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委員長(
岡本愛祐君) これより
委員会を開会いたします。今日の議題は、
派遣議員の報告でございます。
選挙関係は報告が済みましたが、まだ兵庫、山口、島根各縣に
治安状況の
現地視察に参りました、その報告が残つておりますから、今日はそれを御報告いたします。私と
黒川議員と
島村議員三人が今申しました三
縣下並びに門司の
海上保安本部に
治安関係の調査に行くことになりました。
島村議員は止むを得ない事情で遂に行を共にすることができなくなられまして欠席されました。我我二人は二月二十日から三月一日まで十日間に亘りまして、右三縣下に出張いたしまして、
兵庫縣廰、廣島市、
山口縣廰、宇部市、下関市、
門司海上保安本部、萩市、
島根縣の益田町、
島根縣廰の九ケ所におきまして、各縣、市、町の
首脳者、
公安委員、
國家地方及び
自治体両警察の
首脳者、
海上保安廰の
関係官、
経済調査廰の
関係官、その他の
関係者から親しく現地の
治安状況、殊に
姫路事件とか、これは昭和二十三年十二月十日姫路市における
朝鮮人連盟対
朝鮮民團の
衝突事件であります。それから
宇部事件、これは十二月九日宇部市における
朝鮮人群衆と
警察官との
衝突事件であります。
益田事件、これは十二月二十五日
島根縣益田町
高津部落の
朝鮮人に対する
密貿易の
隠匿物資の摘発に端を発して、翌二十六日
朝鮮人の群衆が
自治体警察署に押寄せて参りまして、
朝鮮人と
警察側双方に
負傷者を出した事件であります。これを中心としまして各地における酒類の密造、
密貿易、密入國及びその
取締状況等の
朝鮮人関係の治安問題について、詳細に事情を調査した次第であります。この内容の詳細につきましては、同行して呉れられた
福永專門員がノートを作つておられます。それから
関係者から
説明資料の提出を受けました。これは
委員部の方にございますから、それを御覧願うことにいたします。ここでは專ら以上の結果を総合して得ました結論的な部分を述べまして、今回の
現地調査の報告といたします。これに対して
國家公安委員長、
國家地方警察本部長官、
海上保安廰の長官に御出席を願いまして、いろいろ御意見を承わり、又質問も申上げたい、こういうふうに思つております。
先ず
調査各地における
朝鮮人問題の概観を申上げますと、
阪神地方においては、從來から労働問題、思想問題に関連しまして、同地に在留しております
朝鮮人がその影響を非常に受けておるのであります。
戰後朝鮮人の多くは生業を離れまして、
失業状態に陷つておる人が非常に多いのであります。
闇ブローカーとか、酒類の
密造等の
経済違反行爲の温床をなしておるのであります。大阪、
兵庫附近におきます
朝鮮人の数は非常に多い。そこにこの
経済事犯行爲が非常にありますし、又いわゆる
闇商人が列車を乘り廻つておるというような状況であります。殊に最近はこの種の違反行爲が集團的、計画的且つ惡質なものとなる傾向が強くありまして、
從つてその取締の対策もこれに相應して強力且つ充実せるものが必要となつて参りました。今年の二月の九日に、尼崎市の
自治体警察が中心となりまして、
檢察廰、
國家地方警察、
税務当局等がこれに協力して、一体となつて尼崎市の
守部部落における
朝鮮人の集團的な酒類の密造に対する一斉の取締を行いまして百十四名を檢挙し、酒類百三十三石、その他
証拠品を多数押收しましたが、これは從來こういう取締をしようとしますと、どういうわけですか事前に漏れまして、うまく行かなか
つたのであります。いろいろ神戸の
檢察廰、警察の方で苦慮いたしまして、これは当日いよいよ檢挙に着手いたします直前まで税務署、それから
警察署の方に知らせなか
つたのであります。幹部だけは知つておりました。これを甲子園ですかの
野球場において新
刑事訴訟法の
講習会を開くという名義で招集しまして、そうして皆集ま
つて來たところで、実はこれから尼崎市のこういうところに檢挙に行くんだということで行つたんです。それで非常にうまく行きまして、この新
刑事訴訟法下に立派な檢挙ができて、大した事故もなか
つたのであります。こういう例がございます。かような環境の下におきまして、
兵庫縣の
日本海方面の
但馬方面、それから
瀬戸内海方面からの
密輸入、それから
密輸出もございます。それから密航が増加する兆候がありまして、これが
阪神地方を脅かしておるのであります。殊に最近においては、ピイトルなんかの危險物も
密輸入せられる虞れがあります。嚴重な警戒を要する状態であります。丁度行つておりますときに大きな生ゴムの
密輸入がありました。これも苦心の結果檢挙いたしております。更に注目すべきことは南朝鮮、
大韓民國側と北鮮の
朝鮮人民共和國の方の
対立状態や、それから中共の
進出等の大陸の情勢が政治的に、又思想的に相当敏感に
在留鮮人に反映しております。それでどうもトラブルを起し易い。日本の警察がその過中に捲き込まれるというようなことにな
つて來ておるのであります。昨年の十二月姫路市に起つたいわゆる
姫路事件でありますが、これは同地方における
朝鮮人連盟、つまり
北鮮側と南鮮の系統の側に分属している
朝鮮人が集團的に抗爭しまして一名が殺されたという事態が起りました。双方に数名の
負傷者を出しております。これが表面に現われた一例であります。
山口縣におきましては、
終戰当時約十五万五千人の
朝鮮人が在住しております。現在は
登録令によつて登録しております数が三万人ぐらいに減つております。併し密航によりまして潜入した者が随分おるのであります。この数ははつきり分りませんけれども、下関だけでも登録した者の一万五千人に対しまして、いわゆる潜りの
朝鮮人の
幽霊人口と申しますか、それが一万もあるのであります。これを見ても、大体どういう状況になつているかということがお分りであろうと思います。下関、宇部、
小野田等の各市におきましては、これらの
朝鮮人が
密集部落を成しておりまして、特殊の
生活環境を作つておるのであります。宇部、
小野田は
炭鉱地帶でありまして、
朝鮮人のグループが過激であるかとこういうふうに
思つたのですが、
却つてそうでなくて、割合これは温順なのであります。ところが、下関の方は、これは非常に過激な分子が多い、こういうことになつております。
山口縣地方の
朝鮮人についても、その
生活環境の
基礎條件においては、
阪神地方と共通のものが見られます。而も本縣は、本州の門戸でありまして、
玄海灘を隔てて朝鮮と一
衣帶水の
近接距離にあります。連絡が極めて朝鮮と容易である関係で、
鮮内事情を最も直接的に且つ敏感に感受いたしておりまして、影響せられるものが非常に多いのであります。特に最近におきましては、
北鮮側の動きが
南鮮側を圧迫しておりまして、
南鮮側にも
北鮮側の勢力が著しく浸潤しております。非常に緊迫した朝鮮の状況を直ちに
山口縣に反映しておりまして、
朝鮮人が政治的、思想的にいよいよ
尖鋭化をして、
北鮮系と見られる
朝鮮人連盟の殆んど一色に
山口縣では團結いたしております。而も、
日本共産党の
地元組織とも連繋が段々できて來ているように見受けられるのでありまして、税金の
鬪爭等各種の鬪爭を活溌に行なつているのであります。殊に注目すべきことは、
日本警察に対する反感と抗爭意識が底に
下関方面において熾烈旺盛の点があるように見受けられます。この点は非常に警戒を要すべきだと見て参りました。
昨年十二月九日宇部市にいわゆる
朝鮮人生活防衞鬪爭人民大会というものが開かれましたが、その会場に潜入した北鮮の
國旗掲揚事件の
責任者、これは下関市で北鮮の國旗を掲揚した。北鮮の國旗は
連合軍の方から禁止をされているのでありますが、それにも拘わらず、下関市で北鮮の國旗を掲揚したその
責任者の
崔民煥というのがおります。これは朝連側の
山口縣の本部の
委員長であります。これは、下関市に住んでいるのでありますが、それが宇部の
人民大会の会場に逃げて來たのであります。逮捕に
向つた警察官と会場の
朝鮮人の群衆二千人との間に猛烈な乱鬪が起りまして、遂に
警察則、
朝鮮人側双方にそれぞれ数十名の
負傷者を出すほどでありました。
朝鮮人群衆——この中には多数の婦女子も交つておりますが、その抵抗が非常に強く、遂に
崔民煥の
逮捕目的を達し得なかつた。逃げてしまつたというのがこれが
宇部事件の概件であります。
宇部事件は
山口縣地方における
朝鮮人問題の様相と
特殊性を最も具体的に表現した
典型的事件であります。殊に
山口縣において
朝鮮人の群衆が岩國に潜在しております。
イギリス濠洲軍の憲兵に対してすら猛烈な抵抗を示しております。負傷にも屈せず反撃の態度に出ております。これは
朝鮮人問題の再発を考えるに当つて見逃がすことができない重大なる事柄だと思います。宇部市におります
朝鮮人は前に申しましたように割合に穏健なのでありますが、下関の方から應援に來た、又各地からそこへ集ま
つて來た連中が非常に過激だということになつております。
島根縣における
朝鮮人の数は約六千四百名でありますが、
日本海を隔てて朝鮮と対しております。潮流の関係で
釜山方面から島根、
鳥取方面に
來易いという状況になつております。それで本縣の地理的な関係上、
朝鮮人関係の
密貿易、密入
國事件も少くないのであります。昨年中の統計の数字を挙げておりますが、それを見ますと、
密貿易の中で
違反対象物の價額が千七百二十万円に上り、檢挙した
密貿易の件数が六件、密入國者の
逮捕数が十八回で五百八十一名、押收した船が六隻ということになつております。その外に甚だ長い沿岸線を持つておりますので、監視の目を逃がれて潜入しておる者も相当あるだろうと想像することができるのであります。
島根縣下の
朝鮮人は
在留期間の長い者が比較的多いのでございます。全般的にいつて比較的温順である。併し益田町の
高津部落の
朝鮮人約十一戸、七十名おりましたが、それが集團居住しておりまして、定まつた生業を有する者が少く、
密造酒、
闇物資の
仲介等によつて大体生活を立てておるという状態であります。これは他の地方におけると殆んど同じ型に属しておりまして、ただそのスケールが小さいのであります。この地方における
朝鮮人の間には朝連を通じまして十分の連絡がありまして、必要に應じては、益田町事件の例に見られるように、附近の
朝鮮人を直ぐ急速に糾合しまして、そうして
警察署に押寄せて行く。そうして益田町事件の場合は二百名を動員しまして警官隊との間の乱鬪が起きまして、二十余名の
負傷者が生ずるに
至つたのであります。穏健だといつてもその附近から直ぐ應援に参りますから、なかなかこれも油断ができない情勢であります。以上は三縣の一般の状況であります。
次に対策について申上げます。前述の
朝鮮人問題に対しまして、我が國としては如何に対処して行くべきであろうか、その対策は軽々に結論を得る程簡單なものではないのであります。問題のよ
つて來るところが深く遠いものがありますし、その幅も廣いし、その根底に深刻な微妙なものを含んでおります。併し先ず第一に我が國におきまして、大きな
政治的考慮によりまして急速にこの朝鮮との関係を調整して、
在留朝鮮人の地位を明確にしなければいけないと思います。どうも今までいろいろな法令があつてないようなものでありまして、
朝鮮人に対する
処遇方針と申しますか、又一方には
違反者に対する
取締方針と言いますか、それが確立しているようで確立をしていないのであります。それで早くその
処遇方針を本当に確立させまして、これを忠実に且つ強力に推進することによつて、問題を抜本的に解決を図らねばならんことが一番大事なことであります。これは我が
委員会においても段々政府を督励してそういうふうにやらして行かなければなりませんが、尚当面の対策として考えられる数項目を挙げて行きたいと思います。
戰後激動する
社会情勢を反映しまして、生活の不安定からややもすれば
動搖不穏な雰囲氣を釀成し易い環境に置かれまして、この
在留朝鮮人は精神的に、又物質的に絶えず刺戟と影響を與えられております。
密造酒や、密造のたばこ、
密貿易なんかを取締ることは我々の
生活権を脅かすものだというような主張をしている者もあります。併しこういう情勢の惡化をどうしても助けているのは
朝鮮本土からの密輸、
密貿易、
密航事件であります。その
中継拠点になつておりますのが對馬であり、
隱岐島である。この對馬、
隱岐島の状況はこれは相当憂慮しなければならない。又
警察方面、殊に
海上保安廳方面においても取締を要するものと認めるのであります。殊に
對馬方面では余程ひどい條件になつているようでございます。この点について後程
公安委員長並びに
海上保安廳方面でお分りになつている点について、改めて御説明を願いたいと思つております。今申しましたように情勢に対しまして、最前線において取締ることが一番必要なんですが、その責任を有しておられるのが
海上保安廳であります。地方に
海上保安本部を置かれ、又その下に
海上保安部、それから
海上保安署なんかを置いておられます。併しその陣容はこう申しては失礼でありますが、甚だ劣勢でありまして、
海上保安廳によつて與えられた、許された百二十五隻の船舶、五万総トンの船舶を許されているのでありますが、
燈台船なんかを皆入れて四十二隻の船しかないというような状況、それから武器も
ピストルの携行は許されているのでありますが、必要に應じて
國家地方警察から借りるというような極めて貧弱であります。あまつさえ
関係官の多くは経驗が浅く職務も不慣れのために十分な活動もできない。予算の不足も原因して、
海上保安廳は失礼ではありますが、
海上保安廳の機能が非常に阻まれているというふうに見て参りました。驚いている次第でございます。
門司の
海上保安廳本部は九州、山口の沿岸の廣い海上を管轄し、殊に下関を中心とする
山口縣の海岸、北九州一帶等の
朝鮮人の
密集地、密輸、密航の屈強の
中継地である
對馬等重要地点を控えているのに、この
保安本部で聞いて見ますと全くその人員は心細いのでありまして、もう
保安本部の方でもこれはとてもやろうとしてもやれないのだと悲鳴を上げておられるような状態であります。どうか早く至急にこの陣容を充実強化されまして、密輸、密航の
第一線を取締を嚴重にして頂いて、
海上保安の万全を期して頂きたい。こう申した次第であります。
もう一つ申しますと、
関門地方に次いで朝鮮の
近接距離にある島根、鳥取両縣の沿岸の
日本海の海面のために浜田、境の両
海上保安部が設けられております。ところがその陣容は実に貧弱極まるものでありまして、
機能発揮などとてもできない、而もこの両
海上保安部は門司の方が近いのでありますが、どういう関係か廣島の
海上保安本部の所管に属しており、
山陰地方に孤立の状態に置かれてしまつておる、而も今申しましたように、船も貧弱ならば部員も少い。それで同地方における、先程御説明したような密航や密輸の実状に実際そぐわないのであります。私はこれはどうも
門司海上保安本部の方に移管されまして、この方面におきましての取締の一体化を図られた方がいいのではないかと考えて來た次第であります。
次に
朝鮮人の密輸、
密航等に対しまする取締の第二陣と申しますか、それは山口、島根の両縣において実施しておる
監視哨の制度であります。
監視哨というものを置きまして、それで晝夜見張つておる、晝だけ見張つていないところもありますが、併しこれは主として予算の制約を受けまして、内容は極めて貧弱であります。殊に萩市のように
臨海地でありましても、
自治体警察の
所管区域では、
自治体の財政難のために
監視哨を設けないのが普通であります。下関市は貧弱ながら実施しております。萩市の方は実施していない、こういう状況であります。
監視哨は
國家地方警察の方でこれを設置して、地方の
漁業組合等の協力を受けて辛うじでこれを維持しておるような現状であります。
自治体警察の方はやりませんから海上の管轄を奪われておる。
國家地方警察の方で陸地の方をやる、こういうような状況であります。これは政府の方においても財政的に……
自治体の方においてもこういう密輸とか、密航とかいうようなことは單にその
自治体だけの仕事ではないのでありますから、取締れないのでありますから、國家において是非そういう財政的に援助して、
監視哨の設置を
図つて、
海上保安勢力の増強と相
俟つて取締に遺憾なきを期すべきであるとこういうように考えます。而も以上の
海上保安廳と
監視哨を
第一線とする
陸上警察との間には、
海上保安という
共同目的に対して殆んど有機的の
連絡組織を持つておりません。双方とも両者間の分担、協力の必要について明確な認識に乏しく、現状の不満足なことに氣付いていながら、積極的に
連絡提携の方途を講じようとしておりません。下関の
自治体警察と門司の
海上保安本部との連絡を聞いて見ますと、三ケ月に一遍寄り合つておるというようなことで驚いたのであります。これは一月に三回とか或いは始終
連絡会議を開かなけれどならない。三ケ月に一遍では仕方がないではないかと
言つて來たのでありますが、漫然姑息な方法でその場その場を凌いでおる。実に遺憾極まることだと見て参りました。
海上保安廳監哨網の
拡充強化は、まあいわば対外的な方策とも称すべきものでありまして、海外からの刺戟によ
つて朝鮮人関係の治安問題の惡化を予防するのでありますが、前に述べました通り、現在各地に多数の
朝鮮人がおりまして、姫路、宇部、益田の各事件が示しますように、幾多治安上注意すべき問題を起しております。これに対して直接の関係、直接責任の地位にありますものは、言うまでもなく警察であります。ところが現行の新らしい
警察制度は、発足早々
朝鮮人関係の治安問題に当面して、今申したような事件の経驗が、新
警察制度の試金石と言われる結果になるのでございまして、余りうまく行つていないところが多いのでありまして、殊に下関市の
自治体警察のごときは、もう
朝鮮人の
密航者は、三分の一しか捕えられないということを申しております。密航して來るものが三分の二は内地に潜入してしまう。下関市には一万五千人からの
朝鮮人の部落があります。これはその中には殆んど
自治体警察の
警察官が入れない。入れば
ピストルで射たれるというような危險な状態でありまして、全く手を挙げているのであります。まあうんと
警察官を増員いたしまして、取締つて行けばとにかく、毎日そこを巡邏し、密行するようなことはとてもできない、こういう状態であります。
山口縣知事が言われた話であ
つたのでありますが、
山口縣の知事は、非常にこの
山口縣における
朝鮮人問題、
朝鮮人によつて釀し出される治安問題ということを憂えております。今のような状況では、もう自信は持てないとまで申しております。これに対しまして
國家地方警察の方でどう見ておられるか、
國家公安委員の方ではどういうように見ておられるか。これは
山口縣知事の方とも、これまでしばしばお話合いがあつたことと思いますから、その点もお尋ねいたしたいと思います。
それで今申しました各事件によつて示されるように、
警察取締の対象の事件が漸次計画的な集團的な傾向を
帶びておるように、我々には観察せられるのであります。それでその傾向に鑑みまして、
國家地方警察、
自治体警察、二本建制。それから約千六百に上る
群小——小さな
自治体警察が並立している。これを整理するという問題があります。それから
警察費に対する
國家負担の増加の問題。
自治体警察に対してもこれは國家が負担してやらなければならない。又はそれに
自治体警察をやつて行くについての財源の、國庫からの十分な負担をしなければならんという問題。それから地方的な
非常事態の宣言が出來るようにしなければならん、その問題。それから貧弱な
警察官の武裝、
ピストルも五人に一挺というようなことでは、とてもこれはいかん、その強化の問題。それから
警察機動力の増強の問題。それから
國家地方警察と、
自治体警察の連繋の問題。殊にこの
治安関係はどうしても國家の存立に関する問題でありますから、
自治体の間に起つた事態でありましても、治安の問題は、これは
國家地方警察が
自治体の中へ入
つて來、それを防衞することが出來る組織にする必要があるのじやないか、こういう問題。それから
海上保安廳と
國家地方警察、
自治体警察との連繋を速かに円滑緊密ならしめる問題。それから
自治体警察の持つている
水上警察の充実。それから
國家地方警察が
水上警察を持てないという、その不合理をなくする問題。
國家地方警察による
特別警備区域の設定の問題。こういう問題を我々かねてこの
委員会において檢討しつつあるのでありますが、今度の視察によりましてこれは是非とも、この問題は早急に
警察法を改めて何とか早く強化をいたしまして、そうして治安の万全を期さなければならんということを、痛切に今度の調査によつても感じました。この
委員会におきましても皆様の御協力を得まして、こういう問題について着々成案を得まして、國内の治安の万全を期したい、こういうふうに考えております。以上一通り御報告申上げました。御質問ございましたら……。尚今日は
辻公安委員長、
齋藤國家地方警察本部長官、
大久保海上保安廳長官が見えております。それから
海上保安廳長官はGHQへお出でになる用事がありますから、先に御質問なり、御答弁願いたいと思います。