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1949-06-22 第5回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十二日(水曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税制度に関する調査の件   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。租税制度に関する調査の件でありますが、本日は農業復興会議安井総務部長お話を先ず伺いたいと思います。
  3. 安井七次

    説明員安井七次君) 私農業復興会議安井と申しますが、よろしくお願い申上げます。農業関係の税の問題を私の方でいろいろ研究しながら出ました結論を國会政府或いはGHQに対してお願いを申上げて、その実現を促進いたしておるわけでありますが、農業復興会議というところは御承知かと思いますが、非常に沢山の農業国体があるわけであります。それでなかなか意見の纏らなかつたいわゆる業界でありますので、これをつの意見に纏める機関として昨年の六月できたのでありますが、取上げております番大きい問題は何といつて農家経済に番大きい影響を持つ供出制度の問題、その次が米價の問題、次が課税の問題、それから農民組織確立に関する問題、そういう問題を專ら取上げているわけであります。そのであります税金の問題は、非常に最近の農業負担が重くなりました関係上、その重くなつた原因がどこにあつて、どういう税制改正を願わんければならんかというところにあるわけでありますが、それで取り敢ず私の方ではその道で研究されております方々にお集りを願つて委員会を設けまして、今月の十三に應の成案ができたわけであります。私は今日そのできました案を中心に御説明を申上げまして御了解を得たいと、こう思つている次第であります。農業の税が非常に重くなつたと申しますが、いわゆる農家負担には番大きいのは所得税であります。その次が地方財政負担をする地方税であります。その次がこれらの税の外に相当税制寄付金があるわけであります。我々は税外負担と称しておりますが、これが相当の率を占めております。所得税地方秘税外負担のこの三つ負担農家所得には相当の率でおつかぶさつておりますので、この三つの問題を解決することが農業負担の問題を解決する途であるようであります。で農家負担はどういう工合に殖えて來たか、簡単に申しますと、一九三七年には所得に対する負担は五%であつたわけであります。それが四六年になりますと、一五%になりまして、それが四七年には二五%に殖えております。恐らく昨年はこれより以上三〇%くらいの率を占めているのじやないかとこう思つておりますが、いずれにいたしましても、所得も殖えておりますが、その負担の率の進行は異常なものであつて農家経済相当圧迫を加えていて、御承知税金問題として農村ではいろいろの紛争を捲き起しているようであります。そこで農家経済圧迫を加えている問題は勿論先程も申上げましたような供出制度價格の問題、公租公課の問題、これが関連して圧迫を加えておりますが、この税金の問題の中心である所得税はこういう姿で重くなつて來ておる。どういう点を所得税法の中において改正を願わんければならんかということになりますと、所得税につきましては、昨年の五月の國会で私達が政府國会にお願いいたしました点は、農業所得税算定に当つて番問題になりますのは、御承知通り所得算定では收入支出がありますが、その支出の面が一番問題になつて來るわけであります。いわゆる必要経費の問題が一番問題になつて來るわけであります。所得の方は御承知通り供出制度がありますので、その農家の收穫した米の量及び價格の問題、或いはその他「いも」、麦の生産の量、債格の問題、これはもう明瞭に出て來るわけでありまして、然らばそれを生産するために要した必要経費がどうなるかというところが一番問題に残つて來て、大蔵省でも分らないし、農家自体もこれ亦自己の簿記をつけておりませんので分らなかつたのであります。そこで必要経費の問題が一番問題になりますので、我々では必要経費算定基礎大蔵省でお作りになることを強く主張したわけであります。勿論所得秘法の十條でそれぞれ必要経費算定法がありますけれども、誠に不備なものでありますので、その点の改正を要求して、’事実上改正にはならなくて、大蔵省では農業所得算定に関する基礎要綱というものをお決めになりまして、これが農家方々に行き渡つてそれで一應の必要経費の問題はまあ不満足ながら片が付いて來たわけで、今年度の所得税に当つて必要経費の問題はやや紛争が少くなつて来たようであります。そこでこれから我々が所得税に当つてお願いしなければならん問題は、先ず第一は農業経営実態から見て、これを事業所得に算入されておるわけであります。御承知通り所得税の中では勤労所得事業所得とがありますが、我々農業に課せられているのは事業所得であります。そこで農業は一体企業であるのか、いわゆる労働生産によつて出て來る所得であるのか、企業であるのか勤労であるのかという点が非常に問題になつて來るわけでありますが、これはいずれにしても、どちらとも実は言いかねる問題であります。併し農業経営実態を見ますと、これはどうしてもその所得の七割までは労働所得によるものであります。我々の農家経済調査によりましても、七割は大体農家労働所得である。でありますから、その所得税の適用はどうしても勤労によるところの所得としての算定を願うことが第一ではなかろうか。これを事業所得としてその枠の中で税金がかかりますと、どういう方法を以てしても農家負担は軽くならない。であるからこの点はどうしても勤労所得という意味を加味した課税方法をとつて頂きたいというのが、この所得税改正を願う第一点であると思います。尚私途中ですみませんが、今日お話申上げる第一は所得税、その次が地方税、その次は秘外課税、こういう三つの件でお話を申上げたいと思います。その第いちの所得税の第一点をお話申上げている次第でありますが、そこで、では具体的に農業勤労所得者意味を加味した方法でやつて頂くためにはどうしたらいいかということになるわけでありますがへ我々の方では農業專從者という言葉を使つております。農業世帶の中で労働をやつておられる方々、専從者、この專從者勤労控除を加味した基礎控除一つ引いて貰いたい、御承知通り勤労者である場合には、同一家族の中で勤労者が二人あると仮定いたしますと、二人の勤労者俸給貰つて來るときに源泉課税をされます。そのときには各々が一万五千円の基礎控除を引かれております。その上に所得に対する二割五分の勤労控除を引かれておるわけであります。その残つたものに課税されるわけでありますが、農業関係になりますと、一世帶で引かれるものは一万五千円の基礎控除だけであります。勤労控除はありません。又專徒者が五人、大体我々の計算では七・七人となつておりますが、一家族七・七になつておりますが、その中で引かれるのは何にもないので、一万五千円の基礎控除だけである。その点が勤労者から見ると非常に引かれる額が少いわけであります。我々の当ていない。だから五十石分の金を出せばいいので、後の五十石は翌年の一月から十二月の所得のものだから、その中で税金を拂えばいいのだという主張をしております。これが表に現れますと、例えば保有米のどうも前年度のまずいものを食つているのを高く計算されて税金がかかつて來る。或いは去年は五十石賣つたのに百石で計算されて來ているという声が起つて來ているのでありまして、これはインフレのときには税金農民は前に納めているという恰好になるのです。まだ金にならないものを前納めにして國家負担をしている。そのために金融の途をつけて非常な苦労をしておる。だから飽くまで一月から十二月の間の所得のあつたものにのみ税金をかけて貰いたい。いわゆる期間計算で行うて貰いたいものだということを言つております。我々の方ではそういう声が非常にありますので、保有米算定に当つてはその保有来を消費した期間、或いは金になつ期間、そういう期間計算主張して予め取られないという、そういう制度一つ願いたいものだという主張をいたしております。  大体所得税の方で大きな問題はそうしいつたことのように盡きるようでありますが、その次に最も農民を刺戟しております問題は、早出米、早場米、或いは超過供出のそれらにそれぞれ奨励金とか報奨金が付いております。特に超過供出の米については、御承知通りに三千七百円の米價の三倍で政府がお買いになつておりますが、そういう奨励制度、國の食糧事情関係上そういう制度で米を余計出さす。そういう制度をお採りになりながらさて報奨金全額税金を課けておられる。そこで農家の方ではどうも出せと言つて褒美をやると言いながら、年末には大変な税金が課かるので、これはそういうものを出さないで自分食つた方がよろしいという考え方に変つて來て非常な政治問題化しておるわけです。この点大蔵省と我々の方でも一年以來の懸案なんですが、大藏省としても或る程度事情を認めてそうあるべきだというお考えのようですが、向うさんの方で御承知になりませんので、うやむやになつて問題は解決しておりませんが、我々から言うと、國の食糧事情を緩和する建前上出さす米については税金の点は何らかの考慮があつて然るべきものじやないか。具体的には報奨超過供出のものについては源泉課税をやる、そういう制度でお進めになつては如何かと言うことで主張いたしております。所得税の問題につきましてはいろいろあるようでありますが、大きく取上げますと、以上申上げました五つ、六つの問題になるようでありまして、こういう点を私共の委員会では一應取上げて、次の國会で皆さんの方でも御取上げ願いたい、かように考えております。  次に地方税の問題でありますが、我々の團体といたしましても、先程申上げましたように、負担の一番大きいのは所得税であるので、所得税中心を置いて進んで参りましたが、本年度新らしい兆候といたしましては、國家財政以上に地方財政が窮迫しておるようであります。特に分與金が分與金制度によつて決まつておる三三・五%貰うものと地方の方で予定をいたしておりましたところが、一六・五ですか約半分に打ち切られて五百億余になりましたが、その関係上非常に地方財政は困窮をいたしております。かと言つて主な税源所得稔という國税で取られておりますので、求める税源はないようであります。そこで我々から言いますと、いろいろのものに地方税を賦課して來て、農民生産手段、例えば電動機は今税金が課かつて来ておりますが、電動機は昨年やかましく言いまして、一應取止めになりまして一部の所だけになりましたが、そういう物まで税金が課かつて來ております。そこでそれも取つていかんということになると、地方では食つていけないということになるから、強制寄付の形でやるのであります。寄付制度農民に丁度税と同じように賦課する、そうしなければ立つて行かない。それもできないということになりますと、何もやらないということになつて、例えば町村でやるべき文化、厚生の施設は、先ず第一に止めちやう、それから道路の修繕も止めちやう、橋も直さない、それから灌漑、排水の関係というものはこれはしようがないから自分労働奉仕でやるという方に地方の方は変つて來ているようです。そこで私共では、地方税の問題を今年はもう一つ大きく考えて貰わんければ、農村影響というものは非常に大きいというところで地方税をどうお考え願わなければならんかということを考えておるわけでありますが、地方税は第一は国政事務の内容を明らかにして、國政事務費全額國庫負担をされる建前になつておるが、現実にはそうなつておりませんからその点を明瞭にして、國庫全額負担の原則を確立して貰いたいと思います。これは國でやる仕事地方に委任しておりますが、この場合には全部國が負担するということを言つておられます。ところが実際はどうかと申しますと、全部負担をするといつても國の方では予算がありませんから、これも上の方から頭割り割当になつているわけです。その範囲内でやれ、ところがやれない、やれないからいや應なしに村の方で負担をする。そういうことになつて大分國政地方固有事務との調整、その負担調整が困難になつて來ておるようであります。具体的に我々の方で考えておりますのは、先ず地方財政法の第九條第二項第五号に載つておりますが、これは自治体警察費です。それから第八号の土木事業費、第十号の保健衛生費、第九條は御承知通りにその地方の方で全額負担するということになつておるものでありますが、その全額負担することになつておるところの九條の第二項の五号、八号、十号、これは必ずしも地方だけの負担にするべき性質のものではないようであります。例えば八号の土木事業費、それから十号の保健衛生費、これは多分に國政事務的な性格を持つておるようでありまして、私は最近村を廻つて来たのですが、これが第九條で地方だけで負担するものとなつておりますが、國政的な性格を持つておりますから、これは第十條の第二項に移して貰いたい。それでこの十條は御承知通りに國と地方とが分け合つてやる、國と地方とがその費用を分け合つて行うという規定になつております。それでこのところへ持つてつて貰いたい。先程申上げましたようなものは全部村で負担することになるけれども、性格上國でも負担すべき性格のものであるから、この第十條の地方と國と両方でやるところへ法律上これを移して貰いたい。そうすると地方財政負担というものは大分軽くなつて來る。それで移して貰つて國地方負担割合はどうするか、これはいわゆる半分ずつにして貰いたい。割合は五〇%を下らんようにして貰いたいのが第一点であります。  それから第二の点は、今度は現在の十條の中にある第二項の第一号、第一号ば義務教育に從事する職員経費、これは俸給であります、職員俸給であります。第十一号の労働組合関係費用、第十一二号の兒童の福祉と保健、第十三号の職業補導施設、第十四号の生活保護、これを第十條で規定してあつて、これは先程私が申上げましたように、地方と國とが半々でやることになつておりますが、これは少くとも性格全額國庫負担すべきものであるようであります。例えば義務教育費、これは地方負担すべきものでない。これは國が全部を負担すべき性質のもんです。労働組合の問題、これも全部國が負担すべき性質のもんです。兒童福祉にいたしましても職業補導にいたしましても、これを一地方と國とが半々でやるという性格は我々はおかしいのであつて、又そういう工合規定をいたしますと、地方財政の十分でない地方では十分なことが行えないようであります。金がないから義務教育も十分にやれない、労働関係の指導が十分にやれない。これは財政上私は当然であると思いますので、これは國が全額負担して行うべき性質のものであるから、この十條の今申上げましたようなのは全部次の十一條へ持つてつて貰いたい。十一條へ持つてつて貰うと、十一條全額國庫負担すべき性質のものになつておるから、その十一條に繰り下げして全額國庫負担にして貰いたい。  次の十一條は全部國が持つということになつておりますが、これが又どうかと言いますと、全額國庫負担をすると言いながら、單價の問題で全部國庫負担にはなつて來ていない。それはその何割かが來ておる。これは私地方財政委員会、今の自治廳へ行つていろいろお話したんですが、どうしても全額ということには行けない。何故かというと、國から出す予算の限定があるから、どうしてもその事業割当てになる割当範囲内で仕事をやらなければならん。それでは中途半端の仕事になるから、その足らない部分は村で持つ。そういう矛盾はこれは止むを得ないようであります。この十一條のものについてははつきり全額負担するという單價の問題を嚴密にして、飽くまで十一條本来國が持つという全額を出さなければならん制度にして貰いたい。こういう工合に我々は考えて要望をしておる次第でありますが、これだけをおやり願いますと、地方財政相当の余裕が出て來るわけであります。代りに國の財政では又それだけ穴が出て來るということになるかも知れませんが、地方立場から言えばこういうことになつて來ると思います。  それから私先程申上げました分與金、今配付税になつておりますが、配付税一定率をお決めなつたら、そのものは是非ともお出しになるようにして貰いたい。三三・五%であるならば、それだけは是非出して貰う制度にして貰いたい。その率が聞違つておるならば間違ない明瞭なものにして、途中でその項だけを改正するというようなことのないように願いたい。  その次は、地方税の中で今地方で一番中心になつておるのは住民税です。今町村の税の中で一番中心になつておるのは地方税事業税です。その二つの中の一つである住民税は、これはやはり地方税中心になるべきものであるから、この住民税については相当留意を願う。どういう工合留意を願う方がよろしいかと申上げますと、我々の方ではこれは人頭税ですから、頭割り制度観念のものでありますが、そういう頭割りという観念を薄らげて、所得の階層によつて掛け得るというようにして貰いたいと考えておるわけであります。現在の法律では五分の一以内の頭割りは絶対にやらなければならんということになつておりますが、頭割りというものはまあ十分の一くらいにして頂いて、あとはその人の所得中心を置いて掛ける。そういう住民税にして貰いたい。この点を私の方の委員会でも非常に問題になつたわけです。所得税附加税にしてこの住民税地方税の根幹にしてはどうかという意見が出ましたが、技術考えて見ると、所得税附加税にしますと、例えば埼玉から東京へ通つてここで俸給を頂く人の住民税というものは、或いは所得税附加税というものは、埼玉では非常に取りにくいのです。技術上これは困難であろうからそういう制度にしないでやることが一つと、もう一つ所得税附加税にすると脱税者相当ある現状においては公平な住民税的なものになつて來ない、脱税をしておる人は住民税負担が少くなるからいわゆる所得税附加税性質帶びる附加税制度というものには合つて來ない。そういう二点で私共の委員会ではやはり住民税を設けて、住民税人頭税的なものであると同時にその観念中心にした所得税中心を置くもので取つて行くというところで、この住民税の方を考えてはどうだろうかということで一應そういう工合決めたわけであります。  それからもう一つ、これも非常に自治廳の方と問題になるのでございますが、昨年地方税に移管をいたしました入場税です。これは今度は飽くまで國税に返して貰いたい。地方税にしないでこれは國税に返して貰い、そうして返つた入場税は從来通りいわゆる配付税源として、配付金税源として全額を繰入れて地方に還元する、これをおやり願わんと入場税の上がる地帶はそれで財政が潤おうが、上らん地帶は飽くまで潤おわない、而も配付金が少くなつて來ておるから、財政上の貧富の懸隔が都市と農村とはますます付いて來て困る。これは國税に還元して貰いたい。それからもう一つ遊興飲食税です。これも税源から見ると非常に厖大なものですが、遊興飲食税もこれも國税に從來のごとく引返して貰つて、これも配付税税源の中へ入れて貰いたい。そうして全部を地方配付税で出して貰う。これは農村の方から言いますと非常に問題なんであります。この点を尚触れますと、地方の誤つた観念ですけれども、或る村へ行きますと、所得税を約六百万円出すわけですが、六百万円所得税を出す村へ配付税が幾ら返つて來るかというと、大体九十万円返つて來るようです。六百万円に対して九十万円返つて來ておるようですから、それで村の方から言うと馬鹿々々しくてしようがない。六百万円出して九十方円貰うならば、最初から所得税を減して貰つて、減して貰つただけ所得税を村に残したいという考えがあるようです。それはもともと間違いであるけれども、……。少くとも村では所得税として相当出して、入つて來るものは非常に少いという調整を、この入場税遊興飲食税國税に返して全額配付税にするというところで今の配付金を殖さないという誤つた観念にしろ、そういう現実の問題が私は当然言われて來るという工合考えております。  その次に地方税の問題で事業税の問題ですが、これは現在は第一種と第二種になつております。第二種が我々に関係のある原始産業に掛る事業税です。これは去年掛りまして、我々の方で非常に反対をしたのですが、結局現在の事業税農村には掛つておりますが、米、麦、甘藷、馬鈴薯という供出の対象になるものには掛らないことになつております。だから割合農村事業税の掛つておる率は少いようでありますが、併しこれも地方では税源を取らなければならん関係上、無理をして事業税を取つております。原始産業事業税を課すことは、これは非常に矛盾だと私は思うので、原始産業事業と指定しないで、これは取らない。だからやはり去年の方向に返して、営業税をもう一遍復活する。そうして現在の第一種事業税営業者にかかつておる第一種事業税、これを営業税に返して、事業税を廃止して、原始産業には事業税を課せないという方法で進まれないと、農業には先程申しましたように、かからないような仕組になりながら、尚且つ税源漁つて課けておる現状であります。で、原始産業には事業税を課するのは理論上もおかしい。農村事業税を廃止して頂きたい。こういう工合にこの事業税については考えております。  それから地租家屋税引上げはこれは農業者立場から非常に反対をいたしおりますが、併しもともと地租賃貸價格が安いのでありましてこれも当然改訂されるでありましよう。妥当の所で改正をされて、妥当の税率でお決めになるのは、私はいいのじやなかろうかと思う。この点について農民團体にいろいろ問題があるのです。地價引上げになると、小作料引上げになりますので、いろいろ声がありますけれども、併しいずれにしても数年前にかかつた古い賃貸價格でやる必要はない。妥当な税率のところで課けるのはいいではなかろうか。併し、それにしても地租現行の税額を絶対に上廻らないこと、我々は非常にこの点を今度の税制改革で恐れておるのですが、アメリカ式税制改革でおやり願いますと、不動産相当かかつて來る懸念があるのです。農村不動産というと、土地以外にないのでありまして、土地には現在の地租以上の税金がかかつて來る。或いは新らしく土地使用税がかかつて來るというようなことになりますと、農村ではもう再生産が迚も及びもつかない段階になる。この点を我々は一番恐れるのであります。それだけに地租賃貸價格が不当であるという点は、いい方法で改訂を願う点は差支えない。こういうふうに考えております。地租現行以上に引上げない。土地使用税というものは絶対に作つて貰わないという工合考えております。  それから次に細かい問題でありますが、法定外独立税の中で、牛馬とか、或いはまあ石油の電動機或いは零細な生産手段、こういうものに村では課けておるようでありますが、こういうものは成るべく課けないような、いわゆる昔の地方財政委員会というような所で、今度何かこういうものも課けないという制度をお考えになつて頂けないものであろうか。法定外独立税だから、地方で何にでも課けていいのだということで、つまらないものに課けるようですが、法定外には課けないということになることが望ましいと考えております。  それから最後に地方税地方自治委員会委員に、農民團体より代表を参加させて貰いたい。これは昔の地方財政委員会ですが、この委員の構成は地方財政委員会法か何かで決まつておりまして、農業團体からは入らんことになつております。職能代表は入れない。学識経験者或いは國会地方自治体というような制限があつて團体からはお取りになつておりませんけれども、何といつて地方財政に一番大きい面を占めておるのは農民であつて、その農民を指導するといつては悪いですが、直接関係を持つておるのは農業團体だから、どうしても農業團体からこの委員会代表を入れて貰つて地方財政関係説明して貰う必要があると私共の方では考えております。ここに代表一つ入れて“我々に発言も一つ與えて貰いたいというように考えております。以上が大体地方財政のところで我々のお願いをする点になつております。  次に間接税もありますが、間接税は我々の團体性格から言つて、これは大衆課税であるから、できる限りもう止めて貰う。なぜかと言うと、今の農業というものは、もう私企業ではなくて、管理下にあるようなものです。肥料、資材その他は配給であつて、それから出た生産物は全部公定價格で、供出制度でもう財政的な余裕は一つもないのです。そこへ間接税で大衆課税で、或いは消費税でどんどん取られると、もうこれは彈力のあるところからお取りになればいいが、農村のような所ではもうそういう面で取られては堪まらんので、成るべく間接税、大衆課税というものは段々減らして貰いたいものだ、或いは減らせないにしてもこれ以上は上げられないようにということを考えておるわけであります。  それから報奨用の酒、煙草、衣料のようなものは、現在無税のものもありますが、或る程度かかつておるものもあります。これは無視として貰いたい。そういうことを大体謳つております。勿論この中では秘の問題になつております取引高税、これも廃止して貰いたい。特に肥料、農機具これの取引高税、肥料では國が補給金を出しておる、化学肥料については取引高税はかかつておりませんけれども、その他の肥料には皆かかつております。こういうものはかけられない方がよろしい。そういう工合に一應考えております。  大分長い間私共の方の意見を材料をお出しいたさないで申し上げましたので、お分りにくかつたと思いますが、以上申上げましたのが私共の委員会で成案を得たものです。この資料は実は本刷りを今やつておりまして、二十三日にでき上るので、このとき私共の方からお届けをして、御一覧をお願い申上げ、尚我々の意見の貫徹方について御了解と御協力を得たい、こう思つております。さようなわけでありまして、あとに何か御質問があれば、私の知つている限りお答えしたい。かように思いまして、私の説明を終りたいと思います。
  4. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御質疑がありましたらこの際……。
  5. 小川友三

    ○小川友三君 ちよつとお聞きしたいのですが、この賃貸價格改正の問題ですが、あなたの方の、委員会農業会ではどのくらい上げたらいいかという標準がおありでしたら……。今実はこの地主は全然食えない。母屋を賣つたり、物置を賣つたりしてしまうというような状態でありますが、旧地主は余り安いから食つて行けないわけですね。農民は一升闇で賣れば三反歩くらいの地代は、賃貸價格は出てしまう。これは非常に自然に反しておる行き方でありまして、地主は皆死んで行つて、小作人だけは食つて行けというような今ややり方になつておりますがね、現実において……。それで今地主は、昔の地主の倅は労働者に轉落している。昔の小作人の倅が大学に行つておるというような事実なんです。こうした行過ぎを訂正するために賃貸便格をあなたの方の会議ではどのくらいに上げたらというような一反当りされるつもりですか。
  6. 安井七次

    説明員安井七次君) お答えいたしますが、実は私共の方で幾らということは私実は考えてはおらないのです。私の方は御承知通り農民で組織しているのでありまして、賃貸價格の問題は非常にむつかしいので、現状維持論なんですが、併し私共の方では一應私有制度を認めておる以上、適当なる價格にすべきことは当然で、それをどこにするかというやつはこれからそれぞれの專門家を招いてやらない限りなかなかできないのであります。で今差当りやるということも考えておりませんが、若し何かの御参考に御必要であれば私共のそういうことを專門にやつておる者がありますから、作りましてお届けをしても結構だと思いますが……。
  7. 小川友三

    ○小川友三君 それから地方税住民税の問題をあなたがおつしやいましたが、住民税人頭税だからこれは反対だ、收入階層によつてやるべきであるというお考えで研究されておるというのでありますが、今所得は非常に誰も不安定でありまして、その所得ははつきり決つているというのはない筈ですからね。いわゆる大体円が不安定なんですから、そうしたわけですから、現在の人頭税で大体止むを得ないのじやないかと思いますが、それは大体いじくれないと思いますが、ちよつと御所見を……。
  8. 安井七次

    説明員安井七次君) 現状とどこを違えるかと言いますと、私共の方では人頭税的なものであるから、五分の一、二割が人頭税的なもので取れということになつておりますけれども、それを一割程度に引下げてもらつて、あとはやはり所得で、外見所得にしろ、実收所得にしろ、そういうものを中心にして取るべきだ、そういうところへ変えたい、こう思つております。で所得はどうかと言えば、第五條で取りますときに、大体所得というものは或る程度これは明瞭になつて行くと私は申してもいいのじやなかろうか。そういうものを中心に取つた方がどうだろうか、こう思つております。
  9. 小川友三

    ○小川友三君 入場税地方税でなく國税に変えるというお考えですが、これは國税になりますと、入場税はうんと減つてしまうのです。それは地方税だから、地方自分收入になるから入場税の闇をやらせないというので、非常に成績が挙つておる筈ですが、これを國秘にしてしまうと收入はうんと減つてしまう。すると地方配付税で廻してやりたくても收入がうんと減つてしまうから、なかなか算盤通りうまく行かないという傾きがあるのです。それからあなたのお話のありました劇場のない所もあるのですから、そこは收入がないですから、そこにいろいろな喰違いがあるのですが、この点についてはまあ意見だけにしまして、それからあなたの説には大きな忘れ物があるのですよ。農業復興会議供出課税と、それから強制寄付金みたいな税外負担を三項目分けておられましたですね。三項目じやこれは農家が成立しない。関東地方農家は水利組合費というのが一反当り平均関東地方農家は八百円です。毎年一反当り八百円取られておる。この水利組合費というのが農民の一番大きな負担です。これはあなたの方の会議では研究していらつしやらないと思いますが、この復興会議をやるのに水利組合費の用水費というのを計上して行かなければならない。どこの村でも所得税の額よりも用水水利組合費というのが一番大きいのでありまして、一つの村で私共の村は中辺の村で一年間に八百万円くらいの負担を毎年やつております。この問題をどういう工合に研究に取上げようとしておりますが。ちよつとお聽きしたいのですが……。
  10. 安井七次

    説明員安井七次君) 私は公租公課の公課の中で水利組合費も含むべきところを御説明を落したので、御指摘の通りなんですが、この水利組合、或いは協同組合の負担金ですね、これらの額も相当に上つております。それで水利組合費は私もその点勉強が足らないのですが、これも最近の傾向からすればまあ國で持つて行くという傾向が非常に少なくなつて、ますます多くなるような傾向です。これも私は地方財政法のどこかへそういうものであれば入れたらいいのじやなかろうか。水利組合費を例えば一村、二村でやるやつは私は問題ないと思いますが、一郡單位、或いは大きい組合費というのは場合によつては二部に跨がるやつもあるようです。二郡に跨がるような組合費があるようです。私の見たところによりますと大きな川はこ郡に跨がる。こういうものの費用は、これは村の費用農民費用というのは少しおかしいのじやなかろうかと私はこう思つておるのですよ。先程申しました第十條あたりの河川、あのあたりへ入る方法はないだろうか。財政法の第十條の河川の費用というやつがあります。國と地方半々ずつ持つ、そこらあたりへ大きいものを入れないと農家個々で水利組合費を持つのは大変であるだろう、こう思つております。私はでき得れば十條の河川の費用の中へ入らんものだろうか。こう思つておりますが……。
  11. 小川友三

    ○小川友三君 それは理想でありまして、二郡というようなそういうふうな小さな問題じやない。用水、利根川の用水は埼玉縣を貫流し、東京湾に流れておる。そういう用水が何本もある。そうした問題は、これはもうそういう國とか、縣とかに任しておりますと、米なんか穫れなくなる。どうしても関係のある農民の、いわゆる小さい組合が團結しまして、本当に現地に明るい、そこに利害関係が一番近い農民がどうしても寄付を出して、すぐ直さなければ米、麦が穫れない実情である。これは生々しい現地の実態ですから、その事実に即して、縣とか、國がやるということは全國的にできないことです。そこでそうした自然的な用水、水利組合が活發に動いて橋を架ける、排水をやるというわけですが、これはあなたの方の会議で研究を十分なさつて頂きたいと思うんですが、特に関東地方のこの利根川は、流域の用水費というものは非常に莫大なものでありまして、外は余りよく知りませんが、これを取上げて頂きまして、大いに研究して頂きたいと思います。  それからもう一つ、これは農民勤労者だという解釈をしておられますね。これは大きな間違いなんです。勤労者という解釈になるとやはり喰い違つて來ます。農民は立派な資本家、企業者で、農民自分の農具が今買えば何十万円、田畑が一町歩あれば相当の評價ができる、百万円以上の、一町歩以上あれば百万円以上の評價のできる大きな資産を持つておる、それに対して企業を確立していろいろなものを作つてる。勤労者でなく、勤労は無論伴いますが、企業者であるという解釈で農民を復興会議の方で指導して頂きたいと思う。それは農民か有畜農家であるとか、機械農家であるとかに変らなければならん。有畜農家、機械農家になつておる連中は相当な成績を上げております。明治初年以來、私の近所だけの例でありますが、百万円ぐらいの現金を持つておる農家が非常に発生しました。母屋を建築するのに百万円かけた、百五十万円かけたというのが全部じやないのですが、優秀な有畜農家であつて未曾有の成金になつております。そこでいわゆる只今の農民收入のでこぼこが非常に顯著な例になつて來ております。銀座の商人あたりも、これから二、三年で百万円儲けるという商人は少い。参普通の商人ですと、終戰後僅か三年の中に百万円の家を造り、百万円の貯金を持つておるのがある。豚は何頭、牛は何頭、顛落農家もありましようが、優秀な、いわゆる企業農家と、勤労農家に分析すれば、なると思いますが、この企業農家に対する一つお宅の方の復興会議の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
  12. 安井七次

    説明員安井七次君) 只今の問題は、私も非常に大きい問題でなかなか割り切れないのです。併し一應御指摘の通り農業者労働者じやない、併し企業者でもない、これは事実なんです。今おつしやいましたような立派な農業企業になるというように日本の農業を我々は希望して、そうあるべきだと思つておりますが、さてこの所得税の問題になりますと、所得の内容から言つて企業だと開き直つて税金を取られる程、日本の農業企業化していない、その点をまあ私は申上げて、この所得税法においては労働者並みの考慮が願いたいということをまあ申上げたいわけであります。これに尚申上げたいのですが、これは農業者勤労者、商工業者と業界に分けて論ずることは非常に私苦しい、むずかしいと思うんですけれども、少なくとも昨年度の所得税の徴收を見ましても、やはり予定したものに対して、一番取れたのは農業者勤労者です。これは非常に対象がはつきりして、所得が明瞭になつておるという点です。そこで今のような所得税企業者に課けるいわゆる所得税の方は脱税を見込んだ或る程度のものは私はあると思うんです。大藏省でも或る程度の脱税を見込んであると思うのであります。ところが農業者だけはもう脱税ができない現状なんです。そこで我々の方から、脱税できないから何らか率を安くして、農業所得算定に当つては率を安くしろと主張したいんですけれども、それも表向で言うのはおかしいので、農業者脱税できない。何故かというと、所得ははつきりしておる。取られる率を安くしろというのが実際に当嵌まるかと思いますけれども、そういう理論もおかしいので、私はやはり勤労者並みの考え方で、勤労者立場を考慮に入れた農村にも基礎控除を認めて貰いたい。そこでそういう問題が調整できるのじやないかという考え方も織り込んで、労働者という言葉を多少強く言つたかも知れませんが……。
  13. 小川友三

    ○小川友三君 それから超過供出を三倍で買上げておる、それに税金を課けられちや困るというお話でありましたが、超過供出できる田畑を持つておる人は、同じ田畑でもうんと違いがあります。私の方の郡で一反歩で麦が二十二俵穫れるところもある、五俵しか穫れないところもある。畑の地味が違う、技術も違いますけれども、一反歩で二十二俵、一町歩で二百二十俵穫る。そういう人が供出するのに税金を課けなければ國はやつて行けない、税金を課けなければ成金になつちやつてどうにもしようがない。私の方は、埼玉縣の北埼玉郡ですが、日本一の麦産地です、地味がいい。そこで十俵くらい穫れるのはざらです。私の近所じや超過供出して貰つて税金を拂つて貰う。超過供出をやつた人は、それでも残つておる。これに対して復興会議超過供出したものに税金を課けないようにして貰いたいという御意見ですが、それじや國がやつて行けないと思うのですが、その点の解釈を一つ
  14. 安井七次

    説明員安井七次君) 私はそれは、もう一つ大きい見地から、例えばどうしても三百万石超過供出を國が予定しなければならん。その場合に、現在の供出制度は手一杯なんです。農民に取つては非常に大きい負担です。それにも拘わらず三百万石超過供出を予定する場合の取り方は、どうしても闇値と或る程度匹敵した値段で買うからお出し下さいと言わざる限り、これは出て來ないと思います。というのは農家経済がそういう状態です。一割、二割は闇賣りをしないと食えない現況です。これは率直に申上げますと、穫れた物を全部公定で賣つてどうして農家は食つて行ける。やはり二割くらい闇賣りしなければ食えない。その間賣りをしないで國へ出して、正式ルートに乗せて配給することが食糧事情の解決、その方法として超過供出の三倍の買上げ制度というものがあると私は思つておます。ところがそういう表でごまかして賣らせて、税金を多く課けるということになると、ごまかしてと言つてほ語弊がありますが、出したはよかつたが、税金を取られるときに全額税金を取られると、御承知通りに、累進課税ですから、とんでもないえらい税金がかかつて来る。累進課税、これは出さない方がよかつたという結果が現在の結果です。だからこういう状態で進みますれば予定した超過供出が全然出ません。三百万石は正式ルートに乗らない、乗らない場合は、外國から輸入を頂戴する、金を拂う。それはまあ対日見返資金の特別資金で拂うので、これは事実上貰つたものでありましようが、大きい見地から言えば、大きな買入代金を拂わなければならんから、超過供出税金を課けた、そんな金額と問題にならんと思う。そんなものは取らんでもいい。例えば率直に言うと、富籖で二百万円当つたものに税金を課けておるか、百万円当つたものに税金を課けてはない。これは國が金が要るからあれしたもので、当然だろうと思う。そういう意味超過供出には課けるべきものでないと思う。課けた結果は段々悪くなつて、これは尚後で取らなかつた方がよかつたということになるだろうと思います。実はそういう氣がしておるわけなんです。
  15. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大変詳しく詳細のお話を伺つて感服したのでありますが、只今のお話をずつと一貫して承りますと、所得税地方税も皆安くし、殊に最後に間接税も取止めるべきじやないかというお話になりますが、國家の財政上から見て或る程度どこかからか税金を取らなくちやならん。而も我々が痛切に感じるのは、農民方々には甚だお氣の毒な制度ではないかということは同感であります。そうすると農民の階級の方は直接税を取られるときに明白であるということはもう先程のお話の中にあるのです。結局農民とその他の階級を比べて、農村の人はいわゆる闇取引がないのだというお話になると思うのです。その場合に隠れた所得に対しての徴税は結局農民以外から取るでしよう。そういう場合にやはり間接税が最も有効適切でないかというのが、今日の段階じやないかと思うのです。これに対してまあ当分の間農民方々も間接税ということに余り全廃とか廃止というようなことを力を入れない方がいいのじやないかと、私はそう思うのですが、どんなものでしよう。
  16. 安井七次

    説明員安井七次君) その点は私も御指摘の通りだと考えております。ただ筋を通せば、大衆課税反対だということになつて来るのですが、じや間接税がこれから農村に直接どういう影響を持つて來ておるかというと、都市の方よりも影響が少ないのです。だからむしろあつた方が現実には負担が軽くなつて來るということは私は言えると思う。併し筋を通せば大衆課税というのは、やはり漸減さるべきであるということは考えておるのです。
  17. 木内四郎

    ○木内四郎君 今ので大体分つたような氣もするのでありますが、間接税はやめて貰いたいというのは農村の特殊な間接税という意味じやありませんね。
  18. 安井七次

    説明員安井七次君) その点は先程申上げました通りに取引高税、このものだけは外して貰いたいというのは肥料の中で入つておるもの、國が補給金を出しておる肥料には今取引高税はかかつておりません。これは硫安あたりはかかつておる、その他の購入肥料があります。魚肥その他これには相当かかつておるわけであります。これは一つやめて貰いたいのが一つと、もう一つは協同組合の事案これは段階が沢山あるのであります。全國の機関があつて、縣の機関があつて町村の機関があつて始めて農民に行くのであります。段階ごとに一般物品は取引高税は取られておるのであります。これは何とかおやめ願う方法がないのたろうかと思うのであります。農民即全國の協同組合なんであります。これは委託機関であります。これも実は全図機関にかかつておるのであります。間接税の面で一番大きな問題になつておる取引高税は、これは具体的になりますと、そういうことになるのであります。
  19. 木内四郎

    ○木内四郎君 その他の間接税一般という意味じやありませんね。
  20. 安井七次

    説明員安井七次君) 一般という意味じやありません。
  21. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はありませんか、御質疑がありませんければ、午前中の委員会はこの程度で止めまして、午後一時からは漁業経営者連盟の吉田事務局長とそれか鰹鮪漁業者連盟の鍋島專務理事のお話を聞くことになつておりますから、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時四分休憩    —————・—————    午後一時三十一分開会
  22. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 休憩前に引続き委員会を開きます。  案件は租税制度に関する調査の件でありますが、漁業経営者連盟の吉田事務局長と鰹鮪漁業者連盟の飯島專務理事のお話を願うわけであります。最初に飯島專務理事にお願を願います。
  23. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) 飯島です。本日は我々のために話を聽いて下さるということを先ず感謝いたします。  今日の、ちよつと申訳になりますが、本委員会がある前にたまたま全般の税制問題について基礎資料の調査方針が立ちまして、今から開始しようというところにおきまして、こちらからの呼掛けがありましたもので、完全なというか、むしろデーターが殆んどないということを甚だ遺憾に思います。これがあと二週間か三週間経てば全國のデーターが集まると思います。從つて数字的の問題についていろいろ御質疑があつたり、こちらからも申し上げたい点も出て來ると思いますが、それができないことを残念に思つております。これは悪しからず御了承願います。それでは私の意見としましては、先づ現行税制に対する一般的な私見を申し上げたいと思います。只今の課税方針は誰も承知いたしている通り申告制度になつておりますが、我々の考えるところでは、或いは一般輿論もそうだと思いますが、全然申告内容というものが税務署に認められないのじやないか、こういう懸念を非常に強くするものであります。從つてこれも常識になつておりますが、各財務局管下の税務署においてはすべて割当制度を行われている。割当完成のために税務吏員は死物狂いになり、從つて無理な課税になつて来る。中には水増しの割当をもやるということを聞いております。こういうことは非常に我々としましては、官聽に対する悪感情を持つというような結果になるのじやなかろうか、内容さえよく聞いて貰つて納得の行く課税でありましたならば、皆喜んでやると思うのであります。從つて申告制度という制度は非常にいいと思うのですが、ただ民主的とか、自由的とか、そういう美名だけを被せられておつて何らそれに実質が伴わない、我々が必要経費を挙げましても全然それは斟酌されませんで、ただ一つの税務署で立てた基準によつて課税されておる。こういう現状は來る人、來る人に我々は聞いているわけであります。これを甚だ遺憾に思います。然らばこの問題を解決するには如何にせばいいか。これは私の希望でありますが、國家財政計画を立てる上におきまして、或る程度の目安というものがなければこれはできないと思うのであります。そこで納得行く課税はどうするかという問題ですが、これも私は米の供出制度あれは非常に民主的であると思うのです。例えば地方の作柄がよかつたとか悪るかつたとか、豊凶を加減して地方長官と農林大臣、その他関係者が集まりまして、その縣の供出、米の供出割当をやる。從つて税の上におきましても、その一つの縣の下部から一体どのくらいの今年は税をかけていいか、下部から先ず盛上がらせて行きまして、下部とそれから産業部門別に、水産或いは林産、畜産いろいろあるでしようが、産業別に下部において、大体この部落はどのくらいだという方針から段々郡に及ぼし、それを縣に及ぼし、そして縣の長官その他関係の方とよく話合いまして、一つの或る縣における負担能力というものを決めたらどうかと思うのです。これを決めまして、國の方において大藏省中心となりまして、各縣からそういうのを持寄りまして、どの程度が納得行くか、そうすると、國の方針としましては、それでは少い、國家財政が立たん、どうしてももつと上に上げなければいかん。いろいろな意見が出ましようが、國民が負担に堪えられるという限度はこれである。いろいろ納得の上各産業別に決めて行つたならば、米の供出のように完全にそれが遂行できるんじやなかろうか、自分はこういう希望と私見を持つております。もう一つは、この税をやる場合に、地方は勿論のこと、中央官廳の意見も十分参酌して貰いたい、例えば漁業につきましては、漁業の課税年度の豊凶はどうであつたか、課税する場合には経営の維持はこの程度をやつてもできる。例えば税率がどうあろうとその漁業が潰れるような課税つたらこれは何にもならんと思うのです。結局再生産ができないために次年度の秘に非常に響くことになりますし、これはそうなると食糧増産もできないし或いは税收も挙らない、こういう結果になりますから、中央におきましては農林省、水産廳の調査というものに、或いは試験場でも結構ですが、そういうものに課税の場合に参考にする。或いは地方ではその縣々の縣廳のデーターを参考にされまして、税務署の課税方々がそれを認識の下に一定基準を拵えてやつたならば、比較的民主的な納得の行くものができるんじやなかろうか、今のやり方を見ますと、全然官聽などの参考というものは退けておりまして、税務署が單にこれだけ取らなければ割当が済まないからというだけで、もう無理な課税が起きておると思うのです。勿論中には納得の行く課税もあるでしようか、総論を申すと、そういう行き方になつておるんじやなかろうか、こういうことを私は非常に懸念しております。  次に課税の場合に、現在の税務官吏におきましては、上層部の方はそうでもないですが、下級の方に行きますと、つまり第一線の人は非常に年配も若いし、知的それから道義的、この両面から見ましても非常に低くなつておるような氣がします。從つて帳簿を見せまして、これこれの経理である申しても、全然そういうのは中には分らん連中があるらしいのです。從つて割当だけをただ自分が頭に置きまして、どうしてもこれだけ取らなければしようがないんだから、終いには泣訴するような税務官吏もあるということを聞きました。これだけどうしても取らなければならんようになつておるから、辛いでしようが納めて呉れ、こういうことも間々あるという例を私は聞いております。この知的にもう少し勉強した人を第一線に立てることと、それから道義の頽廃がこれは根本になるんでしようが、これは敢て税務官吏ばかりでなく一般がそういうふうになつておるんで、殊に金銭を扱う税務官吏におきましては、素質の低下について政府において一大改革をして貰つたならば、この方面も比較的スムースに行くかと思います。これが私の一般論であります。  次に漁業に対して私の二、三の所見を申上げたいと思います。水産業というものは皆さん御承知と思いますが、非常に一般産業と異なりまして特異性があります。特異性と申しますのはどういうことかというと、非常に安定がないわけであります。中には安定ある漁業もありますが、大体において豊凶常ならんというのが水産の特質だと思います。殊に我々の想像もつかないような、あらしの前後には魚が余計喰いつく。そういうためにそういうことを乗切つて行く場合が、遠洋漁業においては殊に多い。つまり命を賭けている場合が非常に多い。併し空戻りの場合も非常にある。折角獲れると思つてつても獲れないときがあるのです。從つて只今申上げたように非常に一般産業と異つて幾日間あればどれだけの生産ができるというようなことは漁業においては絶対にできないのです。相手が魚ですから、一般経済界の客観情勢に支配される以外に、魚という特殊の漁業ですから、それに支配される点が非常に多い。これは一般産業並みに課税されると、今年は儲かつてしる。來年は赤字になつてしまう。儲かつているときはどんどん取られまして、どうしても何年間か平均しないと、これの一つを線が出て來ないので、儲かつているときだけに根ごそぎ取られますれば、次の年に非常に苦しくなつて來る。ここで私は申上げたいことはいろいろあるのでありますが、余り長くなると何ですから、一般漁業がそういう豊凶があるということと、それから海難事故というものが非常に多い、これは他の産業と非常に違う点だと思います。不可抗力の海難事故が多いものですから何とも仕方がない。火事の注意をすれば工場は燒けないで済みますが、漁船というものは不可抗力のために予測できない災難に遭うことがある今度の台風においても今日あたりは相当つているというような被害報告をちよつと見ましたが、それと同じで陸上においては或る程度準備ができるが、海上では如何ともしがたいという点があります。殊に「かつを」とか定置とか「あぐり」とか、そういう漁業におきましては、こういう事故がありまして、從つて收入も非常にでこぼこがあるわけです。こういうのがあとでデーターを出しますが、「かつを」だけは豊凶の問題を持つて來ましたが……。それからもう一つは資材とか、船價、修繕費というものが非常に高くなつていて、殊に船價と修繕費につきましては公定というものがありません。野放しです。段々段々高くなつて來まして、公定價格ができたときもこれは織込んでありません。或る程度織込んでありますが、それが段々上つて來まして、一方魚は公定で抑えられながら、そういう修繕費や船價というものは公がないからどんどん上つて來た変な恰好になります。これが我々としては苦しい点で、これは修繕費の莫大なことは税務署に説明しましても見てくれない。或る一定の限度で止めるが公のないために非常に取られてしまいます。これを何とか税の場合には手加減して貰いたいということを考えております。又一面金融、これは一般産業も同じですが、非常に硬塞しております。この方面に対しても非常に我々は今金融問題で骨折つている問題ですが、何とかして貰いたいと思います。こういういろいろの状態のために他の産業と同じく課税されるということは非常に苦しいので、例えば他の産業が百万円かかるところであつたならば、水産は悪いときもあるのだから、他の産業にもありましようが、その他の産業にはでこぼこがないと思います。非常に水産はそれがあるのですから、百万円、普通産業なら課ける場合、水産は普通産業と同じ利益はありましても、これは七十万にするとか六十万にするとか、そういう何らかの方途を講じて貰いたいと思います。税率の問題に行くと思いますが、或いは如何なる方法でも我々としては決して異議はありませんから、要するに安くして貰いたい。或いは凶漁のときの準備金にしても結構です。とにかく要は安くして貫いたいということを、他の産業と比較して、どうぞ安くして貰いたいということを強調したいものです。この点はどうぞお酌みとり願えれば我々としては非常に幸甚だと思います。尚船價償却におきましても、今の船は非常に高くありまして、現在の船價償却を申上げますと、木船については八年、鋼船については十二年となつております。この問返せとこういうことになつておるのですが、先程申しましたように、全然獲れないときも返さなければならんという状態になります。ところが実質は利益がないのだから返せない。そうすると結局その年が返さないということになりますから、獲つたとき余計返せるような制度にして貰いたいです。ところが今は幾ら、例えば今年はうまく行きまして非常に豊漁であつても、これ以上返えしちやいけないという制度になつているので返えせない。そこに我々としては非常に悩みがあります。それともう一つはこの漁船というものはたとえ今年新造しましても、航海して來れば非常に手直しがありますから、これは一般の機帆船なんかとは非常に違いますので現在八年、十二年になつているところを更に年限を六年とか或いは八年とかに短縮して貰いたい。これを極力希望いたします。大体外にいろいろ問題がありますが、又外の方も御意見が出ると思いますから、私はこの二点につきまして事業所得税の他の産業と異なつた課け方をやつて貰う、それから船價償却につきましては年限を短くすると同時に豊漁のときには余計に携えるようにしで貰いたい。この二点を是非お願したいと思います。
  24. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 吉田事務局長にお願いいたします。
  25. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) 吉田であります。今飯島氏からいろいろ、大綱的なことを申上げましたが、私は少し実態に立入りまして申述べたいと存じます。豊凶常でないということを基調にいたしまして、つまりこの漁業が非常に大きな山と大きな谷とがある。從つて大きな山のときに根こそぎその山を取られてしまいますと、大きな谷を埋めることができないということは、この漁業の特異性のうち最も大きなものでありまして、そういう点が他の産業と比較して率が高いにも拘わらず、現在の税制ではアジヤストしていないということが大きな問題なんでありまして、從つてそういう基調でできております國秘、それから地方税が自然不合理であるという点が出て來るのであります。一つ一つ項目を分けて、大綱的なことは今申しましたのでお分りかと存じますので、それを基調としました一々について申したいと存じます。特に地方税のうちに船舶税、町村税の船税を含みます。これにつきましては非常な不合理がございまして、原則としまして船舶税、船税と申しますものは撤廃さるべきものだと思います。そういう原則は事例がございまして、工業方面では工場だとかなんかには税は課かつておりません。それから農業には農機具、こういうものにも税は課かつておりません。要するに生産手段であるものに税の課かつていないにも拘わらず漁業の生産手段である船舶、同じでございますが、船、こういうものに税を課けるということが大体根本的に間違つておると思うのであります。大体こういうことが根本的に間違つておる結果といたしまして、自然生産を阻害するというようなことになりまして、現在漁業者の一番困惑しておりますことは、漁價の問題でありますが、この漁價の問題でGHQと交渉して参りますと、これは米麦、主食と同じである、つまり欧米人につきましては、観念的に主食、副食という区別がないのであります。魚というものは主食と同じだ、日本人に限つて慣習的に魚は副食であるという観念があるのですが、その主食と同じ取扱いを観念の上とそれから取締の上で実施されておりまして、そうして政策の面、つまり日本政府が行います政策の面では第二義的に水産を限られでおる。魚というものは副食であるということで、非常に第二義的な割引をされておるわけであります。自然生産ということはいろいろ資材を呉れましても、他の産業と比較いたしまして、資材というものについては援助物資は非常に多い筈であります。然るに生産がそれだけ上らないということは再生産を阻害しておるからなんであります。この船舶税というものはその一つの現われでございまして、再生産手段に使うそういうものに税を課けて来るということが大きな間違いであります。而もその謀け方たるや実に地方におきましても種々雑多であります。一つの例を挙げて見ますと、大体運輸省と大蔵当局、つまり地方財政委員会、こういうものが申合わせてこういう税率というものは或る程度決まつておるものでございます。それは三千トン以上は百分の二、それから段々逓減いたしますトン数につきまして、百トンクラスでは百分の十という基礎があるのでございます。ところが逓減して参ります中に入ります百トンクラスというものは魚船の八〇%を占めておるのであります。そしてその税率を見ますと、最高が平均は大体百分の十に近いものでありますが、その倍課けております百分の二十というのが宮崎縣にございます。而もその百トンに加えまして、超過トン数、つまり百トンから超過したトン数一トンにつき五十円の超過税をやつておる。その他ずつと殆んど基礎の百分の十でありますが、この超過トン数を取られるために百分の十というものはただ百トンの船だけであつて、その他の船、つまり百三十五トン、大きな船で三百五十トン、その附近に入る船は大変高いものを謀けられておるということになるのであります。最少、つまり一番少いのは熊本縣でありまして、これはトン当り三円から五円というような状態になつております。取得税を課けられるということはこれはいたし方のないことでありまして、併しこの船舶税というものは先程申しましたように、原則的として生産手段であるというようなものは同じ課けるのであれば天下均一であつてよろしき筈であります。ところが或る地域では非常にかけられる、或る地域では少いというようなことは納税の精神から申しまして非常に納税意欲を殺ぐというような結果になると思います。  その次は今度は漁業の從事者のことになりますが、歩合金でございます。漁業は他の産業と違いまして、いわゆる工場における出來高拂、それに似た歩合金制度というものを施行しております。これは出来高拂に似て非なるものであります。根本的にこれは相違しでおるものであります。ところがその形式が似ておるために課税の対象とされた場合、同一の取扱いを受けておるわけであります。これは歩合金と申しますのは、つまり取れ高によつて給與を受けるものでありますが、先程來問題になつております山と谷があるわけでありまして、これねつまり收入の安定がないことと、それから生産意欲を増大するという意味でこういう制度が昔からできておるわけであります。元來九一金と言われておりますものがこの制度なんであります。これは漁業の種類によりましていろいろありますが、要は先程申しました生産意欲、それから收入の不安定、それからもう一つは生命の危険、この漁業の危檢性、それを織込んだものなのであります。陸で生命の危檢のない仕事をしております陸上労働者と、この板子一枚下は地獄であるという譬えの生命の危檢を持つております労働者を一緒にして行くということが大変な間違いでありまして、これは経営者自体としましても、経営のつまり円滑と、それから漁業のマツチした合理的な給與の方法でありまして、これを根低的に考え直して貰う必要があるのであります。それで工場の出來高拂いと違うと申しましたのは、つまり工場の出來高拂いというものは、生産設備がちやんと備つておりまして、その個人々々の努力によつて出來高拂いというものはされるのであります。この歩合金というものは、結局獲れたときは沢山貰う、この沢山貰うという観念がいつまでも続いておりまして、獲れなかつたときには零であるという考え方がちつともされない。而もそれは危檢を冒しても尚且つ零の場合があるということを十分ここで考えて貰わないといけないのであります。これは基礎的の控除をするか、累進課税の率を直すか、もう一つは豊漁の場合の、つまり歩合金の多い場合の超過所得考えない、課税の対象にしないという方向を取つて頂きたいと思います。歩合金は大体その程度に止めまして、事業税に移つて参ります。地方事業税は、大体初め事業税が制定されます場合に、原始産業には課けないという原則であつたように承つております。それが段々日が経つに從いまして、結局漁業にもこれが課せられるということになつたように承知いたしております。この事業税が制定されます場合に、漁業方面は或る程度連絡の取れるところは連絡を取りまして、漁業者としての意見、総意という意味反対の陳情をしてある筈であります。にも拘わらずこれが課けられて参りましたのは、先程申しました漁業の対象、水産物が主食でないという意味で扱われたことが大きな問題なのであります。それで一つの漁業制度の中に流れる間違つた観念が二つあります。それは先程來申しました豊凶常ならすということと、それから蛋白給源である漁業生産物は主食と別個に扱われておる、この二つの大きな根抵をなす流れがあるためであります。それでこれは須らく現在の統制のあります魚類につきましては、全面的に撤廃をするというのが本来の税制の行き方だと存じております。この点は須く考え直しをして頂いて、この原始産業には課税をしないという方針に戻して頂きたいことを要請いたしておる次第であります。  それからこれに関連がある次第でありますが、生産者税というものがございますが、これは今の二十一税目の中のどれに嵌まるか、私はこれをよく存じませんが、多分独立税の中に入るのだと思いますが、間違つた考え方でつまりこういう生用者税的なものが漁業に課けられている面があります。それは一つの例を取りますと、宮城縣、岩手縣におきまして捕鯨場がありますが、これに対して捕鯨税が課かつているわけであります。それは一頭につき鯨種別にしまして「白ながす」には一頭につき幾ら、これはデーターを只今ちよつと持ち合せをいたしませんので誠に申訳ありませんが、「まつこう」には幾ら、「いわしくぢら」には幾らというような課税があるわけであります。この税目ははつきりいたしませんが、いわゆる生産者税的の存在なのであります。この一例を以て見ましても、外にもつと課けられている例があると思います。一つは長崎縣で以西の底曳き、トロールでございますが、これは水揚げしました一箱に付き幾らという課税が実在しておりまして、併しそれは結局業者の非常に懇切な説明と、税務当局の理解の下に、実施後日ならずしてこれは撤廃されました。併し他府縣につきましては、この総務当局の意向が十分滲透していないのと、それから財政委員会の……これは財政委員会の取締りの権限があるかどうかは存じませんが、そういう中央の監督不行届のために、未だにそういう不合理な二重課税が現存しておるのであります。  それから次は零細漁業者のことになりますが、家族を挙げて漁業に從事しておるいわゆる漁民があります。これは御承知通りつまりその漁業経営と家計との分離がはつきりしていないというような実態のために、これが家族労働賃金とでも申しましようか、労力が零と見られているわけなのであります。こういう不合理なことは誠に天下の奇怪事でありまして、家族が働いているからそれの賃金は必要経費と見ないというような理論は成り立たないのであります。これは間違つた家族制度の解釈だろうと思います。從つてこの家族はただ働きをしておる。從つて必要経費と見られないというところで、税金課税の対象となります。つまり收入額がそれだけ殖えるということと、それからこの指定家族の働いている者についての基礎控除というものが全然見られてないということなのであります。これは聞くところによりますと、農業方面でも相当大きな問題であろうと思います。こういうことが小さいところに眼がつかないというような意味でネグレクトされるという税制であれば何をか言わんやという次第であります。これは諄々と申さなくても自明の理でありますので、十分酌取つて頂いて、この点は強硬に一つ私達も要請しておる次第でありますので、この委員方々に特にお願いしたいと思いまする次第であります。  それから先程飯島常務から漁船の償却ということについての説明がございましたが、それに付加えて少し補足したいことがありますのは、魚類の運搬船であります。これは船内に凍結の設備を持つております。又米藏の設備も持つておるし、塩蔵の設備も持つておる、これが一般運航船舶と同様に扱われておる。つまり償却年度においての扱いが同様であるという次第なのであります。御承知のようにこの冷凍設備と申しますのは中に船舶を運航する以外の機械、器具が入つております。而も船艇内には「くも」の巣をはりめぐらしたようなタイビングがあるわけであります。この損耗度と申しますのは、扱つております物が化学ガスであるために損耗が非常に早いということが一つの理由、それから冷凍にいたしますと、御承知のように氷を入れるわけでありますが、年中船艇内が濕めつておるこいうような関係上普通一般船舶より耐用年数は極めて短いということは分り切つたわけなのでありまして、これを漁船と同様、先程の説明のように漁船はしけを目がけて出て行くときが多い、それからしけだと言つてすぐ避難し得ない程遠洋へ出て行くということ、こういうものを加味して十分考える必要があると存じます。尚少しは見当がはずれるかも知れませんが、陸上においての漁業とは切つても切れない縁のあります冷蔵庫であります。この冷藏庫は現在一般倉庫と同じ取扱いをまだ受けているわけであります。現在鉄筋コンクリートの倉庫の償却年数は六十年、その他のものは三十年となつているように承知いたしておりますが、この魚類を格納いたします冷蔵庫はやはり構造上冷凍船と同様であります。つまりこの点はもつと短縮する必要がある、こう思います。これに課けられておりまする倉庫税というようなものにつきましては、これは言及はいたしませんが、要するに必要経費として落す面が普通の倉庫より多いということ、それから耐用年数が少いために償却年数を縮めて課税の対象にならぬ償却というものを十分見ておるということでここを強く要請したいのであります。  それから漁業権税に移りたいと存じます。この漁業権税につきましては、いずれ水産廳から提案されております漁業法が改正されますと、その内容において幾らかの相違は出て参りますのでありますが、現在は実に複雑怪奇な状態にあるのであります。端的に申しますと、同じ規模で同じ魚を同じ量穫つた。それで富山縣と神奈川縣では取られます税金が大変違うという実態があるのであります。これはしつかりその実態を掴んでおりませんから申上げるのはどうかと思いますが、或る漁業者は百二十万円の税金を取られておる。今申しました状態において……。然るに或る方面ではこれが八十万円である。つまり四十万円の差が出るという実態が出て來ておるのであります。それは勿論地方々々によつて税が割当てられる。先程のように申告税であるにも拘らず、割当制をとるからそういうことになるのだというてしまえばそれまでなんでありますが、税金負担します方から見ますと、同じ日本國民でありながら地域別によつてそういう税の負担が違つて來るというのは、一体何事かということが言い得る筈であります。それでこれは説明いたしますと、非常に種目も多うございますし、一々分りにくい漁業の実体に触れないと分りにくいこともございますので、私からはちよつと省いておきまして、若し御質問がありましたら、本日はそれぞれの業界のエキスパートが見えておりますから、御説明されるとしまして、大綱的にはそういうところに止めさしておいて頂きたいと思います。  それからその次は物品税であります。これは漁業に課けられております物品税は、品目は非常に少いのでありますが、現在課けられておりますのは寒天と、それから乾海苔であります。これは二品目だけであるといつて等閑にできないことなんであります。これは常識的に考えても、乾海苔と申しますものは、海草を取つて來て簀子の上に乾かし、そうしてそれが始めて商品になるわけなんであります。これは海苔を取つて來たそのままでは賣買の対象にならないのであります。魚を取つて参りまして、冷蔵する、塩藏するといつても同じことなんであります。それまで持つて行かないと直れないものでありますので、それを物品と見なして物品税を課けるということは、非常に間違いだろうと思われるわけです。勿論これを焼いたり、それに味をつけるということになりますと、加工ということになりまして、物品税の課かることは止むを得んと思いますのでありますが、こういう生の生産の域を脱しないものに現金を課けるということは大変間違つたことに思います。而もその率は二割というような高率であります。これはその実態を掴んだのがありますので、御参考までに申し上げますが、大森の海苔業者で調べたものでありますが、約二十万円の生産があつた。それで必要経費として六割つまり、十二万円を控除された後八万円、勿論この八万円の中には人件費なるものは全然含んでありません。それに課かります物品税が何と三万三千三百二十二円、こんな大きなものが課かつて参りますのであります。所得税は約一万八千円課かつております。八万円の中で所得税が二万八千円、物品税が三万三千円取られますと、後には何も残らないというような状態であります。先程言及しました船税ですが、船税はどれぐらい課かつておるかと見ますと、ミトン未満の機械船で、これは海苔を採ります小さな船を載つけて沖へ行く船であります。この登録税が二百円へ船舶税が三百六十円。五百六十円かかります。それから三間未満の、つまり載せて行つて海苔を採る軽い舟でありますが、それには船税が百五十円、登録税が百円、これだけでも千円近いものがかかつておるというような状況であります。それで船舶税、舟税はかかつておる実体がそう多くないからいいじやないかというような考え方もできないことはないと思うのでありますが、この実体を掴んで参りますと、海苔業者はこれは決して大きな規模とは申されません。むしろ中以下の海苔業者だと思いますが、それにしても僅かな收入の中から千円というものが舟税だけで取られるというような状態であります。而もまだそれに関係して、船舶を繋いでおる場所の使用水面料というものだけでも三百五十円も取られておるような状態であります。このように掘下げて参りますと、漁業というものはその認識度が低いために非常に不合理な課け方とまちまちな課け方と重複課税とがあるわけなんであります。  もう一つ申落したのでありますが、漁業権税の中でこれまで課けられていなかつた部面について、これは将來のことでありますが、漁業法が改正されると、從来は免許漁業だけにこういう漁業権税というものがあつたのでございますが、許可漁業にも今度は税に似たものが課けられることになるのであります。それは水揚の約三%か五%か存じませんが、その附近のものが要するに許可漁業の何というか、使用料というか許可料というか、そういう意味で取立を受けることになる筈であります。その使い方はどういう使い方をされるかというと、現在の案ではこれが行政費に使われる。つまり海区の委員会、漁業調査委員会費用に使われるというような立案が現在されておるのであります。これは誠におかしな話でありまして、行政費の一部分を特別な漁業者が、税の対象ではありませんが、税に似たようなもので取立てられるということになりますと、税金と変らないことになるわけであります。而もその取り方が水揚の何パーセントということになりますと、その漁業が黒であろうと、赤字であろうと、とにかく天引きするということなんであります。それでは漁業というものの赤字面う一体どうして呉れるんだということになるのであります。損をしておつても取立てられる、そういう税に異ならない取立方法は極めて悪い影響を起す。漁業者としてはこれは納得できないことと言つていいと思います。この点によく、まだこれから継続審議ということで、今度の議会には提案されると思いますので、その点をそういう不合理の生じないように漁業の実体をよく把握願いまして、御善処して頂くようにお願いしたいと存じております。大体これで……。
  26. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御質問がありましたら、この際お願いいたしたいと存じます。
  27. 木内四郎

    ○木内四郎君 一般論ですけれども、さつきこちらの方からお話し願つたんですが、漁業の方は非常に豊凶の差がある。どうですか、沢山獲れたときは沢山納めて、獲れないときは納めないでということでいいんじやないですか。
  28. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) ちよつとそれでよいように見えますけれども、利益のときに全部取られてしまうと、再生産ができなくなつてしまうのですよ。税金が一度は課けられないでも……普通の産業なら翌年は大体このぐらいの見当で行くという見当声つくのですが、漁業は漁によつて左右されるのですから、がたりと落ちると駄目になる次年度は……。ところが税金でそれが皆持つて行かれるということになると仕事ができないという形になるのでございます。そこは利益があつても普通の産業と違うようになつて來るということになります。
  29. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) もう一つは漁業は仕込資金というものが他の産業より大きいわけなんであります。その仕込みをしないと次は再活動ができない。その仕込みの余裕を沢山獲れたときには沢山持つて行かれて、仕込みの余裕がないという際において、そのときに翌年に繰越した資材、設備でやりましても、その次に來た不漁に、もう完全に参つてしまうという度合いが陸上の産業と比較しまして、非常な差があるということであります。
  30. 木内四郎

    ○木内四郎君 御尤ものようでもあり、又我々漁業の実態をよく知りませんから分りませんが、いずれ細かい計数などもよこして下さるということでありますから、もつと我々も勉強をして、……。
  31. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 今の海苔の話ですね。二十万円の生産に対して物品税が三万三千円というような、二割だというとそんなに課かる筈はないのですが、どういうわけですか。そして又物品税は轉嫁すべきもりですから、海苔の生産業者が負担するわけではないと思います。
  32. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) それは結局海苔業者が負担しなければならん実態になつて來ておるわけです。生産した者が、生産者が業者ですから。
  33. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 それを出したものを、大きな問屋に賣るでしよう。そのときに轉嫁しておるわけですから、自分負担にはならんわけですね。結局生産者の……。
  34. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) いや、それが取引の中に織込んであれば非常に結構なんですが、御承知のようにあれは統制が外れておりますから、自然生産者がそれだけ出さなければならんということになるわけであります。それだけのものを管理して卸賣業者なり問屋、販賣業者なりに持つて行けば問題はないのです。
  35. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 それにしても三万三千円の物品税が課かるとすれば、もう少し價格は、生産所得というものは非常に大きなものでなければならんことになるわけですな。
  36. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) これは結局生産の見積りが二十万円ならば、二十万円に対しての物品税が課かるわけです。
  37. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 あれは二割でしよう。
  38. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) ニ割より低いと思います。二割なら四万円になるわけであります。
  39. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 あそうですか。それはつまり海苔の代が早く取れないということを見込んで轉嫁するわけですね。
  40. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) 轉嫁することができないということです。
  41. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 できないということですね。
  42. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今の海苔の件に関連するのですがね。二十万円の生産と見られたものに対して、この中には物品税が入るのではなしに、外に又加算されて、次の段階に行くわけなんでしよう。要するに物品税というものを加算されて、次の段階に行くわけなんですね。
  43. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) つまり取引値段、でございますか。
  44. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 この二十万円というのは生産なんでしよう。
  45. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) そうでございます。
  46. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうしますと、その二十万円の生産がですね……。
  47. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) その賣れた場合に、物品税が三万円課かつたとしますと、二十三万円で賣れればいいのであります。
  48. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それは商品市場の需要供給によつてつたり下つたりするのであつて、この物品税があるがために、物品税を特にごまかします何があつて正当な業者が非常に苦しむと、そういう意味じやないのですね。
  49. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) つまり正当な業者が苦しんでおるわけなんです。
  50. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうすると、脱税金が多いということになるのですか。そうでないとすれば、脱税というものが行われないものとすれば、いわゆる海苔に対するところの需要供給関係たけであつて、物品税が附いておるから賣れないということではないのですね。
  51. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) そうです。賣れる賣れないということは、税金があるから、ないからということではありません。需要者が多いか少いかという需要供給のことです。需要がどうであろうと生産者にこれだけのものが課かる。而もそれは生産者が生で賣れないものをそこに持つて行くということは、何と申しますか、鮮魚介類の市場に出ておるものとそう差がない。生海苔そのもので賣れるならば更に文句はないのですけれども、海苔というものは乾さなければ海苔にならないのであります。乾したという行爲を、物品税を課ける理由にするということが間違つておる。乾すということが加工だと見られるということが辛いということです。
  52. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 ああそうですが。
  53. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) ですから乾した海苔を買つて、それに味を附けるとか、或いは焼いたということでございましたなら、そこで物品税を課けられるならば当然のことなんです。そこで海苔につきましては、物品税を課ける段階を一つずらして貰いたいということなんでございます。
  54. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 ああそうでございますか。
  55. 黒田英雄

    ○黒田英雄君  網などの償却は何年くらい。
  56. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) 網は一年でございますが……。
  57. 山田楯一

    説明員(山田楯一君) それから只今豊凶の御質問がありましたけれども、一例を申上げますと、福島縣に小名浜という漁場がございます。これは鰤とか鯛、鮪などを獲つております。人を八十人ばかり使つております。連続して経営しておりますから、比較的資本が少いのですが、それでも毎年一千二百万円種のものが上がる。一昨年は漁獲高が僅かに三百万円です。昨年は一千三百万円ばかりありまして、どうにか経営ができましたが、一昨年は約一千万円以上の欠損になつております。本年は四月の下旬から網を入れまして、八月の下旬に網を揚げますが、すでに二千三百万円ばかり獲つております。漁期はこれからでありますから、この調子で参りますと、恐らく三千万円は優に勘定に入るという見通しがついております。ところが一昨年一千万円損をしておりますのを、本年一千万円や二千万円儲けましても累進の所得税を取られますと、一千万円の損が埋まらない。この一千万円の損がどこまで経つても埋まらない。だからその点を何とか御考慮願いたい。以前は三ケ月平均になつておりましたから樂なんですが、今は一年ですから、差が非常に甚だしいのです。一昨年は三百万円しか獲れません。昨年は一千三百万円、今年は三千万円は獲れることになつておる。だから昨年と今年を平均して初めて採算が取れる。それを今年満足に税金を取られますれば、一昨年の税金が埋まらないと、こういう形になります。
  58. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今のは法人の場合ですか。
  59. 山田楯一

    説明員(山田楯一君) いやそれは個人でやつております。
  60. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 法人の場合は平均してどういうことになつておりますか。
  61. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) 法人は多角経営にやつておりますれば平均して取ります。個人でも法人でもやはりそれは一つになつておりますれば、同じことなのです。
  62. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 一年前の分だけ……。
  63. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) そうなのです。損失は前の年だけしか見ないことになつております。
  64. 川上嘉

    ○川上嘉君 現在の税法上の水産所得のそういつたのを計算して、税務署はどういう工合にやつておるのでしようか。
  65. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) この部落へは、本当の話をしますと、この部落へは企業者がどれくらいあつて、大体これくらい出して呉れ。そうするともう参考もへちまも何もなくして、何とかしてそれを出さなければならなくなつちやうのです。だから申告しても全然そういうものとは関係なくなつているのです。
  66. 川上嘉

    ○川上嘉君 そうすると、その年分その年分の……。
  67. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) いやそれを考えて呉れればいいのですか、内容を……その年分その年分の豊凶を考えて呉れて、これくらいだろうといつてつて呉れればいいのですが、そうではなくて、この税務署は或る程度の割当を受けて、これを完遂しなければならんから、漁業方面はこれだけ担当して呉れ、こういうことが多いようですね。これも一面見ると止むを得ない点もあると思うのですが……。
  68. 川上嘉

    ○川上嘉君 最近は好況の状態が続いているわけですが、この二、三年は……。
  69. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) いやそうではないのです。その一つデータを持つて参りましたですが、鰹、鮪だけの例でございますが……。
  70. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) 今の話の査定をします場合の所得の概算でございますね。これは今日は見えておりませんが、或る業者に直接聞いた話によりますと、今飯島常務から話しましたような割当をやつておりまして、その所得計算する場合に税務署のやり方が、例えば水揚げが十万円あつたとしますと、そのうち二〇%はお前達闇へ流しておるだろう、八〇%は公で賣り、あとの二〇%は闇で……。それで合計したものを漁撈收獲所得額ということでやられておるそうであります。
  71. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) この前の会議でも私申上げたのですが、衆議院の食糧や何かの委員会のとき……。そういう闇流しなんかも現実にあります。その闇流ししたものは成る程そう課けられてもいいが、中には正直に出している者もある。そうすると正直に出した者も、税務官会議によつてそういう一定の基準を決めまして課税されると、これは人権蹂躪になつて來るのではないか。正しい者までが……。今は現行犯でやつている。今刑事問題でもそれでやつておるのでしよう。掏摸にすられてもその場で捕えなければならんというふうになつているのに、お前は犯罪を犯しているという仮定の下に課けることは、これは憲法違反になります。
  72. 川上嘉

    ○川上嘉君 つまり豊凶常ならずで絶えず変動がある。それをうまい工合に緩和して行くような何か対策があるのですか、あなた達の方には……。
  73. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) これはなんとも魚の方が喰いつかないときは駄目です。
  74. 川上嘉

    ○川上嘉君 税金の問題です。だから変動があるならば、税法の建前から行けば毎年々々その上つたその收入から、総收入の中から必要な経費を差引いたものが水産の所得になるわけです。それがない場合はない場合としてやるのが法の建前ですから、それをやられるとお宅の方は困る。やるなら、それを是正して行くための何か対策があるわけです。
  75. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) それはこういうふうに考えておるのです。例えば今年百万円の收益が平均あつたと仮定した場合、外の産業も百万円の收益があつた。そうすると漁業の方はそういう変動の場合があるから、少くともこれは七十万円にして呉れ、三十万円だけは準備金というような形にして置いても、これも亦準備金も課税の対象とされては困るから、何かそういう方法を講じて貰つて、或いは減價償却の場合に、うんと獲れた場合に、さつき申上げだように何年ということじやなく、うんと獲れたときには、その利益金から返すということにして貰えば助かると思うのです。
  76. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) 一つの例としましては、この一年々々になります前に、三年平均というのがあつたのです。それもまあ一つ方法であります。三年平均は考え方によりまして、いろいろインフレ、デフレの関係があつたりなんかするので、まあいろいろの考え方がありましようが、あれも一つ考え方だろうと思います。
  77. 川上嘉

    ○川上嘉君 元はそういう方法つたのですか。
  78. 吉田隆

    説明員(吉田隆君) さようでございます。
  79. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) 損失準備積立金というようなことも一つ方法じやなかろうか、併しこれは利益金として計上すれば、とにかく準備金が積めるということは利益なのだから、それも対象にすると言われるとこれも困つてしう。
  80. 川上嘉

    ○川上嘉君 今の三割の控除の問題ですが、大体百万円を七十万円にして呉れ。これは一時の所得の場合には現行法にはそういう規定がある。山林所得、譲渡所得、そういう大体一時の所得に対しては五割の控除があるのです。だからあなたの方はそういつたものに変動があるから、一時の所得性格に近いものを持つている、こういつた考え方が一致すればいいわけです。ところがそれが果して皆がそうなるかというのが問題です。水産の場合継続的に事業をやつておるのだから……。
  81. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) そうです。
  82. 川上嘉

    ○川上嘉君 問題はそこです。
  83. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) 昔の税金は全部課かつて來なかつたから、今まで水産はこういうふうに存立していると思うのです。最近はそれが猛烈なのです。各産業も同じですが、このままで行つたら税で以て本当に倒れてしもうかと思うのです。何かこの最善の手を考えて貰いたいと思います。
  84. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 さつきあなたのお話のうちに、人権蹂躪の話が出たのですが、帳簿が完全であつて、而も認定で、その認定を押付ける、こういうことなんですか。
  85. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) いやそうじやないのですが、帳簿を第一見て、帳簿を見る税務官吏もあるでしよう。ところが全然帳簿に関係がなく、或る会議で以て漁業者は皆二割なり三割なりやつておるという認定の下に全部ずうつと出す場合があると、私は何回も聞いておるのです。そうすると全部正直な者までその中に包含されてしもう。本当に闇をやつた者はやられてもいいのです。それがいかんじやないか、こういうわけなんです。
  86. 川上嘉

    ○川上嘉君 それは税法全体の問題ですね。水産だけでなく、農業もあらゆる課税に亘る欠陷なんです。
  87. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) そうは思いますが……。
  88. 山田楯一

    説明員(山田楯一君) 併しこの点につきまして、漁業者は非常に儲かつておるというふうに税務署の方々考えられておる点が非常に強いのでございます。この点は実際に、そうまで魚を闇に流そうと思つても、お買い下さる方は、もうそう余計はございません。従つて見込み、実際以上に闇に流れておるものとみなされ、而も正直な者にも課けられておる。正当ルートに乗せなければリンク物資を頂けません。油を頂かなければこれは漁業に出られない。一例を申しますと、鰹を鰹節にすれば高く賣れましても、やはりリンク物資の関係で、安い公定宜正当ルートに乗せなければならんというのが実情であります。
  89. 飯島正造

    説明員(飯島正造君) それで先程ちよつと申し落しましたが、少くとも我我としては統制営業だけについては、農業の米麦、じやが芋、そういうものと同じ扱い方にして貰いたい場。これを非常に皆望んでおるのであります。
  90. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。御質疑がないようでありましたら、次回は七月五日、六日にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) それでは今度は学界の租税に関する権威者の人々、若しくはあなたの方の全財の人とかいう方に来て頂くことにいたしたいと思います。  本日はこの程度で散会をいたしたいと存じます。    午後二時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君    委員            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            小川 友三君   説明員    農業復興会議総    務部長     安井 七次君    日本鰹鮪漁業者    協会常務理事  飯島 正造君    漁業経営者團体    連盟事務局長  吉田  隆君    日本定置漁業協    会常務理事   山田 楯一君