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中西功君 そこで私は、いわゆるこの見返特別
会計に入
つて來る金の問題なんです。即ち円
資金の問題なんです。これを一体どういう性格と考えておられるか、これが非常に大きな問題だと考えるのです。面倒くさいですから私の
考え方を先に言いますと、
向うから
輸入されて來るところの、即ちガリオア・フアンド、イロア・フアンドとして
輸入されて來るもの、それを米革に換算しますと、いわゆるドル
價格、こういうものと、それを現実に
日本に賣拂
つて得た
日本の円の
資金、これは私はやはり二つに分けて考えなければいけないものだと思う。何故ならば、これは
理由は沢山あります。
一つは、若し
アメリカ政府において、五億ドル
日本に物をや
つたからその代金としての円
資金というものを、これを実際に円
資金として受取
つて呉れるなら問題は簡單かも知れませんが、恐らく國際的な今までの
関係から、國際通貨の問題から見ましても、そういうことは絶対にあり得ないのであります。やはり
日本がこの援助物資によ
つて負債を負
つておるとするならば、それは飽くまでも國際通貨によ
つて我々は負債を負
つておると思います。現実にはそれはドル価格として負債を負
つておるのです。
從つてアメリカとしては、
日本の円、即ち千七百五十億円というものを寄越せと、それを寄越したら支拂はもうこれで帳消しにするというものならば、これは又別でありますが、そういうようなものではないのです。飽くまでも我々が援助物資というような名において
アメリカから若し負債を負
つておるとするならば、それはその物或いはドル
價格として我々は負
つておるのであります。そういうふうな点を考えれば、円とそれからドルの問題との間には私は区分を付けなければならんと思うのです。これが
一つです。
第二の
理由は、物として入
つて來て、或いはドルとして負債であ
つたとしましても、これはどうなるか
分りませんが、負債に
なつたといたしましても、それを賣
つて、そうして
日本経済の一部として、而もそこから上
つて來るところの
資金というものは、これはすでに
日本経済の
資金なんでありまして、これだけが特別になるということは、結局第一の
理由と同じような
意味でありますけれども、ともかく
日本経済のこれは不可分の
資金であるという
意味において、やはりこれは
はつきり意味を区別しなければならん。
更に第三は、占領下の
日本、これは
一つの間接統治なんです。
從つて日本政府は、今まで事國内の経済政治に対しては十分な責任を持
つて來ておる。その大きなところは、監督或いは
管理されておりますが、少くとも今まで
日本政府は責任を持
つてや
つて來ておる。勿論その
日本政府というのは、何も吉田内閣というだけではなくして、
日本の
國会も入
つておるわけであります。そういうふうなものが、責任を負
つてや
つて來ておる。
從つてこのドル
價格、ドル勘定というものについては、それは非常な嚴格な
管理下に置かれ、特別な
措置を講ぜられるということはあり得る。これは又
將來これが一体負債となるのか、或いは講和
会議においてどういう処置をつけられるのかということにな
つては、非常にこれは大きな問題で処理がむずかしいのであります。であるけれども、結局この円
資金の問題は飽くまでもこれは
國会及び
日本政府の責任として私はこれを処分するのが当然だろうと思うのです。これは今までのいわゆるポツダム宣言の下における占領
管理下の当然のこととして
日本政府が当然やるべき、それは又実質的な経済的な
意味において、第二番目に申しましたように
日本経済の不可分のものである。これだけを特別に出してどうこうするということはできないものである。そういう
意味において、私は結論としてどうしてもこの見返
会計を他の物と特別にやるべきではない。これは当然、外の法律と同じような
関係で、飽くまでも
日本政府が外の問題の責任を持つと同じようにやるべきだ。今までだ
つてこの
法案だけじやなくして、ディレクティヴ或いはメモランダムというものが沢山あると思う。併し飽くまでもそれは一應
日本の
政府の責任として十分自治的を持
つてなされておる。それと結局は同じような
意味において、この
会計及びこの
法案がやはりなされるべきだと思う。そうでなければ今まで
日本政府に許されてお
つたようなものでも段々いわばなくな
つてしまう。いわば
日本政府自身がこういうような
法案を作ることによ
つてなくして行く、私はこう思うのであります。それに対して
大藏大臣の御意見を伺いたいと思います。