○
天田勝正君 実はまだ原稿を推敲しておりませんし、他の二名の
委員諸君にも見て貰
つておらないようなわけでありまして、又それができたといたしましても、この
報告を微細にいたしますると、凡そ三時間くらいかかるのではないかと思いますので、
数字の
点等の細かい点は後程印刷にいたしまして、各
委員諸君にお廻しすることにいたしまして、ただその概略だけを御説明申上げます。
私共の班は、
不肖天田、
木村禧八郎君、
黒田英雄君の三名で編成されまして、二十四日に
東京を出発いたしまして、三月の五日に
東京に帰着いたしました。経由いたしました
ところは、その出発当日でありまする二十六日は都山の
税務署に参りまして、
福島に泊り、二十七日が
福島税務署並びに
福島縣廳を
調査いたしまして、
仙台に
泊つたわけであります。二十八日は
仙台財務局、塩竈の
税務署、それから
仙台に泊り、一日が
仙台から浅虫に参りまして、その日は日曜でありますから、別段どこも視察しなか
つたわけであります。二日が
浅虫視察、
青森税務署、
大鰐泊り、三日が
弘前税務署を視察いたしまして、
秋田泊り四日
秋田税務署を視察いたしまして、
湯沢泊り、五日が
湯沢視察という
順序でありまして、大体の
調査の
目的の概要は、
郡山、
福島におきましては、
寒冷地と
関東との
接壤地帶という
意味におきまして、そういう点に重点を置き、
仙台財務局は
東北全体を見るためであり、常竃は特に
漁業関係を
調査したわけであります。それから
青森、
弘前等は
果樹関係、
秋田は
單作地帶関係、湯沢は
酒税関係、これが大体におきまする
目的であ
つたわけであります。こういう
目的のために
郡山、
福島を
廻つて仙台に
参つたのでありますが、
報告の
順序といたしましては、逆に
仙台財務局関係から一
應申上げて見たいと思います。
全般的に申しますると、
東北は他の
地方は比べますると、特に
関東などと比べますと非常にいい
成績を挙げております。総数だけで申上げて見ますならば、全部が
財務局関係の
税金を含みまして一月末現在が六四%にな
つております。先年と比較いたしますると、先年は同じ時期に四七%であ
つたわけであります。額からいたしますると
予定額が二十九億でありますが、一月末にはすでに十八億
收入済みである。こういうことに相成
つております。それから
脱税等の
関係でありますが、これは殆んど集團的な脱税というのは見られませんで、ただ
弘前地方等に若干そうした点が見られるという
報告であ
つたのであります。以下順を追いまして各
税務署についてお話申上げますと、特に特記すべき点だけを申上げて見ます。先ず
福島関係でございますが、ここは
農業所得関係におきましては五反以下、五反以上、一町以上、こういうふうに三
段階に分け、更にそれを
上中下と、こういうふうに分けまして、結局九
段階に分
つて課税標準を
作つておる。そういて中くらいの
ところで、どのくらいの
課税をするかと申しますと、先ずその
所得の
見積を反
当りにしまして、田においては六千七百円に、畑においては四千三百円に見ておる。こういうこてでございます。そうして若干この
地方にも「
りんご」があるのでありますが、これは
下作と、それから上作との
限界でありますが、
下作は六ケ年間採れる。そういう
限界に基いて
課税をしておる。更にこの
地方は多少柿もあるのでありますが、この柿に対しては一本三千円の見当の
所得であるというふうな
見積をや
つておる。このことにつきましては、そうした一本の柿の木が畑の中にあるということだけで三千円に見るならば、この畑反
当りの
收入四千三百円と比較すれば、それらを全体とすれば、その
果樹の
收入を引いたものを田の
下作の
收入と見るべきか、或いはそれを見ておらないかという問題でありますが、これはどうも引いておらないというふうに私共は聽取したわけであります。更にこの
地方におきまして若干織物の
納税が
川俣地方を
中心としてあるのでありますが、これは
納税資金に非常に困難を來しておるということであります。特にその困難を來す原因といたしましては、
マル公のたびたびの改訂に
当りまして、原糸の
マル公が決定した後の製品の値上りまで二、三ケ月をどうしても要するという
状態、そうした
ブランク等によ
つて非常な困難を來し、尚
織物業者が納入いたしまして、
公團から金を受取るまでの期間というものが非常にあるということであります。大体
福島関係は以上が特記すべきものであろうと思うのであります。
更に
地方財政と
中央財政との
関係でございますが、これは縣の
予算総額が三十七億七千万円でありまして、
うち税收入が十六億で四三%にな
つておる。その概算は縣民税が三割三分、
收益税、つまり地租、
家屋税等でありますが、これが二割、それから
事業税が一割五分、こういうような構成にな
つておりまして、
歳入の主なるものは
國庫下渡金、それから縣債ということになり、歳出の方は
教育費が十六億二千万円に
上つて四三%、次が
衞生費という
順序にな
つておるのであります。この縣におきましては、
予算と税の
收入の
関係でありますが、大体まあまあという
ところにな
つておるように考えられるのであります。尚
労組の
関係でありますが、これは
東北全部が全
財労組を拔きまして、
東北地方財の
労働組合を結成いたしております。併しながらこの
福島税務署は未だそのどちらにも属しておらないということでありまして、この
方面における
ところの
財務職員の
組合に対する
関心と申しまするか、こうしたものは極めて低調に見受けたのであります。尚この機会に
仙台財務局管内のそうした
方面の点を申上げて見ますならば、大体におきまして
青森、
秋田等がこうした
組合意識に目覚めておりまして、
福島、
山形等は余り
関心を示しておらないように聞いておるのであります。
仙台財務局におきましては、特に
農林中央金庫の方並びに
宮城縣の
指導農業連合組合の
代表、日農の
代表、
仙台商工会議所、
東北五縣の
煙草耕作者の
組合の
代表、
日銀の支店、それから民間の商店の社長、こういうような
人たち、まだおりますが、沢山の方にお
集まりを頂きまして
公聽会見たようなものを開いたのであります。この各業界の
人たちの
希望を取纒めて申上げて見ますると、先ず
商業の
関係におきましては、記帳が全くされておらないと
言つてよいくらい
納税に対する
ところの
協力が見られておらない。こういうようなことであ
つて、それに対しましては、これは
業者側からの
希望でありますが、何か
供出制度と同じように
事前割当制とも見られるような
方法を講じて貰えまいか、こういう
希望があ
つたのであります。更に同じ
商業の方でありますが、
届出書類が煩雜で、これは
営業をやるのに非常に支障を來すような問題であるからして、この
簡素化を
是非図
つて貰いたい。それから
税金が
商店側からすれば高いというより、むしろ不公正のために
反抗心を起すというくらいにな
つておるので、これを
是非とも是正して貰いたい。こういうことであります。それから
税務相談所等をもつと細かく設けて貰いたい。こういうことであります。
農業関係の方の
意見といたしましては
是非農民組織を利用して貰いたい。尤もこの
意見者の申される
農業組織とは、
農業協同組合を主として指摘してお
つたのであります。それから
納税貯蓄組合のごときものを
是非組織して貰いたい。それから
農民團体におきまして
印紙税がその
相互間にかか
つておるが、これは
廃止して貰いたい。その
相互間というのは、つまり全
國連合会と縣の
連合会又は個々の
組合、こういう間における縦の
連絡の場合でも
印紙税が課せられる。このようなことは
組合の設立の趣旨からも反するのであるからして
廃止して貰いたい。それから少額の
預金証書或いは通帳というようなものの
印紙税を
廃止すべきである。それから
中小商工金融は
市街地信用組合でや
つておるが、この
市街地信用組合にやはり生活
協同組合の資金を
取扱わしめまして、
農林中央金庫に集約して貰いたい。こういうような
意見が述べられたのであります。それから
日銀、つまり
金融関係からの
意見といたしますると、
農業手形制を廣く活用するような
方法を強く要望されておりました。更に
財務労組の方の
意見といたしますると、
徴税改革委員会等を設けることによりまして、現場の
職員をこの
委員会に入れて
実態に合うがごとく税制を改革して貰いたいということであります。更に
取引高税の問題でありますが、
一般の
職員は
國会の決定したごとくそれに應じて、
廃止されない限りはこの
徴税にも一生懸命努力をしておるにも拘わらず、
政府はまで決定せざる前にすでに
廃止であるということを猛烈に放送されるので、全然
一般民の方は
納税にもう熱意がなくな
つてしま
つて、非常にこういう点が末端の者は困る。
從つて今後如何なる
政府ができたとしても、
税金の点については
廃止もせないうちに逸早く
廃止等を言われることは、全く
財務職員の足を浚うがごときことで、一番この点が困るということを指摘されました。附加えて申して置きますと、各
税務署に参りまして
職員に
会つた場合に、この
取引高税の撤廃を逸早く発表されたということに対する
不満はどこでも聽いたということであります。更に非常に
人員不足でありまして、どこへ
参つても、各
税務署は十時頃まで残業せざるを得ないというような
状況からいたしまして、この
繁雜なる朝令暮改とい
つていいくらいの
税法の改正に対処して、その知識を吸收するに不十分であり、且つ又
新規採用者の教育が極めて不徹底に終る憾みがあるので、そういう点からしても、人員の整備か、さもなければ
税法を改正することによ
つて、それらの点を補うように早くこれらの施策を講じて貰いたい、こういうことであります。給與の点につきましては、四十八時間制によ
つて実質賃金も低下した、これはそれぞれ
数字を挙げておりました。それから
特別職階ということにな
つておるけれども、実はこの
特別職階に直す場合に、すでに
採用のときは各縣廳等から比べましても、
初任給を安く決めてかかる、こういうことで
特別職階とは誠に欺瞞であるという
状況を述べられておりました。尚これは各
税務署全般でありますが、
税務職員なるが故に家が借りられない、こういうようなことを相当
方々で聽きました。
次は
塩竈税務署関係でありますが、先程申上げましたように、ここは特に
水産関係について調べたのであります。この
水産関係を大ざつぱに申しますると、そう現在の
課税でどうしても
不満であるというような点でなくして、逆に
水産業に対する
ところの
融資関係が極めて不円滑であ
つて、この点を打開するならば、どうにかやれそうであるという
工合に、この際に寄りました
業者の方が申しておりました。それから
課税に当
つては三ケ年平均を取
つて課税をして貰いたい、どうもそうでないというと、なかなか漁業はその
実態に合せて税を納めることは至難である、特にこの
漁業者が非常にああした際物商賣と言いますか、そういうことに慣れておりまして、
余り経理の面をよく考えてないとでも申しましようか、
收入がありますと、急に漁船を
沢山買つてしまう癖がある等というふうに
業者みずからが認めておりまして、むしろ金融問題にあるというふうに総括すれば言えるのではなかろうかと思うのであります。
次は
青森税務署の
関係でありますが、ここもやはり
税收入の面としますと、相当にいい
成績を挙げております。大体総体で七〇%越えていまして、恐らくこの年度末までには一〇〇%になるであろう。それも
相当次年度に繰越し得るのを見て一〇〇%になるということであります。どうしてそうなるかというと、前に
目標を一
應決めまして、その
目標以上に実收があるということから、結局
次年度に入
つてから取立てるものが相当
残つてお
つても、尚当初の
目標の一〇〇%は突破する、このようになるわけであります。ここで
営業、
農業等を分けて、
代表的でありますから、一
地帶あたりの
税金額を
報告申上げますと、
法定金が
一世帶七万三千円の
所得と見まして、税が九千円である、
営業関係は
一世帶八万七千円と見まして、一万九千円の
税金である、
農業関係におきましては
一世帶六万二千円の
所得で、
税金が六千円である、その他は、その他とは
自由業でありますが、これが一
地帶七万二千円と見まして税が四千円、こういうふうに
報告されております。それから
申告の
状態でありますが、
青森から
秋田のほうに入りますと、
申告に当
つては書くことすら知らないという
状態が非常に多いようでございます。特に
青森におきましては各
町村の
代表の
方等にお
集まり願つてお聞きいたしましても、それらの点が縷々述べられております。從いまして
予定申告のごときは極めて不振でありまして、
確定申告になりますと三倍くらいになるというような
状況が見受けられたのであります。
青森におきましても各
團体の
代表の方に寄
つて頂きまして、やはり
税務に関するいろいろな点を聽取したのでありますが、先ずその主なる点は、
青森縣のごとき場合は、字の書けないという人すら五十を越した人にはあるのであ
つて、
從つて書類の出し方などということは容易でない、そのために知らず知らずに不
協力ということになるので、これらの点をもつと
啓蒙運動をすべきである。今日までこれらの
指導を手を取
つてや
つたのは社会党と
共産党だけである、こういうことが言われておりました。こういうことで
申告可能者は先ず一割くらいしかおらない、こういう点をどういう
方法ででも國の力によ
つて指導して呉れるようにということ、更に
農業関係においては
償却費を非常に過小に見るので困るということでありました。それからこの頃にな
つて、手不足か不馴れか知らないが、
納税後でも
督促状が來るというような、こうしたことが
農民に非常に惡い影響、つまり
税務署、
役所等を忌避するというようなことにな
つて來るのである。このようなことは
取扱上
是非止めて貰いたい。それから尚ここには
三つの
違つた意見が出たのでありますが、それは
徴税に当
つて、各
町村に
指導員のごとき者を置いて、これで税の面を
取扱わせようという
意見、更に
税務署、つまり國家の
税務署に一本にして、その
調査に基いて縣も
課税し、村も
課税するというふうにやるべしという
意見、それから村で
調査した点を縣又は國で全部これを
採用することによ
つて、とにかく
調査だけはいずれにせよ一本にすべしという
意見が出たのであります。その一本にする
調査の基準は今申上げましたように
三つに分れております。それから正しい
申告をしても、決してこれを
税務署が認めるということのないために、初めからそういうことを見込んで
村民が
申告するという
工合で、恰も
税務署と
村民とのばかし合いという形を現出しておる。これは
農民みずからがさようなことを
言つておるわけであります。更に
正直者と申しまするか、
申告した者の方がどうしても余計に
課税をされるという
状態にな
つておる。こういうことを申されるのは、
ただ人のことをそねむという話のものでなくして、役場の
助役等がこういうことを
言つておるわけであります。それから特に
商工業者の
関係につきまして、一体どちらが苦しいかということになりますと、工の方が今日極めて困難であ
つて、比較的に商の方が樂である。こういうことは、
商工会議所の
代表の方が
言つておる点であります。やはりこれらの
商工関係の方方も源泉と
消費税、
所得税を二本建にしてしま
つて、外の余りややつこしい
税金はすベてこの二つに統合するというふうにして貰いたい。一例を挙げて見ると、その届出にしても極めて
繁雜であ
つて、例えば
証券業者などにおいても、
証券委員会、
財務局、同じく
青森の
地方部、
日銀の
青森支店、市役所、
地方事務所、
税務署というふうな
工合で、一回の取引をするために
税金調ベのために八通の書類を出さなければならないという
状態、これまでにせなくとも、何とか外にやれる途があるではないかというような点が指摘されました。
それから昔の
所得調査委員のごときものを
合議機関としてでも
是非とも設置して貰いたい。こういうことが言われております。ここでやはり
協同組合に対する
ところの税、特に
剰余金を
課税対象にするということは非常に因る。これを
一般の
法人と、つまり株式
会社のごとき
法人と違うのが
協同組合である。普通に配当をしてその後に余
つたのが
剰余金というわけではなくして、初めから配当するかしないかが分らないで
剰余金が出たならば、これを要するに分けるというのが今日までの各縣の
協同組合の
状態であるからして、そういうものを何か余
つた金であるというような観念でこれに
課税されるということは、特に重い
課税をするということは困る、こういうようなことが指摘されておるわけであります。
尚丁度
青森は
南部領、
津輕領の
境目あたりに当
つておるのでありますが、
青森縣におきましてはこの津輕、南部の
旧藩時代における区分によりまして、非常に
生活程度が違
つておるように見受けました。即ち旧
南部藩、
野邊地以東におきましては非常に農村が窮乏いたしておりまするし、それから段段西に進んで
弘前等の
津輕領の方へ参りますると、比較的に裕福のように見えるのであります。この
青森縣における
縣税、その他
税務署の
納税の額からいたしましても、
弘前方面の方が非常に余裕と
言つては語弊がありますが、ただ
下北方面と比較すれば幾分かよろしい、こういうふうに概括して言えるのではなかろうかと思うのであります。
職員の待遇の問題は、特に
青森は戰災地でありまする
関係上、非常にこの点で因
つております。又いわゆる手馴れた
税務官吏が少いということであります。これは後程申上げまする
弘前においても同樣でありまするが、大体三年以上おる
ところの
職員は三割くらい、あと一年半くらいの経驗、又はそれ以下というのが七〇%、若しくは七五%に及んでおるという
状態であります。このことが非常に
取扱上にも間違いを起している
最大原因ではなかろうかと思うのであります。それから特にここでは、
財務労組の方では北海道と殆んど氣候的に何ら変りがないのであ
つて、
燃料一つを取
つて見ましても、薪二棚を使わなければならない等の
状況であ
つて、これだけでも、実に薪だけでも二千五百円の支出を見るということ、これは一ケ月であります。
從つて越冬は五ケ月でありまして、これだけでも別途に一万円余掛かるという
状況からして、
是非ともこうした
寒令地においては特別の考慮をして貰わなければ、その生活が成立ち得ないというようなことを指摘されておりました。尚、これは
東北地方全部だと思いますが、非常にあつちは冬になりまするとバスも通らない。勿論汽車の便もない場所が多いのでありまして、こういう
ところへ
参つての旅費が非常に窮屈である。
從つて出張が不十分であるが故に、つい
取扱いも粗雜に流れるということは止むを得ないということを申されておるのであります。
それからさつきの
税金の事前の
割当ということにつきましては、これは又そういうことは到底いけないという
意見も出ております。反
税鬪爭の点につきましては、主として
半島人による
ところの
集團密造である。この
集團密造の摘発に当
つては、身体の危險を伴うことも例として屡屡あ
つたということであります。更に
税率の問題につきましては、私共は現在の
國税の
税率が高いというのか、それとも
國税と
地方税を含めた
ところの
税金が高いというのか、それから各
税務署においての
見積りが、つまり高過ぎる、いわば十万円の
所得である
ベきものを二十万円であるとい
つて査定されるが故に、実際には
税率が倍に
なつたような結果を招くという
意味において高いというのか、
三つに分けて
業者並びに
税務職員に
質問を各地でしたのであります。この
青森におきましても、この
質問に対しましては、これは
税務職員側からの答えでありますが、その
三つとも高い、
從つて自分たちは同じ
勤労者として高いのを知りつつ
課税せざるを得ないというような
状況であるという話でありました。尚
縣税関係におきましては、
青森縣は御承知のように「
りんご」税などというのがある
関係かも知れませんが、
宮城縣の縣廳の
歳入などから比較しますと、全般的に
縣税の
收入がよく、
從つて予算の中に占める
税金の率が非常に高いのでありまして、まあ健全であるということが言えるのではなかろうかと思います。二十三年度で言いますと、十二月末までに
縣税で入
つたのが八億八千六百万、
うち配付税が三億三四五百万というように聽取いたしました。
弘前の
税務署の
関係でありますが、ここでは先程
仙台財務局の方でも御
報告申上げましたように、非常に反
税運動があるということを聞いて参
つたわけでありますが、ここでこれらの点について
調ベて見ますると、別段反
税運動ということではないけれども、特に
果樹関係「
りんご」等におきましては、どちらかというと同じ
耕作者同志において非常に不
均衡がある。これらに対しては
農地改革の不徹底からかように來ているというので、
共産党を
中心として、
指導者がこれらの問題を取上げて
税金の問題に集約して交渉に当
つているということであります。
從つて私共が参りましたときに
税務職員の
方々、それらの
人たちも
参つて同じ席に連な
つたのでありますが、別段特に反税であるという
工合には見られなか
つたのであります。この地におきまして、今まで歩いて参りました各
税務署と
違つた点は、特に
法人税関係におきまして、
法人協会というのを
税務署の
指導によ
つて作りまして、この
法人協会が各
法人の
申告指導、
納税の
指導に当
つているということが言える。
法人税関係は非常にうまく行
つているということを
税務署側からも
報告されました。これは
東北に参りますと、殆んど
法人、
会社というような
工合で、た
つた一人して從業員がおらないというような
会社も沢山あるので、こうした
法人協会というものを
作つて、それに間接的に
指導に当らせるということが成功した
一つの例ではなかろうかと思うのであります。
それから先程も申しましたように、
果樹関係における
ところの
課税の不
均衡でありますが、これが旧
地主階層におきましては、つまり手持は山とな
つてお
つても「
りんご」畑であるというような
工合で、
税金面において非常に樂をしている。然るに旧
小作関係の
人たちはそういうことが全くないし、それから
税務署等の
連絡にいたしましても、つまり官僚とボスの結託ということにな
つて、その
圧迫を受けるというのが
農民指導者の言葉でありました。而も
税務署の
幹部諸君もおる
ところでそういうことを指摘しておるわけであります。更に普通で行けば、恐らく一反歩で二十箱も穫れないということにな
つているが、よく作るということになると一反歩二百箱も「
りんご」が穫れる。こういう差がどこから出るかということはいろいろな
関係があるのだけれども、藥品や或いは
肥料等も大きな
業者、ただ農家というのではなくして、大きな
業者と
言つてもいいくらいに大
果樹園を持
つている
人たちは、こうした面でも非常に備蓄を持
つている。そこにそういうような大きな差が出て、結局それが
税金に対する
ところの
圧迫にな
つて來る。こういうようなことが指摘されてお
つたわけでございます。
〔
理事波多野鼎君退席、
理事黒田英雄君著席〕
ここでも税の
基本調査というものは、一切
税務署で
調査したものを各
縣廰並びに村でも
採用する。こういうことにいたさないと縣廰は勝手に幾らの
所得であるということに決め、
税務署の方は又それとは別の観点から幾らであるということに決めて、全部三者が三
者別にな
つておる。それでは
税務署の方でこう認めて呉れたのだから、縣の方でもこう認めて呉れと
言つても、そいつは別であるというようなことで全く相手にされない。こういう同じ役所間における
連絡というものが非常に
農民を混乱せしめるということが指摘されるのであります。又基礎控除はもつともつと引上げて貰いたいというようなことが言われておりました。それから
税務に携さわる從業員でありますが、これは約七二%でありますが、三年以下の人が入
つておるというような
状況からして、この残りの三〇%程度の人が手慣れた人でありますけれども、一々これらの人が
実態を
調査する場合にも出て参らなければ、なかなかその把握ができないので、結局そのために、結果においては
課税が粗漏にな
つているということは認めざるを得ないということでございました。
次には
秋田の
関係でありますが、ここが單作地帶の
代表的な
ところでありますので、日農の野村という人に來て貰いまして、先ず
税務署側からお聞きする前に聞いたのでありますが、この方が非常に有用なことを申されておりますので、概略申上げますと、
税率を全國一律にかけるということは、非常に
地方も違い、又
地方の
調査も不十分な今日においては非常に困る。それから保有米と供出米と同一の
所得にみなしておる。こういうことは非常に生産者側は困る。何故かといえば、供出米はいわばその実費と、それから多少利潤が加わ
つたのが供出米の値段であ
つて、自分の作
つたものを自分が使うという建前にな
つておる保有飯米、これをやはり利潤を加えたるものを
所得としてみなされるということにな
つて來るからして、單作地帶の供出の激しい
ところの米場は、どうしても他と比較して
徴税が重いという結果を招來するのであるからして、保有飯米における
ところの
所得というものは、供出米の中から概略の利潤を差引いた残りを、要するに実費としてこれを
所得に見る、こういうふうに改正して貰いたいということでありました。それからその農業
所得に対する税の扱い方でありますが、これは内容的に見て、勤労
所得と同様であるからして、要するに勤労
所得並みに扱うように
税法を改正して貰いたいということであります。それから所要経費において資本利子を認めておるのに、農業
所得の
見積りの場含だけは、そうした金利を見ないというようなことは、これは困ることであるから、これは
一つ認めて貰いたい。それからこれは先程申しました保有の自家用消費の分の
所得の見方の
一つでありますが、
秋田は畑地が非常に少いのでありまして、恐らく全縣下で野菜の自給ができるというのは、総体の一割五分乃至二割だそうでありますが、それくらい蔬菜が不足しておりまして、この野菜が全部百姓の場合でも自家用に供される、こういうようなことにな
つておるのに、反
当り一万四千円というような
工合にみなされて、これを
所得である、こういう基準から
課税するというような
状態であるということが指摘されておりました。
それから報奬酒というのが來るが、あれの配給は全部
一つ止めて貰いたい。三升で一俵の米の値段に該当するということで、百姓はとてもこれには困
つておるということであります。尚これについては
税務署側でも大体認めておるようであります。それから報奬物資は來ないよりましであるけれども、その内容は、一遍履けば切れてしまうようなものは百姓には全く向かないのであ
つて、こういう点は止めて貰いたい。それからこれは各地で言われたことでありますが、早場米、それからそれの奬励金、これらは早場米は完熟しないように刈
つて出すのでありまして、当然普通完熟するまで待
つて刈
つたのよりも一割、或いは二割ぐらいの減收になるのであります。この減收が百姓の方から見まするというと、つまり損害金に当るべきものが奬励金という形で來るわけであります。そこで一方から見れば損害金に該当すべきものを税の対象にする、こういうことは誠に供出意欲も阻害すれば、又
税金の納入の意欲も阻害させるということを申されております。超過供出に対しましても、これは何とかその源泉でやるということでなければ、みずからの飯米を割いてまで超過供出をするということには非常に困難であるというようなことを指摘されておりました。それから
償却費並びに必要経費の中の、特に畜力費でありますが、
東北は他の
地方よりもこの畜力を使用する面が非常に多いのでございます。この畜力費が、平均いたしまして一頭
償却費を含めて一万三千百円、こういうことにな
つておるのでありますが、ただ冬のうちに使用する
ところの野乾草だけでも、一日一貫五百匁で、一貫あたりが五十円、こういうような支出があるのであ
つて、これは殆んど山形
地方から入れるそうであります。
從つて畜力費に対する必要経費は、どうしても二万円から見て貰わなければ不合理である、こういうことが言われております。尚この外いろいろとまだ後十項目も言われておりますが、他の
地方で言われた点と重複いたしますので省きます。
それから
財務労組の
関係からいたしますると、ここは総員九十八名おりまして、二級五名、二級三十五名、残りが五十八名、こういうことでありまして、三年未満の者は五十五人おるということであります。ここでも別に戰災地ではありませんが、住宅には非常に困
つておるという話であります。
税務職員と分るというと、賃家も出て呉れとい
つたような
工合である。やはりここでは
税務職員からも、現在の
税率が非常に我々が見てもどうも高きに失するというふうに考えられる、特に國と
地方の
所得の調整が全くなされておらない。この國と
地方を含むというと、
税務署が
所得と
見積つた額を超過するというような事態が間々起きて來るということは指摘されております。
尚この機会に申上げますると、この点について他日も主税局長に
質問して置いたのでありますが、それは全く問違いである。
取扱いの間違いがあるということを
言つておるのでございますが、各
税務署において
税務職員みずからがこれを証言しておるのでありまするから、こうした一〇〇%以上の
課税というものが実際の行われておるということを認めざるを得ないのでございます。
從つてこの國と
地方との調整の何らかの機関を設けるなり、
方法を講じなければならないかと存ずるのであります。
それから湯沢の
関係でありますが、ここは新設の
関係と、特に十二月一日に出発した
ところの新らしい
税務署であるという点からいたしまして、そうしたまだ一、二ケ月の
税務署においては、特に特段の悩みもあろうと存じて、それらの点を注意して聽取して來たわけであります。
ところが全般といたしますというと、やはりここでも
納税率は惡くない、ただおのおのの既存の
税務署から、いわば
職員を引抜いて構成したという形で、特に三年以上の経験者を他の古い
税務署より以上に余計配属されておるというような点で、むしろそうした点では優位の地位、
状況に置かれておるけれども、その管内等が非常に交通不便で、もう冬三四ケ月の間というものは、どう公正に
調査しようとしても交通機関すらないというような
状況で、これらの点が非常に困
つておること、更に誰か分らないけれども
納税などをするなという
工合で、この
納税期には連呼して歩く者があるというようなことで、なかなかこの正月は困
つてお
つたようであります。
税金の
関係につきまして、すでに二月中に三月分までのも出すべしということを大藏省から命令されておりまして、これらの
税金は全部完納され、一〇〇パーセント
納税されるという
状態でございますが、それに関連いたしまして、
業者側から言われる点は、毎月計画的に出して貰えるからして、順繰りにこの金繰りをどうやらや
つておるけれども、先に、つまり來月分
收入によ
つて先月の
税金を拂うという
工合に順にや
つて行
つたのが、一ケ月飛ばして三月分も二月に一遍に
納税せしめられるということにな
つて、四月にそのブランクが來る。それも次のものを出さして呉れればよいのですけれども、命令があるまでは出させられないのですが、決して自分が物を持
つておらないのではなくして、持
つておるものを國家が出させないということからして、要するに
納税にまで響いて來るということなんで、これは他の業種と違
つて國家の計画に基いて賣るとか賣らないとかや
つておることであるからして、特にそういう金詰りによる
ところの
納税の苦心というような点について、何らかの金融的な措置を講じて貰わなければならないというような
希望があ
つたわけであります。
尚全般的に
東北地方を眺めて見ますると、汽車で行
つたときから、もうすでに岩手から以北になりますと、何がなし荒凉たる感じを受けるわけでありまして、非常に
生活程度が低い。つまり
税金が相対的に重い。その原因は勿論いろいろありましよう。
予算によ
つて決まりまする
関係上、一應各
財務局、各末端の
税務署は
徴税目標というものを作る。その
目標に合わせるために特に捕捉し易い
ところの單作地帶、單作一方の所では殆んどゆるみなしに掛けて來る。ゆるみなしというのは法律通りでありますから、表の理窟から言えば止むを得ないのでありますけれども、表通りで行きますならば、仮に現に月一万じやない、二万円ぐらいの生活費がかかるんだというのは、大家族の農家においては相当あることでございますが、若しそれが年に二十万円の生活費がかかるということになりますると、基礎控除がないとすれば、百万円の
所得がなければ、その二十万円というものは生み出し得ないという
状況でありますから、こうして捕捉の完全にでき易い
ところの、田ばかりの地帶というような所では、全く生活費に
税金が食い込んで來るという
状況にな
つているということは窮い得るのでありますが、端的な現われは、疊の全くない所がある。或いは外から、道から見ましても、寢床の中までも見渡せるというような所が過去に随分あ
つたということでありまして、
税務職員もそうした生活を見せられたという話を聞きましたが、実は浅虫から
青森に行く汽車の中で、そうして農家を私共は現在でも見たのであります。こういう点からいたしましても、他にいろいろな
收入の得られない
ところの
東北地方などは、特に
税金の面では苦慮しているだろうということが言えるだろうと思うのであります。尚それのみならず、非常に
税務職員が見てすらきついと思われるものが
成績がよろしい、この点についての原因は、異口同音に、やはり何と
言つても
東北地方は淳朴であるからだということが官側から指摘されております。そういう点からいたしましても、これは後程
報告書で提出したいと思いますが、特に
國税と
地方税との調整、これについては何らかの機構を用い、更に
消費税、
所得税、この二本の大きな調整の住を作ることによりまして、それにただ二つだけの
税金というわけにも参りませんが、この二つに関連させて、他の細かい
税金は何とか整理するという形にする必要があろうかと思うのであります。大体以上簡單でありますが、御
報告申上げまして、
数字等の点につきましては御
質問があ
つたらお答えすることにいたします。尚冒頭にも申上げましたように、
数字は後程プリントに刷りまして、皆様のお手許に廻したいと、かように存じております。