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1949-09-26 第5回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月二十六日(月曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税制度に関する調査の件   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。本日の案件は租税制度調査に関する件でありますが、シャウプ博士勧告に対して主税局長から御説明を伺うことにいたします。
  3. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それでは私から最初に若干御説明申上げまして、むしろ御質疑を交換して頂いた方が有効だと考えられますので、さような趣旨最初に若干申上げて置きたいと思います。総体的なことは前回すでに大臣からもお話がありましたし、大体御了承のことでありますので、むしろ本日は若干細目の点につきまして御説明申上げます。そのために本日資料としまして、お手許に「シャウプ税制使節團勧告現行法との対照」というものをお配りいたしました。それについて若干御説明申上げます。細目でございますから、この順序でポイントだけを御説明申上げます。  先ず第一頁の所得税のところからでございますが、基礎控除については多く説明する必要もなかろうと思います。大分詳しい考え方をミッションの報告書に書いてあるようでございます。それから扶養控除につきましては、先般申上げましたように、今までの税額控除所得控除に改めた、この結果中等位所得者におきましても、扶養家族の多い人と少ない人との間に非常に負担開きができて来ておる。現在は独身者家族の多い人との負担開き現行税法においては少な過ぎるので、もつと幅をつけた方がいいのじやないかという考え方から、所得控除に改めるということになつております。それは負担は現在に比べまして開きが相当大きくなります。例えば今の税法でございますと、十五万円の所得者であつた場合、独身者は二万七千六百円、扶養家族四人の場合は二万四百円、僅か七千円の開きしかないのでございますが、今度の税法によりますと、独身者は二万四百円、四人になりますと一万三千二百円ということになります。約一万四千円程の開きが出て來るというので、家族の多い少ないによつてもつと所得税負担開きをつけるべきだということでございます。  これは簡単な課税のようでございますが、相互負担関係はこれによつて著るしく変るということに御留意願いたいと思います。  それから範囲を拡張いたしまして、同居や何とかいう條件は必ずしも必要といたしませんで、要するに生計費の半額以上を或る納税者から補助を受けておる場合におきましては、もう一切その人については扶養控除を認めるということになります。從つて学生等も勿論認められますし、その他親族でさえあれば、誰でも生計費を半分以上出して貰つている場合には控除できるということに相成ります。  それから又農家商工業者で親父と一緒に仕事に從事している成年者も今後は控除できるということになります。從いまして扶養控除範囲從來に比べますと著るしく拡張いたしまして、從來はやや形式主義でしたが、今度は実質主義で行きますから、実際上の無理な点は殆んどなくなつてしまうということに相成ろうかと思います。  その次の勤労控除でございますが、これは二・五%を一五%に切下げるということでございますが、これは單に切下げるという趣旨ではございませんで、趣旨といたしましては全く少額事業所得勤労所得との負担バランス面から出ているわけでございます。現在勤労所得について二五%の控除を認めるならば、少額事業所得についても一五%ぐらいの控除を認めるのが妥当だろう、こういう出発点から出ておるのであります。何となれば少額事業所得については、相当勤労所得的分子が多いから、將來然らばそういう二段構えの控除を認めるということも一つ方法でございますが、大部分納税者について、そうすると二割五分か一割五分の控除をすることになりまして、手続きも厄介だし、結局所得税税率でそれだけ高くなるわけですから、むしろその差の一割だけを残しまして、あと税率とか全体の控除等調整した方がいい、こういう考え方のようであります。從いまして、これによりましても、事業所得者勤労所得者との負担関係が、從來と比較しまして非常に変つて來ます。むしろ変るべきだというような考え方のようであります。この所得税の大多数の納税者に最も影響のある大きな二つの点は、相互負担関係で違いますのは、扶養控除改正勤労控除改正、この二つで殆んど九〇%ぐらいの納税者につきまして、相互関係從來負担が非常に違つて來る。これは負担の公平ということを強調しておるようでございます。勿論その半面事業所得については所得は飽くまでも税法從つて適正に申告し、税務署も査定すべきだ、それをやらなければ本当の公平にはできないというようなこの考え方と相マッチしておるわけであります。從來事業所得は実際上掴めないから勤労控除については斟酌の意味控除したらどうか、こういう主張があつたのでありますが、私共は理論的にそういう理論は認めていなかつたが、実際上はそういうことが結果として考えられると言えば言えるかと思います。税率についてはこれも前回申上げたように最高五五%に止めて、その代り高額所得については富裕税徴收するという考え方であります。事業所得とか勤労所得とかいうものに余り高額の税率課税するのは、脱税の点とが作業意欲の点から感心しない。併し財産化されて蓄積された後に、その蓄積された財産から相当大きな所得が生れる場合には五五%では少ないから、富裕税でそれを補完しようという考え方であります。それから最高税率三十万円で五五%になつておりますが、この辺も別に所得税税收入がもつと少なくてよいということになりますれば、勿論その調整も可能じやないかと考えております。  その次は所得税に各種の控除をとり入れまして、苟くも担税力を減殺するというような事情がある場合は、その事情課税所得から控除すべきだということを嚴重に考えておりまして、盲目その他不具者については一万二千円の特別控除を認めたわけであります。これは扶養親族に該当する場合はこの控除扶養控除とがダブつて適用になるという考であります。それから若しも本人に所得があります場合は、基礎控除の外に一万二千円の特別控除があるということに相成るかと思います。  それから火災、盗難、その他の災害や医療費につきましては、僅かの被害出費につきましては一々引くのも大変でございますし、担税力にも大した影響はないが、大きな被害出費があつた場合は差引く、所得金額の一〇%を超えれば引いてやるという考え方であります。  その次は同居親族合算制でありますが、これにつきましても、これも原則として合算しないということになつております。これには例外がありまして、配偶者が共稼ぎの場合には、稼ぎ分に対しまして分離課税をいたしますが、銀行預金配当、不動産から生ずる家賃、地代とか、こういうものは分離しますと適当に分散する虞れがありますから、その分だけは纏めて課税したらいいだろうという考えでございまして、配偶者未成年者資産所得は合算いたしますが、そのほかは一切合算いたしません。ただ扶養控除を受けようという場合は合算する。それから配偶者未成年者納税者の営む事業に從事していて、納税者が給料を出すといつたような場合はそれは合算する。これはいずれも補充的な規定にしか過ぎません。  その次に変動所得につきましては、数年間に平均して課税する。これは非常にフラクチュエートがありまして変動所得が発生した年に一遍に課税しますと、非常に高率な累進課税を受けることになつて面白くないから、平均して課税する。  それから譲渡所得につきましても合理化提案が試みられておりまして、  インフレーションによる値上り差益、これにつきましては六%だけで済まそう、そうしまして取得原價を最近の時價のところに置き換えてやろう、今の譲渡所得は御承知通り財産税評價前から持つておるものにつきましては、財産税評價額に五%加えた額を取得價額と見ておる。それに対しまして今度のものを見ますと、再評價した額で取得したものと見倣しておる。譲渡所得計算余り差益が出て來なくなります。その代り今までのインフレによる値上りに対しましては六%課税する、こういう趣旨であります。而もその六%の課税は一遍に課秘するわけではございませんで、その資産を処分する時取ろうというわけでございますから、結局におきましては、全体を通じまして所得額合理化、而も大減税になつております。現在賣りますと譲渡差益の半分が所得になります。その半分を他の所得と総合して課税するわけですけれども、非常に課税標準が高いのです。今度の方法によりますと、その点が非常に合理化されるということに相成ると思います。そういう趣旨で全体ができ上つておりますことを御了承願います。  それから配当につきましてはこれは大体会社所得株主所得だという考え方で、配当につきまして二重課税をやめるという考え方であります。從いまして、法人税として三割五分納めればそのうち二割五分株主が自分の税金として納めたものと見るということになつております。從つて法人から配当を受けましても、配当所得につきましては法人税源泉課税が済んでおるから改めて源泉課税はしない、今まで二割課税しておつたのですが、それをやめてそのほかに個人配当所得は全額総合して課税する、総合して課税した税額の中から配当所得金額の二割五分を差引いて課税する。配当所得金額の二割五分というのは法人税の三割五分のうち二割五分だけは株主が納めたものと見てやる、こういうわけであります。その辺は從來法人個人課税考え方に対して基本的な展開を図つておるわけであります。イギリス制度が大体この制度に近いのですが、日本、ドイツ、アメリカの現行制度はむしろ法人個人は別だという考え方の方を重んじてでき上つておりますが、それに非常に変更を加えておるわけであります。從つて法人個人との関係は全面的にそういうプリンシプルな変更に基きまして、相当重要な改正が行われておることを御留意願いたいと思います。これに反しまして利子所得につきましては、法人税計算の場合に損金としてこれを差引きますと、別に課税なつたことにはなりませんから、この方は從来通り引く、又その所得個人所得に全額総合課税しまして出て来た税額から源泉で納めた税額を差引く、源泉選択税率はやめるという考え方のようであります。これは源泉課税につきましては徴收の便宜上源泉課税をするのがよろしい、併し比例税率だけで済ますとか、負担関係を一切源泉だけで済ますのもいいのですが、要するに累進課税なり家族の多い少いによる所得の本來の負担額、それを一率課税にするような方法は徹底的に賛成できないという考え方でありまして、一應源泉で取つて置きましても、最後は一年通算しまして精算して課税する、こういうことを相当強調されておるようであります。ただ勤労所得のごとく一ヶ所だけでしか貰つていないという場合は自然に家族控除累進課税も織込まれて課税になりますので、精算しても結局同じでございますから、源泉課税だけで済むということになります。併し一應天引二割といつたような場合におきましては、全部を最後に通算して精算し、過不足を徴收するという建前でやるべきだという強い意見のようであります。そうしまして所得税は飽くまでも理論上非の打ちどころのないものにしまして、税制全体の中心にしようという考え方であります。譲渡所得課税と言い、利子所得課税と言い、所得税理論を徹底的に押し進めました合理化が行われておるようであります。所得税に関する限りは余り経済政策と好い加減な妥協を図るべきでない、こういう強い考え方のようであります。その代り制度は飽くまでも合理化して行く、税率余り無理な税率にはしない、その下で徹底的に課税して行く、從つて預金等につきましても、課税所得の隠れ家を残して置くといつたような考え方は徹底的に排撃しておるようであります。そういう意味におきまして、この辺相当理論的には重視せらるべきではないかと考えております。  それから課税方法につきましていろいろ改正がございますが、帳面をつけるということと、青色申告書を出させるということは前回も御説明申上げましたから、今更強調する必要はないと思います。  今一つは、予定申告によりまして前年の決定額以上で納税者が申告して來れば、年度の途中において仮更正は行わない、それ以下で申告しようとする人はその年の業績が去年の実績より惡いのだという証明書税務署に出さなければならない、それによりまして予定申告困難性を排除しようという考え方のようであります。今まではこういう制度考えられたこともあるのですが、インフレによりまして、課税所得が二倍にも二倍半にもなるという年にはなかなかこういう制度はむずかしいのでございますが、大体安定して参りましたので、これをやりましても、こういう方法によつて申告して貰えますれば、予定税額相当部分が確保されるということになりますから、実行可能じやないかと私共見ておるわけであります。そういう提案であります。  農業所得につきましては供出分が七割以上あります場合は源泉課税方法を採用するという考え方であります。源泉課税をしない農業者につきましては、納期特例を設けまして、普通の所得税納期より一期ずつずらしたらどうか、農家販賣代金回收と申しますか、それとの見合をとつて徴收するという考え方のようであります。  帳簿制度のことは非常に重視しておる点でありますが、前回申上げましたので申上げません。  その次は富裕税でございますが、富裕税課税方法等は今後の研究にゆだねられておりまして、基本的には最低限と税率だけが勧告されておるようであります。趣旨は飽くまでも前に申上げましたように、大所得に対する附加税というふうに考えて、所得税補完税というふうに考えておるようであります。從つて税率もおのずから限界があるということに相成つております。併し五千万円以上三%でありますと、所得率を一割と見ますと、所得に対しては丁度三〇%になります。從つて所得税の五十五と加えますと、やはり高額資産所得者に対しましては八五%という所得税率になるわけであります。その辺も一つ物差しであろうかと思います。  それから法人税につきましては、さつき申しましたように、要するに法人株主のものであるに過ぎないという観念を徹底して採用しておるところに特色を有しておりまして、現在はイギリス式課税方法変つたようであります。超過所得税は最近のように経済が安定して来ればもう要らんだろうという考え方に基いております。從いましてこの普通所得税だけ三五%課税いたしまして、この中の二五%分は個人税金と見て、すべて所得税の中から控除しておるわけであります。それから併しその差のやはり幾分かは個人課税されて行くので、二五%と申しましても、所得税最高五十五ですから、やはり三〇%は更に個人にかかつ て來ることに相成ります。ところで会社配当しないでそのまま据え置きますと、その分の課税は免れることになりますから、やはり今までは課税されるけれども、金利相当分として留保する分に対して課税するというように、留保所得に対しては一%の課税であります。これは税制変つた後における留保所得に累積してずつとかかつて來ます。今までの分は課税になりません。さようなことになると思います。同族会社については特例を設ける。同族会社範囲は今は一人を中心にしておりますが、それを五人くらいを中心にする。特殊関係にあるものが会社を支配しておるのが同族会社でありますが、その範囲を拡張するのであります。清算所得税の方はどちらかと申しますと、やはり課税理論を貫いた結果廃めるというので、軽減するために廃めるというわけではありません。これは飽くまでも清算分配金貰つた個人のそれぞれ配当所得なり、或いは譲渡所得の代價として計算される、最終所得帰属者にそれぞれ理論從つて課税しようという考え方であります。解散の際の個人分配金に対して、單純に負担力に應じないような課税は不適当であるというような意味におきまして改正になつておると思います。会社が外の会社から配当を受けます場合にはニ重税になるという考え方で、勿論これは益金に算入しない。それから公益法人はこれは免税がルーズのようだから、純然たる收益事業の場合には課税したらどうか、免税についてはチェックしたらどうか、こういう考え方のようであります。事業年度につきましては、会社事業年度を全部一年にしてしまうという趣旨ではありませんが、課税上は一年を通算しで課税しようという考え方であります。併し歳入に影響がありますので、半年ごとに前年分の半分を納めさせるという考え方であります。今一番問題になつておる固定資産の再評價の問題でありますが、これも大体要綱を御覧願えばアウト・ラインはお分りだろうと思いますが、大藏省にありました税制審議会で作りました際には、一つは任意に希望する会社にだけやらせたらどうかという考え方でありますが、それに対して今回の報告書によりますと、やはりすべての法人が一斉にやるということになつておりまして、申告書を出さなければ大藏省評價價額を査定するということになつております。ただ問題は程度にあるのでありまして、その程度はここに書いてありますように、一應実際の取得額から減價償却額を引いた残りの額に対しまして、その資産取得したときから現在の物價水準がどれだけ高くなつたか、その倍率を乘じましてそれに出て來たものを原則にする、併しそれを常に貫ぬくというわけではありませんが、勿論設備が古くさくなつて、或いはいろいろな諸般の情勢で今後も稼働の見込みがないとか、或いは稼働になつても相当引掛らざるを得ない、こういう客観的な事情がありました場合におきましては、勿論その限度におきまして評價調整をやるということは妨げない、こういう考え方のようであります。從いまして程度につきましては相当伸縮性があるというようにお考え願つてもいいのではないか、ただ併しそれは飽くまでも客観的な物差で計るべきであつてはつきり値打があるに拘わらず、経営上都合を好くしておくためのものには、シャウプ報告書は賛成しないという意見であります。いろいろな問題がありますので、具体的な基準なり、或いは意見があつたときの評定の仕方は、委員会を設けまして、そこで決めるという考え方のようであります。それからもう一つの点は、再評價差額利益を以ちまして直ぐ増資を認めるか認めないかということであります。これはいろいろ議論したところでございますが、結局五ヶ年間くらいは認めない方がいいだろうという結論になつております。ただその間普通の増資によつて資金を増加する必要がありはしないか、そうしますと、余りこの際株式に振替えて置きますと、新規増資が困難になりはしないか。併し今の日本情勢は、相当普通の増資によりまして資金の調達をする。そのために今直ぐ増資を振替えさした方がよくはないか。そのためにはこの際どうしても資本金増額を大きくいたしますと、配当金額が大きくなり、実際上利益配当制限令がありまして、普通の利益からでなければ配当できないことになつておりますが、普通の利益からでさえあれば、如何なる高率配当でも、制度の上ではできることになつております。併しながら高率配当にもおのずから限度がありますので、この際資本金を大きくして置きますと、或る場合には実際の配当増額影響があろうかと思います。今余り大きく配当させるというふうなことは、やはり会社といたしましても、大いに新規増資の必要のある際においては感心しないから、極力留意させまして、企業の再投資に任せた方がよくはないか、こういう考え方のようであります。從つて五ケ年は株式に振替えることを認めないという考え方のようであります。そういう点が大分大きく変つた点であります。税率はそういうやり方の変更その他いろいろな点を総合考慮いたしまして、結局六%がいいというのがシャウプ案のようであります。これは一方におきましては議論がありまして、相当な檢討を加えて、六%くらいの課税を取つたらどうだろう、これは余り高過ぎて再評價を不当に低くしちやいけない、反対に甘過ぎてどの会社も水膨れさせるようなことがあつてはいけない。それから現実にインフレによつて損をしたもの、債権者等はつきり損をしておりますが、そういうものもいることだから、とにかく財産インフレ時代に價値を保存し得たものについては、或る程度負担をさせた方が公平だろう、そういういろいろな角度から総合檢討して六%くらいならいいのじやないか、こういう意見のようであります。これはひとり法人だけでなくして個人にも課税される。課税されるのはさつき申しましたような譲渡所得の一種として考えて頂いた方がいいのではないかと思います。資産を譲渡した際に課税される。譲渡した際の課税方法はずつと貰わない場合には掛らなくなりますから、相続がある場合に普通の譲渡分課税することになつております。それから納期その他は、法人は御承知通り最初の半分を最初の一年に納める。あとの半分を二十六、二十七年度に納める。個人の方は総合したものの六%ずつを納めて行く、十何年くらいかかる計算になりますが、法人の場合と違つて個人の方は少し延ばしたらどうか、こういう考え方のようであります。その辺余り長過ぎるので、どうするかという問題になる点があると思いますが、大体再評價につきましては、さような点を御承知願いたいと思います。從いまして今のところ問題にしておりますのは、結局やはりこの際企業を全面的に附け替えをする方がよいというのが見方であります。單に税金六%取るということは大した目的でないのでございまして、むしろ企業の経理を根本的にこの際適正化する、それによりまして、税法上における適正な減價償却をなすべきものはなさせるというような見地から出ておるようであります。問題は今申しましたように、程度を如何なるところで調整するかというところにあると思います。この点は我々といたしましても、よく事情を研究しまして妥当なところに落着くようにしたらどうか、かように考えておる次第であります。  それから農地等につきましては公定價格関係上若干特例が認められております。  それからもう一つ法人損益計算につきまして合理化を行う、法人だけでなく個人についても同様でありますが、一つは欠損がありました場合におきましては、繰越し控除をずつと損がなくなるまで認める。反対に繰戻し、前の方に繰戻して引いてやるということもあります。その半面棚卸につきましては、從來のように適当に原價から評價減を出すことは認めない、一定方式を決めてそれを動かすことができない、どの方式を採るかは企業の規模によらせる、変更する場合は政府の認可を要する。会社損益計算はやや從來よりも厳重になります。適当な評價減によりまして調整の余地は少くなります。その半面損がありますれば、繰越なり繰戻を認めて、結果においては大差ないかも知れませんか、飽くまでも課税標準は客観的にはつきりしたものにしまして、認むべきものは認めるというはつきりしたことにするというようであります。減價償却、修繕と資本支出、こういうものにつきましては極力区分を明確にする必要があるという意見のようであります。  それから貸倒れ準備金につきましてはパーセンテージを示しておりませんが、一定企業実績を基にして一定の率を認めたらどうだろうという意見のようであります。  それからその次は相続税でございますが、相続税は詳しく申上げませんが、建前ががらりと変つたということを御留意願いまして御覧頂きますことをお願いいたします。相続税は現在では被相続人財産を纏めて課税しておる。或る人が亡くなると、亡くなつた人財産が一億ありますと、一億全部纏めて課税する。相続人二人以上に贈與した場合にはその贈與額も合算して累進税で課税することになつております。ところが今度の場合は反対に貰つた人課税するということになつております。從いまして相続人が一億円の遺産を一人で分けた場合も、五人で二千万円ずつ分けた場合も現行税法におきましては負担額は同じでありますが、勧告によりますと、五人で二千万円ずつ分けますと、一億円を一人で貰つた場合に比べまして、ずつと負担が下つて來る。累進税率関係で二千万円ずつ分離して課税するということになりますから、負担関係はうんと違うわけであります。その代り最高税率は九〇%になつておりまして、この辺は非常な重課であります。これは富の一人に余り大きく集中されるということは企業の過大集中と同じような意味において健全な経済の発達上面白くない、むしろやはり一定の段階のときには或る程度富が細分配されることが望ましいという考え方から來ておるようであります。從つて同じ財産額で多くの人に分ければ分ける程今度は相続税額が減るということになります。現在の税法ですと、幾ら人に分けて細分しても、その人が持つておる財産を全部纏めて課税しましたから、同じでありましたが、今度は分散すればする程相続税負担額が少くなつて來るということになります。建前が全部そういうふうに変つておりますので、相続税は根本的改正に相成るかと思います。その代り貰つた方の分を一生を通じまして全部貰つた額を合算して課税するということに、今度は反対になつております。そういう根本的に変りました点を御留意願いたいと思います。その他に家族控除を認めるとか、或いは最低控除額を引上げるというようなことがいろいろ書いてあります。  それから配偶者相続を開始しますと、半分だけ課税する。それは又直ぐ相続が開始される機会が多いからであります。又今度は子供が相続した場合よりも年長者が相続した場合が却つて下がつて來る。この辺は人情論から申しますと如何なところもありますが、負担論から申しますと、相続がじきに開始される機会が多いからやはり財産課税担税力からいうと、少くてよいのだ、こういう考え方のようであります。それから公益法人に対する寄附は全免になつております。相続税はこういうように全般的に非常にシステムの変更に相成るかと思います。  酒の税金につきましては余り多く申上げることもありません。酒は税金として消費者に課してよい税金だから大いに收入を殖やしたらどうか。食糧事情でなかなか原料は増やしにくいだろうから、もう少し税率を上げて殖やしたらどうか。必要なれば統制をやつてもよい。こういう考え方のようでありまして、やや最近の食糧事情と必らずしも歩調がとれないところがあると思いますけれども、この酒税を税制の中で相当多く認めておりますことは、いずれにしろ重要視さるべき点でないかと考えます。ただ私共の方としましては、本年は相当甘藷が増産になりまして、原料が殖えそうでありますので、その税率等につきまして余り無理過ぎることは如何かと思いますので、その辺は今後の研究問題になろうかと思います。地方の配の消費税の廃止に伴いまして、先程申しました酒税の重要性に伴いまして、或る程度税收確保という見地から卸賣統制の再開、生産なり、販賣なりが統制されてもよいという考え方のようであります。今すぐとうしろということは提案されておりませんが、必要に應じてやるべきだという意見のようであります。  取引高税は御説明申上げる必要はない。歳出が一定以下になつたら廃めてよいという考え方のようであります。  物品税につきましては、余りに一〇〇%、八〇%という非常な高率の税は脱税の見地から或る程度下げたらよいだろう。その他の税率余り下げなくてもよいというような勧告のようであります。これは例えば丙類五〇%と税率はなつておりますが、消費者の負担に帰する場合においては小賣價格に対して何パーセントになるかが重要だ。生産者價格は小賣價格に対して大体六〇%から七〇%のようであります。仮に六〇%としますと、小賣價格は生産者價格に対して五〇%負担する。結局三〇%の負担になる。それぐらいの負担だからこの際はまだよいのではないか。こういうことを強調しておるように思います。ただ純梓の必需品的のものは廃してよい。履物、靴等は課税対象から除外したらどうか。余り細まかいことは詳しく書いておりませんが、要するに必需品的なものは除外したらどうかという考え方のようであります。併し全体としまして物品税は織物消費税と比べまして、或る程度やはり課税するのがよいのではないかという考え方のようであります。  織物消費税は申上げる必要もないと思います。  砂糖も廃める。砂糖につきまして、は、やや我々の常識と反するところがありますが、結局イロア・ファンドから入つて來る。これは國民の最低生活必需品だから入つておるのだろう。余り高率に課税すると入つて來なくなるのではないかというような点が強調されておるようであります。  揮発油税につきましては存続の意見のようであります。むしろ地方税として課税するよりも國税として課税する方がよいという意見のようであります。  その他におきましては煙草も千二百億の煙草の益金はこれは余り文句を付けるところはないというところでございましよう。むしろ場合によつては若干引下げた方がいいという意見のようであります。  その他のいろいろなる税につきましては、余り研究の時間がなかつたけれども、主として所得税であるとか、酒とか、そういう非の打ちどころのない税金で、極力賄うことにして、余りこまごました税金は止めた方がいいのじやないかという、非常に学者的な意見が述べられておるようであります。まあ若干問題があろうかと思いまするが、二十五年度からすぐ全部を減らすという計画にはなつていないようでございます。將來の理想的な税制からはこういうものは整備したらいいだろう、こういう考え方のようであります。  それから社会保障税は、從來は國民健康保險とか、労働者災害補償保險とか、失業保險とか、こういう保險料は、まちまちにあちこちで徴收して、而も基準等も合理的に揃えないでやつているようである。そのために却つてこういう收入が確保されないでおるようであるが、これは全部社会保障税として、統合して勤労所得税の系統と同じところで徴收するようにするならば、歳入も確保され、從つてその結果こういう社会保障的な計画も眞にしつかりした計画ができ上るのではないか、こういう考え方のようであります。そういう意味で、むしろ社会保障税として統合してはつきり徴收した方がいいのじやないか、こういうふうなことのようであります。    〔委員長退席、理事黒田英雄君委員長席に著く〕  それから競馬は大したことはありません。  地方税につきましては、住民税は今まで均等割と、所得割と、資産割と三つあつたが、その中資産割が不動産課税で重複するから止めまして、大体均等割と所得割にする、均等割はここに書いてある、以下でそれぞれやる。所得割も國税の所得税と極力歩調を合わせまして、それに一定の限界を付けておりますそれ以下で、市町村は自由に賦課率等を決めて、地方財政を賄つて行つたらどうか、この限界は相当これは幅の高いものでありまして、この中におきまして相当地方財政は、自分に適する財政政策を採用する余地があるようなふうになつておるように見受けられるのでございます。從いましていずれにいたしましても、最高までかかるものとして計算しますと、相当負担が殖えるわけでございますが、そういうことには必らずしもならない。いわゆる多くの仕事をやろうという町村は、これは相当税を高くしてやればいいし、余り仕事をやらない方がいいという町村は低くなりましようし、その辺は市町村政の運用の仕方に任せる、それが地方自治の本当の健全な発展になるのじやないか、こういう考え方のようであります。  それから納税義務者等も今までは二ヶ所で取られておりましたが、今度は住所地一本でございます。どうか一ヶ所でしか取られない。又は会社課税にはならない、あの株主とか、重役さんが、それぞれ所得に対して住民税を納めるということになつております。  不動産税につきましては、これも大体余り多く説明を要しないかと思いますが、一つは土地、家屋の外に、減價償却をなし得る資産を全部課税の対象に見込んでおります。一つ課税標準財産價格に、キャピタルバリューに変えたということであります。財産價格に変える方法としましては、一先ず来年度は農地と普通の土地價格つきましては、現在の賃貸價格の千倍にする、賃貸も千倍になりましたから、むしろこの財産價格にしましたら、仮に賃貸價格に対して、財産價格が二十倍だと仮定しますと、二十倍の騰貴率を見込んでおる、こういうことになるわけでございます。大体千倍にする、こうしまして、一應全部それでやるようにいたして見たいと思います。それによります影響等も考えまして、市町村に専門家を置いて、その次の年度からは、更に個別的に適正に評價をやつて行くようにしたらどうか。それから土地、家屋以外の固定資産につきましては、普通ならばなかなかむずかしいだろうが、今度は再評價もやることであるから、この際一斉に一つ國と力を合わせて適正な評價をやつたらできんことはないだろう、こういう見方であります。理論上は工場でありましても、工場の資産の一部でありますところのトタン板の家屋の分だけに課税するよりも、中味の設備等を入れました本当の資本に対して課税するのがこういう例としては、正しいという考え方だろうと思います。こういう考え方のようであります。これによりまして、從来家屋税だけでは実に税額が少いし、さらばといつて純益課税のために殆んど大きな工場が税を納めていない。その結果、非常に無理な寄付金を付けましたり、或いは反対に、設備の中の適当なものを拔き出しまして、それに概計標準的課税を課けるという計画がありましたが、そういうことが不合理だから、こういう方法に從いまして、変な寄付金を付けたり、或いは無理な概計標準課税は避けたらいいだろう、こういう点でありまして、これは徴收技術上相当な難点はありまするが、合理化という見地からすると、相当理想に叶つた一つのシステムじやないか、かように考えております。  次は事業税でありますが、事業税がちよつと制度が、この前申したように変つておりますから御注意願います。要するに現在の純益課税事業税の欠陷をなくする、同時に取引高税のような、段階が違うために差が出て來る、こういう欠陷もなくそう、自分が企業の段階におきましては附加しました價値と申しますか、或る物を仕入れまして、それに一定の加工なり、或いは保管等をやります、賣るときには、より高いものになつて賣られて行く、その差額がその企業の段階において、結局附加されたその中から、企業者は労働者に対しては賃金を拂い、金を貸してくれた人には金利を拂い、土地、家屋を提供してくれた人には地代を拂い、残れば自分の利潤を取得して行く、その部分課税標準にして行くという考え方のようであります。從いまして、これを全部統計を取りますと、結局物の最終消費者價格に合計が結局一致するわけでございまして、取引高税のように、段階が違うことによつて非常に負担違つて來るという欠陷がございません。反対に純益課税のようにすると、賃金を拂い、金利を拂つた残りが、ゼロになりまして、その企業一つ税金を地方国体に納めないという欠陷がないように、理論的には相当考えられた課税標準じやないだろうかと考えられますが、なかなか問題があろうかと思いますが、それと減價償却を差引く方式を取らないで、新規投資を優遇する意味で、新たに機械設備を買入れて、今のままでは買入れたときに一遍に引いてしもう、それを繰越して引いて行く、從つて新設企業最初のうちは事業税を納めなくてもいい、納めても少くていいということになる。又既設会社も大いに一つ新規投資をやつて貰いますと、それに應じて非常に事業税は負担が軽くなりますから、それは非常に日本の工業の近代化に役立つという点があるようであります。そういう点があるのであります。税率は、大体現在の事業税の四、五百億程度を確保することとして、四%ないし六%、四%でも大丈夫だと思いますが、場合によりましたならば、若干殖えるのじやないか、研究して見ますから、さように一つ御了承願います。  その他地方税につきましては、極力雑種税は廃止した方がいいという意見のようであります。併し不動産課税なり、新規事業税を重複するものについては、できるだけこの中でも研究の余地があるものがありやしないかと考えております。  それから平衡交付金にしましても、最後に地方團体が普通の固有財源ではどうしても通常の仕事さえやつて行けない、こういう場合におきましては、むしろ平衡交付金で或る一定のレベルまでの仕事をやつて行けるという趣旨で行きましたのが平衡交付金でありまして、從いまして標準的な経費の所要額と新税制による課税力と比較しまして、新税制による課税額で標準的な経費が賄つて行けない場合におきましては、その差額を当該地が團体に交付してやるというような趣旨で適当な物指を作りましで配付した、こういう意見のようであります。具体方法はなかなか問題がございまするが、構想としては今のようなことになつております。その他いろいろございますけれども、時間がございませんから、一應この程度にいたしまして、御質疑によりましてお答えしたいと思います。
  4. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御質問ありませんか。
  5. 小川友三

    ○小川友三君 織物消費税問題ですが、織物消費税はもう廃止した方がいい、世界中で機物消費税を取つている國はないのだというシャウプ博士のお話がありましたのですが、織物消費税が現在もう廃止になるか、或いは一〇%に下るかというわけで、織物屋さんは織物が暴落してしまいましているのです。そこでこれは早く廃止してやつた方がいいと思いますが、機業地へ行つて税務署側の意見を聽いて見ますと、なかなか税金を拂わないというわけで税收入面がうんと下つて來ている。それですから大蔵省の御意見としては、これは今度の臨時國会で一〇%にするというふうにするか、遡つて三ケ月くらい前までを一〇%くらいにしたらいいかと思いますが、この点につきまして、織物が下つてしまいまして、消費税がなくなるのだからといつてお客さんが買わない。お客さんが買わないから金融が付かない。金融が付かないからダンピングしてしまう。税金が付かないのをどんどん賣つてやるということになつておりますが、税務署側でも取りようがなくて困つております。どうして取りようがないかというと、賣つたものを輸送方法において僞名の発送人の名前を以て郵便局から送つてしまうというのが各機業地に非常に盛んなものであります。非常に盛んであつて、恐らく織物消費税はこの案が発表されてから半分も上らないのだろうと思いますけれど、この点について御調査なすつた範囲をちよつとお伺いしたいと思います。
  6. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 織物消費税につきましては、シャウプ博士勧告案が発表になりましてから、お話になりましたことに近い現象があつちこつちに出ておりますことを私共も聞いております。そこでいつから実施するかの問題が一番大きな問題になるわけですが、これは勧告案にもありますように、國会の手続を経て成るべく早く一〇%に下げるということでやつたらどうか、ただ遡ると申しましても、技術上の制約がありますから、二、三ヶ月も遡るということは困難だろうと思いますが、できる限り、技術的に許される限り早い時期から実施して行くということが一番いい対策じやないか、かように考えておるわけであります。尚併しその点は國会に提出の時間等の関係もございまして、今いつから実施するかということにつきましては、はつきりしたことを申上げ難いことを御了承願いたいと思います。
  7. 小川友三

    ○小川友三君 そこで織物業者が実はもうどうしても下つてしまう、來月から一〇%下るという見込みが出ておる。そこで買う方も四〇%の課税でなく、一〇%の課税率なら買つてやる。中小機業者は今苦しくてしようがない。苦しいから一〇%の割合くらいで賣つてしまおうというので、税率だけを損をして、税率だけを儲けないで現在賣つている業者が相当あります。そこでそれを発見した税務署が、主税局長の立場になるのですが、脱税しているのだ、四〇%の割合で儲けた計算で罰金を科するということになると、機業者は潰れてしまいますが、そこに手心を加えた脱税の織物消費税に対する徴税方法ですね。織物業者に対してうんと手加減をして貰いたいのです。税金だけ儲けていなくて安く賣つてしまつた。大体安く賣つてしまつたのだから罰金を拂えないというわけなんですが、この点につきまして脱税の場合に、脱税に対する罰金を少しかけるという方針にして貰いたいのですが、御所見をお伺いしたいのです。
  8. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一君) どうもそういうお答えといたしましては、手心をするわけには参らないのじやないかということをお答えするより外ないのでございますが……
  9. 小川友三

    ○小川友三君 酒税の税率を引上るという案がございますが、これは大蔵省の方ではどのくらいに税率を引上げるのですか、案はありましようが、大体本年度内に五十億を上げるという問題につきましては了解するのですが、これは、主税局長さんが、なんでも酒の小質店を殖やすなという指令を各税務署長に出しておつて、酒の小賣屋はやりたくても始まらなくて、今までの酒屋はビールを百五十円か、百八十円くらいに賣つている。東京都内で買いに行つても百八十円くらいでなきや賣りません。そういう工合に販賣店が少いから、どうしても奥へしまい込んでしまつて高く賣るという形態になつておりますので、小賣業者を殖やすように前の國会の時話したのですが、小賣店ができて自由競争をさせれば、やはり酒屋も呑んでしまうから、五十億くらい上げなくても、薩摩薯も余つておりますし、できると思いますが、小賣店を殖やして貰いたいのですけれども、これについてあなたから何でも命令が税務署長に行つていると税務署長が言つておりますが、本当でしようか。ちよつとお伺いしたいと思います。
  10. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 酒の、日本政府としての案をどうするかという問題はまだ目下研究中でございまして、本日申上げる段階に参つていないことを御了承願いたいと思います。  それから今の小賣免許の件は、自由販賣になりました場合に、余り一時に小賣業者が殖えまして不当な競争をやるようなことになりますと、結局小賣業者も、或いは延いては製造業者も、或いは遡りまして大藏省も共倒れになるという慮れもございますので、余りそういう結果にならんように若干チェックする、新規免許を抑制いたしております。今後いろいろな状況からいたしまして、相当これを拡張したがいいかどうか、もう少し事情をよく見極めました上で判断をしてみたいと考えておるわけでございますが、むしろ勧告書の趣旨から行きますと、酒税の確保という上から必要な統制は加えて行つた方がいいだろうというような意見もございますし、そういう点もよく考えまして妥当なことにいたしたいと、かように考えております。
  11. 小川友三

    ○小川友三君 若干チェックするというわけですが、今までやつておる酒屋で金融がつかなくて廃業した所が沢山あります。うんと遠くの酒屋へ行くから今度は酒屋はビールを百八十円でなくちや賣らない。そこで廃業した酒屋の近所で酒屋をやりたいという申出に対しては許可する方針を取つて貰いたいのですが、主税局長はこれでも許可しない方針をとつてつてつておるのですが……
  12. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 只今のような問題でございましたら、一つの例外的な事項でございますので、よく一つ研究して見たいと思います。
  13. 小川友三

    ○小川友三君 資産評價に関する六%の税金は非常に少いように感じますけれども、大藏大臣は再評價は一兆億万円の再評價をする、そうすると六百億万円の税金を取つてしまうわけですが、特に五大銀行の例ですが、あれは非常に建物が立派だ、今建てれば相当なものだからといつて、あれを評價をうんと高くして、五大銀行ばかりじやありませんが、外の銀行も建物を高く評價されますと、それに対して六%税金がかかりますから、今でさえも五大銀行の株券は五十円券が三十五円、これを一兆億万円の評價の中に織込んでしまうと、五十銭くらいになつてしまつて印刷代も出ないという株券になつてしまいますが、これに対する主税局長さんの御意見を、うんをこれは研究して頂いていると思いますが、金融業者が動揺する、信用が低下するということは、從つて預金が殖えないということになりまして、預金が殖えなければ又政府の事業ができないということになりますが、銀行業者、金融業者の資産評價は建物なんかして貰つては困る、しないような方針にして貰いたいと思いますが、一つ意見を……
  14. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 金融業は一般の企業とは若干事情を異にしますので、或いは個別的に問題を研究する必要があるかも知れません、あるかも知れませんと思いますが、ただシャウプ勧告趣旨から言いますと、やはり本当の資産か價値がある場合におきましては、その價値を飽くまでも表面に出しまして、それはちやんとその資産が使つている間は收益から償却して、あとでその資産を取戻し得るようにということが趣旨になつているわけでございまして、六%の課税で非常に不利のようでありますが、長期に亘つて見れば非常に法人税の減税でありますから、再評價をやるということは今やつておきませんと、結局低いままの帳簿價格でありますから、償却はそれだけできないことになります。將來長い間に亘つて償却を多くやるというわけでありますから、差引き天秤にかけますと、六%の課税どころか長期に亘つて法人税の軽減になる税率が非常に大きいのであります。それでこそ初めて償却によりまして年限が來た場合におきましては、それに代るべき資産企業家はそれぞれ持ち得るということになりますけれども、六%の課税余り脅えられまして、むしろ再評價しない方がいいという考え方は、よく算盤を彈いて頂きますと、必ずしもさようなことにはならないので、むしろ六%ぐらいを恐れず、再評價をして、收益の中からやるべき償却をやつて行きまして、一定の年限が來た場合にそれに代るべき建物を建てて行く、こういうのが今度の狙いでありまして、そういうところを考えてどうするか、一つ御考究願いたいと思います。金融業は他の事業と違つた特殊性がございますから、勿論もつとよく研究しなければならないと考えております。実質はそういう意味でございますのでよろしく御了承願いたいと思います。
  15. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 來月の末から臨時國会が始まりますが、このシャウプ・ミッションの中でどの部分を法律案としてお取りになるか、この法案を我々今後研究するのに資料といたしたいと思いますから、それを発表して頂きたい。
  16. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) できますれば、この全部がやはり一つのシステムになつておりますので、成るべく纏めて法律化しまして提案いたしたいという積りでありますが、來年度の蔵出予算が具体的にいつ頃確定いたしとますか、その辺の問題もございまして、場合によりましては、本年度から実施するものだけを切離しまして提案するということにならざるを得ない場合があろうかと思います。そういう場合におきましても、少くとも所得税法人税、織物消費税、酒税こういう各税は成るべく早く提案いたしまして御審議を煩すべき項目じやなかろうか。勿論再評價に関する法律もその中に入ると思いますが、さよう御了承願いたいと思います。
  17. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 先般日本銀行を通じまして、銀行の無記名の問題は取消されたのでありますが、大体新聞で拜見いたしますと、二百二、三十億あるという話でございます。その外に僞名の預金というのが相当ある。この問題については主税局としてはどういうようにお考えになりますか。
  18. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 先程申上げましたように、所得税は飽くまで余り無理な税率にならんように合理的な税率にする。制度も無理な面は絶対カットして合理的なものにする。その半面荷も所得に対しましては税法通りきちきち課税する、納税者も申告する。不正があれば税法通り査定して行くという点が基本になつておりますので、御指摘のように無記名預金等もどうも余り好ましくないというので、遂にそういう措置になつたのでありますが、その他の面につきましても順を逐いまして、やはりはつきりするように措置としてやらなければならない。具体的に無記名預金をどういう新しい預金名前にして貰うか、その点具体的の問題を今後研究しました上で措置いたしたい、かように考えております。
  19. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 それからこのミッションの筆法になりますと、税務の事務の方は現在より煩雑になりますか。或いは定員法とも関係もありますし、ちよつと伺います。
  20. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 一部廃めになります税金がありますので、そういう方は手がすいて來ると思いますが、所得税法人税というものは非常に帳簿調査主義と申しますか、もう全部納税者の帳面を調べた上で更正決定をやるということになつております関係上、この方面から人手と熟練した官吏を要するということになるだろうと思います。從いまして或る程度そういう方面の人間の増加が必要であろうかと考えますけれども、これは現在の政府の定員をどうするかという問題と関連いたしますので、そういうことと総合して適正な具体案を作りたいということを目下研究中であります。
  21. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 この資産評價について最近世間で申しておりますが、銀行が再評價になりますと、一應切下げられたものを旧勘定のうち預金の拂戻しが殖えて來るというようなことを言うておりますが、実際檢討しますと、そういうふうに思われるのであります。その点を……
  22. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 企業再建整備法とか金融機関再建整備法によりまして、あの原則でそれぞれ片附きました事項は既定の事実としまして、今回の再評價はそれを蒸し返しをしないというのが大体基本的な考え方のようであります。從いまして、それに應じましてそれぞれ法規の改正を要するものなら改正をして、原則として影響しないような方向に行くのがいいのじやなかろうか。かように勧告されているようであります。勿論日本政府といたしましては、最終的に決まつているわけではございません。大体そういう方面には今回の再評價影響せしめない方がいいのじやないか、こういうような意見のようであります。
  23. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 今の金融機関の再建整備法との関連についての最終的の御決定がないようにお伺いしたのでありますが、今農業協同組合のようなああいう相互組織で決て收益事業とは思われないような、ああいう企業体の資産の再評價をやつてみても、それ程の意味もないような氣がするのでありますが、收益事業でないものにもやはり同じような筆法で再評價をやるわけでありましようか。何か特別な考慮が拂われているのでありましようか。
  24. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 産業組合等におきましては、やはり再評價して貰つた方が産業組合のために有利じやなかろうかとかように考えておるのでありますが、六%の課税を受けましても今後長期に亘つて見ますと、償却の減少等によつて減ずる額の方が実は多いのでありまして、それを合せてやつてこそ初めて産業組合と雖も一定資産等を維持し得るということになるのではなかろうかと思いますが、よく一つ御檢討の上で更に御意見を賜わるというふうにお願いしたいと思います。
  25. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 それは收益事業であるなら別でありますが、今の協同組合の事業ですね、全然そういうような建前でないのに、收益は成るべく上げない、上げることができましても上げない。收益ということを考えないでやつておるのでありますからして、どうもそういうふうにはならないのじやないか。それ程、大きな税金を今日まで出しておりません。再評價をしても收益がありませんからして、結局税金の問題ではそれ程影響はないのじやないかと私共思うのです。
  26. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) まあ飽くまでも計算のごまかしをしないという前提で伺つて頂くと工合がよいと思います。正しい計算をする場合におきまして、固定資産を産業組合の場合今のところ据え置きましても、結局長い間に亘りまして資産がなくなつた場合におきましては、僅かな部分しか取返しができないという結果になると思います。從いましてこの際再評價をして、それに対して適性な評價をして、その固定資産が耐用年数が盡きたときにはそれに代るべき資産取得ができるというようなふうになるのがむしろ合理的でございますし、産業組合のためではなかろうか。かように考えるのでございますが、その辺勿論経理を適当にやつて、そういう正規の方法で行かなくてもうまくやるからということですと別ですけれども、そういう方法は、今後税法上は認めないということに相成るかと思います。その辺御研究を願つて……
  27. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 それは結局收益を上げないというのじやなくても、それは組合員へ皆割戻すべき性質のものです。それ自体は決して收益を見ないのですから……、若しそういうような場合があつてもその財産は組合員全体のものですから、それを今度は作り変るとか、そういうときにはすべての組合員が皆協力してやるので企業そのものがやるのじやないですから、その立場がちよつと違うような氣がするのです。ですから相互組織の非営利的な性格を持つた協同組合に対する処置という点は十分御研究を願いたいと私共は思うのであります。  もう一つ、特別法人税は今度ないようで、特別法人税というものを今日まで認めて來たあの考え方というものは間違いと言うのじやないが、今回は採らないということでありますか。
  28. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 苟くも一定経済事業を行いまして、それから收益が上つた場合におきましては、普通の法人税と同じように法人税課税をした方がいいだろうという意見のようであります。ただお話のように收益が、結局余計な收益を上げる必要はないと言つたような事業の経営をやりますと、課税額がそれだけ自然に少くなつて來るのであります。併し苟くもその事業の段階において收益が上がつて來た場合には、その收益に対しては一律に課税する、こういう考え方のようであります。    〔理事黒田英雄退席、委員長着席〕
  29. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 今の特別法人税というものを拵えた趣旨は、非常に收益が少いのだ、その收益の少いところからこれに同じような率の課税をすることは、結局その團体なり企業なりを圧迫するのだというようなところから、普通が三十五%であつたものを二十五%にするとかというように減税してあると思うのであります。やはり今まで特別法人税と言われておるものは、今後もやはりそういう性格のものでないかと思う。これを一律にしてしまつたのすはやはり企業を非常に圧迫するのじやないかと思うのです。
  30. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 御意見の点をよく承つて研究したいと思いますけれども、要するに一定経済事業をやつて收益が残つた場合、勿論お話の通り産業組合は利益が目的じやないから少い收益しか上げないという場合には少くしか課税されません。少くとも或る纏まつた一つ企業体ができて、そのなかで一定の收益が残つた場合におきましては、その收益に対して同じ課税でいいのじやなかろうかというのが大体の勧告趣旨のようであります。又更にそれに対して特別に保護的な意味で軽くする必要があるかどうか、これは問題であろうと思いますけれども、そういうものにつきましては、必要であると言つたような意見ではないように思います。
  31. 小川友三

    ○小川友三君 再評價で伺いたいのですが、農地の再評價に対して、農地から再評價税金を取る場合に、農地は昭和二十七年十月一日の現在においてその公定價格によつて評價を行うということになつておりますが、農地の公定價格をそれまでに変えるような御意見があるのでしようか。
  32. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 農地の公定價格をどうすべきかということについては、表面かミッションの報告書は謳つていないようであります。併し今のような経済状態になつた場合には、今の公定價格が著しく不合理のものであるということは、恐らく事実上認めておるのでなかろうか。從つて將來直ぐ変えるようには行かないが、二年くらいの間には合理的のベースに変えられるのではないか。そういうことと考え合せて、当然それが考えられるときに課税上の再評價の問題も片附けたらどうかということで、確かに二十七年十月一日、それを一應予想しておるものと思います。
  33. 小川友三

    ○小川友三君 農地の公定價格が変るであろうということは、農地整理をやる前にすでにその値打は十分に騰つておつたのですが、あれを安く一段歩七百五十円にして置いて、後になつてから上げてしまうわけですが、そういう場合に大分損した人もおるわけですね。あれは前からあんな七百五十円の價値でないということは分つておるのです。米二升か三升の相場です。大体今度上げるにはどのくらいの評價になりますか、田畑は……。一段歩の二万円くらいになりましようか。大体腹案を一つ……
  34. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 農地の價格をどうするかということは、実はまだ申上げましたように私共も見当が付いておらんのでございまして、課税上は少くとも今の公定價格の二十五倍くらいにしたらどうかということがミッションの勧告でございます、併し農地の價格をどのくらいにするかということについてはお答えいたしかねると思います。
  35. 小川友三

    ○小川友三君 農業者所得税の申告納期の問題ですが、七月三十一日というのを一月延ばして八月三十一日にした方がいいと思いますが……。これに対して一日ずつずれる。十一月三十日を十二月三十一日、二月二十八日と三月三十一日というように延ばして頂いて、七月は農繁期で賣つたものは金が入つていない。入つていないのに金をくれというわけです。ないのに金をくれといつて、八月でなければできないことを政府は承知の上で、政府は一月の延滞利子を課そうというのでやつておるわけですか。これを政府は参考までに日本農民の現状ということを話して頂けば、こんなことにならなかつたと思うのですが、これについて一つ……
  36. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 一期の納期を七月に……。今六月ですが、六月を七月にするか八月にするか、殊に農村の場合にはいろいろ研究したのであります。七月末にすれば大体お話のような趣旨が達成できるのでないか。勿論若干の例外はございますけれども……。余り遅れますと、やはり他の納税者との関係もございますので、大体七月末でいいのではなかろうか、こういう結論を私共も得ておるのでありますが……
  37. 小川友三

    ○小川友三君 所得税控除独身者に非常にパーセントが高いのですが、そうすると独身者は一生結婚できないという状態になるのですけれども、こういう課税で行かれますと、一生独身でおれというような産兒制限的な課税だと思うのですが、これに対して向うさんの意見はやはり同様な独身者だから高くするというけれども、独身者はやがて家庭を持つための準備預金をしておる筈ですから、これに対して引くのが余りでか過ぎると思うのですけれども、ちよつと御説明を……
  38. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 独身者負担は現行よりも減り方が少いというだけで、現在が果して家族の多い者と比べましていいかどうか、そこに非常に問題があるわけでございます。現在例えば十五万円の收入がありますと、独身者は二万七千六百二十五円掛かり、手取十二万三千円ばかり残る。それを一人で使える。これに反して家族四人の者も現在は二万四百二十五円でありまして、手取十三万円しかない。五人世帯で十三万円で生活するのと、一人で十二万円で生活するのと、どちらが樂かというようなところが一つの問題の考え方になつて來るんじやないかと思いますが、先ず現在の税法によりますと、家族の多い者の方が生活はより苦しいのでないか。そのバランスを直そうというところにあるわけでございまして、從いまして更に所得税全体を減らすことができれば、独身者負担ももつと減つた方がいいかも知れませんけれども、あの程度の見込ですと、この程度で辛抱して貰うよりいたし方ない。それでも改正後の負担額の残りにおいて、家族持ちと独身者とどちらが生活が樂かということを考えると、まだ独身者が生活が樂だという考えが成り立つかも知れませんが、その辺は改正後の負担においてどちらがバランスがとれているかということで御判断願うより外ないと、かように考えておるのであります、勿論結婚しまして妻帶しますと、奥さんが一万二千円、家族控除が殖えますから、独身者の場合より税金が減つて來るということになると思いますから。
  39. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。御質疑がありますようなれば休憩して午後にいたしますとか、若しくは次回にしたいと思いますが、    〔「質疑ありません」と呼ぶ者あり〕
  40. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) ございませんければ本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後零時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            米倉 龍也君            小川 友三君   説明員    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎