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1949-06-16 第5回国会 参議院 文部委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月十六日(木曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○文教審議会に関する件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る調査の件 ○教員の定員定額に関する件   —————————————
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは今日の文部委員会を開会いたします。議題は教育文化施設及び文化財保護に関する調査でございますが、若し御異議がございませんければ文部大臣の御出席を求めましたから、最初に私からちよつと文教審議会の問題についてお伺いしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは新聞で御承知のように、文教委員会政府において組織せられまして、すでに委員も任命せられており、近々発足するということであります。我々はどういう意味か存じませんが、さような機関或いはこれは非公式のものであるかも知れませんが、とにかくさようなスタッフが任命せられておるということにつきまして、その経緯等も伺う必要があるんじやないか。それから新聞の傳えるところによれば、その第一着の仕事として教育勅語に代るべき教育綱領或いは教育宣言というようなものが準備せられつつあるというふうにも聞きましたのであります。この問題については終戰後文部省においていろいろ考慮し、又審議の対象となり、又世間もそれについて考えさせられて参つたのであります。教育基本法が制定せられました際の経緯もやはり教育勅語との関連考慮に入れたわけでありまして、特に教育基本法において、各國の例にない教育の目的とか或いは教育の方針というものが謳われておるゆえんのものは、從來教育勅語が我が國における唯一の教育の淵源として、各教育法令に引用せられており、その法令の衣を通して法規的体系の一部分になつており、我が國の教育の枠を決めておつたというような事情にもよるのでありまして、從つてさような次第で、教育基本法においてその関係を闡明する必要があり、つまり從來教育勅語一本で行こうという態度を改めて、もつと段階の廣い教育、又一層根本的な教育の理念を闡明したものと考えておるわけであります。そういう教育法本法がすでに存在しておるのに、更に教育宣言とか或いは教育綱領を制定するという必要について、我々は文部当局がどういうふうにお考えになるか。又果してそういうふうな計画に対して原案を出されるようなことがあるかどうかというようなことも大分世間に問題にもなつておることであります。我々の委員会といたしましては、最もこれは重大なることだというふうに考えますので、文部大臣にこの点についての経緯なり、又今後どういうふうに文部省でこの問題に対して処置せられるのかということを伺いたいと思うのであります。
  4. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 只今委員長から御質問のありました諸点につきましてお答えをいたします。文教審議会というものができることになつたということについては、皆さんも御承知頂いておるかと思いますが、そのできるようになりました経緯は、実は総理大臣が今日の我が國における道義の現状を非常に憂えられまして、何とかして道義をもつと確立する必要がある。それについてどうしたらよいだろう。とにかく終戰前教育勅語というものがあつて教育大本というようなものがはつきり決つてつた。新らしい日本建設についてこれがなくなつたわけであります。ついてはどういうふうにしたらば道義確立についての教育上の処置が十分徹底できるだろうかということを非常に心配されたのであります。それで我が國で非常に識見の高い、権威のある一般方々の中でそういう問題についての意見をお持ちの方に一つ集まつて貰つて意見を聞いて見たい。こういうようなお考えから出発したわけで、併し一方におきまして、御承知のようにオフィシヤル文教刷新に関する諮問機関といたしまして、教育刷新委員会というものがある。これは非常に大規模な、五十人の委員でなつておりオフィシヤルな問題についての諮問、その諮問に対する決議を得て施策面にこれを現わして行くということは、この教育刷新委員会の方でできる筈であります。ですからその外にこういうことを考えるということは、結局総理大臣としまして自分の文教確立に関する識見をしつかり持ちたい、その参考に有力な方々の御意見を聞きたい。こういう意味委員会を作つて行きたい。併しこれは教育刷新委員会と違いまして、オフィシヤル・ファクシヨンを別に持つものと考えない。個々の委員の方の御意見を十分に発表して討論をして貰つてそれを参考にしたい。こういうだけの意味委員会です。こういうことで教育刷新委員会とは別個のものとして考えられたわけであります。まだ一回も開いておりませんで、実は明日午後第一日を開こう、こういう順序になつておるのであります。  そこでじやどういうことを討議するかと申しますと、非常に漠然としたところで教育刷新委員会のように一つ一つの問題について諮問をしまして、そうして結論を得て答申を得るというものではありませんからして、つまり漠然と先ず道義確立についてのいろいろの御意見を伺いたいということで、意見を聞くということになつておるわけでございます。この間新聞にそれと関連いたしまして、教育宣言とか教育綱領といものを先ずこの審議会で以て決めるのだというようなふうに発表があつた、でその原案を私の手許で今作つておる、そうして、審議会へかけて、それを決定しようとしておるというふうなことが新聞にありましたが、あれは決して正しいものではありません。誤つて傳えられておるものであります。はつきりと否定してよろしいのであります。教育宣言というようなものを作るとか作らないということは、只今委員長がおつしやられましたように、極めて重大な事柄でありますし、又その内容も非常に重大なことになるのでありまして、文部大臣が勝手に、短期間にそんなものを作るとか、又内容を決めるなんということのできる性質のものでは絶対にないのであります。じやなぜああいうふうのものが新聞に出たかと申しますと、御承知のように新聞紙には、官房長官文教審議会のことについて新聞記者との会見の場合に話された、それが記事なつたわけであります。官房長官に尋ねまたしが、私は丁度あの際二三日郷里に帰つておりまして東京におりませんでした。留守ですから何にも知りませんで、実は郷里の方で早速私の家に新聞記者が來まして、こういうことになつておるそうだがもう宣言の原稿はできたのか、こういうようなことを聞かれたので実はびつくりしたわけです。官房長官が話された趣旨はこういうことであつたと思うのです。先程申しましたように総理としましては、とにかくよかれ悪しかれ教育大本というものが教育勅語によつて前には確立されておつた、これは総理のみならず日本人全体が認めておつたところであろうと思うのであります。で、それが今度なくなつておるんです。でそういう点を考えて一体これはなくなつたとして、教育基本考えて行く場合に今の教育基本法があるのでありますが、あれだけでいいものがどうか。又あれでいいとしてあれは法律でありますから、自然一般の人達の目に触れることも少いのでありますし、十分に精神に浸透することも少いというような点から、何とか道義をもつと確立するような教育を徹底する方法はなかろうか。こういうようなことを言われておつたものですから、そのことを官房長官が話をされたのだろうと思うのです。で自然聞く方としては、前に教育勅語が失効するという場合に問題となりました教育宣言とか教育綱領とかいうものが考えられるのだと、つまり教育勅語というものが引合いに出されましたから、それと関連して道義確立方法をこの際再檢討したいという意味で、直ぐそれが頭に來たのだろうと思うのです。それが新聞に出ましてあのような記事なつたわけでございます。私はさつき申しましたように、教育宣言とか教育綱領については非常に重要視して考えておりますので、今まで一度も総理との話合いでも官房長官との話合いでも、教育宣言とか教育綱領を作ろうとかそういう言葉を使つたことは一度もありません。それはもうはつきりと否定できます。從つてあの記事は全く間違つておると御解釈を願いたいのであります。  併し教育審議会はさつき申しましたような意味で、これからまあ委員の方方の自由な御意見発表を願うのでありますから、その際そんなふうな言葉が出ないともそれは限りません。併し現在においてこれを作るんだ、その作ることについて私が草案を作つているんだと、そういうようなことは絶対にありませんし、又それを予想してこの審議会を開いて行くということも絶対にありません。その点は一つ承知を願いたいと思つております。教育基本法の問題でありますがこれは私もよく承知しておりまして、教育基本法が新らしい日本教育基本を示しておるものであるということは事実であります。ですからこれを中心にして道義確立にしろその他の教育が実行されなければならんということも、これははつきり決まつておる事実であります。私はその線に沿いまして無論これから教育施策をやつて行くつもりでおります。ですから審議会で何も決議といたしましてそれに基いて行政をやるということは絶対にありません。審議会では自由に討議をやつてそれを聞いて、総理として文教に関する見識をお持ちになるについての参考にする、こういう意味であります。
  5. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) もう一つ伺いますが、では文教審議会が何らかの結論に到達しました場合において、やはりこれは問題の種類にもよりましようが、教育刷新委員会に諮られてそうしてそれを実施に移される、或は立案の基礎にされるというようなわけなんでしようか。その二つ審議会刷新委員会との関係はどういうふうになるとお考えになつておりますか。
  6. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。その点は先程も申しましたように、オフィシアルファンクシヨンを持つた永久的な機関になつております。それで文部省としまして教育刷新上の重要な施策をやる場合には、或はそれに関連する問題があります場合には、刷新委員会として当然の答申もされましようし、こちらも諮問をするわけであります。この文教審議会の方はそういうオフィシアルファンクシヨンを持つておりませんので、ただ話せ聞き話をするということも随分多いんじやないかと思いますが、その結果話に出たのを聞いた結果として、こういうことはやらなければならん、こういうことをしなければならんということが新たにできまして、それを教育刷新委員会諮問する必要があるという場合にはやはり諮問をすると、こういうことになると考えます。
  7. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 尚この問題についていろいろ御発言があろうかと思いますが……
  8. 河野正夫

    河野正夫君 私は極く素朴な質問をしたいと思うんですけれども、この文教審議会というようなものを内閣に置くということの法律的な根拠はどういうところにあるのでございましようか。これは全然経費を使わないものじやないと思うのです。経費を使いいろいろとプライヴェート総理ブレーントラストとしても、國費をいろいろと使うとなると、何らかの法的な根拠がなければならんわけであります。その点は如何でありますか、伺いたいと思います。
  9. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 細かい法制的なことは私は存じませんが、併しこれができるにつきましては、総理大臣から発言があつて内閣で以てそれじや作ろうと、そうして委員を任命しよう、内閣委員を任命するとこういう形になります。ですから全然プライヴェートなものではないという恰好のものです。
  10. 河野正夫

    河野正夫君 行政組織法その他各省設置法等によつて、一局一課の定員さえも國会承認を得なければならんという建前になつておるのであります。そういう際に而も今日のような行政整理を行おうというような際に、特段の必要があるならばそれは國会承認を得なければならない、何らかの官制的なものを作らなければならんものだと思うのであります。それ故に私の質問はどういう法的根拠に基いて任命しているか、こういうことなのであります。
  11. 森田孝

    説明員森田孝君) お答えします。文教審議会というものは法律上の正式な名前であるとは我々考えておりません。ただ只今大臣から御説明のありましたように、吉田総理意見を聞きたいというために、総理意見を具申する人を選んで、その集まりを法律的な名稱としてではなしに、便宜上世の中で一般文教審議会という名前を付けておる、こういうふうに考えております。  それから尚この費用は國家予算といたしましては、それぞれ内閣にも総理大臣の使われる食糧費というのがありまして、恐らく茶菓くらいは出されることだろうと思いますが、法律上の審議機関ではありませんので、從いましてその文教審議会というものに必要な経費國家予算に計上するということはないと思います。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、飽くまでプライヴェート首相諮問機関だというふうに解釈していいわけですか。その点はどうですか。
  13. 森田孝

    説明員森田孝君) 只今申しました通り総理大臣が個人的に意見を聞かれるというものではなしに、吉田総理総理大臣としての資格において聞かれるものでありますので、その点におきましては、私的なものと言えば私的なものでありますし、同時に只今申上げましたような意味においては公的な部分を含んでおる。だから私的とは言い切れませんし、又公的とは言えないという曖昧な性格を持つておると考えております。
  14. 岩間正男

    岩間正男君 どうも誠に曖昧な鵺みたいなものだと、こういうことに私は聞いたわけなんですが、併し総理大臣の公的な資格において質問する、そういう機関だというのですが、私共問題にしたいのは、さつき河野君のやはり問題にした点と同じように、法的な根拠というものは別にない、こういうので、飽くまでもそういうような意味においてプライヴェートなものかどうかということをお聞きしておるのですが、その点はそうとつていいんですか。
  15. 森田孝

    説明員森田孝君) 只今、私が今までに答弁いたしましたのは、勿論内閣に置かれたものでありますので内閣の定見を聞かないと分らないと思いますが、私がただ文教関係でありますので、文部省の一員としての解釈を申上げたのでありますので、この点御了承頂きたいと思います。
  16. 岩間正男

    岩間正男君 それは文部省意見としてお聞きしたわけだつたんですが、とにかくそこのところの関係をもう少し調べるとして、今まで聞いたところでは非常にプライヴェート性格なものであろうというふうに考えます。それでやはり随分この問題は問題になつて、私なんかも地方参つてつたんですが地方でも大分質問なんかもされたんです。一方で刷新委員会があつて又そういうような屋上屋を架すような審議会というものができた。そこで私の更にお聞きしたいのは國会文部委員会とどういう連関があるか、この前刷新委員会についても國会が新らしく発足したときについては大分問題があつたわけです。当委員会でも問題にした、國民代表機関として國民の輿論の最も反映する機関がすでに確立しておるときに、國民の全体の基盤に立つていない、つまり公選的な性格を持たないそういう刷新委員会が必要であるかどうか、ないのじやないか、そんなものはもう止めてしまつたらどうかという意見さえ非常に出てわけであります。併しそれについてはやはりいろいろな技術的な面において、刷新委員会というものは國会文部委員会とは必ずしも性格を同じくするものではないから必要だということが、文部省の理由であつたと思うのであります。併しその後私達はいろいろ文部委員会仕事を進めて來る上において、やはりいろいろな問題にぶつかつておる。というのは例えば大学國立学校設置法案審議で、その修正の問題であつたのでありますが、その修正の場合に刷新委員会などと同じような性格を持つところの大学設置委員会、こういうようなところで國会修正がほぼ決定した。そのような問題についてさえも、これはそういうような大学設置委員会に一應かけなくちやならん。そういうものの了解を得なければそれは通されないというような事実に突き当つて、実はびつくりしておるわけであります。そういうことで果して國会審議権というものをそういうような形で若し拘束するような事実が出て來ると、果して國会性格そのものがここで根本的に問題になる。こういう事実にぶつかつたのでありまして、これはこの前の委員会でもこのことを問題にしたのでありますが、我々の立場としては、やはり飽くまでもこれは國民代表的機関としての國会が、今のような問題については基本的にこれはこの問題を反映して、そうしてこれを決めて行くのが今日の民主政治のもう原則である。從つて今言いましたような文教審議会というような、文部省余りはつきり答えられないような性格、而もプライヴェートのようであり、それから公的なようなものでありというような実に曖昧にしか答えられないような性格のものが、而もそれがどういう経緯を辿つて出たのか大臣説明がありましたが、それだけの問題ではこれははつきりしない。この問題はもつとやはり國家政治に携わつておる点からしまして、首相はこの問題を國民の前に明らかにして、公的な一つ性格を持つたものとして発足させるのであつたらいざ知らず、いつの間にかこつそりでき上つてしまつて、而も例の教育宣言なんかの問題が拔打的に出たものでありますから、当然これは大きな問題になるということは止むを得ない、こういうふうに思うのであります。この点についてもつと文部省はいろいろな何といいますか、私が今挙げましただけでもいろいろな性格審議会とか委員会ができるんですが、こういうものを明らかにして、もつと國会審議権との連関においてこういうものを提出される意向を持つておられるかどうか、この点について伺いたいと思います。
  17. 森田孝

    説明員森田孝君) 只今岩間委員から御質問がありました点につきまして、文教審議会総理に対しまして意見を述べられて、これを総理國家意思として決定したいという意向をお持ちになれば、勿論最高の國家意思決定機関である國会に対しましての御審議を願うことになるだろうと考えるのでありますし、又法令の範囲内において、行政機関に委せられておる法令のいわば解釈と申しますかに関する政府の見解として述べる程度のものであれば、勿論行政機関として政府において單独に計られることになると思います。いずれにいたしましても文部大臣が御説明になりましたように、その結果どういう結果が出て來るか只今から予測ができない関係上、國会として今後御審議を願うかどうかということについてはここで説明申上げられないと思います。  尚大学設置に関しましては、御承知通り学校教育法の第六十條に、大学設置認可については、大学設置委員会諮問しなければならんという法律規定があるのでありまして、そういう意味におきまして新らしい大学を作る場合におきましては、この法律に基きまして文部省といたしましては大学設置委員会諮問するという態度を取つておるわけであります。
  18. 岩間正男

    岩間正男君 今のお話審議会でどういう結論が出て、その結論の結果によつて國会に諮るかどうか、このことは無論飽くまでもそうであり、それから我々國会審議権というものをどこまでも尊重して、これを確立するために鬪つて行かなければいけないという自覚をはつきり持つている者でありますが、それでただそういうような國会機構があるところに、今までの運営の仕方を考えて見ますると、ともするとそういうような機構が、而もこれはどうも全体の國民のそういうような意向とは余り関連なしに、拔き打ち的にともするとそういうものが作られて、そうしてその結果がやはり相当まあいろいろ影響を持つて來る、こういうやり方であるのです。このやり方についてこれは相当今日考慮をする余地がないかということを私は言いたかつたのであります。  それから刷新委員会の問題ですが、今のお話はそうするとどういうことになるのですか。國会審議権修正をしたことと、それから刷新委員会に諮らなければならないという條項があると、そのことの二つ関連をもつとお伺いしないというとこれは非常におかしいことになる。つまり刷新委員会というものは國会修正権をも拘束する能力を持つているのかどうか、その点はつきりしたい。
  19. 森田孝

    説明員森田孝君) 只今申しましたのは、私が御説明申上げましたように文部大臣設置認可をする場合においては、大学設置審議会諮問を経なければならんとなつておりますことは、勿論國会法律制定権を拘束するものでありませんので、國会修正される場合においては大学設置審議会諮問する必要は勿論ないと考えるのであります。
  20. 岩間正男

    岩間正男君 その点ははつきりそう受取つていいわけですね。
  21. 森田孝

    説明員森田孝君) 結構です。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 第五國会でその点と必ずしも同じでないような運行が行われておつたようなことを、これは当参議院じやありませんが、衆議院の方でそういうようなことが行われておつて國会修正権が相当制限されたという事実を我々は聞いておりますので、この点は明らかにしたいために発言したようなわけであります。まあ今のお話で私達ははつきりそういうふうに受取つて今後そういうふうにやつて行きたいと考えております。
  23. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 只今の御質問について私からちよつと補足をいたして置きたいと思います。この委員会岩間委員から國会審議権を拘束するかというような御質問があつた際に、私は拘束しないとはつきりお答えしてあります。ではなぜ衆議院で以て修正する場合に多少疑問のあるようなことが起きたのかと申しますと、これは修正をなさる場合に現在の日本の置かれた状況から申しますとOKが必要なわけであります。それとの関連におきまして疑問が出たのだ、こういうことであります。
  24. 河野正夫

    河野正夫君 時間がありませんようですから簡單に伺いますが、この文教審議会のみならず内閣ではいろいろな審議会を最近設けた、或いは設けるという予定のことを聞いておりました。先程から問題になつておることは同樣だと思うのです。これについて思い出すのは戰時中に近衞さんのときだつたか東條さんのときだつたか、大部内閣の中にプライヴェートのようでもありオフィシヤルのようでもある審議会のようなもの、ブレーントラストを大分置いたのですが、あの当時は実は丁度内閣総理大臣の権限が國務大臣よりも相当強くなつて來て、これは今日でも新らしい憲法でもその点は段々そうなつておりますけれども、それでそういう必要もあつたかと思いますけれども、個別にこのいろいろな文教なら文教のこと、運輸なら運輸のことを審議会を設けたということは、プライヴェートブレーントラストのようなものを設けたということは、私の記憶に関する限りどうもなかつたように思うのですが、今回総理がこういうような委員を任命して半分私のような半分公けのようなものを拵えるということは、その限りでは御自由だと言えるのでありますけれども、苟くも文教に関する國務大臣であり、同時に文教の方面の担当の責任を持つていらつしやる文部大臣がお見えになつておりますので、その辺で私共の解釈では、こういう審議会は要するに首相ブレーントラストではなくして、民主自由党のこれは政策審議会を閣内に持込んだものであるというふうに解釈できる。つまり國費を以て民主自由党文教政策を樹てようとしつつある、こういうふうに我々にはこれは解釈できる。この点について國務大臣としての高瀬さんの御意見を伺いたい。
  25. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 只今河野委員からの御意見がありましたけれども、私は絶対にそう解釈いたしておりません。内閣としては國務大臣として無論文教政策その他について全部責任を持ち、任務を持つておるわけでありますから、総理として文教政策についてのいろいろな意見を聽きたいという場合には、私も無論関係があるわけであります。ですから総理のそういう参考になるということは、やはり内閣全体の参考にどうしてもなるものであります。そうしてこれは行政面の問題でありまして、議会の立法の機能とは又別個の問題でありまして、内閣として文教施策確立しようという方針を持つており、それについての権威者の意見一つ聽いて参考にしよう、こういうことは当り前なことではないかと私は思うので、決して民自党と関係があつてつておるというわけではありません。そう御承知を願います。
  26. 河野正夫

    河野正夫君 重ねてもう一つ。そこで私非常に心配になつて参りまするのは、今お話で漸く明らかになつたのですが、國会に上程する案文の下準備というよりも、むしろ行政面のことである、こういうお話でこれはそうあらねばならんことでありますけれども、先程の御説明によりますると道義確立の方策を文教審議会にかける、それは成る程行政的の問題である、こう言うのでありまするが、勿論文教行政というばかりでなく、一般政府行政措置全体の中から道義確立ということを考えることは十分必要なことではあります。けれども先程増田長官の新聞談話の説明等々をいろいろと総合して考えますると、やはり行政措置として教育宣言或いは教育綱領、それはとにもかくにも何かのそういう天降り的の押付け的のようなものによつて道義確立ができるというさようなものか何かを、閣僚諸公は持つておるのではないか、こういう点が心配なのです。文部大臣は聰明な文化人でありまして、その点は否定的な御見解であつたので私は安心しておりますけれども、どうもそういうふうな設置審議会から夾雜物が入つておる。その点で今後のこの運営が、言葉は綱領でも宣言でなくても、我々が反対するそういうものに含まれておる何というか説教によつてか、或いは一片の文章の式や行事のときの朗読によつて文教確立道義確立ができるというような観念が、どこかに閣僚諸公のうちに持つておる者があるのではないかということを非常に憂えるのであります。それがどこかの面から行政施策に現われて來るということは、これは本未顛倒の点があるのではないか、ここで議論は多くいたしませんけれどもそう思うので、その点について改めて文部大臣にそうでないという御確言を得たいと思うのであります。
  27. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたしますが、閣僚にそういうお考えを持つておる人が少しでもあるかどうかということは、どうも閣僚の考えを全部聽いておりませんから保証はできません。併し今おつしやつたような意味で、前の勅語というような意味のものを出して、そうしてそういうものを発表すれば、それで道義が直ぐ確立するのだというふうの簡單な考えは、先ず全閣僚お持ちになつておらないのじやないかと私は思う。併し教育の問題その他の問題につきまして、非常に重要な事項がある場合は、國会自身もよく決議をなさる。つまり國民の総意を代表して決議をなさいます。それと同じような意味で、或いは教育の問題、道議の問題について、國民の総意を何か発表する必要があるということもないとも限りませんが……
  28. 河野正夫

    河野正夫君 それは國会である。
  29. 高瀬荘太郎

    國務大臣高瀬荘太郎君) 國会でやるべきでありまして、政府がやるべきことではない、こう私は考えております。
  30. 鈴木憲一

    ○鈴木憲一君 私は最前からこの文教審議会のことについて皆さんがお尋ねするのを聞いておつたのですが、官房長官が文相の留守にそういうようなことを発表されるとか、吉田総理大臣がこういうものを拵えて、そうして道義確立のために心配をされるとかいうことから考えて見まして、これは一文部省に向つて我々が質問すべき筋合じやないのじやないかと思うのです。内閣全体のこれは問題であるというふうに考えますし、又そのお答えを聞いておるというと、半分は総理大臣が、何といいますか、個人的であり、半分は公的に述べておられるようなふうにも聞こえますし、尚私が考えますには、内閣がこの委員を任命するのでありますから、新らしい機関がそこに一つ生まれ出るわけであります。それには必ず何らかの法的根拠もあるのだろうと思います。そういうようなことを繞つてこの次には是非法的根拠もお尋ねいたしたいし、内閣としてこの文教審議会のあり方とか、或いはこれに期待すベき意思というものを聽いたら如何かと思うのでありますけれども、この際この問題については打切つたらどうかと私は思うわけなんです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  「尚若し文教についてすべて内閣が、或いは吉田さんが自己の信念を固めたいというような、或いは内閣としての行き方を固めたというならば、文部省に大いにその人材はいる筈ですし、文部大臣みずからがそれに当られて差支ないものだと思うのでありますが、特にこういうものを内閣内に置いて、而も官房長官の言として教育宣言を行うというようなことになつて來ますと、これは我々としてそのままにして置くわけに行かんので、でどうかこの委員会としましても、次にはこういうものを取上げて、内閣全体にその意思を質すということにお決め願つて打切りにする動議を私は提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  31. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではこの問題につきましては、先程河野委員が言われましたように、この審議会の発足の動機等から考え合せて見ますると、先程文部大臣がお答えになつたことは文部大臣の見識としてでございますが、併し全体の形勢から申しますると、やはり教育宣言とか、或いは教育綱領なるものが全然考えられていないわけではない。そういう方向に審議会が行かないとも限らないという懸念がやはり持たれるのであります。さような方向に、文部大臣は先程表明せられました見識からして、この審議会にやはり何らか文部当局が管理的な役割か何かで関與せられることだと思いますし、全然文部大臣が無関係にこの審議会審議を進められるものとは考えられませんので、さような機会において、本日の我々の委員会の空氣を十分御承知下すつて、愼重を欠くような方向に行かないようなふうに、この際文部大臣委員会として要望したいと思います。その点如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではこの程度で以てこの問題は打切ります。
  34. 河野正夫

    河野正夫君 文部省の出席しておる機会に、二三外のことで質問したいのですが……
  35. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 文部当局まだおられますので、今日の議題が終りました後でお願いいたします。
  36. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは本日の議題に移つて教育文化施設及び文化財保護に関する調査でございます。文化財保護法は御承知のような経過を以て衆議院を通過しないことになりました。併しこれは引続いて継続調査を閉会中もいたすことになつておるわけであります。これにつきまして、どういう方針で以て調査するか、又我我が衆議院に送付したところのこの議案をどういうふうに今後処置するかという点につきまして、御協議をお願いしたいと思います。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  37. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて下さい。
  38. 高良とみ

    ○高良とみ君 文化財保護法案につきましては、参議院の我々文部委員が超党派、超会派で非常な努力を拂つたことに対しましては、今日といえどもそれが通過しなかつたにも拘わらず、尚一層その必要を感じておるものでありまして、その継続審査は愼重な調査に基いて着々と進めらるべきものであるという確信を持つておるのであります。その二三の着手といたしましては、すでに各地方への現地調査に派遣をいたしておりますし、その結果も集まりつつありまして、最近調査から帰りました班のごときも、現状における我が文化財の実情は、誠に放置することは到低忍びないような実情にございますから、尚これから行かれます委員におかれましても、勿論各地方の実情の御報告があると思いまするので、できまするならば閉会中に尚集会をいたしまして、この文化財保護の一層強化と、それからこれを衆議院の諸公にも十分了解して頂き、あちらの調査班とも提携して、更に一層改善強化の方途を取りたいと信ずる者であります。これについて私は一委員といたしましては、早いことが必要であると思いまするので、次の臨時國会までに十分な成案を見て、改善すべきところは改善し強化すべきところは強化して、國民の要望に應えなければ誠に申訳ないと思つておる次第でございます。若し皆さんが御賛成でありましたならば、閉会中にもあらゆる懇談会或いは折衝を重ねてやつて行きたいという今動議を提出いたします。
  39. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 只今高良さんから動議がございましたが、これに対して……
  40. 松野喜内

    ○松野喜内君 只今高良委員からの動議に賛成の意を表する者であります。追つて今回の視察の報告はいたしまするが、やはりそういう点から、視察した結果からも……各委員と共にこの前それぞれ熱心にこの文化財保護について、いろいろ又法隆寺のことなどについても心配する向きもあつたのでありまするが、現にああした松前城のことを見ましても、成る程放つて置いては相成らん、急ぎたいものであるという感じを一層深くしましたが故に、今高良さんの出された動議に賛成の意を表する者であります。
  41. 河野正夫

    河野正夫君 先程委員長が提出された問題については、今後も勿論継続審査を許されているので、打合会でも懇談会でも委員長でも開く必要はありますけれども、日本のところはまだいろいろな点がありますので、後程この打合会という形にして更に懇談を進めたいとこう思います。
  42. 田中耕太郎

    委員村(田中耕太郎君) 如何でしようか。河野君の御発言に……    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。ではこの問題につきましては、後程懇談会の形式において協議いたすことにいたしたいと思います。    —————・—————
  44. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外に何か……
  45. 河野正夫

    河野正夫君 この際文部省の側の出席がありますので、一、二の点をお尋ねしたいと思います。皆さんがよろしければ質問さして頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  最初に伺いたいのは、この間時分、と申しましても第五國会の間にも我々は質問いたしたのでありましたが、地方の小学校、中学校の教員の定数を昨年の九月三十日末の現在の数を以て、そうして本年度の予算で取つた一学級小学校一・三五、中学校一・七の教員定数を以て予算を配分する。こういうことについてはその基礎数が非常に不正確であるということ。更に地方に非常に差がある。或るところは小学校で言えば一・二になつており或るところは二・〇に近いところもある。そういつたようなものを現状に即しないで予算を配分すると非常に混乱を起すであろう。総数において仮に変りがないとしても、予算配分の処置如何によつては事実上行政整理に等しいものが出て來るであろう。こういうことについて我々は憂慮し、その点についても文部当局にも質問しておつたわけであります。然るについ最近に行われた全國の知事会議の席上においても、各地の長官の報告等で明らかにされたと思いまするが、事実上相当数の教員の整理をしなければならないという実情が明らかにされておるのであります。  然るに聞くところによりますれば文部当局では、それは年度末までに逐次自然退職者等によつて整理されて行くであろう、それ故に今回のいわゆる行政整理なるものには教員の退職は数えない、こういうことを明らかにしたのであります。これは、大学高專から高等学校に至るまでを含めた教員については、行政整理行わないという内閣の方針が一貫しているので、その点は結構でありまするけれども、そのために二つの重要な困難なる問題を生じて來ておる。その一つは、小中学校について、地方の公立学校について言いますならば、予算配付は四月に遡つて、その減らされた数で行くのであります。然るに現実にもう四、五と二ヶ月経過しておる。それ故にその経過して支拂われた金については、國庫からの支出がない、これをどこにおいて求めるか、而も地方財政の枠は決つておる、ここに地方当局は非常な困難に当面している。第二点はこの年度末までに、自然退職者を見越して教員が合うようにするということは如何にも尤もでありまするけれども、年度末までの自然退職でありますから只今の整理ではない。從つてそこに当然給與の費用というものが相当嵩んで來るのであります。而も國庫はこの補助を與えない、地方費はこれについて枠が付けられて殆んど余裕がない、じやこれをどうするか、この点についても明瞭になつていないのであります。更にもう一つ付け足して申しまするならば第三に、これらの自然退職者、今回の、文部省行政整理と言わないところの退職者については、この五年以上というような人々については問題はないかも知れませんけれども、一年、二年というような勤務者については、いわゆる行政整理による三ヶ月半とか四ヶ月とか、新聞紙上傳えられているあの退職手当なるもので恩典がない。そこでこれは地方当局でどうするか、こういう問題が一方において起る。これらの問題はすべてが、國庫でどれだけ支出し得るか、地方財政がどれだけその枠を拡張し得るかという点にかかつておるのでありますこういうことの措置がなくして、ただ大体の計数が合うという説明であつては、現実の町村、府縣は勿論ですが非常な混乱を起しているのであります。その上に教員が実際に首切られなければならん、或いは非常に、到底実行困難なところへの轉勤を命ぜられる憂いがあるというので、不安動揺を來しておる、これについて文部当局はどう処置するつもりであるかを伺いたい。
  46. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 只今質問定員制につきまして私からお答え申上げます。二十四年度の定員に関しまする予算がいろいろな経緯を経まして確定いたしたのでありますが、只今御指摘の通り小学校について一・三五、中学校について一・七と申しまする数字は決して樂な枠ではなかつたのであります。併しながら從來の全國の教職員の退職歩合等を考えますれば、大体退職歩合が七%ぐらいに及ぶのが常であります。然るに十二月当時におきまして小学校においては約八千人ぐらい超過したところがあり、更に三月末までには一万人程度超過することになる予測を持つたのであります。中学校につきましては相当余裕を見込みましたので、全体を通観いたしまして窮屈な枠ではありますけれども行政政理にならないであろう、行政整理を必要としないという見込の下に進んで参つたのであります。そうしてこういう程度の予算が確定しそうな見込がありましたので、二月中教育長の方々と会同いたしました際にもそうした状況をお話いたし、更に又三月末にも電報を各地方に出しまして極力欠員不補充という方法を以て、この枠に落着けられるように努力をお願いしたわけであります。ところが多少この予算の決定が遅れましたというような状況もあり、又現状は退職がはかばかしくないというような諸種の事情もございまして、今日まで各地からお申出でられる数字を檢討いたしますと、尚お申出での数字によりますれば二万人程度超過するのではないかというふうに考えられております。尤もこの数字につきましては私といたしましても更に精査いたしまして、正確な数字をあたる必要があると考えております。我々といたしましてはやはり当初の見込み通り、これは超過された方々については年間を通じて自然退職というような方法を以て処置して頂きたいということを各地にお願いいたしております。只今河野委員お話のようにその間の俸給の超過分を財源措置する必要はないかとこういうお話であります。これは解初予算確定の際に我々としては地方に御協力を願つてずつと來たわけでありまして、地方でも十分御協力頂きますればそうした過剰分の負担という分も非常に少くてすむわけでありますけれども、我々としてはまあできますれば何かその辺財源措置をいたしたいと考えて、先般來大藏省或いは地方自治廳というような財務当局とも折衝を続けております。まだ結論には到達いたしませんけれども、我々といたしましては勿論過剰分全部を負担するというようなわけには行くまいかと思いますけれども、幾分でもそうした財源措置を考慮いたしたいという考えを以て今日努力を続けておるような次第でございます。御質問にありました退職手当の問題につきましては、この予算を組みます場合にそうした過員を見越してないわけでありますので、退職手当と行政整理関連いたしまする予算は見込んでないわけであります。
  47. 河野正夫

    河野正夫君 つまり今の答弁で明らかにされたのは極めて無責任であるということであります。退職手当を見込んでない、併しながら二万人の自然退職者が出るであろう。自然退職しない場合は、これは馘首とならざるを得ないのである。而もなぜならば一方において自然退職するまで待つだけの財源措置が今努力中であるということであつて、現在に金はない、これでは当初文部省はあの計数については非常に大見栄を初つて、正確であるということを國会において我々の面前において言つたのであります。その責任をどうなさるか、その点を伺いたい。
  48. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) この点につきましてはこの財源を確定いたしました文部省考えとしては行政整理を必要としない。勿論これには地方各当局の協力を必要といたします。地方各当局においても二月以來回を重ねて、文部省からお願いいたしました方針によりまして、極力欠員不補充の方法をおとり下さつておりましたなら、今日地方からお示しのあるような数字は出て來なかつたろうと思います。  尚又今後もこうした方針で御努力頂きますれば、地方の財政負担というような観点においてのお苦しみも少くてすむのじやないか、こういう点につきましては地方文部省と協力してこの方針で実施する外はない。我々といたしましても極力地方の御協力を仰ぎつつも一方又できる限り財源措置の方法を見出したいと考えて努力いたしております。
  49. 河野正夫

    河野正夫君 その御説明全く不愉快に感ずるのであります。なぜかなれば文部省の計数が正確であるならばこういう事態は來ない。なぜそう申しますかというと、今の御答弁では裏を返して申しますと、正確ではあつたのだけれども地方当局がそれに協力して呉れなかつたから、欠員不補充の原則を守つて下さればそうではなかつたのを補充したためにそうなつた、こういうふうに聞えます。ところが地方でもこの財政窮迫の折柄決して喜んで欠員を補充するようなところはありやしません。必要だから補充しておるのである。岩手縣とか北海道のようなところでは実際に一つの村に木校が四つ、分教場が八つあるというようなところが幾らもあります。而も一学級五十人の兒童数で割るということになりましては、一村で通学区域内に三十人しかない、二十五人しかないそういうようなことを我々は机上プランで五十で割るということに前から反対しておる。そういう実情を調査して実際がこうなつて、個々の予算の教員定数となつて來ておるのか、これを我々は念を押しておるのである。ところが大体累計していろいろの点から推計をして、これは間違いないというような答えをしばしばしておつたのでございます。ところがそれを今差し止めておるのを欠員を補充したために、これだけの人数が出て來たかのようなことを言われると、これは丸で文部省責任地方当局に嫁しておるようなものである。それでも地方当局が悪いといえば悪いとしても、そのために実質的な教育が本当にできる事態をぶち壊わしておる責任はどこにあるか。その点を考えて見たならば、これはどうしても文部当局としても全省を挙げてこのことの解決に進まなければならんと私は思いますが、その点は如何ですか。
  50. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 別に私は地方当局が悪いと申し上げたのではないのであります。御推察がつくと思いますけれども、予算を作成いたします場合には、尤もその時期における最近の数字を基礎にいたしましても、翌年度の兒童、生徒数を推算する外方法はないのであります。そういう点において地方から集まりました数字を基礎にいたしまして組みました数字で予算ができ上がつております。それがその数字と現実とが開きがあつたということがありますれば、その数字を出しました地方、又纏めました文部省共に責任は負うのでありますけれども、ただその時間的ズレにおいて、どうしてもこういう点について推定的の数字を基礎にせざるを得ないということについては、御了解して頂きたいと考えるのであります。勿論地方は欠員の不補充に努力されると思いますけれども、相当多数の新規採用をやつておられる。こういう点につきまして十分地方の御協力を仰ぎたい。別に悪いというわけではありません。又地方において教育の充実を考慮するという点については、勿論文部省においても、その方向に努力すべきであり又努力しつつもあります。併しながら一應こういう定員が決まりました以上、決まりました定員の範囲において今日のところは落着けて、又明日以後の改良改善に共に協力するという方法しか私共としてはとり得ないと考えるのであります。
  51. 河野正夫

    河野正夫君 御説明大分苦しい説明であることは分りますが、正直者が馬鹿を見るということを地方長官が言つておる。実際に一・五まで去年は取れたと思いますが、北海道では一・一くらいだつたか今私は計数を覚えておりませんが、それくらいにしかなつていない。それも補充しようと思えばできなくもなかつたのだけれども、いろいろな点からそうして來年度になつたら補充しようと思つてつたところへ、今度のようなことになつてしまつた。それではどうしても学校が持つて行けない。それだのに文部省はこれだけしか枠を呉れないので弱つておるというようなことを、北海道長官ばかりではなく、他の長官からも聽いたのです。そういうような意味で、正直にする節約主議で成るべく教員にも無理を願つてつてつて、この次はと思つてつたときにそれがそのままにされた、片つ方要領よくやつたところは工合よく行つておる。こういうようなことではどうもこういう行政措置全体は國の政治をも誤ることになりはせんかと思うのでありますが、これは御答弁を要求いたしません。  ただ最後に一つだけ承わりたいのは、教職員免許法が施行されまして、いわゆる、助教、今度は臨時職員となつたと思いますが、一年限りの免状を貰うことになつておるこの臨時職員、特に小学校の助教でありますが、この人たちについては十分に講習をして、最も早い機会に仮免許状なり普通免許状なりが渡し得るような措置を講じてやる必要がある。併しこれをもやはり地方当局に委せてしまうのか、文部省が相当責任を以てその点を講習等について経理を見積り、その講習をして單位が取れるような実施を手傳うのであるか、その点について承わりたいと思います。殆んどこの数は三分の一くらいになるのでありませんか。
  52. 玖村敏雄

    説明員(玖村敏雄君) 小学校教員の中でいわゆる助教と称する者は二四%を占めております。これらの人々は、今度の新らしい免許法によりまして、臨時教員の免許状を貰うことになつております。これらの人たちを今後その上の仮免許状を持つ教員にするためには、それぞれ免許法の定めるところによりまして、一定の現職教育を受けなければならないということになつております。第一の免許法の施行法の第八條によりますと、二十六年の三月三十一日までは今のままで止まれるのであります。從つてあと二ヶ年の間にこの人々に相当の手を打てば、皆この人たちは仮免許状を貰うことができるようになつております。そこで例えて申しますと、施行法の第七條の第一項第七号に、五ヶ年の助教諭の教育経驗のある者には、これに文部省の定めるところの若干單位の講習を受ければ仮免許状が得られるということになつておりますから、これによりまして今後現職教育を進めて参ります。それからもう一つは免許法の別表第四によりますと、三年間に三十單位を取れば仮免許状を受けることができるように規定してあります。文部省といたしましては、すでに今年で三年になりますが、ずつと継続的にいわゆる認定講習なるものをやつて参りまして、本年を以て終ります。これが若干の單位に計算せられて、臨時免許状を仮免許状に上げる役に立つことは申すまでもありません。今後も夏期講習会とか通信教育とかによりまして單位を加えて行くことになります。ただ何單位を加えれば臨時免許状が仮免許状になるかということにつきましては、今立案中でありまして、はつきり申上げる段階になつておりません。尚御承知のように新制大学の教員養成を主とする学藝部或いは教育学部の本年の入学志願者は、必ずしも定員を十分充たしていないような実情にあります。そこでここに残されたスペースを利用いたしましては現職のままで今の助教に教育を與えるというコース、これを設けたいと考えております。昨年は研究科の制度を利用して六ヶ月の講習をいたしました。約三千五百人ぐらいの助教が今度の仮免許状を得られるように措置したのであります。今年もそれを進めて行く決心でありまして、これは新制大学の入学者が決定後に、定員数との関係を見合せまして措置いたしたいと考えております。
  53. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは尚御不満の点は……
  54. 河野正夫

    河野正夫君 今の助教のことですけれども、これは助教が非常に不安になつておりますので、而も一年の仮免許状しか貰えないで、來年は首になるのではないかというような不安を持つておりますので、親切にして成るべく仮免の方に進める方針である、府縣当局もどうか協力をして貰いたいというような通牒を文部省から出す御意思があるかどうか、その点を一つ承わつておきたいと思います。
  55. 剱木亨弘

    説明員(剱木亨弘君) その点は法律関係が詳しく分つていないものですから、非常に不安があつたわけでありますが、只今関係者を地元に集めまして、よく法律の普及の講習会をやりますし、各地にもやつて行くことになります。それでその点は法律が段々と分つて参りますと、二ヶ年は確保されておりますからその不安は除去されて來るであろうと思います。
  56. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは委員会は本日はこの程度に止めましてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは本日の委員会は散会いたします。    午後零時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            松野 喜内君            岩間 正男君    委員            河野 正夫君            大隈 信幸君            高良 とみ君            山本 勇造君            鈴木 憲一君   國務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君   説明員    文部事務官    (大臣官房総務    課長)     森田  孝君    文部事務官    (初等中等教育    局長)     稻田 清助君    文部事務官    (大学学術局    長)      剱木 亨弘君    文部事務官    (大学学術局教   職員養成課長)  玖村 敏雄君