○
政府委員(
安孫子藤吉君) 非常に
根本的な
お話でございまして、十分お答えできますかどうか
分りませんが、この
法律自体が非常に相互契約的な
自由主義的な思想を元にしてでき上
つておる
法律であるということは、これは率直に認めるところであります。而もその
根本に流れておりまする
考え方は、やはり
保有優先主義を採
つているわけであります。それが
現実に行われておるかどうかということになりますと、決してさ
ようには
運用されておらないということも認めざるを得ない。要するに國全体の
各種の需給の
状況からいたしまして、
生産予定数量というものが、まあ決定されるわけであります。それが段々縣なり
市町村の
段階に下りて参りますと、或る
町村は非常に樂な
町村、或る
町村は非常に苦しい
町村というものが方々出て來ます。或る村におきましてはおしなべて
供出数量、
生産数量からこの
保有量を引きまして、その残りが
供出数量になる筈でありますけれども、その
供出数量は上から下りて來ました
供出数量よりもずつと多くな
つている。だからそうした
町村におきましては、各
農家が一率に考えますならば、一俵づつ余計持ち得るという
状態にある
町村もあります。それから
只今御
指摘になりましたのは、その
反対の側であろうと思います。
生産数量から保有
数量を引きますと
供出数量が出て來るわけでありますが、それが上から下りて來ました
供出数量よりも少いというのが、まあ
只今御
指摘の場合の例だと思います。さ
ように段々下りて参りますと、凹凸が出て参るのであります。その結果末端におきましては、
生産量マイナス
保有量イコール
供出量ということが、実際的には行われておらんという部面があるわけであります。で、我々といたしまして、現在の
状況におきまして、やはり一定
数量の
供出というものを
予定いたします。併しながら他方災害がありますればこれを補正いたしますけれども、これを全般の
状況からいたしまして、
生産者の希望いたしますだけの補正というものも困難な
状況にありますために、尚更その間の
関係が不明確にな
つているのである。これをどういうことで考えて行くかと申しますと、御
承知の
ように
農家用の問題といたしましてこれを取扱
つて、この間のいろいろな不都合な点を修正して
運用いたしておるわけであります。從いまして先程のお問いに対するお答えにならないかとも思いますけれども、この
法律自体は非常にすつきりした思想の下にでき上
つておりまするけれども、
日本の現在の
食糧事情から申しまして、この
法律通りの
つまり保有優先主義というものが現在においては必ずしも行われておらん。これは國全体の
食糧の需給の
状況から來ておるのであるということは率直に認めざるを得ない、か
ように考えておるわけであります。併しながらこの
運用については、漸次この
法律の思想が段段
現実にも行われ得るところの
状況に持
つて行きたいという
努力を
食糧管理当局としては考えておるわけであります。そのためには、先程申上げました、上から降ります
町村別、或いは端的に言いますと、
個人別の
割当は、その
農家なり或りは
市町村の
生産保有、或いは
供出というものとの
数字の喰違いが漸次なくなるということになれば、問題は
解決するわけでありますから、その点の資料なり、或いは、これも資料の整理でありますとか、そういう点から漸次
現実をこの
法律の
精神に近付けて行きたいという
努力を実はしておるわけであります。