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1949-09-05 第5回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月五日(月曜日)    午後三時三分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○租税制度に関する調査の件   ―――――――――――――
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではこれより委員会を開会いたします。議題は租税制度に関する調査の件でありますが、シヤウプ博士勧告等について特に本日は大蔵大臣主税局長からお話を伺うことにいたしたいと存じます。
  3. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 先般シヤウプ使節團日本税制改正に関しまする勧告案が出たのでございます。御承知通り五月初旬シヤウプ博士一行日本に来られまして都鄙を通じてつぶさに日本経済事情を御研究になりまして先般の勧告案が出たのであります。我我といたしましてはシヤウプ使節團一行日本経済実情についての調査に協力いたしますると同時に、税に携わつている一人といたしませて、お出でになる当初から税制改正についての私見をたびたび申出まして及ばずながら協力いたしたような次第でございます。幸いに自分らの考えていることも一部取入れられたことは私といたしましても非常に心強く感ずるわけでありますが、何分にもこの勧告案マッカーサー司令部に対する勧告案でございまして、司令部がこの案につきまして日本政府と折衝されると考えておるわけであります。我々はこの上とも実情に副つた立派な税制を樹立するために今までより以上に努力を続けて行きたいと考えております。從いまして予算に関しまするドツジ氏の内示案とはその点が或る程度つておると私は考えておるのであります。案の内容につきましては、先般公表になりました通りでございまして、而もこれは今後発表になります勧告案の要約でございます。勧告案の全体は多分今週末或いは来週になるのではないかと考えております。聞くところによりますと、六万五千語に達する浩瀚なものだそうでございます。これを英文と和文と両方にして出ると聞いておるのであります。これらの案の内容の大体をこれから御披露いたすことにいたします。細かい問題につきましては主税局長より御説明いたすことといたしたいと存じます。  今度の改正の最も大きい点は、中央地方を通じての收入の按分が最も大ぎい問題でございます。第二に國税におきまして所得税中心主義を採用したということが第二点でございます。第三点におきましては、法人税につきましていろいろな見地より相当の軽減をした、即ち法人税につきましては、從来の我が國の税法では大陸系税法を手本にいたしまして、法人企業というものを個人よりも独立した存在であるというり課税対象になつてつたのでありますが、今回のシヤウプ勧告案独立対象でなじに個人の延長である、いわゆる英米式、殊にイギリスの税法に変つたということが主なる第三点であると思うのであります。尚又税の徴收面につきまして、先般の発表では十分には出ておりませんが、聞くところによりますと、徴收関係につきまして相当改善が行われるやに私も想像いたしておるのであります。  以上が大体の大掴みのところであると考えるのでありますが、尚法人並びに個人の現下の経済情勢から申しまして負担を適正にするために、資産評價に関しての勧告が出ておるのであります。この資産評價の問題は昨年來國内におきまして非常な論議の的になつておるのでありますが、今回シヤウプ勧告案にもこれが出ておるのであります。以上が大体の勧告案の骨子でございまするが、もうすでに新聞その他で御承知と思いますので一應この程度にいたしまして、後は御質問によりましてお答えすることにいたしたいと思います。全体の勧告案が出ておりませんのではつきりしたお答えはできないかと思いますが、シヤウプ博士考え方等につきましては、十数回私折衝いたしておりますので発表して差支のない点につきましては、御質問に應じましてお答えすることにいたしたいと思います。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質問があり、ましたらば……。小川君。
  5. 小川友三

    小川友三君 大臣に伺いますが、この資産評價の問題ですが、第五國会におきまして政府資産許價に対しましては大体二〇%位でよろしいという案でございますが、シヤウプ案は大体六%位となつておりますが、この点につきましてシヤウプ案マ司令部に対する勧告案であつて、政令と違うという差がありますと大臣考えは第五國会におきます考えでございましようか。シャウプ案に対する所見を拝聽いたしたいと思います。
  6. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今まで大蔵省におきまする税制調査会或いは内閣におきまする税制審議会等において議論されたところによりますと、大体資産再評償いたしましたその評價増しの部分を株主に分配した場合には、即ち増資資金であつた場合には二割、積立金で置いた場合は一割というふうなことも考えられております。我々もそういうことを考えておうたときもあるのであります。この問題はどの程度に再評價するか、再評價をどの程度にするかによつて余程変つて來るのでございます。何も二割とか一割というものが確定案ではございません。從つてシヤウプ使節團の六%というのも、これ又一つの見方ではないかと考えます。当然法人所得に対する課程で超過所得税を存置するか、或いは撤廃するかという問題も関係して来る問題でございまして、この税率等は全体を見て決めなければならん問題だと思います。六%の税率がいいか惡いかとい意見は、まだ私から賛否の意見を申上げるところまで行つておりませんが、シヤウプ博士考えとしてはこの位が適当だとお考えになつたのではないかと思います。再評價方法につきましては今発表になつておりませんので申上げかねるのでありまするが、今まで税制審議会で議論しておつた点とは可なり変つて来ると思います。
  7. 小川友三

    小川友三君 関連しまして。この再評價の方針が第五國会の初めから大体法人側で希望する法人資産を再評價するのであつて、希望しない場合は再評價しないのだというような重点的な意見がありましたのですが、この点につきましては会社で再評價を希望しなかつたならばそのままにして置くかどうか。もう一つ負担の均衡を図る意味において希望しなくとも当然或る会社は一億という資本のものじやないという場合があつた場合には、再評價をどういう工合に政府の方でさせるのかという、この二点につきましてお伺い申します。
  8. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 当初は法人についてのみ再評價考えられておつたのでございまするが、個人につきましても再評價を何することになりました。從つて評價を強制するか否かにつきましては、まだ発表になつておりません。新聞記者シヤウプ博士との会談ではユニバーサルという言葉を使つておられるようでありますが、この点は私も強く申入れた関係もございます。或る程度変更になつたのでありまするが、今暫くお待ちを願いたいと思います。
  9. 木内四郎

    木内四郎君 今のに関連してですけれども一部の新聞の傳えるところによりますと、再評價したものを資本化するのは三年間ばかりお預けだということが出ておりましたが、その点は大臣向うに接せられたときの感じで如何ですか。
  10. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 結論は分つておりまするが、この分はちよつと発表を許して頂きたいと思います。実はシヤウプ博士と私は秘密裡に一人で秘書官だけを連れて帝國ホテルで数回会いました。よく日本でこの分が新聞漏れなかつたと非常に得としてシヤウプ博士が喜んでおられました。要綱案が出て、今度全体の文が出るまでに漏れるようなことがあつては困ると、こういうような話でありました。自分はそれは極力漏れないようにいたしますと、こういうことで行つております。再評價の問題につきましては、シヤウプ博士が帰られてからでも、その程度の小さい分についての異動があるようであります。私はその最近の異動を見ておりませんから、若しここで申上げると、小さい分の異動があつた場合には、ミス・ロードするようなことがあつても困りますので、その点も暫く御猶予願いたいと思います。もう五六日、七八日の問題だと思います。
  11. 木内四郎

    木内四郎君 大臣がそれだけの心使いは御尤だと思いますが、一部の新聞に傳えられたこともありますので、そういう誤解を拂拭することが適当であると考えられたから、その点についてだけでも……
  12. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 一部の新聞については余り権威のあるものじやないと思つております。やはりこの問題は伏せて置いた方が……、とにかくシヤウプ博士は一遍に出すと日本國民は全部それに注意をして、皆が読んで正確に知識を得る、小出しにするとあれかあれかと言つて全体の研究が疎かになる。小出しにせんようにという希望を言つておられたのであります。私はそのお考えは全く結構だと心得まして、発表については現にシヤウプ博士発表せられた程度以上には出ないことにいたしたいと思います。一つ了解を願いたいと思います。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程大臣からお話がありました徴税関係に対する改善の問題ですね。勧告には余り十分に出ていないと考えておりますが、私はこの点が今度の勧告においては一番重要だと思うのです。秘法だけですね、だけの上から見てこれだけのものになるということと、実際どの程度所得を以て正確に捕捉して、そうしてこの税法を実施するかという問題と二つを考えなければ本当の税負担は分らないのであります。この点で若し所得捕捉がこれまでのようにですね、杜撰であるということになると、今度の税制勧告案に見られるような改正は非常に不公平なるものになると思うので、所得が正確に公平に捕捉できるとい前提に立つて勧告案と思うのですが、その点についてもう少し徴税関係ですね、果して所得が今後正確に公正に捕捉できるものかどうか、これに対してこれまでのようじや駄目ですから、何か新らしい方法をお考えになつておるかどうかですね、この点がまあ今後非常に重要で、そうしてその結果として税率では軽くなつたけれども、実際の税額相当殖えるのじやないか、例えば事業所得税についても税率は軽くなつたけれども、所得を公正に捕捉すれば却つて税が殖えるのじやないか、そうなると政府の実際の税收入は非常に殖えるのじやないかと思うのですが、この点についてお伺いいたします。
  14. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今年度のサンマライズした発表案につきましては、簡單に述べられておるだけでございます。青色申告と申しますか、ブルー・レターの何がございますが、今後出ます勧告案につきましては、相当部分をこの面に使われておると聞き及んでおるのであります。第二の所得把握についての問題でございまするが、これはシヤウプ博士考えは、何を措いても所得完全把握ということに力を注がなければ、税率基礎控除をどんなにしてもこれは意味をなさないことだ、極力所得把握に力を集中するように勧告をされておるようであります。その方法につきましては、税務機構の問題、税務職員の素質の問題、納税者の協力の問題、納税者の帳簿の問題、それから又更正決定の問題、そうして租税裁判、或いは苦情引受所というような問題があると思うのですが、こういう問題につきましては、シヤウプ博士も十分触れておられると想像いたしておるのであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大藏大臣でなくても、あとで主税局長でも結構なんですが、二十四年度課税所得と、それから推定所得との差ですね。これまでの調査によると、大体所得の三割ぐらいが課税所得になつてつて推定所得の七割ぐらいが非課税になつておるんです。從つて本当に公正に所得捕捉するということになると、非常にこの秘法でうんと税収は非常に多くなると思うんですが、その点について、一面に何か余り税收が本年度と変らないようなわけですけれども、若しか本当に推定所得の大部分捕捉できるようになると、非常に税が殖えるわけなんですが、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  16. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) この問題に対しまする前提といたしまして、日本國民所得が正確なりや否やということについて第一に檢討しなければならん問題があります。シヤウプ博士も來られまして、國民所得計算方法に手を着けられたようでございます。安本からも参りましたし、又大藏省からも行きまして、説明いたしましたが、如何なる方法によるかということについての結論は出ないようであります。第五國会論議せられました二兆九千三百億円ということにつきまして、相当の疑問があるのでございます。而うしてこれを基準にいたしまして、二十四年度課税所得が、非謀所が、課税漏れが七割、或いは課税対象になつたのは三割とは私は考えておりません。逆ではないかと思つておりますが、とにかく政府が今まで発表しておりました國民所得に対しましての、いわゆる課税所得のギヤツプということは、これは見逃せない事実でございます。それはどこにあるかというと、國民所得計算と、課税所得漏れということが出て来ると思うんです。従いまして、今後におきましては、先程申上げましたように、あらゆる手を盡しまして、実際の所得顔の把握努力いたしたいと考えております。で所得額把握した場合にどうなるかという問題は、來年度國民所得をどう見るか、税務機構をどうするかという問題とも関連いたしまするが、今お話のありました減税額は、どういうふうになるかということがあるのですが、新聞にもよく論議対象になり、大蔵省は少し減税案を甘過ぎるように言つてるのじやないかという批評でございまするが、この機会に私の考えを申述べて置きまするが、新聞に今度の勧告案によりまして所得税が千億円の減税になるということを発表いたしましたのは、昭和二十四年度所得基本にいたしまして、これは所得額並びに階級別扶養家族階級別分布状況、これを見まして、この予算基本に、シヤウプ勧告案税率控除基礎控除をいたしますと三千百億円が二千百億円になる、改正案現行税法との差額は千億円、シヤウプ博士が二百億円と言われたのは、來年度所得は大体この程度になるだろう、そうしてその所得シヤウプ所得税法を適用したならば二千九百億、今年は三千百億円、従つて二百億円の、國民所得所得税として納めるのが二百億円、こういう関係でございます。我々は飽くまで理論的に税制税改正案というものの減税額を見るときは、基本を同じものとして、前の税法と今度の税法を適用したこととして論議しておるのであります。シヤウプ博士は、二十四年度税收見込高は、二十五年度になると國民所得は高騰するから、それに税率をやると二千九百億円、そこに両者の説明の方法が違つておるのであります。來年度所得が、所得税額がどうなりますかということにつきましては、國民経済の変遷の状況並びに今お話しになりました所得把握別というものによつて相当動きが來ると思うのであります。勿論今まで課税漏れであつた人に対しましては、課税漏れであつた人につきましては、所得状況が同じであつても、課税所得が殖えて参りますから、その人の負担は重くなると思うのであります。例えばここで子供三人の家庭で、事業所得者で十万円の所得のある人が、現在は一万六千五百円の負担であるのが、これがシヤウプ改正案を使いますると、五千六百円、三分の一以下になる。併しその人の十万円とい所得が実際は十五万円あつたのということになりますと、今までの課税漏れが出て來るから負担はそうでないようになるかも知れない。我々は税法改正による増減ということは、飽くまで所得の変らない人を対象にして計算する、こう計算して見ると十万円の事業所得者が一万六千五百円のが、それが五千六百円、三分の一になる、こういうことになるのであります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点でよく分りましたが、只今大臣が二十四年度所得に今度のシヤウプ博士勧告案税率を仮に当嵌めて見ると千億の減税になる筈だということを新聞でも見ましたが、これは非常におかしいと思う。この際誤解をさせないようにして頂きたいと思うのであります。適用する場合の所得というものは、二十四年度の二兆九千三百億円を基礎にしておるのでしよう。シャウプ博士勧告案所得を正確に補足するということが前提なんですから、そうしますと、二十四年度捕捉よりももつと捕捉が高くなければならん。従つてただ二十四年度捕捉の、今までの捕捉の額にシャウプ博士のこの税率を当嵌めて千億の減税になるというのじや正しく言うシヤウプ博士税制勧告の趣旨を解していないと思うのであります。このシヤウプ博士のこれを適用する場合は、所得を正確に捕捉するということになるのだから、もつと所得が多くなるので、千億の減税になるのではなく、実際の政府税収入は多くならなければならんので、そうでなければ非常に不公平な税になる。そういう意味で、千億の減税になるということは、これは非常に私は不正確な言い方で、何か非常な誤解を與えるような、今までのように、非常に脱税が沢山あつたのですから、所得の隠蔽が、それをやはり認めておる、今後も認めるというような、どうも誤解を與えるようなことになると思うのですが、その点はどうなんでしようか。
  18. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これは私の千億円の減税案というのは、二兆九千三百億円を基本にいたしておりません。昭和二十四年度予算編成の場合の課税所得基本にいたしておるのであります。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは幾らですか。
  20. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) それは正確なところは覚えておりませんが、各階層別所得をずつと見ております。それに当嵌めておるのでございます。だから二兆九千三百億円というものを対象にはいたしておりません。それからシヤウプ博士の言われる二千九百億円というものは、昭和二十三年の國民所得に対しまして、二十四年はこのくらい殖えたと、昭和二十五年度についてはこれだけ殖えるだろうという想像を加えて計算をなすつておるようであります。そこで基本が違うものでございまするから、そういうふうになつておるのでございます。從いまして、私は、昭和二十四年度予算基礎にしてあの改正案を嵌めて見ると現行税法とは千億円の減税である。それから又二十五年度國民所得を想像いたしまして、そうして今の税法で二十五年度所得に対して税法を適用した場合には四千億円余になる。それをシヤウプ博士は二千九百億円と言われておるのでありますから、千億円以上の減税になる。こう二段に而も文書にして新聞発表いたした次第でありますが、それがたまたま片方だけ新聞に出まして、國民誤解を招いたようでありますが、これは今までの税制改正案による減税とか増税とかいうことは全部そういう方法でいたしておるのであります。例えば、例を申上げますると、酒の税を一升で百円下げる、だから同じ造石高であるとすれば酒税がこれだけの減収になつた。併し、若し「いも」なんかをどんどん使つて、そうして酒を殖やしたりすると、今年よりは租税收入は増になりますが、税制案としては減税案です。收入は別でございます。これで御了承願いたいと思うのであります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから資料をちよつと、お差支なかつたら先程の基礎なつた、二十四年度階級別所得課税対象なつたその資料を頂きたいと思うのであります。
  22. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 後で又御覧に入れます。
  23. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 このシヤウプ案が出まして、勿論大蔵省当局としては今年度補正予算の案をお作りになつておられると思うのですが、一体臨時國会はその補正予算が出てから召集されると思うのですが、いつ頃になる見当ですか、それをお聞きしたいと思いますのが第一点と、その次に、この勧告案は鉄則であつて國会で以て如何に努力してもこれを変えることができないのかどうか、その辺のところのお見通し一つ伺いたいと思います。
  24. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) シヤウプ勧告案が出ましてから、これに則りまして税法改正に手を染めております。先程お話し申上げましたように、これは司令部からの勧告ではございませんので、司令部に対するシヤウプ博士意見でございますので、私は或る程度動くのではないかと、又先程申上げましたように、我々としてこれを不適当と思われる点につきましては、関係方面との折衝をして行きたいと考えております。而してシヤウプ勧告案を具体化するためには、明年度歳出予算がどの程度に相成るかということを見通しを付けてやらなければいけません。従いまして、只今私のところで檢討いたしておりまするのは、昭和二十五年度予算がどうなる、歳出がどうなる、そうしてシヤウプ勧告案によつたならば歳入がどうなるとい檢討を加えて、そうして又その檢討ができましてから後に今年度補正予算をどうして行くかという問題に遡つてやると、両者只今検討いたしておる次第であります。できるだけ早く國会の召集を見るべく日夜努力いたしておるのでございまするが、何分にも向う関係方面了解を得なければなりませんので、國内的に、事務的に仕事ができたからといつて直ちに出せるわけでもありませんし、まあ大体私の見通しとしては、十月の二十日頃か、或いは遅くとも十月一杯には出したいという目標の下に努力を続けおる次第でございます。而して、このシャウプ案によつて作成される法律案國会でどうこうという問題につきましては、これは油井先生御存じ通りでありまして、飽くまで政府の責任で出すものでございまして、御審議は結構だと思います。
  25. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 尚今経済界に及ぼしている一番大きなセンセーションは織物消費税の問題ですが、これは相当一年間に消費税額が上つておるのですが、全廃しろというような勧告案になつております。而も来年の三月一日より廃止せよということになつておりますが、その間過渡的な影響を成るべく少くするために、一應三〇%だけを切下げるという話が出ております。併しながら織物業界におきましては、一遍に三割の消費税を下らげれますと、現在生産者或いは卸賣業者、小賣團体に、相当ストックがありまして、これに対しましての値下りというものが大きなものになつて参ります。これに対して戻し税とか何かの方法によつて補償するのでなければ、業界が非常な混乱を起すということが予想されます。こういう点につきましては、当局としてはどのようにお考えになつておられますか。
  26. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お話通りに、シヤウプ勧告案につきましては、來年度より織物消費税を全廃するというのが出ております。三月二日というのは、延納の関係がございますので三月一日となつておるのであります。而して又、全廃の勧告案と同時に、経過的に或る程度減税措置をとつたらいいだろう、こういうことが載つておりますので、我々は経過的に如何なる措置をとるかといことを只今檢討いたしております。そうして又お話のように、卸賣業者、小賣業者ストック値下りの問題、或いは又生産者の金融の問題、いろいろな問題があると思うのでありますが、こういう点につきまして檢討をいたし、又もつと詳しく申上げますれば、この織物の卸賣並びに小賣業者については、價格差益金の問題も入り込んでおりますし、この間に処しまして、とにかく円滑なる運営を図るべく努力いたしておる次第でございます。
  27. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ消費税に関連いたしまして、物品税の方は單なる訂正どいうような勧告なつでおりますようでありますが、メリヤスのごときものを取上げて見ますと、消費税があつた時代にはメリヤスが除いてあつて、その後物品税というもので三割の課税をされておる。片方織物消費税がゼロになつて物品税は相変らず残されておるのではないかという懸念も相当強いわけであります。こういうところの調節を如何なさいますか、お聞かせ願いたいと思います。  それからこれは私の私見でありますが、織物消費税は大体一年間に百七十億見当税額が上つております。これを全部撤廃するということは、なかなか外の税制との関係から言つても、財政上から言つても、相当考慮を要するのではないかと思うのであります。而も繊維製品というものは、國家全体から見まして、國民住活の上においても最も必要なものでもあり、又計画的にこれの生産を図られるのが当然じやないかと思われるのであります。そういう点につきまして、全部税制までも撤廃いたしますというと、國家といたしまして生産計画というものの拠りどころがなくなるという点も懸念されるのであります。むしろこれは一割ぐらい残して、百七十億のうち百億ぐらいの金の財源に当て、更に國家的の計画経済とい意味から言つても、この税制によつてどういうものが生産されておるかということが正確に分ります。そういうものの参考資料にするということも必要ではないかと思うのでありますが、これに対して大蔵大臣といたしましての御見解を承わりたい。
  28. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 織物消費税は全廃し、物品税は訂正ということに止まる。その使用は織物と同様であつて、そうして定義が織物に入つていないメリヤスにつきましてはお話通りであるのであります。私はシヤウプ博士勧告案に対してとやかく批評することは差控えたいと思いまするが、実は織物消費税というものは世界に余りない税金であります。これは明治三十三年でございましたか創設せられまして、一時綿織物につきましては大正十五年に非課税、そうして昭和十一年から復活された、そういう沿革的に申しますと未練がないこともないのであります。そうして又かく全廃いたしまするとメリヤス等の関係も出て参ります。従いまして織物消費税の全廃の問題につきましては物品税との調整も考えなければならないと思います。物品税織物消費税とどうかという問題になりますと、理論的には物品税は賛沢なものだから置いておいていいのだとい結論が出ることは当然だと思います。殊にイギリスでもアメリカでも物品税的なことはやつております。日本物品税を創設いたしましたときにはロンドンタイムスはわざわざ社説を掲げてその創設を褒めたようなことになつているのであります。向うにすれば可なりいいのであります。併し十割の税金とか八割の税金なりは如何にも高いということは向う考えまして引くことに勧告する。それで又向うの人によく何する品物につきましては、これは物品税を課けておるのはきついというようなまちまちな意見もありますが、間接税についての統一的権衡が少し欠けているのではないかと思つておりますので、我々はこの点につきまして只今檢討を加えておる次第でございます。織物消費税の四割一割の課税を全般的に一割にして存置する意見はないかという御意見でございますが、先程申上げましたように、非常に我々も未練は持つておりますが、これは税制全般の問題で檢討しなきやならんと考えております。
  29. 木内四郎

    木内四郎君 今度の改正所得税中心であると大藏大臣が言われたのですが、その所得税について累進率を適用されておりますが、三十万円で累進率が最高の率に達するということは非常に低過ぎるのじやないかというような氣がするのですけれども、その点について大藏大臣はどんなふうに考えておられるか。それからこれは勿論税收の関係から違うだろうと思いますけれども、それについて三十万以上と未満との所得の人員と所得の金額の別がありましたら、これは一つ主税局長からでも結構ですがお示し願いたい。
  30. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 只今所得税税率並びに税率区分につきまして、私意見を申上げることは如何かと思いまするので、今度の案を政府が参考にして作つた場合まではお待ち願いたいと思います。大蔵大臣として最も國民の注意をひいております所得税税率の問題について、今意見を申上げることは一つ御我慢願いたいと思います。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと三つお伺いしたいのですが、第一は事業税のことなんですが、府縣のですね。この配つて頂いた税制制度の勧告の概要についての資料の中で、事業税は「総收入金額より建物及び機械のごとき資本的設備を含む他の企業から購入したものの價額を控除したものに課税される」とありますが、この工場とか機械を賣つた場合の收入は総收入の中に入るものでしようか、その賣つた場合の資産價格よりも高く賣つた利益だけが総收入の中に入るものですか、その点が一つ。それからもう一つは、法人に対する課税個人に対するのより軽くなつたので、個人営業を法人組織に移す、こういう傾向が二十四年度より更に顯著になるのじやないかと思うのですが、これに対して何とか適当な措置のお考えがあるかどうか。もう一つはこの地方配付税に代る平衡資金ですが、この内容ですね、この内容について平衡資金とどういうふうに違うのか、どうぞ御説明願いたいのです。この三点について……
  32. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) この事業税と申しまするか、價値増加税と申しまするか、実はシヤウプ、ミッションのあれにはヴァリユー・アデット・タックスとなつておるのであります。何と名前を付けていいか檢討を加えておりまするが、これはシヤウプ博士の言によりますと、世界でやつた國はございません。自分もこの問題につきまして一二回議論いたしましたが、その内容につきましてははつきりいたしていないのであります。從いましてシヤウプの全体の勧告案を見て檢討を加えなきやならんと思います。今お話の点で私がここで御説明できるのは、今までの営業純益とか営業税というのでやつておりますると、賣上金から仕入金を引いた差額からいわゆる荒利益から店員の俸給給料その他の必要経費を引いております。今度のは必要経費を引かんということははつきりしておるようであります。そこで又賣上から仕入金を引くのみならずそのときの國定資産等の増加分も仕入金として引くということもはつきりいたしております。從いましてそこにそういうふうに載つておるのであります。今お話のごとく賣つた場合はどうかということは、シヤウプ博士から私聞いたところ載つておりませんので、今ここで申上げることは如何かと思います。併し何と申しましてもシヤウプ博士の租税学にはこのヴァリュー・アデッド・タックスというものは詳しく載つております。それを檢討し又日本でこれを地方税、府縣税としてやるわけでございますから、地方財政委員会の方で十分に御檢討を願いたいと思います。今のところその程度じか申上げかねるのであります。  次に今度の税法におきましては法人税税率が非常に安くなつておる、これでは個人から法人に組織変更するのが非常に多いだろう、御説の通りでございまして、昨年から昨年本年に掛けましてこの税法が出るまでもなく非常に法人のあれが多うございます。從いまして法人につきましては二百七十億円の租税收入でございますが、申告が非常によくなつて來たのと、法人のあれが非常に多いので、今度の法人税收入は予想以上に激増いたしております。今度の関係個人より法人になる場合が多いと思いまするが、見方の問題でございまして、法人になつてそうして留保したものが留保所得課税なつたり、或いは配当した場合或いは俸給を出した場合には個人として課税するのですから、今までの課税の方がきつ過ぎたということも言えるのであります。その問題は私は余り心配ないのだ、概ね個人から法人になるのは、法人になりますと調査が粗放であつたり、或いは今までのように権衡とか何とかいつてぱつと決められんから法人の方がいいというので、つまり課税調査の仕方を見越してやる。税法自体、税法のために個人より法人がいいという場合は少いのじやないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  第三点の平衡資金につきましては、これにもはつきりは載つておりません。載つておりませんが、思うに從來の配付税配付金或いは全額補助金或いはいろいろな國からの補助金等を入れまして一つの財政平衡資金というものができることになると思うのであります。この点も全体の報告が出てからはつきりすることと考えております。
  33. 小川友三

    小川友三君 大体呑み込めて来ましたが、シヤウプ博士大蔵大臣は共に税制の大家ですが、特にお話賜わりたいのは、資産評價によつて概括的に大体政府は何百億ぐらいの税金を取るのか大掴みの見通しで結構でありますが。それを伺います。
  34. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) はつきりと再評價の具体的の方法は出ておりませんのではつきり申上げられませんが、六百億円の收入があると、こうこれにも書かれております。そういたしますと、この六%ですから、逆算いたしますと一兆億円の評價、こういうことになるのでございます。併し六百億円の納税の方法といたしましては、初年度において三百億、次年度において百五十億、三年度において百五十億、こうなつておるのであります。
  35. 小川友三

    小川友三君 それから輸出問題につきましてアメリカ側では非常に意見があるようですが、この点について大蔵大臣におかれましても非常に考えていらつしやると思いますが、バイヤーが来るが、政府側で高く賣れ高く賣れという統制を加えておるので、バイヤーは何も買わずにどんどん帰つてしまうというような状態で、貿易はここ半年以來足踏み状態でありまして、これは税收面でも國民所得にも大きな影響があると思います。例えばアメリカ側では日本の双眼鏡は非常に優秀なので買いたいのだが、政府で二十一ドルで抑えておるので、アメリカ側では原價計算をしても十七ドルで引合う筈だから十七ドルでなければ買わないと言つて、ここ半年以来双眼鏡は一個も賣買されていないとい実情であります。貿易業者たる双眼鏡製造業者は十七ドルで賣つても算盤も取れるし、税金も拂え、金融面も何とか助かるからやりたいというようなことを言つておる。これは双眼鏡ばかりでなく、他の輸出品でもアメリカ側では政府が高て賣れ高く賣れと言つて抑えておることをよく分つておるので、下るまで買わずに待つておるというような状態にありますが、この輸出面についてはどんどん安く外國に賣らせて税收を大いに図つて行くことがいいと思います。いわゆる輸出に対する收入が減れば税收入もなくなつて非常に困るので、この点につきまして大蔵大臣に特に御所見をお伺い申上げます。
  36. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 輸出につきましては十分我々も力を注がなければならないのでありまして、通産大臣が所管大臣といたしまして非常に御苦労に相成つておるのであります。個々の品目につきまして高く賣れ高く賣れと政府言つておると申されましたが、フロア・プライスを決めまして最低價格がこの程度ということになつておるのであります。実情はあなたのお話なつた逆の問題もありまして、非常に賣あせりいたしまして共倒れの状態も起り得るということも我々聞くのであります。何と申しましても現在は管理貿易でありまして、自由経済の下におけるような取引はなかなか至難でございます。何とか早く正常な外國貿易ができるようにいたしたいと考えておるのでございますが、過渡期といたしましてお話の又逆の点も起つておるということは遺憾なことでございますので、できるだけ早い機会に改善いたしたいと考えております。
  37. 小川友三

    小川友三君 それから総理大臣の言われた外債四億ドル、日本円にして千四百億円り外債償還問題が実現しますと、このシヤウプ博士勧告案大蔵大臣のお考えになつておる案とにおいて金廻りが惡くなりまして大いに影響があると思いますけれども、外債償環問題はどういうふうにお考えでありますか、それが一つと。煙草を民営にするということによりまして税收入面においてどういうふうな影響がございますか。この二つの点につきまして大藏大臣の御意見を拝聴いたしたいと思います。
  38. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 外債の問題につきましては、総理が先般元利拂いをいたしたいということを御声明に相成りました。私も五月の末に大阪で外債の支拂いはするということを声明しておるのであります。お話通り今のドル三百六十円で換算いたしますと大体四千四百億円になります。正確に申しますと英債が六千百万ポンド、米貨債が六千四百万ドル、フランス五億三千八百万フランと記憶しております。フランの方につきましては少し動くかも知れません、その他ドル三百六十円で換算いたしますとそういうふうになるのであります。併し御承知通りにこの問題につきましては、戦争中におきまして民間の外債全部を政府が肩代りいたしております。その戦争中の政府の一方行爲が有効なりや否やという問題もございますが、又これを返します場合についても今までの金利をどうするかという問題もございます。換算率をどうするかという問題は我々の方でも慾を言えばあるのでございまして、今後十分檢討しなければならん問題が多々ありますが、我々としては今まで外債の元利拂いを戰争以來停帶したり、或いは止めたりしたことはないのであります。從つて今まで日本政府の方針を総理から声明されたのであります。大藏大臣といたしましても借りた金の利子につきましては、向うと具体的問題を折衝いたしまして支拂わなければならんという信念の下に勉強を続けておる次第であります。  次に煙草の民営の問題につきましては、お聞及びと思いますが、大蔵省に專賣制度調査とい調査会を設けまして、朝野の学識経驗者、或いは関係人にお集まりを願いまして檢討いたしておる次第でございます。從いましてそれかどちらに答申案が出ますか、又答申案を見て大藏大臣政府がどういう結論を出しますか、これは今お話の、うまい煙草を安く國民に提供するように、而も亦財政收入が確保できるような方法で行きたいと考えております。何分にも全國に数十万の葉煙草耕作者もおられることだし、又小賣業者相当数に上つておりますので、経済問題及び政治問題で厄介な問題もございます。只今折角檢討を読けておる次第でございます。
  39. 小川友三

    小川友三君 今大蔵大臣の外債問題についてのお考えは非常に結構でございます。そこでこの形態は元利合計を金貨でお拂いになりますか、物納でございますか。金貨で拂う場合は、日本の産金額は全能力を挙げて二十一トン、三千万ドルでございますが、これは十四年間で元利合計を拂えると思いますが、どういう形態を探りますか、一つお伺いしたいと思います。
  40. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 物納いたしましても、金拂いにいたしましても、或いは貿易尻で決済いたしましてもその点では余り問題ではないと思うのであります。日本の産金は只今のところでは年に三トン程度にお考えつたら結構であります。
  41. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 第五國会予算委員会で、私は銀行の配当金の問題について大藏大臣質問申上げたのでありますが、そのときははつきりと九月から配当金を許可することになつておるから安心して貰いたいというような御答弁があつた筈です。ところが最近市中の噂によりますと、この九月の配当許可の説もどうやら影を潜めたのではないか。あの当時大藏大臣がそういう言明をされたので、銀行の株の増資等についても安心して國民大衆はこれを引受けたというのが現状であつたのであります。そうしますと今回配当されないということになりますと、如何にも政府の方で出たらめな確約をされたような工合になりまして、政府の威信にも関する点だと思いますが、この実情はどうなつておりますか。
  42. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 三月末の決算期で配当が可能ではないかというふうなところまで行つてつたのであります。それが四月の初めに駄目になりまして、そういう情勢から見まして九月には配当を復活したということを申上げたのでありまするが、その後におきまして、只今のところ決まつておりませんが、聞くところによりますと、なかなか困難の状態であるのであります。何分にもこういう問題につきましては関係方面のあれがありますので、そのときの速記録を見なければなりませんが、直ぐとは私は言つていないと思います。三月のときにもそういう状況でできそうであつたのが、四月、八月になつて多分できるのじやないかというふうな考えの下に言つたのであります。而してあのときに議会でそういう答弁したことは記憶もありますが、その後において余り銀行の増資はなかつたと思いますが、相当つておりましたでございましようか……。我々としては、大蔵当局としては、とにかく正常な状態に返せ、こういうので配当復活を希望いたしている状況であるのであります。併し何分にも今の状況から申しますと、銀行の経営につきまして余程改善を加えなければならん。先般も貿易手形につきましては二厘引下げましたが、二銭八厘という一般金利を、私は特に銀行家等と話しまして最近の機会に又一厘下げる、全般的に一厘下げようにいたしたのであります。銀行の経営につきましても、相当改善をし、そうして金利もできるだけ下げる、そうして又片一方では配当を復活したいということは我々の念願であるのであります。今日発表いたしましたが、從來問題になつておりまする高額銀行券の発行、即ち千円券の発行につきましても、極く最近05Kを貰いましたので、早速製造に取掛かることにいたしたのでありまするが、これなんかも銀行の経営には非常に好影響をもたらす、徐々にあらゆる手を盡しまして、そうして金利の引下げ、配当の復活等に努力いたしたいと考えております。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 富裕税のことでちよつとお伺いしたいのですが、富裕税を掛ける場合の資産調査ですね。これについては非常に困難があるのじやないかと思うのですが、どういう方法でこの資産調査をやられるか。それから勧告案によると大体この税収が二十億程度であるとなつておりますが、シヤウプさんの御意見ですが、そういうふうに出ておりますが、そうしますと、課税になる資産の額でございますが、それはどのくらいに推定されていますか。
  44. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 富裕税の内容につきましては、まだはつきりいたしておりません。多分勧告案には相当詳しく載つているのじやないかと思つております。私とシヤウプ博士との話の中では、申告を土台にしてやる、こういうことが出ておるのでありますが、勿論その申告が不正当であつたならばこれは訂正はいたしますが、只今のところはつきりしたことは申上げられませんが、先般行いました、いわゆる実質的財産税、ああいう方法は今のところとてもむずかしいのじやないか。即ち今では法人の数も二十万近くに相成つていると思いますが、その株式を全部評價して行くというふうなことは、これは到底できないのじやないか。而も又五百万円を超過する財産家に課税する、こういうことになつておるのでありますから納税者も極く少いと思つております。二十億円の根拠は私はまだ審かにいたしておりませんが、一千万円の財産家であると、五百万円を超過したときに〇・五%でございますから、一千万円の財産家で二万五千円の税金でございます。二千万円の財産家で十二万五千円でありますから、そういわゆる本当の意味のキャピタルレヴイ、ああいうことはいわゆる徴税の何と申しますか趣旨から行きましても甚だ不適当と思いますので、主として申告によつて課税をやつて行く。特に時價に不相当であるという場合におきましては訂正するというようなところで行くべきではないかというような今考えでおりますが、今少し研究して見ないとはつきりしたことは分りません。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 個人法人も含むわけですか。
  46. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 法人は含みません。個人だけでございます。
  47. 小川友三

    小川友三君 今の木村委員からお話のあつた富裕税の問題ですが、財産税は当初昭和二十二年の二月十五日の土曜日で締切りました財産の状態ですが、あのときの山林の評債が当時は非常に安うございまして、山林を持つている人は非常な値上りで以て厖大な利得を得ており、現在続けで繁栄いたしております。そこで山林の評價が非常に安かつたために非常にいいようでありますが、これらはいずれパーセンテージも相当切上げて貰いたいと思いますが、その点をお伺い申上げ、又天皇陛下の財産ですが、天皇陛下も相当財産税を拂つておりますが、三十何億か……現在も相当山林なんか残つているのがあつて相当の額になると思いますが、大藏大臣税制の専門家のお考えとしてはここでやつたなら二十億以上大体百億ぐらい上るだろうという御見当かと思いますが、お漏らし願いたい。
  48. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) シヤウプ案に載つておりますところで推察いたしますと、そんな五十億とか百億とかいうような収入はない考えます。先ず二十億円程度ではないかと思います。誤解を招いてはいけませんが、宮内財産につきましては、先般の財産税で殆んど國有財産に変つてしまいまして御料林等は國有財産になつてしまいました。
  49. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつきの質問の続きになりますが、銀行の配当の件ですが、内容改善すべきものが多々あるように思われるというようなお話もありますが、今一流銀行の株式五十円佛込が三十五円、四十円というような相場になつております。これはやはり配当がないからああいうふうな安い相場を示しているものと思われますが、現在の株主構成というものは大衆民衆によるというような世情になつたときに、どうも内容が余芳しくなくて配当もできないというようなことを大臣が仰せになると如何にも銀行の信用そのものを傷付けるように思われる。やはり内容のいいものはどんどん配当をやるというように即刻おやりになつた方がいいのではないかと思います。尚銀行の種類もいろいろありますが、中には成る程改善すべきところもありましようが、中には銀行員の給料というものは一番今賃金ベースが高くなつております。そういう高い賃金べースを支持するだけの立派な内容を持つているというのが大半であると思われるのであります。そういう点から見ても即刻御決意を促したいと思います。
  50. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 誤解があると惡いから申上げますが、今の銀行の内容が如何わしいものがあるとは申上げていないのであります。経理面について改善を要するということは貸付金の償還の問題とかいろいろな合理化する点が残つておるということを申上げておるのであります。配当ができん程内容が惡いというようなものはございません。それは御承知通りに五大銀行、六大銀行の今年三月末の利益計算状況を御覧になりましても、大銀行につきましては半期に一億数千万円という利益を出しておる状況であります。決して内容が惡いとかいう問題じやなしに、内容をより合理化して金利も下げるし、配当もできるように努力いたしたい、こういうことであるのであります。  尚職員の給料の問題につきましても檢討を加えまして、のべつに上げてはいかん、少し高過ぎるという点もあるのじやないかということも考えられる節がありますので、給與の引上げにつきましては、一應相談願いたいというふうな通牒を出しておるような状況であります。お話のように配当もでき、そうして金利も下げ、そうして株の價格も相当程度に出るというような方向に進んおる次第であります。
  51. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御質疑はございませんか。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の金利問題の例に出ましたが、大蔵大臣はこの間の日銀の金利の引下げはあれで適当と考えますか。あれでは少な過ぎるのじやないか。今お話のありました半期に一億数千万円利益が上る、そういう低金利政策をもつと徹底させるべきではないかと思うのですが、御意見如何でございますか。
  53. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) お説の通り、できるだけ下げたいと思つておりますが、片一方におきましては償却の問題もございますし、それから又これは銀行というものは非常に信用を尊ぶところでございまして、利益状況のいいところと惡いところがございます。償却によつて或る程度利益は左右できます。私は下げられるような状態になつて来たならば成るべき大幅に下げたいという気持を持つておるのであります。只今は非常に貯蓄もよろしうございまして、先般の議会で二千三百億の預金を、貯蓄増強を考えておると言つたら、そんなにできるかといお話もございましたが、五月は三百二、三十億、六月も三百三、四十億、七月にも二百九十億、夏枯れの八月にも二百億というふうな状況で、預金の増加は予想に違わずそれ以上の好成績を挙げておる。そうして又今回の見返資金によりまして復金債の償還とか、或いは銀行の手持資金が非常に殖えるようになつて参りました。経理状況相当改善が加えられますので、機会あるごとに下げて行きたいと考えておるのであります。一厘下げて満足しておるものではございません。殊に又千円札を発行することになりますと、銀行の経理におきましても相当ゆとりが出て來ると考えておるのであります。そういうことにつきましては極力金利の低下を図りたい。そういう方針で進んでおります。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連しまして、聞くところによると、今度日銀の中に設けられた政策委員会、ポリシイ・ボード、これによりまして金利を引下げることに対して非常に躊躇し、それにブレーキをかけたような動きがあつたように我々聞いておりますが、前に問題になりましたように政策委員会の構成が大分金融偏重の嫌いがあると思うのであります。從つて政策委員会の構成について再検討されるお考えがありませんか。
  55. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 金利の問題は、御承知通り金利審議会がございましてそこで決めることに相成つておるのであります。私は只今のところ政策委員会の構成を変える考えは持つておりません。
  56. 小川友三

    小川友三君 現在の銀行の資産評價高が非常に高いということは大蔵大臣のおつしやられておるところであります。先程の油井さんの御質問の中にも一流銀行の株が三十五円とか、或いは三十円となつておりまして、それには銀行の評價額が高い。ボロ自動車を一流銀行がフォードの三十年頃のものを七十万円ぐらいに評價しております。そういう状態が分りまして銀行株は下がつてしまつた。いわゆる再評價を先にやつてしまつた。再評價を先にやつたものだから……、余り高く見積つておるのであります。そこで今度の再許價の問題に関しまして、銀行は再評價に落第しておるのでありますが、大藏大臣は落第してないと思いましようか。この点につきまして再評償いたしますと株價が五円くらいになつてしまいますが、如何でございましようか。
  57. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 自動車の値段も今お話通りに千九百二十年型の車で七、八十万円くらいから百五、六十万円くらいの値段が通常だと言われております。そうして銀行で車が必要な度に最近買われる自動車は、そういうふうな値段で買われた場合もあるかも知れませんが、私は銀行の不動産、土地、建物、器具、什器に対しては、今の時價より非常に安いと思つております。例を取つて見ますと、六大銀行の本店の建物の記帳價格は殆んど問題にならない程安くなつておるのであります。お話とは逆でございまして、先般金融機関再建整備令におきまして、預金者に余り迷惑を掛けたくないから適当な値段に評價増しをさせるべきじやないかという議論もあつたのであります。そのときに評價増しをいたしておりませんから、今銀行の所有しております不動産、器具、什器に至つては今の時價よりもうんと安く記帳されておるのであります。
  58. 小川友三

    小川友三君 関連して……。そうするとこれ又評價しますと一億万円程度評價しておるのですが、銀行が評價することになると、五大銀行中安田銀行の本店はバラックで只でも貰う人がないような建物になつておりますけれども、あれが安いかどうかは分りませんが、評價は別問題といたしまして、株は相当下がると思いますが、それは別としまして、歴代内閣に対して不肖小川友三が千円札を出せと主張したときに大藏大臣はインフレ促進になつてしまうから出せないと盛んに反対されて、私の意見は梨のつぶてになつてしまいましたが、今度は私の意見相当汲みいれて下さいまして、千円札を出されることは大いに慶賀に堪えない次第で、(笑声)先見の明があつたということになりますが、(笑声)そこで千円札は前に印刷して相当つておると思います。或いは何百億円くらい残つておると思いますが、大蔵大臣は又印刷しておると言われますけれども、大体前に印刷したので間に合うと思います。前のやつでいいと思います。代用品で……
  59. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 先般は経済安定の施策を講じましたが、それがうまく行くか行かないかというところに危惧の念なきにしもあらずだと思うのであります。併し先般の國会を通過いたしました予算を実行いたしまして、大体私といたしましては経済安定の見通しにつきまして、インフレは終息したとは申上げられませんが、とにかく大体心配は少ない、こういう見通しが付きましたので、今回千円札を出すことにいたしたのであります。而してお話の從來ちよつと発行いたしました千円券を使つたらどうかといお話でありますが、あれは非常に戰時中のお粗末な札でありまして、いわゆる白細紋と申しますか、昔のお札を御覧になりますとスティル・イングレイビング、偽造変造を防止するために特別の印刷方法を取つており、特別の原版を作るのであります。それを今から作り始めますと、相当の期間、五、六ヶ月くらい掛かりますが、幸いに或る程度の原版はできておるのであります。それをやりかければ、大体原版を作りますのに二ケ月くらい掛かりましよう。模様を変えますし、今度は相当立派なものができます。前の分は殆んどいわゆる偽造変造を絶対防止できるだけの確信もございませんし、ああいうお粗末なものにはやはり信用維持の上から言つてもよくないと思いますので、殆んど廃棄してしまつたと思います。從いまして今度できるお札は非常に立派なものができる。紙質なんかも全部「みつまた」でやりまするから非常にいいものができると思うのであります。できるだけ早くやりたいと思いますが、やはり通貨の模様とか紙質というものは相当の自信を持つた立派なものを作つた方がいいと考えますので、まあ三ヶ月位お待ちを願いたいと思います。
  60. 小川友三

    小川友三君 そこでお伺いしますが、千円札を出しますと手が省けるというので銀行が非常に喜んでおります。それでどこの銀行でも何百人か首切をやつて、そうして百円札を勘定する人がうんと減るから首切ができる。そこで収入もうんと殖えるというので喜んでおりますが、政府の方では千円札を出しますから何百人か何千人か何%か行政整理を適正におやりになろうと思いますけれども、その点につきまして大藏大臣の御意見一つ。  それから百円札を印刷するのに三十五億円予算を差上げてあるのですが、あれを節約しまして、千円札の方にお廻しになるのでしようか。別に三十五億はそれはそれで使つてもこつちは何十億かになるのでしようか。
  61. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 百円札を刷りますのに三十何億円要しておるかどうか存じません。一般会計からの印刷費は廻していないと考えます。千円札を刷ることによりまして人件費は日銀並びに一般銀行で相当つて來ると同時に、我々の私生活におきましても手数が可なり省けると思うのであります。一枚の製造費につきましては、これは今の百円札よりは今度の千円札が可なり高くつくと思いまするが、併し一枚刷れば十枚に相当するものでありますから、全体の経費としては減つて参ります。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは多少意見にも亘りますが、私はわざわざ千円札を刷ることに対ては反対なんですが、なぜデノミネ―ションをおやりにならないのですか。今一番困つているのは経理上零が非常に沢山つくので非常に手数がかかるというところにあるのであつて從つて千円札を出さなくても、通貨單位の切下げをやれば非常に手数が省けて、そうして新らしく札を刷らなくても済むわけなんです。そういうお考えはないのですか。
  63. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) デノミネーシヨンのことは只今全然考えておりません。私としては千円札を刷つた方がいいと考えておるのであります。
  64. 高橋龍太郎

    ○高橋龍太郎君 銀行の再許價の場合には相当評價増しが出て來るだろうと思いますが、その際に銀行の整理で預金債務を何割か引下げてあつたものがありますが、それとの関係はどうなりますか、評價益が出た場合は……
  65. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 只今検討いたしておりますが、私は成るべく及ぼす影響を少くいたしたいという方針で行きたいと思います。
  66. 木内四郎

    木内四郎君 租税制度以外の問題で一つだけ伺いたいのですが、実は政府は近頃配炭公團を廃止されるということも発表されたが、その影響については業者も非常に心配しておりまするし、又我々も多大の関心を持つているのですが、それについて、二、三点だけ伺いたいのは、第一点は、配炭公團は相当の損失を出しているのではないかと思うのですが、その損失は一体どんなふうにして処理されるお考えであるか。第二点は配炭公園廃止の結果、実は金融に非常な困難を感じはしないかと思うのですが、殊に中小炭鉱の金融の問題などについてはどんなような方法で支障のないように考えておられるか。どういう方法を講じられるか承わりたいと思います。
  67. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 配炭公團廃止は今月の十五日からいたすことにいたしておりますが、配炭公國の内容につきましては只今赤字はございません。黒字が相当ございます。併し十五日から買入れの業務を停止いたしまして、そうして四百万トンか四百五十万トンに達すると見込まれます石炭を賣拂う場合においては、値引きだとか、或いは人件費とか、或いは回収不可能金、こういう問題で損を或る程度予定しなければなりません。従いまして只今の黒字とそうして買上げ停止後の先程申上げました原因に基く損失はどうなるかという問題につきましては、今後の炭價の問題との重要な関係がございますのではつきり申上げることはできませんが、私の見るところでは大体五、六十億から六、七十億という数字が只今ありますので、何とかして赤字は出さないようにやつて行きたいと努力いたしておるのであります。  次に配炭公團廃止に基くいわゆる山元並びに問屋、或いはその山元におきましても、今までメリット制で相当補助金的なものを貰つているいわゆる小炭鉱の石炭の賣捌きにつきましては、お話のような金融の問題がありますので、大炭鉱並びに小炭鉱に区別いたしまして、炭の動きの円滑を図り、そうして需要者に迷惑が掛からないような方法を折角檢討中でございますが、三四日のうちには何とかできるのではないかと考えております。大炭鉱につきましては、大炭鉱は直接に市販をいたすとか、或いは新たに設けられました問屋と協定するとか、いろいろな方法を講じておられますが、聞くところによりますと、配炭公團廃止後いわゆる問屋を申請しているものが三千件に上つているような状態でありまして、これは炭鉱業者と個々に折衝を始めまして、そうして取引を開始するような順序ができておるまうであります。何と申しましてもこれは敗戰後におきます経済上の最も重要な変化でございます。金融面につきましては、遺憾なきよう努力を続けて行きたいと考え、又その準備をいたしておる次第であります。
  68. 木内四郎

    木内四郎君 大臣もいろいろ御心配になつているようでありますが、金融についても復金から特殊な資金を出させるとか、勿論復金の金融は非常に縮少しましたが、その縮少しました範囲内においても特殊な資金を出させるとか、或いは興銀その他の金融機関から特別な金を出させるということは考えておられませんか。
  69. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 成るべく非常手段に訴えないように円滑に行くような方法考えておるのでございます。どこの銀行からどうこうというところまでまだ決まつておりません。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 補給金の問題でございますが、本年度において補給金は減税になる分だけ削減されるのですか、それとも減税というものと又別に補給金削減をお考えになつていますかどうか。新聞で傳えているのを見ますと、三百億くらいというふうに傳えられておりますが、その点と、それから補給金削減後における物價の公定價格引上げはどの程度になるものか、その点について伺いたい。もう一つ最後に人事院が新給與べースの引上げについて勧告するようなことが新聞に出ておりますが、大蔵省として財政上官吏の給與の引上げについて何かお考えになつておられておりますかどうか、この二点について伺いたい。
  71. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 補給金を減らしまして歳出面を浮かし、これを減税に充てたいということは私就任当初からの念願でございます。それで今年度におきましても極力非常な影響を與えないように補給金を減らしまして、そうして減税の財源に充てる方針には変りはございません。併しその後におきましても御承知のデラ颱風以下非常な災害がございますので、この方面に向けなければならん分も或る程度出て來るかも分りません。然して先程申上げましたように本年度補正予算を組みます前に一應来年の見通しを付けてからやることに私は考えておりますので、今補給金を削減した金額がどれだけ減税に行くか、どれだけ災害復旧に行くかはつきり申上げられないので、やはり全般のことを考えまして適当に処置いたしたいと努力いたしております。  尚人事院の勧告につきましては新聞にそんなことが載つてつたことも聞いておりますが、只今大蔵当局としてどうこうという点を発表する時機に相成つておりません。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 補給金削減の額は新聞にも大体三百億円前後とそういうふうに承知してよいのでありますか……
  73. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) まだ内容は決まつておりませんが、大体その程度でございます。
  74. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この機会に歳出関係のことについてちよつと大藏大臣にお伺いいたしたいのですが、同じ官廳で同じような人数で組織されておる人事院と会計検査院と比較して見ますときに、人事院の方が幾分人数が少いのにも拘わらず行政部費において会計檢査院より一億円近くも余計に予算を取つておるのであります。こういう点について、我々予算委員もありましたが、細かいところまだ目が届かなくて檢討きなかつたのでありますが、その後段々調べたところ判明したのであります。こういう点はやはり各官廳のセクショナリズム関係で以ておのおの自分の方の分捕り主義で行つておるのか、或いは大蔵省においては一々費目ごとに檢討してやつておるのでしようか。例えば人事院におきまして役務費というのが七千二百六十余万円、会計檢査院はこれに対しまして僅かに五百六十万円、実に六千七百万円の開きがあるようになつておます。各官廳においてこの他幾多の例があると思うのですが、こういう点はどんな工合になつておるのでしようか、お伺いいたします。
  75. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 各役所の使命がございますので、いわゆる歳出金額での比較は困難かと思います。又私も只今材料を持つておりませんので正確なお答えはできないのでございますが人員が同じである、そうすると経費も同じであるということには参らないかと考えております。
  76. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大体仕事の内容が人事院と会計檢査院というようなものは余り違わないような内容だと思うのですが、これはいずれよく大臣檢討つて機会があつたら御報告願いたいと思います。
  77. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 大蔵大臣は脇の会議の時間が参つておるそうですが、大蔵大臣に対する御質疑はまだございませんか。若しありませんければ大藏大臣は御退席になつてよいことにいたしいと思います。それから若し税の問題で尚御質疑がありますれば、主税局長からお伺いいたしたいと考えます。
  78. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 局長にお伺いしたいのですが、酒の税金も今度税率を引上げるというような意見が出ておりますが或いは合成酒にも同様にそれは当嵌まるのですか。合成酒は大衆向の酒として特別又上げないという方策をお採りになりますか。
  79. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 酒の税率につきましては余りはつきりした具体的な勧告もないようでござまして、大体税率をこの前引下げたのが少しどうも引下げ過ぎるのではないか。引下げたのを元に戻したらどうか。こういう趣旨のようでございます。従いましてその点から申しますと、合成酒の税率についても戻してはどうかということに相成るかと思いますが、大臣が先お話になりましたように酒税につきましては原料の関係もございますので、そういうものと合せよく檢討いたしまして、政府としましてはできるだけ適正なものができるように努力いたしたいと、かように考えておる美第でございます。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと住民税のことをお伺いいたしたい。住民税はどのくらい来年度高くなる見込でございますか。新聞によると倍になるとか……
  81. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 住民税は大体全体の財源といたしましては、今年のいわゆる府縣民税と市町村民税、この両者を合計しましたのが約二百四十億でございます。その総税額を大体六百億ぐらいと踏んでおりますので、三倍にはなりませんが、二倍半強の増收を期待しております。かようなものでなかろうかと考えております。これは非常に弾力性のある財源として地方團体相当幅のある運用を委せる。これによりまして、地方なかんずく市町村は本当に仕事をしたいならば、この税を増徴をしてやつたらよいだろう。それから余りよく行政ができない團体におきましては、市町村民の判断によつて税を低くしたらよいだろう。その点は地方自治の本旨に從つてよろしく運営したらどうか。かような点を相当強調されておるようであります。今申上げましたのは税金の平均といたしましてこの程度の税收と申しますか、收入を期待して置かなくちやいけないだろうという一應の見通しでないかと思います。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今伺いますと、府縣と市町村と合せて二十四年度は二百四十億の住民税であつたのが、市町村だけで六百億ぐらい殖やすというような方針でありますね。そうすると二十四年度の市町村だけの全体の税收約八百億と言われておりましたが、それが千二百億になるといお話でございますが、千二百億から六百億引いたものは、あとこれは土地、家屋税ですか。そう推定してよいのですか。
  83. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) お説のごとく地租と家屋税、更に今度は課税標準を営業用の固定資産を取入れまして固定資産に対する課税、そういうものに変えたらどうかということでございます。その地租と家屋税附加税、縣税が廃めになりますので、両方を入れますと、大体百四十億ぐらいになりますか、百五十億前後でございます。それを改正案によりますと五百三十億程度見込んでおりますこれは新らしく課税範囲が拡張になりますのと、それから地租、家屋に税する課税が、これ又大体二倍半か若干それよりも殖えるという計画に基いております。その二つが大部分でございまして、その他の大部分の地方税は縣税に移るか、或いは廃止になります。その他の税は約七十億程見ておりまして、この増徴で千二百億、現在は八百億でございますから、市町村の財源はこの計画によりますと、独立税に約四百億程増加する。この点は今後のミッションが強調しておられたのでありまして、確乎たる財源、而も相当市町村民が批判しつつ地方の行政が運営されて行く、こういうところから相当重要視されておりまする一点ではなかろうかと考えております。
  84. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 寄附金という制慶がシヤウプ博士勧告の中にあるように出ておりますが、寄附金の説明をお願いいたします。
  85. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 尚若干寄附金の問題を申遅れましたが、大体最近正確な統計はございませんが、四百億以内じやなかろうか、四百を超えることはあるまい。こういうふうに地財等でも前後と言つておりますが、その程度見ております。それに対して今度は今の地方税が殖えますのと、それから地方におきまして平衡資金が相当増加いたします。それから今現在市町村の負担になつておりますところの災害復旧費等は全額國庫負担にする。いろいろこの経費の負担の配分につきましても変更があるわけでございます。そういう際におきまして寄附金は極力減らす、計画といたしましては百億位、後残れば何とか今度の全体の計画で地方財政はやつて行けるのではないか。かような大体の見込みはできております。從いまして四百億の寄附金を將來は百億位で済むような地方財政計画にすると、かような点を具体的に寄附金は禁止するかしないかという点まで触れておりません。まあ大体無理な寄附金は取らなくても今度は市町村としましては相当の財源を得るようにしたいとかような趣旨でございます。
  86. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それは民間からの寄附なんですね。
  87. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) さようでございます。主として学校の建設費とか、警察の建設費とか、そういつた類のいろいろな寄附金が多いと思います。そういうものを四百億位に、將來は百億位にする、かような計画で地方財政の計画を立てるということになつております。
  88. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その寄附金は、四百億というのは大体目安をつけて、そういうことは政府でほお考えになつてつたのでしようか。それとも例えば政府の方では百億位に減らしたいという意向があつても、地方ではやはりどんどん寄附を取れば、これは五百億でも六百億にもなるかも知れませんが、そういう場合に先程のお話に禁止的な措置はとらないといお話ですが、措置をとらなければ結局寄附金が又嵩んで來る。税金外の税金が殖えて来るということになります。その点どうでしようか。
  89. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) その点は今回の税制改革で相当課税方法等も弾力性が與えられておりまして、寄附金に依存しなくとも適正な課税でそれが必要があれば取れる。家屋税、平衡資金等も増加されておりますから、そういうもので大体賄えるので、余り無理な寄附金はしなくともよいようなことにしたいというのが大体その案の狙いであります。法制的にどうするかという問題は細かく出ておりませんが、大体先程申上げましたようなところでなかろうかと推察いたしております。
  90. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それからこの税制が改革されて補正予算が組まれ、國会審議されて実施に移るのは早くとも十二月一日辺と心得えてよろしうございますか。
  91. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 大臣が今お話のように、遅くとも十月一杯に議会に提案の運びになりますれば、私共としては十一月一杯に通ります。実施は大体一月から実施することになる。かように考えております。
  92. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  93. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 一月からと申しましたが、これは一月から実施する必要があるものは一月からというので、來年度から実施するというのはまだ尚若干あると思います。所得税法人税織物消費税その他の重要な種類については一月から実施するということに相成るのではなかろうかとかように考えております。
  94. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑がございませんければ本日はこの程度で散会をいたしたいと存じます。これにて散会をいたします。    午後四時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            木村禧八郎君            小川 友三君   國務大臣    大 藏 大 臣 池田 勇人君   説明員    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎君