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1949-06-29 第5回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十九日(水曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政に関する調査の件(治安問  題)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。本日の議題は地方行政調査に関する件のうち、治安関係審議を行います。最近公安條例に関する東交事件がありました、又続いて國鉄ストライキがありました。廣島の工場包囲事件がありました。新潟にも同樣の工場包囲事件が起つております。又学校のストライキが頻発いたしまして、京都大学におきましては総長を監禁するというような事件が起つております。殊に最近には鉄道軌道等に諸種の交通妨害事件が頻発いたしております。今日の新聞を見ますと、ダイナマイト線路の上に落しておるというような事件福岡縣下で起きております。こういうふうに見ますと、最近の治安状況というものは非常に悪化をしておると言わざるを得ないのであります。政府においては治安関係閣僚懇談会がしばしば行われておるようでありますが、今日は先ず國家地方警察齋藤長官から、これらに関する総括的の説明を聽きまして、尚政府委員から具体的の詳細な事情を聽き、我々の治安に対する審議の材料にいたしたいと思います。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今委員長の述べられました点につきまして、私は今のお話國鉄その他のいろいろの事件でありまするが、我々は丁度休会中でありまして、いろいろ新聞発表されております程度のことは承知いたしておりますが、本委員会において政府側説明を聽くに当りましては、詳細にそれらの点について内容を聽取したいと思いますので、私は委員各位の御賛同を得れば、祕密会を要求したいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷委員から、この問題につきましては祕密会にして貰いたいという動議が出ました。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。よつて祕密会にいたします。お氣の毒ですが、議員及び関係以外の方々は御退場を願いたいと思います。   午前十時五十一分祕密会に移る
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚速記は続けて行ないます。速記に残して置いては工合の悪いことがございましたら、委員長において適宜削除いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。  それでは只今申しました治安状況につきまして、齋藤長官から説明を伺います。
  8. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 最近の治安状況は、只今委員長から申されました各数件の事件が代表しておると考えます。これらはすでに新聞等発表と申しますか、報ぜられておりまするので、更に具体的の詳細は、御質問に應じてお答えをする方がいいのじやないかと考えるのであります。大体新聞に報ぜられておりまする点は、大して間違つてはおらんと考えます。勿論私らの見ておりまするところでは、「アカハタ」とか或いはそういつた系統の新聞に出ておりまする事柄は、事実を相当曲げておるのではないか。又事実が必ずしも決定的でないものを、決定的であるように特に曲げて書いておるというように考えられまするが、その他の普通の新聞におきまして傳えられておりまする点は、大体眞相に近いとお考え下すつて差支えないと思います。  東交國鉄の先般のストの原因、それから経過等も大体新聞通りであります。我々の方といたしまして、警察及び檢察廳檢挙をいたしました事件は、千葉車掌区における業務妨害及び公務執行妨害として当時三十三名、このうち十二名は釈放いたしまして、二十一名は送檢をいたしております。  それから中野車掌区では、これも業務妨害及び公務執行妨害として、結局二名送檢いたしております。  それから東神奈川車掌区における人民電車の問題につきましては、今までのところほぼ二十名くらい檢挙をいたしております。まだ今後若干檢挙数が殖えるだろうと考えております。これは特にだんだんと命令をした者、背後関係という方に近ずきつつありますが、どの程度まで近ずき得るかはまだ疑問であります。  これらの問題を達観をいたしまして申上げられますることは、すべて御承知通りいわゆる極左分子というものの指導によつて学生及び朝鮮人相当関係をしておる、特に学生相当な役割をどこででも果しておるという事柄注目すべき事柄であろうと考えます。  それから一部には、例えば國鉄東交事件、或いは廣島等におきましても、一部の新聞記者が或いは内通をいたしたり、或いは特に記事を曲げて報道したりという点が我々としては注目をいたしておるのであります。東交の橋本某なる者の都廳において騒擾中に死亡いたしました事件につきましても、檢察廳において発表いたしておりまする通り警察官虐殺をいたしたという事実は何ら認められないのでありまするが、これらの記事を送つた経過、或いはこれが宣傳に使われておる状況というところには、やはり報道関係の作意が相当あるように見られるのであります。廣島事件におきましても、廣島の日鋼工場内において、工場内部とそれから外部労働者側との間にいろいろな情報連絡というような事柄、それからあの際に二名を警察官虐殺をしたとか、非常に重大なる傷害者を多数出したというような情報なんかも、これは相当曲げられて当時報道されたのであります。これは地方新聞といたしましては、その後事実が判明いたしましたけれども、普通の新聞では事実無根を報道いたしておりまするが、当初におきましてはやはりそういうような状況であつたと思います。  その他の点につきましては、或いは御質問に應じて詳しく警備部長からお答え申上げたいと思います。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これは國鉄ストライキの点につきまして、一應この間六月二十三日の報知新聞の夕刊でありますが、その記事の中に、いろいろ四月中旬以來共産党が、國鉄のフラクにつきましての祕密指令についていろいろと出ておりましたが、その中に、例えば民主的な運動を起せとか、そういうような点とか、或いは党員は速かに親族の関係その他身辺の整理をせよ、重大会議は必ず祕密根拠地で行う、今後の脱党者に対しては行動隊が何らかの処置を取る、政府側主要人物には常に行動隊を配置して監視を行なえというふうな、いろいろその他多くの祕密指令がここに掲げてありましたが、これはいわゆる或る時期を画して、暴力革命を最終の目的といたしておるように考えますが、こういうふうな祕密指令新聞でこれは拜見いたしたのでありますが、そういうふうな点は、新聞におきましても八月か九月かに暴力革命を実際に完成せしめるのだというようなことが出ていました。そういうような実際の目的に基いてその一つ分派行動一つとしてああいうことをしているのか、又その後におきましても現在鉄道においては非常な妨害事故が、例えば子供使つて頻々として起つていることは、我々考えても今日ただ偶然に子供が、單にいたずらとしてやつているというふうには考えられない。何か背後関係があつてこういうようなことをやらして、やはり國鉄ストライキの連続としての一つ行動であるというふうに我々取れますが、そういうふうな点は実際どうでございますか。
  10. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 只今のお尋ねの点は我々もそういつたような情報といいますか、風聞といいますか、よく耳にいたしておるのであります。併しそういう祕密指令がどこから正式にどういうように出されておるものかどうかという点につきましては、どうも確実なことが分らない。いわゆる祕密指令と言われておりまする幾多の指令は皆そうでありまするが、すべて全部が全部本当とは言えないものもあろうと考えまするしいたしまするが、こう段段と現象に現われて参りまする事柄が、そういつた祕密指令と言われるようなものと結付くような傾向が事実として多いと考えております。我々もそういう指令は忽せにはいたしておりませんので、警備見地からいろいろ檢討をいたしております。  それから先程交通妨害の点を御説明申上げるのを忘れましたが、交通妨害新聞に報じられておりまする通り、特に最近は頻々として起つております。私の方といたしましては四月の初め頃から特にこの傾向注目を拂いまして捜査に躍起になつておるのでありまするが、まだこれが一連の計画に基くものであるかどうかという実証を挙げるまでに至つておりません。件数から申上げますると、我々の方に報告されておりまするのは、今年の一月から百八十件余りございまするが、これは最近になつて非常に殖えておるのであります。それから今一つは以前との比較はどうかということでありまするが、以前において我々の方には余り軽徴なもの、子供いたずらであるとか或いは石を投げたとかいうようなものは余り報告されておりませんので、よく前との比較ができないのであります。鉄道側におきましてもはつきりそういつた細かいものまで集計ができていない。最近我々も非常に神経を昂ぶらせるせいでありますか、そういうようなものまで全部数え上げるということになつて件数が殖えておるという事実もあろうと思いますが、併しながら特に注目をしなければなりませんのは、相当鉄道内部に通じた者、或いは鉄道関係知識、技術をよく知つた者でなければ行えないであろうというような交通妨害相当多いということであります。例えば信号故障を起させる。青の信号を赤に変える、赤を青に変える。或いは又列車自動制動機といいますか、あの制動機を車の連結のところで事故を起させて制動を効かなくする。又鉄道の枕木の犬釘を拔いたり、或いは線路引曲げたりするのも、どうも專門的知識がなければできないというようなやり方が多いのであります。  それから又どうも客車よりも貨車を狙つておるように見えるふしが多いのであります。これらもいわゆる指令とか何とか言われておるものとよく符号するような点があるのであります。そういう指令はそういうような事実に基いてこういう指令があるのだというように指令が捏造されるのか、どちらか、その点は分りませんが、兎に角似ておる。  それから列車を脱線、顛覆せしめて被害を與えるということもさることながら、列車運行を妨げる。只今連結のところに故障を起させるとかいうようなことなんかも、顛覆よりも、顛覆させないけれども列車運行に支障を起させるという手段に見えるのでありますが、貨車その他の車輛も檢車証がないとあれは発車ができないことになつておるのでありまするが、その檢車区の檢車証を故意に抜き取つて、そうして発車を遅らせる。これらのことどもも、そういつた鉄道の規則なりそういう点を知らないとちよつとできないことだと考えます。これらの点から我々は非常に重大視して、國鉄方面と緊密に連絡をいたしながら既往の事故に対しましては徹底的に捜査を進めるようにいたしておりまするし、又今後そういう事故が起るならば、できるだけその現行犯を捕まえるということのできるように鉄道側とよく連絡をいたしまして、事故の起り易いような区域につきましては特にその現場を捕まえるということに苦慮いたしております。事故の多いのは北海道、殊に北海道の幌内と新得間、あの辺の中心といたしますもの、それから京浜靜岡の間、九州では下関門司、あの辺を中心といたしますもの、それから福岡と熊本の境辺というような所が特に頻々と起つておるのであります。今日の新聞ダイナマイトが橋の上にとか、或いはトンネルの中に置いてあつたという事件でありますが、これはどうも單なる嫌がらせか、或いは何ら爆発装置をしていなかつたようでありまするので、あれだけでは列車故障が起らないという事実についての見解であります。從つて車の中で取調べがあるというので車から降りようとしたものか、いたずらのためにやつたのかその辺はちよつと疑問に思つておるのであります。尚最近ダイナマイトとか火薬、これの盗難事件がやはり相当多いのであります。これらは特に我々関心を持つて調査をいたしておるわけであります。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 尚新聞におきましては國鉄ストライキの際に、某代議士が駆けつけて演説か何かさせてくれということがあつたということでありますが、その某代議士というのは御調査ではどういうことになつておりますか。先程学生ストライキに関連しておるというようなことを言われましたが、それは例えば共産党の党員である、それから今回の國鉄ストライキに際して、最後的には司令部中止命令が出たのでありますが、その際におきまして司令部態度というものは余程強いものであつたかどうかそれを一つお伺いいたしたいのであります。
  12. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) この某代議士演説をさしてくれとか、或いは抗議を申込みにきたというような事柄につきましては、これはちよつと余り犯罪関係がありますので祕密会でも誰がどうしたということは申上げかねる次第であります。それから二点は学生であります。学生はこれはこの中には党員もおります。それから共産党員もおります。共産党員に入つていないのもおります。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 司令部態度というのは、國鉄実力行使を決定したと思いますが、今後大体どういうふうな軍政部からの、司令部指令に基いて、この前の中止命令に基いて、その考え次第では今後のストライキに対しても対処する方針があると思いますが、そういうのはどの程度に考えておられるかどうかということを聞きたいのであります。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今度のストでは東神奈川電車区が強硬で、バリケードなんか築いたということが新聞に出ていましたが、今日もそのバリケードを築いておるような現状の闘爭態勢にあるのですか。
  17. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 東神奈川車掌区は現在は全く平靜に復しております。当時バリケードというようなことも新聞に出ておりましたがこれはバリケードという程のものじやありませんので、大したそういう暴力的なものはありませんでした。ただあすこの車掌区のありますような所が、周囲が垣で鉄條網で巡らされて、ふだんから普通の者には入りにくいので、從つてあの中に入つて行くには非常に困難を來すというような所であります。現在は例えば車掌区長実力、又は威迫によつて自分意思表示、或いは行動を妨げられるというような状況も全然ございません。今は平靜の中に入民電車檢挙を進めておる、こういう状況でございます。
  18. 三木治朗

    三木治朗君 最近の労働攻勢に対して、これが單なる経済闘争でなくて、政治的な意味を持つている。むしろいわゆる暴力革命の前提として何か動いているように感じるのでありますが、各方面のいろいろの問題に対して警察当局として人手の足りないということもあろうと思いますが、最も私共心配するのは、昔の特高警察のようなものであつては困るのでありますけれども、一つ諜報機関というようなものがなければ、地図なしで道を歩くようなことになつて、すべてが後手々々になつて行くんじやないか。正しい意味における諜報機関というものがあつて然るべきだというふうに考えるのですが、現在そういうものがあるのでしようか、どうでしようか。この点を。
  19. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 私の方では諜報機関という、そういう機関は持つておりません。併しながら犯罪に関するいろいろな事前情報調査ということはどうしてもやらなければ治安が保てません。又いろいろな報道であるとか、そういつた事態がいつ頃どこで、而もどういう方法で、どんな工合に行われるかというようなことが、いろいろに取沙汰されておるとすれば、そういうことはやはり事前に知つておりませんと、事が起つてまごついてしまうというわけでありまするから、そういつた見地からいろいろ耳をそばだてて調査をするということをやらなければならんと思つております。又若干これをやらなければ職務が果せませんからやつておりますが、併し從前の特高警察のようなものになつてはなりませんので、その点と、それから又私の申しまする当然やるべき事柄につきましても予算等の、或いは人員等関係から遺憾ながら十分とは申せません次第であります。
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは樺山警備部長から具体的に各縣について御説明を願います。
  21. 樺山俊夫

    説明員樺山俊夫君) できるだけ簡單に要点だけを掻つまんで申上げるつもりでございますが、國鉄関係でございますが、この事件経過並びに警察の採りました措置の概要を申上げますと、五月三十日に東京鉄道局の局長から新らしい交番制度実施いたしますことにつきまして命令が出ました。六月一日から新らしい交番制を採用するという命令が出たわけでございます。これに対しまして國鉄組合側といたしましては、勤務時間が今度新らしい交番制実施いたしますことによりまして多少延長されますので、これは労働強化によりまする行政整理の先駆であるという意味を以ちまして反対氣勢を挙げて参つてのであります。特に東鉄管内におきましては、東神奈川車掌区、千葉車掌区、中野車掌区、蒲田車掌区、これが特にこの問題を取上げまして反対を続けて参つたのであります。この新らしい交番制度実施は一應東鉄といたしましては、六月一日から実施する予定でございましたが、それぞれの車掌区等の特殊事情によりまして、大体六月の五日から実施をするということに決まりました。その間におきまして先程申しましたように、組合側車掌区の当局者側との間におきましていろいろ折衝談判その他を続けて参つたのでありますが、結局話が付かないということでございます。いよいよ五日から新らしい交番制度実施するという事態になりました。それで國鉄当局といたしましては、御承知の先般の國会で通過をいたしまして実施されておるまする公共企業体労働関係法の第十七條にございまするように、國有鉄道及び專賣公社の職員は業務の正常な運営を阻害する一切の行爲をしてはならない。それに違反した者は、この法律による一切の権利を喪失をいたしまして解雇されるという規定が十七條十八條にございますが、この規定を適用いたしまして新らしい交番制を拒否するという者に対しまして、只今條文を適用して断乎処分をするという決意を固めまして、九日の午前十時に千葉車掌区におきましては九名、東神奈川車掌区におきましては十名の処分発表をいたしたのであります。  この馘首発表契機といたしまして、東神奈川におきましては、乘務員乘務拒否という問題が出て参りまして、徐々に鶴見京浜横浜線間引運轉となりまして、夕方になりましては殆んどこれが停止という事態になつたのであります。それと並行いたしまして中野車掌区、蒲田車掌区におきましては、これに同調してストに突入するというような情勢になつたのであります。東神奈川におきましては九日におきまして、車掌区の構内に、友誼團体應援を加えまして約千二三百がそこの詰めかけまして、翌日に至るまでそこを占拠いたしました。いろいろ車掌区長その他との折衝談判をいたしておりましたが、九日から十日までずつとその場所を占拠しておつた。そうして十日になりましていわゆる人民電車を運轉するというような事態にまで発展をいたしたのであります。千葉車掌区においては十日の朝、やはり馘首発表契機といたしまして、組合側が非常に憤慨をいたしまして、新らしい交番制によりまする乘務員電車に乘り込むこと、これに対して妨害をするというような行動に出ました。特にこの場合におきまして朝鮮人連盟の約四百名が先頭に立ちまして、相当妨害をしたというような事件が起りました。その際におきましてこの電車に乘り込む乘務員に対する妨害をいたしましたのに対して、三十二名をその場において檢挙いたしました。これは先程長官からお話があつた通りであります。中野車掌区におきましてはやはりストの突入というような、同調氣運が濃厚でありました。併しながら中野におきましては現実に馘首犠牲者が出ておりませんために、やや空氣が低調であつたようでありました。そのうちごく一部分の青年行動隊員列車の最後部に飛び乘りまして、ブレーキをかけて列車を止めたというような事件がありました。そのために二名を檢挙しております。蒲田車掌区におきましては、線路の上におきまして、赤旗を振つて進駐軍專用電車を止めたというかどを以ちまして、六名を檢挙いたしております。そういう工合でいろいろ反対氣運がだんだん濃厚になり、各方面におきましてもそれが波及するというような情勢に立ち当りました。先程の東神奈川中野千葉蒲田の四車掌区、それから中野、三田の二電車区、これがスト実施いたしましたために京浜横浜、総武、南武鶴見中央線、各線は麻痺状態になりました。更に東京機関区、沼津機関区、田町機関区、八王子電車区、弁天橋電車区、池袋電車区、下十條電車区にどうも同調の氣配が濃厚になりました。尚飛びまして水戸支部高崎支部宇都宮支部長野支部甲府支部等からこれらのストライキ実施いたしまするところに対して派遣いたしまする助勤者の派遣に対して、拒否をするというような空氣も出て参りました。事態関東地方全体の國鉄関係運行が停止するというような事態まで発展いたしまして、御承知スト中止命令が出まして治まつたこういう事件になつております。  それから次は廣島の日鋼関係事件でありますが、日本制鋼所廣制作所というのが、廣島縣の船越町及び廣島市両方に跨りましてございまして、これは運輸省発注の機械及びミシンを作つております。そして賠償指定工場になつておりまして、從業員が約二千名程おるのでありますが、五月の末から六月の初めより、工場の生産の低下によりまして、非常に経営が困難になりまして、企業の整備をやるということで、いろいろ会社側及至組合側とそれぞれ毎日折衝をいたして参つたのでありますが、六月十一日に会社側は六百六十二名の解雇発表をいたしたのであります。それに端を発しまして、この解雇発表を繞りましていろいろな問題が起つたのであります。いろいろ細かい小競合その他トラブルがございましたが、大きなものだけを申しますと、六月十二日に組合側会社幹部に対して團体交渉の申入れをいたしまして、面会を強要するというような事態になりまして、約三十名程の青年行動隊員と言われるものが会社所長の祕書室の窓を破つて闖入いたしまして、その部屋を占拠して團体交渉を要求して、これに対して会社側がこれを拒絶したというとであります。そのために組合側は午後四時頃詭計を以て所長代理外九名の会社幹部事務所玄関におびき出しましてこれを取囲んで交渉迫つた。これに対しても会社側は應諾しないということでありまして、これがその日の午後四時から翌日の午前六時まで会社幹部九名がそれらに取囲まれまして、食事も喰べずそこで談判されたというようなことになつております。明けまして六月十三日に漸く團体交渉運びとなつたのでありますが、その頃廣島軍寺部の方からザガー大尉が参りまして、いろいろの命令を二回程地元の船越所長及至組合の代表に対しまして出しております。それによりまして工場の中に入つておりました外部の者、相当應援の部隊が工場の中から退去いたしたのであります。翌る十四日におきましては工場を閉鎖いたしたのでありますが、工員の約千五百名が出勤いたしまして正門を押破つて工場内に入つた。この日にも軍政部からの命令がございましたけれども、今度は工場内から退去しないというような相当氣勢上つて参つたのであります。その際廣島の軍政部長から口頭の指令がございまして、日鋼の廣島製作所においてストに從事中の組合員は全部製作所より退去せしめよというような命令を貰いまして、警察署といたしましてはいろいろ準備の態勢を作つてつたのでありますが、同日も午後になりまして賠償指定工場管理責任者であります廣島縣知事から、工場の保管上の命令といたしまして、工場より全部退去を命令する警告文を出しまして、それによりまして、夕刻頃はそういう状況下に外部友誼團体、その他いろいろ沢山工場に集まりまして、約三千と推定される者が工場の中に入つたということで情勢がだんだん險悪になりまして、これに対しまして廣島の市の警察船越の町の警察、並びに要請によりまして國警の方からも警察官が出まして、中に入つておりまする組合員、或いは友誼團体應援隊員を工場より実力を以て退去せしめた、こういう事件になつておるのであります。この退去せしめました際にいろいろ衝突がございまして、警察側といたしましては三十名の負傷者、組合側といたしまして二十二名の負傷者を出しております。尚そのときに住居侵入の現行犯といたしまして二十八名を檢挙いたしまして、これを檢察廳に招致をいたしたのであります。先程長官からもお話がございましたように、この際二名の死者が出て虐殺されたというような情報、その他の宣傳相当激しかつたのでございますが、さような事実はございません。  それから次は新潟の加茂工場の問題で、東芝の加茂工場の問題は、仮処分の執行を繞りまして起りました問題であります。これは東芝の加茂工場が今年の春に第一次の仮処分をいたしまして、執行しておつたのでございます。今回の第二次の仮処分といたしましては、第一次の借処分に洩れましたところを追加をして仮処分をするということで、仮処分執行が始まつたのでございます。これは六月の十三日に執行吏が参りまして仮処分をやりかたけのでございますが、組合員反対に遭いまして、到頭執行ができなかつたという事態がございます。次いで十七日にこの警察應援を求めまして仮処分の執行をやつた。この際におきまして多少トラブルがあつたというわけなんであります。中に入つておりました約三百名の組合員、乃至は外部からの應援員が執行吏の執行に対して相当強く反抗いたしまして、執行を阻碍しましたので、現場に出動いたしました警察官実力を以てこれを執行させた。その際公務執行妨害といたしまして第一次に百三名、第二次に三十八名を檢挙いたした事件でございます。これは特に特異な事件ではないと思いますので、普通いろいろ裁判所の仮執行を執行いたします場合の反抗に対しまして、執行吏の要請によりまして警察が出勤いたしまして、これが執行を行けた、こういう事件であります。  それから京都大学事件でございますが、これは京都大学の医学部の附属病院に厚生女学部という乙種の看護婦養成学校がございまして、そこを三月の末に三十九名が卒業いたしまして、そのうち三十三名が引続いてこの医学部の病院に就職をしたいという希望でありまして、これを選考委員会で選考いたしまして、そのうち十名が不合格者になたつわけであります。その十名のうち四名が就職を締めましてそれぞれ家に帰つたのでありまするが、残りの六名が京都大学学生細胞、或いは職員組合等の中の者の煽動によりまして、飽くまで再就職を希望して学校当局に対しましてこれを強硬に要求する、そうして寄宿舎の中におきましてハンストを行つたというようなことから始まつた事件であります。先程申しましたようにこの共産党の京大細胞、或いは京大の職員組合その他外部から産別、全官公、全農林等の應援がありまして、この六名の不採用者に対して即時全員採用という要求を強硬に突きつけまして、病院の事務当局、院長と強硬にその後引続いて談判をいたしておつたのであります。それがなかなか容られませんので、二回に亘りまして只今の六名の不採用者が寄宿舎におきましてハンストを行つた。併しながら学校側といたしましては、どうしても採用の適格がありませんために、採用を引続き拒否をいたしまして、五月九日になりまして、九日限りに寄宿舎より退去を命ずるというような事件でありまして、これに対しまして学校の中に全國学生大会というものを開催いたしまして、病院の院長と談判を開始いたしまして、院長を事務長室に監禁するということになりました。十六日の午後二時から翌る日の十七日の午後六時までの間、院長を事務長室に軟禁をいたしまして、その間九項目に亘る要求を突きつけまして、院長が疲労困憊の挙句、この間覚書を承認をしてやつとその場をのがれた。こういうような事件になつたのでございます。その間いろいろ外部應援等も入りまして、情報が非常に急迫をいたしたような状況でありますので、京都市の警察から先程申しました院長の軟禁に対しまして、その首謀者六名の逮捕状を要求をいたしまして、その逮捕状に基きまして警察官が出勤をいたしまして三名を檢挙いたしたのであります。その外に尚この問題の発端は看護婦の採用をしてくれというこういう要求から始まつたのでありますが、いろいろ覚書を突き出されました際に、いろいろその外の沢山の要求、官憲の不当彈圧とか、吉田内閣反対とかいう点まで取上げまして、運動を起しておるのであります。尚この全國学生連盟の全國大会というのが五月の末東京でございまして、その際に京都大学学生連盟といたしまして、学内に起つております問題を全国の大会にこれを訴えまして、これを取上げて、至急京都において全國の学生大会を開催いたしますように電報をいたしまして、六月三日に京都大学の中で全國の学生大会を開催いたしました。この際全國から集まりました大学の学生連盟の会員或いは又京都市内の産別、その他の友誼團体等が入りまして約千名程、急に関催を決定いたしましたために、会場その他の施設の借入要求その他をめぐりまして学長と折衝いたしまして、なかなか話がまとまらないということで、いろいろ折衝いたしております間に情勢が險悪になりまして、学長からの要求によりまして警察官が出動いたしまして、坐り込みをいたしております学生を、実力を以て退去させたという事件が別に発生いたしております。これだけ極く大要でございますが……
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  23. 三木治朗

    三木治朗君 廣島の日銅の問題のときにその学生や労働組合員でない一般市民が相当参加したという噂を聞いたのですがそういう事実があつたのですか。
  24. 樺山俊夫

    説明員樺山俊夫君) 大体中心学生、それから組合員というのが中心つたように思いますが、一般の市民が非常に沢山参加したということは特に聞いておりません。
  25. 三木治朗

    三木治朗君 その他の京都とか各地にあるいろいろな事件に一般市民の参加するというようなことはございませんでしたか。お聞きになつていないですか。
  26. 樺山俊夫

    説明員樺山俊夫君) 一般の者が参加いたします場合はありますけれども、それは非常に沢山目立つて参加したということは今まで関知しておりません。
  27. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 公安條例の問題ですが、あれについては新聞を通じて、新聞に載つておることは大体知つておりますが、実際においてもその通りだと思いますが、その後殆んど新聞に出ておらないような状態になつたのですが、公安條例に対する反対的な運動は全國を通じてどんなふうになつておりますか。そして或いは各府縣がこの條例をいわゆる制定することを差控えておるのか、その状態を一つお聞きして見たいと思います。  又次にこの公安條例ですが当然自治法によつてその内容を規定するのだが、或いはこれは國で以てやることが妥当であるという見解もありまして、それに対する御見解を一つ
  28. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 公安條例新聞等で御承知通りでありますが、大体各府縣の公安條例、府縣と申しますのは、その縣内の市で作つたものであります。過半はもう作つてしまつて、名古屋は今提案中だと聞いております。名古屋は愛知縣会で縣の條例としておりますが、これは縣の條例として出すのと、各それぞれの自治体の市町村の條例として出す両方ありまするが、縣で取上げておる方が数が少ないのであります。公安條例反対氣勢は、まだ作らないところ、動ろうとしておるところではやはり依然として強く出ております。東京も相当強く出ておりますが、東京はいつ頃そういうふうなものを提案することになるか、まだ詳細は承知いたしておりません。名古屋はそのために今問題が起つておるということはまだ聞いておりません。ここ数日のうちに結着すると考えられます。これを國の方でやるのがよいか、各自治体でやるのがよいかという問題につきましては、私の方の事務当局の考えといたしましては、すでに半年以來各地方地方で設けられておるのでありますが、それを國で統一しなければ工合が悪いという感じは今のところ持つておりません。この状見のように進んで行つても我々の方といたしましては、これを差控えさして國で作るという措置は、必要がなかろう、かように考えております。
  29. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 尚あれは公安條例という名前になつてつて、公安というようなことは、非常に別の考え方に思われるのでありますが、その内容と公安條例という名前とは、少し喰い違つておるような感じがするのでありますが、或いは新聞紙等において取り上げて通例言われておるものなんでしようね。
  30. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 仰せの通りであります。行進、示威運動等に関する條例、こういうような名前になつておりますが、非常に言いにくいためにああいう通称ができ上つたのだと思うのであります。從つてこの内容を知らない人には如何にも大衆運動を彈圧するかのような感じを與えるのでありまして、私の承知しております限りにおきましては、こういつた示威行進運動等を秩序正しくやるということ以外に、何ものも含んでいないと思います。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私から伺いたいのですが、國鉄ストの問題に関しまして、千葉は執行力と言いますか、それが割合強かつたというように見受ける。それ程大きく治安を紊したということにはならなかつたのですが、東神奈川の方は、これは横浜市の自治体警察の管轄ですが、その方はどういうわけだか、私共が新聞から受ける感じは非常に執行力が弱かつた。であのぐらいの大きな事件になりますと、これは國警本部、檢察廳なんかとの連絡関係等もありましようが、主として自治体警察が鎭圧に当らなければならない、デモ行爲の防遏に当らなければならないのでありますから、その辺の模樣がどうであるか、それらの経驗から今後どういうふうに、その方面に対して強化工作をしなければならんと考えておるか、それを承わりたいと思います。
  32. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 大体お説の通り状況であつたことは否定し難いと思います。併しこの原因は率直に申上げますが、千葉の方は、國鉄とそれから警察、檢察関係連絡が非常によかつた從つて事態の判断、法令の適用といつたような事柄についても、早く判断がつき、急速の手が打てる。それから國警と自治体の間もそういうわけであり、ふだんから特別密接に連絡協調ができておつたということだと思います。東神奈川の方は國鉄の現場の方と、横浜の市警との間の連絡が不十分であつた從つて横浜の市警は十分実情の把握ができなかつた。もう一つ横浜市警の判断が國警の状況判断と必ずしも一致をしていなかつた。まあそういうことにつきましては、ふだんから万全でなかつたと、まあ言えると思いますが、特に私は横浜の市警を責めるわけでも何でもありません、機構が違つておりますから、当然そうなるだろうと思います。從つて法令適用の條文の判断、行動を起す時期の問題というようなことにつきまして、若干東神奈川千葉とは違つてなまぬるいような感じを與えたと考えます。併しながらもう最終日の頃になりましては情況の判断も、我々の判断と全く一致をいたしまするし、すべて條件が整つてつたのであります。併し横浜市警が、その判断に基いて行動を起します前に、ストが中止になりましたので、初めの出方がちよつと揃わなかつたという点だけが目立つたと、かように考えるのであります。從いまして將來といたしましては、できるだけ法令の研究でありますとか、或いは事態の判断というような事柄についても絶えず連絡を密にいたしまして、そこに齟齬のないようにいたして置きませんと非常に困つた場合が生じ得るということが考えられると思うのであります。併し何と言いましても自治体警察は、それぞれ自治体自身の判断によつて行動をするのであり、國警の援助を求め得る場合も、亦自治体から援助を要請しなければ、國警が出られないという情況にありまするので、ふだん國警の方から援助を受けなくても、自分で相当の力を持つて治安に当られるという大きな自治体警察は、却つて國警とのそういつた場合の連絡が付きにくいという実情は、これは制度上から止むを得ないと、かように考えます。制度といたして、どういう制度が一番よいのか、我我の方も考えておるのであります。何と言いましてもふだんからの連絡がよくなければ、どういう制度であつても、うまく行かないと考えておりますので、先ずその点に重点を置きますと共に、制度の上でも民主主義的な警察と両立する範囲内において、どういう方途が講ぜられるかということを、事務的に研究をいたしております。
  33. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 更にもう一点お聽きしたいと思いますのは、最近治安閣僚懇談会がたびたび開かれまして、そうして警察制度の改正を行なつて、次の國会政府提案として、それを提出されるような運びになつておるような新聞記事を見ておるのでありますが、これについてはどなたかお聽きいたしましたか。その内容を、或いは必要であれば速記を止めてもよろしいのでありますが、その内容はどの程度に進んでおるか、そうして檢討されておる点は、どういう点であるかということの概略を承つて置きたいと思います。
  34. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 率直に申上げますが、治安閣僚懇談会では、警察制度の改正問題は内容に亘つて何ら取上げられておりません。それははつきり申上げて置きます。いろいろ起りまする事件につきまして、警察或いは檢察の方から、事件経過等を話しをする場合がありまするが、例えば只今委員長から御質問のあつたようの資殊等につきましても、やはりそれは制度として考えなければならん事柄があるのじやないかという話は、制度に触れて一偏あつただけであります。具体的には何らあすこで警察制度の改正を研究するということはないのでございます。事務的には私の方におきまして事務的な運営上の改正の点を今研究しております。政府とされましては、恐らく樋貝大臣が中心になられまして、いろいろ思い廻らしておられることだと思いますが、これにつきましても具体的にどういうことが決つたということは今のところ聞いておりません。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 皆さんにこの機会にちよつと申上げますが警察法の改正ということは成るべく早い機会にやらなければならない、そうして我が國の治安を確立しなければならない重要な問題であると思います。これは政府の方でいろいろ研究をし、立案されることでありましようが、本委員会の前身である治安及び地方制度委員会におきましても、警察法改正に関する小委員会を設けられまして、確か小委員長には鈴木委員が当られたと思います。それ以來引続きまして委員会の事務局としては研究をいたしております。非常にまだまだ不完全なものでありますが、仮に皆樣の御参考まででございますが、要綱案というものを作つて見ました。これはまだ甚だ不完全のものであることを申上げて置きます。これは一應お手許に廻しますから、忌憚ない御研究をお願いいたしまして、いずれこれは早晩この委員会でやらなければならない大きな問題でございます。  この問題は非常に重要な問題でありますから皆樣と又御相談をいたしたいと思います。それじや祕密会はこれで終りにいたします。   午後零時八分祕密会を終る
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは委員会はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    委員            三木 治朗君            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            太田 敏兄君   説明員    國家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    國家地方警察本    部部長    (警備部長)  樺山 俊夫君