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1949-07-02 第5回国会 参議院 法務委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月二日(土曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。本日は國鉄ストの事情、並びにその後の経過及び八月及び九月におけるところの労働攻勢に対する治安維持の面について、政府において如何なる対策があるかという点、並びに最近におけるところの福島、平、若松あたりの暴動に関して如何なる措置があるかというような問題につきまして、政府委員の御説明を伺いたいと思います。
  3. 大野幸一

    大野幸一君 先に参議院の治安及び地方制度委員会においても、祕密会においてなされたように、事案は非常にデリケートな影響もあることと思いますので、又政府委員の方からも腹藏なきお考え、実情を聞きたいと思うので、祕密会にして頂いたら如何でしようかということを申上げます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の大野委員の動議に対して、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では本委員会祕密会と決定いたします。    午前十一時祕密会に移る
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは國鉄の方から……
  7. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 先般起りました國電ストの概況と、その後の情勢皆様に御参考までに申上げておきたいと思います。  去る六月起りました國電ストの大体の経過は、新聞紙上で御覧になつた通りでありまして、御承知ように今年の一月一日から、公務員の四十八時間勤務制というものが実施されたわけでありまして、これに伴いまして乘務員につきましても、乘務員勤務時間内規というものが國有鉄道において制定されたのであります。この勤務時間内規を具体的に適用するにつきましては、乘務員勤務割というものは、列車ダイヤその他との関連がありまして、直ちに実施ができませんでしたので、実施は遅れていたわけでありますが、たまたま二十四年度の緊縮予算のあふりを受けまして、從來日本通運に委託しておりました小口貨物請負業務を、國有鉄道に還元いたしまして、國有鉄道で直営しなければならん、こういう必要に迫まられたわけでありまして、そのために要員が必要になつて参りました。こういつた要員の捻出とか、まあそういつたものと睨み合せまして、乘務員について四十八時間制の勤務時間内規の具体的の適用を六月一日からやる、こういうことになりまして、六月一日から新交番制東鉄管内実施いたしたわけでありますが、東鉄管下二十五車掌区中、二十一車掌区は新ダイヤ通り乘務員乘務をいたしたわけでありますが、東神奈川千葉蒲田、この三車掌区におきましては、この新ダイヤによる乘務行政整理の一端である、こういう理由反対いたしまして新ダイヤによる乘務を拒否いたしたのであります。特に東神奈川千葉車掌区におきましては、外部團体、それから部内の他の業務機関組合應援を得まして、業務妨害し、区長を脅迫いたしまして、正常な業務運営を阻害いたしたのであります。從いまして國有鉄道当局といたしましては、九日の午前十時に両車掌区の首謀煽動者と思われる者を東神奈川におきまして十名、千葉車掌区におきましては九名懲戒免官の発令をいたしたわけであります。これを機会といたしまして、東神奈川車掌区は直ちにストに突入いたしたのであります。千葉車掌区は同日午後組合会議を開きまして、依然旧交番制乘務することを再決議いたしました。それから東神奈川千葉車掌区以外の蒲田車掌区、それから中野車掌区、中野三鷹電車区というものが、更にこれに同調いたしましてストに突入いたしたのであります。でスト参加者は全部で約二千名に上つたのであります。本件に関しまして進駐軍から受けました指令は、先ず第三鉄道司令部司令官アンダーソン中佐から、東海道線横須賀線電車の運行は絶対確保すべし、こういう指令を先ず受けました。それから東京地区司令官ホール中佐から、すべての連合軍輸送に対し絶対に支障を來さないよう平常通り運轉を確保することを指令する、こういう指令を受けたのであります。勃発当時の情勢はそういうことでありまして、この経緯に應じまして國鉄並びに運輸省といたしましては、國警本部警視廳、各縣の自治体警察の御協力を仰いで事態に対処したわけであります。こういうことで今申上げましたように、一部ストに突入いたしまして、京浜間、或いは中央線方面旅客の方々に非常な御迷惑をおかけしたことは誠に申訳ない、かように考えている次第であります。  それからかくいたしましてストに突入いたしたわけでありますが、これに対してGHQのレーバーの課長代理エーミス氏が、國鉄当局及び労働組合運輸省、労働省の関係官を招致されまして、このスト中止命令を下したことも、皆様承知通りであります。このスト中止命令によりまして、組合本部といたしましてはスト中止方を手配したわけでありますが、この中止命令の下りましたのが十一日の十一時二十分頃であります。このスト中止命令は、スト中止組合が履行するまでは國鉄当局組合との團体交渉を行なつてはいけない、こういうことを國鉄当局要求すると同時に、組合に対してはスト中止を完全にやれ、こういう命令であります。その命令を出される前に、いろいろ一般論があつたわけでありますが、その一般論の中にこういつたストを唆かしたり、あふつたりするよう行爲は、これは許すべからざる行為であつて、その意味でこの組合本部の幹部も責任を免れるものではないというような強い発言もエースミ氏からあつたような次第であります。この十一日の午前にこういう中止命令がありまして、組合はその日の午後中止命令を出したわけであります。そうして翌日の十二日に又エーミス氏が関係者GHQに呼びまして、大体ストは收まつたようであるから、公共企業体労働関係法に基くところのいろいろの機関を設置することを速やかに取計うように、こういつた勧告があつたような次第であります。一方組合は先程申上げました國電ストに伴う解雇処分白紙に返せ、こういう要求國鉄当局にして來たのでありますが、これは國鉄当局としては白紙に返すわけには行かないとはつきり断りました。それから六月十一日以前の事態に伴う犠牲者は今後これ以上出さないこと、こういう申出が組合からありましたのに対しては、國鉄当局はそれは應じよう、こういうことになつたわけです。  それから第三に、新交番実施については團体交渉で決めて貰いたい、こういう組合の申れがあつたのでありますが、これは新交番実施團体交渉対象にはならない、團体交渉対象たり得るのは勤務時間内規團体交渉対象たる得るが、その勤務時間内規に基く具体的の勤務指定である交番制は、團体交渉対象にはなり得ないということで拒否したわけであります。それから國電スト中に勃発しました一つ現象としましては、一部で人民電車というものを運行した事実があつたわけであります。これは京浜線におきまして、この電車の先頭に赤旗その他を掲げたりいたしまして、駅長その他の制止を聽かないで所定のダイヤに基かないで電車を無理に運行しようとしたわけであります。こういつたことは國鉄業務運営上非常に危險なことでありまして、そのことを阻止しようとした駅長に対して更に暴行行爲等も随伴いたしまして、誠に遺憾な現象を呈したような次第であります。大体國電ストの要点だけは以上申述べたような次第でありますが、御承知通り昨日から今回の行政整理に伴う話合い國鉄当局組合とが開始したわけであります。即ち昨日の二時から始めまして、大臣、國鉄総裁から今回の行政整理をやらなければならない趣旨を説明いたしました。それから次いで今回の整理基準説明、それから退職手当説明、こういうものをやりまして、その後組合からの質疑に入りました。概ね昨日は平靜話合いが進みましたが、昨日の話合いの終り頃になりまして、組合の鈴木副委員長國鉄当局に対しまして、この話合いにおいて十分組合が納得するまで話合いを続けて呉れるかどうか、こういうことを申入れたのであります。相当執拗に申入れたのでありますが、これに対して國鉄当局といたしましては、この話合いに入る前に國鉄労働組合新聞記者に対して声明を出しておつたのであります。その声明書というのは今回の行政整理に対しましては組合は絶対反対である。飽くまでも断乎鬪うのだ、こういう声明を発表して、そうして二時からの話合いに入つた、こういう次第なのであります。そういうふうに話合いをまだ始めないうちに絶対反対である、断乎鬪うとこう言つて置いて、話合いに入つてから我々が十分納得するまで話合いを持つて呉れるかどうかということを聞くのは矛盾も甚だしいじやないか、こういうことで当局も非常に強く應酬いたしまして、組合が少したじたじとなりまして、そこで昨日は閉会になつたような次第であります。で昨日は午後七時から再開する、こういうことになつてつたのでありますが、組合側は七時からの再開を延ばして呉れ、明日の十時から開いて呉れ、こういうことを言つて來ました。その理由整理基準は今日初めて我々は見せて貰つたので、内容を檢討、勉強したい、その上で明日十分ゆつくり聽かして貰いたい、こういう理由で昨夜の再開は取止めになつたような次第であります。それからこれはあとから法務廳の方から御説明があると思いますが、ただ事実だけを申上げて置きますが、組合側裁判所に対しまして、今回の行政整理違憲である、或いは國鉄当局團体交渉話合いがつくまでは首を切つてはいけない。團体交渉に應じようとか、そういつた訴え、仮処分といつたものをすでに提起しております。  それから今朝の新聞の報ずるところによりますと、その違憲訴えを全國各地裁判所の提起するような氣配も見えております。その点を簡單でありますが御報告申上げます。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 列車妨害事件について……
  9. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 列車妨害について御説明申上げます。  列車妨害発生状況でありますが、昨年度の総計は一千四百八十七件、一ヶ月平均が百二十四件であります。多い月でも百五十件見当であつたのでありますが、今年度に入りましてからは四月が百七十六件、五月は二百五十二件、非常に増加いたして参つております。六月の統計はまだ纏つておりませんが、五月以上に上るのじやないか、かように想像されます。  次に発生の地域でありますが、発生の場所といたしましては、京浜線京阪線、京阪神それから北九州、こういつた幹線が比較的多いのであります。その他これに次ぐものといたしましては、室蘭線、それから高崎附近、廣島附近熊本附近酒田附近でありまして、大体大都会附近が多い、こういうことになつております。  それから次に発生時刻でありますが、五月発生いたしましたものについて檢討いたしますと、発生時刻うち特に多いのは十六時から二十二時頃までが特に多い、こういうことになつております。  それから列車妨害を受ける列車の種類でありますが、これは旅客列車及び電車が半分以上を占めております。  次に犯人年齢でありますが、五月中に檢挙されました犯人二百五十七人について年齢別に分けて見ますと、二十歳未満が非常に多いのでありまして、二十一歳以上は三人しかありません。それから特に小さい子供、七つ以下が十人ある、こういう状態であります。  次に犯罪方法でありますが、投石及び発砲が百三十四件の過半数を占めております。それから線路妨害、若しくは故意に障碍物を置いたものが七十六件でありまして、全体の三〇%程を占めております。それから保安裝置機能妨害したものが約十件でありまして、四%、それからいたずらでやつたというふうに考えられるものが十四件で六%あります。  次に被害でありますが、五月中に発生いたしました二百五十二件のうちで、被害のありましたのは百二十四件、約五割であります。列車脱線を生じたものが四件であります。まあ比較的軽微なものが大部分を占めてはおります。  それからこの防止措置といたしましては、線路の特別巡檢を実施する、それから線路及び構内の通行の取締を強化する。或いは保線用の器具の保管を嚴守しまして不法持出しを防止する。或いは保線関係作業工事から発生いたします材料をよく整理する、それから又鉄道自身公安員によつて特別捜査班を設置しまして、重点的に警備犯人捜査及びその背後関係の糺明に当る。更に警察との連絡を強化いたしまして、情報の交換及び捜査上の協力をお願いする。それから一般部内、特に小学校、中学校それから報道関係協力要請する。こういつた処置を各方面にお願いしておる。こういう現状であります。以上であります。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 質問は後にいたします。では法務廳の方。
  11. 神山欣治

    説明員神山欣治君) 私法務廳檢務局労働社会課長であります。國電スト関係する事件檢挙状況簡單に申上げます。只今運輸省國有鉄道部長からお話がございましたが、今回懲戒処分をいたしましたのが、管区にいたしまして、千葉、それから東神奈川、尚その中に中野蒲田車掌区、若しくは電車区に事件発生いたしております。千葉中野蒲田、これは六月十日でございます。東神奈川は六月十日と六月十一日、それから更に六月二十日とございます。六月十日の事件関係を申上げますと、先ず千葉でございまするが、これは六月十日の午前十一時千葉発でお茶の水行の電車が発車する際にその車掌区のうちの多数の分子と、それから附近の鮮人が多数寄りまして、車掌乘込む車掌室を多数の威力で占拠をし、若しくはスクラムを組むというよう方法、若しくは怒声を浴せるというようなことで、乘務車掌乘務することができないように、業務妨害し、尚発車を指示する助役が、車掌が乘つておるかどうかということを確認した上指示する。その業務等妨害するというよう事件がございまして、当時の現場におりました三十三名を檢挙したのでございます。で、その後地方檢察廳におきまして事件捜査いたしました結果、去る六月十六日にうち十六名を業務妨害罪として千葉地方裁判所に起訴いたしております。他はこれはいずれも釈放いたしまして、処分保留をなしております。  それから次に中野車掌区でございますが、これも、この際に檢挙をいたした者は二名でありますが、この二名とも中野車掌区の車掌でありまして、六月十日の國電爭議に参加して、丁度午後八時二十分頃中野駅から発車しようとしている甲府行の列車に、うち一名が飛び乘りまして、車掌弁を引いて急停車をさせたという事件でございます。それで直ちに警察官現行犯逮捕をいたそうとして、それを本署に連れて行こうとします際に、他の一名の者が、これも車掌でありますが、この一名の者が暴行を加えて、警察官公務執行妨害ということで、合計二名、前者は往來妨害、それから公務執行妨害、それから後者の警察官暴行を加えたものは公務執行妨害ということで、両名とも檢挙いたしております。併し現在のところ解放されまして、まだ処分保留のままに相成つております。  それから次は蒲田車掌区でございますが、これは三名檢挙いたしたのでありますが、うち二名は、國電関係者でなくて、他の附近の失業の職工でございます。これは蒲田の駅の電車進行の前方にある線路の中に、多数の者が赤旗を振つて交通妨害をしておるというよう関係がありましたので、警察官がその中に犯人があるかというので、そこを追掛けた場合に、その中の犯人蒲田車掌区に逃げ込んだのであります。その犯人を追跡する際に、うち一名の職工がこの警察官暴行をしたということで公務執行妨害に該当いたします。又別のこの職工一名、これ又同じく六月十日午後六時頃でありまするが、やはり線路上に赤旗を立てて氣勢を挙げておる。電車進行妨害するように罵声を発して、そうして電車蒲田駅を発車する際に遂に発車することができないようにして、電車進行業務妨害した、駅長電車進行業務妨害したということであります。他の一名は、これは國鉄職員でありまするが、これまた前の職工と同じよう電車線路に立塞がつて氣勢を挙げておる。そのうちの者が蒲田車掌区の方に逃げ出したというので、巡査が追跡して逮捕しようとするのを、約六尺の木製の腰掛を以て危害を加え、公務執行妨害したという事件でございます。これにつきましては早速檢挙いたしましたが、現在のところ処分保留のまま釈放いたしております。  それから次には東神奈川に移るわけでありますが、東神奈川の、先程運輸省からお話がございました人民電車関係に相成ります。人民電車は、御承知ように六月十日の夕方六時頃でありますが、翌日の十二日の朝七時頃、この二回出ておるのであります。この人民電車を十日の場合におきましては、この國鉄職員、その外、外部外郭團体等の徴集をしまして、大体約二百名ぐらいが氣勢を上げて、そうしてうち一名は局長室にどなり込んで、電車を出せというふうに無理に強要し、更にはもう東神奈川駅の構内にあります信号所信号室らしいが、この信号所に対しても人民電車を出すから信号を切替えろというように強要いたしまして、信号を切替させたということで、この点業務妨害、それからその外は二名でございますが、当日さようにいたしまして、外数十名の者と一緒電車に乘り込みまして、東神奈川から赤羽へ着きまして、赤羽から引返して更に櫻木町に参り、櫻木町から東神奈川へ戻つて來た。この間國鉄の正常なダイヤによる他の電車往來危險を生ぜしめた、且つ國鉄正規業務妨害したというよう行爲を敢てしたのであります。でこれが十日でございまするが、翌日の六月十一日、この日は朝七時半頃でありまするが、これ亦多数の者が氣勢を挙げまして、そうして前と同樣勝手に電車東神奈川駅から鶴見駅まで出した。前同樣往來危險を生ぜしめた。且國鉄正規業務妨害したという事件であります。これは当時直ちには檢挙ができなかつたのでありますが、六月十八日に裁判所逮捕状の請求をいたしまして、六月十九日この逮捕状を以ちまして合計八名檢挙いたしたのであります。これらにつきましては目下捜査中でございます。尚東神奈川駅におきましては、別途六月二十日に東神奈川駅長室と思いますが、これに免官組の者かと思いますが、それがどなり込みまして駅長からこの部屋を出てくれと言われたのに尚退去しないということで、不退去現行犯ということで一名檢挙いたしております。これ亦捜索中でございます。一應処分保留のまま釈放いたしております。現在尚東神奈川人民電車関係につきましては、背後関係について捜査いたしておる最中であるということを申上げたいと思います。以上簡單でございますが概略御説明申上げたのであります。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは國警本部警備部長樺山さんから一つ……
  13. 樺山俊夫

    説明員樺山俊夫君) 私國家警察本部警備部長であります。福島で起りました事件概要を申上げます。福島縣の平におきまして、駅の前の廣場福島縣石城地区の共産党の委員会の使います掲示板がございまして、この掲示板往來妨害になるという理由を以ちまして、仙台におります進駐軍中佐の方から注意がありまして、平市の署長がこれの撤去要請いたしたのであります。二十九日の午後四時までに撤去するようにという、こういう要請でございます。その定められました期限が参りましても、撤去しないということで三十日になりまして午後一時頃先程申しました石城地区委員長外四名が平の警察署に参りまして、署長に面会をいたしまして掲示板撤去の問題につきまして談判を開始いたしました。なかなかその話合が付かないということになりまして、丁度平の署の直ぐ傍に組合関係者が約二百名ほど待機して模樣を見ておりました者が、その中におきます談判がなかなかはかどらないために、午後七時頃全部署の中に乱入をするということになりました。その際その中におりました警察官乱鬪をいたしまして、双方とも重軽傷を合せまして、それぞれ五名ずつの負傷者を出したのであります。そうして遂に署の中に乱入をいたしまして一階、二階を占拠いたしまして、更に留置場へ参りまして、中に留置されておりました一名の留置人を連れ出して、これを外に逃がしてしまつた。こういう事件でございます。それでずつと署の中を占拠いたしまして、午後十一時四十分頃になりまして、何らかの連絡が、関係の方からあつたらしくございまして、中を占拠いたしました約二百名が署外にみづからから退去をいたしました。翌一日の午前中に、住居侵入その他によりまして、三十五名の者に対しまして、逮捕令状が出まして、目下只今までに判明しておりまする者のうち十名を逮捕いたしまして、残りの者を引続いて捜査中でございます。  次は郡山におきまする事件でございます。これもやはり同じく六月三十日に起りました。平で、先程申しましたよう事件がございまして、平の警察は、数が非常に少なうございまして、確か三十名程度の署員しかないわけでございます。警察署が占拠されましたので、自分だけの力でこれに対処できませんので、近くの國警、或いは自治体警察に対しまして、應援要請をいたしました。それによりまして郡山の市の警察から、約五十名ほど平に向けまして應援警察官を派遣いたしたのでございます。その直後、郡山國鉄職員が、午前零時五分頃、約二百名くらい、駅の前に集ましまして、眞夜中でございますが、集まりまして、演説をやつたりして、非常に氣勢を挙げまして、次いで警察署に押し寄せました。郡山警察署に押し寄せまして、一旦署内に全部やはり乱入をいたしました。これは直ちに一應署外に出ましたけれども、引続きまして代表者五名が署長に対して、平に出動いたさせました警察官を直ぐ呼び返すようにという要求をいたしました。その交渉をいたしまして後、全部が引上げた、こういう事件でございます。  それから福島の市におきまして、やりは同じ六月の三十日に起りました事件概要を申上げます。丁度六月の三十日に縣会が招集されまして、その縣会に縣の職員定員を定めまする定員條例が上程されまして、それを審議しようということで、縣会が開かれたわけでございます。國鉄職員がそれを聞きまして、縣会に対して何らかの圧力をかけるという意味を以ちまして、縣会議事堂に、数ははつきり分つておりませんが参りまして、丁度そこに外の目的でやつて参りました陳情團がおりまして、主食の掛け賣りを認めるようにということを陳情いたすために参つておりました陳情團一緒になりまして、約百五十名ほどが議場の中に入りまして、いろいろ大きな声を出したりして、乱暴をいたしました。尚定員條例の上程を見合してくれ、こういう談判議長といたしました。議長は、本日は上程しないという声明をいたしておるようであります。それと同時に福島の市の近郊にありまする東芝松川工場という工場がございます。そこの工場に対しまして、縣会に押しかけた者の一人乃至二人が、その工場組合員つたようでございまして、松川工場に対しまして、縣会でこういうことが起つておるから、直ぐ應援に來るようにと、こういう連絡があつたようでございます。それによりまして東芝松川工場組合員約三十名ほど縣会議事堂に急いで駈けつけたという事件がございます。縣会におきまする事件は、それほど大きな問題でもございませんし、警察といたしましてもそれに対しての措置をとる必要の程度までの問題になつておりませんが、只今申しました東芝松川工場組合員が三十名ほど駈けつけたものであります。並びに縣会が終りましたその後で、集つておりました者が、市中示威運動のために行進をいたしまして、警察の前を通り中野というデパートの前を通つて市中行進したわけでございます。福島市におきましては、行進並びに示威運動に関する條例が制定されておりまして、只今申しました松川工場組合員が、市中行進いたしましたこと、並びに縣会から市中行進いたしましたことは、無届行進になつておりますので、警察におきまして二回警告をいたしました。第一回は警察の前において、第二回は中野デパートの前におきまして、無届デモの故を以ちまして、解散の警告をいたしておるのでございます。それにも拘わらず解散をいたしませんで、デモを続行しておるのでございます。從いまして行進示威運動に関する條例によりまする無届の行進といたしまして、現行犯といたしまして四名を檢挙いたしております。  それから次は会津若松におきまする事件でございます。会津若松に三菱製綱の廣田工場という工場がございまして、この工場が企業整備をいたしまする関係上、工場員が約四百名の中百四十名の整理を二十五日に発表いたしました。引続いて会社の経営者側と組合員との間におきまして、團体交渉が行われました。第一回は二十五日の午前九時より翌日の午後一時まで團体交渉が引続いて行われました。その際会社の幹部が相当自由を拘束されまして、長時間に亘つて團体交渉を強いられたという事件でございます。その交渉が終りましてから後で、会社側の——経営者側の告訴によりまして、この不法拘禁で以て、檢挙を現在進めておるわけでございます。尚又二十七日の午前九時から二十八日の午後六時まで、引続き團体交渉を行われまして、これも前回同様の長時間に亘りまして、会社の幹部が相当自由を拘束された状況におきまして、團体交渉を強いられたという事件が起つておるわけでございます。それぞれ不法監禁によりまして目下捜査中でございます。大体概要を申上げます。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 福島の中で、裁判所の中でも一つデモがあるんじやないですか。
  15. 樺山俊夫

    説明員樺山俊夫君) 裁判所の方はまだ聞いておりません……。縣会に行きます前に、裁判所警察にデモをしたのであります。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体以上で、経過はお伺いいたしたのですが、御質問の方はどうぞ。
  17. 大野幸一

    大野幸一君 この前陛下が九州方面に御巡幸をされたときに、それを目差して、何かあるということは、あつたのでしようか、なかつたのですか。そういう場合に、何と言いますか、列車妨害ようないたずらがあつたのかないのか。
  18. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 当時そういうような情報と言いますか、デマと言いますか、相当飛んでおつたのであります。殊に九州からこちらに御帰還になるという直前に至りまして、繁くそういうような状況がありました。実際問題といたしましては、岡山縣、それから靜岡縣、その他一、二縣ぐらい小石、その他を置いたよう事件があつたのであります。丁度その前に名古屋の近くで貨車が轉覆をいたしましたり、或いは原宿の石炭積場の近くで、労働者が火藥によつて自殺をしていたというような事柄がありまして、これらのいろんな事柄と結付いて、我々警備に当る者といたしましては、非常に心配をいたしたのであります。実際の問題は、そういうようなわけであります。小石を置いたりした者、これは捕つておりません。
  19. 大野幸一

    大野幸一君 特にこの共産党の関係であつたというような例がありますでしようか。
  20. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 今まで、先程鉄道側から御報告があつた通りでありますが、逮捕をいたしました者からまだそういつた共産党関係とか、思想関係とか、そういうような者はまだ出ておりません。先程も話がありましたように、非常にこの技術的なもの、或いは國鉄の内部によく通じておる者でなければできないよう妨害事故が相当多い。更にその起る地区は、この前の昨年の秋にいわゆる國鉄の政令違反等の非常に盛んに行われたような所が多い、左翼的な圧力の強い地区に比較的多いというような事柄から、何らか関係があるのじやなかろうかというようなことが考えられるのでありますけれども、まだ実証するものは何も挙つておらんのであります。
  21. 大野幸一

    大野幸一君 これは大きな面からでありまするが、昔の労働爭議とか或いは又米騒動というようなものは、何と言いましても、まだ当時の政権との関係において、何ら関係がなかつたのであつて、やはり経済的問題で解決したのですが、今度は言われているように、政権獲得と、何か関係があるのではないかということはほぼ想像できるのであります。そういたしますと、今までの米騒動、電車燒打事件、或いは又講和会議反対燒打事件というようなものよりは、少し根強いものがあると思うのですが、一体世に言われておる八月暴行革命とか、十月暴行革命というようなものを察知するようなことができるのか。それまではまだ分らないのか。或いはそういう場合には、國警本部としては責任を以ていわゆる鎭圧できるのか。或いは國警本部の力ではどうしてもできないが、まさかといつたときと進駐軍命令があれば、從來はスト中止命令で一應收まつたのであるが、今後の場合、そういう場合の見通しはどうでありますかを、秘密会でありますから、お答え願いたいと思います。
  22. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 私の考えを率直に申上げます。先程から説明のありましたいろいろな事件、又先程説明にはありませんでしたが、廣島の日鋼事件でありますとか、或いは新潟の加茂工場事件でありますとか、その他いろいろなこういつた労働紛爭に関係する事件、東京都廳における公安條例反対の問題、東京の交通労働組合スト事件といつたような、こういう一連のもの、それから更に東京大学及び京都大学における学生の事件というようなものを考えて見ますると、單にその部局部局でそれぞれの理由によつて起る偶発の事件とは考えられないのでありまして、これらの間にはすべて一連の関係を持つておるように考えるのであります。從つて今後の國鉄馘首をめぐつて予想せられる事態というものは、更にこういつたものを大規模に集積したようなものであろうと考えるのであります。先程福島事件につきまして、警備部長から説明をいたしましたが、これは殆んど三十日に起つておるのでありまして、互いに関係を持つておると考えられるのが多いのであります。  若松におきまして、檢挙をした者を更に奪還の氣勢を見せて、昨日も押しかけておるのでありますが、今日は情報はまだ分りませんが、これらは平の署において不法侵入をして來た者を捕まえて入れたのを奪還したというのとやはり関係を持つのであります。平には、事件が相当大こくなりましてから應援要請がありましたために、應援に駆けつけた國警及び自治体の警察官が一部到着しかけたところで解散をしたのでありますが、この際におきましても、これは仙台の管区本部から百名汽車で、電話連絡があると同時に派遣をしたのでありますが、仙台の駅においてすでに乘車の拒否にあつておるのであります。これは今日の新聞に記事が載つてつたと思うのでありますが、そうして又郡山、二本松等が自治体警察から平に應援に出た、そうすると、その隙に出て來て、應援に出した理由如何、怪しからんというので押かけて、そうして應援に行つた者をすぐ呼び戻すという確約をさせるというような事柄、これらは今後の事態に鑑みまして、我々は非常に重大な関心を持たなければならんのであります。應援に出た後の警察署を占拠する、或いは檢挙をした被逮捕者を実力を以て奪還に來るというような事柄は、これは労働爭議の本質から離れた問題でありますから、非常に重大な事柄だと考えるのであります。そうして先程から申しまする一連の事件を見ますると、学生の左翼的思想を持つた團体の構成メンバーにあるそういう学生、それから朝鮮人、主として朝連系統と考えられます。これらの朝鮮人及び労働組合うちの特に左翼的な組合員赤旗を持つた連中というものが密接にタイアップしているという問題は着目されなければならんと思うのであります。これらは恐らく列車の單にストというだけでなしに、いろいろな各会社の整理問題、或いは先程のような主食の賣り掛け問題を迫るとか、或いは職業を寄越せとい問題で官廳方面に出かける、そういうものと結び付くであろうと考えております。從いまして我々といたしましては労働爭議自身、而も許された法律の範囲内における労働爭議につきましては何ら関與する考えは持つておりません。嚴に戒めておるのでありまするが、法律に許された範囲を逸脱した違法行爲というものにつきましては、嚴重に力強く取締らなければ治安の維持ができないと考えておるのであります。併しながら御承知ように、何分にも與えられた警察制度のうちには、誠に運用上不如意の点が多々あります。又装備及び警察官の数におきましても、一定の枠内で決められておるという関係からいたしまして、我々がかよう事態を予想をいたして、それに應ずるだけの力を持つておらないというのが現状であるのであります。從いまして我々といたしましては、現在の力を最も、できるだけ有効に、そうして妥当に、國民の支持を失わないで、この非合法な事柄を取締つて行くということに全力を盡すのみでありまして、この事件が我々でどこまで拡まつても、警察だけの力で收捨をつけることができるかどうかということは、これは率直に申上げますと、それはそのときの問題というより外にないと思います。併し私は治安関係を專門に扱つておりますので、見解は常に最悪の場合、最悪の場合を考えておるのでありますから、その場合における決意を申上げておるのでありまして、いろいろな政治的な方策、國民の輿論、國民の協力というようなことから、私が考えておるような最悪の事態にはならないで済むことを希望をいたしておりまするし、又さようになるであろうとも考えるのでありますが、そこはちよつと断言し切れないというのが実情でございます。
  23. 來馬琢道

    ○來馬琢道君 私は浅草に住んでおりますので、随分若い警察官とも接触をいたしますし、又中には酒を賣つておるところへ來て、調べに來ながらいわゆる少し微醺を帶びて去つて行くのを見受けることもあつたしするので、いろいろなことも考えておりますが、一番私共が心配することは、あの土地の若い警察官が、果して今の労働運動をするような連中を取締るために、又國家のために命がけになつて警察官としての任務を果すものであるか、即ち軍閥時代においても義勇奉公の念を持つて働らくのが兵隊の任務であるという思想が、楠正成であるとか、蒙古の襲來に対する日本軍人の働らきとかというようなことが、しばしば軍隊教育で行なわれたように、精神教育をどう考えておるか、而して大事に当つては命を惜しまないという思想をどうして養なつて行くかという問題が、非常にこの頃の世相に対しまして心配されることであります。甚だ古い話を申して聊か滑稽であるかも知れませんけれども、鹿兒島縣の人は、いわゆる三島大警視の時代においては理想的な巡査であつた、石川縣の出身の士族はこれ亦理想的の巡査であつたというようなことが言われておりましたのは、鹿兒島縣は、日向、大隅、薩摩、最も我が國の南端に位している、島津家の訓陶を受けて、いわゆる豪傑肌の人間を養うことに力を入れておつたから、それであそこの人々は警察官としてその任に当つたら命を捨てるという覚悟があつた。石川縣の士族は百万石の大名の下にいて非常に威張つていた。それだから外の仕事をするよりも、警察官になるのが一番愉快だということで、石川縣の士族を巡査にすれば必らず成功するといつた話などは、私が明治の歴史を調べる間に聞いたことでありますが、まだ全國に亘つて探しますればそういう事例はあると思いますが、只今私共の少くとも私の心配にしておりますことは、そういう郷土の氣風が段々薄らいで行きまして、それから一面においては官吏に対する待遇も勳章を與えるとか、位を與えるとかいうことも今なくなつて來まして、月給によつて、年俸によつてのみ人間の價値が決まるというようなことになつて來た今日、あの根強い労働運動をする連中に対しまして警察官がどういう心掛でその任務を果して、我々の生命財産を守つて呉れるか、その精神教育に対して当局の採つておられる方針は如何なるものでありますか。今にしてこの問題に十分に注意せられませんと、甚だ良民の不幸を増すことではないかということを憂うるのであります。引揚列車が今帰つて來る、その途中においての話をちよつと聞いただけでありますが、東海道の沿線においてもしばしば赤い旗を出して迎えている者がある。乘つている引揚者の中では共産党の歌を歌つている者もある。これに應える者がある。鉄道の方では面白い放送をいたしまして、赤い旗を出さずに下さい、汽車が止まると困りますからという言葉を以て赤旗を引込めるように心配しているとかいうこと、一種のエピソードでありますが、聞くところによりますと、ソヴィエトにおきましては、おれの方でこんなに諸君を集めて引揚げさせようと思つて盡力しておるんだが、アメリカの方で船を廻して寄越さないから君達をこんなにいつまでもこのシベリアに置いておくんだと言つて、盛んにソヴィエトの方は盡力をしているんだが、連合軍の総司令部の方で手筈をして呉れないからということを以て、我が日本の國に対しても何か政府及びその他の関係者を恨ませるようにして教育した來たんだということであります。これはその引揚者に対する特別委員会の方から伺つたことであります。なかなか根強く教訓されて來ております。精神的教訓なるものは相当これから大きな力があると思う。幸いにこういう時でありますから、いわゆる三島大警視が警視廳というものを特に東京に持ちまして皇室を守るために、宮城を守るためにここには特に警視廳という機関がおるのだと言つて府知事と相対しておつたというような時の精神的自尊心といいますようなことについて何かお考えがあるか、或いは又將來においてそういう教育をしようというお考えがあるか、幸いにこの際承つておきたいと思います。
  24. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 非常にむずかしい問題でありまして、一言で申上げるのは困難かと思いますが、私の教育の根本の信念を申上げたいと思います。國警三万の警察官と、國家警察警察学校で教育をいたしておりまする自治体警察の吏員に対しましては、私の責任におきまして、人権の尊嚴と自由の尊重を基底とした理想社会の実現、これが日本の再興、又日本民族の理想であるという信念を植付けることによりまして、これに反するあらゆる害悪を防遏し、芟除して行くという信念を養つておるのであります。言葉を換えて申しますると、新憲法の精神を具現する理想社会の実現、これに熱意と熱情を燃やる。これに反する違法、不法等の行爲は我々の民族理想に対する反逆であるという信念にまで高めるように努力をいたしておるのであります。自治体警察におきましても恐らくそういつた方針でそれぞれやつておることと思います。
  25. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 先程來いろいろ御報告や何か何あつたのでありますが、やは警察官のことについて触れられておるのでありますが、私は現在警察官に所持を許されておりまする武器、いわゆる手錠警棒を持つておる。交通の整理にはあの長い棒が許されておる。手錠等も許されております。それから短銃も許されておる。そのいわゆる警棒と短銃、こういう形でありますが、そういたしますとこの短銃の使用に当つて止むを得ず使う場合もありますが、よくこれはいろいろ合法性を欠くという場合も聞くのであります。遺憾でありますが、ああいうことはやはり咄嗟の場合に起ることで判断はちよつとむずかしいと思うのでありますが、勿論注意をしておると考えておるのでありますが、私はよく戰爭前に武器の一つとして行なわれておつたのでありますが、催涙彈、あれがどうも近ごろ使われておらん、何んとか許さるべきではなかろうかというので先般來二度ばかり警視廳に参りまして、これはどうだ、警棒で間に合わん場合に、いきなり短銃ということであつては少し仕事が荒すぎる、催涙短銃というものは相当成績を挙げておるように私は聞いておるがということを言つたところが、全く尤もだ、実は携帶武器というものは限られておりまするので、それも是非とも必要であるというので、その筋の方へ願い出たことがありますが、ところが、このお許しが願えない、それでそんならば催涙短銃はお許しを願えんから申請することは止めたかというと、まあ自分の方から一度出していけなかつたのでありますが、是非とも所持させたいと思いますので、國警の方へお願いして、あちらの方から何かの形で御申請を願うようになつておる筈であります。これは警視廳の保安の話であります。向うさんへよく聞いて貰いたい。こういうのであります。実は伺おうと思つておりましたが、この機会に國警の方における催涙短銃に対する方針、それからその経緯を承つておきたいと思つております。
  26. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 今の催涙彈につきましては、相当私の方も積極的に意を用いておりまして、現在は試作を許され、今これを実際化する部面に入つております。近く使用できるようになるだろうと思つております。
  27. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 鉄道の方にお伺いいたしますが、遵法運動に対する対策は何かお持ちですか。
  28. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 遵法運動の御質問がありましたので先程の私の説明の中に、つい先般熱海の組合の中央委員会での決定事項の報告が漏れておりますが、それを申上げておきます。その中に遵法闘爭の事項が入つております。熱海の中央委員会につきましては、新聞紙上で皆さんすでに御承知だと思いますが、具体的闘爭方法につきまして六項目を組合が決定をいたしておるのであります。その第一は、宣傳を強化するということであります。その内容といたしまして、組合の決定によりますと、首切反対その他の諸要求國鉄の荒廃状況を廣く訴え民自党と政府の政策が大衆の生活を破壊することを全國民に宣傳するため、即時大宣傳戰を展開する、これにイロハニホヘという手段を掲げております。そのイはポスター、ビラで全國を埋める。ロといたしまして、組合掲示板を大衆の眼のつくところ帝に立てる。ハといたしまして、建物掘割等に大文字のスローガンを掲げる。ニといたしまして、青年婦人を主力とした宣傳隊を組織する。ホ戸別訪問をする。ヘ家族子供の組織化を図る。このヘの家族子供の組織化を図るというような非常に新らしい方法まで考えておるのであります。こういつた方法によつて創意を生かして宣傳戰を強化する。こういう決定をいたしております。その第二といたしまして遵法闘爭を活溌に行なう、今御質問になりました遵法闘爭を活溌に行なう、こういう決定をいたしております。その内容といたしましては、こういう決定でございます。労働基準法運轉保全換車等の列車の安全を保持するための諸規定や旅客貨物取扱いの諸規則を遵守する、特に線路危險箇所等には所定の標示を行いその修理を求める等により、最近に続発する事故の責任を組合員が負うことを予防する、こういうことが内容であります。それから第三といたしましては、不正摘発闘爭を行う。その内容は各支部分会にも不正摘発委員会を設け、幹部の不正を徹底的に摘発する。この場合組合員相互の微々たる過失を取上げ、当局が首切りを合理化せんとすることを警戒し、政府や高級官吏の不正を関連産業、友誼團体と共に摘発する。こういうことを謳つております。第四であります。関連産業しの共同闘爭を強化する。その内容といたしましては、本部のみならず、地方支部分会に至るまで緊密なる産業防衞共同闘爭を行うこと、職場復綱領を作ること、地方権力と闘い、地方議会、PTA、等で組合要求指示首切り反対等を決議させる、こういうような内容であります。その五といたしましては、團体交渉を行う、定員法は不法であり、これを実質的に粉碎する。本部から班に至るまで團体交渉を行う。非組合員のあるところ必ず苦情処理調整会議を持つ、本部團体交渉が結末を見るまで支部分会は当局の一方的実施を拒否するよう闘う。最後の第六といたしまして、最悪の場合はストをも含む実力行使を行う、こういうことでありまして、この最悪の場合とは、本部においての團体交渉が決裂した時、こういうことになつております。今御質問のありました遵法闘爭を活溌に行うということに対する当局側の対策でありますが、率直に言いまして、これに対する対策はまだ当局側として十分なものはでき上つていないというのが現状であります。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この運動を強く押されるというと、列車は止まつてしまうというように考えますが、どうですか。
  30. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 実は昨日から今朝にかけて或る箇所でこの遵法闘爭というものを実際やつたんです。やりますと、組合員としても相当骨が折れると言いますか、神経に應えると言いますか、非常な骨折とそれですつかりへこたれまして、或る時間やつて結局打切つたという事例もあるのです。
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 鉄道の修理箇所もこれは修理箇所だからといつて列車の運行を除行するとか、止めるとかというようなことになれば、ダイヤは殆んど乱れてしまうでしようし、或いは機関車を修理させるとか、年限が來ておるから放り込んでしまうということになると、事実上鉄道は止まることになりはしませんか。
  32. 田中健之助

    説明員田中健之助君) それを組合側が非常に克明に徹底的にやりますれば、相当業務の阻害されることは事実であります。鉄道のはいろいろの安全を保持するための規定自体にも、相当な安全率が含まれておるわけなので、或る程度その修膳の基準とか、或いは減耗の限界を超えておりましても現実に支障がないと、こう当局の認定するものにおいては車輛等のごときものを現実に使つておるのが現状でありまして、それで現実に動いておるわけです。それを規定通り強行しようということは一種の業務運営を阻害するということになるのじやないかと思いますが、そういつた組合の出方に対処する方策として当局側も対策を練つておるのであります。まだ今までのところは十分な自信のある対策というようなものは遺憾ながらないのです。
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 業務命令だけでは賄えないと考えるのですか。
  34. 田中健之助

    説明員田中健之助君) 業務命令を必要があればぢやんぢやん出すということになるのじやないかと思います。
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それだけで賄えるのですか。
  36. 田中健之助

    説明員田中健之助君) それだけで賄えない場合も出て來るのじやないかと思います。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは法務府の將來の考え方を一つ。先程齋藤さんから國警本部の考え方を承つたのです。法務府は手を拱いて見ておるのですか。積極的に國警本部協力して治安の面に相当強くお出になるのかどうか。
  38. 佐藤藤佐

    説明員(佐藤藤佐君) 法務府といたしましても常に國警本部と緊密な連絡を採りまして、治安維持に当らなければならんことは勿論でありまして、今回の行政整理に伴う國鉄從業員の攻勢に対しましては、紛擾の事態の起きないうちに何とか予防の手段がないものだろうかということを考えまして、先般來いろいろ研究はいたしておるのでありまするが、御承知ように檢察の仕事は爭議が起きましても直ちに発動するというわけには参りませんので、その爭議が不当な、不法な爭議になる、或いは違法な行爲が現れたときに初めて檢察権を発動いたすのでありまして、その点は警察が犯罪予防の見地から、或いは公安を保持するという見地から、犯罪の起きない前に予防手段を講じなければならんということとやや違いまして、どうしても消極的な態度にならざるを得ないのであります。爭議の結果そこに違法な行爲が現われる。或いは爭議自体が不法な、不当な爭議であるということが嫌疑十分な場合に、始めて檢察権を発動するのでありまして、ただそういうような檢察権の発動が行われる前に爭議が成るべく埓を越えないように又違法な行爲が現われないようにということを十分警戒はいたしておりますけれども、今申しましたようにそういう芽が出なければ発動はできない立場にあります。又我我としても成るべく芽の出ないうちに、檢察権が動くというようなことは、これは嚴に戒めなければならないことだと思つております。殊に爭議関係におきましては、不当な爭議にならない前、違法な行爲が現われない前に十分檢察、警察両方がタイアップして治安維持に当らなければならんのでありますけれども、余りに事前に手を出しますと却つて適当に行わるべき爭議も、それが埓を越えて違法な爭議になり兼ねないということも考えられるのでありまして、結局は一般國民の支持がなければ解決されない問題に立至るのではないかというようなことも考えられまするので、違法な爭議、或いは違法な行爲が現われた場合には、これは断乎として檢挙態勢を整えておりまするけれども、成るべくそういう好ましからざる事態の生じないように十分警戒しておる次第であります。
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に御質問はありませんか。……それでは祕密会は終ります。    午後零時三十六分祕密会を終る
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君            遠山 丙市君            深川タマヱ君            來馬 琢道君            松村眞一郎君            星野 芳樹君   説明員    國家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    國家地方警察本    部部長    (警備部長)  樺山 俊夫君    刑 政 長 官 佐藤 藤佐君    法務府事務官    (檢務局労働社    会課長)    神山 欣治君    運輸事務官    (鉄道監督局國    有鉄道部長)  田中健之助