運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1949-06-18 第5回国会 参議院 法務委員会 閉会後第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年六月十八日(土曜日) 午前十一時二十七分開会 ————————————— 本日の会議に付した
事件
○
檢察及び裁判
の
運営等
に関する
調査
の件(
米子事件
、
暴力團
の
事件
) —————————————
齋武雄
1
○
委員長代理
(
齋武雄
君) これより
法務委員会
を開きます、
裁判
、檢察の
運営
に関する
委員会
であります。先ず
米子事件
について、
楢原檢事正
から
報告
をお願いいたします。
楢原義男
2
○
説明員
(
楢原義男
君) 私の方で
米子事件
と
言つて
おるのは、
二つ
に分けられると思うのであります。 その
一つ
は
米子
の
檢察廳
で
証拠金
が二十数万円昨年の十二月の二十六日に紛失したという
事件
であります。
今一つ
の
事件
はこれに関連して私が
米子檢察廳
の
職員
を内偵
調査
した、その方法が妥当であるかどうかという問題の
二つ
に分けられる思います。参議院でお採上げにな
つて
おる問題はその第二の問題であろうと思うのでありますが、尚第二の私に対する問題としては
共産党
の
鳥取縣委員長龜井
氏から私及び
部下職員
五名について、
告発
が行なわれたのであります。その
告発事件
を
先般廣島高等檢察廳
の
次席檢事
が
鳥取
及び
米子
へ出張して、詳細に
関係者
数十名を
調べ
て、先般私の取
つた
取調べ行爲
は
犯罪
にならないという理由で
処理
されております。 第二の
盗難事件
は、その後
調査
した結果、
職員
の元
庶務課長
をしておりました
正木熊雄
の
犯行
であるということが明らかになりましたので、この
盗難事件
の外に、更に
証拠金
を三回に
亘つて
一万一千余円を
横領
してお
つた
事実も明らかにな
つたの
で、併せて
米子支部
の
裁判所
の方へ起訴しております。現在
公判審理
中であります。
窃盗事件
の概要を申しますと、
正木熊雄
という
被告人
は
昭和
二十二年の五月三日から
昭和
二十四年の三月十一日まで
米子
区
檢察廳
並びに
鳥取檢察廳米子支部
に
檢察事務官
として勤務し、特に
庶務課長
、
経済関係
の
事務
を担任してお
つた者
でありまして、
証拠金
や
領置物件
の
取扱
、或いは
右檢察廳関係
の
歳入歳出現金等
の
取扱
の
事務
に從事してお
つた
ものでありますが、
昭和
二十三年の十二月六日の午前十頃から翌朝の七時頃までの間に、丁度この日は十六日は日曜日になるのでありますけれども、
檢察廳
に勤務して、誰も入
つて
いない
檢察廳
の
米子支部
の
証拠品倉庫
の中に入
つて
、
鳥取地方檢察廳米子支部
及び
米子
区
檢察廳関係
の
領置証拠金
として在中してお
つた木製
の箱及び
麻繩
を以て縛
つて
ありました
柳行李
の中に入
つて
お
つた現金
二十三万六千四百二十九円ばかり、その他の
証拠品
として同じく
柳行李
の中に入
つて
お
つたクローム側
の腕時計や、
黒革
の
二つ
折財布その他数点のものを窃取したのであります。それから
横領
の事実は
昭和
二十三年の六月七日頃に
刑事被告人
であり
朝鮮人
ですが、
朴基洪
に対する
強盗被告事件
の
証拠金
一万九千円の中から六千円を
拔取つて自分
の用途に使
つて
横領
したという事実と、次の事実は二十三年十二月の十六日頃やはり
刑事被告人
である
鄭太文
らに対する
関税法違反被告事件
の
証拠品
として領置された
機船柿坂丸
の引揚用の費用に四千七百円ばかり使いましたが、この金は船を
本人
に返すことにな
つたの
で
被告人
から金を弁償することにな
つて
、その金が
正木
の手にあるうちに
自分
の
生活費
その他に費消したという
横領
の事実、更に
今一つ
の
横領
の事実は、
昭和
二十三年の七月頃、
宮本忠行外
二名にかかる
経済違反
の
証拠品
としつつ押收しました「するめ」約六貫七百匁ばかりを換價処分しまして、その代金を千七百七十五円保管しておるうちに、内金一千円ばかりを自己の
生活費
その他に
横領
したというのであります。 以上
横領
の事実
三つ
と、
最初
に申上げました
窃盗
の事実を現在起訴しておるのであります。この事実については、
被告人正木
は第一の
窃盗
の事実は否認しております。第二の
横領
の
三つ
の事実についてはみずからも認めております。
証拠
も十分あります。第一の
窃盗
の事実を否認しておりますけれども、この
窃盗
の事実については、
証拠品
を入れてお
つた倉庫
の
ドア
に平仮名で「
ざまみろ
」と黄色の
チヨーク
で大きく書いてあ
つたの
であります。その
筆跡
が
正木事務官
の
從來
の
筆跡
、或いはその後
事務官
の
報告書等
と対照した結果、二回に
亘つて鑑定
をしましたが、二回
共正木事務官
の
筆跡
に間違いないという確証があります。又日曜日に拘わらず
自分
だけ
証拠品
の入
つて
おる
倉庫
に入
つて
、特に
柳行李
に
貴重品
として
麻繩
で緊縛して
封印
までしてあ
つた柳行李
を
自分
で開けたという事実を認めております。ただ
封印
がしてなか
つた
という点があるそうでありますけれども、いずれにしてもその日
自分
が入
つて
その
証拠品
の
倉庫
を開けて、更にそこの中の
証拠品
の入
つて
おる
柳行李
を開けてこれを
整理
した、手を触れたという事実は
自分
も認め、他の者の証言によると、当時完全に
封印
して入
つて
お
つた
という事実もあります。又この
盗難
の十六日の日
倉庫
を開けた鍵は本
來正木事務官
が持
つて
おるべき鍵ではなくて、
会計係
、当時
正木事務官
は
会計係
ではありますけれども、具体的な実際の
会計事務
は外の者がや
つて
おりまして、多少
病氣靜養
中で出たり出なか
つた
りしてお
つたの
であります。外の
会計係
が鍵を持
つて
お
つたの
であります。その鍵を日曜日に來てその机の抽出から無断で取出した開けたという事実もあります。その
外本人
の持
つて
お
つた手帳
にいろいろ「
ざまみろ
」の字を沢山書いておる点、
横領金額
を記載しておる点、その他
傍証
が十分あるので起訴しておるのであります。 次に
最初
申上げた私に対する問題、これは実は私は昨年の八月二十八日に
鳥取地方檢察廳
の
檢事正
として任地に赴任したのであります。その後御承知と思いますけれども、
鳥取縣
においては
共産党
に
関係
する
事件
が次ぎ次ぎに勃発しまして、
米子
におきましても、全國で
最初
に法廷の
審理妨害罪
が行なわれました
佐野川事件
という
共産党
に関連する
事件
があ
つたの
であります。この
事件
のために非常に人手が足らないので、
一般事務
の
処理
が遅滯してお
つたの
であります。そういう
関係
で十月頃まで、或いは
倉吉
の
犯罪等
の
事件
、或いは
米子
における
鉄道員
の
暴行事件等
の
共産党
の
関係
で非常に
鳥取檢察廳
、及び
倉吉
の
檢察廳
の
職員
は多忙を極めまして、
捜査面
、
取調面
に忙殺された結果、
事務
の方の
仕事
がお留守にな
つた
。又
一般
の
事件
が多少停滯してお
つたの
であります。これらを新
刑事訴訟法
が
実施
になる本年一月一日前に、昨年末までに
是非
この
事務
の
処理
の澁滯を一掃して新
刑事訴訟法
の
実施
を迎えたいという趣旨で、実は十一月頃から全管下の
檢察廳
の
事務
の
整理監査
をしたのであります。勿論私が直接したのでなくて、
事務局長
その他
事務
に精通した者をしてその管内の
事務
の
整理監査
をさしたのであります。
米子
は十一月の十五日頃から
鳥取
本廳の
事務官
の優秀な者、三名ばかりを予定して
事務
の
整理
、即ち
証拠品
の
取扱状況
とか或いは
帳簿
の
整理状況
、そういうことの
監査
並びに
整理補助
というようなことをさしたのであります。その間に実際のところ、最前申しましたように、非常に
共産党関係
の
事件
で忙殺されて
事務
が停滯してお
つた
ために、
米子
だけは十分に
整理
ができていなか
つたの
であります。
証拠品
の
整理
も完全に行われないで
帳簿
の
整理
も不十分な点があ
つたの
であります。これでは困るので
事務局長
が特に更に又
行つて
早く
整理
をしたいということを督促して、
事務局長
も
一緒
に
調べ
をしましたけれども、一両日では到底完全な
整理
ができない。で二十三日の日に一
應帰つて
又二十七日の日に
監査
に來るから、それまで
事情
のよく分
つて
おる
米子
の
事務官
で
整理
をして置いて貰いたいということを言うて
帰つて
、二十七日の日に
米子
の
檢察廳
に
事務局長
が再び
監査
に参りましたところ、
監査
中の今申しました二十数万円の金、或いは
証拠品
を完全に
柳行李
に入れてしま
つて
、又二十七日來るというのに、二十六日の日になくな
つて
おるということが発見されて、一
應次席檢事
にまで、
鳥取
の方に連絡して、
次席檢事
が現場を
調査
に
行つた
結果、どうも
ドア
に書いてある
チヨーク
が檢察官、即ち
檢事
の
部屋
に掛けてある黒板の
チョーク
、黄色い
チョーク
でありますから、外のものはすぐ分るのでありますが、その黄色い
チョーク
で書かれておる点、又そういう
チョーク
があるということは外の人では分らない、特に黄色い
チョーク
は二本あ
つた
うちの一本がなくな
つて
おる点。それから
証拠品倉庫
というのは普通の者ではなかなか分らない場所でありまして、
事務室
のすぐ後ろにある
部屋
であります。而も
盜難
にかか
つて
おる
品物
が、そこには外の
繊維関係
の
品物
とか、いろいろな
証拠品
も入れてあるにも拘わらず、さようなものには
一つ
も手がつけてなく、
現金
が入
つて
お
つた柳行李
を
中心
に紛失しておるというようなことから見てどうしても
内部関係
らしいという予想がつきましたし、又
一般
の者の世評もどうもそういうふうなこともあ
つたの
で、私丁度当時廣島
高等檢察廳
に要務を帶びて出張しておりました。二十八日の日に
鳥取
に
帰つて來
て駅頭で今朝
米子
の
支部
でこういう
窃盜事件
があ
つた
という
報告
を受けて非常にびつくりしたわけです。前から
監査
の結果多少十分な
整理
ができていないということを聞いておりましたので、非常に將來しつかりや
つて
貰いたいと
思つて
お
つた
矢先にこういう
報告
を受けて、
自分
の職責を非常に痛感して、もう二十八日は
御用じまい
でありますけれども、そういう
世間
の風評もあり、又私達の目からも
内部関係
と一應考えられるが、
内部
の者の
調査
をして、
内部
の者でないということであれば、これは
はつ
きり世の中にも
報告
して、
一般
の人にも了承して貰いたいし、若し
内部関係
であれば、特に
責任
上からでも早く
はつ
きりして、
事件
の
証拠品
でありますから、まあ年末年始にかけて散佚するようなことがないように、早く元に戻して置きたい。かように考えましたので、
次席
とも打合せて、私
米子
の
状況
を見ていなか
つたの
で、二十九日の日に
米子
の
檢察廳
に一應行き、又こちらから
監督
に
行つた事務官等
もおりましたので、それは
次席
の方で
鳥取
で
調べ
る。私は
米子
に
行つて米子
の
職員
に一
應事情
を聽いて見ようということで
米子
に
参つたの
であります。
米子
の
事情
を聽くと言いましても、いろいろなことがあるので、これは私の外に補助的に
事務官
を二、三名同行して
行つたの
であります。
向う
に
行つて
私から直接
職員
に、そういうどうも
職員
らしいからこの際出せというようなことを言うよりも、
米子
には專属の
檢事
として
角田正太郎
という
檢事
がおりますので、
角田檢事
をして、若し
職員
の中に今回の
窃盜事件
を起しておる者があるならば、この際申出て貰いたいということを勧告させるがよいと思いましたので、そういうことを
角田
君をして、
職員
一同
集つて貰つて
話して
貰つたの
でありますけれども、どうも十分の反響がないということでありましたので、私も亦
米子
の
檢察廳
に
行つて
、
職員
の者全部
集つて貰つて
、
自分
としても
米子
がかような
不詳事
を年末にな
つて出
かしたということは非常に申しわけないことである。而も
証拠金
というのは、四百数十通の封筒にそれぞれ入
つた金
の合計が二十三万幾らになるので、
事件
として四百数十件の
事件
に関連するのでありますから、人間としていろいろ魔がさすということもあり、又
誤解
があ
つて
、
ちよ
つとした
でき心
でかようなことにならんとも限らないので、
職員
の中に若しそういう軽はずみな
氣持
から
本件
を起したものであるならば、この際
是非自分
でなくても、
角田檢事
なり、
局長
にでも申出て貰いたい。できる限りの善処をしたい。又
世間
でもどうもこの
事件
は
内部関係
らしいという言葉もあるので、
檢察廳
としても対外的に明しを立てる必要もある。若し
職員
でないならばないという明しを立てなければならんと思うということを懇懇話しまして、まあできればこの際
自分
も一應の
事情
をそれぞれ個々別々に聽きたいからと申しましたところ、
職員
全部もこれを了承して呉れました。
是非自分達
も
調べ
て貰いたい。
自分達
は絶対かような悪いことをしておるものではないということでありましたので、それでは別々に一
應事情
を聽きたい、尚
調べ
るということになれば、皆家の方もすつかり
調べ
て貰いたいというようなことで、こちらでもまあ家の方も見せて貰いたいということの
了解
を得て、私
職員
の大部分を短いものは五分くらい、長くかか
つた
ものでも二、三十分くらい、それぞれずつと一
通り
当時の
状況
といいますか、
勤務状況等
を聞き、又
証拠品
の
保管状況
、
処理状況等
を聞いたのであります。私がそういうことを聞いておる間に、私に同行して來た
事務官
その他の者が、
正木事務官
の家その他五名ばかりの
事務官
の家に、これも
本人達
の
了解
を得て、家を見せて貰いに
行つたの
であります。まあいわゆるこれが
告発
の
関係
であり、強制的な
家宅捜探
をしたという
告発
にな
つて
おりますが、見せて
貰つて
、
向う
にこちらでも
事務官
が
行つて
おるのであります。行く場合にも、若し
了解
を得て行くにしても、
本人
はいいと
言つて
も、
本人
が戸主の場合もありますけれども、まだ
世帶員
のような者は
世帶主
でありませんから、
向う
へ
行つて家族
の人なり
お父さん方
、その他
家族
の人、
管理者
の人の
了解
を得て貰いたい、この頃こういうことは非常にやかましく言われておるのであるから、
本人
がいいと言
つた
からと
言つて
そうや
つて
は困るのである。
家族
の人、
管理者
の
十分了解
を得て見せて貰わなければならん。又
向う
に
行つて
見せて
貰つた
結果、
本件
に全然
関係
のないようなもので、或いは外の
犯罪
に
関係
があるというような者もあるかも知れん場合がある。まあ人の家で、この頃のことですから、
闇米
を買うというようなこともあるかも知れんが、そういう
関係
には全然触れて
貰つて
は困る。又特に行くについても非常に人目に立たないように、成るべく家の前の方でばらばらにな
つて
行つて
貰いたいというようなことまで注意しまして、それぞれ手分けして、主として
米子支部
の
証拠金関係
を扱う者、或いは
幹部
の人の家五軒ばかりを手分けして見せて
貰つたの
であります。その結果、その当時は、まだ私はただ
役所
で
事情
を聞いてお
つたの
で、
行つた人達
がどういうものを持
つて來
、或いは又どういう
態度
で
向う
へ
行つた
か
調べ
なか
つたの
であります。
本件
が問題化して
調べ
られた結果によりますと、こちらもやはり同じ
檢察廳
の
事務官
でありますから、それで
向う
でも
米子
で、こういう
事件
が起
つた
、
檢察廳
の
事務官
が來たということを
了解
して
内輪同志
のことでありますから、どうぞ
上つて
十分見て呉れとお茶を出したり、或いは帰る時の
御苦労
さんでございましたと
言つて道
まで送
つて
呉れたり、或るところではおやつに、何か芋か何か出すからまあ食べて
帰つて
呉れというようなことで、非常になだらかな
氣持
で迎へ、送
つて貰つたの
であります。押收して來たといいますか、預
つて來
た
品物
も大したものはなか
つたの
であります。ただ
正木事務官
の家から旧
紙幣
、元の十円
紙幣
ですね、旧
紙幣
で証紙の貼
つて
ない十円
紙幣
二枚ほど
紙屑籠
の中に入
つて
お
つた
ということで、それを持
つて來
た、その外一、二のものを持
つて來
た、又外の
事務官
の家からは
役所
の記録を持
つて來
たものもありますが、
盜難
にかか
つた
証拠品
というようなものはなか
つたの
であります。又私の
調べ
は右のような
通り
で、午後からそれぞれ聞かない人と聞いた人とは
部屋
を別にしてお
つて
貰いたいということで、一人ずつ來て
貰つて事情
を聞いたのでありますが、何さま人数も多いことであり、割合に時間がかかりまして、夕食を
一緒
にしたり、夜の八時頃までだ
つた
と私は思うのでありますが、遅くな
つた人
は、十時頃までお
つた人
もおるそうであります。これらはもとよりそれまで
是非部屋
にお
つて
呉れ、
帰つて
はならんということでや
つたの
でなくて、
上官
である私とか、
事務官
の一番上である
書記長
とかが來ておりますから、同じ
役所関係
の者ですから、上の人が帰るまでは帰らないという慣例といいますか、慣例的な、儀礼的な
氣持
もあ
つて
、ずつとその
意味
で
宿直室
で、
小使室
で雜談してお
つて
待
つて
お
つた
という
状況
であります。それが不法監禁したという
告発
にな
つて
おります。まあその結果、或いは汽車で通勤する者とかはまあ夜も遅くな
つた
から、家へ
帰つて
も仕方がないから
宿直室
に泊るということで、家に帰らなか
つた者
も多少あるようであります。それらを
告発
では幾日も夜も畫も監禁したということで
告発
されておるのであります。併しそういう
事情
でなか
つたの
ことは、今申しましたような
調べ方
であ
つた
ということ、或いは
窃盗事件
が、その後本格的に……私がまあ
行つて
調べ
た当時は
内部
的な問題でありますから、同じ
役所
の威信にも
関係
する
事件
であ
つた
から、私の職務上先ず
内部
の者を一應
調査
して見る、又お互い一諸にな
つた
氣持
で
職員
の方も協力して
調べ
て下さいというようなことで、対外的問題があるから
調査
を始めたのであります。結果はそういうことで、
証拠品
はありませんでしたし、まあ
正木
君は多少私どうも
ちよ
つとおかしいという直感をしましたが、
犯罪
を否認しましたて、認めなか
つたの
で、又強く私は自由させようと思えば、まあその時或いはそういうことに
行つた
かも知れなか
つたの
ですが、そういうことよりも自発的にこの問題を解決したい、又
犯罪
として扱うよりも、先ず
証拠金
を出して貰いたい。若し
内部
であ
つた
ら出して貰いたいということが
中心
で
調査
したのであります。その当時までは、
職員
の
犯行
ということを
はつ
きり断定して進んだわけではないので、
内部
的な
調査
をしたのに過ぎなか
つたの
であります。その後
筆跡鑑定等
の結果、
正木事務官
の
筆跡
に間違いない、それからいろいろな十六日の
状況
、
正木事務官
の
行動等
から、どうしても
正木事務官
の
犯行
と断定せざるを得ない
傍証
が出て來たので、第一の事実は
正木事務官
は否認のままでありますけれども、起訴したのであります。私がこの
窃盗事件
を
調べ
た経過は、大体以上のような
状況
であります。
齋武雄
3
○
委員長代理
(
齋武雄
君) この点について質問はありませんか。
松村眞一郎
4
○
松村眞一郎
君 私の疑問としておるところは
令状
問題なんです。
令状
を持たないで
家宅捜索
をしたということが、私の方では非常に重要ではないかと
思つて
おるので、
告発
した
方面
は実は第二点に考えております、
共産党
の
告発
した
関係
は……。結局今の
お話
では、何か行政的にそれが……
楢原義男
5
○
説明員
(
楢原義男
君) 私は
監督者
として、たとえば多少何かも知れませんが、田舎の小さい
役所
では
家族
同樣にや
つて
おります。又
監督者
としての
責任
上も、当然或る
程度
のことは、
内部
に
犯罪行爲
というか非行があれば、それを糺すという
責任
も私にはあると思いますが、さような
意味
合いで、それから
本人達
も、
内部関係
ということになれば、対外的に
檢察廳
の体面上も
是非
調べ
て貰いたい、明しを立てるという、
正木事務官
はそういう
氣持
はなか
つたの
でしようが、他の人は
正木
君がしておるということは毛頭考えておりませんし、
正木
君は
庶務課長
で一番上でありまして、他の者は下の
職員
でありますから、
從來
は
正木事務官
は
自分達
の上司として立派な人だと
思つて
おるので、まさかそういうことがあろうとは思えない。
是非
明しを立てたいという
氣持
もあ
つた
し、又本当に
令状
を出してまで
調べ
るということは、これは
はつ
きり
犯罪
として完全に
取扱
うということであれば、
令状
を出して、その後に
正木事務官
の
家宅捜査
などは
令状
を出してやたつのでありますが、まだそこまでに私も
行つて
おりませんし、
職員
全部も仮にこの
程度
で
令状
を出してでもそれはできないこともありませんでしようが、私としても
部下職員
全部がというか、
幹部
全部が
犯罪者
なりというような
氣持
で臨むということは
上官
としての
態度
ではない、
却つて
そういうことをすることは
職員達
に迷惑をかける。
令状
まで出して
職員
が
調べ
られるということになれば、これは非常なもう公のことになりますから、
裁判所
にも
はつ
きり分りますし、対外的にも
はつ
きり分
つて來
ますし、
却つて
それは
本人達
の名誉を失墜することになります。これが
はつ
きり或る
程度
の断定し得る段階に達したならば、これは
本人
の名誉も致し方ありませんけれども、その
程度
の
氣持
ではなか
つたの
でありまして、
本人達
も了承して、
家族達
にも喜んで迎えて
貰つて
、
家族捜索
といいましても、それで本式に他のことまで徹底的にや
つた
ということはないのでありまして、
向う
も
了解
して、どうぞ見て下さいということで、こちらで帰ろうとしても、どうぞこの
部屋
もということで案内して
貰つた
程らしいのであります。私は
行つて
おりませんけれでも、
事務官
の話によりますと、送るときにも特に
御苦労樣
でございましたと……、どちらも
内輪
の者同士の
仕事
でございますから……
松村眞一郎
6
○
松村眞一郎
君 外部でこの問題を
冷靜
に眺めますというと、本当に
家宅捜索
をされたのかどうかというところが要点じやないかと思います。その
意味
は、そういう
捜索
をされたその
行爲そのもの
の深さが、
家宅捜索
の
程度
まで
行つて
いやしないかということを心配するのであります。若し深さが実質上
家宅捜索
と同じような
程度
に
行つて
おるとするならば、やはりそこまで行き進んだことをやるのは適当でないという疑問が出て來るのであります。というのは深さの問題であります。もう
一つ
それから幅の
関係
ですね。若し
令状
をわざわざ
裁判
官の方から出して
貰つて家宅捜索
に臨むとすれば、ここでお
調べ
にな
つた
九人までもやることはできないのじやないか。少くとももう少し範囲が狹くなるのではないかというような
方面
の又疑問もありはいないか、幅が
令状
を貰えばそこまで及ばない、
令状
なしでや
つた
ものだから
捜索
されない筈の人々でも
捜索
されたのではないか、こういう疑問が起るのではないかということが実は疑問であります。それで
捜索
それ
自身
の性質が先程行政的なものだとおつしやいましたが、若しそれであれば、問題は極く簡單じやないかと思います。その
程度つまり
深さですね。或いは
家宅捜索調書
というような類のものでも作
つて
おられるのかどうか、そういうものは作
つて
いなか
つたの
であるか。
楢原義男
7
○
説明員
(
楢原義男
君) その当時はそこまでの
氣持
でなく……
松村眞一郎
8
○
松村眞一郎
君 そういうものは出ていないのですね。
行つた人
はそういうものを作
つて
いないのですか。
楢原義男
9
○
説明員
(
楢原義男
君) 作
つて
いないと思いますが、私は直接
自分
が
行つて
おりませんものですから、ただ九名でなく五名ぐらいと思いますが、
家宅捜索
、それが廣くなか
つた
という問題……
松村眞一郎
10
○
松村眞一郎
君 七人ですか。
楢原義男
11
○
説明員
(
楢原義男
君) 五人か六人か七人になりますが、これはあの人の家を
調べ
に
行つて
、この人の家を
調べ
に行かないということになると、
調べ
られた人が後から
自分
だけが特に
調べ
られたというようなことで、
了解
はしてお
つた
にしても、後で多少
氣持
的にいやな
氣持
を持つ人があるかも知れないので、自然形式的に流れて、
幹部
の人を
中心
にしてといいますか、そういうことをや
つたの
であります。
松村眞一郎
12
○
松村眞一郎
君 そこで問題は深さの問題ですが、深さが
家宅捜索程度
に進んだとすれば、これはやはり
世間
で問題にされるのではないかということを心配するのであります。
承諾
さえあれば
家宅捜索
をや
つて
もよいというようなことを
檢察廳
の方で考えておられるように
誤解
をされると困りますから、たとえ
承諾
があ
つて
も
令状
がなければできないことです。
家宅捜索
ということそれ
自身
が
令状
がなければできないことに
憲法
でな
つて
おりますから、
憲法違反
のことからは、
捜索
を受ける人の
承諾
によ
つて
除却することはできないのですが、その点を非常に心配しておるのであります。そこで今おつしやる行政的にという
程度
を実は知りたいのが
一つ
ですが、それから先程申しました幅ですね。
令状
を持
つて
行くということになれば七人までもお
調べ
になることはなかろうと思います。結局今おつしや
つた
ような
工合
に、一人
調べ
て他を
調べ
ないというわけには行かない、今もおつしや
つた
通り
です。
部下
でそういう者があ
つた
場合に、進んでどうしてもその
程度
までやらなければいけませんが、そうなると、極くお座なり的の
家宅捜査
になるのじやないかというような
工合
の感じが私はするのです。それから今
いろいろお話
を承わると、結局
傍証
のうちでも有力なものとしては、
本人
の書いた字、それはむしろ
役所
にあるべきであ
つて
……
楢原義男
13
○
説明員
(
楢原義男
君) いや、そういうものを持
つて來
たのじやないのです。後からの
鑑定
の結果です。
役所
にあるものは……
松村眞一郎
14
○
松村眞一郎
君 又若しこういうことが
一つ
疑問になりはしないかと思います。その
家宅捜査
をしたときに
証拠
が出たとしますね。現に何か持
つて
お
つた
、こちらの
証拠品
を持
つて
お
つた
とすれば、それが直ぐにやはり
一つ
の
証拠
になります。それは押收するかどうかという問題がここに起りまして、若し押收すればやはり
令状
なくして押收したということになりますね。それですからどうしても深みの点をよく
世間
に話さないと、
家宅捜索
というような深いことをや
つた
んじやない、ただ全体の
職員
相互の、まあ何といいますか、明しを立てるためにみんな
調べ
て
貰つた
んだ、こういうようなことで、極く平易な
意味
でや
つたの
だということを
はつ
きりしたいというのが私の希望なんです。明しを立てるという方の
方面
で言いますというと、実は
家宅捜索
を受ける
本人
が全然
犯罪
の
関係
のない人でよく受けますが、その場合に勿論明しを立てるつもりで、どうぞお
調べ
下さい。私は決してそういうことはや
つて
おりませんということを
言つて
おるのですから、明しを求める
意味
において
家宅捜索
を甘受したという
意味
では、
令状
発行をしなか
つた
ということの
関係
を除却しないだろうと思います。ですから先程の仲間の者であるから喜んで受けたからや
つたの
だと
言つて
も、その行爲は、深みが
家宅捜索
の
程度
まで踏み込んでおるというようなことになるというと、やはりいろいろな問題が起るから、今おつしや
つた
ような
工合
に、行政的の
程度
で止ま
つて
おることを実は希望しておるのですが、調書など取
つて
いないことを希望するのですが、そんなものは取
つて
いないだろうと思いますが、どうですか。
楢原義男
15
○
説明員
(
楢原義男
君) 私も大体今申しましたような
氣持
で、そういう同じ
内部関係
のことで、或いは寄宿舎のうちで
盗難事件
があ
つた
から、地檢のうちを
ちよ
つと見せて呉れというようなことでや
つた
、そういうような
氣持
でや
つて
、それでそれと同時にどうも
職員
の
事務
監査
という問題を前にや
つて
お
つた
ものですから、ひよつとして、これは
事務
監査
の結果、初めの
状況
によりますと、余り芳ばしくないので一應どこにか
ちよ
つとかくして置いてですね、一應
事務
監査
を少し延して
貰つて
、そのうちにこう辻棲の合うようにしてというような事柄でもや
つて
いはしなか
つた
ろうかという漠然たる
氣持
がありましたから、そういう
程度
でどこか
ちよ
つと直しておるのじくなかろうかというような
氣持
で見せて
貰つた
、深くそれを山に持
つて
行つた
り、或いは埋めたりしてかくしておるというようなことまでにその当時は考えてなか
つた
、軽い
氣持
であ
つた
。或いは
役所
のうちの外の戸棚にでも置いてはいないかというような感じもあ
つて
、翌日ぐらい
役所
もずつとみんなで探して貰いたいというようなことで探したんですから、私の
氣持
はそういう
程度
の
氣持
でや
つた
わけです。
松村眞一郎
16
○
松村眞一郎
君 私の心配しますのは、このやり方でよろしいということになれば、同じ
事件
の起
つた
場合に同じようなことをやられた場合に、それでよろしいということになるのじやないかと思います。
裁判所
などでよく
関係者
が
横領
するというようなことはたびたびある
事件
で、いつも決算のときもたびたび出て來ます。そういう
事件
は必ずしもこの
事件
に限らないのでございます。將來と雖もこれは起
つて來
ると思います。その場合にこれと同じような経済を踏んだ行動が行われたときに、それも是認するかどうかということにな
つて
おるわけです。私の考えでは、ここまで
行つて
はいけないんじやないかという心配がある。
職員
の家宅を七人まで
調べ
るということは、たとえ私が申しました深みが浅くても、横に廣過ぎるんじやないかという感じが私はする。同じ
部下
だから、
承諾
すればいいじやないかというやり方はどうか知らんという私は考えがある。これを是認されますと、繰返し繰返し同じことをや
つた
つて
も差支えないということになるわけです。そこでやはりここまで行かない方がよくはないか、
犯罪
は暫く遅れましよう。直ぐに発覚し得たものが幾らかそれで遅れるかも知れません。それは人権を擁護するということになれば、これは止むを得ないことになる。今度の新らしい
刑事訴訟法
は結局そういうことにな
つて
おるわけなんです。それは
一般
的に人権を尊重する結果起
つて來
るすべての結果なんですから、そこはもう新らしい
刑事訴訟法
になり、新らしい
憲法
の下では、
從來
のような
工合
な心持ではやはりいけないんじやないかということを実は思うのです。そこで私が非常に希望するのは、この
捜索
が極めて軽いものであ
つた
ということを事実において知りたいんです。それともう
一つ
はさつき申しましたように、若しその
捜索
に行かれて
証拠品
が出た、それを握
つた
ときにどういう
処理
をするか、
証拠品
なんですから、これは何とかしなければならん、ところがそれが
令状
によらずして押收をしたということにな
つて
、正面から引つかかりはしないかという心配がある、ですからそれからいうと、
裁判
官の忌避のような場合、回避のような場合、あの場合に
從來
の
刑事訴訟法
なんかの思想では逃げるという
態度
にな
つて
おる。
自分
が偏頗になるかも知れんというときには逃げる、積極的の
態度
ではない、その
態度
で行けばこの
捜索
もこんなことをしないで、一應ずつと
職員
の話を聽いて置いて、
家宅捜索
までやらないで、やはり逃げておるということの方が、或いは
刑事訴訟法
に適するかも知れないということを考えるんですが、回避の場合はむしろ積極的に
從來
のような逃げるんでなくて、進んでやるということが或いは必要かも知れない、併しながらこの場合は
令状
という制度が新らしくできたんですから、むしろ逃げる方がいいんじやないかというふうに私は考える。ですから將來こんな
事件
があ
つた
ときにはここまで進まない方がよくはないかという
意味
の結論に実は私の考えとしては持
つて
行きたいんです。それで何処かに置きたい、その限度をどうしたらいいか、そうしますと、將來同じ
事件
が必ず起りますから……、
裁判所
に始終起ることです、郵便局にも起りますし、その場合にこういうところまでやるようにしようじやないかということの行政上の雛型ができると、
関係者
は非常に助かるんじやないか、殊に
上官
におなりにな
つて
、あなたのお立場に私の体を置いて考えれば、何かそこに或る限界を拵えて貰いたい、ここまでやる、そうすればこれは
刑事訴訟法
にも
憲法
にも何らの疑義がない、そうして最も穩当な範囲である、こういうところに実は標準を発見したいんです、それが私今日お伺いする趣旨の要点なんです。余りやかましく申しますと、
令状
を出した場合には七人までも
家宅捜索
をしないという
一つ
の幅の問題が起
つた
ときに、そうするというとですね、その甘受した方が義務なきことをや
つたの
ではないかといことになる虞れがあ
つて
、やはり刑法の百九十三條の有罪という方のことになるのじやないかという私の疑問があるのです。
楢原義男
17
○
説明員
(
楢原義男
君) そういう問題になりますと、これは逆に考えますと一体人権というものが
本人達
が、最前
ちよ
つと触れましたけれども、本当に
令状
を持
つて
行つて
されたらそれが一体人権の擁護になるだろうか、
令状
を持
つて
あれをやれば人権の擁護になるか、それは
却つて
ならない、
本人達
の人権を蹂躪する結果になるのじやないかと思われるのですね。
松村眞一郎
18
○
松村眞一郎
君 それはですね、
裁判所
が
令状
を出すのですから、
裁判所
はそういう場合には出さんと思う。
裁判所
が出せば人権蹂躪にならん筈です。その
裁判所
が判断するのですから……
楢原義男
19
○
説明員
(
楢原義男
君)
裁判所
の問題ということは……
松村眞一郎
20
○
松村眞一郎
君
裁判所
が判断するのですけれども、人権蹂躪になるかならんか……
楢原義男
21
○
説明員
(
楢原義男
君) 実際の実務的の問題になりますと、今まで
令状
を請求して出さなか
つた
というようなごとき殆んどないわけで、大概出しておりますね。
松村眞一郎
22
○
松村眞一郎
君 それが今問題にな
つて
いる。
楢原義男
23
○
説明員
(
楢原義男
君)
裁判所
がいいか悪いかということは別問題として……
松村眞一郎
24
○
松村眞一郎
君 いろいろの問題が起
つて
いるのは檢察官と
裁判
官との間にいろいろな感情の疎隔とかいうようなことが
令状
問題から起
つて
いることを我々は実感しているんですね。それは私は一面に復効
裁判所
の
裁判
員をしているんですが、その彈効
裁判所
の
事件
でその問題が余程考えさせられることがあるのです。
檢事
の方で判事に、
裁判
官に
令状
を出して呉れと言
つた
ところが出さなか
つた
しいうことで爭いが起
つた
ということがあるのですから、そこで判断はやはり
裁判
官がすべきもので、檢察官の方でそれが人権蹂躪なりや否やということを判断すべきものではないと思う。そういうことでありますから、どうしてもやはり
裁判
官の
令状
があるかないかということが人権蹂躪があるかないかということの判断の要点になるのですから、檢察官と雖もそれはやはり判断をしは悪い、今にようなお考えが
却つて
誤解
を
世間
に起しやしないかということを私は恐れるのです。
楢原義男
25
○
説明員
(
楢原義男
君) これは私檢察官としての問題でなくて、全然客観的な問題として、私は檢察官として、そういう判断は
裁判所
がしますけれども、実際において若し
裁判所
が判断して出るという場合には、大概の場合は出ましようが、出る場合であ
つて
も
本人
のためには出ることが不利益の場合も沢山あると思います。まあ実際において
裁判
官が判断して
令状
を出しますがね、全然
犯罪
を犯していない人にも出し得るのですね、理由が一應立てば出します。そういう場合その人が出されて
調べ
られたのがいいのか、出されなくて
調べ
られたのがいいのか、それは出されなくて
調べ
るというと……
松村眞一郎
26
○
松村眞一郎
君
自分
から進んで
家宅捜索
をして呉れと言うことはないでしよう。訴訟法上そういう途はある筈はない。
家宅捜索
をどうぞして下さいという訴訟手続しかないと思う。必ず
裁判
官が判断をするのですから……それでお尋ねしているのです。この
家宅捜索
をするだけの深みがあ
つた
どうかということをお尋ねしているのが
一つ
と、今おつしや
つた
横へ判事が
令状
を出さないということが明瞭と思われるところまで進んでいないが、
上官
までお
調べ
にな
つた
。
檢事
を
調べ
るというところまで、
裁判
官が
令状
を出すかどうか、
令状
はやはりいろいろ書かなければ
令状
は出せませんから、こうこうこういうことがあ
つて
証拠
を取るがために必要であるから理由を添えて
裁判所
に要求するのですから、
裁判所
がその要求を受けて判断してそうして
令状
を出すのですから、私は恐らく……これは私の判断ですが、七人までの
令状
は出さないと思う、
裁判
官は……
楢原義男
27
○
説明員
(
楢原義男
君) 結局
本件
は
捜索
とか、言葉の違いのようなことですけれども、具体的な
犯罪
として或る
程度
の捜査ということでや
つたの
ではなくて、まあ
調査
、
調査
と言いますか、
内部
的な実情
調査
と言いますか、そういうふうな
氣持
の下にしておるものですから、そういう
意味
合から行くと、あれを
調べ
てこれを
調べ
んのはいかんということにな
つて
、
檢事
の家だ
つて
ちよ
つと棚を覗いてみたという
程度
だ
つた
ようです。形の上でや
つた
だけで、実際に刑法にいう
家宅捜索
として又そういう
氣持
で私はや
つたの
ではなく、
向う
の人達もそういふ
氣持
で受けていないので、その点が法律的というか……
松村眞一郎
28
○
松村眞一郎
君 それではその行政的とおつしやつることをもう少し内容を知りたいのですがね、結局先程申しましたごとく、同じ
事件
が起
つた
場合に、
檢事正
のなさ
つた
と同じことをや
つた
場合に、それで
世間
が是認するかどうかという点が要点なんです。
一つ
のここに模範ができたわけで、皆を呼んで、そうしてよかろうと言
つた
ときに
檢察事務官
が出掛けて
行つて
各家庭を
調べ
るというところまでやるということが新らしい
憲法
の下に妥当なりや否やということを疑いはしないかということが私は心配なんです。私はもう少しそこまで行かない方がよいのじやないかという頭があるからお聞きするのです。私が希望するのは、だから行政的ということが非常に薄か
つたの
だということを承知したい。そうするというと、こういう
程度
ならよいのですか、そうなると出掛けて行く
事務官
の頭が非常にむずかしくなるので、
檢事正
が御
自身
で出掛ければよいが、
事務官
としてどういう
程度
に
檢事
の中では
調べ
るか、それから
庶務課長
の
程度
はこれくらいになる、それから
関係
ない人達に対してはこれくらいにするという判断をしながら
捜索
するということは、これは少しむずかしいのじやないか。やはり同じようなことにや
つて
行かなければ、それこそ折角
調べ
られるという御趣旨が、どこも平等にするということをおつしや
つて
おるのですが、今おつしや
つた
ように
檢事
のところは
ちよ
つと棚を見ただけだということならば、それは平等にや
つて
いないことになる。
楢原義男
29
○
説明員
(
楢原義男
君) 初めから特別な所に隱しておるということじやなく、
内輪
同士、友達同士、見て呉れ、見させて呉れという
氣持
で進んでおるのですから……
松村眞一郎
30
○
松村眞一郎
君 これは非常に法律的に、理論的にや
つて
行くと誠にこれはむずかしいことになるか知れませんが、又これは研究問題といいますか、人権の擁護の範囲、人権擁護というものを一体あなたのおつしやる限界の問題ですね。非常にむずかしい問題だと思いますね。私はやはり
令状
を
貰つて家宅捜索
をするという
程度
に至らないものならば、たとえ行政的にでも
家宅捜索
に類するようなことをすることは控えなければならん、こういう頭です。それはいろいろの情状もありましようけれども、問題は法律論ですから、今
憲法
論を我々は考えておる。いろいろな、こういう場合にはこうしたらよかろうという
事情
論の方は、これは刑法で言えば酌量の方の議論になるので、有罪か無罪かという議論は法律だけで端的に行く。その違憲は、
憲法違反
なりやあらざるやということはこれは
令状
にあるのです。その
方面
から行けば違憲の虞れがあるということを言われはしないかという心配がある。お互いに内々だからいいじやないかということになれば、今度はそれは総体的にこれは内々だからこういうことで行くのも止むを得ないだろうということになれば
憲法違反
であるけれども、情状はこれは了すべきであるから不問に附そうということになる。違憲ではあるけれども情状してよろしいというのと、初めからよろしいというのとは大変な違いです。
本件
は違憲であるという議論が起きる虞れがないかということを心配するのです。
檢事正
さんに申上げるのはどうかと思いますけれども、この間人権擁護
局長
においで願
つて
開いたのです。ところが人権擁護
局長
は
令状
ということを余り要点としておられなか
つた
。私は驚いた。実は何かと言えば人権擁護法という法律は、言わば
令状
の問題ですから、イギリスのレヴィスリットの方から來ておる。ヘィヴィアスコーパスから來ておる。リットが問題なんです。
憲法
の中には英訳にはウォーラントと書いてあるが、リットのことです。
令状
ということは法律では非常に大事なんです。この
憲法
は
裁判
権の発動は
令状
に出発するということで來ている。
裁判
官がそこに乘り出すかどうかというスタートになる問題です。軽く見るようなことは私は許させないと思う。ですから私は非常に重大じやないかと
思つて
おるのです。実はそれでできるだけ行政的なものであ
つて
軽か
つた
ということの方のいろいろなことをおつしや
つて
、
檢事正
御
自身
御存じないかも知れないが、行きました
事務官
がどういう
事情
でや
つた
か、それを
一つ
第一段として
了解
したいのです。極く軽く
言つて
友達同士、それならば余計なことじやないか。そんな
程度
なら探して見ても分りません。
犯罪
があるかないかということを眞劍に考えて見なければならない。ある限りは掴んで來なければいかんのです。やはりそれは
家宅捜索
でないかと思うが、
正木
君の家へ行かれたときに今の二枚の旧十円
紙幣
の外に何かあれば持
つて
帰るでしよう。旧十円
紙幣
をも持
つて
帰つて
おるのだから、
証拠品
を明瞭に私持
つて
帰るのじやないかと思う。そうしないと、これは非常に手落ちだと思う。札を持
つて
帰
つた
わけですから、それよりもつと有力な
証拠品
を持
つて
帰る。それを
裁判所
が
証拠
として採用する場合はどうするかということですね。
令状
なくして押收したということになりはせんか。持
つて
帰らないというならば、何のために
家宅捜索
に
行つたの
か。こういうことになるわけです。そういうことは非常にむずかしい問題がここの内藏しておるのじやないかということを心配するのです。
楢原義男
31
○
説明員
(
楢原義男
君) それは
自分
から進んで出す場合ですね。
証拠品
といいますか、
品物
を……
松村眞一郎
32
○
松村眞一郎
君 これは主人がいないのですから、主人は
役所
にいるのですから、
自分
の意思がここに働き得ません。主人の留守中にや
つて
おるのですから……
楢原義男
33
○
説明員
(
楢原義男
君) 議論になるとなんですが、
管理者
は妻が一切管理しているわけですね。
松村眞一郎
34
○
松村眞一郎
君
承諾
は主人がして、妻はや
つて
いないから
令状
を示して呉れということはないわけですね。やかましく言えば、やかましく言う若し妻であれば、なぜいらつしや
つたの
か、夫から何も通知がないとおつしやるでしよう。そういうときに引き下
つて
帰り得るかどうか。
楢原義男
35
○
説明員
(
楢原義男
君) そういうことまでするつもりじやなか
つた
ということは
最初
に
ちよ
つと申上げたが、それで世滯主であ
つて
も或いは
職員
だから親がいる場合もありますから、親のいる場合は、親がいなくても、
家族
の人がお
つて
も、
家族
の人みんなの
氣持
が少しでも嫌やだという感じをなさるようだ
つた
らしないで呉れということで始めから
行つて
おるわけです。つまり
家宅捜査
という言葉を使われること
自身
が僕はどうかと思う。そういう
氣持
でないから……
松村眞一郎
36
○
松村眞一郎
君 これは廣島の
檢事
長からの御
報告
の書類の添附書類であると思いますが、それは皆
家宅捜索
、
家宅捜索
という言葉が使
つて
ありますね。
楢原義男
37
○
説明員
(
楢原義男
君) 私もここの裁定書というのを貰いましたが、捜査ということを使
つて
あるし、それから十一時頃か十時頃まで
調べ
たというようなことも書いてありますが、まあ大した問題じやない。結論はなんだか或いはそんなふうに
小使室
で話したり、そう徹底的な、
檢事正
がその本当に
犯罪者
として……、扱うときは僕は本当にそのときの
氣持
は、出て來れば、そのリットを出して呉れるのじやないか。若しあ
つた
らそうして貰いたい。そうでなか
つた
ら、一應
調べ
をしたけれども、
内部関係
じやなか
つた
ということで対
世間
的な明しが立つというような
氣持
であ
つたの
ですがね。今度
捜索
ということを使
つて
おりますが、そういうのも私としては不服でありますけれども……。
調査
ということですね。私はそういう
氣持
ですから……
松村眞一郎
38
○
松村眞一郎
君 それで実際問題としてはその後
正木熊雄
なる人の
家宅捜査
をされたわけですね。
令状
によ
つて
……
楢原義男
39
○
説明員
(
楢原義男
君) ええ。
松村眞一郎
40
○
松村眞一郎
君 その際は何もなか
つたの
ですね。これは
事件
は進行中ですからお聞きするのはおかしいですが、なす
つた
わけですね。
楢原義男
41
○
説明員
(
楢原義男
君)
はつ
きりした何はありませんでした。
松村眞一郎
42
○
松村眞一郎
君
令状
で……
楢原義男
43
○
説明員
(
楢原義男
君) やりました。
松村眞一郎
44
○
松村眞一郎
君
家宅捜索
を実行されたわけですね。
楢原義男
45
○
説明員
(
楢原義男
君) それは徹底的に本当に……
松村眞一郎
46
○
松村眞一郎
君 行なわれたわけですね。
楢原義男
47
○
説明員
(
楢原義男
君) 押入から、家の下からすつかりや
つた
ですよ。
松村眞一郎
48
○
松村眞一郎
君 その際の
令状
によ
つて
家宅捜索
されたのは、七人の人全部に及んでおりませんね。
楢原義男
49
○
説明員
(
楢原義男
君) それは
正木事務官
だけです。
松村眞一郎
50
○
松村眞一郎
君 よく分りました。
楢原義男
51
○
説明員
(
楢原義男
君) 同じ出席
関係
で
はつ
きりしたものですから……。まだそのときは
犯罪
として扱
つて
いるのじやない。
犯罪
の扱いとして論ぜられると、捜査という言葉が出たり、違憲という問題が出ますけれども、私の方じや誰が
犯罪者
ということも、
はつ
きり
事務官
だということでもないし、
最初
の新聞には密造
関係
の檢挙を受けた
朝鮮人
の仕打じやないか。或いは
共産党
が檢挙されたので、腹癒せにや
つたの
じやないかということも新聞に出ておりましたし、又多少僞装的なこともしてありましたが、私の方で明しが立てたいという
氣持
が非常に強か
つた
。万一それであ
つた
なら、早く出して貰えるならば、多くの人に迷惑をかけないでもいいですから、
犯罪
捜査の段階として論ぜられることが
ちよ
つと私としては腑に落ちないくらいな
氣持
です。
松村眞一郎
52
○
松村眞一郎
君 そうすると、何か
証拠
でもあれば、今度それを
本人
に出して貰うというような
工合
にされるお心持であ
つた
わけですかね。何かあれば……。ここで発見した場合ですね。
家宅捜索
、
調べ
に
行つた
が、そこで何か掴んだ場合は、どんな
工合
にするというお考えですか。
楢原義男
53
○
説明員
(
楢原義男
君) そこまでの
氣持
も何もありませんでした。本当に
証拠
があれは、
はつ
きり改めて
令状
を出して、本当の
犯罪者
、被疑者としての
取扱
をする。それから実際
刑事訴訟法
に基く捜査を進めて行く。
本件
においても
正木事務官
の場合でも
関係
が出て來たから、
はつ
きり
犯罪者
として、被疑者として
取扱
を進めて來たのです。まだそれまでは被疑者的な
取扱
というまで及んでいないので、そういう
氣持
でや
つて
いないのですから、僕もこれは非常に人権のむずかしい問題だと思いますね。
松村眞一郎
54
○
松村眞一郎
君 我々もそう思いますね。
楢原義男
55
○
説明員
(
楢原義男
君) この問題は別に考えても、一体どの
程度
まで……。人権というものは一体何かという問題を考えさせられるですね。ただ刑事
事件
的ないろいろな場合があ
つて
、果してそれが法律
通り
にやるのが人権擁護になるのかならんのかということに
関係
します。そういうものはここに
憲法
にいう人権じやなくて……
松村眞一郎
56
○
松村眞一郎
君 行政的の、どういうように解釈いたしますかな。捜査は別に
犯罪
についての疑をなくするために行な
つた
ということになりますかね。
楢原義男
57
○
説明員
(
楢原義男
君) 多少そういう疑問といいますか、多少の疑義を、その
内部関係
で怪しいという疑問ですかを解く。又片
一つ
方からは、そうでない人でも
自分
らの明しを立てて貰うという
氣持
で、一應
内部関係
でそれを明らかにしようということで……
松村眞一郎
58
○
松村眞一郎
君 そうすると、捜査調書というものはありませんね。そんなものは拵えてないのですね。
楢原義男
59
○
説明員
(
楢原義男
君) それはないと思いますがね。
松村眞一郎
60
○
松村眞一郎
君 それで結果は、
檢察事務官
は御
報告
したのでしようね。
檢事正
に対して……
楢原義男
61
○
説明員
(
楢原義男
君) それは勿論しました。
松村眞一郎
62
○
松村眞一郎
君 それは書面で
報告
していない……
楢原義男
63
○
説明員
(
楢原義男
君) その当時はまだ実際において直ぐ
行つて
直ぐ
報告
をするというか、何もありませんでしたというようなことで、書面を
はつ
きり取
つて
どうというようなこともありませんでした。又
事務官
も、
事務官
同士のことですから、そう深く考えていないわけです。
松村眞一郎
64
○
松村眞一郎
君 併し一應は
檢事正
にこういう所を探したが、ここはこうだとかというようなことは何か申したのだろうと思います。
楢原義男
65
○
説明員
(
楢原義男
君) それは勿論ここに書類があ
つた
とか、ここでは書状があ
つた
とかということは
報告
を受けて、そのときはそういう
氣持
でなか
つた
けれども、後程こういう
事件
が出て來たから、或いは書面にな
つて出
て來たのかも知れませんが、本当に被疑
事件
として扱
つて來
たから出て來たのかも知れませんが、その
最初
のときはそういうことを、調書を作
つて出
して行こうというような被疑
事件
として、全部被疑者として扱
つたの
じやないわけですから、何もそういう問題は出ていないわけですから……
齋武雄
66
○
委員長代理
(
齋武雄
君)
正木事務官
はいつ起訴しましたか。
楢原義男
67
○
説明員
(
楢原義男
君) 四月の四日に起訴したと思いますね。それでこの問題も全然問題なく済んでお
つたの
です。そういうことまで
向う
の方も考えていなか
つたの
ですが、その後
角田檢事
だけでは、どうも
責任
が、この方だけでは
責任
が取れない。割合に
檢察廳
の
事務
に慣れない方で、以前に弁護士をされてお
つた
方で、梶川という
檢事
は新らしく
支部
長として任命したわけです。それに対して、
自分
が年が上であ
つた
にも拘わらず、梶川という
自分
より年の下の人が
支部
長として呼ばれて
監督者
として來たことが不満だというようなことと、それから
職員
の号俸の切替が正月にありまして、その結果今度の新らしい給與令によると、出身学校が小学校であるか、或いは專門学校、中学校であるかによ
つて
初任給が非常に違うわけです。それで
自分
より今まで下であ
つた
職員
が上にな
つた
場合も幾つもあるわけです。その中の一人がこの
米子
の
事務官
に非常に下にな
つた人
がお
つた
りして、どうも
自分達
は特別な扱いをしたというようなことから人権擁護委員の方に、青戸さんとかいう方に
ちよ
つと
お話
したらしい。それが新聞に傳えられて問題にな
つたの
で、その当時は問題にな
つて
いなか
つた
わけです。その
事件
は昨年の十二月に問題にな
つて
、私が
調べ
たのは昨年の十二月末の問題ですが、
事件
として新聞に出たり何かして騒がれ始めたのはもう二ケ月も過ぎた二月末から三月初旬にかけてであ
つて
、何か外の
方面
から派生して來たような……
本人
も了承してお
つた
わけです。
齋武雄
68
○
委員長代理
(
齋武雄
君) その
調べ
に
行つた人
は
檢察事務官
ですか、
檢事
であるか、警察官が
行つたの
ですか。
楢原義男
69
○
説明員
(
楢原義男
君)
檢察事務官
も警察官も多少
行つて
おります。
齋武雄
70
○
委員長代理
(
齋武雄
君)
檢事
は行かないのですか。
楢原義男
71
○
説明員
(
楢原義男
君) 船越という副
檢事
が
角田
君の家に
行つた
そうです。これは船越君もたまたま
事件
の應援といいますか、この
事件
でなくて、昨年末に未済
事件
を
処理
したいということで、
米子
に應援に來てお
つた
、そうしてまあ一遍
一緒
に行こうというようなことで
行つた
らしいのです。私は別にそれを言
つた
わけではなか
つたの
ですが、とにかく行きました。
齋武雄
72
○
委員長代理
(
齋武雄
君) 警察官は何人ぐらい……
楢原義男
73
○
説明員
(
楢原義男
君) やはり家が多か
つたの
で相当、相当とい
つて
も十人ぐらい。五ケ所に分けて行きましたから……
松村眞一郎
74
○
松村眞一郎
君
檢事正
の心の中は、こうい
つた
ような
事件
が又々起
つた
とすれば、同じようなことをなさいますか。
楢原義男
75
○
説明員
(
楢原義男
君) 一應この問題が非常に問題化して來れば、まあ愼重に、こういう方法でなくてやりたいと思います。私としてはその当時は良心的には
ちよ
つともやましい
氣持
は持
つて
いないのですが、多少でも問題視されるということになりますと、方法についても考慮したいと
思つて
おります。
齋武雄
76
○
委員長代理
(
齋武雄
君) これは
令状
がなくして
家宅捜索
をやるということは
憲法違反
だ、こういう疑いがあるのですから、上司と研究したらいいのじやないですか。こういうことがあ
つた
らどうしたらいいか……。松村さんのはやらん方がいいというわけですね。
松村眞一郎
77
○
松村眞一郎
君 ええ、私の意見はここまでなさらない方がいいのじやないか。さつき申しました
裁判
官の回避というような
態度
はこういう際にはやはり取る方が穏当じやなかろうか。そこまで行かないで……
齋武雄
78
○
委員長代理
(
齋武雄
君) やはり統一して置く必要が……
楢原義男
79
○
説明員
(
楢原義男
君) 將來こういう
事件
が起
つた
場合どの
程度
のことをするかということは、これは始めてでしようから、私としてはただその当時又丁度年末の二十九日ですし、皆
職員
がおらなくなりますしね。二十八日が御用仕舞ですから、私らも正月とか、年末になりますからして、或いは若しそれが
犯罪
があ
つた
として、その前に年末、年始に來て
貰つた
りなんかしても困る。又氣分が変
つて
今ならば出したいという
氣持
であ
つて
も、もう少し期間が経てば出したくないというような感じにな
つて
貰つて
も困るし、一應早く
行つて
皆の
了解
を得たいという
氣持
で
行つた
わけです。それで普通の場合だとそうまで急がなくても……と言いますか、よか
つた
かも知れませんけれども、丁度年末であ
つた
し、
役所
が休みになると思うものですから、それに
自分
の
責任
が
証拠品
というような問題で、普通の
職員
の何かオーバーがなくな
つた
とか、金がなくな
つた
というのと余程違うものですから、大勢の人に関連する、
一般
の大勢の人の
関係
がある問題だものですから、まあ上司の方にまで
了解
を得なくて、一
應事情
調査
に行くということで私は
行つたの
です。
齋武雄
80
○
委員長代理
(
齋武雄
君) よろしうございます。 〔
委員長代理
齋武雄
君退席、委員長着席〕 —————・—————
伊藤修
81
○委員長(伊藤修君) 続いて
暴力團
の
事件
をいたします。それでは法務府特別審査
局長
の吉河光貞君の現下の
暴力團
に対するところの解散命令、並びに解散を命令された
暴力團
の実態というようなもの、並びにその後の処置及び今後におけるところの全國の
暴力團
に対するところのお考え方というものをお伺いいたしたいと思います。
吉河光貞
82
○
説明員
(吉河光貞君) 実はポツダム勅令百一号並びに團体等規正令に基いて
暴力團
体として解散指定いたしましたものは、現在までのところ十九團体に達しておるのであります。そのうち内務省の
調査
局当時に解散指定いたしましたのが一團体、その他の十八團体は法務廳特別審査局になりましてから解散指定した團体であります。実は
暴力團
体を勅令百一号、又は團体等規正令の適用團体として採上げましたのは、
昭和
二十二年十二月、新鋭大衆党が
最初
の案件でありました。これが只今申上げた内務省
調査
局当時に解散指定した唯一の團体であります。その後本格的に
暴力團
体を対象團体といたしまして採上げて解散をするようになりましたのは
昭和
二十三年六月からのことでありまして、御承知の
通り
それまでは特別審査局の主力が極端な國家主義團体の解散、又は軍國主義團体の解散という面に指向せられておりました。で
昭和
二十三年六月頃からこれらの超國家主義的な團体、又は軍國主義的な團体と並びまして、
暴力團
体をも採上げることとな
つたの
であります。特別審査局で解散指定をいたしました
暴力團
の名称、解散指定の年月日を簡單に申上げますと、戰災者更生会
昭和
二十三年六月二日、淺草更生寮
昭和
二十三年六月二日、朝鮮民主國防義勇團
昭和
二十三年八月十四日、日本反共連盟大鶴青年部
昭和
二十三年八月十四日、天拘党
昭和
二十三年八月二十二日、千束救済会
昭和
二十三年十一月一日、香月青年壯年同志会
昭和
二十三年一十月十九日、星櫻塾
昭和
二十四年一月二十五日、藤田組、これは元関根組とい
つて
おりますが、
昭和
二十四年三月十日、瀬戸一家、通称川島一家と言われておりますが、
昭和
二十四年三月十日、久留米露店商産合、通称原口一家、
昭和
二十四年四月二日、北原組
昭和
二十四年四月二日、太政官香川縣
支部
、
昭和
二十四年四月二日、志波一家
昭和
二十四年五月七日、白龍社
昭和
二十四年五月七日、龍一家
昭和
二十四年五月十四日、萩島産
昭和
二十四年五月十四日、関根組
昭和
二十四年六月十四日、以上十八團体であります。御承知の
通り
私共が
暴力團
体と申しておりまするものは、勅令百一号第一條の第七号、及び團体等規正令第二條第七号に該当する團体でありまして、團体等規正令第二條第七号の條文を読上げますると、「暗殺その他の暴力主義的企図によ
つて
政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若くは正当化すること」を目的又は行爲とする團体になるわけであります。そうしてこれらの團体は御承知の
通り
、博徒、露店商人、香具師、それから土木請負業者、その他のいろいろのボス的な團体と言われておるものであります。これまで解散指定されましたこれらの
暴力團
体の具体的内容は、それぞれ特殊な特異性を持
つて
おるのでありますが、これを概観して見ますると、次のような
一般
的な傾向があるのではなかろうかと結論付けられるわけであります。即ち第一は親分、子分又はこれに類似した結合
関係
を以て結ばれておるもの、第二は繩張りと申しましようか、地域的な勢力範囲を設定するというような團体、第三は不法な威力を擁しまして國民の生活の自由と安全を脅かし、不法の利を図るというような点が顯著に現われておるのであります。中で特に注目すべき点はこれらの
暴力團
体の中には表面民主主議を標傍するものが少くない、それから又は反共運動を一應の目的に掲げるものもある。更には
暴力團
体の活動が單純に不当な利益を図るというだけではなくて、地方行政に多大の影響を與えて、町長のリコール問題等をめぐ
つて
、その不法な威力を発揮するというような傾向のものも見受けられるのであります。私共といたしましては、中正にして健全な民主主義國家として日本を再建するためには、絶対にこの種の
暴力團
体を一掃しなければならんと考えておるのであります。今後の
処理
方針といたしましては、全國的に基礎的にデーターを
調査
蒐集いたしまして、これに基いて組織的に要注意團体を選択し
事件
の未然防止に努めますると同時に、悪質な事案に対しましては、容赦なく解散を断行して行きたいと考えておる次第であります。而も往々
世間
ではこういう
暴力團
体を解散しても何にもならんのではないかというような声も二三聞くのでありますが、私共といたしましてはこういう
暴力團
体を解散いたしまして、その主要な役
職員
幹部
を追放にいたしますと同時に、これらの一度解散された團体の復活再建を嚴重に取締
つて
行きたい、それで團体等規正令におきましても、この種團体を復活した場合は、その刑が二倍の罰則を以て臨まれることにな
つて
おります。復活再建を飽くまで抑えて行きたい。そうして我が國からこの種
暴力團
体を一掃して、平和な明朗な民主國家を作
つて
行きたいと考えておるわけであります。
從來
解散指定いたしました
暴力團
の具体的内容につきましては、書面で申上げた方が或いは適当ではなかろうかと考えておるのでありますが、委員長の御指示に從いたいと考えております。
伊藤修
83
○委員長(伊藤修君) それは
一つ
の書面で出して頂きたいと思います。解散命令を下したことが形式的に流れて、実質的に今お説のような、依然として彼らの間に一脈通じて存在しておるのであるかどうか、その点……
吉河光貞
84
○
説明員
(吉河光貞君) そういうところはもう再建復活するまでは動いておりません。一番根強いばくち打の團体でさえもまだ復活の機運は見えておりません。非常に嚴重に
調査
して……
伊藤修
85
○委員長(伊藤修君) 解散命令を出すのにどういうような措置が取られるのですか。
吉河光貞
86
○
説明員
(吉河光貞君) 解散命令を出しますと、これを示達いたしますと同時に、法務府の民事局第五課がその財産を接收いたしまして、同時に特別審査局は
関係
府縣或いは全國に通達いたしまして、その團体の
支部
或いは
関係
團体の有無を
調査
いたしますと同時に、主要役
職員
のリストを作成いたしまして、エビデンスを
調査
いたしまして、これをパージに指定いたしまして、爾後は全國の
檢察廳
始め國警、地警に解散指定の日を通達いたしまして、復活再建の嚴重な監視に当
つて
おるわけであります。私共みずからも
調査
班を派遣してその
事務
の動向を見るということにや
つて
おります。
伊藤修
87
○委員長(伊藤修君) 特殊の各府縣には行かないのですか。八ヶ所ですか。
吉河光貞
88
○
説明員
(吉河光貞君) 八ヶ所であります。
伊藤修
89
○委員長(伊藤修君) 八ヶ所の人が常に監視しておるわけでありますね。
吉河光貞
90
○
説明員
(吉河光貞君) 都道府縣に主管の
調査
課、地方課というのがありまして、これに團体等規正令の要員として一定数の地方定員を配置しております。この方々がその当該府縣の問題につきまして絶えず注意しておるという状態にな
つて
おります。
伊藤修
91
○委員長(伊藤修君) 財産というのは相当皆持
つて
おるんですか。凡その……
吉河光貞
92
○
説明員
(吉河光貞君) あるのとないのとでございます。そこで解散指定するまでは絶対に極秘に
取扱
います。財産の散逸、隠匿を防ぎますので、そうして押えるのですが、あるのとないのとございます。
伊藤修
93
○委員長(伊藤修君) 今まで解散を命ぜられた團体については武器やそういうものに対する何は、備えておりますか、そういうものはどうですか。
吉河光貞
94
○
説明員
(吉河光貞君) これは
從來
解散を指定いたしました團体は数々の刑法上の
犯罪
を犯しておりまして、その間何回も檢察の手が入
つて
おりまして、武器その他はその際に押收されておりまして、私共が解散して民事局がこの財産を洗うという場合には武器はありません。ただ唯一の解散團体であります朝鮮民主國防義勇團、これは軍服類似のものを以て軍事教練をや
つて
おりまして、これにはそういうふうなものがありましたが、兇器はないのでございます。
伊藤修
95
○委員長(伊藤修君) この種の團体は要するに資金
関係
は、彼らの構成する人の何か背後
関係
とか、そういうルートがあるとか、或いは武器についてそういうルートがあるとか、一應目をつけられるとか、
家宅捜索
を受けるという場合にはそれが隠蔽されるというような虞れはないんですか。
吉河光貞
96
○
説明員
(吉河光貞君) ありますですね。大体團体の本部にはそういう武器は置いてないんですから……
伊藤修
97
○委員長(伊藤修君) 結局こちらが手を入れるには、解散命令を下すことによ
つて
、そういうような力
関係
のものが隠匿されるというような傾向はないわけですね。
吉河光貞
98
○
説明員
(吉河光貞君) ですから内偵中は非常に秘密にやらなければならないわけですね。
伊藤修
99
○委員長(伊藤修君) 人員
関係
はどうですか。今一番大きいのはどのくらいですか、構成メンバーは……
吉河光貞
100
○
説明員
(吉河光貞君) いわゆるその勢力の及んだ者は三千名くらいの團体もございます。併しそれが全部正式のメンバーとはなりませんので……
伊藤修
101
○委員長(伊藤修君) 一應の動員勢力……
吉河光貞
102
○
説明員
(吉河光貞君) これは非常に力を持
つて
おりまして、瀬戸一家は三千名と号しております。大体北海道から本土に渡れば、瀬戸一家というものに草鞋を脱ぐというぐらいに彼らの仲間では力を持
つて
おります。
伊藤修
103
○委員長(伊藤修君) 先程の特審の出張所ですか……
吉河光貞
104
○
説明員
(吉河光貞君) 駐在監視です。
伊藤修
105
○委員長(伊藤修君) 駐在監視の人がお出でにな
つて
地方の警察との連絡をおとりにな
つて
おるわけですが、
調査
される警察、それとこれらの團体と常に密接な
関係
があ
つて
情報が逃れる傾向があるのじやないですか。
吉河光貞
106
○
説明員
(吉河光貞君) そういう場合には白龍社の場合ですと、警察を乘取
つた
、警察の下僚に非常に影響を與えておるというような團体につきましては、警察の力を借りずに特審
自身
の力で
調べ
る。或いは
檢察廳
の力、データーを貰う。足りないところは特審で
調べ
るというようにしております。
伊藤修
107
○委員長(伊藤修君) 大体我々が見聞するところによればこの種の團体は地方警察に非常に喰入
つて
おるということが実状のように伺われるのですがね。警察の手を借りることが主体であると、実態は把握できないと思われるのですがね。
吉河光貞
108
○
説明員
(吉河光貞君) 実は特別審査局は警察と指揮、命令の
関係
はありませんし、又警察を通じて
調査
をやることはその本來の筋ではありません。
調査
をみずからやり、都道府縣主管下の手を使
つて
やる。警察
関係
は警備の
関係
の援護を受けるとか、或いは既に警察や
檢事
局に
上つて
おるデーターをまあ利用する
程度
です。
伊藤修
109
○委員長(伊藤修君) 補助的にお使いになるというわけですね。一言にして言えば……。今まであれですか、この種の團体について取
調べ
られたのですが、その地方警察と結託して、その禍根のために手をお入れになることができないような事実はなか
つたの
ですか。
吉河光貞
110
○
説明員
(吉河光貞君) ございません。必要あると本局から十名なり二十名なり派遣しますから、支局に任せて足りませんと、本局から実動部隊を需要に應じて何名でも現地に集中するわけです。
伊藤修
111
○委員長(伊藤修君) 大体あなたの方の持ち人員はどれぐらいあるのですか。
吉河光貞
112
○
説明員
(吉河光貞君) 今度新定員が増員になりまして、本局員が大体三百五十名、それから地方支局員が百五十名、合せて五百名、人数が少いので嚴選してや
つて
行きたいと考えております。
伊藤修
113
○委員長(伊藤修君) 大体三級官ぐらいの人ですか。
吉河光貞
114
○
説明員
(吉河光貞君) 二級官と三級官です。大部分三級官です。三級官の中にも帝大卒業生も、或いは專門学校卒業者も相当大勢ございます。
伊藤修
115
○委員長(伊藤修君) その
程度
の三級官の人は前身は警察上りの人とか憲兵隊とかそういうような人は入らないのですか。
吉河光貞
116
○
説明員
(吉河光貞君) 警察官は差支えないと思います。憲兵は入りません。
伊藤修
117
○委員長(伊藤修君) そういう捜査的の何か前歴のある人ですか。
吉河光貞
118
○
説明員
(吉河光貞君) 全々
刑事訴訟法
に言われる捜査の前歴のない人も過半数入
つて
おります。
伊藤修
119
○委員長(伊藤修君) そいつは大体專門知識は持
つて
おるわけですね。
吉河光貞
120
○
説明員
(吉河光貞君) そうです。
伊藤修
121
○委員長(伊藤修君) 或いはあなの方で教育するわけですか。
吉河光貞
122
○
説明員
(吉河光貞君) はあそうでございます。
伊藤修
123
○委員長(伊藤修君) 大体今お伺いした範囲は、いわゆる俗に言う極右團体とかいうのに属する
関係
が多いようですね。
吉河光貞
124
○
説明員
(吉河光貞君) はあ、いわゆる政治的色彩の少い
暴力團
体と……
伊藤修
125
○委員長(伊藤修君) 右翼の方に属する團体ですね。
吉河光貞
126
○
説明員
(吉河光貞君) 右翼と申しますと、これ又
ちよ
つと違うのでございます。政治的な傾向が相当強いのです。團体でございますから。
伊藤修
127
○委員長(伊藤修君) 政治的な色彩が強い右翼團体に対して今までどういう……。今後又は現在何かお考えにな
つて
いらつしやるのですか。
吉河光貞
128
○
説明員
(吉河光貞君) 特別審査局の方針といたしましては、左も右も、まあその政治的な指導理念の如何を問わず勅令百一号、まあ最近は團体等規正令の枠で十分に取締
つて
行きたい。これに違反する悪質な事犯に対しましては、徹底的に処置して行くようにいたしたいと考えております。
伊藤修
129
○委員長(伊藤修君) 結局極右極左を問わず。
吉河光貞
130
○
説明員
(吉河光貞君) はあ、多年行政措置として
犯罪
未然防止という点にも重点を入れておりまして……
伊藤修
131
○委員長(伊藤修君) 國民主権並びに民主主義國家というものの再建を阻害するような行爲一切を対象とするという
意味
にお伺いしてよろしいですね。
吉河光貞
132
○
説明員
(吉河光貞君) そうです。飽くまで團体等規正令の枠でや
つて
いるわけです。
伊藤修
133
○委員長(伊藤修君) 勿論法的根拠はそこにあるわけですね。
最初
に遡りますけれども、只今のこの事例でお伺いしてもよろしいけれども、
暴力團
の発生原因について特異性は何かあるですか。
吉河光貞
134
○
説明員
(吉河光貞君) これは実はもう少しやりまして、この具体的なデーターに基いて檢討して、
一つ
纏
つた
結論を得たいと
思つて
目下研究中でございます。
伊藤修
135
○委員長(伊藤修君) ああ、そうですか、まだお集めにな
つて
いるわけじやないですね。
吉河光貞
136
○
説明員
(吉河光貞君) はあ。
伊藤修
137
○委員長(伊藤修君) それなら集りましたら我々の参考に
一つ
頂きたいと思います。
吉河光貞
138
○
説明員
(吉河光貞君) 承知しました。
伊藤修
139
○委員長(伊藤修君) 左翼思想を持
つた
團体の
暴力團
というものに対しては、今日お考えにな
つて
いらつしやるですか。
吉河光貞
140
○
説明員
(吉河光貞君) まあそれを
暴力團
とは呼んでおりませんが、勿論この團体等規正令の面から考えまして、違反の虞れある團体又は違反の容疑ある團体につきましては
調査
いたします。そうして嚴重に取締
つて
行きたいと考えております。
伊藤修
141
○委員長(伊藤修君) 今一点、暴力ということは、いわゆる腕力行使のみを指すものではないでしようね。
吉河光貞
142
○
説明員
(吉河光貞君) はい、有形、無形の不当な威力を……
伊藤修
143
○委員長(伊藤修君) というふうにお考えになりますね。
吉河光貞
144
○
説明員
(吉河光貞君) さようでございます。
伊藤修
145
○委員長(伊藤修君) 何か外に……
遠山丙市
146
○遠山丙市君 解散團体の財産の接收ということがありますが、私有財産は何の規定で接收することになりますか。
吉河光貞
147
○
説明員
(吉河光貞君) これはやはり勅令百一号に一條入
つて
おりまして、解散した團体の財産はこれを接收する。團体等規正令におきましては、特にそれを規定いたしませんでしたが、別にメモランダムが出まして、そうして解散團体の財産の接收等に関するポツダム政令が発布されておりまして、それに基いてや
つて
おります。
遠山丙市
148
○遠山丙市君 それでやりました財産を何かあなたの方で競賣手続か何かで処置しておられるらしいのですが、あの規定はどうしておるのですか。そうしてその財産はやはり國庫に帰属するのだと思うのですが、その方法等を承
つて
置きたいと思います。
吉河光貞
149
○
説明員
(吉河光貞君) これは民事局の五課の所管でございまして、特別審査局は解散した團体の財産の
処理
には絶対にタッチしてはいかんというふうにな
つて
おります。私の方で團体を解散しますと、民事局の五課にこれを祕密に通知しまして、民事局の五課が
処理
することにな
つて
おります。解散團体の理事会というものが彼処にはできておると聞いております。
遠山丙市
150
○遠山丙市君 それで最後に一点だけですが、今お読み上げにな
つた
一つ
と思いますが、上野の不忍池の何という團体ですが、佐々木というのですか、非常に相当大きな建物を淺草に持
つて
おりまして、今は東京都の衞生局が引受けて病院か何か作
つて
おるようでありますが、あれは一例ですが、長い間評判の悪い男で、摘発して貰わなければならんということを地元の者がよく
言つて
お
つたの
でありますが、何とい
つて
も厚生省その他が非常によい團体だというので、物資をどんどんそこの配給して來るのを、片つぱしからどこかにや
つて
しまう。よい團体という折紙で物資が來るということであ
つたの
であります。それが解散團体とな
つて
、ああいうような御処置を願
つた
。そうして見るというと、その解散を命ぜられた團体だけの者がお叱りを蒙るということであ
つて
、大体そこにどんどん特殊物資などをや
つて
お
つた
厚生省なんというものは、後で一体どういうことにな
つたの
でしようか。それは
自分
の眼違いであ
つた
からというので勘弁して
貰つた
ものか。彼の財産だけ取
つて
しまう。数回浅草の建物を私は見たのでありますが、非常に大きな立派にでき上が
つて
おる。ああいうものは結局不正の横流しによ
つて
肥
つて來
たものと思います。そうするとこの財産は國庫に帰属したが、肥らしたことについては非常に大きい私は
責任
があるのだと思うのですが、そういうことの後の始末については、そういうような解散されたものだけの処置だけで、外の方に対してこういう
工合
にな
つて
お
つた
から、こういう点は注意しなければならんということは、適当にあなたの方でや
つて
貰うようなな
つて
いないのか。それともあなたの権限外にな
つて
おるのか。
吉河光貞
151
○
説明員
(吉河光貞君) 実は権限外です。所管廳の行政上の
責任
を追究するようなことは特審に権限がございません。
遠山丙市
152
○遠山丙市君 そうすると権限のある所にそれを何か御通知願
つて
お
つた
ということはないのですか。
吉河光貞
153
○
説明員
(吉河光貞君) ございません。
遠山丙市
154
○遠山丙市君 そうしたらそういう
工合
にどんどん評判の悪いところでも物資をどんどん出してお
つた
ところの者、或いは多少
関係
があるのではないかと当時私らは見てお
つたの
ですが、まあそれともお見逃しにな
つて
お
つた
というわけですか。
吉河光貞
155
○
説明員
(吉河光貞君) 権限がないから、そういう形ですね。
伊藤修
156
○委員長(伊藤修君) 接收財産は賠償物資に引当てられるのではないのですか……。
ちよ
つと速記を止めて。 〔速記中止〕
伊藤修
157
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて……。他に別にお尋ねになることございませんか。では有難うございました。
吉河光貞
158
○
説明員
(吉河光貞君) いいえどうも……
伊藤修
159
○委員長(伊藤修君) これを以て散会いたします。次回は二十九日、一日、二日と、こういうふうに予め御了承願
つて
置きたいと思います。 午後一時四十五分散会 出席者は左の
通り
。 委員長 伊藤 修君 委員 大野 幸一君 齋 武雄君 大野木秀次郎君 遠山 丙市君 來馬 琢道君
松村眞一郎
君 星野 芳樹君
説明員
法務府
事務官
(特別審査局 長) 吉河 光貞君 島根地方
檢察廳
檢事正
楢原 義男君