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説明員(
鈴木俊一君) 今度の
選挙の
状況につきましては、すでに速報に基きます総
選挙結果調はそれぞれこちらの專門員の方の手を通じまして差上げてあるように承わ
つておりますが、大体それを中心にいたしましてお話を申上げたいと思います。
先ず、
最初に今度の
選挙の全体の
空氣でありますが、御
承知のように、年末年始の休暇にかけて
選挙が行われました
関係並びに
特例法によ
つて、
從來と
相当いろいろな点において
選挙運動の
方法が制限せられました
関係上、
選挙期日が告示になりました二十七日以後、
最初の一週間乃至十日間くらいというものは、果して
選挙が間近にあるのかどうか、それらの民衆の
関心と言いますか、
空氣が非常に低調であ
つたようであります。いつもならば早速ビラが出るのが、とにかく目に付く
ポスター、ビラというものが暫くの間は出て來ない、
立会演説会等も結局東京都等では六日から行われたのでありますから、二十七日からその頃までくらいというものは殆んど
選挙らしい氣分も出ないということで、
新聞の方も非常に低調である、低調であるということをやかましく言い、その
理由はやはり
選挙特例法によ
つて選挙運動を非常に制限をしているからだというようなのが一般の
新聞の
輿論であ
つたようであります。又この点に関しまして、
地方の
選挙管理委員会等からの全
國選挙管理委員会に対します
報告等によりましても同樣な見解が洩らされておりまして、尚
司令部当局の方からも非常にこの点についての心配的な老婆心に基くいろいろ
勧告注意等がありまして、何とかしてもつと
選挙氣分を昂揚することができないか、この調子で行くと非常に
棄権率が高くなるであろうということで、
啓蒙、
宣傳、
棄権防止というようなことに更に強力に拍車を加えるようにという
趣旨の
注意勧告があ
つたのであります。全体といたしまして、当初はそういう出発をいたしまして、而も
新聞紙上を賑わしました
選挙運動に関する
各種予算経費の決定がいろいろな事情から非常に遅れましたために、又
新聞その他の
輿論をいろいろ喚起いたしまして、非常に
選挙の執行の結果についての危惧の念が朝野には充ちて來たという
実情であ
つたのでありますが、これらの非常に
選挙氣分が低調であるということ、
選挙経費がなかなかうまく出ないということ、その他のいろいろな危惧がありましたにも拘わらず、
選挙の執行の結果におきましては、いずれも当初の予期に反して
相当の
投票率を
收めまして、
終戰後三回の
選挙では最高の
投票率であ
つて、結果としては先ず
成功に属することにな
つたのでありまして、これらの
選挙全体の施行の結果に関しましては、総
司令部の
選挙を主管しております局からも非常によか
つたという
最大級の讃辞を全
國選挙管理委員会も
貰つたのであります。大体そういうふうな
状況でございますが、逐一の問題につきまして一つ一つ申上げて見たいと思います。先ず
最初に
選挙運動の
特例法に関する問題でありますが、これにつきましては今もちよつと触れましたように、
新聞にいろいろ
輿論もございまして、尚この点につきましては
関係方面も多大な
関心を示しまして、
新聞紙上には
インボーデン少佐が、もつと
新聞紙は積極的に
選挙についての
記事を掲載すべきであるという
趣旨の主張をした
記事が出たのであります。
ひとりインボーデン少佐のみならず、
民政局方面におきましても、この点に関しましては、
新聞の本來の使命、社会の
啓蒙指導の公器であるというその本來の使命から申しまして、もつと積極的に
新聞は
選挙に関する
記事を出すべきであるという強い
主張示唆がありまして、全
國選挙管理委員会といたしましても
関係の各機関に連絡をいたしまして、この
趣旨が十分に生かされますようにそれぞれ手を打
つたのであります。
新聞紙の
記事につきましては、
特例法の
関係條文等の適用上如何にこれを解釈するかということがいろいろ問題にな
つたのでありますが、いずれにいたしましても、
新聞が正当の
業務行爲として客観的な公正な
記事を報道し、又
論評意見を書くということは、これは
新聞の本來の使命から
言つて或る程度許されなければなりませんし、又一面
選挙の公正という面から申しまして、それらの
新聞が権利の濫用と申しますか、惡用にな
つて、又
選挙運動文書に堕してしまうということにな
つても、これ又困るわけでありまして、その辺の限界をどこに引くかということがやはり具体的にいろいろ問題があ
つたのでありますが、結果におきましては左程の大きな支障にもぶつかりませんで、概ね適当に推移して
行つたように考えるのであります。尚
選挙公営に関しまする
特例法のその他の規定の
関係におきましては、先ず
立会演説会についての問題でありますが、これはすでに
輿論にもございますように、非常に
成功をしたようであります。
一個人候補者の
演説会に
選挙人を動員し得る力というものは、特殊な
候補者である場合は別といたしまして、一般的に非常に少いものになるのは当然でありますが、
立会演説会によ
つて全
候補者の中に二分の一或は三分の一或は全
候補者というようなものが一ケ所に集ま
つて選挙民に対して
演説をする、こういう制度でございますから、非常に
從來に比較いたしまして多くの
選挙人が
演説会に動員せられたということが言えるのであります。尚
立会演説会につきましては、これを更の成果あらしめるために各
選挙委員会におきましてもいろいろ
努力をしたようでありまして、例えば
長野縣等におきましては
候補者の班を二つに分けましたけれども、それよりも、とにかく全
候補者の
演説を聞かせるようにした方がよりよく人が集まるであろうという心組から、甲の町で
A班の
候補者の
演説会をやる場合におきましては、午前中に
A班の者がやりまして、隣村の乙の村の方では午前中にはB班の者がや
つて午後
A班の者がやる、甲の方は
AB班午前午後に分けてやるというようなことで、
候補者が
両方甲の町、乙の村で午前、午後に分けて全員の
演説が聞けるというような仕組にいたしまして、そういうような
関係で
長野縣の
演説会なども、雪が深く寒さも
相当寒か
つたにも拘わらず
相当集まつたようであります。尚
地方の各
新聞がすべて
演説会につきましての日取り、
候補者の名前、時間というようなものも、それぞれ特に協力して
記事中に書いて呉れましたので、これらも非常に
立会演説会の
成功したゆえんだと思うのであります。尚その外にも
立会演説会につきましては、いろいろの批判がございますが、大体平均いたしまして、
農村地区においては二、三百から四、五百、
都市方面においては、五百、多い所では一千とい
つたような聽衆を引付け得たということは、非常にこれは
成功だ
つたと思うのであります。その半面におきまして
個人演説会の
公営の方は非常に、御
承知の通りの
状況でありまして、結局
個人演説会の
ポスターを貼
つて貰うために申込をする、併し
候補者は現実には
個人演説会には出て來ないというようなことが
実情にな
つてしまいまして、これは今迄の
演説会の
公営に比較いたしましても甚しく低調なものにな
つたのであります。これはむしろ將來の問題としては、ビラ、
ポスターの
方法を何らかの形で生かして、
立会演説会の制度について考慮すべき問題じやないかというふうに考えるのであります。
街頭演説会は
都市地帶等におきましては、
相当に
効果を
收め得たようであります。
農村地帶におきましても
相当周密に
街頭演説会を開いて
効果を挙げておるようであります。
街頭演説会とか
立会演説会につきましては、
相当の
効果があ
つたと思うのであります。ただ
立会演説会に関しましては、
交通事情その他の事情がありまして、
候補者が定刻迄に來ない。そのためにみすみす二十分なら二十分という時間を空費して行かなければならんというようなことになりまして、いろいろ問題があ
つたようであります。この点につきましても、將來の問題といたしましては、例えば一定の時間までに來なければ棄権とみなして次の者がやるとかというようなことも考えて置くべきでございます。又
立会演説会の合間におきましては、今回は特に
國民審査に関する
啓蒙富傳が非常に不十分でありましたので、これらについても
説明をして
選挙人に知らせるというようなことで、これも或る程度の
効果を
收めたようであります。大体
特例法に関しましては以上のような
状況でございます。
次に、
棄権防止と申しますか、
選挙の
啓蒙運動に関しますることにつきまして申上げます。これは結果から申しますと、非常に
投票率がよくなりまして、これはお手許にすでに差上げてあると存じますが、全体の全
國平均が七割四分一厘ということでありまして、
棄権率が二割五分九厘、こういう
状況でございます。これは
昭和二十二年及び二十一年の
投票率に比較いたしましても、それを上廻
つておる
投票率でありまして、非常に
成功であ
つたのでございますが、このような結果を得ました
理由といたしましては、先ず第一に何と申しましても天候が小春日和で、全國的に非常に平穏な氣候であ
つたということに大きな
原因があると思うのであります。ただ
北海道だけは吹雪で、そのために今少し上るべき
投票率が落ちたということが言えるのでありますが、
北海道にいたしましても、昨二十二年の
選挙においては二割五分九厘ですか、そういうような
投票率であ
つたのですが、今回は五割よりはもつとよいところまでにな
つておりまして、全体としてやはり非常によか
つた。日曜日を
投票日にいたしましたことは、若しも天候の状態が惡い状態でありましたならば、恐らくは一般の
勤労者はわざわざそのために
投票に出るということがなく、
從つて投票率は普通の日を定めるよりも却て惡くなるであろうと予想せられてお
つたのでありますが、天候がよか
つたために却て樂に
投票に誘うことができたということが言えると思うのであります。尚
昭和二十二年の
選挙並びに和昭二十一年の
選挙はいずれも四月でございまして、非常にまあ農家といたしましては忙しい時期に入
つておる。ところが今度はいわば農閑期でありまして、それらの点からもやはり
農村地帶におきます
投票率については、寒いという、そういうマイナスはありましたが、仕事の
関係から申しますと、
投票を誘う
原因にな
つたと思うのであります。
第二に、
投票率のよか
つた理由としては、やはり
選挙管理委員会その他
各種の政府及び
地方機関或いは
民間團体の
選挙啓蒙の
努力というものがやはり
相当に
効果があ
つたと思うのでありますが、
島根縣等におきましては
租税完納、
棄権防止日本一運動というような
運動を展開しまして、午前中は
租税完納の打合せをする、そのために市町村の
各種の役人、
團体長というようなものを集めまして、事後、午後におきまして更にそれに
選挙人を加えて
立会演説会をやるというようなことで、二つの催しを接続いたしまして行いまして、
棄権防止の
趣旨の徹底に努めたというようなことから、これは
日本一の
投票率にな
つておりまして、男子の方におきましては九割二分四厘、女子が八割九分八厘、平均して八割九分九厘という
投票率でありまして、非常に高い。殊に男子の
投票率の九割二分四厘というのは、ちよつとああいう
農村地帶におきましても想像し得ない程のすばらしい成績であ
つたのであります。これらはやはり
選挙委員会の
努力が非常に
効果があ
つたと思うのであります。又その他の縣におきましても
各種の
啓蒙宣傳の試みをや
つております。学童を動員いたしますとか、花火を上げますとか、或いは
啓蒙宣傳隊を繰出して
戸ごとに慫慂するとか、その他
各種の
方法を行な
つたようであります。これらの
努力も大きな
原因であります。それから
新聞紙とか、
ラジオ等の協力でありますが、
新聞も今回は
選挙経費が非常に少いというようなことで、これを先ず当初は盛に取上げまして、そういうようなことから
選挙に関する
関心というものも非常に
新聞によ
つて振起された。又
インボーデン少佐の
新聞における
各種の声明、これに関連するいろいろな
記事というようなものも
新聞に頻繁に出まして、單なる
棄権防止、
啓蒙宣傳という正面からの
記事よりも、そういうような
選挙に関連をいたします重要問題についての報道が非常に頻繁にありましたために、これ又
選挙民の
選挙に関する
関心をそそ
つたと思うのであります。又
ラジオに関しましてはこれも大体の、何と申しますか、或る放送と或る放送の中間の二十秒なり、三十秒なりの間の放送におきまして
投票を慫慂する、殊に
投票当日は、あなたは
投票はすでに済みましたか、済まない方はすぐ
投票して下さいというようなことを繰返し繰返しいたしまして、
ラジオも
相当にこれは
投票率向上に力があ
つたと思うのであります。その他先程申しましたように、
立会演説会において、
從來見られなか
つたような多数の
選挙民が
演説会場に動員せられまして、眞に
言論戰による
候補者の
價値判断というものが
選挙民によく徹底したということが大きな
原因だと思います。又もつと根本的な
理由といたしましては、やはり
國会の
選挙直前におきまする
各種の活動というようなものにつきまして、非常に
新聞にも盛んなる論議が出ましたし、
國民としてもこれによ
つて、どうしても
衆議院の構成ということは非常に大事なことであるということが身につまされていろいろ考えられた結果、一票を投じて是非一つ立派な
衆議院の選良を選びたいと、こういう氣持が
國民全体の一つの
雰囲氣として漲
つてお
つたということがやはり言えると思うのであります。これらいろいろな
理由から非常に
終戰後、最も高い
投票率を得たということにな
つたと思うのであります。尚
選挙に関連をいたしまして非常に問題になりました今一つの
予算の点でございますが。これは当初全
國選挙管理委員会が二十一億という
予算を提出いたしまして、それが逐次減額せられて、一時六億五千万円で決まるというようなことで、とてもそんなことではや
つて行けないという
地方からの非常に強い声が出て参りました。その後逐次折衝の結果、総額七億七千五百万円というものが
選挙の
予算として確定をいたしたのであります。ところがこれでも尚少いというような
意見が
地方の
委員会当局にありまして、我々もいろいろと
努力をいたしたのでありまするが、如何せん残されておりまする
予備費が非常に少いということと、尚総
司令部の
関係当局におきましても、
選挙予算につきましては非常に大きな
関心を持
つておりましたが、それにも拘わりませず、実際の日本の経済、財政の
実情から申しまして、なかなかそう潤沢には出ないということで、結局七億七千五百万円ということにな
つたのであります。その
選挙経費の実際の各都道府縣への割当の
状況からいたしますと、半数ぐらいの縣におきましては、大体これはうまく收ま
つているようでありまするが、大都市、その他特殊の縣におきましては、やはり或る程度
不足しているのが
実情ではないかと思うのであります。ただ
選挙に関する経費一切が國の負担であるという現在の
地方財政法の建前からいたしますと、鐚一文と雖もこれは
府縣市町村が出せないということになるのでありますけれども、去りとてその文字通り、そういうような形にも実際問題として参りませんので、
國庫におきまして現在実際に
不足しておりまする
府縣予算の
不足をどの
程度カバーをいたしますか、目下各府縣の
委員会から
不足額を取寄せておりまして、近くこれは集計ができると思うのであります。その集計に対しまして
國庫予算としてどれだけ出すかということは今後の折衝によ
つて決しなければならないわけでありますが、前内閣におきまして、第二次
吉田内閣におきましては、
選挙予算に若し
不足を生じたならば、これは事後の措置として十分に考慮するということを
閣議了解を経て
官房長官談で声明をいたしておりまするので、この点につきましては、実際の
不足額と睨み合せまして、何らかの措置を講ずる予定でございます。
次に
投票に関しまして、いつもいろいろ
脱漏事件とか、その他事故が起るのでありますが、今回の
選挙におきましては、この
投票に関しまする
各種の事故というものも非常に少なか
つたのであります。一、二起りました事例は、
新聞にも出ておりましたように、
千葉縣、
兵庫縣等におきまして、
投票用紙の一部が散逸したという
事件がございました。千葉におきましては、或る縣廳の職員と
選挙管理委員会の職員とが相談をいたしまして、その手許にあ
つて一應不用にな
つた投票用紙を特定の
候補者の
選挙運動員に賣付けようとしたのでありますが、その
選挙運動員から
候補者に話しましたが、そういうことをしてはいけないということではね付けられましたので、これも結局事なくして済んだのでありますが、そういう
事件が一つございます。又
兵庫縣におきましては、これは
警察の方から、
投票用紙が散逸いたしておりますことが、散逸いたしておるのではないかという疑いが生じたのでありますが、これも実際問題としては、大した問題は起きなか
つたようでありまして、果して散逸いたしたものかどうか、その辺も明瞭でなく今日に至
つております。そういうような
事件、これも結果としては問題を起さなか
つたのでありますが、そういう二つの
事件がございます。尚その外に
投票選挙人名簿の
脱漏事件といたしましては、廣島縣の福山市にある
会社関係の
選挙人が集團して脱落したという
事件がございまして、これは非常に残念な
事件でございましたが、これは事実数百人のものが脱漏いたしたのであります。それから千葉におきましても、一部同様の
事件がございました。大体
投票に関しまする事故といたしましてはその程度でありまして、その他特に申上げる程のことはなく、極めて平穏に推移いたしたのであります。
投票の結果についての
状況でございますが、これはすでに
新聞紙、その他に時々発表いたしましたものによりまして御
承知の通りと存じますけれども、
概略簡單に申上げますと、先ず
党派別の
当選者数及びその比率というのは、これはそれぞれお手許に配
つてあるので御
承知の通りであります。それから
党派別の
投票数及び比率、これも
前回の
投票と今回のとを比較して書いてございますが、民自党が千三百万票で四三・八%、
前回は二六%でありまして七百三十五万票でありますから、非常に大きくな
つておるわけであります。結局これはそれぞれすでにいろいろ出ておりまするので、特に詳しく申上げる必要はないと思います。ここでちよつと申上げますと、
選挙人の総数が、今回は四千二百九万百十六人ということでありまして、
前回は約三千九十万だ
つたと思いますが、それだけ殖えておるわけであります。尚この
投票総数におきましては、
前回の
選挙では……。