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1949-06-28 第5回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十八日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員の異動 五月二十五日(水曜日)委員栗栖赳夫辞任につき、その補欠として大隈信 幸君を議長において選定した。 五月三十一日(火曜日)委員町村敬貴 君及び大隈信幸辞任につき、その補 欠として鈴木直人君及び栗栖赳夫君を 議長において選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政に関する調査の件(地方税  制問題)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日の議題は地方行政に関する調査でございますが、その中で地方税制改革につきまして審議を煩わしたいと思います。先ず地方自治廳からシヤウプ使節團に提出します意見書の案を同廳において練つております、その経過等につきまして、政府から説明を求めたいと思います。
  3. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは印刷したものはないのですね。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) まだ今経過中ですからない。
  5. 荻田保

    説明員荻田保君) 先般地方財政委員会のときに意見書を出しましたのですが、それは確か、すでに御覧に入れてあると思います。それに対しまして、新らしくできました利方自治廳地方自治委員会議におきまして、これを檢討いたしまして、更に地方自治委員としての意見をシヤウプ・ミッシヨンに出したらどうかという、こういうようなことで現在研究しておるのでありまするが、大体の方向におきましては、殆んど地方財政委員会当時と変りはございませんので、まだ具体的に書面というようなものにはなつておりません。ただ内閣の方にありまする税制審議会におきまして、國税地方税を通して、改革案審議されておりまするが、その報告書のようなものが、最近できるようでございまするが、それに対しまして、地方自治委員の数人が、その委員会にも入つておられますので、その委員の方々の意見として、報告書に入れるべきものであるというようなことにつきまして、先般協議いたしまして、その結果やはり先般の地方財政委員会当時の案のようなものを入れて貰いたいということになつております。で、その内容は、先ず地方税総額を相当殖やす必要があるということを大筋といたしまして、その殖やすためには、一つには配付税は、やはり從前の法定率でありまする法人税所得税の三三・一四%というものを確保する。その上に酒の消費税を増加し、新たに煙草消費税を作る。それから地方税中に負担過重と思われるようなものは税率を下げ、適当でないような科目は、法定科目から除外するということが、これは簡單なものでありまするが、大体その程度のことを、この報告書の中へ入れて貰いたいということを、先週の自治委員会議で決定したというような次第でございます。
  6. 鈴木直人

    鈴木直人君 過重な負担と思われる税は、どういうものを列挙してありますか。
  7. 荻田保

    説明員荻田保君) 具体的にはまだ列挙しておりませんが、考えておりますのは、事業税入場税財産取得税遊興税等でありまするが、その中には、はつきりと税目は掲げておりません。
  8. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますというと、今の案のうちには所得税附加税というものは全然考えていないということになつていますね。
  9. 荻田保

    説明員荻田保君) そうでございます。
  10. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうすると、いわゆる配付税というものが、從來と同じですから、これは所得税の三分の一と、或いは法人税の、法人所得税の三分の一ということになりますから、國民負担というものは從來通りになつておる。その外に酒の消費税はありますからいいとして、更に煙草消費税を出すということになりまするというと、國の收入というものには何らの影響なくして、煙草消費税というものだけが、それだけ大きくなりまするから、結局國民負担は増すという結論になりますね、今の案によりますというと……
  11. 荻田保

    説明員荻田保君) これはまあ私から申上げるのは如何かと思いまするが、大体國税地方税を通じまして、負担が重いから、これを軽くしようというのが今度の方針だろうと思います。そして負担を軽くする場合に、どの負担が特に重い、つまりどの負担を軽くしなければならないかという点につきまして、直接税の方が重いから、殊に所得税が重いから、所得所を引下げるというのが大体の考え方だろうと思います。從いまして、配付税を三分の一と、所得税法人税の三分の一とするという法定率で確保いたしましても、総額そのものは、所得税減税になりますれば、それだけ減るわけでございます。それから酒、煙草消費税を増額することにつきましては、現在としましては、國の方の所得分を、地方に分けて貰つてつまり酒煙草の小賣價格は引上げないという考えであります。從つて國にそれだけ財源として穴が明くわけでありますから、これはやはり所得税減税、それから今の地方に要する分の減收、この二つ歳出の減によつて、カバーしなければならん。從つて歳出においてどれだけ減らすことができるかということが先決問題になるという、こういうような考え方をしております。
  12. 鈴木直人

    鈴木直人君 前の國会において所得税附加税というものは、やはり相当税としては、地方税としては確実なものであり。併しながら所得税というものは、地方によつて相当凸凹があるからして、これ一本で行くということになると、所得税の足りないところは非常に税源に苦しむことになる、その配付税というものも残して置く、そうして内得税附加税を復活して、そうしてその配付税を半分ぐらいに大体して置いて、そうして附加税で賄えぬようなところに、少し凸凹を是正して調整税でやつたらどうであろうかというようなわけで、大体の考え方として、それがよかろうというような木村國務大臣答弁なんかもありましたのですが、その生所得税附加税というものが全然考えられなくなつたというところの、その理由一つ聞きたいというのが一つと、それから更に岡本試案というものが出ておりますが、これは恐らく各市町村所得税附加税というものをやるというと、本当に凸凹になつてしまいますから、縣單位ぐらいに所得税附加税をして置いて、町村税でなくして、府縣税にして置く、そうして各縣内におけるところの町村のものについてはまあ配付税のようなもので賄いたい、或いは所得税の何か適当なやり方に……附加税の適当なやり方によつてカバーするというような案のようですが、この所得税附加税が全然なくなつて來たという理由一つ教えて頂きたいと思います。
  13. 荻田保

    説明員荻田保君) 所得税附加税地方税でよいか悪いかという点につきましては、いろいろ見方があるのでございまして、絶対的にどちらでなければいかんという問題でないと思いますが、現在まあ我々として研究いたしましたところでは、附加税をこの際持込むまでもないというふうな結論を得ておるのであります。その理由につきましては、いろいろ見方があると思いますが、第一、その現在貰つておる三分の一を配付税附加税二つに分ければ両方とも余り額が少くなりまして、それぞれの効果を十分に達することができない。それから技術的に考えまして、所得税附加税を取ることに非常にむずかしい点がありまして、殊に源泉徴收の分などにつきましては非常にむずかしい問題がある。むずかしい点を無視して簡單にして取りますと、税の性質上おかしな、地方税としてはおかしくなつて來るというようなこと、それから所得税につきましてはやはり地域ごと偏在性が非常に強い、どの税よりも一番強いというようなこと、こういうようなことを考えまして差当り所得税法人税につきましては、所定の配付税地方税に持つて來るということで行きたいと考えております。配付税余り大きくなるということは勿論地方財政自主性という点から見まして好ましくありませんけれども、現在のような、戰後まで経済情勢の安定していない段階におきましては、差当りこの程度ありましても好ましくないというようなことはそう考えなくてもいいのではないか、安定した時代になれば或いはもつ配付税を減らす方がいいかも知れませんが、現在の段階においては、この程度でも多過ぎるということはないじやないか、こういうようなことからいたしまして、大体所得税につきましては現状通りという考えを持つておるような次第であります。
  14. 鈴木直人

    鈴木直人君 私も配付税というものは、地方から見るというと非常に便利ないい税だと思います。中央集権的な税であつて、結局地方財政自主性を持たせるというのなら別なんですけれども、とにかく日本現状においては各市町村府縣とも所得においては相当違うことになつております。然るに教育とかそういうふうな方面は、これは全國各町村とも殆んど同じような費用がかかるわけなんであります。財源が不均弁なのに消費部面においては大体同じような、むしろ行き過ぎる程教育なんか余計かかるということになりますから、やはり現在の段階においては、中央集権的な税であつても、國がみずから取つた税を各市町村に適当しているように配付して行くということは、日本の現在の段階においては非常にいいことであつて実情に即したことだけれども、前の國会のように三分の一のが六分の一になつてしまう、國の関係においてはそういうことがあり得るわけなんですね、それで三分の一取れる、こう考えてはおるだろうけれども、現に予算を編成になるときにおいては國庫財政の都合によつてそれが六分の一になつたりいろいろする、総額において非常に信用し得ないようなことが考えられるものだから、府縣税ぐらいでもいいですが、附加税ということぐらいにして置けば、そこの分け前というものがはつきりしておるから確保できるというようないい点があるわけです。そこで配付税に頼るということになると、この前の國会のようになつてしまうということになるのです。その点は、一体必ず三分の一は取れるのだという確信の下に配付税考えておるか、或いは配付税というものは先程お話のように、これは余り多くを期待すべきものじやない、地方税程度で行くのだ、その他煙草消費税のような形で行こう、こういう考え配付税考えておるか、いわゆる配付税がときには減額されても地方財政に影響しない程度配付税を残して置くのか、今提案しているところの地方財政委員会考え方です、配付税というものに地方財政の根源として非常に力を置いて言ついてるのか、或いは地方税程度にやはり考えているかという点ですね。
  15. 荻田保

    説明員荻田保君) その配付税といたしまして法律で以て率は決まつておるけれども、國庫の都合によつてこれが動かされるということ、これが一番欠陷だろうと思います。現にそういう事例が本年度あつたわけであります。その対策として所得税附加税というものを、他の点はどうあろうとも、少くともその総額を確保するという点においては、配付税より附加税の方が優りますから、その点でそういう意見大藏大臣がお述べになつたのだと思いますが、理窟を言えば所得税附加税でもやはり法律で決まつているのでありますから、國が取上げようと思つたら、所得税附加税の率を減らしても差支ないということが起ります。又今後配付税についてはそのような精神があるのでありますから、これを尊重して行くという考えに立つ限りは、そう簡單にこの額を動かすことはすべきじやない、又しないで済むだろうというふうに考えまして、又確信があるかとおつしやいましたが、確信という程でもありませんが、そうあるべきものだと考えまして、それで外の点にいろいろ所得税附加税を作ることが支障がありますので、差当り配付税をそのままにして行きたい、こういう考えを持つております。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は今鈴木委員が述べられました意見に全く同感なんです。今伺うと所得税附加税制度は採らないというお話でしたが、前國会において木村國務大臣は本委員会において私の、地方財政窮乏の際何か新らしい構想はないかという質問に対しまして、私見ではあるけれども、所得税附加税程度考えておるということを極めて愼重な態度でお述べになつたことを記憶しております。然るに今伺うと、只今政府委員の述べられたような理由に基いて木村國務大臣はその後そのことを一擲されたようでありますが、これは甚だその場逃れ意見を言われたようにとれるのです。併し私はそういう意味ではなくて、木村さんはその際は、何か新らしい構想はないかということに対して非常に愼重に答えられたのだと思いますが、今のお話を聞きますとそれを一擲されておるように思う。これは甚だ不愉快です。今の政府委員のその弁明の中にも見えており、又鈴木さんも意見を言われたんですが、それはどうなんですか。配付税制度を採つて行くと言われるけれども、配付税が今述べられたように、現在の民自党の内閣では、前國会において配付税を減額した点についての質問に対する大藏大臣のお答えにもあつたように、池田大藏大臣は、地方配付税というものは國家財政のそのときどきの事情でいつでも伸縮できるものだという意見の人だから、その大藏大臣の下において、又シヤウプ博士配付税一本槍で行くということは、この委員会としては非常に不得策極まると思う。そういうような大藏大臣考えがある以上は、配付税一本槍で行つた以上は、又場合によつてはその率を増減されるに決まつておる。ですからやはりそういうことを大藏大臣が言つておる以上は、特にその対策としてはやはり恐らく附加税制度も加えて置いて、木村國務大臣が言われたところの所得税附加税制度行つて、一方配附税は又徴税財源として残して置く、そのことには私は極めて賛成の意を表した。現在大藏大臣は、地方財政制度法律で決めてあつても、そのときの國家財政の状況によつて幾らでも動かせるのだ、動かすべきものだというふうに言われておるから、そういうふうに大藏大臣が言つておる現内閣に対して、この地方行政委員会としては当然いろいろそこに手を打つて置かなくては、如何に配付税制度を残して置いたところで、又切られることは決まつておると思う。だから大藏大臣考えが、幾ら法律で決めて置いても動かし得るのだとはつきりしておる以上は、この地方行政委員としてはどうしても所得税附加税制度も、二本建でも、三本建でも考えて置く必要がある、池田さんの考えがそうでないならば別だが、今の大藏大臣は、実は法律で決まつてつても自由に動かせるのだということを言つておる。現内閣における地方財政考えるときには、私共は現在のままだやつてつては意義がないと思う。私が政府委員会に特に希望して置くのは、この地方財政委員会として出て歩いたのですが、一方において配付税を前に削つて地方を歩いて見ますと非常に覿面にこたえておる。ですからやはり政府委員としても大藏大臣考えがああいうふうに明白なんだから、もう少し新たな構想を以て臨まれるべきだと思う。私はそうじやないと、何遍繰返しても、池田大藏大臣の下においては、地方財政というものはみじめなものになると思う。もう少し地方財政というものが自治確立ということからして、自主的な財源を與えて呉れるという大藏大臣なら別だけれども、現大藏大臣じや、私はお考えが明白なんだから、それにはそれに対抗する、やはり自治委員会議が発足した以上は、そういうふうな意味合からも委員諸君にそういうようなことをよく政府委員としてもお述べになつて、もう少し二本建でも三本建でも四本建でも財源を確保する対策考えて置かれないと、單純にいろいろ所得税附加税をお考えになつて見たが、今お述べになつたような理由で不適当であると言われるけれども、私は一本建で削られるよりも、可なり欠点はあつても、更に所得税附加税制度を採つて配付税制度調整財源として残して置く、更にもつと御研究になつて三本建でも四本建でも制度考えて、自主的な財源をお考えなつた方がいいのだ、殊にシヤウプ博士の一行も來られている現状においては、單に役所の格が上つたくらいじや、全然地方財政窮乏は救えないのですから、格が上つた上つただけに、もつ地方財政に覿面にきくような方策をお立たになるのは、今日を描いてないと思います。私はそういうことからも、役所が昇格されたのは結構だが、昇格と同時にもう少し地方財政に本当に活を入れる方策をお考え願いたい。今どうも政府委員のお考え伺つたのですが、どうも物足らんと思うのですね。殊に私は大藏大臣考えが明白な以上は、ただ單に今まで通りじや駄目だと思う。もつはつきりした財源を掴めるような方策考えて頂きたい。それには少くとも所得税附加税なんかの制度は取敢えずとしてはいいと思うのですが、僕は大いに政府委員に再考して頂きたいと思います。今のままでなく、もつと外の財源考えて頂きたい。この点を強く希望して置きます。
  17. 鈴木直人

    鈴木直人君 僕はそれに附加えて置きます。木村國務大臣は、私はこの前も大臣に話したのですけれども、何だか本当に地方財政のことに対して考えておられるのかということに実は疑問を持つのです。それは地方自治委員会議性質審議機関にするか、決議機関にするかというような場合にも話したのですけれども、どうも木村國務大臣議会において答弁術というか、いい加減にそのときどきに答弁していて、そのあとは全然知らん振りをして、責任を持たない、自分の答弁についてですね。そういう傾向が非常にあるような氣がするのですね。(「同感」と呼ぶ者あり)そうして本当に職を賭してでも地方財政なら地方財政確立をして行くのだという強い決意よりも、大臣は実はどうもそのときどきのような傾向があるように思う。だから我々本当に眞劍になつて地方財政確立して行くという考え方で突き進んで行く者から見ると物足りない。ですから答弁を信頼して、よしというので意氣込んでいるのですが、そろつといつの間にか雲散霧消している。ただ僕は非常に敬意を表したのは、シヤウプ博士が來た場合に、第一シヤウプ博士会つて地方財政のことをよく資料を整えて説明して貰いたいということが委員会で要望があつたのでありますが、これはやつた。これは大いに敬意を表しますが、併しそれ以後は余程はつきりした確信を持つて、そうして僕は地方財政確立のためにやつて貰いたいと思うのです。大臣は今おられないのですから、荻田君に話したつてどうもしようがないが、どうもその点は大いに鞭撻する必要がある。そういう意見を申述べて置きます。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の点は、一つ議会木村國務大臣お出で願つて、もう一度ああいうように言明されたのを何故に一擲されたのか、その点を御本人からもよく伺つて、更に追及したいと思います。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 木村國務大臣に対するこの問題の釈明は、実はこの前の委員会でやつたと思うのです。西郷君からか鈴木君から突込まれて、そうして実は木村國務大臣が答えられるには、実は所得税附加税の方がいいと思つたけれども、その後檢討して見ると、今荻田君が説明せられたような観点からどうもやつぱり工合が悪い。それで遺憾ながら前の説は放擲して、一度棚上して、そうして配付税主義にやらざるを得ないという答弁であつたと思う。だからもう一度來さすのも無理だと思うのです。それで私は今両君からお話がございましたように、今急場にある地方財政建直しについて本氣になつてこ委員会審議をしているときに、軽卒にも私的意見としてではありましたけれども、配付税を捨てて所得税附加税主義に変えるべきだということを強調されたのは確かに軽卒であつたと思う。尚衆議院における地方財政委員会審議の模様を見ましても、同様に答えられている。そこで衆議院においてもそれを信じて、本会議において委員長報告の中にそういう希望條件を、將來の税制改革に向つて所得税附加税主義を採るべきだという希望條件を掲げておられるのです。それで、これは甚だこの委員会としても木村國務大臣に対して遺憾の意を表しなければならないというので、これは強く將來或る機会に戒しめることは必要だけれども、この問題についてもう一度質問して見てもつまらんと思う。
  20. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今政府委員の御説明を承つたのですが、政府委員が言われるように、地方税行政の面において所得税附加税主義を採るか、或いは配付税主義を採るかということは、荻田君の言のごとくいろいろな方面から考えられるということについては全く私も同感なんですが、ところが荻田君が説明をしていられる間に、非常に荻田君それ自身の主観的な、或いは個人的な見解が非常に入つているような感を受けたのですが、今度の自治廳委員会組織役所でありますが、大体今のシヤウプ博士に提出されるという政府委員説明意見は、委員会議会議的に決められた意見なのか、或いはその委員会議意見をまとめる前に荻田君の事務局の方で荻田君が中心になつて作つたところの原案のようなものを出されたのか、或いはその原案なのか、そういうところをちよつと話して頂きたいと思う。
  21. 荻田保

    説明員荻田保君) 先程私申上げましたように、前回の地方財政委員長において、シヤウプ博士に出しましたのは所得税附加税を採らない、配付税の増額で行くというふうに決まつている。それで地方自治委員会議ができてからも、非常にこの問題を重要視いたしまして、すでに二、三回こういう問題につきまして議論をしたのであります。そのときに所得税附加税がいいとか悪いとかいう議論も勿論出ました。尚各市長の会、町村長の会、或いは知事の会というようなところでも意見書を決めておりますが、その意見を決める中にも現在はつきり決まつておりますのは、町村会と、知事会意見が決まつております。市長会の方はまだはつきりしておりません。その両者はいずれも結論においては所得税附加税を採つていないのであります。ただその町村会は勿論その初めから問題がありませんが、知事会あたりではあとで聞いて見ますると、それを決める前に相当所得税附加税がいいか、配付税一本槍で行く方がいいかということについて大変論議が交されたようですが、結果において所得税附加税を採らない、こういうような意見も出ているわけでございます。こういうことを参考にいたしまして、一應自治委員会議においても数回議論したのでありますが、先程申上げましたように、自治委員会議としてシャウプ博士意見を出すことも考えておつたのでありますが、税制調査会でありますか、こちらの報告というのが早く出るというようなことで、急遽先週会議を開きまして、その結果その税制調査会中間報告に入れて貰う案というものを決めたわけでございます。その際もはつきりしないいろいろ途中において議論がありましたが、結論において所得税附加税を採らないという結論を出しております。
  22. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 いろいろそれについて私の個人的意見もありますが、そういうものは強いて申上げるときでもありませんから省略しますが、一つの感想として、地方等廻つて考えられることなのですが、地方自治体というものが、自治権拡張というようなことは非常に主張をするのですが、さて財政の問題になつて來ると、配付税を殖やして貰いたいとか、補助金政府から殖やして貰いたいというように、非常に中央政府に頼つたような意見を多く言うことが多いのですが、そうした中央依存主義と言いますか、そういう見解はやはりこの知事会のようなものにしても、東京の安井君を始め依然として制度が変つたけれども、内務省系の役人の諸君がやはり地方自治体中心をなし、又それを中心とする小役人の諸君がそれを取巻いて地方自治体を構成している、というようなことが僕は個人としては大きな原因だと思つていると思うのだけれども、どうも財政見解と、地方自治主義、或いは地方分権主義、或いは彼らが口にだけ言うところのその自治権拡張ということと絶えず……彼らは余りに矛盾を感じていないのでしようかな。何だかどうも矛盾したようなことばかり……
  23. 鈴木直人

    鈴木直人君 吉川君の言つたような傾向がある。いわゆる自治権確立ということを常に主張するけれども、財源については何でも國に頼つているということは、これは從來の頭の考え方がそのまま残つているのだと思うのですが、我々は國に頼らずとも、みずから地方自治体財源をみずからの手によつて、みずからの権利によつて、自主的に取り得るという財政ですね、これを確立して行きたいというのが我々の考え方。ところがそういうところに考えを及ぼさずして、現在の税制から見るというと、國本位の、國の税制であるためにこのままでは到底自治体はやつて行けないから、國の方から補助なり、配付税を貰いたいのだ。こういう現状の下において、現状の税制の下においてであるならば、今自治体が盛んに言つているように、配付税を増額しろとか、或いは補助金を多くしろというようなことをやらざるを得ないのです。どこにそういう叫びが出て來るかというと、現状の税制がやはり中央集権的な税制になつているのだから、やはり基本的にこの際國に依存しなくてもやつて行けるような地方財源の独立性と言いますか、というものを税制制度において打立てて行きたい、こういうふうに考えられます。みずから十分な税を取り得るならば、何も國に対して、僕は補助せ大いに言う必要はないと思う。勿論現在の自治体と雖も、自治体の事務と國の事務とがある。國の事務は自治体というものは一三%か一四%くらいしかやつていないのだ。そうして地方財政法においては國の事務を委任される場合においては、國が経費を負担しなければならんということになつているのだから、國の事務を地方自治体に委任する場合においては伊これは國が経費を負担しなければならんという原則に基いて盛んにそれを要求して行くということであるならば、まあ理由もあるわけです。そこで荻田君に僕はお聞きしたいのですが、地方財政確立するという場合に、いわゆる他方自治体の事務そのももを十分にやつて行ける程度において地方税を確保して行こうと、こういう考え地方財政委員会考えているのか、或いは七割程度はもう地方自治体というものは國の事務をやつているのだから、その國の事務をも國から補助を受けないでやつて行けるような程度財政確立しようとしているのか。いわゆる地方財政確立というものの程度ですね。それはどういうふうな考え方地方財政考え行つているのですか。いわゆる三割程度のものを確立して行こうというのか。そうして七割程度のものは依然としていわゆる國から貰つて行くと、こういう考え行つているのか。或いはそれを加えたものを一應地方財源として地方財政の中にみずから加えて行くということで行つているのか。いわゆる地方財政確立というものをどこに置いて行つておるのかですね。それをお聞きしたい。
  24. 荻田保

    説明員荻田保君) まあ個人的意見が入ると思いまするが、この地方自治確立するという問題につきましては、先ず仕事は成るべく地方がやる、つまり出先機関の廃止等を行いまして、地方の事務はすべて地方團体でやるということにつきましては、勿論自治委員会議も異論はないのであります。ただそれをやつて行くのについて財政の基礎を確立するということが必なので、現在むしろそれがないために、事務そのものを扱うことも、自分がやるべき仕事を扱うことも嫌がるということもあるので、これはむしろ財政が悪いというところに弊害があるのだと思います。それでその財政の問題につきましては、やはりこれも方向としましては自分の取つた、自分で調達する税によつて收入によつて仕事を賄つて行くというところに理想があるのだと思います。ただ現在の情勢においては、なかなかそうは言いましても一躍そこまで行くことはできません。殊に経済的な変動の多いときには各地方團体間の税源の分配ということも均等でありませんために、どうしてもそこに調整財源が要るということになつて來るのだと思います。そこで問題は、よく委任事務が七割だ、純粹の固有事務は三割と、こういうようなことが言われておりまするが、これは私に言わせれば実は言葉の違いだと思います。委任事務だとか、固有事務だとか言いましても、それ程しかく明瞭な区別があるのではなくて、單に法律がどう書かれたかというだけのことでありまして、實際におきましては地方で行われることはいずれも地方民に関係のある仕事だ、ただ手近に國の仕事を委任しておる、例えば國会議員の総選挙のごとき問題、こういうものは問題はありません。これはただ國が仕事を委託するというような関係でありますが、そうでなくて地方税に関係のあるような仕事を地方團体にやらせる。而もそれに対しまして一定の法制上の枠を示す、例えば義務教育のごときもの、これは教育は義務制になつているからと言いまして、これがすべて國家事務であつて、國家がやるべきものだ、地方團体はただ委託されてそれを行なつているに過ぎない、こういうふうに考えるのは無理でありまして、やはり自分の村の子供を教育するというのは、これは元來村の使命であるのでありまして、これにつきまして金を出すことは勿論のことだと思うのであります。ただ法制的の義務教育というものができて、九年間はどんなところでも教育をしなければいけない。そうしてその教育内容も或る程度決まつている。先生の数なども一定の率が示されている、こういうような制約がある。つまりいわゆる法律用語の固有事務、委任事務というような区別じやなくして、むしろ必要事務、随意事務というような区別によりまして経費を檢討する必要があるのではないかと思います。それでそういう趣旨で、地方財政法を作りましたときも、固有事務、委任事務というような区別ではなくて、その事務そのものが國家全体の利益だけを目的にするものか、或いは地方だけの利益を目的にするものか、或いはその中間にあるものか、こういう標準で負担区分を作つておるのであります。從いましてそういう負担区分を明らかにした上で、地方負担すべき金額については十分な独立の税を與えるということが方針であると思います。それで独立の税につきましては、勿論この配付税は國から分けて貰うというような恰好になりまするから好ましくありませんが、これはどうしても財政調整上最小限度必要だと思います。  それで今お述べになりました配付税所得税附加税とどちらが自主性があるかという点でありますが、これは勿論所得税附加税の方が幾分かは自主性があると思いますが、よく考えて見ますれば、配付税も扱い方によつてはこれは地方團体が所得税法人税の三分の一を地方税として取つて行く、それを自治的に分けるのでという恰好になると、何もこれは自主性を阻害するものでもないと思います。逆に所得税附加税國税附加税でありますから、そう自主性のあるものでもないと思います。そこらはそう本質的に差のある問題でもないとこう考えます。
  25. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと地方財政確立して行く、いわゆる地方自治團体が自治團体の利害に関係のある事務、その必要なことを行うに要するところの経費は全部國に依存せずして地方自治團体のみずからの税を取つてつて行けるようにしたいというその事務は、地方財政法の第九條、第十條というようなものに基いて、あれに書いてあるところのものは大体地方自治團体の固有事務である、そうして九條、十條において規定されているところの仕事をやつて行く上において必要な財源地方で取つて行く、こういうことを前提として地方税制確立ということを言うているわけですね。
  26. 荻田保

    説明員荻田保君) そうであります。
  27. 鈴木直人

    鈴木直人君 その点から申しますと、その点に基礎を置いて、そうして、今度シヤウプ博士地方財政委員会というものが参考に材料を提供している、こういうことになつておりますのですか。
  28. 荻田保

    説明員荻田保君) つまりそういう方針で行つておりますが、ただその現状負担区分についていろいろ議論があると思いますが、それにつきましては勿論是正すべき点は是正しなければなりませんが、差当りこの税制を改正する場合に、そちらまで一諸に議論しておつては到底これはいつのことか分らなくなりますから、一應負担区分等は現在のままが合理的にその通り行われるものと思います。そうして一應税金として果して幾ばくの金が要るかということを断定して、それに見合う地方税制を立てたい、こういうつもりでおります。
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一應地方自治法に対する質問はこれくらいにいたして置きまして、時間の都合もございまするから、平田主税局長から、政府が國の税制の改革につきまして、シヤウプ博士に出さんとしている改革意見というものがどういう経過を辿つて行つているか、それについて御説明願いたいと思います。平田主税局長。
  30. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 主として國税の方の関係を申上げさせて頂きたいと思います。  最初に先ずシヤウプ博士が見えましたときに、討議の材料に供するために大藏大臣の税制の現状及び將來改正の方向等に関する極めて大まかな意見を聞きたいということで、さような意味におきまして一部分を取纏めまして先方に出しております。ただこれはいわば未定積的なものとして先方に出したのでございまして、その中には責任のある大藏大臣といたしましては閣議で最終決定を経て出すべきものも、さようなことにならない程度意味におきまして、いろいろな方向等に関しましても或る程度の示唆を與えるという意味におきまする案を提出いたしているのでございますが、それはさような意味でございますので、勿論未だ公表もいたしていないのでございます。ただ私共今主たる問題として取上げておりまする点を本日は申上げさせて頂きまして、具体的には大臣と……ときどき新聞紙等で漏らしておりますが、まだいずれも本当に決まつて確定的な意見として先方に出しているという段階には参つておりませんので、甚だ抽象的に亘るかも知れませんが、問題として取上げている点を御参考までに申上げます。一番大きな問題は一つは総体としての租税の負担を減らし得るかどうか、或いはどこまで減すかという問題でございます。これは全体として租税の負担が非常に過重であるということは今日常識でございまして、多く説明を要しないことだと思いますけれども、これを如何にしてどの程度まで下げることができるかという問題になろうかと思います。この点に関しましてはすでに新聞紙等にも出ておりますように、七千億の予算のうち二千億を價格調整費で占めておりますが、まあ價格調整費をどうするかという問題に殆んどかかつているのじやないかと考えるわけでございます。從いまして私共の大体の方向といたしましては、この價格調整費をできる限り大きく減らしまして、それによつて全体の税の負担を減らすという方向に持つて行くべきじやないかというふうに考えております。目下新聞紙等に出ておりますのは、いずれも具体的に研究しておりますものがちらほら出ているという税の段階でございまして、勿論政府としまして方針を決めまして向うに出す段階にまでは参つておらないのでございますが、何と申しましても食糧の輸入補給金を來年あたりはどうするか、それから國内におきましても鉄鋼、肥料、それから石炭、これらの補給金が大部分を占めますが、肥料の補給金なんかは例えば補給金を出して米價を安くする方がいいのか、或いは主食の國際價格等の点を考えますと、むしろ補給金を廃して米價を或る程度上げた方が、却つて國際價格とのバランスもとれまするし、いいのじやないかといういろいろな見方がございますが、私共といたしましては、極力こういう補給金というよりは変態的なものは経済の安定に從つて成るべく速かに減らして、そうしまして合理的なペースで安定するような方向に持つて行くべきじやないかという基本的な考え方からいたしまして、來年度あたりはできる限り減少せしめるという方向がいいのじやないかというふうに考えまして、まあさような研究をいたしている次第でございます。二千億でございますから、半分削りますと千億くらい出て來る、その他の歳出におきましてはなかなか減らす余地はむしろ少い面が多うございます。公共事業費等も実は非常に本年は圧縮されておりますので、今後はむしろ失業の状況その他に應じまして、減らないどころか逆に相当殖やさなければならないという点も考えられるわけでございます。一般の行政機構も相当削つておりますのでなかなか困難じやないか。それからもう一つは、ただ今年の予算では債務の償還費と申しますか、一應政府及び政府関係の諸機関の債務の財源が全体としまして七百億ぐらい出て來る予算になつておりますが、來年度におきましてはこれをどう扱うか、これが一つの問題であろうと思います。本年度はこれに基本を置かないと考えますが、來年度はこういうものをどういうふうに考えて行くか、それによりまして又財源が出て來るという可能性もあろうと思います。要するに歳出の増大を極力圧縮いたしまして、それによつて税の総負担を減らすということに相成ろうかと思いますが、そういう方向で、第一に一つできるだけのことをやりたいという方向で、研究をやつておるのでございます。  それから第二の問題は、これは税の総負担と非常に似通つております。ちよつと違つた角度になりまして、むしろ税率は下げましても総收入はそれ程減らんのじやないかという要素でございますね。具体的に申しますと一つは税率が下りましても間接的でございますと、物資の供給が殖えるとか、或いは需要が増大して減らないという面もございますが、或いは直接税の場合でございますと、現在承知の通り相当やはり課税漏れ、悪質の脱税だとは申しにくいと思いますが、全体としても課税漏れは相当あると思いますが、こういうものが税率が下つて來ると申告状況も或る程度自然によくなつて來る。又事実税務署の調査能力も増して來るということによつてカバーする。從いましてそういう見地から申しますと税の負担はそう減らなくても税の内部における不合理の是正と申しますか、結局税率は下げてまじめに負担しておる人の負担は下げて、脱けておる方面負担を極力加重しまして、それによつて全体としての税源を極力確保して改正を加える。こういう方向が一つ考えられるだろう考えます。こういう趣旨で所得税或いは間接税等につきましても非常に高率のものにつきましては極力改正を加える方向で行こう、こういうふうに考えております。  それからその次はインフレの問題でございますが、法人税につきましては御承知の通り今までのインフレに應じた税制になつておる。つまり一つは減價償却が非常に帳簿價格を元にしておりますので、実際の資産を取換える場合に價格としいようなものに比べますと、非常に過小になつておるので、これをやはり是正する必要があるといつたような問題、それに関連しまして超過所得税の計算の基礎になつておりますところの資本金の計算が非常に不合理になつておる。これを是正する必要がある。そういうことに関連しまして政府の資産の再評價をどういう方法でどの程度にやるかという問題でございますが、これは先般大藏省におきまする税制審議会の案として発表されました。大体基本的にあのラインでやつた方がいいのじやないか。ただ問題は最後において株主に帰属せしめ又は積立てたとき二〇%程度の課税をするということになつております。これをそれでいいか、或いはどの位の税金を取るべきかという議論も大分あるようでありますが、そういう問題に関連して最終的に確定しなくちやならんと考えております。基本的にあのラインで改正案を作つたらどうかというふうに考えております。  それから間接税におきましてはいろいろ問題がございますが、これも私共租税の全体といたしましては、どうも所得税が非常に重過ぎると申しますか、多過ぎるというふうに感じておりまして、戰前は個人所得税は約一億円ぐらいだつたのですが、それが本年度予算では三千百億円、即ち三千倍以上になつておる。仮に貨幣價値の下落したと申しますか、物價の騰貴率を三百倍と見まして還元しましても、昔で十億の所得を、とにかく所得税だけで今徴收しておるということになりまして、所得税としましては非常なものであります。そこにいろいろのトラブルな問題を起す最大の点があるのじやないかと考えまして、所得税につきましては基礎控除、税率等につきましても極力合理的なベースに下げるというような方向を研究しまして、この額が総体として歳出が減つたならば、極力所得税を減らすという方向に持つてつた方がいいのじやないか。間接税の方はその次にすべきではないか。ただ取引高税だれはこれは特殊な別問題でありますので、政治的に問題になつておりまして、歳出を減らしまして、この税をできるだけ止めるという方向に持つて行きたい。その外の間接税おきましては、これは全体として余り大きな歳出の源を立てるということはなかなか困難ではなかろうかと思いまして、現在におきましては税率は下げますが、それによりまして、供給の、需要の増加によつて、或いは取締の徹底といつたような方向に持つて行つて、税收を余り減らさない限度において間接税の合理化を図るという方向で、いろいろ研究をいたしておる次第でございます。そういう点が主な点でございます。  國税地方税との関係におきましては、私共も一應の研究案もいろいろございますが、いずれ政府の案としましては内閣におきまして調整を図りました、最終的に決めますということに相成るだろうと思うのでございます。問題として取上げております点は、第一に地方財政が相当苦しいということは、これはもう事実のようでございまして、國税の場合におきましては、國の歳出の中に價格調整費とか、その他の特別の費用が大分ございます。そういう費用が要らなくなつた場合におきましては、除々にやはり地方團体の方に財源は移して行くという、方向としては正しいのではないかというふうに考えております。ただ実現の時期程度ということが具体的には問題だろうと思うのでございますが、基本的にそういう考え方からいたしまして、極力地方團体にも権限の活動の基盤を與える意味におきまして、適当な財源を認めて行くという方向に持つて行くべきじやないかと考えております。ただ先程もいろいろ話が出たようでありますが、結局政治的な地方自治、或いは以下若干私の個人的な見解になるかも知れませんが、その辺御了承願いたいと思いますが、政治的なこの地方自治と申しますか、地方團体の独立という問題が一つと、いま一つは、地方團体の経済力が現在はどうか、或いは今後どうなるだろうかという問題、つまり農村と都市との関係はどうなるだろう。或いは同じ地方團体の中におきましても、市町村府縣とはどういう関係に置かれるであろうか。この経済力に関連してなかなか独立の税源を與えるとしましても、貧弱な町村はいろいろな独立税源を貰いましても大した收入は挙げ得ない。反対に裕福町村におきましては僅かな税源を與えますれば相当な財源を得る、こういつたような点が今までよりも今後はやはり傾向としましては少し激しくなりはしないか。これは終戰後非常にインフレの特別な事情のたるに農村も大分よかつたようですが、今後恐らく安定して参りますと、相当反対の方向に行くのじやないかということも考えられますし、その辺を見計らつて、経済力との調査をどういうふうに図つて行くかということも一つの大きな問題だろうと思います。これが結局配付税をどういう程度において帰さないかという問題と関連して來ると思いますが、そういう点が、一つの大きな問題じやなかろうかと思います。  いま一つは、先程お話が出ましたように、実際問題としましていろいろ法律案によりまして、各地方團体に画一的にいろいろな仕事をやらせておる面がある。その仕事が國の事務であるか、地方團体の事務か、これはいろいろ見解の差がございますが、いずれにしましても全國画一的にいろいろな仕事をせざるを得ない、そういうのが相当殖えて來る、或いは現在はむしろ多過ぎて減らすべきだという意見もあるかも知れませんが、そういうものが実際問題として相当多いということになりますと、そういう種類の所要財源を独立財源、殊に経済力の違う地方團体におきまして独立の税源で賄つてうまく行くかどうか、これは余程やはり檢討を要する問題じやなかろうかというふうに考えるのでございます。さような点をいろいろ考えまして具体的にどうするかということを決めなければならないと考えているのでございますが、まあ現在のところは率直に申上げまして実際と観念となかなかはつきりしない点、私共これはと思うことがなくて実はいろいろ檢討中でございますが、一つ考え方といたしましては、所得税附加税を認めるか、認めないか、その場合におきまして、所得税附加税府縣だけに認めて市町村には認めないということにした方がいいかどうか、或いはむしろ所得税附加税は全然認めないで、配付税で行つた方がいいか、まあこれは非常にいろいろ計算して見ますと團体によつて違いがあるようでございまして、俄かに最終結論を出しかねてうるのでございますが、併し方向といたしましては、極力配付税によらないで財源を調達できる場合におきましては、独立の財源を與めた方がいいのじやないかということも考えられますし、目下そういう点につきましても檢討いたしている次第でございます。  それから收益税のシステムの上におきましては、どうも事業税所得税と同じようにウエイトが少し大き過ぎやしないか、十五%それから制限外課税の十八%、この負担は今までのように経済が尻上りのときは前年実績でやつておりましたから大した問題がないと思いますが、安定して参りますと、一五%とか一八%とかいう事業税負担というものは、收益税のシステムとして少し高過ぎやしないかということを初頭から痛切に感じております。これは或る程度今後むしろ引下げて行くのが妥当ではなかろうか、これに反しまして地租と家屋税の負担、これは本年も二倍或いは二倍半に増徴に相成りましたが、こりで尚実勢に應じた課税になつておるかどうかということになつて來ますと、この辺は実際問題としまして尚今後檢討の余地があるのではないかと考えられるのでございます。家屋税と地租がそれぞれ附加税によりまして七十億、事業税五百億という状況になつておりますが、昭和十五年に税制改正をやりましたときにおきましては、大体三つの税はそれぞれ同額くらいの税收入を挙げていたのでございまして、最近の土地の状況、それから事業の状況からいたしまして、或る程度の差がつくのは当然だと思いますが、どうも少しギヤツプが大き過ぎるのじやないか、そういう点から考えまして、この際相当不動産の負担事業税の均衡という問題は、眞劍考えて見る必要があるのじやないかということでいろいろ檢討いたしております。ただこの問題は一方におきましては小作料の統制の問題、農地改革の問題に関連して來るし、他方におきましては、家賃の問題に関連して参りますので、相当な檢討を要するかと思いますが、その辺に不均衡を是正すべき相当な要素が残つているのじやないかと考えるのであります。それからその他につきましては、すでに地財からお話があつたかも知れませんが、地方税におきましても相当税率の高いものがございますので、これは國税地方税を通じまして財源の許す範囲内で極力調整を図つて行くという方向に來るのが傾向としましては正しいのじやなかろうか、なかんずく地方税におきましていろいろ雜種税、雜多な独立税で歳入は僅かで税全体の評判を非常に悪くするといつたものが大分あるようでございますが、これは一にかかつて地方團体の財源が貧弱だからということから來るのかも知れませんが、こういうものにつきましては、極力整理しましてもやつて行けるようなシステムに持つてつたらどうかというふうに考えておりまして、その辺につきましてもよく地財なんかと意見の交換をいたしまして、適切な結果が得られるように努めたいと、かように考えておる次第であります。尚最後に所得税の納税制度でございますが、申告所得税の問題、これが実際には非常に大きな問題になつておりますが、この制度を根本的に又昔のように変えたらどうかというような意見も相当ございます。これはどうもなかなかどうであろうか、又税の制度をたびたび変えますのは少し行き過ぎではなかろうか。從いまして申告納税制度につきましては、私はやはり税率の過重と言いますか、控除が少い、そういうところが非常に運用を妨げておる、所得税自体がそういう面におきまして合理化されたならば、運用も余程改善し得るのじやなかろうかということも考えられますし、根本法は変えるというような強い意見は現在のところ持つていないのでございます。ただ実際問題としまして所得税の更正決定が極めて短期間に行われる、いわゆるその間非常に徹底した調査ができなくて或る程度調査をして更正決定をやる、又その結果非常に課税のトラブルが起つて來ると思いますので、審査請求に対しまする紛爭の処理機関と申しますか、そういうものにつきましては民間の委員の方々を入れまして、税務署ごとにそういう機関を設けて、一應そこにかけた上で処理をするというような行き方で、余程摩擦を少くして而も不当に減額をしたり、或いは高い決定がいつまでも直らないでおるというようなことも少くするような方向に持つてつたらどうであろうか、そういうことにつきましては、よく檢討して具体案ができ上るようにいたして見たいとかように考えておる次第であります。甚だどうも抽象的でございますが、一應問題の所在を御了解願う意味におきまして、尚御質問がございますればお答え申上げたいと考える次第であります。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の御説明につきまして御質問をお願いいたします。
  32. 鈴木直人

    鈴木直人君 この前の議会で、参議院が價格調整費を減らしまして数百億円にしまして、そうして所得税を減らしその他百六十億でしたか、配付税を殖やす、その他いろいろな公共事業費とか或いは六・三制とか、或いは土地改良或いは住宅資金というような支出の方に廻わすという修正案を可決といいますか、修正案を委員会におきまして大体申合せて関係方面と打合せたけれども、結局原案通りに行くという話でそのままに立消えになつたのでありますが、あの案は非常にいい案だと思つてつたのです。それで今度價格調整費が幾らかでも減らすことができるということになつた場合には、只今のお話では大体所得税の軽減をするのに向つて行くということに主力を置く、そうして事務的には配付税というようなものにそれを振向けるということを考えなければならない、併しながら時期の点はいつのことになるか分らんということでありましたが、原則的に考えないで、この際に少くとも四分の一或いは六分の一ですか、一六%でしたか、幾らかになつたのでありますから、この際に原則の三三・何%かに配付税を引上げて行くということも同時に考えるということが必要であると思うのですが、もう一度申上げますと、二千億の價格調整費を減らすということが実現できるような段階なつた場合には、單に所得税を減らすというだけでなく、これはまあ一千億くらい所得税を減らしたら相当のものになるわけでありますから、それだけでなく三三・何%、三分の一にまで二十四年度の配付税を戻すんだということを同時に実現をするということが必要だと思うのですが、そういう点についての考え方は大藏当局からシヤウプ博士の方に申出でておるところの原案にはないのですか。
  33. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 地方税の全体のシステムをどうするかという問題をこの際根本的に取上げまして妥当な結論を得なければならないということを考えておることは今申上げた通りでありまして、その際に結局配付税をどうするか、率をどうするかという問題も具体的にやはり決定さるべき問題だと考えるわけでありまして、制度の変えない際でありますれば、所定の配付税の税率をでき得る限り尊重して行くということは、これは勿論異議のないわけでありますが、中央、地方を通じまして制度の根本を変える際におきましては、やはり全体の姿を眺めました上で配付税はどういう姿においてどういうふうにするかということを決めまして、一旦決めたものはできる限り、それを尊重して行くというような行き方で処理する方が正しいのじやないか、かように考えるわけでございますので、直ぐ元の今の平年度の配付税の課税率に直ちにした方がよいということを先に結論いたしますのは如何かと考えるのでありますが、よく研究いたしたいと思います。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 勿論今のお話のように、中央の國の財政なり、地方の税制を根本的に打立てようということで一般的に考えて行くのでありますから、勿論從前の成績の下においては百六十億円足りないということになつておるわけですが、ですからそのまま法律の中に、その通り実施するということは、これは制度の改廃というものを同時に行いつつあるという現段階においてはそれはできないのですが、実質的に百六十億程度のものは何らかの形においてその法制的な税率は別として、何らかの形において地方財政の方に還元するということですね。いわゆる税制を配付税というような形においてやるか、或いは所得税附加税というような形でやるか、或いはその他の形でやるかは別として、百六十億という程度のものが地方財源として與えられれば、地方財政方面は均霑し得るわけですから、國と地方財政との間においてその程度のものは地方財政の方にゆとりが取れるというような税制の遣り繰りですね。そういうことも考えておられるのかということです、その点……
  35. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) その問題は結局國の歳出の或るものを減らしまして、そこで余裕財源が出て來る。それを懸税財源幾ら振向れるか、或いは政府のその外の費用で歳出が増加する部面にどれだけ割当てるか、それと地方團体の財源の不足額に対してどういうふうにやつて行くか、こういう問題としましてやはり一体として考えて処理さるべきじやないかと考えます。その際のおきまして地方團体の財政実情をできるだけ考えまして、健全な地方自治のためできるだけ支障を來さないように努めて行くということに相成ろうかと考えておりまして、或るものを先に決定的に決めてしまうというのは如何かと考えるのでありますが、ただ先程言いましたように、何しろ今の所得税というものは控除も非常に、一万五千円でございますが、これでは幾ら何と申しましても生活費の極く一部分しか引いておりませんし、税率なども二十万円超過で百分の五十という高い税率になつておりますし、その辺に私し率直に申上げまして税金問題のうるさい最大の理由があるのじやないか、これはやはり相当合理化しないとこの問題はなかなか解決つかんのじやないかと考えます。これは何としても成るべく速かな機会に直したい。そうなりますと所得税は何しろ余りに大きいだけに一割減らして六百億、三割減らしますと千億、控除も税率を少し上げますとそれに應じまして非常な歳入減を來して、基礎控除等も世間で言われておるような極く理想的なものにいたしますと、所得税は三分の一か五分の一にもなつて來るということでありますから、その辺のところとよく兼合いまして、全体といたしまして正しい結論を得べきものじやないかとかように考えておる次第であります。
  36. 島村軍次

    ○島村軍次君 只今の問題に関連しまして、よく言われております國家予算は、地方財源を成るべく皆切つてそうして國の財政に合つたこういう地方財政の……地方行政の方から言いますと、非常に非難がありますが、先般も青森、秋田の地方税制問題を調査して見ますと、東北の二縣だけの問題ですが、もう殆んど地方の縣財政は行詰つて殆んど破産状態である、こう申上げてもいいと思います。その大半はやはり先にお話になりましたいわゆる委任事務というものは是非やらなければならない仕事であつて、事実もう例を挙げるというと、これは各村々へ行つても枚挙に遑がない程であります。その点に対して我々から言えば大藏省の方にちつと認識が足りないのじやないかとこう思うのです。そこで所得税の問題に関して只今お話なつたような所得税の軽減の必会でありますが、その軽減される場合に、地方財源配付税において相当のウエイトをもつて頂くことが非常に重要な問題になるじやないかと思います。元の税法の基本から言つてもやはり当時の所得税なり、法人税の率が基本になつて三三%一四になつたとか、その点に対しましては、この際強く地方財政のためにも確実の基本を立てて頂きたいと思います。我々も國会でいろいろ法律審議をしますが、地方法律を決めた場合には地方負担になるものが、知らず識らずの間に決められて、そうしてああいう問題があつた、こういう問題があつたというようなことが非常に後から出て來るというような問題が沢山あると思います。これは一々各省のものを大藏省が見られるわけでもありますまいが、それが地方財政の今日の窮迫の非常に大きな原因となつておるということから考えても、その点に対してはもつと深甚なる一つ考慮を煩わして頂きたいということを希望いたしたいと思うのです。  それからもう一つは遊興飲食税の問題なんですが、この間も或る縣へ行つて聞きますと、税務署でやるのはこれくらいだ、地方財政の基本になつた額からその基礎になつた数字を見ますと、どうも無謀な御計画になつておるのであつて、殆んど三分の一か、場合によつては四分の一、或いは十分の一しか取れないというのが府縣の実情じやないかと思います。勿論課税の徴收方法等についても改善すべき点があろうと思いますが、そういうことが地方財政の数字の基礎になるということ、それから地方財源の不足というものも相当大きな問題であります。それから尚この徴收事務については、遊興飲食税を移したが、実際の徴收の人件費等については何ら考慮がない。又地方財政委員会の数字にはズレがあると思う。縣で計画した地方財政委員会でお集めになる経費というものが、歳出面においても非常なズレがあつて、現在持つて行くというと実情にちつとも合わんというようなことが相当あるのです。國の予算をお決めになる場合にはもうがつちりしたものでやられるけれども、地方財政というものは後から後から追掛けるという感じが非常にあるのです。理窟に合わんかも知れないがそういう点は今日の地方財政を非常に窮迫ならしめた大きな原因になつておるんじやないかと思います。今度の税制改正の場合には、こういう問題については特に一つ御考慮を願いたいと思うのであります。それから小さい問題でありますが、例の超過供出の源泉課税の問題ですね。これは大分御心配をかけましたが、これに対してのその後の経過といいますか、何か変つたことがありますかどうか、一つ是非これは実現さして頂きたいと思うのですが、一つ併せて……
  37. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 御意見いずれも御尤もと思いまして、よく一つ研究さして頂きたいと思いますが、分與税の税率でございますが、これは御承知の通り、昭和十五年に作りました際は、初年度法人税所得税は、一四・一七%、それから平年度が一七・三八%ということになつております。それから実際の率は殆んど毎年國におきまして、所得税の増税、変更をやつて参りまして、十六年は一四・一七、十七年が一三・四八、十八年は一四・二四、十九年は一〇・三〇、二十年は戰後になりまして少し殖えまして一九・三五、二十一年一九・三五、二十二年が二三・七九、それからこの年の地方財政全体に対する檢討を加えまして、財源所要額というようなものから算定して、二十三年度が二三・三一、それから平年度が三三・一四、こういうことで、この額で決まつておるような次第であります。從いまして、私共この三三・一四というものは、一應平常なものとして尊重すべきものだと考えますけれども、政府において根本的に考えます場合においては、やはり國の財政の全体を通じまして考えて、妥当なことを決めるという方向に行きまして、一旦決まつた以上は、重大な基礎的事情の変遷がない限りにおいては、成るべく尊重して行くというような方向に行くべき筋のものでなかろうかという意味から申しまして、今年度も一つ、どういう分與税にはどうするかということを、先程申上げましたように、愼重に檢討して決めたいとかように考えております。それから遊興飲食税の問題につきましては、実は本年度の見積は、私共いろいろ話しまして、相当な額を見積り、計上したわけでございます。これは、所得税等の課税を元にしまして、それから遊興飲食税の課税標準の実額を推計いたしまして、そうしてそれに対しまして税率を乘じまして出て來た税額から、確かに実際徴收し得る税額というものを相当細かに斟酌しまして、そうして全体の見積を出したようなわけでございまして、所得税の決定を元にしておるというところに、一つ問題があろうかと思いますが、見積としましては、外の税の國税において見積つておりますのに比べまして、決して高いとは考えていないわけでございまして、ただ実際はなかなか遊興飲食税の課税が外の税よりも実際問題としましてやりにくいということはあろうかと思いますが、これは極力一つ地方團体におきまして、勉強して徴收して頂くというつもりでおるのでございますが、今後におきましては、税率等も余り高くて、実際收入が伴わないという点もあるようでありますので、むしろ税率等を下げましても増收になるんじやないかという点を考えまして、一つ研究して見たらどうかと考えております。それから本年度といたしましては、とにかく財政計画全体が非常な嚴正な計画になつておりますので、極力地方團体におきましても、適正な徴收ということに努力して頂きたいと、かように考えるのであります。それから超過供出の所得税の問題につきましては、実はこの前の最後に、農林委員会でいろいろ案ができて、向うと相談されたわけでございますが、要するに全体の税制改革の際にどうするかということになつておりまして、この問題は今後の問題に相成るかと思います。ただ問題はどうもやはり基本的に所得税をどうするか、税率がどの程度になるかといつたようなことが或る程度方向が決まらないと、具体的にそういう超過供出に対する課税をどうするか、それから源泉課税だけにして呉れという希望がございますが、そういうものをどうするか、問題が少し遅れて決まるような性質もございますので、税制改革の骨格が大体はつきりしました後におきまして、私共極力実情に即しました案ができるように努力して見たいと考えておりまするが、現在の段階におきましては、まだこの程度でありますことを申上げます。
  38. 島村軍次

    ○島村軍次君 只今配付税の經過をお話しになりましたが、我々も大体そういうことで承知はいたしておりますが、特にこの問題については、政府の立場だけでなくて、地方財政の問題の関係において申上げたので、或る程度の増額は当然考えるべきじやないかということを特に希望として申上げて置きます。それから先程ちよつとお話しになりましたが、地租、家屋税の問題ですが、これはお話通り、やはり我々も他の税と比較して低いんじやないか、特に地租については宅地と田地との不均衡の問題が大きいんじやないか、勿論賃貸價格の改訂という問題があると思うんですが、まあ統制令があつてできないといえばそれだけの問題でありますけれども、事実問題はそうでないことは御承知の通りでありますし、特に宅地について統制令があるにも拘わらず、相当現在の実際面は多いことになつております。各種の点から言つて低いんじやないかとこう私は思う。特に今度の改正の場合は、賃貸價格の改訂是正をする法律が、今度決められたようでありますから、それを基本にして、一つ速かに改正をして頂くように希望したい。それから取引高税について、今日の新聞を見ますと、池田大藏大臣は、取引高税をむしろ上げるというような……上げるというのか、上げるべきであるが、下げないんだと、こういうふうな曖昧なことが新聞に出ておつたようでありますが、あの問題についてのお考え一つ簡單に……
  39. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 取引高税の問題は、実はあれは大臣がどの程度お話しになりましたかよく存じないんですけれども、まあ政府といたしましては、極力歳出を減らしまして、取引高税を不用にするという方向へ專ら來ておりますので、ちよつと私この席でこれ以上、大臣とよく話しておりませんので、ちよつと申上げかねますことを御了承願いたいと思います。
  40. 島村軍次

    ○島村軍次君 ちよつともう一つ。青森、岩手の寒冷地手当の問題ですね。これは國の予算にも関係があるし、地方財政にも関係があると思うのですが、実際に聞きまするというと、いわゆる國の官吏といいますか、いわゆる國家の公務員としての場合には、或る程度まで出されておるようであります。ところが地方團体は財源関係で形だけはできたが、ちつとも出ない、こういうことなんですが、そういう問題に対しては、配付税の調整の場合に相当ウエイトを多くする必要があるのじやないかとも考えられるのですが、その点に対しては御両者の御意見を伺いたいと思います。
  41. 荻田保

    説明員荻田保君) 御説の通りであります。從いまして、配付税を改正する等の際考えなければならんと思いますが、ただ総額としてまだ石炭手当なり寒冷地手当は地方財政に見込んでありませんので、その元から殖やして來る必要があると思います。
  42. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は平田主税局長に希望的意見を申上げて置きたいのですが、極く最近の新聞を見ますと、大藏大臣は米價の問題で、米價を引上げなければならんと発表されておる。私はその実際は知りませんが、新聞紙上だけの知識なんですが、併し一方の主務官廳たる農林省の農林大臣は、これは反対だというようなことを新聞で言われておる。どうもそういうものを見ると、非常に大藏大臣は独断的だと思うのです。御承知の通り地方財政において配付税の問題は、この前ばつさりやられたのですが、このようにいろいろ各方面財政当局は非常に関係が深いので、今の二つの問題を考えて、米價の問題でもそうなんですが、相手方の意見をやはり尊重すべきものであると私は思う。どうも米價問題なんかは、私はよく分りませんが、農林大臣がおる以上は、やはり大藏大臣として新聞に発表する以上は、相手の立場というものは、できるかできないか分らんものを、新聞紙上で一つ大臣が反対で、一つはやるのだというようなことを言うと、國民にも非常に影響が悪いと思う。供出の問題でも、御承知のように非常に重大な難関にあるところへ、こういう米價の問題を取上げて、この影響たるや私は実に甚大であると思う。而も今シヤウプ博士が來られて、何とか國民負担の軽減を図ろうというような際に、大藏大臣が米價の引上を軽卒に発表することは、又物價に影響するところが非常に大きいと思う。そういうような甚だ遺憾な点が多いと思うのですが、本委員会は御承知の通り地方財政の問題は非常に重大に考えておるわけなんですが、今主税局長のお話を伺うと、いろいろと苦心して頂いておるようなので、非常に意を強うするわけなんでありますが、どうも地方財政の当局も、新らしい官廳ではあるし、今度は格は上つたにしても、大藏大臣から比べれば誠に微々たるもので、実際に予算の際なんかには、大藏省の厖大な組織、その権力に対しては、全くいつも屈せざるを得ないというふうな実情にあると思うのです。併し地方自治の育成というようなことは根本原則で、どうしてもやらなければいけない。それにはどうしてもその困難の事情というのは、裏付の財源の問題になるのです。いつもそれに苦心して、それが十分でない。それは國家財政の上からも考えて、それが一方的に地方財政のみに十分というわけには参りませんけれども、何とかしてその裏付たる財源については、相手方であるところの大藏省においても、十分地方自治廳なりの立場と考えを尊重して頂きまして、殊に主税局長はそういう際に非常に重要なポストにおられますから、是非國家全般の財政地方自治の発達というものに非常に関心を持つて頂きまして、こういう予算の編成とか、又お話しになりました價格調整費の軽減、その配分についても、直ぐさま問題があるわけですから、そういう際に、是非大藏当局の考えが独断的でなく、相手の立場を考えてやる。而も大藏当局は非常に大きな組織であり、権力も大きいのですから、その方が一方的の力で押巻くるということでなしに、是非相手方の地方財政にも力を貸して頂きたい。私は実際考えて見れば、如何に地方自治廳が頑張つて見ても、どうしてもできないことが多いのは御承知の通りですから、平田主税局長は非常に地方財政にも御関心があるようですから、今後は特に地方財政財源というようなときには、地方自治廳側の立場もお考え願いたい。主税局長は本委員会には滅多に議会中にはお見えになりませんから、今日はお見えになつておるから、私はその点を眞劍に希望意見として申上げて置きます。是非一つそういうふうにお考えになりたいと思います。
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) まだ御質問もあるかも知れませんが、時間になりましたから、今日はこの程度にいたして置きまして、明後日午前十時から、この地方財政調査を、審議を続行いたします。尚申上げて……
  44. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 明後日ですか。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 明後日。明日は警察問題について審議いたします。尚申上げて置きますが、資料を大分沢山差上げております。その中で私の仮に私案といたして置きましたが、これは過般シヤウプ博士に面会いたしましたときに、参議院の地方行政委員会委員長として何か意見があれば、書き物を出して呉れ、喜んで拝見するというお話がありました。それで今までいろいろと研究いたしまして、練り上げたものでございます。これは敢てこの委員会で正式に御決定を願う筋合のものではないと思います。私の私案として参考に供する、いわば半公式のものでございます。これについて併し御意見がございましたら、どんどん出して頂きまして、よいものにしてやつて行ければ、これ程仕合せはないと思います。この委員会で正式に決定いたしますことは、各党派の関係、会派の関係でなかなか面倒でありますから、そういうふうにならない方がいいという他の委員の方の御希望もございまして、又筋合もそうしない方がいいと思います。それにつきまして石川縣の実例を取りました、石川縣当局の見解というようなものが出ております。これは林屋委員が研究されたものであります。それも御参考に願い、又税制改革自治体の希望対照表というものも差上げております。地方自治体がどういうことを考えておるか、希望しておるか。そういうものもお分りになると思います。それを御研究願いまして、そういうことにつきまして又この後御審議をお願いいたします。それでは今日はこれで散会いたします。    午後零時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    委員            三木 治朗君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            太田 敏兄君   説明員    総理府事務官    (地方自治廳財    政部長)    荻田  保君    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎君