○
説明員(斎藤昇君) 私の考えを率直に申上げます。先程から
説明のありましたいろいろな
事件、又先程
説明にはありませんでしたが、廣島の日鋼
事件でありますとか、或いは新潟の加茂
工場の
事件でありますとか、その他いろいろなこうい
つた労働紛爭に
関係する
事件、東京都廳における公安
條例反対の問題、東京の交通
労働組合の
スト事件とい
つたような、こういう一連のもの、それから更に東京大学及び京都大学における学生の
事件という
ようなものを考えて見ますると、單にその部局部局でそれぞれの
理由によ
つて起る偶発の
事件とは考えられないのでありまして、これらの間にはすべて一連の
関係を持
つておる
ように考えるのであります。從
つて今後の
國鉄馘首をめぐ
つて予想せられる
事態というものは、更にこうい
つたものを大規模に集積した
ようなものであろうと考えるのであります。先程
福島事件につきまして、
警備部長から
説明をいたしましたが、これは殆んど三十日に起
つておるのでありまして、互いに
関係を持
つておると考えられるのが多いのであります。
若松におきまして、
檢挙をした者を更に奪還の
氣勢を見せて、昨日も押しかけておるのでありますが、今日は情報はまだ分りませんが、これらは平の署において不法侵入をして來た者を捕まえて入れたのを奪還したというのとやはり
関係を持つのであります。平には、
事件が相当大こくなりましてから
應援の
要請がありましたために、
應援に駆けつけた
國警及び自治体の
警察官が一部到着しかけたところで解散をしたのでありますが、この際におきましても、これは仙台の管区本部から百名汽車で、電話
連絡があると同時に派遣をしたのでありますが、仙台の駅においてすでに乘車の拒否にあ
つておるのであります。これは今日の
新聞に記事が載
つてお
つたと思うのでありますが、そうして又
郡山、二本松等が
自治体警察から平に
應援に出た、そうすると、その隙に出て來て、
應援に出した
理由如何、怪しからんというので押かけて、そうして
應援に行
つた者をすぐ呼び戻すという確約をさせるという
ような事柄、これらは今後の
事態に鑑みまして、我々は非常に重大な関心を持たなければならんのであります。
應援に出た後の
警察署を占拠する、或いは
檢挙をした被逮捕者を実力を以て奪還に來るという
ような事柄は、これは労働爭議の本質から離れた問題でありますから、非常に重大な事柄だと考えるのであります。そうして先程から申しまする一連の
事件を見ますると、学生の左翼的思想を持
つた團体の構成メンバーにあるそういう学生、それから朝鮮人、主として朝連系統と考えられます。これらの朝鮮人及び
労働組合の
うちの特に左翼的な
組合員、
赤旗を持
つた連中というものが密接にタイアップしているという問題は着目されなければならんと思うのであります。これらは恐らく
列車の單に
ストというだけでなしに、いろいろな各会社の整理問題、或いは先程の
ような主食の賣り掛け問題を迫るとか、或いは職業を寄越せとい問題で官廳
方面に出かける、そういうものと結び付くであろうと考えております。從いまして我々といたしましては労働爭議自身、而も許された法律の範囲内における労働爭議につきましては何ら関與する考えは持
つておりません。嚴に戒めておるのでありまするが、法律に許された範囲を逸脱した違法
行爲というものにつきましては、嚴重に力強く取締らなければ
治安の維持ができないと考えておるのであります。併しながら御
承知の
ように、何分にも與えられた
警察制度の
うちには、誠に運用上不如意の点が多々あります。又装備及び
警察官の数におきましても、一定の枠内で決められておるという
関係からいたしまして、我々がか
ような
事態を予想をいたして、それに應ずるだけの力を持
つておらないというのが現状であるのであります。從いまして我々といたしましては、現在の力を最も、できるだけ有効に、そうして妥当に、國民の支持を失わないで、この非合法な事柄を取締
つて行くということに全力を盡すのみでありまして、この
事件が我々でどこまで拡ま
つても、
警察だけの力で收捨をつけることができるかどうかということは、これは率直に申上げますと、それはそのときの問題というより外にないと思います。併し私は
治安関係を專門に扱
つておりますので、見解は常に最悪の場合、最悪の場合を考えておるのでありますから、その場合における決意を申上げておるのでありまして、いろいろな政治的な方策、國民の輿論、國民の
協力という
ようなことから、私が考えておる
ような最悪の
事態にはならないで済むことを希望をいたしておりまするし、又さ
ようになるであろうとも考えるのでありますが、そこはちよつと断言し切れないというのが実情でございます。