○
政府委員(
平田敬一郎君)
昭和二十四
年度の
租税及び
印紙收入の算定の
根拠等につきまして御
説明申上げたいと存じます。
二十四
年度の
租税及び
印紙收入は総額で五千百四十六億六千万円とな
つておりまして、前
年度の
予算額は三千百六十余億円でございますので、千九百八十五億円、即ち六三%
租税收入で
増加に相成
つております。この
租税收入の
見積りの
方法等につきまして御
説明申上げて御参考にいたしたいと思います。
税制につきましては今回すでに御
承知のような事情によりまして、直接税の方は
原則として
現行税法で行くということにいたしたのでございます。ただ若干軽微な
改正もございますが、
原則としましては
現行税法で参る。(「
配付税は軽微ではないぞ」と呼ぶ者あり)
ただ間接税につきましては、酒類につきまして從來の
家庭配給を
原則として止めるというような措置を参りますために、それにつきましては
相当変更がございます。それから
取引高税につきましては御
承知のように
印紙の
納税方法を
現金納税に
変更いたしたのでございます。
それと新たにガソリンに対しまして小賣
價格の一〇〇%
程度、小賣
價格と
同額程度の
課税をするということにいたしたのでございます。その他
物品税等におきましても若干の
改正をいたしておりまするが、各税につきまして根本的な檢討は將來に委ねることにいたしまして、
原則としまして
現行税法により歳入、
租税收入を期待する、かようなことに相成
つておるのでありまして、まあこの
見積りにつきましては各般の資料を本にしまして、でき得る限り最近の
実情に即しまして適正を期した次第でございます。以下順次各税につきまして重要な点を御
説明申上げたいと存じます。
先ず
所得税でございますが、
所得税につきましては、御
承知の
通り源泉所得税と
申告所得税に分けて見ますると、前
年度の
源泉所得税は六百十二億が、本
年度は千二百二億にな
つております。それから
申告所得税の方は前年千二百二十余億が、今年は千九百億円に相成
つております。それぞれ
源泉所得税は前
年度予算に対しまして九六%、
申告所得税は五五%、全体として六九%の増に相成
つておるのでありますが、それの
内容を大体におきまして先ず御
説明申上げたいと思います。ただ先程
ちよつと
税制は
原則として変えないと申上げましたが、
基礎控除と
家族控除につきましては、
税制は変えませんでも、これは
控際額は今年は当然に或る
程度変更になります。即ち昨年は
基礎控除で一万三百二十五円の
控除額でございますが、本年はそれが一万五千円に上ることになりました。それから
扶養控除は千百九十五円ですが、本
年度は千八百円に引上げることに相成りました。從いましてこの
事業所得等につきましては完全にこれが適用になるわけでございます。ただ
勤労所得につきましては、御
承知の
通り源泉式にや
つておりまして、毎月すでに先程申上げました本
年度の額を本にした月額を差引いておりまするので、
勤労所得につきましては、今までと
控除は実際上は変りはない。これは年間を平均いたしますと、やはり
勤労所得につきましても昨
年度と今年の
控除額は
事業所得と違
つていないのであります。さような点は
計算に入れまして
所得税を算定いたしたのでございますが、やはり
給與所得につきましては、
昭和二十三
年度の
課税人員と
所得金額、それを本にいたしまして、それに対しまして大体
所得において五割五分
程度の
増加を見ております。そういたしましてそれぞれ
課税所得を
計算いたしまして、それに対して所定の税率を適用しまして
税額に算定いたしたのでございます。
課税所得はさようなことに相成
つております。
内容は後程申上げます。
それから
申告所得税につきましては、これもやはり最近の諸
情勢を
考えまして、
昭和二十三
年度の
決定見込人員及び
所得に対しまして、それぞれ農業は二十七%、営業は三一%、合せまして二九%
程度課税所得の
増加を見込みまして、來
年度の
課税見
根所得を
計算いたしまして、それに対してそれぞれ
税額を基にいたしまして算定いたしたのでございます。ただ毎年のことでございますが、今の
課税所得を基にしまして
税額を算定いたしますると、実は千九百億円よりも若干上廻
つた数字が出て來るのであります。ただ昨
年度におきましても申上げましたと同じように、全部が二十四
年度に入
つて來るというふうに見込みますのは、やや現在の
情勢におきましては少し行き過ぎでございますので、昨
年度は大体七一%
程度年度内に入るという
計算をいたしましたのですが、今
年度七六%、つまり五%
程度違つて來るということを前提にいたしまして算定いたしております。それに昨
年度からの繰越の分を約二百億円と見込みまして
申告所得税額をそれぞれ算定いたしたのでございます。大体この結果の表は、確かお
手許に差上げました二十四
年度予算の
説明のところを御覽を頂きますとわかりますが、十八頁のところを御覽願いたいのであります。大体それによりまして出て來ました結果が
勤働所得税におきましては
納税人員が一千百四十三万二千人になる見込みでございます。総
所得し一兆二百九十億、一人
当り金額は年額九万円
程度になりまして、それによりまして算定すると千百六十三億でありますが、その外に
源泉課税といたしましては、配当
利子なり、
退職所得に対するものがございます。それの三十八億円を合計しまして千二百何十億かにな
つておる次第であります。それから
申告所得税の方も十八頁に概要を記しておきましたが、農業の
納税人員が三百五十四万人
程度になります。
課税所得が三千六十八億余万円になりまして、一人当りの平均が八万六千円、
税額は四百九十七億円
程度と見込んでおります。それから営業の場合におきましては、
納税人員が二百二十八万人、平均
所得は十七広三千円くらいでありますが、
課税所得が三千九百五十三億、
税額は千三百七十五億、その他を合計しまして総
税額が千九百億ということにな
つておる次第であります。大体こういうようなことにな
つておるわけでございまして、
計算といたしましては、私共この
計算はそう無理な
計算ではないと
考えております。
源泉所得税は最近の実税からいたしましても大体百億に近い收入が毎月ございますが、この額は大したものではなかろうかと
考えております。問題は千九百億の
申告所得税が果してできるかできないかという問題でございまして、これはなかなか簡單なことではないと
考えておりまするが、併し一方におきましては申告の指導を更に適正に行うと同時に、実額の
調査を徹底して行うことにいたしまして極力適正な
課税に努めたい。尚納税につきましては、納税準備
預金の
制度を新たに設けまして、農家の方々も少し早くから
税金の支拂いのための
預金をして頂くように今年は
相当宣傳して運んで参りたいと思
つております。この準備ができますれば納期に、或いは來
年度の一月になりまして納税を果される上において、現在よりも
相当容易になりはしないかと思います。なかなかむずかしい問題はあろうかと思いますが、でき得る限り円滑適正な
方法に努力いたしまして財源を確保いたしたい、かように
考えておる次第でございます。それから
所得税はさような
状態でございますが、
法人税も同様に二十三
年度の
予算額が百八十億ですが、本
年度は二百七十億見込んでおります。これは約五一%の増でございます。
見積りにつきまして田、先程
所得税において申上げましたと同じような
所得の
増加率をそれぞれ各年毎に
計算いたしまして算定いたしましたのでございます。
法人税につきましては会社のプレミアムに対する
課税を免除することにいたしましたので、その
関係で平
年度約十一億、
昭和二十四
年度におきましては七億三千四百万ほどの減が出るものと
計算して、これは差引して算定しておるのでございます。
次は酒税は大きな額にな
つておりますが、これにつきましては、前
年度の
予算額は四百五十七億、本
年度は六百五十億
程度見込んでおります、つまり四割二分の増であります。酒税につきましては、先程申上げました配給は労務特配と農村
方面に対する特配に垂めて、その他の配給は
原則として取止める見込でございます。そういたしまして大体今までの特價酒の自由販賣酒の値段を、從來の配給酒の
價格と從來の特價酒の
價格との中間
程度のところに持
つて行くということで、法律案の定めて御審議を煩わすことにな
つておるのでありますが、ただ高級の酒類については、比較的高く決め、燒酎等については比較的低目に決めるという方針で定めて、その
課税見込潔率で算定しました。で、酒類の生産数量につきましては、大体前
年度と同
程度の原料が酒類に割当になるものとして
計算しております。で私共はこれはもう非常に減
つておりますので、食糧事情の許す限りにおいて本
年度においては
増加をお願いしたいと思
つておりますが、今の段階においてはまだ
決定を見るに至りませんので、差当り前
年度と同じ原料を使うものとして
計算しております。即ち米は四十三万石、麦が二十万石、甘藷が五千万貫
程度と
計算して、結局
昭和二十四
年度の
課税見込の石数は総体で百八十九万石
程度見込んでおります。前
年度の
課税見込は百六十七万石
程度でありますので、若干殖えます。と申しますのは昨
年度と一昨
年度と比べて啓料の
増加の割当がありまして、その酒を実は本
年度供給するということになりますので、昨
年度における
増加石数が本
年度の現実の供給面としては本
年度の供給量にな
つて参るわけであります。その数量を基にしてそれぞれ
計算をいたしておるのであります。本
年度としては大体本八十九万石の中、配給酒の方に約五十四万石
程度、自由販賣の方に百三十五万石
程度振り分けまして供給する
考えであります。
尚若干申上げたいことは、清酒が約六十九万三千石、合成酒が三十二万石、燒酎が二十万石、ビールが五十八万石、その他八万石
程度の本
年度の供給を見込んでおる次第であります。それを基にして大体先程申上げました
改正案は五月一日から実施になるものとして四月は
現行税法……現行の
價格で行くということで
計算して算定しましたのが六百五十億ということになるわけであります。
次は
取引高税でありますが、これにつきましては前
年度の
予算の二百十四億に比較して、本
年度は四百五十一億というふうに
増加いたしております。これは昨年の御
承知のように九月から実施いたしたので本ケ月分であ
つたのを本
年度は十二ケ月分になるということと、それから若干生産物價等で
増加を見て、それによ
つて殖えるのが大部分でありますが、他方、
印紙納税を申告納税に変えた結果、実は一月分が翌
年度の歳入になるということでありまして、その減が約五十三億円になりますが、それを差引いて
計算いたしました。
それからその減は翌
年度に繰越し分は……、失礼しました。四十四億の減でございますが、その外に
課税最低限を三万円を設けるというのと、それから若干の非
課税の拡張をいたしたので、その
関係からした約九億一千万円
程度減じまして、それを昨
年度の
改正なかりし場合の收入見込額から差引きまして出しましたものが、四百五十一億という
数字でございます。それからその他の
租税につきましては、それぞれ最近の
課税実績を基にいたしまして、若干の増減を考慮いたしまして、なるベく適正な
見積りを図るように
計算いたしたのでございます。その結果全体の
税收で
相当増加いたしまして、一人当りの
税額は、
租税と專賣益金を入れますと、七千九百二十四円、それに地方税が総額で約一千五百億
程度と見ておりますので、それを加えて
計算いたしますと九千七百四十円くらいの負担になります。前
年度は大体六千百八十円くらいの負担かと
考えますが、全体といたしましては、
相当の負担の
増加に相成るわけでございます。この徴收は先程
所得税、なんかずく
申告所得税について申上げましたように、なかなか簡單なものではないと存じますが、私共といたしましてはできる限り円滑に、且つ適正な
方法で徴税を進めて行くように努力いたしております。甚だ簡單でありますが、一應御
説明いたしました。