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1949-04-21 第5回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十一日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件連合委員会開会の件 ○檢察及び裁判運営等に関する調査  の件(右件中昭和電工事件に関し証  人の証言あり) ○議員派遣の件   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これより法務委員会開会いたします。  お諮り申上げることがございます。法務廳設置法案につきまして、内閣委員会においてこれが審査されるそうでありますが、内閣委員会から連合委員会を申込まれた場合においては、承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではさよう決定いたします。   —————————————
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電事件のその後の経過を簡單に御報告申上げますが、一月委員会を開きまして、以後調査委員をして各方面調査いたさせまして、その結果は委員長まで報告書が届いておりますから、詳細はその報告書によつて御了承願いたいと存じます。  次に、昨日國宗証人につきましては、同氏が病氣でありましたために、委員長及び鈴木委員両名において臨床訊問いたしました。これもその内容につきましては、速記録を以て御了承願いたいと存じます。  それではこれより本日の喚問の証人を取調べることにいたします。本日はお忙しいところを御出頭願いまして……昭電事件関係につきまして皆樣方の御証言を得たいと思いますが、御証言をお願いする前に、先ず宣誓書を各自朗読して頂きたいと思います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書 良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 田中 隆吉    宣 誓 書 良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 頭山 秀三    宣 誓 書 良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 畔上てるゑ
  5. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先ず畔上さんからお尋ねいたしますから、田中さん、頭山さんは控室でお待ち願います。
  6. 伊藤修

  7. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございます。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは料亭桂を経営していらつしやるのですね。
  9. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そうでございます……只今はいたしておりません。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃から御商賣をなさつていらつしやるのですか。
  11. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね、終戰の翌年に旅館をいたしまして、それから政令の出ます前までいたしておりまして、それから政令が出ます二、三ケ月前に料亭の許可を貰いまして、それから去年の九月までいたしておりました。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政令が出てからはどんなような……
  13. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 政令が出るまでいたしておりました。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政令が出てからはどんなふうな状態ですか。
  15. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 政令が出ましてからは……、その年の九月までは何もいたしておりませんでございました。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお客さんはあつたのでしようね。
  17. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございませんでした。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお客さんが、座敷を貸して呉れとかいうような人はあつたのではないでしようか。
  19. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね、九月頃から……余り何もいたしておりませんので、いろいろの都合がございましたものですから、貸席を始めました。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 貸席を始めたのですか。
  21. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はい。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると政令が出てからは、貸席としてお座敷を貸しておつたわけですね。
  23. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 九月までは貸席もいたしませんでした。九月十五日頃でございますと覚えております。はつきりしたことは記憶いたしておりません。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主にどんなようなお客さんの筋でしたか。
  25. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はあ……
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お客さんの筋はどんなような……
  27. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね、いろいろ廣うございますから。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主なお得意さんというのがありますね。
  29. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございます。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お得意さんというものがあるのですね。実業界方面お客さんが多いとか、政界方面お客さんが多いとか、こう大体偏よつておりますね。
  31. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね……
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなような筋が多かつたですか、官廳方面が多かつたですか。
  33. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 一流会社……官廳もございました。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主に官廳の方が多かつたのではないですか。
  35. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そういうことはございません。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お客さんは平均しておるわけですか。実業界方面が多いとか……
  37. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 実業界が一番多うございました。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政界方面の方は。
  39. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 政界方面の方もございましたが、大したことはございません。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和二十二年の十一月頃から二十三年の九月頃まで、その間にですね、警視廳関係の筋のお客さんをなさつたことが数回ありましたですね。
  41. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね、はつきり覚えておりませんが、そういうこともございましたようです。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今表を差上げますが、それを御覧になつて下さい。
  43. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ちよつと委員長にお尋ね申上げます。私のお呼出状には昭電問題のお呼出しとございましたが、それとは違いまして警視廳のお調べですか。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廳昭電関係しておるものですから、その点をお尋ねするわけです。
  45. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そうすると、昭電には警視廳関係あるのですか。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでございます。お分りになりましたですか。
  47. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 申上げます。私は大体余り客席へ参りませんので、はつきりした記憶はございませんのでございますが……
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ一つ一つ記憶はないかも存じませんが、まあ大体そのような、或いは違つておるかも分りませんが、そういうお客さんのあつたことは御承知ですね。
  49. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね、はつきりした記憶がございませんので大変申訳ありませんが……
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その書いてある盡くがあつたというふうには私共聞いておるわけではありませんが、大体お客のあつたことは事実でございますね。
  51. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) あつたことは、全部ということは何ですけれども、一、二回は記憶いたしております。
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この中にサービスというのがありますですね。このサービスというのはどういう意味ですか。
  53. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) それは材料のお持込みなんかではないかと思うのでございます。
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するにサービスというのは只という意味ですか。
  55. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) いやそんなことはございません。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 料金は取るのですか。
  57. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 頂いておると思います。大体帳場が私がいたしませんのではつきりしたことは申上げられません。
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日の宴会サービスだ、今日の宴会代金を頂くのだということは……
  59. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) サービスだというような記憶はございませんです。
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとすべて席をあなたの所へ設けたときには皆お金を取るのですか。
  61. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございます。
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商賣ですからそれが当り前ですが、特にサービスするということが私共の方には分らないのです。
  63. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そういうことはございません。
  64. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 盡くお金を頂いていらつしやるのですか。
  65. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 頂いております。
  66. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その代金はどこから頂くのですか。お役所の方へ取りに行くのですか。
  67. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) お役所へ行くこともございますし、下の方がお持ちになることもあります。
  68. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 部下の方が持つて來ることもありますか。
  69. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はい。
  70. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政界方面お方はいらつしやるのですか。先程いらつしやるとかおつしやつておりましたね。
  71. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はい。
  72. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その中に御記憶があるか、ないか存じませんが、大野伴睦松岡松平重政誠之松下權八、こういうような人がいらつしやつたことがありますか。
  73. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 大野伴睦さんは記憶いたしております。松岡さんも記憶いたしております。重政さんは記憶いたしておりません。
  74. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その席へ、そういうふうに御記憶なつておるような席ですから、そこへ檢察廳のいわゆる檢事の人ですね、いらつしやつたようなことはありますか。
  75. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございません。
  76. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはお分りにならんのですか、ないと言えるのですか。
  77. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございませんと思います。そういうことは伺つておりません。
  78. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これらの人があなたの御存じないお客さんを連れて來るようなことはあるでしよう。
  79. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますねえ……一々私も客席へ出ませんものでございますから、どういう方がおいでなつたかということははつきり申上げられません。
  80. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、どういうお方おいでなつたか分らないとすると、おいでにならんとは言い切れないのではないですか。
  81. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 私の耳へは入つておりません。
  82. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた御存じないわけですか。
  83. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はい、存じておりません。
  84. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 來たかも分らないわけですね。
  85. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はあ、分りません。
  86. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法務廳の方がおいでなつたようなことがございますか。
  87. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) はつきり記憶いたしておりません。
  88. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法務廳から電話がかかつて來て、席を設けて呉れというようなことは、御記憶ないですか。
  89. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 記憶いたしておりません。
  90. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電日野原さん、若しくは藤井さんから席を設けて呉れという頼みを受けたことはございませんか。
  91. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございません。
  92. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう席はなかつたのですか。
  93. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございません。日野原さんも、藤井さんという方も存じ上げておりません。
  94. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 或いは昭電会社からそういうようなことはなかつたのですか。
  95. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございません。
  96. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電関係の方はしばしばあなたの方で宴席を設けていらつしやるようですが。
  97. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 昭電関係と申しますと。
  98. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電会社の……。
  99. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 昭電関係の方は、私の方では御宴席はございませんでした。
  100. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お得意ではないのですか。
  101. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) お得意ではございません。
  102. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方でたびたび宴席を設けられておるように伺つておりますが。
  103. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) それは間違いでございましようと思います。
  104. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御記憶でございませんか。
  105. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございません。
  106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法務廳関係若しくは檢察廳関係で、檢察廳——檢事さんの役所関係の人、そういう人があなたの方へいらつしやつておるのではないのですか。
  107. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 伺つておりませんでございます。
  108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人、それに警察お方一緒宴席に見えたことはございませんか。
  109. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そういうことは伺つておりません。それは絶対ないと申上げていいと思います。
  110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、警視廳関係方々だけが、そのグループ宴席を設けておるのですね。
  111. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) どういうグループおいでなつたかは、私にはよく分りませんでございます。
  112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ここに先程御覽になりました、まああなたは御記憶は全部はないとおつしやるのですけれども、その中の幾つかは御記憶あるでしようが、こういう場合に、他のそういう関係の人が一緒ではなかつたのですか、これは警察の方ばかりでしたか、警視廳の人ばかりでしたか。
  113. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございます。特に誰の場合というようなことでございましたら……、大変重ねて申上げるようでございますが、私余り客席へ出ないものですから、甚だ申訳ございませんが、はつきり……
  114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こういう宴席は誰から言うて來るのですか、あなたの記憶では……
  115. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございますね、部下の方だろうと思います。
  116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤田さんや何かから言うて來るのではありませんか。
  117. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 藤田さん直接の御注文はないと思います。
  118. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論藤田さんはいらつしやつたわけですね。
  119. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そうおつしやいますと、一回くらいお目にかかつたかも知れません。
  120. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方の警視廳関係のお勘定はあなたの方から言うと二十万円くらいあるのですね。
  121. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 記憶いたしておりません。
  122. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは勿論公定價格ですね。
  123. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 大抵材料は持ち込みでございますから、大して残つてはおらないと思います。
  124. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論サービスと言うくらいですから、安くしてあるわけですね。
  125. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そうでございますね、殊に安いというようなこともございませんと思います。
  126. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くとも公定價格ですね。
  127. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) さようでございます。
  128. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは警視廳の方の拂いは、全部済んでおるわけですか。
  129. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) 頂いております。
  130. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その関係のお勘定は、済んでいないということはないのですか。
  131. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) ございません。
  132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはそういう宴席の金額は、今お覚えにならんでしようが、まあ二十万円近いお金は、すべて役所の方で拂つておりますか。
  133. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) その辺は分りませんでございます。
  134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全然関係のない人が、拂つたことはないのですか。
  135. 畔上てるゑ

    証人畔上てるゑ君) そういうことは、ございませんと思います。
  136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお尋ねは……。それではどうも……   —————————————    〔証人頭山秀三君著席〕
  137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 頭山さんでございますか。
  138. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお知合で、丹羽五郎さんという方がおられますね。
  140. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうような御関係ですか、あなたと……
  142. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 子供の時から私が世話しておりまして……
  143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでずつとお附合なつていらつしやるのですか。
  144. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か事業上のお附合でも。
  146. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 別にありません。
  147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうようなお附合をしていらつしやいますか。
  148. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 私の使い走りみたいなものですが。
  149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう御関係ですか。
  150. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 津雲國利という方とは、どういう御関係ですか。
  152. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) あれは私の親戚の者の交際東條内閣の頃一緒にいろいろしたことがあります。
  153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在ではあなたとどういうふうな仕事をなさつておりますか。
  154. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 別に深い関係はありません。
  155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 友人知己というような程度ですか。
  156. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か御仕事をお助けなつておりますか。
  158. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 茂木久平という方は……
  160. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) これは昔私の父のところに出入りしておりまして、そういう関係で知つております。
  161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在は……
  162. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 今でも知つております。
  163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお仕事の方は……
  164. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 赤松貞雄さんは……
  166. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) これは東條関係で知つております。
  167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在はどうですか。
  168. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 深い交際はありません。
  169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お仕事の方は……
  170. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎英城という方は……
  172. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) これは丹羽友人です。
  173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではあなたは直接ではないのですね。
  174. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお宅に出入りするわけですね。
  176. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 一、二度会つたことがあります。
  177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こういうお方々はお宅に始終出入りするわけですか。
  178. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いいえ、あまりしません。
  179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ときどき会合をしますね。
  180. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 別に会合はしません。
  181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か齋藤元というあたなの御関係の方がおられたのですね。そこでときどき御会合なさるようではありませんか。
  182. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 昭和電工のときに会つたくらいのものであります。後はありません。
  183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か失礼ですけれども、旧右翼團体お方々がときどきお会合なつて、時代の流れのことについてお話し合いになるということは……
  184. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうふうな研究会とか何とかというものをお持ちになつておるのじやないのですか。
  186. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 或は一つ社交團体のようして、ときどき懐旧談を交されるというようなことは……
  188. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そういうこともありません。
  189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 齋藤元方でなくて、その他の場所でそういうことをおやりになつておりますか。
  190. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そういうこともありません。私は戰後どこにも出ませんらか……
  191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはお出かけにならんのでしようが、あなた樣を慕つて來る人々がおありになるのでしようか。
  192. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 來る者はありませんが、別に会合はしません。
  193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 個別にお訪ねになるようなことはありますね。
  194. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 失礼ですが、何か敗戰組とかいうものをお作りになつておりますのですか。
  196. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そんなことはありません。
  197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ありませんですか。
  198. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電関係で何か会合を催さたれそうですね、お宅で……
  200. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうような趣旨で、お集りになつた人はどういう方ですか。
  202. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 丹羽です。それから日野原君と、藤井君じやないですか。
  203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その三名ですか。
  204. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたも御同席ですね。
  206. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような趣旨でお集りになつたのですか。
  208. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 日野原助けようというのです。
  209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 助けるという趣旨は……
  210. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 私は戰爭中も戰爭前も日本人が好きでして、それで敗戰後日本人が尚好きで、日本人なら誰でも助けようと思つておるのですが、たまたま知り合いの日野原が不遇だというので、助かるものならば助けてやらんかということで丹羽に私が言いつけた。丹羽事件というものは私が日野原君にそういうような同情をしなければ起らん事件でして、全部私が同情するから丹羽達が動いた。外に誰も私が言わなければ動かない筈です。
  211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原が不遇だということはどういう意味ですか。
  212. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いろいろ困つておるようですから……
  213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事業上にですか。どういうことですか。困つておるということは……
  214. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そのときの、日野原昭和電工の問題です。
  215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和電工会社の経営ですか。或いは会社についてのいろいろの疑惑についての……
  216. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 疑惑についてです。
  217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 疑惑についてですか。すると当時どういうような疑惑をお聞きになりましたですか。
  218. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いや、私はよく知りません。そのあとは全部丹羽に任してあります。
  219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると、あなたとしては疑惑ということは実態を把握しておつたのですか。
  220. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) おりません。
  221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では概念的にどんなふうなことを疑惑とお考えになつたのですか。
  222. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 別に何という深い考えは持つていません。
  223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その疑惑ということは財界方面疑惑ですか。或いは司法関係疑惑なんですか。
  224. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 司法関係です。
  225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると司法関係について、日野原の身辺若しくは昭電に対して相当の疑惑が掛つておると、それについて助けてやりたい、こういうような御趣旨つたのですか。
  226. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうです。
  227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは内容は把握していらつしやらなかつたのですね。
  228. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) しません。
  229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すべて丹羽君にあなたが命令されたわけですか。
  230. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その方策とかいうことについてあなたが御指示になつたわけですか。
  232. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) しません。私はどこにも外へ出ないものですから……。
  233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) するとそれはあなたの方のお考えでそういうふうになつたのですか。日野原氏からあなたに御依頼になつたのですか。助けを求めた……。
  234. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) それはどつちだつたか忘れました。知りません。顔を見れば分りますからね、大概……。
  235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) するとあなたの方に助けを求めて來たわけでしようか。
  236. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうだと思います。
  237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでしようね。あなたはお出掛けにならないのですから……。するとその会合は結局日野原氏から作られた会合なんですね。
  238. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうだと思います。
  239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですね。藤井というのは御存じですか。
  240. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ、知つております。
  241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その席へは藤井が参つていますか。
  242. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いましたか、いませんか、分りませんか
  243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 分りませんですか。
  244. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると藤井にはお会いになりましたですか。
  246. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ、会いました。
  247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃ですか。今の会合の後でしようね、勿論……
  248. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 後か前か記憶ありません。
  249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうことをあなたにお願いしたわけですか。
  250. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 記憶ありません。
  251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論日野原の今の……
  252. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 無論そうだと思います。
  253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 無論事件のことについてあなたに御依頼して來た……
  254. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうです。
  255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは数回お会いになつたのですか。一回ですか。
  256. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 一度か二度かだつたと思います。
  257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのお目に掛つた会談で、取りとめた記憶になるようなことはないのですか。
  258. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えば日野原氏とは最初の一回きりですか。
  260. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 一度か二度か会つていると思いますけれども……
  261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると日野原氏と藤井氏と交互にお宅を訪問しているわけですね。
  262. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうですね。
  263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれもその事件のことについてですね。
  264. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると丹羽氏に対しては、あなたはその後そういうような御面会の結果を再び丹羽氏に、そういうふうにしようとか、ああいうふうにしようとか、御命令になつたわけじやないのですか。
  266. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると日野原氏及び藤井氏からいろいろとお聞きになつたのですね。それは聞き放しですか。
  268. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 詳しいことはまだ聞いておりません。丹羽と相談して貰いたいと言つて……
  269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ああ、貰いたいと言つて……。それであなたの御記憶のうちでも日野原藤井が二、三回御訪問しているのですから、それからいろいろなその後の情勢とかいうものをお聞き取りになつていらつしやるのでしようかね。
  270. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 聞いておりません。その後の情勢というものは新聞に載つておりますから、聞いておりません。
  271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれどもその推移というものは、あなたとして日野原助けてやろうというお強いお氣持があるのですから、関心をお持ちになるでしようね。推移について……
  272. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) その後私の行動というものは直ぐだめになりましたから……
  273. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは渡邊幸吉というのは御存じですか。
  274. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 知つております。
  275. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうふうな御関係でお知り合いですか。
  276. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) あれは昭和電工の肥料のあれを戰後直ぐ何か設置をしないと、肥料の設備をすることが非常に役に立つことだと思うと言つて來たから、昭和電工でその設備の費用を出さないので、私に余つた金があつたので、私の二十万円と清水亮之助の二十万円と、それから渡邊君達の多少の金、それで昭和電工の肥料の設備ができたわけであります。そういうことから知つております。
  277. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その設備ができたというのは秩父工場のことですか。
  278. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  279. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると秩父工場の再建について、あなた達が出資なさつたわけですね、簡單に言えば……
  280. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうです。
  281. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると秩父工場の問題についてはやはり関心を持たれるわけですね。
  282. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうですね。
  283. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 工場に問題が起つてつたのですね。それは御存じですか。
  284. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 知つております。
  285. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは渡邊氏から報告されたのですか。
  286. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  287. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうような経過になりましたか。
  288. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いや、日野原と社長が代りまして、そういういきさつを、渡邊氏達の努力を日野原が知らないで、全部首を切つたわけです。それで渡邊が泣きついて來たものですから、で日野原という男は私は忘れておつたのですが、人から聞きまして、あれは昔私が世話をしたことのある男だというので、それなら紹介してやろうというので、日野原でしたか、藤井でしたか、私のところに呼びまして、大体川の起りはこういうわけだ、我々が金を貸して、こうやつてこれから日本の肥料というものは必要だからその設備を会社の方でしないというから、じやあ俺達の金でも貸してやつたらいいだろう。我々は今これから何もするということはない。有益なことをやるがいいということでやらしたことであつて、君達は新らしく社長に入つたので、この経緯を知らないが、僕が言うのだから確かだ。渡邊君達は氣の毒だから会社に戻すなり、又それぞれの手当をするなり、どつちかして貰いたい。日野原でしたか藤井でしたか、確か藤井だと思いますが、そう言つたことがあります。
  289. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その結果はどうなりましたか。
  290. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) その結果は丹羽が折衝しまして何かけりがついて筈です。
  291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうようなけりがついたのですか。
  292. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) よく知りません。
  293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 解職問題と合せて金銭問題とを解決したわけですか。
  294. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうだと思います。
  295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 解決済んだのですか。
  296. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお手許で解決済んだのですか。
  298. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 済みました。
  299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) にも拘わらず渡邊氏が、いわゆる昭電事件の口火を切つたのですね。そういういきさつはどういうわけですか。
  300. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 私は渡邊は世話になつたから止めましようかということで、そんなことは世話したからといつて、どつちでもいいよ、お前の意思に委せる、私はそう言いました。
  301. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると渡邊がいわゆる熊谷ですか、或いは埼玉ですか知らんが、檢察廳に申出て、あれは告発という嚴格に形式かどうか分りませんが、少くとも申告したということは、渡邊氏の自由意思でやつたのですか。あなた達の御示唆によつてつたわけですか。
  302. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そういうことは渡邊の任意です。
  303. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 個人でやられたのですか。
  304. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) はい。
  305. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 関係しておつたあなたのお話のように、すでに問題が解決しておつたにも拘わらず渡邊は昭電の根本を搖がすような問題を口火を切つたのですね。
  306. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 渡邊という男はちよつと常識が違いますからね。
  307. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうふうにですか。事を根に持つ方ですか。
  308. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) それはまあちよつと常識が違うのです。会われて見て下さい。
  309. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの御感想ではどういうふうな点が違うのですか。
  310. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 何というのでしようかね。ちよつと常識が違うのです。
  311. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渡邊氏のどうも態度がちよつと理解しかねるのですね。
  312. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  313. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから幸いあなたがよく御存じのようでありますから……
  314. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 常識が違うという言葉より外にないと思うのですね。後は会われて見ないと……。会われて見ると分ります。
  315. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その告訴か若しくは告発或いは申告、そういう経過を辿つた後であなたに御相談になりませんか。
  316. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 來ません。
  317. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからは渡邊個人で活動を開始しておつた、開始しておつたというと語弊があるかも知れませんが、少くともその事件をでつち上げて行つた……
  318. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そういうことが日野原に同情する一つの動機になつているかも知れませんね。
  319. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの氣持としては……
  320. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) はい、渡邊氏は渡邊で勝手にやるがいいけれども、一旦解決したことではあるし、私としては日野原の方が前から知つておるものですから、解決はさせた、潰さしたわというのじや面白くありませんからね。
  321. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたからすれば日野原も知つておられるし、渡邊も知つておる。而も渡邊は日本の國策のために肥料の増産についてあなたが先ず以て資金を投資してやつた。そういう厚意もある。それがいろいろ紛糾して來てちよつと問題になつてそれは解決した。あなたとしては飽くまでその仕事の成立ということに重点を置かれたのですか。
  322. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうです。
  323. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことになりますか。
  324. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) はい。結局私は誰でも頼んで來れば、先に頼んだ方が勝ちで、どつちでも世話しますから……
  325. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうお言葉だと渡邊が先に頼んでおりますね。そうすれば渡邊をあなたが支持しそうですね。
  326. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) その後は渡邊の方は調子がいいから、そして日野原が今度は調子が惡いから、調子の惡い方に私は加勢します。
  327. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたとしてはむしろ非境に陷つた者を助けてやる、弱い者を助けてやるとしすお氣持が働いているのですね。
  328. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。殊に私は戰後誰でも困つた者があると私の力に合うことなら誰でもしたいと思つております。
  329. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお氣持よく分りますが、そうすると秩父事件ですね、いわゆる昭電事件の端を発した秩父事件のその後の揉み消し運動というものがありますね。それは御存じないですか。
  330. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 秩父の揉み消し運動というものは知りません。
  331. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないのですか。
  332. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  333. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そう秩父事件については渡邊のなすがままに放任されたのですか。
  334. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうです。
  335. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そう手当はなさらなかつたのですか。
  336. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) それでその後事能が紛糾して來てから渡邊が先生が関係されているから私は手を控えるのですと言つて來たのです。僕は君にそういうことは言わないけれども、君の方で勝手に氣が付くと思つたが、随分智慧の遅い話だと言つてつたことがあります。
  337. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、この昭電のいわゆる事件の揉消運動と、そういう言葉が当て嵌まるかどうか存じませんが、そういう形態は、さつきお話になりました面だけですか。
  338. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そうです。
  339. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方で渡邊とかいう者に対して、渡邊のそういう活動を阻止するようにお手配になつたわけじやないんですか。
  340. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) しません。これは普通ならきつとするんでしようけれども、私は人委せでして、敵になるなら勝手に敵になれ、味方のときは味方でいいというあれで、人に無理にこつちに付けようとしたことはありません。これは今まで曾てありません。
  341. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは御関係があるかないか、この津雲國利田中伊三次、こういうような線から警視廳方面に対して何か処置をお取りになつたんですか。
  342. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。津雲がたまたま私のところに訪ねて來まして、君の知つておる日野原がこうやつてつて來ておるんだが、日野原という者は昔から世話したことのある男だがどうだろうと言うから、いや僕は追放で駄目だから、僕の知つておる田中伊三次という人がおるから、これなり法律的にあれだから間違いないから、僕からやるとすれば田中伊三次君に君の意向を告げるよりし方がない、ただそれだけの話です。
  343. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後その線においてどういう手当がなされたかということは御存じありませんか。
  344. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 知りません。
  345. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御報告をお聞きにならなかつたんですか。
  346. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 聞きません。
  347. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎英城ですか、この線を通じて警視廳方面に対して手当をされたということについては御存じですか。
  348. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いえ、知りません。それは丹羽がやつておりました。その全貌がはつきりしてからは、そうだつたかと思いますけれども……
  349. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 後のことは別ですね。
  350. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  351. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時丹羽からこういうような方法を以て手赤しておるというようなことは御報告をお受けにならなかつたんですか。
  352. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 聞きません。
  353. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、この事件が発表されましてからお知りになつたことで、その当時は御存じなかつたんですか。
  354. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ、だから今から考えると、発表されてからと前とが一緒くたになりましてね、ちよつと分らないところがあるんですがね。
  355. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう方面に津雲なり、或いは岡崎なり、それを通してそういう方面へ当手すべくあなたの方で指示されたことはありませんか。
  356. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  357. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお立場上、旧右翼團体お方は相当お顏はお広いんですから、そういう線を通じて官僚陣に対していろいろお手当になつておるようなことはないんですか。
  358. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  359. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この運動につきまして、日野原の方からお金が出ておりますか。
  360. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 私は知りません。事件の後で知つたんですがね。その当時は知りません。
  361. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお手許の方へは持つて参りませんか。
  362. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  363. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、どれだけの金額が出た。或いはその出所、誰に渡つたというようなことは御存じないんですか。
  364. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 知りません。後では知つております。その当時は知りません。
  365. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、金銭については、タッチなさらないんですね。
  366. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 全然タッチしておりません。
  367. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丹羽も報告しないんですね。
  368. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ、丹羽が私に報告したら確かに叱られておるだろうと思います。
  369. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 意外に丹羽君は沢山金を握つてつたわけですね。
  370. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ええ。
  371. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丹羽という人はそういう金を握つてつて、そういう金を取るというたちの人ですか。
  372. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 私は今までそういうつもりではおりません。
  373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人ではないと思つておられましたですね。
  374. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 少くとも私との関係においてはそういうことはできない筈だと思つております。
  375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたを背景にして多額の金を取つたというふうにはお考えになりませんですか。
  376. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、そういうふうにお考えになりませんか丹羽君は……
  378. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) そんなことはないと思います。藤井君も日野原君も私の性格をよく知つておると思います。
  379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると丹羽君に渡した金はあなたの方へ行くとは思わずに丹羽君からそれぞれ其方面へその金が流れて行くんだ、こういうふうに日野原は思つてつたというわけですか。
  380. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 無論そうです。
  381. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに対しては別個に恩に報ずるというお考えでしようね。
  382. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) さあ、それは知りません。
  383. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに対して直接に金銭を持つて來るということはなかつたですね。
  384. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) ありません。
  385. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお尋ねになることがありますか。
  386. 大野幸一

    ○大野幸一君 証人が先程終戰前も終戰後も日本人を愛することは同じであるということを言われましたが、特に終戰後は日本人が好きである、こういうあなたの御思想というか、お考えを仰せになりましたが、それをもう少し……。
  387. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 特に好きというのは、哀れな者程いじらしいことがプラスされておると思います。どうも日本人は今地位のある者もない者も、裕福な者もそうでない者も全部が一つ苦しみを持つたり悩みを持つたりしていると思います。私は日本人が一番いじらしくて堪らんですね。
  388. 大野幸一

    ○大野幸一君 いや、戰前の御思想と戰後の御思想とにおいてあなたに何ら変化がないのか、戰前の御思想が濃化されたようにそのお言葉から取れる場合がありますが、そういう意味ではないんですね。
  389. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) まだ私も頭がそう硬化しておりませんが、戰前と戰後との時代の空氣によつて、時代の潮流というか、時代の思想というか、これを把握しておるつもりです。日本が一番好きであり、日本人が一番好きであるということは戰前も今も変りないが、日本の行き方とかいろいろなことは、それは戰爭前と今と同じだということは考えられんです。
  390. 大野幸一

    ○大野幸一君 同じだと考えられないというのは、戰前はあなたが日本人を愛した、戰後は尚一層日本人を愛するという中に、これを誤解して聞くと外國人は嫌いだ、こういうように解釈される虞れがあるから私はあなたにお聞きしたんだが、戰前は日本人が好きだが、戰後は世界人類を愛するように向わなければならないという思想もありますが、その点をあなたにお聞きしたい。
  391. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 詳しく話しましよう。それは戰前も今も、どこの國の者よりも日本人が好きです。だけれどもどこの國の者も嫌いだというわけではない。比較的日本人の方が好きである。今の日本というものはどういうことをするのがいいかというと、私は日本に物が足りないとか何かよりも、もつと不足しておるか無くなつておるものは愛情だと思います。今は日本人同士が本当に愛情を持つて日本人同士が仲よくして日本を興す時代だと思います。外のことを考える必要はない。それで先ず日本というものを興して後に、その愛情を朝鮮に向け、中國に向け、東洋に向け、ソ連に向け、それから米國に向け、英國に向けて行く。各段階があると思うのです。今は日本人同士で右翼とか、共産主義とか、いろいろなことを言つてつておりますがね。こういう切羽詰つた時代というものは、行くところは一つだと思う。それは陛下を尊敬するとか、尊敬しないということは、これは別問題ですよ。私は絶対に尊敬する方ですがね。これは別問題だが、國を興すという方法においては、自由主義であろうと、共産主義であろうと、その純粹なものは一つだと思うのであります。方法は一つしかない。先ず愛情を持つて日本人同士が愛情を持つて國を興して後に私は中國を愛したい。印度を愛したい。その後に米國かソ連である。順々に愛して行く段階というものを持つておるのですね。これでいいですか。
  392. 大野幸一

    ○大野幸一君 それでは博愛者というのですか。先程、私の家に、私に頼みに來るのに早いものが勝ちだというのですが、これは非常にある意味においては危險で、惡い方が早くあなたの懷ろに入る場合がある。そのときはどうも危險なように思うのだが、あなたに助けを求めるときにおいても、それが正義であることをあなたは前提にしておられるか。
  393. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 私は渡邊の問題でもいいと思つたから助けた。日野原の場合もいいと思つて助けた。担当の日本に役立つ事業をしておる。それは、内輪の金の借り方だとか、それの使い方だとか、そういうことは別として……それは小平が頼みに來て……そのときは世話はしないと思うが……
  394. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一つお伺いいたします。それは津雲がお宅へ上つて、こういうことを言つたことがあるじやないですかね。先生、あなたが日野原助けておるのならば、余り日野原をいぢめることはできないと言つて、頭を掻いて帰つたことがありますか。
  395. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 記憶はありません。
  396. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんなことはありませんか。
  397. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) 記憶はありません。
  398. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 津雲は日野原をやつつけようという、最初は氣持はなかつたが、それであなたが、まあ、あなたのお言葉を少し藉りれば、それでぴしやつと收まつたというような立場になるが……
  399. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) とにかく津雲と私のあれは……ちよつとざつくばらんな話ですから、どういうことを言つたか……とにかく私の言う通りに津雲が動いて呉れる、返事をして呉れる筈です。
  400. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、こういうこともあり得る状態ですね。
  401. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) あつたかも知れませんけれども……記憶はありません。
  402. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くともあなたのお考えでは、津雲が日野原を最初はやつつける立場にあるということは御了承ですね。
  403. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いや、そんなことは全然白紙だと思います。
  404. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、日野原の方は、津雲は右翼團体として日野原をやつつける立場にある。これはどうしても特にお願いしてこの鉾先を收めなければならないということですね。
  405. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) いや、津雲が私のところに來たのは白紙です。
  406. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にお尋ねはありませんか。    〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
  407. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではどうもお忙しいところを有難うございます。
  408. 頭山秀三

    証人頭山秀三君) では……    〔証人田中隆吉君著席〕
  409. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中さんですか。
  410. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) はあ。
  411. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お忙しいところを御上京願つて御迷惑ですな。
  412. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) いやどういたしまして。
  413. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中さんは今御郷里で何かおやりになつておりますか。
  414. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 今果樹園をやつております。
  415. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 果樹園、そうですか。先程ちよつと申上げました昭電のことにつきまして、あなたの御関係の部分だけお尋ね申上げたいと思います。
  416. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) はあ。
  417. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 端的に入りますが、あなたの田中情報機関というのがあるそうですね。
  418. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) ありません、そんなもの。盛んに言われますけれども……
  419. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたがお作りになつたわけでなくて、外の人がそういう見方をするのですかね。
  420. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) どうですかね。ただ私は國際檢事團の顧問をしておりましてね。正式の捜査部のいろいろ情報を取つて呉れというわけで、情報を取つたことがありますがね。一應使つた人もありますけれどもね、機関という形のものではありません。ただ頼まれた情報を集めて、成るべく裁判の進行を早くするということに努力したことはあります。それは裁判が済むまで努力しておりました。今もときどきいろいろ頼まれます情報機関は持ちません。
  421. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に組織的にいろいろの人を集めて……
  422. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) そんなことはありません。
  423. 伊藤修

    委員長伊藤修君) やつていられたことはありませんか。
  424. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) ありません。
  425. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた個人として……
  426. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 個人として……連合軍の命令に服從するということですね。それから私の職掌柄、当時の私の職掌を昨年の十二月十一日に解かれましたけれども、情報を集めなければならん立場にあつたものですから、集めておりました。
  427. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、米軍関係ですね。
  428. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) はあ。
  429. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 或いは米國関係と申してもよろしいが、一番お知合いの深い人はどういう人ですか。キーナン氏ですか。
  430. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) キーナン氏ですな。沢山おりますな。五、六十人おりましたかね。関係した人は……今でも交際しておる人はアメリカに帰りましたけれどもキーナン氏のアツシスタントのマホニーとか、その外に檢事團に関係した人はともに仲よくしておりました。特にアメリカとは……今でも残つておる人が沢山あります。仲のいい人は沢山あります。
  431. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在残つておる人では……
  432. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) こういうことを言うと本人が喜ばないかも知れませんけれども、沢山ありますけれども、最近仲よくしておりますのは、日本の警察を監督しておるジョー・ウイリアムという人、それからあの例の明治ビルの連合軍の法務局ですね、あすこの捜査部長をしておるマネハン君とか、これは一番仲がようございますが、外にもまだ五、六人あります。併しこれはそんなに深い関係はありません。ただ当時一緒仕事をしたというだけで交際しておるわけです。
  433. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今でも何か私的にあなたに調査をお頼みになることはありますか。
  434. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) もう昨年の十二月十二日に、アドヴァイサー・キャパシティーというのですか。顧問資格というものを解かれましたから、ありませんけれども、二月に、ちよつとここでは申されませんけれども、或る犯罪人のことでちよつと私協力したことはありました。
  435. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは丸山四郎という人を御存じですか。
  436. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 知りません、丸山という人は。
  437. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか。
  438. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 知りません。
  439. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、何も関係はないわけですね。
  440. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 丸山君とは関係ありません。これは後で話を聞いたのですが、去年の七月三日でしたか、丁度私東京の北沢の六百四十の松井という家に泊つておりました。そうしましたら、秋永月三君、子供の時からの友達で僕の連隊の後輩です。それから熊御堂という弁護士ですが、これもよく知つておりました。これは確か満鉄で大村清一君の祕書官をしておつたことがありまして、私局長時代に文部省の関係で熊御堂君に初めて会つたのですが、この二人が私のところに來まして、三週間はかりあなたを追つ掛けたけれども分らなかつた、是非頼みたいことがあると、こう言うのですよ。何だと思つたら、昭和重工事件を揉み消して呉れというのです。二人揃つてどういうわけでやつて來たと言うと、あれは國家のためにならんと言うのです。あれをこれ以上進展されると、アメリカ関係にも非常に関係する人があると、是非これはあなたがアメリカの人に言つて、これ以上進展せんように揉み消して呉れんかという話があつたのです。一時間はかりおりました。私默つて聞いておつたのです。私はこの昭和電工事件というものは、一昨年の四月ですか、例の乘取り事件とか何とか言つて騒がれた当時に、元昭和電工の事務をしておりました安齋君に内容を聞いて知つておりましたので、人には言わなかつたのですが、これは非常に臭いことだと思つてつたのです。だから揉み消すという氣持は更になかつたのです。そうしましたら、いろいろなことを言つておりましたが、外の者なら無下に断わるという性質なんですけれども、秋永君は同じ連隊の後輩でもあるし、又ずつと陸軍省にも一緒におつたことがありますし、関東軍にも一緒におつたことがあるものですから、默つて聞いて、本当に國家のためにならんものなら盡力してもいいなという返事はしたのです。だけれども後で考えて、こういう危險なことに捲き込まれるのは甚だ不本意だと思つたものですから、四月四日の朝七時に発ちまして山へ歸つちやつたのです。そうして九月十二日頃までおりましたが、結局それきりになりました。後で話を聞きますと、丸山君が僕に金を渡すと言つて、五十万円取つたとか取らんとかいう噂を聞きましたけれども、どうも貧乏しておりますけれども、私のところへは一文も金は参りませんでした。それだけは申上げて置きます。
  441. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、丸山という人は直接御存じないのですか。
  442. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 知らんと思いますね。何をしておる人ですか。ただその前に、二月ばかり前に、僕に頼めばいいだろうと言つた人があるのですよ。太田耐造君じやないですか。これは僕は明瞭に蹴飛ばしたのです。そんなことは嫌だ、そんなことは関係しないよと言つて蹴飛ばしましたが、そんな関係でしつつこく追つ掛けたのじやないかと思います。
  443. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、太田耐三君が頼んで來たのが最初ですね。
  444. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 二月ばかり前だと思います。
  445. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから二月ばかり追つ掛けて……
  446. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 追つ掛け廻しました。
  447. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その結果秋永氏と熊御堂氏の二人が來たのですね。
  448. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 二人來まして、一時間ばかりおりましたよ。何でもそのときには随分國家のためにならんのだということをくどくど述べておりました。國のためにならんという理由、アメリカのためにもならんということをくどくど言つておりました。
  449. 伊藤修

    委員長伊藤修君) で、その揉み消し運動をして呉れという対象はどこなんですか。
  450. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 対象は。アメリカの人でまあ日本の警察の監督をしておるウイリアム氏といつた連中です。
  451. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、結局渉外関係方面をあなたによつと抑えようと、こう画策したのですね。
  452. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) そうでしような。金でも出して大いに働かそうと思つたんでしようが、私はそういうことに関係するのが厭だつたものですから、翌る日山へ帰りました。いつまでもいると、外の者ならいいけれども、秋永君のように子供の時から知つている人間は、しつつこくやられますとつい捲き込まれますから、何も返事しないで山へ帰りました。
  453. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに、具体的に運動方法とか、或いは誰それということは指示されませんでしたか。
  454. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) ええ、具体的にウイリヤム氏にやつて呉れということを言つておりました。けれども、それはやりませんでした。
  455. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 司令部関係の方を抑えて呉れというのですか、どういうのですか。
  456. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) それはこういうわけなんです。これは余り外に言われると困るのです。余り新聞なんかに書かんようにして貰いたいのですが、こんなことがあるのです。
  457. 岡部常

    ○岡部常君 議事進行について、ちよつと速記を止めてやつたらどうですか。
  458. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  459. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を始めて。そうすると松永、秋永両君と、その以後お会いになつたことないですか。
  460. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 諦めたらしいですね。僕は出て來なかつたから。そのうちにどんどん進展する、拡大しましたから処置なしということになつたらしいです。
  461. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論あなたに対しましてその際運動資金を置いて行くとかなんとかいうこともありませんでしたか。
  462. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) そんなことを言つていましたよ。金は出すとかなんとか言つていましたが、今は困つておりますが、当時月給を貰つておりましたから。私金を喜ばん男ですから。当時金の問題は起りました。金を出すというのならば俺は動かないという確か返事した憶えがあります。資金を出すとかなんとかいう問題ならば僕はそんなことはしない、國家のためというならばこれはよく研究してやるかも知れんけれども、金を出すから動けなんというのならば僕は動かないとはつきりつた記憶があります。秋永君も惡うございましたと言いまして、そういうことを申して感情を害して済みませんでしたと言つておりましたから、そういう記憶があります。
  463. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに太田耐造を通じて話したとか、或いは丸山を通じてあなたの方に渡りを付けておるとかいうことは出なかつたですか。
  464. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) いわゆる丸山君の使いで來たのじやないですか、太田耐造君のときには、あれは弁護士ですからうまいこと言つていましたよ。場所は確か銀座の東洋美術館に僕を追つ掛けて來まして、あすこに僕の息子がセールスマンでおるものですから。あいつはなかなか当時殺す殺すと嚇かされましてね、國賊だからと……居所をはつきりしていなかつたのです。ふらりふらりと……。そのときに太田耐造君が同じ趣旨のことを言いましたよ。そのときに資金問題のことを言いましたが、その金の問題は僕は晩節を穢したくないから、幾ら言われても触れないと言つてつたのであります。先だつて太田耐造君に会つたときにこう言つておりましたが、あれ以上あなたにお願いすることはあなたの迷惑だ、あなたの名誉を穢すものだから私は手を引いたということを今から一月ぐらい前に申しておりましたので、有難うと言つて置きましたが、私も人間ですからしつこく言われると誘惑に乘るかも知れませんけれども、そういう誘惑もあつたように私は思います。それは丸山君の線であつたと思います。
  465. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  466. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) 太田君の手の方が秋永君の、迫水君の線じやないかと思いますね、そういうふうに自分で私は考えております。
  467. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあとで分つたことですね。
  468. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) あとで研究しまして、それで何でも参議院に引つ張り出すというものですから、二、三ケ月前に、惡いことをせんのに引つ張り出されては叶わんと……
  469. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あとの関係のことはこちらで了承しておりますから、その当時の模様を御話をお伺いしたかつたのであります。
  470. 田中隆吉

    証人田中隆吉君) そういう状況です。太田君に会つたのは去年の五月でした、太田君と僕は関係深いのです、ゾルゲ事件をやりましたときに私は総務課長をしておりまして、私が総指揮をしました。それで非常に深いのであります。
  471. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にお尋ねありますか。それでは関係部分だけですから有難うございました。これで休憩いたしまして午後一時から再開いたします。    午後零時四分休憩    —————・—————    午後一時二十五分開会
  472. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは午前に引続きまして委員会を開きます。  日野原さん、お体よろしうございますか。
  473. 日野原節三

    証人日野原節三君) まあ、お蔭様でどうやら退院できるまでになりました。
  474. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先からお尋ねしましたが、お体が惡つたものですから途中で止めておきましたが、あと残りだけをお尋ねしたいと思います。
  475. 日野原節三

    証人日野原節三君) いろいろ御心配を頂きまして、ありがとうございます。
  476. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日やはり御供述を願う前に、改めて宣誓書をお願いいたしたいと思います。宣誓書を朗読して頂きたいと思います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 日野原節三
  477. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前回臨床でお尋ねしましたことは、それに相違ないですな。
  478. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ、大体間違いないと思います。
  479. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが社長としてですね、同社の経営方針として当時の社会的或いは経済的又は政治的情勢からして、いわゆる饗應政策といいますか、或いは買收政策といいますか、そういうことをしなければならん理由があるんですか。
  480. 日野原節三

    証人日野原節三君) 非常に根本的な問題でむずかしいのでありますが、要するにあの当時の私個人の氣持といたしましては、肥料工場の建設の問題、その中には金融という問題が特に重大な面をなしておるわけであります。要るだけの金を適時に手に入れるということについての、まあ特別に速度を要する肥料工場の建設とか、そのうちの重要な部分を占める金融というような面に関して速度を強めるということに関しましては、或る程度までの危險や犠牲は止むを得ないことだと、こう実は覚悟してやつたわけでありまして、その一番惡い結果がいろいろの今おつしやつたような例にも現われて來たのではないかと思います。
  481. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると企業自体と急速に完成したいという目標のため……。そういうことになるわけですね。
  482. 日野原節三

    証人日野原節三君) はい。そういう目的のために、又急速に完成しないと完成ができないというような結論を持つてつたものですから、その意味におきまして、いろいろ止むを得ない犠牲を拂つた。こういう氣持でございます。
  483. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事業を完成させるということは結果においては肥料を早く増産する態勢におきたい。こういうお氣持でございますね。
  484. 日野原節三

    証人日野原節三君) 誠に有難いお言葉で、その通りでございます。
  485. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時の日本の情勢としては一日も早く肥料を農民に十分に分けて與えなければならん。そういうようなお考えから來たわけですか。
  486. 日野原節三

    証人日野原節三君) はい。そうでございます。
  487. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう目的であつておやりになつたあなたの撰ばれた手段が從來のよくある事例よりは、少しく大胆且つ派手におやりになつたように見受けられるのですが、そういう点はどういうお考えつたんですか。
  488. 日野原節三

    証人日野原節三君) 自分でも毎朝早く起きまして太陽を拜むような氣持で最善を盡したつもりでございますけれども、何分にも経驗も未熟でございますし、いろいろ欠点ばかりの人間でございますから、しよつちよう過ぎたり、及ばなかつたり、まあ結果がそういうことに來たと、こう思つております。特に世間を騒がし、大事な方に怪我をさせたということは、深く責任を感じ世間に対して謹愼しておる次第であります。
  489. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特別にこういう立場だから派手にやらなければならん、大掛りにやらなければならんというようなお考えがあつたわけではないのですか。
  490. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういう考えはみじんもございません。
  491. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただひらたい氣持でおやりになつたわけですね。
  492. 日野原節三

    証人日野原節三君) は、そうでございます。
  493. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことにお使いになつた費用というものは相当多額に出ておりますですか。
  494. 日野原節三

    証人日野原節三君) どのくらい出ておるか分りませんが……
  495. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがお書きになつたと思われる写しですが、これをちよつと一覽して頂きたいと思います。機密費関係一覽表というのですが……
  496. 日野原節三

    証人日野原節三君) これは私が書いたものではございませんが、確かに拘置所におきまして、去年の十二月に檢察廳の調べのときにいろいろ材料も拜見いたしまして、私の陳述したものだと思います。
  497. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これによりますと総額九千三百二十七万円ですか……、という額に上つておりますですな。これは前段申上げましたような趣旨の下に使途されたものですね。
  498. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます。
  499. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとその会社の経理の上においてどういうふうに扱われておるのですか。
  500. 日野原節三

    証人日野原節三君) 御案内のように制限会社で、経理や何かがいわゆる枠がはつきりつて、又経理の処理方法も決つておるものでございますから、買わないものを買つたことにしたり、いろいろ経理の常道でない裏道を考え出しまして作つたのでありまして、その意味におきまして、制限会違反に問われておるのであります。
  501. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 帳簿の形の上においては何らかの目的のために消費されておるわけですね。
  502. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうです。
  503. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家を買つたとか……。
  504. 日野原節三

    証人日野原節三君) これの中で田端の寮というようなのは、或いは正当に処理し得るものであるかとも思いますが、その中で或る程度まで正当に処理し得るものもあるかと思いますが、……
  505. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 制限令違反の問題はここで追求するわけではありませんから。……それは法律上の解釈は又別個にございますから……。一應は帳簿の上においてはそういう饗應とか機密費とかいうようにはお書きにならんでしようね。
  506. 日野原節三

    証人日野原節三君) 書いてないはずでございます。
  507. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何らかの費途の仮裝の名目をつけたわけでございますね。
  508. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうです。
  509. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような金を例えば政界方面とかいう方面と出される時、やはりそれに対してはあなたからどれ程という御指図があるわけですか。
  510. 日野原節三

    証人日野原節三君) 大体全部相談に乘つてつたと思います。
  511. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですか。相談を持つて來る人は……
  512. 日野原節三

    証人日野原節三君) 当時の首脳部の極く少数の二、三でございます。
  513. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような方ですか。
  514. 日野原節三

    証人日野原節三君) 例えば当時取締役総務部長をしておりました藤井孝とかいう人達で、他は、藤井以外には余りなかつたと思います。
  515. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えば政界方面に出すというような場合は、どういう目的になるわけでございますか。
  516. 日野原節三

    証人日野原節三君) あの会社は御承知の通り、当時は肥料工場の建設ということが最大の目的であつたのでございますが、その肥料工場の建設がスピーディに速度を強く、工合よく行くということに関して全力を集中しておつたのでございます。その目的の下には、そういう金を費つたことはありますけれども、その他のことには費つたことはないのでございます。こういう只今の記憶では持つております。要するに肥料工場の建設のために費つたものであります。
  517. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 肥料工場の建設発展のためにお費いになつたということになりますが、その当時政界方面にそういう関係の法規でも出ておつたのですか。
  518. 日野原節三

    証人日野原節三君) 法規ですか……
  519. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方の会社に関連性を有する法律というものが出ておつたのでございますか。そういうことはないでしよう。
  520. 日野原節三

    証人日野原節三君) なかつたと思います。
  521. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとどういうことになりますか。
  522. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういう法律とか何とか、そういうものは予想しておりませんでした。
  523. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると要するにこういうわけじやないですか。具体的な、何か依頼することがあつて、そうしてそういう金を出されたというのではないというのですか。何か具体的な目的があつて出されたのですか。
  524. 日野原節三

    証人日野原節三君) 目的は昭和電工の肥料工場の建設に関する融資、そういう問題に関して邪魔の入らないようにしたい。工合よく行くようにという目的です。
  525. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 積極的な目的はないけれども消極的な目的ですね。
  526. 日野原節三

    証人日野原節三君) 或いはまあ消極的といつた方が正確かと思います。
  527. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう立法とか、そういう契約があるとかいうものを完遂して貰いたいとか、実現して貰いたいという意味でなくして、むしろ邪魔をされないように、こういうのですね。
  528. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます。
  529. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 具体的に今当面邪魔するような問題が起つておるわけじやなかつたのですね。
  530. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます。
  531. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたの先におつしやつたように先物を買つておるわけですか。
  532. 日野原節三

    証人日野原節三君) 具体的な邪魔、そういうものも多少予想されましたから費つたわけでありますけれども……。
  533. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か予想されるようなことがあつたですか。
  534. 日野原節三

    証人日野原節三君) 二、三でございました。
  535. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなようなことが……。
  536. 日野原節三

    証人日野原節三君) 例えば社会党の一部とか、それから当時の自由党の一部とか、そういうような方面に関しまして二、三昭和電工の肥料工場の建設に関して反対もあり、反対の声もあつたのでございます。
  537. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうようなことですか。
  538. 日野原節三

    証人日野原節三君) 例えば社会党の稻村順三代議士等のあの当時における鉱工業委員会委員会における言説等はその一例でございます。又これは政党、議会関係はつきり誰とは申上げられませんが、川崎工場の第二次と申しますか、新らしい建設の方なんかに対する反対の声が財界消息筋に相当ありましたし、それを反映しまして議会、政党方面にも相当反対の声があつたということは、まあどなたがどうと申上げられませんけれども、確かにあつたと思います。
  539. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう声を止めさせるという意味ですね、そういう積極的なあれもないのですか。
  540. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういう声に対して、まあ消すために二、三手を打つたわけであります。余り効果的でなかつたかも知れませんが、そういうことにおいて政党方面に使つた金が、少しはあるという程度です。
  541. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その方面の工作は、やはり藤井氏を通じたわけですね。
  542. 日野原節三

    証人日野原節三君) 藤井君が、当時の藤井取締役が主でございます。
  543. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどの方面へ、どういう人へ行くということは、御了承であつたのですか。働きかけるということは……。
  544. 日野原節三

    証人日野原節三君) そう大して、今顧みまして活溌な働きかけは、結果においてはなかつたと思います。
  545. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特定の人をあなたが名指して、こういう方面へ働きかけろと言つたことは、あつたのですか。
  546. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういうことはございませんでした。
  547. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井氏が独断で工作されたことですか。
  548. 日野原節三

    証人日野原節三君) ときどき報告及び相談は受けましたが、或る程度まで任して置いたというのが、現実だと思います。
  549. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この檢察廳方面へ働きかけられましたね、先般もちよつと伺いましたのですけれども、それは重政氏、石井氏を通じてなされたわけですね。
  550. 日野原節三

    証人日野原節三君) まあ働きかけという程、積極的なものではないのでございますが、この点に関しましては、先般委員長にお答え申上げた程度でありまして、それ以上のことは今日ちよつと思い当りません。
  551. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ大体その点は、この前お伺いしましたのですけれども、この警視廳方面ですね、水池、入江、この両所を介して警視廳方面へ働きかけたのも、あなたのお考えですか。
  552. 日野原節三

    証人日野原節三君) そう積極的に、結果論かも知れませんが、働きかけたという程、動いて呉れなかつたと思います。
  553. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結果は、あなたが企図されたか、されなかつたか知りませんけれども、結果においては余の明瞭でないですけれども、少くともそういう動かすというところの行動には出られたわけですね。
  554. 日野原節三

    証人日野原節三君) 当時、会社の嘱託をして頂いておつたのでありますが、まあ嘱託というよりは私の学校の先輩として、先輩が後輩を心配するというようなことで、多少動いて下すつた程度でありまして、そう活溌な働きかけとか、動き方というものはなかつたと思います。
  555. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 独断に、そういう警察関係の出身の、こういう官僚諸君をあなたが選定して、相談役か、顧問かにして入社させられるということから考え併せまして、そういう方面にこれを活用させるために、お入れになつたのではないですか。まあ仕事の結果は別問題として、意図はそこにあるのじやないですか。
  556. 日野原節三

    証人日野原節三君) 活用ということになると、非常に積極的な言葉になりますが、まあ……
  557. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそういう他日の用に当てるという意味かも知れませんが……
  558. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます、そういうような非常にまあ意味の軽い意思という程度であります。
  559. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 頭山氏、丹羽氏、これは右翼関係についてのあなたの工作ですね。
  560. 日野原節三

    証人日野原節三君) 頭山さんは、私七年か八年か前から知つておりますのですが、丹羽さんは去年の、誠に記憶がだらしないのでありますが、去年の三月くらいからのお近附きかと思います。先程の藤井君が頭山さんとは特に深い関係がございまして、まあ藤井君が主としていろいろ動いて呉れました。
  561. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井さんを通じて頭山氏を動かしたということは、右翼團体があなたの事業に対して、反対の氣勢を示しておつたから、それを抑えるためではなかつたのですか、若しくは右翼の関係者が……
  562. 日野原節三

    証人日野原節三君) そこまでの右翼……、そこまでということはありませんが、そう右翼関係の強い反対というようなものは、その当時余り感じておりませんでしたが、その方面にも多少努力を拂つた方がいいというわけでありまして……
  563. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに手を打つて置いた方が良い、先手を打つて置いた方が良い……
  564. 日野原節三

    証人日野原節三君) 先手というまでは参りませんけれども、そういうような手を打つた方が良かろう、こういうわけでありまして。
  565. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くとも津雲某、これらがあなたを非常に反撃しておつたという兆はあつたのではありませんか。
  566. 日野原節三

    証人日野原節三君) 津雲さんが、そういうような動きがあるということは、風の便りというようなことで伺つておりました。
  567. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから右翼の頭領の人を、抑えて置いた方がよかろう、こういう考えないんですね。
  568. 日野原節三

    証人日野原節三君) 頭山さんにお願して、そういう方面の釈明と言いますか、努力したという程度でございます。
  569. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秩父工場の渡邊幸吉、これはどういうふうにして解決したのですか、解決條件ですね。
  570. 日野原節三

    証人日野原節三君) その当時の第二工務部長の松本という常務と、先程の藤井君とで相談して解決したと思いますが、私はその解決につきましては、後から報告的な相談を受けただけでありまして、解決の途中にはタッチしておらなかつたような記憶であります。
  571. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれにしても解決したわけですね。
  572. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうです。大分時間がかかつたような記憶であります。
  573. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その解決條件は御存じないですか。
  574. 日野原節三

    証人日野原節三君) 秩父工場に戰時中から残つてつたソーダ灰か何かを何十トンかやるというような……、ソーダ灰は幾らで……公定でありましたか、何でありましたかで……
  575. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時の金額にしても、相当の金額のものをやつておるわけでしよう。
  576. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます。相当の金額のものが出たと思います。
  577. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何百万円というものが……
  578. 日野原節三

    証人日野原節三君) ソーダ灰の闇値が、あの時分幾らしたか分りませんが、何百万円という程のものではないと思います。
  579. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百万円以下のものじやないでしよう、当時の闇で……
  580. 日野原節三

    証人日野原節三君) あの当時の闇で百万円以下でございましたね。
  581. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以下ですか。
  582. 日野原節三

    証人日野原節三君) と思いますが、的確にそのトン数は覚えておりませんから……
  583. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それによつて解決したのにも拘わらず、秩父工場問題に対していわゆる火をつけにかかつたということはどういうわけですか。その経緯は……
  584. 日野原節三

    証人日野原節三君) 余りその間の事情を私的確に把握しておりませんが、渡邊君がちよつと変つた行き方の人でありますし、又非常に変つた感情があつたものでありますから、それがいろいろのあの当時の事情と結び付いて、ああいう反対運動になつたと思います。
  585. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれはあなた個人に対する反対ですか。或いは会社の乘取りとか何とかいう経済上の問題から來ておるのですか。
  586. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私の個人に対する反対の方がウエイトが重かつたと思います。
  587. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その結果いわゆる秩父方面のあの問題を抑えるという揉み消しという方策に出られなかつたのですか。当時弁護士の人が、先の檢事正ですか、何かをやつてつた人が、浦和の裁判所か熊谷の裁判所に行かれたことはなかつたのですか。要するに直接衝に当つておる田上檢事をおさえにかかつたわけじやないのですか。そういうような工作をなさつたわけでしよう。
  588. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私ちよつと聞いておりませんでしたが……
  589. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですか。誰かそういう工作をされたのでしよう。藤井君か誰か……
  590. 日野原節三

    証人日野原節三君) 誰か工作をしたかも分りませんが、私聞いておりません。
  591. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは弁護士の人も御存じないのですか。元の檢事正をやつてつた、埼玉の檢事正をやつてつた……、御記憶ないのですか。
  592. 日野原節三

    証人日野原節三君) ちよつと記憶がございません。
  593. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廰関係についてはその他に、先程おつしやつた以外にあなたとしてお働きになつたことはありませんか。
  594. 日野原節三

    証人日野原節三君) 先般病床で申上げた以外にはございません。
  595. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ないのですか。
  596. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。
  597. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 石井を通じまして赤松貞雄に働きかけたということは、あなたは関知していらつしやらないのですか。
  598. 日野原節三

    証人日野原節三君) 赤松さんにお願いしたことは、私よく相談も受けましたし、報告も受けておつたと思います。
  599. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから元中將の人ですね、そういう人を通じまして、内務省関係、警視廰関係に対して或は働きかけたのじやないのですか。
  600. 日野原節三

    証人日野原節三君) 赤松さんですか。
  601. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  602. 日野原節三

    証人日野原節三君) 聞いておりません。
  603. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 赤松さんはその他政界の方も関與しておられるようですが、御記憶ないのですか。宮田義弘という人を通じまして、それから今松治郎ですか、元警保局長、こういう人を通じまして警視廰幹部に働きかけたのでしようか。そういうことは……
  604. 日野原節三

    証人日野原節三君) 今松さんか何か当時の警視総監か何かに会われたという話を伺つておりました。或いは当時の藤田刑事部長あたりにもお会い下すつたかも知れませんが、余り的確に誰とどういうようにしたということは伺つたことはございません。
  605. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそういうような各方面から見て、警視廰に働きかけられて何か情報を得られましたですか。
  606. 日野原節三

    証人日野原節三君) 今顧みまして大した情報がなかつたというのが本当の現実のことかと思いますが……
  607. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから昭電に対しまして警視廰がどの程度捜査の手を進めておるかということくらいは御了承になつたのですか。そうじやないのですか。
  608. 日野原節三

    証人日野原節三君) 入つて來ます情報が非常にまちまちでございまして、東を向いている情報が出るかと思えば、その同じ瞬間に西に向いている情報があるという有樣で、今考えますと余り的確なものを掴んでおらなかつた……
  609. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結果的にはそうでしようが、とにかく違つておるものにしても、何にしても……
  610. 日野原節三

    証人日野原節三君) 何か入つて参りました。
  611. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か入つたのでしようね。折角頼んだのですから……。頼んだ人も顔が立たんですから……
  612. 日野原節三

    証人日野原節三君) 入つて参りましたが、余り的確なものは入つて來なかつたと思いますが……
  613. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今は別として、その当時として、まあ事実いろいろな、嘘も誠も実合わした報告が入つて來るわけですね。
  614. 日野原節三

    証人日野原節三君) 嘘か誠か当時は……、今になつても分らんのですが、結果におきましては余り的確でなかつたというような結果だと思いますが……。
  615. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは一月頃から三月頃までの間ですか。
  616. 日野原節三

    証人日野原節三君) 二月末あたり……。
  617. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二月頃ですか。
  618. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。
  619. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秩父事件が起つてからですね。
  620. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます。
  621. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると檢察廳の方から……まあ檢事総長ですね、檢察廳の方から警視廳へその搜査を内命したということは御存じつたのですね。いろいろな情報が入つて來る関係上ですね。
  622. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ、五月二十五日と二十六日に帳簿の押收がありましたのですが、その帳簿が全部警視廳へ行つたということは聞いておりましたが、その帳簿の大部分らしいものが警視廳へ行つたというようなことを聞いておりましたから、檢察廳の命令を受けて警視廳が動いたということは想像しておりました。
  623. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余り警察の方の、警視廳の情報が洩れるから、いわゆる搜査の内命したことが洩れて來るから、警視廳から檢察廳の方へ事件を取上げたということは御存じでしたですか、当時……
  624. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私が檢挙されるまでそんなことはなかつたと思います。
  625. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう情報は入つて來なかつたですか。警視廳の方は尻まくりになつて、今度は檢察廳の方が搜査をするのだという情報は入らなかつたのですか。
  626. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私が檢挙されるまでにそういう情報はなかつたと思います。
  627. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんなような情報があなたにうすうすでも入つて、それで今度は檢察廳方面にいろいろ働きかける、情報入手のあれとして働きかけるということになつて來たのじやないのですか。これは檢察廳方面に相当知己を求めなければいかんということになつたのじやないのですか。
  628. 日野原節三

    証人日野原節三君) 原因はそれではないと思います。檢察廳方面でも、とに角あの電工の建設をよく理解して貰うということが先決問題だと考えたためにやつたことでありまして、むしろこの事件をどういうふうにしようとか、こういうふうにしようとかいうような考え方で、檢察廳の方に手を打つたというようなことは余りないと思います。
  629. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれにしたところが、檢察廳に手をつけるとか、檢察廳が搜査するとかいうことになりますと、会社の運営においても支障を來しますから、それに対して少くとも会社の実態というものを了解を得たいということは、あなたのお氣持から分るのですが、それで時間の関係から推しても、最初警察廳の方に盛んに働きかけていらつしやつて、それから三月の、ちようど内命が今度取上げられる頃になるというと、鋒先が檢察廳の方にずつと集中されておるように見られるのですが、檢事の御招待がそれから頻繁に行なわれておりますがね。
  630. 日野原節三

    証人日野原節三君) 或いは結果においてそうなりましたので、別にそういう……
  631. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 情報入手によつてなされたわけでもないのですか。
  632. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうではないと思います。
  633. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから今の檢察方面に対する会社の立場を明らかにするという意味以外に、檢察権の行使について、或る程度まで緩和とか、或いは搜査の打切りとか、そういう点まで意図されたのではないのですか。
  634. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私会社の外の人間の考えはどうか知りませんが、私個人といたしましては、この問題がどういうように片附くか、まるつきり見透しが当時付かなかつたものでございますから、事件の進行するという一つの波に関しては、まあ自然に委せまして、それでただ電工の経営とか、電工の建設の実態というものを知つて貰う外ないのだというところに、そう思いまして主力を注ぎましたのでありまして、私個人といたしましては、事件をどういうふうに收めるとか、こういうふうに收めるとかいう考えはありませんので、その点は誠にずぼらと申しますか、考えによりましては粗雜と申せましようし、そんなような考えであります。自然に事件の発展をそのままに委しておいたつもりでございます。
  635. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういたしますと、事が事件のまだ明るみに出ない前に、殊更檢察廳関係の高官の人ですね、そういう人で止めて弁護士になつた人、黒川とか、松阪とか、或いは桃沢というような檢事出身の人を特に事件発生前に御依頼になつて來たということはどういう趣旨によつてつておりますか。そういう人の前官を利用して檢察方面に対するところの圧力を加える、圧力といつては護幣があるかも知れませんが、何らかの便宜を得るという意図ではなかつたのですか。
  636. 日野原節三

    証人日野原節三君) 結果においてはそう論議されておるのでございますが、あの当時の氣持といたしましては、まあ電工の会社の瓦解からいつて、その程度の弁護團が要るのじやないかという漠然たる考えからやつたのでありまして、誠に無知な話でありまして……
  637. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 漠然とお考えなつおいでなつたか知れないが、期せずしてそういう人のみが選ばれて、而も現職檢察官の上にあるような人ばかりを選ばれておるのですが……
  638. 日野原節三

    証人日野原節三君) 或いは弁護士の中の一、二の方にはそういう地位があるかも知れませんが、我々会社の当事者といたしましては、会社がこれだけの瓦解だからこの程度だろうという極く幼稚な考えでおつたわけです。
  639. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 普通常識的に考えますと、事業経営や経済界に明るい人をも加えていなければ弁護士團としては完成していないように思われますがね。
  640. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういう……
  641. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特段にこの方々が経済事犯に対して知識が廣いとも考えられませんが、この人達を選定した目標は今の前官を目標にしたのではないですか。
  642. 日野原節三

    証人日野原節三君) 仕事一本槍で私共参つた人間で、私にしても藤井にしても外の取締役にいたしましても、仕事一本槍でやつて來た男でございまして、こういう事件に関する善処とか見透しとか、それから判断というものが、今もそうでありますが、誠に愚鈍で下手でありまして、或いは委員長が今おつしやるように、いわゆる玄人的な意図というものが余りなかつたわけでありまして……
  643. 伊藤修

    委員長伊藤修君) でもあなたは会社の興隆ということに対しては身命を賭しておやりになつている氣持はよく分りますが、して見れば尚更大切なことですね。それによつて会社が瓦解するかどうかという岐路に立つているというふうな場合ですから、從つてその事を未然に防ぐか防げぬかということは会社の生死にかかる問題ですね。弁護士にも相当の考慮が寄せられる筈でありますね。その場合に会社本來のことを度外視したような弁護士の選び方というものは、何だかそこにその人達の非常に前に大官を利用して、檢察廳に対して何らかの意図があるように考えられるし、又少くとも何か情報を知るという、便宜を得るというふうにも考えられますがね。
  644. 日野原節三

    証人日野原節三君) そこまでの考え方は誠にあれでありますが、その当時はございませんでした。
  645. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 言論界方面へはたらきかけられましたことはどういう意図ですか。
  646. 日野原節三

    証人日野原節三君) 今から顧みまして誠に言論界方面に対する我々の努力というものが、仕事一本槍というようなことに集中いたしまして、努力が誠に至らなかつたことを痛感しているのでございますが、これも結果論かも知れませんが、努力も大してやつておらなかつたというのが実態であつたと思います。
  647. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くともはたらきかけることはやつたわけですね。丸山四郎氏を通じて……。
  648. 日野原節三

    証人日野原節三君) 極く僅か……。大したはたらきかけはしなかつたと思います。
  649. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ相当の金を渡しておりますからね。
  650. 日野原節三

    証人日野原節三君) これは私昨年保釈になつてから、出てから聞いた話ですが、私の檢挙前に大して使つておらなかつた……
  651. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですか。
  652. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。
  653. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 関係方面に対するところのたはらきかけは……。関係方面ですね、
  654. 日野原節三

    証人日野原節三君) ……
  655. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 総司令部方面ですね……
  656. 日野原節三

    証人日野原節三君) この事件に対してですか。
  657. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  658. 日野原節三

    証人日野原節三君) 事件関係ではありませんでした。
  659. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたの、いわゆる指図によつて動いている人があるんじやないですか。
  660. 日野原節三

    証人日野原節三君) 去年、事件が或る程度まで進行してからでございますか。
  661. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 進行する前、檢挙になる前ですね。
  662. 日野原節三

    証人日野原節三君) 事件に関してはなかつたと思います。
  663. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か田中隆吉さんの方で、人を煩わしておるんじやないのですか。
  664. 日野原節三

    証人日野原節三君) 聞いておりませんでした。
  665. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中隆吉さん以外にも相当煩わしておるんじやないのですか。
  666. 日野原節三

    証人日野原節三君) 先程の石井君か、何か二、三そんな何か司令部方面に動いたとかいうようなことを言つた記憶もあるんですが、はつきりどなたという名前は今ちよつと記憶にございませんが……
  667. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは拘束を受けられている間に伊藤戒護課長、黒田看守、清田看守、彌富巡査、これは警視廳の方ですね。こういう人と外部連絡をおとりになつたんですね。
  668. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。
  669. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは、それに違いないですね。
  670. 日野原節三

    証人日野原節三君) 間違いございません。
  671. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又太田弁護士を通じて外部連絡をおとりになつたわけなんですね。
  672. 日野原節三

    証人日野原節三君) 多少……。この点は御勘弁を願います。
  673. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ弟さんに頼んだことはあるわけですね。
  674. 日野原節三

    証人日野原節三君) まあ一つ……
  675. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 逮捕状問題ですが。
  676. 日野原節三

    証人日野原節三君) 逮捕状……
  677. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。どうも逮捕状が出るということは、先にもちよつとお聞きしたわけだが事前に洩れておるんですがね、こうはどうです率直におつしやつて頂けませんか。
  678. 日野原節三

    証人日野原節三君) 逮捕状が出たというまでの話は、私聞いておらなかつたわけであります。非常に危險だ、出る一歩行前ぐらいまで行つているという話は、前の日から聞いておつたわけです。逮捕状が出たという話は私聞いておりませんです。
  679. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうもあなたの行動や、その他の方の、集合状態や、いろいろなことから集約して参りますと、事前にあなたが御了承あつたように考えられますですね。殊にこの前これについてお伺いしたいときにも、電話が二三、名も知らん人からかかつて來たとか、逮捕状が出たとか言つているお言葉から推察いたしまして……
  680. 日野原節三

    証人日野原節三君) 二、三直通の電話は前日の六月二十二日の午後一時頃かかつて來たことは事実でありますが、その後社内関係の連中、会社関係の連中からの話は、逮捕状が出たというような話は、私檢挙されるまで聞いておりませんで、非常に危險だという話は聞いております。
  681. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたの御了承あつたことは名も知らん人からの直通電話によつて逮捕状が出たということを聞いたこと以外には外からは入つて來なかつたのですか。
  682. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうときの電話も確かに出たというような話でございましたけれども、私は多少樂天的な人間なものでございますから、これはまだはつたりではないかというような氣持で電話を受けておつたような状態でありまして……
  683. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからあなたのお氣持はどうあろうとも、少くとも電話がかかつて來たということは事実ですね。
  684. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。それは確かにかかつて参りました。
  685. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは二回ですか。
  686. 日野原節三

    証人日野原節三君) 二三度電話がかかつて來たと思います。
  687. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長室の直通電話にかかつて來たんですか。
  688. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうです。
  689. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一番初めは何時頃ですか。
  690. 日野原節三

    証人日野原節三君) 十二時半から四十分ぐらいまでの間と一時半までの間。
  691. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつの……
  692. 日野原節三

    証人日野原節三君) 二十二日の。
  693. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから次は。
  694. 日野原節三

    証人日野原節三君) 十二時四十分からそれから二時近くまでの間に、三度ぐらいかかつて來ました。
  695. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その間に連続して……
  696. 日野原節三

    証人日野原節三君) そう、連続してです。皆違つた声でございます。
  697. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると三回とも人が違うわけですね。
  698. 日野原節三

    証人日野原節三君) 違つた声でございます。
  699. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたの情報の何人かから來たわけですね。
  700. 日野原節三

    証人日野原節三君) それが全く声が見当つきませんし、今も誠に疑問に思つておるんでございますけれども……
  701. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの想像ではどういう方面から來たとお思いになりますか、まあ的確なことでないでしようけれども……
  702. 日野原節三

    証人日野原節三君) 新聞雜誌関係の方のような氣もするんでございますけれども、それはまあ全然どういう関係だか、今も見当つきません。
  703. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 見当つきませんか。
  704. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。
  705. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当年配のような声ですか、若いですか。
  706. 日野原節三

    証人日野原節三君) こちらとしては三十歳前後ぐらいの声のようでした、三回とも。
  707. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 比較的中年の人の……
  708. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ、年配の声ではなかつたように思います。
  709. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの側近の人からはお聞きにならないですね、直接……。まあ先達て聞かないというようなお話でしたけれども……
  710. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ、それ以外にはございませんでした。
  711. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 太田さんなんか御存じやなかつたんですか。
  712. 日野原節三

    証人日野原節三君) 太田弁護士は午後四時か五時頃見えまして、とても危險だとかいつておりましたですが、まだ逮捕状が出たとか何とかいうことは全然話はございません。
  713. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 中野先生あたりからは……
  714. 日野原節三

    証人日野原節三君) 中野先生とは秩父工場のことで一度お目にかかつたり、それから夜一二度お会いしたことはありますが、逮捕状が出るということは全然連絡はございません。
  715. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 翌日松阪さんのところにいらしつたんですね。
  716. 日野原節三

    証人日野原節三君) 二十二日の晩に松阪さんにお目にかかりました。
  717. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その時お聞きになりませんでしたか。
  718. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういう話は全然ございません。
  719. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井君は夜あなたのところにいらしつたんですね、遅くなつて……
  720. 日野原節三

    証人日野原節三君) 夜中に見えたような氣がするんです。
  721. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは藤井君はどこから聞いたというんですか。
  722. 日野原節三

    証人日野原節三君) 今朝実は調書を引繰り返して見まして、丸山四郎さんと書いてあるんですけれども、四郎君から聞いた話では……最近よく考えて見ますと、藤井君が何といいましたか、こつちも寢入ばなを叩き起されて、今となつ考えて見ますと、丸山四郎ではないような氣がするんです。ちよつと多少上つてつたといいますか、きつと眼でも吊り上つたような状態であつたのではないかと思いますので、はつきり記憶はございません。
  723. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると藤井君の方は分らんとしても、あなたとしては、電話以外はお聞きになつていないわけですね。
  724. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ、非常に危いということはよく聞いておりましたが、逮捕状は……
  725. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあその逮捕状の情報は、警視廳方面ではないわけですね。
  726. 日野原節三

    証人日野原節三君) 警視廳方面じやないと思います。
  727. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廳方面じやないですね。
  728. 日野原節三

    証人日野原節三君) ないと思いますが、そこまではつきり申上げていいかどうか、私自信がないのです。
  729. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからまあそういうような事項は、御承知の通り極く祕密にあれはやつたものですから、檢察廳方面からでなければ出る所はないですからね。
  730. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。
  731. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政界方面でないことは明らかだし……
  732. 日野原節三

    証人日野原節三君) ただ警視廳にあの当時津田、野見山両氏、それから砂原、佐藤両名が警視廳にも檢挙されておりましたのですが、そんな方の匂いからも私の所へ直接かかつて來るのじやないかというような匂いがあつたものですから、或いはそういう方の匂いから出た噂と申しますか、情報があつたとも思うのでございます。
  733. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、あなたの逮捕状は警視廳の方には知らしてないのですからね。逮捕状を執行するまではね。だから前に分る筈がないのです。
  734. 日野原節三

    証人日野原節三君) そうでございます。それはもう……。ただ逮捕状というようり、引つ張られるという公算が非常に多くなつたというような意味の情報だつたと思うものですから、或いは警視廳の方からの調べの動きやなんかを早耳で聞いて來た人が言つてつたのかもしれません。檢察廳とは限らないと思います。
  735. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それならば、三回を続けて來る、そこら中から入つて來るということもないですね。
  736. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ。その三度の電話は、今も非常に不思議に思つているのですが……
  737. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 芦田さんの祕書の福島という人は御存じですね。
  738. 日野原節三

    証人日野原節三君) あの方は、私の存じ上げている福島さんは、確か官房次長をしておられました。
  739. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 官房次長の……、御存じですね。
  740. 日野原節三

    証人日野原節三君) 一遍お目に掛かつたことがあります。
  741. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人に会つてお頼みになつたことがあるのですね。
  742. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私の口からは、お願いをするところまで行きませんで、初対面で一席やつたという程度でございます。私の口からは……
  743. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かそのときに前社長をあなたの間の、要するに仲直りというのですか、了解というのですか。そういうことをお頼みになつたのじやないですか。
  744. 日野原節三

    証人日野原節三君) そこまでの話になつておらなかつたかと思いますが、まあ談笑の間に、日本人同志だから皆仲良くせにやいかんなあという話だつたと思います。私もまだ初対面でございまして、そこまでのところをお願いするというような氣持になつておりません。
  745. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 官房次長を通じて檢察廳方面へ働きかけるということはございませんでしたか。
  746. 日野原節三

    証人日野原節三君) そういうことはございません。
  747. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう話はなかつたのですか。
  748. 日野原節三

    証人日野原節三君) 全然ございません。
  749. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから岡崎英城という人御存じですか。
  750. 日野原節三

    証人日野原節三君) 岡崎英城ですか。はあ。
  751. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人を通じて藤田部長とお話になつたことがあるのですか。
  752. 日野原節三

    証人日野原節三君) はあ先般病床でちよつとその点を申上げたと思いますが、そういう記憶はございます。
  753. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときにはどういうお話をなすつたのですか。
  754. 日野原節三

    証人日野原節三君) 帳簿を挙げられましたから、さつぱり警視廳の動きが分からんものですから、警視廳の方の極く大雜把な上の方の動きというものをできたら知らして欲しいというようなわけで、藤田さんあたりに会つたのですが、余り具体的なお話は伺わなかつたと思います。
  755. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤田さんとは相当御懇意ですか。
  756. 日野原節三

    証人日野原節三君) 私が……
  757. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  758. 日野原節三

    証人日野原節三君) いえ、一遍お目に掛つたきりです。
  759. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんな程度ですか。
  760. 日野原節三

    証人日野原節三君) その程度です。
  761. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 後は外の人を通じてお話になつたのですか。
  762. 日野原節三

    証人日野原節三君) ええ。
  763. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたとしては一遍ですか。
  764. 日野原節三

    証人日野原節三君) 一遍です……、一遍も極く朝二十分と、留置場に入る日に一遍お目に掛つて二度であります。
  765. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 留置場に入る前というのは、檢挙されてから向うで職務上会つたのですか。
  766. 日野原節三

    証人日野原節三君) 警視廳の部長の部屋に行つて挨拶して、それから入つたのです。これは通例らしいのです。
  767. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは通例ですね。
  768. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 この問題につきましては、大変長い間お心を痛めておいでなつていることと存じます。更に私のこういう質問をすることは確かに酷のようでありますけれども、決してそういうことではありません。好意でございますから、そういうふうにお聽取り願いたいと思います。  日本で一番大きい肥料会社の社長をしておられたあなた樣が、日本の肥料の増産の事業を至急に完成さしたいという熱意を持つておいでなつたと言われておりました。國民全部はその氣持つはよく分るのですけれども、特にそう急がなければならない理由が、國会における委員会においての委員の発言が、將來復金の金は少々貸出しを制限しなければならないというふうな話があるから、ぐずぐずしたならば借りられなくなるだろうから今のうちに金で以て政党を動かしてと、こういうふうなお考えがお起しになつた動機でありますけれども、あなた樣は、政党人が今こういうことを考えることは國家のために間違つているのであつて、日本がどうしても肥料の増産を急がなければならない、而もそのためには復金の金がかけ替えない大切なものですけれども、手段が惡いけれども、自分の方は國家的にこうするより仕方がないというような大きな信念のために動かれた、いわゆる目的のためには手段を選ばないというような思想をふだんにお持ちであつたかどうかということをお尋ねしたいということと、一つは、一番最初に、最近の御心境を洩された中に、自分の至らないために有名な人を二、三傷付けたことについて申訳なく思つておるということをお洩らしになりました、私の考えでは傷付けられたという有名人が自分に欠点があつたとするならば問題でありませんけれども、もつと大きいことは、あなた樣が日本の議会における嚴粛なる民主政治の円満なる発達を、あなた樣の暴力的な行爲によつてこれを曲げようとしたところに大きな問題があるのであつて、これはあなた樣が痛切にお考えなつていらつしやるかどうか。附加えますことは、丁度二・二六事件以前におきまして、日本の金融資本及び財閥が日本の政党と結託いたしまして、日本の政治を冒頭いたしましたのが原因でフアッシヨの擡頭になつて、今日の敗戰のみじめな原因を成しておるというようなことを勘案いたしますときに、頭なた樣のなさつたいわば暴力的な行動によつて日本の民主政治をまげようとした、そこにむしろ大きい反省すべき点があるように存じます。若干の人間の名誉を傷つけるどころの問題でないように私は存じますけれども、それについてあなた樣はどういうお考を持つておいでになりますか。
  769. 日野原節三

    証人日野原節三君) 誠にお尤な御説でございまして、謹んで謹聽しておるわけでありますが、あの当時の私の氣分といたしましては、御承知の通り九原則というもので昨年の暮を一つのポイントとして産業界の情勢が変貌と申しますか、一つあるわけでありますが、私昭和電工に入りましたときにあの肥料工場の建設状況を見まして、これはもう如何なる努力を拂つても早く建設して肥料の増産をしなきやならんという積極的な面と、それからもう一つは当時昭和二十二年四月、五月、六月、七月というような議会の状態はいわゆるインフレーションに対して効果のない手を日本の官民が打つておるというような時代で、インフレーションはいわゆるインフレーションの相貌を果然の姿で発揮しておつたわけでありますが、そのインフレーションというものが、これは前大戰直後のドイツのインフレーションの相貌をよく研究いたしましても、今度の日本の戰後のこの通貨の増発の状態を研究しましても大体当時の経済界の有識者が、これがワシントンから打たれる手であるか、司令部で打たれる手であるか又 或いは日本における一部の経済人から打たれる手であるか、どつから打たれる手であるのか知らないけれども、この状態では絶対いかん、必ず二十三年において中期と申しますか、二十三年の五、六月頃からは激しいデフレーションに入らなければならないような状態になるということは、これは当時消息通の一致した見方でありまして、從つて厖大な建設を要する電工を早く肥料を出すと同時に建設を完成するためにはどんなことをしても半年の危險期を見ますと二十二年の暮までの間に建設の見透しをつけ、資金の手当をやつてしまわなければならんと、こういうのが電工におきましても、余人は知らず私の確信と信念であつたわけでありまして、そのために相当無理をしたというのが主でありまして、只今の御説のような議会方面政党方面財界消息通筋の方面お方の反対というものも手痛かつたには違いありませんけれども、私の当時顧慮しましたことは、昭和二十二年中にとにかく建設の見透しをつけ、資金の用意をしちまわなきやならんと思つたのが当時の私の信念と確信でありまして、そのためにあらゆる無理をしたというのが、いろいろ今日になつてこういう大事件を起したという結果になつたのであるとこう考えております。  次に只今の大事な筋の方にお怪我をさした、傷付けたということは日本がこういう民主政治で議会中心主義の時代における言説としては誠に不謹愼とおつしやられてもこれは弁解の余地ないことでありまして、これは私の個人の心情から出た世迷い言である、一刑事被告人のつまらないつぶやきであると、こうお考え下されば十分であると思います。  その点は十分反省いたします。
  770. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは今でも社長をやつていらつしやるのでありますか。
  771. 日野原節三

    証人日野原節三君) 一月の上旬にちよつと変則でございましたが、特殊整理委員会委員長の笹山さんのところへ辞表を預けまして、一個人の氣持といたしましては、その辞表が会社の登記面に付されまして登記薄面からも抹消されるということを非常に希望しておつたのでありますが、いろいろの事情上今日まで延びております。これも近々解決されまして登記薄上におきましても消えると思つております。
  772. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると辞表は提出してありますが登記手続はまだ完了しておりませんね。
  773. 日野原節三

    証人日野原節三君) それも手続先は変則でございまして、変則でございますけれども、その点はいろいろの現下の情勢を考えて頂きまして御理解を頂きたいと思います。
  774. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは昭電の第一線から手をお引きになつておるわけでありますか。
  775. 日野原節三

    証人日野原節三君) 特にずつと前に引いておるわけでありまして、單なる浪人でございます。
  776. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは特にお忙しいところを有難うございました。  それからお諮りいたしたいと存じますが、大津地方裁判所におきまして、裁判所の雇員が被疑者を裸体にして、そうして錠をかけと取調べたという事実があつて、それに対して新聞記者の人がそれを報道したところ報道は怪しからんというので、その新聞記者を逮捕監禁の上殆んど死に至らしめるような傷害を與えたというような事実がありまして、それに対して相当の手続を取つたそうですけれども、それがうやむやになつておる状態であるというので、その事実を一應当委員会において委員を派遣して取調べたいというのであります。いかがでございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  777. 岡部常

    ○岡部常君 ちよつと今の檢察廳でなく裁判所の事務員でございますか。
  778. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 雇員でございます。
  779. 岡部常

    ○岡部常君 その事件について大津の檢察廳は本來手を触れておらないわけでございますか。
  780. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは知つてつたでしようけれども、然るべく手続がなされていないようであります。剰つさえその新聞記者を不都合なやつだといつち逮捕しておいてそうして不当な要求をしたらしいのでありますが。
  781. 岡部常

    ○岡部常君 それでは適当な手を打つて頂きたいと思います。
  782. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事実を一つ究明するために議員を派遣することを御承認願いたいと思います。議員派遣の月日と議員の派遣員数と、指名等は委員長に御一任願いたいと思います。それから尚先に参議院の本会議におきまして柏木庫治君が東北本線についての列車取締りについて質問しておりました。当時法務総裁及び総理大臣の答弁によると、相当考慮する旨の答弁があつたようでありますが、たまたまその去る十六日に再びそれが繰返えされ、或いはその間継続しておるかも知れませんが、十六日その一斉取締りの結果婦人の人が心臓痲痺を起して死に至つたという事実がございますから、これは人権擁護の立場からいたしまして事実の眞相を調査いたしたいと存じます。これについても議員を派遣いたしましてその眞相を究明したいと思います。いかがなものでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  783. 岡部常

    ○岡部常君 それにつきましては普通の状況でありますと、檢察廳において、どの程度の調査をしたかということを確めた上に、我々の委員会は活動すべきものだと思います。併しながら今回のは相当事情が緊急を要するように考えますから、やはりこの際適当な手を打つてつて頂きたいと思います。
  784. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 只今の岡部さんの御趣旨を含みまして、今回限り至急一つ調査することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  785. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは派遣議員の数及び人、日にち等については委員長に御一任願つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  786. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尚銚子の高虎事件につきまして相当問題があるらしいのですが、早速調査員をして調査せしめたのでありますが、尚その檢察官、及びそういうような責任ある人々に対する調査調査員としてはできかねるのであります。これも適当な委員の人を派遣して調査することに御異議ございませんか。
  787. 岡部常

    ○岡部常君 その点に触れまして、実は数日前の新聞紙上に参議院法務委員何某、同じく何某という二人が出張して調査しているという新聞が出ておりましたが、あれは新聞記事の間違いだと思いますが、あれはどういう資格で御派遣になりましたか。
  788. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれは勿論事実調査のための下調べのために調査員を派遣して、そういう事実があるのかないのかということを調べたのでありますが、よく新聞が参議院ということを主題において、議員とか委員とかというような間違えるらしいのですが、これは新聞の方の誤りで、勿論本人がそういうようなことを言つたことはあり得ないと確信しております。
  789. 岡部常

    ○岡部常君 あれは御本人はどういうふうな名刺を使つておられるか、これはよく調べて糺さなければならん、これは恐らくやはり法務委員会自身が粛正して行かなければならない問題だと思います。あれは余程世の中に誤解を生ぜしめる虞れがあると思います。
  790. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 調査員という名刺を使つておると存じます。
  791. 岡部常

    ○岡部常君 あれは明らかに読賣新聞は法務委員とはつきり書かれております。
  792. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは間違いだと思います。
  793. 岡部常

    ○岡部常君 ああいう議員が新らしく今度出られたのかどうか私存じませんが、この際ついでに申上げて置きます。
  794. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の地方でもそういう新聞記事を見受けることもあります。例えば参議院議員泉などと出ておる場合もありますが、これは新聞の人の誤まりだと思います。
  795. 岡部常

    ○岡部常君 これを機会にこれは余程はつきりさせて頂きたいと思います。これは國会の信用に関しますから、私は相当これは関心を深く持つて頂きたいと考えます。これは私々自身も……
  796. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私は新聞に出た都度注意もし事実も聞いております。例えば泉さんの場合はどうだつた、或いはその他の人の場合はどうだつたというように、これは怪しからんじやないか、只今岡部さんのお説のように私自身も糺明したことがあります。
  797. 岡部常

    ○岡部常君 これはただ名義とか名刺の問題だけでなく、それらの方々の行動についてもとかくの批評が私らの耳に入つております。この点はそういうふうに、行かれる方もこの機会だから私は言いますが、余程愼重に愼んで頂かなければ、これはもう國会の信用に関する問題になりますから、よくその点をお取扱を願います。私らもやります。
  798. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その点は再三注意もしておりますし、私らも強く要求しておりますから、万遺漏のないように取計つて行きたいと思つております。尚お聽き及びの点がございましたら十分御注意を願いたいと思います。これ亦委員長において然るべく決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  799. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれにて散会いたします。    午後二時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君    委員            大野 幸一君            鈴木 安孝君            遠山 丙市君            深川タマヱ君            松井 道夫君            松村眞一郎君   証人    元昭和電工社長 日野原節三君    農     業 田中 隆吉君            頭山 秀三君    旅  館  業 畔上てるゑ