○池田恒雄君
土地改良法という題目からというと、狭いような問題の
質問でありますが、
大臣にお聞きします。実は先程ここに
農林大臣と
大藏大臣と両方が揃われてお
つたのであります。
農林委員会としては、こういう待遇を受けたのは少いのでございまして、私はその際実はそれだからお伺いしたいと、こう思
つたんですが、
大藏大臣が見えなくなりまして、甚だ遺憾なんであります。これは現
大臣が在野時代に、一度茨城縣に開拓
事業の御視察をお願いしたことがあるのでございます。それで
大臣は一応お分りと思うのでありますが、出発するときは、土浦から皆で出発したのであります。その土浦の在に有名な予料練というものがあるのであります。それから谷田部という所にはこれ亦バツターの谷田部と構して全國で著名な飛行場があ
つたのであります。それから水戸の在に、これも海軍
関係の通信
関係の学校がございます。この三つの所が今日問題にな
つておるのであります。その問題は、
農林大臣と
大藏大臣との間の問題なのでございます、と申しますのは、私土浦の予料練の跡、その他の飛行場などを三年程前から地元の人が百姓に返して貰いたい、こういう要求をしてお
つたのであります。ところが今日に至りましても、依然としてそれは解決されておらない。それでいろいろ私が
事情を調査して見ましたところが、それは
大藏省の方にいろいろな問題があるわけであります。で縣廳の人の話を聞くと、水戸に管財部というものがあるのだそうでありますが、そこの人がなかなかその農林省に移管替えをすることを
承知しない、どういう
理由であるかということを聞きましたところが、
大藏省が國の收入として茨城縣の方には何億何千万円という割当をや
つておる。それで
土地を、これを農林省に所管替をしますというと、ただになりますから、これはそういうことになると、
大藏省では儲らない。だから所管替えができない。でそれじやどうするのかというと、これはずつとして置いて宅地に賣る、こういうのであります。宅地に賣るとべらぼうに高いわけであります。すると
大藏省では儲る、こういうわけであります。私はその場合、その
土地が
大藏省のものであるならば、現在は
大藏省のものという工合にな
つておりますが、本質的に
大藏省のものであるならば、これは文句は言わないのであります。ところがこれらの
土地は、これは御
承知の
通り、百姓が昔耕やしてお
つた土地なのであります。所有権のあ
つた土地なのであります。そけを戰爭中に無茶苦茶に飛行場の拡張をやりまして、そうして飛行場としてさえも十分に使用しなか
つたわけであります。ただこの農耕部隊というものを県いて、ごちやごちやしてお
つた場所なのであります。そういう場所でありまして、これは要するに軍が強制買收をしたのであります。中には金を拂わない所もあります。そういうような
事情で、現在は
大藏省のものという形にな
つておるわけであります。
從つてこれは戰爭で負けてしま
つて、もう飛行場というものは必要がないのでありますから、だから直ちに、これは前の所有者、或いは耕作者に対して返還すべきものであると、我々は
考えておるのであります。而もこういうことは、私が
考えるだけでなく、恐らく民法の中に、緑故に関する拂下げかなんか、拂下げ得るというような解釈のできる條文があ
つたように私は記憶しておるのであります。勿論又慣行的には、やはり習慣としては緑故拂下げをや
つておるわけであります。で又單に御法の成文上或いは條文上、そういうことが
日本で行われて來たということだけでなく、これは終戰直後に、大藏次官と農林次官はこういう
一つの法的根拠に基いて、百姓に返うというような通牒を
出しておる筈なんであります。ところが一向これが捗らない。而もこれは
土地問題の所管は
農林大臣であります。だからこれは
農林大臣の一存で直ちに所管替えをしてもいい筈だと思うのであります。それを單に
大藏省の方の算盤がどうとか、こうとか言
つて、そうしてこれが時間がかかるということは、何か國に二つの
法律があるというような感じを受けるわけであります。而も
食糧増産が非常にうるさいのでありますから、昭和二十二年においてすでに
農民は成規の手続きを取
つてお願いしてあるのであります。若し直ちにあのときに
農林当局が法の定むるところによ
つて、きちんと処理して貰えば、恐らく百姓連中は、冬のうちに一生懸命にな
つて働いて昨年は立派な米をと
つた筈であります。ところが昨年も米をとることができない。今年の農繁期こそ何とか解決をしようと
考えておる、それもできない。今皆仕事ができなくておる。而もその地元の様子を見ますと、
土地を取られたから皆平均四反五畝というような
耕地面積しかありません。こういう
状態にな
つておるのであります。米の配給を受けて皆食
つておる。配給を受けない農家になりたい。こういう念願を持
つておりますが、それが実際においては実行できておらないのであります。こういうようなわけであります。これは私が僅かに三つの問題、而も自分のこの地元の問題をここで申上げましたから、何か勝手なことを言う、こういうふうにお
考えになるかも知れませんが、私はそうではない、こう
考えるのであります。これは少くとも慣行的に処分の方では今まで認められて來たところの緑故拂下げという権利が否定されておるという
一つの電大な問題であります。民事上の重要な問題であります。もう
一つは
政府が
はつきりと約束しておるところの
一つの政策を阻害しておるということになると思うのであります。もう
一つ申上げますと、これは終戰直後にそういう民事上当然の権利のある百姓には何の相談もなく、予科練跡及びその他に宅地及び建物は体育大学、霞ケ浦農科大学というもののためには簡單に使用許可を与えておるのであります。ところが学校がそれらの
土地を使
つておるかというと使
つていない。而も最近私は非常に惡い惡いと思
つてお
つたが、併し何ら証拠を掴むことができないで默
つてお
つた。今日でも証拠を掴まんで惡いとは言いかねますが、農科大学の
会計係が喉を切
つて死んだということが新聞に出ております。それから自体の方ではどうかというと、この間火事を起しまた。そういう國家に対する損害を与えた、その損害の
関係は一体どうな
つたか、こういう問題も発生しておる。又貸付けた貸付けたと言
つておりながら、そこにある建物が次々にほごされてどこかに移轉されておる。学校として使用するのに必要だという宅地が次々に空地にな
つておる。管財部の人の話を聞くと、ああいうコンクリートの建物のある所は
農地にならないでしよう、学校に貸してあるのだから簡單に返すことはできない、こういうことを言
つておる。併し百姓は熱心だから石があろうとコンクリーであろうとどんな犠牲を拂
つてもするので、
大藏省がそんなことを心配する必要はない。もう
一つは
農民に民事上の優先的権利があるのに学校に貸付けた。
大藏省の恰も学校側に優先的権利があるかのごとき民法の解釈は私はどうしても理解できないのであります。併し專ら
農林大臣の
考えと職権とを以てどうでもできる問題だと思うのであります。これに対して
大藏省側は何も強硬に
農林大臣のやることをとやかく言うべきものではないと
考えるのであります。こういうことは実は茨城縣の
農地部でもあれは常々問題になりまして、開拓局長あたりの肚で決まるものだということを言
つてお
つたのですが、尚今日解決しませんで、そうしてコンクリートを毎日百姓は眺めて、而も轉落農家でありますが、最近米の配給もやらないというので、非常に困
つておるのです。これは小さい問題ではなく、そういう
法律上から見れば非常に重要な問題を含んでありますので、百姓も困
つておりますので、この際
農林大臣のお
言葉を頂きますと同時に、
農林大臣が
農地改革の上におきまして、開拓
事業の上におきまして、或いは
土地改良の上においてなすべきことは断乎としてや
つて頂きたいというお願いを含めながら
質問のように申上げたのであります。