運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-05-21 第5回国会 参議院 農林委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月二十一日(土曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 五月二十日(金曜日)委員羽生三七君 辞任につき、その補欠として岡田宗司 君を議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○継続調査承認要求の件 ○請願及び陳情取扱いに関する件 ○土地改良法案内閣提出、衆議院送  付) ○土地改良法施行法案内閣提出、衆  議院送付) ○農地調整法の一部を改正する等の法  律案内閣提出衆議院送付) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案衆議院提出)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) それでは只今から農林委員会を開会いたします。最初に社会党の羽生さんがお辞めになつて岡田さんが新たに農林委員になられたのでありますから御紹介申上げます。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 岡田でございます、どうぞよろしく……。
  4. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 農林委員会理事は、羽生さんが理事であられたのでありますが、その欠員の理事を補充しなくちやいけないのでありますが、これはどういたしたらいいか、皆さんにお諮りいたします。
  5. 門田定藏

    門田定藏君 羽生氏の補欠として岡田氏が入つて参つたのでありますから、それでやはり岡田氏にやつて貰いたいと思います。
  6. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私は門田さんと同じように、羽生さんがお辞めになつて、その代りに出て頂いた岡田さんですから、これも人によればそうも行かんこともありましようが、岡田さんにお引受け願うようにやつて貰いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) それでは理事に、岡田さんにお願いすることにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。   —————————————
  8. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 次は今まで本委員会で小委員会作つて水稻單作地帶対策と、農林関係配給公團制度対策を研究しておつたのでありますが、これを更に研究する必要がありますから、継続審査要求をしたいと思いますので、皆さんの御意見を拜聽いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 満場御異議がありませんから、継続審査をいたすことに決定いたします。只今同意を得ました調査実施要項は、皆さんのお手許に配付いたしますし、又議院運営委員会にもこれをお送りして御了解を得たいと思いますから、これ亦御了承をお願いいたします。   —————————————
  10. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 次は陳情請願取扱いでありますが、陳情請願は大体において委任せられた二つの部に分けて檢討したのでありますが、この取扱いについては更に皆さんにお諮りして、愼重にやらなければいけないと考えますけれども、時間もないことでありますから、どういうふうに取扱つた方がいいかお諮りいたします。
  11. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 小委員長の方で関係当局ともいろいろと御協議されて、そうして採り上げておられることと思いますので、委員会にここで繰返して御報告願つても、再審議する必要もないと思いまするから、御迷惑でもお委せをして、委員会は省略して本会議にかけるようにして貰いたいと思います。
  12. 北村一男

    北村一男君 異議なし。
  13. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 岡村さんの御発言に対して北村さんから賛成の意見があつたのでありますが、別に御異議もないようでありますから、岡村さんの動議のように取計らいたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  14. 池田恒雄

    池田恒雄君 河川局方々がお見えだそうでございますから、これは大臣にお尋ねすることと言わなくても、問題は河川局の方でも十分御承知のことと思いますから……。私は予算委員会に際しまして、丁度建設大臣建設政務次官とがおいでになつておりましたとき、この國会には土地改良法が提案される、これは農林省所管として提案されるということを申上げまして、いろいろな建設省の御意見を伺つたわけなんであります。その際建設省大臣も次官も非常に私共としては、納得の行く話だつたのでありますが、この土地改良法は本日ここで審議されて、恐らく本日中にけりが付くことになつております。でありまするから建設省といたしましてこの土地改良法についてどういう見解、或いは御方針を持つておられるか、それを先ず御説明願いたいと思います。
  15. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 土地改良法につきまして、これの所管の問題とか、いろいろむずかしい問題は私から申上げることをちよつとどうかと思いますが、実はこの改良法につきましての私の方との関係は、第一は水の使用の問題がございまするのと、それから河川への工作物の問題がございまするのと、埋土とか、それから干拓というような問題につきましてその施設の問題、こういうような問題につきまして私の方とのいろいろの権限の問題もございますが、その問題につきましては、よく改良法をお作りになる場合におきまして、いろいろと連絡をいたしまして間違のないように、なるべく権限の間に爭いの起らんように処理して参つたわけでございます。それで何かそういう点につきまして御質問がございましたらばお答えして参りたい、具体的の一つお話を願いたいとこう存ずるわけであります。
  16. 池田恒雄

    池田恒雄君 私の又お尋ねいたしたい点は、勿論いわゆる農業水利の問題と、建設省における河川水利の間でいろいろな責任上の爭いがありまして、それでいろいろ問題が発生しておるのでありますが、そのことの前に私がお伺いしたいのは、そういうお互いに権限上のいろいろなことがあるという意味じやなくて、むしろこの前予算委員会における建設大臣考え方は、そういう細かな問題を乘り越えてもつと水というものをどうするかと、こういうようなお話つたのであります。それで私はこの土地改良法は御承知通り、他に今まで農林省がやつてつたよう暗渠排水とか、客土とかそういつたものではないのであります。相当廣範囲に亘りまして水を取扱うのだ。そこで私はこの水という問題について建設省は無関心ではなかろうと思います。そこでこの廣範囲な水を取扱うところの土地改良法について、建設当局がどういう施策を持つておられるか。更に言えならば農林省建設省の間にこの水に対する政策につきまして、どういうような協議と申しますか、そういうものがあつたか、そういう経過を御説明願いたいと思います。
  17. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 水の引水の問題、いわゆる水の專用の問題でございまするが、あらゆる河川法の適用というような、あらゆる河川につきましては、河川法におきましてもすでに十七條第十八條があります。更に十九條この利権につきましては二十一條もございまして、水の引用につきましては、菅川の管理者たる地方長官がこれを許可することになつておりまして、この場合におきましてどういう水をどれだけ引くかという問題につきましてはその川に流れております水の量も相当考えまして、或いは発電の問題、工業用水の問題、灌漑用水の問題、これらを十分勘案いたしまして、特に競願がございますれば、競願も深く考慮してこれに許可を與えておるわけであります。灌漑用水の問題につきましては、これは從來古くからの河川法などが施行にならない前からの問題が沢山ございます。この問題につきましては慣行を認めまして、その慣行許可したものとして縣として認めてやつておるわけであります。そこで灌漑用水につきましては、若干そこに余分に取つておるとかいう、いろいろな問題もございますけれども、これは今早急に調整をするということは困難でありますものですから、そのときどきに起つた場合場合によりまして、これを考えて行くより仕方ないと思つております。河川法施行後におきましては、水を引く場合におきましては、先ず工作物をつくらなければならん、ですからこの工作物をつくることが下の方に及ぼす、水の使用にどういうような影響をする、又治水にどういう影響があるかということ。水の量につきましても、今のように下の方におきまして取ります水の量とか、それにいろいろの問題がございます。そういう点を勘案いたしまして、河川管理所において許可するような方針を取つておるわけでありまして、ただそのときどきの行き当りばつたりにやつておるわけではございません。ただこの水の使用の問題が將來どれだけになつてくるということは、我々頭の働く限りでは、十分考慮しては参りたいと思いますけれども、又將來十年二十年先の水の使用計画するというところまでは行つておらんような実情でございます。今は農業水利の問題でありましても、水を引用したいという場合におきましては、その許可申請書地方長官へ出されまして地方長官におかれまして、他の治水の問題を深く勘案しまして、そうしてこれを決定させておるようなわけであります。
  18. 池田恒雄

    池田恒雄君 どうも次長さんの説明を聞きますと、專ら河川局権限と申しましようか、或いは河川管理というようなことについての基礎的な説明だけになつておるのであります。私のお尋ねしておりますのは土地改良法を見まするというと、これは相当廣範囲な一郡ぐらいでなく、数郡に跨がる、或る場合には二つの縣ぐらいに跨がる水を取扱う場合がある。この法律ではそうでありますが、この法律によらなくても今までの水利組合なんか見ますとやはり同じように相当廣範囲な水を取扱つておるのであります。こういうことでありますから、これは本当に狭い範囲である土地改良と違いまして、水というものを掴んで、そうしてものを考えなければならない、そういうふうに私は考えるのであります。從つて私は今日水の機関を握つておられるのは、これは農林省ではなくて建設省なのである。そこで水の機関にまで影響を及ばして行くところのこの土地改良法のいろいろな問題について、建設省としてはどういうふうな施策を持たれておるかということをお尋ねしておるわけなのであります。このことにつきましては、開拓局長建設省とも十分打合せをして、この法律はできておるのだ、こういうような答弁に私は承つておるのであります。ところが只今次長さんのお話を伺つておるというと、どうもこの法律立案に当りまして、あなたと、それから開拓局長との間には何らの話合がないようにしか受取れない、これは私は次長さんにも、開拓局長さんにも両方からこの関係は御答弁願いたいと思うのであります。
  19. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) これは法律立案に当りまして、河川局の方と十分具体的にお打合せをしてこの法律作つております。
  20. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 私が直接に開拓局長さんとお会いしておるというわけではございませんけれども、大体河川局のその方面の担当しておるものがよく連絡して作つておるわけでございます。
  21. 池田恒雄

    池田恒雄君 若し只今の言明が本当であるならば、少くとも大臣でありまするならば別ですが、大臣がいらつしやらなくて、私は困るのではない、むしろ次長さんがわざわざおいでになつたことは結構だと思う。それならば私はいくら次長さんが直接衝に当らなかつたといたしましても、河川局次長さんというものは、盲判をついておる商賣ではなかろうと思う。やはり細かなことも御存じだと思う。それならば私は只今もつとこの法案内容立入つていろいろと説明して頂けるじやないかと思う。ところが今までの説明では、專ら河川局の何か権限と申しますか、何か提出の手続と申しますか、そういうことだけの説明でございまして、何ら土地改良法そのものについて建設省当局施策というものは伺えないのであります。でありまするから、私は開拓局長がよく相談されたと思うのでありますが、私は相談されたというふうには受取れないのであります。若しそれが相談されておらないとするならば、一つの水を二人の人がかき廻すということになりまして、私はこれはいろいろな問題が発生するじやないかと思いますのと、もう一つは先日予算委員会等におきまして、大臣お答えなつたこととは大分違う。大臣は單にあの場合私の質問に対して適当にまああしらつて來たということになりはせんかと思うのであります。あのとき大臣土地改良法が出るということを申したのであります。でありますから、これについてはこうだということを申されておるのであります。でありますから、私は今日根本的にいろいろな制度が変つておらないとしても、建設省といたしましては、農林省立案しております土地改良法に対して、相当関心を持たれ、そのいろいろな御意見を入れられておつて然るべきものじやなかつたかと思うのであります。ところがあなたの只今までの説明では、何らそういうことがあつたというふうには受け取れないのであります。もう一度具体的にどういうふうに御相談なされたか、これは余計なことを聞くようになりますが、聞かざるを得なくなるのであります。でありますから、私はお伺いしたいと思います。
  22. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 土地改良問題につきまして、農耕地水利の問題が非常に大きな問題でございまするので、私の方との関係は非常に大きい問題でございます。ただ土地改良問題という仕事そのものが、現在の各省の職務から見ますと、農林省にございまするものですから、それでその点について我々の方といたしてかれこれ言うべきではないものですから、これが建設省なら建設省一本にまとまるということになれば、そのときは又別問題で、それで相当水を利用するのだから、その水の問題をお前らの方は等閑視しておりませんかという御意見でございますが、亦この手続的な問題を論ずるとお叱りを受けるかも知れませんが、結局私の方といたしましては、川に流れております水をどういうふうに配分するかという問題につきましては、これは電氣の問題もございます。それから今の工業用水の問題もございます。漁業権の問題もございます。そうして農業の今の灌漑用水の問題もございます。それでこういう問題もございまするが、そのうちどれが一番経済的効果があるかということがこの利水根本を流れておる問題でございまするが、そういう場合におきましてその計画は我々の方として立てるわけには行きません。各それぞれ、電氣につきましては発送電会社の方から出ます、それから今のような農業水利の問題につきましては、これは指導は農林省がおやりになりまして、今度は土地改良法というものがこれをすることになるわけです。その計画は十分私らの方にも出願のありまする場合に、その内容を十分審査いたしまして、いいものであればいい、悪いものであれば悪いと、こういうふうにはつきり分けまして、その点につきまして尚條件を付けるものがあれば條件を付けまして、そこの間に間違いのないように、利水の間に十分総合調整のできるようにやつて行くつもりでございます。勿論我々の方におきまして現在直接に許可するというわけではございませんけれども、これにつきましては私の方といたしまして、地方官長に対しましていろいろの通牒なり何なり出しまして、間違いのないようにこれは命じて行きたいと、こう存じております。それに当りまして農林省からの計画も分るものにつきましては、十分連絡を受けて置きますれば、これの進め方につきましても、地方長官に、その点については或いは地方長官意見を曲げて頂くようなこともお願いしなければならんようなこともある、こう思います。或いは農林省の案につきまして、地方長官の方が正しいと思いますれば、私の方といたしましては、農林省の方に再考をお願いするというようなことにも出なければならん、こう存じております。
  23. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 打合せがどうも十分でないではないかというお話でありますが、これは我々の方の主管課長と、それから水利局管理課長の方で十分打合せをして、それぞれ相談をしておるのであります。それでこの案が閣議で決定されまする場合に建設大臣まで判を取つてあります。成規大臣建設大臣もなつておられるわけであります。形式的にも実質的にもはつきりいたしております。決して打合せなしでやつておるということはございません。それから根本的な河川の問題、水の問題でございますが、現在どういうふうにしておるかということは、これは今河川局次長からお答えになつた通りでありまして、それでこの土地改良法は、要するに河川の中でこれだけの水を取つてよかろうということが決まりまして、それから後の仕事の問題がここに入つてあるわけであります。池田さんのおつしやるのは、これのもう一つ根本になる問題であろうかと思うのであります。それからそういつたような点につきまして、普通の河川につきましては、今河川局次長からお答えになつた通りでありまするが、特に大きなもので発電、或いは農業、或いは治水というふうなものに非常に大きな関係を有しまする、例えば北上川でありますとか、或いは木曾川でありますとかいつたようなものにつきましては、一昨年から河川総合開発という名目で、経済安定本部中心になりまして、それぞれの省が相当いたして総合的に調査をして、それを更に持ち寄つて安定本部中心になつて治水利水の面から総合的に開発をする、こういうふうな方針で現在進んでおるような次第であります。
  24. 池田恒雄

    池田恒雄君 開拓局長のいろいろな説明にも拘わらず、河川局次長説明はちつとも建設省の、いわゆる河川管理者としてのセクシヨナリズムは取れておらないのであります。ただ河川を守つておる、世間の人は提防の番人だといつておる、その考え方、そういう答弁しか出ておらないのであります。これは單に許可するとかしないとか、そういうことを申されておるのであります。ところがこの土地改良法案をあなたはお読みになつておるかどうか分りません。これは私は建設省としてはこの法律案をよくお読みになる必要があると思います。読まなければ恐らく建設省のいろいろな工事はこれは躓きます。後になつてから農林省と、建設省権限爭いをやつたところでこれは始まらんです。ですから私は両課長間でどうとかという程度の問題じやないと思います。河川中心として水をどういうふうにするかということが、私はこの法律にあるところの土地改良の最も大きな問題になつて來ると思います。だから私は最初に言うておる通り、單に我々が土地改良をやる場合、客土をやるとか、或いはクローバーを植えるとか、そういうことでありますならば、これは建設省土木政策というものとは関係なしにやられるのであります。これは地方事務所土地改良課あたりが適当にお世話していいのであります。  ところがこの土地改良では水まで取扱うということであります。而もその水は廣汎なる水です。水の起幹にまで遡るというんです。これはもはや單に我々が旧來考えておる土地改良じやなくて、これは内務省が從來やつておるところのいわゆる河川管理範囲まで入つて行くということであります。それまで入らなければこの土地改良はできない。もう一つ我々は今までいろいろな土地改良をやつておるのであります。政府からそれぞれの助成金貰つて、ときには暗渠排水をやつたり、或いは農道の改修をやつたり、いろいろとやつて來ております。やつて來ておりますが、起幹的な治水の問題が解決しないで、そんなものを三年も五年もやつても、一朝にして何の役にも立たないことになるのであります。日本耕地というものは水田が半分なんであります。そのことをお考え願えば、而もこの土地改良法における土地改良の対象になつておるものは畑作よりも水田なんであります。畑作土地改良じやなくて、水田土地改良をこの法律は狙つておる、こういうことを一つ十分頭に入れて、そうしていろいろ御答弁願いたいと思います。而も水田というものは、これは或る意味では川の末流で、水田というものは川の一部分です、川の一部分というものが水田として発達しておる。河川局方々地方を歩かれたら分るでしよう、北上川にしましても、信濃川にしましても、利根川にしましても、大きな川には河川局方々遊水池というものを設けております。あの遊水池日本水田と一体どこが違うんですか。私はそういう点から非常に重要であるということを言つておるのであります。だから河川という問題を抜きにしても、我々がどんな土地改良をやつたつても、そんなものは無駄だというんです。だから水田なら水田を持つておる者が、その水田だけについて土地改良とか何とかということはこれはおかしなことです。水の根本について、だから利根川なら利根川の水というものを、これを單に堤防作つて管理すればいいんだというだけではおかしなことです。利根川の水はあなたのおつしやる通り電源の問題もあり、漁業の問題もあり、或いは運輸の問題もある、一つの水がいろいろな方面に使われ、農業の方にも使われて参ります。而も農地と川というものは兄弟か、從兄弟の間柄であります。こういうような関係にある。そういうふうないろいろな権益に分れておりながら、それは一つの水であるということになりますれば、今後の土地改良がそれ程大きな水を取扱わなければ根本的にできないというようなことであれば、もはや今までの農林省がやつておるような土地改良じやなくて、河川そのものを扱わなければならんということになります。だから、この土地改良について、あなた方はどう考えるか、どういうふうにして下さるか、お伺いします。
  25. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) お答えいたします。只今お話によりまして、私の申しておりましたことが若干的外れであると、こう私も感ずるわけであります。それは私は、今の土地改良の問題が、一應取入れた水によつて、灌漑がどうやつて行かれるかという先程の開拓局長お話によつて、その水の問題について論じたわけですが、その根本問題に遡りまして、土地保護ということは、河川を護るということにあるという観点から申しますれば、河川を護るものが一應どのくらいの土地を護るかという問題にまで、又土地改良するということまで遡つて考えなければ、その河川の行政は完全に行かない、これは尤もなお説明存じます。ただ我々といたしましては、河川を護るに当りましても、堤防を造るに当りましても、決してただ堤防を作るという観点から進んでおるわけではございませんのでありまして、堤防は現在におきましては、非常に少ないものでありますから、これでどれが一番効果があるかというような、箇所的に箇所も選びまして、そうして費用も投じておりまして、それによつて少ないながら、河川に頂きました予算を最も経済的に使うという方法を講じております。そういう点から行きますと、今のような土地改良まで建設省で全部見まして、そうしてやつて行くということが、これは本筋であると存じます。併しながら、今両省に分れておる関係上、耕地の問題につきましては、農林省においておやりになつて頂いておるわけでありますが、私共といたしまして、決して耕地を無視しておるわけではなく、現在の河川改修工事という問題は、耕地の問題に最重点を置きまして、そうして改良もいたしておるようなわけであります。それで現在この土地改良法に出ておりますものは、そういうような問題ではなくて、むしろこの水の使用貰つた水をどういうふうに廻して行くかという問題が主と存じておりましたものですから、そういうようにいたしたわけでありますが、耕地保護につきましては、勿論河川工事というものは、耕地保護でございますから、その点は十分考えてやつておるわけであります。
  26. 池田恒雄

    池田恒雄君 どうも私は、次長さんのお話を伺いますと、いろいろ努力はされておるようでありますが、ところがあなたのお話では、つまり根本的には土地改良河川問題にあるとすれば、その場合は農林省じやなく、その仕事建設省所管しなければできないような印象を受けておるのであります。私は、これはそういうことじやないと思うのです。建設省にこの仕事所管されなければならないとか、或いは農林省所管されなければならないとか、そういう問題じやないと思う。そういうことで問題が解決するのじやない。仮に私は、水利という問題であれば、あらゆる水利という問題を建設省所管にするならばしてもよろしい。した場合、その場合だつて、やはり漁業水利とか、農業水利とか、そういうふうに分れる筈です。でありますから、私は水の問題が、或る部分が建設省所管される、或る部分が農林省所管されるというようなことは、根本的な障害があると思う。だから建設省所管であればなんというのじやなくて、やはりそれは、それぞれの各官廳はそれぞれの技術段階において仕事を担任しておるのでありますから、そういうことはそれで結構だと思うのです。問題は、そういう各省間の、或いは各官廳の團体間において、はつきりとした一つの國策としての何か企画がなければならないと思います。それなのに、分れておるが故に無関心であるとするならば、私はこれが一つのセクシヨナリズムだと言うのです。そうでしよう。それから又、統一されなければどうも工合悪いようなことを言い出すのも、これ亦セクシヨナリズムだと思うのです。そのために一体百姓がどんなに迷惑をするか、それを考えて貰わなければならん。而もこの法律におきましては、審議が始まるときから予算の問題で引つかかつておるのです。この法律は出るが、予算政府が出さんというのです。これが問題だと、ところが私はこの予算の問題でも、今日日本の國家が金が少いというならば、少くても工事がやれる、或いは土地改良がやれる、或いは水利が当然できるような施策を講じなければならないと思うのです。この場合、こつちが農林省所管であつて、こつちが建設省所管だからといつて予算の分取りあいをやつておつたら、ますます以て國費を浪費するのです。どぶに金を棄てるという昔の言葉があります。ところが最近は、土地改良のために金を使うことは、どぶに金を棄てることだというのです。文字通り明らかにどぶの中に金を棄てるのです。農林省は毎年毎年どぶの中に金を棄てるというようなことをやつておるわけですよ。こういう問題を処理しなければならないのです。私はそのために質問しておるのです。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)簡單じやない、被害地の人間を考えて御覧なさい。(「外の議案もある」と呼ぶ者あり)外の議案もあるかも知れんが、現実に困つておる百姓が沢山あるのだよ。君だつて百姓の代表で來ておつて簡單なんて言うなよ。百姓が人困つておる。そんな繩張主義的な答弁をするときではない。
  27. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 大変お叱りを受けて恐縮なんですが、今の土地改良は年々金をどぶに棄てるという点については、一言私から弁解の必要があると思います。と申しますのは、結果において、池田さんのおつしやるように、土地改良をやると、そこに台風が來て、堤防が切れて、元の泥を被つて、折角の土地改良が流されたというようなことは、最近は部分的にはそれはあろうかと思います。併しながら、そういうふうなことでない所は沢山あるのでありまして、只今おつしやつたような、結果において不測の天災のためにそうなるというようなこともありますが、そうでない本來の土地改良ができておる所が沢山あるということを申上げて置きたいと思います。
  28. 池田恒雄

    池田恒雄君 建設省ではどうお考えになりますか。
  29. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 私の方の河川工事によりまして工事が完成した所にありましては、相当効果を挙げておるわけでありまして、例えばこの河川工事とも関連いたしまして土地改良をやつておる所もございます。例えば利根川の下流辺りにおきまして、浚渫しました所で、堤防をでかしまして、その浚渫箇所を埋め立てておる所もあります。ただ今お話しになりましたように、私決して権限爭いの問題を論じたわけではございませんでして、ただ一緒にやれば喰違いもなくて済む所が、若干喰違うことがある場合もあるかと存じて申上げただけのことでございまして、両省の間において、決して連絡なしにやつて喰違いを生じておると、こういうわけではございませんのです。例えば利根川の下流につきましても、両省の間におきまして、土地改良の問題につきましては、治水の方と、利根川改修計画と、向うの改良計画とよく連絡をつけてやつておるような次第でございます。
  30. 池田恒雄

    池田恒雄君 どうも委員の中からも、私の発言はしない方がよいということでありますから……。(「そんなことは言わない」「一遍やつて外の人にやらしてという意味です」と呼ぶ者あり)開拓局長は、私がどぶに棄てると言つたことに対して釈明がありましたが、こういうもののたとえで言う話が、何も私は統計数字を分析しておるわけではありません。これはどぶに金を棄てない部分が沢山ありましよう。併し又どぶに金を棄てる部分も沢山ありますよ。ありませんなんてしやあしやあしてここであなたは言われる場合ではないです。私が関係しておる問題の中でも沢山あつた。あれ程沢山あつたら沢山でしよう。あなたが知つておる部分だつて何ぼもある。こういうことを一々事例を上げなくてもいいでしよう。事例を上げて説明すれば、これは私の質問が長くなるだけですよ。北村さんなんかが、成るべく簡單にやつてくれと言うが、私は簡單に話すつもりです。北上川の氾濫でもあれだけ棄てております。あれは全く計算して止むを得ないという部分もあつたでしよう。併しそれだけではありませんよ。利根川でも棄てておるのであります。信濃川あたりでも棄てておるでしよう。その中には確かに政府は何ぼ頑張つたつて駄目だという部面もありましようが、我々が行つて視察しましても、そういう政府のいろいろなやり方がまずいために、やはり農民が必要以上の災害を受けておる。そしていろいろと、何年計画かで仕事をやつて、途中の一年目か二年目で完全に農民の財産が流されておる。こういう例が沢山ありますよ。それから河川局長はいろいろの問題があるならば、それはそれで解決したいというような話もしておりますが、そういう問題をここで上げたら沢山ありますよ。恐らく私だけでなくて、皆災害地の関係者がおりますから、これを一々上げたらこれは沢山ありますよ。そういうことは一切河川局長分つておるでしよう。分つていないですか。それでは私は申上げますが、たつた一つの例を申上げてもいいのであります。これは利根川堤防が……。
  31. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) ちよつと待つて下さい。次官が來ましたから。
  32. 池田恒雄

    池田恒雄君 次官も参りましたが、次長さんが、お答えなつたらいいでしよう。次長さんにお聽きするのでありますから。
  33. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 御答弁いたします。只今お話のように、河川行政と、農林省土地改良との間に喰い違いのある実例を知らないかというお話でありますが、私も先程申上げましたように、若干のこの喰い違いのある場合もありますと申上げましたわけでありまして、この事例がどこにあるかということは私も若干は知つておりますのでありますが、その答弁だけは一つお許しを願いたいと、こう思つておるのであります。併し將來の問題といたしましては、農林省におきましても、亦土地改良事業を大々的にやられるに当りましては、十分我々の方にも連絡を頂きまして、私共の河川改修の問題につきましても、十分連絡をいたすつもりであります。今度河川審議会というものを作りますから、この審議会におきまして、そういうような治水の問題を論ずるに当りましては、よく農林省方々にも御出席をお願いいたしまして、改修工事改良事業との間に間違いの起らないように、十分これに注意して参りたいと存じております。尚先程開拓局長からも申されましたように、水利の問題についても、総合的な見地から、水利の問題は総合調査を進めておるわけであります。そういう方面におきましても、決して農業水利発電との間に、権限の問題で、ただ力で解決することのないように、合理的な方法でやるように進めるつもりでありますから、さよう御了承を願いたい。
  34. 池田恒雄

    池田恒雄君 次官がいらつしやいましたからお伺いいたしますが、前に分科会のときに大臣もいらつしやつたし、次官もおられたのでありますが、その場合私土地改良法についても一言触れながら、現在の日本の土木及び水利に関するところの政府の行政が、非常にばらばらであつて、その結果予算もやたらに使うし、又技術上のいろいろな齟齬もあり、農民その他の人も非常に迷惑をしておる。これはどうせなんとかしなければならんものだということになりまして、このことでは私も次官も大臣も同じような考えであつたと思うのであります。そこでこの土地改良事業は相当大きい事業でありますから、これにつきましては、建設省といたしましても相当大きい関心を拂われていいわけであります。そこで実は次長さんが見えましたし、次長さんの方はまあ商買でやつておられるので、むしろ次官や大臣よりも、次長さんの方が詳しく知つておられるだろうと思いまして、質問いたしましたところが、次長さんの方からは、大臣も次官も私共も最も憂えるところの繩張り主義的な考え方による答弁以外には何も受け取れなかつたのであります。私はこれは、土地改良法の実施に当つて、非常に重要な問題であると考えるのであります。勿論制度の問題は、本委員会において解決するものではない。本國会において解決するものではない。制度というものは、これは二年も三年もかかつてやれば解決するかも知れない。併し制度の如何に拘わらず、こういう法案が、実際水利なら水利という問題は、どうあらねばならんかということが、常識的に決まつているならば、やはり建設省農林省の間では、それぞれの協議をなされ、この法律農林省の開拓局の法律であるというような工合にならないようにしなければならんと思います。恐らくこれは次官はどういう答弁をなさるか知りませんが、河川局次長の話では、これは全く農林省の開拓局の法律になつております。それでこの際次官に、これはそうなんでありますから、次官からそうでありませんという答弁貰つても、何の役にも立たない。問題は、そうである法案を、建設省は如何なる方策によつて今後そうでないようにするかというようなことを一つお伺いしたいと思います。
  35. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) 今池田委員の御質問ですが、この治水水利の問題は、実は私在官中にも非常に難儀をした。私は在官のことを申しますとおかしいですが、その当時すでに農林省利水事業と、内務省の治水事業を一本にした方がいいじやないかというような空氣のときにありました、それで私は、若しもお國のためになるなら、内務省の治水事業は農林省に行つてもいいんじやないか。又農林省利水事業は、内務省に來た方がよければ來て貰つた方がいいのではないか。その時に勅任の技師が農林省に轉任になつても、これはお國のためにしようがないと言つて、私は大分強硬にそういうことに最も論議をした一人であります。今も私はその観念は相変らず持つております。衆議院その他におきまして、両省の関係はどうなつているかとたびたび聽かれましても、お役所はお互にうまく協定をとつておりますと、どの機会でも答えておりました。恐らく今でもそういう答えが或いは私は役所の間にあるかと思いますが、併し実際の部面におきまして、率直に申しますと、協議はうまく行つていると思いません。多くの場合に、どうも今になつて、私が在官中に苦い経驗を経ました、それと同じような経驗を、又同じような経驗を今以て行なつているのではないかと、うまく両省が協定をして、同じ仕事をするにしても、やつて行くというように行つてはいないのではないかと、今でもそういうことは心配しておりますのでありますからして、その法案に現れたことを実際実現する場合においては、建設省の大いに関係する事件もあると思います。例えて申しますと、北海道の泥炭地区を、これを開墾するにしましても、これはなかなか農林省だけの力でもできんということもありますし、又これは建設省の力だけでもできません。両省が相携えてやらなければいかん。これは実際においてはつきりしております。そういう点は独り北海道のみならず、方々の治水利水を起す上において非常に大きなことであります。でありまするから今直ぐ行政機構を本当の一つの姿に改めることができないにしましても、せめて今日の形においても、今までのようにただうまく運営しておる、両省でうまくやつておるというお座成りの答弁をしたくない。私は成るべく本当の実際の上において一つ一つ農林省の設計を見、或いはこつちの設計を見て貰つて、どうしたらよいかというところまで持つて行きたい。又そういうところに持つて行かすようにしたいとこういうふうに考えております。
  36. 池田恒雄

    池田恒雄君 次官は一應役所の統一と申しますか、そういうこともお考えのようでありますが、私はこういう治水なら治水、土木なら土木というものの計画の統一というものは、必ずしも役所の統一ということを意味するものではないと思う。私は各省間のセクシヨナリズムが、今までもいろいろ國費を乱費して來ておるし、いろいろな人民に対して迷惑をかけて來ておるということになるのでありますが、これはややもすれば一つの政治は一本に運用されなければならんということを、それに便乘しまして、そのときの立場のいい内務省拡充に努力するとか、農林省拡充に努力すると、こういうことが私は却つて問題を深刻にして來ておると思うのであります。つまり私が水利の問題でいろいろこういうようなことを申しますと、もうそんなことにすれば農林省の何々事業が内務省に取られはせんか、という御仁も出て來るのであります。又内務省で申しますと、あんなことをすると農林省仕事が取られてしまうなんということを心配しておる現場の方もあるのであります。こういう繩張主義は、私はこういう問題の解決をもつと遅らして行く、もつと深刻化さして行くと考えるのであります。でありますから私は恐らくこういう問題の解決点はそういう所轄を統一するとか、しないとかいうことにならないじやないかとこう思うのであります。次官は何か今ちよつと氣にかかることを申されますが、次官はこの問題を解決する一つの具体的な方法というものは、農業水利ならば農業水利というものを、河川問題と結びつけて建設省なら建設省所管しなければ解決できないというお考えをお持ちかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
  37. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) そういう考えは持つておりません。とに角今日の情勢においては、どうしてこれを運営したらよいか。農林省が立派になされれば結構です。決してこれを全部この際非常に摩擦を起して、そのために事業もできん。そこまで持つて行こうというそんな考えは持つておりません。どうしたら一般國民のためになるか、これが第一の念願であります。
  38. 池田恒雄

    池田恒雄君 私は別に建設省を繁昌させるために質問するのでもありませんし、農林省を繁昌させるために質問するのでもないのであります。問題はこの問題の解決ということにあるのであります。この法律の中には三百町歩以上の工事を縣でやる。三千町歩以上は國でやる。そういうことになつておるのであります。そうすとる三百町歩以上の水利といたしますと、一ケ村以上に跨がる面積になります。三千町歩といたしますと、これは一郡乃至二郡くらいになります。こういう大規模な土地改良工事が行われて、これが縣営、内は國営でやるということになるわけであります。この縣営、國営、つまり我々が、各村が小さく一緒にやろうという程度のものでなくて、縣営、國営でやらなければならないというような事業は、これは單に溜池を直すというような土地改良でない、これは水利にかかる問題であります。こういう廣汎水利事業は、これは当然國営、又は縣営等でやるべきものであつて、とても農民自身の力でやれないのであります。これは当然國費でやるべきであります。この場合私はこういう問題の取扱いは、農林省建設省とも河川全体の問題、その水の利用全体の問題を睨み合せてやるべきものである。こういうふうに思うのであります。思うのでありますが、この法律の中からそういうように運用されるというようなことはちつとも現われていないのであります。現われていないということは、これは私は非常に困るのであります。そうしてこれはまあ農民側は補助金を呉れとか、何とかして呉れということになるのでありますが、建設省にいろいろと参拜したり、農林省に参拜したり、これは参拜するだけでも忙しくて、そうして、それらの計画が別々に進めでおるということになりましても、これは農民にとつてよい計画が現われるものでない。そこで私は建設省が持つところの河川根本的な政策というものと、この法律が將來考えておるものと、日本農業水利根本的な設計というようなものとが、何とかこれは調整されておらなければならん。この法律の出発に当つてそれができておらなければならん。私はこう思うのであります。ただ法律作つて助成金を出して、少し百姓を喜ばしてやろうという程度では私は結構でないと考えるのであります。それでこういう國営事業、或いは縣営と申しますか、縣営なんというものは止めて、すべて國営で宜いじやないか。そういう國営の水利事業について建設省はどういう御施策を持たれるか。これを一つ伺いたい。
  39. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) その法律が出る前、そういう大きな土地の開墾と申しますか、開拓と申しますか、それについて建設省に一應農林省の方から協議があつたとは私は聞いておりません。聞いておりませんが、併し今池田委員のおつしやる通りに、これはなかなか大きな問題である。そうしてややもすると建設省でやつた治水治水だけやつたために、土地利水を考えてやつたならば、より多くの効果があつただろう。そういう点を考えていなかつたために、十分の効果がないということもあります。又これと逆に農林省の方で利水ばかりお考えになつたために治水というものが却つてうまく行つていない。こういう事実もあります。これは今池田委員のおつしやつた通りに両省が一つのそういう大きな問題をともに考えて行く。そうしないと本当に行かない。こういう考えは今持つております。でありますから恐らくそういう法案が出る前に今申した通りに今日農林省に御協議があつたと思いませんが、併しそういう大きな実際問題に当りまして、池田委員のおつしやる通りに、私共も建設省権限において、或いは建設省の役人が農林省とよく話合つて、その実際の効果がどこまでも挙がるようにしたい。こういう考えを持つております。又そうすべきだと思います。
  40. 池田恒雄

    池田恒雄君 重ねて恐縮ですが、現在の予算制度におきましては結局公共事業費という費目にあるあの予算はどのくらいあるのでありますか。結局どつちの予算も公共事業費から出ておる。こういう状態であります。でありますから、これはこの法律が出ざれるその際には、そういう予算の建前から考えましても、建設省農林省は慎重にこの問題について協議し、そうして法律に盛られなくても、私はこの法律は五年なら五年の中にはどういう予算的配県によつてどれだけ土地改良をやるとか、或いは治水をやるとかいう一應の構想を発表しなくても、それくらいの計画があつて、そうしてこういう法律が出て來るべきではなかろうかと思うのであります。いつか本会議で兼岩君が一片の法律によつて水は防げないということを申しました。一片の法律によつて土地改良できないのであります。法律土地改良するのじやない、予算及び政策土地改良して行くわけであります。でありますから何らかの腹案がなければ、而もこれらの國営事業をやるならば、今の予算の建前と公共事業費と睨み合せて建設、農林両省協同の腹案があるべき筈である。ところがこれは農林省でそれ程の相談も受けないようであるというふうな次官の答弁であります。もう一つは相談しない農林省も私は少々どうかと思うのであります。ところがこれ程國営事業を含む、こういう種類の内容を含むところの法律案が立派に出ておつて、そうして新聞にも宣傳されておるのに、建設省の方では俺の方で作つた法案じやないから相談に來なければ相談しないという。水に関する法律案は、大臣や次官はなぜ農林省に対して積極的に働きかけをしないか。このことは私は農林省に何か独善的なところがあり、建設省もただ独善的にものを考えておる。そうして國の予算であるとか、或いはその他の政策の運用であるとかいうことは余り考えておらないじやないかと、こういうふうに思うのであります。勿論先程開拓局長建設省とは十分相談しておるというような答弁であつたのであります。この点は私はこの今後の運営において非常に重大であると思いますから、これだけを一つお話願いたいと思うのであります。
  41. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) 今の仰せの通り、こういう問題については私共の方としても十分どこどこを三千町歩とか、何とかいうその面積に拘わらず、農林省で実際どこどこをやる、それに対して建設省はどこどこをなさるかということを、具体的にどの程度まで協議したかも存じませんが、若しもしていなかつたならば今後は十分すべきであります。法律が出るまでにどういう方針でなさるかということを建設省としても当然研究もし、又御協議もして置くべきことであります。勿論それがなかつたならば、或いはないかも知れませんが、この点は重々こちらも手落ちと思います。今後そういうことのないように必ず私の責任においてはどこまでも協力して行きます。そうして実際に当りましても農林省の遂行なさることについて、又こちらのすることについても向うからも御協力願いたい。又同時にそういう大きな問題に対しては、実際問題として十分効果が挙るようにしたいと思います。今まで申した通りに今までやつた仕事について、十分お互いに仕事が協定してないために十全の効果を挙げていないというものが沢山ありますからして、そういうことのないように十分一つやりたいと思つております。
  42. 星一

    ○星一君 私はこの間無機性の話をしました。それで池田君の言うように日本法律はどつちかというと無機性で法律はできております。それはドイツ式を持つて來たからであります。それで今法律に関する根本を言うておつたら、なんぼ時間をかけてもこれは切りがありません。これから日本法律は有機性にしなければならん。それは專門分業化ということはこのように我々の生活にありつこない。すべでは総合だというのだから総合的に法律ができればいいのだ。こういう無機性の專門分業にできておるその結果、繩張りの議論も出て來ると思う。それだからこの日本は世界の称讚を受けるような復興をする上からは、法律を有機性に直して、すべて総合的に協力的にすることに直す外ありません。我々人間は有機性だから、それを間違つておるのだから、そういうふうに根本的に直すことにして、政府もそれを悟つて、そうして池田君もこの辺で外に進むようにしなければ駄目だよ。今無機性で作つた法律を言い合つてもどうにもならん、なりません。一般に有機性に、世界の称讚を受けるような法律にしなければならない。そういうふうに一つ行こうじやないか。池田君、そういうようにしなければ駄目だよ。
  43. 池田恒雄

    池田恒雄君 大臣のこの法律に対する一應の見解を表明するのが当然と思います。質問のあるなしに拘わらず建設大臣のこの重要法案に対する見解を表明するのが当然だと思います。
  44. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 私お呼び出しになつてつたのでありますが、電話の故障で、漸く到着いたしました。從つて池田委員その他の委員各位からの御質問の要旨を十分納得いたしていないのであります。ただ只今御審議を願つておるのは土地改良法案であるということを只今ここへ到着しまして承知いたしたのであります。而して土地改良法案を御審議願いますにつきましては、これは閣議を経ておる事項でありますから、從つて國務大臣の一員として私も当然責任を担つておるのであります。そうしてこの法案建設省の私の所管の事項との関係と申しまするか、又この法案に対する建設省考え方と申しまするか、これは今日土地改良方面から申しまして、極めて緊要な適切なる法案と考えておるのであります。從つて私もこの法律案に対しては満腹の賛意を表しておる次第であります。ただ只今この席へ参りましてちよつと耳に挾んだのでありまするが、これは河川に重大な関係があるので、建設省に予め相談があつたかどうかという御質問のように承つたのであります。又河川を主として担当いたしております建設省といたしまして、この法案に対して十分に関心を持つておることは申すまでもないのであります。具体的の細かいことは実は私よく存じません。率直に告白いたしまするが、この法案ができるまでにおのおの事務当局においてそれぞれ所管のことについて詳細に打合せもいたし、協議もいたしておることと存じております。從つてこの法案提出に際して、私の方の事務当局からこういう点はこうだ、この河川関係省についてはこうであるというような具体的に私に対して注意もいたしておりません。又進言もいたしておりません。從つて建設省所管河川についてはそれぞれ農林省といたしましては十分に協議を遂げておるものと私は存じておるのであります。
  45. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 土地改良法案提出されまして、その審議のために建設省から大臣のおいでを願つたわけでありますが、池田君が先程から熱心に声をからして質問をいたしておりまするが、的外れなので非常に工合が悪いのであります。これは池田君の本旨は我々はよく知つておりますし、質問の趣意等も分りますが、建設省土地改良法案に対する國土計画の上にどういう策を取つておるかということが根本であります。それがそうでないものですから、これは非常に大きな問題でありまして、國土計画に立つた土地改良でなければならないと駄目だというので聞いておりので、それが的外れで事務的なことをおつしやつたり、いろいろするので、そのために長いことになつておる。それをぱんとやられると明日にも済むのだから、そのつもりで御答弁を願わなければならない。土地の國土計画に立つたものでなければ駄目だ。そのつもりで御答弁を願いたい。
  46. 板野勝次

    ○板野勝次君 それだから長くなる。計画を持つてちやんとやりさえすればよい。
  47. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 私先程答弁の際に申上げました通り、ここへ参りました際に、何か河川のことで協議があつたかないかというお尋ねをちよつと耳に挟みましたので、只今のような答弁をいたしたのであります。國土計画全般に対しては、総合的に國土計画の大きい見地から考えて行かなければならんことは誠に当然であります。そうしてこれは、只今委員からも申されたのでありまするが、各省の繩張りということを離れて、大きい國家的の見地から、総合的國土計画観点から農地改革とか、いろいろのことをやつて行かなければならんということは、私も御質問の趣旨と全く御同感であります。ただ総合的國土計画を主管いたしておりまするいろいろの各省に所掌事務が分割せられておるので、十分に総合的國土計画の現在においては目的を達成することができんのを非常に遺憾に考えておるのであります。從つて御趣旨に副つて行政制度の改革の際に、十分に総合的國土計画という観点から制度を改革して参りたいという考えを持つております。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 先程開拓局長からのお話では、安本を中心にいたしまして、土地改良についてでありますが、河川ごとに何か計画がなされつつあるようにお伺いしたのであります。これは非常に重大な問題だと思うのでありますが、この土地改良法案を出されるにつきましては、單に從來の水利組合とか、耕地整理組合とか、或いは土工組合の整理統合だけではなく、國家がみずからやる國営の土地改良事業についての規定が極めて重要な部門をなしておる、そういう見地からみますというと、明らかにこの土地改良法案が出されたことは、私共といたしますればすでにそういう河川別についてまあ日本全体の総合的な土地改良ということの、計画が前提になつておると考えられるのでありますが、それが今如何なる状況で進行しておるのか、又それについて各官廳との関連がうまく行つておるかどうか、その点についてお伺いしたいと思うのであります。
  49. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 只今岡田さんからの御質問お答え申上げますが、さつき申上げましたのは、一昨年から安定本部中心になりまして、全國の主なる河川につきまして、その河川ごとに、つまり総合的な利用或いは治水利水の面から見た計画を樹てておるのでございます。その中の一環といたしまして、当然これは農業水利の問題も入つて参ります。この土地改良法は、御承知のように、そういうふうな事業ができるということでありまして、それに更に根本になりまするのは、これをこれだけの農業利水が要るというときに、この川から引ツ張つて來るという場合に、今申しました根本的に総合河川治水利水を檢討いたしまして、その結果これだけの水を引ツ張つて開発してよろしいということになれば、そこで初めてこの法律に基きます事業が施行される、こういうような関係でございます。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 今私が開拓局長にお伺いしたのは、その法律の適用をどこから始めるという問題でなくて、この法律を出された前提として、そういう土地改良法の全体計画が進行、具体的に進行しておるかどうかという点をお伺いしたのであります。
  51. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) まだ全國的にあらゆる部面に亘りまして、具体的の計画は進行しておりませんが、個別的にそういうような状態で進行いたしておるのであります。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今建設大臣の方のお話を聞きますというと、そういう計画につきましては余り進行しておらないように承つたのであります。その喰違いはどういうようになつておりますか。
  53. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 開拓局長お答えの点は、詳しくは私遺憾ながら承知しません。ただ全國の各特殊区域を定めまして、確か十二、三区域あると思料いたしております。その区域について、総合開発計画を樹立いたして、そうして安本が中心になつて所管の各省が集まりまして、そうして総合計画に基いて各々所管仕事を進めるという計画を樹てておることは事実であります。私の承知いたしておりまするのは、全國特殊区域であります。例えば宮城縣の玉造郡、或いは私共の石川縣の能登開発であるとかいうような特殊区域を定めまして、そこの総合的開発、林産とか、水産とか、地下資源というような、主としてものを開発する、その総合計画を樹立せられて、安本が中心になつて所管の役所が寄り集つて計画を樹立しておることは承知いたしております。これを段々と廣く全國に押し拡めて参りたいという考えであります。尚私の方の所管といたしましては、全國の各大きい川を取上げまして、この川を治水方面から研究をいたして、治水方面から研究いたしまするから、各々從つて山林にも研究は及ばなければなりません。いろいろ研究いたして、そうしてこれは各所管方面と緊密なる連絡を取つて河川の、いわゆる私の方から申しますると、治水の目的を達成しようというので、最近全國最も大きい、たしか九つでありまするが、利根川北上川その他全國十大河川でありましたか、九大河川でありましたか、これに対する根本的の計画は樹立いたしたのであります。從つてそのためにどれだけの耕地面積が救われ、どれだけの耕地面積の災害を防止するというようなことも、おのずから研究の対象となるのであります。私の承知いたしておりますのは只今申上げた程度であります。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今建設大臣お話によりますと、九大河川若しくは十大河川について治水計画がすでにできておる、それが正に実行されつつある、こういうお話でありました。そういたしますと、それらの河川につきまして、同時に土地改良計画というものが行われてなければならんわけであります。その点につきまして先程開拓局長お話でありますというと、綜合計画を作りつつあると、こういうことでありますが、その建設省においてすでに立てられておりますそれらの河川につきまして、総合的な見地からこの土地改良計画が具体的に農林省の方で進められつつあるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  55. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) 私の申上げた十大河川でありましたが、九大河川でありましたか、この点はいわゆる総合計画ではございません。治水方面から利根川に対しては如何にして治水をいたし、完全な治水計画を実行することができるかというその計画を立てておるのであります。そうしてその計画に副うて治水の目的を達成しようというので進んでおりまするが、計画と実行はこれに遺憾ながら伴つておりません。ただ大きい河川に対する治水計画を建てて実行する際には、おのおの農林省関係も生じて参りまするから、実際の面におきましては、実行することになりますれば、おのずから緊密な連絡をとつて参らなければならんと思つておるのであります。先に申しました恐らくは安本が中心になつておると農林省の事務当局が仰せになつた通り、総合開発の点は、これは安本が中心になつて各省が集まりまして、そうしておのおの取り上げて行くべき仕事を取上げて行くという建前になつております。これと只今後に申しました大きい河川に対する治水計画は、それと同時に農業改良方面をやるというような域にまでまだ参つておりません。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今お話によりまして、一向に計画ができておらんということが判明いたしたのであります。食糧の生産を増加するという建前からいたしましても、日本農業を新らしく建て直して行くという建前からいたしましても、この土地改良ということは極めて重大なことであります。ところがそれらにつきましてこういう法律が出されて、それを施行する準備ができたに拘わらず、その実態をなすべき土地改良計画というものが何ら取上げられておらんということは、極めてこれは政府として怠慢であろうと私は思うのであります。この法案は勿論前の土地改良についてのいろいろな法律案から見れば、非常にいいと思うのでありますが、予算の面におきまして裏付がないという点で、いろいろ御論議がなされておつたのでありますが、その点において先ず片方の目がない、そうしてこの法律の基礎をなすべき土地改良についての総合的な計画、例えば三ケ年計画でも五ケ年計画でも、或いは十ケ年計画でもよろしい、そういうものができておらないという点において、これは他の片方の目もないというようなことでありまして、画龍点睛を欠くというか、両方の目のないことになつておるのであります。こういうようなわけでございまして、私共はその実体が未だ伴なつておらないという点において極めて不満なのでございます。至急にそういう計画を立てて頂いて、この土地改良法案が実際の生きたものとして、單に個々の水利組合等の、或いは耕地水利組合等の統合ということでなくて、組合が中心となつて日本農業の建直しを指導して行く、これを先頭に立つてつて行くというような見地からの仕事をして頂きたいと、こう考えるのであります。これを以て私の質問を終ります。
  57. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) 先程から大臣お答えになりましたが、今岡田さんの御質問がありました通り、この法案ができましても、実際これの立派な運営、これをどうするかという問題になつて來ますと、個々の場合において余程檢討して、先程私が申した通りに、やはり農林省で仮に足らん分があるならば、建設省はどこまでもこれに御協力する、これは技術の上におきましても、或いはすべての点におきましても、亦総合開発の見地からいたしまして、仮に建設省でやる治水そのものがこの開拓と密接な関係があるならば、やはり直ぐ治水堤防作つて、同時にそれから用水を作りまして、その用水は直ぐこの開拓の方に利用されるように持つて行かなければならん。そこまで持つてつて初めてこれが本当に生きたものになると思います。でありますから我々は先程申した通りに、いよいよこれの法案が成立して、それが実施される場合には建設省といたしましても、こちらの分つたことは皆申上げます。又農林省の御計画も十分聽いて、これが本当に効果のあるように、そういうふうに実際まで運用したい、今まで先程から申した通りに、ややもすると両省がうまく協議しておるといつていても、うまく実際行つていないというものが沢山ありますから、そういうことのないように特に注意して行きたい、これを申上げます。
  58. 池田恒雄

    池田恒雄君 どうも同じことを繰返して申訳ありませんが、先程からの議論の蒸し返しますと、建設省方々利水々々という言葉をお使いになつておりますが、私はその利水とは治水の一環である、こういうふうに解釈しておるのであります。從つて土地改良における水利の問題、この問題もやはり治水の一環である、こういうふうに私は考えてこの法案を審議しておるのでありますが、そういう私の考えは建設省当局の考えて一致しておるかどうか、これを一つ……。
  59. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) 治水利水とは不可分であります。譬えて申しますと、幾ら治水をやりましても先程申した通りに、その水を仮に直ぐ開墾の方に持つて行くことができるならば、これはいわゆる利水になります。又利水事業をなされましても、それをなさるときに一つ堤防を築いて、それはやはり水害を防ぐということになるので治水になります。でありますからして同じ一つの水を治水利水とこれを二つに分けるということは不可能であります。どうしても一貫して初めて水の完全な効用を発揮する、いわゆる水の害を除いて、本当にこれを有利に用いるということに持つてつてこそ我々の職分が果せる、こう思つております。
  60. 池田恒雄

    池田恒雄君 若しそうであるとすれば、私はこの法律案の中にあるところの縣営事業、國営事業というような大きい事業、即ちこれは水利問題を取扱うということになるのでありますが、こういうような國営事業、縣営事業という大規模事業はこの水利組合、或いは耕地整理組合というような性格を持つところの土地改良組合の事業から切離しますと、國が責任をとられて、國営事業としてやつて行くという方法がむしろ妥当じやなかろうかと考えるのであります。これに対してその治水の大宗であるところの建設省はどういう御解釈を持たれるか、これだけを一應この際披瀝して置いて頂きたいと思います。
  61. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) 治水の点からしてそういう大きな開墾を國でやつた方がいいという御質問ですね。
  62. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 開墾ではないのです。水利事業ですね。
  63. 赤木正雄

    政府委員(赤木正雄君) 水利事業……。これは農林省の方に直接御関係のあることでありますが、いずれにいたしましても、その効果が十分に挙るようにすべきであります。で万一この組合その他でなされまして十分の効果が挙らんというようなことがあれば、余程考えなければならん。併しそのときには我々として、それがために我々の力を向うに、助け得るならば十分助けて、いずれにしても十分効率のはつきり挙るとこういうふうにしたいものであると思います。
  64. 北村一男

    北村一男君 本案につきましては、すでに一遍質疑打切りの委員長からのお話がありまして、その後池田委員のたつての御希望で建設大臣の御出席を仰ぎましたわけでありますから、もはや十分質疑も盡されたかと思いますから、この辺で委員長から質疑を打切ることをお諮り頂きたいと思います。
  65. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 今その打切りの問題ですが、この法案は非常に廣汎法案であるに拘わらず、非常に審議の時間がない。從つて我々といたしましても疑問の点が頗るあるのであります。今池田君が申されたように、基本的な問題が今日になつて初めて出てきたというのは、法案を見るのに頗る我々は困難をしている。いろいろな法案があつて……。これを打切つてすぐ通してしまうということになりますと、何だかよく分らんといううちに通してしまうということになりまして、まことに無責任なことになる。もう少し今日一杯、或いは二時なら二時、三時なら三時までやるということにして、直ちに打切ることにしないで、しばらくの間外の議員もそういうような審議を続けたいと思うのであります。それで一つ私お伺いしたいことは、この法案によりますと、非常に廣汎土地改良の問題が起きて來るのでありますけれども、その場合に建設面の、いわゆる河川土木面に関する規定を排除してもこの法案一本によつて、そういつた大きな土地改良ができるかどうか、それを聞きたいのであります。いわゆるこの法案が建設面に対する法規に優先するものかどうか、それをちよつとお聞きしたいのであります。
  66. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 只今質問のような河川関係法律を排しましてやるというふうな考えは毛頭ございません。それはそれとは別であります。全く。
  67. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 そうしますと、一應土地改良をする場合には建設省の承認を得てからやるというのでありますか。
  68. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) これは建設省所管河川等から水を引いて参る場合があるのでありますが、その場合におきましては、先程河川局次長からお答えのありましたように、これを河川法によりまして建設省と十分協議いたしまして、協議が整いましたところでよかろうというだけの水を、そういう協議の整つた構想にによつて引張つて行く、こういうわけであります。
  69. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 そういたしますと、どちらが優先するのか、結局河川法が重きをなして、河川法從つて土地改良をする、こういうことになるわけでありますか。
  70. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) これはどちらが優先するかというと非常に困難な御説明になりますが、要するにこれだけの土地改良をいたしたいという場合に、川から水を引張つて來ます場合には、河川治水利水関係からいたしまして差支ない場合には、それを引張つて來てやるということであります。根本はやはり河川にあります。
  71. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 そういたしますと、建設省許可がなければ、承認がなければ、この土地改良もできないという結論になるのじやありませんか。
  72. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) これは土地改良の中にいろいろな種類が、ここに書いてございますようにあるのでありまして、只今申上げておりますのは、河用から水を引張つて來るような場合には、御指摘の通り建設省と協議が整いまして、治水利水上差支ないという場合でなければ仕事ができません、それからそれ以外の小さいものでありますとか、或いは災害の復旧というようなものにつきましては、これは必ずしも河用法によらなくてもできるわけであります。
  73. 加賀操

    ○加賀操君 今の話に関連するのですが、日本の國情として、今電源の開発が非常に必要になつて來るわけです。米の増産には水温というものが大きなフアクターであることもはつきりしておるわけです。又水の状態から言いまして、今後の電源開発には隧道水路が非常に殖えると思う。自然水温が低下する。こういう場合に、若しそれを灌漑に使えという場合に、非常に増産に支障が参つて來る。それを防ぐために水温上昇の施設をしなければならんと、こういうことは現にもう起つておりますし、今後ますます起ると思います。その場合に河川法を管理されている方では、発電所を造る場合に、隧道水路によつて水温が低下すると、こういうことがはつきり分りますが、これを大きな実例を以てみますれば、例えば一万キロ以上の発電所を起す場合を考えてみるときに、河川の方では、その水温が低下するために施設をしなければならん。その経費を、その水を使う場合に條件をつけて許可されるかどうか。その場合にはその施設をする経費を、実例を取つて言えば、今で言いますれば、日発にその経費を負担させるか。或いはこれを、水温水昇を直接やる官廳が國庫で持つか。その点をはつきりお伺いして置きたいと思います。
  74. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 只今の、発電の場合に、水路を開路式によるか隧道でやるか。こういう問題は農業用水と引つ掛けて十分考慮せよ。考慮して認可するかとこういう話と、若しそれを変えずにやつたがために非常に経費がかかつた場合にこれは発電業者に持たせるか、それともそういう場合における土地改良を若し國がやる場合には國が持つか、こういう問題であります。まあこれは開路でやるか、暗渠でやるかということは、これは技術的に言えば、今の水温の問題は別として相当はつきり決めなければならんと思いますが、今のようなそういう問題がある場合につきましては、府縣が少くともその改良については十分タツチしておるわけであります。府縣知事というものは、十分その点について考慮いたしておりますから、府縣知事が許可する場合に当りましては、それらの観点を考慮して持つて來ますから、そういう点は私共としても両者を勘案いたしまして、そうしてそれを許可をして行きます。併し開渠がやれないという場所までどうしてもやるということは、これはちよつと困難な問題もあるかと思います。尚費用の問題でありまするけれども、例えば府縣あたりが許可する場合に、日発あたりに相当負担をかけておりますが、この問題はやはり発電の料金の問題、採算の問題もございますから、何でもかでも日発に持つて行くということは、料金やいろいろの関係からこれは困難な問題もあるかと思いますが、それを若し開渠でやるがために隧道でやるより樂な場合があるというならば、これは勿論日発に持たせてもよろしいのですが、余計かかる場合においては、これは日発に持たせるわけには行かないかと思います。その場合國庫に補助を持たせるかどうかということは私の方ではお答えはできません。これらは農林省の方から……。
  75. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 今御質問のありましたような場合は現在も法律がございますが、將來発電事業も発達すればますますそれは起つて來ると思うのです。そういう場合には発電の方の側で持つて頂けますればこれはいいのでありますけれども、若し全部持つとかいうふうなことが非常に困難である、一方又どうしても隧道でやらなくちやならんという場合、水温が必然的に下がる、それに対する別途何らかの水温上昇の施設を講じなくちやならん場合に、これは從來何らの過失なくして善意に平常の温度の水を取つておつた農民に負担をかけるということは、これは私は理窟から申しましても、実際から申しましても、如何にも不合理であると存じます。從いましてそういう場合におきましては、発電の方とそれからどうしてもそれがやれない場合には、國が何らかの施設を講すべきものとかように考えている次第でございます。
  76. 星一

    ○星一君 この際質疑を打切ることの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  77. 藤野繁雄

    理事藤野繁雄君) 只今の星さんの動議に御賛成のようでありますから、土地改良法案及び土地改良施行法案に対する質疑を打切ることにいたします。それではこれで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後二時五十五分開会
  78. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 休憩前に引続いて委員会を開きます。農地調整法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。速記を止めて。    午後二時五十六分速記中止    —————・—————    午後三時四十四分速記開始
  79. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて。岡田さん地代に関する質問がありましたら、簡單に要領よくやつて頂きたいと思います。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は田邊農地部長にお伺いしますが、先程政務次官の言われましたことは、大臣の言われたことを敷衍されたものと思うのでありますが、農地改革を施行するに当りまして、地代問題について、これは金納にして当時の米價によつて石七十五円ということを決めた、而もあるときには米の値が二本建てになつてつたのですね、そういうときに七十五円。その後ずつと動かさない。動かさないのは一体どういう理由があつたかということを先ずお伺いしたい。
  81. 田邊勝正

    説明員(田邊勝正君) それでは極く簡單に私達が考えておる地代論と言いますか、小作料の概念についてお話しをしたいと思いますが、これは非常に客観的情勢によつてすべてのものが変つて参りますから、そのときそのときの小作料がどうであるかということについての答弁はここではできないと思いますが、大体これはいろいろ地代論の学説があります。簡單にこうだというわけに行きませんが、私達が今考えておる地代論というものは、結局自作農の場合にいろいろの生産費を出して、米を作つてそうしてその米を賣拂つて收入というものがありますが、その中からいろいろな生産費というものを、肥料とかその他一般の生産費、租税も入りますが、それらのものを全部差引いた後で何ものかが残るというものを、私達はこれが純地代と言つております。又小作料の場合に準地代本当の地代じやなくして小作料に準ずる地代と言つておりますが、その小作料の実際にできる地代というものは、これは土地の所有権に基いてこれが発生するのであるから、この地代というのは本当の純地代というものがあれば、それは地主が、所有権を持つておるものが取るべきものである。同時にその上に持つて來て生産費中に小作料を決めるいろいろな肥料その他、それ以外に租税というものも大体その中に入つておりますが、外國においては大体土地の小作地に関する直接の租税というものは耕作者が大体負担をしておるわけでありますが、日本におきましては永小作権におきましては、大体小作人が負担しておりまするが、普通の賃貸借におきましては地主が負担しておるわけであります。でありますから、その純地代部分に今言つたような直接掛つて來土地そのものの租税について地主が負担しておれば、それをその上に加算することと、尚一方小作人には利潤というものを見なければいけませんが、それを控除したものが大体これは小作料であつて、これはいろいろのフアクターが変つて來てもその理論においては一貫して、それによつて決めらるべきものであるという観念で進んでおるのであります。そういう観念で一番初めに農地改革をやるときに我々は決めたのでありますが、その後の物價体制とかいろいろの変動を見て参りますと、大体米價の引上げというものは何も地主の農業利潤を増すために上げたのでなくて、大体生産費が非常に膨脹しておるということでだんだん上げて來たわけである。農民はやはりかつかつの收入しかないというような立場から計算して参りますと、地代というものと、先程申した残りの地代には殆んど増減がなかつたのです。それで土地の小作料というものは今日まで上げんでいいということで実は頑張つて來たのであります。ところが、最近例の九原則その他いろいろの物價態勢の新しいラインを引くことになつて参りまして、米價も最近においてはパリテイー計算によりまして從來の生産費説でなくとこれを引上げることになつて参りました。そういうことで、新たにこれを現在資料で計算して参りますると、恐らくすでにその中の先程言つた地主の負担を軽減するという意味でなく、小作地そのものに掛つて來る租税を考えてみましても、これは相当今度上るということをいろいろ考慮しまして、生産費を計算してみますと、多少そこに先程言つた準地代というものが増加することが考えられる。であるから、その意味におきましてこの小作料を我々は、そういう事実がありとすれば、その点までは引上げることが小作料の合理化ではなかろうかということを考えておるのでありまして、それがどの程度に上るかについては、日本では資料が非常に不十分でありますので、いろいろの資料を今收集中でありますから、それによつて処断したいと考えます。でありますから、これによつてどれだけ上るかという見当はここで申上げるわけに行きませんが、併し上げてもそれは自作農が引合う、一定の利潤で見て而も引合うという理論の上に立つておるのでありますから、それ以上に小作料を引上げるという考えは持つておりません。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の田邊さんのお説だと、今まで比較的、まあインフレーシヨンのためでしようが、農産物の價格が上つて來て、昭和二十一年、二十二年度頃には農業所得も相当つて、剩余があつた時代には据置いて、そうして二十三年以降農業の方の情勢が少々よくなつて來た。成る程パリテイー計算によつて米價は漸次上つて行くけれども、税金は上る、生産費も上るという工合で、農家の純所得がだんだんに少くなつて行く状況になつておる。こういう状況からして見て、農家の詰りいろいろなものを支拂つた残りが少くなつておる場合に、どうしてそれを上げなければならんのかということになつて参りますと、先程田邊さんの言われたことと矛盾するように思うが、私は若し田邊さんの先の説が正しいとすれば、今日は小作料は上げないということを、やつぱりはつきりされて行くべきじやないかとこう思うのですが……。
  83. 田邊勝正

    説明員(田邊勝正君) それは私も岡田さんと同じことを考えておつたのです。実は先程も申しましたように、いろいろの資料を現在集めてやつておるのでありますが、その資料によりますると、先程私が申しましたように、現実の状況は多少地代が出る可能性があるから、その範囲内に行つたのでありまして、若しそれが出ないということになりますと、小作料を上げる理由はありません。ありませんが出た場合に上げるというのであつて、決して理窟がないのに上げるというのではないのですから、その点誤解のないように願います。
  84. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のお話ですと、大体この程度資料が集つて、大体上げなければならんという見通しがついておるように思われる。ところが只今農政局長のお話だとまだこれからだという話なんですが、実際はすでに腹案はおできになつておるように私共には今の議論から伺われたのです。若しそういう詳しいものはおできにならなくても、腹案が大体のところあるとしたらこれはお示し願いたい。それに基いての檢討をしたいと思います。
  85. 田邊勝正

    説明員(田邊勝正君) それはどうもここで申上げますというと、尚幾多いろいろな混乱を起す虞がありまして、却つてはつきり方針が決つた場合にいたしませんと大臣の話が新聞に出たことが問題になりましたように混乱を起す虞れがありますから、確実に内容自身ができたときに御相談申上げたいと思つております。
  86. 岡田宗司

    岡田宗司君 この新らしい小作料の基準がこれは中央農地委員会に付議いたしまして、決定いたすのでございますか。それは政府のただ一方的な命令といいますか、それで行われるのですか。この点一つはつきりして頂きたい。
  87. 田邊勝正

    説明員(田邊勝正君) それは中央農地委員会に御相談申上げます。すでにこの前にも中央農地委員会にいろいろそういう方面の情勢をお話したと私思つております。岡田さんはあのとき御出席にならなかつたと思いますが、お話申上げております。但し現在は農地委員会が休止の状態になつておりますから、これは新らしくできれば新らしい委員会にかけてお諮り申上げたいと思つております。
  88. 岡田宗司

    岡田宗司君 新らしい農地委員会はそれについてどれだけの権限を持つかお伺いをしたい。例えば諮問機関であつて政府から説明されて論議はしたけれども、政府はそのまま行うのが、それとも中央農地委員会においてそれをいかんということになりましたならば、政府はそれを改訂し得るのか、その点はつきりして頂きたいと思います。
  89. 田邊勝正

    説明員(田邊勝正君) それは從來の農地委員会制度によりましても農林大臣の諮問機関に過ぎないのであります。併しながら我々は諮問機関であるが故にその意見を軽く見るようなことは決していたしません。これは十分にその出見を尊重して実際に即するようにやるつもりであります。
  90. 門田定藏

    門田定藏君 尚田邊技官のお話でよく分りましたですが、中央農地委員会で決定されておる小作料の決定については、尚今度は農林委員会に諮つて貰つて、この小作料の決定には、農林委員会の決議によつて決定することを、委員長として一つこれを強化して政府の方に交渉して貰うことを私は希望條件として打切ります。
  91. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大体質疑はこれで終了したものと認めまして、これから農地調整法の一部を改正する等の法律案について討論採決に入りたいと思います。御意見のあります方はどうぞお始めを願います。
  92. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は農地調整法の一部を改正する法律案について次の希望條件をつけて賛成したいと思うのであります。  農地委員の選挙はできるだけ全村選挙にするように努められたい。  次には農地の異動が昭和二十年十一月二十三日に限定されておりますが、その後に農家の構成人員が変つたために、労働能力に差があるようになつた現在では、これをそのまま据え置くということは、増産上適当でない場合がないとも限らないのでありますから、必要な場合においては、これを適当の方法で農地の再分配をする。そうして食糧の増産に資するというようにして貰いたいと思うのであります。
  93. 池田恒雄

    池田恒雄君 私はこの農地調整法を改正する法案は、時期尚早だと思うのです。それで私は今のところ改正することには賛成いたしません。  理由を簡單に申しますと、どだいこの農地調整法の中には法律として非常に無理があつたと思うのです。強制的に國家が買上げるということ、それ自体が自由主義的な今は無理だということになるわけであります。併し縣知事自身の許可がなければ、土地を取上げてはならないとか、いろいろなこういう拘束規定はとにかく一應無理があるのです。併しこういう無理な規定があつたということは、やはり短期間に一つ土地制度を改革するというために、必要であつたからだと私は思うのであります。  ところでそういういろいろな初めに規定されたところの規定をこの際取り外す段階に來ておるかどうかということであります。成る程農林省が言うように土地改革は一段落して來たと申しましても、実は闇小作料が相当はびこつております。土地の取上げもありますし、農地委員会が本当に村の農地委員会でありますが、そういうものが本当にこの法律を拵えて、そうして土地改革を非常によくやつておるかというと、まあそういう村は少い方に属するわけであります。こういうわけで私は今までのやかましい法律のままでとにかく今までやろうとしたことをやり遂げなければならないと思います。それがやはりやり遂げられていない。こういうふうに解釈しておるのであります。  又闇小作料がどんどん上がるときに、小作料が値上げするというようなことが、これも問題だ。又値上げしたわけでありませんが、結局この法律改正と共に値上げされる傾向が発生するわけであります。私は小作料をいつまでも下げて置けというような暴論は吐かない。やはり上げるべき條件があれば、このときには上げなければならん。だがその上げようとするならば、上げる前に現在の法律によつて定められた小作料がきちんと行われておるということが大切だと思います。ところが今でも新聞によると一反歩の小作料を五百円ぐらいにするというような基準があつたのでありますが、そんな値上げをしないでも、今日農村では一反歩の小作料五百円拂つておる小作人があるのであります。こういうことを私は土地改革の衝に当つておるところの農林当局が徹底的に洗つて、そうして行つて、これでもうよろしいというところで、法律改正をやつて今までのいろいろの不自由な規定やなんかは改正して行くということにしなければならないと思うのであります。私はそういう段階がまだ來ておりませんから、從つてこの法律を改正するには時期が早い、それ前に農林当局は今までの規定に基くところのいろいろな事項を徹底的にやつて貰いたい、こういうふうに思うのであります。それで反対いたします。
  94. 板野勝次

    ○板野勝次君 私は同樣に農地調整法の一部改正の案に対しては賛成できないわけであります。現在のいろいろな状態から見ましても、亦この改正案が審議されます場合におきまして、私が具体的に各項目をあげて指示した点について、まだ何等納得の行く農林当局からの説明を得ていないのであります。そのことは農地改革の徹底ではなくして逆行さして行くような政府の意図が今度の法律改正の場合においても強く現われておるのでありまして、すでに極東委員会が、日本政府に対して命令しております農地改革指令並びに農民解放に関する覚書等に反するような方向に向いつつある。今この二つ法案について概括的に見ましても、そういうものとは逆行して來ておる。從つて先般極東委員会からマツカーサー元帥に対して土地の基本的に改革の方向に関して、もつと徹底して進めて行かなければならないような指令が出されたのも、現内閣がやろうとする農地改革の方向が実は自作農創設に名を藉りて、地主制度を復活させようとする危險が相当見えて來ておる、私はそういう方面に対する警告的な指令ではなかつたのであろうか、こういうふうに理解されるのであります。例えて申しますと、今度は農地の異動統制の基準を緩和して行く、こういう形で実は零細農の土地を取上げて行く、更に六十万件以上、若しくは五十万件以上に及んで來ておるところの不法土地取上の問題に対しても、これを不問に附して零細農家を淘汰してしまう、こういうような方向に進めて來ておる。これはもう明らかにこの改正案から窺われるところでありまして、質問の際にも申したことでありますが、土地の所有の問題を中心にして零細化されるということは、決して農業生産の危機を意味するものではないのでありまして、所有が若し零細化されましても耕作権が確立しておりさえしますれば、これの協同化による集團耕作化等へ進んで参りますことは十分でき得るのでありまして、そういう改善の方向がありながら、一定基準以下のものを切り捨てるというふうなごときは、ただ適正自作農家を作つて行くということに、主眼が置かれて來て、零細な農家を集團化さして行き、そうして集團耕作を通して農業生産を発展させて行くという意図が全くない。その中に窺われるものは全く反動的な意図のみだ。こういうことを指摘することができると思うのであります。  次に農地改廃の制限等の問題につきましても、これが農林大臣が承認するならばできるのだ、こういうことは農林大臣権限をますます拡大するものでありまして、どうしても承服できないところであります。これは少くとも農地委員会というものが決定権を持ち、農地委員会が決議機関として農林大臣はその決議されたものに対する執行をやつて行けばいい、こういうふうに、從來の農地委員会に対する農林大臣関係等から見ましても、どうしても農地委員会が大きな権限を持つて來るその必要があると思うのであります。  次に小作料等の改訂手続が簡易化された來た、これは誠に遺憾な点でありまして、これこそ眞に農民解放を逆行さして行き、再び我が國に農奴制度を作らんとする芽をここに植え付けようとする全く反動的な意図を示しておると思うのであります。殊にこの小作料等の改訂手続の簡易化をして参りますことは、小作料を現在法律で定めております程度にまで引上げて來る、こういう結果になつて参りましたならば、一方において食糧確保臨時措置法によつて、農民は供出を強要されておる、他方面におきましては税金をひどい目に取上げられて來る、そうして又高額な小作料を取上げられて來る、こういう形になるのでありまして、小作料等の改訂手続の簡易化の場合におきましても、これは小作人に対して不利益になるような処置はとらない、こういう積極的な規定を設けて耕作農民に対する不安を除くべきでありますが、そういう精神がこの中には含まれていない。これは民自党がその絶対多数を誇りながら、新聞紙上にも現われました小作料の値上を一歩一歩露骨に進めて行く意図を示すものでありまして、外濠を埋めながら内濠も埋めてしまつて、そうして農地改革を逆行し地主制度というものを復活して行くその意図しか見ることができないのであります。ところがすでに皆樣も御存じのごとく、現在の在村地主の所有しておるところの面積はもう極めて猫の額ほどのものでありまして、何らこれで地代を復活しなければならない理由はない、むしろこの際こういう零細地主がありますことが中小地主と小作人との間に徒らに紛乱を捲き起して來、更に土地の取上をますます拡大するような結果になつてしまう、それよりもこの不法な土地の取上、農村における紛乱の禍根を断ち切るためには、もはや小作料に寄生しながら地主が生存して行くような條件が全く農村にはないのでありまして、政府はすでに第三次農地改革はやらないと言つておりますけれども、このような紛乱の禍根を断ちますためには、零細地主の土地を正当な價格でつまり納得の行くような價格において買上げて行く、こういうことになりましたならば、小作料等の改訂手続の簡易化等をする必要はない、亳もないわけであります。從つて我が党はこの第三次農地改革の徹底化を主張しますと共に、零細地主が持つておりますところの所有を國家において適当な價格において買上げる、そういう方向において農地改革を徹底すべきであるということを主張するわけであります。  更に小作調停制度の改正点の問題でありますが、これ又すでにこのような小作調停制度のごときはもはや今日は無用の長物でありまして、このようなものは撤廃されるべきものである。こういうことを主張したいのであります。  それから農地委員会委員の階層選挙の問題でありますが、すでに階層選挙の意味はなくなつて來ておる。在村地主の数は極めて少数になつておりますのに、この大切な農地改革を推進して参りまする階級層の中に、今尚地主を温存させて行きますことは、農地改革を隙さえあれば逆行させる。こういうことになりますので、私はもはや今日階層選挙の意義はなくなつておる。若しこの階層選挙の意義があるとするならば、地主制度の復活を望む人のみがこの階層選挙の意義を認めておる。從つて私は無階層選挙を主張し、この無階層の選挙も勿論地主でなくして、耕作農民の無階層選挙の上に、更に一ケ年五十日以上の農業労働に從事するこれらの人達にも選挙権を與えて、自由なる選挙の下に、農業労働者並びに耕作農民が眞に選んだところの農地委員会を構成する。これのみが私は少しでも民主的に農地改革の運営がなされるゆえんであろうと思うのであります。  次に自作農創設特別措置法におきましても、依然として民自党は注意深く不在地主の範囲を拡大することによつい、ここにも亦地主制度の復活を企てておるのでありまして、このような農地改革に逆行して行く方向に対しましては、我が党は断じて賛成することができないのでありまして、この改正法律案を通しまして結論的に申上げまするならば、第三次農地改革をやる意思がないばかりでなく、今まで積上げて來て苦労した農地改革を逆行させ、地主制度を温存させ、更に地主制度を復活さして行く極めて反動的な内容であることを付説いたしまして、反対の討論に代える次第であります。
  95. 門田定藏

    門田定藏君 私は簡單に反対の理由を申上げます。  過日以來委員会において第三次の農地改革の問題について当局に質問をすれば、第三次の農地改革はしない。その理由はと言えば理由は極めて曖昧なものである。そうして置いて片一方において小作制度は小作料の値上をするという意味を含んでおります。この法律案には絶対に反対します。尚これにつきましては階層制度について、この小作料を絶対に値上をしない、第三次農地改革をしない限りにおいて、小作料の値上を絶対にしない、そういう意味においての階層選挙であるならば賛成しますけれども、そうでない限りにおいては絶対に反対いたします。
  96. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大体これで討論は終結したものと認めます。これより農地調整法の一部を改正する等の法律案につきまして採決をいたします。  衆議院送付の本案につきまして賛成の方の起立案を求めます。    〔起立者多数〕
  97. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 多数を以ちまして本法律案は原案通り可決することに決定いたしました。尚多数賛成者の方の御署名をお願いいたします。    多数意見者署名     藤野 繁雄   加賀  操     國井 淳一   平沼彌太郎     北村 一男   星   一     石川 準吉   岡村文四郎     柴田 政次   赤澤 與仁
  98. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それから委員長の本会議における報告は例によつて御了承を願います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  99. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今から「農業災害補償法の一部を改正する法律案」を議題に供します。この法律案は衆議院におきまして、小笠原八十美君外二十四名の議員の方々から提案せられた法律案でありまして、衆議院で可決の上本院に廻付して参りました。これからこの法律案につきまして、提案者の坂本實君から、この提案の理由を伺うことにいたします。
  100. 坂本實

    ○衆議院議員(坂本實君) 只今議題と相成りました小笠原八十美君君二十四名提出にかかわりまする農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由の説明をいたします。  農業災害補償法の実施初年度に当る昭和二十三年度におきましては、偶々太平洋岸一帶を襲つたユーニス、アイオン台風に因る風水害を初めとして各所に農業災害の発生をみ、そのため共済金の支拂総額は、農作物、蚕繭、家畜を合せまして実に三十億円に達せんとしたのであります。これらの共済金は、死活の間にある農業生活を救い、肥料、資料、藥剤等の購入を通じまして農業生産力を維持し、これが延いては、食糧増産を推進し、経済九原則の実現に大いに貢献するところとなつたのであります。以上実施初年度における実績を願み、併せて今後における農村経済発展の方途を考えますと、農業経営の安定と農業生産力の確保を窮極の目標とする農業災害補償制度の重要性は、愈々その度を高めるに至つたことを痛感いたし、この際本制度の一段の完璧を期して、この法案を提案する次第であります。  以下、この法律案の主要な内容を御説明いたします。第一は、農業共済組合の共済事業の種類の拡張に関する事項であります。  現行法では、農業共済組合の共済事業は、米麦等主要食糧農作物を対象とする農作物共済蚕繭を対象とする蚕繭共済及び牛、馬、山羊、めん羊、種琢を対象とする家畜共済に限定されているのでありますが、農地改革によつて創設せられました自作農家で蒙むる災害に因る損失を保償して、その経営の自立を維持し、併せて、農村民主化の基礎の確保し、農業生産力の発展を推進しなければならないところの農業災害補償制度といたしましては、現行の限られた共済事業のみをもつてしてはその目的を達成することは到底不可能である、是非とも、農業経営における災害に因る損失に対して総合的に共済事業を実施していかなければならないと考えるのであります。  このことは、逸早く、第一國会において指摘せられたところであり、農業災害補償法制定の附帶事項となつておりますし、又旧農業保障法の下におきましても共済事業を総合的に実施して家屋、地方的特殊農作物等の共済におきまして相当の実績を記録いたしておるのであります。これらの事実にも鑑みまして、この法律案では、現行の政府が再保險を行います農作物、蚕繭及び家畜についての農業共済團体の必須共済事業の外に、團体限りにおいて任意に行うことができるものとして、地方的特殊農作物、建物、農機具、輸送中における家畜等を対象とする共済事業を加えたのであります。  第二は、牛馬を死亡廃用共済に付する義務に関する事項であります。  家畜中牛馬は、申すまでもなく重要且つ高價な農業生産手段でもありまして、その死亡に因る農家の損失は、直ちに農業経営に決定的打撃を與え、その破綻の原因となつている現状に鑑みまして、農家が無理なく加入できる掛金負担の範囲内において、総会の議決を経て牛馬を死亡廃用共済に付すべきものといたしたのであります。  第三は、農業共済組合の総代会に関する事項であります。  現行法では、市町村の農業共済組合の総代会に関する規定がございませんので、農民の方々は、農繁期におきましても、再三開催されます臨時総会に、その都度自ら出席しなければならないので、このことは、事実上困難が伴うばかりでなく、却つて農民の利益に反することが考えられますので、この点を是正いたしまして、この法律案では、農業共済組合に、三十人以上の総代からなる総代会を設け得るものとし、共済金額、共済掛金等共済事業の内容に関する事項等につきまして、総会に代つて議決することができるものといたしたのであります。  第四は、農業共済保險組合の名称の変更に関する事項であります。  現行法が使用しております都道府縣の「農業、共済保險組合」といす名称は、市町村の業農共済組合の共済責任を保險するという同團体の事業の性質から名附けられたものでありますが、この法律案におきましては、「農業共済保險組合」を「農業共済組合連合会」という名称に改め、農家が直接組織する市町村の農業共済組合の連合体であるという組織上の関連を明確に表現することといたし、事業運営の便宜を考慮いたしたのであります。  以上がこの法律案の大体の骨子でありますが、何れも熱烈な地方の要望のある緊急事項でありますと共に、本制度の血肉となる重要事項でありますから、愼重御審議の上御賛同あらんことを切望いたす次第であります。   —————————————
  101. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは引続いて「土地改良法案」及び「土地改良法施行法案」を議題にいたしまして、前回に引続いて質疑をお願いいたします。この前申上げましたように一應質疑は終了しておるのでありますが、ただ板野委員から内容に亘つて二、三の質疑が留保されておりますので、この際板野委員から御質疑をお願いいたします。
  102. 板野勝次

    ○板野勝次君 私はこの土地改良法案に対しましては沢山質問もありますけれども、一々細かく質疑をいたしますことは今の空氣の上から申上げましてもどうかと思いますので、ただ主要な点に対して二点程お尋ねいたしたいと思います。それは第百二十六條に「國は、その予算範囲内において、農地改良開発、保全又は集團化を行う者に対して補助金を交付することができる。」これは先般來から問題になつておることでありますけれども、これがどうしても交付することができるというふうな消極的な規定であります場合には非常に困るのでありまして、どうしてもこれは補助金を交付するのだという前堤の下になされなければ困ります点は、法案の第三十條に「左に掲げる事項は、総合の議決を経なければならない。」というのでこの第一項第六号に「賦課金及び夫役現品の賦課徴收の方法」これが決められることになつておりますので、勢いこれが第三十六條と関連しまして、「土地改良区は、定款の定めるところにより、その事業に要する経費に充てるため、その地区内にある土地につき、その組合員に対して金銭、夫役又は現品の賦県徴收することができる。」こういうふうになつて來まして、これで若し総会が決定して参りましたならば、法案の第百二十六條によつて補助金を交付することができる。こういう消極規定になつておりますために、現在の予算の状況では補助金が先ず來ないものということが予想されると思います。そういたしますと、総会で、賦課徴收ができるのだということになりましたなら、改良区の構成しておる組合員の全体殊に中農以下のものがこの総会の決定によりましてそういう金銭、夫役、又は現品を賦課徴收するということが決定されましたなら、これが強制力を持つて來る。そういうことになると金銭は出さないけれども、夫役にも應じなければならない、現品も出さなきやならん、こういうことになりまして、非常な負担となつて來る。一方にのみ政府の方には法案の百二十六條で消極的なこれは規定になつている。國家が一方において助成するならば、その助成に対應して今度は組合員の方は……、それは夫役に應ずるのもいいでしよう。或る程度の金銭も亦止むを得ないという場合もありましうけれども、一方において積極的な規定のない場合に、この組合の議決によつてやれば、それは相当余裕のある人、そういう人はできるでありましようけれども、中以下の者はできないことになつて來ると、そういたしますと徒らに土地改良の負担をもう農民全体が負うのじやないか。この点について……。
  103. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 只今の板野さんの御質問は一面御尤もに存じますが、この土地改良区は保護できるものであります。それで現在のところでは御指摘のような確かに予算が今年の予算に伴つておらん分がございますが、飽くまでこれは自主的にできる組合でございますので、先般來いろいろと御指摘のありましたように、直ちにそれではこの法律ができても現在の予算では土地改良事業の促進ができんではないか、こういつたような面についての点には触れるかも知れませんですが、その場合には結局事業が差当りぞくぞく興るということでなしに、政府から補助金を貰わなくてもやつて行けるだろうといつたような、これは私は少数であろうと思いますが、そういつたようなものにつきましては、独自でやつて行きましようし、どうしても貰わなければできないといつたようなものにつきましては、今後の補助金との見合におきまして、そういつたような組合ができて行くであろう、かように考えております。
  104. 板野勝次

    ○板野勝次君 そこで今の賦課徴收の問題について説明されなかつたのですが、この賦課徴收ができるということになれば、定款に基いて一定数があればできる。併し零細な農家はそれに対して反対しておる。併し総会がそれを議決したというために賦課徴收権というものができて來て、つまり中以下の農民が裸かにされてしまわないか、こういう懸念があると思いますが、そういう懸念はありませんですか。
  105. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 実際問題といたしましては、こういう場合には結局借入金なり、何なり相当長期の金を借りてやつて行かねばならんと思いまするし、又政府といたしましても、そういうものに対しましては、補助金の外にそういつたような融資の面で認めて行かなければならないと考えております。
  106. 板野勝次

    ○板野勝次君 それでは今の融資ということが前提になつておるなら、そういう規定であつて、これは金銭、夫役又は現品を賦課徴收することができるということは、農民の個々の組合員が負担をされるのだということが、これは規定されてあると思いますが、その問題のときとこの問題とは私は別個だろうと思います。それから金融の問題についても、金融の枠というものが、先日も安本長官も聞き、農林大臣にも聞いてみて金融の措置が極めて困難な立場にある。而もそれは当てにならない対日援助見返資金を当てにするより外ない、こういうようなことが説明されたので非常に不安だと思います。
  107. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 先程も申上げました通り、現状におきましては補助金がございませんので、現在発足する土地改良組合というものにつきましては、これはおのずから制約があると思うのであります。補助金がなくともやつて行けるものが差当りはできると思うのでありますので、將來の問題といたしましては、これはこの事業を促進いたしますためにも、できるだけ補助金を早い機会に取るなり、或いは長期低利の融資を受けなくちやならん、それによつてこの事業を伸ばして行かなければならんと考えております。  それから尚この組合員から夫役、現品を課しまする場合におきましても、その利益の……、これは第三十六條の二項でございますが、当該事業によつて当該の土地が受ける利益を勘案をして頂かなければならないのでありまして、利益を多く受けるところはそれだけ負担力もあるものであると申しますか、一方から申しますれば負担は多くなつて來るのでありますが、利益も多くなる。それから利益の少ないところに対しましては負担力の少い場合には負担も少くなる、こういつたような方法でやることになつております。
  108. 板野勝次

    ○板野勝次君 その條文の説明は一應分るのですけれども、例えば土地が受ける利益というものも勿論計算に入れないわけには行きませんけれども、現状の下における、つまり強制的な供出で例えばそれが改良されて増收される。それに対しては又供出が課せられて來る。そうすると超過供出の場合においてもなかなか利益にはならない。そうすると当面の農村の状態においては土地改良されたけれども、收穫は取上げられて來るということでは農民自身に対する利益とはならない。將來供出の制度というものがもう少し民主的に改善されれば、それと併行してこれがなされればそれは承服できるのです。当面の状態においては決して直接の利益にはなつていない土地改良されてよくなつてはいるけれども、取上げられているというそういう面がある。それから一方において先程のがどうも理解付かないのですが、例えばこれは賦課徴收することができるけれども、片一方にも現状によつてそれ程供出を強制、いやが應でも取上げる。つまり賦課を決定しても今の状態の下においては、或る限度そういう賦課徴收の問題が緩和されるという規定がないと、一方において百二十六條の補助金の交付というものの積極性がないので非常に農民が困つて來ると思う。これはどうしてもこれを規定の中に入れて置いて、強制力を持たさなければならんものかどうか。賦課徴收の問題……。
  109. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) これはこの事業の性質といたしまして、又各人の土地がよくなるための費用を投ずるわけでございますから、当然賦課徴收しなければならんと思います。但し賦課徴收する方法は必ずしもその都度、或いはその年度内とか何とかいうふうなことには限りませんので、或る程度の期間は借入金をしておつて利益が上つて償えるようになつてからやるというのが、これは從來の耕地整理の場合もそうでありましたし、又今後もそういうことでやらなければなるまいと考えております。
  110. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 百三十五條ですが、この解散命令をするのは裁判所だということになつていますが、何故裁判所にしたのですか。
  111. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 最近の法制では全部こういつたようなことは裁判所になつているのでありまして、その例にならいましたのであります。
  112. 板野勝次

    ○板野勝次君 先般議長サロンで大藏大臣が來てこの資金融通の問題について説明をして呉れることになつておつたと思うのです。そうしたところが一番大事な大藏大臣がちよつと顔を見せただけでもう帰つてしまつたわけなんです。若しその後における金融措置等の見通しが幾らか付いておるというふうなことならば、できますれば、政務次官からでもよろしうございますが、これは全くそういう方面の融通が絶望なのかどうか。その点がお分りなら……。大藏大臣が見えなければどうこうということは言いませんから……。
  113. 伊藤佐

    政府委員伊藤佐君) 先般來形に現われましたところでは、一昨日と現在ではさ程変つておりませんが、ただ今朝も天然資源局の方に交渉いたしました結果、強力に推すということになつておりまして、明朝から向うの内部で始めることになつております。
  114. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大体質疑も終了したように思いますので、質疑はこの程度にして打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、質疑はこれで終了いたしました。これから土地改良法案及び土地改良施行法案を一括して議題にいたしまして討論採決に入りたいと思います。最初に討論に移りたいと思いますが、御意見のある方は御発表を頂きます。
  116. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今議題となりました土地改良法案及び土地改良施行法案につきましては、次の三点を希望いたしまして賛成いたすものであります。即ち第一点は土地改良事業及び災害復旧事業の重大性に鑑みまして、政府は速やかにこれら事業遂行に必要なる補助金交付の予算措置を講ずると共に、必要な資材の確保に十分に努力せられたいのであります。第二点は土地改良事業及び災害復旧事業は、事業の性質上特に長期低利資金を必要とするものでありますから、事業の速やかなる遂行を期するために、これらの資金融通の途を講ぜられたいのであります。第三点は土地改良事業につきましては過去の実績に顧みますれば、往々にして事業計画に欠陷があつたため、失敗に陷り、却つて不利を蒙らしめたことがありますので、土地改良事業を実施するに当りましては、知識を有する技術者をして、実地につき事業計画を十分に檢討せしめ、又実施中も常に指導を怠らず万全を期するように特に留意せられたいのであります。以上の三点に対して法の改正を要するものは速やかに法的措置を講ぜられたいと思うのであります。
  117. 板野勝次

    ○板野勝次君 私はこの土地改良法案に対しましては、できるだけ賛成する途を見出したいと苦慮したのでありますけれども、この全体を通じまして、どうしても賛成することができない。その一つの理由は勿論この土地改良法法案に現われましたものは、非常に改良的ないい面を持つているごとく擬装されておるのであります。これは最も官僚が非常に進歩的なようなその知識を利用して進歩性を持つているように作り上げることによつて、農民に幻想を與えるものでありまして、これは官僚が力を持つておるために却つてこれは惡用されている表現ではなかろうか、こういうふうに思うのであります。從つてこの法案が藤野委員も指摘されましたように、予算措置等が削られてしまつている現在殆んど意味がない。予算の裏付があつて初めてこの法案が活きて來るのだ。從つて勿論我々は政府が速やかなる予算措置をとられるということを希望するものでありまするが、そういう措置なしにやりますことは、この法案國会を通過いたしまして、これによつて農民は一種の幻想を持つて、何か土地改良ができるんだという幻想を持つに違いないのでありますけれども、これの中を一貫して流れておるものは、受益者負担金制度の設定によつて、事業費の負担を農民に押し付けようとしておる。この意図以外に何も見出すことができないわけであります。そういたしますと、農村の現状はすでに質問の際に繰返し申しましたように、事業費の負担を負うだけの能力がなくなつて來ておる。從つてそういう状態の下において、農民に押し付けて参りますならば、農民は一方において裸供出で困窮し、もう土地を捨てて逃げ出して行かなければならないというふうな形になつてしまうと思うのであります。それからこの法律が三つの組合法を統一したけれども、そこには何らの進歩性を見出すことはできないのでありますが、一番最初この法律の原案が土地改良組合、これを土地改良区として修正されておりますが、修正して、地域的な強制加入の性格を強めて來ておる。それだけに、賦課徴收の権限が組合に與えられて参りますならば、先に申しましたと同樣にこの強制力によつて農民は苦しまなければならない。これが私の指摘いたします事業費の負担を農民に押し付けようとする結果になるのであります。從つていろいろな農業の現在の実体を具さに檢討いたしますと、どうしてもこの法案の百二十六條の補助金を交付するこの問題でも生温いのでありまして、現在の農村の置かれておる地位、供出の現状からいたしましたならば、こういう土地改良をさして、本当に利益を得る者は何かと言えば、國が農民に土地改良さして置いて、そうして安い供出制度で取り上げて行く、同時にそれは大資本家の利益になる。これは労働者を安い賃金の下に針付けさして行く、こういうことと関連いたしまして、そういう利益が予期されるのに過ぎないと思う。そこでいろいろな面から見ましても、どうしてもこの補助大制度じやなくして、國がこういう現状の下においては、全額土地改良費については負担をする、これが私は適当であると思いますので、この案に対しましては、全額國庫負担、これがもうできなければこの法案に対しては賛成することができない。こういうわけであります。
  118. 池田恒雄

    池田恒雄君 この法案はまあ先程から政務次官が盛んに私を責めるのであります。尤もだと思います。北村さんも盛んに私を責めます。これは北村さんが新潟でまあ信濃川なんかあれを見ておりますから、そういうように御熱心なのも尤もだと思います。私も三つの年から水害に見舞われて困つて來た人間でありまして、私もこういう法律をできるだけよいものにして通したい、こう思うのであります。それで私は與党である北村さんにも、それから政務次官にもこの際お願いいたしたいのでありますが、ちよつと修正して貰いたいと、この思うのであります。その意見を申述べたいのでありますが、私は、この案の修正の意見を述べますときに、実は建設省の方も見えて頂きたかつたのであります。見えられなかつたということが残念だと思います。私は、どう修正するかと申しますと、極めて簡單でございまして、土地改良組合と國営事業とを分離することであります。これが私は今後の農業土木問題を民主化して行くところの絶対的な方策である。こういうふうに考えるのであります。このいろいろな点を見まするというとこの法案では、賦課金をかける、夫役をさせる、土地の交換分合をやる、水利権を握る、こういうような工合でありまして、土地及び農民に対して強力な支配力を持つということになつておるのであります。その結果は、この農民によつて組織されて行くところの土地改良区、若しくは土地改良組合という工合に理解しておるのでありますが、この組織は土地改良事業そのものが、農民が支配するのじやなくして、農民を支配する、而も奴隷的に支配するような工合に発展する虞れがある、こういうことが先ず言えるのであります。そうして先ず農民の政治力というものでございますが、これは非常に民主的々々々ということを農林省方々は言うのであります。で、私はこれはプライベートでそれじやちよつとおかしいといつて、まあ申したこともあるのでありますが、今日の農民の政治力の限界というものはおのずからあるのであります。で、部落とか村とかいう程度において軽い土地改良というものをやるのでありますならば、その場合は農民がこれを自主的に運営するということは可能なのであります。併しながら農民の自主的に運営し得るという限界は、その程度であつて、それを超えて大きい事業を組織してやつて行くというようなことになりますというと、農民の直接的な組織や、事業に対する労働力というものは弱まつて行くのであります。これは非常に明瞭なことでありまして、これは農林省方々よく分つて頂かなければならないと思うのであります。それから土地改良区なるものは、土地改良組合というような権能を持つわけであります、そうして農民から遠去かつた事業者勢力と國家権力が結合いたしまして、農民を逆に支配する、これが私が冒頭に申上げました言葉をつずめて申しますと、こういうふうになるのでありまは。これについては多くの説明はいたしませんが、行政官は政治については明るいのでありますから、よく御檢討願いたいと思うのであります。  それから立法の経過であります。これは本朝來の質疑應答の結果を見て、この法案は極く縄張り主義的に行われて來ておる、こういうふうに私は受取るのであります。水の威力というものは天皇の威力というものより強いということは、これは何人と雖もお分りなんであります。天皇に反抗する者がありましても、水に抵抗するなんていうことはできません。水に抵抗するなんていうことは、全く馬鹿氣たことであります。それで、水利事業、治水事業というものは、水に抵抗することではないんだと、こう私は思うのであります。從つて治水とか利水とかいうものは、一元化した政策を以て立法されなければならないものである、こう私は考えておるのであります。若しそういう考がなくて、下手な事業をやりまするというと、むしろ水という絶対的権力に便乘して、官僚や地方のボス勢力が農民を支配する。暴君的に支配する、こういうような事態が生れて來るのであります。こういうことはいろいろな事業の慣行、いろんな慣行、今までの水利慣行その他にもあるのでありまして、そういうことは農林省方々は、水利慣行調査や何かにおいてよく発表されております。私は今それをはつきり記憶しておりませんから、ここに呈示するわけに行きませんが、とにかくそれは私よりもあなた方の方がよく分つておる、それから、まあそういつた事態から、日本では今國土計画或いは國土計画法というようなものを必要としておる、こういうふうに私は考えるのであります。このことは岡田さんの先程の御意見岡村さんの先程の御意見、その他の方々もそういうふうに考えておられるようであります。そうしてこの水利竝びに土地改良というようなものは、そういう國土計画の一環としてなされなければならない、こういうものであると思うのであります。ところが又繰返すようでございますが、この法案については、建設省当局はちんぷんかんぷんであります。こういうことは非常に私は遺憾だと思うのでありますが、若し治水利水というものが、一つの一貫したものであるという解釈に立つならば、こういう法案は一省、一局の中で立案されるべき性質のものではないと、こういうふうに考えるのであります。それでこのような過程でこの法案が出て参つたのでありますが、この際私は土地改良区と申しますが、土地改良組合と申しましようか、これは農民が自主的に行ない得る、農林省がお考えになるよりも簡易なる、又規模の小さいところの組合という工合に限定いたしまして、そうしてそういう事業は何もやかましいことを言わずに、農業協同組合であるとか、或いは部落農業團体であるとか、こういうものが自主的に、もつと自由に、簡單に立案してやれる、それに対して政府が助成をして行くというような建前をとられることに方が、その方が遥かに民主的であり、農民自身の意欲というものも十分に動かせるし、農民が支配し得るものになる、こういうふうに考えるのであります。そうして私は少くとも重要な水というところに抵触して参りまするところの大規模な土地改良事業というようなものは、こういう組合における、事業から完全に分離いたしまして、これは國の予算によつて國が全責任を以て一定の計画的なものを以て、そうしてやつて行くというふうにしなければならない、こういうふうに考えるのであります。それからそういうような考え方がなく、そういう計画がなく、こういう法律だけが先にぽんと出て來る、こういうことになるというと、どういうことになるかと申しますと、当然この法律が出たという限りには、こういう方面関心を持つところの人々は、板野君が言われたように、いろいろと考えますから、そこで思惑的にこういう組織を作ろうとするわけです。そうしてこういう組織を作りまするというと、何かやらなければなりませんから、盛んに今度は俺の方を認可して呉れろとか、俺の方に助成金を呉れろとかいうような工合に、いろいろ補助金や助成金の分取り競争になる、こういうことになるのであります。そうしまして、それだけならいいのでありますが、そういうことがいろいろ土地ブローカーとか、或いは政治ブローカーというものに利用される、こういうことにもなるのであります。或いは今度こういう組織をお前達が作れ、そうしたら俺が代議士になつてつて一つがんとやつてうまくやつてやるというようなことになりまして、これは党利、党略にも利用されるというように、何らの実態なくしてこういう組織を作ることだけを許したとしたならば、そういう政治やいろいろな問題の思惑に利用される、こういうようになるのであります。從つて私はそういう思惑に利用する程の大事業というものは國家が握つておる、その代の國家が責任を持つてやるというような体制を作りまして、決して思惑や何かに乗せられない、党利党略に乗せられないというような工合にしなければならんということになる。今まで水利組合とか、或いは耕地整理組合、こういうものは今まで競馬の話も出ましたが、競馬なんかと同じように党利党略に大いに利用されて來ておるのであります。この弊害をここで断ち切ろうとするならば、やはりこの法律における組織論を明瞭にして行かなければならないと思います。そこで私はこういうふうに修正して頂きたい、こういうのであります。更に私は農林当局では、開拓局長なくかはいろいろとこれについていい説明をするのでありますが、今までの開拓局長説明並びに本日建設省当局からの説明等を聽きまするというと、何かこういうような立法過程を通じて見まして、開拓局がとにかくこの法律作つて置けば、後予算を取るのに都合がいいというような工合に誤解される傾向があると思うのであります。若し開拓局及び農林省がそういう誤解を受けたくない、とにかく金のかからない法律を一本作つて置いて、それから尻をまくつて予算を取つてやろうというような考えではありませんというわけでありますならば、そういう誤解はどのような人がそういう誤解をするか分りませんが、少なくとも私はそういうような誤解をさしたくないのであります。それでそういう誤解をされたくない、こういうのであるならば、少なくとも私が今まで申述べたような、非常に筋の通つたそういうことに改めて頂きたい。とにかく筋の通らないような法律はこの際少し改めて貰いたい、こういうふうに考えるのであります。私は法律のことも明るくないし、それから行政官のような経驗もありませんし、この法律を読んで直ちに條文をこういうふうに書き直すというわけにも参らんのでありますが、私としては少しでもこの法律をよくして、そうして本当に民主的に運営されるものとして、そうしてこれを農民の方に渡したい。こう考えるのであります。この際開拓局長も必ずしも本当のことばかり説明したわけではありません。從つてしつかり考え直して、そうしてそういうところを本当によくしたい、よくしたいとあなたは言つておるんですから、よいものにして私にも賛成さして頂きたいと、こう思うのであります。從つて私の意見は修正意見ということになろうかと思います。併しこの法案根本的に否定するものではありません。
  119. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大体御意見も終つたようでありますから、これから土地改良法案及び土地改良法施行法案につきまして、一括して採決に入りたいと存じます。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  120. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。  それではこれから採決に入ります。最初池田委員に修正案につきましてお諮りいたします。池田委員の修正案は、本法の中において土地改良区と國営事業を分離することでありまして、その趣旨は、土地改良区は極めて簡素化したもので農民の自主的な團体として認めるようなふうに修正をしたいという意味であります。この修正案につきましてお諮りをいたします。池田委員の修正案に御賛成の方は御起立をお願いいたします。    〔起立者少数〕
  121. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 少数。
  122. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次いでこの二つ法案につきまして一括して原案通り御賛成の方の御起立を求めます。    〔起立者多数〕
  123. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 多数でありますから、二つ法律案は原案通り可決することにいたしました。多数賛成者の方の御署名をお願いいたします。尚委員長報告は例によりまして委員長にお委せを頂きたいと存じます。    多数意見者署名     石川 準吉   岡村文四郎     加賀  操   藤野 繁雄     岡田 宗司   門田 定藏     大畠農夫雄   平沼彌太郎     柴田 政次   北村 一男     星   一   赤澤 與仁
  124. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            岡田 宗司君            平沼彌太郎君            石川 準吉君            藤野 繁雄君    委員            大畠農夫雄君            門田 定藏君            北村 一男君            柴田 政次君            星   一君            赤澤 與仁君            加賀  操君            板野 勝次君            池田 恒雄君            國井 淳一君            岡村文四郎君   衆議院議員    坂本  實君   國務大臣    建 設 大 臣 益谷 秀次君   政府委員    農林政務次官 池田宇右衞門君    農林事務官    (農政局長)  山添 利作君    農林事務官    (開拓局長)  伊藤  佐君    建設政務次官  赤木 正雄君   説明員    農林事務官    (農地部長)  田邊 勝正君    建設事務官    (河川局次長) 伊藤 大三君