○專門員(
泉芳政君)
便宜私より御
説明申上げます。本陳情は、中央労働委員会委員長末弘嚴太郎氏よりの陳情でありまするが、その内容とするところは、民法第三百六條第三号に、これは先取特権の問題でありまするが、雇人の給料について先取特権があるという規定があるのであります。「債務者ノ総財産ノ上ニ先取特権ヲ有ス」ということにな
つておりまするが、この雇人の給料というのでは、從來の扱いから鑑みまして少し狹きに過ぐるから、「雇人ノ賃金又ハソノ性質上賃金ニ準ズルモノ」というふうに改められたい。それから第二番目は、同じく民法の第三百九條の但書を削
つて欲しい。その但書と申しますのは、「雇人給料ノ先取特権ハ債務者ノ雇人カ受クヘキ最後ノ六カ月間ノ給料ニ付キ存在ス但其金額ハ五十円ヲ限トス」。つまり雇人の給料五十円について先取特権が認められておるのでありますが、古い民法のことですから、今日の
事情では五十円の先取特權というのは意味がない。そこでこの但書を削
つて雇人の給料については無制限に先取特權を認めて欲しいということ。それから三番目には
民事訴訟法第六百十八條、第二項、これは差押えの制限に関する規定でありまするが、その第二項に、一ケ年に三百円を超過するときはその超過額の半額を押えることができるということがあるのであります。この三百円というようなことも時世には適しなくな
つておるから、この三百円というのを現状に適合するよう相当程度の金額に引上げて欲しいという陳情であります。