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政府委員(
大野勝巳君)
只今の御
質問につきましてお答え申上げますが、第一の点は誠に私共
同感でございまして、今度この
設置法が立法化されると、この法律によりまして、
日本政府全体としての
連合國官憲に対する窓口として
外務省がその衝に当ることになるのであります。尚のみならずその
事務に関連いたしまして、
関係各
行政機関の総合調整を図る
趣旨がこの法律に盛られておるのでありまして、
只今の御
質問の
趣旨は完全にここで生かされておる次第であります。御
趣旨の存します点はよく我々といたしまして
注意いたしまして、この法律が実施されました曉におきまして、
只今の御
意見の御
趣旨に副うように運営いたして参りたいと存じております。
第二の問題の賠償廳の問題、或いは貿易廳の問題でございますが、賠償廳に関しましては、仕事の性質から申しますと、
只今の御
意見が正しいのでありまして、やはり
外務省に統合することが全体の重複なり、矛盾なりを省き、仕事を
全般的にうまくや
つて行く上において便利であろうと思いまするが、ただ賠償問題は御存じのように
只今尚極東
委員会におきまして懸案にな
つておりまして、事実上相当片付いてはおりますが、最終的な決定を見るに
至つておりません。從
つて賠償問題に関連いたしましては、相当國際的な反響というものもございまするので、
從來の態勢をこの際乱すことなく、やはり
外務省の中に入れるということではなく、これを
総理廳の
外局にして置くというのが最も適切であると、かように
政府は
考えまして、そのような処置を取
つたのでございます。その点御了承願いとう存じます。
もう
一つ貿易廳に関しましては、この法律に規定してありまするように、
外務省といたしましては、
外務省の
任務といたしまして、第三條の二号にありまするように、「
通商航海に関する利益の保護及び増進」というようなふうに包括的に規定いたしておりますが、これは要するに
通商航海條約に規定されるべき一切の
事項につきまして、我が國の利益の保護及び増進を図るというのでありまするからして、極めて廣範な
意味を持
つておるわけであります。從
つてこの中に
通商の促進、或いは在外邦人の保護等々、あらゆる問題が一應含まれておりますので、当然に対外貿易についての
外務省の
発言権というものが問題になるわけでございますが、現下
日本の置かれておりまする特殊事情に鑑みまして、
外務省はまだ
独立國の
外務省としてフアースト・ハンドに
外國との間に連繋を保つことが許されていないのであります。そういう
関係に鑑みまして、貿易廳、或いは今度新らしくできまする
通商産業省というものにおいて占領管理下の貿易というものを統一的に掌るということに相成
つておりまするので、その
方面と実質的に
外務省といたしましては完全に協力をいたしまして、そうして輸出促進のために、表面に出ないにしても、あらゆる力をそつちの方に注いで、國家目的の一端に寄與したい、かように
考えておる次第でございます。