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1949-06-08 第5回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月八日(水曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税制度に関する調査の件   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) これより開会いたします。本日は租税制度に関する調査につきまして、調査を進めたいと存じますので、最初に主税局長からお話を願うことにいたしたいとこう考えます。
  3. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それでは私からこの税制改正に関する現在の政府としましての進捗の状況と、それからどういう点を問題として取上げて、檢討いたしておるかということについて申上げて御参考にいたしたいと存ずる次第であります。現在アメリカからシャウプ博士が見えておりまして、現在のところにおきましてはいろいろな基礎的な事実の調査、並びに各方面意見を廣く聽いておられるようでございます。私共の方からも改正に関する大体の方向といつたようなことにつきましては、一應問題を明らかにする意味でいろいろ意見をまとめておりますが、まだ具体的の問題につきまして討議する段階には参つていないのでございます。從いまして今日も、今考えております非常な具体的なことを申上げる段階にはまだ至つていないのでございますが、問題としてどういう点を取上げて研究いたしたいということにつ、いて、若干申上げて御参考にいたしたと考える次第でございます。  現在税につきましてはいろいろな問題がございまして、問題はむしろ多く、私共も戸惑つておるわけでございますが、大きく申しますと、第一には全体としての税の総負担と申しますか、税の総額が果して妥当であるかどうかという問題、まあこのことは一面から申しますと常識のようになつておるのでございますが、すでに税は少し重過ぎるという問題であろうと思います。この問題につきましては、まあいろいろな材料を作つて検討いたしておりまするが、いろいろな面から考えましても、成る程重いということは間違いないことでありまして、そういう点につきましてこの際相当根本的な解決を要するのじやないかというふうに考えております。ただこの問題は結局におきまして歳出が幾ら減らせるかということにやはり結果においては帰着いたしますので、歳出の側の面におきましても檢討いたしておりまするが、問題は結局七千億の予算のうちに、二千億價格調整費が占めておりますが、價格調整費がどこまで圧縮できるかというところに依存しているように見受けられるのでございます。それといま一つは債務の償還費と申しますか、政府國債並びに借入金を、いろいろな意味におきまして返済するための支出というものは、本年度予算では七百億くらいに止まつていたかと思いますが、まあこういう種類歳出を今後どういうふうに持つて行くかといつたような問題、そういう問題が主としてこの歳出の今後における縮減の可能性がある方面でございまして、その他の面につきましては御承知通り本年の予算は相当緊縮いたしておりますので、余り大きを期待することはむずかしいじやないか。先ず一番大きか問題は價格調整費をどこまで節減するか、減らすかという問題に依存するのではないかと考えておるのでございます。まあこの問題は、結局成るべく企業を自然的な状態の下において合理化を図るという見地からしますと、勿論漸減するという方針におきましては各方面におきましても異論がないようでございますが、然らば果して補給金を大幅に削りましてマル公がどのくらい上るか、それに基きまして賃金等にもどういう影響があるか、全体のそのことによつて物價水準にどういう響きがあるかといつたうな問題と関連して決めませんと、相当大幅な削減はむずかしいというふうに相成りまするので、尚各方面と打合せまして目下その点につきまして檢討中でございます。本年度の問題といたしましては、とにかく予算に計画いたしておりますので、基本には余り響かないで、できるだけ節約を図つたらどれ程節約できるかということについて研究いたしておりますし、今後の問題といたしましては、それを超えまして、もう少し大きく減らしたらどういうふうになるかということについて研究いたしておる次第でございます。まあ併し方向としましては相当これを圧縮するという方向で行き得るのじやないかというふうに見ておりますが、具体的にどこまで減らし得るかということになりますと、先般大臣が新聞にちよつと出しておりましたが、ああいう見当でございます。政府としましては確たる自信のある案を作成いたしている段階には未だ参つておりません。今後の問題であろうかと存じます。でそういうようなふうにいたしまして歳出を圧縮しますれば、その限度内におきまして税の総体負担を減らし得るということに相成りますと思いますが、まあこれが一つの大きな問題ではないかと考えておる次第でございます。  それからその次の問題は、税の負担総体におきましてはそれ程減らさなくても、現在の税制の中におきまする不合理を是正することによりまして、負担の公平を期し得るか否かという問題であろうと考えます。そのことは一面におきましては税率は非常に高く、例えば所得税におきましても控除が低く、間接税等におきましても税率が非常に高くて、実收が税率に伴つていないという面は確かに顕著に見受けられるようでございます。それは單に大口の脱税があるということでなくて、廣く捕捉と申しますか、税法通りなかなか実施が困難な状況にある。でこれは原因納税心が低いとか、税務徴税能率が低いとかいういろいろございますが、併しやはり税率が法外に高いということがそういうことをもたらしておる一つの重大な原因だろうと考えるのでありまして、この辺に一つの大きな衡平化を図る要素が残つていないかということを言われております、と申しますのは、税率は相当減らしましても、收入としましてはこれ程減らないような行き方が、果してどこまで可能であるかという問題だと思います。若しも税率を相当下げまして、その半面申告納税状況等がよくなり、それから税務署も調査がうまくできるようになつて、それによりまして半面増收を期し得るということになりますれば、結果におきましては、歳入はそれ程大きな減を來さないで、而も負担におきましては、眞面目な人の負担減つて、今まで抜けていた方面負担がそれぞれ加重されて、公平を期し得るということになるわけでありまして、この問題はひとり直説税だけではなくて、物品税その他の間接税等を通じまして、できる限りそういう合理的な案ができるように勉強いたしたいと思いまして、いろいろ目下檢討いたしております。なかんずく所得税等におきましては、税率が非常に高いためになかなか円滑な徴收ができなくて、結局におきまして歳入上ロスを來しておるという点、そういう点を考えますと、税率を或る程度下げましても、それ程税額としましては減らないで済むのじやないかという見通しをつけておりますが、そういう問題としまして一つ合理化を図る途があるのじやないかというふうに考えておるのでございます。  それからいま一つの問題は、所得税の全体のシステムが果して現在の経済情勢及び国民生活状態に適合しておるかどうかという問題だろうと思います。いろいろ計数を調べて見ますと、顕著な傾向といたしましては、非常に所得が平均化されておるということがあらゆる材料で分るようでございます。勤労所得の間におきましても、例えば重役さんの收入労働者の熟練工の收入が非常に接近しておるということによつても分りますし、それから昔の大所得者でありますところの財閥の方々や、或いは農村方面におきましては地主クラスといつたようなところが、戰後の社会改革とそれからインフレによりまして、総体的に非常に所得減つておりまして、非常に平準化されております。財産所得は猛烈な勢いで総体的に行きますと減つておるようであります。戦前は大体國民所得の二十%ぐらいが配当、地代、家賃といつたような純財産所得でありましたが、二十三年度の実績によりますと、それが二%ぐらいに低下しておるように見受けられます。これは非常に所得構成内容の顕著な変化と考えられるのでありまして、そういう点。  それからいま一つは大きな所得と申しますか、主として営業所得についてで、而もその所得が非常に不安定な所得である。これは必ずしも私は法律的な意味における闇所得とは申上げにくいかも知れませんが、闇的な所得と申しますか、そういうものが相当大きなものがございます。これは併し一面におきますと、調査が非常にむずかしいのと不安定でありますので、納税がなかなか困難である。調べて決定まして、納めて貰いたいということになりましても、そのときにはいろいろな方面に金が使われまして、なかなか税金が納まらない。こういつたような事態が数多く発生しておるのでありまして、そういう所得の実際の状況。それから國民生活も実際におきましては生産が減りまして、実質所得は相当減つておるようであります。從つて非常なぎりぎりの生活をしておる。勿論戰後徐々に生活水準は確かに向上しておると私は見ておりますが、併しそれにしても非常な程度戦前と比べますと低位な生活状態でございますので、こういう基礎條件を元として判断しますと、何としましても少し本年度税制は、所得税が少し何と申しますか、大きに過ぎる。ウエートが大き過ぎるのではないかということを、痛切に感じております。納税者数から行きまして、戦前百万人ぐらいだつたのが、今年は千八百万人に増加いたしております。所得税の額から行きまして、一億円ぐらいだつたのが、三千百億円、三千百倍になつておりまして、物價騰貴率を考えましても、所得税の発展の仕方、大きさというものは、外の税に比べまして、格段の大きさになつておりまして、こういう点から考えますと、結局所得税は、今の姿では相当廣汎な、下の方の人の國民から廣く、而も重く負担して貰わなければ税としては入らない。こういう事情なつておりまして、こういう姿の直接税が果して妥当であるかどうか、大いに檢討余地があるのではないか。従いまして方向としましては、小所得者調査というものは、これ又なかなか困難でございまして、大所得者は如何に困難がございましても、これはできるだけ適正な調査をしまして、適正な課税をして、そうしまして、それによつて相当な税金負担して貰うということは、税の健全なシステムのために、どうしても必要と思います。併し中小の所得者に対しまして、相当高い所得税課税するということになりますと、なかなか調査が完全に行かないことによる欠陷と申しますか、それでいい所得税が結果においては、間接税等よりも却つてうまく行かないという部面がございますので、そういう面につきましては、この際、これ又大いに反省を加えて見る必要があるのではないかということを感じておる次第であります。そういう点から行きまして、方向としましては、どうも余り、最近の状態から行きますと、なかんずく所得税が少しオーバ・ワークではないかということを感じておりまして、所得税を軽くするという点よりも、むしろ税制の中における所得税ウエートを少くするというような方向に問題の解決点を見出すのが、一つの今の段階に應じた税制行き方ではないだろうかということを感じておる次第でございます。実際上私共、この徴税に当りましても、必すしも事務的な手数ということはございませんが、努力の恐らく八十%以上、八十、九十%は申告所得税徴收を如何に円滑且つ適正にして行くかということに費している感が、感じでございますが、感がございます。なかなかそこにむずかしい問題がございますので、何としましても、今のような非常に厖大所得税廣汎納税者に対する所得税、そのままで行きますことは、問題がなかなか解決がむずかしいのではないかというふうに感じております。そのような点につきましては、できる限りの対策が講ぜられるべきではないかというふうに考えておるのでございます。又税率等から見ましても、二十万円超過いたしますと、五十%の税率でございまして、率直に考えますと本当にやはり、えらい税率ということを痛感いたしておりまして、そういう面につきましては、何とか一つ対策を加える必要があるのではないかということを感じておる夫第でございます。從いまして、そういう点から申しますと、或る程度現在のような緊急経済、而も混乱された状態の下におきましては、どうも間接税の方に依存するという行き方も致し方がないのではないかというふうに考えているのでございます。それが一つの税のシステムの全体について特に感じておる問題でございますが、その次はこの國税地方税関係がなかなか大きな問題がございます。この点は基本的には自治法が、地方自治が確立されることになつておりますので、建前といたしましては、地方團体に確乎たる独立財源を與えまして、地方團体はみずからの力で、みずからの仕事をやつて行くということに行くことが望ましいことは、これも疑問の余地のないところでございますが、併し他面におきまして、実際地方團体がやつている仕事は、相当大きな部分が中央からの委任その他によつてつている。全國画一的にやつている仕事が相当多いようでございます。そういう点を考えますと、なかなかこの財源調整の間に問題が出て来る。それから地方團体の間におきまして、尚非常に経済力に差がある。最近は余程、前の非常にノルマルな状態に比べますと、終戰後農村がインフレの時代におきまして、比較的困り方が少なかつたというような点もあつて、平均化されておるようでございますが、併し今後恐らく相当農村よりも都市の方面経済力が集中するという傾向に行くのではないかということも考えられますし、そういう点を考えますと、果して有力財源が、地方国体それぞれにうまく働けるだけの有力財源があり得るかどうか、なかぞれ問題でございますので、この方面につきまして、いろいろ私共檢討いたしておりますがどうも理論と実際とがマッチしないで正しい行き方が、自信のある案ができないので、目下いろいろ努力いたしておるのでございます。で、これにつきましては、配付税というものをどういうふうにするか、これが問題であろうかと思います。むしろ或る意見、或る一つ方法配付税調整的な要素だけ伸ばしておいて、後は例えば所得税附加税その他で徴收するというのが、その一つ方法手段であろうと思いますが、これに対しましては、先程申しましたように、財源が非常に地方に偏在するという問題がございますので、なかなか簡単に結論が出ないようでございます。それから地方團体等につきましては酒、煙草に対する消費税課税するということを認めて貰いたいという強い要望がございます。これも氣持としましては、一つの無理からぬ希望かと存じますが、併し酒、煙草のようなものにつきまして、國でも高率課税をし、地方でも又高率課税をするというような行き方が果して税制システムとしていいかどうか、これはよく檢討を要するのではないかというふうに考えておるのでございます。併しいずれにしましても、地方團体が最近相当仕事が殖えまして、財政が苦しい、これは全部ではないかも知れませんが、苦しいところが多いということは事実でございますので、今度の改正に当りましては、さような点を解決を図るように努めたいと考えておるのでございます。尚地方税の中におきましては、收益税システムがどうも大分狂つておるようです。地租家屋税がそれぞれ現在七十億から、事業税が五百億で、実に均衡を得ていないようでございますが、これは地租家屋税につきましては統制の関係がございますので、なかなか問題は簡単でございませんが、この方は一般物價等に遅れまして價格等も動いて來た、家屋は別ですが、殊に土地等はそういう事情でございまするし、今後の状況を見ますと、も少しこの方はやはり或る程度伸ばすという行き方に行き得るのじやないかというふうに私は考えております。これに対しましてはいろいろ尚檢討をすべき点がありまして、結論を出しにくいのでございますが、伸ばして然るべきじやないか。これに反しまして事業税はいま少し、大体インフレが安定して参りますと、前年の所得に対しまして、十八%といつたような課税がどうも少し行き過ぎじやないかというような方向檢討いたしておる次第であります。さような点が地方税について問題があると思います。それから雑種税が沢山ございますが、こういうものも極力整理を図るという方向に行くのがいいの七やないかといに考えておる次第でございます。それから課税に当りましては、いろいろな問題がそれぞれ内部にありますことは御承知通りでございまして、所得税におきましては、さつき申しました占うに、全体として所得税が大き過ぎるという点が根本的に解決を要する点でございます。その外に例えば事業者の場合におきます家族労働者家族の從業者、これに対しまして特別な考慮を認めるか認めないか、勿論所得税の全体の額を少くするということは、結局税率を軽くし、それから基礎控除引上げ家族控除引上げというその三つで解決するより仕方がないと思います。そういう問題があろうかと思います。それから家族合算制度をどうするかという問題があろうと思いますが、少くとも勤労所得税につきましてだけは合算を止めるような方向で研究して見たらどうかというふうに考えておる次第であります。その他扶養家族税額控除なつておりますが、これを所得控除に改めるかどうか。それから簡易化方法といたしましては、現在二十二万円までは一ケ所から貰いますものは源泉課税をしておりますが、この場合でも年末調整としての問題がある。それで低額の所得者につきましては年末調整を止めるか止めないか、そういう問題なんかあると思います。それから申告限度等につきまして、成るべく簡素化を図りたい。間接税額等も相当多額になつておりますからこれも簡素化を図りたいという方向でやりたいと考えております。ただ所得税申告納税制度、この制度につきましては根本的に変更を加えたいと思つておりますが、これは向うでも研究して貰つておるのでございますが、大体の國内の空氣といたしましては、若しも所得税率その他において合理化が図られるならば、この申告納税運用も余程うまく行くのではないかという意見が有力でございます。たびたびこういう制度につきまして変えますことは、却つて混乱を起すのみでございますので、今のところ大体所得税税率その価に関する合理化図つて、そのベースの上で極力運用改善をやつて制度としましては根本的な計画は立てられないのでございます。ただ予定申告をする際に前年の申告は尊重いたしますが、そういう技術的な改正を加えるか加えないかということにつきましては、研究する余地かあろうかと思いますが、根本的に申告納税制度を変えるというような行き方につきましては、如何であろうかというふうに考えておるのであります。ただこの所得査定方法、これもなかなか非常に問題でございまして、理想を申しますと前々から申上げておりますように申告納税制度の本來の理想は、申告が正しくないと思う場合においては徹底的に調べ上げまして、それに基いて決定をするということに行くことは議論の余地はないと思いますが、ただ遺憾ながら申告状況が悪い、放つて置きますと勤労所得者の方で非常に負担のハンディキャップが起り、或いは歳入厖大な損害を生ずる虞れがありますので、從來の経驗に徴しましても非常に短期間でございますので、現在推定調査に基く更正決定をやつておじますが、これは徐々に方向を切替えて、やはり申告納税成績をよくすると同時に更正決定はできるだけ丁寧な調査をした上で決めるのが一つ方向やないか、ただその方向に行くことはむずかしいと思いますが、何年か先を目安としまして、そういうような方向運用改善図つて行つたらどうかと考えております。これは所得税負担合理化されるならば、私は必ずしも不可能じやないと考えておりますが、もう少しそういう方向に努力いたしまして、根本的な課税制度変更をこの際いたしますのはどうであろうかというふうに考えておる次第であります。ただそう申しましても現実の問題といたしましては相当いろいろの問題がございますので、審査の処理におきまして特別な民間委員等が入つて参りまして、諮問委員会に付して円滑に裁くといつたような組織が少くとも過渡的には必要だと思いますが、この制度申告納税制度の本質の姿とやや牴触するので、なかなか問題の解決が得られないようであります。根本は税法合理化、それから申告成績の如何、それから優秀な税務官吏による丁寧な調査、この基本申告納税は動かすべきだということに、理窟を申しますならばなるわけでありまして、適当に第三者を入れて意見をまとめて話をつけて決めるという行き方はどうも例外だというが、基本的なものでありますのでなかなか困難な問題があり得るわけであります。現在納税者といたしましても帳簿をつけておるような納税者は少いのでありますの、結局或る程度推定課税をしなければならないということになりますが、今申しましたような方法も有力な方法と考えて檢討いたしております。さような点が所得税に関する主な問題だろうと思います。  それから法人税については、これは御承知のよに増産の再評價の問題、これが一番大きな問題であります。何としても現在のような税法減債償却では資本の維持はなかなかむずかしいという点がございますので、成るべく早い機会に資本について妥当な再評價をやり、適正な評價をしたい、それに伴つて法人資本金も是正いたしまして、新旧負担の不均衡がないようにしたいと思つております。その際の評價増による利益を株主に分けたり、或いは積立金に整理する場合においては、先般発表した税制審議会の案では二割となりておりますが、方向としては大体において前回税制審議会の案として発表されたところの基本に待つて案の実行を図るようにして頂きたいと考えております。その他法人税については税率を下げてもよいかどうか、これも檢討しておりますが、これもやはり全体の財政需要との関係にいて決めるべき問題と考えております。それから法人税については所得計算方法が個人の所得税と違つておりますが、アメリカ行き方と若干変つておりますので、どういうふうになりますか、向うでも研究されておるようでありますが、その点については技術的な問題が多いと考えますので、檢討したいと思つております。  それから取引高税については、これは政府としてはできますならば歳出の方を減らしてこの税を廃止するという方向に行きたいということで研究しております。どうもいろいろ研究したのでございますが、代るべきよい財源ということになりますとなかなか発見が困難でありますので、むしろ全体として歳出の方をできるだけ少くして、取引高税を不用にするという方向で問題を処理するのが一番よいと考えておます。それからこれはさつき申しましたように全体として蔵出をどこまで減らし得るかという問題に依存いたしますので、所得税の軽減とどちらを優先してやるかという問題に関連しますので、やはり断定的な結論は最後にならないと出て参らないのじやないかと考えております。  それかその他の間接税については、先般來物品税織物消費税、いずれも税率が重いから引下げて呉れという要望が多数ございます。ただこの間接税につきましては総体総額のみ減らすという方向はなかなかそこまで財政需要が許さんのじやないかむしろさつき言つたよう税率は下げてもむしろ供給が殖えろとか、或いは需要が殖えて、総額としては余り減らないし、或いは却つて殖える。こういう点に主たる点を置きまして改正をする。種類等についてもできるだけ正規の生産を殖やしまして、税率は下げても相当な收入が挙がるというような方向に持つて行くというような方向改正をしまして、間接税総額はうんと減らしたいが、総額は余り減らすというところではなかなか財政需要上行き難いのじやないかというように考えておりますが、併し物品税その他においても非常に多くの陳情、請願等もございますので、その中には個別的に取上げますと、成る程尤もだというのがありますので、全体の権衡をよく考えて妥当な詰論を出すように勉強して見たいと考えまして、今いろいろな調査をいたしおります。その他いろいろ各税について問題とすべき点がありますが、主な問題はさような点にあると思います。  それから尚税本来というよりも経済政策との関連において、超過供出奨励金をどうするか、銀行の預金利子に対する課税をどうするか、株式の譲渡所得に対する税をどういうふうに持つて行くか、それから寄附金等の税法上の扱いをどういうふうに持つて行くか、こういういろいろな問題があるようでございます。そういう問題についても可及的全体の税のシステムの姿が描かれた後において妥当な結論をつけて調整図つて全体として政策がうまく行くように努めて見たいというふうに考えておりますが、これらの問題はいずれもすでに基本が決まつた後に解決が見出せるのじやないかというふうに考えておる次第であります。大体さような点が主な問題であろうと思いますが、尚所得税等についても寄附金の問題等についてこれが檢討いたしております。このような点について税制全般として檢討して、できる限り現在の財政需要及び現在の國民経済及び國民生活の実情にマッチした姿に持つて行きたいというふうに考えております。何しろ問題が非常に廣範囲で、又錯綜いたしおりますので、なかなかすつきりした妥当な案が直ちに必ずしも見出されないかも知れませんが、これからも勉強して行きたいと思います。一應私から現段階におきまする研究の状態を申上げまして、御参考にいたしたいと存ずる次第であります。
  4. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 御質問がありましたら、御腹蔵なく質問を願うことにいたします
  5. 小川友三

    ○小川友三君 相続税が今年は高いのですが、こういう工合に高くすると、逐次伜に身上を譲つてしまつて税金をかけることがなくなつてしまう程幅が狭くなつてしまうと思うのですが、昨年、その前と同じように、相続税が安い方がいいと思いますのですが、それに対して少しお伺いしたいのであります。  それから寄附金税ですが、寄附金を社会事業のためにやつて、その上に又税金を載つけられては、社会事業という社会事業は分つているけれども、どうも君、寄附金に対して税金がかかるから、ちよつと待つて呉れというようなもので、寄附が非常に減つていると思いますが、寄附金に対して税金をかけない方がいいのではないかと思います。社会公共事業に寄附するのですから、これはかけない方がいいと思うのですが、どうですか。昭和二十三年度、二十二年度にどれくらい寄附金に対しまして税金がかけられたかということを一つ先ずお伺いします。  それから今の間接税ですが、織物が税金が高過ぎまして、衣食住の衣がなかなか高くて買えないという状態ですが、総額的には減らさないという政府の方針で結構ですが、織物税というのは、特に非常にこれは絹織物が三百六十円爲替関係で、相当下げた方がいいと思うのですが、相当下げて三分の一は下げましても、三倍くらいの総額的の税金は減らないと思いますけれども、三分の一くらいにする案がございますかどうか、少しこれをお伺いします。  それから取引高税が、今の政府取引高税は印紙を貼らないから、実際は所得税的な存在になつてしまつたのですが、印紙を貼らなければ、そう入りませんと思います。これに対して推定して更正決定取引高税決定して行きますとき、実に税務署員の腐敗堕落があるわけです。税務署員の恐らく二、三十%以上が取引高税を決めるために更正決定をして行く、そこで買收される。又買收を強要する。税務署員が随分強要している例が沢山あります。随分はつきりと強要して來ますが、そういう点が更正決定という不当なやり方で派生的に生れて来ると思いますけれども、その点に対する取引高税は本年はどれだけで……、これは申告で決めて貰いたいと思いますが、更正決定を加えるかどうかということを一つお伺いします。  それから法人税の資産再評價という問題、これは今あなたが二十%の再評價に対する課税をするということですが、こんなことをされては、再評價などされては困るのですが、法人を再評價して、例えば一億の会社が実際は五億も資産内容があつた、そうすると四億殖えたからその二十%分というと、八千万円の税金がかかります。こういうべら棒な、それは現金化されていないところの資産であつて、やがてディス・インフレとデフレに入つて來るのですから、元通りの資産にこれは下つてしまう。上つたといつても、それは評價が上つているだけであつて、現金に変つていないから、それに対して二十%という厖大課税をするのでは、日本の有力な法人は勿論のこと、法人は相当ありますが、これはもう成り立たないと思いますが、それじや資産よりも少なかつた場合に評價した場合には、政府が二十%金を、補助金を呉れるのか。出す方は全然出さないで、これが評價されるということは特に重大な問題だと思いますが、特に私鉄問題につきましても、私鉄を再評價しますと、昔は枕木が八円で買えたが、今は松の木で四百五十円です。檜が八百円ですが、そういう調子で評價されますと、資本金の五十倍になつてしまう、五十倍になつたらその分に対して二十%課税をするということになるのか。その点を一つお伺いするのと、再評價は誰がやるのか、再評價審議会の委員を法人が買收しなければ追つかない、べら棒に評價されても、これは非常に大きな問題だと思いますが、こういうのは世界に例がありますかどうか、お伺いします。あと二、三年経てば勿論十年前のデフレに入つてしまう、この矢先にこれをかけられるということは非常に困ると思います。会社の運轉がつかないと思います。それを先ずお伺い申上げたい。  それから新興所得の問題ですが、今驚くべきことを私は主税局長から聞いたのですが、これだから大変なんです。國民が普通所得申告をする、それに対して今当分の間、数年の間は推定更正決定というものを喰わせてやるのだ。申告所得税の本人を呼んで調べたいけれども、それはできないから推定で以てぶつかけて行く。これがもう大きな問題でして、これがために地方の業者は税務署長並びに直税課長、庶務課長とか、総務次長ですか、ああいう連中を呼んで飲めや歌えの大騒ぎをして、搦手で以て五十人か、六十人か團体を組んで税務座談会、懇談会という形式の会を全國で開いております。そこで十万、二十万、五十万という金を使いまして、藝者を挙げて税務署を優待する。それは総括的に優待してしまう。税務署長から幹部全部を呼んでしまう。そうして推定の更正決定の力を弱めるために防波堤を作つてしまう。そうすると今度は第二次会があります。必ずこれをやらなければどうしても更正決定をされるというので、第二次、第三次会を開いて納税業者は割当を、一晩に一万、二万、三万と使つて切り崩しを現在やつております。そこで特に腐敗、堕落するところの税務署員が雨後の筍のごとく生れてしまうということを現在やつておるのであります。これは今年から更正決定というものを推定でやらないで、どんどん通牒を出して納税業者を個々に呼んで、そうして帳簿を持つて來さして、実際を聞いて更正決定して貰わなくちやならんと思うのですけれども、これに対する御所見を拝聽します。  それから山林税の問題ですが、今の山林は一町歩というけれども、実際は二町歩、三町歩、五町歩もあります。昔の明治七年、八年、九年の登記になつておりますから、面積がもう非常に難であまして、実際山林を持つている人の所得税というものは非常に多いのです。それを更正決定というか、修正決定をして貰わないで、山林業者は大体大資産家ですから、これに対してべら棒に税金がやすくて、そうして都市におるところの中小商工業者というものが更正決定の奈落のどん底に轉落しているのですが、この山林税をどうするかという問題ですが、山林の実際の面積を至急に調べて、これに対する課税をしで貰いたいのですが、これに対する御所見を一つお伺いします。  それから家賃対策ですが、家賃が非常に安いのであります。從いまして家主は修繕することもできません。ですから自然に借家人に取られてしまうというような状態ですが、修理費も出ないような状態であつて、瓦なんかも今百円から二百円というふうに高いのですが、瓦が壊れたから屋根を直して呉れと言われても家主は直せないから、本人が五千円も出して直すと、家賃の五、六年分が瓦の修理費に取られてしまう。あと所得税や相続税なんか家主が取られるという不均衡状態ですが、家賃は本人対本人、借家人と家主で決めて行くのが当然だと思います。そういうふうに変えた方がいいと思いますが、それに対する御所見をちよつとお伺いします。  それから地方配付税問題ですが、地方長官連中から煙草や酒に附加税をして貰いたいというような意見が出ましたのですが、地方では犬、豚、馬、牛、山羊というようなものに対してまでも今は税金をかけております。そこで相当一杯取られておりまして、地方配付税を無論そこへ少しは行つたんですけれども、地方税というものは非常に細かいところまで食入つております。リヤカー、荷車、馬車、いわゆる運搬する馬車等にまでかけておりまして、地方財政はそういう方面から見て非常に……昭和二十四年度は、私は間に合つていると思うのですが、酒や煙草まで乗りかかつて來るというのは地方長官の行過ぎだと思うのですが、どういうものですか、その点をお伺い申上げて置きたい。  それから農村問題のお話がありましたが、インフレの経済で金が農村より都会に集まつて來るという見通しをお話になりましたが、それは逆です。依然として食糧が二合七勺の時代は都市より農村へと金が流れて行つているという見方は今年も変りはないと思うのです。それに対して農民に対する税金問題ですが、農民が非常にまあ裕福であります。どのくらい裕福か大体ちよつとお話し申上げます。農民、殊に関東地方の農民を標準に取りますと、関東地方の農民は非常に景氣がよい。農家などには怒られるかも知れませんけれども、関東は特に大東京という消費地を控えておりますので、関東地方全、体を通じて米が一俵平均八千円程度なら現金でどんどん賣れております。一町歩耕している農家は年に三十俵平均闇で賣つております。供出した外に賣つて、二十四万円の所得があります。それで今関東地方では百万円くらいの建築を農家がざらにやつております現況を御視察賜わりたいのであります。農業協同組合の預金が一千五百万円ぐらい、これは私の近くの例ですが、特に東北線沿線というところは非常に闇が盛んなところでありまして、裕福な状態にあるというのは全部じやないけれども、とにかく二、三町歩以上耕しているところは殆んど裕福である。いわゆる轉落農家と言います小さい農家は勿論この場合に入りませんが、非常に優秀であつて地方の農業協同組合に農家が三十万円から百万円ぐらい預金しているのが相当にあります。それで今主税局長がおつしやつたところの都市に経済が還つて來ておるというような見方は、私の見方では依然としてまだ農村の優秀な農家に経済が流れて行つているというような状態であります。そこで農民の所得申告ですが、五反とか八反程度を耕している農民は、大体食べて供出する程度で無くなつてしまうのですが、大農家になりますと相当にこの課税標準というものが建つて來るのがいいと思いますけれども、無論本人を呼びまして、全部がそうした優秀農家じやないのですが、いわゆる沢山取る農家じやないと思いますけれども、よくお調べになつてやらないとこういう例があるのであります。農家で、あそこは百万円の建策をしている、隣りの轉落農家は非常に貧乏している、日雇人夫で東京に來ているという人も沢山あります。それで或る農業協同組合ですが、トラックを買いまして先月百二十俵の米を或るところに農業協同組合の幹部が結託して費りまして、警察の問題になつているんですが、三十俵、二十俵という米を持つている農家はざらにある、それを一俵八千円で賣つてしまうというので、百万円ばかり米を運んで、大騒ぎが始まつて、村会議員が総辞職、農業協同組合の幹部も総辞職ということになつてしまつたのでありますが、そういう場合に優秀な農家といつても増産に優秀なのですが、賣る方では不優秀なるところの農家なのですけれども、そういう問題に対する所得面を十分に研究して頂いた方がいいと思います。これはただ税金の公正化から見ての問題であります。  それから今主税局長さんは財閥の收入が減少しておるというお話でありましたが、これは勿論旧財閥、旧農村の大地主連中というものは非常に轉落をしておる方が多いと思うのですが、この問題に対して、これは田舎の例ですけれども、相当山林を伐採して杉の木が一本一万、二万と賣れて、それに税金もかかつていないという例もあるのです。そうしたことに対する所得申告を所轄の税務署でどういう工合に調べておりますか。一つお伺いしたい。それから話が飛びまして恐れ入りますが、営業をやつてつて所得申告をしていない者が何万とおるのです。それは町に氾濫するところのいわゆる町の女ですが、町の女というものはあれは立派な営業をしておるのですが、それで月收二万、三万、五万とあるそうですが、これは申告をどういう工合に取つておりますか。御高見を拝聽いたしたいと思います。(笑声)手落になつておるかどうかお伺いしたいわけです。  それから現在の課税方法は、百万円の所得に対しまして附加税を入れて百五万円程度課税なつておりますが、こうした食つて行けない課税をどうして訂正なさらないのか、百万円の所得に対して、ちよつと御計算になると分りますが、本税と附加税一切を入れると百五万、所得を突破する課税方法です。その資料を持つていますが、あとで資料としてお引合せ願いたいと思いまね  それから補給金を大幅に縮減をしたいというお考えのお話です。二千億万円の價格調整費、それを節減するというお話ですが、これはどういう面で、石炭の方で節減なさいますか。何で御節減なさいますか。一つお漏らしを願いたいと思います。  それからシャウプ博士がいらつしやいましたが、基本的な調査政府はやつたが、実際的な具体的な話はまだまとまつていないというようなお話でございましたが、シャウプ博士がいらつやつたのですから、秘密会でも結構ですから、どういう程度に具体的に訂正を特に所得税問題を中心としてされておるか。國会が終つたら翌る日大藏大臣はすでに関西へ行く車中で、三百億所得税を下げるというようなべら棒なことを記者團に話して、新聞に載つていますけれども、我々議員は國会でそういうことを審議していなかつたのですが、翌る日になるとお化けみたいにぽこッと大藏大臣が大阪への車中で語つたというわけで、これを我々は人に聞かれて、大蔵委員が知らないというので非常に困つているのですが、政府はどうしてそういう拔討ち的なことをおやりになりますか。三百億減らすのはどういう財政面から減らすのですか。私の想像では法人に対する資産の再評價をやつて、三百億程度課税をするような実は腹案が、伏せたものがあるのじやないかという工合に心配しますけれども、これに対するお話を承つて置きたいと思います。  それからもう一つ料理店の税金が五倍から六倍ということになつて、料理店がストライキではありませんが、どんどん閉店をしておるという状態ですが、料理店が五倍にも七倍にも課税をされてはやつて行けないところが多いと思いますけれども、これは主税局長さんこんなにべら棒に高くしないで徐徐に上げて行つたらいいと思うのですが、いきなり始めたばかりでこういうふうに高くするということはどうかと思いますが、こういうこともやはり大蔵委員会などに諮つてからでないと、突然やられますと、大蔵委員をやつておる我々が上げたように、私が上げたように実は料理店へ行くとそう思われておりますけれども、(笑声)こういうことを拔討ち的にやられては非常に困るのですが、それに対してちよつと教えて頂きたいと思います。それから第三國人に対する課税です。御承知通り中華料理店がございますが、中華料理店の九十%まではあれは日本人が経営しておるのです。中華民國人の名前を借りておるわけです。そうして名前を借りる代金として一番安いところで一ケ月に一万円、三万円、五万円くらいまで毎月費上げから拂つております。この所得は年收にすれば五百億くらいになると思います。これに課税する方針は是非立てて貰いたいのですが、如何でございますか。それで中華料理店を中華人の名前を借りて差支ないというと、五万円でも引合う。米でも何でもどんどん闇で買つて置く。警察が入れば、中華民國の人を呼んで來て、中華人が警察へ群をなして行くと警察はどうにもしようがないから参つてしもうということになりますので、五万円でも権利金をかけてやつているというのが東京にも沢山ありますが、これに対する課税方法をどういう工合に立てていらつしやいますか、お教えを願いたい。折角雨が降るのに参つたのですから一つゆつくりと……
  6. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 局長、御都合で速記を止めて懇談の形で……。それでは速記を止めて。    〔速記中止〕
  7. 櫻内辰郎

    ○委員(櫻内辰郎君) 速記を始めて下さい。
  8. 天田勝正

    ○天田勝正君 二十四年度予算が提出されまする前に我が党で税の研究会を開いた場合に、局長もお出でを願つていろいろ質疑應答をしたのでありますが、その際の御説明で、本年の所得税中、先ず勤労所得税は軽減する、次に農業所得税を軽減する、営業所得税についてはむしろ加重して行く方針である、こういう御説明がございました。その約束ができたかできないかということについては、私はこの際責任を云々するのではございません。今後の税制を如何にするかという本委員会の研究調査でございまするから、これができなかつたということについての弁明よりも、むしろ現在それらの問題について、どのような研究、どのような方向に向いておりまするか、先ず第一に伺いたいと存じます。  それから第二は、その際にも申上げましたが、地方税と中央税との調整の問題です。やはりこれにつきましても、今大蔵当局は如何ようなる方向に向つて、如何ようなる目的でその調整を図るような努力をなされておりまするかどうか。尚只今小川委員からの地方税、中央税を含めた場合に所得をオーバーするという話がございまして、原則的にそのようなことはない筈であるという御説明でありました。その研究会の際もやはり同様なお答えを受けたわけであります。ところが私共が黒田委員並びに木村委員と共に東北地方税務実態調査の班に編入されまして参参りました際、各地の税務署でそれらのことについて聽いたわけでございます。然るに勿論私共の一行には財務局の課長もついており、且つ又所轄の税務署長並びに幹部の課長諸君、それから全財労の幹部の諸君、これらの人達がお集まり頂きました際にもこれをオーバーしておる実例があるということをお認めになつておるので、そこで理論的にはそのようなことがないにいたしましても、扱いの面では事実ある。このことはどこから出て來るかと言えば、結局私は大蔵中央当局からの指示が十分行渡つておらないということと、御承知通り現在の税務職員は一年半以下の人が殆んど七十%という状況で、それを訓練するところの時間的の余裕もない、又訓練すべき人もおらないという、こういうところから來ておると考えます。その際十分それらの点については中央から指示をする、こういうお話であつたわけでありますが、現在どのような御指示をなさつておるかどうか。  第三は、先程埼玉の一部の農民の例を取りまして、米だけでも二十四万円間賣をしておるという小川委員のお話でありましたが、これは同じ埼玉から出ておる私といたしましてはとても承服し難い言葉でございます。私は全國でも私のおりまする妻沼、それから見玉郡の本庄、この利根川沿岸というものは一番地味が肥沃であつて、且つ農村人口が最も緻密であるということは昔から言われておるところであります。事実普通戰事前でありまして肥料が廻りさえすれば大麦、小麦のごとき夏作、これらについて十俵以下を穫るのであつたならば凡そ惰農でありまして、尚二毛作で米を穫る場合に昔であれば九俵以下を穫るのであつたならば凡そ惰農、こういうことが言えるくらい地味が肥沃であります。然るにも拘わらず決して税金の面で樂をしておるというなどとは考えられないのでありまして、現在農民が最も恐れておるのは水害、その次が税金で、三番目が伜、こういうことに相場が決まつておる。私共の方では地味が豊かなだけに殆んど家で食べる野菜のごときは桑畠の間作で間に合せるくらいにやつております。そういうところでありましても今年の税金のごときは目を廻しております。これは何と言つても御承知通り勤労所得の次は農業所得が非常に補足がし易い、特に單作地帶が補足がし易い、ここから実は來ておるのであるりまして、比較をいたしますれば確かに東北の農村から比べますれば私共の方が幾分か樂であります。そういう面から私は自分が関東におりましても比較の問題、公平なる税金という面からして東北、北陸の税金には何らかの処置をとらなければならないということは、これは一貫した考え方で、税務調査の報告にもそのことは私は強調して置いたけれども、全國的に豊かな私共の地方農民すらさような状態なつておる。御承知通り物價の方から行きますると、二十二年の末でありましても大体農作物の價格は百八十倍、ところが購入品の方の平均は三百九十何倍であつたかと記憶しております。そういうこのギャップを一体何で埋めるかということになれば、これは闇賣以外に仕方がない、これが常識であります。それでなければ農村は破産する。そこで闇賣がどういう状況かと言えば、これは御承知通りこの頃は段々闇も下つて参りまして、遠くへ参りますと本線の沿線でありましても百円若しくは六十円という状況、これでは要するに闇の價値を失つておる。私共の方にすれば多少恵まれたということは、何といつてもそうした米にあらずして野菜であります。これは事実でありますけれども、この野菜が昨年五十円したものが今日は十五円、こういうことで、若しこれを少し集めまして東京に出した場合は手取は五円になります。これは市場で計算すればはつきり分ります。そういうように実は收入は去年より今年という工合に減つて参りまして、課税の面は御承知通り安本の國民所得というのがどこから出て來るか分りませんが、とにかく國民所得が多くなつたと言う。比率は七割増、こういうことになつて來ておる。この調整をどのようにお考えになつておられるか、この際承つて置きたいと思います。  尚この税務署の取扱面の誤りでありますが、私は最近すでに國会内すらそうした誤りによつて超過納税をやつておる、こういうことについて資料を実は提出してあなたの方のエキスパートと話合つて見たい、こう思つております。一つの例を挙げますと、私共が一万八千円の歳費であつた場合に、こういう閉会中に一日出て参りますと、三百円の手当を貰うことになつております。そうしますとこの三百円に対して百三十五円の税金がかかつて、手取は百六十五円、十日参りますと、手取はム日当り八十一円になります。この過ちはどこから出て來たかと言えば、三百円ずつつまり毎日一ヶ年間を通じて受けるであろうということからあの早見表によつて計算して、そういうこと、になります。こういうことは國会すらに行われるという事実からしまして、末端においては可なりそうした誤りが起きておるということは、これからも推定し得るのでありますから、この点につきまして特段の一つ御注意を願いたいと思いますので、それに対する対策を何かお持ちでありましたらお知らせ願いたいと思います。
  9. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 所得税を改定する場合におきましては、最初のお話は勤労と農業と営業にどういうふうに負担が変るかという問題だろうと思います。これは前回もこちらで非公式に申上げたと思いますが、基礎控除引上げ、扶養控除引上げ、それに税率を逓減するということにより、一番大きな効果が観面に出て來ますのは勤労所得であります、その次は農業所得、比較的平均しますと……。基礎控除、扶養控除の引上げによつて影響して來る営業所得の方が、平均所得は高くあり、ますので、税率の方で軽減する方は効果を受けますが、基礎控除、扶養控除による効果は比較的少い、こういうことを以前申上げたかと思います。そういう意味におきまして、所得税改正は結果におきまして、大体御指摘のような方向に恐らくなるように、又なるのが大体の方向としましてはいいのじやなかろうかということを申上げたのであります。  いま一つは一番やはり捕捉されておりますのは私共も農業と勤労じやなかろうかと思います営業が何と言つても捕捉されておるところもあり、そうではないところもあります。そういう意味におきまして最初申上げましたように税率は軽くしても所得調査を徹底するということになりますと、今まで営業者の中で一應免れていた人は負担が減らないで、そうでない人は減つて、全体としては営業者の納める税金はそう減らない。方向としてはこういつたことになるのが一番望ましいように思います。で結果においてもそういうような方向になるように……。所得税というのはやはり程度の問題はいろいろありますが、方向としてはいいのではなかろうかというように現在考えておる次第であります。  それから中央と地方との調整の問題につきまして、これは先程申上げましたように大変むずかしい題題であります。篤と一つ檢討をいたしましていろいろなトラブルを少くするようにいい案を作りますように勉強いたしたいと思つております。先程率直に申上げましたように、條件が非常に錯綜いたしておりまして、今のところはまだ自信のある案ができていないのでございますが、いろいろ研究いたしておることは先程申上げた次第であります。それから税務署が実情に暗いというお話でございますが、これは先程申上げましたように、確かに税務署がこういう問題について認識が足りなかつたのでございまして、從つて税制改正といつたような問題に関する知識は極めて低いのでございまして、税務署にいた頃と主税局にいる現在と勉強した知識が大分違うような状態で、こういう問題になると認識を深くいたしておりません。今後はよく啓発宣傳いたしまして、そういうことにつきましても、大いに知識を深くいたすように努めたいと思つております。ただこれは扱いと申しましても、税法通りやればそうなるというわけでございまして、若しもその税法違反をやつておるとしますと、必ずしもそういう結果にならん場合もあるかも知れません。税法違反ということは絶対にやるべきものじやないので、違反があれば勿論納税者としても堂々と主張して更正して頂けますし、又役所としてもそういうことのないように、万全の注意をいたさなければならんのでありますから、扱い方その他につきましては税法を適正に執行するということにつきまして、更に一段と注意を加えて参りたいと思う次第でございます。それから農民の課税の問題につきましては、いろいろ御意見がございましたが、御意見として承つて置きたいと存ずる次第でございます。  それから最後の問題は、ちよつと非常に具体的な問題でございますので、もう少しお穂きしまして、お答えした方がいいと思います。臨時手当として見れば、特別手当として平均二十%ぐらい、定期の給與と見ますれば、普通の、月分の上に掛けて計算するから高い税率になりますが、いずれにしても年末に全部調整されるということになりますから、どうなつておりましたか、その辺一つ確かめた上で、お答えいたしたいと思います。
  10. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは、只今の最後の議会の問題については、これは扱いの一つの例として申上げたのであつて、お答えはその程度で十分です。問題は現在私共が税務調査に歩きまして、地方税税率が高いという問題が一番多いかと思います。或いは地方税はまあまあというところであるけれども、地方税が高いというのはその総合の面が高い。この総合の中には扱いの面も入つてつて、そのために高くなる。こういうふうに大体分けられると思うが、私がこういう質問を各地でしたわけです。ところがその第三の場合が実は一番多い。で而もその扱い面に対するところの不平が可なりの率である、こういうことなんです。そこから私は可なり扱い面で誤りを是正すれば、或る程度の税の軽減が実際的にできるのじやないか、こういう考えからいろいろ申上げるわけなんで、そこで実際上の例を申上げますと、私の直ぐ近くに最近起きたことで、綿屋さんがたつた六軒で組合を作つておる。この二人の人は普通の交際でも非常にまじめでありまして、一切合切帳面につける。この帳面につけたものを持つて参りまして、税務署がこれを認めるわけであります。再審を申請いたしまして調べに参つてもこれまた認める。ところが後の四軒が不まじめであつて、そうしてそのためにこの四名の人に罰金を科するからして、あなたのところのは一向下げても差支ないのだ、理窟はそうなんです。理窟はそうなんですが、実際に地方の人というのは、一緒に交渉した人達が数万円の罰金をかけられる、こういうときに必ず引込む。一遍地方人になつて見ればその心理は直ぐ分る。たとえ自分の言うことが正しくても、それを言い通すことによつて、他の者が非常にそこに迷惑を蒙る。こういうことになると、村付き合いができないということが事実なんです。役所の方でこういうことを研究をいたして、是正して頂かんと、そういうお代りみたいな、他の人の不正を持つて來られて強迫される、こういうことをされると、引込まざるを得なくなつて來る。こういう状態で、確かにそれは現に私共の方の税務職員が参りまして、それは結局あなたの方のようなまじめな人が犠牲になるのですね。そこの家ではこのようにまじめ一方にやつて、この通り全部お見せして、どこにも不正がないということがはつきりして見ても、あなた方が認めないのだから一体どうするのですか。まあそう言わんで一生懸命稼いで拂つて下さい。こういうわけで行つてしまうというのが例なんです。そこに要すると不まじめさを醸成する元ができて來る。こういうわけでありますから、これは税制の問題について何もどうする、こうするということを、ここで議論するのでなしに、相当一つ主税当局におきましても、扱いの面を是非決定されるように、それについては勿論税務職員が現在のように七十%まで一年以下であるということではできませんし、又或る一面、これもこうした公式のときでなしに、個人的にあなたにもお話し申上げて置きましたが、現に某税務署のごときは、間税課においては毎日ビールを飲みながら執務しておる。このことも恐らくお話ししてありますから、注意願つたことだと思います。その話がどこから出て來たかと言えば、税務職員の中から出て來た。女の職員の中から出て來た。ところがこの摘発は直ぐ私でも実はできるのです。できるけれども、それには犠牲者を必ず出す。この犠牲者を出すが故にできない。勿論それをやれば、私も親戚の中からも一人の失業者を出すことは明らかであります。そういうためにできないという面がありまするし、且つ又一面税務職員に対するところの給與、その他の待遇等については、税務職員なるが故に家が貸されないというような面も大分近頃は出て参りましたので、こういう面に対するところの何らかの施策を講じなければならん。そういう與えべきものは、非常に強く與える。今度の國設宿舎の法等を適用して、どんどん與えべきものは、與えるという半面に、今度は悪い面が、納税者に響くのは、食えないと言つておるそれらの税務職員が家を建てておる。そういうところから出て來るのだろうと思う。こうした疑惑は、何と弁解しても決して納得できるものでない。これはたまたま不心得な者でそういうことになるのですけれども、そういう面から見ましても、やはり今度の國設宿舎法等を早く適用いたして、それらの対策を講じなければならんと思うのですが、事務当局では、これら宿舎法等の適用について、現在どのような施策を講ぜられるお考えであるか、伺つて置きたいと思います。
  11. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今の税務の能率なかなか上つてないばかりでなく、官紀におきましても非常に欠けるところがあるというのは、残念ながらそういう事実が多いので困つておるところでございますが、これに対しましては一方におきましては、積極的によくする方面に努力すると同時に、不正に対しては断乎として粛正を図ることで臨んでおる次第であります。今度國税廳が新らしくできまして、監督官と監察官というものが、全國に亘りまして中央直轄として相当人数配属いたしまして、事務の適正な監督と、職員の身分の上の監督を加えて行くことにいたしたのでございまして、こういうことを極力強化いたしまして、中央の意図がよく地方に徹底するように一段と努力を重ねて行きたいと考えておる次第でございます。  それから待遇の問題に関しまして宿舎の問題、これは私共非常に困つておる問題でありまして、優秀な官吏を田舎から都会に集めましようとしましても、家がないからできない。止むを得ず郷里の近くに置いておくと弊害が多くなるという面が沢山ありますので、何とかしてこの問題を解決を図りたいというふうに考えております。そのためには御指摘の今度の公務員の宿舎法ができまして、あれで相当な家ができることになつておりますので、この方面も極力割いて頂きまして、そういう問題を解決いたしたいと思います。ただ遺憾ながらどうもなかなか重点主義というものが行われませんで、結局頭割りで分けるということになりますので、どこまで主張が通りますか分りませんが、極力実際を訴えまして、そういう問題の解決に善処いたしたいと考えておるわけであります。
  12. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 先程局長がお話しの税制改革の大体の構想をお聽きした中でですね。大体歳出に見合せて税金を取立てるのだという冒頭にお話があつたのですが、九原則の現状から言えば、私は或いはそうかも知れませんが、税率というものはちやんと決まつていて、それで歳出は今年どのくらいかかるのだからこのくらい取らなくちやいけないというところに、いわゆる一苛斂誅求というものが生み出されはしないかとこう思うのですが、今回シヤウプ博士一行が見えられて、この税制改正に根本的メスを加えるということも言われており、國民は多分税金は安くなるだろういう期待を持つております。これに対して大蔵省当局は相当檢討されて或る程度の成案が出て、シャゥプ博士に提出したというようなことも新聞記事にちよつと出ておるのですが、もう少し詳しくその点を秘密会でも開いて、お明かし願いたいと思うのです。大体我々日本人の生活というものは、どこへ行つてももう税金の話ばかりであつて税金が高くて生活ができないというふうなことを聞かされておるので、殊にこの税務当局の徴税に当つている人々の間でそういう声が事実聞かされておるのです。現在の制度のままで行つたのでは、我々はまともに税金を取るということは到底忍びない。結局更正決定や何かで適当な手心を加えて行くということも事実であります。してみると初めから税金の割当というものを昨年度あたりしたのですが、そういうものに無理がある。結局歳出というものを目標にして、それに何でもかんでも成るべく税金で取らなくちやならないというところに無理があるのじやないかと思われるのですが、やはり取れるだけの、税金を幾らくらいというふうに最初算定して、いわゆるこのくらいの税金を取れば国民は生活がやつて行けるというところをはつきりとして、その歳入によつてそれから歳出を算定して行つて、而もその歳出が足らないところは外の財源に待つ、こういう方法を取るのが本当じやないかと思うのです。これに対しては大藏当局はどんなようなお考えで進んでおられるか、先ずそれを一つお聽きしたいと思うのです
  13. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今のお話はこの財政政策の建て方に対する基本的な問題でございまして、前々からいろいろ学説もあり意見もいろいろある。あるようでございまするが、実際問題としましては、結局両方から歩み寄つて檢討して決めるということになるのだろうと思います。税の面からだけして負担限度はここだ、これ以上は税金は取れないという、そういう客観的な物差ができて、それによつて一切歳出は罷りならんというのも、どうもなかなかむずかしいようでございます。他方におきましては歳出の方もいろいろ緊急の需要もございまするし、又それ程の需要のないものもございまするが、削るにしてもこれ以上は削れないというものもありますから、結局におきましては両方から総合檢討して妥当なところで落ち着くということに行かざるを得ないのじやないかと思いますが、税で然らば足らなければ他の財源を求めるというお話でありますが、これが若し公債という財源で求めますと、残念ながらインフレになるからこれは今の段階においてはやれない。ということになつて参りますと、結局國有財産の賣拂いその他の問題もございますが、大きく他に財源を求めるということはなかなかむずかしいようでありまして、從いましてインフレを止めて、結局歳出は全部健全な收入で賄つて行くということになりますと、歳出をできるだけ削る。併しどうしても出さなちやならんものは適当な税法を作りまして、税法に從つてその歳入財源に当つて行くということに行かざるを得ん現況でございます。ただそれにいたしましても、現在の税制及び税の負担は、先程も申しましたように相当これは過重でありますのは、もうこれは統計でなくても事実でございますから、私共は極力そういう面からして歳出を減らして、バランスを取つてつて行くという方向に努力いたしたいということで檢討いたしておるのであります。その際の問題は、先程申しましたように、要するに價格調整費はどこまで削れるかという問題と、それからさつき申しました債務償還費的な特別な費用です。これを経営財源で賄うということが妥当かどうか。或いはもう少し止めた方がいいかどうか。こういう問題は確かに意見があると思います。そういう点つきまして妥当な結論を得まして、負担の適正を期して、インフレをやらないでやつて行くという方向で行くのがこの際ではいい方法でないかと思います。非常に具体的な案につきましては、大体の方向な効問題の所在、そういつた問題を解決する上におきまして大体こういう方向に行くべきでないかということにつきましては相当議論もありますが、但し所得税をどうするか、基礎控除をどうするか税率をどうするかという段階までには行つておりません。やはり総体檢討をした上でそういう話にだんだん入つて行くということになりまして、いきなりそういう具体問題に打つかつて判断をするということは、どうも如何であろうかと考えまして、まだ率直に申上げまして、そこまで入つていない。今後段々そういう方向に入つて行くと思います。
  14. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 シャウプ博士の來朝によつて計画を立てるという期限ですね。予定は何月までに調査をして、そむから税制の改革というのは二十四年度中に行うのか、或いは二十五年度なつて行うのかといつたような、そういうところの具体的な御説明を一つ、この際伺いたいと思います。
  15. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 八月一杯に恐らく勧告案がまとまるのじやないかと思つております。それに基きましてできるだけ本年度実施できるものは本年度からやりたい。併し歳出状況その他の見通しの問題が、本年度からつかんものと來年度からのものとこうあるかも知れませんので、そういう問題につきましては、その次に譲るというものもあると思いますが、勧告案がまとまりまして、具体案ができますれば、成るべく早い機会にやりたいとい方針で今行つておりますから、ただ今具体的にどこまで行けるかということは申上げかねると思います。実際問題としまして、そこまで具体案を作つて折衝する段階に至つておりません。
  16. 木内四郎

    ○木内四郎君 今政府の方の御計画など伺つたのですが、この委員会として、その結果を見てあとで研究するならばこの委員会は要らないのです。この委員会を設けたのは、その前にこの委員会としてもいろいろ問題があるところを研究して、意見があるところがあつたら出すということでこの委員会を設けたわけで、そこで大体この税制に関して大きな問題があると思われる点は、旅程一番初めに主税局長から述べられたところによつて大体示されておると思います。或いは速記を拝見すると分ると思いますから、速記の方も成るべく早く配つて頂きたいと思いますが、もう少しあれを具体的に言つて、こういうところとこういうところにはこうこういう問題がある、税率の問題については今こんなように考えておるとか、もう少しとこれを具体的にして問題の在り場所をあなたの喋られたものを一層具体的に何か紙にでも印刷にしたものにでもして貰つて、私共の所に配つて貰うと、研究して行くのに非常に都合がいいじやないかと思いますが、若し皆さんに御意見がなければ、私はそうして貰いたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  17. 櫻内辰郎

    ○委員(櫻内辰郎君) 御異議ないようですから……
  18. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) できるだけいたします。
  19. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それから巷間傳えるところによると、今度の税制改革に根本的に改革して、少くとも五年ぐらいは変更しなくてもいいぐらいまでに直すのだというような話が出ておるのですが、それに事実なんですか。
  20. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 成るべく税のシステムの根本の立て方につきましては、直ぐ変えなくても済むような税制を作りたいという考えでございます。私共基本的にはさように考えて、ただ具体的な事実の問題になつて來ますと、なかなかそうは行かないので、やはり税制システムの問題だろうと考えますが、システムに関しましては、できますならば、そういう方向で案ができますことを今後努力いたしたいと思います。
  21. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 シャウプ博士税制の問題で勧告案を出すために來ておる。これは分りますが、この租税收入予算の中心を占めておる現状では、税制の問題を取扱うことによつて予算全体の枠の変更が生ずることは必然のことと思います。從つてシャウプ・ミッションの勧告案も恐らく予算全体についての問題も出ると思います。で我々委員会のものとしてはその勧告案が出される前に、この委員会の意見なるものをその勧告案の中に反映させるということが必要なことなんで、先程木内君が言つたように、是非向う側はどう考えておるか。それから政府側としてはどのような資料を提供したかというようなことをはつきりさして貰いたい。そうでないと、我々何かあとでお話を承わるというようなことになつてしまつて、國会としての意義がない是非それをやつて貰いたい。それから同時に予算全体の枠の問題も出ておると思うのです。その点についても政府側ではどういうような資料を、ミッションに提供しておるのかということもはつきりして貰いたい。そうすることによつて、國会と政府が協力して立派な勧告案が出るようにして行きたいというのが私共の希望なんですから、その希望に副うように一つ政府の方でやつて貰いたい。そうでないと、單にお坐なりの答弁いわゆる議会答弁だけやられたのでは、折角集まつた意味がないので、善処しますとか、考えますというような程度では意味がないのだ、その辺り呼吸をうまく汲み取つて一つつて貰いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  22. 川上嘉

    ○川上嘉君 今の大体主税局長からの改革の進捗状況なり、その内容を聞いて見ますと、非常に政府の考え方が、現在のこの税金問題に対して非常にのんびりしておるのじやないかと思う。前年度税金にしても実際は目標であるというけれども、実際においては課税を割当てておる。そうして無理をして、徴税強行までして漸くにしてああいう成績を挙げた。これは非常に割当てるということはこれこそ非常に悪いことであるが、それをせざるを得なかつた。ここに税制の不合理があつて、そうして行き過ぎがあるわけであります、今度の税金に対しましても大蔵大臣は再々言うておりまするが、本年度は割当をやらない。本年度は割当はやらないということを繰返し言うておりますが、現在の情勢では割当は非常に悪いことであるか、この割当をやらない限りは本年度も絶対に徴收できない。今ごまかし的に本年度は割当てないと言つておりますけれども、去年の大体六割増の税金徴收するには、非常に悪いところの、それこそ税法を無視したところの封建的な割当課税をやらない限りは、絶対にこれは徴收できない。一これをよく考えて貰いたい。大体歳入予算の範囲内で、而も税法の範囲内でぎりぎり一杯歳入だけのものを徴收すればそれでいいのに拘わらず、すでに二十二年度においても百七十億程度超過しております。二十三年度課税におきましても私の記憶が若し間違いなければ、大体二百五十億という税金を取過ぎておる。こういつたことに対する大蔵省の、大体税法を無視して割当てて税金を取つた挙句が、それには納税者申告をして貰い、いろいろの犠牲者出して、而も二百五十億も取過ぎたという大蔵省の責任、これは誠に重大だと思います。この点をよく考えて、本年度のこの課税をどうするか、又來年の課税をどうするかということをもう少し眞劍に考えないと、とんでもない問題が起ると思う。現在、先程から随分小川委員とか或いは天田委員から御意見がありましたが、又新聞にも日々毎日のように殆んど新聞を賑わしておるのですが、税務官吏の役得行為、こういうものがどうして起こるのかという本質の問題をもつと掘り下げて貰いたい。現在は殆んど税務署の連中は、仕事もする氣になれない、出張もできない、恐くてあとからくつついて來て、それはこういつたことを、申しては何ですけれども、叩けばほこりが立つのですが、よく税務署の連中が納税者に向つて、君達は今脱税をやつておるのだ、片つ端から叩けばほこりが出るのだと言つて大々的に調査をやつておりますが、又納税者の側から税務官吏を見れば、税務官吏でも叩けば幾らもほこうが出るのだ、恐らく叩けばほこうの出ない者は殆んど一人もいないのです。そうすると、現在のようま実情で行つて、どんどん悪い奴は悪いことをやる。取れない税金を取らしで置いて、そういつた不合理があるに拘わらずそういう無理をやらして置いて、一面において不正な者はどんどん摘発して行くというようなやり方で行けば、現在の状況では殆んど萎縮して仕事もできないのですこういつた空氣は非常に漲つております。うかうか出張もできない。そうしていて本年度税金も又去年の六割増、これはよしんぱ五百億、一千億安くしたところで、予算を切詰めたところで、大体去年の五割壇、四割増です。そういつた税金を取ることは絶対できません。こういつたことをよく眞劍に考えて、もりと画期的な税制を考えて貰いたい、殊に申告納税制度についても画期的なものでなくして、税率を切下げ、その他のことに上つて或る程度実現できると思いますが、この二、三年の間はこれはどうしても廃止すべきだと考える、申告納税制度は……。もう少し経済情勢も落ち着き、それから税務職員ももう少し教育して段々経験者も殖えて來る。それから納税者の側においても幾らか納税意識が向上して行き、いろいろの面からもう少し状況もよくなつて來たらともかく、現段階においては申告納税制度は廃止すべきである。こういつた点について、特に私は強調して、そうして大藏当局の再檢討をお願いいたします。
  23. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。主税局長からいろいろとお話を伺いまして大変に参考になつたのでございますが、更に又主税局長とも御懇談を願いたいと、二う考えております。  午前中の会はこれで閉じまして、午後一時半から地方財政委員会の荻田事務局長を中心にお話をいたしたいと、こう考えております。さよう御了承を願いたいと思います。暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後二時四分開会
  24. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) これより休憩前に引続き委員会を開会いたします。案件は租税制度に関する調査についてでありますが、午後は地方財政委員会の荻田事務局長のお話を先ずお伺いいたしたいとこう考えます。
  25. 荻田保

    説明員(荻田保君) 荻田でございますが、役所の方が六月一日から変りまして、地方自治廳ということになりまして、そこの財政部長をしております。地方財政及び殊に税制につきまして簡単に現状を申上げ、今度のシャウプ・ミッションを機会に、これをどう変えたらいいかというようなことを考えておりますので、その点につきましても附加えたいと考えております。まあ御承知と思いますが、地方團体の行なつております仕事は非常に多いのでございまして、大体いわゆるこの行政、第一線的な行政事務はもう殆んど地方團体がやつておるわけでございます。学校も、小学校、中学校、高等学校、それから土木におきましても、道路、河川、港湾等、警察、消防、警察につきましては、田舎の地方につきまして國家地方警察というものがあるだけでございます。その他は全部自治体警察であります。それから経済関係に関しましても、農地、森林、漁港というような公共施設的なものから、いろいろ助長的な行政、或いは統制的な行政というようなもの。それから衛生問題につきましても、殆んど全部、社会事業につきましてもまあ殆んど全部、いわゆる恐らく行政という、一般國民関係いたします行政はすべて地方團体がやつております。これは昔からそうではありましたが、新憲法施行前におきましては官廳たる地方廳の府縣知事がございまして、これが施行しておる部分が相当あつたのでありまするが、新憲法施行後は地方自治ということが強く憲法を以て強調せられ、これにあらゆる事務が移されて來たのであります。それでこのような事務を地方が施行いたしますのにつきまして、地方團体は独自の財政を持ちましてやつております。それは決して國の特別会計ではございません。自治團体國有の財政であつて、それぞれの歳入を持ち、それぞれ歳出を支出しております。それは一に地方自治体の意思によつて決定しておるのでございます。法律を以ちまして行政的に命令されておるところは、これは大体法律通り施行しなければなりませんが、その範囲内におきまして如何なる歳入を取り、如何なる歳出を出すかということは、すべて地方團体の自治なのでございます。從いまして地方團体の行なつております仕事が大きいので、その歳出も相当の額を占めておるのであります。本年度は大体三千五百億という数字を一應地方財政の枠として考えておりまするが、この数字は國の七千億というものに対しまして相当低いようではございまするが、國の歳出の中には價格調整費であるとか、出資金的なものであるとか、或いは更に終戰処理費的なものというような本当の行政費以外のものを含んでおりまするが、行政費の比較においては恐らく地方團体の方が大きい、それに從いましてその税收入も相当なければならないのでありまするが、後に申上げますような理由によりまして税收入は或る程度少くて、國の予算が殆んど一般会計に関しまする限り蔵入は税、専賣益金を含めまして税を以て賄われておりまするに拘わらず、地方は半分くらいより税收入を得ないのであります。このような数字は、今では二十四年度ではそのような程度でありまするが、過去に遡りますると、昭和の初めから戰爭、日華事変の始まります前くらいまではむしろ地方歳出の方が大きかつたのであります。又税におきましても大体國税の七十%くらいの割合を持つてつたのであります。それは当時でも國防費は、いわゆる陸海軍の費用を含んだ國の予算に対しましてその程度であつたのでありまするから、これが今後國防費がなくなり、それから地方自治強化という面からいたしまして地方国体仕事が殖えて來るというような傾向を今後考えますときは、必ず地方財政の方が國の財政をオーバーすることは明瞭であろうと思うのであります。目下その過渡期にあるのだろうと思います。このような財政の規模を持つているのでありまするが、この財政の経理が國家財政と同様に非常に最近困窮を極めているのであります。それが何故困つているかと言いますと、これは大体国家財政に対する理由と同じでありますから諄く申しませんが、ただ特別の事情として考えられることは、この地方團体仕事が非常に殖えているということであります。一つにはいわゆる地方自治拡充というようなことから國の事務が地方團体にどんどん移管されて來る。それから第二にこの新らしいいわゆる民主主義の線に沿つたと申しますか、この仕事が殖えて來ます。その顕著な例は六・三制とか、自治体警察の創設とかそういう新らしい仕事が行われて來ます。  それから第三番目に災害が非常に最近多いのでありまして、これは恐らく戰時中に濫伐いたしました山林或いは河川の改修等を怠つておつた結果だろうと思いますが、現在非常に多い。こういうことからしまして地方歳出は余程窮屈になつて來ているのであります。ところがこれに対しまして歳入の方は、過去の税が大体まあ何と言いまして國税本位でありまして、國税においては少数の科目を以ちまして多額の税收入を上げるというような大きな力強い税で大体集中されておりますが、地方の税は細かい微力な税を主体としておりますために、その税におきまする伸びが足りないということからしまして、歳入が不足しているのであます。それから又地方におきましては、そのように税收入が足りませんために大体臨時的な事業というのは地方債を発行することによつて処理して來たのが、今までのやり方であつたのであります。ところが地方債を発行することは財政健全化のためにも、インフレ防止のためにも適当でないというような思想からしまして、この地方債の発行額をどんどん縮減しているのでありまそれに見合う一般財源が十分與えられればよろしいのでありますが、單に地方債を縮減するというだけでありますので、そこにも歳入を減少するということになるのであります。  それから第四番に國庫補助金等の減少であります。地方團体の行なつている仕事に対しましては、國の方が相当國庫補助金が出ておりました。ところが國家財政を圧迫するというような趣旨からしましてこの國庫補助金が縮減されているのであります。で縮減されただけ事業そのものも止めて差支ない、或いは補助金は縮減するけれども一般の地方税は増加するというような状態であれば、財政上は差支ないのであります。ところが国庫補助金は縮減するけれども事業そのものは捨て置くわけには行かない、又国庫補助金が減つただけ一般財源を殖やすということもこれに伴つていない、こういうようなことからいたしまして、この面からも相当地方團体財政が圧迫されて來ているのであります。まあそのような結果地方財政の運営というものは極めて困難な状態に当面しているのであります。然らばその困難な状態はどういうところに現わているかと言いますと、先ず税の面において強く現われていると思うのであります。税につきましては、地方團体で取ります税につきましては、大体いわゆる法定の科目というものが決めてありまして、住民税、地租家屋税事業税というようなものを主眼にいたしまして、その外入場税、遊興飲食税その他沢山の税があるのでありますが、その科目の外にいわゆる法定外独立税として税科目を起して取ることができるようになつております。これはつまり法定税目では財源に不足するような場合にそれ以上の税目を取るということができるようになつているのでありますが、そのような方法を探らなければならん場合が相当沢山あるのでありまして、百数十目の科目が法定外独立税としてできているのであります。それから又法定科目につきましても、住民税、地租家屋税事業税等はいわゆるこの標準率いうものを決めておるのであります。例えば市町村民税にいたしますると、一世帶当り四百五十円というのが漂準率でありますが、それで財政が足りませんと、この四百五十円を平均五百円とか六百円とか七百円とかに上げることは地方團体でできるのであります。そのように標準率の超過課税をしなければならない場合が多分にあるのであります。昭和二十三年度におきましても、都道府縣におきましては大体七割程度の都道府縣が標準率ではおさまりませず、それ以上の課税をしておる。市町村におきましてもやはり七割程度、八割近くも標準率超過課税を行なつております。その超過割合も甚だ、しいうは十倍というような税が取られているのであります。市民税につきまして今申上げましたように四百五十円が標準率でありますが、それを十倍近い一戸当り五千円というような課税をしているところが相当あるのであります。税におきましてそのように納税者側から見れば、いわゆる滅茶苦茶な課税が行われているというような状態なつております。これは何も地方團体が好んでそのような税を課税しているのではありませず、財政がやつて行けませんので止むを得ず課税しておると考えられるのであります。殊にその税を取るのにつきましては、地方團体でも市長なり府縣知事なりが勝手にできるものではなくて、それぞれの議会の同意を得なければなりません。その場合に鋭くその点に関しまして批判が行われまするので、苟くも無駄なような経費があれば恐らくそのような高い税率は認められないのでありまするが、地方團体側も住民の代表者たる地方團体の議会も、これを是認して止むを得ずそのような高い税を取らなければならないというような状態なつておるのであります。それから税でそうような高いのみならず、とてもその税の範囲内においては、それでも歳出が賄い切れないということになりますると、結局寄附金のようなものを募つておる場合が多いのであります。自発的の本当の篤志家の寄附であればこれは喜んで受けても差支ないと思いますが、一種の強制割当のような寄附金はこれは避けることを政府としても考えておりますし、地方團体側にも申しておりますけれども、なかなかそれでは追附けませんので、止むを得ず強制的な寄附が行われておる。殊に町村等におきましては甚だしいのでありまして、或る縣ではその年の住民税の額よりも寄附金の額の方が多かつたというような例もあるのであります。尚直接の寄附金だけでなくて外部團体、例えばPTAであるとか、警察後援会というようなものに対しまして、市町村が自分でしなければならない仕事を押附けて、PTAなり警察後援会なりがそれを会費とか或いは寄附金というような恰好で住民から取つておる、こういうような状態も多いのであります。そのような状態歳入につきまして重い負担課税しておりますが、それでも必要な経費に十分な歳入を得られず、どうしても行わなければならない仕事が次々と残されて行つておるのであります。勿論財政緊縮の見地から不用な経費は削減すべきことは当然のことでありまするが、地方團体におきましては冒頭に申上げましたように第一線の行政機関として責任を持つておりまするために、ただ金がないからもうこの仕事はできないのだというような言訳は或る程度通用しない場合があるわけでございます。例えば災害復旧のごとき、政府の方におきましては本年度の公共事業費はこれだけだということを言いましても、地方團体におきましては、壊れております堤防をそのまま放つて置けば今年、來年の出水のとき必ず又何百戸が水につかる、何百町歩の田が水につかるというような場合に、幾ら政府が國庫補助金を出しませんでも、地方團体は何とか方法を講じてこの仕事はしなければならない。又例えば六・三制のごとき、政府は六・三制の法律を作つてこれを出して置けばそれで一應責任は済む、補助金がななれば、財政上出せないと言えば、まあ一應それで済んでいるようなものでありまするが、地方團体におきましては、本当に入つて來まする子供を校舎に入れて教育するという責任を持つているのでありまするから、如何に補助金がなくても子供を入れる校舎は建てなければならないというようなことから、本年度、二十四年度のこの義務制教育がもうすでに三ケ年の完了をいたしておりますに対しまして、地方團体としましては、二十三年度中から相当の手配をしているのであります。それは無論内輪では、二十四年度以降におきまして政府の補助金なり或いは地方債なりが認められるものだという予定の下に相当遣り繰りをいたしまして、そういう建築をしている、然るに本年度國庫補助金は一文も出ない、地方債も認められないということになりますと、すでに実行しております経費をどう処置したらいいかという問題が出て來まして、目下市町村におきましては、一番の問題になつているのであります。それも何も好んでそのようなことをやつているのでなく、教育の本当の責任者とされておりまする町村としましては、如何なることがあつても入つて來る兒童を收容するということは、どうしてもやらなければならないという面があるからであります。このように政府等の予算とは違いまして、どうしても切詰めることのできない歳出が相当あるわけでありまして、その意味におきまして、如何に歳入がなくても何とかしてこれを行わなければならないとうことからいたしまして、先程のような高い税率、寄附金というようなものが出て來ます。それでもそのような経費を或る程度放置して置くより仕方がない、そうして無理にそれを執行いたしますると、結局歳入蔵出が合いませず、決算が出來ないという恰好になりまして、地方財政におきましては繰上げ流用と申しまして、翌年の経費を繰上げて使うという途が開かれておりますが、恐らく二十三年度よりはこの繰上げ流用の方法を採るところが相当出るのではなかろうかと考えられます。又そうでなくても、一時借入金というような方法によりまして、或る程度金融的にこれを繋いで行くというような方法も講じているわけであります。大体地方財政の概要はそのようなのであります。  このように困つておりまする地方財政をとにかく何とかして建直しませんと、一つにはいわゆる経済九原則の要請である財政の健全化ということもできませず、又一つには、新憲法の精神であります地方自治の拡充とうことが本当に実行できるための裏付をなしまする財政的基礎も確立いたしません。そういう意味におきまして、地方財政を確立するということは、経済九原則の実行につきましても、我が國民主化のためにも必ず行わなければならない事柄であると我々は考えているあであります。然らばこれをどのような方向において改正すべきかという点でございまするが、いろいろ歳出の面、これは外の歳入の面もござもまするけれども、本日は省略さして頂きまして、税に関しまする限り考えて見ますると、何と申しましても地方税の分量が少いわけであります。どういう税がどうのこうのということは第二段にいたしまして、税の分量が少いわけでございます。現在大体地方税として課税し得る額は、現在の法律を以ていたしますと、二千五百億円程度なのであります。そのうち千百五億円は地方配付税なのであります。ところがこの千百億の既定の率を本年度限り改めまして半分程度にいたしたのであります。つまり六百億程度これを減らしました。從いまして本年度地方税收入は二千億になつたという、ここに非常な問題があります。殊に本年度に関しまする限り基準の税額は六百億から減つた、ここにまあ大きな問題があると思うのであります。この分量を殖やすことは、とにかく既定の二千五百億まで殖やすことは勿論、この二千五百億を更に殖やす必要があるだろうと考えるのであります。ただそれを行いますにつきましては、こふは大藏省関係からお話があつたと思いまするが、國民負担というものがすでに限界に達してると考えまするならば、これ以上地方税において増税する余地はないであろう、むしろ地方税中には減税しなければならない分が沢山あるのでありますから、これ以上の増税は到底期待し得られないと考えるのであります。從いまして現在取つておる國の税を分けて貰うことしか考えられないのであります。然らば國のおいて国税を地方税に分けてやるだけのゆとりがあるかという点になりますると、これはむずかしい問題になると思いまするが、地方税から見た考えといたしましては、國税地方税に分けて貰うより方法はないのじやないかと考えておるのであります。次に然らばその内容におきましてどのような税の組織であつたらいいかという点であります。地方税の中には、我々配付税ということを一つ考えておるのであります。この配付税はいわゆる地方財政調整の作用をしておるのであります。地方團体がそれぞれの区域において区域内の課税客体から税を取るということにいたしますのは、地方團体財政の自主化を図ることは勿論好ましいのであります。ところが生産力と申しますか、所得と申しますか、そういうものの分布が日本の現状におきましては必ずしも全国均一に行つていないのでありまして、從いましてそのような状態の下におきまして自己の区域内からだけ税を取りますると、どうしてもその税收入に多い少いが起つて、極めて不均衡なことになつて來る。更に一方歳出の方は、六三制にしろ、自治体警察にしろ、或る程度全國的に強制されておる、全く自由にそれがなつておるものなら税を取り得る範囲内において実行して行けばよろしいのでありますが、歳出の方はなかなかそのような費用は少くて、國からはつきりと標準を示されておる費用が多いのであります。これは大体地方歳出中の七割くらいは、いわゆる必要経費と申しまするか、地方團体みずからがどうにもならない一定の金額を示して支出を強制されておるような経費なのであります。從いましてそういう経費はどうしても出さなければならん。ところが一方独立財源だけでは税收入は十分に得られないところが出て來る、こういうようなところからいたしまして、地方財政調整する必要があるのでありまして、このために配付税制度というのを以ちまして昭和十五年から実施して來ておるのであります。現行の制度によりますると、その額は所得税法人税の百分の三三・一四となつておりまして、この数字が本年度の国税、所得税法人税の見積りから行きますると、先程申上げましたように、千百四十五億程度になるのであります。この程度のものは地方財政調整のために大体必要であると考えておるのであります。ただこれはそのような意味でありまするから成るべく少くして、調整的な税は少くして、地方独自で徴收できるような……成るべくこの配付税を少くいたしますることが地方財政を自主化するという点からは望ましいのでありまするが、ところが現在のように團体間の財政力の強さが戰後いろいろな事情から凸凹が甚だしくなつて参りましたので、相当程のものは要るのであります。ただ千百四十五億その額が必ずなければならないかという点になりますると、多少疑問がございまするが、まあその程度であつても別に差支ない、強い障害はないと考えておるのであります。そこでそのような配付税をひつくるめまして地方税をどのように持つて來るかという点でありまするが、そのように大きな額でありまするから、國との分け方におきましても大きな点で分けなければ到底成り立たないのであります。つまり税を所得税收益税消費税、流通税というように分けますと、現在日本におきましてどうしても所得税消費税というものが大きな割合を占めております。流通税はまあこの前取引高税ができましたが、これはとやかくの批判がありまして適当でないように考えます。それから收益税につきましては、いわゆる地租家屋税事業税等でありますが、現在におきましてはむしろ余り價値がないのではないかと思います。どうしても所得税消費税を適当に國と地方において分けなければならんという問題に帰着するのじやないかと思います。そこで所得税につきましては先程申上げましたように、いわゆる所得税法人税の三三・一四%というものが地方配付税なつております。それから地方におきまして住民税というものがございますが、これは大体所得税と目すべきものでありまするが、先ず所得税につきましては半々ぐらいの國と地方の分け方であつてこれ以上望むことはできないのでありまして、若しこれ以上所得税地方税に移すことになりますと、國税所得税法人税の方が却つて少くなりまして、まあそれは余り好ましい結果ではないと考えるのであります。消費税につきましては殆んど國の方が独占しております。殊に今大きなパーセンテージをなしております煙草、酒に対する消費税というものは國に独占されております。一部去年酒につきまして酒消費税が百分の五の課率を以ちまして認められておりますが、これは僅かなものであります。大部分が國に独占されております。これをどうしても対等と申しますか、今後地方税を殖やすべき額はこの面において殖やして貰うより外仕方がないのじやないかと思います。そのように大きな方針を以て今後の税の改革を行いたい。つまり繰返しますと、地方税総額を増加する、その増加するのは大体消費税を以て増加する、これが大体現在地方財政側としまして考えておる点であります。細かい点に至りますると、その外に税率或いは税目等において、好ましくない税を成るべく軽減したい。高い税といたしましては、事業税が十五%、不動産取得税が二十%、入場税が十五%、遊興飲食税が百五十%、このような高い税率であります。このように高い税ではとても負担の上から見ましても、或いは徴税の面から見ましても好ましくありませんので、これを引下げたい。ただこれを引下げるにつきましては、ぞれに代る財源を求めなければいけないという状況であります。それから税目におきましても、いわゆる法定外独立税の百幾つかの項目、或いは法定税目にあります税でも好ましくないものがあまして、成るべくなら廃止したいと考えております。よく何々税を作るのは……。こんなものは止めるべきだという議論が出ますけれども、これは何も地方團体としまして、好んでそのようなことはしておりません。全体の財政の力がないために、止むを得ずそのようにいたしておるのでありますから、その先々を掴まえてあれを止めろ、これを止めろというようなことで、到底問題は解決するものではありません。元を殖やしさえすればそのような税に自然に止めるものだと思つております。まあそのような細かい税におきまして相当廃止すべきものが考えられます。つまりもつとよい税源を與えまして、そのような税は廃止した方がいいと考えられるものが相当あるのでございます。大体そのような考えを以ちまして、現在國税が國庫予算等々の調節から、いわゆる政府案といううなものをまとめるべく努力をしておるのでありますが、未だそこまでは全然行つておりません。我々地方財政側の主張しておる程度でございます。そのようなことは大体この間シャウプ博士に対しまして、うちの元の委員会の委員会から申達してあります。今資料を持つて参りますが、出した全文を印刷したのがありますから差上げたいと思います。甚だ雑駁でありましたが、大体地方税財政の現状及びこのうち地方税に対しまする改革の方向等について簡単に申上げた次第であります。
  26. 櫻内辰郎

    ○委員(櫻内辰郎君) 御質問がありましたならばどうぞ……
  27. 小川友三

    ○小川友三君 ちよつとお伺いしますが、あなたは無原稿ぺらぺらやられておりますが、原稿なしにやられるということは、これは非常に困るのですが……まあ速記がありますからちよつとお伺いしますが、地方配付税の問題でありますが、この配付税は一千百億であると、今度は六百億に減らされたということを申されましたが、國会では四百五十億しか渡してないのですが、後の百五十億はあなたがやつておるかどうか(笑声)ちよつと……
  28. 荻田保

    説明員(荻田保君) 何か間違えられたかも知れませんが、一千百四十五億を六百億程度減らして五百七十七億円になつております。
  29. 小川友三

    ○小川友三君 それは四百五十億しか渡してないんですが、この國会は地方配付税は四百五十億ですが、ちよつと資料を……
  30. 荻田保

    説明員(荻田保君) 何か間違いじやありませんか、五百七十七億円に……
  31. 小川友三

    ○小川友三君 四百五十億に節減したために税が大きな問題になつておりますが、四百五十億しか渡してないのですが、あなたの方で誰か足らないのを出したのですか。(「五百七十七億だよ」「それは前のだ」と呼ぶ者あり)
  32. 小川友三

    ○小川友三君 実は控えておつたのですが……。ちよつとお伺いしますが、地方税の分量ですが、どうしても二千五百億要るというお話でしたね。
  33. 荻田保

    説明員(荻田保君) はい。
  34. 小川友三

    ○小川友三君 そこで地方税は必要な量は圧縮すると一千百四十五億ででき上るという御説明でしたが、どうしても要る量は七十%は要る。後の三十%は必要経費ではない。七十%まではどうしても強制的にもこれは必要な経費である。後の三十%はどうでもいいようなことを仰せられましたが、この三十%は出さなくても間に合う地方財政ですか。ちよつとこれの経費をお伺いいたします。
  35. 荻田保

    説明員(荻田保君) 私の申上げましたのは、いわゆる地方の経費を分けまして必要経費と随意経費というふうに分ける方法がございます。つまり必要経費は國がいろいろな法律を以て例えば義務教育に関する制度のごとき、必ず小学校、中学校は置かなければならないというように考えております。このようなのをいわゆる必要経費で、後の三十%は随意経費、例えば教育で言いますと、高等学校の経費でありますが、高等学校を全然やらないでもいいということは法律上は随意でありますが、事実問題としましてこの縣だけ高等学校がないというようなことは考えられないのでありますからやつてもやらなくてもいいというような意味で申上げたんではないのであります。法律上義務を市町村なり、都道府縣が負つていない。この点に分けたのであります。
  36. 天田勝正

    ○天田勝正君 本日の研究会はこれは別に今までの政府側から答弁を求めるというように、我が党野党側が追究する場合ではありませんので、そのつもりでお答えを願いたいと思います。  先ず地方で一番困つておりまする問題は、小さい町におきまする警察の経費であります。これには殆んどあなたが直接管掌はされておらないと思います。併しこれは町村では一番困つておる問題で、教育費が勿論どこでも一番大きいのでありますけれども、これの方は相当國庫からの補助がある。警察でもないわけではないが、併しこれはもう大部分当該町村の支出へこういうことなんであります。これに対する地方財政委員会の方で何らかの措置、措置といつても入場税のごとき、小さい町では実は取るような映画館がない。こういうようなところがあるのが困るのであつて、そういうものに対して、何らかの措置をとられるところの研究かなんかされておりますか。それから次には地方財政、これは都道府縣の單位でありますが、各府縣の中で一番現在不健全な財政を行なつておるというところはどこでありますか、数縣お知ら、せ願えれば結構だと思います。それからもう一つ先程の御説明で、地方税として取るのには、今後消費税の方から増徴しなければならない。総額も勿論殖やすし、それからその殖やし方は消費税にある、こうおつしやつたのでありますが、その消費税中、現在どのようなものを地方税として取上げたらいいかという予定がありましたら、そのお考えを承つて置きたいと思います。
  37. 荻田保

    説明員(荻田保君) この自治体警察の経費につきましては、おつしやいます通り、最も地方で困つておる経費の一つでございまして、これは率直な懇談会というようなお話でございますから、ちよつと速記を止めて頂きたい。
  38. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔記速中止〕
  39. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  40. 荻田保

    説明員(荻田保君) 次の府懸の中で財政が悪い、悪いと言いますのはやり方が悪い、乱脈だという意味ではなくして、財政が貧弱だというような意味で申しますると、北海道、鳥取、高知、こういうようなところが特に目立つようであります。それから第三番目の消費税の問題でありまするが、消費税中何と申しましても、大きいのが酒と煙草でございますので、現在地方税にあります酒の消費税をもう少し増率する、新たに煙草消費税を作る、勿論その作つたり、増税したりする部分は、それだけプラスというふうに直ぐ考えずに、現在國で取つておる、それを地方に分けて貰うというふうに考えております。
  41. 小川友三

    ○小川友三君 今の自治体警察の問題ですが、自治体警察はまあ五千戸以上に対してできておるのですが、これは寄附金を相当にまあ徴発というか、自発的な醵出というふうな形で出されておるのですが、これは小さい町に十人もお巡りさんは要りませんから、五人ぐらいに減らして、あとは國家警察の方へ廻すとい案を、あなたの方でお立てになつたことはありませんか。
  42. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  43. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) では速記を始めて。
  44. 小川友三

    ○小川友三君 そこで山林のことで、私の関東地方の例ですが、山林の蔭には、つまり平面地に大きな樹が生えておりまして蔭になつて、後の田畑が作物が穫れないのですが、そういう場合に大きな樹を生やしている人から税金を取るように地方長官に連絡を取つてないようですが、連絡を取つて貰いたいのですが、つまり山蔭で穫れない、穫れないけれども供出割当は同じパーセンテージを貰つておりまして、農民は穫れないところは損をして、穫れたところからこれを埋め合せをしております。そうして大きな農民、いわゆる昔の百町歩、五十町歩持つておる連中は、亭々たる大木を繁らしておつて、後がずつと相当廣い面積が蔭になつております。これに対しての政策はどういう工合にお持ちですか。こういう者にはうんと税金をかけるようにあなたの方から御連絡を願つておりますかどうか、その例をお話願いたい。  もう一つそうした田舎は、これはまあ五町持つている人は五町の屋敷、十町持つている人は十町の屋敷というように坪数が違います。つまり面積が大体五町持つている人は、私共北埼玉ですが、五町歩くらい持つている人は五反歩から一町歩くらいの屋敷を持つておりまして、十町持つている人は一町強の屋敷を持つております。三十町、五十町持つておる人は三町から五町くらいの大きな宅地を持つております。現在どうしておるかというとその宅地内で麦を作つて野菜を作つて、供出は殆んどしないで、それを純利益に計算して、宅地ですから幾らか地租が高いけれども、その收益は非常に大きいものですが、宅地内に田畑を作つておる者は幾らか供出をかけておりますが、殆んど幾らかでありまして、ほんのおまじない程度でありまして、宅地内から麦の五俵、十俵、二十俵程度は樂に穫つております。野菜も相当穫つておるが、それには非常に供出割当が低くて、ほんの標しだけ出すというような形態であります。でその屋敷を持つている人は裏山を持つておりまして、後の田畑が一反歩とか二反歩、三反歩山蔭になつておつて、日が当らなければ穫れないのに日が当らない。裏は今までの小作人、現在小作人ですが、殆んど日が当らんために供出割当の半分ぐらいしか穫れないという状態ですから、山を伐らせるか、山林を低く一丈くらいに伐らせるか何とか対策をお取りですかどうか。一つ具体的にそれを樹を生やして置くならば地方税をうんと取るという方法をとつて頂きたいと思いますが、如何ですか、御所見を……
  45. 荻田保

    説明員(荻田保君) 今申上げましたように、二つの例につきましてはまあ初めて承わりましたお考えでございますが、私共といたしましては、別に今まで考えてもおりませんでした。今後研究いたしたいと思います。
  46. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうも小川君のお考えと違つた意見なつて困るのですが、同じ埼玉の小川君の方の実例を挙げられたんだが、そういうことで恐らく農村が非常に宅地内でも利益を挙げておるという面から地方税を考えられると非常に困るのであつて、たまたまそういう人があるという例にはなるかも知れませんけれども、農村全体とすれば非常に困つておるわけであつて、そんなに余裕の宅地において途方もない收益を挙げているということはありませんから、それに対して一つ余り重きを置かないように頼んで置きます。  そこで先ずお伺いしたいのは、先程おつしやいました北海道、鳥取、島根、高知こういうところが特に財政状態が悪い。これは実は過日も参議院の大蔵委員会で各地方ブロックごとに調査班を出しまして実態調査をいたしたわけでありますが、その際私は東北班で参つて、宮城縣が実に悪い。こういうことを見て來たわけです。長く話をすると外の人のお邪魔になりますから止めますが、歳入の中で占めるところの縣税の割合というものは実に低いのです。それに比較しますと、これは常識ですが、北海道などは非常にむしろよくなくてはならんと思うのですが、さつき挙げられました縣は、どういう面で特にそうした財政面が悪いとお考えになつておりますか、お伺いしたいと思います。  それからもう一点。先程の警察の問題ですが、実は自治体警察の職員は退職手当を現在受けておりません。これは御存じだと思います。このことに関して過日も私が緊急質問をいたして置きましたが、確たる返答は得られておらない。これは勿論國家警察が自治体警察になる場合に、如何にしてその分担をなすかということについてまだ取極めが最後的に決定されないということがそうなつたと思うのですが、こうした取極めのごときは私は簡単にできるのじやないか。それだけでなしに、むしろ地方財政の枯渇という問題が結局そうした地方自治体警察の職員に退職手当を上げたい、こういう結果になつて現われておるのではなかろうかと思うのです。事実は一年前に五万円貰うべき筋合のものが、今日まで放置されたために、同じ額を貰つていて実は二万五千円貰つた値打しかない、こういうことになつて來ておると思う、このことと、地方財政の枯渇というふうなことは結び附いておるのやないかと思いますが、そういう点に対して、現在どのようになつておるか。並びにこれらを代償するのにどのように考えられて対策を立つておられるか。現在立つておりましたらお知らせ願いたいと思います。  さつきの日蔭税とも申すものでありますが、これは日蔭になつて沢山穫れない、それから供出は取られる、勿論供出取られるから税金もその割で取られる。こういうことなんですが、これは國家並びに地方の自治体で、よしんば日蔭税を取つても、日蔭のために作物が穫れないという人達には、何の恵みにもならないのであつて、ただ地方財政が幾らかそれだけ豊かになるというだけであつて、日蔭のために穫れないというのは、これは供出面で考えなければならん。或いは税金面で所得税を取る場合考えなければならん。こういうことであつて、或いは個人々々に日蔭になつておるからというので、還付税式に還付してやるというならば別ですが、それ以外にはこれは地方財政委員会でお考えになる筋道ではないのじやないかと思つております。以上これは私の意見を附加えて置きます。
  47. 荻田保

    説明員(荻田保君) この府縣で財政窮乏しておる北海道、鳥取、島根、高知を挙げましたが、この原因でございますが、大体この北海道は、いわゆる未開の地でございまして、工業も発達しておるようでございますが、廣い割合には、やつぱり一番生産力も少いのであります。それからもう一つには未開地であるが故に歳出の面においてどんどん経費を支出しなければならない。もう一つは酷寒の地でありますので、そのために非常に金を要しておるのであります。例えば、学校で焚きますストーブの石炭代でも、これだけでも相当のものになつております。今度又法律が出まして、石炭手当というものを出さなければなりません、このような負担、それから道路の傷み方の程度、校舎の傷み方の程度、いろいろな点におきまして、歳出が非常に嵩ばるというようなこととの両面からしまして、特に悪いと思います。後の鳥取、島根、高知は元來僻陬の地でありまして、生産力が余りありません上に、特に災害を受けることが甚だしいものでありますので、財政がいたんでおるというようなことでございます。  退職手当の点、これは誠に今まで放置しておりますので、遺憾の点でありまして、現在のやり方では、一應その辞めたときの團体が出すことになりますがそれがその少し一年おつても、全額出さなければならないというようなことで、それでは今おつしやいましたように到底その財政が、このように窮迫しているときは、そのようなことはできませんので遅れておるのであります。從いまして、これは何か勤続年数によつて分担するというような制度改正しなければならないと思いまして、考究中でございます。
  48. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは財政委員会の方に質問するのは妥当でないかとも思いますが、今のその問題に関連して、これは退職手当等がズレまして、曾て五万円貰えば、それだけ收入があつたものが、今日やつぱり五万円貰つても、実はインフレ下であるからして、使い量は二万五千円ぐらいになつてしまう。こういうことが一つと、それからこの場合にその退職所得に対するところの課税の場合に、何らかこれを処置しなければならんのじやないかと私は思のです。なぜかというと、その中間において税率が変つてしまうと、今の税率の変り方というものは、実は大抵その基礎控除を上げるとか言つて、軽くするように改正されているように見えて、実はその重くなつているのだろうと思うのです。そうい場合に、何らか処置をしなければならないと思いますが、政府側においては、そうした当然やるべきものがズレてそのために迷惑がかかつた所得に対する課税とい問題について、何かお考えになつておる面がありましようか。
  49. 荻田保

    説明員(荻田保君) 私共國税関係の方でございますので、我々関係しておざせんが、この問題を解決する際に合せて各省と連絡いたしたいと思つております。
  50. 小川友三

    ○小川友三君 地方債の問題ですが、おなたの専門所管ですからちよつとお伺いしますが、地方債を実は、例を挙げて恐縮ですが、埼玉縣は縣廳は燒けてしまつたのですか、放火か何かで燃えたのですが、西村知事は道義が頽廃しており……縣廳を造るのに一億とか金が要りますが、今縣廳はバラツク式でやつておりますが、こういう場合木造では又燃えるかも知れませんが、鉄筋でやろうという場合に地方債は許可して貰わなければならんのですが、そういう場合にあなたの御意見に、やはり木造で燃えた方がいいか、鉄筋でやつて行く場合に地方債は許可して下さいますが、そういうような御盡力願えるか、ちよつとその所見を……
  51. 荻田保

    説明員(荻田保君) 木造で建築いたしますか、鉄筋で建築するかという問題ですが、資金の面もございますし、資材の面等もございまして、それはいずれにしろ、地元においても実際実行でき、適当だと思われるのでしたらコンクリートで結構だと思います。ただ地方債を許可する場合といたしましては、一應この地方債の枠が少いのでありますから、原状回復程度の、いわゆる元の状態に最小限度直すという程度地方債より認められませんので、それ以上は外の財源を求めて、そうしてより立派な縣廳を造るというようなことも地元においてよく考えるのでしたら、則に我々としましては反対いたしておりません。
  52. 小川友三

    ○小川友君 地方債の枠ですが、枠ぱ幾らですが、幾らなつにておりますか。
  53. 荻田保

    説明員(荻田保君) 本年度は二百三十三億でございましてそのうち三十六億円は、去年の分を繰越して許可したことになつておりますので、本当の枠は百九十七億しかございません。
  54. 小川友三

    ○小川友三君 そこでお伺いしますが、地方債の枠が、二百三十三億ありますと、埼玉縣の場合は縣廳なしでやつておりますから、代用廳舎を使つておりますから、その場合に、例えば五億なら五億という場合に許可して呉れますか。
  55. 荻田保

    説明員(荻田保君) まあその代用廳舎を使つても、それで当分凌げるというならば、我慢して貰いたいと思いますが、どうしてもできませんでしたら、先程申しましたように最小限度必要な額を認めたいと思つておます。数字はまだ拝見しませんが、五億というような数字は到底不可能だと思います。
  56. 小川友三

    ○小川友三君 そこで次になりますが、埼玉縣は非常に火事が多うございまして、縣立の不動岡高等学校は燒けましたので、縣では六百万円出すということになりまして、六百万円では学校舎ができません。そこで第五國会の大蔵委員会のときに、大蔵大臣に向いまして、これは人情的に何とかして貰いたい、あと二千万円だけ出して貰いたいということを要求しました。ところがそのときに、地方関係の國務大臣は何と言いますか、本多さんですか、木村さんですか、そのときに二千万円あと出して貰いたいということを私が要求しました。ところが出しましようという答弁が速記録に載つております通りありますので、そうしたわけでこの二百三十三億の枠のものも、将來幾らか伸びるのでしよう。五億や三億や、十億は、そのときの情勢によつて伸ばしていいと、それは、いわゆるこの國の財政の方で自然増收という所得面もあるし、あなたのおつしやつたところの酒と、煙草消費税が、合計して二千四百五十億の予想を持つておりますが、それ以上増收があつた場合には、そこに枠が伸びるわけですからして、そうした場合は、出して頂けるということを、時の第五國会の大臣に聞きましたのですが、お答えを頂いたのですが、そういう場合は伸びるからして本当のこの正味は百九十億だけれども、その枠が幾らか伸縮があるのでしよう。如何でしよう。
  57. 荻田保

    説明員(荻田保君) 現在のところは、百九十七億より超過できません。將來はこの伜が足りませんでしたら、これを拡張するのに努力するというようなことは申されますが、現在では、もうこれ以上のことはできません。
  58. 小川友三

    ○小川友三君 そこで百九十七億問題ですが、去年の繰越が三十六億ありましたね。そうすると、昭和二十五年度に繰越すために、三十六億という前例がありますから、三十六億の前例を運用するということは差支ないと思いますが、如何でしようか。
  59. 荻田保

    説明員(荻田保君) 去年三十六億繰越になりましたのは、大体実は國内的には三十六億円去年の枠を殖やすということに進んであつたのでありまするが、年度切迫しまして、どうしても関係方面の承認が得られません。むしろ向うの示唆によりまして二十四年度に繰越したわけであります。從いましてこのようなことを今後も繰返すということは考えておりませんのです。
  60. 小川友三

    ○小川友三君 そこで埼玉縣廳の問題ですが、佐賀縣では縣廳舎が燒失して、一億円で新廳舎を新築計画をして必要なだけを起債をして許可になつたという事実があるのですが、埼玉縣の場合も佐賀縣より人口も多いし、國家に納税する額も多いし、消費税を拂う量も佐賀縣の二倍以上ですが、そうすると人口割からしても、納税割からしても佐賀縣が一億ならば埼玉は二億ぐらい起債を許可して貰いたいのです。これは国家に貢献する人口割から計算して懸廳を建てるべきだ、これが基本原則だと思います。埼玉縣の縣廳の場合は、佐賀縣の二倍半、三倍税金を納めておるし、食糧増産においては佐賀縣の十倍納めておると思いますが、関東平野ですから……。そうした関係からして二、三億の新廳舎建築の起債は許されてよろしいと思いますが、これに対する所見、つまり小さい縣より大きな縣が事務が沢山あるのですから、増加して頂きたいと思いますが、ちよつとお伺い申上げます。
  61. 荻田保

    説明員(荻田保君) 佐賀縣は確か一億円の申請がありましたが、皆認めるわけに行きませんでしたので、七千万円であつたと思いますが、認めております。又埼玉縣は知事の更迭等ではつきりした方針等が決まつておりませんので、現在としては見通しがつきませんが、将來の問題としては先程から申しております最小限度のものは必要と考えられるので認めたいと思つております。その割合としましては大体縣廳におりまする職員の数が分つておりますから、それで基準の坪数を出しまして、その坪数に適正な單債を掛けたというような君のを認めることになつております。
  62. 小川友三

    ○小川友三君 そこで埼玉縣廳の問題と縣立高等学校の問題ですが、やはり政府基本原則ですね、木造を認めるのか、不燃性の鉄筋コンクリート建築を認めるのか、木造建築は関東地方では埼玉縣の縣廳だけだつたのです。神奈川縣は鉄筋コンクリート、東京然り、群馬縣然り、栃木縣然り、茨城縣然り、山梨縣然り、そうしたものは皆鉄筋コンクリートで、埼玉縣だけ木造のバラツクで、そこで燃えてしまつて隠退蔵物資の書類も燃えて分らなくなつてしまつた。これはどうしても公共の機関ですから鉄筋コンクリートでなければいけないと思います。ところが埼玉縣廳は前に木造だつたので木造でやつぱりやつて呉れという御趣旨じやないかと思いますが、縣の方から、知事でありませんけれども、縣民の叫びとして燃えない方がよいのですから、鉄筋コンクリートの出願で最小限度の費用の起債を許可して貰いたい、それの御盡力を願えるのが当然だと思いますが、それに対する御所見を、縣廳舎、縣の高等学校建築に対する……あなたは非常に偉い人でございますから、御答弁願います。
  63. 荻田保

    ○説明(荻田保君) 先程から申上げておりますように起債として認めるのは原状の回復程度よりできないと思います。それ以上よくなる、今まで木造であつたものが鉄筋になるというようなことは、外の財源でも捜して頂いてやつて頂くより仕方ないと思います。各縣で普通廳舎を建てる場合でも大体新らしく建てるというような場合に対しまして、立派に建て替えるということに対しては起債は認めておらんのでありますから、釣合上やはり燒けましても原状回復程度より起債は認められないと思います。
  64. 小川友三

    ○小川友三君 それは大変な問題ですよ。大臣は鉄筋コンクリートの建築費用を出すと主張するし、あなたは木造の費用しか出さないと言うし、それでは日本政府は二つあるわけです。木造の費用しか出さないと主張する責任者あり、出すという責任者あり、鉄筋コンクリートの場合でもとにかく出しますというわけですから、そうすると政府の方針が徹底していないというわけですね。徹底していないというか、二つに分けられては困る。そこで当然必要な公共建築物に対して要求した場合に、政府は出すと言うし、あなたは政府の機関であり又大臣を代表して意見を述べておると思いますが、そういうふうに二股では困ると思うのです。百円札を作るのには二股でやらんと思うが、国家の公共機関を作るのに二股では困るのです。あなたの考えは違うのではないかと思いますが、違つていないのでは大藏大臣を呼ばなくてはならないと思います。如何ですか。
  65. 荻田保

    説明員(荻田保君) ちよつと大蔵大臣の御答弁になつたことは速記録を見ておりませんので、どういうお答えであたか私知りませんが、例えば佐賀縣の問題でも鉄筋コンクリートで建てようとしておられますが、起債といたしましては木造の部分に対してだけ認める、木造に復旧する部分だけ認める、こういうわけでありまして、別に鉄筋コンクリートを作るということが悪いと言うのじやありません。
  66. 天田勝正

    ○天田勝正君 今日の研究は完に何遍も言つておるように言葉尻を捉えて質疑應答しておるのじやなくて、今までのことはさておいて、今後我々がどのようなことをするかということでありますから、適当に委員長の手許で議事を進行して御答弁を願いたいと思います。  もう二点お聞きしたいのですが、先程主税局長が見えられたときも私は指摘して置いたのですが、実は国税と地方税とをひつくるめての総合的な数が大きいというところが一應問題であります。それは成る程國税関係税務署職員の不手際ということもございます。もう一つは実はこの白書の中の所得分に対する地方財政委員長の書簡の中にも、最後の方に國と地方團体との事務分配の公正、國と地方財源の分配の是正、こういうものがございますが、課税する場合におきまして、現在は国税を賦課する基礎をなす調査には税務署で勝手にする、縣税については縣が地方事務所を通じてこれ又税務署と何の連絡もとらずにやる、市町村で賦課する場合には市町村は市町村で又單独でやる。こういうように税務署で課税をするところの基礎になる調査自体が、課税所得を捕捉することの基礎がすでに二通りなつておる。このために税務署の方でこの人は二十万円の所得がある、こういうふうに査定した場合に、縣の方ではいや、四十万円の所得があるのだ、そのために二十万円だという所得から見れば総体税金はその所得をオーバーする、こういうようなこともある。そこでこれらについてどうしても地方財政委員会並びに大藏省の主税当局とよく連絡をとられる必要があると思うし、今までもそういうことで地方財政委員会は特に地方の実情が大蔵省よりもよく耳に入ると思いますが、そういう点について、何かこうしたらばよい、少くとも納税者に與える影響というものは一方が二十万円であつて、一方が四十万円、一方が三十万円である、こういうようなことは非常に悪い影響を與える。それをその基礎において何か一本で折衝なり、或いは計画なりがおありでありましたら一つつて置きたいと思います。  次にはこの白書の最後の頁の税負担均衡を図るという項目で、その中でというところに軌道税外三つを法定税目から除外すると、こうなつておりますが、税負担均衡を図るためにこれをどうしたら一体どういう利益があるのですか、お教え願いたいこ思うのです。  それからさつきの御説明の中にもあり、且つ又ここにも書いてあります「左に掲ぐる税は経済の回復を待ち又は他に適当な財源を求めて税率を引下げる。」その中に遊興飲食税というものが入つておるのです。私共はこんな税金はちつとも引下げなくてもいいと思つておるのですが、たまたまそういう所へ遊びに行ける人は沢山税金を出して呉れる、これは誠にいいことだとさえ思つておるのです。それを新聞にもここにも書いてあるのですが、これはどういうところからこういうものの税率を引下げなければならんという理窟が出て参るのでしようか。以上お伺いいたします。
  67. 荻田保

    説明員(荻田保君) 國税地方税課税いたしまする場合に同じものを査定するのに違つておるということでありますが、これは確かにそのような例があるのでありまして、殊に所得税の事業に対する課税地方税でございます事業税課税、この二つにおいて特に強いと思います。それで現在我々といたしましては、地方事業税課税をいたす場合にはよく税務署と連絡をして國税決定額を参考にしなければいけないということはたびたび主張しておりますし、現にそれを行なつております。それでその結果やはり二重の査定があつて、それが違つておるというような場合が起るのでありますが、まあその考えようによると思いますが、必ずしも国税の所得税そのものが完全無欠である、從つてこれに倣うことがいいのだというふうにも言いきれませんので、むしろ國税で悪かつたところは地方税で是正した方が悪いことが倍加されて行かずに行けるのじやないか、こう考えております。併し今後もこの問題は相当大きな問題でございますので、先ず國税の方が決定する場合にやはり市町村長と地元でよく事情の分つた人が意見を述べる機会を與えて貰う。それから又事業税課税する場合にはよく國税決定調査してそれを参考にするというふうに考えております。  それからここに第二に法定税目から除外する税目とございまして、軌道税、荷車税、屠畜税、廣告税、使用人税等でございまするが、これらはいずれも額が小さくて大した額にも上りませんし、又税の性質といたしましても、軌道税のごときは大体鉄道会社に対しまする事業税と重複するような恰好になります。それから荷車税、屠畜税のごときはいわゆる社会政策的見地からも余り好ましい税でございません。廣告税につきましては一番大きな廣告である新聞雑誌の廣告というものを除外しておりますので、その他のものであれば何も法定税目にまで挙げる必要もない。使用人税はこれは取つてもいいような税でありますが、現在といたしましては女中などを使つておるという家庭も殆んどありませんから、税額も大したことはありませんので、このようなものは除外しても差支ないので法定税目から除外するのでありまして、法定税目に書いてあります團体なり府縣なり市町村は税を取らなければならないということになります。この法定税目から除外しましても自由に取りたいところは取つても差支ないと思います。そのような扱いにしたいと思つておりますが、遊興飲長税は確かにお説のようにこんな時代にこの税を下げる必要はないのじやないかという見解もございますが、ただ最高が百五十%、安いので二十%、種類によつてつておりますのでありまして、その下の方のものにつきましては、遊興という字が多少誤解を來す程度、いわゆるお茶を飲んでも二十%ぐらい税がかかるというようなことでは余り適当ではないのじやないか、又上の方の百五十%は藝妓などを伴いまする遊興でありまして、このようなものは幾ら取つてもいいということも考えられまするが、結局徴税の目的からいたしましても、余り高い税ではこれは到底徴收はできない。又これは本当に取りますれば、入場税について多少そのような例が起つておりますが、むしろ全体としての徴收額を落してしまうというような結果になりますので、これにつきましては成る程度の減税をした方がいいのではないかと考えております。
  68. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは今日は研究会ですから要望して置くのですが、私共が東北地方に参りましたときに、行く先先で実は公聴会をやつたのです、その場合に町村の收入役等も來、又國税関係税務署の幹部も参りますし、それから縣廳関係の財務部の方も参つておサます。それぞれ私共に言うには、國、府縣、並びに市町村、この間の賦課についての調整を図ろうと思うのだけれども、地方事務所が協力して呉れない、税務署が協力して呉れない、こういうことを市町村の方で言うのです。その反対に今度は地方事務所の方の諸君に言わせれば、税務署は幾ら聴きに行つてもさつぱり話して呉れない、町村に聴いてもひた隠しに隠しておつて一向話して呉れない、こういう始未です。税務署の方もやはりこれと同じことを言う。でありまするから私は勿論税率の根本的のものも解決すると同時に、こうしたセクシヨナリズムではどのように税率を変えてもやはりいつでも不均衡が起るのではないか、この不均衡が非常に納税者に悪い心理的影響を與える、こういうことになつてはなりませんので、そこで中央の方から地方財政委員長、それから大蔵大臣、こういうような連名の共同通牒というものを出す必要があるのではなかろうかと思うので、そういう措置を一つつて頂きたいと思います。それから大した税源でないものをどんどん法定税目から除くということには、項目によつては賛成であるけれども、項目によつてはどうも賛成できない。何故かと言うと例の疊の空いているのにかける税金があつたが、あれを岐阜縣の多治見の町でとつてみたけれども、実は経参費がかかつてとんとんになつてしまう。そういう面からも止めた方がよいけれども、これを課税することによつて平等であるという観念が非常に強くなつ徴税に協力して呉れる、こういうことも言われておるのです。從つて確かに算盤の面からすればこの税金を取つても実はそれ以上に余計その税金だけがら見れば費用がかかつてしまう。こういうことがあり得るが、現在のような苦しい、個人の生活も國も又地方国体もみんな苦しいという時期においては、同じように苦しいのだとこういう観念、精神的なものも相当必要じやないかと思うのです。ですからここにお挙げになつたような点等についても、それらも一つ考慮されて、財政委員会等では今後御研究願いたい。以上要望して置きます。
  69. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。御質疑がありませんければ、又の機会にお話を伺うようにいたしますかも知れませんが明日は午前十時から安本から財政金融局長に出て頂いてお話を伺うことになつておりまするから、そのおつもりで御出席を願いたいと思います。それでは本日はこれにて散会いたします。誠にどうも有難うございました。    午後三時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            天田 勝正君            玉屋 喜章君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            小川 友三君   説明員    総理府事務官    (地方自治廳財    政部長)    荻田  保君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎