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石坂豊一君 それでは
委員長のお許しによりまして、我々
建設委員の分担をいたして、おりまする一致の意見として、ここに私より開陳いたしたいと思います。書類を以て提出いたしてありますごとく、
建設省機構を立てまする際においては、即ち第二
國会におきまして
建設省設置法が上程になりまして、決算
委員長より報告せられるているのであります。その報告によりますと、「
政府は
建設行政の一元化は
國家復旧の絶対條件たることを認識し、
國家行政組織法の施行までに農林、
商工、運輸、厚生、文部、法務等の
各省及び應に分散する
建設行政を総合するためあらゆる方途を講ずべし」という希望條件を附してあるのであります。然るに
政府は今回依然として姑息の
設置法を出しておられるのでありまして、
政府の
説明されるところによりますと、
行政審議会において更に檢討して、改めて、
一つその組織
機構を改善したいということを述べておられるのでありまするけれども、俗に言う仮物末代というようなことで、かようなことで一時これを通しますと、即ち我々は第二
國会において不満ながら
建設省を
一つ設けるために、以前のごとき職制をそのまま認めようということに
なつたと同じことを繰返すのじやなかろうか。よ
つてこの絶好の機会におきまして、是非とも
一つ機構を建直す、この際において
建設行政の一元化を実施することに努めて頂きたいと思うのであります。
内閣委員におかれましては、
各省の
設置法について非常に熱心に御檢討に
なつておりまするから、定めてこれらの点においてお
考えもあることと
考えますが、
建設委員におきまして、
建設省の
仕事を見ておりますと、如何にもまだ
仕事が分散しております。例えて申しますならば、
港湾建設
事業のごとき、海運運輸の一元化を期する美名の下に、これを戰時中
運輸省を持
つて行
つたのであります。これにつきましては、内務省土木局の歴史におきましても、非常に長い沿筆を持
つておりまするし、又人的及び物的のものを運用する点から申しましても、これを
建設省に置いた方が非常に便宜であるのでありまして、
港湾建設の業に当
つている技術官の一致の意見としても、何とかしてこれを
建設省の方に帰属するようにしたいという
要望も來ているわけであります。
次に林野
行政に一例を取
つて見ますと、森林砂防と
建設省の
河川砂防とが別々に設置されております。水源におきましては、
河川砂防か森林砂防か、その辺の区別はなかなかつくものではないのでありまして、かようなものは一元的に、砂防
事業はその本質上
河川の荒廃を防ぐ、山を治むるものは即ち水を治むると同じ原理原則に立
つているのでありまするから、砂防の
仕事はこれを一元的に
建設省に帰属せしめるということも、その一例であります。又開拓の
仕事でありまするが、開拓は、無暗に山を濫伐して洪水の原因をなしておりまするがために、非常に
河川を荒すということは、近年の災害によ
つて明らかに眼前に展開されているのであります。これらを無視して、これを單に食糧増産或いはその他の名義によりまして、農林
行政の一環として
取扱われておりますがために、治水
事業がちぎれちぎれになりまして、非常に
國家の禍をなしているということも、これも公知の事実であります。
もう
一つ例を挙げますと、
厚生省にありまする衛生
行政の下に
國立公園及び上下水道を置いているのであります。目的から申しますと、
國立公園及び上下水道は、これは公衆衛生の増進より來ていることでありまするから、
厚生省の方に置くという理論も成り立つかも知れませんけれども、これらは即ち一定の建設
事業が基になるのでありまして、それで終ることにおいて初めてこれを利用する面が生じて來るのであります。でありまするから、
國立公園、上下水道のごときものも、これは今日において
建設行政の
建前より、
建設省の方に持
つて來るということも、
一つの切要なる例と我々
考えるのであります。
又文部
行政において学校の復旧のごときでありまするが、学校を建てる、利用するのでなく、学校を建ててこれを文部省に引渡すという
仕事は、これはやはり
建設行政の下において実施して行つた方が非常によろしいのではなかろうか。
機構の利用、技術者の利用等にいたしましても、すべてその方がよろしいのではなかろうか。我々は実驗上見るところによりますと、
從來この建設は
各省がまちまちにや
つておりました。司法省は、裁判所と監獄所を作る。文部省は又これに反して学校のことで他の
各省の
建築と又異彩のあるものを作ろうと、その技術もの腕前に
関係するという
考えで何とかどこか型を変えなければすまんというようなことをする、そういうふうに皆それぞれ割拠主義に
なつて來ておりますために、どれ程
國家に損害を與えておるか、私共それは
地方においてこの弊害を十分認識させられておる次第であります。かようなわけでありますから、文部省にあるところの学校復旧
事業のごときは、これを
建築専門の
建設省に持
つて來るというようなことにも
一つの例があると思います。尚又國土総合開発の見地よりいたしまして、水力発電の
仕事でございます。これらは治山治水というような
関係と切り離すことができないのであります。併しながら我が國におきましては、発電のことは工業の
基礎をなすのでありまするからして、極めて遠大な
考えを以ていたしますのには、やはり一面これを治水と結び付けなければならないのであります。この点から
考えましても、これは
建設省に属すべきものではなかろうかと
考えるのであります。こういう例を幾つも挙げて見ますと、今の
建設省は如何にも、第二
國会において定められましたにも拘わらず徹底を欠くように
考えられますので、この機会に
内閣委員におかれまして十分御研究下さいまして、
建設省設置のたるに悔を將來に残さないように立案をして頂きたいと、私共は切に
要望をいたす次第であります。
もう
一つ運輸省設置法の中において
内閣委員会に
要望したいことは、
運輸省で挙げて見ますと、第二十八條の九号、五十
一條の十五号、おのおの
道路運送に関し、
道路の
調査及び研究に関すること。」というふうに二ケ所に
規定を挙げてあるのであります。これはかようなことは
運輸省において当然できるのであります。運送という見地から
道路そのものの利害得失、或いは將來の維持、修築に関すること、いろいろ
関係を
調査されることは一向構わんけれども、それはこの中に入りますけれども、それが次々に移
つて、
道路の
所管が
運輸省に移つたものと
考えられるような疑いを起こし得る、さなきだに日本
行政官廳は縄張りを爭いまして、どうしても自分の
仕事で面倒なものは他にやるけれでも、
都合のよいものは自分のところに抱込むという得手勝手な弊がありますから、こういう
規定は削除して、
道路修業の本來の機能と目的を持
つております
建設省の方に明らかにその
権限のあることを明瞭にして置くことが必要であると
考えるのであります。この点から
考えまして、私共ここに
要望書を提出した次第であります。どうぞ余りくどいことは申しませんが、本
内閣委員会におかれましては、十分に檢討を加えられまして、
建設省の將來の一元化に
一つ図
つて頂くように、切に我々委員会の満場一致の希望によ
つて要望いたして置きます。