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1949-10-31 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十七日       大澤嘉平治君   岡村利右衞門君       關谷 勝利君    前田  郁君       松本 一郎君    米窪 滿亮君       佐伯 宗義君    田中 堯平君       大西 禎夫君    木下  榮君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十月三十一日(月曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 松本 一郎君 理事 田中 堯平君    理事 大西 禎夫君 理事 木下  榮君       岡田 五郎君    高橋 定一君       土倉 宗明君    坪内 八郎君       滿尾 君亮君    飯田 義茂君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 普三君  出席政府委員         運輸政務次官         (船舶局長)  原 健三郎君         運 輸 技 官 甘利 昂一君  委員外出席者         運輸事務官   林   坦君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 十月二十七日  船舶法の一部を改正する法律案内閣提出第一  五号) 同月二十九日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  船舶法の一部を改正する法律案内閣提出第一  五号)     ————————————— 稻田委員長 これより運輸委員会を開きます。  この機会に御報告申し上げますが、去る二十九日政府より提出に相なりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が、同日本運輸委員会付託になりましたので、お知らせしておきます。これは国有鉄道会計法に関する法律案であります。本日は去る二十七日本委員会付託になりました船舶法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。まず政府より提案理由説明を求めまするが、その前にお手元配付になつておりまするこの法案の中にちよつと御訂正を願つておきたい箇所があります。第二十二條の三行目の「前項規定ハ云々とありまするのは、行を改めて第二項になるべきものの誤りでありますから、さよう御訂正を願います。では運輸大臣より提案理由説明を求めます。大屋運輸大臣。     —————————————  船舶法の一部を改正する法律案   船舶法の一部を改正する法律  船舶法(明治三十二年法律第四十六号)の一部を次のように改正する。  第五條の次に次の一條を加える。 第五條ノニ 日本船舶所有者ハ主務大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書其船舶船籍港管轄スル管海官庁其船舶運航上ノ都合ニ因リ已ムコトヲ得ザル事由アルトキ、ハ最寄ノ管海官庁)に提出シ其検認受クルコトヲ要ス  前項期日ハ船舶国籍証書交付受ケタル日ハ船舶国籍証書付前回検認受ケタル日ヨリ総噸数百噸以上ノ鋼製船舶ニリテハ四年ヲ総噸数百噸未満ノ鋼製船舶ニ在リテ八二年ヲ木製船舶布リテハ一年ヲ経過シタル後タルコトヲ要ス船舶ガ外国ニ在ル場合其他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ第一項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書提出スルコトヲ得ザル場合二於テ其期日マデニ其船舶所事有者ヨリ理由具シテ申請アリタルトキハ船籍港笹轄スル管海官庁ハ提出期日延期認ムルコトヲ得延期セラレタル期日マデニ提出スルコトヲ得ザル場合亦同ジ  日本船舶所有者が事第一項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ定ムル期日ハ前項規定ニ依リ延期セラレタル期日マデニ船舶国籍証書提出セザルトキハ船舶国籍証書ハ其効カヲ失フ此場合於テ船籍港管轄スル管海官庁ハ船舶原簿ニ付職権以テ抹消登録ヲ為スコトヲ要ス  第六條の次に次の一條を加える。 第六條ノニ 第五條第一項ノ規定ニ依リ登録ヲ為シタル船舶ニ付所有者変更アリタルトキハ所有者ハ船舶国籍証書ノ書換ノ申請ヲ為シタル後ニ非ザレバ其船舶航行セシムルコトヲ得ズ但其事実ヲ知ルニ至ルマデノ聞及其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ハ此限ニ在ラズ  第二十條中「前十六條」を「第四條乃至前條」に改める。  第二十二條を次のように改める。 第二十二條 日本船舶ニズシテ国籍詐ル目的以テ日本国旗掲ゲハ日本船舶船舶国籍証書若クハ仮船舶国籍証書以テ航行シタルトキハ船長ヲ二年以下ノ懲役又八十万円以下ノ罰金ニ処ス此場合ニ於テ船長所有ハ占有ニ係ル共船舶没收スルコトヲ得  前項規定ハ船舶が捕獲ヲ避ケントスル目的以テ日本国旗掲ゲタルトキハヲ適用セズ  日本船舶ガ国籍詐ル目的以テ日本国旗以外ノ旗章掲ゲタルトキ亦前二項一同ジ  第二十二條の次に次の一條を加える 第二十二條ノニ 船長当該官吏吏員臨検ニ際シニ呈示スル目的以テ他船舶船舶国籍証書又ハ仮船舶国籍証書船内ニ備置キ其船舶航行セシメタルトキハ船長ヲ二年以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス此場合ニ於テ船長所有ハ占有ニ係ル共船舶没收スルコトヲ得  第二十三條を次のように改める。 第二十三條第三條、第六條又ハ第六條ノニノ規定ニ違反シタルトキハ船長ヲ二年以下ノ懲役又、八十万円以下ノ罰金ニ処ス此場合ニ於テ船長所有ハ占有ニ係ル其船舶没收スルコトヲ得  第二十五條を次のように改める。 第二十五條削除  第二十六條及び第二十七條中「五千円」を「五万円」に改める。  第二十七條ノ二中「千円」を「三万円」に改める。    附則 1 この法律は、公布の日から施行する。 2 第五條ノニ第一項の規定によりこの法律施行後最初に受けるべき検認期日については、同條第二項の規事定は、適用しない。     —————————————
  2. 稻田直道

    稻田委員長 これより運輸委員会を開きます。  この機会に御報告申し上げますが、去る二十九日政府より提出に相なりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案が、同日本運輸委員会付託になりましたので、お知らせしておきます。これは国有鉄道会計法に関する法律案であります。本日は去る二十七日本委員会付託になりました船舶法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。まず政府より提案理由説明を求めまするが、その前にお手元配付になっておりまするこの法案の中にちょっと御訂正を願っておきたい箇所があります。第二十二條の三行目の「前項規定ハ云々とありまするのは、行を改めて第二項になるべきものの誤りでありますから、さよう御訂正を願います。では運輸大臣より提案理由説明を求めます。大屋運輸大臣。     —————————————
  3. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまから船舶法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申上げます。  御承知のごとく現在の船舶法によりますと、日本船舶所有者は、その所有船舶につき船舶原簿登録をなし、船舶国籍証書を請い受けることを要することとなつており、またその後におきましても登録事項変更がありましたときは、当該船舶所有者、または当該船舶につき新たに所有権を取得した者が、変更登録及び船舶国籍証書の書きかえ等の、申請をしなければならないことになつております。従つて現行法のもとにおきまして、これらの諸規定が確実に遵守せられますならば、船舶登録簿は、登録事項に関する限り、日本船舶現状を明確に記録し、船舶国籍証書もまたその記載事項について、当該船舶を正しく表示しているはずであります。しかしながら事実は必ずしもそうでなく、一旦登録された船舶につき沈没、解撤、行方不明、国籍喪失または改造等登録を抹消し、または変更すべき事由が発生いたしましても、登録簿上は依然として元のままになつており、船舶国籍証書もまた返還もされず、書きかえもされないでいるようなものも少くないのでございます。ことにこのようなことは戰時中の混乱に際して多かつたのでありまして、このため現在の船舶登録簿は、日本船舶現状と少からず食い違いを生じているものと推定されます。かかる状態を生じましたことは、現行制度が、船舶につき一旦登録がなされ、船舶国籍証書交付された後においては、それらの変更登録及び書きかえが、当時者の申出を待つて初めて行われることになつており、しかもそれらの関係規定罰金をもつて強制されるだけであつて当該船舶運航自身は何らさしつかえないこととなつておるからであらうと思われます。そこで本改正案におきましては、大畧次のごとき措置を講ずることによつて、今までに申し上げましたような要請にこたえたいと存じている次第でございます。  第一に、日本船舶所有者をして定期的に、一定期日までに、船舶国籍証書をそれぞれの船籍港を管轄する管海官庁提出させて、その検認を行い、船舶原簿船舶国籍証書記載事項の一致をはかるとともに、検認を受けない船舶国籍証書は無効として、管海官庁においてその船舶登録職権をもつて抹消しまして、船舶国籍証書及び船舶原簿を、現状と合致せしめることといたしております。しかしてこの検認の時期につきましては、船舶の種類、大きさ等により適当な期間を定め、前回検認または船舶国籍証書交付を受けた日から、その期間を経過しなければ、次回の検認は行わぬこととして、船舶所有者の便宜をはかつております。但し第一回の検認につきましては、全船舶を一齊に検認し得ることといたしたいと存じます。  次に登録事項変更中、船舶所有者変更については、他の登録事項変更に比較いたしまして、その重要性が大でありますので、特に規定を設けまして、所有者変更の際には、変更登録並びに船舶国籍証書の書きかえを申請した後でなければ、船舶航行させてはならぬこととして、所有者変更が、確実に船舶原簿に記録され、船舶国籍証書面も真正な所有者名儀となるようにいたしました。すなわち日本船舶でなくて、日本船舶を擬装するもの、あるいは正当な手続を経て船舶国籍証書を請い受けることなく航行するもの等については、その行為の惡性が特に著しいときは、船舶没收し得ることとしたほか、現下の経済事情に適応するごとく、罰金の額を調整したこと等であります。  本法案の要旨は、大体以上申上げた通りでございます。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを願望いたす次第であります。
  4. 稻田直道

    稻田委員長 これより質疑に入ります。御質疑があれば発言を許します。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 先般海運局長でありましたか、この船舶法の一部を改正する法律案につきまして、御質問をいたしました際には、改測をしないということを言明しておられたのでありますが、国籍証書とこの船舶について記載しております事項とが、相違がないかというようなことを確実にこの際調査しなければ、この法律趣旨には合致しないのではないかと考えるのでありますが、改測をしないということになりますと、実際の状態というものがわからぬ。とういうふうに考えられるのでありますが、單に国籍証書提出せしめまして、そうして現在それに異動がないかというようなことだけを聞いて、これで一応整理ができた、こういうことにするのか。あるいは実際の船舶についていろいろ詳細に、この記載事項相違がないかということを嚴重に調査をするのであるか。その点をお尋ねいたします。
  6. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいま關谷君のお尋ねは、希望的にはあらゆる船舶内容につきまして、それを再検査いたして確実を期することが、最も好ましいのでありますが、さようなことは非常な手数と経費を要しまして、今ただちにこれが実行を期待するということはむずかしいと考えますので、本法の第一の主眼目的は、ただいま提案理由にも御説明申し上げました通り所有者が非常に変更されておるという事実を、まず第一に訂正するという点に主眼点を置きまして、あなたのおつしやるあらゆる船舶の詳細を検査するということは、おいおいとやつて行くよりほか方法がないと考えております。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 聞くところによりますと、現在の中央機帆船あたり燃料を獲得いたします際に、運輸省交渉をいたしました際に、その筋では、日本船舶というものの実体が把握できておらない。その実体を把握して、詳細の数字が出たものでなければ、これに燃料交付することができない。こういうことがあつたということが、大体この法案提出する動機の一つになつておつたということも聞いておるのであります。そういたします場合に、実際にその船があるということを、あるいは所有者が間違いがないということだけを調査確認いたしましたのでは、またその筋の方から詳細な資料を求められたとき等におきましては、確実な統計、数字というものが出ないというふうなことで、燃料獲得の上等におきましても、支障ができるのではないか。こういうふうに考えるのでありますが、それに対してどういうふうな見通しを持つておられるか、お尋ねをいたします。
  8. 大屋晋三

    大屋国務大臣 ただいまお答えいたしました通り、理想的にはあらゆる点の再検査をするというのが望ましいのでありますが、まずさしずめは所有者所有を正しくしたいというふうに考えております。また先方との将来の交渉上、關谷委員のおつしやるようなことが、あるいは起きないとも限りませんが、まだそのときの見通しまで今日的確に見通しがつけられておらないことを申しあげておきます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと今度の一齊検査と言いますか、検認と言いますか、これは実際に一箇所船舶を集めて検査をする。その期日を定めて、それぞれの港あたりでその港域のものを全部、その船を実際に見て検査するというのでなくして、海運局その他管海官庁国籍証書だけを持つて来させて、これを調査するのかどうか。その方法お尋ねしたい。
  10. 甘利昂一

    甘利政府委員 今度のものはちよつと大臣から御答弁がありましたように、いろいろな人員あるいは経費の点で、とうてい現場に臨検することができませんので、一応もよりの管海官庁提出させて、そこで検認を行うというわけであります。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 これは登簿船はこのようなことで、一応の所有者の確認といいますか、変更等はつきりこの際わかるということになりますが、不登簿船等におきましては、この登簿船以上に乱れておる。こういうふうなのが今の実情でありますが、この不登簿船あたりは将来これを、これと同じ方法によつて実態を把握するようにするつもりであるのか。あるいは登簿船だけであつて、不登簿船は一切今のところ何ら考慮をしておらないというのか。その点をお尋ねいたしたい。
  12. 甘利昂一

    甘利政府委員 不登簿船につきましても、従来いろいろな問題がありましたので、実は少くとも第一回の速度においては、全部同一の管海官庁速度をやりまして、一応二十トン以下ということになりましたならば、これを地方庁へ答申することにして、第一回だけは中央でやりたい。こういうふうに考えておりました。しかし予算や定員の関係でなかなかそこまで行きませんので、今回は従来通りにしておりますが、将来はできればそういうことをやりまして、不登簿船検認をやりたい、こういうふうに考えております。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 それからこういうふうな法律をいろいろつくりまして、船舶所有者その他にはいろいろ責任を負わすといいますか、こういうふうな検査を受けなければならぬというふうな義務は、比較的よく政府といたしましては強制といいますか、そういうふうに指導をするのでありますが、一方船舶所有者というふうな面に対しまして、政府として、たとえばいかにこのような法律をつくつて実態を把握いたしましても、燃料その他がなくて船が動けないということになりますと、こういうふうな法律があつても何も役に立たない。こういうふうに考えるのでありますが、燃料等につきましては、いま少し積極的に政府に動いてもらいたいというのが、全船主の声であります。船主あるいは船長従業員等がすべてこれを要望いたしておるのでありますが、こういうふうな点に関しまして、燃料その他船主に対しまする政府のなすべきことを、もう少し積極的にやつてもらいたい。たとえば現在の機帆船燃料というようなことにつきましても、いま少し積極的にやつて船主にこういう義務を負わす半面、政府としても責任を果してやつてもらいたい。これが海運界一般の要望であります。この燃料関係はすべての基本をなすのでありますが、現在の燃料見通しということにつきまして、運輸大臣からその状態ちよつとお伺いしたいと思います。
  14. 大屋晋三

    大屋国務大臣 關谷委員のただいまの御指摘の点は、運輸大臣といたしまして最も憂慮し、燃料の豊富な配給を望んでおるのでありますが、もちろん御趣旨に沿うて政府といたしまして、十分さらに努力はいたすつもりでございますが、現在の状況におきましては、過去数箇月来關谷君御承知通りで、状態が改善されておらぬのでありまして、その点はまことに遺憾でございますが、将来は引続いて御趣旨に沿いまして、努力をいたすつもりでおります。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 この方法国籍証書提出させまして、その国籍証書に検印を押すということになるのであろうと思います。しかしながら国籍証書はそれで済みますが、実際に航行しておりますのを海上保安庁あたり取締る上におきまして、船を一見しただけで、これは検認を終つたものである。あるいは検認を終つておらないものであるということを識別するために、何らかの簡便な識別しやすい方法を考えておるかどうか、この点を承りたいと思います。
  16. 甘利昂一

    甘利政府委員 別段そこまでは考えておりませんが、今お話のように航行中でも遠くから見て、はつきりこの船は検認を受けておるということがわかれば、わざわざその船をとめてやらなくとも済むのでありますが、今度のはわざわざ航行中の船舶をとめてまで、検認をやるということは考えておりません。先ほど申しよげましたように一応船長なりあるいは所有者から、証書管海官庁提出させて、特に不審の点があるようなものにつきましては、特別臨検をする場合があるかもしれませんが、そうでない場合には、航行不便を冒してまでも検認するというようなことはやりません。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 第二十二條でありますか、罰則がついておるのでありますが、これは朝鮮あたりからの密航者取締ります場合にも、これの適用ができるのかもしれませんが、中華民国とかあるいはその他、戰勝国あたり違反をした場合には、この関係はどういうふうになるのでございますか、御説明願います。
  18. 甘利昂一

    甘利政府委員 さしあたつて朝鮮あるいは中華民国あたりの、特に日本の海域に出没する密輸船というようなものを目標にしてやつておるのでありますが、もし先ほどおつしやつたようにそれ以外の第三国人にそういう場合があつたときには——あまり予想はいたしておりませんが、しかしそういうこともあり得る可能性がありますの、で、その点については関係方面とも折衝いたしまして、その適用を受けるようにいたして参りたいと考えております。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 それから罰則の中に「船舶没收スルコトヲ得」と書いてありまして、没收するものとするではないのでありますが、どういう場合に船舶没收して、どういう場合に没收しないのか。そういうような大体の基準というものがあるのか。その点御説明願いたい。
  20. 甘利昂一

    甘利政府委員 特に具体的にこういう場合には没收するというようなことはきめておりませんが、特にだれが考えても惡質である。計画的にやつているというような場合にはこれを没收する。こういうぐあいにわれわれは考えております。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 今の御答弁はまことに上手な御答弁でありますが、どんな場合か、具体的な例を示していただかなければ、われわれわからないのでありまして、そういうようなことがもしわかりますならば、お聞かせ願いたいと思います。  それからこれは船舶関係で、ちようど運輸大臣も見えておりますから、一応関連事項でありますのでお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、船舶に対するすべての行政といいますか、所管といいますか、これがまことに複雑多岐であります。登簿船は大体海運局あたりにおいていろいろ指導監督をせられているようでありますが、不登簿船はいまなおこれが地方庁にまかされている。燃料関係海運局である。こういうふうなことになつておりまするし、なお同じ運輸省内におきましても、船舶検査海上保安庁である。その他の速度といいますか、そういうことは海運局がやつているというようなことで、比較的無知な船主、あるいは船長等が非常に不便を感じる。この問題は保安庁へ持つて行くのであるか。この問題は海運局だ、これは海上保安庁検査所であるというようなことで、一々区別しなければならない。迷い込んで行つて、そこで聞いて初めてわかるというのが、今の実情であります。これを何とかして簡素化するように、一箇所へ行けばすべてがはかどる。こういうような事務簡素化といいますか、非常に簡便な、船主の便利をはかるという面から考えてもらいたい。これは各地で痛切に要望されていることでありますが、こういうふうなことにつきまして、早い話が同じ運輸省内におきましても、海上保安庁でこれは検査をするのだ、速度海運局でやるということになつておりますし、登簿船、不登簿船にしても、一方は地方庁であり、一方は管海官庁であるということになつているのでありますが、これらを統一をしたといいますか、一箇所へ行けばすべてが運ぶということに改めてもらいたいというのが、全部の声であります。これに対しまして運輸大臣はどういう見解を持つておられるか、承りたいのであります。
  22. 大屋晋三

    大屋国務大臣 御質問のような非常な不便があることでございますので、事実をよく調査いたしまして、考慮いたすことにいたします。
  23. 前田郁

    前田(郁)委員 私は先ほど關谷君がお尋ねになりましたことにつきまして、もう少しつつ込んでお聞きしたい。この船舶法というのはなかなか古い法律で、私どもはあまり内容を詳しく存じませんが、ただいま關谷君の申されました罰則の中で、船舶没收するという問題、これはよほどの重大問題でありまして、普通の刑事問題ならば死刑に相当する罰則だと思います。国籍証書を見せないということぐらいで没收するということがあり得るものか、また今までこういう例があつたのであるか、また没收した場合は、どういう措置をおとりになるのか。そういうことをお聞きします。なお先ほど惡質とおつしやいましたが、これほど惡質なものがあるのかどうか。どういうのが没收されるような惡質であるか。ちよつとその点をお聞きしたいと思います。
  24. 甘利昂一

    甘利政府委員 先ほど私が申し上げた惡質というのは、日本人の間の船主にはそういうことがあまりないと思いますが、ほかの第三国人あたりで、そういうことがあるのをよく見かけますし、そういうことについて関係方面から特に慫慂もありましたので、そういう点について特にやかましく言うために、没收という規定を挿入したのでありまして、同じ日本人同志の間においては、あまりこういうことは従来見なかつたと考えております。
  25. 前田郁

    前田(郁)委員 そうするとこれはその筋の意見によつてお入れになつたわけであつて、従来こういう例はあまりなかつたというわけですか。
  26. 甘利昂一

    甘利政府委員 従来没收したという例はありません。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 第二十二條あるいは第二十三條は、こういう違反をした罰則でありますが、これをやるのは、大体どういうふうな手順を経て決定するのか。これは海上保安庁がこれを取締るのであつて、それを引上げることになると、同じように海難審判所というふうなものにかけて決定するのか。ただちに保安庁あたり没收することができるのかどうか。その点をお尋ねいたしたい。
  28. 甘利昂一

    甘利政府委員 保安庁なり海運局ではありませんで、これは裁判所で処置いたすことになつております。
  29. 滿尾君亮

    滿尾委員 第二十二條の解釈についてお尋ねいたしたいのでありますが、第二項の意味は一体どういう意味であるか。また第三項が「前二項ニ同ジ」と書いてありますときに、第一項を適用するのはよくわかりますが、第二項を適用する場合にはどういうかつこうになるのか。御説明を承りたいと思います。
  30. 林坦

    ○林説明員 御説明申し上げます。ただいま御指摘のございました「船舶ガ捕獲ヲ避ケントスル目的以テ日本国旗掲ゲタルトキ」、これは現行法にもあるのでございます。たとえば、これはちよつと変な話でございますけれども、日本の近所のある国とある国が戰争をしたという場合には、ある一方の国の船が追われて、日本国旗を揚げて日本に逃げ込んだというような場合に、同じような惡性なるものとして、これを没收するのではないのだというのが、これはイギリスあたりでも立法例があつて日本の現行の船舶法規定にもあるので、これをそのままにしております。第三項において、これは国旗類似の記章を掲げた場合、同じような意味で前二項を適用するという趣旨でございます。
  31. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういたしますと、第二項の「前項規定ハ船舶ガ」と書いてある。この船舶日本船舶にあらずして、第三国の船舶の場合を指しているわけですか。
  32. 林坦

    ○林説明員 「日本船舶ニ非ズシテ」というのは、日本の船でない、第三国の船全部を指しているわけであります。
  33. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうしますと、それは中立国の船でなくて、交戰国の船が中立国である日本国旗を援用して、緊急避難をするという場合を想定しておられますか。
  34. 林坦

    ○林説明員 さようでございます。
  35. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、それを第三項へ持つて行つた場合は、やはりよその国の船の緊急避難を助けるという意味ですね。
  36. 林坦

    ○林説明員 助けるというつもりではないのでございますが、これは緊急避難であるから、本條の罰則適用しないという意味で、本條による取締りは、そういう船についてはやらないという意味でございます。
  37. 滿尾君亮

    滿尾委員 そういう場合にはどういう処置をとられますか。
  38. 林坦

    ○林説明員 現在置かれております日本の国際情勢から申しますと、こういう規定ははたしてどの程度に実効があるのか、はつきりは申し上げられないわけでございますけれども、今のような場合は、別の意味の国際間の問題として取扱われるものと考えております。
  39. 田中堯平

    田中(堯)委員 この法律を実施しますと、登録原簿と、船舶の実態とが一致するということになるようですが、そうすると予想としましては、今日登録簿の数と、実際の船の数とはどちらが多いのですか。その予想が立ちますか。
  40. 甘利昂一

    甘利政府委員 大体現存しておる登録原簿に登録されておるのを見ますと、約二万二千隻くらいあります。しかし実際に燃料関係、そのほかの関係で、われわれが実際このくらいはあるだろうと想像される船が、約一万五千隻くらいであります。七千隻くらいはつきりしない船があるように、われわれの調査によつては、出ております。
  41. 田中堯平

    田中(堯)委員 この法律によつて、ただ一致せしめるということだけが目的ではなしに、主とした目的は密航を防ぐということにあるのではないのですか。
  42. 甘利昂一

    甘利政府委員 密航、密貿易ももちろんそうでありますが、その他にも、一方では非常にやかましい安全法その他の規定によつて、密航の自由を縛られているにもかかわらず、一方においてそういう不正な手段によつて不正な国籍証書を持つたものが、自由に動いておるのを取締意味と、両方ございます。
  43. 田中堯平

    田中(堯)委員 第一回の検認でありますが、これは五條の第二項第一号でやられるという腹でしようけれども、第一回は現存する全部の船舶検認を行うという意味はつきりして来ないのですが、それは大丈夫ですか。
  44. 甘利昂一

    甘利政府委員 附則の方に書いてございますが、第二項に「第五條の二第一項の規定によりこの法律施行後最初に受けるべき検認期日については、同條第二項の規定は、適用しない。」とあります。
  45. 田中堯平

    田中(堯)委員 わかりました。この検認の問題でありますが、検認はどういうふうにやるのですか。ただ届出に対して疑わしいか、疑わしくないかだけを主観的にきめるだけですか。ほかには全然やらないのですか。
  46. 甘利昂一

    甘利政府委員 大体所有者並びに船長から国籍証書管海官庁に持つて来てもらいます。管海官庁ですから、大体この船があるとかないとかいうことは、従来のいろいろな関係その他の面から見てわかりますから、よく知つたものに対してはただ検認の印を押して返しますが、今まであまり見かけないような、あるいはあまり話を聞かないような船がある場合には、先ほど申し上げましたように、そちらに行つて検認を行う、こういうふうにしたいと考えております。
  47. 田中堯平

    田中(堯)委員 これが主観的にきめられることになると、日本政府のお気に召さぬような筋の人が届出をする場合には、どうも不利な取扱いがされはせぬかということをおそれるのですが、そういう点はどうでしようか。
  48. 甘利昂一

    甘利政府委員 そういうことはあり得ないと思います。主観的と申しましても、ただ観念的にそう申すのでありまして、現実に船の検査を受けに来られるとか、あるいは燃料の配給を受けに来られるとかいうような事実がはつきりいたしておる船に対して、検認するのであります。特に先ほど申しましたように、全然聞いていない、あるいはどうもおかしい、かねがねいろいろな投書や何かがあつて、そういういろいろな報告があるというようなものについては、嚴重に臨検して検認するのであります。
  49. 田中堯平

    田中(堯)委員 今度の規定は、先ほどから質問がありましたように嚴重な規定でありまして、船舶没收というところまで来ておりますが、こういうふうな嚴重な規定を設けると、日本政府登録することは不利益だから、外国に持つて行こうというような危険が生じはしませんか。外国の艦籍を獲得しようというようなことになりませんか。
  50. 甘利昂一

    甘利政府委員 それは日本人所有する船舶で、その船籍だけを外国に持つて行くというわけですね。昔もよく船籍等のいろいろな食い違いや何かの関係で、船籍等を外国に売るというような例がありました。しかし現在の状況において、この法律を強行したために、急速に外国に船籍を置くというようなことは、今のところ考えられないと思います。しかしお話の筋もありますので、私どもといたしましても、もう一ぺんそういう点はよく研究いたしてみたいと考えております。
  51. 田中堯平

    田中(堯)委員 現在密航の状況はどういうふうな状況になつておるか。もしわかつておればお知らせ願いたいと思います。
  52. 甘利昂一

    甘利政府委員 これは実際に海上のそういう取締りをいたしておりますのは、海上保安庁の方でありまして、本日出席いたしておりません。
  53. 田中堯平

    田中(堯)委員 最後に運輸大臣お尋ねしたいのですが、本法案には関連はありませんけれども、どうも日本のある造船所では、特殊潜航艇のようなものをつくつているとか、ことに和歌山県の南国造船などがやつているといううわさがありますが、そういうことについてどういうふうに考えておりますか。
  54. 大屋晋三

    大屋国務大臣 田中君の御質問のようなことは、全然私は聞いておりません。
  55. 坪内八郎

    ○坪内委員 この法律の改正の要点の中で、所有者がその船舶変更をする場合に、いわゆる変更登録とか、あるいは船舶の書きかえを申請した後にあらざれば、航行することができないというようなことになつておりますが、所有者申請をしてどのくらいの期間がたつてから航行ができるのですか。その期間について伺います。
  56. 甘利昂一

    甘利政府委員 変更の書きかえを申請さえすれば、さしつかえないと思います。今までは單に登録変更申請だけしたと思いますが、それだけではいけませんで、今度は船籍の書きかえの申請までさせることにしております。
  57. 坪内八郎

    ○坪内委員 書きかえの申請さえすれば、ただちに航海できることになつておるわけですね。
  58. 甘利昂一

    甘利政府委員 書きかえの申請さえすれば、自由に航行しても少しもさしつかえないと思います。
  59. 稻田直道

    稻田委員長 他に御質疑はありませんか。——なければこれをもつて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。
  60. 前田郁

    前田(郁)委員 この際討論を省畧いたしまして、ただちに採決されんことを望みます。
  61. 稻田直道

    稻田委員長 前田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 稻田直道

    稻田委員長 御異議なしと認めます。それでは船舶法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案を可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立〕
  63. 稻田直道

    稻田委員長 起立総員。よつて本案は可決せられました。  この際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條による委員会の報告書につきましては、委員長に御一任を願います。  なお先ほど申し上げました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、次会より審査に入りたいと思いますが、法律案はすでに文書函に配付になつておりますので、委員各位におかれましては、あらかじめ十分御検討を加えておいていただきたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午前十一時四十七分散会