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1949-05-09 第5回国会 参議院 本会議 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月九日(月曜日)    午前十時十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十二号   昭和二十四年五月九日    午前十時開議  第一 酪農業調整法を廃止する法律案内閣提出)(委員長報告)  第二 自治体警察制度是正に関する請願委員長報告)  第三 自治体警察費に対する國庫補助請願委員長報告)  第四 自治体警察費に対する財源付與請願委員長報告)  第五 自治体警察費に対する國庫補助増額請願(三件)(委員長報告)  第六 警察制度改正に関する請願委員長報告)  第七 自治体警察吏員及び雇よう員退職手当に関する請願委員長報告)  第八 福島縣大屋大里に無集配特定郵便局新設請願委員長報告)  第九 足立局内電話東京局編入請願委員長報告)  第一〇 白河局電話交換方式変更促進に関する請願委員長報告)  第一一 郡山猪苗代局間直通電話回線設置に関する請願委員長報告)  第一二 喜多方面電話交換方式変更に関する請願委員長報告)  第一三 東京郡山間直通電話回線再開に関する請願委員長報告)  第一四 福島局電話交換方式変更に関する請願委員長報告)  第一五 徳島縣生比奈横瀬、高鉾、福原郵便局市外電話回線等設置請願委員長報告)  第一六 此花郵便局再建に関する請願委員長報告)  第一七 福岡逓信局設置に関する請願委員長報告)  第一八 福島局電話交換方式変更促進に関する請願委員長報告)  第一九 桙衝村、長沼町間及び廣戸大屋両村間に電話線架設請願委員長報告)  第二〇 名古屋妻木間に直通電話線架設請願委員長報告)  第二一 逓送業務一元化に関する請願委員長報告)  第二二 警察制度改正に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二三 自治体警察強化に関する陳情委員長報告)  第二四 長崎放送局施設及び技術改善に関する陳情委員長報告)  第二五 自由討議(前会の続)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、酪農業調整法を廃止する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。     —————————————    〔楠見義男登壇拍手
  4. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました酪農業調整法を廃止する法律案につきまして、農林委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  現行酪農業調整法昭和十四年の制定にかかる法律でありまして、その内容は、第一に、指定地域内における牛乳生産者團体に対し、行政官廳販賣統制に関する決定をなすべきことを命じ、或いはその地域内の生産者に対し右團体統制決定に從うべきことを命じ得ること、第二に、指定地域内において行われるところの牛乳生産者牛乳処理販賣業者或いは製酪業者間の取引條件行政官廳許可制度とすること、第三に、製酪業即ち乳製品の製造事業行政官廳許可制度とすること、第四に、製酪業者統制團体として全國單一製酪業組合を設けること等をその主なるものといたしておるのでありますが、戰後における四囲の情勢変化と、その後における他の立法的措置等に伴いまして、即ち右述べました内容の中で、第一及び第三の行政官廳の干渉乃至関與はこれを廃して当業者の自主的運営に委せ、或いは企業の自由を保障することを妥当と認め、又第二の点につきましては、この当事者間の契約内容にまで立ち入る行政権の介入は、契約自由の原則を尊重する建前や、若し必要がある場合には独占禁止法等制定せられておる現状からいたしまして、その必要を認めざることを妥当とし、更に第四の製酪業組合至つては、すでに昨年二月、閉鎖機関に指定せられて、その関係條文は現在死文と化しておる等々の事由から、現行酪農業調整法はその存在理由を失いましたので、今回これを廃止せんとするものであります。大要右のごとき趣旨で提案せられましたこの法案につきましては、審議の結果、委員会といたしましては、その趣旨は妥当なるものと認め、法律廃止後において、酪農業の健全なる発達を期する上の見通し、行政措置その他について若干質疑を行いました上、討論を省略し、採決に付したる結果、全会一致を以て本法律案は可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  6. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程の順序を変更して、日程第二より第七までの請願及び日程第二十二、第二十三の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐登壇拍手
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました請願第三十二号外七件の請願及び陳情に対する地方行政委員会における審議経過並びに結果につきまして御報告いたします。  右請願及び陳情は、いずれも警察関係のものでありまして、各委員において樋貝國務大臣その他の政府委員の所見をも質し、愼重にこれを審議いたしました。先ず請願第三十二号は、自治体警察制度是正に関する請願でありまして、即ち新警察制度の下に、自治体警察を設けた市町村財政的に困難し、警備、捜査、治安維持の点において國家警察との連絡協調が十分でなく、住民の不安の念を抱かせているから、これらの欠陷を速かに是正せられたいとも趣旨であります。  請願第三十三号は、自治体警察費に対する國庫補助請願でありまして、引揚援護局の所在地たる京都府舞鶴市の自治体警察は、連合軍の指示もあり、引揚船入港時より帰郷時に至る間、引揚援護局内外警備に当つているが、これがために警部補以下二十六名を特別配置して、その費用四百万円以上を要し、窮乏せる市財政にとつて堪え難い負担となつているから、引揚援護という國家的業務に基く特殊事情を考慮して、これが経費の國家補償につき特別の措置を講ぜられたいとの請願であります。請願第四十号は、自治体警察を設置している市町村では、極度の財政窮乏に悩み、一方これに対して賦與せられる財源所要警察費の半額にも達しない状況であるから、至急、國より十分なる財源を賦與せられるように願いたいとの趣旨であります。請願第四十一号、同第七十六号、同第八十四号は、いずれも人口五千人を僅かに超える小自治体において、その財政難のために、自治体警察運営維持に苦しんでいる実情に鑑み、國庫より警察費に対する助成の方途を講ぜられたいとの請願であります。請願第五百八十三号は、警察民主化のための地方分権の新制度却つて警察機能を弱体化しているやに思われるから、(一)、地方自治体財政窮乏に鑑み、市の区域に限り自治体警察を設置し、人事の交流を図ること、(二)、自治体警察相互間並びに自治体警察から國家地方警察に対する應援及びその財源措置について明確なる規定を設けること、(三)、都道府縣公安委員を七名程度に増員することなどの点について、制度改正せられたいとの請願であります。請願第六百二十四号は、自治体警察吏員及び雇傭員退職手当について、昨年七月一日以前の在職年数に対する分は当然國費又は縣費を以て支払わるべきに拘わらず、今尚、未支拂の状態であるから、至急善処方を望むとの請願であります。次に陳情でありますが、先が陳情第八十四号、同第百六十四号は、いずれも警察制度改正措置を要望する旨の陳情でありまして、その改正を望む要点としては、(一)、現在の自治体警察人口基準を五千人より最小限三万人に引上げ、これに都市警察を設置すること、(二)、人口三万未満の地域府縣國單位として府縣警察を設置すること、(三)、六大都市及び特別地区國家警察を設置して、同地区内における警察本來の使命を果すと共に、國家非常の場合に備えることを挙げております。陳情第百一号は、警察力強化についての陳情でありまして、國の治安確保重要性に鑑み、(一)、自治体警察人口三万以上の市の限定し、(二)、警察官の教養を高め、資質の向上を図り、(三)、裝備の充実、機動力増強を期することに急速な実現を要望する趣旨であります。  地方行政委員会においては、以上の請願陳情は、いずれもその趣旨を概ね妥当なものであると認め、採択の上、内閣へ送付すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  11. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程第八より第二十一までの請願及び日程第二十四の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。逓信委員会理事小林勝馬君。    〔小林勝馬登壇拍手
  14. 小林勝馬

    小林勝馬君 只今議題となりました請願及び陳情について、逓信委員会の審査の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず福島縣大屋大里に無集配特定郵便局新設請願願意としますところは、同地区既設郵便局に遠くて非常に不便を感じているから、村民の便益のために無集配特定郵便局を設置されたいとの趣旨であります。又足立局内電話東京局編入請願願意としますところは、足立区は消費都市東京都の北部に位し、生産区集散区として重要な役割を果している電話東京電話でないために、すべての点において非常な不便を感じているから、これを東京局編入せられたいとの趣旨であります。次に白河局電話交換方式変更促進に関する請願及び喜多方局電話交換方式変更に関する請願福島局電話交換方式変更に関する請願促進に関する請願願意としますところは、いずれも電話交換機の老朽甚だしく、通話にに支障を來しているから、地方文化発達と産業の興隆のために、新式のものに変更されたいとの趣旨であります。又郡山猪苗代局間直通電話回線設置に関する請願願意としますところは、福島縣猪苗代地区郡山との間の電話は、すべて会津若松局を中継するため、極度に輻湊して、電話利用價値が減殺されているから、両地間の直通回線を新設されたいとの趣旨であります。又東京郡山間直通電信回線再開に関する請願願意としますところは、從來東京郡山間直通電話回線があつたが、昭和二十年六月廃止されたために、不便を感じているから、速かにこの直通回線を復活されたいとの趣旨であります。次に徳島縣生比奈横瀬、高鉾、福原郵便局市外電話回線等設置請願願意としますところは、この方面電話電話線共用線となつており、且つ小松島郵便局中継のため混雜を來し、生産増強を妨げておる実情であるから、速かにこれらの地帶電話回線を新設せられたいとの趣旨であります。次に此花郵便局再建に関する請願願意としますところは、大阪市此花郵便局は、戰災によつて燒失して以來、廃局なつたままであるが、通信機関欠陷は、商工業の発展に、又住民生活に重大なる影響を與えている現状であるから、早急に再建を図られたいとの趣旨であります。又福岡逓信局設置に関する請願願意としますところは、北九州は、通信上における重要性から言つても、遥かに離れている熊本逓信局管轄下にあることは適当でないから、この際、福岡、佐賀、長崎の三縣を管轄するところの福岡逓信局を新設されたいとの趣旨であります。又桙衝村、長沼町間及び廣戸大屋両村間に電話線架設請願願意としますところは、これらの四ケ町村と郡の中心である須賀川町との通話不便解消策として、桙衝長沼間並びに廣戸大屋間に電話線を新たに架設せられたいとの趣旨であります。又名古屋妻木間に直通電話線架設請願願意としますところは、岐阜縣土岐妻木町は陶磁器の名産地であり、貿易再開の際には名古屋港より搬出されることになり、同地方との通信は一層の繁激化を予想されるから、名古屋妻木両地間に直通電話線架設を実現せられたいとの趣旨であります。又逓送業務一元化に関する請願願意としますところは、新設される郵政省の機構は、段階が多いため、逓送使命である敏速化が著しく阻害されるから、簡素にして強力なる機構を設置して逓送業務一元化を図られたいとの趣旨であります。次に長崎放送局施設及び技術改善に関する陳情は、長崎放送局電力が低位のため、縣内一般に感度不良であり、殊に壱岐、対島、五島水域における氣象特報等が受信できないため、漁船の遭難等の事例が頻出しているのに鑑み、これを改善強化する必要があるから、長崎放送局電力を少くとも十キロに増強し、第二放送をも開始し、技術並びに施設改善を図られたいとの趣旨であります。  委員会は以上の請願及び陳情につきまして、愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認めて、これを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。以上簡單でございますが御報告を終ります。
  15. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  17. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第二十五、自由討議、本日の自由討議は前会の続きでございます。発言者はそれぞれ発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。    〔矢野酉雄発言者指名許可を求む〕
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 矢野酉雄君。
  19. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 緑風会來馬琢道君を指名いたします。
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 來馬琢道君の発言を許します。    〔來馬琢道登壇拍手
  21. 來馬琢道

    來馬琢道君 國民制創定について私の意見を申述べたい。日本人は今耐乏生活をなすことになつております。而してその中の重大問題である衣、即ち國民服裝について申上げたいのであります。世界各國にはそれぞれその國特有服裝がある。朝鮮、中國、蒙古、シヤム、マライ、ジヤワ、ビルマ、印度セイロン、アラビア、エジプト、私は自分で行きませんが、西藏印度でよく西藏人に会いましたから分つておりますが、私が実際見た各國におきましてもその國の特色ある服裝を持つておるので、大体服裝によつて、その國の区別を知ることがでるくらいであります。ヨーロツパ、アメリカに行きますと初めて、これらの諸國は大体共通の服裝をしておるので、男女共、何國人かを服裝によつて知ることができないと感じたくらいであります。  我が國の服裝史を顧みると相当の変遷があつたことは諸君の御承知の通りである。唐朝の服裝を直輸入したる奈良朝時代から、樣々な服裝を混淆して用いました鎌倉時代、更に裃を着けた江戸時代というように変化しておるが、その間において庶民の風俗は大体廣袖着物で、長さは「くるぶし」の上、仕立方は一枚であつた。上下二つに分れておるのは少いようである。礼裝に袴を着け羽織を着ることになつたから、上下を二分するように見えるが、中身は上から下まで一枚で通つていたようである。佛教の僧侶の服裝でも昔は祇支と裙子に分れていたが、後に直綴という一枚の法衣となつた。つまり四季温度変化は、我が國は勿論、東洋各國において大いに異なつており、殊に温度は著しい相違があるから、ヨーロツパのように一樣に考えることはできないのである。熱帶地に多年勤務しておつた外交官などが中國の漢口や南京の暑さに苦しみ、熱帶地に生れた印度人たちが我が國の夏の蒸暑さに苦しむのも同樣の理由によるものである。故に我が國民は昔から風の通る着物を着ておる。而も一ケ月の間における氣候が不定であり、朝夕の温度変化があるから、常に冷暖変化に備える用意が必要である。暖冬あり、寒春あり、涼夏あり、暖秋ありというので、被服は自由に調節することになつて日本人被服はこの必要に應じて作製され発達して來たのである。中國の日本人が平素着る衣服寛濶の姿であり、服は開かれている。無恰好に見えるが、これでなくては四季変化に應じ難いのである。西洋衣服日本に傳わつてから、通称マンテルズボンと言い、多くは羅紗地を以て作り、軍人、官吏等がこれを着用した。彰義隊の繪に見える官軍の服裝などは、胸の辺はどうなつておるか分らないが、今から見れば可なり異樣なものであつたろうが、初期の洋服の標本ということができる。かくして洋服は公の被服となり、全國に普及したが、日本人の大部分はこれを着て満足することができず、みな半面、日本服を着用した。紋付の羽織を式服として使つた外に縫紋のものを用い、袴にしても絽、紗、博多平、仙台平等、一人にして十枚くらい所有しておる者も珍しくない。彼らは洋服を着ていながら和服を愛用したのである。私はこれを單なる趣味の遊戲と冷眼視したくない。日本生活には和服がなくてはならない理由があると信じておるのであります。  我が國においては、暑さに向つては襟を開いて風を入れたい。袖を廣くして少しく風を入れたい。足の方からも少しく風を入れたい。又寒さに向つては、腕を組んで両手で互いに温を保つようにしたい。両手を火鉢にかざして煖を採りたい。両脚の間から火の氣を入れて煖を採りたいという希望を持つておる。而してこれらの條件を備えたものは從來日本服であり、これを上品にするものは袴であり羽織である。日本人が八十年以上に亘つて西洋服裝に親しみながら、今尚、日本服通称和服又は着物を離さないのは、これらの理由によるのである。  以上の日本人服裝事情を見て、誰でも、これは二重生活である、不経済な生活であると氣付いているのである。よつて幾たびかこれを改良しようとして新して手段が研究せられたが、余りよい結果を見なかつた。私はここで静かに考えた結果、十年ほど前に日本にできた國民服はその研究の一部の発表であり、又その頃から都市に流行して來た婦人モンペイ服も又これに類するものと思つておる。かの國民服には甲種乙種とがあるが、甲種日本の襟の形を使用したもので、乙種立襟を使用する。即ち夏は甲型が適当であり、冬は乙型が適当である。又婦人モンペイ姿は決して美しいものではないが、スカートに比して各種の便利があり、近年漸く社会人の眼に慣れて來たので、何かの改良を加えれば主婦の服として非常に便利である。又夏冬の必要に從い空氣の流通を調節すれば、相当快く活動することができると思う。私はあの國民服モンペイ二つを一層深く研究したら、日本の風土に適つた被服ができるものと信じておるのであります。  然るに戰後三年間くらいはこの二つの型の日本服姿が相当國内に見られたが、昨年から本年にかけれおいおい國民服は見えなくなり、背廣服に華美なネクタイを付けた姿が都鄙至るところに見えるようになつた。又婦人モンペイ姿もおいおい影を沒し、一時はモンペイを制服にしていた女学校も今日ではスカートを用いるようになつた。平和な文化國の一面を示しておるようであるが、私は各家庭の内情を考察すると、颯爽たる背廣服を着ておる人も、家に帰れば和服を着て見苦しからざる生活をしておる。華美な洋裝をしておる女子も家では和服に着替えて働くことになり、カラー、カフスの保存、特に靴下の消耗などには相当苦しんでおる。寒さに震えながら長い靴下を穿き、短かいスカートを着て電車で通う女子の姿は美しいようでも、家庭では衣料の獲得に相当苦しんでおるであろう。このままで進んでは、各家庭では勿論、國全体が又着倒れになるのではないか、これは私のひそかに憂うるところであります。  私は被服現状に照して左の希望を述べます。  一、日本人はその氣候及び趣味等に合致した國民服制定し、我が國特有衣料を以てこれを仕立て、普通の生活は朝から晩まで一着で通せるようにすること。  二、特別の犠式、演藝等の場合を除き、日本婦人日本特有材料を以て裁縫したる被服により、暑さ寒さに適当した生活をなすようにすること。  三、在來の被服及び材料は、この目的のために再生又は改良して使用し、繊維の濫費を防止すること。  一々は説明しませんが、綿入子供服も工夫されてよく、大島絣國民服もできてよく、筒袖の訪問着も用いられ、鼠色の足袋を穿いておかしくない婦人事務員がビルデイングの中に見られるようになつたら、日本人衣料は余程節約できるのではないか。私は今にして日本人が目覚めなければ、又洋服和服と両種のストツクによつて箪笥は埋められ、家庭はそのために非常に苦しむという無用の心労を繰返すのではないかと思う。曾てあつた軍國主義國民服でなく、平和な文化的な國民服男女それぞれに適應するように考案して、これ耐乏生活の遂行に協力したいのであります。(拍手)    〔島清発言者指名許可を求む〕
  22. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 島清君。
  23. 島清

    島清君 日本社会党河野正夫君を指名いたします。
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 河野正夫君の発言を許します。    〔河野正夫登壇拍手
  25. 河野正夫

    河野正夫君 只今來馬氏より大変興味のある(笑声)服裝お話があつたのでありまするが、私はこの自由討議機会に際しまして、自由討議ということ自体を問題に供して見たいと思うのであります。  先程來馬氏お話にありましたように、軍國主義時代國民服が強制せられたが、その別の意味において種々理由から新たに國民服制定したら如何かということがございましたが、私はこれに対して反対であります。或る意味におきまして、経済上或いは國民生活個々の点におきまして、二重生活不便その他のおきまして、國民服というようなものを制定するということの理由は分らないことはございません。けれども、そういうような服裝制定するということは、如何なる理由の下にそれを行うのであるか、個人個人が自覚的に自然にそういう風習が生じ、そういう服裝が行われるということであれば、これは論外であります。けれども、そうでなくして、これを或る種の強権的な乃至は法律的な措置によりまして國民服を行わしめるというような観念があるとするならば、これは甚だ当を得ない。やはり軍國主義時代と同じような一種の考え方に基いていようかと思うのであります。私は何故、自由討議のことを論題とするときに、これを申上げたかと申しますと、戰後幾多日本における改革が、恰かも、軍國主義時代ではないけれども、別な先程來馬さんの仰せられたような意味かも知れぬけれども、種々理由による一つの新しい國民服制定であります。而も國民各自の個々事情趣味とに合致しない面が多い。ここに幾多の問題が起つている。こう思うからであります。(「そり通りだ」と呼ぶ者あり)自由討議という國会における制度も亦その一たるを免れないというのが私の考え方であります。  國会法又は参議院規則によりまして自由討議という制度が定められております。私はこの制度の設けられた趣旨というものを審らかにしておりませんけれども、新らしい議会の運営におきましては、昔のように三読会、本会議中心主議というようなことがなくなりまして、常任委員会本位審議になりました関係上、本会議における議員の発言機会を多く與えようというところに、この制度の目的があつたかと伺つております。成るほど第一回國会以來、自由討議に参加せられた諸君の非常に優れた御討論が、我々拜聽しておる者を啓蒙して下すつたことも事実でありました。併しながら國会も第五回と回を重ねるに從いまして、各党各派におきましても、この自由討議の参加希望者というものが逐次減少して参りました。又只今ここで見られまするように聽者も極めて寥々でありまして、(拍手)やかましく申しますならば定数を欠くという実情になつておるのであります。各会派共に、議案に対する賛成反対の意見を述べる希望者を募るならば、立ちどころに十指も屈して集まるでありましよう。或いは又政府に対する質問ということになりましても、多くの希望者が出て参るのであります。けれども、自由討議、極めて自由に論題を選べるところのこの討議が、かくのごとく不評判であるというのは、一体どういうわけでございましようか。私は初めに自由討議という言葉から、これは自由な討論である、言い換えるならば論題を固定させないで、自由に各自が論ずると言うか、乃至は討論者を予め予定しないで置いて、自由に活溌な議場内における発言が許される討議であろうかと思つておりました。ところが事実はこれに反しまして、数名の人々が予め予定せられており、而もそれらの人々が各々異なつた論題の下に一定の時間演説を続ける、聽者は止むを得ずこれを聽くところの義務を負うというのであります。討議はどこにもないのでありまするし、どこにも自由はないのであります。不自由不討議であると私は信ずるものであります。討議は必ずしも賛否両論に分れる必要はございませんけれども、討議の過程におきましては、少くとも次第にその論点が整理せられ、分析せられ、問題の解決に対して一歩前進するという方向に向けられて行くのでなければ、討議というものの効果はないのであります。こういう討議でありまするならば、聽者も、たとえ発言する機会がないといたしましても、そこに何程か討議に参加したところの價値を見出すことができる。然るに甲はAの問題を論じ、乙はBの問題を論じ、以下かくのごとくであつて、聽者はこの間にあつて、ただ何時間かひたすらに拜聽をするというのであるならば、これは全く討議の價値というものは零であります。  これに比較いたしますると、本院においてすでに経驗済でありまするが、一つの共通の問題を捉えて、何人かの人が何程かの討議を行うというのは、これは自由討議らしくはなつて参ります。併しながら、これはすでに本院においても廃止したことが示しまするように、実際におきましては、甲はAならAという点を強調する。そうして反対する。乙はBならBという点を強調して賛成する。そこに甲が乙を、乙が甲を反駁するというような機会を與えておらないのでありまして、そういう点におきましては、やはり討議になつておりません。これは最初に申上げました只今行なつている自由討議の方法と五十歩百歩なのであります。このように効果の挙らない不評判なこの自由討議は、一体尚存続する價値があるのでありましようか。或いはそういうことについて研究をしたことがあるのでございましようか。或る人々によりますると、成程自由討議というものは、余り價値はない、けれども、いろいろな方面関係上、形式的には存続することは止むを得ないというような説を聽くのであります。私はこういうような説を聽く度に肌に粟を生ずる思いをするのでございます。誤解しないで頂きたい。我々の置かれておる環境を私は恐れて肌に粟を生ずるというのではありません。むしろ、何事もいたし方がない、止むを得ないというような考え方で以て、正しいことをも貫かず、不正なることをもそのままに許して置こうというがごときその心的態度、その正しいものに対する勇氣を欠いている、こういう卑怯さというものに対して、大いなる憂憤の情禁ずる能わざるものがあるのであります。(拍手)若しも趣旨と理想が正しいのでありますならば、何故熱情を以てその実施の上に改善工夫を積まれないのでありますか。若しも又それが効果がなく、價値がなく、存続の必要がないということでありますならば、何故堂々と理論を展開し実情を訴えて、廃止の方向に向つて進まないのでありますか。無関心に、諦めと、乃至はごまかし、かくのごときが実に自由討議に対しても見られるところの一つの態度ではないか。而もこれが民主主義の最も恐るべき敵であるところの心的態度でありまして、問題は極めて小さい自由討議のことでありまするけれども、その中に含まれておるところのものは正に相当深刻な日本人の心構えの問題に帰着するのではなかろうかと思うのであります。今、自由討議制度を続けるといたしましても、尚いろいろの工夫が可能ではないかと思うのであります。すでに一種のマンネリズムに陷つておるがごときあの放送討論会の形式を眞似よというのではありません。そうではなくても、例えば一名の討論者、又は問題提起者とでも言うべき者を指名し、その人たちの演説のあとで、多数の者に対して自由な即座の発言を許す、こういうような自由討議の仕方もあり得るのであります。又数名の予め予定せられたる発言者の演説を聽いて、次には第二次にこれらの人々が更に登壇して、発言した人々の意見を参考にして第二次の発言を行う。こういう方法もあり得るのであります。或いは又議長自身でもよろしければ、討論整理者とでも言うべき者を予め決めて置きまして、第一次の自由討議が済んだあとで、その問題を分析し、整理し、整頓して、第二次の発言を求めるという方法も可能なのであります。こういうことによりまして、発言者も聽者もこの討議に参加して、一つの何らかの方向を決め、打出するということに協力する。ここにこそ本当に自由討議が活溌に行われるのでなかろうかと思うのであります。問題の選定ということが可なり困難になりまするけれども、これも賢明なる議員諸君がベストを盡すならば、可なりに適当な問題を見出すことが不可能ではないのではないかと思うのであります。例えば討論が具体的な結論に到達いたしませんでも、このように行われる討論でありまするならば、輿論を刺戟し、或いは更に深い関心と研究心とを喚び起すというようなことがあり得るのでありまして、こういう場合には、討論は一つの目的を達し得たと言い得るだろうと思うのであります。  以上は私の一私案、一つの思い付きに過ぎませんけれども、とにかく我々は自由討議制度そのものに対して十分の努力をしなければならぬということを主張するものであります。若し一切の努力を重ねても効果がないというのでありまするならば、我々は進んでこれが廃止に努力をしなければならぬ。こう私は信ずるものであります。廃止することが正しい道理を持つておるというのでありまするならば、かくのごとき議会の自由討議というような制度は、その影響するところ多方面に亘るが故に、当然この所期の目的を達することは不可能ではないかと私は信ずるものであります。一体自由討議をどうしたらよいか。第一回國会以來、運営委員会の議にもしばしば上つておるのでありましよう。併し最近におきましては、この運営の工夫をなされたということも、又は廃止が問題となつたということも、不幸にして聞かないのであります。何故にそうであるか、折角有意義だと信じて作つたところの制度でありまするならば、その運営改善に最大の努力を拂うべきが当然であります。別段に努力し改善する價値がないというのでありまするならば、何故断乎として廃止に向つて進まないのであるか。この廃止にせよ、改善の工夫にせよ、いずれも院内における我々の力でできることであります。このできることを敢えてせず、現実に眼を蔽うて、ただ徒らに惰性に引摺られて、不精不精に形式を整えることによつて一時を糊塗し去ろうとするがごときは、これこそ本当に物事そのことに対する一つの無関心、自分を欺くところの不誠実、乃至は合理的なものを追求せんとするところの熱情の欠如といつたようなことを示すのではなかろうかと思うのであります。このような不徳こそ日本を戰爭に引摺り込んだところの反民主主義的な精神態度でありまして、これを國会から眞つ先に切り去つてしまわなければならない。それだけの忠実さを持たなければならぬということを、私は声を大きくして叫びたいのであります。  時間が参りましたので止めますが、戰後、新憲法下におきまして、幾多の制度改革が行われましたが、その変革が急であつたがために、乃至は又内的な切実な要求が伴つていなかつたために、とかく今日において、これらの制度は血肉化しておらないのであります。さればこそ、その理想を若しも信ずるのであるならば、我々はこれらの諸制度の血肉化、具体化ということに向つて全力を傾けるべきであります。然るにそれを形式的な改革に終らせて、無関心と不誠実とを以て一時を糊塗し去らんとする態度は、嚴に戒めなければなりません。國会が率先してその衝に当つて國会の名誉を回復し、國民の民主化の先頭に立つべきであると私は信ずるのであります。諸君の御考慮を煩わしたいと思うのであります。(拍手)    〔宇都宮登君発言者指名許可を求む〕
  26. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 宇都宮登君。
  27. 宇都宮登

    ○宇都宮登君 緑風会は小杉イ子君を指名いたします。
  28. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 小杉イ子君の発言を許します。    〔小杉イ子君登壇拍手
  29. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 吉田内閣は公約を実行せぬとよく責められましたが、実は私も「私はこうして主食を出す」という公約が三ケ年目の今日までそのままとなつております。それにつき、経済九原則完遂に最も関連する生産減退のストにつき、主食、克己、耐乏につき、私の考え方を申したいと思います。  第二回國会終了間際のことでございますが、議場取巻の数列長蛇のスト行列を三階の委員会室から見ましたとき、今の吉田内閣では到底手は着けられまい、それにしてもマツカーサー氏はこの状態をどう思つて呉れておるのだろうか、したい放題にするがよいと思つておるのかと他人にも語りました。ところが七月二十二日にマツカーサー氏の國家公務員法に関する書簡が発表されました。そのとき私は嬉しく幾度もそれを読み返しました。公務員法は通過いたしましたが、今までのストの大方は、二百七十六万以上の官公吏や七百万労働組合員たちが各々の人物、能力、技術の優劣差別もなく、ただ増給、増俸要求のみに使用された特権行爲としか私には思えませんでした。この要求が完遂すれば、生産企業なら製品の値上もできましようが、官公吏の場合は、官公吏その人を初め枠内労働者や納税義務者全体から、政府は何かの名称でこの増給増俸額を徴收することになるでしよう。先だつて或る駅で、私も急行券が要るのだと咎められ、駅長室に連れ込まれたことが縁となりまして、いろいろの話がそこで、はずみました。そのとき一人が「先生、増給して貰わんと食えません」と申しました。そこで私は増給財源を運賃値上げによることの反対説を読んで貰い、例えば今までキヤベツ一個の運送料三円のものが十五円ともなれば、主食その他も必らず上る。その際、独身者なら増給効果はありますが、多数家族の場合は、増給額より遥かに口数により多額負担となりましようと申し、次には、煙草好きで有名なイギリスでさえ借款返還目的で節煙していると聞く今日、我が國ではニコチン中毒、血管硬化、火事の原因のこの煙草を、煙草は三分の一は國家の財源だというふうで、先日某駅員などは五十銭札に火を付けて喫煙したという程好きで、人によつては月に一万円、八千円、六千円、四千円、二千円と喫つておりますが、これは必需品として六千三百七円ベースに加えてあるものか。加えてあるとすれば、製品の場合はすでに値上げせられておるわけ、加えてないとすれば、その枠内では到底喫えないためストが繰返えされることは当然でございます。ところが、ここで考えることは、内職できず恒産もない人が悠々と喫えるところに大いに戰慄を催すものがあるので、その点を労働、大藏両大臣はどう思うかを聞いて見たいと申しましたところ、皆が痛いところだなあと頭をかきました。そこで私は、私の安定生活法を参考に申しました。それは、他の人と比較して自分の技倆を安く見積つて貰い、怠けず早退せぬことが失業を知らぬ祕訣であり、又一つは、昔は喫煙する婦人は下等婦人として見限られましたが、今は飲まうが喫おうが男女同権だ、民主主義、自由主義だと申しますが、それには政府がその代替配給の便も図らず、不用の者にまで酒煙草を配給したので、不用の者までが喫うことになり、それが中毒症となつて喫わずに飲まずにおられなくなつた人が多いのであります。私が二人半の子供を育て上げ、相應社会運動も人に貰わずでき、又選挙にも一万二千円という大金を使い得たということは、今申せば月に最低と見積つても数千円にも当る酒煙草を用いなかつたお蔭であると思います。又今日までの政府施策のように、酒が原因の約八割の白痴、犯罪、病人に対し造石税以上を負担するような予算家庭であつたり、又は九原則に関し他國の慈悲に依存する國民に眞の自由と解放はないと言われたマツカーサー氏の警告を恥と思い、自分の技倆相應の收入の範囲内で、人に貰わぬ、借りぬという信念がなければ生活難は断じて絶えません。又九原則完遂につき、全く慈父が我が子に訓すよう教えられたところに大いに感謝の念が起ります。それに今までの公務員、労働組合員には、日曜もあり、土曜、祭日、賜暇、忌引もあり、特配、無料診断所等々あり、又勤務中、本も読め、手紙も書け、時には編物もできます。それに反して、何らの恩惠にも與かれぬ出賣行商人や日雇人夫たちの、雨や嵐の続く日を思いやり、自分の正味勤務時間を計り、「時は金なり」を思うならば、ここに感謝の念が起るでしようと語りました。併しながら、又一方、私はここでストを起さず、生産能率を挙げさす対策の一つとして、左の方法を考えるのであります。    〔議長退席、副議長著席〕  某大工場では三十年來スト行爲を見ません。そこの副所長は工員社員からの贈物を断じて受取りません。それは工員社員の生産を脅かし、ストの原因ともなるからとのことでございます。又ここの人員整理は、物をかすめたり、耳かき一本でも作つて持つ帰つた者を眞先に解雇するので、自然粒選りの工員社員であることも考えられます。次は四、五倍高の闇米を断じて買わさぬことで、それは全國の家庭、会社、工場、劇團、土木関係、その他におけるところの百万の幽霊、又は一日五百人上陸することもある密輸入國人等の主食その他を取押え、又は表面だけでも二千億円に上る密造に潰す主食を取押えて配給することであります。次は、政府が芋の配給不人氣を幸いに、去年の三倍量、八千五百万貫を腐敗せぬ前に、粉末として、砂糖なしでも甘い菓子として配給すること、次は、本年三割増した酒米四十六万石を配給分として廻して貰うことであります。ここで一言申し置きたいことは、西洋の例は申しませんが、先日佐賀縣の某炭鉱では、特配酒には実に困る、併し皆が買受け得ないので、大方は返すけれども、その中で受けるものは博奕打ちぐらいの不良で、これらが今は民主主義だと申して実は能率を下げておる、又特配酒の度に悩むのは主婦たちである、と申した人は、八年間炭坑夫で、後の八年は労務課勤務中の人であります。又昨年、全國労働組合代表に酒の要、不要を聞きましたとき、政府は我々を全く魚を釣る餌のように思つているが、さように酒の欲しい者ばかりはおりませんと申しました。又三井田川の二百名中、一割三分五厘が是非酒が欲しいと申して、後はあつてもよし、なくてもよしで、三十年勤続者は絶対禁酒家でありました。次は思想につきまして一言申しますと、私が数ケ月見た主婦は、寢ても起きても上着はモンペ一枚限り、外出の時は隣りの赤ン坊ではない、三才の子を背負わして貰い、ねんねこで寒さを防ぎ、みすぼらしい様子を隠します。この家は子供三人の五人暮しで、月に一斗は必ず闇米を買います。闇米は金さえあれば幾らでも買えますが、着物を買えば米が買えぬ、粉食はおかずが高く付くと申し、次の選挙にはよい配給をして呉れる共産党に投票すると待ち構えております。いつでも組合員だけを指して働く者働く者と申しますが、これ以外の人たちも同じく食わんがため、生きんがため、養わんがため、力の限りよく働いております。只で貰うわけでもない公定米を、被服その他を買わせ得ぬことは、思想を惡化させます。共産思想を圧迫するならば、先ずその前に主食や必需品をもつと安く配給することであります。次は密造を繰返さぬ方法として、体刑者は離れ島に移すことによつて半分と見積つても約二百万石は主食が浮き出ることになります。次は避妊法でございます。先ずこれは男子が先に自制すべきであります。又方法も容易であり、対策利用もできます。ところが婦人は経済を思い、不慣れ、差恥、早合点等のため却つてコボし妊娠の處れもあります。それにいたしましても、先ず一日も早く惡質、惡性の遺傳病、精神病、又は酒乱、その他に断種手術、受胎不能手術を断行して、主食を出すべきであります。次は昭和二十一年、総司令部は農林省に向い、酒に米を潰すなと申し、又アメリカから送る主食は米國人の税金によるものだと申し、最近は一日も早くその代金支拂の日を希望すると申し、今まで約五千億円の主食惠與に與かつておると聞きます。それに、三月の日本経済新聞に記載の、諸國に氾濫する正規酒と、闇酒と、特配の戻され酒のもてあまし方、一等一升、二等五合の「くじ」付きでも捌けぬ始末‥‥。ここで政府も國家の財源のためには手段を選ばずというふうで、未成年者禁酒法等でも大いに圧迫しておる様子が見えるのであります。全國の母親は皆泣いておるのであります。これを読む人は、政治家でなくとも、國民の食糧要望を対照して、良心的に同情に堪えぬ筈だと思います。私は第一回衆議院議員選挙の際、粉骨碎身、米三合配給確実と叫ばれた方は、この際今一層声を大にせられんことを希望いたします。終りに、この頃ちよいちよい輸出品の不合格を聞きますが、アメリカは一個不良品を見当てると直ぐに燒くと聞きますから、日本も今までのように一個位は分らぬということのないように、経済と道徳を切離さぬように、酒に醉つたり麻雀に耽り過ぎて違約せぬようでなければ、いつまで経つても金は得られません。私は外國から自然に移民を、植民を、又は出張所、支店を要望される國民とならねばならぬ、又経済九原則も完遂せねばならぬと思いますが、それについては、やはり出せる主食を出して、闇米を買わんがため、監視の目をくらまさんがため、夜中、二三升の米を提げて右往左往させず、その時間を優良品を生産させる時間に充てるに限ると思うのでございます。(拍手)    〔藤田芳雄君発言者指名許可を求む〕
  30. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 藤田芳雄君。
  31. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 無所属懇談会は川上嘉君を指名いたします。
  32. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 川上嘉君の発言を許します。    〔川上嘉君登壇拍手
  33. 川上嘉

    ○川上嘉君 私は去る四月五日の吉田総理の施政方針に対する質問演説におきまして、質問の骨子を税制一本槍で押通したのでございましたが、私の質問に対しまして、明確にして詳細納得の行く答弁がありませんでしたから、その上、政府は本会議におきまましても、委員会におきましても、税制の改正並びに取引高税廃止などの公約について、すべてシヨーブ博士の來訪を待つて行うとの答弁もありましたし、丁度シヨーブ博士の來訪を今明日に控えまして、誠に当を得ておると信じますので、更に本問題を掘り下げて具体的に檢討することにいたします。  私は、飽くまでも生粹の税務署出身者としての実務の体驗を通じまして、現行税制並びにその運用面における不合理を指摘し、その原因、対策等について簡單に所見を述べることにいたします。四月五日の質問演説におきまして、税金の軽減という公約の不履行に対する政府の責任を追究し、税の過重な負担を第一線の税務職員に轉嫁しておるが、速かに税の軽減措置をとらなければならぬ。更に負担の過重、不公平を改善せよ。税金捕捉の不適正を檢討し、これが合理的対策を速かに立てよ。申告納税制度実情に副わないから改善せよ。審査請求中の差押えは不当であるから税法を改正せよ。金融機関に対する幅のある調査権限を付與せよ。大口脱税捕捉の具体策如何。更に税務職員の大幅増員、税務職員の素質の向上、待遇の徹底的改善、科学的調査方法の樹立、諸設備の改善等に対する措置如何と所信を述べたのでありますが、更に今日ここで申告納税制度を採上げまして、これを中心として、もつと掘り下げて檢討することにいたします。  四月五日の本会議におきまして、申告納税制度は我が國の実情に即しておるかどうかの私の質問に対しまして、池田大藏大臣は、これは一昨年以來我が國に行われた民主的制度である。併し國民は数十年間に亘つて所得調査員による制度に慣れておる関係上、なかなかこの申告納税制度はうまく行つていない。併しこの制度は昨年よりも今年はよくなつておる。殊に農村方面においては殆んどうまく行つておるから、今後とも申告納税制度を続けて行きたいと考えておる云々と答弁いたしております。成る程、申告納税制度は民主的にして進歩的な制度ではありまするが、過去二年間の実績を見ますと、遺憾ながら実情に即していず、又円滑に行われていないのであります。私は公平適正、合理的な税務を遂行するために、制度としましては後退するようではありまするが、ここ数年間この申告納税制度を廃止いたしまして、実績課税制度の復活を提唱するものであります。池田大藏大臣は申告納税制度を採用した当時の主税局長でありまするが、その当時、申告納税制度を採用する理由といたしまして、実績課税制度は、國民経済及び國民所得が急激に変化しておる際には時期的に課税上のズレを生ずる。更に國民負担の公正を期し難いことは自明の理である。即ち担税力のある所得者層に顯著な変化が見られる際においては、実績課税を受ける納税者相互の間の担税力に相應する公正な課税ができないばかりでなく、勤労所得者等のごとく、その年の收入により課税を受ける源泉課税の場合との間にも負担の公正を失することになる。更にその変化が著しい膨脹の過程にあるときは、國庫收支の均衡を保ち得ない結果となる云々と述べております。以上の通り池田大藏大臣は、二ケ年前の主税局長当時、公平、公正、適正な課税を期する目的のために、積極的に現在の申告納税制度を採用したのでありまするが、その当時すでに個人所得と法人所得との不均衡を見逃しておりますし、又二ケ年間の実績によりまして、申告納税制度の採用は大きな誤算であつたことを事実が立証いたしておるのであります。今や税金問題は全國民にとりまして最も緊密な問題となりまして、租税の状況は由由しい状態に立ち至つております。税金が過重である。或いは不公平である。不適正である。割当課税である。徴税強行である。こういつた非難が、ごうごうとしており、このままで行きますと、税務行政は全く権威を失墜し、崩壊しなくちやならないといつたようなことになるかも分らないのであります。納税者が負担過重のために自殺をしたのも、発狂したという事実も、幾らもあります。又税務職員が労働過重のために自殺したということも、発狂したという事実もあり、職場には病人が続出しておるのであります。こうした不合理は、過日の質問演説におきましても申し述べました通り、歳入見積りの過大と税制運用面の不合理に原因するものと断定いたすものでございまするが、特に税制面における現在の申告納税制度こそは最大の癌であると強調し、重ねてこれが廃止を提唱するものであります。納税者は、予定申告、修正申告、確定申告と、慣れない報告に殆んど年中追われております。又税務署は申告の指導、これの受付、更正決定、確定決定、これにそれぞれ伴う異議申立などの二重、三重の事務で、いやが上にも繁雜多忙を極めておるのであります。その上、二十二年度におきましても、二十三年度におきましても、申告納税は非常に成績が惡い。こうした事情によつて、税務署の大半を占めておる所得税係は殆んど申告納税制度の事務と取組んで、一年中これに忙殺され、而もそれでさえも合理的に消化し切れない程多忙を極めておるのであります。この結果は、所得税の本來の姿である大口取得の綜合課税、こういつた点に手を着ける余裕が殆んどないのでありまして、結局、目標額達成のために最も犠牲となるのは、手取つり早いとこで中小の事業所得、給與所得のごとき小所得者となりがちであります。尚、大多数の申告は実際の額より少いから、この一般的な原則から、申告の何十倍というような査定額が要求される危險がここに伴つて來るわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)かくのごとく人手不足であり、而も政府はこれを百も承知でいながら、首切りを実施しようとしております。行政整理、料飲店再開のごとき詰らぬことに力こぶを入れなくとも、むしろ、もつと國民的な立場になつて大きな問題を採上げるこそ、政治家のなすべきことであると信ずるものであります。(拍手)  さて、申告納税制度を廃止することによつて、それに注いでいた能力の幾割かを所得の実額捕捉調査、個人及び法人の大口所得の実地調査などに向けるといたしましても、相当程度の課税の公平適正を期することができる、尚、大口所得が捕捉することができるものと信ずものであります。予算の圧縮が不能であり、予算の膨脹が止むを得ないものでありまするならば、せめて負担の公正、適正に万全の対策を講じて、國民の負担軽減を図るべきでありまするが、このためには、繰返して申告納税制度の廃止、実績課税の復活を提唱し、更にこのために第一線税務署の格段の充実を要望いたすものであります。五月五日発表の政府の收税廳案によりますると、國税監理局、即ち現在の財務局におきまして、百万円以上、資本金千万円以上の法人について直接更正決定に当ると共に、各税務署の徴税を指導する云々となつております。私は勿論、指導することには賛成でありまするが、直接に所得を決定することには反対するものであります。反対の理由といたしまして、第一、陣容が整つていない。又整えることも非常に困難である。從いまして調査能力がなく、このことは、昭和十七年度にその当時の好況種目を財務局で調査して決定することにして着手いたしましたが、途中投げ出して失敗に終つたという事実があるのであります。尚、徴税査察部との関係をどうするかなどの問題も残つております。  次に実績課税制度欠陷を補充するために、臨時利得税を創設し、尚、外部の協力体制設置などの必要を強調いたすのでありまするが、この協力体制は商工業者團体、農民團体、市民團体、労働組合より選出された者によつて当然構成されるべきものと信ずるのであります。尚、更に、基礎控除、扶養控除の大幅引上げを断行し、これによつて当然納税者数が相当減少いたすのでありまするが、それに向けていた相当程度の現在の税務署の能力を活用することによつて、賦課徴收の公平適正に大いに役立つことができるのであります。尚、生活必需品に対する間接税、流通税、勤労所得税のごとき大衆課税の改廃を提唱するのでありまするが、その代り財源といたしましては、現行所得税法の範囲内だけでも左記の諸点を採上げることができるのであります。即ち看做す配当所得、山林所得、譲渡所得の五割控除制度の檢討、重要物産に関する免税規定の檢討、法人税については評價減認容の制度を檢討、繰越欠損金控除、補助金免税、プレミアム課税廃止の再檢討などでありまするが、尚、軽度の財産税の新設等を考慮することができるのであります。  以上述べました通り、私は祖税の負担の軽減、課税の公平適正などの必要、尚これに対する対策として申告納税制度の廃止、実績課税制度の復活を提唱いたし、更にこの補完といたしまして、臨時利得税の新設、その他、税制改正の諸点、更に外部の協力体制の設置の必要を申述べたのでありまするが、最後に運用面の合理化、即ち職員の大幅増員、更に職員の素質の向上、待遇の徹底的改善、科学的調査方法の樹立、諸設備の改善等に対して万全の措置を要望いたしまして、私の自由討議を終ることにいたします。(拍手)    〔大隈信幸君発言者指名許可を求む〕
  34. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 大隈信幸君。
  35. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 民主党は小林勝馬君を指名いたします。
  36. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 小林勝馬君の発言を許します。    〔小林勝馬登壇拍手
  37. 小林勝馬

    小林勝馬君 私は防災対策につきまして一言述べたいと存ずるのでございます。  我が國が世界でも稀なる天災國であることは周知の事実であるのでございまして、一昨年、昨年におきましても、風水害、地震その他によりまして、大きな被害を受け、尊い人命を幾多失つたことが、まだ私たちの耳目に新らしく記憶されておるところであるのでございます。戰後我が國の荒廃した國土にとりましては、かかる天災は大きな傷手を相次いで重ねる結果となりまして、今や災害によりますところの損害は、年々雪だるま式に増加の一途を辿つておるのでありまして、一回の台風來襲によりまして、実に数百億の経済的損失がもたらされておる現状であるのでございます。本年も、やがてこの台風シーズンを迎えようとしておるのでございますが、今にして我々がこの災害防止につきまして眞劍に対策を講ぜない限りは、各地において洪水その他の災害によりまして一層の損害を蒙むる可能性があることは、火を見るよりも明らかなところでございます。我我がかかる天災に対しましてこれを積極的に防止せんとする場合、普通二つの方法があるのでございます。即ち一つは災害に堪え得るだけの施設を施すことでございまして、他の一つは、これらの災害が起りそうな場合、予めこれを察知いたしまして、これに対して集中的な処置をとりまして、その損害をできるだけ軽減し、これを善導して行かなくてはならないのでございます。我が國は戰後、労働力においては不足しておりませんが、資材が足らないということは御承知の通りでありまして、耐火耐震建築物の建設、河川の徹底的護岸工事が叫ばれながら、なかなかその実現を見ていないのでございます。かかる現状を見まするときに、災害防止につきまして甚だ悲観的にならざるを得ないのでございます。他の方面、即ち災害の事前予知につきましても十分なる措置をとらねばならないと思われるのでございまして、一昨年のキヤザリン台風來襲に際しまして関東地方に大水害をもたらし、昨年のアイオン台風の際は利根川の堤防は欠壊を免れ、廣大なる面積の土地が水禍から脱することができたのでございます。聞くところによりますと、アイオン台風の際は関東地方建設局と中央氣象台との密接なる連絡の下に行われました洪水予報により、栗橋より下流の水位、及びその最高となる時期などが予想されていたために、計画的な処置が可能となりまして、無策であれば当然堤防を越したと思われる水位にも拘わらず、無事堤防を守り、田畑を水禍から救い得たとのことでございます。若しこれが堤防を破つて氾濫したといたしまするならば、その損害は数億にも上るものと考えられるのでございまして、我が國のごとく複雜なる地形と荒廃した山野のため洪水を惹き起す河川が多いところにありましては、今後少からず出費はあつても、相当の河川につき、かかる洪水予報網を敷く必要があると思われるのでございます。而もこれは決して多額の経費を必要とするのではなく、主として技術者の増員等によりまして解決されることでありまするので、政府はこれに対しまして十分なる施策を講ぜられんことをお願いする次第でございます。このことは、ひとり洪水の場合のみでなく、雷による災害、雪害、津波の害等々沢山あるのでございます。いずれの天災に対しましても言われることでありまして、例えば雷災の場合につきましては、今日、都市において昔のごとく雷雨の際に停電もなく、交通機関、工場等が、その機能を停止しなくてもいいのは、送電会社と氣象官署との連繋による雷雨予報の結果、落雷の予期される送電線の切替が行われているというような問題があるのであります。私はかかる面からする防災対策をますます強化拡充すべきものであると信ずるのでございますが、果して現民主自由党政府がこれに対しまして積極的な熱意を持つておられるかどうかということを疑うのでございます。何となれば、一例を今回の政府が行わんとしておりますところの行政整理にとりましても、警察、消防、刑務所等は、これは除外しておるにも拘わりませず、建設関係、氣象関係、それには、いずれも中央官廳と同じ天引整理を行おうとしておることからいたしましても、これが言えるのでございまして、特に氣象技術者の整理につきましては、氣象技術者というものが一朝一夕に直ぐ簡單にでき得るのではなく、なかなかこれは熟練を要する問題でございます。この長年月の経驗と高等專門学校程度の基礎教育を必要とするのでございまして、こういう経驗者を必要とする氣象台技術者の整理をこの際行わんとする民主自由党の政策に対しまして、甚だ心配している次第でございます。政府は経済九原則の下に経済政策を行う義務があるのでありますが、若し余りにも近視眼的になりまして、必ずやつて來るところの天災に対しまして万全の施策をなさないならば、將來に悔を残すことは明白なることでございます。私はかかる観点から、政府は一層防災関係の施策を拡充強化いたしまして、宜しく衆智を集めて、農民、漁民、市民等に対して、災害に対して不安の感を抱かせざるようにすることが、この際必要であると力説するものでございます。幸い特別委員会として災害対策委員会が先般から設けられておるのでございますが、この委員会におきまして、防災関係の官廳の人員整理なども含めて、防災対策をも十分檢討せられることをお願いして、私のお話といたします。(拍手
  38. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これにて今回の自由討議は終了いたしました。  次会の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十二分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一酪農業調整法を廃止する法律案  一、日程第二乃至日程第七の請願及び日程第二十二、第二十三の陳情  一、日程第八乃至第二十一の請願及び日程第二十四の陳情  一、日程第二十五自由討議(前会の続)