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1949-09-19 第5回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十九日(月曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政に関する調査の件  (地方税制問題に関する件)   —————————————    午前十時四十五分開会
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日の議題は地方行政に関する調査でございまして、過般シヤウプ博士税制改正に関する勧告案マツクアーサー元帥に出されまして、その全文が十五日に公表されました。その中の地方財政関係につきまして政府の方から説明を承わりたいと思います。尚この間この件については一應説明がありましたが、今度全文発表になりましてその当時分らなかつた部分がはつきりして参りました。それでこの前まだ全文発表にならないからというので詳しく説明されなかつた分を詳しく説明して頂きたいと思います。一應この前説明があつたことは荒筋について御説明願いたいと思います。
  3. 荻田保

    説明員荻田保君) それではお手許にシヤウプ報告書中税制改正に対する勧告書概要というのがございます。これは我々の方で報告書全文を要約いたしまして要点だけをここに書いたものでございます。勧告書を御覧になるとお分りになりますように非常に大部のものでございますけれども、大体現行制度に対する批判とそれから何故にこのような改革案勧告するかというようなことが非常に長いのでございまして、改革の中味につきましては余り詳しいこともございませんので、その点だけを、むしろ分り易くまとめたものでございます。從いまして我々の理解する程度においてまとめておりまするから、或いは勧告書の本旨をはき違えておるところがあるかも知れませんが、その点は予めお断り申上げておきます。地方財政及び税制改正方針でございますが、勧告案がこのような方針の下にこのような改正勧告しておるのだと我々が考えましたところを要約いたしますると、次のようになるわけでございます。  第一に、地方自治の十分なる発展を期するために地方財政力、殊に地方税総額増加する、地方財源総額で七百億円、うち地方税四百億円の増加を行う、この点が非常に勧告案を通じて流れております思想の一番大きな点であろうかと思います。この税制の元來の生命たるところの負担均衡を図るということは勿論この勧告案の一番の大筋でありましようが、それは別といたしまして、この地方自治というものを日本の今後の政治においてはつきりとこれをとつて行かなければならないのだということを指摘いたしまして、それを根拠に殊にこの地方財政税制の問題を考えておるようでございます。この点は我々地方自治関係者にとりましても非常に好ましいと思われる点でございます。  地方税制の中身に入りますと、第一に自主性を強化するという点であります。これは勿論先程の地方自治発展のための財政の量を殖やすという問題と、その殖やすものの質につきましても自主性を強化したものを、自主性の強いものを取るという点が大きな眼目であろうと思います。そのために國税、道府縣税市町村税の三体系を分離独立したものにする、從つて市町村が現在道府縣税附加税主義でありまするのをこれをすべて離してしまう。つまり税は國税か、道府縣税か、市町村税かどれか一つに纏めてしまうということを考えております。それからそれと同時に團体課税に対する責任を重くし、その実施の決定権を強化する、つまり課率とか課税標準等につきましてみずから決定できるようにして、國の許可、認可というような点は成るべく少くするという点でございます。  第三にこの地方税につきましては、地方團体が支持しております経費と、それからその地方税負担、この間の関連性を強くする、つまりこれによりまして自治の観念を育成したい、こういう趣旨であろうと思います。そのために地方税を直接税中心の税にする、それから地方税に應益主義的な色彩を強くするということが取られております。  第四番目に、地方税負担合理化でありますが、これは國税地方税を通じて流れておる大きな点であろうと思います。地方税につきましては、不動産に対する課税が外に比べて安いというのを、これを重くする、その代り事業税につきましては、今重過ぎるのを軽くする。それから住民税所得税的色彩の強いものにする。先ず所得税附加税というようなものに持つて行く。それからその外に過重な税率の軽減とか、適当でない法定税目整理等考えております。それからこれは地方財政の枠の中では必ずしもないわけでありますが、寄附金を相当募つておる、これを整理して正当な税の中に入れる。  第五番目に、國費地方費との双互の関係調整であります。これにつきましては先ず事務の配分を再檢討する、これにつきましてはまだこの勧告案は、はつきりした結論を出していないのでありまして、ここにありますように地方行政組織調査会という会を作つて日本政府において十分檢討してやろう、こういうことであります。この具体的結論は今申しましたように出ておりませんが、向う考えといたしましては、大体この負担とそれから事務の執行の責任、この二つ一緒にしなければいけない、つまり事務を執行する人が全部の負担をして行く、こういうような思想であります。從いまして全額國負担というようなことは止めて、そのような仕事は直接政府の手でやるか、地方團体でやらす必要があつたら直接全額地方費負担においてやる、こういう考えであります。その意味におきまして、負担金補助金整理を行う、災害費は、これはもう金額國庫負担する方が好ましいという結論を出しております。  第六に地方財政調整を強化する、この團体間の地方財政の凸凹が甚しいからこれを調整する、殊に先程の負担金補助金整理と関連いたしましても特にこの点を強化したいと考えます。これをするために一般平衡交付金制度を作る。尚最後自治の本体は道府縣よりも市町村である。このような観点の下に財源強化等市町村に重点を置いております。大体こういう考えでできておるのではないかと考えております。  その内容につきましてでありますが、先づ第一に地方税につきましては、現在の千五百億円の收入を千九百億円に四百億円増加する、この増加はすべて市町村に與える。この考えと先程の府縣税市町村税とを離すという観点からいたしまして、それから尚税目整理する、簡明なものにする。こういうような思想から行きまして、結局道府縣事業税と、それから入場税と、遊興税、この三つの税、市町村税住民税地租家屋税を併合しました不動産税、この二つにする。あとの雜税は相当整理してこれは適当に道府縣市町村で分け合うという大きな骨組であります。それから使用料、手数料につきましては一應そのままにしておく。これはまあ研究がそこまで行かなかつたという趣旨であります。  それから第三番目に國庫支出金につきましてはこれは先程のような通り整理いたします。数字的に見ますとこの表にありますように公共事業費補助金は三百五十億と出ておりますが、これは一應そのままにしておく。五十億減つておりますのはちよつと何か伺う呉解があるようでありまして分らないのであります。五十億が減つておるようでありますが建前としましては現在通り。但し勿論災害に関する分は全額國庫負担になります。一部の補助金負担金というものでありますが、このうち負担金は我々が國費地方費負担区分として考えておりまする例えば義務教育費のごとき、生活保護法のごとき、このような負担金はこれを廃止する。併し奬励的補助金、いろいろ細かい事業につきまして政府か國の見地から大いに助成してやろうというように考え性質補助金、これは残しておく。それから金額補助金負担金、これは先程申しましたように全部止める。それから配付税も止める。それからそういたしましても一般平衡交付金を千二百億円だけ設ける。昭和二十五年度において千二百五十億設ける。  次に地方債でありまするが、これは本年度の二百三十億円を來年度は四百億円程度に殖やす。それから地方債についての地方團体自主性を強化する。現在あります許可制度は成るべく早く廃止してしまう。そうして地方團体許可なしに地方債を起せるようにする。ただ法律を以て、ここにありますように、地方團体地方債の利子の支拂額が過去三ヶ年間の平均実行予算額一定率、一〇%及至一五%、これを超えないという制限はあります。この制限内ならば許可なしに地方債を発行することができる。  それから配付税につきましてこれは廃止する。そして先程申しましたように一部の補助金と共に一般平衡資金に入れる。この一般平衡資金の問題が非常に今後の地方財政に大きな影響を及ぼすだろうというように考えられるのでありまするが、大体この考えは今の配付税みたように國税一定割合というようなことは止めて、必要経費は皆國で持つ、國で補償する、こういう思想であります。つまり團体において普通の行政を行なつた場合にどれだけの経費が要るかという額を算出し、それから標準率で以て税を取つた場合にどれだけの税が取れるか、その差額は全部一般平衡交付金で以て埋めてやる、從つて毎年度総額もその意味で算出した総額を計上すればよろしい、こういうことなんであります。でここにこの配付税といたしましては、書き物のあとの方に、從つてこの中には全額補助金云々と書いて、今年九百三十億円の振替があるとございますがこれはちよつと誤りでありまして、先程の公共事業費のうち五十億円がとにかく落ちておりますので、この金も一緒振替つたようになつております。從つて経費九百三十億とありますが、九百八十億に直して頂きまして純増が二百二十億として頂きます。つまり平たい言葉で言えば配付税が二百二十億円殖えるということになるのであります。  次に寄附金、これは大体廃止するべきである、一部は残して差支えないけれども止むを得ないものがあるから四百四十億円のうち三百億円は廃止して百億円を残す、このような改革を行いまして、結局地方財政計画が次に述べます表に出ておりますような恰好になります。つまり年度三千四百十億円の地方收入の枠を四千二百億と大体八百億円増加するわけであります。この他に從來寄附金が四百億円、それを百億円に減らしますのでネツトにおきまして五百億円の増加、尚その他に災害費を二百億円だけ國家に廻しますので、結局純増は七百億円ということになります。まあ六百九十億ですね、この七百億円の増加從來寄附金で取つておりました三百億円を入れますと、まあ形式的には地方財源増加は一千億円になります。その一千億円の内訳は地方税は四百億円、地方債百七十億、一般平衡交付金で二百二十億円、災害費國庫への振替二百億、このようなことで一千億円、但しそのうち三百億円は寄附金振替がある、こういう考えであります。  それから次に各税目について簡單にお話しいたしますと、先ず住民税につきましてこれは市町村税とする、それから納税業務者につきましては個人的だけにします。法人が元同じく課税対象になつてつたの法人は除きます。それから個人でも從來世帶主納税義務者にしておりましたのを、今度は所得のある者はすべて一人々々納税義務者にすることにいたしました。それからもう一つ改革の点は從來は一人の人で住所とそれから別の市町村事務所或いは商店といいますか、そういうものを持つておりますと別々に取つたのでありますが、これはすべて住所地だけで取るということになるのであります。それから課税方法についての大きな改革從來均等割所得割資産割三本建でありましたのを、資産割は止めまして均等割所得割だけにいたします。それから所得割の方は從來、これは余りはつきりと課税標準を決めてはつきりした税率ぴつたりかけるというような運用をいたしませんで、等級を設けましたり或いは箇数を設けましたりして適当に割りつけるというようなことがありました、或いは農村方面ではいわゆる見立割というふうなことがあつたのでありますが、今後はそういうふうなことを止めて、すべて所得税において決定されました所得額或いは所得税額を基礎にいたしまして、一定の率これは累進でも比例でもいいわけであります、率をかけましてはつきりと税額を算出する、つまりいわゆる顔割的な住民税思想よりももつと強く、所得税的な色彩が強くなつたわけであります。それで所得割につきましては、この課税標準をここに書いてありますようなABC三つ方法、どれを選択してもいいのであります。それから賦課の制限につきましては、均等割につきましては市町村の人口によりましてこの三つ制限があります。それから所得割の方につきましては、先程の三つ方法に相應しましてそれぞれこのような制限があります。両方制限の中で自由に取ることができます。これは制限でございましてこれまで必ず取れという額ではございません。  次は不動産税でございますが、現在の地租家屋税を廃止して新たに不動産税をつくる、それでこの課税團体市町村になります、納税義務者所有者であります。課税対象が変りまして土地家屋だけではなくて、減價償却をなし得る事業資産事業財産でありまして、それが直ぐそのまま短期間で消耗するというものではなくして相当年度使う年間普通減價償却計算をする、こういうものを課税対象とする、機械設備等であろうと思いますが、課税標準につきましては大きな変革がありまして、これは貸賃價格じやなくて資本價格時價計算する、これを用いることになります。この評價は毎年度市町村が定めました評價人團、これは特別の職員だと考えるが特別の資格を持つた職員だと思います。これを置きましてこれが決定する。毎年度決定をするということに相成ります。ただ土地家屋につきましては、当分の間次による家屋農地以外の土地につきましては、現在の賃貸價格をそのまま一千倍にする、これを二十五年度に使う、そうして二十五年度中に評價人評價等を準備して、二十六年度からは本当評價に入る。農地につきましては、これは公定價格がありますからその点は公定價格に対して調整係数を乘じたものを使う、大体昭和二十五、二十六両年度においてはその調整係数は二十五を超えない範囲地方財政委員会が定めることになつております。結局公定價格で、田については賃貸價格の四十倍畑については四十八倍でありますが、田についても一千倍、畑はもう少し、千二百倍ですか、大きくなるわけであります。千倍を少し超えると思います。課率はこれは自由にするのが原則であるが、昭和二十五年度差当り全國一律に一・七五%にする、その後数年間は三%を越えない範囲で嚴守する。つまり現在賃貸價格にありまする不均衡がそのまま千倍に拡大されるというようなことになりますと、大変なことになるじやないかと考えまするが、向う考えは、そのように大きく現在ある不均衡がかように拡大して國民に示せば、直ちにその不均衡がどこにあるかということが分るから、それによつて本当評價をすればよろしい、從つて年間は我漫してそのような不均衡の下にあつていい、こういう考であります。  次の事業税でありまするが、事業税につきましては大きな変革があります。先ずこれは都道府縣税、大体府縣税でありますが、課税対象の現在の事業税第一種第二種、それから特別所得税、これを全部入れるということになつております。併し農業だけは除く、その釣合上牧畜業も除かなければならんだろう、林産業については地租との間で特別の措置を講じなければならん、こういうことが書いてあります。  それから課税標準、こういうことが大きな改革であります。現在の所得附加價値に改めておるわけであります。つまり附加價値では全收入金額から原材料は勿論、家屋施設等資本的設備購入費つまり他の事業から買つたものの價格を全部控除する。それを附加價値と称して、これを課税標準にするわけであります。つまりこの思想はいわゆる取引高税を一回だけかけよう、こういう趣旨でありますから、すでに取引高税の加えられたものについてはもう一度取引高税をかけない、こういう意味であります。この事業税については附加價値というような名前で表現されておりますが、結局一つのものについて生産から消費に至る段階において一ヶ月一回だけかける、こういう思想になつております。課率はやはり法定しないけれども、大体四%乃至六%で所要のケースに上げることになるだろう、制限として八%というものを二十五、二十六両年度は設けて置けばいいだろう、こういう考えであります。入場税課率を一〇〇%に下げる。そうしてすべて道府縣税とか、催しものの純賣上高の全部を学校の收入にしてしまつて個人收入にならないというような学生スポーツ素人演藝というようなものは全部不課税にする、その外の今六〇%まで課税しておりますものは全部一〇〇%の方に移行する。遊興飲食税道府縣税にする。ここにありますような税目は廃止する。それから自轉車税、荷車税所得に対するものだけを廃止する。それから鉱産税以下のものはこれは存置しておいて、府縣市町村とで適当に分ける。附加税というようなものは作らん。法定外独立税というようなものも残して地方財政委員会というようなものを作つて、そこの許可を得て起せるようにする。  最後地方財政委員会でありますが、地方自治廳地方財政審議会この二つを廃止して新たに地方財政委員会を新設する。地方財政委員会は知事、市長、町村長の各会の長が任命したものを一つ内閣総理大臣の任命した者二人これを五人を以て組織するわけでありまするが、任命につきましてはいずれも國会の承認を受ける、この委員会仕事地方團体利益の擁護という建前で國と道府縣市町村間の財政関係調整に当り、それで具体的に示してありまする職務は、ここに掲げたような程度であります。尚この外に先程申しましたように、國、道府縣市町村間におきまする税の配付について、政府勧告書を出すために地方行政組織調査委員会というものを、これは臨時の機関として設ける、こういう考えでございます。大体これはシヤウプ報告書中に含まれております地方税制改正に対する勧告概要でございます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問願います。
  5. 鈴木直人

    鈴木直人君 地方財政法の中に國の事務自治体事務というようなことが、一應具体的に列記されておつて、そうして國の方針と同じように全部が國の事務であつた場合には國が負担する。それから國と自治体との間において両方でやるようなものは両方負担するというので、その負担する区分がそれぞれ規定されておつたように思うのですけれども、そうするとあの考え方はもう今度現在勧告案のようになりますから、相当條項改正が行われると思いますが具体的にどんな点が改正になりますか。
  6. 荻田保

    説明員荻田保君) 御指摘になりましたように、我々が地方財政法において考えておりまする思想と全然違うわけでありまして、向うのはまあ国家的事務とか地方的事務というようなことは全然考えない。或る程の仕事を國でやるか、地方でやるか、どちらでやるか、便利な方でやる。やる以上はその負担は全部自分で、こういう考えであります。これはまあ我々が今まで考えておりました國家的事務地方的事務とに分けて、それぞれの色彩において経費負担する、尚その外に一般補助金というようなものは成るべくやめて、それはむしろ固有の地方財源を殖やして地方が自由にできるようにやらせるのが穩当である。こういう考えを持つてつたのでありますが、それが全然逆の考え方でありまして、今申しましたように、負担区分というような考えは全然なく、むしろ奬励助長的な補助金は残しておけ、こういう考えをもつております。從いまして地方財政法該当分を全部改正しなければなりませんが、これは恐らく一般平衡交付金交付の基準との問題も絡み合つて來るものと思いますので、まだ結論は出ておりませんが研究中であります。
  7. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、前のような地方財政法というものが非常に強くて、政府予算を組まなければならんという場合に、政府予算の組み方は地方財政法に基いて組まなければならんという強さを以て考えておつたのでありますが、今度の場合にはシヤウプ勧告が絶対ですから、これで一定の國と地方との負担支出、分担の仕方なりその区分なりをこの勧告案によつて先ず決めて、そうして決定したものに基いて地方財政法改正するということになりますね、そうなりますか。
  8. 荻田保

    説明員荻田保君) はあそうなると思います。それで結局一般平衡資金予算経帶化というのが問題になつて來ると思うのでありますが、これは先程申しましたように、地方團体でどれどれの仕事を行わなければならんか、地方團体でどれだけの税額がとれる、そうするとその差額は必ず一般平衡交付金として、國家予算に計上する。こういう保証があるわけでありまして、この点につきましては我々としまして相当疑問があるのでございますが、向う考えとしましては、そういう金額をこの地方財政委員会で決めて、決めたらその額は大体政府が何よりも先に予算に計上すべきものである。若しこれについて論議が起れば、政府地方財政委員と、対立が起れば、これは輿論なり國会なりが解決する問題である、こういう考えであります。
  9. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうなりますと千二百億というものは二十五年度ですと、二十六年度幾らになる、二十七年度幾らになるということが問額になつて來ると思います。その際に先般問題になつ地方配付税が三三%幾ら自治体幾らでしたかということになつていたのですが、今年の國の財政関係からして今年は一六%幾らかに減らされたというようなことで大藏大臣に質問しますというと、この配付税というものは地方財政法に基いて大藏省予算を決めるのではなくして、毎年毎年國の予算府縣地方予算とをいろいろ勘案して、その調整図つた上において必要なものが予算的措置としてできて、そうしてその結果その都度地方財政配付税の割が変更されるのだということを最後に主されておつたのです。この一平衡交付金というものの内容は、つまり地方團体の必要な最低の経費の全体から、課税標準によつて調整すべき税額を引いた全部を與えるのだということになつておりますが、この計算が、やはりその年の國の財政関係によつてこういうことになつておりながら、この計算にも拘らず二十五年度は千億である、或いは二十六年度は八百億きり地方の方に廻せないということが、起つて來るように思うのです。そこで、この地方財政の確立ということの問題は、すべて一般平衛交付金というものの千二百億円にあると思うのです。從つて非常に地方財政が確立されたようにも考えられても、この利益の千二百億というものはやはり從來における配付税と同じように、大藏省或いは政府考え方によつて左右されるような性質として残されておるというところに、まだまだ地方財政が健全化しないという要素がシヤラプ励告案にも残つておると思います。そこで私が問題としておるのはこの千二百億円、これは二十五年度は千二百億円となるところなつておるから別ですが、その後においてはどういうふうにこれを決定されるのが、こけは荻田君に聽いても困るだろうと思うのですですけれども、どんな風にされると思いますか、それをお聽きしておきたいと思います。
  10. 荻田保

    説明員荻田保君) 今お話になりましたような点、私も非常に心配いたしましてたびたび向う側にも意見を申したのでありますが、向う考えは非常に我々と大分食違いがあるのでありまして、現在のように或る一定率というようなことにして置くと、その率というものは國の都合でときどき動かされる、仮に動かされないとしても所得税なり法人税なりというものは、景氣の変動によつて毎年変る。從つて地方團体が必要とする経費の確保は得られない。こういうことは止めてむしろ地方團体でどれだけ金が要るか、どれだけ税が取れるかというのを調べて、そうしてその額だけを必ず出すということになれば極めてリーズナブルなことである。從つてこのようなリーズナブル主張を地方財政委員会が出した以上、このリーズナブルなことをけとばすようなことは國家財政当局としてもないのであるから、これは極めて安全なる保障がある。仮に若し金藏省がそのような主張を容れないで対立して予算案ができたとしても、それは輿論なり國会なりが判断してリーズナブルな方に軍配が上るのだ、それだから安心して然るべきだ、前の制度よりはよくなつたのだ、地方自主性も強化したのだ、こういう説早であります。結局我々もそれによつて今後二十六年度以降を考えて行かなければならんと思いますが、いろいろな歳出の科目につきまして一定の標準というようなものを作りまして、それによつて地方團体全体の財政需要というものを考え、そうして片一方標準率によつて税収入を計算し、そうしてその差額一般平衡交付金として要求する、まあそういう恰好になつております。
  11. 鈴木直人

    鈴木直人君 私はこういうことになるために所得税附加税というものが非常に確実なものであるということを実も考えておつたのです。例えば今年の法人税も加えた所得税を國が取れると、その三分の一は当然地方配付される。來年或いは財界が非常に不況になつた仮にした場合にはずつと少くなるかも知れない、少くなつた場合にもやはりこの國の所得税の三分の一は地方にそれを分ける。又インフレで非常に多くなる場合があるかも知れない、その場合にも当該年度内における三分の一は地方に分ける。こういうことになるとその率が非常にはつきりしているから確実に地方財源となる得るという点については、所得税附加税というものは非常に強いものであると考えておりまてたが、全然國、市町村府縣というように三本建税制なつたために、附加税は全部廃止されたしいうことになるのですが、それは別として例えば二十五年度の國の税収入がありましよう、それと千二百億円というものとの率を二十五年度に決めましてそうして二十五年度もその率で行く、二十七年度もその率で行く。要するに二十五年度におけるところの勿論これは國税だけではないのだろうと思いますが、國税なら國税と千二百億円との率を二十五年度において決めい、そうしてその率をずつとどこまでもいわゆる確保して行く、こういうやり方については如何でしよう、御意見は。
  12. 荻田保

    説明員荻田保君) その点は先程からも言つておりますように我々としましてはその方がいいと思うのでありますか、まあ向うはそれの方が不合理だ、我々の言うようにした方が合理的なんだ、こう申しております。
  13. 鈴木直人

    鈴木直人君 次に私が考えたことをちよつと申上げるのでありますが、義務教育費というものが負担金からなくなつて行くということになります。そうしますと義務教育の國庫負担金というものが一般平衡交付金の中に入れてこれから配付されるようになるのであるか。若しそうであるとすればそれは曾て文部省が義務教育國庫負担金として一定金額を指定して地方配付したと同じように、一般平衡交付金の中から特にこれこれの金額義務教育費であるというこを指定して配付するようになりますか。その点を一應お聞きしておきます。
  14. 荻田保

    説明員荻田保君) それはまあそういうふうにはならないのでありまして、地方財政全体としてどれだけが最低の財政需要かということを算出するわけです。その場合に恐らく義務教育費等については、今取つておりますような教員数とか或いは單價というようなものを以ちまして計算しまして、この縣の義務教育費はこれだけだ、そういうのが義務教育費だけではなくと社会事業から何から全部計算して総額幾ら、そうしてその團体の取れる税が幾ら、そうして差引くと幾ら足りないから、それだけは一般平衡交付金から出すということになるから、一般平衡交付金の内訳がついて來るということがありません。
  15. 鈴木直人

    鈴木直人君 今のようなことなりまするというと、これは縣になりますか市町村になりますかは別としまして、仮に市町村において義務教育費の学校の先生の俸給を全部負担するということに將來なつたとした場合に、やはりその町村から見れば財政的な負担がなるだけ軽くなればよいというような考え方から、教育費というようなものを非常に削減して学校の先生も少くする、或いは先生の俸給も下げるというようなことになることがまあ想像できるわけです。從つてそうなりますと相当この教育の確立ということが問題になりはしたなだろうかということを考えるのであります。  それからもう一つは文部省において今定員定額のようなことをやつております。ああいうようなものを取纒めてそうして文部省から地方財政委員会ですかそういう方面に交渉をして、そうして義務教育費としてはこれだけのものの交付金が欲しいのだというような文部省の計算に基いて、そうして地方財政委員会と文部省との間において駈引が行われて、そうしてそれが行かれるというような形にも全然ならない。各町村毎に計算して來たものを地方自治廳財政委員会ですかに行つて、そうしてそれを総括的に地方財政委員会から府縣市町村にそれが配付されるということになるますると、文部省方面において教育を確立するのだという立場からいろいろ研究をして予算を組むということは、全然なくなるというふうに思うのですが、私先程申上げましたように、文部省において一應の義務教育費というものを各府縣から取つて、そうして地方自治廳の方と協議をして一定の数というものを取るようになるのか、或いはそうでなくして府縣市町村から直接地方財政委員会が総括会なものを取つて、そうしてそれを府縣市町村配付するようになるのか、そういう手続はどういうふうになりますか。
  16. 荻田保

    説明員荻田保君) その手続の詳しいことは我々はまだ研究もついておらんわけでありまして、向う考えとしましては、今までのように負担金等によつて中央の政府地方團体仕事に対して紐をつけることはいけない。それでは國民教育が低下するというようなこともいえましようが、むしろこの収革案は地方自治ということを主眼に置いておりますから、今までそのようなことをして來たのかいけないのだ。負担金のような制度を作つて二分の一を出せば必ず二分の一を出さなければならない。こういうような制限をつけるのはいけない。從つてそういうものはやめてこの一般平衡交付金にするのだ、こういう考えであります。從つてそうでありまするけれども一般平衡交付交付額を算出する場合には、地方財政委員会地方からそのようなどれだけの歳出が要るのかという数字を取るわけでありまするが、恐らく取るときにもだだ向うの言いなりに取るのでなくて、こちらで標準を作つてこれでどの村は幾ら要るということを決めなければならんのであります。從つてその標準等を地方財政委員会が決めるときには、恐らく各省所官事項については各省の意見も徴することになるのじやないか、こう考えております。
  17. 鈴木直人

    鈴木直人君 次に現在問題になつておるところの自治体警察の費用ですが、現状としては小さいところの市町村ではとても賄うことができないということから予算という点からして、自治体警察を遠慮するということになつておる。併し今度はこういう一般平衡交付金というものかできてそうして自治体警察に必要な分は計上されて、そうしてその税率もそういうものに、全体の支出からその税を引いたものは全部國から一般交付金として貰えるのだから、自治体警察費は全部そのように交付されるのだから、財政的には相当裏付がはつきりしておるから、小さいところの町といえども今度は財源が付與されるのだというような建前にはなつておるわけですけれども、千二百億程度のものでそれが確立される見通しがありましようか。この点をお聞きしたいと思います。
  18. 荻田保

    説明員荻田保君) この自治体警察の費用でありますか、総体としましては今まででも普通の仕事をやつて行く程度財源は一應確保されておるという計算になつておるわけでありますが、ただ團体毎に見まして或る團体自治体警察のための経費が足りないというようなことが起るわけでありますが、その起る理由の一つはこの事件が突発的に起る。例えば舞鶴或いは下関というような場合の措置ができない。もう一つは單價と申しまするか、経費の使い方が我々の考えておる基準よりも非常にルーズになつておる、いろいろ政治的な事情等によつてルーズになつておる、こういうために金が足りない。こういう二つの理由があると思います。そのうち前者につきましては恐らく今度の平衡資金の際にそういうものが計算に入れられる。後者につきましてはつまり普通の水準以上の待遇を出すとか経費を使うというようなこういう問題は、今後もやはり一般平衡資金では解決か付かない。つまりそういうことは普通程度に、仕事をするだけの財源は確保する。それ以上のことは勝手に税をとつておやりなさい。税を市町村民が出したかつたらうんと待遇をよくしても構わない。税を出すのが嫌なら待遇は普通程度にする。こういう考えに基いておるのだと思います。
  19. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと人口五千以上程度自治体警察を存置しておいても経常的な経費負担はこれで賄うことが現存できるというわけだか、併し一般的には地方配付税は現在の状態ではとても満足ができないというのが自治体警察を置いておるところの声ではあるけれども、それは別としても現在もその程度経費は賄つてつておるのだ、從つて今度も賄なつて行けるように財政的基礎はできたというように今説明されたのですが、そうすると財政方面から自治体警察を廃止するという根拠はなくなりますね。
  20. 荻田保

    説明員荻田保君) なくなります。
  21. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つお聞きしたいのですか、先程生活保護法負担金について廃止ということになりましたが、ちよつと説明がはつきりしなかつたのですが、生活保護法は國が八割、縣が一割市町村が一割ということになつておるのですが、あれは市町村が一割縣が一割出すということにやはり或る程度まで自治体仕事でもあるというような考え方から行つておるのですが、今度は災害と同じように生活保護法に対するとことの費用は全部國が出すということになるというわけですか、そうでなくて全部市町村が出すということでしたか、その点はつきり聞えなかつたのですが。
  22. 荻田保

    説明員荻田保君) この國から出す八割の補助金を止めてしまうということであります。市町村で持つことになるだろうと思いますが、この場合に府縣から更に七割出してやるかということはまだ研究しておりませんが、いずれにしましても國から出す補助金は止めて市町村で全部持つようにする、ただ財政全般の計算をして生活保護はする、こういうことになるわけであります。
  23. 島村軍次

    ○島村軍次君 使用料、手数料は現状のままということになつておりますが、今度の剤告案によつて問題になるのは、例えば附加税制度による交付金の額、それからそれかいずれも独立税になりますから減つて來るのじやないかと思います。市町村としては大きな財源がなくなると思うのです。それから課税がすべて独立になりますから市町村及び府縣とも徴税費というものを相当多く計上しなければならんと思うのですが、そういう二つの点に対してどういうふうなお考えでありますか。
  24. 荻田保

    説明員荻田保君) おつしやいましたように課税が独立になりますから、今までのように府縣税の徴收或いは賦課事務までも市町村に委しておくということはできなくなります、それぞれ独立に取るということになります。現在それで都道府縣税につきましては仕事をして貰らう代りに交付金というものを市町村に出しておる、これは当然なくなる。なくしたその金で以て自分の徴税の機構を拡充してやれば大体それでやつて行かれる。やつて行かなければ府縣の方は税額に異動はないからそうプラスの金を出して貰つては困る。これは府縣の方は四百億の金か殖えるのだから、その四百億に伴うところの徴税費というものかプラスされなければならないので、殊に徴税機構の問題といたしましは府縣市町村のように充実していないから、これは余程徴税機構の充実を必要とすると思います。
  25. 島村軍次

    ○島村軍次君 それからもう一つ將來の問題だと思うのでありますが、勧告案のどこでありましたか最後に徴税機構として会計士の役割を非常に重要視しておると同時に、從來のような團体的なものは極力取るべきだ。直接の國税関係でありますか、これは一つの希望として市町村の場合における、或いは府縣の場合におけるこれに伴う徴税の確立を期するための一つ考え方勧告案以外に何か取入るべきではないかと思うのであります。從つて必要経費ということになりますかそういうものに対する公認制度というものについては何かお考になつておりますかどうか。
  26. 荻田保

    説明員荻田保君) まだそこまで考えておりませんが、おつしやいました例えば異議の申立のあつた場合に民間的な機関を入れてする、そういう考えをいたしております。
  27. 島村軍次

    ○島村軍次君 両方ですね。これと会計士の徴税の確立を期するための公認制度というものを考えておるかどうか。
  28. 荻田保

    説明員荻田保君) 民間の人も入れた審議会的なものを作る、これは向うが強く否定しておる考えで、税は本人と徴税する者とだけで爭いかあれば裁判所に持つて行く、そのために租税裁判所を作る、こういう考え方であります。課税につきましては今のような考え方はいけないので余程これは改正しなければならない。もう少し納税者の方もはつきり帳簿をつける、はつきり帳簿をつけた場合には徴税機構の方も充実する、そういう考えのようであります。その点鮮しく研究しておりませんがそういう意味において会計士の役割は重くなると思います。
  29. 島村軍次

    ○島村軍次君 さつき鈴木氏からお話になりました配付税について團体の必要の最低の経費、こういう考え方についていずれ折衝の段階においていろいろ経緯があつたと思うのでありますが、今後の問題に属するようでありますが、この問題は私非常に重要な問題だと思うのであります。今の自治体経費の出し方を靜かに考えてみますると、從前と違つて最低限度の必要なる経費というものを財政委員会において把握することが非常に困難ではないか。そこで最低経費の算出というものについて何か具体的に向うとの折衝の間に問題になつたような点がありますかどうか。
  30. 荻田保

    説明員荻田保君) 折衝というようなことはまあいたしておりませんが、向うの意見を聞きましても抽象的でありまして具体的なことになつておりません。併し報告書のあとの附録に或る程度触れてあるのでありますか、これはまあ十日ぐらいしたらお分りになると思いますがその考えで大体主な規定については個々にしております。それ以外の規定については大きく人口割とか何とかそういうことで、それで大体團体の通常の状態における必要の経費というものを算定して、尚それは初めはなかなかうまく行かんだろうから数年を期して完備したものを作れ、こういうようなことが書いてあるのであります。
  31. 三木治朗

    ○三木治朗君 これは地方財政だけの問題ではないのですが、今度の税制改革で以て新聞や何かで見ると一般納税者は幾らか樂になるということで、特に農村あたりが樂のようになると書かれておりますが、その農村でも地租だとかいろいろの外の所得税以外の税金がかかつて來ると、恐らく一ぱい一ぱいじやないかというような話も聞いておりますが、どうも今度の何で見ると富める人は案外樂になつて眞面目に働いている者がどうも重くなるように感じるのですが、そういう点どういう工合に観察しておられますか。ちよつとお伺いいたします。
  32. 荻田保

    説明員荻田保君) まあこの税制全体が直接税をむしろ多くして間接税を少くする、こういうことになつておりまするから、ネツトにおいて二百億円の減税になると申しましても、直接税においては必ずしもそうならない。特に地方税においては相当直接税が殖えるので、おつしやいました地租家屋税それから住民税、從いまして或る人によりますと間接税は別といたしまして、直接税において何か負担が重くなるのじやないかという感じを起す人があります。殊に地方税においてはそういう感を強くするだろうと思います。併しながら全体として二百億、或いはこの二百億円という計算はむしろ適当でないのでありまして、現在の税制を以て來年度徴税いたしますれば確か一千億からの増加になるので、一千億の増加をせずしてむしろ二百億を減らすのでありますから相当の減税でありまして、これは國民負担が誰か知らんとにかく何かの形においてそれだけのものは安くなるということはこれは明瞭なことでありますが、感じといたしましてはそういうことになるのじやないかと思います。でその中でどういう人が重くなるかという点でありますが、大体この農業、商工業を通じてむしろ將來は相当軽くなる、むしろ俸給生活者がこれがそう軽くならないという感じがしております。併し勧告書におきましては、税率はそうかも知れないけれども、現在事業、商工業なり農業なりについて相当課税標準において脱税があるから、これを十分に取ればそういうことにならない同じになる、こういうことを言つておるようであります。それからその俸給生活者の中でも殊に都市方面の人は地租家屋税の増加によります家賃地代のはね返りということが相当ありまするから余り減税にならんのじやないか。殊にうんと俸給の低い人或いは高い人はいいのですが、中間の年額にして二三十万円くらいというところが非常にこたえるのじやないか、或いはうつかりすると直接税だけは増税になる恐れがあるのじやないかというようなことも心配されております。
  33. 三木治朗

    ○三木治朗君 それから地方財政を分類して大体地方の受ける或いは收入する額が示されておりますが、このほかに近頃競輪であるとか競馬であるとかいうようなものが相当收益を挙げている市や縣があるのでありますが、そういうものはどういう工合に考えられているのでございましようか。
  34. 荻田保

    説明員荻田保君) これは何かちよつと忘れましたが大体問題にしていない、続けて行くなら続けていいというようなことが書いてあると思いますが。
  35. 三木治朗

    ○三木治朗君 そうすると総額金額よりもまだ殖える見込があるわけですか。
  36. 荻田保

    説明員荻田保君) そうです。
  37. 三木治朗

    ○三木治朗君 それから地方財政が非常に充実して行くことは望ましいことなんですが、現在非常に苦しい中においても地方の濫費と思われるような面が相当あると思うのですが、相当今度はまあ地方財政が充実して行くと、やらなきやならん仕事はまあ六三制の問題にしてもその他いろいろあると思うのだが、今度できる地方財政委員会仕事ではやはり地方財政のために働くのであつて、その地方財政を何といいますか監督といいますか指導とかいうそういうような、國としては何にもそういう組織機関はないわけなんですね。恐らくそれは地方の議会或いは地方の市民の判断によつて行くというのが建前であろうと思うのですけれども、地方民はなかなかまだそれまでに関心が政治に対して深くないし、こんなに言うと地方議会の人に怒られるかも知らんけれどもどうも感心しない連中も相当あるのであつて、そういう点で多少とも心配になるのですが、何かお考えがあるのですか、何か規定があるかちよつとお伺いしてみたいのです。
  38. 荻田保

    説明員荻田保君) この地方團体財政に対する監督と申しますか監督的なこと、これはまあ現在の地方自治法に規定がありますので、將來とも地方財政委員会でやるべきじやないかと思つております。殊に先程から問題になつております一般平衡交付金の分與につきましてはどれだけの経費を出しておるかということを調べなきやいかんわけでありますから、この意味におきましてはむしろ今まで以上に相当地方財政状態を調べる必要があるのじやないかと考えております。それからそれはそれといたしまして一般住民との関係であるまするが、これはむしろこのシヤウプ報告書は國税地方税を通じて全体的にそういう考えを持つている。つまり先程申しました間接税に比べて事業税の地位を引上げるというようなのも、むしろ國民に税の負担というものがはつきり分る、つまりもつと悪く言えば税がひしひしと肩に迫つて來る、そうすれば結局何故こんな税を取るのかということで政治を批判するだろう、歳出を檢討するだろう、こういう点を強く強調しておる。そういう意味におきまして間接税よりも直接税に重い、こういうことになつております。殊にこの点が地方財政については強く出ておりまして殆んど直接税になつておる。從つて税がいわゆる直接税の形で住民にぴつたり掛つて來ますから、そのときに余り大きければこれは何しておるのだ、どんな歳出をしておるのだという意味で全部の檢討をする、この点においては今よりも改正になる。このことが地方自治発展については最も好ましいのだ、こういうことになつております。
  39. 小野哲

    説明員(小野哲君) 大変突発的な故障ができまして遅れて参つて誠に恐縮に存じます。今お尋ねになりました点につきましては私も地方自治行政に携わつておりまする一人として、地方財政の適切な運用を図つて行かなければならないということを考えるのでありまして、今回のシヤウプ報告書に掲げられておりまする内容を的確に実施いたします場合におきましても、これら適当な措置を講じて行かなければならない。又地方自治廳從來からもさようでございましたが、今後もやはり地方財政の面について何らか指導或いは自主的な助言をして行くということから考えましても、適切な指導をいたして行かなきやならんというふうに思つておる一人でありますけれども、將來自治廳の問題がいろいろどういうふうになるか、地方財政委員会との関連において檢討を加えなければならんようなことに相成るのでございますが、さような考え方は今後も税制改革に伴う方針といたしましても何らかの方法を講ずる必要があるのではないか、私もかように考えておる次第でございます。
  40. 鈴木直人

    鈴木直人君 地方財政委員会が中央に一つ出來てまあ地方債許可とか、法定外独立税許可とか或いは一般平衡交付金の面ですがこれが重要な問題で、或いは地方財政に関する問題の收拾とか、それから今お話になつた各地方團体経費の濫費についてはまあ監査委員などがありますけれどもそれはなかなかその通り行かない。そういうようなことを監督するとかいうような仕事をやるのですが、これは中央に一つあるだけでは非常に末端までは手が届かないのですが、やはり地方財政委員会が出來ましてもその下部機関としては府縣廳を使い、そうして町村のいろいろのものを府縣廳にまとめさせるような機構になるのですか。或いはその下部機関のようなものが出來ますか。或いは又府縣府縣財政委員会というようなものが出來たり市町村市町村財政委員会というようなものが出來るようになりますか。それはならないようにも考えられるがその点について。
  41. 小野哲

    説明員(小野哲君) 只今の御質問にお答えをいたしますが、シヤウプの勧告書によりますれば一應結果において地方財政委員会というものを作つて行くということについていろいろ内容の御勧告があつたのでありますが、目下のところは中央の地方財政委員会をどういうふうに持つて行くかということについての檢討をいたさなければならないという段階にありますので、地方に対して如何なる機構を作ることが必要であるかということについては尚將來研究をいたさなければならんことではなかろうか。ただ各地方におきましては或いは監査委員というふうな制度もありますので、果して地方財政委員会に呼應するような組織を地方で作るべきであるかどうかということは、尚研究を要する事柄ではなかろうかとかように考えております。
  42. 島村軍次

    ○島村軍次君 簡單なことですが六三制の問題とシヤウプ報告書との関係といいますか、つまりこれは文部省の所管になるかも知れませんが、約束した問題に対してはどういうふうな取扱いで地方に還元するか、或いは平衡資金との関係になりますがそういう点が一つ。それから法案は全般を通じて地方財政関係する法案をお出しになるかどうかそいつを一つ
  43. 小野哲

    説明員(小野哲君) 私から概括的なことを御答弁いたしましてあと財政部長からお答えいたしたいと存じまするが、先ず地方の六三制等の経費の問題につきましても、この勧告書では相当関心を持つておるようにも見受けられる次第でございます。この内容につきましてはいずれ財政部長からお答えをいたします。尚今回の税制改革に必要な法律をいつ出すか、こういう御質問でございますが、準備その他の都合もございまするし、又來年度から実施をするということに相成りますと相当廣範な且つ根本的な改革に相成りますので、できるだけ臨時國会に提案をいたしたいという心組みで目下準備を進めておるような次第でございます。
  44. 荻田保

    説明員荻田保君) 六三制の問題でございますが、恐らく経営費につきましては先程から申しております一般平衡資金との問題で解決する、臨時費につきましてはこれはやはり起債と國庫補助によるものだろうと思いますが、來年度あたりは起債が非常に殖えておるということはそういうことを狙つたものではなかろうかと思つております。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方自治廳を廃止せよそして地方財政委員会を作れ、こういうふうに勧告しておるのですが、地方自治廳の出來ますときに、本委員会におきましては地方自治廳というような官廳を作つて、そして從來地方財政委員会を拡大した地方自治委員会というものが、その官廳の附属みたいになるのは甚だまずいのではないか。その國家地方公共團体との調和を図る特殊な大事な機関となるものを作らなければならない。地方財政委員会を拡大したその機関は、むしろ地方自治委員会というものを主体にしてその事務局を設けるというふうにした方がいいのではないかということを、地方自治廳設置法が出ましたときにこの委員会の各委員において頻りに論議された。今でもその方がいいのではないかという心持ちは私共持つておるのですが、なぜシヤウプ・ミツシヨンが地方自治廳を廃止して地方財政委員会を作れと勧告したか、これを御いておるのです。
  46. 小野哲

    説明員(小野哲君) 只今御質問のございましたこのシヤウプの勧告、それの中に地方財政に関する機構の問題でございますが、今回は相当強力な委員会制度を布きまして地方財政に関する諸般の指導等に当るべきである、こういうふうな意見と解釈しておるのでございます。それに伴いまして地方自治廳の問題が起つて來るのでございますが、これは各位御承知の通り地方自治委員会というふうな性格で以て一つの機構が定められるようなことに相成つておりましたのが、地方財政委員会となり又地方團体その他各方面の要望がございましたのでありますが、やはり中央には何らかの中央官廳が出來まして、國と地方團体或いは地方團体正互間の連絡調整を図ることが必要であるというふうな強い意見も出ておりましたようでありまして、それらの色んな事情から地方自治廳が生れたものと私は思つておるのでございます。今回シヤウプ使節團が地方自治廳を解散して地方財政委員会を作るべきであるということを勧告されております考え方が、一体どこにあるかということにつきましては、私共実は詳細且つ的確に把握することは実は困難でございます。併しながらこの地方財政に関するシヤウプ使節團の非常な熱意なり或いは考え方等から伺いますというと、地方財政につきましては國家財政と相俟つて、相当強い機関で以てこれを担当するような機関を作る必要があるということがほの見えておるようでございます。その場合に從來のようないわゆる自治委員会というふうな機関との関連をどうするか、或いは勧告書に出ておりますような考え方地方財政委員会を作ることによりまして、地方行政との関連をどういうふうに調整をして行くか。從いまして現在の自治廳を解散するという建前を取つた場合において地方財政地方行政との関連を如何に処理して行くかということが、やはり論議の対象になるのではなかろうかとかように思うのでございます。私一個の私見を申上げれば地方財政が確立いたしまして、これを円滑に実施いたして行きます場合におきましては、何と申しましても地方行政との関連において、又地方行政の上にいろいろの影響を與えるものであると、こういうような感じがいたすのでございます。さような意味合におきまして果して地方自治委員会というふうな思想を持つたもので考えられるか、或いは純然たる地方財政を中心としたいわゆる地方財政委員会というような思想のみを持つてつて果してよいかどうかということにつきましては、尚十分な檢討を加えなければならん問題であろうと存じますが、私自身といたしましては、地方行政地方財政とは不可分な関係において取扱うべき必要があり、又これにふさわしいような機関を設置することが必要ではなかろうかというようなことを、密かに考えておりますことを申上げて置きたいと存じます。
  47. 島村軍次

    ○島村軍次君 今のに関連してですね、御配付になりました地方財政委員会の末頃にですね、地方財政に関する資料の蒐集ということが上つております。それに地方行政組織調査委員会を設ける、これはまあ励告案をよく読んでおりませんが、こういうことがあつたのでありますが、又その内容がもつと地方行政組織調査委員会というものが、つまり自治廳の代りのような意味にまあ取れるというような感じもあるのでありまして、その点これは資料の蒐集だけの意味かどうか、こういうことはどんなものでしようか。
  48. 荻田保

    説明員荻田保君) この印刷物はちよつと書き方が悪いのでございまして、六号の地方行政に関する資料の蒐集は別です、尚以下は上に持つて行きます、全然別のことです。地方財政の外に地方行政調査委員会を設ける。この地方財政委員会の方の職務でありますが、これは地方財政に関する限り全部やるという趣旨だろうと思います。つまり國と地方團体間の調整に関する、まあそれ以外には地方財政については地方團体みずから自分でやればいいので、中央でとやかく言うことはない、ということはすべてこの地方財政委員会でやるという、こういう考え方であります。
  49. 鈴木直人

    鈴木直人君 私だけ発言して済まないですが、地方財政委員会の組織ですけれども曾てあつた地方財政委員会委員長は國務大臣を以てこれに当てておりました。それから地方自治廳ができましてからも地方自治廳の長官は國務大臣を以てこれに当てておつたのですが、今度は地方財政委員会の委員は五人になつて二人は内閣総理大臣の任命した者ということになるので、この内閣総理大臣の任命した者の二人の中に國務大臣というものが入つて、そうして國務大臣が委員長をするという考え方でしようか。或いはいわゆる國家公案委員会のように、全然内閣の者は関係しない独立の機関であるというような形に仮にするということになるというと、そういうような場合においては内閣の閣内において有力に発言する力が非常に足りなくなつて來る。今ですら大藏大臣に押されておるような現状において、閣僚がその委員長をやつていないという独立した組織になつては、非常にこれは弱いものになつて來るわけですが、これは國務大臣を以て一人任命してそうして委員長に当てるという含みがあるのだろうと思うのですけれども、それはどうなつておりましようか、お聽きしたいと思います。
  50. 小野哲

    説明員(小野哲君) 只今鈴木委員からの御質問でございますが御尤もな御意見でございます。あの勧告書の中にありますように、五人の委員を任命する、その中の三名はそれぞれ地方團体の会長等からの任命になる、その他の二名は内閣総理大臣からの任命ということに相成つております。その場合に先程私が御答弁の中で申上げましたように、今回の地方財政委員会は相当有力なものであるというふうな点から考えまして、或いは内閣との関係をどう調整するか、或いは委員の中に國務大臣を入れるべきかどうかというふうないろいろの問題が包藏されておるように思うのでございます。併しながらまだここでこういうふうな考えでやるべきであるという結論的なお話を申上げる時期には至つておらないように存じます。ちよつと速記をお止め願います。
  51. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  52. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。それから災害復旧費ですが二百億とした理由ですね。これは毎年どんな災害が起るか分らないので、二十五年度のを今から二百億と押えることもどういう根拠に立つたのか、今までの毎年起る災害の平均をとつたのか。そうなるとすれば、從來災害の復旧がまだできないものが八百億より多くある、その費用負担がどうなるか、これを全部國庫の方で補助をしてくれると、こういうことなのか、この点を伺つておきます。  もう一点は配付税を簡單にいうと、一般平衡交付金が千二百億ということになつたので、二百二十億ほど配付税が殖えたと、こう考えてよかろうと思います。それはここに書いてありますように金額補助の額が百億、これは今までの平均による一部補助が二百五十億、これも今ままでのやつをやつておる、これは金額が出て來るだろうと思う。公共事業費のミステークが五十億、残るところは配付税の五百八十億を二百二十億増して大体八百億ということになつた、それじや配付税を増して八百億にしたということは、どういう根拡によるのか。今までの配付額の率が三三、一四でしたか、それを法人税の見込額にかけると八百何十億になる、そういうところから逆算したのか、その根拠を伺つておきたい。
  53. 荻田保

    説明員荻田保君) 災害費の二百億乃至三百億というような数字が出ておりますが、これは專ら地方團体の純負担分だけです。災害費総額が二本億じやありません。これだけでも五百億ぐらいの総額になると思います。この程度は今まで大体出しておるからそれを受け継いで行くと、こういう考なんですそれから一般平衡交付金を千二百億円出したものは、大体二十五年度地方財政の枠というものを伺うが算定した、それが四千二百億ぐらい、その数字をどういう根拠で出したかといいますと、昭和八年から十年ぐらい三ヶ年間ですがこれくらいの平均の地方歳出というのを見てこれに物價指数が何ぼであろうと考え、更に人口の増加或は新らしい自治体事務こういうものの殖えたのを計算して一千億内外、こういう数字を出した。この数字は寄附金の三百億円の地方税振替を差引くと七百億となるが、これは地方自治廳が主張しておる数字と合う、從つて合理性があるのだと、我々大変面目を施したわけであります。そういう根拠から四千二百億というのを出しまして今度與える税なりを引いて、その差額が二百億になる、こういう根拠であります。從つて元の配付税の三三、一四%というものは何らの根拠にはなつていないのであります。
  54. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今災害復旧費の分ですね、ちよつと分らなかつたんだが災害復旧は背部國庫負担にすると、シヤウプの勧告案に書いてあるんじやないですか。
  55. 荻田保

    説明員荻田保君) 書いてあります。
  56. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それで今二百億しか二十五年度には見込んでない、今までの復旧費というものは寄せて千億ぐらいあるでしよう、まだ復旧できないものが……、それをどうするかということです。
  57. 荻田保

    説明員荻田保君) その点は恐らく平均に何すればそのくらいになると、こういう考であると思います。從つて二百億乃至三百億と書いてありまするから、これを國庫負担分まで入れれば倍ぐらい六百億乃至九百億ぐらいになるのであります、大体それくらいでやつて行ける、こういう考だと思います。何うも基金制度的なものを考えておるようであります。
  58. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ。私が聞きたいのは今まで農林省とか建設省あたりで人件費や或いは事業費について、國が例えば土地改良等なんかにおいて國が七割出す、府縣は三割出す、市町村は何割出すとか、そういうような形でいろいろな事業をしておるわけですが、農林省関係は非常に多いのです。人件費のものもそういうようなやり方でやつておるんですが、あの考え方は全然なくなつて、農林省で予算をとる場合には、この点は、全部國が直接やるんだからしてこれは國庫の中の予算に入れる、或いはこの事業府縣にさせる、從つてこれは一般平衡交付金というものの中でやつて貰うと、こういうふうに分れるものですか。或いは從來と同じように一つ事業をする場合に、國はこれだけ出すから地方府縣廳は、これだけ出せというような予算を相変らず組まれるのですか、これと全然別個な各省予算の中にそういうものが入るか、お聞きいたします。
  59. 荻田保

    説明員荻田保君) これは先程申しましたように、負担金的な考え方のものは今後は各省で出さないというわけでありますから、負担金的だと申しますと、つまり縣なり市町村なりがやらなければならない、これだけの仕事地方團体でやらすんだ、こう決めた仕事であります。こういうものにつきましては新らしくやる場合には、恐らく平衡交付金の枠において考えて行く。又そうじやなくてこれだけの金をやるからやりたい者はやれ、半分補助してやるからやりたいものはやれ、こういうような経費、これは今店も依然として残ると思います。
  60. 鈴木直人

    鈴木直人君 事業には、例えば、道路を造るにしましても國道なんかにつきましても、これは國道だから國が出さなければならんけれどもその國道の受益者負担といいますか、國道を造つて貰う地方が、相当利益をするのだから、從つて受益者負担として当然その程度のものは負担すべきであろう、こういう考えから相当そういうふうな受益者負担的な負担をさして行く、予算は建設省、農林省等に取つてあるんですけれども、そういうものはなくするんですか。
  61. 荻田保

    説明員荻田保君) 公共事業については、現在のままであります。
  62. 鈴木直人

    鈴木直人君 公共事業費じやない一般の農業のいろいろな関係がございますね、そういうものはどうなりますか。これは公共事業費というものの中に全部含まれていますか。
  63. 荻田保

    説明員荻田保君) 含まれておりますね、事業的のものは。
  64. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ありませんか……それでは今日はこれで散会いたします。    午後零時二十分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            柏木 庫治君            島村 軍次君            鈴木 直人君            小川 久義君   説明員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治廳財政    部長      荻田  保君