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説明員(
荻田保君)
附加價値税につきまして御
説明申上げます。これも
名称が変
つているわけでございますが、現在
事業税、それから
シヤウプ勧告も一
應事業税という
名前で呼んでおりまするが、この新らしい
事業税は、
内容が
事業に対して
課税するというよりもいわゆる
課税標準になる
附加價値ということを掴まえてこれに
課税するというような色彩が強いわけでございます。これを学問的に
收益税でなくて
流通税であるというようなことも言えるかとも思いまするが、そういうことはともかくといたしまして、相当
性格が変
つております。
從つてその
性格が変
つたことを
名前におきましてもはつきりするためには、
附加價値税というような
言葉を
使つてはどうかと
考えておりますが、まだ熟した
考えではございません。
それから
課税客体でございますが、これは現在の
事業税及び
特別所得税の
課税客体を全部網羅しております。現在は多少拔けているようなものをこれに入れたいと思います。それからこの初めの方に書いてありまする
法人の一番下のところに
法人の下に括弧してありまするが、民法の
法人と宗教
法人と学校
法人というのでありまするが、ただこの次の
個人の行う第一種
事業と第二種
事業と同樣の
事業を行な
つている部分はこの限りでないと、こう書いてありますが、これが多少変
つております。現在では今年の
改正で、こういう
法人についても收益
事業を行な
つております部分についてはこの限りでないというような規定を入れたのでありますが、更にこれをはつきりするような
意味におきまして、こういう條項を入れております。つまり財團
法人組織でも、民間の普通の営利
法人がや
つているような
仕事をや
つておるというようなものに対しては、ひとしく
課税した。そういうところが
事業税が
附加價値税に変
つた一つの現れだろうと思います。
それから四頁目に出ておりますが、第二種
事業つまり前の
事業税の第二種
事業でありまして、原始産業でありますが、これにつきましては、
シヤウプ勧告では現在農業と水産業、牧畜業、林業、この四つがあ
つたわけでありますが、そのうちの農業は全部やめます。農業をやめれば畜産業もやめる、林産業の方は地租との関係があるから特別の措置を講じなければいかん、こう書いてありますが、結論として今のところこういうふうに
考えております。農業のうちでも園藝業、特に普通の農業とは違うような大きな收益を上げているもの、これは
課税してもいいのじやないか。それから畜産業でありまするが、畜産業も農業に附随して行な
つているものというようなものは、これは農業との関係でやめなければなりませんが、都市の近郊で乳牛をや
つている、余り土地を使わずにや
つている、或いは養鶏業というような家の中でや
つているというのは取
つてもいいのじやないか。それから水産業は全部取るとしまして、林産業につきましては、いわゆる素材生産、木を植えて育ててそれを伐るというような、こういうものは一應除いた方がいいのじやないか。これは木材引取税との関係もありますので、むしろこつちの方をやめて木材引取税を残したらどうか。尚問題にな
つておりますのは、その下の問題点の所で「自家労力を主体とするものを除くようなことを規定する、」これを
考えているようでありますが、こういう原始産業につきましては、自家労力だけで、自分一人だけで魚を獲
つているとか、或いは炭を燒きに行
つているというようなものを除外していいのじやないかということを
考えております。勿論そういうことをいたしますと、先程申しました
事業税と
附加價値税との違いをわざわざつけたという精神には反することになりまするが、実際問題としてそういうところまで取らない方がいいのじやないかという考を持
つております。
次に
課税標準の問題でありますが、この
課税標準の算定ということが一番
附加價値税についての問題であります。先程の
住民税の
課税方法とこの
附加價値税の評價價値の
計算方法、これが一番の恐らく
地方税についての問題であろうと思います。それでここにいろいろ並べておりまするが、要するに各
事業が收入したところの收入金額から当該
事業に直接必要な
経費であ
つて、
事業の外部に支拂
つた金、これを控除したものを用いて行きたい、こういう考であります。そこで
二つの問題がありまして、
一つはこの收入支出というようなことをいわゆる会計上の発生主義でやるか現金主義でやるかというようなことであります。
シヤウプ勧告の線は例えば減價償却の問題にしろ棚卸し資産の問題にしろ、そういうところから見ましてむしろ現金主義がいいようなふうにも
考えられますけれども、やはり実際の評價に当りまして、帳簿との関連等を
考えますると、発生主義によらざるを得ないのではないかと
考えております。
それから次に
課税標準の中に入れるものと差引くものとの区別でありまするが、一應入れるものは殆んどここにありますように、
事業に入る総收入金額というものは大体全部入れる。ただ資本投下的なものは勿論入れませんが、それ以外のものは全部入れる。それから差引くものの方は外部に支拂
つたものであります。
從つて外部と申しますると、その支拂われたところで
附加價値税が拂われますが、
附加價値税がダブらないというような趣旨でそういうものを除くわけでありますが、併し実際の
賦課に当りましてもなかなかそうきつぱりとできませんので、或る
程度ダブるものが出て來るのじやないかと
考えております。その顯著なものは、例えば利息のごとく、それから使用料、手数料等につきましては、或る
程度ダブるものができるのじやないかと
考えております。
それから次にこの八頁の最後のところにあります赤字の
附加價値税、つまりそのような差引をした結果、赤字に
なつた場合は、その赤字を繰越して行くことにな
つておりますが、大体我々として二年を限りたいと
考えております。
次の課率でありますが、
シヤウプ報告では四乃至六%で大体その所要の
税額がつまり四百四十億が上る、
最高の場合でも六%を超えてはいけないとありまして、大体我々としてはここに書いてありますように、
標準賦課率といたしましては、
法人の行う
事業及び
個人の行う第一種
事業は六%、それから
個人の行う第二種と第三種
事業、即ち原始産業と自由職業は四%、それから自由職業の中の医者は三%、これくらいの
賦課率にした方がいいのじやないか、差等をこの
程度はつけてはどうかと
考えております。併し
課税標準の
計算を今や
つておりますが、現在もありますが、このように
最高六%にいたしませんでも、或いは予定の額は納められるのじやないか。但し先程申しましたように、
地方所得税におきましては、或る
程度減收も予想されますので、そういうことも
考えますとなかなか簡單には行きませんが、六%までとらなくてもいいのじやないかというような氣持であります。尚一番これにつきまして今
一般で
議論されておりますのは、このように
課税した結果、現在の
事業税ですと、利益がない限りは出していない。然るに今度は利益があ
つてもなくても出さなければならない。それで今までの赤字企業は一躍大きな
負担をする。それともう
一つは、このような
課税標準の
計算方法によりますと、人を沢山
使つているところ、物の賣買を余りしないような商賣、つまり製造工業的なもの、例えば製鉄業であるとか、電氣業とか、或いは運送業という、こういうものにつきましては相当大きな
負担になる。
從つて一躍現在の
負担が何倍かになる、それでとてもそれは現在の企業としては
負担し切れない。
從つて業態によ
つて差をつけてはどうか、課率に差等をつけてはどうかという意見もあります。まあ
附加價値税の本質に鑑みまして、そのようなことは適当ではないと
考えております。一應一律にしたいと思
つております。
それから
課税方法は、大体三月ごとに
申告納税式な
方法をいたしたいと思います。そうしまして最後に清算を四回に分けますが、四回目の、つまり年度末において清算納入するというような
方法を講じたいと思
つております。それから二
府縣以上に
事業所のあるものにつきましては、これはやはり現在と同じように地元の知事が総額の決定を行い、それからそれを関係
府縣に通知するというような
方法をとりたいと思
つております。勿論
申告納税式の
方法をと
つておりますから、
納税者は自分でこれを分けまして先づ納めて置くわけでありますが、実際の清算は今申しましたように地元の知事がやります。尚それにつきましては、
地方財政委員会において是正するの途を残して置きたいと思います。
それから免税でありますが、これは小企業者を保護するというような
意味の免税は
考える必要はないと思
つております。取引高税と同じように、余り細かくて面倒くさいというような
意味における免税点を附ける。
從つて大体年四回に分けまするが、一期の
税額が二百五十円にも満たないようなものは免税にする、こういうことを
考えております。
最後の非
課税の
範囲でありますが、これが非常に問題であります。これは現在、まあ
事業でありまするから、國なり
地方團体の行う
事業というのは
課税していないのであります。併し最近公團というようなものが、國の
仕事か何か分らんものがありますが、これにつきましては、
事業税は
課税しておりませんが、取引高税等は拂
つておるわけであります。今後公團、公社等はこれはやはり國と見ないでこの税を取
つて行きたいと思
つております。ただ主食に関する分だけは除いて行きたいと思います。問題になりますのは、
日本國有鉄道と專賣公社でありますが、これは國と公團とのもう
一つ中間くらいのもので、これにつきましてはどうするかという問題がありますが、これはやはり税の
性質がらいたしまして、こういうものにも
課税した方がいいのでないか。そうしないと、例えば鉄道で申しますると、私鉄はこの税が掛かる。然るに國有鉄道は掛からない。そうすると、この税を料金に織込むことにしても、國有鉄道の方はそれだけ上にない、私鉄の方はそれだけ上るということになりますと、轉嫁しようと思いましても轉嫁できない。競爭が成り立たないというようなことが起ります。
從つてこれを
課税してはどうかというようなことも今
考えております。そうすると、やはり後に申します固定資産税も
課税してはどうかという
議論も起
つております。
大体以上で……。