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政府委員(田口政五郎君)
只今諸題となりました
酒税法等の一部を改正する
法律案外一
法律案につきまして提案の
理由を説明いたします。
政府は本
年度予算の編成に当りましては、
経済再建のための財政需要の増大に対應して、極力租税
收入を確保するため、差当り概ね現行の税制をそのまま踏襲することとしたのであります。即ち、税制全般に亘る改正及び國民租税負担の合理化につきましては、追
つて根本的に再檢討することとし、今回は酒税、
取引高税等につきまして、当面必要と認められる若干の改正を行うことといたしました。尚新たに揮発油税を創設して歳入増加の一助とした次第であります。
次に各税に関する改正の大要について申上げます。先ず所得税につきましては、先に昭和二十四年の所得税の申告及び納付について差当りその第一期を六月といたしたのでありますが、今回第二期十月、第三期翌年一月の三期とし、それぞれ年税額の三分の一ずつを納付することといたしたのであります。
次に法人税でありますが、法人の増資拂込による
資金調達を容易ならしめることが
経済再建の急務である現在、特に緊要である実情に鑑みまして、法人が額面超過金を積立てた場合におきましては、当分の間その
金額を益金に算入しないこととし、これに対する課税を行わないことといたしました。尚法人が、法令又は法令に基く命令により、その所有する土地その他の固定資産を買收若しくは收用され又は他に讓渡せしめられた場合について、現在株式について認められている課税上の特例を準じ、超過所得に対する法人税を課税しないことといたしました。
次に酒税でありますが、酒類は御承知の
通り、現在配給酒と特別
價格酒とに分れ、特別
價格酒に対しましては、高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給の方法を変更し、家庭用の配給はこれを廃止して、労務省及び農村等に対し最小
限度の配給を行うに止めて、極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販賣することといたしました。而してその
價格は、配給酒は現在の配給
價格程度、自由販賣酒は原則として現在の特別
價格酒と配給酒の
價格の中間程度となるように税率を定めることといたしたのであります。併しながら消費の性質に應じて負担の公平を期するため、清酒に特級酒を、合成清酒に一級酒を設け、清酒特級酒については一級酒等と共にその
價格を或る程度高位に定めることとし、一升壜詰の小賣
價格を清酒特級酒千百五十円程度、清酒一級酒九百二十円程度に定めました。その半面焼酎等のいわば大衆的な酒類につきましては、その消費の性質及び密造対策の見地等からできる限り低い
價格とすることとし、焼酎は現行特價酒七百八十七円、配給酒三百六十五円であるのを、四百五十円程度になるようにいたしました、尚最近における酒類密造の激増に鑑み、密造酒類の所持犯、密造未遂について処罰規定を設ける等罰則の整備強化を行うことといたしました。
清涼飲料税につきましては、サイダー、ラムネ等は昨年七月相当大幅の税率の引上げを行な
つたのでありますが、その後の課税の状況を見まするに、税率が高過ぎるため生産を阻害しているきらいがありますので、今回第二種サイダーの税率を一石について現行九千五百円を八千円に引下げ、その他の清涼飲料についても同程度の税率の引下げを行うことといたしました。
次に砂糖消費税につきましては、國内で消費される砂糖の大
部分が
輸入に俟
つているのでありますが、それが
連合國の好意によ
つて輸入される食糧である等の事情によりまして、
輸入砂糖に対しては非課税とし、これに伴い必要な規定の整備を行
なつた次第であります。
次に物品税につきましては、乘用小型自動車、自動自轉車等若干の物品を新規に第一種の物品として課税することとした半面、第一種の物品中、照明器具、鞄、トランク、行李、乳母車類、運動具等について税負担を合理的なものとするため、税率を一
段階引下げることとしたのであります。尚、緑茶につきましても、消費の性質及び課税の実情に顧み、從來の從價課税を從量課税に改め、税負担を若干軽減することとしたのであります。
次に
取引高税でありますが、本税の根本的檢討につきましては、先に申し述べました
通りこれを將來に讓り、今回は特に納付方法について大幅な改正を行い。世上最も非難の多か
つた印紙納税の制度を廃止すると共に、非課税範囲を拡張し、又一定額以下の零細な
取引高についてはこれを非課税といたしました。
先ず印紙納税の制度は、納税者にと
つて相当煩雜であり、
取引を阻害する場合が多いこと等の
理由により非難が多か
つたのでありまして、
政府は実施の状況等にも鑑み、この際印紙納税制度を廃止し、
現金による毎月の申告納税の制度に改め、以て印紙納税に伴う種々の手数及び帳簿の記載
関係等を簡略にすることとしたのであります。税率も軽く、且つ
計算方法も比較的、
簡單でありますので、申告納税制度によ
つて相当の成績を收め得るものと期待いたしておるのであります。
次に現行非課税範囲との権衡及び非課税にすることが財政
收入に及ぼす影響等を考慮しつつ非課税制度を若干拡張することとしたのであります。先ず徴税上の手数を省略し、且つ
経済力の弱小な零細な営業者に対しては課税しない
趣旨から、免税点の制度を設け、一ケ月の
取引金額が三万円未滿の営業者に対しては、
取引高税を課さないこととしたのであります。又新らたに理容業、簡易旅館業、配給される加工水産物主要食糧及び蔬菜、植物の種苗等の
取引等を非課税とすることとしたのであります。
以上申し述べました外、今回改正しようとする主要な点について申しますれば、納税を容易且つ確実ならしめるため、新たに納税準備預金の制度を設け、その利子に対して所得税を免除することといたしました。最近の徴税の実情等から考えまして、租税の納付を容易ならしめることに資するようこの制度を極力奬励して参りたいと存じます。就中、申告納税の所得税につき、この制度の活用を図り、以て円滑なる納税に努めたいと考えている次第であります。
次に揮発油税についてその大要を申上げます。
先には申し述べました
通り政府は新たに揮発油税を創設して、財政需要に應ぜしめることといたしたのであります。即ち最近における揮発油の需給及び
價格の状況等に顧みまして、
政府といたしましては、揮発油に相当の担税力があると認め、小賣
價格の從價十割の税率により課税することといたしたのであります。
揮発油税の
内容につき主たる点を申上げますと、本税は他の間接税と同樣、製造場又は保税地域から揮発油を引取る都度、引取人から徴收することといたしました。その他
輸出品に対する免税規定、精製等のため他の製造場へ移出する場合の未納税引取の規定、その他取締上必要な規定は、概ね他の間接税の例に依
つておるのであります。
以上各
法律案につきその大要を申上げたのでありますが、今回は原則として現行税制を据置くことといたしました結果、昭和二十四
年度の租税及び印紙
收入の総額は五千百四十六億円余に上り、総裁入中租税の占める地位は七三%となり、前
年度に比し相当増加しているのであり、この巨額な租税
收入を本
年度において確保いたしますためには、もとより多大の努力を必要とすると考えるのでありますが、これを確保することは、
経済再建の
基礎をなす財政收支の均衡を図り、インフレを收束するために不可欠の要請でありますから、この際全國民が租税の完納につき一段の努力をいたされたいのであります。
政府といたしましても速かに徴税事務の運営を刷新改善し、できる限り適正な課税を行うことに全力を傾注する所存でありまして、納税者各位の協力と相俟
つて租税の徴收効率の向上の実現されることを期待して止まない次第であります。今飜
つて我が國の現在の税制を檢討いたしますと、國民の中央及び地方を通ずる租税負担がすでに相当重く、且つ租度制度そのものについても現在の
経済情勢の推移に十分適應しない嫌いがあるのであります。先程も申上げました
通り、今回は差当り現行税制を原則としてそのまま踏襲したのでありますが、近い將來に成るべく速かな機会に税制全般について根本的檢討を加え、是非共税制の合理化を図り國民の負担を適正ならしめたいと考えているのであります。
何とぞ御
審議の上速かに賛成せられるよう切望して止まない次第であります。