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1949-06-30 第5回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月三十日(木曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政に関する調査の件(派遣議  員の報告)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより委員会を開会いたします。今日は地方自治廳から荻田財政部長大藏省から平田主税局長参つて説明に当ることになつていましたが、いろいろの政府の要務でまだ参りません。誠に残念でありますが、止むを得ませんから開会いたしまして、先ず先程地方行政調査においでを願つた島村委員から出張に御報告をお願いいたしたいと思います。
  3. 島村軍次

    島村軍次君 我々第一班の視察は、岡本委員長と二人でありまして、六月二十一日より二十七日までの七日間で、青森及び岩手の両縣下視察を行なつたのであります。視察箇所縣廳市役所等を合して九ヶ所でありまして、岩手縣においては紫波郡の徳田村、稗貫郡の石鳥谷町及び同郡の花巻町であります。青森縣においては東津輕郡の野内村、原別村、横内村でありまして、今回は主として問題になつておりまする地方財政税制の改革を中心としたものでありますが、特にシヤウプ博士の來國を機といたしまして、地方行政委員会として、最前線の市町村状況を成るべく詳細に調べる必要を認め、特に農村地帶における各種資料を得たいという考えを持つたのでありますが、以下その大要を説明申上げたいと思います。尚その外自治体警察状況リコール制等の問題についても併せて行なつたのであります。  地方財政窮迫情勢に鑑みまして、特に青森縣は長い間貧弱縣として知られておつたところでありますが、二十三年度決算を調べて見ますると、実に三千五百八十万円の歳入欠陷を暴露して、繰上充用の止むなきに至つております。又各村ごと情勢も殆んど同樣であつて、例えば稻垣村においては三十二万円、相内村では二十一万円、七和村では三十一万円繰上充用によつて辛うじて決算をした。それからこれらは一つの例に過ぎないのでありますが、非常に産物も少し、縣民の情勢終戰後更に困窮の度を重ねまして、全縣下亘つてこの情勢は全く大小の差こそあれ、殆んど同一だと認めることができるのであります。その主たる理由は、國会で問題になりました六・三制の建築問題が癌になつておることは爭われない事実でありまして、ここに私がその詳細を申上げることの必要はないのでありますが、要するに行政の問題は、これを取扱う人の感じの問題で、又その現実というものの深刻さというものを本当に把握することでなければならないと思いますが、この現状を以ていたしますれば、殆んど破産の状態に近いと認めざるを得ない。然るに歳出面においては一昨日も申上げましたように、從來地方財政委員会で取上げられてお調べになつた以上に、例えば通信運搬費の増が非常に多いとか、或いは又地方職員の日直、宿直の経費が莫大にあるとか、或いは超過勤務に対する増嵩というような問題は、岩手縣の例を以ていたしましても予定外に一億数千万円を要する。又国の負担すべき人件費等國家財政窮迫伴つて特に節約を強要され、逆に地方負担になつておる。これはひとり負担区分の問題以外に非常に深刻さが地方に移つておるということは、誠にこれは見逃がすことのできない問題い思うのであります。尚両縣の特徴といたしましては、寒冷地手当の問題がやはり人件費一つの癌になつておるのでありまして、誠に両縣に働いておる府縣並びに市町村職員がこれらの問題処理のために非常な苦心をし、且つ先行きに何らの光明なくして地方行政を扱つておるということに対しては、これは恐らく自治廳でも大体、御存じだろうと思うのでありますが、私は特に大藏省の方に御出席を求めたのでありますが、不幸にして得られませんから、この関係は更に適当な機会において、大藏省当局のこの深刻さに対する感じについて一般的に、ただ抽象的にこれを考えるということでなくして、みずから進んで地方財政を調べるというものは、光圀公のごとく或いは又北條時頼のごとく行脚して調べて後、初めてこの國の國家財政地方財政を通じて將來日本の再建が行われるものと思うのであります。このことは私は結論を申上げたいと思いますが、冒頭においても、このことは特に中央行政担当の方面においても、更に一層認識を改められんことを希望いたしたいのであります。尚府縣財政が一般的であるようでありますが、災害復旧費のために殆んどそれに追われておる。これを岩手縣の例を以ていたしますれば、二十四年度縣予算総額五十二億円のうち三十億円が災害復旧費だ。而もその財源というものは全く見通しが付かない。金融措置見通しが付かない。從來のような型に嵌つた泥繩式のようなことでなくして、もつと抜本的な対策が立てられなければ、災害復旧そのものも去ることながら、縣の財源が全く行き詰つてしまう、孜々営々として働いておる農村地帶の姿を見ますときに、涙なくしては迎えられないというような感じを深くいたしたのであります。單作地帶農村における財政窮乏が、地方財政法改正になつても殆んど燒石に水の感があるというようなことを考え合せますときに、我々は地方財政委員会といたしましても、今後相当のこれらに関する深き決意を要することと思うのであります。その課税の実態について一二の例を挙げて見ますると、西津軽郡の稻垣村では、地租家屋税附加税が百分の六百、標準の六倍を取つておる。村民税は一戸当り九百円で二倍を取つておる。又同じく某村では百分の八百、村民税は千六百二十三円という八倍或いは三倍半というような有樣でありまして、一面においては供出に対して非常な負担を受け、而して國税脅威を受け、又町村民税府縣民税の、かくのごとき脅威農村で受けているということは、重ねて申上げまするが、この際相当打開策を講ずることを重ねて申上げる次第であります。  尚、自治体警察予算とその財源関係を調べて見ますると、青森縣においては、二十四年度警察費が一億五百万円に対して、その特定財源である入場税附加税收入見込が一億二千九百万円でありまして、余裕があるように見えるのであります。併いこれは主として市部の收入であつて町村では殆んど全部の町村配付税に依存しておる。而もこの入場税については、先般地方税法改正によつて市町村收入の制限をいたしまして、もつと市町村に配付するの方法も講ぜられたのでありまするので、この点は適当であると思うのでありまするが、尚自治体警察の設置のため、町村財政を強化するの必要があると痛感されるのであります。  六・三制の問題について現地調査一般論は申上げましたが、現地調査で痛感したことの一、二を申上げますと、青森縣においては、三千三百学級の一万二千九百九十三人の生徒が正規の教室がない。仮教室で不完全な授業を受けている。而もその仮教室の中には共同作業場や、物置や廊下や、屋外の青空教育というようなものがある。尚或る村におきましては、何故教室建築をやらないかということは、これはまあ財源関係がありますが、実込んで見て見るというと、殆んど倒れかかつておる。今年の冬が來れば、もはや倒れるかどうか分らん。地方財政委員会まで行つて相談すると、倒れてから相談に來い、こういうようなことで、実に噴飯に値するような話題も承わつたのであります。こういうような問題も、これは一体行政の任に当られる人がどう考えておるのか、誠に寒心に堪えなてところであると思うのであります。数字的に一、二の例をとつて見ますると、青森縣町村では、二十四年度においては四億三千万円で、岩手縣町村では一億六千万円の新制中学建築費を計上したのであります、これが実行不可能になつて村民に対する寄附金以外には途がない。只今例を申上げましたような問題については、一層この措置について積極的な必要があることを認めたのであります。遊興飲食税收入見積りの過大については、一昨日も申上げました通りでありますが、政府見積高総額百二十四億円を推計しておる。地方財政計画基礎として、この数字を地方まで示しておられるようでありまするが、事実は全くこれに反しておる。即ち岩手縣では割当を丁度國税と同じように七千七百万円の割当がある。然るに実際は五千五百万円の收入しかないのに、すでに現在において二千数百万円の赤字を予定しなければならん。かような点をひとり両縣のみでなくして、私は他の府縣からも相当承わつたのでありますが、この際これに対する措置を何らか政府において講せられることが必要であると思うのであります。  それからその次に特に申上げたいと存じますることは、例の國の負担地方との負担区分の問題でありまして、実際に調べて見ますというと、我々は尚一層各費目、各種別についてその弊害がますます顯著になつて、大波のごとく押寄せておるという感じを深くいたすのであります。例えばその一例といたしまして、盛岡市の人口十万人に対して戸籍事務所が凡そ三百万円を要しておる。町村でも二十万円から三十万円程度を要しておるのでありますが、ところがこの戸籍事務事務費については、財政法の示すところによつて國庫負担になつておるのであるが、法務府の予算要求に対して大藏省査定をして削除されたのだからしようがない。こういうことを言つておる。若しこれが本当であるとするならば、これは実に大きな問題でありまして、又戸籍事務のような隱れた事務に対しての將來の措置をどうするかということも大きな問題として残るのではなかろうかと思うのであります。それから統制強化の費用は、農林省関係にいわゆる登録制度が漸次公團制度から変つて行われて來る。それが矢継早やに出ましたのでありますが、現在町村の方で扱つておるのは十種目も上つておる。その事務に対しては非常な煩瑣であつて、而も各部落まで行かなければならん。部落町内会がなくなつたために沢山の経費を要しておる。そういうようなために、大体盛岡市の例にとつて見ましても五十万円を要しておる。食糧供出に対しても五十万円を要しておる。然るに初めは業者併せて約十数万円に過ぎない。國はこれに対しては十分なる措置を講じておるのだというふうに考えておられると思うのでありますが、これに対しても將來特に再調を要する必要があると思うのであります。要するに税制改正をいたしまして、國と地方との負担区分についてはもつと深刻に調べますというと、非常に町村及び府縣財政を脅やかしておる事実は誠に顯著なものがあるのでありまして、特に配付税の問題が國会で論議になりましたが、更に配分方法について檢討を加えまして、両縣のごとき特殊事情にある、而も非常に廣大なる面積を持つておるところに対しては、各別にもつと方法檢討を加えて、貧弱町村に対しても重さを増して配分するというような措置を、現在よりも更に一層強化する必要があると存じたのであります。  以上大要でありますが、視察の結果と感想を述べまして本委員会に御報告を申上げ、更に詳細なる点につきましては、資料により、或いは又御質問に應じてお答えをいたしたいと存じます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今島村委員の御報告に対しまして、地方自治廳財政部長の御意見を伺いたいと思います。
  5. 荻田保

    説明員荻田保君) 全般的に地方財政が非常に困つておりますことは、もういろいろ例を挙げておつしやいましたが、いずれも皆御尢もでございまして、我々といたしましては、そのようなことになります根本の制度を十分にできなかつたということを非常に遺憾に思つておるのでございます。幸い本年度におきまして、シヤウプ使節團の來朝を機といたしまして、本年度においても更にこれに修正を加えるというようなことも考えられておりますので、その際に努力いたしまして、尚足らざるところは明年度以降において考えたいと考えております。  二三具体の問題につきまして所見を述べさして頂きまするが、負担区分のうち、戸籍事務に対して國が一文も出さないということは、これは今残つております負担区分に関する問題といたしましては、一番意見の強いものでありまして、我々といたしましても、確かに戸籍事務につきましては國庫負担すべき負担区分の中に入れるべきものだと考えております。これも何らかの機会に実現することと考えております。それから学校が倒れかかつているのに、地方財政委員会に行つたら、倒れてから來いという話があつたということでございます。若しそのようなことでございましたら誠に遺憾なことでございまするが、最小限度、我々の方といたしましても御承知のように起債の枠が小さいのでございますけれども、小学校等につきまして、捨て置けないというものにつきましては、先般の地方債の第一次査定を行います場合に、或る程度認めたのでございまして、具体の村につきまするケースを承知しておりませんので、何とも申上げようがございませんが、方針といたしましては、何も倒れてしまつてから建て直すというようなことは考えておりません。どうしても捨て置けないものは、これによつて地方債を幾らかでも増すというふうに努力しておる次第であります。大体そういうことでございます。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では次に鳥取縣島根縣に御出張になりました吉川君から御報告を求めます。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 鳥取縣及び島根縣に、院議によりまして地方行政に関する実地調査のため派遣されました我々の班につきましての調査報告簡單に申上げたいと存ずるのであります。我我の班は今月五日東京を出発いたしまして、七日間の予定を以ちまして、その実地調査を進めまして、予定のごとくその七日間の間に一先ず完了して解散いたしましたような次第であります。一行は私、並びに三木委員及び法貴調査員の三名が参りまして、先ず鳥取縣廳を訪ねまして、我々の調査事項につきまして詳細なる実地調査をいたし、更に同府縣内鳥取市役所及び米子市役所等を訪ねまして、諸種の問題について調査するところがあつたのであります。尚更に島根縣に参りまして島根縣廳を訪ねまして、同様なる目的に副うところの調査をいたしたのであります。我々が調査項目といたしまして大体に予定いたしておりましたことは、第一には、現行地方自治法によるところの諸行政欠陷のうち、特に現下問題になつておりますところのリコールのこと、並びに監査委員制度に関することに主眼を置きまして、いろいろ現地におきまして聽取することがあつたのであります。尚それ以外には警察制度の問題並びに今第一班の島村君から御報告になりましたところの、現下の地方財政上の諸問題等につきまして、実地調査をいたしたのであります。  第一に、制度上の問題といたしましてのリコール並びに監査委員制度につきましての実地調査報告簡單に申上げたいと思うのであります。島根縣におきましては、リコールの問題は、同縣下横田町、それから二川村というところに起りまして、横田町におけるところの解職要求は、議員の解職要求されまして、請求理由とされましたのは、村の消防團に濫りに干渉して不満を買つたということであります。それに連署しましたところの者の数は千二百三十名でありまして、有権者数が二千二百八十三名、投票いたしましたものが千四百八十三名でありまして、これに賛成しましたものが千百三十九名、反対が約六十三名というようなことで、その解職要求は成立したのであります。二川村におきましては、二川村の村議会解散請求が容れられまして、これ又連署数が二百六十七名、有権者数が七百九十一名、投票者がそのうちの六百三十八名が來まして、賛成者が三百九十八人、反対者が百九十六人でそれが成立したのであります。尚、鳥取縣におきましても六件のリコールの問題が生起しておるのであります。島根縣におけるごとく、その内容の詳細につきまして御報告申上げたいのでありますが、時間の関係上省略いたして置きます。特に私達が参りましたときに、その運動が進行中でありましたのは、米子市議会解散要求運動でありまして、これは專ら同市におけるところの共産党の米子市支部が中心になりましてやつてつた運動であります。街頭にもそれに関するところのポスター等が多数貼付けられておるのを実見いたしたのでありますが、同市役所へ参りまして、市長並びに市議会人達、その他選挙管理委員会人達等を招致いたしまして、いろいろその間の事情を聽取するところがあつたのでありますが、それにつきましてもいろいろな資料を蒐集して帰つておりまするし、詳細お話申上げたいと思いまするが、詳しいことは文書で後日御報告申上げることにいたしまして、省略いたしたいと思うのであります。  今、両縣におけるところのこのリコールの問題につきましては、いろいろな点から、ひとりその二縣のみならず、リコール制度をどのように考えて行くかということは、当面しているところの一つ地方行政上の課題であると考えるのでありますが、ただ現実の問題として御報告申上げて置きますことは、鳥取縣町村会が、これにつきまして左のような意見書を提出いたしておるのであります。即ち解散及び解職請求制度を縮小するように改正すること、リコール制の著しい点は一般住民の覚醒によるものは案外少く、二部組織團体等がこの趣旨を誤解し、派閥鬪爭の具に供する虞れがあるのであつて、これが制度を悪用せしめないよう適切なる法の改正を要望するということを我々に要求して來ておるのであります。意見もないではありませんが、これ又ここで御報告申上げることは省略させて頂きたいと存じます。  尚、監査委員制度につきましても、いろいろ当局から聽取するところがあつたのでありますが、現在の書記に関する規定を改正して、書記長というような名目にして、もう少し充実したところの事務機関を持つことができるように考えて呉れというような要求が來ていることを申上げて置きたいと思うのであります。  尚、警察制度の問題につきましても、以上申しましたところの縣廳及び市役所等におきまして、國家地方警察並びに市の自治体警察当局から、警察制度改善に関する諸種意見を聽取するところがありまして、又島根縣國家地方警察におけるいろいろな科学捜査、その他の施設等も一、二調査するところがあつたのでありますが、我我が接しましたところの警察当局の大体の意見といたしましては、現在の自治体警察制度については再檢討をして貰いたいというので、要求が非常に強かつたということを申上げて置きたいと思うのであります。  最後に、財政の問題についてでありますが、私達が参りましたところの鳥取縣及び島根縣は、両縣とも日本海に面するところの府縣中においての比較的人口も少く、又財政の点におきましても貧乏縣と大体に考えられておるところの縣でありまして、特に問題になつておりまするところの地方財政税收入の大宗でありまする地方配付税制度をどうするかというようなことの問題につきましては、両縣は特に財政貧困縣であるというところの立場からいたしまして、地方配付税制度は現在のまま存続されたい。これを所得税附加税制度に変えるというようなことは希望しないところであるというような意見が圧倒的に強くて、これが当局意見であつたということを御報告申上げて置きたいと思うのであります。尚、今島村君等から御報告のありました地方自治体財政窮乏を來しておるということは、同樣なる意見の開陳が集まりました縣当局並びに市町村当局から縷々と陳情されるところがあつたのであります。  尚、この機会感想のようなものを申上げて置きたいと思うのでありますが、地方自治体財政窮乏ということに関しまして、特に鳥取縣島根縣のような貧乏なるところの財政によつてつておりますところの地方自治体、又それに関係するところの比較的豊かなる財政の上に立つてこの行政を行なつておりまするところの自治体との間の関係の問題でありますが、そうしたこの地方財政窮乏、特に地域的な自治体財政懸隔というような問題は、それを裏付けるところの経済の豊かであるか、或いは貧困であるかということの基礎に関連して、我々は行政的に考えて行くころの必要があるのではないかと思うのであります。例えば抽象的に社会形態においてこれを分別いたしまするならば、即ち都市農村との差別であります。又その都市農村間におけるところのいろいろな経済力懸隔の問題であります。で、貧困なるところの財政によつて非常に苦しんでおりまするところの地方自治体は、その自治体が持つておるところの経済力が非常に貧困であるということをば、地方行政の面において、或いは一國の行政全般の上において平均化して行くということを基本的に考えられて行くところのことが非常に必要なのではないかと思われるのでありまして、そのような考え方の上に立ちまするときには、ただ單に配付税制度によるところの財政の、そうした平均化ということのみだけに我々の考が終つてつてはならないのではないかと思うのであります。我々はたまたま二縣に参りますときに、時を同じういたしまして、島根縣及び鳥取縣の両縣に跨つておりまするところの大山という山がありますが、その山を中心といたしまする一帶の地域に総合開発計画、いわゆる総合開発計画という名によつて行われんとしておりまする地方計画と言いますか、そのリージヨナル・プランニングの実地調査に行かれるところの建設委員の諸君と行を途中まで一緒にいたしたのでありますが、その言われておりまするところの総合開発計画は、大体におきましてルーズヴェルトが大統領時代において掲げましたニユーデイール修正資本主義の一環としてのT・V・Aのテネシーバレー開発計画に案を取りまして、安本を中心に考案されたものであるかと、間違つておるかも知れませんが、私は大体了解いたしておるのでありますが、この総合開発計画、それは專ら建設委員会の仕事として今日考えられておるのでありますが、そうした面から仮に島根縣及び鳥取縣が他の府縣に比べて非常に財政貧困であるということは、取も直さず経済力が他府縣に比べて貧困であるということを示しておるのであります。それを財政の面においても豊かなものにして行こうということについては、今申したように、基本的には両縣の経済力を豊かにして行くということと併せて考えられなければならないのでありまして、そういう点からいたしまするならば、我々が対象といたしておりまするところの財政の問題は、取も直さず両縣におきましては、この大山地方におけるところの総合開発計画というものと結付けて考えて行くというところまで、我々の地方行政委員会としての見解を進めて行かなければならないのではないか、こういう感想でありますが、尚、詳細なる実地調査報告書を準備いたしておるのでありますが、やや未完成でありまして、更に完成いたしました後、委員長の手許まで提出することにいたしたいと思つておりますので、甚だ不十分でありますが、以上の極めて粗笨なる概括的な報告を以て、今日は一應終りたいと思います。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員の御報告に対しまして、荻田財政部長から意見を求め、尚、配付税配分ということは、各府縣はもとより、殊に貧弱町村にあつては致命的ともいうべき大事なことでありまして、この配付税配分基礎と申しますか、そういうものについては、政府の方で十分今まで合理的な方法を取つておられるのだろうと思いますけれども、その点がまだ不十分ではないかと思われる点があるのであります。そういうことについて御意見を述べて頂きたいと思います。
  9. 荻田保

    説明員荻田保君) 吉川委員の御報告になりました点に関しまして、岡本委員長よりお話のございました配付税の分け方の問題でございまするが、これは元來は、配付税はまあ財政の貧弱な團体に交付するという、いわゆる財政調整趣旨を強く考えておつたわけでございます。ところがこれは昭和十五年にできたのでございますが、その後漸次配付税の額が相当殖えて参りましたので、單なる財政調整だけではなくて、むしろ地方團体に対しまして必要な財源を與える、こういうような面が相当強くなつて來たのであります。それから又もう一つには、初めの出発点におきましては、大雜把に申しまして、農村方面において財政力が弱く、都市方面において財政力が強いから、農村方面に流して行くということが主眼になつてつたのであります。ところが戰災等を受けまして、都市方面の財政力がむしろ弱くなつて來ておる。殊に財政需要の面において、農村よりも都市において非常に重圧が加わつて來た、こういうようなことからいたしまして、当初は大体貧弱な地方團体、貧弱と申しますか、農村的な團体に多額の配付税が交付されておつたのであります。その点から申しますれば、今おつしやいました鳥取、島根のごときは特に多額に配付税が交付される、こういうような制度になつてつたのでありますが、その後だんだんとその差が詰りまして、必ずしもそういう地方に多額の金が行かない。勿論割合にしますれば、今でも幾らか多額でございますが、それが割合に均等化されて來たのであります。その理由は先程申述べたような次第であります。で今後地方財政を確立して行くという面におきまして、配付税は自主的な財源でないから、これを少くするというようなことになりますれば、勿論その面からしまして農村方面に多くの配付税が交付される。殊に都市方面の戰災が復興して來ますれば、都市財政力が上つて來ますから、むしろ農村方面に行く、こういうような傾向になるであろうと考えております。本年度配付税の額は総額が減りましたので、何分にも全体に亘りまして財政窮乏いたしておりますので、かようなことまで考える余地はなかつたのであります。と申しますのは、つまり配付税法の運用方法そのものには手を触れなかつたのでありますが、今後の全体的の地方税制改正し並行いたしまして、配付税の分け方につきましても考えたいと思つております。ただ昨年あたりを見ましても、都道府縣の分について見ますと、勿論非常に鳥取縣が日本全國で割合にして最も多くの配付税が行つておるのでありますが、吉川委員もお述べになりましたように、何分経済力そのものが弱いものでありますから、それでやはり鳥取が一番とは申せませんが、特に財政窮乏しておるような事実はあると思つております。
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問なり御意見の御開陳はございませんか……。それではこれで一應六月におきます委員会は終りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 委員長にお尋ねしたい。それは私昨日の委員会のときに用事がありまして、途中で退席したのですが、今朝の読賣新聞で見ますると、「非常宣言権を地方へ」という題目ですが、参議院の地方行政委員会は「治安確保を目的に要旨次の如き警察法改正要綱案を作成した」ということで、その要綱案が掲載されておるのですが、こういう要綱案というものは昨日できたのですか。
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今朝新聞を見て驚いておつたのでありますが、どなたかがお話しになつたことだろうと思います。それはこういう誤りなんです。昨日治安の問題、警察の問題につきまして、國家地方警察本部の齋藤長官から、最近のストライキなどについていろいろお話しを聞いた。その終りに警察法改正につきまして、前の治安及び地方制度委員会のときから、大分改正をしなければならんところがあるから、研究をしようというので、小委員会を開きまして、鈴木委員が小委員長でやつておられた。その後それは成案を得なかつたのでありますが、事務局の方でだんだん改正要点を、各方面から意見を徴しまして、そうして研究をしておつた。まだまだ未定稿ですけれども、一應警察法改正要綱案という未定稿ができたわけなんです。一應それは皆樣にお配りして、御研究を煩わしたいということを申上げた。それで要綱案をお配りした、それだけなんです。何もまだ成案を得ない。未定稿ということを特に書いて呉れということを注文して置きました。
  13. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 ああ、そうですか。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚申上げますが、次の閉会中におけるこの委員会の開会は、七月に入りまして選挙法改正の特別委員会が開かれますが、それと大体期日を同じくして、今度の方法のようで、随時お諮りいたしまして開きたいと思います。御承認を得たいと思います。尚この前御承認を得ましたシヤウプ氏から、この前会見のときに、委員長として意見があれば、地方税制の改革について意見書を出して貰いたいというお話しがありまして、それはこの委員長にかけて参るものではございません。委員長の私案として出すべき性質のものでありますから、それをお配りしてございまして、御意見をお聞かせ願いたいと申して置きましたが、今までに別に御意見もございませんが、成るべく早く出したいと思いますから、御意見のあります方は、お示し願えます方はお聞かせ願いたいと思います。この頃毎日出ておりますから、お願いいたします。  それではこれで今日は散会いたします。    午前十一時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    委員            三木 治朗君            岡田喜久治君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            太田 敏兄君   説明員    総理府事務官    (地方自治廳財    政部長)    荻田  保君