○
説明員(
平田敬一郎君) それでは私から
最初に若干御
説明申上げまして、むしろ御質疑を交換して頂いた方が有効だと
考えられますので、さような
趣旨で
最初に若干申上げて置きたいと思います。総体的なことは
前回すでに大臣からもお話がありましたし、大体御了承のことでありますので、むしろ本日は若干
細目の点につきまして御
説明申上げます。そのために本日資料としまして、お手許に「
シャウプ税制使節團の
勧告と
現行法との対照」というものをお配りいたしました。それについて若干御
説明申上げます。
細目でございますから、この順序でポイントだけを御
説明申上げます。
先ず第一頁の
所得税のところからでございますが、
基礎控除については多く
説明する必要もなかろうと思います。
大分詳しい
考え方をミッションの
報告書に書いてあるようでございます。それから
扶養控除につきましては、先般申上げましたように、今までの
税額控除を
所得控除に改めた、この結果
中等位の
所得者におきましても、
扶養家族の多い人と少ない人との間に非常に
負担の
開きができて来ておる。現在は
独身者と
家族の多い人との
負担の
開きが
現行税法においては少な過ぎるので、もつと幅をつけた方がいいのじやないかという
考え方から、
所得控除に改めるということにな
つております。それは
負担は現在に比べまして
開きが相当大きくなります。例えば今の
税法でございますと、十五万円の
所得者であつた場合、
独身者は二万七千六百円、
扶養家族四人の場合は二万四百円、僅か七千円の
開きしかないのでございますが、今度の
税法によりますと、
独身者は二万四百円、四人になりますと一万三千二百円ということになります。約一万四千円程の
開きが出て來るというので、
家族の多い少ないによ
つてもつと
所得税の
負担に
開きをつけるべきだということでございます。
これは簡単な
課税のようでございますが、
相互の
負担関係はこれによ
つて著るしく変るということに御留意願いたいと思います。
それから
範囲を拡張いたしまして、
同居や何とかいう
條件は必ずしも必要といたしませんで、要するに
生計費の半額以上を或る
納税者から補助を受けておる場合におきましては、もう一切その人については
扶養控除を認めるということになります。
從つて学生等も勿論認められますし、その他
親族でさえあれば、誰でも
生計費を半分以上出して貰
つている場合には
控除できるということに相成ります。
それから又
農家や
商工業者で親父と一緒に仕事に從事している
成年者も今後は
控除できるということになります。從いまして
扶養控除の
範囲は
從來に比べますと著るしく拡張いたしまして、
從來はやや
形式主義でしたが、今度は
実質主義で行きますから、実際上の無理な点は殆んどなくな
つてしまうということに相成ろうかと思います。
その次の
勤労控除でございますが、これは二・五%を一五%に切下げるということでございますが、これは單に切下げるという
趣旨ではございませんで、
趣旨といたしましては全く
少額事業所得と
勤労所得との
負担の
バランス面から出ているわけでございます。現在
勤労所得について二五%の
控除を認めるならば、
少額事業所得についても一五%ぐらいの
控除を認めるのが妥当だろう、こういう
出発点から出ておるのであります。何となれば
少額事業所得については、相当
勤労所得的分子が多いから、將來然らばそういう二段構えの
控除を認めるということも
一つの
方法でございますが、大
部分の
納税者について、そうすると二割五分か一割五分の
控除をすることになりまして、手続きも厄介だし、結局
所得税の
税率でそれだけ高くなるわけですから、むしろその差の一割だけを残しまして、
あとは
税率とか全体の
控除等で
調整した方がいい、こういう
考え方のようであります。從いまして、これによりましても、
事業所得者と
勤労所得者との
負担関係が、
從來と比較しまして非常に
変つて來ます。むしろ変るべきだというような
考え方のようであります。この
所得税の大多数の
納税者に最も
影響のある大きな
二つの点は、
相互の
負担関係で違いますのは、
扶養控除の
改正と
勤労控除の
改正、この
二つで殆んど九〇%ぐらいの
納税者につきまして、
相互の
関係は
從來と
負担が非常に
違つて來る。これは
負担の公平ということを強調しておるようでございます。勿論その
半面事業所得については
所得は飽くまでも
税法に
從つて適正に申告し、
税務署も査定すべきだ、それをやらなければ本当の公平にはできないというようなこの
考え方と相マッチしておるわけであります。
從來事業所得は実際上掴めないから
勤労控除については斟酌の
意味で
控除したらどうか、こういう主張があつたのでありますが、私共は
理論的にそういう
理論は認めていなかつたが、実際上はそういうことが結果として
考えられると言えば言えるかと思います。
税率についてはこれも
前回申上げたように
最高五五%に止めて、その
代り高額所得については
富裕税で
徴收するという
考え方であります。
事業所得とか
勤労所得とかいうものに
余り高額の
税率を
課税するのは、脱税の点とが
作業意欲の点から感心しない。併し
財産化されて蓄積された後に、その蓄積された
財産から相当大きな
所得が生れる場合には五五%では少ないから、
富裕税でそれを補完しようという
考え方であります。それから
最高税率三十万円で五五%にな
つておりますが、この辺も別に
所得税の
税收入がもつと少なくてよいということになりますれば、勿論その
調整も可能じやないかと
考えております。
その次は
所得税に各種の
控除をとり入れまして、
苟くも担税力を減殺するというような
事情がある場合は、その
事情は
課税所得から
控除すべきだということを嚴重に
考えておりまして、盲目その他
不具者については一万二千円の
特別控除を認めたわけであります。これは
扶養親族に該当する場合はこの
控除と
扶養控除とが
ダブつて適用になるという考であります。それから若しも本人に
所得があります場合は、
基礎控除の外に一万二千円の
特別控除があるということに相成るかと思います。
それから火災、盗難、その他の災害や
医療費につきましては、僅かの
被害、
出費につきましては一々引くのも大変でございますし、
担税力にも大した
影響はないが、大きな
被害、
出費があつた場合は差引く、
所得金額の一〇%を超えれば引いてやるという
考え方であります。
その次は
同居親族の
合算制でありますが、これにつきましても、これも
原則として合算しないということにな
つております。これには例外がありまして、
配偶者が共稼ぎの場合には、
稼ぎ分に対しまして
分離課税をいたしますが、
銀行預金や
配当、不動産から生ずる家賃、地代とか、こういうものは分離しますと適当に分散する虞れがありますから、その分だけは纏めて
課税したらいいだろうという
考えでございまして、
配偶者と
未成年者の
資産所得は合算いたしますが、そのほかは一切合算いたしません。ただ
扶養控除を受けようという場合は合算する。それから
配偶者や
未成年者が
納税者の営む
事業に從事していて、
納税者が給料を出すといつたような場合はそれは合算する。これはいずれも補充的な規定にしか過ぎません。
その次に
変動所得につきましては、数年間に平均して
課税する。これは非常にフラクチュエートがありまして
変動所得が発生した年に一遍に
課税しますと、非常に高率な
累進課税を受けることにな
つて面白くないから、平均して
課税する。
それから
譲渡所得につきましても
合理化の
提案が試みられておりまして、
インフレーションによる
値上り差益、これにつきましては六%だけで済まそう、そうしまして
取得原價を最近の時價のところに置き換えてやろう、今の
譲渡所得は御
承知の
通り財産税の
評價前から持
つておるものにつきましては、
財産税の
評價額に五%加えた額を
取得價額と見ておる。それに対しまして今度のものを見ますと、再
評價した額で
取得したものと見倣しておる。
譲渡所得の
計算上
余り差益が出て來なくなります。その
代り今までの
インフレによる
値上りに対しましては六%
課税する、こういう
趣旨であります。而もその六%の
課税は一遍に課秘するわけではございませんで、その
資産を処分する時取ろうというわけでございますから、結局におきましては、全体を通じまして
所得額の
合理化、而も大減税にな
つております。現在賣りますと
譲渡差益の半分が
所得になります。その半分を他の
所得と総合して
課税するわけですけれども、非常に
課税標準が高いのです。今度の
方法によりますと、その点が非常に
合理化されるということに相成ると思います。そういう
趣旨で全体ができ上
つておりますことを御了承願います。
それから
配当につきましてはこれは大体
会社の
所得は
株主の
所得だという
考え方で、
配当につきまして二重
課税をやめるという
考え方であります。從いまして、
法人税として三割五分納めればそのうち二割五分
株主が自分の
税金として納めたものと見るということにな
つております。
從つて法人から
配当を受けましても、
配当所得につきましては
法人税で
源泉課税が済んでおるから改めて
源泉課税はしない、今まで二割
課税しておつたのですが、それをやめてそのほかに
個人の
配当所得は全額総合して
課税する、総合して
課税した
税額の中から
配当所得金額の二割五分を差引いて
課税する。
配当所得金額の二割五分というのは
法人税の三割五分のうち二割五分だけは
株主が納めたものと見てやる、こういうわけであります。その辺は
從來の
法人、
個人の
課税の
考え方に対して基本的な展開を図
つておるわけであります。
イギリスの
制度が大体この
制度に近いのですが、
日本、ドイツ、アメリカの
現行制度はむしろ
法人と
個人は別だという
考え方の方を重んじてでき上
つておりますが、それに非常に
変更を加えておるわけであります。
從つて法人と
個人との
関係は全面的にそういうプリンシプルな
変更に基きまして、相当重要な
改正が行われておることを御留意願いたいと思います。これに反しまして
利子所得につきましては、
法人税計算の場合に損金としてこれを差引きますと、別に
課税に
なつたことにはなりませんから、この方は從来通り引く、又その
所得は
個人の
所得に全額総合
課税しまして出て来た
税額から
源泉で納めた
税額を差引く、
源泉の
選択税率はやめるという
考え方のようであります。これは
源泉課税につきましては
徴收の便宜上
源泉課税をするのがよろしい、併し
比例税率だけで済ますとか、
負担関係を一切
源泉だけで済ますのもいいのですが、要するに
累進課税なり
家族の多い少いによる
所得の本來の
負担額、それを一
率課税にするような
方法は徹底的に賛成できないという
考え方でありまして、一應
源泉で取
つて置きましても、
最後は一年通算しまして精算して
課税する、こういうことを相当強調されておるようであります。ただ
勤労所得のごとく一ヶ所だけでしか貰
つていないという場合は自然に
家族控除も
累進課税も織込まれて
課税になりますので、精算しても結局同じでございますから、
源泉課税だけで済むということになります。併し一應天引二割といつたような場合におきましては、全部を
最後に通算して精算し、過不足を
徴收するという
建前でやるべきだという強い
意見のようであります。そうしまして
所得税は飽くまでも
理論上非の打ちどころのないものにしまして、
税制全体の
中心にしようという
考え方であります。
譲渡所得の
課税と言い、
利子所得の
課税と言い、
所得税の
理論を徹底的に押し進めました
合理化が行われておるようであります。
所得税に関する限りは
余り経済政策と好い加減な妥協を図るべきでない、こういう強い
考え方のようであります。その
代り制度は飽くまでも
合理化して行く、
税率も
余り無理な
税率にはしない、その下で徹底的に
課税して行く、
從つて預金等につきましても、
課税所得の隠れ家を残して置くといつたような
考え方は徹底的に排撃しておるようであります。そういう
意味におきまして、この辺相当
理論的には重視せらるべきではないかと
考えております。
それから
課税方法につきましていろいろ
改正がございますが、帳面をつけるということと、
青色申告書を出させるということは
前回も御
説明申上げましたから、今更強調する必要はないと思います。
今
一つは、
予定申告によりまして前年の
決定額以上で
納税者が申告して來れば、
年度の途中において仮更正は行わない、それ以下で申告しようとする人はその年の業績が去年の
実績より惡いのだという
証明書を
税務署に出さなければならない、それによりまして
予定申告の
困難性を排除しようという
考え方のようであります。今まではこういう
制度は
考えられたこともあるのですが、
インフレによりまして、
課税所得が二倍にも二倍半にもなるという年にはなかなかこういう
制度はむずかしいのでございますが、大体安定して参りましたので、これをやりましても、こういう
方法によ
つて申告して貰えますれば、
予定税額の
相当部分が確保されるということになりますから、実行可能じやないかと私共見ておるわけであります。そういう
提案であります。
農業所得につきましては
供出分が七割以上あります場合は
源泉課税の
方法を採用するという
考え方であります。
源泉課税をしない
農業者につきましては、
納期に
特例を設けまして、普通の
所得税の
納期より一期ずつずらしたらどうか、
農家の
販賣代金の
回收と申しますか、それとの見合をと
つて徴收するという
考え方のようであります。
帳簿制度のことは非常に重視しておる点でありますが、
前回申上げましたので申上げません。
その次は
富裕税でございますが、
富裕税も
課税方法等は今後の研究にゆだねられておりまして、基本的には最低限と
税率だけが
勧告されておるようであります。
趣旨は飽くまでも前に申上げましたように、大
所得に対する
附加税というふうに
考えて、
所得税の
補完税というふうに
考えておるようであります。
從つて税率もおのずから限界があるということに相成
つております。併し五千万円以上三%でありますと、
所得率を一割と見ますと、
所得に対しては丁度三〇%になります。
從つて所得税の五十五と加えますと、やはり
高額資産所得者に対しましては八五%という
所得税率になるわけであります。その辺も
一つの
物差しであろうかと思います。
それから
法人税につきましては、さつき申しましたように、要するに
法人は
株主のものであるに過ぎないという観念を徹底して採用しておるところに特色を有しておりまして、現在は
イギリス式の
課税方法に
変つたようであります。
超過所得税は最近のように
経済が安定して来ればもう要らんだろうという
考え方に基いております。從いましてこの
普通所得税だけ三五%
課税いたしまして、この中の二五%分は
個人の
税金と見て、すべて
所得税の中から
控除しておるわけであります。それから併しその差のやはり幾分かは
個人に
課税されて行くので、二五%と申しましても、
所得税は
最高五十五ですから、やはり三〇%は更に
個人にかかつ て來ることに相成ります。ところで
会社が
配当しないでそのまま据え置きますと、その分の
課税は免れることになりますから、やはり今までは
課税されるけれども、
金利相当分として留保する分に対して
課税するというように、
留保所得に対しては一%の
課税であります。これは
税制が
変つた後における
留保所得に累積してずつとかか
つて來ます。今までの分は
課税になりません。さようなことになると思います。
同族会社については
特例を設ける。
同族会社の
範囲は今は一人を
中心にしておりますが、それを五人くらいを
中心にする。
特殊関係にあるものが
会社を支配しておるのが
同族会社でありますが、その
範囲を拡張するのであります。
清算所得税の方はどちらかと申しますと、やはり
課税理論を貫いた結果
廃めるというので、軽減するために
廃めるというわけではありません。これは飽くまでも
清算分配金を
貰つた個人のそれぞれ
配当所得なり、或いは
譲渡所得の代價として
計算される、
最終所得の
帰属者にそれぞれ
理論に
從つて課税しようという
考え方であります。解散の際の
個人の
分配金に対して、單純に
負担力に應じないような
課税は不適当であるというような
意味におきまして
改正にな
つておると思います。
会社が外の
会社から
配当を受けます場合には
ニ重税になるという
考え方で、勿論これは益金に算入しない。それから
公益法人はこれは
免税がルーズのようだから、純然たる
收益事業の場合には
課税したらどうか、
免税についてはチェックしたらどうか、こういう
考え方のようであります。
事業年度につきましては、
会社の
事業年度を全部一年にしてしまうという
趣旨ではありませんが、
課税上は一年を通算しで
課税しようという
考え方であります。併し歳入に
影響がありますので、半年ごとに前年分の半分を納めさせるという
考え方であります。今一番問題にな
つておる
固定資産の再
評價の問題でありますが、これも大体要綱を御覧願えばアウト・ラインはお分りだろうと思いますが、
大藏省にありました
税制審議会で作りました際には、
一つは任意に希望する
会社にだけやらせたらどうかという
考え方でありますが、それに対して今回の
報告書によりますと、やはりすべての
法人が一斉にやるということにな
つておりまして、
申告書を出さなければ
大藏省で
評價價額を査定するということにな
つております。ただ問題は
程度にあるのでありまして、その
程度はここに書いてありますように、一應実際の
取得額から
減價償却額を引いた残りの額に対しまして、その
資産を
取得したときから現在の物價水準がどれだけ高く
なつたか、その倍率を乘じましてそれに出て來たものを
原則にする、併しそれを常に貫ぬくというわけではありませんが、勿論設備が古くさくな
つて、或いはいろいろな諸般の
情勢で今後も
稼働の見込みがないとか、或いは
稼働にな
つても相当
引掛らざるを得ない、こういう客観的な
事情がありました場合におきましては、勿論その
限度におきまして
評價の
調整をやるということは妨げない、こういう
考え方のようであります。從いまして
程度につきましては相当
伸縮性があるというようにお
考え願つてもいいのではないか、ただ併しそれは飽くまでも客観的な
物差で計るべきであ
つて、
はつきり値打があるに拘わらず、経営上都合を好くしておくためのものには、
シャウプ報告書は賛成しないという
意見であります。いろいろな問題がありますので、具体的な基準なり、或いは
意見があつたときの評定の仕方は、
委員会を設けまして、そこで決めるという
考え方のようであります。それからもう
一つの点は、再
評價の
差額利益を以ちまして直ぐ
増資を認めるか認めないかということであります。これはいろいろ議論したところでございますが、結局五ヶ年間くらいは認めない方がいいだろうという結論にな
つております。ただその間普通の
増資によ
つて資金を増加する必要がありはしないか、そうしますと、
余りこの際
株式に振替えて置きますと、
新規の
増資が困難になりはしないか。併し今の
日本の
情勢は、相当普通の
増資によりまして
資金の調達をする。そのために今直ぐ
増資を振替えさした方がよくはないか。そのためにはこの際どうしても
資本金の
増額を大きくいたしますと、
配当金額が大きくなり、実際
上利益配当制限令がありまして、普通の
利益からでなければ
配当できないことにな
つておりますが、普通の
利益からでさえあれば、如何なる
高率配当でも、
制度の上ではできることにな
つております。併しながら
高率配当にもおのずから
限度がありますので、この際
資本金を大きくして置きますと、或る場合には実際の
配当の
増額に
影響があろうかと思います。今
余り大きく
配当させるというふうなことは、やはり
会社といたしましても、大いに
新規増資の必要のある際においては感心しないから、極力留意させまして、
企業の再投資に任せた方がよくはないか、こういう
考え方のようであります。
從つて五ケ年は
株式に振替えることを認めないという
考え方のようであります。そういう点が
大分大きく
変つた点であります。
税率はそういうやり方の
変更その他いろいろな点を総合考慮いたしまして、結局六%がいいというのが
シャウプ案のようであります。これは一方におきましては議論がありまして、相当な檢討を加えて、六%くらいの
課税を取つたらどうだろう、これは
余り高過ぎて再
評價を不当に低くしちやいけない、
反対に甘過ぎてどの
会社も水膨れさせるようなことがあ
つてはいけない。それから現実に
インフレによ
つて損をしたもの、
債権者等は
はつきり損をしておりますが、そういうものもいることだから、とにかく
財産を
インフレ時代に價値を保存し得たものについては、或る
程度の
負担をさせた方が公平だろう、そういういろいろな角度から総合檢討して六%くらいならいいのじやないか、こういう
意見のようであります。これは
ひとり法人だけでなくして
個人にも
課税される。
課税されるのはさつき申しましたような
譲渡所得の一種として
考えて頂いた方がいいのではないかと思います。
資産を譲渡した際に
課税される。譲渡した際の
課税方法はずつと貰わない場合には掛らなくなりますから、
相続がある場合に普通の
譲渡分を
課税することにな
つております。それから
納期その他は、
法人は御
承知の
通り最初の半分を
最初の一年に納める。
あとの半分を二十六、二十七
年度に納める。
個人の方は総合したものの六%ずつを納めて行く、十何年くらいかかる
計算になりますが、
法人の場合と
違つて個人の方は少し延ばしたらどうか、こういう
考え方のようであります。その辺
余り長過ぎるので、どうするかという問題になる点があると思いますが、大体再
評價につきましては、さような点を御
承知願いたいと思います。從いまして今のところ問題にしておりますのは、結局やはりこの際
企業を全面的に附け替えをする方がよいというのが見方であります。單に
税金六%取るということは大した目的でないのでございまして、むしろ
企業の経理を根本的にこの際適正化する、それによりまして、
税法上における適正な
減價償却をなすべきものはなさせるというような見地から出ておるようであります。問題は今申しましたように、
程度を如何なるところで
調整するかというところにあると思います。この点は我々といたしましても、よく
事情を研究しまして妥当なところに落着くようにしたらどうか、かように
考えておる次第であります。
それから
農地等につきましては
公定價格の
関係上若干
特例が認められております。
それからもう
一つは
法人の
損益計算につきまして
合理化を行う、
法人だけでなく
個人についても同様でありますが、
一つは欠損がありました場合におきましては、繰越し
控除をずつと損がなくなるまで認める。
反対に繰戻し、前の方に繰戻して引いてやるということもあります。その
半面棚卸につきましては、
從來のように適当に原價から
評價減を出すことは認めない、
一定の
方式を決めてそれを動かすことができない、どの
方式を採るかは
企業の規模によらせる、
変更する場合は政府の認可を要する。
会社の
損益計算はやや
從來よりも厳重になります。適当な
評價減によりまして
調整の余地は少くなります。その
半面損がありますれば、繰越なり繰戻を認めて、結果においては大差ないかも知れませんか、飽くまでも
課税標準は客観的に
はつきりしたものにしまして、
認むべきものは認めるという
はつきりしたことにするというようであります。
減價償却、修繕と
資本支出、こういうものにつきましては極力区分を明確にする必要があるという
意見のようであります。
それから
貸倒れ準備金につきましてはパーセンテージを示しておりませんが、
一定の
企業の
実績を基にして
一定の率を認めたらどうだろうという
意見のようであります。
それからその次は
相続税でございますが、
相続税は詳しく申上げませんが、
建前ががらりと
変つたということを御留意願いまして御覧頂きますことをお願いいたします。
相続税は現在では被
相続人の
財産を纏めて
課税しておる。或る人が亡くなると、亡くな
つた人の
財産が一億ありますと、一億全部纏めて
課税する。
相続人二人以上に贈與した場合にはその贈與額も合算して累進税で
課税することにな
つております。ところが今度の場合は
反対に貰
つた人に
課税するということにな
つております。從いまして
相続人が一億円の遺産を一人で分けた場合も、五人で二千万円ずつ分けた場合も
現行税法におきましては
負担額は同じでありますが、
勧告によりますと、五人で二千万円ずつ分けますと、一億円を一人で貰つた場合に比べまして、ずつと
負担が下
つて來る。累進
税率の
関係で二千万円ずつ分離して
課税するということになりますから、
負担関係はうんと違うわけであります。その
代り最高税率は九〇%にな
つておりまして、この辺は非常な重課であります。これは富の一人に
余り大きく集中されるということは
企業の過大集中と同じような
意味において健全な
経済の発達上面白くない、むしろやはり
一定の段階のときには或る
程度富が細分配されることが望ましいという
考え方から來ておるようであります。
從つて同じ
財産額で多くの人に分ければ分ける程今度は
相続税額が減るということになります。現在の
税法ですと、幾ら人に分けて細分しても、その人が持
つておる
財産を全部纏めて
課税しましたから、同じでありましたが、今度は分散すればする程
相続税は
負担額が少くな
つて來るということになります。
建前が全部そういうふうに変
つておりますので、
相続税は根本的
改正に相成るかと思います。その
代り貰つた方の分を一生を通じまして全部貰つた額を合算して
課税するということに、今度は
反対にな
つております。そういう根本的に変りました点を御留意願いたいと思います。その他に
家族控除を認めるとか、或いは最低
控除額を引上げるというようなことがいろいろ書いてあります。
それから
配偶者が
相続を開始しますと、半分だけ
課税する。それは又直ぐ
相続が開始される機会が多いからであります。又今度は子供が
相続した場合よりも年長者が
相続した場合が却
つて下が
つて來る。この辺は人情論から申しますと如何なところもありますが、
負担論から申しますと、
相続がじきに開始される機会が多いからやはり
財産課税の
担税力からいうと、少くてよいのだ、こういう
考え方のようであります。それから
公益法人に対する寄附は全免にな
つております。
相続税はこういうように全般的に非常にシステムの
変更に相成るかと思います。
酒の
税金につきましては
余り多く申上げることもありません。酒は
税金として消費者に課してよい
税金だから大いに收入を殖やしたらどうか。食糧
事情でなかなか原料は増やしにくいだろうから、もう少し
税率を上げて殖やしたらどうか。必要なれば統制をや
つてもよい。こういう
考え方のようでありまして、やや最近の食糧
事情と必らずしも歩調がとれないところがあると思いますけれども、この酒税を
税制の中で相当多く認めておりますことは、いずれにしろ重要視さるべき点でないかと
考えます。ただ私共の方としましては、本年は相当甘藷が増産になりまして、原料が殖えそうでありますので、その
税率等につきまして
余り無理過ぎることは如何かと思いますので、その辺は今後の研究問題になろうかと思います。地方の配の消費税の廃止に伴いまして、先程申しました酒税の重要性に伴いまして、或る
程度税收確保という見地から卸賣統制の再開、生産なり、販賣なりが統制されてもよいという
考え方のようであります。今すぐとうしろということは
提案されておりませんが、必要に應じてやるべきだという
意見のようであります。
取引高税は御
説明申上げる必要はない。歳出が
一定以下に
なつたら
廃めてよいという
考え方のようであります。
物品税につきましては、
余りに一〇〇%、八〇%という非常な高率の税は脱税の見地から或る
程度下げたらよいだろう。その他の
税率は
余り下げなくてもよいというような
勧告のようであります。これは例えば丙類五〇%と
税率はな
つておりますが、消費者の
負担に帰する場合においては小賣價格に対して何パーセントになるかが重要だ。生産者價格は小賣價格に対して大体六〇%から七〇%のようであります。仮に六〇%としますと、小賣價格は生産者價格に対して五〇%
負担する。結局三〇%の
負担になる。それぐらいの
負担だからこの際はまだよいのではないか。こういうことを強調しておるように思います。ただ純梓の必需品的のものは廃してよい。履物、靴等は
課税対象から除外したらどうか。
余り細まかいことは詳しく書いておりませんが、要するに必需品的なものは除外したらどうかという
考え方のようであります。併し全体としまして物品税は織物消費税と比べまして、或る
程度やはり
課税するのがよいのではないかという
考え方のようであります。
織物消費税は申上げる必要もないと思います。
砂糖も
廃める。砂糖につきまして、は、やや我々の常識と反するところがありますが、結局イロア・ファンドから入
つて來る。これは國民の最低生活必需品だから入
つておるのだろう。
余り高率に
課税すると入
つて來なくなるのではないかというような点が強調されておるようであります。
揮発油税につきましては存続の
意見のようであります。むしろ地方税として
課税するよりも國税として
課税する方がよいという
意見のようであります。
その他におきましては煙草も千二百億の煙草の益金はこれは
余り文句を付けるところはないというところでございましよう。むしろ場合によ
つては若干引下げた方がいいという
意見のようであります。
その他のいろいろなる税につきましては、
余り研究の時間がなかつたけれども、主として
所得税であるとか、酒とか、そういう非の打ちどころのない
税金で、極力賄うことにして、
余りこまごました
税金は止めた方がいいのじやないかという、非常に学者的な
意見が述べられておるようであります。まあ若干問題があろうかと思いまするが、二十五
年度からすぐ全部を減らすという計画にはな
つていないようでございます。將來の理想的な
税制からはこういうものは整備したらいいだろう、こういう
考え方のようであります。
それから社会保障税は、
從來は國民健康保險とか、労働者災害補償保險とか、失業保險とか、こういう保險料は、まちまちにあちこちで
徴收して、而も基準等も合理的に揃えないでや
つているようである。そのために却
つてこういう收入が確保されないでおるようであるが、これは全部社会保障税として、統合して
勤労所得税の系統と同じところで
徴收するようにするならば、歳入も確保され、
從つてその結果こういう社会保障的な計画も眞にしつかりした計画ができ上るのではないか、こういう
考え方のようであります。そういう
意味で、むしろ社会保障税として統合して
はつきり
徴收した方がいいのじやないか、こういうふうなことのようであります。
〔委員長退席、理事黒田英雄君委員長席に著く〕
それから競馬は大したことはありません。
地方税につきましては、住民税は今まで均等割と、
所得割と、
資産割と三つあつたが、その中
資産割が不動産
課税で重複するから止めまして、大体均等割と
所得割にする、均等割はここに書いてある、以下でそれぞれやる。
所得割も國税の
所得税と極力歩調を合わせまして、それに
一定の限界を付けておりますそれ以下で、市町村は自由に賦課率等を決めて、地方財政を賄
つて行つたらどうか、この限界は相当これは幅の高いものでありまして、この中におきまして相当地方財政は、自分に適する財政政策を採用する余地があるようなふうにな
つておるように見受けられるのでございます。從いましていずれにいたしましても、
最高までかかるものとして
計算しますと、相当
負担が殖えるわけでございますが、そういうことには必らずしもならない。いわゆる多くの仕事をやろうという町村は、これは相当税を高くしてやればいいし、
余り仕事をやらない方がいいという町村は低くなりましようし、その辺は市町村政の運用の仕方に任せる、それが地方自治の本当の健全な発展になるのじやないか、こういう
考え方のようであります。
それから納税義務者等も今までは二ヶ所で取られておりましたが、今度は住所地一本でございます。どうか一ヶ所でしか取られない。又は
会社は
課税にはならない、あの
株主とか、重役さんが、それぞれ
所得に対して住民税を納めるということにな
つております。
不動産税につきましては、これも大体
余り多く
説明を要しないかと思いますが、
一つは土地、家屋の外に、
減價償却をなし得る
資産を全部
課税の対象に見込んでおります。
一つは
課税標準の
財産價格に、キャピタルバリューに変えたということであります。
財産價格に変える
方法としましては、一先ず来
年度は農地と普通の土地價格つきましては、現在の賃貸價格の千倍にする、賃貸も千倍になりましたから、むしろこの
財産價格にしましたら、仮に賃貸價格に対して、
財産價格が二十倍だと仮定しますと、二十倍の騰貴率を見込んでおる、こういうことになるわけでございます。大体千倍にする、こうしまして、一應全部それでやるようにいたして見たいと思います。それによります
影響等も
考えまして、市町村に専門家を置いて、その次の
年度からは、更に個別的に適正に
評價をや
つて行くようにしたらどうか。それから土地、家屋以外の
固定資産につきましては、普通ならばなかなかむずかしいだろうが、今度は再
評價もやることであるから、この際一斉に
一つ國と力を合わせて適正な
評價をやつたらできんことはないだろう、こういう見方であります。
理論上は工場でありましても、工場の
資産の一部でありますところのトタン板の家屋の分だけに
課税するよりも、中味の設備等を入れました本当の資本に対して
課税するのがこういう例としては、正しいという
考え方だろうと思います。こういう
考え方のようであります。これによりまして、從来家屋税だけでは実に
税額が少いし、さらばとい
つて純益
課税のために殆んど大きな工場が税を納めていない。その結果、非常に無理な寄付金を付けましたり、或いは
反対に、設備の中の適当なものを拔き出しまして、それに概計標準的
課税を課けるという計画がありましたが、そういうことが不合理だから、こういう
方法に從いまして、変な寄付金を付けたり、或いは無理な概計標準
課税は避けたらいいだろう、こういう点でありまして、これは
徴收技術上相当な難点はありまするが、
合理化という見地からすると、相当理想に叶つた
一つのシステムじやないか、かように
考えております。
次は
事業税でありますが、
事業税がちよつと
制度が、この前申したように変
つておりますから御注意願います。要するに現在の純益
課税の
事業税の欠陷をなくする、同時に取引高税のような、段階が違うために差が出て來る、こういう欠陷もなくそう、自分が
企業の段階におきましては附加しました價値と申しますか、或る物を仕入れまして、それに
一定の加工なり、或いは保管等をやります、賣るときには、より高いものにな
つて賣られて行く、その差額がその
企業の段階において、結局附加されたその中から、
企業者は労働者に対しては賃金を拂い、金を貸してくれた人には金利を拂い、土地、家屋を提供してくれた人には地代を拂い、残れば自分の利潤を
取得して行く、その
部分を
課税標準にして行くという
考え方のようであります。從いまして、これを全部統計を取りますと、結局物の最終消費者價格に合計が結局一致するわけでございまして、取引高税のように、段階が違うことによ
つて非常に
負担が
違つて來るという欠陷がございません。
反対に純益
課税のようにすると、賃金を拂い、金利を拂つた残りが、ゼロになりまして、その
企業は
一つも
税金を地方国体に納めないという欠陷がないように、
理論的には相当
考えられた
課税標準じやないだろうかと
考えられますが、なかなか問題があろうかと思いますが、それと
減價償却を差引く
方式を取らないで、
新規投資を優遇する
意味で、新たに機械設備を買入れて、今のままでは買入れたときに一遍に引いてしもう、それを繰越して引いて行く、
從つて新設
企業が
最初のうちは
事業税を納めなくてもいい、納めても少くていいということになる。又既設
会社も大いに
一つ新規投資をや
つて貰いますと、それに應じて非常に
事業税は
負担が軽くなりますから、それは非常に
日本の工業の近代化に役立つという点があるようであります。そういう点があるのであります。
税率は、大体現在の
事業税の四、五百億
程度を確保することとして、四%ないし六%、四%でも大丈夫だと思いますが、場合によりましたならば、若干殖えるのじやないか、研究して見ますから、さように
一つ御了承願います。
その他地方税につきましては、極力雑種税は廃止した方がいいという
意見のようであります。併し不動産
課税なり、
新規の
事業税を重複するものについては、できるだけこの中でも研究の余地があるものがありやしないかと
考えております。
それから平衡交付金にしましても、
最後に地方團体が普通の固有財源ではどうしても通常の仕事さえや
つて行けない、こういう場合におきましては、むしろ平衡交付金で或る
一定のレベルまでの仕事をや
つて行けるという
趣旨で行きましたのが平衡交付金でありまして、從いまして標準的な経費の所要額と新
税制による
課税力と比較しまして、新
税制による
課税額で標準的な経費が賄
つて行けない場合におきましては、その差額を当該地が團体に交付してやるというような
趣旨で適当な物指を作りましで配付した、こういう
意見のようであります。具体
方法はなかなか問題がございまするが、構想としては今のようなことにな
つております。その他いろいろございますけれども、時間がございませんから、一應この
程度にいたしまして、御質疑によりましてお答えしたいと思います。