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中村正雄君(続)
議長に議場の制止を要求いたしております。その間、
制限は入つておりません。(「進行」「
議長横暴」と呼ぶ者あり、その他
発言する者多し)一つ御
靜粛に願います‥‥御
靜粛に願います。(議場騷然)御
靜粛に願います。只今議題になりました‥‥(
拍手)昨日からの議事のため非常に声を痛めておりますので、御
靜粛に願います。(
拍手)只今十九分でございますので、二十九分まで
発言させて頂きます。御了承願います。(「そうだそうだ」。「違う違う」と呼ぶ者あり)何か
異議ありますか。
異議あればはつきり言つて下さい。(議場騷然)昨二十三日の議院運営委員会におきましての審査中、運輸委員長板谷順助君の委員会における
発言につきまして、懲罰事犯に該当すると考えましたので、本議題を
提出したわけであります。以下、懲罰動議を出しましたことにつきましての趣旨弁明を行います。(
拍手)
昨年の運営委員会におきまして、運輸委員会に付託になつておりまする戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する
法律案の付託換えを議題といたして審議いたしておりました際に、議員の
発言によりまして、大藏、運輸両委員長並びに理事の出席を求めまして、意見を求めたわけであります。その際に運輸委員長の板谷順助君からの陳述中に、こういう点があつたわけであります。これは速記を写して参つたわけでありまして、いわゆる一委員から、かような戰時中買收した鉄道を讓渡に付するというような、國有財産の拂下げは、全國民に非常な利害関係を持つておる、而も又新らしい制度である関係上、これに対しましては、旧所有者の間から第一國会以來拂下げの
陳情、
請願が來ておりまするし、又從業員並びに沿線住民からは、
反対の
陳情、
請願が参つております。そういう関係上、これを審議する際に、なぜ公聽会を開かなかつたか、又公聽会を開く意思はなかつたかとの質問に対しましての板谷君の答弁の一節に、こういう点があります。「それから公聽会の問題、これは公聽会を開くというようなことは、從來形式にやつておりますけれども、恐らくは公聽会でやつたことが、一体それを國会が採用しておるか」と、こういう
発言をいたしております。この委員会における公聽会の制度は、皆さんも御承知のように、新らしい憲法下の國会におきまして、民意を反映さすために新らしく設けられた制度であります。(「その通り」「然り」と呼ぶ者あり)この公聽会の存在は、保守的な人たちには非常に迷惑な制度かも分りません。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しながら新らしい國会の行き方として、國権の最高機関である國会が、民意を尊重して、新らしい制度を設け、新らしい法律を制定する場合におきましては、公聽会は欠くべからざる制度になつておるということは(
拍手)民主國会におきまして、はつきりといたしておる事実であります。これを板谷順助君は形式的なものだと言つておるし、今まであらゆる委員会におきまして採つて参つた公聽会に対して、一体國会が公聽会でやつた意見を採用したことがあるかというふうな、公聽会を侮辱し、又委員会を侮辱し、
國会法を侮辱するようなこの
発言が、皆樣方の良心に訴えて、果して懲罰事犯に該当せずして看過し得るものでありましようか。(「そうそう」と呼ぶ者あり、
拍手)私は新らしい國会の制度を守るために、又新らしい憲法を守るために、私は公聽をかように侮辱されまして、果して参議院議員として、はた又國民の一人として、或いは又今後開かれる公聽会においでになる公述人の人たちが、果してこの板谷君の言葉を聞いて、本当に國会に対して協力し、自分たちの意見、國民全般の意見を國政に反映するために眞摯な公述をすることができるでありましようか。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、
拍手)私は先般來、本会議場におきまする
発言なり、或いは委員会における
発言につきまして、懲罰動議が参議院におきましても再三出ております。その懲罰動議の内容とは、馬鹿野郎とか、何とかいつたような一つの字句々々に囚われまして、保守党の方たちは懲罰動議を出しております。併しお互いに冷靜に國家の最高機関としての参議院議員の一人といたしまして、馬鹿野郎とか何とかといつたという、こういう小さなことで懲罰動議に出すことが、果して参議院の面目を揚げる上に役立つでありましようか。而もこういう馬鹿野郎なんという言葉尻を捉まえて懲罰動議を出すような人たちが、新らしい
國会法に認められたこの公聽会を形式化し、公聽会を侮辱するということをやつておるわけなんです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これに対しまして、私は諸君の賛成を得まして懲罰委員会に付せられんことを特に希望いたしまして、趣旨弁明といたします。(
拍手)