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木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、
長官は御存じないかも知れませんが、我々が聞いたところによりますれば、
日本の
たばこ工場を視察した結果、優秀な五つか六つの
工場を讓
つて欲しい、或いは又、讓
つて欲しいというのか、
工場の
委託経営みたいのをさして欲しいというのか、そこははつきりしませんが、そういう話があ
つて、そうして
日本の
当局としては、第一に
英米の葉は
日本の
耕作に適しない、或いは又
英米の葉を持
つて來て
耕作する場合、
日本の
耕作者が
圧迫を受けるということが第一点、それから第二には
財政上から
英米のB・A・Tが
工場を経営した場合、
日本は
財政收入が少くて
圧迫を受ける、そういうような点から
日本側としてはそれは困難であるということを一應述べて反対したところが、先方では、それは
英米の方からは種を持
つて來ても
日本の
耕作者にやらせるのであるから、
日本の
葉たばこ耕作者は何も失業するわけはない、それだから心配は要らないじやないか、又
財政上の点についても
日本の
財政には何ら損失を與えない、今
葉たばこの
收入の大部分は
税金に取られる、例えば五十円の
たばこは四十円ぐらい
税金で、
残り十円の
收益の中六円ぐらいが
生産費、
残り四円ぐらいが
儲けである、そういうように
儲けは少ないけれども、B・A・Tの人がやれば、
日本のそういう
税金負担までを負
つても可能である、それでB・A・Tが損失するかしないかはそちらの採算によるものであ
つて、損するからお止めなさいというのも、それも道理が合わない、むしろ大体
アメリカの
たばこの製品の二級品ぐらいのものを
日本で作
つて賣り出せば現在よりももつと沢山賣れる、そうしてその結果却
つて税金が多く
日本政府に納められるのではないか、その方が
日本政府にと
つては有利ではないか、そういうふうに答弁されて、これに対して
日本側でも強くそのB・A・T側の言い分に対して反対する十分の
理由を見出だすことが困難であつたという話を聞いておるのです。更にB・A・Tとしては、その結果今の從業員に対して大体給與としては平均百ドルを拂
つて而も收支はまだ償う、但し今の作業状況を見ると、実働時間は三、四時間しか働いていない、これを実働八時間にして、そうして施設をよくしたならば、平均給料百ドルにしても十分採算が合
つてや
つて行ける、大体合理化すれば從業員は三分の一ぐらいの人員でやれるだろう、こういうことでやれば今の
日本の專賣局が経営しておるのと同じ
税金を
日本政府に納めて、而も採算が合う、そればかりでなく、
たばこをもつと豊富に供給できて、闇
たばこもこれを追放することができるだろう、更に今よりももつと多くの
税金を
日本の
政府に與えることができるかも知れない、大体こういう
内容の話を我々は聞いておるわけなんです。そうしますと相当話は具体的な点まで進んでおるのではないか、例えば採算についても研究しておる、大体從業員に対して百ドルぐらい給與を拂
つて、而も経営を合理化すれば今の
日本の專賣局が経営しておるよりも更に
收益が多くなる、
日本政府にもつと多くの
税金を納めることができる、こういう研究調査がB・A・T側にはできてお
つて、そういうことを基礎にして話を進めて、更に聞くところによりますと、吉田首相はこれに対して大体賛意を表しているようである、
政府の財源がそれだけ多く得られるならば、これは結構であるというような
考えに傾いているということを我々は聞いているのであります。ここまで話が具体的に進んでいるといたしますと、專賣
当局がこの事実について全然知らないということになりますと、これは非常な問題になると思うのであります。若しか五、六ケ所くらいの優秀な
工場を
委託経営或いはこれを委讓するということになりますと、その優秀でない残つた
工場において
日本の專賣
公社が経営して行く場合に、競爭上非常な不利の立場に立つのじやないか、そういうことも
考えられますし、そういう非常に重大な問題が背後に存在しておりまして、その問題がはつきりしませんと、我々一生懸命にな
つてこういう專賣法というようなものを
審議したり、或いは又
日本專賣
公社法案をいろいろ
審議して見ても非常に甲斐がないと思う、何か見当違いのものと取組んで
法案を
審議しているというような感じをするわけなんです。そこに非常にくどいようでありますけれども、先程からそのB・A・Tの
日本政府側における交渉の問題についてお伺いしているわけなんです。併し
長官がお分りにならなければ
大藏大臣なり、或いは
大藏大臣が分らなければ吉田首相なりに御答弁を煩わしたいのであります。この点について多少でもお分りにな
つている点がありましたらば、御答弁願いたいと思います。