国鉄の改良というような方面に、国の予算の形をとりまして国鉄に再還付されるというふうに私は考えております。根本的の問題は将来に譲つて、法文を改正する時期が来ましたらひとつやりたいと考えております。
  73. 滿尾君亮

    滿尾委員 事務当局にお伺いいたします。国鉄の今回の改正案にはないのでありますが、第三十三條を拝見いたしますと、勤務時間外の勤務のことをうたつておるのでありますが、鉄道事業というものは非常に業務量の繁閑の差がありますから、業務量の繁忙に適合する経営をしなければならない。そういう場合に、ある場合には勤務時間を越え、あるいは休日でも応援をしてもらわなければならないというような事態が発生して来ると思うのでありますが、ここには勤務時間外のことについて厳格な列挙主義をとつておる。しかも繁忙のときに努力してもらうという一項がないのでありますが、これでもつて国鉄の経営は一体全きを得るのであるかどうか、そのお考えを伺います。
  74. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 この点は事業経営の見地から考えますと、繁忙のときにオーバー・タイムをやつてもらうということは、きわめて望ましいことでございますけれども、御承知のように労働基準法の建前が、時間を厳守するということになつておりますので、この條件にあります場合のほかは、オーバー・タイムは自由にさせられない、こういう趣旨でございます。
  75. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は労働基準法は、一般原則をきめたものだろうと思う。しかし国鉄の経営は、国鉄という特殊の業体にある。従つてこういう特別法で除外例をお認めになつてこそ、私は国鉄の経営に対して忠実なるものであろうと思うのであります。原則がそうなつておるからといつて、自分の事業の特色——十人十色で、それぞれ特色がある。その特色をほんとうに生かすことをしなければ、国鉄の経営は全きを得ないと思う。従つて簡單に原則におじぎをして、手をあげられることはどうかと思うのでありまするが、御意見を伺いたい。
  76. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 基準法は、現在終戦後におきまするわが国の労働法規として、重要な部分をなしておりますので、その重要な原則に対しまして除外例をつくります場合は、国有鉄道のような事業におきまして、やむを得ざるものに限るということにしております。われわれの見地から考えますと、もつと望ましい点もございますけれども、国全体から考えまして、この限度に限られた、こういう事情でございます。
  77. 滿尾君亮

    滿尾委員 私の質問はこれで終ります。
  78. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 残余の質疑は次会に続行することといたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時二十六分散会