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政府委員(
賀來才二郎君)
労政局長といたしまして、
只今の御
質問のうち、私の所管の問題についてお答を申上げたいと思います。第一に、
法規改正について
大衆の
納得の行く
方法を以てやるべきであるという御
意見は御尤もでありまして、我々
関係当局といたしましては、二月の十四日に一応の
試案を発表をいたしました。省といたしましては、「
週刊労働」を利用して約八万部の
特別印刷物を全國に配付いたしたのであります。続いて二月の二日から東京において三日間、名古屋、大阪、廣島、福岡、仙台、札幌において二日間ずつ、
労資或いは
学識経驗者その他
一般の方々の
公聽会を開催いたしました。その
外組合主末の
公聽会或いは文書を以ての御
意見が多数出て参
つておるのであります。これらの御
意見を取得るものは十分取入れまして、再度立案をするというふうな
手続を取りまして、できる限り
大衆の
納得の行くような
方法を考慮いたして
参つたのであります。それからこの
改正試案におきまして、
中立側が、
労働委員会の
中立委員が準司法的な
事項の
審判に当ることにいたしておるのであります。これは御
意見のように、從來の
労働委員会の行き方からいたしますと非常に責任が大きくな
つておるのであります。これに対しまして、
公聽会におきまする御
意見といたしましては、ただ單に
中立側のみが、この
審判をやることにつきましては不十分である。やはり
労資双方がこの
議事に参加して、そうして
十分意見を述べ得るように取計うべきである。こういう御
意見もありました。この点は第二次の
試案におきまして考慮いたしておるのであります。更に
中立側には相当な
仕事がかか
つて参りますので、一面から言いますると
待遇をどうするかという問題が出て参るのでありまして、この点につきましては、まだ
大藏省との
話合は付いておりませんが、目下我々が考慮いたしておりまする
方法といたしましては、
中立側の過半数の言い分としてはフル・タイムの
委員にしてはどうか、それに対しまして
法律において、その
給与手当のことを
法律で
規定いたしまして、そうして
公務員の新
給与法と切離して特別の、別個の
待遇を考えるべきではないかというふうな考えがあるのであります。
次に、第三点といたしましては、
上級組合が
下級組合を
指導することについてであります。この点では二つ問題がありまして、
一つは
使用者側において
上級組合が
団体交渉を
指導して、そこに出て來ていろいろな
団体交渉をやられますと、
單位組合においてやる場合は解決付く問題が付かなくなる、これらの点を止めて貰いたい。即ち
現行法におきましてもありますように、
委任を受けました者が、その
交渉に当ることはいかんというふうな
意見が
一つであります。
一つは
団体協約で
上級組合と
下級組合との
関係が不明確であるというので、これを明確にすべきではないか、
法規においても明確にすべきではないかという
意見があるのであります。前の問題につきましては、我々の
考え方といたしましては、弱い
單位組合、
下級の
組合がありますときに、
上級組合が全体的な
指導に当るということは、これは
組合の性質から見て当然でありまして、この
委任を受けるものを排除するというふうな
考え方は持
つていないのであります。それから
上級下級の
労働協約の紛糾の問題につきましては、これは
法規において
規定いたしますことは、非常に困難な点がありますので、これは飽くまでやはり
団体協約自体において解決を付けて頂くべきものであろうというふうな
考え方で進んでおるのであります。
平和條項を
強制規定に入れてはどうかという御
意見であります。これは
使用者側において特に強いのであります。併し我々の
考え方といたしましては、
現行法の二十二條に
平和條項を入れた
労働協約ある場合には、その
規定を無視しての
労働爭議はできないというふうなことがありまするが、このこと
自体がありますために、却て
平和條項を入れないような結果にな
つておる。
從つて平和條項につきましては、訓示的な
規定を入れる程度であ
つて、それ以上強い
規定を入れますことは適当でないのでありまして、これは
組合の自覚と申しますか、
教育によ
つて処理すべきものであるという
考え方を持
つております。それから
不当労働行爲、ただ
労働者側の
不当労働行爲を
規定せよというような点は、
公聽会において特に
使用者側から強か
つたのであります。併し我々の
考え方といたしましては、
労働者側の
不当労働行爲というものは
現行法におきましても、法全体の
運用、或いは
関係法令の
運用におきまして、十分対処できることもありまするし、又
組合が自覚することによ
つて、発達することによりまして、これらの点は逐次是正せられつつあるという、三ケ年間の実績も出て参
つております。從いまして、不明確な点は明確にするということは考えられまするが、特に
労働者側の
不当労働行爲を特別に
規定するという
考え方は目下のところ持
つていないのであります。それから次に、
委員の
手当の問題及び
労働委員会事務局職員の
待遇改善の問題であります。
委員の
手当は御
意見の通りに、現在各
府縣におきまして、それぞれ差ができつつあります。まだ十分とは言えないのであります。この点につきましては、先程申しましたように、今度の
改正案につきましては、
労働委員の
手当というものを
法律で決めて行きたい、できるだけ十分なものにいたしたいという
考え方で進んでおるのであります。併しこれはまだ先程申しましたように、
大藏省との
話合は付いていないのであります。
地方労働委員会の
事務局職員の問題でありまするが、これは現在殆んど大部分が嘱託、即ち
現行の
公務員から申しますならば、
臨時職員というものにな
つておるのであります。これでは恩給もありませんし、その他
一般との
待遇、特に
職階関係から見ますると、有利でありませんので、
公務員法も
臨時職員を逐次なくしつつある方向にあるわけでありますから、今度新らしい法案が
施行されまするならばこれらの
事務局職員を
一般公務員と同樣に取扱
つて行くというような
意味において
待遇の
改善を図
つて行きたい。かように考えている次第であります。それから次には
委員会に対しまする
補助員のお話がありましたが、これは現在のやり方におきましては、この
委員会の
経費は國と
地方とが分担する、その分担の比率は二分の一ずつというふうなことにな
つております。併し御
指摘がありましたように、現在の
國庫の
補助は二分の一に達していないのであります。この点につきまして、二十四年度
予算におきましては、二分の一は必ず分担するというような
方角で進んで
参つたのでありまするが、現在の
財政状況では非常に困難なる
状態にありまして、果して二分の一を実現できるかどうかという点が懸念されているのであります。ただ
地方財政法も出て参りました今日でありますので、
地方財政委員会の
当局と
大藏の
当局と我々の方とで、この
地方の
労政関係、特に
委員会の
経費関係につきましては、はつきりどの点については二分の一持つということで進み得るようならば進みたいと思いますので、その
原則論を先ず確立しようという
方角に進んでいる
状態でありまするが、非常にむずかしい
状態であります。それから次に、この
組合專從者の
給与に
支拂停止であります。これは御
指摘のありました
組合の規約、協約の
指導と関連し、或いは
資格審査の問題と関連いたしまして、次官通諜が問題になるのであります。この次官通諜につきましては、これは過去三年間におきまする
組合法の実施の結果、
組合の強力化、即ち民主化、自主化及びその責任性の明確化という点におきまして、まだ不十分な
運用のされておつた点がある。特に
給与の支拂問題、專從者の抱与の支拂問題及び使用者の利益を代表すると認められるようなものが
組合に参加している
状況、即ちこの二つが
組合を御用化する虞れがあるのでありまして、この御用化を防止いたしまして、
組合の民主性、
自主性及び責任性を明確化するというためには、もうすでに三年の経驗から、これを
現行の
組合法を明確に
施行する時期に到達したのである。これ以上に
組合の御用化ということをそのまま放任して置きますと、今後三
原則、九
原則というものの
関係からいたしまして、いろいろ問題が起
つて参ります際に、
組合は非常に弱いということは遺憾である。かような
意味から從來非常に緩和的に
現行法を解釈して参りましたけれども、昨年の終り、一月の初め頃から、これを嚴格に解釈するという建前で、
労働省の有権解釈といたしまして、行政官署といたしまして、次官通諜によ
つて施行いたして参つた次第であります。もとより將來、この通諜以後にできて参ります
組合につきましては、これを嚴格に
施行する、特に
現行法の二條の二項、三項、四項の政治的
活動を主とする
組合或いは福利事業のみをやる
組合というふうなものは、即時これは資格を否認される、又今後できます
組合は、この標準によ
つてやるのである。併し現在ありますところの
組合につきましては、これは直ちにこれを
施行することが不適当でありますので、
組合に理解を求めて、そうしてや
つて行きたい。最後的に申しますならば、三月九日に更にこの
施行についての通諜を出したのでありまするが、それから約三ケ月の余裕期間をおきまして、遅くとも六月九日までに專從
職員の
給与の支拂を受けないようにや
つて貰いたい。かようなことを考えまして、逐次それが実施に当りつつあります。專從者の
給与を打切りますことが、
組合を弱めることであるというふうな御
意見は、今日の
現状においては一応御尤もな点もあるのでありまするが、一方考えますと、現在の
労働組合も、本年の夏には國際
労働会議にオブザーバーとして招請せられるのではないかという可能性も相当進んでおりますし、逐次世界水準に近寄
つて行こう、世界的
関係に加わ
つて行こう、こういうような
状況下におきまして、
組合が尚
使用者側から
経費を貰
つておるということは、これは適当でないと考えるのであります。ギブソン副長官が日本に來られまして、アメリカに帰
つて記者団と会見し、日本の視察団と会見されております一問一答の中に、ギブソン副長官は、日本の
労働組合で非常に奇妙なことが行われておる、それは
組合の專從者が
使用者側から金を貰
つておる、こう言いましたところが新聞記者団が、それは
組合の最高幹部もそれかと言いましたところが、いやその通りにな
つておる、こう言いましたところが、記者も非常にこれは全く意外なことである、こういうふうに感想を漏らしておるのであります。從
つて現在の賃金
状況におきまして、直ちにこの專從者の
職員の
給与を
組合負担にすることの困難、これがために
組合が影響を受けるということも、これは考えられますけれども、今日におきまして働らかざる者に対しては支拂わないのだ。又
組合の御用化を防ぐという
意味において、もう三ケ年間に亘り緩和的に
施行して來た以上、今日これを明確化するのは当然である。かような
意味におきまして、この支拂を停止するような措置を講じたのであります。電産
組合も、本日この意向を汲みまして、六月九日までに專從者の
給与を廃止するという
原則を確立して取扱うということで、本日使用者と
組合との間に最後的な賃金協定が成立いたしましたような
状況であります。
それからその次の問題といたしまして、
地方の労政課と
労働委員会事務局との
事務の協定と申しますか、そういうものがあるやの御
意見であります。これは我々もさような事実があるということも認めるものであります。これはどこから來たかと申しますと、
現行の
労働組合法で、
労働委員会の
事務内容に、
労働事情の
調査、それから争議予防というふうなことが入
つております。これが労政課の
仕事と相関連して参るのであります。これにつきましては、それぞれ範囲を限定して、お互いに連絡は緊密にすべきであるが、重複した
仕事をすべきでないということを、しばしば
事務局長会議或いは労政課長
会議において指示をいたしておるのでありますが、今度の
改正試案につきましては、この点は更に明確化いたしまして、
労働委員会の責任というものは、これは明確に司法的判定を行うことと、それから仲裁、調停、斡旋を行うことである、而もこれは何らの勢力機関から干渉されず、独立して行うということを明確にいたしまして、その
事務の範囲の調整を取
つているのであります。次に、
労働教育資料の配付の
状況であります。これは不十分であるこれも御尤もでございまして、今日までの
状況は
予算の
関係で非常に不十分であ
つてのであります。併し二十四年度におきましては、これは十分ではありませんが、今までよりも尚多くの
資料は配付し得るような
予算の大体承認を受けておりますので、一応は
改善をせられるという
考え方をいたしております。
労働会館の
補助の問題でありますが、これはまだ國といたしまして確定的に、
労働会館に対して
國庫補助をやるということを決定いたしたことはありません。併し大体
考え方としましては、さような
考え方があるということは、米窪さんが
労働大臣のときに一応案としてお考えに
なつたことがあるのであります。併しこの点につきましては
関係筋におきまして、國雑がこの
労働会館の建設費を
補助することはこれは適当でない。してはならいなという
方針もありまして、この
予算も計上できなかつた
関係から
補助をいたしていないのであります。
地方にはそれが徹底しておる筈でありまして、これがために
地方の
歳入欠陷が生じたという具体的な例はまだ聞いておりませんが、若しさような事実がありといたしますならば、これは我々の方も全く無責任とは申しませんが、その
地方当局者が処置を誤まつたものではないかというふうなことを考えておる次第であります。大体以上で、我々の方の
関係の御
質問に対してお答えをいたす次第でございます。