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1949-04-19 第5回国会 参議院 文部委員会文化小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年四月十九日(火曜日) 午後三時二十九分開会
—————————————
昭和
二十四年二月十二日(土曜日)文
部委員長
において左の
通り小委員
を選 定した。
三島
通陽
君
中野
重治
君
河崎
ナツ君 松野 喜内君 大隈 信幸君
山本
勇造君
岩間
正男
君
鈴木
憲一
君
—————————————
二月十二日(土曜日)
正副小委員長互
選の結果左の通り決定した。
委員長
三島
通陽
君 副
委員長
中野
重治
君
—————————————
三月三十一日(木曜日)小
委員河崎
ナ ツ君辞任した。 四月四日(月曜日)小
委員中野重治
君 辞任した。 四月七日(木曜日)
文部委員長
におい て、
梅津錦一
君、
藤田芳雄
君を小
委員
に補欠選定した。
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
國保
及び
重要美術品等
の
保存
に関す る諸
法律
の
改正点
に関する件
—————————————
三島通陽
1
○
委員長
(
三島通陽
君) それではこれから小
委員会
を開きます。
委員
の
諸君
の非常な御勉強によりまして、一週間のうちに二回も三回も
委員会
を重ねまして、非常に長い間この
國宝
の
保存法改正案
についていろいろ御調査、御
審議
を頂きまして、段々それが
文化財保存法
というように
変つて参つたの
でございますが、今日はここに
速記
を付けることができましたので、尚、
委員
の
諸君
の十分な御
意見
をお出し頂きたいと思います。そこで
專門員室
におきまして、第二次
試案
というのが大体でき上りましたので、それにつきまして御
審議
を頂くことにいたします。先ず最初に
專門員
よりこの
試案
につきましての
簡單
な御
説明
を置きたいと思います。
竹内敏夫
2
○
專門員
(
竹内敏夫
君) では
ちよ
つと御
説明
申上げます。
只今
までのところにおきまして、
文化財保存法
という仮称のこの
法律案
につきましては、大体第一次案と第二次案というところの過程まで進んでおるわけであります。それで
只今
お手許に配付しましたこの
要綱
は、大体第二次案の
要綱
でございますから、この第二次案についての御
説明
をこの
要綱
によ
つて
申上げたいと思
つて
おります。その前にもう一枚のプリントの
文化財保存法案大綱
の方から
ちよ
つと申上げますと、大体これは六章に分けまして、その第一章におきましては総則というふうな
規定
にしまして、そこで
法律
の
目的
、この
目的
のところへ
從來
の
國宝保存法
とは
違つて
、もつと積極的な
文化國家
の
建設
というふうな理念のために、こういう
文化財
の
保存
というふうな処置を講ずるとい
つた
ふうな積極的な意図をその
目的
のところに持
つて來
たいと思
つて
いるわけであります。その次に、
文化財
の
内容
でございますが、これが非常に大きな問題でございまして、
從來
の
國宝保存法
におきましては、大体
建築物
その他
有体物
だけが中心にな
つて
おるわけでございます。ところが
文化財
の
保存
の場合におきまして、我々は
日本
の
文化財
と申しますと、單に
有体物
に限ることはできないのでございまして、例えば古い
演劇
とか、それから
音樂
とか、こうい
つた
ふうな
無形
の
文化財
もやはりこの
内容
としまして
保存
の
方法
を講じて行きたいというふうに考えまして、その
文化財
の
内容
を非常に
廣くし
て行きたいと思
つて
おるわけであります。それが同時にこの新
法案
の名称が、
從來
の
國宝保存法
から
文化財保存法
の方に
変つて來
た
一つ
の大きな
意味
であります。 それからその次は、そういう
文化財
の
保存
につきましては、
政府
が
如何
なる仕事をするかとい
つた
ふうな、
政府
の
所掌事務
の
内容
というものをそこに
規定
して行きたい。殊にその
所掌事務
としましては、單に
保存
だけではなくして、更にその
利用
、即ち
公開
とかそれから公けに演ずるとかい
つた
ふうな、
文化
的な
國民的教養
の
向上
のための
利用
的な
措置
もその
所掌事務
の中に入れて行きたいというふうに考えておるわけであります。それからその次に更に
文化財保存
に対して
國民
の協力すべきところの
義務
という、これはいわば道徳的な
一つ
の宣言でございますけれども、單に
政府
だけがそういう
文化財
の
保存
に努めるだけでは、
文化國家
の
建設
は非常に困難であ
つて
、
國民
がそれに協力して行かなければいけないとい
つた
ふうな
一つ
の道徳的な
意味
であ
つて
も、
一つ
の
義務
をそこに
規定
して行きたいと、こういうふうなことを考えたわけであります。 その次に、第二章はこういうふうな
文化保存
の
事務
というものを行い、そういう
文化行政
をする
機関
は一体どうするかというところの問題でございまして、これを
一つ
の統一的な簡素な、而も民主的な
基礎
を持
つた
有力な
一つ
の行政的な
機関
を作りたい。そのためにはやはり現在のいわゆる
委員会制度
というものを採用しまして、この
委員会
というところの
合議制
の
行政機関
によ
つて
強力な
文化行政
というものを促進して行きたい。こういう点から
文化財保存委員会
というところの新
行政機構
をそこに考えたわけでございます。この
委員会行政
になりますと、これは
行政組織法
によりますと、大体これは外局ということにして構成されるわけでございます。その
文化財保存委員会
は、大体五人か或いは七人の非常に
廣いところ
の
文化
的な識見を有するところに人からこれを構成する。而もそれは大体
國会
の
同意
を得て、そうして所轄の
主務大臣
がその任命をするとい
つた
ふうに、
國民
を代表するところの
國会
の
同意
ということによ
つて
、民主的な
基礎
をそこに
基礎付け
て行くというふうに考えたわけでございます。そういうふうな
委員会
の下におきまして、現実に
事務
を行うところのその最高の職員としまして
事務総長
を置きまして、その
事務総長
の下にいわば
事務局
に相当するところの
一つ
の
部局
を作りまして、その
部局
は大体これは
総務部
、それから
保存部
とい
つた
ふうな構成を取
つて
行
つた
ら
如何
かと思
つて
おります。更にこの
文化財保存委員会
には
研究所
、
文化財研究所
というものを付けまして、それに対する学問的な
基礎付け
を與えて行く。更に現在の
國立博物館
というものをこの下におきまして、密接にその
保存委員会
と
関係
を付けて、そうして
一般
國民
の
文化
的な
教養
の
向上
に資するようにしたいとい
つた
ふうに、考えたわけでございます。大体この
文化財保存
の
行政機構
としては、非常に大ざつぱでございますけれども、まあそういうふうな
機構
を考えたわけでございます。 次に、第三章といたしまして、
國宝
の
保存
に関する
規定
でございます。これは大体
現行法
の
國宝保存法
を踏襲しておりますけれども、併しそれに対しては更にいろいろな
從來
なか
つた
規定
を加え、それから
從來
の
規定
に対するところのいろいろな
改正
を施すとい
つた
ふうにして、この第三章は
國宝保存
に対して万全を期して行きたいというふうに考えている次第でございます。この第三章の
内容
は、又あとからこの
要綱
の方で以てもう少し詳しく申上げたいと思います。 その次、第四章といたしまして、大体
國宝
はこれは
有体物
でございますけれども、第四章といたしまして、この
委員会
の認定した重要な
無形
の
文化財
といたしまして、例えば古いところの
演劇
とか、それから
音樂
、それから技芸とか、技術とい
つた
ふうな、こういうものを
一つ
この
委員会
の力で以てこれを
保存
して行きたい。殊にこれらのものの中には、
政府
がこれを財政的に支持しなければ衰滅に瀕するというようなものも随分ございますから、そういうものに対して十分な
保護
を加えて行きたい。その
代り
にその
保護
を加えた
無形
の
文化財
に対しては、これを公けに
公開
するところの
機会
を與えることによ
つて
、
日本
の
國民
の
文化
的な
向上
を図
つて
行きたい、その
公開
の
費用
はこれを
政府
が負担することによ
つて
、同時に又その
文化財
に
保存
に貢献して行きたい、こういうふうな大体あらましの
規定
を加えて行きたいと思うのであります。 その次に、第五章といたしましては、これはやはり或る程度の罰則をそこにおきまして、そうしてこの行政的な
措置
の保証を付けて行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。その次、最後に第六章には附則といたしまして、この
法律
を作
つた
場合においては、
從來
の
國宝保存法
によ
つて
指定
された
國宝
、それから
重要美術品等保存
に関する
法律
によ
つて
認定された
重要美術品
は
如何
になるかということについて、暫定的な
措置
をそこに
規定
して行きたいというふうに考えているわけでございます。大体
法律
の
大綱
はそういうふうな六章に分けることによ
つて
作
つて
行くようなことにな
つて
いるわけであります。 その次に、今度は
要綱
の方に参りまして、
要綱
の中で
只今
説明
いたしましたことと重複することは、これは省いて参りますと、大体
要綱
の一から七までは
只今
の
説明
で以て一應終
つて
いるわけでございます。それで、
要綱
の八から二十二までが第三章の
國宝保存
に関する
規定
としてここに
説明
を申上げるわけでございます。その第八の問題でございますけれども、
國法
の
指定
の問題でございますが、これは現在の
國宝
は非常に夥しいところの数に上
つて
おります。それに更に
重要美術品等
を加えますと、一万五千点以上に達するとい
つた
わけでございまして、そこに時代の変革、それから学術的な
評價
の変遷、それから
日本
の
財政的状態
というようなことを睨み合せますと、相当これは再整理するところの必要があるのじやないかと考えられます。そこで一應
從來
の
國宝保存法
の
規定
は一應切替えて参りますけれども、そこには相当再整理するところの必要があり、それから又、相当漏れているところの
國宝
的なものもあると思いますから、ここに又
指定
の
制度
によりまして、新らしいところの
指定
を進めて行く、その
代り
に
要綱
の第十五で以て、非常に
價値
の変化したもの、それからそれ程でもないものは
指定
を解除して行く、この二つの
方法
によ
つて
、現在の
國宝
と
重要美術
の整理を進めて行きたいというふうに考えているわけでございます。その次に
要綱
の第九は、
國宝
の
等級
を書いてございますが、現在の
國宝保存法
におきましては、
等級
というものはないわけでございまして、
國宝
は一本槍でございます。ところが実際におきましては、七千点以上の
國宝
を
指定
しながら、
政府
は財政的な現在の力から見まして、單に
指定
するだけで、全部の面倒を見るわけには実際行かないのでございます。そこで、苟くも
指定
する以上は相当な面倒を見て行く、こういうふうな点からいたしますと、やはり非常に大事だけれども、併しながら
政府
が
責任
を持つというものは全部に亘ることは
ちよ
つとむづかしいと思いますから、そこで
國宝
につきまして、大体二階級ぐらい設けまして、これは
一級品
と申しますか、或いは二級品と申しますか、或いはこの我々の
試案
におきましては
特別國宝
とそれから
一般
國宝
、こういうふうな何か
等級
を付けまして、その
特別國宝
に対しては、これは全幅の支持をして行く、
責任
を持つというふうなことをや
つて
行
つた
ら
如何
かというふうに考えているわけであります。その次の十の、
國宝
の
國外搬出
の
制限
でございますが、これは現在とそんなに変ることはないと思いますけれども、ただどういう場合に
制限
を付けるがというふうな点につきましては、やはり國際的な
文化
の交流とい
つた
ような
一つ
の例示を設けまして、
日本
の
文化國家
が同時に
世界文化
の進展に貢献するとい
つた
ような場合においては、やはりこれは單なる鎖國的な
状態
を
維持
しないで、できるだけいい
國宝
を見せてやる、或いは
國外
に持
つて
行くというような
例外
も認めるというふうに考えておるわけであります。その次に十一の
國宝
の
現状変更
の
制限
でありますが、これは大体現在の
國宝保存法
にもこの
規定
はあります。ただこの十一は第二十の
管理方法
の
指定
と結び付けて
一つ
の
意味
あるところの
規定
にして行きたい。即ちその
現状
の
変更
ということの
制限
だけでなくて、更に
現状
の
変更
はしないけれども、併し非常に
危險
な使い方をしておるとい
つた
ような場合においては
制限
して行きたいというようなことが二十の
管理方法
の
指定
というようなことで、そこに
関係
が付いて行くわけであります。第十二は、
國宝
の
管理者
でありますが、これは現在の
國宝保存法
においても、殊に
宗教法人
の
管理者
については一應は
規定
はございます。併しながらその
宗教法人
の
管理者
がなく
なつ
た場合、それから不適当な
管理者
である場合等、例えば
住職
のおらないような
お寺
とか、
疎開者
がその
お寺
に入
つて
お
つて本当
の
住職
がおらない。而も実際は一應
管理
しておる、こうい
つた
場合には何か
管理者
について明確な
規定
を作るところの必要があるのじやなかろうか、この十二もやはり二十と関連付けまして、その場合においてはやはり新らしい
管理者
の
指定
というような
管理方法
の
指定
を與えることによ
つて
、
國宝
の
保存
の万全を期したいというふうに考えておるわけであります。次の第十三でありますが、これは現在の
國宝保存法
にもその
規定
はあります。それから第十四でありますが、これがいわば現在の
要綱
十三の
現行國宝保存法
の出陳、
博物館等
に出陳するというような
公開義務
をもう少し
廣げ
まして、
博物館
に持
つて來
ないでも
一定
の
場所
において、自分の持
つて
おる
場所
、
佛像
のある
場所
とい
つた
ようなところで、
一定
の期間それを
公開
することによ
つて
、
國民
の
文化
的な
教養
を高めて行きたいとい
つた
ような点から
公開
の
義務
を
規定
する、併しながらこれはやはり
所有権
の問題もありますし、いろいろな問題もありますから、無
制限
ということはできませんから、
一般
の
國宝
の
所有者
に対しては
公開
を勧告することができる。併しながらその持
つて
おる
國宝
について
修理
とか
保存
について
國尅
から
苟くも補助
を受けた場合だけは
公開
の
義務
を與えるというような
規定
を置きまして、
所有権
の侵害というような虞れから一應これを除きたい。そうして
公開義務
とマツチさして行きたいというふうに考えておるわけであります。十五の
指定解除
の問題は先程申上げました。十六の
國宝
の
買上
の問題、これも現在は
規定
がないのでありまして、実際においては例えば
宗教法人
は現在非常に財政的な危機に立
つて
おるわけであります。その場合にその
宗教法人
の持
つて
おるところの
國宝
が
一般
の
流通界
にそれが入
つて
行きますと、殆んどそれは回復することができないというようなことが多いわけでありますから、殊に
特別國宝
については、これはどうしても或る場合においては
政府
は買
つて
やるということまでしないと、この
保存
が困難じやないか。併しながら強制的な
買上
ということは、現在の
自由経済
においては
ちよ
つと困難と思いますから、そこで
國宝
とした場合には一應國庫に対して
買上
げるところの
機会
を提供しなければならないというふうにして、そこにやはり
買上
と
所有権
の問題との調和を計るというふうにしたら
如何
と思
つて
おるわけです。その次に第十七の
國宝
の
寄託
又は
管理
でございますが、これも現在は
規定
がございませんので、ここういうふうな非常に物騒な
世界
になりますと
國宝
の
管理
もなかなかこれは大変でございますから、この
委員会
に対して無料で以てこの
寄託
を請求することができる。それから又その
保存維持
が非常に
危險
な場合においては、その
寄託
を勧告することができるとい
つた
ような
規定
を置いたら
如何
かと思
つた
わけでございます。次に第十八は、
國宝
の
修理維持
の
命令勧告
でございますが、これも現在は全然こういう
規定
はございませんので、殊に
特別國宝
の場合においては是非とも
修理
させたいとい
つた
ような場合におきましても、向うから申出がない場合に
如何
ともし難いというふうなわけでございますから、そこで
國宝
の
修理
、
維持
を怠た
つて
國宝
が非常に危ないというような場合には、
例外
的に
委員会
は
維持修理
の
命令
を発することができる。その
代り命令
を出して以上は、その
費用
は
補助
してやるとい
つた
ふうな
規定
を作
つた
ら
如何
かと思
つた
わけでございます。その場合におきましては、十九にありますように
補助
を與えるというふうにして、
命令
と
補助
とをマッチして行くというふうに考えたわけでございます。二十は先程御
説明
申上げましたが、その次の二十一は
國宝
の
環境保全
の問題でございますが、これも現在の
國宝保存
に
規定
はないのでございまして、
日本
のような木造の
建築
であ
つて而
も非常に貴重な
國宝
の廻りにはいろいろな
危險
な
建物
ができたり、それからその
環境
においてこそ初めて
價値
のあるような
國宝
と非常に不似合な
建築物
が周囲にあ
つて
、それによつとその
國宝
の
價値
が損ぜられるとい
つた
ふうな場合においては、やはりこれは
環境
の方からも手を付けて行かなければいけないんだというわけで、
一定
の地域を
限つて
、必要な場合には
委員会
は
國宝
の
環境保全
の
措置
即ち工事の差止めとか、或いは
一定
の
建物
の
建築
の禁止とい
つた
ような
措置置
を講じたら
如何
かと思
つた
わけでございます。次の第二十二は
國宝
の
減免税
でございますが、
國宝
が
國宝
に
指定
されながら、
一般
の課税におきましては何らの現在は恩典がないわけでございまして、
從つて國宝
に
指定
された瞬間に非常に高いところの
評價
がそこに加わ
つて來
るというようなことが、
如何
に
國宝
の
保存
に対して
惡いところ
の影響を與えておるかということは周知の事実でございますから、何とかして例えばせめて
相続税
についての
減免
の
措置
を講じて行きたい。そういうような
措置
を講じ得るところの法的な頭だけをここに
一つ
出して行きたいということが、第二十二の
國宝
の
減免税
の問題でございます。二十三の
無形
の
文化財
は先程御
説明
いたしましたし、二十四も二十五も大体御
説明
いたしました。大体こういうふうな
大綱
と
要綱
ということで、この
文化財保存法
ということを考えて見たわけでございます。
三島通陽
3
○
委員長
(
三島通陽
君)
ちよ
つと
速記
を止めて。 〔「
速記中止
〕〕
三島通陽
4
○
委員長
(
三島通陽
君)
速記
を始めて。それでは第一章から逐章にわた
つて
御
意見
、御質問を願うことにいたします。先ず第一章から願います。
鈴木憲一
5
○
鈴木憲一
君 第一章に入る前に、私は
文化財保存法
という
名前
についてお伺いしたいと思うのであります。
專門員
の
方々
のいろいろ御
研究
の結果だと思うのでありますが、
國宝保存法
が
文化財保存法
に
変つたの
でありますが、
保存
という字について私はどうかなという
考え方
をしておるのであります。この
法律
の
目的
が、
利用
というようなことも大分今度含まれて來ておるのでありますから、
保存
ということになるというと、單に在
存そのもの
だけをじつとして置くというような氣持が強く消極的に私には響いて來ていけないのですが、何かもう少し積極的な
意味
を持つような
名前
はないだろうか。これは
山本先生
などお考え下されば分ると思うのでありますけれども、私の
簡單
な
考え方
から行けば、
保存
というよりは
保全
の方がどうかなというような……「全」の方が
利用
の面までも使命を全うし得る、
保存
を全うし得るというような
意味
も含まるのじやないか。こんな
簡單
なことですが、
ちよ
つと
國宝
という字は
文化財
に変りましたが、
保存
ということについて何か御
研究
に
なつ
たらどうか。又これらのことについて衆議院の專門の
方々
なども
お話合
に
なつ
たらどうかということも考える次第でございます。
竹内敏夫
6
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
只今鈴木委員
から尤もな
お話
がございましたけれども、実は我々は第一條のところで「
保存
し、又は
利用
する」というふうに
利用
の
文句
が入
つた
ために、どうも
保存
だけでは含み切れないものがあると思いまして、
保護法
も考えたわけでございます。それから
只今
の
保全
ということも考えたのです。ところが
保全
だけでも、果して
利用
がそこに入るかどうかということも、
ちよ
つと疑問があるように思いましたものですから、現在の
國宝保存法
のプレザーヴエーシヨンということをそのまま一
應持つて來
たわけです。更にもつと進めまして、もう少し積極的な
利用
の面を出したら
如何
かと
思つたの
でございますけれども、これは
関係筋
におきましても、
文化
の統制的なもの、又指導的なものということは、
文化
の本質から言
つて
余り好まれないのじやないかというようなことも
從來
の
関係
からも予測されますし、一應
保存
することによ
つて
、その次の段階が当然生まれて來るのじやないかというようなことから、こういう
名前
を付けたわけであります。
三島通陽
7
○
委員長
(
三島通陽
君) 外にございませんければ、第一章に入ります。
岩間正男
8
○
岩間正男
君 私は第
二條
の
保存
する対象と言いますか、そういうような点について
ちよ
つと伺いたいのでありますが、これによりますと、第
二條
の第一項に、「古くから
國民
に伝えられている
建物
、絵画、
彫刻
、
工芸品
、」云々とあるのでありますが、こういうふうに
國民
が昔から伝えて來たものだけに限定するということになりますと、この前も問題が起
つた
のではなか
つた
かと
思つたの
ですが、
明治
以後あたり、相当これは
外國
から
日本
に輸入したような
美術品
があると思います。そうして、その中では
世界
的な
文化材
という面から見ても非常に重要なものがある。そういうようなものの処理をどういうふうにするか、それを全然これだけの限定の中から除外して、そうしてそれを
國宝
に
指定
しない、そういうことによ
つて
、
日本
として
日本國民
が所有している優秀な
文化材
というものが散逸していますとか、
保存
がうまく行かないというような実情が起るんじやないか、こういうふうに思うのですが、これをどういうふうに考えるか、御
意見
を承わりたいと思います。
岩村忍
9
○
専門員
(
岩村忍
君) この点について、これは今
岩間委員
の御疑念は非常にむずかしい問題でございまして、実は具体的に今
岩間委員
の
お話
になりましたことを申上げますと、例えばこういう例があるのでございます。住友の住屋清慮に見える中國の
青鋼器
のコレクシヨンがあるのですが、これなどはおつしやるように大体
明治
の中期以後から大正に亘
つて
非常に貴重なものが入
つて
参りまして、このうちには相当
重要美術
などにも
指定
されているものもある筈でございますし、それから極く近い例を申しますと、二十年程前に
宋版通典
という
日本
、中國を通じて、
一つ
は
宮内省
の所藏であり、
一つ
は天理教の方に入
つた
ものがあるが、
北宋版
というものからい
つて
も貴重なもので、中國から
明治
以後に渡來したのであります。こういうものを一体どうするか、具体問題としてはどうなるだろうと私は思うのですが、この点については、実は「古くから
國民
の伝えられている」というのでありますから、
國民
に伝えられているとしましたら、三年でも五年でも
差支
ないと思いますけれども、それは余りに詭弁を弄するようになりますので、実はこの点に関して、非常に苦慮いたしまして、これを含むように適当な
文句
はないかと考えているのでございますが、
精神
から申しましたら、私はこうだと信ずるのであります。それは、
日本
にあります貴重な
文化財
を
保護
する、非常に貴重なものを
保護
する、それは大体
日本
の
國民
の間に古くから伝えられて、
日本
の
國民
の生活なり
精神
なりと溶け込んでいるもので、恐らく殆んど大多数がそうじやないかと思うのでありますが、それに対して今申しましたような少数の
例外
があると存じますから、そういうのはむしろ
例外
として「
國民
に伝えられている」という中に、そういう
例外
的なものも含めて頂くという
解釈
をと
つて
頂くよりしようがないのじやないかと実は考えておるのであります。甚だ不完全なお答えでございますけれども……
岩間正男
10
○
岩間正男
君 そうするというと、やはりそういうような、さつき挙げられたようなもの、その外にもまだ沢山あると思います。まあ
彫刻
とか、油絵なんかでも、この前の議題にも
上つたの
でありますが、沢ひあると思います。そういうものを含めて
解釈
したいと、こういうような御
意見
なんですね。それを併し字句の
解釈
によ
つて
保
つて
行きたいというような御
意見
のように思
つた
んです。そういう
意味
でございますか。
岩村忍
11
○
專門員
(
岩村忍
君) それは非常な
例外
でございますから、例えば西洋のものなどは、実は
國宝
のようなものに
指定
するだれの
價値
あるものが、入
つて
いるかどうかということは、專門家の間にもこれは非常に疑問がある。むしろ少いより、ないんじやないかという考が多いんでございますから、私先程申上げました具体的な例に関する限りでは、私が今考えておりますのは、この
解釈
で行きたい。併し適当な、よりいい言葉、ワーデイングが発見されますれば、ここを変えて行きたいと思うのであります。今までのところ、
ちよ
つと我々は考え付かないということを申上げたわけであります。
竹内敏夫
12
○
專門員
(
竹内敏夫
君) それに関連することを
ちよ
つと御
説明
申上げます。実はもう
一つ
の問題がありますのは、第一條の「
文化
的遺産」というところでございまして、「
文化
的遺産」というような言葉を使いますと、
日本國民
が作
つた
文化
的所産ということに限定されはしないか、そうしますと、今度第
二條
の「
國民
に伝えられている」というふうなことと、どういう
関係
になるかということは、これは実は第一條、第
二條
は、もつと述べるところの必要がございますが、まだ自信がないのでございます。それは併し
日本國民
の作
つた
ものでなく
つて
も、
明治
以後に入
つた
西洋
文化
において貴重なものも、できるだけ
日本
の國がその
保全
の
措置
を講ずるということが、
法律
の
目的
ならば、やはりそれを入れて行くところの必要がございますし、それからこの
文化財
行存法が、
日本國民
の作
つた
文化
的な遺産だけが中心であるといたしますと、
明治
以後の
外國
渡來の貴重なものは、これはなくな
つて
も一應まあ仕方がないじやないかというふうな、非常な大きな見解の相違がそこに現われて來るわけでございます。
岩間正男
13
○
岩間正男
君
專門員
の方からそういうふうな決定的な
意見
が出されないことは当然だと思うのでございますが、この問題について私の
意見
を申述べますと、やはり現在
日本
の所有されているそういうような貴重な
文化財
を、ここでやはり何かこれを
國宝
に
指定
して、どこまでも適当な
保存
をするということが非常に重要だと思うので、やはりそういうものを含めるように、できたら字句
改正
もして置いた方がいいんじやないかと考えております。これは私の
意見
です。
三島通陽
14
○
委員長
(
三島通陽
君) 今
岩間委員
からの御発言でございますが、この点外の小
委員
の
諸君
の御
意見
を伺いたいと思うのでありますが、そういう
外國
から來たもので、貴重なる
文化財
をどう取扱うかということについて御
意見
がございましたら、この際お述べを願いたいと思います。
鈴木憲一
15
○
鈴木憲一
君 今
專門員
がおつしや
つた
一條の「
國民
の頭する
文化
的遺産」というのは、まあ限定の虞れがある、
外國
から來たものを除けものにするような虞れがあると心配されてお
つた
んですが、私はそれを
國民
の有する
文化
、有するという言葉があれば、それはそう心配ないのじやないかというふうにも、
國民
の作
つた
ものだというふうには限定できないと思うのです。第
二條
の方の「古くから」というのは、これは確かに問題だと思うのですけれども、これも
一つ
の
意見
としてはやはりここにも
國民
の有する
文化
的というふうな言葉に重複しちや
つて
も、これは
差支
えないじやないかというふうに思います。
岩間正男
16
○
岩間正男
君 字句修正の
意見
ですね。
鈴木憲一
17
○
鈴木憲一
君 古くから
國民
に伝えられておるというのは、やはりここも
國民
の有するというふうにしてしまえばいいと思います。
三島通陽
18
○
委員長
(
三島通陽
君)
速記
を止めて。 〔
速記中止
〕
三島通陽
19
○
委員長
(
三島通陽
君)
速記
を始めて。
藤田芳雄
20
○
藤田芳雄
君 一條と
二條
で謳
つて
あるのをお聽きしていますと、
國宝
を限定したような御
説明
ばかりのようでありますけれども、
國宝
ばかりでなく、
重要美術
やその他のものも含まれておるのじやないですか。
岩村忍
21
○
專門員
(
岩村忍
君) 勿論
國宝
及び現在の
國宝
に
指定
されておるもの、現在の
重要美術品
に
指定
されておるもの、或いは
指定
、認定されていませんでも、それが当然將來
指定
或いは認定されるもの、或いはその他の古い
演劇
とか、
音樂
とかいうもの、こういうふうなものは勿論入
つて
おるのです。
藤田芳雄
22
○
藤田芳雄
君
重要美術品
も入るのですね。
岩村忍
23
○
專門員
(
岩村忍
君)
重要美術品
も入るのです。たた便宜上そう申したのです。
藤田芳雄
24
○
藤田芳雄
君 そうすると今の論点に大分違いがあるのじやないかと思います。
竹内敏夫
25
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
只今
のようなものの中に
國宝
も入
つて
おりますから、そこで
國宝
の
指定
の場合に考慮して置かないと困るというだけの問題でございまして、
國宝
指定
の場合の考慮なんでございます。これは全部
國宝
というわけではなく、その中に
國宝
が重要な
文化財
を占めるから、その考慮をして置かないと
指定
がむずかしいし、或いは又現在の
國宝
が直ぐ
指定解除
しなければならないのじやないか、こういう心配があるから、そう
指定
したのです。
藤田芳雄
26
○
藤田芳雄
君 一條、
二條
は
國宝
のことのみ言
つて
おるのではなく、
國宝
を
指定
するというために一條、
二條
の文章を限定するということは全体的な間違いじやないですか。一條、
二條
のところで、全部を引括めてその中に入るような表現でなく、
國宝
のことで限定するならば、
國宝
の
指定
のところで限定すべきだと私は考えます。更に
重要美術品
などがこの
保存
法の中に入
つて
いない。
保存
法の
目的
の中に含まれまい或いは
文化財
の
保存
事務
の中に含まれないということになるのです。例えば
明治
以後入りましたもので、
重要美術品
に現に
指定
されておるものもあるのです。そうしたら、それがここで今古くから
國民
に伝えられておるというような限定が起るとすると、それは今度は入れられなくなることもある。むしろ
國宝
はそうじやないので、そういうものとして含まれるようにすれば、さつき
鈴木
君の方からあ
つた
、有するというのは大変面白いと思うのですが、ああしたような形を含むように考えた方がいいと思う。
國宝
の
指定
は別だと思う。今のように限定さるべきだと思います。
竹内敏夫
27
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
只今
藤田
委員
のおつしやいましたことは確かにあれでございますけれども、その点もう一度
研究
させて頂きたいと思います。
河崎ナツ
28
○
委員
外
委員
(
河崎
ナツ君) 今藤田さんのおつしや
つた
ような
考え方
をすべきだと思います。先程例にお挙げになりました近頃にな
つて
他から入れられたものを
國宝
にするのはおかしいという
関係筋
の話ということですが、
國宝
というものを前提に置いた考が、おかしいのですが、この
文化
的遺産として
保存
するか、
國宝
として
保存
するか、
重要美術
として
保存
するか、或いはおいおい大事にして、
保存
ということに取入れようということに重きを置いて第一條、第
二條
を考えて行くとなると、
岩間委員
の御質問にもかか
つて
おりますが、近代的のもの、例えば支那のもので大原のコレクシヨンなどには可なりいいものがございます。この
文化
的遺産の
保存
というものを廣く
解釈
することにおきまして、すぐその問題はそういうものは取入れないというふうに初めから考えて行くということは、どうも腑に落ちない点がございますが、
如何
がでございますか。
岩村忍
29
○
專門員
(
岩村忍
君) 実はこの問題は可なり技術的の問題が入
つて
おります。実は我々の
一つ
の考としては、そういうものは、これによ
つて
設立される
國宝
文化財保存委員会
の良識に当然お任せすべきでありまして、範囲が非常に廣くなるのではないかと考えております。
岩間正男
30
○
岩間正男
君 そこで勿論
指定
について、その
内容
的に檢討するには、無論
委員会
の見識になると思いますが、
文化
的遺産をどういうような対象でやるか、この
法律
に明確にされておらないと混乱を起すと思いますが……
鈴木憲一
31
○
鈴木憲一
君 お伺いしたいのですが、
ちよ
つと第三章に飛ぶように思われますが、そうでなく、私の質問は第一章に
関係
するのですが、藤田
委員
もああいうことをおつしや
つた
が、
國宝
という言葉を使わなければいけないのですか、何かそこのことをお考に
なつ
たことがありますか。
竹内敏夫
32
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 実は
國宝
という言葉自体も非常に檢討を要する言葉ではないかと思います。各方面からいろいろな御注意も頂いたのでございますけれども、それに代る言葉としてどういうものがあるかと申しますと、例えば重要
文化財
、重要
文化
遺産とかいうような言葉しかございません。もう
一つ
は、現在
國宝
という言葉は随分
一般
的の用語にな
つて
おります。例えば各省の予算の項目を見ましても、或いは國有財産の項目を見ましても、
國宝
というふうな言葉がもはや
一般
的に行われておりますし、
國宝
的な人物というようにまで使われておる
現状
でございますから、どうもこれはナシヨナリズムに
関係
するような國の宝でなくして、非常に
一般
的の言葉で、そんなにおかしいことじやない。又それを使わない場合に
代り
の言葉がないし、その点で非常に困りまして、それで一應この言葉を残したわけであります。
鈴木憲一
33
○
鈴木憲一
君
國宝
という言葉の持つ概念が禍いして、近年
外國
から入
つて來
たものなどに障りを持つというようなことはないのでございますか。つまりナシヨナルというような
意味
が強く言われるので、他國から入
つて來
たものが
國宝
の圈内に入ることが非常にむずかしいというようなことに
関係
がありまするかどうか。そういう面があるとすれば、この言葉を直して、
文化財
なら
文化財
というふうにすれば、
國民
の有する
文化
的遺産という
意味
の立場から行けるのじやないかと思います。
竹内敏夫
34
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 先程岩村
專門員
から、
明治
以後に入
つた
外國
のものが
國宝
になるのはこれはおかしいというのは、やはり
関係筋
においては、ナシヨナルという言葉から來ているのじやないかと思います。ところが又飜
つて
考えて見ますと、例えば、法隆寺を見て、これは重要
文化財
であるというふうなことを言
つて
ちよ
つとぴんと來るかということでございまして、どうもそこまで行きますと、やはり
國宝
であると言
つた
方が
保存
法の趣旨から言
つて
も、一番大事なものを
保護
する点においてもいいのじやないか。どうもこれは重要
文化財
であるというのでは單なる
一つ
の形容詞に過ぎない、こういうふうな点から比較いたしますと、やはりそれに代る言葉があるかどうかという問題になる。
藤田芳雄
35
○
藤田芳雄
君 さつき一應御
研究
願うような
お話
がありまして、私それでいいと思
つて
お
つた
のですが、尚参考のために第三章の
國宝
の
規定
で、二十一條があるのですが、そこへ行けば
國宝
のことははつきり限定できるわけなんです。そうして「建造物、絵画、
彫刻
、
工芸品
、書蹟、文献その他の物件のうち」、もつと狹めて「
國民
の
文化
的遺産」、これは
ちよ
つと後で問題になるかと思いますけれども、とにかく「
國民
の
文化
的遺産」と限定して來ているのです。若しそうだとすれば、一條、
二條
のところはやはり
重要美術
を含むような表現の仕方でなければいかんと思うのです。その点
一つ
御考慮願いたいと思います。
岩村忍
36
○
專門員
(
岩村忍
君)
ちよ
つとお伺いいたしますが、
重要美術
とおつしや
つて
いますのは、現在
重要美術
に関する
法律
によ
つて
認定された
重要美術品
のことでございますか。それとも
重要美術品
という限定されない普通な
意味
でおつしやるのでございますか。
藤田芳雄
37
○
藤田芳雄
君 両方です。
岩村忍
38
○
專門員
(
岩村忍
君) 両方の件でございますね。
竹内敏夫
39
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
只今
の藤田
委員
の申したことに対して、こういうことが問題になるのじやないかと思います。技芸とか或いは
演劇
、
音樂
とい
つた
ようなものが、やはりこれは
國民
的な
文化
的な遺産、
國民
が作り
國民
が伝えて來たものであるから、ここで我々が
保存
の
措置
を講ずるのじやないか、そこで
制限
された場合にはやはりこの問題が第一條、第
二條
においても一應起り得るのじやないかということも
一つ
の理由でございます。例えば
日本
の古典
音樂
、或いは舞樂とい
つた
ふうなものは、やはり一應
國民
的な
文化
的遺産という決定付けの必要があるのじやないかという考を持
つて
おるわけであります。
藤田芳雄
40
○
藤田芳雄
君 成る程伝えられておる言葉はそういうことが言えるでしようけれども、伝えることをも含めて現わす言葉があるのじやないか、例えば今の「
國民
の有する」ならば、「有する」中に何が含まれてもいいのじやないか、むしろ「
國民
の有する」と言
つた
方が非常に範囲が廣く両方に通用していいのじやないか、もつといい言葉があるかも知れませんけれども、今
鈴木
委員
のお言葉がありましたから、それを使
つて
もこれよりはいいのじやないかと思います。
梅津錦一
41
○
梅津錦一
君 それに関連することと思うのですが、
関係筋
の方が
明治
以後に入
つて來
ているところの海外の高度なる
文化財
ですね、これを
國宝
に、或いは
重要美術
に
指定
するということは好ましくない、その理由ですね、それが
國宝
として或る程度國の
制限
を受ける、それを
制限
を受けることによ
つて
、私的に持
つて
いるものの範囲までその國家権力というものを及ぼすということは好ましくないという理由か、それてもその他のナシヨナル的な見解から惡いのか、この二つの言分が向うにあると思うのです。ここのところがはつきりしないと思うのですが、そのどつちの方を
関係筋
の方で強く問題にしているか、その
内容
をお伺いしたいと思います。
岩村忍
42
○
專門員
(
岩村忍
君) その点でお答え申上げます。
関係筋
ではそういうものを持
つて來
るのは、
明治
以後に伝えられた
外國
のものを
國宝
として
指定
するというのはおかしいという
意味
のことであります。例えばこういう例があります。エジプトの古
美術品
、或いはギリシヤの古
美術品
というようなもので
日本
に持
つて來
たものは、これをナシヨナル・トレジユアーとして
指定
することはおかしいじやないか、こういうわけでございます。
梅津錦一
43
○
梅津錦一
君 それに対してこの
法案
は
國民
の
文化
的遺産という言葉ですが、
文化財
としての遺産なりばこれは問題がないわけだ、そうだと思う。これは
日本
人が作
つた
ものであ
つて
も、
外國
人が作
つた
ものであ
つて
も、
日本
に現在あるものならば國家権力によ
つて
これを
保存
する、
保護
するというにおいては何ら
差支
えないと思う。それなのに、これを何か好ましくないという、もつと肚を割
つた
考え方
があるのじやないか、私はそう思
つて
いる。それをはつきりしないと、この
法案
を立てて行く上の非常に疑義が起
つて來
る。これを
速記
を止めて貰
つて
正直にお聽きしたいと思うのです。どうですか。
三島通陽
44
○
委員長
(
三島通陽
君)
速記
を止めて下さい。 〔
速記中止
〕
三島通陽
45
○
委員長
(
三島通陽
君)
速記
を開始いたします。
山本勇造
46
○
山本
勇造君 先程から、この
二條
の問題でいろいろありますが、これはこの
法律
ぐらいむつかしい
法律
はないだろうと思うのです。最初の出発点が実は
國宝保存法
を
如何
に
改正
するかというのから出発して來たのですから、だから若しこの問題が
國宝
だけの問題をやるならば、もつと問題が
簡單
になるわけですが、途中から
博物館
をどうするかというような問題が起り、又
博物館
というような問題にな
つて來
ると、自然に
國宝保存法
だけでは始末が付かないので、そこで
名前
が
文化財保存法
というような
名前
に
変つて來
たのです。
文化財保存法
というふうな
名前
に
変つて來
るならば、それは
博物館
だけじやないじやないか。從
つて
昔から伝わ
つて
おるところの雅樂だとか、人形だとか、ああいうふうなものも
保存
すべきではないかという
意見
が出て、その結果この
文化財保存法
の中に、單に今まで扱われて來た
國宝
だけでなく、
演劇
、
音樂
その他の
文化
的の所産、又は技芸というようなものが入
つて來
たのですから、従
つて
國宝
問題だけ言
つて
おると、
ちよ
つとさつき藤田君が言
つた
ように、
國宝
だけここで言
つて
お
つて
は始末が付かなくなる。
國宝
の問題と、もう
一つ
むしろ
國宝
がその中に含まれるのですから、
文化財
の問題を言
つて
おるのですからね。ここではこの第
二條
で問題とするところは、
日本
の
文化財
をどういうふうにして
保護
して行くかという問題に中心を置いて、僕はこの問題を処理して行けばいいと思う。
國宝
の問題はさつき藤田君のおつしや
つた
ように二十一條があるから、そこの方でちやんと
規定
して行
つた
らどうなんですか。そうすればむずかしくならないで、凡そ皆さんの御
意見
にしましても、
國宝
だけ
保存
するのでなくて、
日本
の
文化財
を
保存
して行くという建前から起
つて來
たのだから、それから言えば文章はまずいが、大体こういう趣意で行こうというので、大体その点では皆さん御一致にな
つて
いると思いますが、実は私もうちで書いて來まして「古くから国民に伝えられておる」というところに三角を付けて來たんですが、どうも実際この言葉がまずいのですよ、これはお互いに專門
委員
ばかりでなく、我々もお互いにもう少し考えて、もう少しここのところを直して行
つた
ら、恐らく皆さんも大体の考えがあつちこつちにな
つて
いるのでなく、一本に行
つて
いると思いますから、第
二條
を今のようなもので纒めて行
つた
らいい、そうでないとなかなか先に進みませんね。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それじや專門
委員
の方でも今の第
二條
の「古くから
國民
に伝えられておる」ということころをもう少し練
つて
貰いますし、我々も練
つて
見ます。そうしまして第
二條
の趣意そのものが皆さんに不服でなければ、次に移
つて
行
つた
らいいでしようが。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
三島通陽
47
○
委員長
(
三島通陽
君) よろしうございますか、それでは他にございませんでしようか。
大隈信幸
48
○大隈信幸君 第
二條
の二の問題ですが、こういう
文句
が入ることは非常に私賛成でありまして、
文化國家
を標榜する方から是非必要と思うのですが、その
法案
の体裁から言
つて
ここに入るのは何だからよつとぴんと來ないのです。前書というのでございますか、総則の前にこういうものを入れられる方が尚いいのじやないか、そういう
意見
を持
つて
いるのですが、その点
一つ
。
竹内敏夫
49
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
ちよ
つと話をしておりましたので、もう一度要点だけを……
大隈信幸
50
○大隈信幸君
二條
の二を前文として総則の前に持
つて
行く方が、
法律
の形としてもいいし、
内容
から言
つて
もいいのではないか。
竹内敏夫
51
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 「
國民
の心構」ですか。
大隈信幸
52
○大隈信幸君 そうです。そういうふうに
研究
して頂けるかどうかということですね。
竹内敏夫
53
○
專門員
(
竹内敏夫
君) これは皆さんに
ちよ
つとお伺いいたしたいのでございますけれども、第
二條
の二が、單に「
國民
の心構」にな
つて
おるのですけれども、ここに同時に
政府
が努力すべき
一つ
の心構えも入れる必要がないかということを考えたのですが、その点を
一つ
御
意見
をお聽かせ願いたいと思います。
政府
はこれに努力し、
國民
はこれに協力しなければならないとしたらどうか、その点を
一つ
御
意見
をお聽かせ願いたいと思います。
岩間正男
54
○
岩間正男
君 私は全面的に今の
意見
に賛成でございます。大抵今までの立法を見ると、そういう
事務
だけはありますけれども、
政府
の方で負うところの
責任
については何ら明記していない。当然やはりこれは、
政府
に殊にまあ努力して貰いたいという観点から賛成であります。
高良とみ
55
○
委員
外
委員
(高良とみ君)
只今
の文章等は、こういう文はいつもそう思うのですが、どうか
一つ
小学校の子供達にも分るような文章に直して頂かないと、その
意味
がなかなか分らなくて、却
つて
大事にしないのですから、こういうものは大切にしなければならない。」それだけでいいのですから、どうぞさよう御修正願います。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
三島通陽
56
○
委員長
(
三島通陽
君) もう一度皆さんの御相談をいたします。「
國民
の有する
文化
的遺産を
保存
し、」という言葉でありますが、これは
外國
から來たものをも含めるか、それとももう我々の生活に溶け込んだもののみとして考えて行くかという、この観念をはつきり決めて置かないと、
法律
の上に書くのに
專門員
もお困りだろうと思いますので、大体お決め願えるものならお決め頂きたいのですが……
松野喜内
57
○松野喜内君 これはやはり
外國
から來たものをもということを
内容
的に含ませて頂きたいことが希望です。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
58
○
山本
勇造君
ちよ
つと、それは僕は勿論賛成なんだ。勿論賛成なんだけれども、ただ僕は
外國
の場合、イタリアにあ
つた
ダヴインチのものが、フランスならフランスに行
つた
ときに、フランスがそれを直ぐに
國宝
にしますか。
梅津錦一
59
○
梅津錦一
君
國宝
という
意味
じやないのです。
山本勇造
60
○
山本
勇造君 大事にするという
意味
ですか。大事にするという
意味
ならば、勿論僕は賛成です。だけれども、
國宝
という
意味
なら、ここにも例はないと思いますが、勿論それは
日本
に來た以上、これは
世界
の
文化
の
一つ
の遺産なんだから、これはもう当然あれしなければいけないし、場合によ
つて
は、
日本
に置いて置くよりも、どこかよその方に置いた方が
世界
の
文化
として
保存
がよいのだという場合には、
外國
に出しても構わないと思う。それは
日本
だけがセクシヨナリズムに考えないで、
世界
の
文化
として考えるべきだと思う。ただ
日本
に來ておるものはできるだけ
保存
し、
保護
するという建前ならば賛成です。
梅津錦一
61
○
梅津錦一
君 それは私は
重要美術
の中に是非
指定
して置くべきであると思う。例えばロダンの
彫刻
なんかは、
日本
にあ
つて
も見ることはできないと思う。そういうものは特に
重要美術
として、
日本
で
保護
するなり、又國の
管理
下に多少なり置くということは、もう
重要美術
の問題以外に、
文化財
という点から行けば、これ程重要な
文化財
はないと思うのだ。
山本勇造
62
○
山本
勇造君 それは趣意には賛成ですが、今度の第二次案というものを読んでおられると思うが、
重要美術
というものは今度なくなるのですよ。これは
重要美術
と
國宝
とを一本に考えて
一つ
にしておるので、後の方の章にも出ておるのですが、だからこの分け方も、二つがよいか、三つがよいか、これは又問題が起
つて來
ると思うが、今の
考え方
だと、今度の
改正
案では
重要美術
という言葉はなくなるのですから、
ちよ
つとその点申上げて置きます。
梅津錦一
63
○
梅津錦一
君 そうすると、
國宝
というものを特に作ることは又考えものなんです。重要
文化財
というような
意味
なら分りますがね。
三島通陽
64
○
委員長
(
三島通陽
君) では第二章に参ります。第二章につきまして、御
意見
がありましたらどうぞ。
高良とみ
65
○
委員
外
委員
(高良とみ君) 第二章でありますが、どうしてわざと美術
研究所
という
名前
が付いたのですか。今まで折角
文化財
と……
文化財
の
保護法
でありますので、ここへ來て突如として美術
研究所
という
名前
に
なつ
た理由を伺います。
竹内敏夫
66
○
專門員
(
竹内敏夫
君) それは先程お配りいたしました
大綱
には
研究所
とな
つて
おります。それが訂正案であります。
高良とみ
67
○
委員
外
委員
(高良とみ君)
文化財研究所
というように訂正なす
つた
ら
如何
ですか。
竹内敏夫
68
○
專門員
(
竹内敏夫
君) それは
文化財研究所
と付けても結構ですが、とにかく美術を拔いた
意味
で
研究所
という言葉を入れております。
高良とみ
69
○
委員
外
委員
(高良とみ君) 了承いたしました。
山本勇造
70
○
山本
勇造君 第二章は問題がありますが、第二章の中の一番大きな問題は、第三條の二の、「
委員会
は、〇〇大臣の所轄に属する。」というところですが、これは非常に問題が大きいし、それからこの間或る方には進んでいたようですが、この小
委員会
で決めないで、本
委員会
で決めて貰
つた
らどうですか。これは大きな問題ですから、ブランクのままで小
委員会
は本
委員会
に送り込むと、ここで決めたいけれども、ここで決めてしまうのもどうかと思いますから、どうでしよう。
三島通陽
71
○
委員長
(
三島通陽
君) 大体皆さんの
意見
が、これはブランクのままで親
委員会
の方に持
つて
行くという御
意見
のようですが、よろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
三島通陽
72
○
委員長
(
三島通陽
君) それではさようにいたします。外にありませんか。
岩間正男
73
○
岩間正男
君 この
大綱
を見ますと、第二章の
委員会
の構成のところに
審議
会というのが出ておりますね。このことについては、さつき
説明
に触れられなか
つた
んですが、それとこの前出ました問題ですね。この
委員
は
行政機関
ではあるけれども、併しながら
從來
の美術
保存
の状況から考え、又今世上に起
つて
おるところの
一つ
の人民的な要求、そういうものが下の方から法隆寺の炎上を中心にしまして起
つて
おる。そういうような要求から考えて、これをどのようにして民主的に選ぶか。そうしてそれについて、何らかその選出の
方法
を謳う必要があるのではないか、或いは附則なんかでこれを謳
つた
らどうかというふうにこの前話が行
つた
と思うのですが、この点について、これは
專門員
の方でどういうふうに処置されたか伺いたい。
竹内敏夫
74
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 先程
ちよ
つと
説明
を落しましたですが、この
大綱
の図の中の、
文化財保存委員会
に食つ付いております
審議
会でございますが、これは実は現在の文部省の官制にございます
國宝保存
会と
重要美術品等
調査
審議
会、これに当るところの、
指定
その他に関するところの技術者の
審議
会でございまして、
岩間委員
のおつしやいましたいわゆる
文化財保存
委員
の選考に関する民主的な選考
機関
というふうな
意味
ではございませんです。そこで
文化財保存
委員
の民主的な選考に関する
一つ
の
審議
会の問題でございますけれども、これは
只今
法制局と打合せをいたしまして、この前の小
委員会
でありましたように、例えば附則で以てこの
委員
の選定について
審議
会を作るとか、何かの
一つ
の
措置
を構ずることができるかどうか、そういうことは
只今
研究
中でございますけれども、ただ
一つ
問題になりますのは、そういうふうにして
一つ
の選考的な
機関
を條文で以て作りました場合におきましては、この條文の中で更に両院の
同意
を得るというもう
一つ
の民主的な
一つ
の選考、いわば選考でございますが、そういうものが若しも食違
つた
場合においては、
國会
というものと、それから民主的な選考
機関
との意思が食違うという
ちよ
つと妙な現象が起りまして、
法律
でそういう
審議
機関
で以て選考するということを
法律
の條文で謳うということは
ちよ
つとまずいのじやないか、こういうような御
意見
がこの法制局にあるわけであります。そこで併し何とかして、例えば了解事項ぐらいで行くことはやはりいけないのでございまするかどうかという点に関して御
意見
を伺いたいと思います。
岩間正男
75
○
岩間正男
君 それは私も分らないのでお伺いしたいのですが、
委員会
のこういう
委員
は必ずこれを
國会
の
同意
を得るということが必要なのであるかどうか、この点先ずお伺いいたします。
竹内敏夫
76
○
專門員
(
竹内敏夫
君) これは勿論
一つ
の仮の
試案
といたしまして、そうする方が、公選ということが現在事実上非常に困難であるという場合においては、
國民
を代表するところの両議院の
同意
ということが、一番民主的に
基礎付け
るところのよい
方法
じやないかと思いまして、一應
試案
を作
つた
わけでございまして、それだけの問題でございます。
岩間正男
77
○
岩間正男
君 これが必ずしも必要な條項でないとすれば、むしろ現在行われておりまする両院の
同意
というようなものにもいろいろあると思いますが、大体形式上の手続が実体としては多いのじやないかと自分としては思うのです。だからそういうような形式上のものよりも、実質的に、民主的にこれを選ぶという方に重点を置いた方が実際的なんじやないか、こういうふうに思うので、そうなれば必ずしも両議院の
同意
ということに拘わらないでも、二つのものが牴触するわけですね。さつきの
説明
のように民主的な
方法
を取
つて
選んでおいて、更に両議院でこれを
同意
をしなければならない、そうすると二つの民主的な手続きがダブるという場合には、むしろ私は実際特にそれに関心を持
つて
いる人達の大勢の參加という方が望ましいのじやないかという
意見
を
一つ
持つのです。それからもう
一つ
伺いたいのは、さつきの
審議
会でございますが、この
審議
会をこれは実情だけの
審議
会というふうに
説明
されたのです。併しこれは
從來
もやはり慣例というようなものを建前として
お話
があ
つた
ように思うのですが、併し行政上の面までこの
審議
会の
一つ
の仕事を延ばすということは
差支
えがないのじやないか、つまり技術的に優れていると同時に、これを
一つ
の行政的な立場からも廣い視野に立
つて
こういうふうな
意見
を述べるということがむしろ望ましいと、そういうふうに私は考えられますので、そういう点については、
審議
会の性格そのものを新らしく作り直して行くという点については、
專門員
はどういうような
意見
を持
つて
おられるか伺いたい。
竹内敏夫
78
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 現在の
審議
会は大体技術的な
一つ
の諮問
機関
じやないかと考えております。それで
文化財保存委員会
というふうな
合議制
の行政官廳を作りまして、そうして更にこの行政権にも
関係
あるような
一つ
の諮問
機関
として
審議
会を作るということは、何かそこに……それでしたらやはり
文化財保存委員会
の
代り
に独任制の
一つ
の外局の局長とか或いは大臣とかいうふうな独任制の官廳でもいいのじやないか、その点やはり食違いがあるのじやないかというふうな考えを持
つて
おります。
今枝常男
79
○法制局参事(今枝常男君)
只今
專門員
からお述べになりましたと同じように考えておるわけであります。つまり
行政機関
そのものを
文化
保存委員会
という
一つ
の
合議制
に
機関
にいたします。その趣旨がすでに独断的な行き方をしないというために、こういう
委員会
にいたす趣旨でありますからして、
行政機関
そのものを
委員会
にいたしまして、更にこれに
審議
会というもう
一つ
の合議
機関
を食つ付けて行くということは、
制度
の建前から行きまして少しおかしいのではないか、まあ行政についてこういう
審議
会を置いて行くのならば、本來の
行政機関
そのものは独任制のものであるべきではなかろうか、政治的にはこういう疑いがあるように考えておるのであります。
岩間正男
80
○
岩間正男
君
審議
会は飽くまで諮問
機関
というような性格があるのだろうと思うのですけれども……だから今
お話
のようにその二つが重複するというふうには必ずしも考えられないのじやないか、つまり諮問
機関
とそれから執行
機関
という二つの性格にはつきり分れるのではないか、こういうふうに思うのです。ただこれが二つに重複しているという理由については、これはあるのじやないか、そういうときには必ず局長とかいうようなはつきりした
機関
でなくちやならん。これはこの前にも出たと思うのですけれども、
委員会
のようなところに
審議
会というようなものが、諮問
機関
が設けられるということは、どうしても例はないのですね。
今枝常男
81
○法制局参事(今枝常男君) そうですね。
岩間正男
82
○
岩間正男
君 例はないけれども、新らしいものを作る可能性があるかどうか、そういう点についてはどうですか。
今枝常男
83
○法制局参事(今枝常男君) こういう
行政機関
としての
委員会
に、更にこういう
審議
会が附いているというのは、恐らく例がないのじやないかと思
つて
おりますが、その他の点につきましては一應は
只今
申上げましたような考えを持
つて
いるわけでありますけれども、これはまあ絶対的の問題ではないのでございます。と言います
意味
は、別にこういうものを作
つて
はいけないという禁止
規定
があるわけじやない、こういう
意味
においては絶対的なものとは考えておりませんが、こういう会議制の
行政機関
を作
つて
参ります
制度
の趣旨からは、一應はそういうことになるのじやないか、こういうふうに考えているわけなのですが。
岩間正男
84
○
岩間正男
君 もう
一つ
、この
審議
会、これをどのようにして設けるかという
規定
は、別にこの
法案
にはなか
つた
ように思うのです。そうすると今考えておられるこの專門調査員の方の案としては、どのようにして
審議
会を作るということを考えておられますか。
竹内敏夫
85
○
專門員
(
竹内敏夫
君) この
審議
会は相当多人数の技術者から構成いたしまして、例えば
彫刻
、美術或いは
建築
或いは絵画というふうな相当多くの分科会から成立するところの技術者の
審議
会でございまして、これは一應
法律
に、
文化財保存委員会
に
審議
会を置く、
審議
会の内部
機構
は政令を以てこれを定む、こういうふうに大体
行政組織法
に從
つて
規定
して行きたいと思
つて
おります。
鈴木憲一
86
○
鈴木憲一
君 段々時間も経つばかりですし、殊にこの問題が一番大きな問題と思いますので、これは衆議院でも非常に問題になるのでしようし、文部
委員会
でも問題になると思いますので、その際に大いに論ずることに讓るといたしまして、次に進んで頂きたいと思うのですが、それについてとにかく
專門員
の方に
一つ
お願いして置きたいことは、皆さんが心配されていることはですね。
如何
に力ある
委員会
を作り出すか、そうして予算が十分に取れるような強力な
委員会
をどうしたら作ることができるかということに帰着するのじやないかと思いますので、そういう面で尚御
研究
を願
つて
、今度の文部
委員会
に諮
つて
頂きたいと、こう思います。それでこの第二章を大体終ることにいたして三章に移られるように動議を提出いたします。
岩間正男
87
○
岩間正男
君
鈴木
君がうまく纒めて呉れたのでありますが、力があるということも
一つ
の條件になりますけれども、それにはやはり大衆の意思を、そういう輿論を十分に反映できる民主的な
機関
であるということがやはり十分に必要ではないかと思うのですが、
如何
ですか、
鈴木
さん。
鈴木憲一
88
○
鈴木憲一
君 そういう
意味
の力ある
委員会
でなければならんと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松野喜内
89
○松野喜内君 進行については同感ですが、
一つ
今申上げて置きたいのは、專門調査員の
説明
によりますと、今
審議
会でも、これは主として技術方面の代表という言葉があ
つた
が、元々これは
保存
ということでないことまでも強く発言しますので、やはり
文化
、文教という方面に
利用
價値
があるので、ひとり技術者のみならず、
一般
者教育家の代表とかいうような者もこの
委員会
に加える必要があると思います。從
つて
今
鈴木
君の力があるという纒めた言葉に含む
意味
で以て、そういう
意味
をも入れてお願いいたします。
三島通陽
90
○
委員長
(
三島通陽
君)
鈴木
委員
の動議が成立したものと認めて
差支
えありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
三島通陽
91
○
委員長
(
三島通陽
君) それではさよう取計らいます。第二章に御質問がなければ、第三章に参りたいと思います。
鈴木憲一
92
○
鈴木憲一
君 第三章につきましても、時間的拘束をするのはどうかと思いますが、成るべく短時間のうちに要領よく御質問を願
つて
、すつすつと進むようにお願いしたいと思います。もう五時になりましたから。
岩間正男
93
○
岩間正男
君 進行係だね。
鈴木憲一
94
○
鈴木憲一
君 進行係を相勤めます。
三島通陽
95
○
委員長
(
三島通陽
君) それでは第三章に参ります。前にこれはや
つて
おりましたね。
山本勇造
96
○
山本
勇造君 言い出せば大分あると思いますけれども、時間もないので、大体において今の点が一番大事な点なんだ。
機構
が……。
三島通陽
97
○
委員長
(
三島通陽
君)
專門員
から
委員会
の氣持を伺
つて
置きたい点があるそうですから、今度は
專門員
の方から皆さんにお諮りいたします。
竹内敏夫
98
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 第二十
二條
の
特別國宝
の問題でございますが、
國宝
を二級に分けまして、そうして法の
措置
を違えて、
特別國宝
に対しては、できるだけ國家が
責任
を負担して行く、こういうような
措置
に対しては一部の方からやはり相当批判があるようでありますが、皆さんの御
意見
を一應お伺いいたしたいと思います。
大隈信幸
99
○大隈信幸君 今の一部の批判という、そのことを少し漏らして頂かんと、
速記
を取
つて
まずければ、止めて頂いてよろしうございますが……
岩村忍
100
○
專門員
(
岩村忍
君) この
特別國宝
という
名前
でも、或いは一級でも、二級でも
差支
えありませんけれども、とにかく
國宝
に
等級
を付けるということを御
説明
申上げたいのであります。これは極く
簡單
に申しますと、これを起草しましたときの我々の考えはこういうのであります。我々はその方の技術の專門家でもなか
つた
ので、果して二つの
等級
か、三つの
等級
に決めるか、或いは四つにすることが妥当かということは我々は考慮外であります。ただこの
法律
の法文をそういうような二つにした理由はこういうことであります。
美術品
の大部分、或いは
建築
、或いは
一つ
の時代を代表するようなものが
一つ
よりないというような場合に、これが或いは破損され、或いはなく
なつ
たという場合には、これは非常に重大な國家的な損害であるから、それに対して十分の
保護
を加えなければならん。そういうふうに大体二つに分けましたので、これは專門家の方から見ましたら、いろいろな分け方があると思います。併しながら私共の考えましたのは、そういうような技術上の分け方は、新設せらるべき
委員会
の成立を待
つて
すべきが順当であります。
法律
としては、ただそういうようなかけ替えのないようなものは特別の
保護
をするという見方から二つに分けたのであります。その点を
ちよ
つと御
説明
申上げます。
岩間正男
101
○
岩間正男
君 その点が或る程度謳われないと混乱を起すのではないかと考えられます。つまり
價値
的な特別と
一般
ですか、そういう分け方であるか、それから或る
意味
で歴史的というか、そういうような美術的な
價値
ですね。そういう点から特別、普通、
一般
というように分けられると、そこのところがこの
法案
を見ただけでは
ちよ
つと分らないのではないか。混乱を起す心配があるのじやないか。
竹内敏夫
102
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 実はそれを明記したか
つた
のでありますが、非常にこれは技術的の問題がございますもので、そこで第二項に、一應
指定
の基準は政令で以てこれを定めると、その政令の
内容
は、これは
一つ
この
審議
会、その他
委員会
の十分な檢討によ
つて
決めて頂きたい。ただ或る重点的な方向ということで、何かクラスを付けると、それだけしか我々としては
ちよ
つと技術的に
規定
できないのではないかと考えております。
岩間正男
103
○
岩間正男
君 そうすると、政令に委任することになりますが、その委任のときに、
速記
に残すとか何とかして置かれないと、法令の
精神
が誤られるという心配があると思います。
山本勇造
104
○
山本
勇造君 梅津君、さつき
重要美術
の話が出たが、これで行くと、
特別國宝
とただの
國宝
と、この二つに分けられて、その他のものがつまり何でもなくなる。併し大体
博物館
あたりで考えていることは、その他の大事なものは登録をさせる、そうしてそれが海外に出るとか、よそへ移るとかいうような場合には、登録によ
つて
その移動を調べるというような
考え方
で、
國宝
としては、二つのクラスにこれだけは分けられるが、その点は今日余り細かいことは議論できないが、そういう建前でこれがな
つて
おります。だからあなたが言
つた
ように、
重要美術
というような、
國宝
までは至らないが、大事なものはどうするかという重要な問題が残
つて來
る。
梅津錦一
105
○
梅津錦一
君 そこで
國宝
という言葉だと非常に
無形
なものですね。
文化財
に対して、これは
國宝
というものが、作くかどうか。
山本勇造
106
○
山本
勇造君 それは付かん。これはこういう方の問題をや
つて
いるから、
國宝
としては、建造物とか何とか考えて書いてあるだけのもので……
梅津錦一
107
○
梅津錦一
君 そこで
國宝
という言葉にな
つて來
ると、さつきのことが間違えられる。
明治
以後に入
つて來
たものは
國宝
とするしかないか。或いはロダンの
彫刻
の話が出たが、これを
國宝
の一級にするか、二級にするか、
一般
にするかという問題ですね。これはここで問題になると思います。
國宝
という言葉を使うと、ロダンの
彫刻
は
國宝
という
名前
には甚だおかしなものになる。併しそういうものはこの枠から離れることは非常に困ると思います。だから
國宝
という言葉は非常に工合が惡いと思う。この言葉を何とか外にいい言葉はないか、もつと廣範囲な
意味
の重要
文化財
とするか、
一般
文化財
とするか。これなら分るわけですね。それは一例だと思いますが、重要
文化財
と、或いは
一般
文化財
と、これは仮称ですが、こういうような形の
考え方
で行くんならいいんだけれども、
國宝
と銘打つちやうと、丁度中國あたりから曾て到來したもの、或いはそうした海外から搬入された重要な
文化財
があるわけです。これが海外に
簡單
に流出されては困る。こういうような問題がここで引掛かると思うのですが、これは
一つ
の問題としての
國宝
問題ですね。
山本勇造
108
○
山本
勇造君
ちよ
つと質問したいのですが、今のような問題、例えば海外でロダンならロダンがアメリカだとか、よその國に行
つた
場合、どういうふうな取扱いをしているか、これは岩村
專門員
なり、或いは丁度
文化
課の方が見えているから、そういう実例を、どういうふうな取扱いをしているか
ちよ
つと伺
つて
置きたいと思います。
岩村忍
109
○
專門員
(
岩村忍
君) 実は私もいろいろ調べましたのですけれども、なかなか現在資料がありませんから、よく分りませんので、ただここの東京に在留しているフランス人とか、イタリー人とか、或いはイギリス人から聽いた話だけでございますから非常に確かなこととは申せないのでありますが、そのつもりでお聽き願いたいと思います。そういう話を総合いたしますと、
日本
で我々が言
つて
いるような
意味
での
國宝
というものは
外國
に存在しないようであります。但しこれに対するその
保護
、それから事情が違いまして、例えばアメリカなどに、これは近いときにも例があるのでございますが、フランスの非常に重要な
美術品
を持
つて來
るというようなときに、非常に
政府
も、それから或いは
博物館
のようなものも全力を挙げて、これは
法律
の
規定
によらないけれども、全力を挙げて
保護
しているというようなことであります。それから御承知のようにイギリスの大英
博物館
にございますものも、これも別段
法律
の
保護
の
規定
にはないのでございますけれども、併しこれは御承知のように恐らく
世界
で最もよく、大英
博物館
自身の手によ
つて
保護
されております。それからイギリスでは大体非常に大きな美術のコレクシヨンというようなものは、多くコレクトした人が、それを
博物館
なり、十分そういうようなものの
保護
保存
に適する
博物館
に
寄託
するというような
制度
が非常によくできておりまして、例えば有名なロード・リツトン所藏の西アジア、中央アジアの金銀の遺物とか、これは
世界
的に有名なものでありますが、これは一例を挙げますと、アルバート
博物館
に
寄託
されて十分
保護
されているということがございますので、
外國
の場合と
日本
の場合と経済
状態
が違いますし、
國宝
のようなものの伝來の経過が違いまして、それは
日本
におきましては、
國宝
のようなものは非常に多く神社佛閣のようなものに
保存
されておる。ところが今問題にな
つて
おりますのは、そういう神社佛閣が殆どできなくな
つて
いるから非常に問題が起
つて
おるのでありますが、西洋の場合においては御承知のように寺院などの
建築
、或いは寺院にある
美術品
というものは非常に重要なものでありますが、そういうようなものは、非常に生きた宗教として非常に強い力を持
つて
おりますので、何ら國家の
保護
を必要としない、こういう
状態
にあるのであります。この際
ちよ
つと
外國
の例を
日本
の場合に持
つて來
て参考になるような例は、今までいろいろな所で聽いて調査したところによりますと、
ちよ
つと外の國には、
日本
のようなケースは見当らないのでございます。甚だ不満足なあれでございますが、私は今まで諸
外國
の人から東京にいる範囲で聽きました点では、それ以上の結論は出ないのでございます。
鈴木憲一
110
○
鈴木憲一
君 最前からの
お話
でございますけれども、
國宝
という
名前
が外にいいものが考えられないというのでしたら、この各條の中か、或いは特別に一條設けて
國宝
に準ずるような
重要美術品
、まあ登録すべき宝物、或いは準
國宝
というようなものの
規定
を一條加えられて、
國宝
に準ずる取扱いというようなものを
規定
することはできないんですか。
竹内敏夫
111
○
專門員
(
竹内敏夫
君) 実は第一次
試案
におきましては、登録の
義務
を
規定
したわけでございますが、それが第二次
試案
において削除しましたわけは、登録した場合におきましては、結局登録の
義務
者、それからそれが讓渡された場合におきましては、新旧
所有者
間におけるところのいろいろな
義務
がそこの
規定
しなければならないことにな
つて
いるわけであります。そこでそうな
つて
参りますと、なかなか一切の重要なる
美術品
において、それ程の
義務
を
規定
するというふうな別の法制的な
措置
を伴わすということが非常に困難であるというふうなわけで、一應これは削除したわけでございます。それから
博物館
の方におきましても、それは非常に困難であろうという
意見
であ
つた
ので……併し御希望がございましたなら、又
國宝
に漏れましたいわゆる
重要美術品
について、何かやはり又
ちよ
つと軽いところの法的の処置、少くとも登録
制度
ぐらいは作るということも或いは試みて見てもよろしいと思います。
山本勇造
112
○
山本
勇造君 問題は、
國宝
という文字を君が言うようにして変えるか、外のものにすればもつと樂になるから……それからもう
一つ
は、今のような登録制見たいなものでや
つて
行くか、問題はそういうところに落着いて來るかも知れませんね。
梅津錦一
113
○
梅津錦一
君
國宝
という言葉を將來使えば、使われた言葉で非常に分りいいと思うのですね。併し
國宝
というのに無理にこだわる必要はないのじやないか、適当な言葉が見付かれば……この
法案
自体が非常に進歩的な
法案
なもので、
國宝
という何か古めかしい感じをここから取
つて
、も
つて
進歩的な
名前
を付けた方がこの
法案
がより明るいものに
変つて來
るんじやないか、
國宝
というと古いというところに値打が非常に多くあ
つて
、その
文化財
というところに
價値
を見出しにくいと思うのでございまして、だから
文化財
というふうなものの性格から
國宝
という言葉を改造される必要があるんではないか、こう私は思うのですが、これは適当な言葉があれば、新語ができるといいと思うのでございます。
松野喜内
114
○松野喜内君 私も梅津
委員
のような感じは持
つて
おるんですが、
國宝
という字を使わないで
文化財
という字を使うということも一
試案
と思います。特別
文化財
、
一般
文化財
、
山本
委員
の言われた通り
一つ
に考えなくちやならん点ですから、もう一段とお互いに考究しておいて、親
委員会
の方で又論議するということにしたらどうでしようか。
梅津錦一
115
○
梅津錦一
君
河崎
さんがいい言葉を使われたのですが、重要という言葉にすると
國宝
というような感じが入
つて來
る。重要
文化財
ということにすると非常にはつきりして來ると思うのです。それは非常にスピリツトがあ
つて
いいと思う。
三島通陽
116
○
委員長
(
三島通陽
君) それでは松野
委員
の動議もございますし、時間もございませんので、第四章に参りたいと思います。第四章につきまして御
意見
がごさいましたらお願いいたします。
山本勇造
117
○
山本
勇造君
ちよ
つと四十一條の中で「予算の範囲内において」という、こういう言葉がありますが、これは増額ができないというような感じを與えますね。年中予算が切詰められておるのですから、「予算の範囲内において」というと年中やれないと思います。特にこういう字を入れなければいけないのですか。
今枝常男
118
○法制局参事(今枝常男君) これは予算の限度を置きませんと、結局財政の枠がございますから困るのじやないかと思うのですがね。そういう趣旨でこれは入れておるのでございます。
山本勇造
119
○
山本
勇造君 先にこれを
規定
されると言
つた
ら……
鈴木憲一
120
○
鈴木憲一
君 事実はその通りになるが、
文句
だけは取らなければならん。
今枝常男
121
○法制局参事(今枝常男君) それから或いはこの
規定
の仕方にもよるのでございますが、ここでこの案ではこの最後の助成の処置を講じなければならないといたしましたので、そうしますと予算の範囲内というのを入れてございませんと、
法律
では必らずそれだけの予算を貰わなければならない。こういう項目を持
つて
参りますと、現実の問題としては支障を來すのではないか、こういう点が
一つ
あるのでございます。
鈴木憲一
122
○
鈴木憲一
君 併しここに適当という言葉が使
つて
あるじやないですか。その他適当な助成の
措置
をするというのだから、適当で
差支
えないじやないですか、「予算」を取つちや
つて
……「適当」という字が付いているのですから。
山本勇造
123
○
山本
勇造君 時間があれですから、ここで決めなければいい。これはこの次に……
三島通陽
124
○
委員長
(
三島通陽
君) これは次に讓ることにして、今
保護
しているものの予算を文部省の方から申上げようかと言
つて
おりますが、
如何
いたしましよう。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
柴沼直
125
○
政府
委員
(柴沼直君) 現在や
つて
おりますのは、二十四年度の要求しております予算について申上げますと、古典芸術の
保存
施設といたしまして百万円程要求をいたしているのでございます。これは大体映画とレコードとして記録を
保存
するという建前のものでございます。映画及びレコードに重要なものを写し取りまして、そうして將來に残すというつもりのもので、古典の芸能のものは、今挙げられているものはそれだけでございまして、この第四章にありますようなものになりますと、大部分が新らしい予算を要求しなければならんということになりますので、そのことだけ申上げて置きたいと思います。
山本勇造
126
○
山本
勇造君 君の方でどうですか、今度
委員会
にな
つて
文部省から離れるわけだが、そういう当事者の立場からして予算の範囲内という言葉が残
つて
いるのはいいですか。
柴沼直
127
○
政府
委員
(柴沼直君) 我々の方から
事務
的に申しますと、実は予算の範囲内でということは、いろいろな
法律
で慣例的に使
つて
おりますから余り氣になりません。
山本勇造
128
○
山本
勇造君 氣にはならないけれども、同時に又これは問題ではないのでありますから、当然の話なんで……
岩間正男
129
○
岩間正男
君 やはり今の問題ですが、これを発展的に考えなければならん。例えば
從來
のものを見ますと、古典芸術を映画とレコードにして
保存
して置くという話なんですが、我々のここで考える理由というのは、記録としてだけ残すのじやなくて、そのものを残すというようなもつと廣い
意味
を持
つて
いるわけです。当然そういうことは考えられる。もう
一つ
私は是非考えて見なければならんのは、そういうふうな実際の
事務
を扱う
機構
というのがないと、そういう問題が進展するかどうかというのですが、ここの第二章の
文化
委員会
の構成を
事務局
の中でそういう問題を考えて置く必要はないか、これはどうですか。
竹内敏夫
130
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
文化財
の
保存
というのは
大綱
の図のところでございますが、この
保存部
のところの
所掌事務
の中にそれを我々は
規定
しているのです。古典その他の芸術の
保全
利用
に関することという
所掌事務
として
規定
するつもりでおります。
岩間正男
131
○
岩間正男
君 この外のいわゆる
從來
の
國宝
ですね、そういうような
保存
と同じに同居させて置くという
意味
ですか、それとも
一つ
の一課のようなものを置いて、專門的にこれを考えて行くという範囲まで考えておられるかどうか。
竹内敏夫
132
○
專門員
(
竹内敏夫
君)
只今
のところ、文部省の御
説明
があ
つた
ように予算
措置
が伴
つて
は現在おりませんから、独立の課を作る場合におきましては、やはり現在の行政組織から申しますと、予算的の
措置
が伴わなくちやいけないのであります。一應
保存部
の
所掌事務
の中の
一つ
として暫定的にや
つて
おるわけでありまして、
保存部
を將來に発展させまして、例えば更に分けまして、又課の中にそういう古典の芸術の
保存
の課を設けるということは將來我々は期待してもいいじやないかと思
つて
おります。
三島通陽
133
○
委員長
(
三島通陽
君) もう大体時間も参りましたので、あと罰則は本
委員会
に讓るといたしまして、本日はこの程度で
委員会
を打切りまして、この第二
試案
を我々のドラフトといたしまして、本
委員会
の方で尚十分
審議
して頂くということにしたら
如何
かと思いますが、尚これを大体皆樣の御
意見
を加えまして訂正をいたしたものを本
委員会
の方に出すつもりでございます。多少又ブランクのところもそのまま残して本
委員会
の方に送りたいと思うのであります。
岩間正男
134
○
岩間正男
君 特に第二章のさつきの話合のときに、何だか少しぼやけたんじやないかと思うのでありますが、
委員
を民主的に公選する、そういうような條項をこの附則なり何なりへ謳うということです、この点確認して頂きたいと思うのであります。これについて十分に檢討して貰う。この点が非常に重要だと思いますので、念を押して置きたいと思います。
三島通陽
135
○
委員長
(
三島通陽
君)
專門員
の方で一應の原案があるそうですから、それを一應皆樣に配付いたしまして……尚これにつきまして皆さんの御
意見
も十分お述べ頂きたいと思います。これにつきまして今枝法制局参事から御
説明
をいたします。
鈴木憲一
136
○
鈴木憲一
君 それをずつと
委員会
の連絡としてやりますか、それとも一應解散して
説明
だけして置いて頂きまして、あと本
委員会
で十分練
つて
頂きます。
今枝常男
137
○法制局参事(今枝常男君) それでは一言
説明
だけを申上げます。実は前回
お話
がありましたので、いろいろ考えました結果、一應はこんな実は案に落着いたわけでありますが、当初の
お話
は何か或る團体が推薦いたしましたものから任命するようにと、こういう御趣旨からそういう趣旨に副いまして考えて参
つた
のでありますが、先程
專門員
からも
お話
がありましたように、実はこの或る團体からの推薦ということと、それから
國会
の議決ということが衝突した場合には、任命の任に当る内閣としては非常に困ることが起るのではなかろうかということが考えられますために、或る推薦母体からの推薦によらなければならないということをはつきり
規定
してしま
つて
は工合が惡いのじやなかろうかと、こういうことが考えられるわけであります。尚それと同時に先程
お話
がありましたように、本來この任命が最も民主的
機関
である筈の
國会
の
同意
を要件といたしております趣旨から申しましても、その
國会
の
同意
という
規定
があります以上は、推薦に関する
規定
は余り強くならない方がいいのじやなかろうかと、こういうことも考えられました結果、そういう点を勘案いたしますと、結局こんなような趣旨になるのではあるまいか、つまり
文化
的諸團体等の
意見
を聽き、且つこれを尊重しなければならない。極めて訓辞的な
規定
になりまして
法律
的の拘束的な
意味
は薄くな
つて
参るのでありますけれども、併し内閣が任命いたします際の心構えとして、若しこの程度の
規定
を入れるならば、或いは御提案のお心持に合うのじやあるまいかという、こういう趣旨で一應この案に落着いた次第であります。
岩間正男
138
○
岩間正男
君 さつきも私の
意見
を述べたのでありますが、両院の
同意
というものが実際見ておりますというと形式的になり勝ちなところがあるので、それよりもやはり推薦の
方法
についてもつと謳
つた
方がいいのじやないか、その辺の見当を檢討する必要があるのじやないかということを私の
意見
として申すのでありますが、この点は
如何
でしようか。
今枝常男
139
○法制局参事(今枝常男君) 実はその点はこの
委員会
の
委員
を特別職にするかどうかということと関連いたしておるのでございますが、両議院の
同意
ということを外しますと、
委員
は
一般
職にならざるを得ない。國家公務員法との
関係
からいたしまして、そういう問題がございますので、その点と関連して問題があるのでございます。從いまして若し両議院の
同意
を外しますれば、
委員
については
一般
職としての各種の拘束が被
つて來
る。こういう点を考慮しなければならないと考えておるのであります。
藤田芳雄
140
○
藤田芳雄
君 今の問題も、先程あれですが、親
委員会
の方で尚
審議
することにな
つて
おりますから、時間もありませんのでこの辺で…… 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
三島通陽
141
○
委員長
(
三島通陽
君) 大体皆さんもお心持はお揃いのようでありますから、
意見
は尚十分本
委員会
の方でお述べ頂くとして、本日はこれにて散会することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
三島通陽
142
○
委員長
(
三島通陽
君) ではさようにいたします。 午後五通三十一分散会 出席者は左の通り
委員長
三島
通陽
君
委員
松野 喜内君
鈴木
憲一
君 梅津 錦一君
岩間
正男
君
山本
勇造君 大隈 信幸君 藤田 芳雄君
委員
外
委員
木内キヤウ君 高良 とみ君
委員
外議員
河崎
ナツ君
政府
委員
文部
事務
官 (社会教育局 長) 柴沼 直君 法制局側 法制局参事 (第一部長) 今枝 常男君 常任
委員会
專門 員 竹内 敏夫君 岩村 忍君