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1949-06-13 第5回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月十三日(月曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————   委員の異動 五月三十一日(火曜日)委員團伊能君 辞任につき、その補欠として鈴木安孝 君を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。  本日は檢察及び裁判運営に関する調査につきまして、休会中如何に運営して行くかということについて、御協議願いたいと思います。御意見ありませんか。
  3. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 継続中のものは今何件ありますか。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 続継中のものは、昭電事件と、それから佐々木松夫と二件でありますが、それはいずれも結論が出ておりますが、原稿はできておりますが、まだ読んでおりませんですから、それは、ここ二、三日中に委員会に出しますから御協議願いたいと存じております。まあそれで関係方面関係部分のあれは終了しておるわけであります。
  5. 來馬琢道

    來馬琢道君 この頃最高裁判所からああいう通牒が議長宛に來たので、世間の人はいろいろ批評しておるんですが、その批評は、まだどこの人もはつきり捕促することができなくて、盲滅法の批評をしておるという工合に考えてもいいと思うのですが、あの事件が起りましてから、参議院法務委員会、或いは衆議院法務委員会へ、裁判上の不平があつたときは、調査を依頼すればやつて呉れるのかということを、我々個人に質問して來る者もある。先だつてちよつと私が報告を申したときに触れましたが、大津の裁判所の一雇員の問題でありますが、あれは滋賀新報社参議院法務委員会へ向つて訴えて來た、それを取上げたように考えておりますが、今後ああいうことはあるものでしようか、ないものでしようか、我々市民に会いますときに、そういう態度をはつきりして置く方がいいかと思うのですが、一つ委員長から適切なる指示をして貰いたいと思います。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御承知通り裁判そのものについてですね。我々が裁判の不服を聞くとか、裁判の不服の点について調査するとかいうことはあり得ないと思うのです。飽くまで当委員会で今日まで行なつて來たことは、檢察運営とか裁判運営ということについて限られておると存じまして、狭い意味司法権の行使については、我我はこの際タツチしていないですが、それは市民の何かの誤解と存じます。そういうような方向で今日まで進んで参つたつもりであります。
  7. 來馬琢道

    來馬琢道君 もう一つ、先だつての西尾末廣さんの無罪というんですか、不起訴になつたというんですか、あの事件については参議院告訴しなければ取上げられないということに決まつたんでありますか、その辺はどう委員長考えておりますか。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれは最高裁判所判決は、御承知通り議院の自主権に委されたものであると解釈するから、從つて議院告訴をしなければ、事案取上ぐべきものでないという見解を表示してのでありますが、御承知通り衆議院及び参議院並びに立法趣旨は、そうでなかつたことは明らかでありますが、できた法律に対する解釈としては、最高裁判所が最終の解釈権を持つておるのですから、これは最高裁判所考え方が仮に立法者意思に副わないとすれば、立法の改正をするより途はないと思います。今日はその程度一つ……
  9. 來馬琢道

    來馬琢道君 そうすると、議院委員会において調査したその材料によつて檢察廳の方が告訴するというようなことはまあないということに断定されたわけですね。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。僞証であるかどうかということは、檢察廳だけで取上げては公訴権は成り立たない、こういうことになつたわけです。從つて僞証であるという場合には、進んで議院告訴を提起しない場合には取上げられないという結論に到達したのです。
  11. 來馬琢道

    來馬琢道君 それでそういたしますと、この問題があの判決によつてはつきり分つて來たわけですね。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 解釈は確定したわけですね。
  13. 岡部常

    岡部常君 來馬さんがおつしやつたように、國政調査権乃至法務委員会における、檢察並びに裁判運営に関する調査、これに対しては世間は相当誤解しておる。誤解というよりは殆んどその意味を知らないと思うのです。それにつきましてあらゆる機会を利用して我々の態度を表明するということが必要だと思うのです。実はそれに関連しまして昨日の朝のラジオの放送で、「私達の言葉」の中に、鍛冶利一という弁護士が、例のウランバートル事件ですが、あれを参議院法務委員会の仕事があるかのように言つて、それで批判をしていたのです。あれなんかは世間を相当誤解せしめる虞れがあるのですが、ああいう機会を捉えて、あれは法務委員会でやつたのじやないということを何かで発表すると同時に、國撰調査権乃至はこちらの調査会のことをやはり何か委員会としてお出しになつたらどうかと思うのです。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御承知通り、先程問題が起つたときに、お手許に差上げました印刷物を二千部作りまして、両院議員及び関係者並びに雜誌、評論とか、全國の新聞、それから弁護士裁判所檢察廳、こういう方面に一應配付いたしました。まだまだこれだけでは足らんと思いますが、その後東京日本弁護士連合会公聽会がありまして、その場合も出席しております。その後三十一日でしたか、衆議院で話を聞きたいとか申しましたものですから、三時間に亘りましてよく話をしました。衆議院では非常によく分つた言つて了承しておりました。機会あるごとに述べるように努めてはおりますが、尚今後とも注意いたしたいと思います。十分徹底いたすようにいたしたいと思つております。
  15. 星野芳樹

    星野芳樹君 日附は忘れましたが、新聞紙上参議院議長が、法務委員長見解で、参議院見解ではないというようなことを話されていたのですが……
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれは東京新聞ですね。あれはその通りでありまして、飽くまで法務委員会意思表示であつて参議院全体の意思表示ということは法的には言えないから、議長がああおつしやるのは当然ですが、ただあれは惡意ではなかつた新聞に載つたことは惡意ではなかつたが、見出しがそういうふうに観取されるということは悪い結果だと思います。それは新聞社も謝まつておりました。
  17. 星野芳樹

    星野芳樹君 どうもその結果、そういう惡意でないより、むしろ余りいい結果でないような、そういう場合は、やはり委員長の問題は、法務委員会についての発言なんですが、問題は重要性があるから、各委員ともつと隔意なき懇談の末発表されたら手落ちがない。議長の方ももう少し友好的に考えて頂くようなしないと、あれでは何か法務委員会議長とが思想対立があるかのごとく思われ、甚だ面白くないように感ずるんですが……
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 議長考えは決してそんな意味でなかつたことは明らかであります。内容を御覧下さいますと、別に議長が取とめて惡意を持つて、まさか反対の意見があるからというので出された意味じやないんです。そういうことは記事の内容では窺われますが、見出しから受ける感覚は、議長とこちらと相反するように受取れるが、そういう意味でないということは新聞社の方も釈明しておりました。又議長の方もそうおつしやつておりました。
  19. 星野芳樹

    星野芳樹君 新聞社は何かそれに対して対策をしましたが、出しつ放しですか。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは事実は事実そのままですから釈明を要しないわけですが……
  21. 星野芳樹

    星野芳樹君 どうも東京新聞はときどき不謹愼なあれがありますね。そういうときにはやはり一應交渉して、何かの形で取消すとか……
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 取消すという問題は起らないでしよう。事実はやはりその通りで、院議に基いて発表したものでないという意味ですから……
  23. 來馬琢道

    來馬琢道君 佐々木松夫問題は……
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれも結論が出て、原稿ができております。
  25. 來馬琢道

    來馬琢道君 そうすると今のところで継続して行く調査事項はどの方向向つたらよいんですか。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今委員会へ申出ておるものは百五十件ぐらいあります。そのうち檢察運営について裨益するところがあると思われるような事件を捨い出して見ますと、東京地檢鉄道パス事件、これは何か私留守中に新聞に出ておつたそうですが、これは或る数名の檢察官が、鉄道管理部から御用商人嘱託名義無賃乘車券を取つたのであります。その御用商人と発行した管理部員との間の贈賄関係が別の事件であつて、その取調べる檢察官及びその人のみでない関係檢察官が数名その御用商人嘱託名義パス貰つてつたという事案でありますが……
  27. 岡部常

    岡部常君 それは檢察官ですか、警察官ですか。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察官です。たまたまその御用商人鉄道管理部員との間の贈賄事件が摘発された、そのときに調書の上に現われたが、その調書が殊更にその部分だけは削られて隱蔽されておるという事件です。その問題は、結局は贈賄になるんでしようが、殊更に起訴しなかつた、後でそれを問い質したらば、それは起訴を忘れたんだというような釈明をしておつた、そんなような事案です。
  29. 岡部常

    岡部常君 その外何か事があつたらずつとお列べになりますか、それともそれを一々やりますか。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 簡單にそれじや申しましよう。
  31. 岡部常

    岡部常君 ずつと言つて頂けましようか。
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 福島事件というのがあるのですが、前の檢事正同地で開業しておる某弁護士ボスと結託して双方代理その他の不正を行なつていることに対し檢察廳処理が不当であると言われておる。それから新潟事件、農地問題について告訴したが、檢察廳ボスと結託しておるため取上げない。それから小倉事件柳河事件岐阜事件、これはいずれも頗る封建的色彩の濃厚な数個の暴力團が存在し、その間に猛烈な殺傷沙汰が行われた事実について檢察運営調査する必要がある。  それから小田原事件日本シルク事件派生事件について、檢事及び警察署長が涜職し、事件が不当に処理されていると疑われている。小樽事件檢事長、檢事正檢事らが離れ島で故なく漁業者より饗應を受けて新聞の話題となり、事件関係会社の社長と飲んで、その事件を揉み潰していると疑われている。大曲事件、これは先に調査員を派遣して調査いたしましたが、檢事が町の有志と酒を飲み、事件の揉み消しに應じていると疑われている。又官舍修理工事に木材の寄附を受け、その者の事件を不当に処理したと疑われている外、廳員の事務処理が当を得ないものである。水戸事件としては、次席檢事経済事犯容疑者と酒を飲んで、その事犯を不問に付したと疑われている外、同檢察廳事務運営よろしきを得ないものがある。  米子事件は、檢事正が廳内の窃盜事件の取調べに当り疑をかけた檢事事務官数名等に対し、令状によらないで家宅捜索監禁等不法行爲をしたと疑われている。勝間事件、街の顏役刑事事件について、自治体警察が不当な処理をし、檢察廳國警を指揮して檢挙したという事案名古屋事件檢察廳職員数名が同地判檢事を辞めて開業しておる数名の弁護士と結託して事件の揉み消しその他の不正を行なつているとの疑いあるもの。廣島事件、街の顏役追放令違反に対する告訴事件に関し、檢察廳処理が不当であると叫ばれておる。  延岡事件労働爭議に関連した刑事事件処理が偏頗なる取扱をしたと申告されているものです。奈良事件檢察廳において被疑事件七、八件につき不当に処理されていると疑われる事実の申告があり、代議士井上某に関する被告事件については暴力的威圧が加えられているという疑いもある。京都地檢事件、同廳の檢事事務官ら数名についての涜職、これに関連する事件処理について不当なものがあるとの申告もあり、大阪高等檢察廳最高檢察廳調査したが、徹底を欠いている疑いがある。京都圖越事件、街の顏役圖越刑事被告事件が不当に処理され身柄の取扱について当を得ていないものがあると疑われている。百五、六十件のうち取上げてもどうかと思われる事件を除きまして以上申上げたような事案檢察運営について多少参考になる事案ではないか、こう考えられるのですが、そのうち御承知のこの京都事件というのは、これは非常に紛糾しておりまして、事件の発端は相互タクシー京連——京都連合自動車株式会社とか何とか言う、これを京連と称するのですが、この両会社軋轢から、いわゆる檢察廳弁護士との間に又軋轢を生じ、それが段々発展して告訴事件のやり取りをしておる。これは法務委員会が若しタッチするということになると、非常にそれに捲き込まれる虞れがあると思われるので、今日までそれに対して手を着けていないのであります。奈良事件というのは、これは関係方面示唆があつた事件でありまして、御承知通り井上という皮革商代議士の人がありまして、これと檢察廳との関係及びその他あすこにもう一人の代議士の人が出ておりまして、これらの政党的な関係もあるでしようが、曾て衆議院不当財政取引委員会でこれの調査に着手した、それがたまたま不当財産取引委員会委員になつておる、それがためにうやむやになつておる。衆議院ではそれができないから、それで参議院でやれという話があつたのですが、こちらでやるから向うの調べた調書をこちらに借して呉れと言つてつたら、武藤君は、是非それは待つて呉れ、自分の方で処理したいからと言うので、不当財産取引委員会の最後のときにおいて一應こちらが待つておる形になつた。その後御承知通り不当財産取引委員会は消滅しまして現在考査委員会となつておる次第ですが、さような経過を経ておる事案です。これも非常に複雜しておる事案であると思うのです。
  33. 岡部常

    岡部常君 我々の調査会の方で裁判所のことに対しまして、これは裁判所お互い同士の間で恐らく容喙できないので、或る意味において外部からの観察ということが必要になつて來る、從つて調査ということが私は大いに理窟があると思うのです。又その筋からの示唆によるもの、これはまあ止むを得ません。その外のもの、檢察廳方面事案につきましては、一体檢察方面には上下の官廳の間の組織が儼然としてありまして、監督、被監督立場がはつきりしておる。法務廳関係におきまして十分に指揮監督というものが届いておる筈なんです。それがややともすると世間の疑惑を釀すような事件、それが檢察廳内部だけでは処理できないで、殊に先程の京都事件の場合のように、弁護士その他の複雜関係がその中に介在する場合、これはまあ止むを得ませんが、まあ一應は官廳指揮監督形態というものを尊重して掛からなければならないと思うのですが、從前も無論注意しておりましたろうが、今後沢山そういう事案が出る場合においては、特にその点については愼重に考慮して扱わないといろいろ非難が起ります。その点は我々委員会としても大いに注意しなければならん点だと思うのであります。それで今出ておりまする事実というものは、一体投書によるのですか、そういう分類などありましたらちよつとお示し願いたい。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 概括的に申しますれば、このうち今申上げました大曲事件というのは、鈴木さんからの正式な御発言ではなかつたですけれども、非公式に調査して欲しいというお申出がありました。それから小樽事件というのは、これは正式に調査要求書深川議員から出ております。その他は一般國民参議院に申出ておる申告に基くものです。それから新潟星野さんからの申出です。
  35. 岡部常

    岡部常君 その取扱につきましては、直近の監督官というところに常に照会しておられましようか。どうでしようか。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、まだこれは手を着けていない。今後これを仮に今旭部さんのおつしやるような趣旨に運ぶといたしますならば、一應こういう事実があるのかないのかということを、調査員なり、或いは議員が同行して調べて、若しあるとすればこれを委員会に正式に取上げる前に監督官をこちらに招致して、質して、あつたとしたら然るのち委員会にかけて行くという方向行つてもよし、事前監督官監督の発動を促すという方向行つてもよろしい。
  37. 岡部常

    岡部常君 從前すべてそれは渡りがついておるでしようか。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 從前のやつは御承知通り関係方面のは分離して、そうして関係方面から向う渡りがついておつた。それが思わしくないものだからこちらの方に來たという関係ですから。
  39. 岡部常

    岡部常君 そうでないのがありますか。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでないのが大部分です。今御趣旨のような方向に進むのがよいとは考えております。それにいたしましてもただこれだけでは一体これがあるのかないのかも分りませんから、一應調査員を派遣し、若しくは議員の人が他の視察と兼ねまして、そうしてそういう事実があるということになりますれば、監督責任のある人を招致してこれを質すということが先ず第一段として、それが又廣く全檢察官に対する或る運営についての示唆を與える事項であれば委員会に取上げて本会議に付するという方向に持つて行くことが好ましいと存じます。
  41. 星野芳樹

    星野芳樹君 今の岡部さんの御意見ですが、それは問題の取扱い方にあるのであつて余りにそうした監督官廳とかに囚われ過ぎると、我々の根本的な終局の目的封建性の排除という点にあるのですから萎縮しないようにお願いしたい。それからもう一つ報告いたしたいのは、私から希望いたしました沼田の事件につきまして調査員を派遣して頂いて調査して頂きましたが、その結果として地元で以て非常に險惡な空氣があつたにも拘わらず双方歩み寄つて円満な解決を遂げたということは、この際一言委員長にお礼をして置きます。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような反射効力とか、間接な効果を生ずることもあり得るということはあります。國民意思がいわゆる國会に通じたという一つの大きな影響力を及ぼす場合もあり得ると存じます。いろいろ運営の上について効果はもたらすことと存じます。私の考えとしてはこの福島事件というのは、福島は先にもやつたことですから余り何遍もやるということはどうも如何かとも存じます。
  43. 岡部常

    岡部常君 併し必要があれば何遍でもやつて差支ありません。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しなかなか手が足らんですから余り細かいことまで入りますと、委員の各位にも御迷惑がかかりますから……  今日は小倉事件米子事件岐阜事件というのは、御承知かどうか存じませんが、いずれも百名近い集團の出入でありまして、これに対するところ檢察廳取扱というのについては我々の大きな参考にもなりますし、又こういう極右的な團体に対するところ檢察方法というものはどう扱われておるかということを調べることは正に必要じやないかと、かように考えております。米子事件も、これは基本人権の擁護という当委員会の從來からの立場から申しますれば、相当調査の必要もあるじやないかと、かように考えております。名古屋事件というのは、これは鬼丸さんのお言葉もあつて、又書面も参つておりますが、これはちよつと分りかねるのですが、これから当委員会においてやろうということは、本当に当委員会独自の立場で今後よく運営して行きたいと考えておるのでありますが、皆さんの御協力によつてその成果を挙げたいと存じます。他に御意見は……
  45. 大野幸一

    大野幸一君 その米子事件というのは、提出者門田定藏議員から申出があつてから端を発しているのですが、これの責任者としてこの資料を提出されているのは、当時米子檢察廳檢事をしておられた角田正太郎という人であつて、今ここに弁護士をされておるのであります。そういう意味で、曾て專門員の方から最高檢察廳の方へ問い合せをしまして、当時高檢から最高檢察廳報告されておるのです。それで資料を本委員会においていろいろ予め調べて見ましたのですが、内部のことは内部でというような機運が多分に含まれていて、報告についても俄かに信を得難いと、こういう意味調査を要求したわけであります。決して一介の新聞社若しくは市井の人がこれを叫んでいるのでなくて、当時檢察廳にいた檢事が今はこの事件について憤慨されて辞めて、責任を以ていろいろ資料を提出されている点を御報告申上げて置きます。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尚今岡部さんがおつしやつたように、今回から或る事件をどなたか御担当を願う。それに対して調査された場合に、調査の結果に基いて当局にいわゆる質すという一つ先ず前提を置くことの方が効果的だと思うのです。そういう運営一つお願いしたいと存じます。今までのことは向う知つておりますから……今後これを若し取上げてやつて行くという場合においては、そうせんと向うはちつとも知らないというような形になりますから……
  47. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 当院で取扱いますことは全國的のことなんで、それで今後続々とこういう問題ができて参りましたときに、それを取上げる問題と、取上げない問題とを先ず、規則で決めるわけにも行きませんけれども、大体委員会でその標準と申しますか、切りをつけますところを何か決めるというようなことはできないものでございましようか。
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうも一つの線を引くということはできないと思うのですね。やはり委員会にお諮りして、成る程この事案は結局全檢察運営について、或いは裁判運営について裨益するところが多いという御認定を得ましたら、それを調査しようというふうに運ぶより途はないと存じます。今までは或る一つ示唆がありましたからよろしいけれども、これから自主的に取上げて行く問題につきましては、この程度という線を引くことはこれはむずかしいと思います。
  49. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 まあ、そんなことはないと思いますけれども、万一にもそれを或る意味での選挙に利用するというような、そうしてその点がこちらではなかなかそれを調査し難いというようなこともあるだろうということを私ちよつと懸念したのでございますけれども、それで何かどこから突込まれても決して個人的な関係でもなし、感情的な問題でもないというようなことを明らかにするものがある方がいいように私はちよつと感ずるのでございます。
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは事件の大体の形を我々が委員会において先ず知つて、そうしてその事案を調べて行くことによつて大きな効果を得られる、こういう場合にのみ取上げられると思いますが、一つの或る目的のために委員会が利用されるということは極力避けなければならないと思います。曾て汽車の中で衆議院の或る代議士の人が、こういう選挙違反で以て知事が怪しからんことをやつておるということを縷々お話が四、五時間ありましたですが、そういうようなあれはどうも考えて見ますと、衆議院法務委員会が、その人の選挙に何かに利用されるようなふうに考えて、私もそのままにしておりましたが、それはおのずからその事実をお伺いすればどういう目的があるかということが分ると思いますが、それは一つ一つの事実について各委員において御檢討願つて、これは取上げていいだろうとか……こういうふうにお運び願つた方がいいのではないかと思います。予めどんな線と言つて決めて置くというわけにも参りかねると思います。中には法務委員会を利用してやろうというものもあり得るわけですね。
  51. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 続いてでございますけれども、今度の最高裁判所との関係について世間では根本のことを言わないで、事実といたしまして浦和充子の問題を取上げていろいろ是と言い非と言い、なかなか世間の口のうるさいことは私共しみじみ感じておるのでございますが、ここで取上げてやつた事件については、やはり世間に納得の行くように何らかの方法で明らかにして頂きたいということをお願いするのでございます。
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その意味においても先程岡部さんからお話がありましたが、先ず委員長において正式に取上げる前に当局に質すという行き方は、それ自体が世間にその事実が発表されて行くということで、誤解をやはり少くする一つ方法ではないかと思います。又当局においても事前にそれに対して適当な措置を講じて、或る結果を得られますれば、それ以上進んで本会議にかけるという必要もない場合もあり得ると思います。これも一つのいい方法だと存じます。如何でしようか。
  53. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 そういう沢山な案件がここに來ておるとすれば、その大体の内容を一々委員会に一應は御報告になつて処理なさらんと、委員長としてお困りになるのじやないですか。委員長だけで処理されるということになると……
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで今お諮りしておるわけです。
  55. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 併し大体の内容を、こういうものであるというようなことを御報告になつて、これはもうこちらでは進めないというような工合に片附けてしまう、これはもう少し進めて見ようじやないかというような工合に分類する必要があるのじやないですか。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはもう少し詳しくという御趣旨ですか、今のアウト・ラインだけでなく……
  57. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 そういうような工合に何かここで、或るものは進んでもう少し專門員の方にでも御調査願う、この案件はそのままにして置こうというような工合に処理して行かないと……今あります中で、委員長から指示されたものを取敢えず專門員の方で調査をするということで処理されたらどうですか。
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう方法もありますし、大体百五十通ある中で、取上げて價値のある問題は今申上げた部分だけです。そのうちどれだけを取上げるかという点について、小委員の方にお願いするか、或いは理事と私にお委せ願つて取捨するか、或いは全般的にこれを調査員をして一應調査させるか、三つの方法があると思います。
  59. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 それを御相談して置く必要があるのじやないですか。その百五十件というのも何らか一應目を通して処理しなくてはならないと思うのですが……
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だからその選択方法を理事会にお委せ願えますか。
  61. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 それは委員長と理事で一應御調査願うということにしたらどうですか。
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは理事会にお委せ願いまして、その選択をいたして、どれに着手するかということを決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではさよう決定いたします。それでこの取上げる事案が確定いたしますれば、それと兼ねてその地方の檢察廳、或いは保護事業とか少年院、裁判所とかいう御視察を願いたいと存じます。御承知でありましようが、継続調査をいたした場合におきましては、成るべく継続調査した事実を挙げなくてはならぬらしいのですが、又挙げるべきが当然のことと存じますが、曾て、当法務委員会ではありません、外の委員会で、継続調査を本会議で承認を受けているけれども、一遍も開かずにやつてしまつたというようなところもある。そういうところは、今後は継続調査を許さないという方針らしいですから、その意味においても、継続調査いたしている以上はそれだけ仕事をいたしたいと思います。
  64. 來馬琢道

    來馬琢道君 私、昨日相当知識のある人と思われる人から言われたことで、随分町の人はいろいろな想像をして話をしておると思います。松本治一郎氏が追放になつた原因は、皇室経済会議において、皇后陛下のお持物をお賣りになつたらいいでしようということを言つたということが原因で、ああいうことにさせられたのであるというような噂を、如何にも誠しやかに説明して、聞いている方の人も、ああそうでしようか、と言つて余り我々が説明しにくいことを喋つているのを聞いていたのですけれども、民主主義である今日において主権在民という新日本の今日で、そういうデマを飛ばしている人はまだ方々にあるということを思います。なかなか法務委員というものが始終注意して世間の人の誤解を解いてやらなければならんということを痛感しているのです。我々の今後の行動も相当注意しなければならんと思います。  それから先だつて警察の方が私のところに來まして、東京都で賣春に関する曾て我々が宮城縣に行つて見て來ましたあれと同じ條例が議決されて実施されたのであります。その実施方法についてわざわざ警部補が私の方に意見を聞きに來ました。ああいう面などでも法務委員会は到頭あれは本当に審議しなかつたのでありますけれども、我我のああいう問題に対する態度なども時としては委員長がああいう問題について委員の間で研究調査をするようなことを考えて、只今の継続調査というようなうちに或る一項目を加えてもいいか知らんと思つたことがあります。今のところはまだ東京都では殊に警視廳の方ではあの條例をそつくり行なつたらどうなるだろうと言つてつているように思われます。そんなことも或いは委員長の方で、理事会の方でお考えになつてお調べになつたらどうかと思います。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのあとの方の賣春法の問題でありますが、これは御承知通り継続調査の対象にはなつておりませんけれども、それでも從來法務委員会におきましては、曾て第二回会ですか第三回國会に賣春法が出て以來鋭意これは研究を進めておる次第であります。法制局あたりにも又研究を進めさしておりますが、尚各委員のお方には御出張の際それを兼ねて、正式の目的ではありませんけれども、他日の立法資料を得るために、地方地方に御出張の際その地方の状況を、例えば宮城縣のごとき條例が出ている土地においては、その結果というような面については実情調査をお願いしているような次第であつて、派遣される場合においてはいつもその問題につきましては、御調査を願つておるような次第であります。ただ正面から申しますと継続調査の対象にはなつておりませんが、同時にお願いしておる次第で、ありまして、いずれあの法案は近く出て参ることと存じますが、その際におけるところの我々の立法資料というものを常に研究している次第であります。まあ今度継続調査の場合におきましても、御出張願いますればその地方のやはり状況をその面において御視察願うことも併せてお願いしたいと思つておりますが、これはその際、いつも出張の際、その地方官廳の方へその事項について照会しておりますし、通知もしておりますから、その関係者にもいつも來て頂いておるようにしております。  それから前の方のお話は、これは勿論先程からもお話がありましたごとく、法務委員会のみじやありませんですが、新らしい國会におけるところ委員会の活動に対して國民の認識がまだ足らないのです。この間も毎日新聞の座談会が催されまして私が出席いたしましたが、その際も毎日新聞があれを主催した目的は、新らしい國会の機能は委員会中心主義である。然るに國民委員会に対する認識が少しもない。委員会において殆んど法律の重要な部分が決定されるのだ、そういう重要な委員会についての認識が欠けておる。こういうところからあの委員会に対するところの座談会も開かれたのですが、新聞社も今後は、紙面の都合もあるけれども、委員会の活動について鋭意読者に知らせるようにして、委員会が何者であるか、委員会の機能はどういうものであるか、委員会の活動がどういうものであるかということを一般國民に知らせるように努力したい、こう考えておるということを言つておりました。だから今後御趣旨のような方向にジャーナリズムの方の関係も進んで來るのじやないか。又我々も努めてそういう方面についてはよく理解できるようにお話したい、こう考えております。  じやここで休憩いたしまして、午後に開くことにいたしたいと思います。その間に理事会を開くことにいたしましよう。では午後まで休憩いたします。    午後零時七分休憩    —————・—————    午後三時十四分開会
  66. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午前に引続き法務委員会を開きます。休憩中に理事会を開きまして愼重審議いたしました結果を御報告申上げます。理事会におきましては午前中委員長より申上げました各事案のうち東宮地檢の鉄道パス事件小倉事件柳河事件岐阜事件小樽事件を先ず調査の対象といたしまして下調査をすることに意見が一致いたしました。それから尚その余のうちで小田原事件米子事件勝間事件奈良事件京都地檢事件、これらにつきましては、明後日法務廳より、これらに対する報告及び質問をいたしまして、その結果これを調査するや否やを決定したいと、かように意見が一致いたしました。以上御報告申上げます。理事会において意見が一致いたしましたように計ろうことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさよう決定いたします。  明後日は午前十時より先程の事件に対する法務廳意見を聽取し、且つ質問を継続いたしたいと存じます。では本日はこれを以て散会いたします。    午後三時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君            遠山 丙市君            來馬 琢道君            松村眞一郎君            星野 芳樹君