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國務大臣(稻垣平太郎君) お答えを申上げます。これも本会議でも御
質問がありましたもので、確か参議院の本会議のときに御返答したかと思うのでありますが、まあ外資が入
つて來まする場合を想定しますると、原料でこちらへ寄越して、
日本の工場を加工工場として
利用して、そうして加工してこれを持
つて行くという形のものもあると思います。これについては無論問題はないのであります。例えば二、三そういうような
お話が進行中のものもございます。それからしてその次には御
承知のように
日本の技術は大部分私に言わせますと、もう本当に大部分が或る
程度十年位足踏みをしたと思うのであります。のみならず、使
つておりまするところの機械設備というものは非常に非能率的なものであ
つて、まあ一口に言
つてしま
つて、スクラツプを半分位廻わしておるのだ、こういう
現状にあろうと思うのであります。ところが度々耳にいたしまする例からいいましても、それこそ
一つの機械が
日本では十五人の人を使わなければならんのに、一人で済むといつだように進んでおりますので、その懸隔が非常に強いのであります。で、この際第二の点としては、そういつたような機械技術を入れて呉れる。そうしてそれに対して、或る一定のローヤルテイーを拂い、或いはそれに対する一定の株券を渡すといつたような場合もあると思うのであります。
それからして、第三には單にいわゆる投資する、こういう
考え方になると思うのでありますが、私はこの
経営権が、例えば沢山株を外人に持たれると、
経営権が取られるといつたような問題が往々提起されるのでありますが、実際の例に徹しまして、例えば戰前の芝浦とG・Eの
関係のごとき、あの五〇%以上株を持
つてお
つたのであります。併しながら
経営権は依然として
日本人側にあつたことは御
承知の
通りであります。それから又実際の仕事をするところの工員さんは
日本人であり、又実際の
経営に当るところの者は、やはり
日本人でありますので、私はこれは
経営権が取られてしまうというような問題はないのじやないかと思う。又実際に実力において、これを殆んど
日本人は今までこれを回復しているのであります。一時これを
利用したが、後にはすべてこれは肩替りしているのであります。俗にダンロツプと言いますゴムのタイヤの会社でも、あれは九十何%というものがダンロツプの所有でありましたけれども、
経営は全部
日本人がや
つておつたような次第であります。そこで私は必ずしもこれがために、
日本が産業上不利益を蒙るということはないと思います。無論例外はあると存じます。それからして、ただ受入側において困難に感ずる問題は、例えば今現在
日本におきましては物價は非常に低い、然るに向うのドルを持
つて來ると、その間にアンバランスがある。この問題をどうするか、これは大きな問題と思うのであります。いわゆるこれは受入れ側と導入側との話合いで決まることでありまして、
民間外資は必ずしも強制的のものでもなければ、又恩惠的のものでもないので、両方の合意の上で成立するものでありますから、私はその点も適当に両当事者が
処置して行くべきものと、かように
考えているわけであります。