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1949-10-10 第5回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月十日(月曜日)    午前十時一分開会   —————————————   本日の会議に付じだ事件 ○租税制度に関する調査の件   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。本日の議題は租税制度調査に関する件でありますが、シヤウプ使節團勧告に対しまして主税局長から本日も御説明を願うことにいたします。
  3. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 先回の本文発表に引続きまして、先般附録の公表が行われたわけでございますが、この附録はいずれも大体におきまして本文において言及した問題を、更に細部に亘つていろいろ細かい説明を加えたり或いは改正提案をしておるというのが大部分でございまして、特別に目新らしい事項は少いようでございます。細部につきましてはいろいろな角度から議論を盡し或いは改善勧告を行われでいるようでございます。從いまして私本日はむしろ余力最初に御説明申上げるよりも、若しも御覧になりました上で御疑問の点等ございますれば、それに対してお答えした方が却て適切でなかろうかと存じますので、さよう趣旨最初ちよつと御説明申上げたいと思います。  附録の方は地方財政に関する問題と、それから所得税におきまする変動所得と申しまするか、非常に年によつて所得が波を打つまうな所得に対する課税適正化の問題、それから税務行政執行面に対するいろいろな改善の問題、それから更に固定資産の再評價、この四つの問題に分ちまして細かい説明を加えておるようであります。  先ずこの地方財政の問題につきましては先般もちよつと申上げたのですが、成るべく仕事の上におきまして國と府縣市町村のそれぞれのフアンクシヨンと申しますか仕事はつきり分けで、責任の所在を明らかにしてやつた方がいいのじやないかということを相当強調しているようであります。例えば教育のことでありましても国立大学は國でやるなら國が責任を持つ、高等学校府縣がやるなら府縣が全責任と持つ、六・三制は市町村がやるなら市町村が全責任を持つ、そういうよう仕事の分担と申しますか、それを明らかにしてやつて行く。そうしてできる限り國民の第一義的な福利の増進を図るよう仕事は、成るべく先ず市町村にやらせる、市町村でできないようなものを府縣にやらせる、府縣で更にやることの適当でないようなものを國でやるというよう行政配分をするという、相当徹底した地方自治尊重という建前から議論が行われているようでございます。それに伴いまして勿論税の配分につきましても前回申上げたように、各税をそれぞれ縦に割りましてはつきりさせた方がよいだろう、こういう考えであります。そういう趣旨からしましていろいろな具体的な方法等につきましても提案いたしておりますが、なかんずく平衡交付金の配り方の基本的な方法につきまして一應の基準を示しているようでございます。即ち各地方團体行政に必要な最低経費から、その地方團体が特定の標準税率により徴収し得る総秘収入を差引いた残額を地方團体に分ける。從つて一定限度最低財政需要までは各独立税で賄い得ない場合は交付金で補給してやる。こういう考え方ようでございますが、こういう考えからして一挙にはよい案はできないかもしれないけれども、徐々に理想的なものにして行つたらどうか、そういう考え方ようであります。そういう点をちよつと具体的にいろいろ議論しているように私は思います。それから所得税変動所得の扱いにつきましては、これも相当細くございますのでこれは詳しく申上げられませんけれども、譲渡所得漁業所得山林所得著作家等印税所得退職所得、一時所得、こういう所得につきまして五年ないし二十年、山林所得は二十年に均分しで課税するというよう提案でございます。これは理論的に非常に筋を追つた説明ようでございますが、実行上は相当調節も必要でありまするし、又向うも調節しても妨げないということであります。要するに年によつて非常に変る所得につきましては或る年に固まつたものに、累進税率等の関係で無理を來さないように平均して課税したらどうか、その場合に課税方法について相当細かく議論いたしておるようでございます。これは理想論から申しますと尤もなところも多いのでございます。ただ課税の実際の便宜ということを考えますと、納税者の方から考えましてん或いは役所の方から考えましても、相当調整余地があるのではないかと考えられます。相当理論的に考えた案が提案されておるようでございます。  それから次は資産評價の問題でございますが、これも大体前回本文発表になりましたものと大差ないわけでございまして、ただ物價指数資産種類によつてどういうものをとつたらいいか、その点いろいろ議論があるようでございます。  それから一番大きな問題は、最初本文発表では明らかになつておりませんでしたどころの、いわる陳腐化といいますか、訳語はなかなかいいのが見つかりませんがつまり資産自体が古臭くなつたとか或いは経済情勢の変化によつて余り役立ち方が少くなつた、そういう、いわゆるオプソリエートした資産については、取得價格から減價償却を引いた残りに対して、課税率を一律に乗じて出しました第一基準價格から相当の低減を認めてもよろしい、認めた方が妥当である、こういうよう考え方を明らかにいたしております。この辺はなかなかむずかしい問題でございまして、私共もできるだけ現在の資産の客観的な價値というものを設定いたしまして、それによつて再評直する、その際にこういう問題も十分考慮に入れてやつて見たらどうであろうか。成るべく委員会基準等相当詳細に設けまして、公表しまして、その基準に感じまして各企業自己責任であくまでもやつて行く、それによつて出て來たものについては成るべくそれでやるというような行き方をとりますれば実情に即するのではないかと考えておりますが、そういう考え方につきましても認める余地を残しておるようであります。委員会機能等につきましても、その詳細を研究いたしておるのであります。  それから最後に税務行政面に関するいろいろな問題につきまして提案いたしておりますが、やはり一番基本の問題は、帳簿をつけさして青色申告書を出させるというところに最重点を置いておるようでございます。それで予定申告につきましては一應前年の実績以上で申告して貰う、以下に申告する場合は証明書を要するということによつて、極力課税をする中間における簡素化を図ると同時に、他方におきましては少くとも前年の実績までは予定申告によつて納税額を確保しよう、こういう考え方ようであります。その際に経済が一般的に変動した場合におきましては適当な調整率を設けて、前集度の二割、三割、五割増、或いは一割、五割引とか、そういうよう調整率を設けることも考えておるようであります。大分経済の安定に近く参つておるよう状態でございますが、こういう制度一つの有力な方法ではなかろうかと考えております。そういう点が一番基本的な点ではなかろうかと思いますが、成るべくやは。納税者所得に関する事実を明らかにして、税務官廳はその事実を記帳等によりましてよく調べて決定する、適当な推定課税というようなものを、これを最小限度ならしめる、こういう方向基本を置いているように思います。それをやりまして初めて理想的な所得税がうまく行くんだ、これをやらないで本当の所得税決定はできない、むしろそういう方向に極力行きまして、所得税における理想的にして、税の適正な裁定の中心にしろという、こういう考え方ようであります。それから源泉徴収ですが、農業所得源泉課税につきましても一定の方式を勧告しているように思います。  それから今一つは、この所得税の適正な裁定のために必要なる場合は、やはり税務官吏調査権限、それから銀行預金或いは無記名債券その他につきましても、やはり経済に恐らく著しき変動を與えない限りにおいては極力適正を期すべきだという、こういう考え方ようであります。それで相当この辺はきつく勧告しているようでありましで、銀行預金、無記名債券等でやはり税の逃れを認めて置くということは、租税の公平の原則に反する、ただ單にそれだけで歳入にロスを來たすからというだけの問題だけでたくして全納税者納税心理に影響するところが多いから、そういう途は塞いで置かなくちやならんということを相当強調しているようであります。従いましてそういう見地から徹底的な調査を行うべきだということを強く主張しているようであります。と同時に国体の諮問等にうきましては納税組合ですかつまり一旦決つた税額を各納税者が貯金をして、そうして納税を容易ならしめるようたこういう團体差支たいと言つておりますが、それから賦課とか最低税額の決ることについて直接團体を千與せしめるのは、これは非常によくないという意見ようでございます。  異議の申立その他につきましても、責任のある特別の協議團と称するコンフアランス・グループ、これはアメリカにもあるのでありますが、そういう特別の官吏を置きまして、そこで調べる、それで尚分らない場合はむしろ訴訟等によつて解決した方がいいのじやなかろうか、適当に第三者が入つて妥協して話をうまく纏めさせるというよう考え方方法は好まない、適当じやない、恐らく合理的でない、こういう考え方であろうと思います。そういう基本的な考え方に立つているようであります。従いまして訴訟等につきましても今後は相当あることを予想しまして、裁判所の機構等につきましても適切な改正を加えたらどうか、こういう考え方ようであります。  尚追徴税とか延滞利子につきましても、現在の安定した状況におきましては大体三分の一に下げたらどうか、こういう提案ようであります。それから追徴税は今遅れますと、一率に二五%となつておりますが、これは少し期間に應じまして一ヶ月遅れる毎に累積して行くという方法に変えたらどうかと言つております。  その他細目につきましてはいろいろございますが、いずれも相当詳細に附録に一々掲げてございますので、むしろ平面的な説明は必要でなかろうかと思います。一應私からそれだけ申上げまして、むしろ御覧の上で御疑問の点がございますればお答えした方がよいのではないかと思います。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたらば御質疑を願います。
  5. 黒田英雄

    黒田英雄君 税務執行行面のものですが、「申告書は秘密とする。但し二十五万円超の所得者については氏名及び所得額税務署に掲示し一般の閲覧に供する。」とありますが、二十五万円超なんというのは大部これは多いだろうと思うのですが、一体税務署にどれくらいあるものですか。これは余り金額は少し低きに過ぎはせんかと思うのですが、どうですか。
  6. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) その点は一應目安をしておるだけだろうと思いますので、私共もよく研究して決めたいと思いますが、二十五万円は少し低過ぎるのではないかと思います。
  7. 黒田英雄

    黒田英雄君 二十五万円というのは多いでしよう
  8. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 大都会は相当ございます。田舎では余りないですね。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の問題に関連してでございますが、何か新聞に傳えるところによればシヤウプ勧告によると三十万円、累進税率最高三十万円超ですね。それで五五%ということになつておるが、政府は百万円超で五五%というようなことを考えられておるように傳えられておるのですが、そういうようなことによつて來ると、自費に二十五万円おいうのは何万円とか何かそういうところへ上げるべきもののような氣もするのですが、そんなよう程度に全額はいずれにして相当上げるべきものと考えていいのじやないですか。
  10. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) さような問題につきましては目下研究中でございまして、そういうことにも調節を図つて決めたいと思つております。
  11. 木内四郎

    木内四郎君 この再評價の率の問題、これは各資産種類などによつて適当なる率を委員会などで決めて、それに自主的、各会社その他において申告するようにしたらいいんじやないかというお話であつたのですが、この再評價の率、或いはその適用について相当幅があるというようなことが新聞に傳えられてもおるし、勧告を見ると余り幅がないようにも思われるのですが、そういうところはどうでしようか。
  12. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは理論的に申しますと幅はないということになつております。たださつき申しましたよう陳腐化の問題と申しますか、つまり設備幾ら値打があるかということの問題ですが、これは客観的には飽くまで一つ物差しかない筈だと思うんですが、併し判断の仕方によりまして果して幾ら値打があるか、或いはどれくらい設備が古くさくなつておるか、或いは将來は本当に収益力を挙げ得る可能性があるかということになりますと実際上相当幅があるかというようなことになるかと思います。その場合極力筋道を立てて実際に即するようにやつて行きたいと思つております。従いまして、例えば或る会社帳簿價格は一千万円になつておるが如何なる点から見ても一億円の値打がある、収益力からいいましてもそれから亦一定物差からいいましても、今後の稼動状況からいいましても、國際競争の点から考えましても一億円ならいつでも誰でも飛びついて買う人がある、こういう場合におきまして自分としては将來の経営上低評價して置いた方が企業が樂だと、再評價は一千万円のやつを二千万円にして置こう、こういうところではつきり來られたらそれは罷りならん、それはやはり一億円に再評價することになると思いますが、ただ一億円である、八千万円であるか、一億二千万円とか、率直にこう評價してよいか、むずかしいんです。一定の幅におきましてはその中における基準に従いまして企業を再評價して置くという場合におきましては、それはこういうよう意味ですが、実際上は幅をなくしようとしても実際或る程度幅があると思います。さよう意味考えております。
  13. 木内四郎

    木内四郎君 主税局長のお考え、非常に実際に即した適切なお考えだと思うんです。資産の再評價にあつてはそうあるべきだと思う。勧告では形式的に一定の物價指数のあれで書入れろといつておりますが、それも文字通り解釈すると今おつしやつたような幅がないように思われるのですが、それは実際の適用に当つて本当に実情に即して、局長の言われたような、それが適当だと思う。私達はもともと再評價は、主税局長の言われたよう実情に即して、併し過小の評價を故意にやるというようなことはいかんが、この実情に即してやるべきものだと思つてつたんですが、是非一つそういう方向にやられることを希望したいと思います。
  14. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 尚ちよつと附加えて申上げますが、再評價で六%、課税することになつておりますので、相当一流の企業としてはどうも低評價したらどうかという気持があるようですが、ただ来來若し收益があるというような見通しさえつきましたならば、これは再評價をやつておいていい。將來は再評價によつて減債消却の差によりまして三五%の法人税が取れる。差引六%、その六%プラス金利とそれから三五%この開きが結局軽減になるわけでありまして、企業としましては、従いまして税の面から行きまましてもできる限り自分が実力があると考える限りにおきましてはやつて行く方が得であります。又勿論企業自体建前からまいりましても、適正なところに評價して消却して行かないと將來資本の鋳潰しを來たしますので、そういう点からしましてもやはりむしろこの際過大評價はいけませんが、適正な評價を各企業が実勢に應じてやるということが、企業の維持或いは経済の今後の誰持発展という見地からもまあ極めて必要なことではなかろうか。そという点が非常に勧告ではロジカルに合理的に考えられておりまして、ちよつと日本経営家における実際の感じと違うように思いますが、併し眞面目に考えて見ますと、相当やはり將來單に低く評價しておくというよう考え方ではどうも正しくないような点が多いということを考えております。これだけつけ加えて置きます。
  15. 木内四郎

    木内四郎君 資産の再評價に関連しても、会社資産は私共は株主のままでやつておいて、それを再評價した場合に適当な機会には資本に繰入れてしまうというようなことになると思いますが、シヤウプ勧告によると相当期間棚上げをして置かなければならんということが書いてある。この棚上げについてもこれは相当厳格なものですか、如何ですか。
  16. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは五年後におきまして、会社の正峠資産が本來の拂込資本金とそれから今度の評價しました特別積立金とを加えました額が十分あると考えられました場合に驚きましては、当然資本化が認められざるを得ない株式配当となる、こういう趣旨であると思います。それで五年間は先般も申上げましたように一遍に拂込資本金プレミアムが減りまして通常増資がしにくくなる。通常増資によつて日本の事業は相当資金増資をする必要があるのではないか。それからもう二つは消却負担が殖えると同時に配当負担も殖えて來る支拂の利益、これもなかなか解決がむずかしいのですが、それから会社利益が将来いつかは株主に帰属することは間違いないのですけれども多く配当されるといううなことは、投資の奨励助長というようなことから如何かと思われます。こういう点が考えられます。五ケ間だけはやらないということになつたので、その前におきまして正集資産が本当にあるという場合においては、十分資本化が認められるとこういう趣旨であります。
  17. 木内四郎

    木内四郎君 今主税局長の言われたところは誠に尤だと思いますが、今日企業資本を集めることは非常に困難であります。金融機関も貸さない。だから自己資本によつて調達しなければならないところが非常に多いのです。そういう場合には勢い株の値段が相当なところまで上つて行くということにしなければならん。今のように下を向いて行くということでに企業資本を集めるということは、非常に困難だと思う。むしろこの前に成るべく速かに資本化さした方が資金を集めるに却つて都合がいいのじやないか。その辺の兼ね合いがむずかしいところであると思います。余り長い間はいけない。殊に会社の物になつておりまして、株主の物ならば所有権の問題もありまして、これは憲法上の問題も関連してくるんじやないか。根本的に言えばこれに余り厳重な制限を設けることは適当じやないのじやないかと考えるのですが、どきすか。
  18. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは確かに今まで私共も議論をしておるのでありまして、いろいろ意見はあると思いますが、ただやはり資本化しますと、結局プレミアムがそれだけろくのが少くなるのでございます。それをおのずから会社に委しておけば或程度プレミアムを置く程度にして資本化するから、全部は資本化しないでいいではないかという議論もありますが、まあ一般的に資本化する傾向が激しくなつて、その結果プレミアムが減りまして、普通の増資がむずかしいなんということになりますと、資金が集まらないで拙いと思います。まあこれは暫らく認めないという方が適当ではないかと思います。この点は大いに各界の御意見もあることと思います。
  19. 川上嘉

    川上嘉君 この最初に書いてあります目標制度の廃止というのですね。この目標制度というのはどの範囲のことを言うのでしようか。從來の例からしてですね。
  20. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは別に法制上に制度があつたわけではな、いのですけれども、実際上非常に徴税が。ヒヂにな、りまして、而も経済が混乱しまして、税務署にも大まかな何を與えた方が多ぐ取れるし、又黄人もそれによつて可能であるというので、昭和二十二年度と三年度各混同ですが、各税務署に少くともこれ位の収入が努力すれば上がるのじやないか、大いに努力して貰いたいと、勿論私共税は税法によつて徴税すべきもので、目標によつて徴税すべきものではないが、ただ大体の努力の目安とじまして、そういうものを指示して來ましたことは前に申上げた通りであります。そういうよう方向は避けて、飽くまでも個別的に各納税者と取組んで、正しく申告をせしめ、徴税をするという方法で専らやる方がいい。全体としまして税務署がどの位の收入が上つておるかということによつて、あまり成績が好いかどうかというようなことを判断にするのは差控えた方がいいと、こういう意見です。
  21. 川上嘉

    川上嘉君 そうすると税務署単位に大体の目安を掲げたというのですね、税務署に対して……
  22. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) そうです。
  23. 川上嘉

    川上嘉君 そうしますと、例えば医業所得とか、或いは料飲、こういう一つの業態に対してこれを調査して、前年度の大体七割増加、二割増加と、こういう工合に持つて行くのはやはり割当ですか。目標制度になるわけですか。
  24. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それはここにいういわゆる目標制度とは別ではありませんか。
  25. 川上嘉

    川上嘉君 別ですね。
  26. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 大体理想は個々の納税者が帳面をつけるのが必要でありまして、実際上それによつて徴税するのが至当で、そういうようなことには標準率制度をできるだけ合理化してやつて行くと、こうい方わけであります。やはり一種の止むを得ない方法としまして、一種比較権衡によつて課無します場合には、お話通り業者間の一定のものを個別的に取つて行く必要があるではないかと思いますが、これはもう多年やつておるので、ただできるだけそういう方法によらずして、各納税者別記帳させまして、記帳によつて査定して行くというのが理想であつて、成るべくその幅を廣くしようということに努力すべきだと思いますけれども、全部標準率によつて一種見込課税、或る程度調査更正決定をするという、そういう制度を全部撤廃するわけに行かない。そういう場合には、一定開き考えまして適正な査定をして行くようにして行かなければならんではないかと、かよう考えます。
  27. 川上嘉

    川上嘉君 記帳するということは將來のことで、実際においてはそれは行われていない、現在の実情では。それで大蔵省と、ては大体同じ業、料飲なら料飲一種所得ならば一種所得について、その業者に三割程度実額調査をしろという方針で進んでおりますわけですね。そうすると、三割程度実額調査だけでも困難であるという状態である現在においては税務署の体制から見て、機構や人員の問題から三割の実額調査さえも困難である場合に、最近通知が出ていますが、あなたの序言は大体十八万と申告しておるけれども、税務署調査した結果は左の通り二十五万なら二十五万、三十六万なら三十六万と申告すべきものであるから、だから来る何月何日判を持参して役所へ出て来いということを言つておりますね。本人が十八万と申告したにも拘わらず、税務署で大して実額調査もしないで三十六万と申告しなくちやいけないのだから、幾月幾日までに來いというのはどういう工合に解釈すべきでしよう割当とは解釈できないのですね。
  28. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 將來はこのシヤウプ勧告の線に沿いまして、理想的に運営されるよう段階になりますと、お話ようなことは実際上はなくなつてしまうということになると思いますが、現在の段階にきましてはお話通りなかなかさようなわけには参りませんので、或る程度調査に基きまして納税者申告を促すという、それだけの意味しかないと考えそおります。それに基きまして納税者話合つて、話がつかなければ更に調べて税務署更正決定をやる場合もあろうかと思いますが、そういう方法も場合によりましてはいたし方ないと、かよう考えております。更正決定にあらずして、一種申告の促進と申しますか、そういう意味のものと御解釈願いたいと思います。
  29. 川上嘉

    川上嘉君 そうしますと今のはどこまでも目標制度でも、まあ公式の目標制度とも解すべきものじやないわけですね。今のような場合には申告を促進するという言葉を使うべきであつて、これは別に目標を掲げるべきでもない、割当でもない、そういう強制的なものじやないわけですね。
  30. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これだけ税務署の調べたところによりますと所得がありそうですから、ですからこれだけ申告して下さいというのは強制でも何でもない、申告して貰つた場合に税務署で更に調べるか、或いは今までの調査に基いて正規の更正決定をする、そういうことになつております。
  31. 木内四郎

    木内四郎君 今のに関連するんですが、この問題は今度のシヤウプ勧告を通じての根本の大きな問題だと思います。シヤウプ勧告は、納税者は正確に帳簿をつけて正確に申告する、税務署の方は正確な調査ができるという建前で正確に申告して貰う。正確に申告しないものは、税務署調査することなしに更正決定できないということですね。そういうことは今の税務機構でできるのですか、私は非常に結構なことだと思いますが、できないことじやないかと思いますが、どうでしよう
  32. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 私も、一挙に、一遍に理想状態に達するということはなかなかできないと思います。それは報告書自体も認めておるようでありますが、結局そういう方向に行つて初めて所得税理想的なもの北なるし、又或る程度の時間をかけたらできるのじやないかという、こういう見通しです。従いまして帳簿の様式でつけて、一定のときまで自分はこの帳簿をこういう政府の定めたる様式によつて記帳するのだということを申立てさせるわけですね。
  33. 木内四郎

    木内四郎君 宣誓するんですか。
  34. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 宣誓は何ですが、それで出て來ますと申告を任して置きまして、その申告を出して來た人は必ず申告帳簿によつて記帳して申告して貰わなくちやならんし、それからその申告を否認する場合はその帳面を調べた上でなければできない。従いましてこれは各納税者が全部出して來ましたらなかなか大変なことになると思いますが、そこはおのずからやはりタイミングが合いまして、最初のうちは何割出して貰いますか、そう全部の人にも限らないとは思つておりますが、併し一方におきましては予定申告制度につきましては、大体從來の実績以上で納税せしめておくということは大分安定して來ましたし、或る程度運用ができるのじやないかということを考えますと、若干調査が遅れましても相当な歳入を確保できるのじやないか。従來のよう状態の下におきましては、実施しよう思つても恐らく今度のこういう制度ではできないと思いますが、最近のよう状況でございますと余程こういう制慶で実施しやすくなつておるのじやないか。一挙に一遍でうまくやろうということは考えにくいと思いますが、何年か経つと大体この方針に持つて行く、それを目安にペストを盡して行きたい、かよう考えております。
  35. 木内四郎

    木内四郎君 主税局長から將來そうしたいという御希望は御尤もだと思います。若しそうできれば非常に結構だと思いますが、今日の納税思想ですね、又税務機構から見て非常に困難じやないかと思いますが、御検討を特に希望したいと思います。これに関連して、今予定申告お話がありましたが、予定申告については申告全体について、又課税については源泉徴収する給與所得は正確に板られておるが、他の方は取られてらんということでシヤウプ勧告も言つておるわけでありますが、源泉控除の給與所得の方は源泉において一定の金額を控除されておるので、確定申告のときに調整しても大した差がない、確定申告のときに納めることにしても大して徴収の方が遅れるというようなことにはならないんじやないか、極く少額のものが遅れるだけじやないかと思います。シヤウプ勧告でも給與所得の方は非常に正確に把握されておるというような点から見ると、給與所得については予定申告をやらないで、確定申告だけにされたらどうかという氣がするんですが、その点はどうでしようか。
  36. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 給與所得については実際上は九五%まで源泉だけで行つておるわけでありまして、大所得だけであります。いろいろな方面から收入のある人、そういうへだけに予定申告をさせる、こういうわけでありまして、数から行きますと少いですけれども、併しその人の納税額から行きますと相当な量があるわけでありまして、特に予告申定を止めた方がいいんじやないかと考えるのでありますが、如何でございましようか。却つて或る程度予定申告で止めて置いた方が確定申告の際にもいいといふことにもなりますが、ただ実情は殆んど源泉納税義務者の九五%までは申告は要らんわけであります。
  37. 木内四郎

    木内四郎君 主税局長の言われることは御尤もな点があると思います。九五%まで予定申告は要らない、一所からだけ受ける人は要らないが、外からも入る人は合せてどのくらいの金額までは要らないということにならないと、非常に数が多くなると思います。そういう意味を含めて言つておる、そういうことであれば結構です。
  38. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) そういうことです。
  39. 川上嘉

    川上嘉君 このシヤウプ案全体を眺めて、如何にして公平に課税徴収するかといつたような税制面上については相当苦心を携われた跡があるんですが、これを如何に運用するかという運用の面においては、それは余り考慮されていない。言い換えますと税金を納める側の立場の人達に相当響いておるが、第一線で賦課徴収の事務に携わつておる人達の苦労というものは余り取上げられていないので、こういつたところに大きな欠陷があるんじやないかと思います。これは勧告の中で税務行政において適当な訓練を受けた者の数は十分でない、こういうことをはつきり言つております。併しこのような者の募集訓練の詳細は使節團の研究の範囲外である。かようなことを勧告しておりますが、その中で更に税務官吏の訓練の向上を達成し得ないと考えたなら、この勧告案とは全く違つた租税制度勧告したであろう、こういうことを言つております。して見ると後に残る問題は増員の問題とか、或いは税務職員の素質の向上の問題とか、或いは内部におけるいろいろの体制の問題は、これは当然に相当細かい用意が主税局あたりでもなされておる、かよう考えるんですが、この人員の問題とか、更に素質の向上の問題について具体的な案がありましたら一つ発表願います。
  40. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) お話ように、非常に理想的な税制は、一面においては納税者の協力という、言葉は少しどうも必ずしも適当でないけれども、コンプリヘンドという言葉を使つておりますが、税制自体をみずから護つて運用して行こうという言葉だろうと思いますが、そういう態度がなければならない。そのためにいろいろな制度考えているということを非常に強調しております。と同時に併し皆人間である、神様ではないので、税務官吏も大いに素質のよい相当税務官吏を備えて、その実施がよくなければ、理想的な運用ができないということも強調しておりますととは御指摘の通りであります。それにつきましてどういうような者を税務官吏に採用して行くか。訓練にも極力重要性を置かれてあるべきだといつたようなこと。それから今の進級制度を、もつと仕事の能率と関連して、本当の意味の能率給的、本当の意味理想的な職階制度、そういう制度の確立が必要であるということ。それから給與につきましてもやはり仕事に應じた給與を拂わなければならないということ。勿論悪い官吏に対しましては徹底的に査察官等による措置が必要であるというようなこと。それから全体として今の職員は少し足らないようであるから殖やした方がよいのじやないかという観測をいたしておるようでございます。余り税務官吏の数を増加することは厭がるけれども、併しこれを厭がつたら一文の收入も取れやしないというような話も出ておりますから、そういう点につきましては相当使節團が重要性を置いて考えておるようでございます。でありますからこの具体的にどうするかという問題はむしろ相当細目に亘りますので、大藏省としましては、來年度予算との関係もございますから、人員整備の問題は、全体の官吏の人員をどうするかというような問題もございますので、そういう問題と総合して研究しまして、でき得る限り妥当な結果が得られるような案を目下折角研究中でございます。
  41. 川上嘉

    川上嘉君 この増員の問題について相当考慮されておるわけですね。
  42. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) まだ今日の段階は研究しております程度です。
  43. 川上嘉

    川上嘉君 研究中ですか。
  44. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) はあ。
  45. 川上嘉

    川上嘉君 それと、さつきの問題に又帰りますが、シヤウプ勧告によつて税金は相当安くなるのだ、こういう工合に一般國民考えて來た。ところが本年度の税金において、勿論来年の税金においては、一千余億という現金が安くなると思いますが、本年度二十四年度の税金においてはちつとも安くならない。そうして安くなるのだと思つて、而も内容を見ても相当いろいろ安くなるのだと考えているが実際においては安くならない。又割当も廃止するのだというが、実際において只今先程申上げました申告の促進と主税局では解釈しておる。そういつた内容のものを一般納税者はこれを割当てだ、こういう工合考えでおります。割当制という目標制度という性格が、我々が税務署単位割当てただけじやなくてそういつた細かいものまで割当てたというふうに解釈しておる。従つてこういう点についてこの際早急に対策を立てなければいかん、かよう考えております。実額調査についても現在の実情では、先程申上げた通り、全体の三割以上の実額調査をやるという目標を立てておるがそれさへもできないという現状である。して見れば速かに現在のこの税務についてもいろいろ体制と申しましようか、そういつたことについての白書とでも申すべきものを政府は速かに発表すべきじやないか。税金はちつとも安くならない、大して安くならないのだということと、目標制度の見解はこういうものであるといつたようなことをはつきり書かないと、これは大変な問題が起きると思うのです。こういつたことに対しての主税局長の見解を一つ発表願いたい。
  46. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 実はシヤウプ勧告はまだ勧告段階でございまして、これが法律化されまして実施されなければ、実際の負担には響いて來ないということになると思いますが、目下その実施につきまして法律案その他折角鏡意研究中でございますので、今直ぐにも、発表になつたから安くなるのだというようなことを世間で誤解されだら大変なことになると思いますので御了解頂きたいと思います。私共できるだけ、勤労所得税は來年の一月の課税の際に軽くなろように、或る程度今年もできるように目下鋭意努力中でありますが、本年度予算は、何といつても本年のドツジ原則による厖大な租税の徴収という問題がありまして、これとこんがらがつておりますけれども、そこはやはり分けて判断して頂きませんとなかなか簡單には行かない問題でないかと考えております。いろいろな制度改正なり或いは運用の改善等もあり、勧告があつたから一挙にすつかり明日から変つてしまうというわけには参らないのではないかと思いますが、さような点は経験の深い川上さんお考えの上で、適当に啓蒙して頂きたいと思います。
  47. 木内四郎

    木内四郎君 社債類ですね、ああいうものは全部登録を強制するという趣旨ですが、一体各國の税制でそういうものはありますか。
  48. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) フランス等には何か大分そういつた制度があるのではないかと思います。登録制についてはフランスでは大分話を聞いております。英米ではどうなつておりますか、アメリカでは免税になつているようですね。アメリカでは地方債の一部と国債の一部が所得税は免税されているが、これには課税すべきだという意見相当強く出ているようです。これは免税点には関係がなく免税されているものはやはり適当な方法を考慮中だということです。
  49. 木内四郎

    木内四郎君 登録ということは全部記名式ということになるわけですね。
  50. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) その辺はもう少し研究したいと思います。株式の免税点についても、日本実情で一ヶ月以内に必ずやらなければならないと思いますが、なかなか問題がありましてその辺のところは今具体化について考え中であります。
  51. 木内四郎

    木内四郎君 銀行の預金はすべて無記名を止めて元通りにするということだから、大しだことはないと思いますが、銀行の預金に対して税の課税されることも或いは仕方がないが、社債を全部記名とするという、或いは株式を一ケ月前にやらなければならんというようになるとすれば、これは一面シヤウプ勧告資本蓄積ということを重んじておられるようだけれどと、反面においては全体から見るとむしろ日本資本蓄積の場所にならないで、日本から却つて逃避するようなキャピタル・フライトを結果すのではないか、外資を導入するどころでない、逃避という結果になるのではないかということを全体の印象から考えられますか。
  52. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは課税のための必要性から見れば、社債の流通なりその他に非常な障害を與えるというようなこと、これはできるだけ避ける方法を講じたらいと思います。ただ税金を拂わない、脱税の途を與えて置いて、そのために資本が集まるというよう考え方は、これは断乎排撃すべきだという意見です。その代り表から税率を軽くするという、税率は余り無理のない税率にして置いていいが、併しながら納めなければならんようなことになつている限りにおいては、すべての人がやはり秘法通り納めて貰うようにすべきだと。ここに或一つの間隙を作つて置いてその面から資本の蓄積を図るということは反対の意見ようです。ただ税制のために、仮に株式の流通が阻害されるということになると、これはなかなか意見があると思いますが、そういう点において調整を図るということは考えております。
  53. 木内四郎

    木内四郎君 これはシヤウプ博士の考え方は確かに一つの理由があると思いますが、今度の実際運用について、同時に富裕税という制度があつて、これは純資産五百万円以上ということになつておりますが、それに関連して二百万円以上の人は、全部財産の目録バランス・シートを毎年出さなければならんというようなことである、すべて手のうちを税務官露に出さなければならんということになれば、年々の所得税務官吏が把握してこれに対して課税する、この所得に対して税金は逃れるということは適当ではないが、これはすべて何もかにも二百万円ぐらいの財産をこれとこういうものがあるというのがすべて表へ出さなければならんということは、これは全体の制度から止むを得ないかも知れませんけれども、どうも資本の集まる場所としては適当でないような氣がする、そういうところはどうですか。
  54. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) その辺は恐らく秘を適当にやつたために財産が殖えるとか、或いは事業がうまく行くと、そういう考えに対しては徹底的な反撃を加えているようであります。その代り税制自体が極力税を納めても成るべく事業活動の健全な動き方に直接悪影響を來さないような、仮に累進課税をいたしましても、そういう考え方を取つた上で税制は飽くまでも税法通り納税者は納めなければならん、不当にうまくやつたから非常に膨らんだ、そういう余地はなくしよう、こういうよう考えが一貫して強く流れておりますことを御参考に申上げて置きます。
  55. 木内四郎

    木内四郎君 脱税したために不当に膨らむということは私は適当でないと思います。年額純資産二百万ということはシヤウプ博士は爲替相場で云々することは適当でないということですが、昔ならば一万か一万五千円の資産でして、その人がすべて財産を洗いざらい税務署申告しなければならんということは、如何にも日本は敗戦國で情ないあれであるけれども、そんな小さいことになつてしまつて余り情ないような氣がするのであります。如何ですか。
  56. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 頭の程度は僕はそうやかましく固執するはつきりした意味はないと思いますが、その辺は一つ日本の情勢に應じまして適切な制度にしたらどうかと思います。基本のプリンシプルはむしろ重くしなければならんところを表から軽くしてしまつた、税法は税法としてきちんとしたものを納めるようにしろ、そうやらなければ税率ばかりを高くして潰れてしまう、うまく免れたものはそれでぶくぶく太つて行くのでそういう制度を残して、たのでは外の納税者から文句が出て税の徴収はうまくできない、運用含みでよろしくやるということは相当きつく排撃されておるようであります。御参考までに申上げて置きます。
  57. 木内四郎

    木内四郎君 シヤウプ博士の趣旨は分らないことはないのだが、所得の点は、富裕税に関連して或いは財産の申告に関連して、非常に資本の蓄積に害があるのじやないかということを恐れる余りにこの質問をするのでありますから、全体の仕組について篤と一つ主税局長の方でお考え願いたいと思います。
  58. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 二百万円以上の資産所有者としてありますが、この資産というのは何を指すのですか、有償証券とか或いは預金とか或いは家とかを指すのだろうと思いますが、ところが大概の家では什器なんか、今の相場にすれば百万や二百万、掛物一本でも百万くらいするのが相場です。それで税金を取られたら食つて行くことはできない。それに対する御当局のお考えはどうでしようか。
  59. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 富裕税の課税標準は、あらゆる財産からあらゆる債務を引いた純粹な資産でございます。
  60. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 それは什器も言うのですか。
  61. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 営業用の物は原則として全部入ると思います。ただ身の廻り品はこれは常識問題で、或る程度除外しようかと思つております。
  62. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 我々の家に棚があるとか箪笥があるとかというようなものは、資産に入らないというのですか。
  63. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) その辺は研究問題でございますね。その辺はもう少し実際を調べた上で妥当な額を決めたらどうかと思つております。
  64. 黒田英雄

    黒田英雄君 その内容は、不動産ばかりでなく、動産までもすつかり入るのかということですね。
  65. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 理論上骨董品などは当然入るべきでしよう。ただ身の廻りの洋服とかそれを今闇で買えば相当高いのを見積るのは非常識ですから、少し考えて見たいと思つております。骨董品は是非入れなければならんと思います。入れないと預金が骨董品に逃げてしまいますから。
  66. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 この眼鏡一つでも百円ばかりでなぐ三千円も五千円もする。又この時計一つでも……
  67. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) ですから財産税も五百万円を超える人から課税するというのです。五百万円になりますと、なかなか及びそうがない人が多いと思いますが、併しその他に簡單な身の廻り品等はどうするか、これは研究問題であると思います。
  68. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御質疑はございませんか。御質疑がありませんければ、本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないようですから散会いたします。    午前十一時五十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            玉屋 喜章君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            小川 友三君   説明員    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎