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1949-04-28 第5回国会 参議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十八日(木曜日)    午前十時三十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十九号   昭和二十四年四月二十八日    午前十時開議  第一 健康保險法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第二 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第三 米國対日援助見返資金特別会計法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 國営競馬特別会計法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 企業再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 特別都市計画法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第八 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第九 公判前の証人等に対する旅費日当宿泊料等支給法案内閣提出)(委員長報告)  第一〇 刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第一一 司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第一二 会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第一三 郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 港則法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第一五 医療法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第一六 医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第一七 六・三教育制度完全実施に関する決議案田中耕太郎君外十一名発議)(委員会審査省略要求事件)  第一八 伊予大島に船だまり築設の請願委員長報告)  第一九 政泊漁港船入ま築設に関する請願委員長報告)  第二〇 野田漁港築設に関する請願委員長報告)  第二一 越喜來湾崎浜船だまり築設に関する請願委員長報告)  第二二 瀬崎漁港に船だまり築設の請願委員長報告)  第二三 通山漁港築設に関する請願委員長報告)  第二四 羽幌漁港修築促進に関する請願委員長報告)  第二五 假屋漁港製品加工場完備等に関する請願委員長報告)  第二六 名護屋漁港修築に関する請願委員長報告)  第二七 第二水産講習所農林省所管水産單科大学に昇格の請願委員長報告)  第二八 和田漁港船だまり築設に関する請願委員長報告)  第二九 かき養殖業者動力船用燃油リンク制復活に関する請願委員長報告)  第三〇 水橋町漁港改修工事施行に関する請願委員長報告)  第三一 漁業災害補償制度設定に関する請願委員長報告)  第三二 ウトロ漁港修築に関する請願委員長報告)  第三三 久慈漁港修築に関する請願委員長報告)  第三四 漁船保險に関する請願委員長報告)  第三五 沿岸漁業用資金融通に関する請願委員長報告)  第三六 漁業用リンク物資割当等完全実施に関する請願委員長報告)  第三七 漁港、船だまり修築費國庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第三八 漁港法制定に関する請願委員長報告)  第三九 長江漁港船だまり築設に関する請願委員長報告)  第四〇 丸山漁港修築に関する陳情委員長報告)  第四一 水産業金融対策に関する陳情委員長報告)  第四二 日立漁港修築に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。遠山丙市君より法務委員を、水久保甚作君より建設委員を、安達良助君及び小林勝馬君より予算委員を、鬼丸義齊君より図書館運営委員を、それぞれ辞任の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として、法務委員水久保甚作君を、建設委員遠山丙市君を、予算委員小杉繁安君及び小畑哲夫君を、図書館運営委員小林勝馬君を指名いたします。      ——————————
  5. 岡部常

    岡部常君 本員は、この際、選挙法改正に関する調査のため、選挙法改正に関する特別委員会を設置いたしまして、その委員数を二十七名とし、その指名を議長に一任するの動議提出いたします。
  6. 原虎一

    原虎一君 只今岡部常君から提出なつ動議賛成いたします。
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今岡部君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて選挙法改正に関する特別委員会を設置することに決しました。参事をして議長の指名いたしました特別委員の氏名を朗読いたさせます。    〔宮坂参事朗読〕  選挙法改正に関する特別委員    岡本 愛祐君  入野  哲君    柏木 庫治君  西郷吉之助君    島村 軍次君  新谷寅三郎君    鈴木 直人君  北條 秀一君    小串 清一君  北村 一男君    城  義臣君  遠山 丙市君    藤井 新一君  伊東 隆治君    鬼丸 義齊君  木内 四郎君    佐々木鹿藏君  鈴木 順一君    天田 勝正君  大野 幸一君    大畠農夫雄君  吉川末次郎君    太田 敏兄君  川上  嘉君    小川 久義君  兼岩 傳一君    小川 友三君      ——————————
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程第一、健康保險法の一部を改正する法律案日程第二、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員会理事今泉政喜君。     —————————————    〔今泉政喜登壇拍手
  11. 今泉政喜

    今泉政喜君 只今議題となりました健康保險法の一部を改正する法律案並びに厚生年金保險法等の一部を改正する法律案に関する厚生委員会における審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず健康保險法の一部を改正する法律案について申上げます。健康保險制度におきましては、第二回國会において法律改正され、又社会保險診療報酬支拂基金法制定されまして、保險診療円滑化が図られ、それ以來、被保險者経済生活の逼迫と、他面において診療担当者全面的協力等によりまして、保險診療の件数及び金額の異常な上昇を來しまして、保險経済の危機を招いておる現状であります。ここにおきまして、保險経済收支均衡を図るために保險料の率を千分の四十から千分の五十に引上げまして、保險料收入の増大を図りますと共に、一面被保險者の療養の給付について、一部負担金として初診料に相当する額を負担させることといたしまして、保險経済收支均衡を図るようにしたのであります。又被保險者標準報酬給與の実情に合せまして最低二千円から最高二万四千円までの十九等級に整備いたしますと共に、健康保險委員会健康保險審議会と改めまして、その組織権限等を明確にし、又被保險者負担すべき保險料の納期を過ぎても納付しない事業主に対しては一定の罰則を認める等の改正を図つておるのであります。以上が本法案提出理由大要であります。  本委員会においては、本法案は本院先議でありまして、四月二十三日、本審査付託となり、本法案保險経済に及ぼす(「元氣を出せ」と呼ぶ者あり)影響重大性に鑑み、二十三日以來連日愼重審議をいたしたのであります。その間における政府委員との間における質疑應答の主なるものを二三御紹介申上げます。  保險医診療報酬請求の場合に、事業主との間に連鎖がない。そのために診療報酬請求事業主を通じてその承認を得て支拂組織が必要と認められるが、現行制度においてこの欠陷があるが如何との質問に対し、政府管掌の場合には、政府が責任を以て審査に当つている。又被保險者証の様式を改正して、不当請求の弊害を防止することにしたい。尚、診療担当者の監査を励行するが、事業主承認制をとることは重大な問題であるから、愼重研究したいとの答弁がありました。又本改正案の一部負担金制度健康保險制度本來の趣旨に反してはいないか。保險料引上げ初診料を取らないようにしては如何との質問に対し、一部負担金健康保險制度本來の趣旨に反するが、現下運用の上には止むを得ない。又一面、保險料引上げによつて保險経済の確保を図ることも考えられるが、産業界現状としては、もはや保險料引上げは困難と認められるとの答弁がありました。又一部負担金制度を採用した後において、保險経済が安定した場合に、一部負担金制度を廃止するか又は保險料率の引下げと何れを先に行うかとの質問に対しては、勿論一部負担金制度を先に廃止するとの答弁がありました。  以上のような質疑應答がなされました後、討論に入りましたところ、一委員より、医療報酬支拂に際して、政府事務繁雜理由として、請求書審査会の一方的な審査を信頼し、診療費改善のために手段を盡していないが、健康保險赤字補填診療費改善をすればできるのであるから、初診料の一部負担金制度を復活して、被保險者負担させることは反対である。又健康保險事務費政府負担は僅かにその三分の一という少額である。その残余は被保險者及び事業主負担させておる現状である。政府は一ケ年二億円程度の支出をして事務費の全額を國庫負担とすべきである。以上の理由を以て本法案反対するとの意見開陳があり、又一委員は、一部負担金制度を復活することは健康保險制度の本來の趣旨に鑑み決して望ましいことではないが、現今保險経済の状況においては、その運営上誠に止むを得ない措置であることは認めるが、社会保障制度を確立するには尚相当期間を要するから、社会保險の具体的にして全面的な改正を要望する旨の希望意見を附して本案賛成するとの意見開陳がありました。以上のような賛否両論意見後、採決に入りましたところ、本法改正案に対して少数の反対はあつたが、原案通り対数を以て可決すべきものと決定した次第であります。  次に厚生年金保險法の一部を改正する法律案についてその提出理由を申上げます。厚生年金保險におきましては、第二回國会において一部改正がなされて、現今に至つておるのでありますが、標準報酬基準といたしまして、各種の保險給付についてる現在支給している障害年金の中には、標準報酬最高制限額が六百円の低い標準報酬に基いてその額を算定したものであります。そのため経済状態が著しく変つた今日におきましては、その額は余りにも少額でありまして、生活を保障するとは言い得ない状態にありますので、これをでき得る限り増額いたしまして、実生活に適合した保險給付をしようとするものであります。又標準報酬につきましては、厚生年金保險においてはその最高限を八千円に止め、その区分健康保險区分と同様に整理いたしまして、事業主及び被保險者の利便を図ろうとするものであります。尚、標準報酬算定方法及延滯金引上げ等につきましては健康保險法と同様にいたしまして、地方廳事務手続を單一化し、併せて事業主事務負担を軽減しようとするものであります。以上が本法案提出理由大要であります。次いで二三の委員より質疑がありましたが、これは速記録を御覽頂きたいと存じます。かくして本案討論を省略して採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上御報告を終ります。
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 健康保險法の一部を改正する法律案について討論通告がございます。三木治朗君。    〔三木治朗登壇拍手
  13. 三木治朗

    三木治朗君 只今委員長報告にありました健康保險法の一部を改正する法律案に対しまして、社会党を代表いたしまして反対意見開陳いたします。  御承知通り健康保險は大正の初まりに制定されまして、二十数年の間労働階級の福祉のために運営せられて参つたものでありまするが、創立当初より、労働者側負担は千分の二十、使用者側負担が千分の二十、合せて千分の四十を以て二十年來経営して参つたものであります。然るに今回この千分の四十を五十にしようという案は、いろいろ理由はあるでありましようけれども、これは敗戰後日本にとつては、あらゆる問題がすべて困難な状態に置かれておる今日、この健康保險法のみが、最も安易な、金が足りないが故に掛金を増すという、頗る安易な方法を以てこの経済的な困難を切拔けようとすることは、甚だその意を得ないのであります。成る程今日の医療に從事する方々にとつても、いろいろの苦痛はあるでありましようが、一面惡徳の者も相当あるのであります。こういう面におきましてもいろいろの操作を行うならば、経済的な面に余裕を生ずること亦難きでないと信ずるのであります。尚、医藥品その他の操作におきましても、いろいろ工夫をいたしますならば、この経済的困難を切拔ける途がないとは申せないと思うのであります。あらゆる操作をいたしまして、然る後に万止むを得ない場合においてのみ、これは掛金増額も考え得られるのでありますが、前申上げました通り、二十数年の間その千分の四十を以てやつて來られ、むしろ創立当初におきましては、保險組合を作りますならば、春秋二回の健康増進のための運動競技等もその掛金の内部において相当盛大に行われた経驗が数多くあるのであります。私は今日の健康保險運用の面においてまだまだいろいろ改善すべき点があるのであつて、而もこの日本再建に最も重要な役割を果すところの労働階級に、一番安易な掛金を増すという方法でその負担を過重することは、これは絶対に承服いたしかねる点であります。而も健康保險の性質からいたしまして、これはむしろ予防医学の面から、病氣をなくす面に努力をすべきでありまして、病氣を治すことよりも、病氣を起さない方に重きを置くべきであるにも拘わらず、初診料を取るということは、軽微な病いでありまするならば、つい、その四十円なり四十四円なりの初診料を拂うことのために、医師にかかる期間を延ばす憂いが多分にあるのであります。重くなつてからかかりまするならば、これは非常に医療費を要することは明白な事実であります。かくのごときは健康保險法の精神に反すること申すまでもなく、延いてはこれは生産増強の面に重大な影響のあることと信じて疑わないのであります。  私共は、かかる見地からいたしまして、今日の日本労働階級日本再建に対する重要性から考えまして、日本労働階級が精神的にも肉体的にも健全なる発達なくしては日本再建ができないのでありまするから、そういう観点からいたしますると、今度の改正はそれに反するすべての影響を考えざるを得ないのであります。精神的に段段左傾し、肉体的にはそういう面から衰えを見るようなことがあつては、日本再建はできないのであります。こういう観点からいたしまして、眞に日本再建を考えまする者といたしましては、かくのごとき惡改正には断乎反対せざるを得ないのであります。何とぞ同僚議員諸君愼重なる民判断によりまして、この反対意思に御賛成あらんことを切に希望いたしまして、私の反対演説を終る次第であります。(拍手
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。先ず健康保險法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  15. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に厚生年金保險法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  17. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、議事の都合により、日程第三より第六までを後に廻すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第七、特別都市計画法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。建設委員会理事島津忠彦君。     —————————————    〔島津忠彦登壇拍手
  21. 島津忠彦

    島津忠彦君 只今議題となりました特別都市計画法の一部を改正する法律案に関しまして、建設委員会審議経過並びに結果を御報告いたします。  委員会は去る四月二十二日及び二十六日の二日間に亘り、当局提案理由説明の後、質疑應答を重ね、愼重審議の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  本案提出理由は、土地区画整理に伴う補償金に関する規定を整備する等のため提案されたものであります。御承知通り現行特別都市計画法第十六條の規定によりますると、区画整理施行により、地区内の宅地の総地積施行前の地積より一割五分以上減少するに至つたときは、その一割五分を超える部分について、土地導有者及び関係者に対して、勅令の定めるところにより補償金を交付するのであります。從つて地積減少一割五分以下のものに対しては補償をしないのでありますが、これは区画整理の結果、宅地として利用價値増進が大なるため、この限度においては補償を要しないとしたものであります。然るに憲法第二十九條の規定によりますると、「私有財産は正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」とあります。区画整理施行は、宅地地積減少以上にその利用價値増進が大なることを原則とするのでありまするが、ときに例外を予想し得ないではないのであります。この場合における前に述べました憲法條章との関係も顧慮して、今回の改正法案にありましては、区画整理施行の結果、地区内の宅地價格総額施行側宅地價格総額に比して減少したときは、その減少した額について、土地所有者及び関係者補償金に交付することといたしたのであります。この補償について、宅地價格算定方法政令で定めるのでありまするが、政令案によりますると、これには宅地利用増進率を用いることとなつております。これが今回の特別都市計画法の一部改正中心点でありまして、その他は地方自治法制定の結果、同法中の字句を整理したものであります。  この改正法案に対しまして、各委員より熱心な質問が多々ありまして、種種檢討されたのでありまするが、その主なるものは、今後一割五分以下の地積減少に対しても補償することとなるが、これに伴う予算措置如何との質問に対しまして、当局よりは、これまでの区画整理施行実績に徴して、地積減少に十分対應する宅地利用價値増進がある結果、予算には大いなる影響はない見込であるとの答弁があつたのであります。又今回の改正に関連して、現在宅地建築の重大なる隘路は敷地獲得難である。從來区画整理專ら区画整理のために行い、敷地問題は建築の問題として、その間ばらばらになつておる傾きはないか。敷地問題解決のために当局は何らかの研究をなしておるかとの質問に対しては、当局としてもできるだけ建築を容易にするため研究中であり旨の答弁がありました。又補償金の計上の問題と共に、今回の改正が新憲法に関連するものとすれば、補償は新憲法施行のときに遡るのを適当としないかとの質問に対しては、何画整理の進捗に伴い來年度以降は補償金を計上する見込である。又補償はこれまで、まだその事例がなく、從つて実際問題は今後改正案によつて処理せらるるとの答弁でありました。尚この外、区画整理実績等につき熱心なる質疑應答があつたのであります。  かくいたしまして、討論に入りましたるところ、本法案は、区画整理戰災地復興の基盤である重要性を認めると共に、財産権を尊重する趣旨においてこれに賛成する。それと同時に、現下最も重大なる住宅敷地問題解決のため当局は最善の努力を拂われんことを要望するとの発言があり、採決の結果、全会一致、原案通り可決いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  22. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  23. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程第八、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案日程第九、公判前の証人等に対する旅費日当宿泊料等支給法案日程第十、刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案日程第十一、司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案日程第十二、会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出、以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。     —————————————    〔宮城タマヨ登壇拍手
  26. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 只今上程になりました五法案について、法務委員会においての審議経過及び結果につきまして御報告申上げます。先ず各法案内容につきまして簡單に申上げます。  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案についてその内容を申しますと、本法案執行吏恩給について改正を行うものでございます。執行吏恩給については、執行吏規則により、執行吏が手数料の不足額國庫から補助を受ける場合の基準額たる六百円を、俸給年額とみなして算定することになつておるのでございます。昭和二十三年法律第百九十号恩給法臨時特例制定により、一般公務員恩給については、その額の算定につき、俸給額増加部分を制限することを止めると共に、すでに給與事由の生じた者に対しても相当程度増額を認めることになりました。從いまして、執行吏恩給についても、これにならい、その臨時的措置をとる必要があるのでございまして、これが本法改正理由でございます。  以下改正の要点を申上げます。先ず第一は、執行吏の受くべき恩給年額は、執行吏に対する國庫補助基準額を定めた政令の額を俸給額とみなして算定しようとするものでございます。執行吏に対する國庫補助基準額は、物價の変動に即應するための臨時措置として、訴訟費用等臨時措置法第五條により、その定めを政令に委任しているのでございますが、執行吏の受くべき恩給額は、從前の建前から申しましても、この政令の定める額にスライドせしめることが最も合理的であると考えられますので、第六條を以てこの措置を講ぜんとするものでございます。そうしてこの措置は、昭和二十三年七月一日以降に給與事由の生じたものに適用せんとするものであります。第二は、同年六月三十日以前に給與事由の生じた執行吏恩給については、一般官吏の例に倣い、同年九月分までは尚從前通りとし、同年十月以後は、一万五千八百四十円を俸給年額とみなして算出した金額恩給年額としようとするものでございます。尚この一万五千八百四十円という額は、現在恩給額算定執行吏俸給額とみなされている六百円という額を、前述の恩給法臨時特例の例に倣つて増額したものであります。附則第二項及び第三項でこれを規定しております。以上が本改正法案内容でございます。  次に公判前の証人等に対する旅費日当宿泊料等支給法案内容について申上げます。本案は、新刑事訴訟法の実施に伴い、旧刑事訴訟法の下において制定されていた大正十三年司法省令第十一号、証人、鑑定人、通事又は飜訳人に旅費日当、止宿料給與の件を改正し、且つ國費支出の根拠を明確にするため立案されたものでございまして、新刑事訴訟法によれば、被告人、被疑者、又は弁護人、若しくは檢察官は、それぞれ証拠保全のため、裁判官に証人尋問等の請求をなすことができることになつております。これらの場合、喚問された証人等は、新刑事訴訟法によつて旅費等の請求権を有するものと認められているのでございますが、ただ、その額が法定されていないと解せられますので、本法案第一條の規定によつて、その額につき刑事訴訟費用法及び訴訟費用等臨時措置法の相当規定を準用することにいたし、又檢察官、檢察事務官が犯罪の捜査をするについて、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは飜訳を嘱託した場合、これらの者に対する旅費等について、新刑事訴訟法ではその請求権が認められておりませんので、本法案第二條の規定によつて、檢察官の裁量により、且つその額については、刑事訴訟費用法及び訴訟費用等臨時措置法規定に準じて支給することにいたしたのであります。以上が本法案内容であります。  次に刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案でありますが、本法律案は、いわゆる在延証人に対しても旅費日当、宿泊料等を支給すると共に、これを訴訟費の一部に加えようとするものであります。職権主義を基調とし、且つ起訴と同時に一件捜査記録が裁判所に引継がれることになつておりました旧刑事訴訟法の下におきましては、在延証人の利用は数えるに足りる程度で、殆んど問題になることがなかつたのでありまするが、職権主義が後退し、多分に当時者主義が採入れられ、且ついわゆる起訴状一本主義が採用せられております新刑事訴訟法になりましてからは、この在延証人の利用が從來に比べ著しく活溌になつて來ているのでございます。これは、証拠は先ず檢察官なり被告人又は弁護人なりの当事者側から提出することにした新刑事訴訟法の当事者主義的構造に悖らず、且つ全体としての審理の促進を図る上からいたしましても当然の傾向と認められるのでございます。かかる在延証人は当事者の求めにより当該公判期日に出頭して來ているものでありますから、裁判所において証人として採用され、取調を受けた以上、当初から裁判所が喚問した証人とその取扱を同じうするのが相当と認められるのでございます。尚、鑑定人等についてもこれに準じて考えられるのであります。それでこれらの者に対しても、旅費日当、宿泊料等を支給し、これを訴訟費用の一部に加えることにいたしたのでございます。  司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案でありますが、第一は、司法警察職員等指定應急措置法の一部改正でございます。御承知通り運輸事務官、鉄道手等の國有鉄道の職員につきましては、從來大正十二年勅令第五百二十八号により司法警察官吏の職務を行うものとして指定されており、改正刑事訴訟法の下におきましても、司法警察職員等指定應急措置法により從來と同樣に司法警察職員として指定されているのでありますが、今回、日本國有鉄道法の施行に伴いまして、これらの職員は公法人たる日本國有鉄道の役員又は職員となることとなりましたので、これを新たに司法警察職員として指定する必要を生じ、これを司法警察職員等指定應急措置法中に規定することといたしたのであります。  次は海上保安廳法第三十一條の改正であります。現在海上保安官につきましては、二級の海上保安官が司法警察員として、三級の海上保安官が司法巡査として職務を行うものとせられておりますが、二級の海上保安官はその数が比較的少く、そのために司法警察員として搜査事件の処理をいたします際に少なからぬ不便を感じて來たのでございます。そこで本案におきまして、司法警察員と司法巡査の区別を海上保安廳長官の定めるところによるものといたしまして、その職務の遂行を円滑にすることといたしたのであります。以上申上げましたように、本案は特殊司法警察職員の機能を十分に発揮せしめるため是非とも必要な應急的措置規定いたしたものでございます。  次に会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案であります。会社等臨時措置法は、連合軍最高司令官の覚書に基き、同法施行令と共に昨年十二月三十一日政令第四百二号を以て廃止されたのでありますが、その附則で、同法及び同法施行令中の若干の規定は尚本年四月三十日まで効力を有することに定められたのであります。これは同法の規定の大部分が、戰爭中の窮迫した社会事情、例えば交通、通信の不便、物資の不足、戰いによる災害等に対処する措置を定めたものでありまして、同法が廃止された当時におきましても尚このような事情が完全に解消するに至つていないため、これらの規定の効力を尚存続させる必要がありましたのと、他面、その一部の規定は会社経営の実情に適するものとして、経済界からその恒久化が要望されておりますので、これを恒久法とすることの可否を檢討し、必要があれば商法の中に取入れる等の措置を講じなければならない関係上、そのときまで、これらの規定の効力を失わしめないで置くのが相当と考えられたからであります。ところで前述の窮迫した社会事情は尚今日完全に復旧しておらず、又恒久立法とすることの可否についても尚檢討を要する状況にありまして、現に効力を有するこれらの規定につき、更に本年十二月三十一日までその効力を存続させる必要がありますので、この法律案提出されたのであります。ここに有効期間を延長しようとする規定は、先ず会社に関するものとしては、会社等臨時措置法第二條から第三條ノ二まで、及び第五條並びにこれに関連する施行令の諸規定であり、会社以外の法人に関するものとしては、第八條及びこれに関連する施行令の規定であります。尚、敍上の改正に伴い政令中の経過規定に所要の改正を加える必要がありますので、これを附加いたしました。附則第五條の改正がこれであります。  法務委員会におきましては、以上五件の各法案につき各委員より熱心な質疑が行われ、愼重審議せられたのでありますが、その詳細は速記録に讓ることといたします。かく討論は省略の上、五件を一括上程、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上簡單ながら御報告を終ります。
  27. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案公判前の証人等に対する旅費日当宿泊料等支給法案刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案、以上四案全部を問題に供します。四案に賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  28. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて四案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  29. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  30. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  31. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第十三、郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。逓信委員長大島定吉君。     —————————————    〔大島定吉君登壇拍手
  32. 大島定吉

    ○大島定吉君 只今議題となりました郵便法等の一部を改正する法律案について、逓信委員会審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ずその提案理由でありますが、通信事業は終戰を境といたしまして非常な経営難に陷り、当局者は極力その立ち直りを策して参つたのであります。又終戰後三度に亘つて料金の引上げを行いましたが、尚收支均衡を得ることができず、その赤字は一般会計からの繰入金によつてつて参つたのでありますが、我が國の経済的自給態勢を速かに確立するためには、特別会計本來の建前であるところの独立採算を確保する必要がありますので、昭和二十四年度郵政予算における歳入三百六十億円と歳出四百十億円との差額約五十億円を賄うためには、各種郵便料金について平均五割程度引上げを必要とするので、ここに本法案提出なつた次第であります。  次にその内容の主なり点について申上げますれば、料金の引上げ程度は原則として五割をめどとしているのでありますが、大衆の負担を避ける意味からも、亦郵便の持つ公共性の点をも考慮いたしまして、郵便葉書については今回は値上げはいたさないことといたしまして、封書については現行の五円を八円に、即ち六割の引上げをいたし、第三種郵便物、第五種郵便物についてもそれぞれ値上げになつておりまするが、第四種郵便物のうち通信教育のために差出されるものにつきましては、通信教育の重要なる意義に鑑みまして、現行の四円を三円に引上げることにいたしたのであります。小包郵便物につきましては約七割、速達料は現行の十五円を二十円に、書留料は現行の二十円を三十円といたしておるのであります。更に郵便料の引上げに伴いまして、郵便爲替、郵便貯金及び郵便振替に関する料金のうち、郵便によつて書類の送達を必要とする取扱料金につきましては、所要の郵便料金を上廻る程度に、又加入者に賣渡す用紙の代金をその調製の原價を考慮して若干の引上げをいたしておるのであります。尚、料金の引上げに関連いたしまして、書留郵便物の亡失或いは毀損に対する損害賠償額を現行四百円から六百円に、又通貨以外の保險扱郵便物の損害要償額及び代金引換郵便物の最高制限額を、それぞれ五千円から五万円に引上げることにいたしておるのであります。  以上が法案大要でありまするが、本委員会審議の概要を申上げますと、本委員会におきましては、本法案が付託されまして以來、愼重且つ熱心に審議を行い、各委員から詳細な質疑が行われたのでありますが、その詳細は速記録によつて承知を願うこととし、ここではその大要を申上げることに止めることをお許しを願いたいと存じます。  先ず一委員より、政府は事業の経営難を打開するために、極力能率の増進、経費の節約に努めたと言うが、具体的に如何なる方策を講じ、又如何なる効果を收めたかという質問に対しましては、二十四年度予算を二十三年度予算と同じやり方で編成するとすれば、最低約百五十億円の赤字を生ずる計落であつたが、人件費、物件費の節約によつて、赤字を約五十億円に縮めたのであると答弁があり、又簡易生命保險及び郵便年金の積立金運用を逓信省の手によつて再開することによつて増收となると思うが、そのようなことを考えたかという質問に対しましては、積立金運用再開によつて増收にはなるが、保險会計の赤字の足しにはなつても、通信会計の足しにはならないとの答弁がありました。又現行の特別会計法を改めて会計手続を現業向きにすべきではないかとの質問に対しましては、現行の現金会計主義を止めて、民間のそれと同樣発生主義をとり、記帳方法その他も改めて、企業的、能率的に改正するつもりであるとの答弁がありました。又郵便事業は、その性質からして、独立採算制をとるのは無理と思うが、若し独立採算制をとるとすれば、料金値上げは再々行われるであろう。政府は今後赤字を出した場合には、一般会計から補助を貰うか、或いは再値上げをするか。どちらを考えているか。又値上げは國民生活に重大な影響を與えるものであるから、料金決定の場合は一般の声を聽くということを考えておらないかという質問に対しましては、独立採算制を確保すべく努力を傾注しておる。    〔議長退席、副議長著席〕  從つて只今のところ再値上げは考えていない、又將來料金案を決めるような場合には郵政審議会の議に付するようにするつもりであるとの答弁がありました。  尚審議の参考とするために、学識経驗者、言論界、勤労團体その他から、証人の出頭を求めて証言を徴しました。証人六名の証言はそれぞれ傾聽すべきものがありましたが、結論を申上げますと、全面反対一名、全面賛成一名、他の四名は止むを得ず賛成というのであります。  委員会における質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党の下條委員から、郵政事業は、その性質上独立採算制をとるべきでないこと、及び止むを得ずここ何年間と期限を切つて独立採算制をとるとしても、厖大なる金額に上る本会計の收支のやりくりによつて、計算上は値上げをしなくても赤字を克服できるものと思うという趣旨を以て、本法案反対討論があり、又無所属懇談会の千葉委員からは、郵政事業の性質から独立採算制を堅持すべきでないこと、行政整理によつて浮いた金は、從業員の福利厚生施設に振り向ける余裕のないこと、又官業における値上げは一般大衆の負担の増大を來し、延いては一般物價引上げの口実となつて、その心理的影響が甚大である等の趣旨を以て、本法案反対討論がありました。かく討論を終結し、採決に入りましたところ、多数を以て本法案衆議院送付通り可決すべきものと決定したのであります。以上簡單ではありまするが、委員会審議経過並びに結果の御報告を終ります。(拍手
  33. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 本案に対し討論通告がございます。千葉信君。    〔千葉信君登壇拍手
  34. 千葉信

    ○千葉信君 私は、只今議題となりました郵便法等の一部を改正する法律案に対し、無所属懇談会を代表いたしまして反対意見を表明するものでございます。  反対いたしまする理由の第一点は、今次値上げの直接原因である郵政部門の独立採算制そのものが、從來の実驗に徴しましても計画的にも何ら自信も目算も立つておらないものだということが明白であるからでございます。このことは從來の常任委員会質疑にもこれを窺い知ることができるばかりでなく、逓信省当局自体においても、電氣通信部門は独立採算が可能であるけれども、郵政部門はこれが不可能であり、二省分割後は当然一般会計からの若干の繰入れを計算に入れたものであるということは、二省設置立案当時の逓信政務次官であつた下條恭兵氏が、はつきりと証言しておられるのでございます。然るに政府は、いわゆる素朴な意味の独立採算制を確立しようとして今回のこの値上げを計画されました。由來、郵便事業が一切の企業の中にありまして、特に大きな公共性を持つものでありますだけに、今更事新らしくこの公共性について申上げるまでもないのでございますが、この公共性の故に、採算を度外視しても施設の強化拡充を図らなければならない筈でございます。若し採算に縛られて利用度の低い地方村落を等閑に付するというようなことがありましたならば、これこそ地方村落の経済活動を不利にするばかりでなく、文化水準からも当然に閉め出されるという結果を招來するのでございます。文化國家を建設する、経済再建を強力に推進するという、この大きな命題の上から言いましても、その基礎をなすところの郵政事業の独立採算制の強行ということは、この点からも私は反対せざるを得ないと同時に、その独立採算制の維持ということによつて生じて参りました今次の値上げに対しましては、到底賛同することができないのでございます。  理由の第二点は、逓信事業が先に一般会計の影響を離れて、長期に亘る計画の下に事業の発展を企図いたしまして、昭和十二年から特別会計に移行したのでございますが、当時からずつと継続いたしまして、年額八千二百万円というものを一般会計に繰入れて参つたのでございます。從いまして、こういう負担のために、今度こそ逓信事業は非常に強化発展するであろうという期待が持たれたに拘わらず、この厖大な負担のために、施設の改善は勿論のこと、從業員に対するところの待遇或いは厚生福利の施設におきましても、全く改められるというようなことがなく、例えば現在におきましても、逓信從業員の官舍に例を取つて見ましても、全國に九百九十三戸だけしか逓信部内には官舍というものはございません。五百人に対してたつた一戸、御承知のようにこの数字は北海道における國鉄の場合に比べましても三分の一以下の数字でございます。これらの事実につきましては、つい最近に衆議院の逓信委員会におきまして地方の現状を視察し、そうしてその荒廃せる施設と從業員のみじめな状態をよく認織いたしまして、どうしてもこれを改善しなければならないというために、福利厚生に対する特別小委員会を設けたという事実から言いましても、実情を窺い知ることができると思うのでございます。又事業の施設は戰爭中の改善を停止しため、或いは戰災における大きな打撃のために、徹底的に荒廃をいたしておりまして、この実態を知らない一般の人々は、なぜ通信事業が復興しないのか、そうして更に進んでは從業員のサービスが惡い、一生懸命やつておらない、こういう非難を浴せておるようでございますが、その場合におきましても、一例を申上げますならば、東京中央電話局における施設を採り上げて見ましよう。あの通信機というものは大体において二十年経てば命数が盡きて、順次取換えて行かなければならないのでございます。ところが、もはや、あの局舍におけるところの事業施設というものは、大体において平均十七八年の標準に來ておりまして、從つてこの二十年という命数を遥かに突破した機器類を駆使して、そうして通信の再建に默々として大多数の從業員は働いているのでございます。逓信大臣はこれらの設備の改善或いは厚生施設の拡充ということに対して、行政整理で節約した金をこれに充てる、こういうことを言われておりますが、仮に行政整理を行なつて人員縮減を見た場合にありましても、一般の産業の場合におきましては、直ちに企業の能率増大というものは数字の上に現われて参りますが、官業の場合には一應その数字は現われて参りません。併し人員を縮減したということによつて、他の残留する職員がその事務量を担当して遂行するということは、これ即ち能率の増大でございます。從つてこの場合におきましては、現在の賃金三原則の建前から言いましても、この能率の増大に対しては当然に能率給を加算するという用意がなければならないのでございます。即に又現行の六千三百円ベースは、昨年七月以降のC・P・I一三%の値上りを基礎として計算されておるのでございます。ところが昨年の七月から本年一月までに、もはや二〇・三%の値上りをしておるのでございます。御承知のように、この数字は架空の数字ではなく、経済安定本部から発表せられておる数字でございます。從いまして、かかる事実は國家公務員法の二十八條を待つまでもなく、五%以上の増減があつた場合には、人事院からも勧告しなければならないし、政府自体もこのことに対しては当然直ちに措置をとらなければならない筈でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この立場から言いましても、六千三百円のペースは当然更改の時期に到達しておるのでございます。この点から大臣の言う節約額充当云々ということは誠に可能性に乏しく、他の省なみの厚生施設を若しも本当にやるつもりならば、そうして又公共事業としての要請に應えて拡充発展を期するならば、独立採算制を固執する限り、ここからも無計画な、再び料金を値上げするという計画が踵を接して起るのではないか。所詮その本質的な要素において独立採算制のとれない……(「簡單々々」と呼ぶ者あり)その公共的な要素の故に採算のとれない郵政部門の独立採算制とは、昨日の証人の喚問における景山氏の証言に待つまでもなく、不可能を可能と言いくるめたものであり、この際、郵政部門の独立採算制を放棄して、本年度四十八億の赤字は値上によらずに一般会計から繰入れるべきである。
  35. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 時間が経過いたしました。
  36. 千葉信

    ○千葉信君(続) もうちよつと……(「簡單々々」「遠慮なくやれ」と呼ぶ者あり)第三の反対理由は、ここにも亦反動政策としての露骨な大衆負担の増大があるし、更にデイス・インフレを強行するという政府が、独占企業としての通信料金、運賃の引上は、官業横暴というごうごうたる非難が起るのは当然であり、二十六日の放送が多数國民の共感を呼んでおるということを我我の率直に認めざるを得ないのでございます。政府事業のこの種の値上が、その心理的惡影響から他の物價に及ぼす影響如何なるものであるかということは、改めて申上げるまでもないと思うのでございます。終りに私は、昨年七月五日、本議場において現逓信委員長大島定吉氏が、民主自由党を代表して誠に堂々と通信料金の値上に反対せられたことを想起するものでございます。(拍手)幸いにして民主自由党にして若しも良心が健在ならば私の意見に同調せられんことを切望いたしまして、私の反対討論を終るものであります。(拍手
  37. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 中西功君。    〔中西功君登壇拍手
  38. 中西功

    ○中西功君 私は日本共産党を代表いたしましてこの法案反対いたします。反対理由は簡單です。八百三十三億の輸入調整金を削つて、そうして四十八億の逓信の赤字を埋めた方が、うんと國民のためであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これが私の反対理由です。終ります。(拍手
  39. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 木下源吾君。    〔副議長退席、議長著席〕    〔木下源吾君登壇拍手
  40. 木下源吾

    ○木下源吾君 我が日本社会党は党議を以てかかる下らない法案に対しては反対することに決定しております。  大体儲からなければ仕事をしないという本質に立つておるから、この郵便の独立採算制をやるというようなことが生れて來るのであつて、社会性も公益性ということもちつとも考えておらん。例の國立病院までも独立採算をする。金のない者は死んで行け。これでは文化國家は到底建設できない。かかる無能な現内閣のやることは、大方かようなものと考えておりましたが、(「その通り」と呼ぶ者あり)このような法案はです、今度のこの法案のごときは、國民の誰一人だつて賛成しておらんということをここに明確に申上げて、社会党の反対理由を申上げます。(拍手
  41. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて討論通告者発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案賛成諸君は白色票を、反対諸君は青色票を御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  42. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか……。投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  43. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百三十四票、白色票即ち本案を可とする者八十票、(拍手)青色票即ち本案を否とする者五十四票、(拍手)よつて本案は可決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      八十名       阿竹齋次郎君    井上なつゑ君       梅原 眞隆君    江熊 哲翁君       加賀  操君    柏木 庫治君       河井 彌八君    來馬 琢道君       高良 とみ君    小杉 イ子君       西郷吉之助君    新谷寅三郎君       鈴木 直人君    竹下 豐次君       高瀬荘太郎君    高橋龍太郎君       田中耕太郎君    野田 俊作君       早川 愼一君    久松 定武君       赤木 正雄君    飯田精太郎君       大山  安君    岡部  常君       岡本 愛祐君    尾崎 行輝君       木下 辰雄君    楠見 義男君       山田 佐一君    中山 壽彦君       島津 忠彦君    下條 康麿君       宿谷 榮一君    大野木秀次郎君       遠山 丙市君    田村 文吉君       玉屋 喜章君    松嶋 喜作君       徳川 頼貞君    一松 政二君       岡田喜久治君    團  伊能君       山内 卓郎君    渡邊 甚吉君       北村 一男君    西川 昌夫君       川村 松助君    淺岡 信夫君       池田宇右衞門君    荒井 八郎君       西川甚五郎君    大島 定吉君       黒田 英雄君    寺尾  豊君       柴田 政次君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       大隅 憲二君    深水 六郎君       平岡 市三君    城  義臣君       藤森 眞治君    中川 幸平君       重宗 雄三君    西山 龜七君       橋本萬右衞門君    境野 清雄君       廣瀬與兵衞君    左藤 義詮君       小串 清一君    尾形六郎兵衞君       木内 四郎君    鬼丸 義齊君       櫻内 辰郎君    谷口弥三郎君       星   一君    小畑 哲夫君       入交 太藏君    林屋亀次郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名     五十四名       小川 友三君    宮城タマヨ君       矢野 酉雄君    山崎  恒君       北條  浩君    深川タマヱ君       木内 キヤウ君    石川 一衞君       淺井 一郎君    小林 勝馬君       内村 清次君    梅津 錦一君       大隈 信幸君    平野善治郎君       村尾 重雄君    岩木 哲夫君       河野 正夫君    羽生 三七君       山田 節男君    中井 光次君       カニエ邦彦君    森下 政一君       島田 千壽君    吉川末次郎君       天田 勝正君    細川 嘉六君       中西  功君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    水橋 藤作君       千葉  信君    堀  眞琴君       原口忠次郎君    椎井 康雄君       金子 洋文君    小泉 秀吉君       千田  正君    藤田 芳雄君       伊藤  修君    岩崎正三郎君       河崎 ナツ君    栗山 良夫君       丹羽 五郎君    原  虎一君       島   清君    三好  始君       米倉 龍也君    佐々木良作君       波多野 鼎君    三木 治朗君       木下 源吾君    小川 久義君       鈴木 憲一君    岡村文四郎君      ——————————
  44. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第十四、港則法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。運輸委員会理事丹羽五郎君。     —————————————    〔丹羽五郎君登壇拍手
  45. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 只今議題となりました港則法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ずこの法律案の要点を申上げますと、その第一点は、繋船浮標、桟橋、岩壁、その他船舶の繋留施設の管理者及び港長の事務の範囲を明確にいたしますること、第二点は、港内における船舶交通の安全と港内の整頓のため必要な廃物の投棄等の取締に関する規定を設けましたること、第三点は、特定港のみに限つて適用のありました規定のうち、所要の條項を特定港以外の港に準用いたしますること、第四点は罰金を適当な額に改めることであります。  次にこの法律案審議に当りましての主なる質疑應答につきまして申上げますと一委員より、本法案第二十四條第三項は、港内等において石炭等散乱する虞れのある物を船舶に積卸ししようとする者に対し、これらの物が水面に脱落するのを防ぐために必要な措置を義務づけているのであるが、本規定の実施は関係業者に過重な負担を與える虞れはないかとの質問であつたのであります。政府委員より、石炭等を故意に脱落せしめた者以外については、本規定運用に当つてはそのよろしきを得たいとの答弁があつたのであります。又一委員より、港内その他の水域におきまする水質の汚濁防止につきましては本法律案規定では不十分ではないかとの質問があつたのでありまするが、政府委員より、本件につきましては現行法第二十四條の規定により別に法律で定めることといたしたいのでありまするが、昨年七月同法施行以來、種々研究を重ねましたる結果、諸般の関係からこれに関する單行法の制定は極めて困難な実情にありますので、港則法といたしましては、同條を改正し、同法の目的である船舶交通の安全と港内の整頓とを確保するために必要な廃物の投棄等の取締規定を設けることといたしましたのであります。水質の汚濁防止等につきましては、厚生省、地方廳等とも連絡をいたしまして、十分なる措置を講ずることといたしたいとの答弁があつたのであります。  次に討論に入りましたるところ、一委員より、本案は妥当なるものと認め原案に賛成するとの発言があつたのであります。かくいたしまして討論を打ち切りまして、採決をいたしましたるところ、全会一致これを可決することに決定いたしたのであります。甚だ簡單でございますが以上御報告を申上げます。(拍手
  46. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  47. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数を認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  48. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程第十五、医療法の一部を改正する法律案日程第十六、医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員会理事谷口弥三郎君。     —————————————    〔谷口弥三郎君登壇拍手
  50. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今上程されました医療法の一部を改正する法律案並びに医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案に関する厚生委員会における審議経過並びにその結果を簡單に御報告申上げます。  先ず医療法の一部を改正する法律案について申上げます。本法案提出理由を申しますと、医療法は「第二國会におきまして制定され、現在に至つておるのでございますが、医業、歯科医業等に関する廣告につきましては、それが適正に行われる場合は一般國民が診療を受けます場合において有益であることは勿論でありますが、半面に、これらの廣告を自由放任にいたしますと、とかく國民保健上著しい弊害を生ずる虞れがあるのであります。この点に鑑みまして、医療法におきましては、医業、歯科医業等に関し廣告し得る事項を極めて嚴格に制限しておるのでございます。併しながらこのような嚴格な制限のために、廣告を適当とする事項であつても、これを廣告し得ない場合を生じまして、不都合と存ぜられます場合がありますから、厚生大臣が特に必要と認めて定める事項は、これを廣告することができるようにいたしたいのでありますが、この場合、医道審議会の意見を聞くを要するということにいたしまして、その濫用を防止することにしておるのでございます。又現行規定におきましては、專ら往診のみによつて診療に從事する医師等に対しましては、必要に應じまして報告を命じ、又帳簿書類の提出などにつきまして根拠規定がありませんために、医療行政の円滑な運営を図る関係からいたしまして、この規定を必要として、ここに新たに設けたような次第でございます。以上が本法案提出理由大要でございます。  次に本委員会におきまして政府委員との質疑應答の主なるものの二三を申上げますと、本改正法によりまして、往診のみによる診療に從事する医師にその住所を以て診療所とみなすことは、医療機関がないのに容易に診療所と認められるということは、法による取締が不十分になりはせぬかとの質問がありました。それに対しまして、現行医療法によりましては十分徹底を期し得ないために、この改正をいたしたのでありまして、若しも届出がなくして診療所を開設したというような場合には、これまでの第八條の規定の違反になるので所定の罰則の適用を受けるとの答弁がございました。次に受胎調節相談所というのが諸所にその廣告を認めますが、これは、やつてよいかという質問に対しまして、受胎調節の廣告ということは、人口問題との関係からいたしまして極めて重大な廣告であつて、特に愼重研究を要する問題であるという答弁であつたのでございます。以上のような質疑應答がありまして、討論を省略いたしまして、採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのでございます。  次に医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案につきまして御報告申上げます。本法案は去る四月二十三日、政府委員より提案の理由を聽取いたしましたが、その概要を申上げますと、医師法及び歯科医師法は第二國会において制定されまして現行に至つておるのでございますが、現行医師法及び歯科医師法には、行政廳が医師又は歯科医師の業務に関しまして指示をなし得る根拠規定がないのでございます。公衆衞生上重大な危害を生ずる虞れがある場合におきまして、その危害を防止するために特に必要があると認められる場合には、厚生大臣が医師又は歯科医師に対しまして、その業務に関して必要な指示をなし得ることとすることが、医療行政の眞の円滑な運営を期するゆえんであると考えられるのであります。例えば昨年の輸血による病毒感染事件の発生などに鑑みまして、医師及び歯科医師法中の一部を改正し、かような場合に厚生大臣が指示をなし得る根拠規定を新たに設けることにいたしたのでございます。かような根拠規定を設けるに当りましては、この規定が不当に濫用され又はこの規定に基く指示が適正を欠くものとなることは嚴に戒めなければなりませんので、厚生大臣が右の指示をなしますに当りましては、必ず予め医道審議会の意見を聽かねばならないことにして、この規定運用の適正妥当を図ることにいたしたのでございます。以上が本法案提出理由大要でございます。  本委員会におきましては、四月二十三日及び二十七日の両日に亘りまして愼重審議いたしましたが、その質疑應答の主なものの一二を申上げますと、今後は輸血協会というのは認めて行くつもりかどうかという質問に対しまして、これは表向きには否認はせぬが、成るべく認めぬようにしたいというような答弁でございました。又給血者の性病檢査は何日間ぐらいで行うかという質問に対しましては、給血者の性病檢査は毎月一回ぐらい行うことにしたいと言つております。又病院に代人を出して、いわゆる人を代えて給血者が來るというような場合がありはせぬかというのに対しましては、斡旋業者を成るべく使用せぬようにして、直接制度によつてこれを防止したいとの答弁がございました。以上のような質疑應答の後に、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第でございます。簡單に御報告申上げます。(拍手
  51. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  52. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。これにて午後一時半まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ——————————    午後二時零分開議
  53. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。  この際、日程第三、米國対日援助見返資金特別会計法案日程第四、有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案日程第五、國営競馬特別会計法案日程第六、企業再建整備法の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出衆議院送付、以上四案を一括して諸議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎君登壇拍手
  55. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました米國対日援助見返資金特別会計法案の大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  去る四月十三日より四月十八日まで政府提出案について、更に四月二十一日衆議院送付の修正案について、商工委員会と連合審査をなす等愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て衆議院送付の修正案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  先ず政府提出案の提案理由並びに内容について申上げます。昭和二十四年四月一日附連合國総司令部より日本政府宛の覚書に基き、米國の対日援助物資見返円資金に受拂を他の会計と区分して明確に整理するため、新たに特別会計を制定せんとするものであります。この会計の資金は、貿易特別会計からの繰入金、即ち米國対日援助物資のドル建價額を一定の換算率により円貨の換算した繰入金、この資金の運用による收益金及び運用資産の回收処分による受入金等でありまして、その使途は通貨及び財政の安定、輸出の促進その他経済の再建に資するため、國債の引受又は償還、公私企業に対する資金的援助等をなさんとするものであります。  次に衆議院送付の修正案について申上げます。政府提出案は、その第四條第六項及び第七項において、この資金の運用に関しては、連合國最高司令官の承認及び監査を受け、又必要なる報告をなすべきことを規定しておりますが、かくのごとく法文中に挿入することは適当でないので、これを削除いたしたものであります。    〔議長退席、副議長著席〕  さて本案審議に当り各委員より熱心なる質疑がありましたが、今その一二を申上げますれば、一委員より、この特別会計を新設するに至つた根拠について質疑ありたるに対し、政府委員より、米國の海外援助法により、被援助國は、米國から受けた援助中、その贈與に相当する金額を各中央銀行の特別預金とし、これが支出については米國承認を受けておるのと同様の趣旨により、連合國総司令部よりの覚書に基いてこの特別会計を設定した次第でありますとの答弁がありました。又一委員より、見返資金千七百五十億円の運用方針について質疑ありたるに対し、政府委員より未だ確行しておりませんが、先ず鉄道及び通信関係の建設公債二百七十億円、復金債返還のための交付公債約六百二十五億円に引当てられ、残額約八百五十五億円は國債の償還、基礎産業に対する援助資金等に振当てられるのではないかと思いますとの答弁がありました。又一委員より、衆議院の修正案により、第四條第六項及び第七項が削除されたが、政府如何なる取扱をなすつもりかとの質疑に対し、政府委員より、右の條項が削除されましても、総司令部よりの覚書に基き、この條項がある場合と同様の取扱をなすつもりであるとの答弁がありました。  かく質疑を終局し、四月二十七日討論に入り、小川友三委員、九鬼紋十郎委員より賛成、中西功委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て衆議院送付の修正案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。  次に只今議題となりました有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。去る四月二十二日より四月二十七日まで愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て公案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。今回株主登録制度の範囲が拡張されるに伴い、証券処理調整協議会に対する報告手続の繁雜化が予想されますので、株主全部についての報告を行なつておる現行制度を改め、五千株以上の株主についてのみ登録することとし、本制度の簡素合理化を図ると共に、株式分布状況報告書の提出により、株式民主化の確保に資せんとするものであります。この外、先に閉鎖機関の特殊清算法人の地位より解除されました日本銀行を証券処理調整協議会の協議員から除く等、若干の改正をいたそうとするものであります。  さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、四月二十七日討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。  次に只今議題となりました國営競馬特別会計法を改正する法律案の大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。去る四月二十六日より四月二十七日まで愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。先に第二回國会において競馬法を制定し、從來日本競馬会の行なつていた競馬を國営とし、その会計を整理するため、國営競馬特別会計を設行したのであります。然るにこの特別会計においては、國営競馬に関する收支のうち、單に勝馬投票券の発賣に関する事項を経理するに止まり、一般競馬業務に関する收支は一般会計において取扱うことになつておりますために、國会競馬に関する收支の全体を知ることができない不便がありましたので、今回國営競馬に関する收支を一括この会計において経理するため、所要の改正をなさんとするものであります。さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、四月二十七日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。  次に只今議題となりました企業再建整備法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。去る四月二十六日より四月二十七日まで愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。本案は、新勘定に損失のある特別経理株式会社が、整備計画により第二会社を設立することのできるようにいたしまするための規定を設けようとするものであります。即ち現行法におきましては、特別経理株式会社が第二会社に資産を出資いたします場合に、新勘定の債務をこれに承継せしめると共に、その債務に相当する資産を讓渡しなければならないことになつておりますが、新勘定に損失のある会社は債務に相当する資産がありませんので、このような場合には、例外として、第二会社に承継せしめる債務のうち損失に相当する額については資産を譲渡しなくてもいいこととし、これに伴う所要の改正をなさんとするものであります。  さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、四月二十七日、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  56. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 米國対日援助見返資金特別会計法案につき討論通告がございます。中西功君。    〔中西功君登壇拍手
  57. 中西功

    ○中西功君 私は日間共産党を代表いたしまして米國対日援助見返会計法案反対いたします。この見返資金特別会計は、経済九原則、單一爲替の設定と並んで、我が國経済にとつて極めて重大な意義を持つもので、正に日本経済の方向に画期的のエポツクを画するものである。周知のように、この資金は以前は貿易資金特別会計のうちで極めて不明朗に処理されており、今日で言う、いわゆる輸入補給金或いは輸出補給金の作用をなしており、これは日本経済にとつて利益でなく、貿易の実相が隱されておる。從つて当時我我はこの資金を特別の会計に移し、ドル会計との関係を明白にし、貿易資金特別会計の眞の厖大なる赤字を白日の下にさらし、國民の誰の目にも明白にし、貿易政策の根本を改変し、飢餓貿易でなく、眞に日本勤労大衆の生活の安定と向上に役立つ貿易とするために活用さるべきであると主張した。私は昨年この本会議議場において特に機会を捉えて、この所信を発表したことはすでに御承知通りであります。だが当時の日本の爲政者、保守政党の人々は、この我々の言葉に耳を藉さなかつた。而して今回行われたこの特別会計は、一見、表面的には我々の主張に合つておるように見えるが、実はその内容において根本的に相違するのである。  私は先ず第一に、日本政府が今日のこの円資金の根本性質を全く誤まつて理解しておることを指摘したいと思う。即ち政府はこの円資金と対日援助と称せられるドル資金とを全くごつちやにし、恰かもこの円資金がアメリカの資金であるかのように言つておる。若しガリオア資金、エロア資金を対日援助資金だとすめば、それは日本側に引渡されるまでのそのもの自体か、或いはそのものが渡された代價としてのドル資金を指しておるのである。その証拠には、ドル会計にそれは日本の負債として残つて行くのである。若しこれをアメリカの納税者の資金と理解するならば、アメリカは賣つたものについてすでに支拂われたことになり、ドル会計の負担は存在しなくなる。併しそういうことはなく、この円資金によつて支拂われておらない。又世界通貨のABCを知つておる人ならば、その性質においてドルと円とは明確に区別すべきものである。では、この円資金とは何か。これは日本國民経済、即ち円経済の不可分の一部としての資金である。そのことは、この円資金がどこから來るか、誰が支拂うかを見れば明白である。即ち一千七百五十億の円資金は日本の消費者が支拂う金と六百十六億の價格調整費、即ち國民の税金である。故にこの円資金は、円資金である以上は、普通の輸入物資や國内生産品、國内で賣拂う円資金と全く同じ日本経済の不可分の一部の資金であつて、この両者の間に何らの区別はない。故に、若し日本國会及び政府が、他の日本経済や資金等について責任を持ち権限を持つておるならば、この円資金に関しても全くそれと同じ程度の責任と権限とを持つべきである。勿論日本がポツダム宣言や占領管理下にあり、関係方面の監督を受けることは自明のことであるが、問題は、この見返り円資金だけが特別に扱われる理由は存在しないという点である。  ところが吉田内閣は、この点を根本的に誤まつており、ここから、この資関に関して、不当に日本政府の責任と権限を軽くしてしまおうという考え方に陷つているのである。而してその結果として、当初提案された法案自体が、曾てない特殊な形式を以て現われることになつたのも決して偶然ではない。即ち第四條の六項、七項には、総司令部の承認と監督を必要とするという條文があつた。これは日本の國内法としては未曾有のことである。衆議院では、この形式を不可として削除を主張した。これこそは吉田内閣のこの間問に対する認識の根本が全く間違つていたことを明白に示したのである。私はこの点だけでも、吉田内閣は辞職に價すると思う。而もこれは決して立法技術の問題ではない。衆議院の修正は何ら本質を変えていない。それは附帶決議を見れば明白である。その上に政府も亦、大藏大臣の答弁が示すように、何らこの修正に当面して根本的に考えを改めたわけではない。而もこのことは、單に経済上の問題に止まらない問題であつて、実はポツダム宣言と対日占領統治の根本方針に関する問題である。日本がポツダム宣言及び占領管理下にあり、且つその管理を日本國会を含む日本政府を通じて行い、日本経済に関しては日本政府が責任を持つという連合國の根本方針に対して、吉田内閣が如何に認識不足であるか。極言すれば、それはポツダム宣言の管理方式の違反であるとさえも言い得るのである。私は、ここに吉田内閣の責任の重大性があると共に、この法案の最も深刻なる問題があると思う。而してこのことは、この資金の運用及び使用に関して、この國会がどれだけの実質的な発言権があるかという点に最もよく現われるものである。実際においても、予算の上で千七百五十億の額が通過しているのに、その資金の使途のうち我々に明白になつているのは二百七十億円に過ぎない。大藏大臣は、改めてそれを國会に諮るとも明言しない。それは丁度千七百五十億円の一括委任法案にひとしいのである。この作用は、この千七百五十億円の資金が日本経済に持つ決定的な作用を考えるならば言わずして明白である。この國会の権威や権限をなくすることは、民主主義であろうか。一体民自党が言う民主主義や憲政とは何であるか。それは憲政なのか、フアシズムなのか。少くともそれはポツダム宣言の明白な違反である。我々はこの意味で第一に反対する。  第二は、この特別会計の仕組が間違つておる。即ち、この見返りの円資金分として帳簿の上に記入するならともかく、現実に貿易会計から繰入れる資金の額は、決して千七百五十億円ではないのである。最大限千二百五十億であるべきである。即ち一般に資金の面で言えば、ドル会計における資金の入超が貿易会計における黒字となるのである。而して予算算定の三百三十円レートにおける円会計では、三千百三十五億の輸入と千八百八十六億の輸出の差、約千二百五十億円が円における黒字である。少くともこの千二百五十億だけが貿易会計から持出し得る金である。ところが、その性質においてドルと円とをごつちやにする政府は、ここではドル会計と円会計とを全く切り離しておる。たとえ今の場合ドル会計に手が届かないにしても、ドル会計の赤字が円会計の黒字となるごとく計算して、この両者の間を内容的に結び付けるべきである。然るにこの関連を無視して、一概に千七百五十億を貿易会計から持出すために、貿易会計に穴があき、今日の予算でも四百億を一般会計から繰入れなければならなくなつておる。而もこの会計の仕組では、政府が輸出輸出と騒ぎ廻つて、輸出が増加すればする程、この國民の税金の繰入が増し、税金の負担が大きくなるのである。國家資金に寄生して儲けようとする人でなく、本当に勤労大衆の生活を考える人ならば、このような仕組に賛成することはできない。これが私の反対する第二の理由である。  第三は單一レート設定、輸入補給金制度及びこの見返資金制度の三者が結び付いて、貿易全体がいよいよ國民に耐えがたくなつておることである。貿易のやり方が拙いために、以前の貿易資金特別会計のやり方でも、尚赤字があつた。然るに今度は單一レートの設定と相俟つて、エロア、ガリオア物資の輸入は、輸入補給金が設定され、國民の税金で以て補償され、先方には対價が支拂われる。故に日本経済から見れば、それらは普通の貿易行爲になつたのであるが、同樣に輸出においても、労働者の低資金と國民の税金によつてだけ支えられることになつたのである。かくて、以前と比較したら八百三十三億の輸入補給金と四百億の繰入金、合計千二百三十三億の税金がこの特別会計にぶち込まれておる。故に、今の貿易会計では、輸入が殖えれば輸入補給金の税金が殖え、輸出が殖えれば一般会計からの繰入金が殖えるという奇妙な状態を現出しておる。國民のために低物價を図り、税金を少しでも減らそうと思う人ならば、このようなやり方には絶対賛成できない。これが私の反対する第三の理由である。  第四は、千七百五十億のこの資金の持つ役割の問題である。この資金が如何に決定的な内容を持つかについては、何も言う必要はない。問題は、この見返資金会計が、日銀改組案と関連して、金融に対する反人民的な、いびつな統制を強化し、日本経済をこれによつて掌握してしまうことも可能となる。これは今日行われようとする大量馘首、低賃金化、國内産業沒落の有力な挺子として利用される可能性を與えることは自明である。眞に日本の國民のための國内産業の発展を要望するが故に、我々はこれに反対する。以上が第四の理由である。  以上の結論として、我々は、この資金を特別に会計することに反対しておるのではない。問題は、飽くまでも他のものと同樣に、日本國会及び政府の責任と権限において、少くともドル会計と円会計との正しい関連において会計すべきことを要求しておるのである。  最後に、私は繰返して言いたい。曾てこの資金が貿易資金特別会計の中で無原則的に処理されておるとき、私たちがこの点につき猛省を促したのに拘わらず、当時の当局者は、みずから自主的に何事もしなかつた。この無氣力、無能力の結果が、このような今日の由々しき事態を生んだのである。そうして今日、同じような無氣力と場当り主義が日本経済を悲しむべき方向に導きつつあるのである。だが私は、日本の勤労大衆の良識を疑わない。私のこのささやかな叫びも、必ずや近い將來において全國民の呼号となつて世界に鳴り響くであろうことを確信して、この討論を終ります。(拍手
  58. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 小川友三君。    〔小川友三君登壇拍手
  59. 小川友三

    小川友三君 米國対日援助見返資金特別会計法案は、理論的には幾多の理論はありまするが、理論では國民は飢えてしまうのであります。理論を超越し、実際の政治面より本法案に対しまして全面的に賛成する所見を申上げます。  終戰後の日本の食糧の不足は正に言語に絶したのであります。本都会におきましては、道路のわきの草木を摘取つて、これをお粥として食べた事実を、この活きた眼で見ておるのであります。又大都会からは近縣へ近縣へと出て参りまして、米なく、馬糧の麩を求めてこれを食事にしたのは現実の事実であります。そうして飢と命を凌いでおつたのが、敗戰後日本の食糧事情の惨澹たる状態であつたのであります。「乳なく赤子まさに死せんとす、若き母乳出でずして氣狂わんとす」というのが、日本の終戰直後の食糧事情であつたのであります。その食糧事情を解決して呉れた國はアジア大陸か。遠く、太平洋を越えたアメリカか。アメリカは続々と数百万トンの食糧を送つて呉れまして、(「いいぞ」と呼ぶ者あり)窮乏日本の食糧問題を解決して呉れたのであります。占領軍最高司令官マツカーサー元帥の限りなき援護、佛教で申しましたならば慈悲、(「名論名論」と呼ぶ者あり)我が國は米軍の支持並びに占領軍の理解によりまして、食糧事情はとにもかくにも、終戰後の今日敗けたことを忘れるような感じのする程の食糧が放出せられ、又配給をせられておるのであります。これは神教で申したならば、連合軍の友愛であり、寛容であり、誠意、その中に我々が生存をしておるのであります。  本案はガリオア資金、イロア資金という、それを基本とする実に一千七百五十億万円の巨額に達するものでありまして、この援助資金を中心とし、日本のインフレはデイスインフレとなり、正常なるところの経済状態に正に軌道に乘つたことは間違いのない事実であると、私は固く信ずるのであります。この資金は全米國民の税金によつて支出せられておるということを、我々は感謝し、感激し、子、孫、幾千年の後までも忘れることができ得ない。人から受けた恩義を忘れるような民族は、当然人類の歴史上滅亡いたしておるのであります。本資金を獲得するために吉田総理大臣並びに池田藏相は非常なる努力をせられたであろうということを想像し、本壇上より両大臣並びに閣僚に対しまして感謝の意を表する次第であります。(拍手、笑声)又一方、本資金を得るために、曾ての片山内閣総理大臣がその基礎を作つたのも事実であると私は認めるのであります。(拍手、笑声)又前内閣の芦田内閣におきましても相当の基礎を作つたということは、これは公平なる政治家としまして認める必要があると存じ、敬意を表する次第であります。(「有難う」と呼ぶ者あり、笑声)米國援助資金につきましては、大英帝國においては國債の償還にこれを使用し、イタリアにおいては産業資金にこれを使用し、フランスにおいても亦産業資金に使用し、戰爭後のくたびれた経済を建設するために努力をいたし、我が國におきましても大藏大臣が我々大藏委員会におきまして発表した通り、健全経済財政確立のために幾多研究し、その支出に盡力をしておられるのであります。或いはアジア大陸からもこうした應援があつたならば、アメリカに対すると同樣な絶大なるところの感謝と敬意を表する次第でありますが、まだ余り來ておりませんようであります。(笑声)本法案の成立の上は、池田藏相の行政手腕により、八千万同胞が皆潤うように、健全財政の確立のために手腕を揮つて頂きたい。かように注文を付け、満腔の敬意を表しまして、本法案に対する賛成の所見を申述べた次第であります。(拍手、笑声)
  60. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これにて討論通告者発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。  先ず米國対日援助見返資金特別会計法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  61. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  62. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に、有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案及び企業再建整備法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  63. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  64. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に國営競馬特別会計法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  65. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  66. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 池田大藏大臣より單一爲替レート設定について報告のために発言を求められております。この際許可いたします。池田大藏大臣。    〔國務大臣池田勇人君登壇拍手
  67. 池田勇人

    ○國務大臣(池田勇人君) 先般單一爲替レート設定の指令が参りまして、去る二十五日より一ドル三百六十円の爲替相場が決まつたのであります。このことは、対外的には、我が國経済が國際経済に参加することであり、対内的には、より自由な合理的な経済がここに成り立つことを意味するものでありまして、國家のため慶賀に堪えない次第でございます。併し御承知通り今年度の予算は、一ドル三百三十円の想定レートによつて編成いたしました関係上、いろいろな問題が起るのであります。私はこの際、爲替レート設定によりまして、予算上、又物價に、又日本の産業に、どういう影響があるかということを簡單に御説明いたしたいと思います。  先ず予算でありまするが、最も重要なる影響を及ぼすものは、御承知の輸入補給金の八百三十三億円が、只今予定いたしておりまする物資が今の値段で参つた場合におきましては、百五十億円の不足を來たすことに相成るのであります。又貿易会計におきましては、約二百八十億円の單位増になります。即ちスケールがそれだけ増加することに相成るのであります。而して又只今御決議を得ました対日援助見返資金特別会計の千七百五十億円がどうなるか。こういう問題であります。先ず第一に輸入補給金の百五十億円の増加は、私が他の機会に申上げて置きましたように、できるだけ物資の選択或いは補給金額を削減いたしまして、この百五十億円は一應今の予算内でやりくりする、こういう計画を立てております。又貿易会計の二百八十億円増加する分については、只今のところ一應の予定でございますので、増加しなければならない情勢になつた場合に補正いたすつもりであります。見返資金の千七百五十億円につきましては、一應殖やすことなしに、この金額でやつて行きたい。從つてこれを要しまするに、予算上は、レートの変更がありましても、只今のところ補正することを考えていないのであります。  次に物價の問題でございまするが、一割足らずの円安でございますので、輸入物資はそれだけ増加することは当然であります。補給金を出しますものにつきましては、先程申上げた通りでありまするが、補給金を出さない品物につきましては、一割足らずの値上りを覚悟いたさなければなりません。併し私はこの際一般物價水準は動かさない考えで進んで行きたいと思うのであります。個々の物資につきましては、或る程度の値上りは避け得られないと考えております。又産業界に及ぼします影響は、三百三十円で決められるよりも非常に有利になつて参ります。我我が考えております輸出貿易も、これによつて相当程度促進し得られると考えます。又一時今回の予算は非常にデフレーシヨン政策を強行するものであるという議論がございましたが、こういうふうに三百六十円に決まりますことは、私はデイス・インフレーシヨン政策を裏書するものであると考えておる次第でございます。我が國の輸出貿易は、これによつて相当程度潤いましよう。從つてこの際非常に有利になつた輸出に対しまして、特別の税をかける。即ち輸出税を取る必要があるのではないかという議論がございまするが、私は單一爲替レート設定の趣旨に鑑みまして、特別の輸出税を取る考えはございません。一應の法人税、或いは所得税で賄つて行きたいと思うのであります。以上要しまするに、今回のレートの設定は、一般國民が思つたより早く決定を見たのでありまするが、私といたしましては、予算審議が終りましたならば、成るべく早く決定することを望んでおつた次第でございまして、今回三百三十円が三百六十円に決定を見たことは、いずれにしましても、非常に仕合せのことであると考えておるのでございます。以上御報告申上げます。(拍手
  68. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 日程第十七、六・三教育制度完全実施に関する決議案田中耕太郎君外十一名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本件は発議者田中耕太郎君外十一名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。田中耕太郎君。     —————————————    〔田中耕太郎登壇拍手
  70. 田中耕太郎

    田中耕太郎君 発議者の一人といたしまして提案理由の説明を申上げます。先ず決議案朗読いたします。    六・三教育制度完全実施に関する決議   文化國家平和國家建設の基礎である六・三制は、我が國家として万難を排し、國民の多大の犠牲を賭してその実現に努力し來つたところである。しかるにその実施の現状を見るに、或は学校施設の整備において、或は教育要員の充実において極めて寒心すべき状態にあり、國民はこの制度の前途に対して深刻な不安を懐いている。政府はかかる実状を正視して、六・三制完全実施に必要なる予算措置その他の適当なる方策を速かに確立すべきである。   右決議する。  終戰後、國民生活の物質的方面、特に経済のあらゆる分野におきまして、それぞれ根本的の改革が実現せられて参つておるのでありますが、若し國民生活の精神的方面であります教育の分野における改革をいたさないでいたといたしますならば、民主國家、平和國家建設の画龍に点睛を欠いておるものと言わなければならないのであります。幸いにして第一次吉田内閣は、全國民の輿論と、米國教育使節團の勧告と、総司令部側の激励や協力によりまして、多大の困難を賭して、一大決意を以て、いわゆる六・三制義務教育制度の実施を断行いたしたのであります。爾來地方自治体や天下の父兄は、この制度が民主的平和的日本の建設の精神的基礎であるという不動の信念と、異常な熱意の下に、忍び難き犠牲を忍び、その完遂に涙ぐましい協力をいたして参つたのであります。然るにこの制度の実施以來、國家がそれに必要な施設の充実のために支出いたしました毎年度の補助額は、如何に國家財政窮乏の際とはいえ、果して全國民の熱意に應えるに足るものでありましようか。文部省の調査によりますと、本年三月、新制中学の生徒数におきましては五百万人の半数約二百五十万人が教室のない状態にあります。所要教室数におきましては、十三万の半数の約六万五千が不足している状態にあります。若しかかる状態に放置いたしますならば、本制度発足の当時におきまする國民の熱意は冷却し、意氣込は挫折して、平和國家建設に対する列國の期待に副わなくなることを我々は衷心憂慮するものであります。義務教育は國家に対する父兄の義務であります。同時にそれに必要なる施設をいたしますことは、父兄に対する國家の義務であります。教育におきましては容れ物よりも中身が大切であることは勿論であります。併し容れ物なしの中身は絶対に考えられないのであります。今や國民中には六・三制が廃止せられ、六・二制に切り替えられるのではないかという、現状においては甚だ無理もない疑惑を抱き、この制度の実施の信念に動搖を感じておる者も相当多いのであります。政府にして若しこの制度の継続完遂の決意に変りがないといたしますならば、事実を以てかかる疑惑や動搖が根拠のないことを立証する必要があるのであります。(拍手)我々は現下の國家財政の困難と、それに対処しようとする政府の苦衷とに眼を閉ざすものでは決してありません。併しながら我我は六・三割の完遂が國家再建の最も本質的な條件であるという信念の下に、更に負担が飽和点にまで達しておりまする地方財政の深刻な窮状と、数百万の第二の國民の運命に対する最も切実な憂慮からして、政府が本決議の重要性を深く認識し、速かに予算上その他の必要な万全の対策を講ずることを、政府に対し強く要望するものであります。(拍手)同僚各位におかれましては、この極めて簡單な本決議案が、全國民の要望と、特に第一回國会以來の文教、文部委員会の超党派的一致の努力の結晶に外ならないことを了解せられまして、本決議案に対し御賛同あらんことを衷心切望して止まない次第であります。以上を以ちまして提案理由の説明を終ります。(拍手
  71. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 本決議案に対し討論通告がございます。松野喜内君。    〔松野喜内君登壇拍手
  72. 松野喜内

    ○松野喜内君 只今上程の決議文に対し、私は民主自由党を代表して賛意を表するものであります。  そもそも文教は、政府と國民が一丸となつて自主的に責任をとるべきものであると私は考えるのであります。國民の心を以て心とすべき國会は、その責任亦格別であります。この際、政府、國民協力して、以て六・三制完遂に最善の努力を拂わねばなりません。経済の九原則とドツジ氏の線に沿うて、荒療治の下、根本的恢復を図り、以て経済の安定を求むると共に、國民の納得行くような教育安定策を講ずべきときだと考えます。戰前すでに義務教育延長が叫ばれていたけれども、諸般の事情上できなかつたのであります。然るに敗戰國となつた今日の我が國にこれを実行するのであるだけに、その至難や実に言語に絶するものがあるのであります。戰爭のために我が國の富が四兆二千億円も失われたと言われ、國民一人平均五万三千円ずつ浪費されたということになつております。ここに以て非常覚悟の必要があり、而も戰爭放棄を憲法上に明記した日本であると共に、ひたすら文化國家建設の念に燃えつつある國民なのであります。米國教育施設團の勧告に基いて、着々六・三制実施に苦難を重ね、忍び難きを忍んでここまで來たのであります。どうしても飽くまで貫徹を期せねばなりません。義務教育に関する陳情請願國会に山と積まれております。市町村長初め教育関係からのその書類の件数、通数が、恐らく國会第一と言われ、署名者の数幾百万を数えておるのを見ても、國民の輿論の趨勢が分るのであります。参議院文部委員会におきまして、現地調査の必要を感じ、これが実情を視察いたしました。六・三制によつて收容せねばならぬ学童は約千八百余万になるのであります。これに必要な学校数は的一万二千校を算するのであります。戰災によつて焼失しました学校約二千校、その復旧未だ半ばにも達しておりません。地方によりましては、新制中学の独立校舍が僅かに一四%に過ぎないのであります。その多くは他の学校に同居、中には三校集まつて、生徒、先生が一校舍に押込められておるところもあるのであります。又物置やら小使室、廊下、さては馬小屋までも改造しておるような現状であります。又ぞろ青空教室までも出るのではないかと憂えられておるのであります。校舍すでにそうであり、施設も、ラジオのない学校、オルガンの設備のない学校等亦無数であり、かく観ずるというと、実に國民の一大覚悟を要する時期に際したと申さなければなりません。(拍手)九原則とこの六・三完遂とを並行せしむるためには、大手術を要する病人を前にしたごとき感を持ち、窮通打開策を考えるべきだと信ずるのであります。(「正にそうだ」と呼ぶ者あり)戰後、赤字財政府続き、通貨増発となり、インフレが高進し、物資不足、生産力減退に苦しんで來た我が國民にとつて、実に容易ならぬものがあるのであります。どうしても應急自治を考えると共に、政府、國民が一体となつて、総動員的勤險にこれ努むべきであると信ずるものであります。教育完遂には経済の裏付けが必要であり、黒字財政の明るみを見る、これが前提となることによつてのみ完遂し得るものであります。健氣なる学童の中には、勤労を尊重した教育、いわゆる働きつつ学び、働学併進、全校挙つて壊れた危いガラスのかけらを拾い集めて、ガラス製造の資材となし、月に千余円を得つつある学校もあれば、建築用の砂を運んだような美談もあります。竹細工によつて藝能を磨くと共に、小遣い節約と六・三貯金に精進した学校もあります。若しそれ國民全体揃つてこうした耐乏勤儉、以て自立自営の経済力を培養し、経済の復興を目指し、実践するところにのみ、六・三制完遂の途があると私は深く信ずるものであります。(拍手)  政府よ、政府はよろしく教育尊重と六・三制遂行の決意を新たにし、國民に対する声明を発し、國民に希望と安心を與え、勤儉の協力を求めるべきであると信ずるものであります。以上を以て私は決議文賛成の意を表した次第であります。(拍手
  73. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 木内キヤウ君。    〔木内キヤウ君登壇拍手
  74. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 人間は希望を失う程みじめなものはありません。世界の平和國家として、美しい日本人として、正しい民主國民として今までの罪を償いたいと、日本の八千万の正しい父や母は、あらゆる努力と犠牲を忍んで明日の日の樂しい夢を描いておりました。現在、明日を背負うところの青少年、青少女は、今現在どんな姿でございましよう。犯罪件数は増加するばかりです。窃盗、詐欺、強盗、殺人、恐喝、賭博、放火等々、これを救うのは教育の力より外途なしと信じております。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)「六・三制、野球ばかりがうまくなり」という川柳が私の耳に入りました。三万八千余人のパンパン、一都市ができる数だということを聞いております。子供の数はどんどん増加しております。小学校の数が、二十二年には一千二百三十余万人の生徒の入る学校が入用であつたそうでございます。二十五年には一千八百余万人の生徒の入る学校ができなければならなくなつております。よい先生も欲しうございます。疲れ果てた先生では何事もできません。村でも町でも、ない財産で、子供のため、將來の日本のためと、本当に涙ぐましい努力で以て、学校の建設に、(「そうだ」と呼ぶ者あり)村が破産するとまで言われてもその道に精進しているのが、現在の日本の町、村の純眞な父や母の姿でございます。(拍手努力半ばに希望を失つたときには、どんな結果ができるでしよう。これを考えると私は寒い氣持がいたします。現にその責任にあるところの人は、精神的、肉体的に自殺をしているというような感じが起つております。文化國家として日本は再生しなければならないと宣言された國会の皆さん方、どうぞ今日のこの決議が立派に花が咲きますように、そして日本の正しい父や母の樂しい夢が現実化するようにということを、民主党代表とし、又(「予算賛成しとつたのじや、それは駄目ですよ」と呼ぶ者あり)お國の政府の方々にお願いいたします。(拍手
  75. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 河野正夫君。    〔「自由党いないじやないか」「どうしたのだ」「耳が痛いかな」「議長、自由党の出席を求めて下さい」「その通り」「徴罰々々」と呼ぶ者あり〕    〔河野正夫君登壇拍手
  76. 河野正夫

    ○河野正夫君 日本社会党を代表いたしまして、本決議案賛成いたすものでございます。(「漸く一人入つて來たよ」と呼ぶ者あり)  六・三制として知られておりまする新教育制度は、小学校より上は大学に至るまで非常に多くの困難な問題を含んでいるのでございまして、ここにも、本決議案以外のことにつきましても、多くの同僚諸君の御考察を煩わさけなればならぬことがあるのでございます。併しながら、特に敗戰後の我が國が、戰前には行えなかつたところの九ケ年の義務教育を敢えて敢行して來たその場合におきまして、中央及び地方の財政の負担はもとより、國民経済に対する重圧が予想せられておつたにも拘わらず、敢えてこれを行なつて來たゆえんのものは、実に戰爭の責任とその惨害とに目覚めて、これより平和國家、文化國家として再建せねばならないという國民の熱意が然らしめたものであろうと私は思うのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)然るに、先程來お話がありましたように、六・三教育制度は実施当初から幾多の波瀾を含んで参りました。本年度予算におきましても、政府の示された予算案の中には、公共事業費において文部当局が要求した百八億というものは完全に姿を消して、どこにも見えないのであります。一方では文部省予算に計上されておりました小学校、中学校の教員の俸給の費用が減額せられまして、学級当りの教育定数が非常に減少して來たのであります。單に新制中学校の校舍の問題のみでなく、学校の教育の内容に亘つて、六・三制は今や重大なる関頭に立つていると言わざるを得ないのであります。そもそもこの六・三教育制度の要望は、先程來皆樣方のお話がありましたように、非常に地方の父兄、府縣会議員、市町村会議員或いは市町村長というような方々、PTAの人々というような方々によつて國会にも政府にもその請願が山積しております。第一回國会以來、我々は数度に亘つてその請願を採択し、政府に向つてこれを送致いたしたのであります。当然に、政府は民主的な政府であるならば、この國会及び國民の輿論を十分に尊重して、それを予算に盛るべきであつたのであります。然るに本年度の予算においてその片鱗さえ認めることができない。これは現政府如何に非民主的であるかをこの点においても見ることができるのであります。(「然り」と呼ぶ者あり)私はここに改めて参議院の決意を表明し、政府に向つてその実現を要望するに当りまして、(「文部大臣辞めろ」と呼ぶ者あり)三つの観点から、政府並びに同僚議員諸君の御注意を喚起いたしたいと思うのであります。  その第一は、六・三教育制度現状を以ていたしますると、憲法に保障せられ、新教育制度の眼目であるところの教育の機会均等ということが、殆んど累卵の危うきにあるということでございます。御承知通り現状を以ていたしますならば、地方財政の不均衡、各地々々における不均衡はもとより、更に都市における子弟の教養に当る父兄たちの家計の能力の不均衡が、公立、私立の学校に非常な甚だしい差別を與えておる。言い換えるならば、学校差が非常にひどくなつておるのであります。更に皆樣先刻御承知通り、來るべき失業乃至は租税の増徴、中小工業の整備によるところの不景氣等々によりまして、学童の父兄の家計は一層苦しくなつて参るのであります。從いまして、この学校に通うことができない。九ケ年の義務教育制度は布かれたけれども、六年でやめざるを得ない。新制中学校の一年、二年、三年で退学せざるを得ない。退学ということはありませんが、通学を不可能ならしめるものが事実どしどし現われておるのであります。我々勤労者の教育の充実と向上とを目標といたします日本社会党といたしましては、かかる教育の現状を默視することは忍び得ざるところであります。(「本当か」と呼ぶ者あり)  第二に、この本年度の予算などに示された六・三制度に対する政府の態度は、すでに崩壞に瀕しつつあるところの地方財政の窮乏をますます甚だしからしめ、國民経済への圧迫がますますひどくなるということが申上げたいのでありますが、この点については他の議員の方からも言及せられたところがあつたので、詳しくは申上げません。  最後に、第三に特に強調して置きたいと思いまするのは、今日におけるこの教育に対する政府の態度は、政治における責任感に対する國民の批判となつて現われるであろう。そうして國家の施策に対する信用を低下せしめる虞れはないであろうかということでございます。民主自由党の公約の棚下げということがしばしば問題になりました。勿論政党が不可能事を公約し、民心を釣つて多数を制し、一たび朝に立てば頭から忘れ去つたかのように顧みて他を言うというような態度は、鼓を鳴らしてその非を責めなければならないのは当然でありまするが、ここに私が問題といたしたいのは一党一派の問題ではございません。すでに六・三制は第一次吉田内閣によつて始まり、次に社会党、民主党、あらゆる党派の政府もこれを支持し來たつたのであります。第一回國会以來この議場におきましても、先程申上げました通り、六・三教育制度の完遂ということについては、しばしば超党派的な意見の一致を見來たつたものであります。而して地方の議会或いは市町村長というような方々におかれましても、かかる國家の全体の方針を体しつつ、極めて多大の犠牲を忍んでやつて來たのでございまするが、從いましてこれは……
  77. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 五分が経過いたしました。
  78. 河野正夫

    ○河野正夫君(続) 直ぐです。從いましてこれは当然に、この今日においてかかる悲境に陷り、立消えになるかというような不安を抱かしめるとは、何人も思つてもいなかつたところであります、(「分りました」と呼ぶ者あり)一体、六・三制はやるのか、やらないのか、政府は我々に多大に期待と犠牲とを強いて実施したところの六・三制を見殺しにするつもりであろうかというような不安が、國民の間に拡がつてつて、延いては、敗戰後幾多の革新をなし來たつたところの日本の政治そのものに対する不信の念を、國民の間に瀰漫せしめるという結果を生むことを私は恐れるのであります。
  79. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 時間が過ぎました。
  80. 河野正夫

    ○河野正夫君(続) その点におきまして多々申上げたいことがありますが、要するに以上三点におきまして、政府はよろしくこの決議案趣旨の実現に努めて、特に責任と道義との政治を確立することに努力願いたい、かく信ずるものであります。(拍手
  81. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 藤田芳雄君。(「議長はもつと議員の出席を求めろ」と呼ぶ者あり)    〔藤田芳雄君登壇拍手
  82. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 私は只今上程になりました六・三制教育制度完全実施に対する決議案に、次の五つの点から賛成をいたしたいと存じます。  その第一は、我が國再建の目標たる文化國家建設の上からこれを要求いたします。第二には、義務教育の余りにも悲惨な現実の姿から見まして、この決議案を支持いたします。第三は、地方財章の混乱を防ぐ上から、この決議案重要性を申上げたいと思います。第四は、全國民の要望に應える点から眺めましても、この決議案賛成いたさねばならんと存ずるのであります。この四点に関しましては、同志議員の各位から力説せられ、又これからも力説せられることと存じまするので、重複を避けて私は省略をいたします。  第五は、九原則による経済再建の完遂の上からも、この決議案を支持するというのであります。恐らく九原則による経済再建にも最も大きな癌をなすものは、その障害となるものは、國民の道義の頽廃と能率の低下であると存じます。時間がありませんので一々例証は挙げません。過去三年の実情が明瞭にこれを物語つておるのであります。そこで今年度のごとく苦しい予算の中から六・三制の経費を計上することは、政府如何に國民の道義高揚に深い関心を持つかを具体的に表現することであり、國民に一大奮起を促す絶好の機会であると思うのであります。丁度、親がその食を減らしても自分の子の教育に盡すと同樣であります。この深い政府の決意は、國民を感激させ、道義の高揚は勿論、延いては全國民の能率の一大増進を來たす根源となるものでありましよう。この観点からしても、六・三教育制度実施の一日も速かならんことを要望いたしまして、本決議案賛成する次第であります。(拍手
  83. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 鈴木憲一君。    〔鈴木憲一君登壇拍手
  84. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 御承知のように予算國会を通過いたしましたが、併し六・三の予算は削られたまま目も鼻もなくゼロであります。政府も政党も何とかして予算化しようと努力を傾けたようでしたが、依然として解決しません。それならば六・三制は中止か又は延期かというと、文相も藏相も六・三制は絶対に変更しないと、こう言つております。一体一文なしで何とかいたすような奇妙な手があるのかしらと私は思うのであります。六・三制なるものは、どなたも御承知のごとく、我が國敗戰の冷嚴な現実の中から、日本再建の基本的結論として、國民がひとしく確認した新教育制度でありますが、それが完成年度に至つて予算上ゼロとなつたのであります。而も本年度の総予算は七千億の厖大な数字でありまして、その中から僅かな百分の一程の小さな予算がどうしても取れない。これが國家再建の基本線を推進せしめるところの絶対必要なる元あるということを誰も知つておるのでありまするが、それができない。実に以て奇妙不思議な現象であると私は思うのであります。このために憲法上のでも空文化しようとしております。更に一方義務教育を受ける子供を見まするというと、年々百万から乃至二百万円ずつ増加しております。今年の中学の三年生だでも百万いる。これは理窟でなく現実であります。こういつたような間に処しまして、現総理大臣は次のようなことを言つたと言つております。「六・三制発足当時の私の氣持は、六・三制を完遂するためには六年、十年を要すると思つていた。ところが文部当局がその促進を急いだため、今日において財政的行詰りが起つているのだ」と、こう言つております。実に呑氣なことだと私は思います。目前に迫つておるこのことを何と感じたのか。認識不足も甚だしい。これでは六・三制完遂を口に唱えて見ましても、多数な現実に押されて匙を投げてしまうのではないかと疑われても仕方があるまいと思います。私は多難であればこそ、苦難であればこそ、その苦しみの中において不撓不屈の意思を固め、以て断々乎として敢行すべきであると深く思つておるのであります。  國民は現在非常な生活案、社会党を訴えております。この叫びの甚だしいときにおいてこそ、政府及び國会は、この悩んでおります國民に対して、苦しみの中における教育こそ日本再建の唯一絶対の條件であることを認識させるために、絶好の機会であると考えます。故にこの際、何としても六・三予算を急ぎ成立せしめまして、断乎完遂に突進しなければならぬと思うのであります。この際におけるこれが我が日本の最良の政治でなければならぬと思うのであります。苦難の眞只中において教育に奉げられた努力は、必ず後になつて報いられることは眞理である。と同時に、その逆も亦眞理であることを、今日この際忘れてはならないのであります。すでに國民は財源の枯渇に際しまして、至るところにおいて、貧しい中に更に一枚の衣を脱ぎ、ひもじい中に敢えて欠食を重ねつつも、我が幼き、小さき者たちに一点の光明が與え得られるならばという見地に立ちまして、喜び勇んでその負担に應じつつ、これが國家再建の礎になることを固く誓つて実行しつつあるのであります。この実情よりいたしましても、政府は現在六・三制の前途に横わる不安を一掃しまして、速かに予算措置その他適当なる方策を確立して、文化國家建設の基本線に対し光明を点ずるように処置されることを要望いたしまして、本決議案に賛意を表するものであります。(拍手
  85. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本共産党が本決議案賛成する理由は、それが何よりも人民大衆の切実な目下の要求に基くものだからであります。本決議案の中には、過日、本議場で予算案の通過に賛成して與党並びに與党的な党派の諸君も交つていられます。曾て六・三制の予算を無一文にすることに賛成された諸君が、今日六・三予算を早く出せと叫んでおられる。このような現実に横わつている政治の矛盾について、今日我我は余りに安易に慣れ過ぎているのではなかろうかという反省が持たれるのであります。これは決して誠実な人民大衆を納得せしめるところの途ではない。人民はもつともつと率直な政治に期待しているのであります。從つてこの決議案は單なる一片のゼスチユアであつたり、或いは選挙民の攻撃や非難をそらす一時の方便であつてはならず、決議案趣旨は飽くまでもこれを生かし、速かに必要な予算を確立することが絶対に必要であります。  吉田首相は四五日前の本院の地方財政委員会におきまして、「今は國家財政が窮乏しているのだから、今年十五億、來年十五億というように、何年かに亘つてこれを完成したい」というようなことを述べております。併しこれ程現実を無視したところの言葉はないのである。今仮に公共事業費から十五億程度のものをむしり取つたとしましても、それは昨年度程度の最低要求額の僅か十六分の一に過ぎないのであります。然るに今年度は六・三制の山であり、どうしても昨年の二倍程度建築を行わなければどうにもならぬ段階に達しているのでありますから、國庫負担分は從つて全体の三十分の一程度となり、他の三十分の二十九という厖大な額はすべて地方財政及び大衆負担となつて來るわけであります。これは過日も問題となつた地方交付金の大削減、それに伴う住民税、住宅税、地租等の大幅引上によつて塗炭の苦しみを嘗めておりますところの地方財政の決して負担し切れるところではないのであります。又すでに限界点に達している人民大衆の賄い切れるところでないことも余りに明白であります。寄附が集まらない、財源がないということのために、最近では起工が不能となつたり又折角工事中のものを中止して立ち腐れというようなことが起つておる。その結果、町村長や地方議員の辞職やリコールが最近甚だしく起つている。現に和歌山縣では二十七人の町村長がこの六・三問題で辞めて、三人がリコールされている。又茨城縣では後任になり手がない。辞めた後になり手がなくて、すでに三回も告示を出しているけれども、未だに候補者が現われないというような実情が起つているのであります。又最近は岡山縣、福岡縣におきましては、町村長が自殺をしたというような切実は問題が傳えられているのであります。青少年の不良化も亦これと共に甚だしく、昭和二十三年度では全犯罪件数の約五〇%、二十五万件が青少年の犯罪である。そうして、その中には強盗とか殺人とかいうような惡質犯罪が混つているのであります。このような政治的、社会的な責任を、一体現政府はどのようにして果さんとするのであるか、伺いたいと思うのである。若し政府が眞に六・三制を継続するという意思があるのであつたならば、それを可能にするだけの最低の予算を計上しなければならない。それを、ほんの間に合せでごまかし、他をすべて人民の犠牲に押し付けるような態度は、徒らに事態を混乱に導き、死に瀕した子供の命をこの上にも弄ぶような結果になるのであります。  元來六・三制は一昨年第一次吉田内閣によつて発足を見たものである。そのときの予算が僅か八億であつたということ、このことが、この不用意、見通しのなさが、その後のすべての混乱の原因であるということを、私は、はつきり指摘することができると思うのであります。(拍手)然るに今日では発足当時に比べまして、すでに数倍の困難に直面している。このような現状において、政府は無謀にも六・三制の予算を無一文に削減してしまつたのである、六・三制は生き物である。いわば生後まだ二ケ年しか経つていないところの赤ん坊である。それに乳はやれない、着物は着せられないというので、五年計画だ、十年待つて呉れでは、肝腎の赤ん坊が死んでしまうのである。予算がないとか財政が窮乏しているとかと言つておりますが、併し人民は今日ではよく知つているのである。政府が六・三制にたつた十五億しか出さなかつたところの昭和二十二年度におきまして、一方、一肥料会社昭和電工のために殆んど呉れるようにして出した金が二十六億であつたということを、知らない者は一人もないのであります。このようにして政府が資本擁護のために約一千三百億の支出を復金を通じてなした同じ期間の二ケ年間におきまして、六・三制のために日本政府が支出したところの予算は、僅かに六十五億であるということ、このことは我々の歴史と共に銘記されなければならないのである。再び而もこの過ちをこのようにしまして、未曾有のあの政治的腐敗が起つた、この過ちを再び現政府は繰返してはならないのである。本年度の價格差補給金、貿易補給金二千四十億という厖大な予算の中から、この放漫な支出を整理すれば、優に三百億や四百億は出せるのであります。血の出るようにして自分の出した税金を、子供の教育のために使つて呉れというこの人民大衆の切実なる要求、そうして、当然である要求を、一体誰が今日拒み得るのであろうかということを私は考える。(拍手)而も六・三制の実施は、連合軍の勧告により、戰爭放棄によつて、世界に公約した平和と文化の具体的な要求を実現しようとする民族の深い決意にかかつておるのであります。我が日本共産党は、この決議案趣旨を徹底的に活かすことを要求し、そのことのために進んで本決議案賛成するものであります。(拍手
  87. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これにて討論勧告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  88. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて決議案全会一致を以て可決せられました。  只今の決議に対し、文部大臣より発言を求められました。高瀬文部大臣。    〔國務大臣高瀬荘太郎君登壇拍手
  89. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今の御決議に対しまして、政府の所見を申述べたいと思います。六・三制の完全実施が、我が國の民主化及び再建のために最も重要な基礎をなすものでありますことは、只今の御決議に明瞭に指摘されました通りであります。然るにその実施以來二年、予期のような十分の成果を挙げることができず、殊にその施設における欠陷が極めて深刻な状況にありますことは、誠に憂慮に堪えないところであります。政府といたしましては、只今の御決議を十分に尊重し、今後一段と努力を傾けまして、これに必要な予算の獲得並びにその他六・三制完遂のために必要なあらゆる方策を講じまして、(「額を示せ」と呼ぶ者あり)本日の御決議の趣旨に從い、御期待に副うように最善の努力をいたす決意であります。(「決意を表明しろ」と呼ぶ者あり、拍手)      ——————————
  90. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 参事をして報告いたさせます。    〔青木参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  農業協同組合自治監査法を廃止する法律案可決報告書  農業協同組合法の一部を改正する法律案可決報告書  罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二つの災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案可決報告書      ——————————
  91. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程に追加して、農業協同組合自治監査法を廃止する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。     —————————————    〔楠見義男君登壇拍手
  93. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました二つの法律案につきまして、農林委員会における審議の状況並びに結果を御報告申上げます。  先ず最初に農業協同組合自治監査法を廃止する法律案について御報告申上げます。農業協同組合自治監査法は昭和十三年に制定せられたものでございますが、この法律趣旨は、農業團体即ち産業組合、農業会、或いは農業協同組合等、いろいろ團体制度について変遷もございましたが、これらの農業團体がその堅実なる発達を図るために、行政廳による監査とは別個に、いわゆる自治監査を行う目的を以て、監査連合会を設立し、この連合人の監査機能の活用によつて、お互いの事業面及び特に経理面の堅実化を図ることとしたのでありまして、爾來相当の効果を挙げたのでございます。併しながら現行法におきましては、農業團体に対して、行政官廳から連合会への加入強制命令が発し得るような規定がございましたり、或いは又連合会が一方的に監査をなし得る規定があり、而も罰則を伴うような、いわゆる強権的な内容を持つておりまして、これらの強権的措置は、農業協同組合の完全自主性尊重の建前とは全く相反する次第でございますし、かたがた農業協同組合法施行後の状況におきましては、各協同組合の連合会利用状況も甚だ不振の実情もございますので、今回現行法を廃止せんとする次第であります。本法律案提案の趣旨は以上の通りでございますが、一面において農業協同組合の現状は、公職追放その他いろいろな関係からいたしまして、事業面、更に経理面において、從來のごとき練達堪能な人が少く、或る意味におきましては、現在はその最大の危機とも言われておるようなときでありまして、外部からも或いは又内部からも監査機能の充実が痛感されておる実情でありますので、委員会審議に際しましては、現行法の廃止それ自体は別段異論はないのでございますが、その点をどうするかということが論議の対象となつたのであります。而して政府当局は、この点につきましては、法律の範囲内における行政廳の監査の外に、自治的には縣或いは全國区域の協同組合指導連合会の活用して、経営指導を中心としつつ、その監査的役割を果させると共に、組合役員たる監事の監査機能充実のための特別措置について十分の努力を拂いたいということでございまして、この政府の今後の努力に多大の期待をかけつつ、委員会といたしましては、討論採決の結果、全会一致を以て本法律案は可決すべきものと決定した次第であります。  次に農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして御報告申上げます。本改正法律案改正事項は二つでございまして、即ち第一点は、農業協同組合と実質的に競爭関係にある事業を営んだり或いは又これに從業しておる者は、当該協同組合の役員たる理事及び監事、或いは又主要職員たる参事及び会計主任等にやることを禁止する旨の規定を新たに設けんとすることであります。改正の第二点は、現行法では、組合が法律所定の事業以外の事業を行なつたときは、行政廳は当該組合の解散を命じ得ることになつておりますが、この行政廳による解散命令を廃止いたしまして、その代りに裁判所が行政廳の申立によつて解散を命ずることができるように改正せんとするものであります。  而して以上の改正は、いわゆる農民組織十六原則として、昨年十二月極東委員会の決定に基いて、同委員会からマツカーサー元帥に指示されましたところによるものであります。御承知のように、いわゆる農民組織十六原則は我が國の農民に対して團体結成の自由を保障すること、農民の正当なる権利の伸張を確保すること、農業活動における不当の制限や不利益から農民を擁護すること等を内容としたものでございますが、その十六項目のうち、第八項の、「農業協同組合は行政命令によつて解散されるべきではない。協同組合が法律、定款、規約に違反した場合における救済手段は、法廷を通じてのみ講ぜられるべく、政府の命令或いは行政処分によつて講ぜられてはならない」という点、及び第十三項の、「協同組合の活動と実質的に競爭何係に立つがごとき活動に從事している者は組合に就職できない」という、以上の二項目につきまして、今回具体的にその実現方を日本政府に対し指示があり、その指示に基いて本改正案が提案された次第であります。委員会といたしましては、農民組織十六原則は、眞に民主的な農村の実現を期待する上において、そして又農業増産という重大要請下における農業活動に遺憾なからしむるためには、本改正法律案関係の二項目の外、その他のすべての項目についての具体的実現を切に希望しておるところでありますから、そのことの一日も速かならんことを念願し、而して又現に政府の採られておるいろいろの施策のうち、十六原則に背馳しておる施策の改善に強く期待し、更に又眞に農業協同組合の健全な発達を期するために必要な基礎付けについての政府今後の最善の努力を期待いたしまして、討論採決の結果、本案全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。右御報告申上げます。(拍手
  94. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  95. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
  96. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程に追加して、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事岡部常君。     —————————————    〔岡部常君登壇拍手
  98. 岡部常

    岡部常君 只今上程に相成りました「罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案」の法務委員会における審議経過及び結果について御報告いたします。  罹災都市借地借家臨時処理法は、元來戰災都市の急速なる復興を図ることを目的といたしまして、戰災都市における借地権に関し特例を認めた法律でありまするが、その後これを改正いたしまして、第二十五條の二の規定を加えて、戰災のみならず、別に法律で指定した火災、震災、風水害等の災害の場合にも、同法を適用して、借地権につき特例を設け、その復興の促進に資することとしたものであります。つきましては、去る二月二十日秋田縣能代市に発生した火災につきまして、同地に右臨時処理法を適用しようとするのが本法案内容でございます。法務委員会におきましては、右のような、一般の災害につきまして、かかる戰災に対する臨時処理法を以て処理することが妥当なりや否やにつきまして、各委員より熱心な質疑が行われ、若しかかる災害に対する特例が常に必要であるならば、別に恒久的な法律制定することが必要なのではないかという意見が出たのであります。その詳細につきましては速記録に讓ることといたします。かく討論は省略の上、採決いたしました結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。(拍手
  99. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  100. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  101. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程第十八より第三十九までの請願及び日程第四十より第四十二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。水産委員会理事尾形六郎兵衞君。     —————————————    〔尾形六郎兵衞君登壇拍手
  103. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 只今議題となりました請願第十三号外二十一條、陳情第一号外二件に関しまして、水産委員会のおける審議経過並びに結果を御報告申上げます。  そのうち漁港並びに船だまりの件に関して先ず御報告いたします。漁港、船だまりは愛媛縣伊予大島、北海道政泊、岩手縣野田及び越喜來、京都府瀬崎、宮城縣通山、北海道羽幌、佐賀縣假屋及び名護屋、福井縣和田、富山縣水橋、北海道ウトロ、茨城縣久慈、京都府長江、兵庫縣丸山、茨城縣日立、以上十六ヶ所の漁港の築設或いは修築の請願及び陳情であります。委員会におきましては、四月八日、四月二十一日の両日に亘り、紹介議員より説明を求め、又政府委員からこれに関する意見を十分聽取いたしまして愼重審議の結果、いずれも重要適切なる案件と存じまして、委員会においてはこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  次に、請願第二百六十五号は、山口縣にありまする第二水産講習所農林省所管水産單科大学に昇格して貰いたいという請願でありまして、これは第一水産講習所が今回農林省所管水産單科大学に昇格することに決定したのでありまするから、歴史は新らしいが資格において余り劣らない第二水産講習所をも当然大学に昇格すべきであるというのが全委員の一致した意見でありまして、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  次に請願第四百七十六号、陳情第九十三号は、共に水産金融に関するものでありまして、本委員会においては、第四國会において特に水産金融問題につき審議の結果、決議案を本会議に上程し、全会一致を以て本会議を通過いたしましたような次第でありまして、委員会においては、この請願陳情も極めて妥当なものとしてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  次に、請願第三百八十七号、かき養殖業者動力船用燃油リンク制復活に関する請願、第四百七十七号、漁業用リンク物資割当等完全実施に関する請願の両案は、関連性がありますので一括審議いたしましたが、いずれも願意妥当と認め、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  次に請願第四百三十七号は、漁業災害補償制度設定に関する請願で、これは第四國会において水産金融に関する決議案上程の際、漁業災害補償制度及び漁業信用保証制度政府において至急制定して水産金融の裏付にすべきであるという決議案趣旨に対しまして、大藏、農林両大臣は、この趣旨を十分に尊重せられて、この二つの制度を至急実現したいとの言明がありましたような次第で、この請願趣旨もここにあるのでありますから、委員会においてはこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定いたしました。  次に請願第四百七十三号、漁船保險に関する請願、これは保險金に支拂に支障を來すために漁業者の困惑は目に余るものがあるので、政府は漁船再保險特別会計に対し毎年度相当額を一般会計より繰入れて漁船保險の運営を円滑にして貰いたいというのでありまして、第三國会以來、各府縣全部から同樣の請願がありまして、すでに採択されておる問題でありますが、未だ政府において何らの処理を講じないので、ここに重ねて請願するというのであります。委員会においては願意極めて妥当としてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしたのであります。  次に請願第五百十七号、漁港、船だまり修築費國庫補助増額等に関する請願、これは漁港、船だまりの重要性は言うまでもないが……    〔副議長退席、議長著席〕 物價の高騰のため修築費が地元負担に堪え得ない実情にある。又漁港の公共性から修築工事に対する國庫補助率を増額して貰いたいというのがその主なる願意でありまして、この請願も妥当と認めて、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。  最後に請願第五百七十七号、漁港法制定に関する請願でありますが、その趣旨は、我が國における漁港、船だまりが非常に不完全であるために、漁業の発達を妨げ、その漁船の遭難は毎年莫大な数に達しておるのである。よつて速かに漁港法を制定して、第一に、全國を通ずる漁港計画を立て、これに基いて漁港修築事業を実施し、漁港施設の整備充実を一定期間内に完成すること、第二に、漁港修築事業の國家負担額を増加し、殊に漁港の基本施設に関しては全額を國家負担すること。第三に、民主的機構の下に漁港利用関係者等の積極的協力を得て漁港の維持管理制度を立て、以て漁港施設の保全とその利用の円滑適正を期することにしたいという趣旨でありまして、本委員会におきましては願意極めて適切妥当として、これを採択いたしまして、議院の会議に付することに決定をいたしました次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  104. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、漁港法制定に関する請願の外は内容に送付することに賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  105. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、漁港法制定に関する請願の外は内閣に送付することに決しました。  これにて本日の議事日程は全部終了いたしましたが、委員会の議案審査の状況に應ずるため暫時休憩いたします。    午後三時五十九分休憩      ——————————    午後五時八分開議
  106. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続き、これにより会議を開きます。  この際、日程に追加して、國会法第三十九條但書の規定による國会の議決に関する件(國立博物館評議員会の評議員)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。本月二十一日、内閣総理大臣から、國立博物館評議員会の評議員に團伊能君を充てる件について本院の議決を求めて参りました。本件は、内閣総理大臣の申出通り國立博物館評議員会の評議員に團伊能君を充てることに賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  108. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本件は議決せられました。  参事をして報告いたさせます。    〔宮坂参事朗読〕 本日衆議院から左の内閣提出案を受領した。よつて議長は即日これを委員会に付託した。  國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案          運輸委員会に付託  酒税法等の一部を改正する法律案揮発油税法案  國民金融公庫法案          大藏委員会に付託 本日委員長から左の報告書を提出した。  國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案可課報告書  酒税法等の一部を改正する法律案可決報告書  揮発油税法案可決報告書  國民金融公庫法案可決報告書      ——————————
  109. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程に追加して、國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることを御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長板谷順助君。     —————————————    〔板谷順助君登壇拍手
  111. 板谷順助

    ○板谷順助君 只今議題となりました國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会におけるところの審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず、この法案の提案理由を要約して申上げますると、昭和二十四年度の予算編成に当つては、経済九原則に從い、特別会計の独立採算を絶対要件としましたので、從前のごとく收入の不足を一般会計よりの繰入等を以て補填するわけに行かないということになりましたため、今度年の不足額約二百三十億円を運賃値上げによる増收で補うこととし、政府の原案は、即ち旅客運賃の六割値上げ、貨物運賃はそのまま据置といたしまして、又定期券の六ケ月、三ケ月を廃止するという案であります。この法案は國民経済に重大なる関係がありまするので、当委員会におきましては数回に亘つて審議をいたしたのであります。先ず第一に、運賃を定めまするその基準につきまして、即ち経済の九原則、又運賃法の規定する原則として、運賃は公正妥当なものであること、原價を償うものであること、産業の発達に資すること、及び賃金物價の安定に寄與することの四点より檢討を加え、更に又今回國鉄が公社組織として発足するに当り、この際、独立採算制の基礎を確立すべきものであり、又海陸運賃の調整をも図るべきものであり、又一面において國民経済に及ぼす影響、これらの見地から十分に檢討を加えたのであります。更に又國民の輿論を聽く必要から、証人喚問の形式におきまして公聽会を開きまして意見を求めましたところ、いずれも旅客運賃のみ値上げするという政府原案は妥当ではない、貨物運賃と均衡を保つべきものであるという結論に達したのであります。その結果、委員会におきましては、適当に修正するような各方面に対しまして國会の権能を以てあらゆる努力を拂つたのでありまするが、何分経済安定に重点を置くという現在の國情におきましては、事情止むを得ざるものとして、將來必ず是正する機会のあることを期待をいたさねばならぬという事態に立至つたのであります。(「おかしい事態だ」と呼ぶ者あり)  以下、本委員会におけるところの質疑應答に現われましたる点を総合いたしまして御報告申上げます。先ず第一に問題になりましたのは、予算法案とは並行して提出さるべきものであります。然るにも拘わらず、その予算がすでに去る二十日において決定されたにも拘わりませず、この法案が数日遅れて出されたということにつきましては、運輸当局の失態であるというこの一点であります。更に又諸君も御承知通り、昨年の議会において、旅客運賃は二倍半、貨物運賃におきましては三倍値上をしたその結果、現在の旅客運賃におきましては即ち原價に比較して約九〇%、やや均衡を保つておるという状態でありまするけれども、貨物運賃におきましては原價に比較して僅かに四三%、即ち原價の半分にも足らざる現状であります。從つて今日荷物を運べば運ぶ程損失が増加するという現状でありますから、到底この現状のままでは独立採算制の確立は不可能であるという点であります。そこで、このまま推移いたしますると、二十四年度におきましては國鉄は二百三十億円の赤字を生ずる見込でありまするから、この不足額を補うために旅客運賃のみの値上をしようとするのが今回の政府原案でありまして、政府答弁によりますると、貨物運賃を値上げすれば物價影響するとのことでありまするが、併し委員会においては、原價を下廻つておる貨物運賃の据置につきましては、独立採算制の見地からしましても不合理と認めますので、むしろ貨物運賃を値上げすべきであるとの意見が強く主張されたのであります。そこで仔細にこれを檢討して見ますと、現行貨物運賃の七割程度引上げますると、丁度戰前即ち昭和十一年におけるところの物價に対する運賃の負担割合が四・六一%でありますから、これを現在の物價に比較して七割上げるというと、やはり四・六一%で、この均衡が保てるという状態であります。これによりまして海陸運賃の調整をも行うことができまするし、又一面非常に悲惨な状態に陷らんとしておりまする機帆船をも救うことができることになるのであります。そうしますると、その結果、物價に対し如何なる影響を與えるかと申しますると、現在、現行價格に対する運賃比率は平均二・六七に過ぎませんし、更に又鉄道運送にかかる総貨物價格に対する運賃比率も、これは勿論推定でありまするが、〇・七七の低率でありまして、主食の米のごときは一%の負担しか、かからぬ状態でありますので、七割値上げしましても物價に與えるところの影響はさしたることはないのであります。併しながら重要貨物のうちの石炭、銑鉄は多少運賃が高くなるのでありますが、これに対しては價格操作の途があると思うのであります。そこで委員会におきましては、審議の結果、貨物運賃を七割値上げして、旅客運賃は現行のまま据置とし、六ケ月定期の廃止を止むを得ないが、三ケ月定期は存置するように、又長距離逓減を採用する修正案を用意いたしましたが、前述の通り経済安定に重点を置く現在の國情において何ともいたし方なく、止むなき情勢になりましたことは誠に遺憾の極みでありまするが、この点御了承を願いたいと存じます。尚、関係各方面におきましては、將來適当の時期に是正する意思のあることを表明されておることを附け加えて申上げて置きます。  かく質疑は終りまして、討論に入りまして、先ず丹羽委員より、本案は跛行的運賃である、從つて反対したいという意見開陳があつたのであります。更に又小野委員より、本案は止むを得ないとするも、政府に対し次の事項を強く要望して賛意を表せられましたのであります。即ち將來、運賃改正の場合には、予算案に先行して提出するか、又は少くとも並行して提出すること、國有鉄道の轉換期を迎うるに当り、運営の実態に即應する運賃体系の整備に努むること、更に又海陸輸送分野における運賃調整を試みる等総合計画を樹立するよう努むることの発言があつたのであります。又内村委員よりは、左の点を指摘されまして、本案反対意見を表明されたのであります。即ち國民大衆の負担を増大すること、旅客運賃と貨物運賃と不釣合なること、國有鉄道の赤字は一般予算の補正にてなすべきものなること、運賃値上よりも経営の合理化を第一に考慮すべきものなることの諸点であります。又橋本委員よりは、本案については不満の点が多々あるも、事情止むを得ないものとして賛成意見発言があつたのであります。かく討論を終結いたしまして、採決の結果、多数を以て本案を可決すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手
  112. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 本案につき討論通告がございます。順次発言を許します。内村清次君。    〔内村清次君登壇拍手
  113. 内村清次

    ○内村清次君 私は日本会社党を代表いたしまして、只今議題となりました國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対しまして反対を表明するものであります。  理由の第一点は、本改正案がただ一方的に國民大衆の負担を重加するものであるという点であります。政府の説明によりますると、國鉄特別会計の独立採算を二十四年度において強行するため、十二万人の整理、経費の節約、不用物品の拂下げをして、且つ又尚約二百三十億の赤字が残るものとして、この赤字を旅客運賃の六割値上によつて補填しようといたしておるのであります。旅客運賃は貨物運賃に比較いたしまして國民大衆が直接日常負担するものでありまして、特に定期券などはその割引率の引下げが、直接家計に非常に影響を及ぼすものであることは堪え難き事実であります。本年度予算案の國民生活に及ぼす影響につきましては、主食、通信費、調味料、衣料等の値上りによつて、生計費は五%の高騰があると政府みずから発表いたしておるのでありまして、更に目下重い税金と大量の失業など、國民の堪え難い生活苦は重加されておるところでありまして、この際、耐乏生活の名の下に賃金の値上は少しも予定されておらず、その矢先において、かかる一方的なる旅客運賃のみを六割値上するということは、誠に勤労國民の生活に対して堪え難い処置であると断ぜざるを得ないのであります。  第二の理由といたしましては、一方、旅客運賃と貨物運賃とにおきまして見ますると、旅客運賃は昭和十一年に比較いたしまして原價百五倍に対しまして五十倍の値上り、貨物運賃は原價二百十五倍に対しまして七十七倍の値上りで、貨物運賃の方が却つて原價割れが甚だしいのであります。且つ又貨物運賃が主要物價に占める比率は平均二%である。これに対しまして昭和十一年は四%に上つておるのであります。即ち物價中に含まれる貨物運賃の割合は、十一年に比較いたしまして却つて低位でありまして、実質におきましては或る程度の値上りは物價に殆んど影響せずと、政府の資料においても発表されておるところであります。そのために、旅客運賃の値上りを減少し、貨物運賃の若干の値上げで、これを負担せしめるとの輿論は一般的となつておるのでありまして、且つ又このような修正案が提出せられんといたしましたことも既定の事実であります。併しながら日本社会党は更に次のごとき理由から、現段階におきましては、旅客貨物の運賃共にその値上りに対しましては全面的に反対し、次のごとき措置を採らんことを要求するものであります。  その理由と申しまするのは、國鉄会計と本予算との関係についてであります。國鉄会計の赤字は公共性のための赤字でありまして、低物價政策のために低い運賃率が採られることにおいて起るところの赤字であります。併しながら今後九原則に副うて尚も低物價政策を採られねばならぬ以上、当然國鉄自身の責任ではないところのこの赤字二百三十億は、一般会計より補充せらるべき性質のものであります。即ち二十四年度予算におきましても、他の大資本における補給金は実に二千二十億に上つておるのでありまして、更にその中で実に五百億円余の余裕があるということは、先に参議院予算委員会におきましても修正動議提出せられました経緯からも明らかであります。それ故、最も重要なる一国の動脈であるところの國鉄におきましても、他の基礎産業と同樣なる價格差調整の措置が採らるべきことは当然であると確信いたすものであります。更にこの措置は國鉄独立採算の本旨とは決して矛盾するものではないと確信するものであります。何故であるかと申しますれば、他の安定帶産業におきましても、明らかに独立採算でありまして、私的資本であります。それでさや約二千億の巨大な價格差補給金を支給せられているのでありまするから、この点コーポレーシヨンとしての國鉄におきましても、低物價政策のためには、このインフレの間は当然支給さるべきものであると考えるからであります。それは一時的なものであり、戰前の黒字でも明らかでありまするように、インフレ安定後は何ら永続的なものでは決してないのであります。インフレの一時的影響によつて二百三十億の赤字が出されたからと言つて、早急に独立採算制を唱え、一方的な大量馘首や運賃値上げにより勤労大衆にその負担を轉嫁させることは絶対に不合理であり、断乎反対せざるを得ないのであります。それでありまするかいら本改正案は実に二十四年度本予算に繋がるものであるという点から、本予算におきまして、大衆の負担とならない財源によつてこれを補填し、補正し、組替えるべきものであるということを強く主張したこともそのためであります。  第四の理由といたしましては、國鉄会計の合理化と民主化の点を要求するものであります。元來、國鉄特別会計の赤字は、前に述べましたようにインフレの一時的影響によることが非常に大でありまするが故に、將來インフレが安定せられた場合におきましては、当然黒字が予想せられております、特に國鉄経営協議会におきまして決定せられましたごとくに、國鉄の電化が進展せられましたときは、その経営の合理化と独立採算の確立が完全になるということは自明の理でございます。こればかりでなく、当面の問題といたしまして、國鉄経営の合理化につきましては、幾多の改革すべき点がございます。例えば石炭を例にとつて見ますると、最近は炭質カロリーの低下によりまして、年に二百八十万トンも余計に使用しておるのであります。その上、一般重要産業には炭價一トン当り一千円で引渡しておるものを、國鉄には実に三千七百円で引渡されております。かかる点を急速に改革するのみでも優に二百三十億の赤字は殆んど減額されるのであります。それを一方的に運賃値上に求めて大衆負担を重加することは、非常なる片手落ちであるし、且つ安易な方法を採つておると言わざるを得ないのであります。かかる点よりいたしまして、先ずこれらの合理化にこそ全力を注ぐべきであると思うのであります。  最後に定期パスの三ケ月、六ケ月廃止による一ケ月限定につきましては、特に勤労大衆、学生諸君の甚だしい負担加重となる点を考慮すべきであります。この点につきましては、絶対に皆樣方におきまして阻止をして頂くことを要請いたしたいのであります。即ち公聽会その他によりまして、学生諸君の詳しい陳情におきましても、或いは父兄の負担は苦しい生活のその中に更に加重せられて、且つ又不規則な勤労收入中のその半額を交通費に使われるなどは、次代を担うところの大切な青少年の文教において誠に憂慮すべき惡影響をもたらすものであると思うのであります。且つ又日本総同盟の大阪地区の調査におきましても、一時間半以上の通勤者は全体の七〇%に達しており、これらの通勤者にとつて定期券の値上と一ケ月限定は極めて大きな生活苦を重加するものであることは、皆樣の体驗によつても明らかであると思います。かかる点につきまして、即ち定期パス一ケ月限定に対しましては、特に党派を超えて強力に反対をして頂きたいのであります。このように政府は勤労大衆の生活を次々に加重、窮乏にする施策を実行せんとし、一方國鉄自体の公共性にも、一國産業、文化の興隆に対しましても、不合理な打撃を與えようとしておる点に断乎反対を表明いたしまして、私の反対理由とする次第であります。(拍手
  114. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 丹羽五郎君。    〔丹羽五郎君登壇拍手
  115. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 私は無所属懇談会を代表いたしまして本案反対をするものであります。  國鉄特別会計二十四年度予算は、経済九原則の要請に基きまして、総合予算均衡の見地から、過剩人員の整理、諸経費の削減、保有財産の賣却等の措置によりまして、独立採算制の確立を企図しておることは理解ができるのでありますが、これらの措置を講じて行きましても尚且つ生ずる二百三十億の赤字に対して、旅客運賃の値上げを以て補填せんとすることには絶対反対をせざるを得ないのであります。國鉄現行貨物運賃が運送原價に対する割合は四三%の低率であるのに対し、旅客運賃は八八%であるのであります。貨物と旅客の運賃が著しく跛行的に決定されておるのにも拘わらず、政府案のごとく旅客運賃を更に六割引上げる場合には、旅客運賃は実に一七八%の大幅に上る次第であります。両者の不均衡は更に著しくなりまして、國鉄経営に禍根を残すのみならず、一般大衆の負担を増大し、生活、賃金に著しい影響を及ぼすのであります。今これを法律的見地より見ますると、旅客運賃及び料金の決定は、國有鉄道運賃法第一條に定める原則によらなければならぬのであります。法律には、第一は公正妥当なるものであること、第二に原價を償うものであること、第三に産業の発達に資すること、第四に賃金及び物價の安定に寄與するものであることを定めておるのであります。今仮に物價の安定に寄與することがありといたしましても、他の諸條件に反するものでありまして、運賃法の改正をなさずして運賃率の変更をなすのは法律違反と断ぜざるを得ないのであります。次に政府は旅客運賃の六割値上げは物價影響なしと見ておるが、実際問題といたしましては、八割までは工職員の通勤費を含むものでありまして、これは即ち使用者側負担をいたしておるのであります。これは賃金の一部を構成するか又は生産費に含まれるものでありまするから、間接ではあつて物價に対して非常なる惡影響を與えるものと断ぜざるを得ないのであります。政府は歳入歳出の総枠について修正を許されないとしましても、枠内にて收支均衡を保ちつつ合理的に調整することは何ら差支えないものと解釈すると、過日運輸大臣は運輸委員会において御答弁があつたのであります。然るに政府は、貨物及び旅客の運賃率の著しい不均衡を認め、且つこの不均衡から生ずる海運運賃との不調和を承知しつつ、これに対して何らの措置をなさず、旅客運賃のみの大幅引上を強行しようとすることは、一般大衆に対する負担を増大せしめると共に、海陸運賃の調整を欠き、海運の再建を阻害するものと断ぜざるを得ないのであります。私は以上におきまして、本案に対し反対を表明するものであります。(拍手
  116. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  117. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 國鉄旅客運賃値上の政府の説明によりますと、独立採算の立場から、二百三十億の赤字を穴埋めするためであるけれども、貨物運賃の値上をすると物價に響くので、これは据置いて、旅客運賃だけを六割値上しようとするものであります。私は日本共産党を代表いたしまして、次の三つの点から本案反対するものであります。  第一は、委員長報告にもありましたように、例えば昨年の第三・四半期におきまして、旅客は七%の黒字である、ところが貨物は四六%の欠損を示している。即ち旅客運賃は現在でもすでに割高であるのに、それだのに貨物運賃を据置いて、旅客運賃を一挙に六割上げようとする点は、凡そ國民大衆を納得させ得ないというその点であります。(「そうで」と呼ぶ者あり)それから、第二は、旅客運賃の大幅値上げがインフレを促進しないという説明であります。これは過去の事実において完全に誤まりでありました通り、旅客運賃の値上はこれから物價に大きく響いて参ります。これは今後の事実が証明するであろうという点であります。それから第三は、独立採算の建前から旅客運賃の値上が止むを得ないという説明であります。これは欺瞞であります。政府は、当然なさなければならない老朽したあの鉄道の諸施設を本当に科学的に復興し得ないで、徒らに酷使をいたしております。これは技術的に見れば徒らなる労働力の浪費でありまして、これがあらゆる面に影響いたしまして、國鉄の大きな損失を発生する原因になつております。又國鉄の財政の運営において極めて不合理な点が多いのであります。例えば國鉄の工事請負の面、或いは不用品の拂下げの面、或いは戰時中買收いたしました私鉄の採算の面、こういつたいろいろの面の不合理から、いろいろの起らなくてもいいところの赤字が発生して來る原因がここにあるのであります。政府は、建設面から見た不合理及び経理運営の面から見た不合理を解決しないで、これを大衆の負担に轉嫁しようとしています。例えば、これによつて千葉から東京への六ケ月の定期は八百円から一挙千九百九十円に、約二倍半になります。又遠距離逓減がやめられますので、東京から京都への三等は三百六十円から六百円に、二倍近く値上げされるのであります。のみならず五百三十二億円の人件費を三割一分削減してこれを三百六十六億円に圧縮し、これに伴つて大量の首切りをしようとしております。即ちこれは1方では運賃の値上げによつて大衆から搾取するという一面、もう一つの面は國鉄労働者を失業に追込むという、いわば搾取と失業の二重の面で勤労國民大衆を犠牲にしようとするところの残酷極まる吉田内閣の政策の現われであると見なければならないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は以上三つの理由で國有鉄道運賃法の一部改正案反対するものであります。(拍手
  118. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて討論通告者発言は全部終了いたしました。討論は終局はしたものと認めます。これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案賛成諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  119. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  120. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百十票、白色票即ち本案を可とするもの六十六票、青色票即ち本案を否とするもの四十四票、よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名     六十六名       小野  哲君    加賀  操君       柏木 庫治君    河井 彌八君       小宮山常吉君    西郷吉之助君       新谷寅三郎君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高田  寛君       高橋龍太郎君    中川 以良君       野田 俊作君    早川 愼一君       松井 道夫君    赤木 正雄君       飯田精太郎君    岡本 愛祐君       木下 辰雄君    大屋 晋三君       山田 佐一君    中山 壽彦君       島津 忠彦君    下條 康麿君       大野木秀次郎君    遠山 丙市君       田村 文吉君    松嶋 喜作君       徳川 頼貞君    一松 政二君       田口政五郎君    岡田喜久治君       團  伊能君    山内 卓郎君       結城 安次君    植竹 春彦君       藤井 新一君    加藤常太郎君       川村 松助君    淺岡 信夫君       池田宇右衞門君    荒井 八郎君       西川甚五郎君    大島 定吉君       黒田 英雄君    寺尾  豊君       柴田 政次君    板谷 順助君       今泉 政喜君    松野 喜内君       大隅 憲二君    深水 六郎君       平岡 市三君    城  義臣君       中川 幸平君    重宗 雄三君       橋本萬右衞門君    淺井 一郎君       左藤 義詮君    小串 清一君       平沼彌太郎君    尾形六郎兵衞君       櫻内 辰郎君    大隈 信幸君       門屋 盛一君    林屋亀次郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名     四十四名       小川 友三君    小杉 イ子君       山崎  恒君    楠見 義男君       藤野 繁雄君    北條 秀一君       深川タマヱ君    内村 清次君       村尾 重雄君    河野 正夫君       羽生 三七君    カニエ邦彦君       吉川末次郎君    天田 勝正君       細川 嘉六君    中野 重治君       中西  功君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    千葉  信君       堀  眞琴君    池田 恒雄君       太田 敏兄君    金子 洋文君       小泉 秀吉君    千田  正君       國井 淳一君    藤田 芳雄君       羽仁 五郎君    伊藤  修君       岩崎正三郎君    河崎 ナツ君       栗山 良夫君    川上  嘉君       丹羽 五郎君    原  虎一君       島   清君    佐々木良作君       波多野 鼎君    三木 治朗君       木下 源吾君    岡田 宗司君       小川 久義君    岡村文四郎君      ——————————
  121. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程に追加して、揮発油税法案、酒税法案等の一部を改正する法律案、國民金融公庫法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎君登壇
  123. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました揮発油税法案につきまして、大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  去る四月二十一日より四月二十八日まで愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。最近における揮発油の需給及び價格の状況等に顧みまして、揮発油に相当担税力があると認められますので、これに対して小賣業者販賣價格の十割の税率により課税しようとするものであります。さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁がありましたが、この詳細は速記録によつて承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、四月二十八日討論に入りましたが、格別の発言もなく、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。  次に只今議題となりました酒税法等の一部を改正する法律案につきまして、大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  去る四月二十一日より四月二十八日まで愼重審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。政府は本年度予算の編成に当りまして、経済再建のための財政需要の増大に対應して、極力租税收入を確保するため、差当り慨ね現行の税制をそのまま踏襲することといたしたのであります。即ち税制全般に亘る改正及び國民租税負担の合理化につきましては、追つて根本的に再檢討することとし、今回は酒税、取引高税等につき、当面必要と認められる若干の改正を行おうとするものであります。今本案大要について申上げますと、先ず酒税でありますが、酒類は現在配給酒と特別價格酒とに分れ、特別價格酒に対しては高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給方法を変更し、家庭用の配給はこれを廃止して、労務者及び農村等に対し最小限度の配給を行うに止め、極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販賣することとし、その價格は、配給酒は現在の配給價格程度に、自由販賣酒は原則として現在の特別價格酒と配給酒との價格の中間程度になるように税率を定めることとなつております。  次に清涼飲料税につきましては、昨年七月相当大幅の税率の引上げを行いましたが、その後の課税の状況を見ますと、税率が高過ぎるため生産を阻害しておる嫌いがありますので、これが税率の引下げを行うこととなつておるのであります。  次に取引高税につきましては、世上最も非難に多かつた印紙納税の制度を廃止して、申告納税の制度に改めますと共に、非課税範囲を拡張し、又一定額以下の零細な取引額についてはこれを非課税とすることになつておるのであります。  次に物品税につきましては、小型乘用自動車等若干の物品に対して新たに課税する半面、照明器具等若干の物品の税率を一段階引下げることとなつております。尚、緑茶は、消費の性質及び課税の実情に鑑み、從來の從價課税を從量課税に改めて、税負担を若干軽減することとなつております。  次に租税特別措置法の一部を改正して、額面超過金に対する法人税及び輸入砂糖に対する砂糖消費税の非課税措置を講ずると共に、新たに納税準備預金の制度を設け、その利子に対して所得税を免除することとなつております。  最後に所得税の予定申告書の提出及び納期につきましては、昭和二十四年に限り、その第一期は六月となつているのでありますが、今回第二期を十月、第三期を翌年一月の三期とし、それぞれ年額の三分の一ずつ納付することとなつております。  さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によつて承知を願います。かく質疑を終局し、四月二十八日討論に入り、小川友三委員、油井賢太郎委員より賛成、天田勝正委員、中西功委員、川上嘉委員より反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。  次に、只今議題となりました國民金融公庫法案の大藏委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  去る四月二十二日より四月二十八日まで慎重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て公案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び内容について申上げます。この法律案は、金融機関再建整備法による最終処理の結果、庶民金庫はその資本金の全額、恩給金庫はその資本金の九割を切り捨てられましたので、この際、両金庫の機能を統合して、國民金融公庫を設立し、銀行その他一般の金融機関から資金融通の困難な國民大衆に対して、必要な事業資金を供給せんとするものであります。即ち國民金融公庫は、昭和二十四年度において十三億円の政府出資を予定し、業務としては、生活困窮者に対する救済資金ではなく、生活再建のため緊要な事業資金の小口貸付を行うものであります。又業務の民主的運営を確保するため、國民金融審議会が設置され、國民各層の代表者よりなる委員を以て構成し、その運営に万全を期せんとするものであります。更にこの公庫の特殊性に鑑み、その役員及び職員は国家公務員として取扱われ、その予算、決算については國会の議決を経ることとし、その経理の的確を期するものであります。  さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、四月二十八日討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  124. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。先ず揮発油税法案、酒税法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  125. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  126. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に國民金融公庫法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  127. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。  次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、常任委員辞任及び補欠の件  一、選挙法改正に関する特別委員会   設置の件  一、日程第一 健康保險法の一部を改正する法律案  一、日程第二 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案  一、日程第七 特別都市計画法の一部を改正する法律案  一、日程第八 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案  一、日程第九 公判前の証人等に対する旅費日当宿泊料等支給法案  一、日程第十 刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案  一、日程第十二 会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案  一、日程第十三 郵便法等の一部を改正する法律案  一、日程第十四 港則法の一部を改正する法律案  一、日程第十五 医療法の一部を改正する法律案  一、日程第十六 医師法及び歯科医師法の一部を改正する法律案  一、日程第三 米國対日援助見返資金特別会計法案  一、日程第四 有價証券の処分の調整等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第五 國営競馬特別会計法案  一、日程第六 企業再建整備法の一部を改正する法律案  一、單一爲替レート設定について大藏大臣の報告  一、日程第十七 六・三教育制度完全実施に関する決議案  一、農業協同組合自治監査法を廃止する法律案  一、農業協同組合法の一部を改正する法律案  一、罹災都市借地借家臨時処理法第五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案  一、日程第十八乃至日程第三十九の請願及び日程第四十乃至日程第四十二の陳情  一、國会法第三十九條但書の規定による國会の議決に関する件(國立博物館評議員会の評議員)  一、國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案  一、揮発油税法案  一、酒税法等の一部を改正する法律案  一、國民金融公庫法案