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1949-05-13 第5回国会 参議院 農林委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年五月十三日(金曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件油糧配給公團法の一部を改正する法  律案内閣提出)  食糧確保臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 只今から農林委員会を開きます。本日は最初に油糧配給立團法の一部を改正する法律案を議題にいたします。先ず池田農林政務次官から提案理由の御説明を伺います。池田政務次官
  3. 池田宇右衞門

    政府委員池田宇右衞門君) 「油糧配給公團法の一部を改正する法律案」の提案理由を御説明申し上げます。  油糧配給公團基本金設立当初一千万円とされ現在に至つておりますが、油糧生産並びに輸入数量増加、價格の値上り等理由のために取扱金額が大幅に増大し、貿易廳に対する輸入代金支拂いも円滑でなく資金操作に困難を來すようになつて参りました。  ところが公團に対する復金融金庫よりの金融も漸次引しめられるようになりまして、ますます事業運営が窮屈になつておりますので、これを打開するために基本金を十五億円増額し十五億一千万円にすることといたしたいのであります。この増加額算定基礎としては、最近六ケ月の油糧配給公團貿易廳に対する油糧輸入代金の未拂額月平均約十五億円程度でありますので、貿易廳に対する輸入代金支拂を円滑にすることを目途としてこの金額が算出されたものであり、又これに対する財源としましては、本年度予算政府出資金として計上されております。  尚公團整理統合に関する法案が近く上提されることとなつておりますが、基本金増額は急を要することでありますので、取敢えず右と切離して御審議願いたいのであります。各委員におかれましては愼重御審議上速かに御可決あらんことを切望いたします。
  4. 板野勝次

    板野勝次君 政務次官にお尋ねしますが、運営上十五億一千万円にしなければ運営がつかないという事情について御説明願いたい。
  5. 池田宇右衞門

    政府委員池田宇右衞門君) 提案理由に申上げた通り金融の円滑を図る上から、油糧は御承知のごとく輸入物資でありますから、輸入代金の未拂額月平均十五億にも達するような程度になつたのでありまして、これを拂うにはやはり十五億という金額に対しては、十五億ぐらい増額をして置かなかつたならば、支拂することができない。それでなければ一時借入れなければならない。政府は御決定願つてつてこそ借入或いはそれぞれの金融方法もあることであるのでありますが、現在ただ一千万円程度であつては、こういう大きな金融と相成りましたときに、支拂上困難を來すので、ここに急遽提案いたしまして、油糧公團の今日現存しておる間はやはりそれぞれ運営上支障なからしめるような方途を講ずるのが今日の建前がと思いまして提案いたしたような次第でありますから何とぞお願いいたす次第であります。
  6. 板野勝次

    板野勝次君 これはやはり十五億一千万円というと、これは國民税金負担になつて取上げて、そうして政府資金の形でここに出しておるわけですね。税金負担なんですね。
  7. 池田宇右衞門

    政府委員池田宇右衞門君) 只今お尋ね通り税負担にいたすということに相成つております。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この理由からよつて見ますると、未拂代金が月平均二十億円程度である。こういうふうなことでありますが、輸入するところのものは食糧公團食糧輸入しておりますし、肥料輸入しておるのであつて肥料及び食糧輸入に対する関係公團の増資はしないで油糧公団のみ増額させなくちやできないところの理由を先ずお尋ねしたいと思うのであります。
  9. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 主食の方は御存じ通りに非常に大きな政府特別会計でありまして、食糧証券その他の発行ができるように私存じております。そういう関係で内部が比較的うまく行く、こういうことだろうと思います。それから肥料の場合は、油糧に比べますと國内産のものが多いので、油糧に比べますと比較的少い資金で済むのじやないかと思います。事情は大体肥料と似ておりますけれども、油糧の方は非常に金額も大きいので、政府出資と認められる、こういうことになつておるのであります。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 油糧の分は輸入金額が大きいということでありますが、果して然りといたしましたならば、肥料輸入金額油糧輸入金額の最近における数字的の説明をお聞きしたいと思います。
  11. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 私今手許に肥料輸入金額の方をちよつと持ち合せておりませんので、比較につきましては又別にお答えいたしたと思います。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 運轉資金に困るからということであつたならば、どの公團でも同樣に困つておるのでありますから、特に油糧公團のみに基本金を増さずして、運轉資金としては適当な方法借入のできないことはないのではなかろうか、こう考えますが、借入方法がないから絶対的に基本金増額によらなくちやできないという理由があつたらば、その理由を御説明願いたいと思います。
  13. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) お話通りに他にもいろいろ資金を拵える途はあるわけなのでございます。原則といたしましては、公團復興金融金庫から借入れてそれで支弁をするということになつておりまして、設立以來復金からの借入れでできる限り賄つてつたのでありますけれども、御存じ通り公團に対する復金資金の枠というものが非常に小さく、從つてお話申上げておりますように、月多いときは十五億程度支拂残が残つて來る、こういうことになりまして、今日に至つておるわけであります。それに今後復金の融資は非常に困難になりますし、差当り市中銀行、その他の方法による融通の途というもののめどがつかない状態でありますので、こういう残額を何とか処理しなくちやならないことから政府出資金という方法によつてこれを解決したい。こういうことになつて参つたわけであります。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今説明によりますと、十五億円増額するが、この増額の金というものは輸入代金支拂いに使用するのであつて、その他には絶対的に使用されないということになりますが、或いは公團いろいろ設備をするのについては更に資金を要するのだから、その一部分は設備資金にも流用しようというお考えであるか、この点お尋ねしたいと思うわけであります。
  15. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 公團建前として御存知の通りに特別の設備についての支出の途は認められておりませんので、勿論そういう方面に使うということも考えておりません。これは予算十五億という支拂の尻を如何に決済するかということが認められる金額でありますので、この法案通りましたならば、勿論これは主として対貿易廳に対する決済に充てる、こういうことになると思います。
  16. 北村一男

    北村一男君 油糧配給公團はまあ他の食料品公團に併合されるというようなことを聞いておりますが、これは十五億円を出資なさるということは、將來独立してやつて行かれるという前提でありますか。それともやはり合併するが過渡的に要るというお考えでありますか。それから將來食料品配給公團と併合した場合は、やはりこの出資そのままで持つて行かれるのでありますか。從つて食料品配給公團出資とこれが合わされて新らしい公團出資金となるのでありますか。その見通しをちよつと……
  17. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 油糧公團は將來別に独立するというつもりは勿論持つておりませんので、今回政府決定を見ました法案につきましても、油借と食料を一緒にして食品公團ということで近く御審議を願う手筈になつております。そうしてその際には十五億一千万円の出資金はそのまま食料品の四千万円を合しまして、十五億五千万円という政府出資金を以て新たなる食品公團作つて行く、こういう予定になつておるのであります。そうしてこの十五億は貿易廳との支拂に充てられるいわゆる運轉資金になるわけでありますので、御了承願いたいと思います。
  18. 板野勝次

    板野勝次君 只今の答弁に関連する問題ですが、油糧配給公團取扱つている物資のうち食糧公團の方へ入りますと、例えば石鹸その他でありますが、工業用原料が、油糧配給公團取扱物資の約五十%程度占めているように聞いておるのであります。そうすると機械的に政府はこういう機構の簡素化整理という名前に隱れて、却つてそういう工業用原料取扱う内容を持つているものまでも食料品の方へ入れて來るていうことになると、非常に分野が違つて來るので、無理な吸收合併ということになりはしないか、そういう点を心配するのですが、ちよつちこの問題の範囲を超えますけれども、この機会に承つて置きたいと思います。
  19. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 現在油糧公團油糧を扱つておりまして、油糧なるものは勿論油の形にありますときにはこれは食糧であり、これが工業用であるという区別はできませんので、全部いわゆる油糧といたしまして、或いは油脂原料といたしまして、食料原料工業用原料も扱うわけなんでありまして、その意味において一元化されておりますが、それはたとえ今度新らしい食品公團に統合せられましても、やはり続いて行くわけなんであります。その意味で今御指摘のように、食品公團という名前が妥当かどうかという問題はあろうかと思いますけれども、一つ公團として仕事を続けて行くという意味におきましては、そういうことをすることは不都合でもありませんし、むしろ妥当なんではないかと思うのであります。
  20. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 加賀さん何か御質問ですか。
  21. 加賀操

    加賀操君 ちよつと速記を……
  22. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を止めて。    〔速記中止
  23. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。
  24. 加賀操

    加賀操君 いろいろお聞きしましたが、実は油をとる方面におきまして、いろいろ面倒な規定があるようですが、一例をとつて見ますると、農家が原料生産しまして、それを協同組合なら協同組合へ持つてつて搾油する場合に、一應ルートが非常に面倒になつているわけです。一例をとつて見れば、集荷人になつておる協同組合は、搾油することができない、こういうふうに、いろいろ面倒な規定があるのですが、搾採業者と一樣に、十六原則從つて区別なくこれを指定するというわけに行きませんでしようか。
  25. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) その点につきましては、いろいろ御意見のある点であろうと思いますし、又それぞれ関係の向きからの陳情も受けておりますけれども、規則を作ります際にいろいろ審議をいたしました結果、又対指令部との関係等におきまして、現在のようになつておるわけなんでありまして、御了承願いたいと思います。
  26. 池田恒雄

    池田恒雄君 この基本金というのは、これはどういうものでしようか。どこから持つて來るのでしようか、この十五億というのは。
  27. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) これは予算面で、ここでも先程提案理由でも、政務次官から御説明されましたように、政府出資金として計上されておるわけなんであります。そうして、それを政府油糧公團拂込む、こういう恰好になります。
  28. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうしますと、油糧公團というのは商賣をやるわけですね、ですから儲かるわけですね。これはやはり利息を拂うのですか、政府というか、出資者に対して。
  29. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 政府に対しては利息は拂いません。これは政府機関でありますので、利息を拂うとか、配当するとかいう関係は、昔の統制会社と違いましてございません。
  30. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうすると油糧公團という奴は、一定の商賣をやつていながら、政府から借りた金には利息拂わんでもいいと、つまり油糧公團というのは、一應独立採算というような建前に立つておるんでしよう、そうするとこの場合は十五億という金は、今まで一千万円であつたのが十五億と殖えて、今までの一千万円が下つ端の切捨ててもいいようなところにくつついておるんですから、大分大きな飛躍だと思うんですよ。つまり出資金だけ補助を受けるようなものですね、油糧公團は。そうしなければ油糧公團というものの採算は立つて行かないんですか。
  31. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 油糧公團は商賣、いわゆる廣い意味におきましての商賣はやるわけなんであります。物を買つて賣るわけなんでありますから、やるわけでありますけれども、別段公團が儲けるというわけのものではないのでありまして、まあ現在今までのところでは、いわゆる交付金制度でやつておるわけなんでありまして、若し余剩があればこれは又全部國庫に返す、こういうことになりますので、いわゆる営利團体では全然ないわけなんであります。從つて儲けるとか儲けないとかいう問題は起つて來わないわけなんであります。ただまあ今度一千万円のものが十五億一千万円に大幅に増額されました結果、十五億という金がいわゆる無利子公團としては使えるという恰好になりますので、復興金庫から借りる場合よりも利子だけは樂になるということは勿論あると思います。ただ利子拂つてはそれじや公團赤字になるのかというお話でありますけれども、利子を拂うから公團赤字になるという関係はございません。今までは利子のある金を使つてつたのでありますが、そういう関係はございませんけれども、今度こういう無利子の金を使えば、公團としては経理が樂になりますので、余剩ができた場合に、政府に返す金が多くなると、こういうことに御承知を願いたいと思います。
  32. 池田恒雄

    池田恒雄君 これは予算ですでに貰つてあるんでしようから、どうということはないわけですが、併し若しこうなつてから……別に儲けるといつたつて、私の儲けるという言葉が惡いんですが、要するに掛かる経費は取つていいわけですね、儲けない程度において。だからそういう形で行くのか本当ですね。私はこういう多くの金を使うんじやなくて、金をやはり借りるなら借りるで銀行なら銀行から借りて、それによつて利息拂つて、そうして経営を立つて行く、それだけの費用はやはりその事業過程において取るというようなのが公團運営上としては健全なのじやないかと思いますが、そうでないと公團という意味が、わざわざ公團作つたという意味が少しぼけるのじやないかと思います。無利子の金を借りて、無利子といつたつていつ返すということでなくて、まるで昭電事件のごとく借りたものは貰つたものだというみたいなもので、そういう氣持も経営者の中に起つて來るわけですから、決まつたことかも知れんが、公團設立されておる本当の精神からいつたらうまくないのじやないでしようか。
  33. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 仰せの通り公團といたしましては、運轉資金原則てしたしまして、金融機関から借りる。そうするとその金融機関復興金庫なりという建前なんであります。從つて公團とも当初におきましては基本金は非常に僅かでありまして、例えばその基本金は机でありますとか椅子でありますとか、そういう備品を買うというような、極く少額の基本金に止まつてつたわけであります。ところが先程お話が出ておりますように、油糧公團といたしましては相当多額輸入資金を要しまして、これを貿易廳に拂わなければならんという関係で対貿易廳に対する決済未済が非常に沢山残りまして、而も一方におきましては、復興金庫等からの借入金については枠があつて容易に拂えない。從つて十五億というような多額決済未済が残りますので、それを解消する意味におきまして設立当初の考え方からいたしますと、やや外れて來たわけでありますから、これをこういう政府出資によりまして、対貿易廳との関係決済して新たに出発したい、こういうことになるわけであります。
  34. 池田恒雄

    池田恒雄君 余りいいことだとも思つておるわけでもないのですね。
  35. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 復興金庫等からの借入れがスムースに参りますれば、それがお話のごとく、いわゆる取引の筋ではあろうと思いますけれども、それが非常に狹められますので、こういう方法なつたと、こういうふうに私は思います。
  36. 池田恒雄

    池田恒雄君 復興金融金庫というものは、当てにしなくてもいいのじやないかと思います。若し独立採算という形においてやつて行くのならば、復興金庫の金でなければならんという考え方は少しおかしいのです。土台復興金庫というものは、甚だいかがわしい金庫である。そういうところの金を借りて運轉して行くということは、非常に経営者が不まじめじやないかと思います。本当に、借りたならば利息を拂わなければならん、返さなければならんという責任の明確な、金を使つて経営というものはやつて行かなければならん、こう思うのです。政府機関のみが拂つても拂わなくてもいいような金を使つて事業をやる、つまり親方日の丸だということを我々海軍の兵隊は言うたのですが、正に官僚のやり方である。親方日の丸の下に予算をひつたつて、いろいろなことをやつて行くということになりはしないかと思います。
  37. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 復興金庫から金を借入れるということが公團建前になつておりまして、他の金融機関から金は借りられないわけであります。從つて公團とも復興金庫一本に依存しておるわけであります。これは法律に定められた公團に対する一つの制約であります。それから復興金庫に対しましても勿論利息拂つておるわけであります。他の金融機関から借りる場合と何ら結果は変つておりません。
  38. 池田恒雄

    池田恒雄君 これは予算が確定しておることでもあり、法律もあることですから申上げませんが、先程油搾りの問題がありましたが、先程どなたからも御質問があり、ここで御了承願いたい、こう言われたのですが、これはちよつと御了承願いたいというのは無理じやないかと思うのですが、というのは油搾りをちよつとした協同組合とか個人なんかに委せておりませんね。委せておらんということは歩止りが惡いとか言つておりますけれども、そういうわけですか。歩止りから來るわけですか。
  39. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 協同組合搾油事業を営めないということでなく、協同組合にも、認めております。ただ割当をする際に全然腰だめで割当をするのではありませんので、搾油歩止りその他の成績基準にして割当地方廳でやる。こういうわけでありますから、その点は御了承願いたいと思います。それから尚兼業関係で、一方で集荷をやれば搾油はできない、こういうことであります。全然協同組合搾油はできないという制限はありません。
  40. 池田恒雄

    池田恒雄君 これは協同組合だけを指しておるのでなく、協同組合でも誰でも構わないが、搾油をやらせないというのは、まあいろいろな規則がありましようが、理由とするところは歩止りについての制限、こういうことが中心になつておるのですか。
  41. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) やらせないというのではないのでありまして、今は企業は自由でありますから、誰でも搾油事業は自由に営めるわけであります。ただその原料割当基準を何に求めるかという問題であります。
  42. 池田恒雄

    池田恒雄君 それは歩止り中心なのでしよう。そうしますと、私はこれは非常に司令部の方の御指導かなんか分らないが、だといたしましても、私は日本の農村実情に即くしないと思います。といいますのは外國から入れて來る原料を主とする場合、これはそういう理窟もありましよう。併し百姓が作つておる茶種や豆なんかでやる場合は、私は適当に搾らせていいと思います。その結果は歩止りが少い場合もありましよう。併し今は機械も発達しまして、家庭でやつておるので相当歩止りの違うのもありますから、違うという点に立つて、私は全体として考えたら、皆にやらせたら歩止りは少くなると思います。戰爭中から最近まで特殊な人達にやらせる傾向があつて、小さなところ、変なところにやらせないというようなことから、油になるべきものがならないで、或いは茶種作つてもどうせ俺の家で搾れるわれでもないからと言つて作らない。そんなことで私は全國的に集計して見たならば歩止りも少くなつておるて思います。そうじやないでしようか。
  43. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 今我々の関係で問題になつておりますのは、一体非常に数の多いメーカーにどういう基準で以て割当をし、自分自身も納得し、割当を受ける方でも納得が行くだろうかという問題でありまして、それには或る場合は能力を或るパーセント取り、それから又各工場成績、勿論歩止りの比率というようなものも大きなウエートを占めております。さういうものに対してパーセントを與え、又実際の成績なんかも取るというのでやつておるのであります。成るべく公平に客観的の基準を求めて割当をするということが、輸入原料といわず内地原料といわず、すべてを通じて行われていい基準ではなかろうかと思うわけであります。從つて中央におきまして、大体の基準を求めまして、尚地方実情に即して適当に審議会というような機関を経てやつて呉れということを地方廳に数え、各地方でやつておるわけであります。從つて大体公平に行つておると思います。尚今お話のような生産者團体等に対する特別の関係につきましては、今までいろいろ御要望もありましたので、又それが却つて一面においては集荷を助け、從つて油の増産になるだろうという見地から、生産者意向等審議会において十分反映させるように地方廳に通牒を出して、今度そういう方法で進むようになつております。
  44. 池田恒雄

    池田恒雄君 原料を作る人達が、自分搾油することができる途も開けておるわけでありますね。
  45. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 搾油は勿論できるわけであります。ただ搾油工場を設置した場合に、どれだけの割当があるかという問題でありますが、割当の際に生産者意向を十分に反映させるように審議会においてやる。こういうことであります。
  46. 池田恒雄

    池田恒雄君 茶種や豆を作つておる一般の農民達は別に輸入原料を呉れということを言うのではない、自分生産した原料自分搾油をしてそして油をやりたい、尚且つ少しぐらい自分で油を食いたいというわけなのです。だから割当が來ても、その程度のことじやないですか。別に割当が來ても自分で作らないものを呉れろと言うのじやない。
  47. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 問題は生産者自分で菜種なり大豆なりを作つたものは一應供出させなければならないのですから、供出されれば、これは油糧公團のものになります。それを更に今度は各工場割当てて、搾油をさせるということになりますので、割当ということが一應問題になるわけであります。ただ自分で保有しているものについてはこれは別になりますが、供出するものについてはそういう恰好を取らなければなりませんので、割当ということが問題になるわけであります。
  48. 池田恒雄

    池田恒雄君 その場合、割当は自然に下から決まつて來るのでしよう。つまりその村で工場を持てばその村の供出数量がその村の割当になるというような工合で、外の村から俺の工場に豆を持つて來いというようなことは、私はそういう場合は言わない。要するに共同作つているんですから共同で出荷する、共同で供出するという限度において、そこに割当が自然に決まるのだと思うのですが。
  49. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) その供出されたものが全部その生産者、いわゆる供出した生産者作つた組合工場に行くかどうかということは、一應別の問題になるわけなのであります。ですから先程お話しておりましたように、工場能力、或いは品質その他を合せた成績等基準にいたしまして、割当をしなければならんということになります。ただその際に原料集荷をよくする、促進するという意味において、生産者意向割当にも反映するようにというような方法に新たにやつて行きたい、こういうことなのであります。
  50. 池田恒雄

    池田恒雄君 そういう技術上の問題を考えて、割当がどうこう、設備がどうだという考え方は、私は自給生産というものの立たない工業技術の問題だと思う。これは自由な市場から原料を仕入れて最も能率の高い方法で行く方がいい、こういう考え方に基くと思う。そういう考え方であるならば、私はやはりそういう設備もよくて、歩止りもよい製品のできるところに割当をするという考え方が正しいと思うのです。併し今はそうじやないです。農村で田の畦にちよつと豆を播いたとか何とかいうような、自給生産をしているものを取集めて、そうしてああいう油を作つているわけです。その場合は能率一点張り設備一点張りでそれで沢山の油や何か取れるかというと私は逆だと思う。そういう数字が出ませんか。
  51. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 池田さんのお話生産農民全部が搾油工場を別途に持つているというような場合におきましては、或いは当嵌まるかと思いますが、現在は必ずしもそうでないのでありまして、勿論生産農民の作つた工場もありますけれども、そうでなしにただ大豆なり菜種なりを生産するだけで、搾油の面には全種まだ設備も何も持つておらない農民も多数あるわけでありまして、そういうものはいわゆる営利的な搾油工場割当をしなければならんわけなのであります。從つてそういう営利的な搾油工場と、それからいわゆる協同組合その他の生産者のタツチしておる搾油工場と全体に対して、どういう基準割当をするかということが問題になるわけでありますので、別に又基準が要る、こういうことなのであります。
  52. 池田恒雄

    池田恒雄君 今搾油の話をしましたが、搾油だけじやなくて、その他製粉等いろいろな方面でやはり生産者個人個人が設備を持つておるか、持つておらないかじやなくて、部落の農事團体とか協同組合あたりがそういう設備を作ろうとしても、今の農林省なら農林省の方針に規制されて作つておらないのです。若し搾油ができるのだということになると、村の協同組合設備をするとか、或いはもつと貧弱な程度の低い設備を部落で共同でやるとか、そういうことがどんどん普及するわけです。ところが現在それが余り普及しておらん、或いは農家自身も自家用の搾油機を持たないというのは、それは農林省の方の方針がそれを抑制しておるのです。あんなものは簡單なもので大したものじやない。手製のものなんかも使つておるのですから、そういうものは抑制されるわけです。そういうものは成る程設備としては能率が低いかも知らんが、そういう方法でやつてつた場合、私はもつともつと油が出るのじやないか、そう考えるのですが……
  53. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 個々の農民が設備を持つとか、或いは個々でなくても極く小規模な設備を方々に作るということは、一面において勿論利益はないとは言えないかも知れませんけれども、非常に設備的には無駄が多くなりますし、又そういう設備によつてやるということは恐らく闇でありますとか、横流れの温床になる虞れが非常にあるわけなのでありまして、そういうロス、能率が惡いというような点、いろんな面から言いまして、そういう非常に小さな規模のものにつきましては、我々は余り賛成しないわけなのであります。ただそれ以外には或る程度設備機構を農民が持つ、生産者が持つということにつきましては、何ら規則はいたしておりません。むしろできる限りそういう面については積極的な援助も加えたいくらいの氣持も持つておるわけであります。   —————————————
  54. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと池田さんに申上げますが、実は先程から大藏省の監理第一課長の忠さんが見えておりますので、途中ですけれども、その方を先にやつて頂いて、あとから又引続いてこの問題をやつて頂きたいと思います。それから御了承を得たいと思いますが、監理第一課長の忠さんは政府委員ではありませんが、説明員として発言を許しますから、どうぞ御質疑を願いたいと思います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  55. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて。
  56. 池田恒雄

    池田恒雄君 農林省の農業経営課長で井上晴丸という人があるのです。これも課長ですから委員長の言う通り政府を代表する程偉い人だと私は考えておるのです。その方が或る税金の解説書ですが、農民の正しい税金の算出法というパンフレットがある、その中でつまり一つの限界を示しておるわけです。それをちよつと拾つて見ますと、一つは、「税務署が「一反当り所得額〇〇〇円」という所得標準率を決定し、その率によつて各農家に記入させるような結果になつているのです。税務署のこの方法は正確な調査や実情に基いた査定ではない。経費や收入に対して一律に決めているので、不適正で不当な所得の査定となつているような状態なのです。」それからもう一つは、「税務署が用いている計算方法と自主申告(簿記様式)との間に甚だしい差があります。つまり税務署の收入計算が実際收入より過大見積りをするという点であります。」もう一つ、「この收入計算方法こそ所得税法にいう「二十三年中に收入すべき金額」なのであります。「收入すべきということは二十三年中に物で收取されればすでにそのものは收入の中に含まれるというのではなく、「二十三年中に收入すべき」と明確に規定されているので、それは二十三年中に当然供出又は消費したものの貨幣換算を「收入すべき金額」と見積るべきなんです。即ち二十三年に生産した新米價のうち、二十四年になつて供出したり消費したりする分は、二十三年中に收入とはならないで、二十四年になつて收入となり、貨幣化され又は貨幣に見積られるわけです。從つて税務署のいう新米價に対する標準率は來年度の所得に対する税金の前取りであります。」まあこういう、これはパンフレットの中の大事な点をちよつと三つだけ申上げたのであります。こういうことを農林省の経営課長は言うておるわけなんであります。そうしますと、このことがよい惡いは別といたしましてですね。大藏省はこれとは違つた考えというか、方法でですね、井上さんが指摘する通りつた方法で、今税金を賦課して、井上さんの見解と大藏省側の見解では税金の額には相当の開きが出て來るわけであります。それでですね。これは私がこういうことを書いたのならば、私は別に問題にしないのでありますが、農林省の経営課長がこういうことを書いておるのでありますから、経営課長というものは大したものでありますから、我々といたしましては、それで先ず経営課長というものは農林省を代表しますから、この場合こういう問題についてはですね。大藏省はこれをどういうふうに考えるか。こういうことをお伺いしたいのであります。
  57. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 只今の御質問に対してお答え申上げます。先ず第一点は、農家に対する所得税の課税をいたします場合に、一反歩当り幾らぐらいの所得があるというような計算方法を取つて課税をしておる。この行き方についての御見解のように承わります。この問題につきましては、私共只今御指摘になりましたところの井上経営課長の御見解と別に根本的には変らないと考えます。と申しますのは、申告納税制度に相成りまして、農家が各自の收入金額と、それから必要経費を計算いたしまして、そこに差額として所得が出て來る。この差額を個々の実際に合うように計算をいたしまして、申告をするということができますれば、これは勿論問題はないわけでございますが、その際に、現在の農家の大多数の状態を考えますと、收支の計算が帳簿その他によつてはつきりと出にくいと、かような状況でございますので、そういう場合におきましては、平均的に通常の農家でありますれば、大体どのぐらいの收穫があるか。通常の経費としてどのくらいの経費がかかるものか。それを供出その他の状況を考えまして、普通あり触れた農家であれば、これぐらいの所得になるだろうというような平均的な数字を一應想定いたしまして、これによつて課税をいたしておる次第でありまして、これは課税技術上から申しまして、現在においては必要であり、而も大体負担の点から考えまして、適当な結果を得ておるものと考えております。成る程農家の個々の事情が非常に違いますので、杓子定規の機械的な標準率では、個々の農家の実際の負担に相應しないというのが実情でございますが、その收穫が特別に多かつたり、或いは少かつたり、それから経費が特に多くかかつたり、少くかかつたりいたします場合においては、個々的に調整する方法を取つておりまして、増減を加えるということをいたす建前になつておりますので、標準率の扱い方の技術的な巧拙が税務署間において多少あるとは思いますけれども、この点においては、現在の農家の実情から申しますると、税務署のとつておりまする方針といたしましては、これは御了解願えるものと考えている次第でございます。これにつきましては、経営課の方で、農家の簿記指導を一生懸命やつておられまするので、この簿記指導が徹底いたしまして、正確な記帳ができて参りますれば、その正確な記帳の結果に基いて所得の申告ができる。こういうことに相成りますれば、税務署の所得標準率は必要がなくなります。私共も所得標準率の必要性がなくなりますことが一日も早く來らんことを切望しておるような次第でございまして、この点においては見解の相違はないものと考えております。要するに問題となりまするのは、一反歩当りの標準金額を何程と決める場合におきまして、その何程と決めた金額にあるのではないかと思います。その金額の点は後の方の御質問にありまするところの、この收入すべき金額の計算の仕方、税法の解釈の仕方にあろうと思います。この点につきましては、從來農林省から御提案がございまして、いろいろ研究もいたしておる次第でございまするが、根本的の考え方といたしますれば、私共は現在考えておる方法、つまり御指摘に相成りましたように、或年、一月から十二月までの間に收穫された物の價格によつて農家の所得を計算するのが一番妥当ではないかと考えております。その点は明治二十年に所得税法が施行させまして以來、一貫してとつておる方針でありまして、特に最近強く問題として取上げられましたのは、農産物の價格がインフレの影響を受けまして、毎年毎年飛躍的に上ると、從つて農家におきましては、米作等につきましては、一年の終りの期間に收得されたものを翌年に持起して消費をする、その消費の分量を前の年の價格で計算すれば收入金が少くなるというので、この問題は具体的に取上げられたものと考えております。併し考えて見ますと、我が國の農家は申上げるまでもなく、機械化農業とか、大規模農業等が少いのでありまして、大体におきまして、家族農業というような小規模経営が多いと思います。從いまして、農家の田畑の耕作その他に投下されます労働力が、即ち所得になるというようなことを考えますると、生産物の價格が即ち所得の実体を現わすもの、かように考えた次第でございます。その点はこの委員会でも申上げたことがあると記憶いたしておりまするが、我々雇傭関係に立つておりまする労務者は、賃金として金銭で対價を受取ります。ですからこれが所得の基本と相成りまするが、農家等におきましては、一年の労力が結局、化して農産物となり、從いましてその農産物の價格にその年の農家の労働力に対する金銭的な評價が出て参る、從つて私共が一月から十二月までの俸給その他の收入によつて、課税を受けるのであれば、農家もその一年間の労働力に対して、金銭的な評價によつて納税をするということが、これが負担の公平という面からいつて適当である、さように考えておる次第でございます。で多少問題と相成りまするのは、農家と営業者との價格の値上りの程度が同じであるか違うかという問題でございまして、この点は概括的には営業者は仕入れと賣上げとの期間が短い。農業は一ケ年間あるというところから、農家の方が酷な結果になるのではないかという御見解が一部にあるように考えられておりますが、営業と申しましても商品の廻轉の関係には千差万別でございまして、一概に取上げるというわけには参りません。さような関係からいたしまして、所得税法の現在の基礎控除、扶養控除、それから税率と申しまするものが一應只今のような所得計算をいたすものと決めておりまするので、私共は現在の解釈がよいのではなかろうかという考えでありまして、特にこの点について改正するという意見は持つておりません。このことを農林省の方へもお傳えいたしておるような次第でございますが、農家の負担といたしますれず相当大きな問題とは考えておりますので、十分研究はいたしておりまするが、只今のところ結論は出ておらないような次第でございます。
  58. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうすると第一点で申しますと、税務署が課税技術上、所得標準率というようなものを作つて、税金を出しておる、これは併しつまり課税技術上の、先程経営課長が申上げられたような理由に基く便法としてやつておるものである、こういうふうに私は理解してよろしいのでございますね。
  59. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) さようでございます。
  60. 池田恒雄

    池田恒雄君 それはそういうことにしまして、併しその結果として、それは便法として今日必要かも知れない。併しその結果として井上課長が指摘しておるように、不適正で、不当な所得の査定となつておるような状態です。もう一つは、收入計算が実際收入に過大見積りをするという点であります。こういう事実はあるということはお認めになれますね。
  61. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) その点につきましては前段の不適当であり、不公正であるという問題につきましては、できるだけ実体に合うような計算をすることに努めておりますると共に、機械的であつて、個々の農家に即しないという点につきましては、増減斟酌その他の調整方法がございまするので、これは実行上只今のような難点は相当緩和できるものと考えております。それから過大計算であるというのは、只大の收穫物を、どの年の所得に見るかという問題でございますので、この点は只今申上げた問題と考えます。尚過大計算をしておるということで、農林省の方から御指摘を受けておりまする中には、経費の計算において非常に技術的問題でございまするが、例えば減價償却の方法につきまして、それから肥料その他の計算につきまして問題を提供されている面がございます。大体その程度でございますが、これもいずれも税法の改革の点から、私共といたしましてはその改革に從うものと考えておりますが、尚運用の面におきましては相当ゆとりのある、妥当性のある取扱をいたすつもりであります。例えば減價償却におきましても、現在の税法の考え方といたしましては取得價格を基礎といたしまして、減價償却をいたすというのが建前でございます。ところが戰前における農具その他の取得價格は非常に安くて現在は相当値上りいたしておる。從いまして、或るべく時價によつて償却額を計算しないと過大計算になるという御意見でございまして、この点につきましては、只今問題になつておりまする法人の固定資産の再評價の問題、その他の一連のインフレと税金の調整の問題でございまして、この点については立法的に解決をすることが必要でございまするが、実行面におきましても、或るべくその取得價格の認定等については、最近の時價が値上りいたしておるということを相当加味して、只今問題になつておりまする標準率を作る、かような心組で運用して参つておるような次第であります。
  62. 池田恒雄

    池田恒雄君 それから先程の井上さんの言われた第三点でございますが、その点は大蔵省としては、井上さんの言うようなやり方ではなく、何と申しますか、收獲年次主義と申しますか、それでやつて行く方がいいという御見解、これは一應そういう見解を持たれることは自由なことでございますが、私が先程この質問を申上げますとき第一に言うておつた通り、井上さんは、これは町の評論家じやないのです。町の評論家がこういうことを書いたんなら私は質問をしない。これは農林省の経営課長です。これは重大だと思います。一体農林省の経営課というものは、これは決して最近でき上つた新店じやないのです。これはちよつと年次忘れましたが、農林省が農業の経営及び生産費等についての調査を今日のような形においてやり出したのは大正の十二三年頃じやないかと思う。その前から農林省は農事に関する統計をこれは明治の三四年頃から和綴の美濃紙みたいな本ができておる筈です。これは農林省がずつとやつておるわけです。そういうものが大正の終り頃になつて今の経営課的なものになつて続けられて來ている。こういうものなんですよ。そうしてここには子飼の職人というか、作業員がずつとおつて、そうして農業の経営やいろいろなことについて、調査されて來ておるわけです。そういうところから出たところの一つのこれは答案だと思う。決してこれは井上氏が町の評論家として発明した議論ではないのだ。農林省が明治四年頃からこういうことをやつてつて、而もその政府機関としてですね。政策の基礎とすべく、政府の政策ですよ。民間の政党の政策じやない。そういう政策の基礎として作るべくそういう調査をずつとやつて來ておるわけです。且つこの井上さんという人の経歴を私は若干調べて見たのですが、この方は最近農林省に飛び込んだアプレ・ゲールではないのです。これは農林省の子飼の人なんです。大体農林省の方であるそうです。而もここで育つた人です。それだからこれ以外の者は井上氏を惡く言うことになるか知らんが、職人でと思います。農林省以外の方は容易に持ち得ないと思います。そういう人がこういう見解を出したということを私は問題とする。だから一体政府にはいろいろ機関がある。そうすると大蔵省にはこういう機関がない筈なんですよ。だから私は農業の政策の基礎となる調査というものはこの農林省の調査に基礎を置くべきもので、他の機関に基礎は置けないものだと思う。だから私は農林省のこういう結論というか答案を、こういう機関の調査や経営を大蔵省は否定するかということをお伺いしたい。問題は井上さんの理論が正しいかどうかということを学問的知識は持つておりません、農林省がこういうことを言つたら、政府はこれを採用すべきじやないか、他の機関の結論を採用すべきじやないのではないかということであります。
  63. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 非常にお答えにくい点がございまするが。農林省の経営課が只今のような担当事務につきまして、非常に御熱心に御研究をなされ、而もいろいろの結果を挙げておられることは私も認めておりますし、井上課長ともしよつ中御付き合をいたししております。卓見をお持ちになり、而もこれを実行に移される手腕をお持ちになることも十分承知いたしておる次第でございますが、尚只今の國家行政事務の配分の点から申しますと、税法の点につきましては、私共がその解釈、運用についての一應の責任ある地位にあつて施行して参つておるということは考えておりまするし、それから行政面につきまして、農林省が関係なさつておるということでございまして、この國会において定められました税法の趣旨、或いは解釈が如何ようであるかにつきましては、國会おのずから御決定になる場合があり、それから担当部局において解釈を一定するという場合があります。それから尚これに対する批判は官廳或いは民間として当然行われるので、只今お話通りでございまして、それも非常に権威ある農林省において下した見解であるから、それを尊重するのが至当ではないかという趣旨に承わりました次第でございますが、尚この点につきましては、十分に農林省の御意見を伺いました上、それから只今申上げましたように明治二十年以來の税務の取扱につきまして、税法を如何ように立案し施行し、それから農家の負担を一般の國民の権衡において、どの程度に定めるかというような観点から私共が解釈いたしたところによりますと、少くとも現在の税法が改正になりませんうちは、只今つております方法を最も妥当とすると、かような結論に達しておるような次第でございまして、その結論に達するまでには農林省から御提案になりました御意見を十分に檢討いたしました結果でございまするので、非常に御趣旨に副いませんお答えのように考えますが、御了承願いたいと思います。
  64. 池田恒雄

    池田恒雄君 私はそれを問題にするのではなくて、先ず申しますと、税法を改正されないとどうこうと申しますが、その理論は理論規定であつて法律規定でないのです。從つてこれは税法の改正されるとされないとに拘わらず、政府が理論規定を下して、それによつて一つの指導をされて行けばよいと思います。税法が改正されなければ、井上氏のこの見解は採用しないということはない。それからもう一つ國家は税法に関する仕法を行政配分上分担しておる。これはそうでないと私はちつとも思つていない。それはその通りであります。税法の執行官であるということは私達はよく知つておるから、わざわざ大蔵省から今日お出でを願つておるのです。問題はこれは税法上の問題でない。その税法執行の基礎となる調査は、一体政府機関のどこでどういうことになつておるかいとうことです。私の知る限りでは、農業経営内容、或いは農業の薄記的な内容についての調査機関というものは大蔵省にはなかつた筈だと思う。殊に農業所得税なんというものは正に税金のアプレ・ゲールである。そんなものは日本の大蔵省のどこにあるか。幸いにして農林省の中にあるのです。それ以外に私はこういうものはどうこうという基礎的な資料はないだろうと思います。大蔵省にそういうものはあるのでございますか。
  65. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 私共独善的に農家の経営実情が全部分るかどうか。それに対して現在の税法がどうであるということは毛頭考えておりません次第ですが、農林省で從來厖大な組織と、それから経費を以ちまして調査いたしました材料を一々頂いておりまして、それが重要な私共の参考になつておるということは、これは事実でございます。尚農業経営面から問題を分析いたしました結果と、それから私共多少又税務と申しますか、職業的意識が多少入つて参りまして、それを農業経営の実態を税務の面から多少調整をいたしまして、研究、或いは調査を必要とする場合がございますので、これは農林省の調査その他を基礎にいたしまして、私共が多少又別の調査も行なつておる。その結果を総合いたしまして、農家に対する負担の関係がこの程度であるとかないとかいうようなところまで、一應檢討いたしませんと、税全体といたしましての執行の適正を保つわけにいかないという考えを持つておるような次第でございます。
  66. 池田恒雄

    池田恒雄君 そうしますとやはり大藏省にはまだ充実した機関がないということは明らかなのでございますね。であるとするならば、私は只今農林省の結論がよくても惡くても、これ以外の政府としての足場がないと思うのです。現在のところは……。これが理論上よいとか、惡いとかいう問題でない。とにかくこれ以外にないのですから、何と言われても政府使つて行かなければならんことになるのではないか。それを軽く参考の程度だと、こう言つて、そうして大藏省に何らかのことをやると、そうすると非常に間違い起して來る。それは基礎のない、後で釈明がつかない間違いを起して來る。こういうことに一つはなるのではないかと思います。もう一つ、私は只今課長さんの説明では、大藏省としても何か御調査になつておると思いますが、これは公に御調査になつておるのでございますか。こそつとやつたのでございますか。それを明らかにして頂きたい。
  67. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) いろいろ細かいところを御指摘頂きまして、先ずこの農林省の非常に適切な調査ができておる。從つて政府の意見としてはそれによるべきではないかという御意見でございまするが、一應そういう御意見もおありになることとは考えられまするが、私共の立場といたしますれば、農林省の調査というものがまああり、それから税の方面に如何ように実現するかという問題としては、我々が別途に結論を下してよいものと考えております。併し結論の過程におきましては、農林省の御意見を十分伺うということについては、先程來申上げた通りでございます。尚後程の御質問の大藏省の調査と申しますのは、農林経営的に從來行なつていた調査はございません。それから尚税制改正の必要上特別に行なつた調査でございまするとか、或いは課税の適正、不適正の問題を内部的に批判する材料として調査するというような問題でございますので、外部に発表いたしておるものは多くないと思います。前の議会関係に多少税制改正当時差上げたものがあるかと思いますが、はつきりした記憶は只今つておりません。
  68. 池田恒雄

    池田恒雄君 これは大藏省が結論を出すと申しますが、結論というものは、私は勝手に出せるものではないと思う。やはり結論というものは、一定の公式と計算とがあつて、そうして答案というものが出て來るものであつて、軽く参考にするという程度で、結論というものは出て來ないと思う。大藏省が税務に関連しまして、農家の経済を御調査になつておるというのであるならば、私はそれによつて結論を出すということは、一應その結論は権威があると思う。ところが今のところではないのです。政府機関としては農林省の方が充実しておるし、権威がある。それを軽く横眼で見た程度で結論を下すということは、私は無茶だと思う。これは理論的な規定ですから、やはり理論的に御決定になるべきものであつて、税法解釈云々というようなことで何か法律的ものを以てばつさりばつさりやるべきでないと思う。これは一つ私の意見であり、且つ質問として先ず出して置きます。もう一つは、農林省の今までの調査は、これは調査の方法、私は調査というものは必ず法律か或いは公に発表されておる規則によつてちやんと決まつておらなければならない。農林省の調査は、そういう農林省の規則で決まつておる。公にされておるが、且つ調査は公開で行われておるわけです。調査の結果は前に発表されております。私は税金なら税金を取る、或いはその他政策なら政策を実行するという場合に、そういう明るいところで出て來たところの試驗成績の上に立つて行われるべきものであると思う。ところが大藏省ではいろいろな御調査をおやりになつておると言われておるか、それは一定の方法を公に約束して、且つその調査の方法は公開で行われておるかどうか。若し公な方法を約束し、公開で行われておらないとするならば、私は公の法律で行う税金の基礎として相当無理であり、独裁的であると思う。その点に対する大藏省の御見解をお願いいたします。
  69. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 前段の御質問につきましては、先刻から繰返したと思いますので、この点は私共の見解といたしますれば、税法を執行する場合においての解釈運用の点については、政府部内として農林省、或いはその他の部局と十分意見の交換を遂げた上で執行して参るということに考えておりまするし、尚只今の問題は、差当りの問題といたしますれば、税法の解釈運用の問題であると、まあかように考えておりまして、尚この問題が現在農林省ばかりではなく、各農民團体も一致したような御意見として現われておりますので、政治問題としても十分取上げて檢討されるべき問題だと思われます。さような程度におきまして、この問題を御了解願いまするようにお願いしたいと思います。それから後の問題といたしましては、大藏省の調査は、いずれも税の徴收に関して公式的な調査方法というのを公開して調査をするということは、恐らくこれは不適当であろうと考えております。で発表する場合にも個人の財産関係に影響のあるような発表はこれはできかねると思われますので、発表する場合にも相対的な負担の傾向を示すものとか、或いは收入支出の傾向を示すものとか、そういう概括的な公開方式に讓ることは、異なる性質上不適当であろうという意見を持つております。
  70. 板野勝次

    板野勝次君 それと関連するんですが、現在農民への課税が適正妥当に行われておるように思つておるかどうかという点、それは先刻の課税の問題について課税標準を示すのは便法であるということ、便法ということと適切ということは違うという説明があつた通りでありますが、現在まで行われて來た。ずつと遠いことを言わないでも申告制度をやつて以來今日まで農民への課税が妥当であつたかどうか、先ずこの点をお伺いします。
  71. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 申告納税制度がとられたのは、昭和二十二年以來でありまして、昭和二十二年におきましては、税務署も相当事務多忙で調査が徹底いたしませんのと、納税者も最初の申告納税を認めて、從來は所得税の課税圏外に置かれた大多数の農家が納税者として入つて参りますというようなことからして、相当混乱を惹起したことにつきましては十分事情は認めて参りたいと思います。昭和二十三年につきましては、税務官署側においても調査が相当慣れて参りますると共に、充実して参りましたのと、それから農家の側においても納税に対する認識が出て参りましたのと、もう一つは闇取引の分量が非常に少くなつて闇取引に対する所得金額の多い少い、あるなしを爭うというようないざこざが少くなつたために、昭和二十三年分は相当改善されたと思つております。但し私共の給與所得に対する課税のように俸給の金額がはつきり分つていた、そのはつきりした金額によつて徴税をするというような方式に参りませんことは、先程申上げました標準率によつて相当多くの農家について所得を計算して課税をするという方式をとらざるを得ないような実情がございますので、その点につきましては申告納税制度を本來の趣旨そのままに行われているかどうかということにつきましては、遺憾ながら実情として只今申上げましたような便法による改正が相当行われておるということを申上げざるを得ないと思います。全國的に非常に達観的な数字で、ここで申上げることを憚る次第でもございますが、約半数の農家につきましては確定申告によつて申告をされた、所得金額税額によつて済んでおる。全体の農家の約半数くらいは更正決定を受けたことになつて、昨年とは相当違つておるとかように考えておる次第でございます。
  72. 板野勝次

    板野勝次君 それでは農民への課税が不適切であつた場合もいいし、それから苛酷でもあつただろう。こういうふうに理解していいわけですね。その問題については……。つまり非常に混乱を來したという中には、軽ければ混乱を來す筈がなかつたので、非常に苛酷に扱われて來たために混乱があつた。こういうことではないかと思うのです。
  73. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) その点は私共さようには考えておりません。二十二年度につきましては、税務署の調査が十分行き届くというところには参らなかつたということを申上げましたのは、所得標準率によつて大多数の農家に申告をして頂き、更正決定をするという方式を採りました次第でありまするが、その外に尚闇所得に対する課税という問題につきまして、相当これは推定所得の計算ということが中に織込まれて参りまして、このために推定が的確であるか、不的確であるということについて問題がございました。これがために苛酷な課税が行われておるとか、それから非常に実情に即しない課税が沢山あつたということについては考えていないつもりでございます。ただその計算の方法、それから推計の金額程度につきまして、相互にお互いに立証することの、立証の材料のないような問題について、いろいろ混乱を惹起した。かような意味で申上げた次第でございます。
  74. 板野勝次

    板野勝次君 それでは何故その本省は課税等について努力目標というふうなものを作られて、下部末端の税務官良を指摘をしておやりになつているか。適正にやるものならば予め努力目標というようなものをお作りになつて、末端にお渡しになる必要はない。努力目標があるという蔭には相当無理な面もある。こういうことが予想されて來ると思うのです。若しそうでないならば、適正におやりになるというならば、中央から何も努力目標というものを下部に押し付ける必要がない。それを現におやりになつていられると思う。
  75. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 努力目標の御質問が出した次第でございますが、このことにつきましては、從來数回申上げておると記憶いたしておるのでございますが、要するに経済界が不安定でございまして、而も正常取引よりか、正常ならざる取引が非常に多い。從いまして所得の捕捉が非常に困難である。その外に税務官吏につきましては、中堅の分子が非常に少くなりまして、新らしい職員が相当増加しておる。從いまして調査の能率なり、能力なりが相当低下いたしておりまするために、適正に税法の執行が行われた場合に、税務官吏の方におきましてもできるだけの努力をいたす、その結果租税の收入額が、或いは財務局として、或いは税務署としてどの程度ぐらい予想できるか。これが努力目標の趣旨でございます。從いまして適正に税法が執行された場合の目標といたしておりまするが、この計算につきましては、個々の税務署に対してそれぞれの事情によつて計算をするという考え方もございましようし、それから理想的な数字といたしまして或る一定の基準によつて計算いたしまして、その実情を、例えば病氣で欠勤した人間が多いとか、或いは或る村の納税の成績が非常によくて、或る村の納税成績は從來惡かつたと、こういう傾向を一々見るということを省略するという行き方がございまして、実を申しますと、大多数の場合はこの折衷案でできておりますような関係からいたしまして、徴税の努力目標と收入の実際というものが必ずしも一致しておらないというのが実情でございます。で只今御指摘になりました問題の実情は、多分收入目標を超えて相当收入が入つている。こういう関係であろうかと思われますが、この点につきましては、二十二年分、或いは二十三年分として計算いたしました税額のうち、二十二年に入りますものと、滯納になつて翌年に繰越すものとの関係がございます。從いまして本年度に八〇%入るものとして目標を定めておりまする場合に八五%入つて滯納が翌年に一五%きり繰越さないということに相成りますれば、努力目標よりか五%だけ歳入の実收は増加すると、かような傾向になりますので、かような目標と実收額との当然の性質上の相違から参りまして違うが出て來るという点を御指摘になつたのであろうかと考えておる次第でございます。
  76. 板野勝次

    板野勝次君 それでは先程ここで言うのはどうかという話でしたが、或いは秘密会にしても何でもいいですが、申告制度ができて後の申告と、それから更正決定、それから努力目標というものがどれだけの額であつて、どういう計算の基礎の上に立つて努力目標を作られたか。そういう具体的な内容を示して貰いたいと思います。そういうことと、それから一体課長は現在の供出の米や麦や芋の生産費が一体償つておるのかどうか。それに対する見解を一つ示して貰いたい。先ずその生産費を償つておるかどうかというところに、今の税金が苛酷であるか妥当であるかということの問題も一にかかつてここにあると思うのです。而も農村というものが税務署が大体の標準を決めて所得は幾らだといつて見たところで田一枚何して見たところで、それを沢山作るところと、ほんの小さいところとは違うし、更に地方の状態と種々樣々であるのであります。一方標準農家というものであつても、同じ五反やつてつたつて地方の状態がいろいろ違つて來ておる。而もそれを農業の專門家が徴税の第一線に出ておるとは思われないので、そういうことで逆に標準所得というようなものを押付けて行くと、結局はそれをも基準にして行つて、一町作つておる者も五反作つておる者も、それから地方のよいものも低いものも何もかも一ぱ一からげにして行つて、そうして努力目標を丁度大根を切つて割当てるような状態で事実上下に押付けて來ておる、こういうことになつて來ておると思う。從つて今の米、麦、芋に対する計算から生産費を償つておるかどうか。ここに問題があると思う。
  77. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 後の問題からお答えさして頂きたいと思いますが、農産物の実情生産費を償つておる價格であるかどうか、こういうお尋ねにつきましては私共は所得税を解釈して運用いたしまする場合におきましては、收入の金額から必要の経費を引いたものを所得と見るということになつておりまするので、その場合の解釈といたしましては、自家労力は所得になりまして必要経費にならないということを基本としておりまする関係上、現在のあのパリティー構成による所得の價格の構成からいたしますれば、当然に所得は出て参ると、まあ災害等の場合におきまして相当経費は投下しておりまするに拘わらず、收穫面が減つてしまつたという場合におきましては、農業共済金の收入がないような場合におきましては、マイナスが出るというようなな特殊の場合は考えられまするけれども、一般的には私共は所得としてそれを考えております。價額が只今いろいろ御研究に相成つておられますような関係で、生産費を償つておるかどうかという問題につきましては、私共といたしましては税法の問題外というように考えさして頂きたいと思います。  尚努力目標の計算につきましては、只今衆議院の予算委員会の中に小委員会が設けられまして、大体非公開という関係でいろいろ御説明申上げている次第でございますが、この点につきまして極めて概括的なことでありますれば、同じような形式で申上げさして頂きたいと考えております。
  78. 板野勝次

    板野勝次君 私は概括的でなく詳細に示して貰つて、非公開であつてもこれは一應檢討するように委員の方々の御賛成を願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)〔池田恒雄君「結構だがね、そういうものを非公開にするという理由が分らないですよ。」と述ぶ〕  それじや尚今、その税法の問題と、それから生産費を償つておるかどうかということは別問題だという話がありましたけれども、併し経費は償つておるかどうかということを基礎にせずに、税法だけで以て、だから机上プランの税査定が行われて來るのだと思うのです。現実に償つているかいないかという基礎の上に立たずに、税法だけ幾ら守つてみたところで、物が一体どれだけの経費を掛けて作られたのか、どういう支出があるか、そういう基礎を無視してしまつて、税收入というものは絶対にないのです。そういうことをおやりになるから下部において実情に即さんということになると思いますが、そういうことは償つていようといまいと、そういうことは税の取立に関係ないと言われるわけですか、その点を一つはつきりさして頂きたい。
  79. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) その点につきましては、立法の問題と行政の問題と二つあろうと思います。立法の問題といたしましては、現在の農産物の價格と、それに対する我々の考えておりまするような必要経費の面と、それから農家の生活費というものを檢討いたしました結果、税率なりその他の負担関係なりが決まるものと一應考えております。この点に関しましては税法改正の問題等といたしまして、只今大藏省部内におきましても相当檢討いたしておる次第でございまするが、現在の法規の解釈の問題といたしますれば、現行價格の中で所得が出て参ると、かようにまあ一應考えておることを申上げた次第でございます。
  80. 板野勝次

    板野勝次君 今第一課長は立法々々と言われますけれども、立法というものはただ税の問題でなくして、國のいろいろな産業、いろいろな生活というものが立体的になつて総合されて、初めて諸立法というものが行われるのであつて、立法というものが大切なので、それば先ず優先するのではないと思う。社会生活というものが先ずあつて、そうしてその上に秩序、いろいろなものを維持する上に必要だし、そうして國の收支を賄うために必要だからこそ税法というものがあるのだ。あなたは税法のために生きておられるように今のお話では聞える。これは全く実状に適していないので、あなたがそう弁明されるよりも、率直に問題を認めて貰い、そしていけない点を改正されるというのが徴税の收税官としてのとるべき使命じやなかろうかと私は思う。そこでその問題を繰返しておつても仕方がないのですが、ここに農業所得税折衝に関する経過概要というものを農林省の農政局から出しております。その中から拾つてみますと、三月の、これは多分昨年の三月二十九日だろうと思いますが、農政局長より大藏省主税局長に対して非公式に申入れた文書が載つておるわけですが、その中に、昭和二十二年の農家所得税に関する非公式の文書の中にこういうことを書かれております。「現在の農家の実情を観察するに、二十二年産米に対する供出負荷量は例年よりも実質的に加重せられ、いわゆる闇收入の余地は急激に縮小し、その上農業用資材等の騰貴は農産物の値上りを上廻つて、曾てのいわゆる農村インフレによる好況は夢散し、本年の春耕期をひかえて農家の資金枯渇の状態は甚だしいものがある。今回の課税は潜行的な恐慌状態に拍車を掛け、農業生産力の発展を萎縮せしめる虞れがある。その上負担の不均衡が農家の供米及び財政負担に対する良好な熱意を放棄せしめる傾向をも看取できる。農家の担税力の限界を考慮し、その凹凸を調査する必要が認められる。よつて左記によりその調整の應急的措置を講ぜられることを希望する。」というので列挙せられておる点が五項目あります。その五項目に対して何ら大藏省はこれに対して回答をされていなかつた。こういうことが指摘されておるわけなんですが、これは全く先程來池田委員に対する課長の答弁といい、私の質問に対する答弁といい全く農村の問題が何であるかということをお知りになつていない。つまり農林省の方は、勝手に農業の問題をやつておるのだ。大藏省の方はあなたの言葉を以て言えば、税法の建前から言つておるのだから、何もそういうことは関係ないのだ、こういう建前が率直に今表明された。そのことが昨年の三月二十九日の農政局長が大藏省の主税局長に対して出した非公式文書に対する回答がなかつたという点ではつきりと示されて來ておる。而もそれの中にはパリティー計算による。パリティー計算を使用しておるのだから、これを一つ更正決定に当つても、パリティー計算によつて算出した所得を考慮に入れて貰いたい。而も我々の見解では、相当この農林委員会におきましても、これは全員がパリティー計算というものが、現在尚シェーレの大きいということを認めており、生産費を償つておらないというのは、農林委員の最後の一人まで認めておる点だと思う。こういう点を無視されておる。それで何故そのときに回答されなかつたか、これを一つ
  81. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 御書面を頂きました次第ですが、農政局の担当官の方には、一應私共の抱いております見解をお傳えいたしまして、この照会に対する回答として大藏省の考えておるようなことをそのまま又御返事を差上げるということに相成りますれば、政府部内における見解が違うというようなことで、これが何らか又不都合を來すこともよろしくないというようなことを申上げて、一應大藏省の見解はお傳えいたしまするが、書面としては差上げたくないからということを申上げておつたような次第でございます。尚御指摘になりましたパリティー指数によつて價格が定められておるので、パリティー指数によつて所得を計算するか、こういう問題が提起されておりますけれども、パリティー指数計算になりました基礎年次におきまする必要経費の構成と、最近における必要経費の構成とが相当違つておりまするような関係もありまするし、それから何回も税法ばかり持ち出してえらいどうも恐縮でございますが、やはり税法といたしますれば、計算の方式が一應定められてありまするので、理論的にはこの税法の規定によつて計算する必要があると思います。從いまして價格がパリティー計算によるから、従つて所得のパリティー計算というような行き方には参らない。それにつきましてはパリティー指数の構成内容と、それから農産物の收穫に対しまする所得計算の内容の必要経費の構成が相当違いまするので、それを理由といたしまして、そのお申出には應じ難いという御返事を差上げたような次第であります。
  82. 板野勝次

    板野勝次君 それではパリティー計算に対する大藏省の具体的などういう見解の上に立つておるのか、そういうことを今ここで言つても具体的には答弁できにくいかと思いますが、更正決定等の問題をここで明らかにして貰う場合に、パリティー計算の問題においても尚この農林省の申入れは我々は、この申入れが正当だとは思つていない。これでは生ぬるいと思つておる。併しその生ぬるい農林省の言うことでさえも大蔵省は受けつけずにひとえに努力目標額を農民から搾り上げる。これ以外にない。而も農林省が指摘しておる中にはパリティー計算でやつておるけれども闇所得の査定については多額な闇経費を要しておるから、そういう実情を考慮して貰いたい。こういうことまで附加えておる。ところが末端に行つておる税務署の役人なんか、そういうことは知りやしない。大低若い役人が出て來て、米が一体今何んぼしておるのか、労賃が何んぼしておるかということは、こまいときから百姓で育つて來ておる人達が行つておるのではないから、実際には分らない。而も税法を本当に質にするなら、田が一枚一枚違つておるのに対して一枚々々違つた計算が出て來る細かい計算の上に立つてつておられるというならば、あなたが今税法を持ち出して來られて税法通りつておるということになるが、何か自分の方で、非公式のものを決めて置いて、闇手帳のようなものを出して來て押しつける。これは税法を税務署自体が守つておるとは言えぬ、非合法的なやり方をやつておるということは、あなた自身が末端を監督されたならば、これは率直にやり方が間違つておるのだということを認められると思う。
  83. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今努力目標というのが出ておるのでありますが、努力目標と税の実收高の結果をお示し願いたいと思うのであります。私の聞いた範囲によつて見まするというと、税務署は本当に税法によつて課税しておるのかどうかということがあやしまれるのであります。課長は今税法によつて課税しておるのであるとお話しになつたのでありますが、私の聞た得た範囲においては、なぜあなたはこれだけの追加課税をやつたかとこういう質問をしたところが税務署員曰く、勘でやつたのだ。普通のものはこのくらいの闇取引はやつておるものであると信じて勘でやつたのだ。それが不服であつたならば、異議の申立をしろ、異議の申立をした場合において、一銭と雖も、間違いがあつたならば、罰金をかける、こういうふうなことなのであります。それで一方の方では神ならん身であるから間違いがないとは限らない。それであるから若し間違いがあつたならば、追徴金はとつてよろしいけれども、罰金をかける必要はないじやないか。いや僕の方は罰金をかけるのだ、罰金を出した方がいいか、これだけの税金を出した方がいいか、考えて返事をしろ、こういうふうに脅迫的の態度で徴税しておられるのでありますが、それでは課長は法律從つて課税を適正にしておるとお考えであるか、この点お伺いしたいのであります。
  84. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 只今御指摘を受けましたような具体的事実につきましては、これは税法通り運用しておらないことでございまして、これは嚴重に注意を與えてやる必要あるものと考えております。
  85. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農業の生産の大部分というものは自家の労力である。その自家労力は生産費とは認めない。であるから農業というものは必ず或る程度の利益があるものである。こういうふうなことでありますが、私などは農業を現在やつておるのは、自分の所有の土地に自分の思うような栽培をし、思うよすな値段で賣つて、自由が認められるならば、それでもいいと思うのでありますが、現在の農業の経営のやり方は、國家が事前割当をやり、値段を決定し、供出を命じている。一方から言えば、國家管理の下に農民は使用されておる、こう言つても差支ないのであります。こう考えて來れば農家というものは、政府食糧生産に対するところの使用人と同樣であるのであります。然りといたしましたならば、現在の農家に対しては自由経済であるならば、今課長のお話通りでいいけれども、現在のような統制下にあつては、これは労力というものを生産費に見積つて行くのが適当であると考えるのでありますが、かくのごとき統制下にあつてでも農家の労力というものは生産費に入るべきものにあらずという考えであるのであるか、この点お伺いしたいのであります。
  86. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 只今いろいろ詳しい例を挙げられまして、お尋ねがございましたですが、極めて事務的な、結論だけ申上げるような結果に相成りまして恐縮でございまするけれども、先程申上げましたように、給與所得者でございますと、その労力に対する報酬が一應所得に相成りまするが、農家におきまして、自分の労働力、家族労働力によりまして收穫を得る。その以外には農家の生計を維持するものがないという関係からいたしますれば、その自家労力が物によつて評價されてそれが所得になり、かような考え方が租税を國民の全部が一應負担して、國家を維持する、或いは國家の発展に貢献するという観点から申しましたならば、一番合理的な考え方ではなかろうか、かような観点からいたしまして、先程來申上げましたような見解を述べた次第でございます。
  87. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今説明によりますと、農家は家族労働によつて仕事をしておるのだ、こういうようなことから考えて來て見たならば、農家に対する課税をする場合においては、基礎控除をやる場合に、農家一戸に対する基礎控除じやなくして、働いておるところの農家労働者について、全部平等に基礎控除をやるべきものと考えるのであります。例えば五人の家族であつて現在ではただ一人控除されるのでありますが、五人全部働いておるということであつたならば、五人とも平等に基礎控除をやるべきものと信ずるものでありますが、五人とも働いておるところのすべてのものに対して、基礎控除をされる考えがあるかどうか。又現在の一万五千円の基礎控除額は物價の騰貴に從つて増額せられる見込があるかどうか。増額せられるとしたならば、どのくらいに増額せられる見込であるか、御意見をお伺いしたいと思うのであります。
  88. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 一戸の農家の中に農業從事者が数名ある場合に、各人に基礎控除を行うことが適当じやないかという御意見につきましては、農林省からもさようなお話がございますし、各農民團体からもさようの御見解が示されておりまして、これは只今檢討中でございまするが、將來税制改正を行います際には必ず研究項目の一つとなりまして、解決される問題であろうと考えるのでありますが、その結果につきましてはここで申上げることはできないと思います。從いまして一万五千円の基礎控除が如何ように変更されるかという問題につきましても、これも今度行われます税制改正の問題といたしまして、農家の負担がどの程度に定まるかということによつて定まるべきものでありますので、これも只今その額をどうするかということを申上げることはできない実情にございますので、御了承願いたいと思います。
  89. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今働いておる農家家族全体に対する控除は考え中ということでありますが、考え中というだけではできないのでありますから、速かに決定せられるようにお願いしたいと思います。又物價等の騰貴によつて一万五千円は少な過ぎるのでありますから、これも速かに増額せられるようにお願いするのであります。次に私などは日本の再建というものは食糧の確保にあると信ずるものであります。又今回食糧確保臨時措置法提案理由にも政府はそういうふうに説明をしておるのであります。してみますというと、政府はあらゆる方法を以て増産の奬励をやり、供出の奬励をやらなくちやできないのであります。又今回追加割当をする法律を作るのについて、その筋からは相当報奬措置を講ずるようにという助言があるのであります。こういうふうなことから考えて見ましたならば、農家の努力によつて早場米を供出するとか、或いは超過供出をするとかというような場合においては、國民全体は日本の再建のために努力した農家に対して感謝の誠を棒ぐるために免税の特典を與えるのが適当であろうと考えるのでありますが、そういうふうなことを考えておられるかどうか。若し免税ができないということであつたならば、総合課税ということじやなくて、それらの農家に対しては源泉課税をするようよ方法を取るのが適当であろうと思うのでありますが、この点についてのお考えはどうであるか、先ずお伺いしたいのであります。
  90. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 非常に重要な問題と考えまする次第でございまするが、今度の戰爭前におきまするように、租税政策の中にいろいろな経済政策その他を織込むことが適当かどうか、かような問題に相成ると思います。この点につきましては、最近の所得税の建前は、一應所得の多寡に應じて累進課税率による負担をするというのがこれが建前のようでございまして、この建前が特殊な事情によつて変更されるということにつきましては、非常に消極的のように考えます。從いまして内閣全体の問題といたしまして、免税にするか、或いは源泉課税にするかという問題を深刻に討議して頂くことになると思いますが、現在の情勢からいたしますれば、免税はこれは殆んど困難であり、源泉課税を行いますることにつきましても支障が非常に多い、実現の可能性はこれは考えまするところによりますれば、非常に少いというように只今見通しを付けております。この点につきましては、政府の問題といたしまして解決をするというような方向で処理さるべき問題でございまして、これは事務的には非常に申上げにくい問題と考えるわけでございます。
  91. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私などはさつきも申上げたように、日本の再建のためには、それは増産が一番必要である。これが一番必要であるとしたならば、政府はあらゆる奬励政策を講じなくちやできないのであります。然るにこれに対しては免税もできない、源泉課税もできないというような御答弁であるのでありますが、然らば富籤のようなものを伏府で奬励してあられて、それに対しては免税をする、國民を養わなくちやならない重大なものに対しては源泉課税もできない、政府食糧政策に対する根本方針が那辺にあるか、又その筋から報奬の措置を講じなければできないと言われておりながら、報奬的の措置を講ぜられないところの理由はどこにあるか、この点をお伺いしたいのであります。
  92. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 報奬の問題と関連いたしまするのですが、この問題は私共いろいろ考えさせられる問題があると思ますが、基本的に報奬的に相当優遇をいたしまして、そこで供出その他の実現を図るという問題があろうと考えますが、これと免税の問題を両建にすべきか、一方が外されるか、又かような観点に相成りますると、或る方面の見解によりますれば、相当財政資金多額に必要であつて、この負担は國民全般が負担すべきである。而もその負担の税額はいずれ國民共同の利益のために還元されるというような観点からいたしまして、所得がありますれば、その所得の金額の大小に應じて納税をするのが、これが本当の民主的な行き方であろうというような観点からいたしまして、報奬的にいろいろ措置することは、これは只今の税の問題と違いまするので実行に移されると思いますが、税の問題につきましては只今のような観点から相当難色があるというように私共考えておる次第でございます。尚極めてこれは理窟ぽいことでございまするが、宮籤につきましては、現在政府が当籤賞金付きの賞金を出すということになつておりまして、この宝籤の当籤金につきましては、いずれは國庫が負担する金額のものであり、その当籤金の最高額について富籤の利益が左右されるというために、相当金額を大きくする必要がございまするが、税を取ることにして最高額を大きく決めるか、税を取らないことにして最高額を多少低く目に決めるかというような観点で、この免税の規定が入つておるようにしたいと我々考えておる次第でございますが、食糧の方は一應國家の会計は通りますけれども、最終的に消費者の開館になる金額でございまするので、政府資金が免税をしたために多くなるとが少くなるとかいう問題がないというような理由を以ちまして、宝籤の当籤金と同じ取扱にすることは不可能である、かようなことを考えておる面もございます。一言申上げて置きます。
  93. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 超過供出その他のものに対する累進課税をやるといたしましたならば、二倍或いは二倍半、三倍に買つて頂いても、その累進課税の結果は超過供出をしなかつた方が却つて收入は増すというような結果になるのであります。そういうふうなことになつたならば、如何に一方の方において超過供出の奬励をしてでも自然超過供出は鈍るようになつて來る虞れがあるのでありますから、私などは農家が喜んで供出をするように、又そういうふうなことをして超過供出をしてでも自分の働いたところのものは全部税金にはならんのだ、一部は自分の收入になるのだというように、喜ばせながら供出をさせられる方が適切な方法であると信ずるのでありますから、大藏省において税金をいろいろ決定せられる場合においては、農民の好むところに從い、日本の再建ができるようにして、且つ税金もうまく取れるような方法を講ぜられることを希望いたしまして私の質問を終りたいと思います。
  94. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 税の問題は改めてもう一度ゆつくり而もできるだけ早い機会にやりたいと思いますから、大藏省も一つ……
  95. 池田恒雄

    池田恒雄君 時間もありませんし、私は余り問題が抽象的になつてつては面白くないのでありまして、ここに茨城縣の土浦税務署から課税標準がございますから、それをここで読みまして、その上で御回答頂けば結構でありますが、そうしますと速記の方も過労になりますから、それを省略しまして、あなたにこれを差上げますから、この次に御回答して頂きたいと思います。但し私が今までしばしば文書質問いたしますと、いつもラジオ演説のような答弁を頂いております。これは非常に当を得ておりません。それから実際の調査をなさらないであの答弁をしております。これは政府当局として誠に無責任だと思います。課長さんもおいででございますから、大臣の答弁ならいざ知らず、課長さんの答弁なら具体的に答弁されるのが本当だと思います。これを差上げますから是非そういうふうにお願いします。尚私は農林省の方の調査がこの際、是非必要と思いますから、農林省からしばしばいろいろの資材を頂いておりますが、この際、私は農業経営、或いは経営調査とか、生産費、物價、労賃、その他の資料があると思います。そういうものが私は課税の標準を決める根本になると思いますから、それを是非出して頂きたいと思います。いろいろ今まで貰つておりますが、改めて出して頂いた方が整頓されていいと思いますので、その上きちんと数字を合せてお答え類います。
  96. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 一應來週の月曜日の十時から税の問題を改めてやるというふうにいたしたいと思います。
  97. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大変恐縮ですが、会期延長の問題で常任委員長会議をやつておりまして、今呼びに來ましたから私はそちらの方に参ります。尚油糧公團基本金の問題が残つておりますから、これは続けて頂きます。それから午後一時から本会議があるそうですが、農林委員会と内閣委員会は本会議に出ないで委員会をやつてつても結構だという議長の承認を経ておりますから、やつて頂きたいと思います。それからもう一つの問題は、農業資産相続法の関係で、法務委員会との連合委員会を一應一時に予定しておりましたが、本会議の関係から。これは本会議散会後にやつて貰いたい、こういう希望もありますから、そうやつて頂きます。    〔委員長退席、理事藤野繁雄委員長席に著く〕
  98. 板野勝次

    板野勝次君 油糧配給公團の從業員組合の者が來まして、油糧公團食糧公團に吸收されるを以て陳情したいといつておりますから、これは散会の直後でも農林委員の方々に極めて短い時間で聞いて頂きたいと思いますが。
  99. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 承知いたしました。
  100. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 油糧公團に対する政府の方針を一つお尋ねいたします。資金に困るのは油糧公團ばかりではないと思うのですが、その中でも一番みじめなのは食糧公團は割合にいいようでありますが、そこで全くその公團の事業の運営が非常に困るようになる公團があれば、その公團に対しては銀行の融資も非常に困難であるから、これに準じた考えをするお考えがあるかどうか。それからその次は從來の一千万円であつたものが十五億一千万円になつて、これは想像のつかん増資の仕方なんです。併しながら輸入関係があつて止むを得ないということでありますから、できることになると思いますが、政府出資であるから金利は一銭も要らん。これが若し市中銀行なり、その他から金融が振替えられれば、金利を拂わなければならんことに相成りますが、政府出資の金利が要らんとすると、その金利に対するものは、配給を受ける需要者の價格がそれだけ安くなつて來るのか、又公團が剰余金として得たものを政府で指令を出して取上げるというのか、どつちにさせるのか聞きたいと思います。
  101. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 前段の御質問につきましては、食品局も関係するところでございませんので、折角ですがお答えはできませんが、実は昨日衆護院の農林委員会で同樣の御質問がでまして、安本の生活物資局長が答えておりましたのでありますが、でき得る限り他の公團についても同樣の問題が起れば、同様な解決の方法をとつて行きたいというような趣旨で答弁をいたしておつたように思いますので申上げたいと思います。それから公團の方の御質問につきましては、これは剩余金が出て参りますれば、剩余金として國庫に納付する、そういう恰好でいたしたいと思つております。
  102. 加賀操

    加賀操君 今のお話ですが、この十五億一千万円に対する公團の事業計画なり、或いは收支予算についてですね。この金利を見てあるのですか、ないのですか、それをお答え願います。
  103. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 公團といたしましては、当然或る程度借入金も予定しなければなりませんので、一應事業計画におきましては、若干の借入金に対する金利は事業計画上は見ておる筈であります。
  104. 加賀操

    加賀操君 十五億円に対する金利でございますが……
  105. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 十五億円に対する金利は勿論見ておりません。
  106. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 前に私からお聞きをしたのと、加賀委員の聞いたのと総合して伺いますが、公團としては市中銀行から金を借りれば十五億という莫大な金の金利が要ることになるのでありますが、政府資金であるから金利は要らないという考え方でやれば、必ずそれだけ扱う品物は安く配給されなければならん筈だと思う。ところがそうでなしに政府が剩余金として取ればそれでもいいわけなんですか、どつちなんですか。
  107. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 先程お答えいたしました通りに、この剩余金として出ました場合に、國庫に納付するということによつて処理するつもりでございます。
  108. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 剩余金が出ました場合というが、必ず出なくちやならんと思いますが、その点どうです。
  109. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 恐らく出るだろうと思います。
  110. 板野勝次

    板野勝次君 ちよつとこれくらいにして、油糧公團のあれを聞いて頂きたいのですが……若し午後も委員会をやるならば休憩にして……
  111. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 板野君の方から質問を打切るという動議を出して下さい。
  112. 板野勝次

    板野勝次君 僕の方からちよつと……。人の質問を閉じるようなもので、発言を封じるようなものでどうも……
  113. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 御質問があつたらどうぞ。
  114. 門田定藏

    ○門田定藏君 どうです十五分ぐらいで済むならばとにかく、午後一時半からあるならばどうですね休憩にしては……
  115. 板野勝次

    板野勝次君 今日は委員会を散会するのではありませんか。
  116. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 公團委員会は質問を……
  117. 板野勝次

    板野勝次君 外のことをやるのですか。
  118. 池田宇右衞門

    政府委員池田宇右衞門君) 法務委員会に対する合同委員会をやりますよ。
  119. 門田定藏

    ○門田定藏君 質問があつたら、これは一應打切つてはどうです。
  120. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  121. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 速記を始めて。
  122. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 どうも局長の言い分は安心が行くわけにはいかないのです。と申しますわけは、十五億という大金ですから金利が浮いて來るだろうというのでなしに、必ずあるから、これはこうあるべきだと、それから事業計画も、どうにもはつきりしないらしい。何だか油糧公團が非常に白眼視して見られておるような立場にあると見ますので、これは十分御監督にさるのでしようが、十五億の大金ですから、一年だけ借りましても、計算しておりませんから分りませんが、相当大きな金利が出ると思います。それは必ずそうであるからそうするという、はつきりした御答弁があると、そのつもりで御監督なさると思いますが、あやふやにして、だろうぐらいにして置くと、だろうぐらいの監督しかできなくて、結局結果が面白くないと思いますから、その結果をはつきりして貰いたい。
  123. 池田宇右衞門

    政府委員池田宇右衞門君) 私からお答えいたします。只今御指摘の通り、今まで一千万円の運轉資金が十五億という資金増加でございますから、御指摘の通り金利が出るのが当然であり、又出た金利は政府資金の融資を受けたのでありますから、剩余金といたしまして、政府に納入することにいたしたいと思います。又いたすのが当然と思います。而してこれが監督には、十分に監督に嚴にいたしまして、その報告を取りたいと、かように確信を以てお答えいたします。
  124. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 どうも次官も取りたい。やりたいと言うが、やらすとこういうふうでないと……そこが問題です。
  125. 池田宇右衞門

    政府委員池田宇右衞門君) そういたします。
  126. 板野勝次

    板野勝次君 提案理周の中にも貿易廳に対する輸入代金支拂も円滑でなく、資金操作に困難を來すようになつて参りましたと、こう説明されておるのです。それから先程私はちよつと聞き違いがあるかも知れませんけれども、貿易廳に対して、十五億円未拂ができておる。こういうことだつたのですが、その未拂ができておる事情についてちよつと承わりたい。
  127. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 油糧公團といたしましては、一定の資金を持ちまして、その資金で以て貿易廳支拂をしなければならんわけであります。ところが御承知通り昨年二十三年度中におきまして、先ず復興金融金庫からの借入れが、輸入物資に見合うように借入れができなかつたわけであります、從つて輸入物資は入つて來る、從つて貿急廳から買取りはしておるけれども、支拂うべき金がない。從つて段段拂うべき金が延び延びになりますのが十億とか十五億とかいうふうに溜つて來るわけであります。
  128. 板野勝次

    板野勝次君 その輸入されたものを、今度は例えば加工用の工業用の油脂を工場に渡したと、そういうふうなものが未收入になつて來ておる、こういうふうな傾向はないのですか。それはもう完全に未收入等はなくて、代金決済の不始末というものはないわけですか。
  129. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 勿論掛金も若干のものはあるわけであります。ただ金然回收未済というものは、まだ発足いたしましてから一年にしかならないわけでございますので、そういうものは勿論まだできておりませんけれども、賣拂つたものの代金の回收が少しずつズレと参るということは、勿論あり得るわけなんであります。
  130. 板野勝次

    板野勝次君 それズレとおるというのが、どの程度になつておりますか。
  131. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) それはその月々によりまして違つて参りますが、例えば昭和二十三年の九月三十日現在におきまして、ここにたまたま手許にありますのでお答えいたしますと、未收入金がこのときにおきまして三千七百万円になつております。    〔理事松野繁雄君退席、委員長著席〕
  132. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 板野さんに申上げますが、その問題は、極く最近の資金繰りの表を参考資料として書類で貰つたらどうですか。
  133. 板野勝次

    板野勝次君 あるのですか。
  134. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) この法案についてはそういう参考資料がないから、そういう参考資料を、丁度藤野さんの先程の外の物資との輸入の比較が参考資料として要料されましたから、同時にそういう資料をお取りになつて、それで御檢討になつたらどうですか。  それから私から一点だけ明らかにして置きたいのですが、基本金の性格の問題なんですが、これは農林関係、外の公團は私よく承知しておりませんが、農林関係の各公團については、基本金の性格としては本当に最小限度の、それこそ公團を維持して行くに必要な最底限度の金額を以て基本金とし、一般の運轉資金は、これは主として外から借りると、こういう建前になつており、而も現行法は復興金融金庫から借りると、こういうふうになつておる。ところが運轉資金で困つているのは、先程も御質問があつたように、各公團とも共通の問題であるわけなんですが、今回油糧公團について基本金増額して、それを運轉資金に充当すると、こういうことになつて來ると、從來の基本金の観念については著しく異なるのではないか。そうなつて來るし、他の公團についても同樣の問題が生じて來る虞れがありはせんかということが一つと、もう一つは、油糧輸入については、これは甚だ望ましくない、懸念ではあるのだけれども、ガリオア・フアンドの使用の関係からして、明年度は油糧輸入関係については、相当困難な情勢が察知される。そうすると基本金は、現在の状態であれば丁度十五億に相当するものが基本金として必要であるけれども、そういうような情勢の変化が生じた場合には、基本金は実は非常に余裕のある基本金になつて來て、他の公團との均衡の方から言つても、又基本金自体をここで國家の予算で以て計上して、一方では他の補助金を削つて置きながら、それを基本金として政府出資するということについて、非常に大きな疑問を持つのでありまするが、その二点についてはつきりさして置きたいと思います。
  135. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 第一点の先程藤野さんからお尋ねがあつた問題でありますが、他の公團にも勿論問題が出て來るだろうと存じます。これはまあ昨日も生活物資局長が衆議院の農林委員会でお答えしておりましたけれども、できるだけ同樣な歩調で解決をして行きたいという趣旨のようであります。尚この基本金自体の性格といたしましては、お尋ねの通りに、これはもう極く少額に止めまして、什器、備品等のものを賄える程度にいたしておつたのでございまするが、ただ定款には、什器、備品、それからランニングストツクにこの基本金は使えるという規定に現在の定款はなつておるわけでございます。從つて、この十五億程度のものがランニングストツクと言い得るかどうかということが現在の定款上問題になると思いますけれども、常時十億から十五億程度のものが貿易廳資金として残れば、これは現在の定款上も一應ランニグストツクというものは認めるのではないかと思つておるわけでありますが、若し疑問があれば、少くとも定款につきましては変えて行かなければならないのではないかと思つております。  それから後段のお尋ねの今後の輸入の見通し等について関連しての問題でありますが、御指摘の通りの懸念は若干あるかと思いますけれども、ただ少くともこの二十三年度程度の二グラム、一グラムというこの基準を変えない程度のものは、或いはコマーシャル・フアンド等も使いましてできるのではないかという見通しをつけておりますし、工業用のものについては、これも少くとも大体今年程度の見通しはついておりますので、二十三年度に大体この十五億程度のものが残るとすれば、今後もその程度のものが残るということで進んでよいのではないかと思つております。
  136. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在の輸入の統制下で、原料菜種を農家が百斤出したならば、油が五升、油粕が五十五斤、それに金が百円渡されるのであります。然るに実際油の量は、私の見当によれば一斗三升、粕は八十斤くらいできると思うのであります。そういたしますというと、農家が出したところの量と実際の量と比較いたしますというと、油において百斤について八升、油粕において二十五斤、こういうふうな差があるのであります。これはただ百斤についての差がこれだけであるのでありますから、余りにも過大ではないかとこういうふうなことからいたしまして、農家は自然供出を澁るようになり、又さつき加賀委員質問したように、或いはその他の人からも質問したように、何だか自家工場搾油したいという心持を持たせるのであります。現在のこの量を、百斤についての五升、五十五斤、百円というものを改められる意思があるかどうか、又改めなくても菜種の供出は十分にできるという御見当であるかどうか、この点お伺いしたいのであります。
  137. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 只今の問題でありますが、大体油におきましては五升、大体これは三分の一という見当で押えておりますし、粕については原料を還元するということで、ただその歩止り計算を御指摘の通りの八貫八百にいたしておるわけなのであります。從つて、その粕につきましての計算に幾らか御指摘の点と食違いがあるようでありますが、油をよく搾りますと大体八貫八百という程度のものであろうと我々といたしましては押えておるわけなのであります。そうしてこの還元制度につきましては、いろいろな面からの批判があるわけなのでありますけれども、この程度の還元はまあ続けて行かなければならないし、又この程度であれば今後菜種の増産の情勢と相俟ちまして、段々に集荷が伸びて行くのではなかろうかと、我々といたしましては考えております。
  138. 板野勝次

    板野勝次君 これはあのレートの問題も関連しているわけですね。十五億の給付金を増さなければならんという問題は、そういうわけになるのですね。ちよつと何かこれは積極的にこうなつて來るという根拠が必要だと思うのです。
  139. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 資金繰りにつきましては、大体衆議院に提出いたしまする資料もございますので、お手許に直ちにお配りできると思います。
  140. 板野勝次

    板野勝次君 それからもう一点だけ……この提案理由説明の終りのところに、公團整理統合に関する法律案が近く上程されることになつておる、こう説明されておるが、これは恐らく臨時議会を開いての意味ではなくて、今期國会に提出されるというわけでしよう。いつ頃上程される見通しか、お分りになつておれば……
  141. 三堀參郎

    政府委員(三堀參郎君) 昨日司令部からの許可が参りまして、今日法案を國会の方へ提出する運びに事務的には國会の方へ提出する運びに事務的にはなつております。
  142. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 一應これで質疑は打切りまして、本日はこれで散会いたします。    午後一時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            平沼彌太郎君            石川 準吉君            藤野 繁雄君    委員            門田 定藏君            北村 一男君            高橋  啓君            星   一君            赤澤 與仁君            加賀  操君            徳川 宗敬君            板野 勝次君            池田 恒雄君            國井 淳一君            岡村文四郎君   政府委員    農林政務次官 池田宇右衞門君    農林事務官    (食品局長)  三堀 參郎君   説明員    大藏事務官    (主税局監理第    一課長)    忠  佐市君