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証人(吉田和君) 私は農林省佐賀
資料調整
事務所長の吉田でございます。本日はここに呼出して頂きまして、
出先機関としての
意見を申述べることを、非常に有難く感謝いたします。
私は
資材調整
事務所長でありますが、商工省の出張所長、或いは運輸省の道路運送監理
事務所長、こうい
つたものを含めての代表だと
承知いたしておるのでありますが、大体この
仕事は臨時物資需給調整法に則る
資材の割当が主にな
つておる。道路監理
事務所は道路の
関係でありますので、多少違うのでありますが、一連の関連を持
つて仕事をや
つておるとい
つたような
意味合で、
資材調整
事務所を主に考えてお話申上げたいと思いますけれども、三つの代表の
意見であるということをお含み願いたいと思います。話の順序といたしまして、我々が具体的にどういう
仕事をしておるかとい
つた問題について、御説明申上げます。
第一番目に、指定生産
資材の割当規則によりまして、指定生産
資材の割当をや
つております。これは石炭、セメント或いは鉄鋼とか、こうい
つたものの割当をや
つておるということであります。第二には、石油配給規則による石油の割当であります。これは申すまでもなく、石油の割当をや
つておるということであります。三番目には、漁業
資材配給規則によりまして、漁業用の
資材の割当をや
つておる。これは漁網、ロープとかいうものの割当をや
つておるということであります。その外
資材の割当の外に、電力の需給調整規則によりますところの電力の需給調整をや
つておる。或いは輸送尭明の規則によるところの輸送証明をや
つておる。それから重要農産物の地区機帆船の輸送
計画の
仕事をや
つておる。それから遊休物資等の活用規則によりますところの、遊休物資の活用をや
つております。これは大体安定局と連絡いたしまして、
公團買上のものなどを活用する、こうい
つたことであります。その外閉鎖
機関に対します農林
大臣の管掌する閉鎖の業務、或いはGHQの
関係の食料品工業
調査の月報に関する業務、同じくGHQ
関係で製氷、冷凍、こうい
つたものの
調査報告。それから復金
関係の資金の斡旋、ゴムの履物、或いはゴム配給物資、衣料品、主要労務加配の需給
計画に関する
調査連絡、これは実際に配給をや
つておるというわけではありませんで、
調査連絡ということをや
つております。その他割当に関する基礎
調査及び実績監査、こうい
つたことを
資材調整
事務所はや
つておるのであります。その外商工局出張所、道路運送監理
事務所の具体的
内容にまで触れたいと思いますけれども、時間がないかと思いますので、勢い私の
関係しております
資材調整
事務所の問題でお話を打切りたいと、こう考えております。そうして実際具体的にどういうふうに
仕事が運んでおるかということを申上げますと、これは規則によりまして需要者からこういう事業をするのだ、そうしてこういう
資材が幾ら要るのだというような需要申請書を取まとめて私の方でそれを全部審査の上計算集計いたしまして、これを本省に提出するのであります。私の方はそれで割当を待
つておるという態勢になるのでありますが、これは安定本部から
各省へ割当が下りまして、その
資材の割当が私の方に來るのであります。それを需要申請と、結局実態
調査をいたしまして、必要だという面に割当てる、こうい
つた仕組にな
つておるのであります。
先程から
経済統制の問題が頻りに言われておりましたのですが、
統制の必要な物資に関しては強化しなければいけない、
統制をやらなければいけないということはすでにもう結論が出ておるのでありまして、今更
統制を全部撤廃するとい
つたような議論は成り立たないと、こう思います。九
原則にも
統制の強化ということがはつきり言われておるのでありまして、この問題はすでにもう結論が出ておると思うのであります。勿論我々は需給のバランスの取れたもの、或いは非常に僅少にして、どうしても
統制してもその
効果がないとい
つたようなものを
統制から外すということについては、別に異議を持つものではありません。然らば結局
統制経済はやらなければいけない、そうすると結局誰があるかという問題であります。その問題に関しまして、結局民間
統制とい
つたようなものも考えられるのでありまするが、これは戰時
統制時代にいわゆる何々
統制團体とか
統制会社とかい
つた随分沢山のものがありまして、その結果がどうな
つたかということについてはもう結論が出ておるのでありまして、今更昔の民間
統制に復帰するということは考えられないのであります。從いまして結局物の
統制を、具体的に申しますと
政府自体がやるか、或いは
地方廳に委任するかとい
つた問題になります。この問題は結局先程から田中先生から世話にな
つてお
つたんですが、例えば
供出の
責任を負わされておるのは
地方廳の長官だが、その
供出になるところの物資の配給については
責任を負わされていない、こうい
つたことを言
つてお出でにな
つてんですけれども、例えば肥料とか地下足袋とか被服とか、或いは農機具であるとかとい
つたものは
地方長官が実際おやりにな
つておるのであ
つて、我々が例えば
供出の対象になるところの
資材と申しますと、石油とか電力とかとい
つた高度の、
政府がどうしてもや
つて行かなければいけないとい
つた統制のみ我々がや
つておるということを御了承願
つて、どうも皆から何も彼も
出先機関が握
つておる、そうして我々には與えないんだ、こうい
つたような誤解が生ずることを
一つお話申上げたいと思うのであります。
この
地方廳に任せることと、我々がやることは結局どちらがいいかという結論を出さなければいけないと思うのでありますが、結局
地方廳に委ねることになりますと命令系統は二つになる。結局どうしても一部重要なもの、
政府が直接面倒を見なければならない大きな工場とい
つたようなものは
政府自体でおやりになるということに恐らくなると思います。それから或る一部のもの、結局小さいもの、こうい
つたものは結局
地方長官に任せるということになりますると、例えば同じ味噌の工場で
政府がおやりになるものもある、或いは
地方廳でおやりになるものもある、こうい
つた一貫
行政に反するような結局両方でおやりになるというような結果になるんじやないか、こう思うのであります。從いましてそれは監督を強化すればいいんじやないかということを言われるかも知れませんが、現実の問題といたしまして、從前の
地方長官でありますれば、結局
政府の命令に
從つてお
つたでありましようが、現行法の示すところによりば到底
地方長官を自主的に動かして行くということは非常に困難じやないか、こう考えるわけであります。從いまして割当の不当であるとかとい
つたような小さい問題のために
地方長官をどうとい
つたことは、実際問題としては取上げられないで、結局そのままあやふやになるというようなことに落つくんじやないかと、こういうふうに考えておるのであります。
それから例えば
地方廳に移管しましても、経費の問題では決して負担が軽くならないのであります。それは現状からいいまして我々の
國家公務員の方が結局月給が安いのであります。
地方廳の方が月給が高いという実情にあるのであります。從いまして結局経費の負担はむしろ増加するとい
つたことになるかと考えるのであります。
それから我々が実際
仕事をや
つておりますと、これは
地方廳から嚴重な監視を受けておるのであります。例えば開拓の
資材がどこの開拓の事業場に本当に行くのであろうかとい
つたようなことを、はつきり見守
つておいでになるのでありまして、私としては結局その割当の不公正とか、或いは不適当な割当とい
つたものはできないのでありまして、縣の或る
意味では監視の中に置かれておる
出先機関というものは決して惡いことはできない、不公正なことはできないとい
つた仕組に実際はな
つておるのでありまして、私はむしろ
出先機関でやらした方がいいんじやないか。
地方廳に持
つて行きますと、勿論理想的には
地方の議会とか、或いは縣民が監視するとい
つたような理窟も成り立つと思いますけれども、実際問題としてはそうまで
地方自治というものは結局完全なものではありませんので、少くとも
出先機関がやることは
地方廳に監視されておるとい
つたその中でやるのでありますからして、尚更綿密な注意といろんな問題が惹起しないような、結局一般の割当をやるとい
つたようなことになるのであります、とい
つた考え方を持
つております。
それからこの
出先機関を排撃するという声は、もう我々ができましたのは一昨年、丁度足かけ三年その声が非常に強められておるのでありますが、それは結局
地方の知事さんとか縣会議員とか或いは町村長さんであるとかい
つたような人達の声でありまして、本当に業界の声であ
つたかということについては非常に疑問であります。或る團体の方で、世論
調査というものをや
つたのであります。これは私の佐賀縣でもやられたんであります。いわゆる業界人が本当に我々が
資材を割当てた人達が、本当にどう考えておるかとい
つた世論
調査というものをやりました。その結果を聞いて見ますと大体
出先機関があ
つた方がよいというのが九〇%、それで
地方廳に
委讓した方がよい、或いは全然ない方がいいと言
つたような見解を表明されたのが約一〇%、結局結論は業界の人達は
出先機関があ
つた方がいいと、結局本当に
自分達の
資材の配給をしている人、配給を受けている人、
そういつた人は結局
出先機関があ
つた方がいいということを、感じられているということになるのではないかとこう考えます。從いまして我我の
出先機関の排撃とか或いは無くなるとい
つた噂を聞かれた業界の人達は慌てて、これは困ると言
つた方々に陳情される、在置運動をされると言
つた結果になりまして、私ここに持
つて來ておりますが、私の手許に持
つている陳情書だけでもこれだけある。結局世論として業界は決してこれをいやだと考えていないとい
つた結論になるのであります。
それから今の
事務を府縣に
委讓するということになりますると、丁度私達のできて二年、
地方の
事情もすつかり把握したんです。これからだとい
つた最中に我々をつぶしてですよ、而も
地方廳に
委讓される、こういう
事務的な損失と申しますか、少くとも
経済復興に致命的打撃を與える。我々は結局言葉の示す
通りに臨時物資需給調節法によ
つて結局できている役所でありまして、我々は長く永続的にこの業務をや
つているというのではないのです。それなのにやつと脂の乘りき
つたものを今移して後何年続くか分らないものをですね、どうして混乱状態に陷れて、そのまま
委讓しようとかしないとか言
つて議論になるのかと言
つたことを、我我は疑わざるを得ないのであります。
それからこの問題でありますが、役所には役所の性格というものがやはりある。農林省というのは昔から民主的な役所でありまして、これは
一つの家風にな
つているのです。從いまして民間業者の言われることには農林省が一番出入りがし易いということを言われておるのであります。
中央廳は結局昔の内務省の系統の名残がやはり残
つている。これは幾ら民主
主義にな
つたと言
つても、
そういう傳統は少くとも武士階級の衣鉢を内務官吏が受け継がれておりますが、その受け継ぎ、幾十年の傳統で養われたその氣風というものが、例えば新憲法が出たからとい
つて翌日から直ぐ民主
主義になるということはなかなか困難でありまして、農民はともかく足を震わせながら縣廳の門を入
つたのでありましようが、その門からですね、今日は民主
主義が叫ばれておりますが、
そういう傳統は拔くべからざるものがあ
つて、やはり民主的な、初めから農林省の家風で育
つた我我の方でやることが、やはり民主的であると我々ははつきり自負し得るのである。それから
出先機関の存在というものは
地方自治を阻害するとい
つた見解を持
つておられるかと思いますが、さつき申しますように我々のや
つておる
仕事は本当に國が
統制して行かなければならん、
そういつた鉄であるとか、石油であるとか、セメントとい
つた基礎
資材でありまして、結局一律に配給しなければならないところの肥料であるとか、或いはその他地下足袋であるとか乃至農器具とい
つたものは、結局
地方廳に任してあるのでありまするから、これがために結局
地方自治制を破壞されるとか、
地方自治を阻害されるという議論は成り立たんと思います。少くとも
地方廳でおやりになる産業復興のために、我々乏しい
資材を何とか苦面して、結局
地方廳と協力して行こうということでありまして、むしろ
地方廳の産業復興を助けようとする、
地方自治を育てようとするその方向に進むでおるのでありまして、結局矛盾するものではないかということをはつきり申上げたいと思います。さつき田中先生がおつしや
つていたように、生産
資材を與えないで、結局供米だけの
責任を負わせるということも、さつき申上げた
通りに結局基礎
資材を我々がや
つて、大
部分の一般配給の物資は
地方長官でおやりにな
つておるということを
一つお考え願いたいと思います。
それから我々
出先機関があることは
地方長官のやる総合
行政、こうい
つたものを妨げると言
つておられるのであります。併しこれは非常に私間違いだと思います。私は過去二ケ年佐賀の
資材調整
事務所長をしておりますが、それにはこの二ケ年の間に
地方の総合
行政を結局のところ妨げるということであれば、この丸二ケ年足掛け三ケ年の間に、我々とよく話合いをして、
地方行政が阻害されないような、或いは総合
行政が破壞されないような
方法を、知事というものはお考えにならなければいけない。それには例えば
地方自治法の百五十六條があ
つて、我々は
地方長官の指揮命令を受けなければならないようにな
つておる。それじや我々を結局指揮命令をされたかというと、
そういうことは絶対にありません。少くとも我々の二ケ年の間に、例えば縣知事としては
一つの政策をお持ちだろうと思います。その政策にマッチするように、
一つ資材の配給はこういう所へこういう
方法で我々はや
つてほしい、とい
つたような意思表示を一度もされたことはないのであります。從いまして総合
行政を破壞するとい
つたような議論は、結局
自分のところに権力が欲しいとい
つたことであ
つて、本当の結局大義名分だけであ
つて、自主的にお考えにな
つておる事例はないと我々は考えておるのです。そうしますれば結局
地方廳に移管にな
つた場合に、どういう結果が生れて來るかということについて今から申上げたいと思います。
我々はさつき申上げましたように事業者の申請を取纏めてそれが正しいか正しくないかとい
つたようなことを
檢討して
地方廳に提出いたしましております。これが
地方廳に行きますと御
承知の
通り米の
供出の割当というものがありますが、私も食糧
事務所長としてよく知
つておりますのですが、現在
作物報告事務所というものができた。それが結局縣からお出しになる材料が、よく米の
供出の対象となる数字は成るべく小さくしよう。これはいかんというので、結局正当な正しい数字を出さなければいけないということで作報
事務所ができた。今度逆に
資材の裏付け
要求の場合には、
地方長官にお任かせになりますと、恐らく厖大なる数字が出て來ると思う。今度逆な結果になると思う。そうすると作報があると同時に正しい数字の蒐集をして本省に
報告するとい
つたようなことが必要にな
つて來る。結局片方が多くなり、片方は少くなる。作報の場合と同じ使命が
出先機関に結局與えられていないということになると思うのであります。それから本省との連絡が非常に惡くなるのじやないか、敏速を欠くようになるのじやないか、こう思うのであります。
地方廳というのは非常に廣いのでありまして、
相当大きな世帶であります。さつき永野さんからお話がありましたが、
統制経済というのは、
自分で完全に把握して行くところの世帶でないとうまく行かんということをお言いにな
つてお
つた。私の方の世帶は約六十人、私が総括をしておりますが、大体隅から隅まで行渡
つて見ることができる。これが
地方長官が上におりますと、恐らく
地方長官というものはいろいろ忙しい
仕事をや
つているのですから、結局隅々まで行渡るということはできない。從いまして
統制経済というものが敏速に進まない。
報告その他がうまく纒まらないという結果になるでありましようと想像いたします。最近の例で申しますと、労務者用物資の実態
調査というのを二十三年の十月十六日に、総務
局長と私の方の
資材調整
事務所長と、この両方にお出しにな
つた。そうするとその回答数字はどうなるかと申しますと、これは第一・四半期の割当の基礎
資料であります。そうすると
事務所から大体九〇%出て來た、
地方廳から
報告を受けたのが約一〇%、結局
そういう結果的には九〇%、一〇%とい
つた事務連絡を不十分さが現れて來るということも考えなければいけないと思います。
それから第三番目には
地方廳には公正な割当というのが到底期待し得ないということであります。これは二
通りあるのであります。第一に、現在は
各省から各縣に割当をなす
つていらつしやる。ところが各縣の割当は今は公平に行われておりますが、これが
地方長官の側に行きますと、各縣はこれは
各省に対しまして猛烈に運動をされると思います。
從つて結局腕のある知事というのが余計に取
つて來るという結果になるのは必然だと思います。從いまして縣民も、物を余計に取
つて來ないような知事は腕が惡いのだとい
つたようなことになるので、勢い知事としてはあらゆる
手段を盡して、
自分の縣に余計に持
つて來たいということにならざるを得ないと思う。從いまして各縣の配分が公正に行かないということになるのではないかと我々は思
つております。そうしまして各縣に行
つたものは今度又うまく行かない。少くとも
統制経済というものは、安定本部総裁の定める線で結局やらなければいけないということをはつきり言われておりますが、その
経済安定本部総裁の定める線に沿わない。結局
地方事情によ
つて左右されるということは、これは当然起
つて來る問題だと思うのであります。これは実例でありますが、私の方では今「こうぞ」「みつまた」の割当の規則を作ろうということをや
つているのですが、これは若い連中なんです。若い連中が
仕事をしておりますと、この「こうぞ」「みつまた」の、これは縣でや
つておいでになる規則ですが、これをお作りになろうとすると、結局機械和紙、或いは手漉和紙とい
つたようなものの競合がありまして、両方でやかましい。これの方にやれ、あれの方にやれとい
つたようなことでなかなか埓があかない。若い人達は、それでもう嫌だと言
つている。その人達の話を聞くと、この上に今や
つているところの指定生産
資材まで我々がしよい込んでしま
つたら大変だ、これはやめて呉れということを非常に言
つておられる。
從つてこれは実際、
地方廳にお移しになると、
地方廳が迷惑を蒙むる。或る
意味では千葉縣知事のごとく、却
つてこういうものを持
つて來たのじや迷惑だというような
考え方をなさる知事もある。むしろ私をして言わしめれば、知事さんは成るべくこんの問題に触れないで、我々に任しておいて頂いて、而も我々の
行政を知事さんが考えているところの方向に向けて行くような政治力が、知事さんに欲しいと、私はこう考えております。
その次はいわゆる他の
出先機関との連絡がうまく行かないということであります。例えば私共の方の業務で、さつき申上げましたように、電力の調整というのをや
つている。これは結局例えば
計画生産のできるもの、例えば製糸とか製永の会社であるとか、これは各縣に電力の割当が行く。私共の方で三十三万キロという四月の枠が決ま
つている。これを私の方では工場配分をいたしますが、実際問題としてやりますと、余る工場もあれば足らん工場もある。そうしますと、余る工場の方から足らん工場の方に流すという措置を我々講ずるのであります。それは電力の
統制を福岡の商工局でや
つておいでになるものだから、出先は福岡の
事務所に連絡する。そうすると福岡の
事務所はこの地区の中で割当を調整して、結局
余りもしない、足りなくもないという
方法が、うまく現状でできている。これが
地方長官に
委讓されると、
そういう調整がなかなかうまく行かない、結局小さい世帶で而も纒まりがよくて、商工局に福岡の調整
事務所が連絡をうまくや
つて呉れるというような、我々同士の連絡と、それから商工局への連絡、こういうものは、我々がや
つている方がうまく行くということであります。
それから現物化の問題でありますが、私共が発行しております切符というものが、何もかも一〇〇%現物化するというわけじやありません。或るものは九〇%、例えば革ベルトのごときは、殆んどもう現物化されないと言
つてもいいくらいに、なかなか現物化されない。そうしますると、結局
地方長官がこの業務をおやりになると、いろいろな工場をお持ちになるところの
地方長官側の発券するやつは早く現物化する、外の券はどうしても第二次的になるということは、工場と府縣との
関係からしてこれは完全に想像できると思います。
もう
一つ、問題が波及しますのですが、結局物を持
つている人間は、これは又
そういう
資材が余計入る。例えば私のところに野菜があるから、それを見返りにやるから「こうぞ」を早く送
つて呉れとか、或いは魚をやるから早く送
つて呉れということで、結局フリー・クーポンで自由競爭に向けているところの
機構が、いろいろな手がこんだ結果にな
つてうまく行かないという結果になるのじやないか、こういうふうに考えるのであります。
それから
地方長官に任せると、オーバー発券というのが必ずできて來る。
政府が割当てた以上に余計に切符を切られる可能性ができて來る。これは我我が
そういうことをすると、直ぐに首をちよん切られる。首をちよん切られるから、絶対に
そういうことはいたしませんが、
地方長官になりますと、
そういう政治的自由裁量の余地ができて來るのじやないかという心配が起
つて來る。このオーバー発券というのはなかなか発見されない。最後は発見される仕組にな
つておりますが、実際問題として切符と割当とをひつ比べてやるという手数はできないのでありまして、このオーバー発券を結局そのまま見逃してしまう可能性ができて來る
関係上、
そういうことになるのじやないかという心配を持つのであります。
それから需要者の最終負担が殖えやせんかという感じを持
つております。結局需要者というものは、切符だ
つたらマル公でそのまま買える。ところが現在府縣廳のおやりにな
つているところの実態から申しますと、これは必ず現物化に伴う外郭團体ができる。そうすると、耕地の
関係で耕地協会があります。開拓の
関係で開拓協会がありますが、
そういうところに識員を置いて
仕事をさせられる。結局
そういうふうな識員の費用であるとか、その他いろいろな諸雜費とい
つたものが、発券された切符の大衆負担においてかけられて來るのじやないかという氣遺いをここに持
つておるのであります。
以上が私の、結局委譲した場合の結果としてこういうことになるのじやないかとい
つた例でありますが、要は、結局やつと軌道に乘り掛けた
事務所であるまするので、今の場合つぶさんでしばらくこれでやらして頂いて、まあやつと軌道に乘
つたものをぶつつぶしてから、もう一遍
事務を混乱さしてマイナスになる面ばかり、これがどうして
委讓になるかという見解を持
つておるのであるまするからして、よくよく御
檢討の上、できれば独立存在し得るように御処置願いたい。こう思
つております。