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1949-09-12 第5回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十二日(月曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政に関する調査の件(調査報  告書及びシャウプ勧告案に関する  件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日は八月二十六日に発表されましたシャウプ勧告案につきまして、政府当局からこの内容、これに対する地方自治廳としての対策、そういうことにつきましてお聞きをし、当委員会として研究をいたしたいと思います。  その議題に入ります前に皆さんにお諮りをいたしますが、この委員会理事岡田喜久治君が一時他の委員会に轉出をなさいましたので、その後に理事が消滅をしたわけであります。一人理事に欠員ができておるのでありますが、これを選任する必要がございます。この選任如何にいたしましようか。
  3. 藤井新一

    藤井新一君 民自党の岡田君ですが、委員長に御指名をお任せいたしたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは委員長において推薦をいたします。民主自由党岡田喜久治君に理事をお願いいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに決定いたします。   —————————————
  7. 藤井新一

    藤井新一君 この前に地方行政実地調査報告書ですが、我々岡田喜久治君、太田敏兄君、西郷吉之助君、藤井新一君の四人が岐阜並びに奈良へ行つたのですが、すでに岡田喜久治君から詳細な報告があつたと思いますが、ここに更に申上げることを控えまして、もつと詳しい報告速記録に載せますから、これを一つ御登載を願いたいと思います。如何でしようか。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 藤井委員から報告書速記録に載せる御提言がございましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそのように決定いたします。   —————————————
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは議題に入りまして、先ず小野政務次官からシャウプ勧告案について御説明を聽取いたします。小野政務次官
  11. 小野哲

    説明員小野哲君) 実は私政務次官に就任いたしまして早速御挨拶に罷り出なければならなかつたのでありますが、丁度デラ台風の発生がございまして、以後引続いて九州、四國並びに和歌山縣地方災害地の視察に参つておりましたような関係上、その後機会を失して御挨拶に罷り出ませんことを誠に恐縮に存じている次第でございます。御承知のごとく地方行財政亘つて誠に重大な時期に際会しておりますので、皆樣方の御支援、御協力によりまして、職責が全ういたされまするように念願いたしておるような次第で、何とぞよろしくお願いを申上げたいと存じます。  本日はシャウプ勧告案についての御審議と承つているのでございますが、実はシャウプ使節團勧告案が先月二十六日にその大綱が発表されました程度で、未だ勧告全文が発表いたされないような関係もございまして、或いは御希望に副うような詳細な御説明を申上げるということは困難ではなかろうかと存ずるのであります。本日は担当の荻田財政部長が出席いたしておりますので、いずれ荻田君から説明をいたすことにいたしたいと存じまするが、私から極めて概略の点をお話を申上げて置きたいと思うのでございます。  今回の使節團勧告大綱によりますというと、從來の我が國における地方税制に関して根本的な改正が行われるように見受けられるのでございます。特に國民地方税との関係におきましては、從來考え方と違いまして、相当の根本的な問題が採入れられているように思うのでございます。税制使節團勧告の概要についてというシャウプ博士の談話を拜見いたしましても、今回の勧告狙い一つといたしまして、インフレーションが今後更に昂進する危險がまだ去つていないということ、更に地方自治政策を今後持続しようとするならば、地方團体はより多くの独立税收入を必要とするということ、こういうふうな点が書かれているのでありまして、この勧告案において地方財政に関して相当重要な関心が拂われておるものと先ず考えられるのでございます。從いまして計数の上において國税地方税を通じまして、國民負担軽減如何なる程度になるかということが我々といたしまして檢討いたさなければならない点でございまするが、少くとも地方財政範囲内の中においてのみ考えて見ますると、相当税收増加を見込まれておるということが申されるのでございます。併しながら從前のような都道府縣市町村との間における相互関係においての税の配分の点につきましては、むしろこれを根本的に是正いたされまして、都道府縣においてもまた市町村におきましても、独立税源を與えるという大きな筋が入つておるように思うのでございます。のみならず今回の税制に関する勧告案を見ますという、地方税におきまして、いわゆる直接税中心主義が観念として織り込まれておるということが見受けられるのでございまして、從つて地方税收入増加されるに拘りませず、その徴税の機構なり、或いは能力その他方法において運用の点から十分な地方の実情と睨み合わせて檢討しなければならない問題が残されておるのではないか、かように思うのでございます。特に現行法において施行されておりまする事業税につきましては、今回は全然新らしい立場から賦課價値対象とした税制を立てようということに相成つておりますので、これは一例でございまするが、かような点につきましても尚檢討の余地が十分にあるのではないかと思われるのでございます。又一般財政調整見地から申しまして、現にございます配付税の問題、或いは國庫補助の措置の点等考え合わせまして、一般平衡資金制度が置かれまして、新たに設けられた地方財政委員会において、これが運用を担当するということに相成つておるのでございますが、この一般平衡資金内容はどんなものであるか、又これを運用して行く場合において如何なる方法によるかということが、これまた我々としては十分研究いたさなければならない問題であろうと思うのでございます。  以上申上げましたような新らしい見地から地方税制につきまして再檢討を加えなければならない状況に置かれておりますがために、この大綱のみから考えますと、まだ的確なる結論を申上げるまでには至つておりませんし、又この際軽々にこの勧告案大綱基礎といたしまして、長所或いは短所等について批判をいたしますことは、如何かと存ずるのでございますけれども、差支ない限り財政部長から御説明も申上げ、又本委員会としての御意見等を承らせて頂きまして、報告書全文の発表に伴つて、諸般の準備をいたす関係もございますので、いろいろと御指示、御指導を得たいと、かように考えておる次第でございます。詳細の点につきましては、財政部長より御説明をいたすことといたして挨拶を兼ね、大要を私から申上げたような次第でございます。
  12. 荻田保

    説明員荻田保君) 勧告案大要只今政務次官から申上げた通りであります。以下項目に從いまして、大体のところを御説明申上げます。全貌としまして、一番勧告案が重きを置いておる点は地方自治というものを十分に認識しまして、これが現在振わないのは財源が不足しておるからだという点をはつきり書いておるのでありまして、そのために地方財源を殖すということを大きな目的にいたしておるのでございます。その殖すために大体一千億からの増加考えておるようでありまして、そのうち四百億円は税の増税による、それから後四百億円は補助金、新らしくできます一般平衡資金というようなものを入れまして、補助金、それから地方債というようなものにおきましての増加考えておるようであります。それからつり二百億円は災害に関する地方負担は全部國に移すというようなことを考えておるようであります。合計一千億からの税源をプラスする。ただ現在この自発的寄附金、こういうような名前地方團体が当然地方税を以て支拂わなければならない支出寄附金の形によつてつておるる。これはいけないから整理する。その額を大体本年度四百億円程度と見まして、その四百億のうち三百億円は税に振替えても、どうしても百億円程度は後に残る、三百億円程度は中へ入れる、こう考えておりますので、差引きしますと、七百億円の実質増、こういうことになるわけであります。そこでこの地方税に関する改革でありますが、この狙いとしましては、一つはこの國税府縣税市町村税この三つ体系のそれぞれの独立性を強くするということであります。つまり附加税というものを避けまして、すべて独立税に持つてくる、こういう方針を持つております。從いまして或る一種類の税金は必ず國か府縣か、市町村か、どれかが全額取つてしまい、附加税という恰好は残さない。こういうことを考えておるようであります。  第二には地方税に関するこの地方團体施設と、地方税負担というものの関連性を強く考える。当らないかも知れませんが、應益的な原則を強く考える。そういうような意味におきまして、例えば直接税を成るべく多くして間接税地方税へ持つて來ない。或いは地租家屋税というようなものを地方税にする、或いは事業税標準外形標準にするというようなことであります。  次に税負担合理化であります。これは各税に亘つて行なつておりますが、先ず地租家屋税、これはむしろ増加しております。これはまあたびたび申上げたと思いまするが、現在の地租家屋税負担が非常に低い、低いことにはいろいろ理由があるのでありますが、理想的な地方税の姿から見ると低過ぎるということからいたしまして、やはりこれを相当額上げる。それから事業税課率純益の一五%という高い税率である、これは高過ぎる。これを引下げるために課率を引下げるばかりでなく、課税標準も変える。こういうようなことも考えておるようであります。入場税につきまして一五〇%という税は非常に高いのでありまして、これは一〇〇%まで引下げる。尚その他に不動産取得税不動産の流通を阻害して適当でないからこれを廃止する。それから酒の消費税は、これは一つの税を國と地方とによつて分け合わないという建前上、地方税から整理する。その他に各種の雜税に亘りまして或る程度整理を加える。まあこういうことが地方税について行われると思います。  尚一つ附加えて申上げたいことは、この税の総額増加するとか、或いは財政力を強化するという場合に、府縣よりも市町村を以て地方自治本体であると、こう見まして、税の増額はすべて市町村税において行う、こういうことを方針としております。この方針に從いまして以下各税について申上げたいと思いますが、尚道府縣税としまして、このような三税の体系を別々にするという趣旨からしまして、事業税入場税遊興飲食税、この三つを以て府縣税本体とする。市町村税の方に土地家屋税、これは後に申上げますが、土地家屋税不動産税と申します。これと市町村民税、この二つを以て主体とする、大体この五つの税を以て地方税本体とする。あと雜多の税は適当に両者で分け合つて、今のような附加税を取らずに成るべく両者が分け合つて、然るべきそれぞれの税とする、こういうふうになつております。  そこで住民税でありますが、現在の住民税均等割所得割資産割と、この三つ課税標準を用いておりますが、今後は勧告案によりますると、この資産割という部分は廃め均等割所得割だけにする。所得割はこれは從來はいろいろ然るべき方法で、これは所得割だけでありませず、市町村民税全体の課け方が、はつきりした課税標準を決め、はつきりした税率を決めてぴつたりと課けるというようなふうではなく、多少裕りのある、極端の場合にはいわゆる見立割というようなことが行われておつたのでありますが、今後は均等割の外の所得割は、すべて國税所得税税額か、或いはその基礎なつ所得額というものを掴えまして、はつきりした税率課税する、こういう方針を、採つております。でその所得税課税標準に使う場合に三つ方法考えております。一つ國税所得額そのもの標準にする。つまり所得税附加税を作つたような恰好であります。第二は所得税計算に用いた所得額、勿論基礎控除とか扶養家族控除をしたあと所得額、これを標準にする。それからもう一つ第三番目のものは、今第二に申しました所得から第一に申しました國税所得税額、これを差引いたもの、つまり所得税引所得というものを標準にする、このようなことを考えております。でその賦課額均等割についてそれぞれの制限を設ける。所得割につきましては今申しました第一の方、國税所得税額を使うものと、第三のもの、所得税引所得額を使う場合には、これはそれぞれ二〇%とする。眞中の所得税計算に用いた所得額を使う場合は一〇%、この最高の賦課率の中で適当に課税をして行くということになつております。これによりますと、改正前、府縣民税市町村民税を併せて二百四十億であつたのが六百億、二倍半になります。  それから次に地租家屋税の問題でありますが、これは第一に課税対象を拡げまして、土地家屋の外に減價償却をなし得る営業資産というものを課税標準に入れます。でこの減價償却をなし得る資産と言いますのは、結局機械施設というような固定資産と申しまするか、單なる普通の道具、備品、消耗品的なものでなくて、少し年数に耐える、從つて毎年減價償却をなし得るようものをこれはすべて入れるわけであります。そうしまして課税標準を現在の賃貸價格でありましたのを改めて時價にする。それで時價につきましては、それぞれ市町村評價人と言いますか、これを設置しまして、これが毎年時價を決定する。ただ当分の間土地家屋につきましては、現在の賃貸價格一定倍数を掛けたものを時價と見る。その倍数家屋農地を除きました土地につきましては、現在の賃貸價格の千倍、農地につきましては農地改革において定めてありまする法定賃貸價格一定倍数、その倍数は二十五倍を超えない範囲内において適当に政府において決めたものを採るようになつております。課率は大体一・七五%ぐらいを標準考えております。多くても三%を超えてはいけない。これが地租家屋税改革内容であります。尚そうなりますと、地租家屋税というような名前では適当でありませんので、不動産税というような名前使つてはどうかというような案もございます。  次に事業税でありまするが、これが非常に変つております。第一に課税対象でありまするが、これは大体現在の事業税のうち、法人は勿論、個人につきまして第一種、第二種もすべて、それから特別所得税というのがありますが、これも全部一應減廃とする建前になつております。併し農業はこの中から除く、こうなつております。それから大きく変りましたのは課税標準でありまして、現在は御承知のように所得純益標準にしておりましたのを附加價値ということに改めるということになつております。この附加價値は英語でアッデッド・バリュウと書いてありますが、要するにその企業体が或るものに対して價値を附加した、プラスした、その價格を掴えて課税するという考えであります。從いまして附加價値とは、総收入金額から他の企業から購入した品物の代價、これを控除したものを、これを附加價値と言うわけであります。從いましてこれを換言いたしますると、その企業において支拂いたしました賃貸料みたいなものであります。それからもつと大きいのは、労務者一切の職員等に対しまする給與、それからその企業の利益、これが結局課税対象になります。そのようなことが書いてあるのでありまして、尚詳しいことは研究しなければ分りませんのですが、要するに例で申しますれば商店でありましたら、鉛筆を仕入れて賣つたという場合に、賣上額からこの鉛筆の仕入額を全部引いた、それに対して課税する。製造工業でありますれば、木を買つて來鉛筆に造つて卸したという場合には、その賣つた額から木を購入したり、その他いろいろの原材料を購入したり、或いはそのための機械設備等を造つたりしました金額すべてを控除したその残りに課税する。こういう考えであります課率は大体四%乃至六%ぐらいのものを考えておるようであります。これによりまして現在事業税だけで五百億円の收入になつておりますものが四百億円余りの收入になります。  尚申し落しましたが、先程の地租家屋税收入し、現在百四五十億円でありますが、改正後は五百億円を上廻るようになつております。從いまして地租家屋税の大体倍数が三倍を超えるような数字になつております。  この三つが大きな税でありまして、他は小さい税でありますが、廃止いたしますのは不動産取得税酒消費税、その他の雜税入場税課率を一〇〇%に軽減する。大体これが地方税改革内容であります。  それから次に補助金制度について相当改正考えておるようでありまして、大体全額補助にような制度は必要なく、若しそのような仕事ならば國が直接やればいい。直接やらないで、地方でやる必要があるものならば、それはみずからの負担においてやればいい。こういう考えを持つております。それから一部補助金につきましては、そのうち義務教育負担金というような、いわゆる我々が負担金と申しておりましたものは、これはむしろ全額地方團体負担においてやる。そうでなくて、いわゆる奨励的な補助金、これは残して置いて、時々政府の意思によつてやろうと思えばやる、やらなくていいと思えばやらないで済ます。こういうものに残して置いてもいい。それから公共事業費につきましては大体從來通りで、ただ災害については先程申しましたように全額國負担において行う、それから次に配付税財政調整の作用として適当でない。でこれを廃止する。そうして先程の全額補助金、或いは一部負担金廃止、それから今の配付税廃止、こういうものを皆引括め一般平衡資金、或いは一般平衡交付金というものを作る。この額は要するに地方團体が普通の状態において仕事をすれば、どれだけの金が要るかというその金から地方團体標準課率を以て税を取つたらどれだけの税が取れるか、その両者を比べてその差額だけを一般平衡資金に持込む。これは大体総額を決める場合にも、或いは個個の團体に対する場合にも、そのような方針でやる。で、昭和二十五年においては差当りそれが千二百億円くらいできるであろう。こういう計算であります。それからそれに伴いまして、國と地方間の財政につきまするいろいろの関係を処理するため、殊に今の資金配付等の決定をするため、その他税に関する許可、認可的なことをするため、地方財政委員会というものを設けてあります。こういうことが書いてあります。それから尚地方税職員につきましては、これは相当地方税の分量が多くなるのであるから量質共に拡充しなければならない。このような報告が書いてあります。大体これが勧告案内容であります。その全貌を見ましてまだ十分研究しておりませんので、批判の限りでもありませんけれども、とにかく総体において税額が殖えたこと、それから地方税については独立性が強くなつたこと等は、地方財政から好ましい面であると思います。併し何分にも大きな改革でありまするので、果してこれがこの勧告案に書いてあります通り運用できるものかどうかという点について、まだ確信が持てません。それからこの勧告案による税の変更によりまして、國民のいろいろな業種或いは所得階級等に應じまして、それぞれのこの税負担関係がどうなるかという点につきましても、必らずしも全部が全部相当減税なつた、國税を合せまして減税なつたという感じを得るかどうかという点につきましても、相当疑問があると思います。それからこの財政收入の点から見まして、地方團体等收入が果して普遍的であるかどうか。勿論この制度には大きな從來配付税以上の額を持ちまする一般平衡資金というものができておりまするから、この運用如何が大きな関係を持つております。尚その内容がはつきりしませんので分らないのでありまするが、少くとも税だけで言いますると、市町村などまで所得税的なものが主体になつたのでありまするから、相当この税收入偏在性があるのではないかという感じがいたしております。大体現在承知をしておりますところでは以上のような材料、又これに対する感じであります。大体そのようなことであります。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の点につきまして御質疑を願います。
  14. 藤井新一

    藤井新一君 先程、配付税を止めて一般平衡交付金という名前にしたのですか。一般平衡交付金ですな、それは千二百億円ぐらい殖えるというのですが、これまでの配付税は幾らぐらいでありますか、
  15. 荻田保

    説明員荻田保君) 五百八十億。
  16. 藤井新一

    藤井新一君 もう一つ土地家屋住民税は今度は地方に廻るのが五百億円ぐらいだが、この前は百五十億円くらいであると思いますが……
  17. 荻田保

    説明員荻田保君) そうです。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今の一般平衡交付金ですね。それはどういうのですか、それをもう一度説明して下さい。
  19. 荻田保

    説明員荻田保君) 一般平衡交付金というか、資金というか、ゼネラル・イコーラインジング・フアンドというような字が使つてありますが、その必要最小限度経費というものを各國体について算定し、その團体が普通の税率で以て取り得る税金計算し、その差額一般平衡資金で以て埋めてやる。從つて將來において團体においてもその最小限度と言いますか、最小というよりむしろ普通の施設を維持管理して行く、普通の仕事をやつて行くということについて必要な経費は必らずこれで確保される。それだけの補償があるものである。こういう説明でございます。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今平衡資金流用資金は何ですか。
  21. 荻田保

    説明員荻田保君) これは國から出す金であります。それで我々が一番疑問にしておりますのは、今申しましたように、地方歳出歳入と両方計算してその差額を出すという、誠に理論的にははつきりしておるのでありまするが、果してどれだけが必要な経費であるか、或いはどれだけが入り得る歳入かということについてそれぞれ見方によつて違うところがあるだろうと思いますから、いろいろな問題が起つて來るだろうと思います。現在配付税につきまして、所得税法人税に一定割当て、而かもそれが法律で決まつておりましても、本年度のような問題が起るのでありますから、そのような抽象的なことしか定めておらんので必らずいろいろな問題が起るのじやないかという懸念を持つております。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 二十六年を目標として千七百億というのは目の子ですね。
  23. 荻田保

    説明員荻田保君) はい。シャウプ報告によりますれば、過去の数字等から昭和二十五年度の一應の財政支出という総額を決めて、そうしてそれに新らしい税制による税を引きます。その差額は千二百億円、從つてそれだけを一般平衡資金で以て二十五年度に改めて行く。勿論先程からも歳出から税收入を引くと申しておりましたが、勿論税收入だけでなくして、使用料、手数料とか起債とか、國庫補助金とか、勿論そういうことも普通の状態におきます額を引いて、その上でいよいよ残りました差額不足額、それを一般平衡資金で填めるという考であります。
  24. 鈴木直人

    鈴木直人君 この新らしい勧告地市税だけを切離して実施するということはないでしようけれども、いつから実施するのですか。例えば今度の臨時國会等においてこれを出して、そうして本年度のうちに又これをやるというようになるのですか、或いは又來年度から全部これをやるというふうなことになるのでしようか、実施時期でございます。
  25. 荻田保

    説明員荻田保君) 二十五年度から大体実施する建前であります。その法案は多分今回今度の臨時國会に提出して御審議を願う、そういう段取になるだろうと思います。
  26. 鈴木直人

    鈴木直人君 二十五年度から実施するものを今度の臨時國会に提出するということになるわけですね。或いは通常國会に提出するものであると思うのですが、臨時國会に二十五年度から実施するところの税制改革を提出することになるのですか、どういうのですか。
  27. 荻田保

    説明員荻田保君) 國税地方税を通じまして、この次の臨時國会に出す段取であります。
  28. 鈴木直人

    鈴木直人君 二十四年度税制というものは全然改正するということにはならないのですか。
  29. 荻田保

    説明員荻田保君) 二十四年度におきましても、どうしても、これまではこのまではやつていけないという税がありますればともかくでありますが、シャウプ勧告案によりましては、地方税につきましては二十四年度から実施する、改正を実施するというものは掲げてございません。
  30. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 今の財政平衡交付金ですか、これは前の地方財政調整交付金と大体同じものと見ていいのですか、どこか違う点がありますか。
  31. 荻田保

    説明員荻田保君) 地方財政交付金と言われますのは何のことですか、前にあつたのは……
  32. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 現在の配付税の前身であつた……
  33. 荻田保

    説明員荻田保君) あれは地方財政補給金でありますね。これは全然違つております。これはむしろ高い税を軽減するという趣旨によつて配られておつたのであります。後者のはそうじやなくして、財政の收支を調節するという作用を持つておりまするから、必らずしも全然別とは申されませんが、狙いは違つております。
  34. 藤井新一

    藤井新一君 この入場税を一五〇%から一〇〇%に下げるということになると、どのくらに税金が減るのですか。
  35. 荻田保

    説明員荻田保君) 本年度收入見込を大体百四十億円程度に見ております。これはまあ一五〇%から一〇〇%に課率が下りますと、三分の一減るわけでありますが、併しそれだけ安くなれば観客等も殖えるだろうというようなことから、大体百億円程度は入るという計算が出ております。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 義務教育費國庫負担法によつて半額は國庫が負担しておりますのですが、先程の御説明によるというと、全然國が負担せずして全額を府県なり市町村負担をするということになるようでありますが、相当これは大きい問題だと思います。これは新らしい税制改革によつて、今まで各府縣市町村が半額負担していたところのものを、財源がそれだけのものを自治体に附加されたという計算から、そういうことになるのですか。
  37. 荻田保

    説明員荻田保君) 我々が前から申しておりますし、それから現在の地方財政法の建前でありますところの、地方團体の行なつております事務を地方的な事務と國家的な事務とこの二つに分けて、それぞれの負担割合を決める、こういう考え方は実はシャウプ勧告案は全然否定しているように考えます。そのような國家的の事務であるならば必ず市町村がやらなければならない。今申しました義務教育のごときは市町村なり府縣が実施する、若しくはそのために財源が足りなければ、その財源一般平衡資金で償つてやる。つまりかような経費を普通の標準によつて出して、そうしてそのためにその地方が普通の税率標準税率課税して行く。それでも尚足りなかつたら、その差額は全部一般平衡資金によつて國庫から出す。從つていわゆる國家事務的なものについても別に遂行上支障は起らない。こういう考えに出ております。
  38. 鈴木直人

    鈴木直人君 現在義務教育につきましては、いわゆる定員定額の規定がありまして、各縣について定員も学校の先生について決つておる。そうして一人当りの定額もはつきり決つておる。そうしてその定額に、いわゆる平均給にその定員を掛けたものがその府縣義務教育費として認められて、そうしてその半額を國が補助しておる。他の半額は自治体が負担する。こういうようなことになつておるために、実際においては教員の数においても或る程度確保されて義務教育が確立して行つておるのです。ところが今度の税の体系によりますと、その定額をどうするか、或いは平均給をどの程度にするか、或いは各府縣における学校の義務教育の先生の定員をどの程度にするかというようなことは、國の財政には何らの関係もないことになりますから、府縣市町村において自由にそれを決めることになるわけです。從つてその財政上非常に苦しいというような場合には、財政の苦しさのために学校の先生を非常に減らして無理な教育を行うというようなことも出て來るのではないかということが想像される。そうしますと、義務教育の確立というような点が非常に財政のために妨げられて來るということがあり得るように思われるのですが、これははつきりまあ義務教育に対する國庫の半額負担というようなものはこの際に止めて、そうして地方税に依存するということになつておるものであるかどうか。勧告案内容ははつきり見ていないのですけれども、お聽きしたいのです。
  39. 荻田保

    説明員荻田保君) 先程申上げましたように、この地方團体財政支出がどれだけが普通の状態か、これを測定しまして、これに対して足りないところはすべて一般平衡資金で國庫が出してやる。然らばその地方團体が普通の程度において支出した場合にどれだけの経費が要るかということを各團体について決めなければならんわけでありますが、恐らくそういう場合に義務教育につきましては、今実行されておりますような定員定額というようなところから、その團体義務教育費に対する通常の経費というものが査定されて、それだけは確保してやる、こういう恰好になるのだろうと思います。これも全文を見ておりませんので、いろいろ議論しても仕方がないことだと思いますから、私は大体そのように推測しておるようなわけであります。
  40. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 速記をちよつと……
  41. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をちよつと止めて下さい。    午後二時十七分速記中止    —————・—————    午後二時三十六分速記開始
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記始めて。
  43. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 シャウプ勧告による勤労所得税税率の変更という問題ですね。大体年額において二百億が減税になるように書かれておりますが、その減税の部分というものは世間の一部においてやはりこの資本の蓄積というようなことを目標に置いて、從來非常に高率の累進税率によつて課税されていたところの。比較的收入の多い階級に対して非常に減税になつて一般の大衆には決して軽減されない形になつて來ると、こういうように言われておるのですが、そういうものについて大体具体的にどういうことになるのか、それから最高税率が五五%、三十万円以上の收入には五五%ということになつていると思うのですが、例えば國会議員なら國会議員というような者の歳費の收入が二万八千八百円ですか、月になつていると、どういう変化を來たして來るんですか。そういう点。
  44. 荻田保

    説明員荻田保君) 今吉川委員のおつしやいましたようなことを我々も考えているのです。御承知のように所得税改正が上の方が相当安くなつてということ。それから勤労控除が少くなつたというようなこと、それから地方税におきまして結局二割の所得税附加税を認められたこと。それから地租家屋税が三倍半になつた。從つてそのはね返りてとして地代、家賃が相当上がる。そういうことを考えますと、農村は恐らく相当減税になる、直接税だけ考えますと減税になると思いますが、都会地におきましては、余りその減税の影響が大きくないのじやないか。どつこいどつこいのところがあるのじやないかというようなことを心配しているのでありますが、まだちよつとはつきりした具体的に数字的には当つておりません。
  45. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 一番得するのは農民ですね。大体……
  46. 荻田保

    説明員荻田保君) そうです。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 荻田君に伺いますが、附加税主義というものは徴税上は便利な主義なんですね。府縣の税の附加税市町村が持つているということによつて、それは利益が共通しますから、だから市町村の方も附加税であると一生懸命に徴税をする。ところが附加税主義を廃して独立税にしてしまうと、府縣税について市町村の徴税機関が熱心に徴税しないというような欠点が出て來やしないか。それに対する対策は政府の方じやどういうふうに考えておられるか。その点をお伺いしたい。
  48. 荻田保

    説明員荻田保君) やつしやいました通りだと思います。從いまして、府縣府縣でみずからの税の賦課徴收についてすべて責任を自治体でやる、市町村市町村でやる、それぞれの自分の責任が非常に大きくなります。こういう傾向が強くなる、その意味におきまして地方行政機構という点につきまして相当改正を加える必要がある、改正と申しますか、充実であります。それから殊に府縣におきましては、その地方を殆んど市町村に任しておりますが、これにつきましては相当改正を加えなければやつて行けないのじやないか、こう考えております。
  49. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうすると、今國と市町村と二重の徴税機構になつている、それが今度三重にしなければならん、で府縣の徴税機構だけが余計に出て來るということになりますね。
  50. 荻田保

    説明員荻田保君) ええ。    〔委員長退席、理事吉川末次太君委員長席に著く〕
  51. 吉川末次郎

    理事(吉川末次郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  52. 吉川末次郎

    理事(吉川末次郎君) 速記を始めて。外に御質問はございませんか、外に御質問がなければこれを以て散会いたします。    午後二時四十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            藤井 新一君            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   國務大臣   國 務 大 臣 木村小左衞門君   説明員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治廳財政    部長      荻田  保君