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1949-11-16 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十六日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 松本 一郎君 理事 米窪 滿亮君    理事 田中 堯平君 理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾関 義一君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       高橋 定一君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       松井 政吉君    清藤 唯七君       柄澤登志子君  出席政府委員         (主計局法規課         長)         大蔵事務官   佐藤 一郎君         運輸政務次官  原 健三郎君         (運輸大臣官房         長)         運輸事務官   荒木茂久二君         (鉄道監督局         長)         運輸事務官   足羽 則之君         (鉄道監督局国         有鉄道部長)         運輸事務官   石井 昭正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       加賀山之雄君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 十一月十五日  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号) 同日  丹波大山上家復旧促進に関する請願(佐々木  隆雄君紹介)(第二七二号)  鉄道貨物運賃値反対請願黒澤富次郎君外  一名紹介)(第二七三号)  鹿児島、門司間夜行列車運輸開始請願(上林  山榮吉紹介)(第二七四号)  私鉄貨物運賃通算制に復帰の請願小峯柳多  君紹介)(第二七六号)  草軽電気鉄道株式会社線路縮小反対に関する請  願(小峯柳多紹介)(第二七七号)  正明市、長門三隅両駅間の線路を仙崎駅経由に  変更の請願周東英雄紹介)(第二八三号)  仙石線を複線化請願庄司一郎君外一名紹  介)(第二八五号)  塩竈港を第一種港湾に認定並びに昭和二十五年  度修築公示に関する請願安部俊吾君外八名紹  介)(第三〇〇号)  塩竈港の修築費国庫負担増額その他に関する請  願(庄司一郎君外八名紹介)(第三〇一号)  日出駅に貨物取扱開始請願松田鐵藏君紹  介)(第三〇二号)  国営バス運輸開始請願淵上房太郎紹介)  (第三〇三号)  金島村小野子に停車場設置請願小峯柳多君  紹介)(第三〇四号)  朱鞠内、羽幌間鉄道敷設促進請願玉置真一  君外一名紹介)(第三一四号)  陸運局分室地方移譲反対に関する請願坪内  八郎紹介)(第三一五号)  本楯駅にこ線橋架設請願志田義信紹介)  (第三三二号)  鉄道用炭海上輸送継続請願橘直治君紹  介)(第三四二号)  吾妻郡における省営自動車拂下反対の請願(増  田連也君紹介)(第三四三号)  吹田駅北出口地下道開設促進請願小西寅松  君紹介)(第三四四号)  仙山線電化促進請願庄司一郎紹介)(第  三四七号)  陸運局分室地方庁移譲反対に関する請願(伊  藤郷一君紹介)(第三四八号)  余部埼灯台設置請願有田喜一紹介)(  第三七五号)  通学運賃引下げ請願若林義孝紹介)(第  三八四号)  自動車運転技術者養成のための燃料特配請願  (大西弘紹介)(第三八八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)     —————————————
  2. 稻田直道

    ○稻田委員長 これより運輸委員会を開きます。  本日の日程に入る前に御報告申し上げます。先日道路運送法の一部を改正する法律案及び請願二十三件が、本委員会に付託になりましたので、この機会にお知らせしておきます。都合によりまして請願は逐次上程するかもしれないと思つております。  それでは前会に引続きまして、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。
  3. 岡田五郎

    岡田(五)委員 本改正法案の二、三につきまして質問を申し上げたいと思います。  まず四十二條の「業務に係る現金」の取扱いについてでありますが、この際国有鉄道といたしまして、取扱い現金市中銀行に預けるということまで、お考えなつたことがあるかどうかということについてお尋ね申し上げたいと思います。何がゆえに市中銀行預金ができないかということにつきまして、御説明を伺いたいのであります。国庫預金いたしまして、例外といたしまして市中銀行預金をする。四十二條はこういう規定になつているようでありますが、国有鉄道における「業務に係る現金」の取扱いというものは私は主として駅において行われるのではないかと思う。しかもこの駅において収入せられました現金は、現在におきましては非常に陳腐な形の金額と称する金びつに入れまして、管理部所在地に現送しておる現状でございます。この現金取扱いを安全にするために、四十二條例外規定ができたものと私は推察するのでありまするが、これをこの條文通りに運用いたしまするならば、むしろ国有鉄道収入金の八、九割は、この例外規定を適用できるのではないかと私は考えるのであります。国有鉄道といたしまして、この四十二條規定文句をできるだけゆるやかに解釈して適用し、運用し、郵便局及び市中銀行に預けられるだけの覚悟があるのかどうか、こういうことをお尋ねいたしたいのであります。またこの例外規定を極力運用することによりまして、現金取扱い安全性を保つことができ、集めた金を地方銀行に預けまして、地方においてその現金をできるだけ活用し、還元することができる。こういう趣旨から言いまして、私はこの例外規定をできるだけ広く、できるだけこの文句通りに活用することを希望する次第であります。  次に四十二條の二と四十二條の三でありますが、過般の大臣の御説明では、国有鉄道資金鉄道債券をもつて民間資金をも利用することができるということを言つておられましたが、その裏には、この長期借入金及び短期借入金政府からのみ借り入れて、民間からは借り入れないという、従来の規定通り嚴守されて、ただ單に鉄道債券によつて民間資金を吸収するということのように、私は解釈するのであります。ただ四十二條の二、四十二條の三から見ますと、四十二條には、国有鉄道は「政府から長期借入金及び短期借入金をすることができる。」とあり、四十二の三は「政府は、日本国有鉄道に対し長期若しくは短期資金貸付」をなすことができる。こういう裏表のことが書いてあるのでありますが、この條文を見ますと、民間から長期及び短期資金調達することができないとは書いてないのであります。現在の規定には、政府以外から資金調達することができないという。明らかな禁止規定がある。はつきり長期及び短期借入金はできないことになつておりますが、もし国有鉄道におきまして、長期及び短期借入金ができないという原則をお持ちになるならば、私は現行法規のようなはつきりした禁止規定を挿入することが、適当ではないかと考えるのであります。ただここで私が御質問申し上げたいのは、国有鉄道として現行よりも一歩飛躍して、何がゆえに長期借入金及び短期借入金を、民間からなすことができるというところまで飛躍できなかつたのか。この点につきまして理由を御説明願いたいのであります。次にあと一、二でございますから、項目だけを並べます。鉄道債券についてでありますが、どういう種類で、どういう條件のもとに、この鉄道債券発行せられるものであるかということを承りたいのであります。もう一つは、この鉄道債券発行する限度は、予算をもつて、国会の議決を経なければならないということになつておりますが、聞くところによりますと、二十五年度予算の編成につきましても、目下国有鉄道または運輸省において、作業を続けておられるようでありますが、この鉄道債券発行額につきまして、二十五年度はいかほど予算に組入れられるおつもりであるかということを、お尋ね申し上げたいのであります。と申しますのは、この長期借入金または鉄道債券は、私の想像では多分五年償還なり三年償還なりの長期のものであろうと考えるのであります。これらのものは多分工事費勘定といいますが、建設改良関係の方に主として使われるのじやないかと考えるのであります。従いましてこの額によりまして、二十五年度国有鉄道が行わんとする建設改良、すなわち電化、あるいは旅客、貨物のサービスの充実、あるいは運送力の拡充というような面に現われて来ると考えますので、どの程度出すかというおつもりをお聞かせ願うことを、私は深く期待しておるのであります。     〔委員長退席大澤委員長代理着席〕 次にお尋ね申し上げたいのは、この條文では見当らないのでありますが、国有鉄道法一條目的に沿う限りにおきましては、投資行為といいますか、ほかの関係事業投資ができるのかどうか、この点をお聞かせ願いたいのであります。以上簡單でございましたが、項目的に私の質問事項を申し上げたような次第でございます。
  4. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまの岡田委員の御質問に対してお答えをいたします。四十二條の「業務に係る現金」の取扱いにつきまして、市中銀行に預け入れることについて考えたかという、まず第一点の御質問でありますが、その点は当初相当大幅に市中銀行を利用できるようにしたいという希望もございまして、いろいろその点について研究をいたしたわけでございます。ところがいろいろ関係庁関係方面とその点について話を進めたのでございますが、国有鉄道業務にかかる現金国有鉄道のこうした現金国庫預託金にするということの理由については、原則につきましては昨日御説明申し上げましたような次第でありまして、なお進んで市中銀行に預け入れて、これを金融的に、あるいは経済的に利用するという点については、どうもその本来の趣旨から少し逸脱するように思える。従つてこれはやはり国庫預託金として、市中銀行に預け入れるということは適当でないであろう。こういう結論に達しまして、こういう改正案のようなことにいたした次第でございます。従つてそうした点については十分検討いたしましたので、この條文に上つておりますように、政令の定める範囲内で郵便局、または市中銀行に預け入れることができるということにするのでありますが、これは現金を安全に取扱うためという趣旨に限定されておりまして、現在の大体の実情を申し上げますと、市中銀行利用口数は、郵便局あるいは協同組合を入れまして、約千六百口ぐらい利用いたしております。それから日銀の支店、代理店利用口数が約五十二ばかりありまして、全部で約千六百五十ばかりを利用しておるわけでございますが、これによつて現金を安全に取扱うという当面の目的は、大体支障なく達せられた。大体こういうふうに考えておりまして、これを例外的に、できるだけ市中銀行を利用するということは特に考えてはおりませんので、必要な限度において市中銀行を利用する、こういうふうに考えております。  次に鉄道債券の発着の問題、及び長短期資金政府から、あるいは政府外から借り入れ得るかいなか、こういう御質問でございますが、これは現行法と大体同じ考え方でございまして、長期借入金政府からのみ借り入れ得る。こういう考え方で、現行法とその趣旨においては同一でございます。これも今度の改正案を検討いたしました際に、いろいろ議論をしたのでございますが、現在の経済界金融界実情、並びに国有鉄道において建設改良等のためには、相当な巨額の資金を必要とするのでございますが、そうしたものが現状から見て相当困難である。そこで主として政府からの調達に仰ぐ現行法建前を貫きまして、なお鉄道債券流通性がありますので、資金調達に非常に便利でございますし、また民間の零細な資金も集め得るという利点もあると考えられますので、そうした点を考慮して、ひとつこの際鉄道債券発行し得る道を開いて行こうではないか、この点だけをこれに加えた次第でございます。お話のように四十二條の二と、四十二條の三と相照応して、政府から借り入れるということと、政府貸付をしあるいは引受けをする。こういうふうに照応して規定をいたした次第であります。借入金政府からのみ借り入れるという趣旨については、現行法と同様の趣旨であります。  なお鉄道債券をいかにして発行するかという問題は、鉄道債券発行限度その他につきましては、予算によつて定められると思いますが、どういう條件でどういうふうに発行するかというふうな、鉄道債券発行にかかる個々の具体的な問題につきましては、政令で定めることになると思います。それから二十五年度予算には、鉄道債券発行することを現在では予想いたしておりません。  最後に投資の問題でございますが、投資の問題も今度の改正案を研究いたします際に、いろいろ検討いたしたのでございますが、これも現行法と同様に、投資ということは、いろいろ関係方面との折衝の結果も認められないことになりまして、この改正案には、投資をしないということで、その点については触れておりません。  以上簡單でございますが、御質問にお答えいたします。
  5. 岡田五郎

    岡田(五)委員 二十五年度予算におきまして、鉄道債券発行を現在においては考えていない、こういう御答弁のようでありましたが、聞くところによりますと、二十五年度国有鉄道におきましては、長期借入金式見返り資金からの流用、いわゆる建設公債的なものがゼロである。政府からの長期借入金がゼロであるということを、巷間伝えるところを聞いておるのであります。これにかわる長期的な鉄道債券というものを、この改正案が一月一日なり四月一日施行になりますので、しかもこの改正法案では、鉄道企業能率的経営だとか、民間資金を利用するのだとかいつて大臣もこの提案理由説明におきまして、鉄道債券発行ということにつきまして、非常に重点を置いておられたように私は聞き及んでいるのであります。その鉄道債券発行を二十五年度予算において考えてないということは、はなはだ私は遺憾に存じておるのであります。  次に投資の問題でありますが、非常に簡單説明をされましたが、何がゆえに国有鉄道投資ができないのかという理由を、もう少しはつきり御説明を願いたい、かように考えております。     —————————————
  6. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいま御質問の第一の点でございますが、見返り資金工事勘定財源に認め得るかどうかという点につきましては、まだ実は未確定でございまして、私たちといたしましても、ぜひ見送り資金から資金提給を仰ぎたいということで、目下十分に努力しておる次第でございます。なおそれに関連する鉄道債券の問題は、現在のところ先ほど御説明申し上げた通りでございますが、予算のそうした財源の問題が、全部まだはつきりいたしておりませんので、それらの点も、先ほど申し上げましたことを少し訂正いたしまして、いずれもまだ多少未確定の問題でございますので、はつきり申し上げかねる、こういうふうに御了承願いたいと思います。  なお投資の問題でございますが、国有鉄道業務を行う、その業務内容につきましては、第一條目的を達成するためいかなる業務を行うかということは、現行法の第三條にあげられております。投資という点はここにあげていないのでございますが、必要な関連した事業投資をするということが、相当考えられるのではないか。こういう点で投資ということを、今後の改正案を検討いたします際にいろいろ問題にしたわけでございます。しかし国有鉄道が非常に広汎な、多くの産業に関係のある複雑多岐な仕事をやつておるという点から考えて、そういう必要性もその立場からは十分考えられるのでございますが、しかし第一條目的を達成するため行う第三條の業務という点からは、どうしてもはずれる。従つて今後投資の問題が現実に起る場合に、第三條の第五号にあります「全各号に掲げる業務の外第一條目的を達成するために必要な業務」、こういうことに関連をして、別に検討する機会があつてもいいのではないか。こうした考え方結論が落ち着きまして、現在の法律條文建前からいたしましては、投資は認められないのでありますが、しかし今後に多少その解釈上の含み、折衝の余裕は残るものというふうに私たち考えております。なお現在の実例を申し上げましても、日通及び高速度交通営団投資をしておるのでありますが、これも現行法では投資は認められておらないのであります。しかしその場合も施行法の際に、たしか御審議を願いましたときに御説明したと思いますけれども、そうした現状を変更しようという趣旨ではないので、その点は認めよう。なおそうした問題については今後論議をする、検討する余地があるものというふうに取扱われておりますので、その点今後含みがあるように、なお検討の余地があるように私たち考えております。たいへん簡單でありますが、以上御説明いたします。
  7. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は滿尾君亮君。
  8. 滿尾君亮

    滿尾委員 私のお尋ねしたいことは、大局的な問題につきましてぜひ大臣から御答弁をいただきたいのでありまするが、お見えになつておりませんから、お見えなつた上でもう一度お尋ねすることを保留いたしまして、個個の條文に関する事務的な問題をお尋ねいたしたいと思います。  私の御質問申し上げる結論を先に一言御了解のために申し上げておきますと、鉄道が長年の国有鉄道の伝統から脱しまして、パブリツク・コーポレーシヨンの形態をとつた。この法律の第一條を見ますと、自主的な経営をし、能率的な経営をして、いわゆる政治的な圧力によつて経済上の運営支障がないようにするということがねらいではないか。たとえば運輸大臣がかわる。その都度経営首脳部がかわる。コーポレーシヨンとして、直接の政変の影響を断つたというところに、要点があるのではないかと思うのであります。従つて今回のこの会計規定の御改正も、そのような点に重点があるのではないかと、実は私は考えておるのでありますが、その点から概括的に批判別会計の時代よりも、かえつて逆転したのじやないか。これではパブリツク・コーポレーシヨンにしたところの精神が死んでおるのではないか。かような印象を持ちまして、今回の改正の案を拜見したのであります。従つてこの点に関しましては大臣に御質問することにいたしまして、まず條文について二、三の御質問をいたします。  利益金について昨日議論が行われたのでありますが、この利益ということがよくわからぬのであります。会計規則が今後にできると予定してありますが、従来とつておられました三勘定というような考えを、今後持つて行かれるものであるかどうか。つまり資本勘定収益勘定というような考え方が今後も存続して、そうしてここにいわゆる利益とは、収益勘定利益をさしておられるのかどうかということを伺いたい。
  9. 足羽則之

    足羽政府委員 損益勘定工事勘定中間勘定と、やはり勘定は三つございまして、利益金と申しますのは、その損益勘定利益金意味でございます。
  10. 滿尾君亮

    滿尾委員 さようにいたしますと、四十一條につきましてお伺いいたしたいのですが、昨日、もし利益を生じた場合は一般会計に納付する。それから損をしたならば政府から交付金を頂戴する。こういうからくりになつておる。この規定は実に遺憾な規定であつて關谷委員から削除の説が出ましたが、削除してもよろしい。まあ残しておいてもいいのですが、少くともこのままではいかぬ。これは修正する必要があると実は考えるのであります。なぜかと申しますと、総裁の御説明によりますと、「別に予算に定める場合を除き」と書いてあるから、その予算の中で一応の考慮が入るから害はないという、前段の御説明でございましたけれども、しかし当該年度予算と、ある年度利益金によつて生じた翌年の経費の使い方が問題なのであつて、その年の利益金とその年の予算とでは、御説明によつてつじつまが合わないように思うのでありますが、その点についてもう一度御説明いただきたい。
  11. 足羽則之

    足羽政府委員 四十一條の第二項の「別に予算に定める場合を除き」の意味でございますが、かりに今年度利益金があるといたしますと、これは利益金がどういうふうにはつきり出るかということは、来年にならぬとわからぬわけでございますから、来年の予算でなく、再来年の予算上にいかにその利益金を処分するかということが出て来る。処分の方は来年度再来年度になると思います。
  12. 滿尾君亮

    滿尾委員 さようにいたしますと、昨年の御説明ではちつとも安心はできないのであります。国鉄で上げた利益をもつて国鉄建設改良に充てる。これが従来の国有鉄道特別会計とつたゆえんであります。ところが今回の規定は、もしこの規定を文字通り解釈して運営いたしましたならば、鉄道会計独立性というものはまつたく失われてしまう。私はこれはきわめて重大な規定であるように思う。さらにまた四十一條の、損ができた場合には交付金をもらうということも、これまた鉄道会計というものの独立性を阻害する。私はこの規定にはあまり賛成できない。あつてもよろしいけれども、ここに「特別の必要」というようなあいまい模糊たる文字をもつて表現するのは間違いだと思う。この特別の規定というものは、国民負担から申しましても、天災地変があつた、その他不可抗力によつて国鉄が非常な阻害を受けた、これは国家負担において何とかしなければならぬという場合が一つ。もう一つ国鉄経営上、いわゆる経営上のプリンシブルによつて考えました場合には、当然運賃値上げをしなければならぬような場合に、他のもつともつと大きな国策的見地から、国策の犠牲をしいられるというような場合において、初めて交付金を交付すべきものであつて、單なる経済的な、日常的な運営能率、非能率を含んでおるところの、それによつて生じた損害に対しまして、国民負担においてこれを補填する理由がない。従つてここにいわゆる特別の必要があるというようなあいまい模糊なことを書かれることは、私は国鉄会計独立性から見て、絶対によろしくないということと、かつ国民負担をかような面に将来政治的に流用せられるおそれのあることも、これまたよろしくない。これは特別の必要あることの内容を明確にして、むしろ列記しておく必要がある、かように考えるのであります。そこで、四十一條はかような意味におきまして、これを明確にして、その限度を明かにしなければならぬ。それは四十一條の二であります。四十一條の第一項の損失補填をやれというのは、これはよろしい。しかし第二項のこの字句は、私は削除すべきものではないかと思う。これまた例外的に、非常の場合に国家国鉄から取上げることがあるかもしれませんけれども、そのときはその必要に応じて、別な法律を出してやればいい。一体この会計規則というものは、国鉄運営の骨組みでありますから、ほんとうに冷静に、公平にこれをつくつておかなければいかぬ。その都度その都度の政治的な影響によつて、この会計規則が変に運用されるということは、嚴にこれを慎まなければならない。この原案の通りの四十一條の一及び二の状態で行きますならば、私は今回の改正というものは、従来の国有鉄道特別会計制度よりも、内容においてずつと自主性を失つたものと、かように判断いたす次第でありますが、ぜひ深甚な御考慮を煩わしたい。この点は大臣見えましたときに、もう一ぺん念を押したいと思います。  さらに三十九條の十について、国鉄予算目的外に使用してはいかぬ。その十一でもつて流用大臣の承認がなければいかぬ。この十と十一の関連がよくわからぬのであります。目的外というのは、予算の事実的な構成なり、配分というものがありますが、どの辺の線で目的外ということを考えておるのであるか。また流用というものも、どの点までは流用を認めて——何もかもいかぬということはとても考えられないことでありますから、大体どこらの線で流用なり、目的外使用ということを考えておられるか。そこを明確にしておかなければ、やはり将来に問題になると思うのであります。
  13. 足羽則之

    足羽政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、四十一條につきましては先ほど御説明申し上げましたので、四十一條二の損失の場合の交付金の点を御返答いたしたいと思います。どういう場合に交付金を交付するか、それをはつきり書き表わすということは、実は非常にむずかしいことなのでございます。それで現行法も同様な表現をしておるのでございますが、これは結局交付金を交付するという場合には、予算として一般会計からの交付金になるわけでありまして、いずれも予算の審議として、その内容について国会の御検討をお願いするということになると思いますので、いかなる特別の必要があるやいなやの御判断は、議会で実は願える、こういうふうに考えます。従つてはつきりどういう場合にということを書くことは、困難でもあると思いますし、その意味におきましては、現行法のこの表現をそのまま踏襲しておる次第でございます。  三十九條の十の目的外使用禁止の問題と、同じく十一の流用制限との関係はどうか、こういう御質問でございますが、予算目的外使用禁止の場合、何を予算目的考えるかということにつきましては、現在の財政法三十二條の場合と同様に、政令におきまして、たとえば項のごとき項目を指定する予定でございます。この場合にある項と他の項との相互間においては、その金額を絶対に流用することはできない。いわゆる款項の議会予算取扱いと大体同様と考えております。  なお三十九條の十一の流用禁止の承認の問題でございますが、これは右の項目の部分によりませんで、たとえば給與のように、特にその経費を指定いたします。この場合におきましては、項に示されおります経費として指定するということも考えられるのでありますが、しかしそういうことは実際にはございませんので、あるいは給與のある特定の人件費とか、あるいはそういつたようなものを指定して流用を禁止する。こういうことになると思いますので、この十の目的外使用禁止と流用禁止との関係は、そういう意味の違いがあると考えております。
  14. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの局長の御説明あいまい模糊であつて、私にはよくわからぬのであります。三十九條の十の方は大体了解いたしました。十一の方の御説明は、款項の項目はある。しかし款項の項目にかかわらず、人件費その他というような考え方で、これが流用を禁止すると言うのでありますか。ちよつとはつきりしないように伺うのでありますが……。
  15. 足羽則之

    足羽政府委員 それは目とか節とかにこだわらないで、人件費とか、あるいは手当とか、そういつた事柄について流用禁止がされる、こういうふうに私考えております。それでありますから、これも大体現在と同様の扱い方だと思いますか、なお詳しくは紙田説明員に説明をしていただいてもよろしゆうございます。
  16. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでは三十九條の質問は、あとで個別的に伺うことにいたしまして、打切ります。  さらにお伺いいたしたいのは、四十條の三であります。これは決算に関することでございますが、この中に——これはこの條文だけではなく、方々に、提出しなければならぬという字句がありますが、この提出という法律的な意味は、いわゆる民間からの届出というようなものであるかどうか。あるいは事実上これは物理的行動で、出してしまえばそれで法律的効果が完成されるものであるか。まずこの提出の意義について御見解を伺いたい。
  17. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 提出ということは、物理的にいえば国会に提出するということでございますが、提出した後においては、これはいわゆる国会の承認ということになりますので、国の会計の決算の国会の承認と同様の形式において、同様の手続がとられることと思います。
  18. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、單なる送付というのがありますが、送付というのは、物理的な行動だろうと思う。ただ大蔵大臣その他へ提出しなければならぬ。提出したら、大蔵大臣の方から何らかの意思表示がなくとも、国有鉄道側としては、その行為が完成されたものとみなされるかどうか。そこが私のお伺いいたしたい要点なのです。
  19. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 四十條の三についてみますと、会計検査院に送付いたしまして、会計検査院が会計検査をいたしました結果、いけないということがわかれば、意見書を付して国会に提出することになります。従つて会計検査院の関係におきましては、物理的に送付というのは成立するだろうと思いますが、国会に関する限り、内閣として提出しますのは、單にそれを送り届ければいいということではなくて、提出した場合においては、国会の御審議を受けるということだと考えます。
  20. 滿尾君亮

    滿尾委員 それはまたはなはだ明確でないのでありまするが、この法律の中には通知という場合もあるのであります。それで提出したときには、何らか相手方の意思表示を待つておる状態であるのかどうか。私は国有鉄道としての責任はいつ解除されるのかという点について、懸念を持つているわけであります。あらためてまた教えていただくことにいたします。  さらに今度は四十條の三について申し上げますならば、国鉄の決算というものは会計検査院の検査を受けなければならぬ。会計検査を受けた後に国会に提出しなければならぬ。おそらくは国会の決算委員会あたりで審議を受けて、審議をされたものを報告されるのだろうと思うのですが、国鉄の総裁の決算に関する責任というものは、いずれの日に解除されるのであるか。私にはよくわからぬのであります。会計検査院をパスしましても、国会の審議を経なければ、国鉄の総裁は決算の責任を解除されないものであるかどうか、このことを伺いたい。
  21. 足羽則之

    足羽政府委員 それは会計検査院に決算を送付いたしまして、それをさらに内閣が国会に提出するのでございますから、国会に提出をしてその後に、今お話の総裁の責任というものはきまると思います。
  22. 滿尾君亮

    滿尾委員 これまたはなはだ明確でない御答弁でありますが、この法律の十條によりますると、監理委員会は指導統制する根源と責任を有しております。しかるに十九條におきましては、国鉄の総裁というものは、国有鉄道を代表し、その業務を総理する。総裁は、監理委員会に対し責任を負うとある。ここに監理委員会という存在が出て参りまして、総裁は責任を国会に対して負うているのではない。国民に対して負うているのではない。運輸大臣に対して負うているのではない。監理委員会に対して責任を負うている。しかるに監理委員会は一体だれに責任を負うのか。総裁が責任を負うている監理委員会の責任が、はなはだ不明確である。今の決算のプロセスと、監理委員会の介在することとは、一体どういう関連になるのであるか。もちろん責任を負うという意味は、予算、決算、運営全体について、総裁は監理委員会に対して責任を負うのだと私は思うのでありまするが、この三者の関係がこの法律におきまして非常に不明確である。これは将来の国鉄の根本的な問題に属することでありまするから、ほかの委員の方には非常に御迷惑のようでありますけれども、ぜひ徹底的にこれを糾明しておかなければ、後日国鉄運営上非常に支障があると私は思います。
  23. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 その点が必ずしも竹を割つたように明確に相なつていないということは、この法律を御審議願うときに御説明申し上げたわけでございますが、いろいろ関係方面のサゼスチョンもありまして、それによつてできた点でありまして、ドイツ式にきれいには割切れていると断言申し上げるわけには行かぬと思いますが、観念的に申しますと、国有鉄道の最高の責任者は総裁でございまして、総裁が国有鉄道を総裁するわけでございますが、その外部に対する関係におきましては、すべて総裁の意思がきまつて、総裁の意思として取入れられることによつて、それが国有鉄道の意思ということに相なるわけであります。しからば管理委員会との関係は、はなはだ不明朗ではないかということに相なるのでございますが、監理委員会国有鉄道の内部機関として存在しているものでありまして、それに対しまして総裁はそのコントロールをする。従つて監理委員会がこういうふうにすべきであるときめました場合に、それがすなわち日本国有鉄道の意思となるわけではございませんのでそのコントロールに従うう責任を負いますから、総裁は監理委員会の意思を受入れて、総裁の意思とすることによつて法律的に国有鉄道の意思というものが形成されるという関係にあるわけであります。この監理委員会に対して責任を負うというのは、内部的にさような責任を負うのでありまして、外部に対してはすべて総裁が責任を負う。こういうふうに解釈しているわけでございます。
  24. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府委員におかれましてもはなはだ不明確であるというお話でありますから、私としてもまた何をか言わんやということに相なるのでございますが、まことに残念なことに、これはわが国のりつぱな法律になつている。なるほど常識的には監理委員会は内部機関といえますけれども、この「総裁は、監理委員会に対し責任を負う。」という一句さえなければ、今のような議論は出て来ないのであります。この一句が将来に非常に大きな災いを残すものであると思うのであります。従つて決算につきましても、総裁は監理委員会の承認を経たならば、それで万事OKというふうに一応なるべきではないかと考えるのでありますが、この点が非常に遺憾に思う。これは法律ができるときの話でありますから、そのくらいにしてこれ以上追究いたしません。  次に四十條の三につきまして、まだちよつと私はふに落ちないのでありますが、会計検査院をパスしたときに、総裁の責任は解除されるのではないか。国会の審議というものは、一種の政治的責任の解除ではないかと思います。法律的に決算に関する責任の解除の時期は、一体いずれの日であるか、伺つておきたいと思います。
  25. 足羽則之

    足羽政府委員 会計検査院に内閣が決算報告書を送付いたしまして、会計検査院ではその内容をよく目を通して審査をして、さらにこれを国会に提出するのでありますから、その予算が国会に出ております以上、決算も同時に国会に提出されて、国会の承認を得るということで、その締め括りがつくと考えております。従つて会計検査院がこの国会提出前に検査をいたしますというのは、内容についてよく点検をして検査するということでありまして、やはり国会に提出して初めて締め括りがつくと考えております。
  26. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの政府委員の御説明でありますが、なお私も会計検査院のフアンクシヨンにつきまして一応研究いたしまして、もう一ぺん質問をする機会を保留しておきたいと思います。  それから会計検査のところでありますが、四十三條の一項によりますと、政令を定め、会計規程を定めなければならぬとありますが、どういう点に重点を置いて、今回会計に関する政令なり、会計規程をおつくりになるつもりであるか。私はこまかいことを申し上げるのではない。その会計規程なり政令なりをつくられる指導理念というようなものを、どういうところに置いてお考えになつておるかということをお伺いしたいと思います。私の意見をちよつとさし加えて申しますならば、過去における国鉄経営というものが、ほんとうに経済的な性格でありながら、経済的な運営がなかなかできなかつた。そのできなかつたのには、幾多の障害があつたけれども、その一つの大きな障害は、会計検査の嚴格なる施行にあつた。いわゆる国の他の行政事務を持つている国鉄運営を、同じものさしであてはめたのであります。その点について国鉄というものは、性格は民間事業と同じことをしておりながら、まことに動きがとれないで、あつぷあつぷしておつた間があつたように拜察するのであります。従つて今回の会計検査というものは、パブリツク・コーポレーシヨンの本質に衣がえをいたしました以上、今日以後の国鉄に対する会計検査というものは、何らか見る角度がかわらなければならぬと考えるのであります。そうしなければ、パブリツク・コーポレーシヨンにした精神の重要なるものは落ちてしまう。従つてこの政令なり会計規程というものについて、国鉄当局は今後どういう方向に持つて行きたいと思つておられるか。その重点をお伺いいたしたいと思います。
  27. 足羽則之

    足羽政府委員 財政法、会計法等の適用からはずれます結果、この会計規程を国鉄として定めなければならないという必要な理由につきましては、昨日御説明申し上げたと思いますが、その四十三條の第二項に、いかなる根本理念でその会計規程を定めるかということは、法律條文にその基礎理念をうたつておるように考えております。すなわち「前項の会計規程は、公共企業体としての日本国有鉄道の公共性にかんがみ、その事業能率的な運営予算の適正な実施に役立つように定めなければならない。」こういうふうに、きわめて抽象的ではございますが、第二項に会計規程を定める理念をここにあげたつもりであります。なお多少その説明を申し上げますと「その基本事項について、運輸大臣の認可をうけなければならない。」この基本事項について、こうした考え方が特に現われると思うのでございますが、大体従来政令以上に規定されましたいろいろな事項のうちで、国有鉄道能率的な運営と、予算の適正な実施、こういうものに役立つような事項を内容とするものを、これに規定することになる。政令以上に規定されておりますものが、いろいろ規定がはずれました関係上、今言つたような趣旨で特に規定しなければならない。こういつたものをこの会計規程にきめることになるというように考えております。なおその具体的な内容につきましては、目下検討中でございますので、まだはつきり申し上げる段階に至つていないのでございます。
  28. 滿尾君亮

    滿尾委員 では会計規程の草案ができましたときに、また拜見させていただいて、意見を申し上げることにいたしまして、この問題を打ち切ります。  もう一つ、三十九條の十四の二項でありますが、資金計画につきまして、大蔵大臣は、「国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することができる限度運輸大臣を経て日本国有鉄道に通知するものとする。」とある。四半期ごとの資金計画についてであります。これにつきまして、私はこういう疑念を持つのであります。予算と同時に資金計画は、議会の議決を経ておる。その実施につきまして、その年度内において大蔵大臣がほしいままに国有鉄道資金計画に干渉いたしまして、この実行を拒むという権能をどうして持つておるか。すでに国会において可決されたところの資金計画の実施におきまして、大蔵大臣が一存をもちましてその実施を押さえることができるというような規定をここにきめておきますることは、将来の国鉄運営の上に非常に害がある。もちろん国全体としての国民経済をより重しとするのでありますから、何が非常な変動が参りましたときは、そういうことがないではないと思うのでありますけれども、それはあくまで例外的措置であり、従つてこの規定はその例外の場合を決めるものであるということを表面にうたつておかなければ、このままの條文を率直に読みますと、大蔵大臣はきわめて平穏無事な場合におきましても、その欲するところによつて国鉄資金計画をほしいままに押えることができる。他のいかなる機関にも諮ることなくして、これを押えることができるのかどうか。この大蔵大臣の権限がどこから出て来るものであるか、その点について私は疑念を持つのであります。御解釈を伺いたいと思います。
  29. 足羽則之

    足羽政府委員 これは予算の実施の問題でありまして、四半期ごとに資金計画を出すのでございますが、これは国会の議決を経た予算の範囲内で、各四半期ごとにその実施計画をいかにきめるか、こういう予算の実施上の問題でございます。それで大蔵大臣がこの第二項にございますように、国の資金の状況の主として国庫に属する資金を中心とした国内一般の金融状況を、広く意味するものと考えるのでございますが、大体は主として国庫資金、こういうふうに考えていただけばよろしいかと思うのであります。それを勘案して、その四半期ごとの資金計画が実施できない。こう考えた場合に、その限度運輸大臣を経て国有鉄道に通知をする。国有鉄道におきましては、その通知に基いて、さらに修正をして、そしてやれるように、できるだけその内容を検討してやつて行く。こういうことになるのでございますが、今滿尾委員からいろいろ御懸念のありました点につきましては、われわれとしてはさようには考えておらない、こういうふうに実はお答えするほかはあるまいと思います。十分にいろいろな客観的情勢も勘案をして、大蔵大臣はその資金計画の妥当性を判断されるもの、かように私は考えております。
  30. 滿尾君亮

    滿尾委員 立案のお気持はわかつたのでありまするが、そのお考えは、必要以上に国有鉄道の将来の運営上の重大な利点を譲つておられると思う。この條文はまさに削除すべきだ。もし残すとすれば、よくよくの事態が発生したときはという、何か非常例外的な措置であるということを、一項加える必要がある。かつ大蔵大臣一存でやるということは、これは危険である。私は将来の国鉄運営を、政治上のいろいろな圧迫、束縛からこれを解放するということが、今回の会計規則の要点だと考えておる。従つてかような條文のあるということは、非常に危険であると考えておる。少くとも大蔵大臣がおつて、国会において可決された年度資金計画というものは、大蔵省としてはこれは一種の義務費である。将来金融情勢がいろいろ変化いたしましても、国鉄のために国会が可決いたしましたところの四半期ごとの資金計画というものは、すでにこれは義務費であると考えて、それ以外の状態において大蔵大臣は調整すべきものであると私は考える。それでなければ、国会がきめたことを大蔵大臣がかような権限を持つということは、非常に乱暴である。私はこの法律案の立案の根拠を疑う。また国鉄の将来の独立的経営、自主的経営という見地からいたしまして、この情勢は非常に危険であると思う。
  31. 足羽則之

    足羽政府委員 予算におきましては、年間の資金計画というものが、予算提出いたします場合に、同時に参考書類として出まして、そうして予算が審議されるわけであります。しかし政府からのいろいろの借入金などを、実際にいつ借りるか、こういう問題になると思うのでありますが、それを各四半期ごとの実施計画の場合に、いつどのくらいの額を借りるかというような問題が、年間の予算に定められた範囲内で、具体的に問題になると思うのであります。そこでそうした四半期ごとの資金計画というものは、政府からの借入金をどの程度、どういうふうにするかというような問題もありますし、その時期あるいは金額の点において、大蔵省といたしましてもおそらく具体的、客観的な情勢と比べて勘案をして、検討としなければならない点があると考えておるのであります。従つてこの條文がそうした意味では、国有鉄道の実際の事業運営上、非常に支障があるようなことになるとも、実は考えておりませんので、実際の、つまり予算で、定められた総額の範囲内で、各四半期ごとにいかなる時期にどうした金額を、どういうふうに資金計画の実施に盛り込んで行くか。その点についての検討が、各四半期ごとに必要になるのではないか。これはそれに対する條文でございますので、以上御説明申し上げましたような趣旨で、やはりこうした條文をつくることの必要があると、こう考えております。
  32. 滿尾君亮

    滿尾委員 私も一年間の資金計画をきめまして、四半期ごとの実施計画を国鉄へ出す。それに大蔵省として多少調整したいというのはさしつかえないと思う。この條文をこのまま読んで行きますと、たとえば第二四半期の資金計画の半額しか今度は使えぬと制限いたします。それでは第三四半期に、第三四半期固有の金額と第二四半期の繰越しを合せて実施するということは、この條文の解釈からは出て来ない。そこで私は各四半期ごとの資金の増減ということは、時のよろしきに従つて国鉄当局と運輸大臣、大蔵大臣と相談してやられるのもよいでしようけれども、年間を通じて結局先へずつて、それをカツトされるおそれがあるとするならば、この條文は非常に危険である。従つて四半期ごとの資金計画について、国の資金の状況によつて、大蔵大臣はこれを調整することができるとある場合は、第四四半期のものを第三四半期に繰上げて使うこともあるだろう。第二四半期を第三四半期に繰下げることもあるだろう。しかし年間における資金計画というものについては、大蔵大臣は必ず国会の議決したものを実行する義務があるのだというわくを、くずすことがあつてはならぬ。それでは国鉄は仕事ができないと私は思う。従つてこれはかつてに減額をすることだけをきめてあつて、ある四半期について増額することは書いてない。だからこれは字句の表現が間違つておる。どうしても調整することができるという程度にこれは直さなければいけない。
  33. 足羽則之

    足羽政府委員 予算の総額については、予算にきめられた額にかわりはないのでありまして、各四半期ごとの資金計画を、四半期ごとに出すのでありますから、今滿尾委員の仰せになるような点では、実は御心配ないのではないかと私たち考えております。予算の全体の額に関係がないので、各四半期ごとの具体的な実施計画でございますから、その御心配はないではないか、こう考えております。
  34. 滿尾君亮

    滿尾委員 それではこの解釈を将来にしつかりととどめていただきたいと思います。国鉄資金計画が大蔵大臣によつて不当に減額されないということでけつこうであります。以上をもつて私の第一段の質問を終りたいと思います。大臣見えました上で、もう少し補充質問をさしていただきたいと思います。
  35. 大澤嘉平治

  36. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 委員会が始まりましたとき以来御請求申し上げておりました資料は、きよういただきましたこれでございますか。
  37. 足羽則之

    足羽政府委員 さようでございます。
  38. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは一応これについて御説明をいただきたいのでございます。資料を要求いたしました趣旨は、この前も申し上げたのでございますが、休会中に開かれました運輸委員会足羽局長から御答弁があつたのでございますが、独立採算制を目標にして、日本国有鉄道がコーポレーシヨンとして出発したのでございます。それが実施いたしましてから幾ばくもたたない今日において、あの九万数千の首切りと旅客運賃六割の値上げにもかかわらず、今日九十億近いところの赤字を出している。その理由は何であるかということを申し上げましたときに、これは経済九原則の実施によつて、一口にいえば不景気になつたのであつて、その結果国鉄の赤字がふえたというような御答弁であつたと思います。その内容につきまして、つまり六月一日以来どういうふうに日本国有鉄道が輸送計画を立て、また検修その他の予算を組み、公共の利益目的としたところの経営が行われて来たか。それがどうしてその目的とする——いわゆる国営ではいかぬといつて、公共企業体に移しましたところの、その企業性に合致することができなかつたかという点を、予算の上からも、実施の経費の計上の上からも御説明願いたい。私どもが要求申し上げるまでもなく、これは当然そちらから私どもに対して、首切られて行つた従業員に対して、運賃を上げられた一般の国民に対して、国有鉄道が明かにしなければならない点だと思うのでございます。この資料はけさいただきましたので、十分検討する時間もございませんので、ひとつその御説明がいただけましたらたいへんよろしいと思います。
  39. 足羽則之

    足羽政府委員 きわめて概略ではございますが、差上げましたこの資料によつて、大体の国鉄の独立採算制に関する今年度の要点が、どういうふうになつているかということは、御了解願えるのではないかと考えております。なお旅客運賃値上げ後のいろいろな輸送事情の変化、それの原因等につきましては、昨日石井政府委員から詳しく御説明申し上げたので、それによつて御了承願えるであろうかと考えております。この資料につきまして簡單に御説明申し上げたいと思うのでございますが、この独立採算制とう言葉は、いろいろな意味に使われているようでございますけれども、要は国有鉄道における財政を健全化して、収支の均衡をはかる。こういうことを目的といたしまして、経営の合理化に努力する。こういう点に、国有鉄道における独立採算制という言葉は、きわめて大ざつぱではございますが、そういうふうに一応考えられております。従つてその線に沿つていろいろと努力して参つておる次第でございますが、この二十四年度におきましては、すでに当初から簡約した予算をもつて発足して参り、その説明といたしまして、この第一表をごらんになるとおわかりになつていただけると思うのでございますが、二十三年度予算と二十四年度予算を比較していただきますと、二十三年度の実際の公布予算、それを平年度換算、これはこの表に書いてありますが、二十三年度に、人件費にいたしますれば、基本給の改訂が年度の中間でございますので、それを二十四年度の基本給に換算をして計算する。あるいは物件費に置きましては、二十四年度の物件費の單価、そういうものをとりまして、二十三年度の盛られている予算内容を平年度、二十三年度の例に換算して行く。こういうように比較してみまして、いわゆる平年度換算という欄に上つておりますが、そういう換算をした二十四年度との比較の数字でございます。そういう比較をしてごらんいただきますと、すでに非常に節約をした予算で、二十四年度では経営費においてすでに約二一%の節約をいたしている。そうしてさらにそうした具体的な経営合理化の線に沿うて、進んで参つているわけでございます。その具体的なおもな項目といたしましては、御承知のような委託業務、日通に委託しておりました業務等を国鉄に還元いたしました点、これは予算上すでに約二十億の節約をいたす、こういう考え方になつております。あるいはいろいろな車両の修繕体制を刷新して、これを全部工機部直営に切りかえる。さらに契約方式の公開入札を実施する。これは物品あるいは工事全般にわたつておりますが、年度中途でございますので、まだそのはつきりした結果は上げられないのでございますけれども、物品について相当な率、ものによりましては大体五%から一〇%ぐらい節約されている例もあるようでございます。そういう契約方式の変更を実施いたして参つたのであります。あるいは人員の縮減については御承知の通りでございますが、いろいろそうした点につきまして予算を編成いたします場合に考慮されているのであります。さらに国有鉄道が公共企業体として六月から発足しているのでありますが、その節約した予算を実行して行きます上にも、さらに実行予算として相当な節約をいたして参つたのであります。これは半面にこの予定額の支出が相当出ております。従つて歳出予算の範囲内でこれを実行して参りますためには、相当いろいろな経費の節減というものをやつて参らなければならぬというので、これも相当努力をいたしております。  なお旅客運賃値上げ後の収入状況が好転しなかつたということにつきましては、昨日その原因についてこまかく御説明申し上げましたので、省略させていただきますが、現在におきましては、ここにあげてありますように、当初の予定に対しては約八十億の収入の不足が見こまれる状況でございます。これに対して現在のところでは、貨物収入を一月一日から八割値上げするという考え方で一応進んでいるのでありますが、いずれごく最近の機会に御審議を願うことと思います。  大体そういう線で進んでおりましてて、約五十五億の増額をこの運賃値上げによつて見込み得る。ただ当初の予定より実施期間が遅れますので、多少経費が不足になつて参ります。一月一日から実施するということによりまして、十二月から実施するより十九億九千万円不足になるという計算でございます。それと石炭手当及び寒冷地手当の額、その合計約三十億を一般会計から借り入れることによつて、今年度の収支のバランスはとれる。大体こういう考え方で現在進んでおります。  以上、きわめて簡單でございますが、概要を御説明申し上げた次第であります。
  40. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 御質問に対して御答弁が当を得ないと思います。そういたしますと結局、公共の利益というような観点から言いますと、乗客数は減つた。それから貨物の数量も減つているということになりますと、国有鉄道の果します公共の利益というか、目的が、そういう点では果たされなかつたということに結論がつけられると思うのでありますが、そういう点について加賀山総裁は長い間国鉄の中で育たれて、公共企業体に移つてから、下山さんがなくなられた後、総裁の位置についておられるのでございますが、その加賀山さんの御意見を承りたいのでございます。今のお話では御答弁にならないと思うのです。つまり公共企業体に対しまして、公共企業体の目的であつたところの公共の利益がどう具体的に実施されたかということでございます。それは乗客を運搬する数とか、貨物の数とか、運賃が安くなるとかいうこと、またそこに働いている従業員の生活の保障ができているかというようなことでございますが、そういう点が具体的にどうかということを御質問申し上げているわけでございます。
  41. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 先ほど足羽政府委員から御答弁申し上げましたように、経費の面では、もうこの公共企業体になる前から、本年度予算として一本に立てられておりまして、それが本年度に直してみると、二一%の節減された予算になつている。問題は運輸数量、検討になろうかと思うのでございますが、これにつきましては国有鉄道といたしましては、他のいわゆる生産業と違いまして、有効な需要がございませんと、仕事を自分でつくり出すわけには参らないのでございまして、旅客にしろ貨物にしろ、輸送需要のあつた場合にこれをお断りしたという例はないのでございます。従いまして有効な需要が、われわれが当初において予想し、また本委員会並びに国会において予定せられたところの数字に達しなかつたということになり、その結果として、ただいまといたしましては約八十七億の予定収入の減が見積られている、かような状態でございます。
  42. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 公共企業体が初めて出発したのでございますから、当局としてもいろいろ御苦労なすつたと思うのでございます。その一つの例は、新ダイヤを組んだこととか、あるいはへいわ号を出したこととか、いろいろあると思うのでございますが、その結果、それが従業員としては、労働強化に相なつておると思うのであります。私どもの経験から申しますと、乗客の利用数が、経費をかけて労働強化になつておる割に、上つておらぬというように考えられるのでございます。今度も赤字の問題が、この法案と関連して十分追及されなければならないという点は、企業性を中心にしておるのか、公共の利益を中心にしておるのかという点も、十分考慮されなければならないと思うのでございます。そういう点で、へいわ号の計画が実際にはどうなつておるか。さらにもつと具体的に申しますと、いろいろおもしろい企画がたくさんあるようでございまして、ほろ酔い列車であるとか、ダンス列車であるとか、大鉄では今度十一月の十二日からダンス・カー、スクリーン・カー、マージャン・カーというようなものも計画されておるようでございまして、こういうものが一体公共の利益とどういう関係があるか。どれだけの支出をして、どれだけの収入を上げておるか。笑つておいでになるようでございますが、長野などでは芸者を乗せて走る列車もあるようでございますが、こういうものが一体どういうふうに収入を上げておられるか。これが公共の利益目的にしておられるのか。いろいろそういつた点で総裁としての御意見を承りたいと思います。
  43. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 ただいま詳細な資料を持ち合せておりませんが、へいわ号は非常に公共の利益に合致していると私どもは考えておるのでございまして、各等連結しておりますが、各等ともすべて八〇%以上の乗車効率を示して、日々運転されております。これについては云々申し上げることはないと考えておりますが、ただいま各鉄道局でそれぞれの鉄道局長の試みとして、今言われたことが全部当つているかどうか、私も検討して見なければわかりませんが、そういつた遊覧なり、娯楽を兼ねた計画を立てて、実施しておることは事実でございます。これがいかほど公共の利益に合致するかということをお問いになつたわけでございますが、一面においては公共性をあくまでも保持するかたわら、ほつておけば八十七億の赤字が出る。これを従事員の努力によつて少しでもカバーして、一般会計からの繰入れというようなことのないようにする努力は、買つていただかなければいけまいと私は考えております。また公共の利益というか、公共の気持にどうフイツトするかということでございますが、これはおのずからそういつた催しに対して、お客様がこれをどれほど御利用になるかということで判断ができると思うのでありまして、これが非常にフイツトしなければ、そういう列車にだれもお乗りになる方はあるまいと考えておりますので、そういつたフイツトしないような計画は、計画の間違いだ、計画を立てる以上はあくまでも公共の気持に、また国民の生活にフイツトするものでなければならぬと私は確信しております。
  44. 田中堯平

    ○田中(堯)委員 今の総裁の御答弁は、はなはだ遺憾であります。というのは、そういう計画を立ててみて、フイツトすれば公共の利益に当てはまるのだという御見解のようですが、これは実際に利用者の層を分析してみれば、そういう見解が非常に危険であるということがすぐわかると思う。現在六割の運賃値上げをやられたために、実際はこれを利用することができなくて、たとえば東京に危篤の子供がおるが、何しろ山口から往復するのに、交通費が三千円も四千円もかかるということであつてみれば、指をくわえながら子供の死目にも会うことができないという利用層が、おそらく国民の過半数を占めていると思う。ところが一方、富が偏在しておるので、一部の階級は持ち余つた金がある。従つて芸者を連れてどんちやん騒ぎをしながら汽車で歩く。あるいは猟に行くために一箱買い切る。あるいはマージヤン・カーなども、これは相当利用者があるでありましよう。だからそういう計画がフイツトして、何がしかの黒字になるということだけをもつて、これは収益と営業方面と公共の利益とが合致しておるというような考え方は、非常に誤つておると思います。私どもはなるべく大衆の足代の負担を安くして、だれもが汽車に乗りたければ乗れるというような状態をかもし出すことが、公共の利益に合致すると思うのでありますが、いま一度その点について御見解を承りたいと思います。
  45. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 ただいまの田中委員の御見解は田中委員の御見解であつて、私ども必ずしも一緒の考えを持つておりません。国鉄一つの企業として成立たなければならぬ以上は、やはりそこに商売上手ということも考えなければならぬのでありまして、商売上手にやらなければ、運賃を全般的に安くして行くことはできない。下手な商売をやつておつたのでは、ますます高い運賃で少いお客を運ばなければならないようになると私は考えます。
  46. 田中堯平

    ○田中(堯)委員 これはここで争つてもしかたがないと思いますけれども、だからこそ元来私どもはこういうふうな交通事業というようなものを、私経営に近いようなコーポレーシヨン経営に移すことには、最初から反対しているのであります。だからどうしても収入の面で行き詰まつて来るのであります。それから何でかんでももうけなければならぬというのでは、公共の利益というものは自然おろそかになる。利益を盛つた計画がフイツトするから、公共の利益にはまつているじやないかというような、まるで乱暴な答弁まで用いなければならぬようなことになるのであります。こういうことから考えてみて、これは多くの人が汽車に乗れるように、需要者を満足せしめるような国鉄であつてこそ、初めて公共の利益に合致するわけであります。だから、これは根本的な立て方が違うので、ここで議論をしてみてもしかたがないのでありますけれども、ただ要望したいことは、今のようなマージヤン列車だけではなしに——何でも計画して、それが当たりさえすれば利益になる。これすなわち公共の利益なりというふうな考えは、将来多いに直していただかなければならぬということを要望して、私の関連質問を打切ります。
  47. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいま田中委員からもいろいろありましたけれども、そういたしますと加賀山総裁の御見解では、ほろ酔い列車、ダンス・カー、スクリーン・カー、マージヤン・カー、こうしたものが新しい試みとして、へいわ号なども経営は非常に成立つているようなお話ではございますが、大体私どもの調査によりますと、アメリカにもございますが、すわれぬお客がもうかるということになつておりまして、三等のお客が旅客運賃では一番黒字になつており、一、二等のお客は収支が合わない。寝台列車などになりますと、もちろんこれは損害だということを承つておりますが、明年度の客車の新造計画などを承つてみますと、寝台、観光列車用が九十両、食堂車が三十六両、展望車八両、二等車が二百両で、三等車は新造計画は全然ない。改造だけだというようなお話でございます。そうしますと日本国有鉄道はその財政を健全化するとか、収支の均衡を得ることを目標とするということを強調されておりますが、これは藪谷業務局長でいらつしやいますか、営業局長でいらつしやいますか、最近頻りと、国鉄は今までは公共性だつたけれども、これからは企業性を中心にするというようなことを、強調されているというふうに承つておりますが、加賀山総裁もやはりそういう御見解であるかどうかということを、一言承つておきたいと思います。またそういう方針のもとに、新造車両の計画なども立てられているかどうかということであります。
  48. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 私は昨日から本日にわたりまして、たびたび国鉄の公共性については、これを堅持しなければならぬということを申し上げているつもりでございますが、いわゆる役人の経営から、今度公共企業体としての経営に移る場合に、何が不足しているかと申しますと、いわゆる企業性が乏しいということではなかろうかと思います。企業精神が足りない。今までは永年官営として、国営として経営されて参つた。従つて公共性は頭の先から足の先までしみ渡つておる。私といたしましては、ここで企業性ということこそ、強く従事員に徹底せしめなければならぬ。それには反対療法と申しますか、今までのことと非常にかわるわけでございますから、一つのことを強く出すことが必要である。そのために、ただいまの私どもの指導方針といたしましては、企業精神の徹底ということに、重点をおいておるということは事実でございます。しかしながらそれだからといつて国有鉄道の持つ公共性を捨てて顧みないというようなことは、私としては絶対に考えておりません。
  49. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいまの御答弁によりますと、侍の商法と申しますか、御維新のときの経験もあるのでございますが、そういう点をなくするために、企業性を中心にしてやつておるということでございますが、しかし公共性は忘れておらぬという御答弁でございましたので、明年度の客車の新造計画なども、当然そういうことが考慮されてしかるべきだと思うのでございます。今度のこの改正法律では、いろいろ政府の方の交付金をとりましたり、あるいは余剰金をもらいましたり、独立採算制ということを言つておりましても、なかなかそれができそうもないので、やはり国からのいろいろな国庫余裕金の一時使用というようなことがあると思うのでございますが、そういう建前からも、ただいまは、委員会が三つにわかれておりますが、通信委員会などでは来年度予算案の御説明があつたというように聞いておりますから、もしできましたならば、補正予算予算のことにつきましても、御提示が願いたいと思うのでございます。  さらにもう一つただいまの御答弁趣旨を私どもたいへん尊重いたしまして、この法文の中の準則について御質問申し上げたいと思うのでございます。ただいま国鉄から要求を出されましたものが、調停委員会の決定も蹴られまして、仲裁委員会にかかろうとしておるということも承つております。公共企業体労働組合法によりますと、仲裁委員会の決定はこれを守らなければならないということになつているのでございますが、もしこれが決定されました場合には、当然総裁として大蔵省の方に移し、なお新しい予算が組まれなければならないと思うのでございます。三十億の補正予算内容には、それが組まれておらないように先ほどのお話では承つておりますが、どういうふうな御見解を持つておられるか、
  50. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 明年度予算につきましては、まだ国会に提出するまでの運びになつておらないのでありまして、今後なお折衝余地損益勘定工事勘定ともに持つているのでございます。これが政府としての見解が定まりました上は、当然委員会においてごらんを願い、御審議を願うという段取りに相なろうかと存ずるのであります。今回の一般会計からの借入れ三十億の中には、確かに、ただいま柄澤委員が言われましたように、給與の関係のものは含まれておりませんけれどの、ただいま給與の問題につきましては、仲裁委員会がすでに審議調査中でありまして、いずれこの決定がなされ、われわれに通告があることと考えているのでありますが、もちろん当事者といたしましては、公共企業体労働関係法に基きまして、この仲裁委員会の見解に拘束を受ける。これに従わなければならないということに相なるわけであります。
  51. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、新らしく予算を組まれるということになるわけでございますか。
  52. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 予算の範囲内でなし得ることならば、あらためて補正予算ということは必要がないのでございますが、予算以外にわたることに相なります場合は、予算の補正を要することになります。
  53. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 給與準則として第四十四條には、ただいま御答弁のように、予算の中でということがあるようでございますが、第三十九條の六の追加予算の項のところには「予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、」ということがあるようでございます。日本の国会のきめました法規を、日本国有鉄道がその法を実施するために、仲裁委員会の決定を実施するために、新しい予算を組むことは、この「予算作成後に生じた避けることのできない事由」ということにはならないかどうか。加賀山総裁の御答弁を承りたいと思います。
  54. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 今の御質問は、むしろ政府委員の方からお答え申し上げた方がいいのじやないかと思うのでありますが、現行法第三十九條にもそういうのと同じ趣旨規定がございますので、今柄澤委員が言われたことに相なろうかと存じます。
  55. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 本委員室は、午後一時から人事委員会が使用することになつておりますので、残余の質疑は次会にこれを続行することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十八分散会