運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-15 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十五日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 岡村利右衞門君 理事 關谷 勝利君    理事 前田  郁君 理事 米窪 滿亮君    理事 田中 堯平君 理事 大西 禎夫君    理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    高橋 定一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    松井 政吉君       清藤 唯七君    柄澤登志子君       飯田 義茂君  出席政府委員         (主計局法規課         長)         大蔵事務官   佐藤 一郎君         (鉄道監督局         長)         運輸事務官   足羽 則之君         (鉄道監督局国         有鉄道部長)         運輸事務官   石井 昭正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       加賀山之雄君         運輸事務官   紙田千鶴雄君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十一月十二日  北陸線増設工事継続請願河原伊三郎君紹  介)(第一四八号)  陸運局分室地方庁移譲反対に関する請願(小  川平二君紹介)(第一五六号)  同(逢澤寛君紹介)(第一五七号)  同(近藤鶴代紹介)(第一六一号)  同(中原健次紹介)(第一六二号)  同(小淵光平紹介)(第二〇九号)  大垣、樽見間鉄道敷設促進請願大野伴睦君  紹介)(第二二五号)  築別、選別両駅間に鉄道敷設促進請願(玉置  信一君外一名紹介)(第二三二号)  青森港修築の請願山崎岩男紹介)(第二五  三号)  岡崎市内鉄道路線下トンネル拡張請願(  千賀康治紹介)(第二七〇号) の審査を本委員会に付託された。 同日  北福岡駅に急行列車、停車の陳情書  (第三  号)  国営自動車拂下反対の陳情書  (第八号)  交通機関の整備に関する陳情書  (第三九号)  市営バス特免陳情書  (第四九号)  鉄道用石炭陸揚げ再開陳情書  (第七四号)  国際観光事業の振興に関する陳情書外一件  (  第七九号)  粟生島に燈台設置陳情書  (第九〇  号)  三島測候所復活陳情書  (第九二号)  鉄道暗きよの拡張に関する陳情書  (第九四号)  唐津市に測候所設置陳情書  (第九五号) 十一月十四日  国鉄線を神奈川県三崎町まで延長の陳情書  (第一二号)  陸運行政の一元化に関する陳情書  (第一二七号)  岐阜、太田、多治見、名古屋間の複線電化によ  る循環電車運行陳情書  (第一三八号)  芦別、深川両町間に鉄道敷設陳情書  (第一四三号)  国有鉄道用石炭陸上輸送切替緩和に関する陳  情書(第  一四四号)  青森市に地方鉄道局設置陳情書  (第一六五号)  北陸線電化促進陳情書  (第一六七号)  陸運局分室地方庁移譲反対に関する陳情書外  一件  (第一六八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二一号)     ―――――――――――――
  2. 稻田直道

    稻田委員長 それではこれより運輸委員会を開きます。  本日の日程に入る前に御報告申し上げます。本委員会に付託になつております請願は十一月十日に十七件、同十二日に十件、計二十七件、陳情書は十一月十二日十件、同十四日八件、計十八件が送付になつておりますので、念のためお知らせいたしておきます。  本日は前会に引続いて、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を続行いたします。通告がありますのでこれを許します……。
  3. 前田郁

    前田(郁)委員 ちよつと議事進行について……。私は前回の委員会に休みましたので、聞き漏らした点もございますが、承れば前会には大臣の総括的な説明がありまして、次に質疑が二、三あつたということを聞いておるのであります。この法律案国有鉄道運営上まことに重大な法案であると考えるのであります。そこで私の方はこの改正法律案内容ちよつと拝見いたしましたけれども、なかなかわかりにくい点が相当あるように思うのでありますから、一応質問に入る前に重要な点だけでもよろしいのでありますが、一通り逐條的に御説明を願いまして、それから質問に入つた方がいいのではないか。実はこう考えておりますので、できるならば一応の御説明を願いまして、それから私ども質問を申し上げたいと思います。
  4. 稻田直道

    稻田委員長 前田君のただいまのお話でありますけれども、一旦運輸大臣説明を終りまして、質疑に入つておるのでありますが、またあらためて詳細なる説明を請うて、質疑に入るというわけですか。
  5. 前田郁

    前田(郁)委員 一応條文につきましての説明を願いたいと思います。
  6. 稻田直道

    稻田委員長 皆さんがそれを御希望ならば、さよういたしてもよろしいのであります。
  7. 田中堯平

    田中(堯)委員 私の方も同じ提案をするつもりでありました。
  8. 稻田直道

    稻田委員長 それでは前田君並びに田中君よりさような御要求がありますから、いま一応本法律案についての説明を、條文的にすることにいたします。足羽局長より説明を求めます。
  9. 足羽則之

    足羽政府委員 それではただいまからこの法律案内容につきまして、御説明を申し上げたいと思います。現行法の第四章会計改正が大体主でございますが、第十二條、それから会計篇が十六箇條及び第六十三條と、以上十八箇條改正いたしまして、全部で四十箇條になつております。いろいろ技術的なこまかい点もございますので、大きく項目をまとめて御説明を申し上げたいと思います。  まず一番初めに法律案全体の関係について申し上げたいと思うのでございますが、現在国有鉄道会計に関しましては、現行国有鉄道法の三十六條で、原則として財政法会計法、その他従前国有鉄道事業特別会計会計を規律する諸法令適用されておるのでございますが、同條に規定してありますように、鉄道事業の能率的な運営をはかるため、これに適する別個な條文を制定することは、現行法がつくられました当時から、そういう必要が感じられておつたわけでございます。そこでそうした現在の條文にございます能率的な運営に適するような法律を制定するために、改正案におきましては三十六條で「日本国有鉄道会計及び財務に関しては、本章の定めるところによる。」こういうふうに規定いたしまして、それに照応して六十三條の改正では「財政法会計法国有財産等国会計を規律することを目的とする法令」は、日本国有鉄道に対しては適用がない。こういうふうに三十六條と六十三條との改正において、相照応してその点を明らかにしておる次第であります。  次には内容に入りまして、予算関係について申し上げたいと思うのでありますが、予算事業計画として最も大切なものでありますから、これを国会提出して、その議決を受けることといたしております。従つて改正案におきましても、その第三十九條の一から八までの間におきまして、現行法と同様に本予算追加予算修正予算及び暫定予算に関する作成提出及び議決等について、それぞれ規定を設けることといたしまして、その内容につきましては大体現行法とかわりはございません。以上のように国会提出する予算につきましては、現行法とほとんど同様の規定を設けのでございますが、しかしこの予算実施の面におきましては、三十九條の九から十五までの條文においてたくさんの改正をいたしました。まず現行法説明を申しますと、現行法では予算流用をいろいろな項目にわたつて禁止してございます。なお予備費使用予算の繰越し並びに毎四半期支出負担行為計画及び支拂い計画、そういつたものは原則として監督官庁承認を必要とする、こういうふうになつておりまして、予算実施上においては監督官庁の強力な統制を受けておる、こういうかつこうになつております。これに対しまして改正案では、監督官庁承認を要するものとしましては、予算で指定した経費の流用を行う場合だけでございまして、予備費使用及び予算の繰越しにつきましては、單にこれを通知事項にする。なお毎四半期支出負担行為計画及び支拂い計画にかわつて資金計画提出することを規定した程度にとどめました。これによりまして予算実施に対して日本国有鉄道自主性が非常に広く認められることになるので、この面は今度の改正において、実際の予算実施という面で、非常に進歩的なよい改正であつて、重要な改正の要点だと考えております。  次に決算関係でございますが、決算につきましては現在のやり方をあまりかえる必要を認めませんので、改正法では四十條から四十條の三までの間で、現行法とほとんど同じ規定を設けまして、予算と形式を同じくする決算報告書を作成し、これを国会提出をすること、及び決算報告書とは別に財産目録貸借対照表及び損益計算書を作成いたしまして、監督官庁承認を経て公告する。こういう規定を設けてある次第であります。  次にやはりこの改正の重要な点の一つである利益金処分の点であります。現行法におきましては、日本国有鉄道政府全額出資であるという点を考慮いたしまして、四十三條で経営上生じた利益は、別に予算によつてその処分を定めた場合を除いては、全額国庫に納付する、こういうふうに規定してあるのでございますが、改正案におきましては、原則としては現行法と同じように国庫に納付するのでございますが、その前にまずその利益を前年度からの繰越し損失補填に充当をいたしまして、その後に予算に定める場合を除いて国庫に納付する、こういうふうに繰越し損失補填ということをまずいたすことに改正した次第であります。国有鉄道経営健全化という点から見まして、そういうふうに改正をしたことは、一つの進歩であり、重要なる改正の点である、こういうふうに私たちは考えております。  次には現金の預け入れの問題でございますが、現在の国有鉄道法におきましては、四十七條で現金はすべて国庫に預け入れる、こういうふうになつておりますが、これによりますと收入金の現送をするというような場合も生じて参り、また現金取扱い上には不便が非常にございますし、また危險な場合も予想される次第であります。従つてこれを市中銀行にも預けるというような道を開きたい、こう考えておつたわけでありますが、改正案におきましては四十二條にその点を規定して、例外を定め、現金を安全に取扱うために、日本銀行の支店あるいは代理店を簡便に利用できないときは、市中銀行などを利用する、こういう道を開いておるわけであります。従つて原則はやはり国庫に預託するのではありますが、しかし例外としてそうした市中銀行あるいは郵便局に預け入れる道を開いたわけであります。  次には資金調達の問題でございますが、現行日本国有鉄道法におきましては、四十四條で資金はその全額政府から調達することになつておりますが、改正案におきましては四十二條の二に、現行通り政府から資金調達するほかに、その調達円滑化をはかりますために、さらに鉄道債券を発行し、民間からこれを調達し得る道を開いたわけであります。なおこの鉄道債券につきましては、政府が引受けられる場合も考えられますので、やはり改正案の四十二條の三で、「政府は、鉄道債券の引受をすることができる。」こういうふうに規定いたした次第であります。  次には会計規程でございますが、日本国有鉄道会計及び財務に関しましては、先ほど申しましたように国の会計を規律する財政法、あるいは会計法によらないで、この改正案によつて規律するということにいたした次第でありますが、しかしこの会計財務については非常にたくさんの詳細な規定を必要とする。それからまたこの法律案あるいはそれに基く政令に規定をするのに適しない事項、そういつた点もたくさんございますので、改正法の四十三條で、それらの点について日本国有鉄道自体において会計規程を設ける。そうしてその会計規程基本事項についてのみ監督官庁認可を要する。こういうふうにこの点においても国有鉄道自立性を認める、こういうふうな方法改正をいたした次第であります。  次にはこの前に御質問のありました給與準則の点でございますが、現在国家公務員給與につきましては、国家公務員法規定をされておりますが、日本国有鉄道役職員には国家公務員法適用がございませんので、改正案におきましては四十四條で、日本国有鉄道がその役員及び職員給與について絵與準則を定めるということと、それからその給與準則予算の中に定めた給與の額で制約を受ける、こうした趣旨規定したわけでございます。  次には財産処分の点でございますが、現在の日本国有鉄道法におきましては、その四十九條営業線及びこれに準する重要なる財産処分する場合には、あらかじめ運輸大臣認可を必要とする。こういうふうに規定されておりますが、国有鉄道全額政府出資によつて設立をされ、従前日本国有鉄道事業特別会計資産を包括的に承継したものでありまして、改正案においてはその処分についての重要なる点を考えて、四十六條においてその財産処分は、法律をもつて国会議決を経るようにする、こういうふうに改めた次第でございます。  以上は改正案の重要な点の現行法との比較を、それぞれ御説明したのでございますが、なおこれ以外に改正をいたしました点は、十二條で、委員及び役職員非常勤政府職員を兼務できる、こういう点を明らかにいたしました。これは日本工業標準調査会とか、あるいは建設業審議会とか、いろいろ非常勤委員会がございます。これには官吏もなりますし、一般民間の人もそうした委員会委員になれるのでありますが、現行法の解釈では、ひとり国有鉄道役職員あるいは委員がなれない。これは実際問題としてはその運用の点について困る点がございますのと、またそれになることに実際上支障もございませんので、その運用を明らかにするような改正をしたわけであります。  なお四十八條は特定の会計職員が、その職務の範囲で総裁などを代理できるという、総裁代理でございます。それから四十八條の二で、現金または物品出納職員に対して、総裁が損害の弁償を命じ得る。四十九條では公開入札及び公正な協議の方法による契約の締結で、契約原則を定める。それから附則の第三項におきまして、昭和二十四年度国有鉄道事業特別会計損失取扱いについて規定をした、こういう点が改正をされた点でございます。  なお今回の改正案は、附則の第一項に規定してありますように、昭和二十五年四月一日から施行したいと考えておりますが、予算に関する規定昭和二十五年度予算から、決算に関する規定昭和二十五年度決算から、契約に関する規定は早急に実施する必要がございますので、公付の日からこれをそれぞれ適用する、こういうふうに規定した次第でございます。  以上、きわめて簡單ではございますが、まとめで本改正案内容を御説明申し上げた次第であります。
  10. 稻田直道

    稻田委員長 ただいまの説明によりまして、以下順次質疑に移ります。田中堯平君
  11. 田中堯平

    田中(堯)委員 本改正案の要旨が三つばかりあげられておりますが、そのうちで財政法とか、国有鉄道事業会計法を排除して、それによつて公共事業体としての自主性を発揮したいということが第一に言われておるようですが、私どもの研究したところでは、これら諸法規適用を排除してみたところで、言いかえればこの改正法案によつてつてみたところで、大差はないように思うのですが、その自主化という点をもう少し詳しく御説明願います。
  12. 足羽則之

    足羽政府委員 今御説明を申し上げましたように、相当自主性が盛られておると私考えております。その点もう一度申し上げますと、たとえば予算実施の面などで、いろいろ事前の承認が必要であつたものが、ほとんど全部省かれて、国有鉄道でそうしたことを比較的闊逹にやれるようになつた。こういつたような点は今御質問趣旨において、非常にかわつたいい点だと思うのでございますが、なおいろいろ御説明を申し上げた中で、おのずからそういう点、あるいは利益金処分にいたしましても、繰越し損失補填に充当したとか、あるいは現金の預げ入れにいたしましても、市中銀行の道が開かれるとか、今の説明が御質問にお答えすることになると思うのであります。
  13. 田中堯平

    田中(堯)委員 結局国会に何と何がかかることになるのでありますか。
  14. 足羽則之

    足羽政府委員 予算がまず国会にかかります。それから運賃改正財産処分決算等がかかるわけでございます。大体そういう点だと思います。
  15. 田中堯平

    田中(堯)委員 そうしてみると、ほとんど従来と異ならないと思いますが、その辺はそれといたしまして、次に、鉄道債券を発行して、民間から資金調達する道を開くということが、改正一つの眼目になつておりますが、これについては実は総裁も見えておるようですから、独立採算制を六月一日から実施して以来、今日までどういうふうになつておるかという、鉄道会計あらましを御説明願いたい。と申しますのは、将来資金民間から調達するという鉄道債券の道が開かれておるし、その他国庫からの借入金やあるいは交付金によつてまかなつて行かなければならぬでしようし、また次に問題になると予想されておる運賃値上げということに、実は関連があると思いますが、ただこういうふうな改正法という條文だけでは、われわれ安心が行かない。どういうふうな現状になつておるから、従つて将来はどういうふうな資金計画なり、予算計画を組まなければならぬという、大体の点でよろしゆうございますから、その御説明を願いたいと思います。
  16. 紙田千鶴雄

    紙田説明員 それでは御質問に対しましてお答え申し上げます。ただいま詳細な資料を持ち合せておりませんので、あらましのことを御説明申し上げます。  御承知のように国有鉄道は六月一日から発足いたしたのでございますが、そのときに引継ぎましたところの財産その他の状態につきまして、まず簡單に御説明を申し上げます。まず固定資産につきましては、六月一日現在においておおむね四百七十億程度でございます。また投資資産におきましてはおおむね六千三百万円でございます。それからいわゆる貯蔵品につきましてはおおむね二百億円程度でございます。現金、預金その他のいわゆる流動資産はおおむね百十六億円でございます。負債につきましては、特別会計から引継ぎましたのはおおむね五百三十六億でございまして、その内訳は、従前特別会計が負担いたしておりましたところの公債が三百四十九億、それから借入金が百八十六億円でございます。この両者に相当する金頭を政府からの貸付金といたしまして、新しく正式の負債に切りかえたわけでございまして、従いまして従前特別会計公債は、政府一般会計に肩がわりせられたということになるのでございます。その他短期負債といたしましては、一時借入金その他を含めまして、おおむね百九十五億円の負債を引継いでおるのでございます。その他の負債といたしまして約四十数億のものがございます。資産負債状態は今申し上げた通りでございまして、この結果固有資本といたしましては、二百四十九億円の資本となつております。なお御承知のように従前国有鉄道事業特別会計におきましては、終戰後より赤字が累積しておりますので、それを補填いたしますために、約三百九十九億円の一般会計からの繰入れをいたしております。そういつた関係で、累計の欠損金は四百億円以上に、達しておるのでありまして、国有鉄道に引継ぐ際に、こうした政府部内関係の数字を整理いたしまして、一般会計から繰入れました三百九十億円は、これをこの際帳消しいたすことといたしました結果、欠損金は非常に減少いたしたのでございますが、それでもなお五百三十一日現在の決算状態におきましては、約二十七億円の欠損なつたのでございます。この状態において、日本国有鉄道政府金額出費をいたした次第でございます。しかしながら御承知のように赤字出資は不可能でございますので、この二十七億円を一応調整勘定といたしまして、資産項目として整理をいたすことにした次第でございまして、そうした状態において日本国有鉄道が六月一日から発足をいたしたということになるわけでございます。しかしながらこの二十四年度はこういうふうな経過をたどりまして、一事業年度特別会計国有鉄道の二つの経営主体にまたがつておりますので、両者を通算いたしまして、この二十四年度がどういうふうになつておるかということを見る必要もまたあるわけでございますので、特別会計時代の二十四年の四月、五月の二月間を検討いたしました結果、おおむね十五億円程度営業損失を結果いたしておるのでございます。またその他の收支計算に織り込みますときには、この特別会計の二月間に、結局十六億円の当期損失金を生じたわけでございまして、この結果が先ほどから申し上げました資産負債に影響し、調整勘定の二十七億円に計算を及ぼして来たわけでございます。こういうふうな状態国有鉄道が発足いたしたのでございますが、この会計年度は先ほど申しましたように国有鉄道特別会計両者にまたがりますので、予算も一体の予算として国会の御承認を得たような次第であります。この予算は御承知のように本年度は非常に緊縮せられました予算でございまして、御参考までに二十三年度予算というものが、二十四年度においても認められたという場合を仮定いたしますと、物価その他の修正をいたしますときには、換算いたしまして約千五百三十億程度予算が二十四年度に認められるということが、二十三年度と実質的に同じの予算というふうに考えられるわけでございますが、これに対しまして二十四年度損益勘定は、わずかに千百五十二億円の総額に過ぎないのでございまして、その間おおむね二五%程度は、予算の編成の際におきましてすでにその節約の含みのものを織り込んでおる次第でございます。そういうふうに非常に減縮した予算というものを実行しておるのでありますので、その当初から実行計画におきましては、非常な節約というふうなこと、またその他の合理化につきまして着々と実施いたしておるようなわけでございます。さらにその後御承知のような経済事情の一般的な変化に災いせられまして、收入面において非常な減收が生じて参りましたために、さらにそれ以上の節約というものを強行しなければならないという段階に入つて来ておるのでありまして、現にその線に沿つて国有鉄道実行をいたしておるようなわけでございます。  大体の財政状態並びにその後の経過、現在までの経理の実行につきましての、ごくあらましを申し上げた次第でございます。
  17. 田中堯平

    田中(堯)委員 旅客運賃が六割値上げをされたのですが、このいきさつについて十、その後あのときのお約束では、これによつて相当赤字の穴埋めができるという見通しのようでありましたが、これが現実において現在ではどういうふうになつておるかのあらましを御説明願います。
  18. 石井昭正

    石井政府委員 今年五月一日から旅客運賃の六割値上げをいたしたのでございますが、当時この六割値上げによりまして、大体本年度收入の均衡が予想されるという、一応御説明を申し上げまして、御承認願つた次第でございますが、その後について実際の模様を見ますと、一つには、この運賃値上げの結果、旅客量減少するであろうということは、当然予期されたのでございまして、その点については、定期外旅客について約一〇%の目標ということで予算を組んだのでございますが、実績は前年度に比較いたしますと、五月が一五%七の減少、六月は一九%二、七月は一〇%九というふうに、予想外旅客減少の率が非常に高くなつております。しかのみならず單に人員が減少したばかりではなくて、一人平均の乗車キロが非常に縮まつてつておるのであります。これは一つには遠距離旅客が非常に減つたと申しますか、あるいは一般的に旅行の距離が縮まつたというような点も、相当響いておるのでございます。また国鉄と私鉄との並行区間においては、国鉄線の方が相当値上りをしたために、それまでは私鉄線よりも割安であつた運賃のところが、逆に高くなるというような結果の生ずるところもございます。そういう点から相当の減收を見ております。定期旅客については、ほとんど影響がないというようなことでございますが、しかしながらこれについても多少旅客減少が見られておるのであります。一つは制度がかわりまして、六箇月、三箇月の長期定期の割引がなくなりましたために、従来六箇月等の長期定期を買つていたお客さんが、運賃値上げ前に買いだめをいたした。従つて運賃値上げした直後においては、その数量が相当響いて参つて従つて予定收入には達しないことになるのだと思うのでありますが、この点はその書きかえ期が参つた本年十月以降の様子によつて是正されるのでありまして、最初の六箇月間においては、必ずしも結果が明瞭にならぬと思うのであります。現実に最初の六箇月間における收入は、比較的悪いようでございます。なおそのほかにも一応並行社線への転向も多少ございますし、あるいは学生諸君などが休暇中は定期を書きかえるというようなこともございます。そういうような点で、定期運賃についても、必ずしも現状は予想したように数量が上つて参らぬのであります。しかしながらこれは運賃制度がすべて悪いばかりではなくして、一般的に経済界の状態が、非常に急激にデイス・インフレと申しますか、生産方面その他において、活発度が非常に失われて参つたことも、大きな原因であろうと思うのであります。ことに企業合理化の線が非常に推進されましたために、いろいろな企業においても、相当冗費の節約ということが取上げられて参つて来ておるのでありまして、従つて今まで旅行あるいは社用等によりまして利用されたものが、比較的回数が減じたというような点も、相当大きく響いておるようでございます。そういうようなことと、六月におきまして天候が、例年のつゆよりも非常に雨の日が多かつた。ことに旅客の高潮期でありますところの祭日、日曜、あるいは体日というような日に、相当雨が降つたというようなこともございますので、必ずしも運賃値上げの影響だけで、これだけ減少なつたということには参りかねると思うのであります。そういう現象が続いて参りましたので、ただいまのところでは本年度の旅行收入だけの見込みといたしましては、約七十億円近い予定收入額が減るのではないかと考えております。その一つの原因といたしましては、もちろん運賃値上げの影響もございますが、それ以外に響いた原因も相当多いと考える次第であります。
  19. 田中堯平

    田中(堯)委員 今のところはちよつど聞き落したかもしれませんが、七十億の赤字だとおつしやるのですか。
  20. 石井昭正

    石井政府委員 失礼いたしました。八十七億でございます。
  21. 田中堯平

    田中(堯)委員 いつ現在でしようか。
  22. 石井昭正

    石井政府委員 この予想を立てましたのは、大体九月末現在を押えて出しました。
  23. 田中堯平

    田中(堯)委員 ちよつと法案からそれるようですが、今度の人員整理は、第一次と第二次で何人なさつたのですか。
  24. 足羽則之

    足羽政府委員 約九万五千であります。
  25. 田中堯平

    田中(堯)委員 それから今度のダイヤの改正によつて、旧ダイヤと新ダイヤとでどれほどの相違があるかということを、ごく簡略に御説明願います。
  26. 石井昭正

    石井政府委員 旅客列車につきましては、大体八千五百キロ程度増加しております。
  27. 田中堯平

    田中(堯)委員 いろいろの質問に対して答えがありましたが、この際これらに対する資料がほしいと思いますので、ぜひそれを整えていただきたいと思います。  次にこの改正案條文についてでありますが、これについて二、三質問をいたします。  まず第四十四條に関連してでありますが、公営企業体労働関係法の十六條、三十五條などで、仲裁委員がもし仲裁に入つて決定した場合には、これは労使双方とも従わなければならぬことになつておりますが、国有鉄道は従うことになるのですか、ならないのですか。まずそれをお伺いいたしたいと思います。
  28. 足羽則之

    足羽政府委員 調停委員会の調停に対しましては、従う必要と申しますか、それはないのでございますが、仲裁委員会の裁定は、拘束力があるというふうに法律上はなつております。
  29. 田中堯平

    田中(堯)委員 法律上はなつておるし、また従うつもりなんでしようね。
  30. 足羽則之

    足羽政府委員 従わなければならぬことになつておるわけであります。但しそれをもう少し御説明申し上げますと、公共企業体労働関係法の十六條には「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。」と書いてあるのでございますが、この仲裁委員会の裁定につきましては、三十五條に「仲裁委員会の裁定に対しては、当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない。」こうきめられておりまして、今読みましたその次に、「但し、第十六條に規定する事項について裁定の行われたときは、同條の定めるところによる。」つまりただいま読みました十六條の裁定につきましては、同條の定めるところによる、こういうふうになつておるわけであります。この解釈の問題でございますが、不可能な資金の支出を内容とする協定、この「不可能なということが問題になるわけでございますが、これは現在のところそれに対する解釈は、国会での所定の行為、つまり予算を出しましてその追加予算議決をされる。そうした国会の所定の行為がなされなければ資金の支出が不可能な場合、これを不可能な資金の支出、こういうふうに一応考えております。従つて国会のそうした行為を必要としない場合には、その協定に服さなければならぬ、こういうふうに一応考えられるわけであります。
  31. 田中堯平

    田中(堯)委員 労働省から解説本が出ておりますが、それによると、決定的にやはり従わなければならぬというふうな解釈のようですが、どうも今の御説明とはそこに逕庭があるように思うのですが、その辺はどうでしようか。解説本はごらんになつたでしようか。
  32. 足羽則之

    足羽政府委員 私、解読本を知りませんので、何ともお答えいたしかねます。
  33. 田中堯平

    田中(堯)委員 それではまず四十六條について。改正前の法律では政府部内で国会にかけることなくして、営業線その他の重要財産処分ができることになつておりましたが、それをわざわざ今度は法律にして、国会に問うということをされたについては、その間どういうふうな考慮がなされたのであるかを御説明願いたいと思います。
  34. 足羽則之

    足羽政府委員 私、実はこの国有鉄道法の制定の当時には携わつておらなかつたのでございますが、国有鉄道現行法がいろいろ審議されました前後においても、この重要な財産処分について、これをどういうふうに規定するかという点で、いろいろ議論があつたそうでございます。これを現行法のように国務大臣認可によつて処分をするか、あるいはこれを国会に諮つて国会の協賛をいただいて処分をするかという、大体この二つの意見だつたように私聞いておるのでありますが、しかし現行法では初めこれは運輸大臣認可を受けなければ、処分ができないというふうに規定されていたのでございますけれども、しかし営業線あるいはこれに準ずるような重要な財産、これの処分については相当愼重を期さなければいかぬという考え方の綿が強く出て参りまして、ちようど今回の改正の機会にその点を考慮して、これは国会に諮つて処分をすることにした方が適当であろうと考えまして、こういうように改正案として皆さんの御審議をお願いするようになつたわけであります。
  35. 田中堯平

    田中(堯)委員 今の四十六條の重要な財産、これは一体だれが、またどういう標準できめることになりますか。
  36. 足羽則之

    足羽政府委員 これは政令で別に定めることになると思います。
  37. 田中堯平

    田中(堯)委員 政令できめると言つても、あらかじめ何々は重要財産、何々は重要ならざる財産ということをきめられないと思います。その都度必要が起きて、これを拂い下げる問題が出ると思いますが、その辺どうして整理されますか。
  38. 足羽則之

    足羽政府委員 私たちが今考えておりますものは、あるいは御承知でもございましようか、工磯部と申しまして、鉄道の工場がございます。ああいうような建物で、一つの工場みたいになつておりますようなものとか、あるいは志免炭鉱というような炭鉱を経営しております。ああいつたような独立して一つの仕事を営んでおりますものとか、そういつたきわめて重要なものを一応考えておるわけでございます。
  39. 田中堯平

    田中(堯)委員 改正前の法律に比べて、国会に諮るという改正趣旨は賛成でありますが、ところでこれは形の上ではたいへんによろしいけれども、重要なる財産を、だれが重要であるということを、いかなる標準できめるかということがはつきりしておらぬと、相当われわれが重要だと思うものでも、国会に諮らないでどんどん処分をされる危險があると思うのですが、どうもその辺に対する十分なる考慮が拂われておらぬように思いますが、もう一応念のために……。
  40. 足羽則之

    足羽政府委員 その点は十分愼童を期するつもりでござこいます。またこれを政令できめることに大体考えておりますので、十分御心配なく、そうした御趣旨に沿えるようにやつて行くつもりでございます。
  41. 田中堯平

    田中(堯)委員 この改正法によりまして、民間資本を使うことができるのは、鉄道債券だけでありますか。
  42. 足羽則之

    足羽政府委員 さようでございます。
  43. 田中堯平

    田中(堯)委員 けさの新聞で見ますと、三十億というものが政府から貸付という形で出ておりましたが、これはどういうことですか。四十二條の三に当るものですか。
  44. 足羽則之

    足羽政府委員 政府からの借入金は、現在の法律にも規定してありまして、それによつてなされておるわけであります。現行の四十四條に「日本国有鉄道は、運輸大臣認可を受けて、政府から長期借入金及び一時借入金をすることができる。」という規定があるのですが、これによつてなされておるわけであります。
  45. 田中堯平

    田中(堯)委員 今のは長期借入金でありますか。
  46. 足羽則之

    足羽政府委員 長期でございます。
  47. 田中堯平

    田中(堯)委員 もう一つお尋ねいたします。利益処分についてでありますが、資産再評価は国有鉄道はやるのでありますか。やらぬのでありますか。
  48. 足羽則之

    足羽政府委員 実はその点につきましては、政府の方針はまだきまつておりません。
  49. 田中堯平

    田中(堯)委員 大体以上であります。
  50. 關谷勝利

    ○關谷委員 今度の法案は、大体の趣旨国有鉄道の高能率を上げさすということが、まず眼目になつてきめられておるのでありますが、これは業務上と申しまするか、手続上は非常に国有鉄道自主性を認められるというふうなことになつて参りまして、高能率を発揮する上に役立つことはできているように考えられるのでありますが、精神的にと申しまするか、国有鉄道がみずから企業の合理化をする、こういうふうなことの線に向つて行くと申しまするか、精神的に能率を最高度に発揮させるようなことに仕向けるような法律にはなつておらない。こういうふうに考えられますが、大体この改正案というものは、これは政府が立案をして、そうして提出をしたのか、国有鉄道がこれをこういうふうなことにということを申し出て、政府が提案しておるのか、その点総裁、並びに局長にお尋ねしたいと思います。
  51. 足羽則之

    足羽政府委員 この法律政府が立案をしたわけでございますが、しかし実際の審議の経過におきましては、いろいろ望実際上の点を考慮する必要もありますから、国有鉄道関係の仕事をしておる部局と、いろいろ実情についての協議を重ね、また総裁あるいは各局長等、責任の地位にある人々の意見も十分しんしやくいたしまして、運輸省として立案をしたわけであしまする
  52. 關谷勝利

    ○關谷委員 加賀山総裁はこの改正案をもつて満足をしておられるのか。あるいは一部不満な点があるのか。その点をお尋ねしたい。
  53. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 御承知のようにこの日本国有鉄道法ができました当時に、すでに三十六條において改正の措置が早くとらるべきであるということが予定されておるのでございまして、実は運輸省当持から会計関係法規改正には、手をつけておつたわけでございます。しかしながら関係方面が非常に多う、ございまして、政府部内並びに関係部局との折衝をまたずしては、これは法律に相なりませんので、それらの関係といろいろ協議いたしました関係で、全部国有鉄道の希望が入つているということは申し上げられないのでございまして、まだ望みたいことはたくさんございます。しかしながら一方現在の経在事情、並びに国有鉄道の終営状態をながめて見ますと、現在の段階といたしては、この程度改正をやつていただいて、なお今後国有鉄道経営をますます整理をいたしまして、一方日本の経済の安定と相まちました上で、さらに二段、三段のことを考えて参るというのが一番当を得たものではないかというふうに考えておる次第であります。
  54. 關谷勝利

    ○關谷委員 第三十九條の十、四十一條の第二項、四十一條の二、こういうものを前提にして考えますと、利益金は、当初予算と申しますか、予算外には一切使用を許されないというふうなことになつているのでありますが、鉄道は一般の利用者によつて利益を上げて来るのでありますから、この上つて参りますものは、現在非常に腐朽いたしております鉄道の施設改善、あるいはサービスの改善という方へ持つて行くのが、最も適当であると考えますし、そのようにすることによつて、初めて国有鉄道がみずからの企業の合理化と申しますか、経営合理化というようなことも進むのである。こういうふうなことになつて参ります。これを余裕金があつた場合には、一般会計へ繰入れるということになりますと、そういうふうな意欲が減退せられるのではないかと考えられるのであります。なおまたもし欠損があつた場合には、政府から交付金を受けることができるということになつて参りますと、これまた官業の能率低下というようなことが、この点から起きて来るのではないかというふうに考えられるのでありますが、もし欠損をした場合には、国有鉄道政府から借入れをするのだ。こたは国有鉄道自体の努力によつて返済をしなければならぬ。こういうふうに持つて行くことが、現在の独立採算制の立場—九原則の線から非常に強く叫ばれております独立採算制という点から申しましても、これが最もよいのではないか、こういうふうに考えられますので、利益金、剰余金ができた場合には、前年の繰越欠損がある場合には補填して、なお余りがある場合といえども、これを施設の改善にまわすというので、その條項を削除したらどうか。なおまた欠損があつた場合には、交付金を受けるという條項を削除して、借入金をもつてまかなつて、翌年企業の合理化なり何なりによつてこれを返済する。こういうことにするのが鉄道自主性という点から考えましても、独立採算制の立場から考えましてもそうであると、かように私は考えるのでありますが、局長並びに総裁の御意見はどうであるか、伺いたいと思います。
  55. 足羽則之

    足羽政府委員 今の利益金処分の問題でございますが、損失補填に充ててなお残額がありました場合に、別に予算に定める場合を除いて、これを政府一般会計に納付する。そこで予算に定めてどういうふうに使うかということは、初めにきまつているわけでありまして、今關谷さんのお話になるようなことは、いかに予算に定めるかということによつて、考えられる問題である、こういうふうに私たちは考えております。  それから交付金の問題でございますが、交付金現行法の四十三條と同様な規定でありまして、特に必要がある場合に交付金を支給することができるのでありまして、たとえば今度の場合でも、三十億は政府からの借入金によつているのでありますが、将来そういう必要を生ずる場合というようなことで、特別の必要があると認められるような場合がないとも保し得ませんので、この規定は残していただきたい。こういうふうに私たちは考えております。またこういう規定があることによつて、特に国有鉄道経営の自主制と申しますか、それが精神においても、あるいは現実においても、反しないように心がけて運用して行くことが当然でありますし、またそういうふうに事実やつておる。このように私たちは確信をしておる次第であります。
  56. 關谷勝利

    ○關谷委員 総裁はこれに対してどのような考えを持つておられますか。
  57. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 關谷さんが言われる通り、自立自営の関係を立てて行かなければならない。これは根本において仰せの通りだと考えておりますが、利益金の繰入れの問題は、考え方としてはいろいろあろうかと考るのでございまして、将来の損失を目当に積み立てて行くというようなことも、実は当時において考えたのでございますけれども、これはそこに「予算に定める場合を除き」となつておりますように、国有鉄道の考え方並びに政府の考え方によりましては、予算にさえはつきりその点を認めていただくならば、いかようにもできるというように考えまして、繰入れの問題については強くこれを主張する必要はないと考えておる次第でございます。また損失に対する交付金でございますが、一方において国有鉄道はあくまでも企業性を発揮して参らなければならない。そして損失を生じてはならないのではございますけれども、他方において比類のない公共性を持つておりますので、あるいは公共的な使命を完遂するために、みすみす損失となるというようなこともやらなければならない場合が想像し得る。そういつた場合にやはりこういう條項を残しておくことは、望ましいことではないかと考える次第でございます。
  58. 關谷勝利

    ○關谷委員 鉄道当局並びに政府当局は、すべて新規事業なり、施設の改善費というようなものは、予算で組む。その方が幅が大きいというようなことを説明なつたかのように記憶をいたしておるのでありますが、現在の施設の改善等をやります額が相当たくさんあると思いますし、新規路線の開設等の陳情等が、毎日のように殺到しておるのであります。これらをそういうふうに含めてやるということを—もちろん予算に組んでやるというのでありますから、やられる御意思のあることはよくわかるのでありますが、何年計画くらいで国有鉄道が満足のできる程度に復旧することができるのか。あるいはもちろん新規事業につきましてはいろいろありましようが、どの程度のものを新規事業として、何年間にやるつもりであるか。その大体の見通しでけつこうなのでありますが、御説明願いたいと思います。
  59. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 私どもの考え方といたしましては、運輸省当時に五箇年計画を大体策定いたしまして、その中で昭和二十四年度、つまり本年度までに大体の従来の設備の手の入つておらなかつた所へ手を入れて復旧を遂げ、二十五年度以降において新規計画線、あるいは建設等に手を染めて参りたい。かように考えて参つた次第でございますけれども、その後の資金事情等によりまして、本年度までに完全にしてしまうということは、いまだできておりません。従いまして今と後なお二十五年度あるいは二十六年度にわたりまして、車両、線路、施設等に、手を加えて参らなければならぬものがあろうかと考えるのでございます。しかしながら、一方において戰争中にはずしました路線もあり、またほとんど完成に近く、線路と枕木を持つて来れば鉄道通り得るようになつたままでおります線もあり、そのほか予定路線を加えますと、まだ五十線余の鉄道の施設を待つておる所がある。そういう事情からいたしまして、これもできることならば資金の許す範囲において、できるだけすみやかに施設して参りたい。御承知のようにまだわが国の鉄道綱は、十分に行き渡つておりません。経営上採算の非常に有利な線は、ほとんど鉄道が開通しておりますけれども、まだ地方の開発その他に対して、鉄道としてやらなければならぬ路線は、今申し上げましたように残つておる次第でございますので、これもできることならば来年度あたりから並行して進みたいと存じておりますが、実はまだ資金の事情その他が十分見込みが相立ちませんために、手を控えておる次第でございます。ただいま申しました五十線を仕上げる時期になりますと、今後の国鉄経営並びに国鉄として得られる資金事情、それからそれを予算でお認め願うということに、相かかつておる次第でございますが、今急に何年間にそれをなし遂げるかについては、申し上げにくい時期であるというふうに存じております。
  60. 關谷勝利

    ○關谷委員 大体今の復旧計画等は、二十六年度程度に済むということでありまするし、新線は二十五年度から始めたいという御意向のようであります。大体その点了承したのであります。  次に給與準則でありますが、前にも松井君あたりから大分御意見があつたようでありますが、給與準則を設けることになつております。これは国鉄自体でつくられるのであるからして、いろいろ論議はせられているようでありますが、私たち考えるのに、人事院規則で公務員の給與規定を定め、給與ベースをきめることになつておりますが、大体人事院あたりとのにらみ合せといいますか、そういう方面とも連絡をとつて、これに下まわることのないような給與ベースを設定するように考えているのかどうか。なおまたこれは予算にかけるのでありますから、国有鉄道が非常に採算が思わしくないというようなこと、があつた場合といえども、別に他より落ちるような給與基準が設けられるようなことはないと考えているのでありますが、そのように解釈をしてさしつかえないものか。この点総裁の御意見をお聞きいたします。
  61. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 御承知のようにただいまにおきましても、給與につきましては予算の範囲内、定められた額以内で実施をいたしている状況でございまして、ただいまの給與は公務員時代にきめられましたいわゆる六千三百七円ベースを、そのまま踏襲いたしている実情でございます。新聞紙上等で人事院の政府に対する勧告、あるいは直接的には国鉄労働組合から、調停委員会を経て仲裁委員会に裁定の申請が出ておりますので、ただいま仲裁委員会で鋭意検討中に属するわけでございますが、私どもといたしましては何と申しましても、ます第一には国鉄の財政をよく考えてやらなければならぬことと、さらにまたそういつたいわゆる客観情勢をよく検討いたして行かなければならない。あまり自分たちが欲するからということで、気ままな給與体系はもちろんできないわけであります。ただ欲を申せば、ただいま非常に能率を上げて働きつつある従事員に対しまして、何とかして給與をふやしてやりたいという気持は十分ございまして、それが一般の公務員より下まわるようでは困る。少くとも鉄道業務の特殊性を加味した給與水準なり、体系がなければならぬというように考えておりますけれども、先ほど申しましたように、一にこれは予算のわく内でやらなければならないし、また本法がこの委員会において審議を受けて、これが改正されましたあかつきにおきましても、やはりこの四十四條において、こういつた予算の中で給與の額としてきめられた額を越えるものであつてはならないという制約がある関係上、これは総裁が自由に裁定し得る範囲を越えるところがあるわけでございます。それでその範囲内で私どもといたしましては、極力内部の経費の節減に努めまして、いわゆる能率給を考え、高能率を上げる者に対してはそれに対する給與をする。従つてこれは給與のベースのみでなく、給與体系全般にわたつて考えて参りたい。そして能率的経営に向く給與制度を立てて参りたいというのが、われわれの考えでございます。
  62. 關谷勝利

    ○關谷委員 この法案は、大体日本国有鉄道法の三十六條を排除する規定である。こういうふうに説明にもありますし、そう言われておるのでありますが、この三十六條によりますと、「日本国有鉄道会計及び財務運賃の設定及び変更に関するものを含む。)に関しては」というので、これがいずれこの会計法を設けるということになつておりますが、そういたしますと、この一部を改正する法律案の中へ、運賃会計あるいは運賃の設定及び変更に関する事項規定しなければ、三十六條を完全に排除することはできないのじやないか、このように考えるのでありますが、局長の御意見を承りたいと思います。
  63. 足羽則之

    足羽政府委員 運賃のことに関しましては、国有鉄道運賃法の定めるところによる。あれは單行法になつておりますので、それによることにしておるわけでございます。日本国有鉄道法改正法律案の五十一條に、「日本国有鉄道における運賃の設定及び変更に関しては、財政法第三條及び財政法第三條の特例に関する法律規定を準用する。」というふうに別に書いておるのでございます。
  64. 關谷勝利

    ○關谷委員 なお詳細な小さな條文その他の点についてお尋ねしたいことがありますが、これは次に譲つて、本日はこれで打切りたいと思います。
  65. 稻田直道

    稻田委員長 本日は本会議もありますし、皆さんはそれぞれ役員会などあることと思いますから、これで切上げたいと思いますが、いかがでしようか。—それでは柄澤君、簡單に願います。
  66. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 質問はたくさんありますので、次の機会に譲りたいと思いますが、これはこの前の委員会でも申し上げておいたのでございます。きようも財政課長のお話では、不十分だということでございましたので、非常に残念だと思つております。しかしこの次に加賀山総裁運輸大臣のお見えになります前に、二十四年度予算実施状況や、日本国有鉄道に移りまして以来の、きようの詳細な御報告よりもつと詳細な、いろいろの譲渡につきましての資料を、ぜひ委員会に御提出願いたいと思います。それを速急にお願いしたいということを、委員会の始まりました当時から実は申し上げておりまして、きようも不十分な資料でというようなお答えは、非常に意外だつたわけでありますから、ひとつこの点をぜひ実行していただきたいと思います。
  67. 稻田直道

    稻田委員長 できる程度でいいですから、できるだけひとつ詳細に報告してください。
  68. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それは私どもからいたしますと、当時日本国有鉄道法を施行する場合に、あの九万数千の首を切つて運賃を上げました場合にも、これこそがいわゆる独立採算制によつて、公共の利益に即した鉄道経営だということを、強調されていたわけでございます。それが今日ではまだ九十億近い赤字がある。あるいは運賃を上げなければならないというようないろいろなことが、施政方針演説などでも御報告があるというような状態でございますので、これは私どもが申し上げるまでもなく、国有鉄道の方で資料を積極的にお出しになるのが当然だと思うのでございまして、私どもの要求によつて出すというのはむしろ逆で、その点をひとつ十分御考慮願つて、御提出いただきたいと思います。
  69. 足羽則之

    足羽政府委員 実は御要求がございまして、十六日までに出すようにということで、今整えておるのでございます。それからなおその資料で不足いたした場合には、具体的にどういう資料を出してもらいたいという御要求がありますれば、非常につくりやすいかと思うのでございますが、その点あわせてお願いいたします。
  70. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それは私実は質問主意書でお願いしてあるのでございますが、約一週間の期間で御答弁があるということでしたが、まだ御答弁がないのであります。それは国有鉄道独立採算制の状況についてでございます。この前休会中に開かれました運輸委員会で、たしか足羽局長は、赤字が出たのは経済状態の見通しを誤つたからだというようなことで、経済九原則実施の結果、当時予算を立てた歳入歳出が全然狂つたというような御答弁でありました、その内容でございます。その内容を知りたい。たとえば汽車の修理なんかでも、実際に群馬県の高崎機関区へ行つて見ますと、予算ではとうていやれないからということで、赤字で実際に行われております。汽車をとめるわけに行かないといつて、既定の予算でなしに、他の経費を使つて、汽車を直しているという状態がございます。また人員も首をお切りになりましたけれども、人件費として出さないで、工事費などの費目で使つたりしているということが、現場では具体的にあるのでございます。ですから、そういうような貨物や、人員の整理等、予算を立てました歳入の見通しがどう狂つてしまつたのか。もう一つは、支出の方でどういうふうに狂つて来ているかというようなことも、できましたならば詳細にいただきたいと思います。
  71. 足羽則之

    足羽政府委員 質問書で御質問の要旨は、たしか北海道で独立採算制が不可能であると思うがどうかということだつたと記憶しておりますが、その点は、ただいまお答えするように準備をいたしております。
  72. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それは私どもの党の方から出しました質問主意書の意味でございまして、当委員会に対しましても資料の提出方をお願いしてあるわけでございます。
  73. 足羽則之

    足羽政府委員 当委員会のは十六日までに出すようにというお話で、今準備いたしております。
  74. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 十六日というのはどちらからですか、私の方ではできるだけ早急にということでしたが……。
  75. 足羽則之

    足羽政府委員 私の方へはたしかそういうふうに言つてつております。
  76. 稻田直道

    稻田委員長 残余の質疑は次会にこれを続行いたすことにいたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時三十一分散会