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1949-09-17 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会参議院議員選挙法改正要綱立案に関する小委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十七日(土曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参議院議員選挙法改正要綱仮案に関  する件   —————————————
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 委員会を昨日に引続いて開催いたします。第十三は放送局の技術的問題がありますので、放送局研究をさせて、成るべく回数多く放送させたいという意味において研究をさせるために今日は留保いたしまして十四から進めます。
  3. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 第十四、新聞廣告公営により行い回数を二回とし、新聞選択候補者に任せ、廣告の規格は選挙管理委員会が定めること。  (一)議員候補者及び政党その他政治国体又はその支部の代表者は、全國選出議員の場合にあつては、全國選挙管理委員会地方選出議員の場合にあつて都道府縣の選挙管理委員会の定める同一の寸法でいづれか一つ日刊新聞に、選挙運動の期間中一回を限り選挙に関して廣告することができる。  (二)前項廣告を掲載した新聞紙は第十六の制限にかかわらず、新聞販賣を業とする者が、通常の方法でこれを頒布することができる。  第十五、公営による新聞廣告以外において新聞による選挙運動は禁止すること。但し、新聞社選挙運動に関する記事を掲載することは、第十六の制限にかかわらず自由とすること。
  4. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 十四の(一)ですが、これは政党議員候補者が両方でできる、つまり二回できるということですか。
  5. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは議員候補者政党と一回ずつできる、從つて二回と、こういう意味であります。
  6. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) この公営方法でございますが、全國議員につきましていずれか一つ日刊新聞というのは、非常にとりようによつていろいろ問題があると思います。考え方としてこういう意思じやないと思うのですが、四十六の都道府縣の各新聞に全國議員廣告を出す、各縣、各府縣別々新聞に出すか。それからもう一つは全國的な販賣網を持つている新聞に、例えてみれば朝日なら朝日に、そうしますと、この朝日は実は東京大阪福岡が別になつています、三社別々になつているので、言いようによつて一つ日刊新聞になるのかどうか、これは一つ新聞考えてやる方法。それからもう一つは、単独の新聞で全國へ販賣網を持つているということで、例えば読賣というようなものえやる、この三つ方法がある。これで我々の方で費用を概算いたしますと、地方選出の方はその都道縣内で大きさは十センチ幅で二段抜きという、これは衆議院のときのやり方でありますが、これが四千二百万円ばかり公営費用が要つております。それから先程の三つやり方で申しましても、各都道府縣別別にやりますと、三億四千万円くらいかかつております。それからつまり朝日に載せるつまり東京大阪福岡別別の社になつておるのを朝日ということで全部纏めて載せますと一億くらい、読賣に載せますと四千万円くらいこういうように費用が掛りまして、全國についてどういうやり方をするか。その一つ日刊新聞ということについてもどれがいいかということを伺つて置いた方が便宜だと思います。
  7. 木内四郎

    木内四郎君 この前のときはどうしました。
  8. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) この前は候補者負担ですから問題はなかつたのです。
  9. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 端的に申しますと全國議員と申しましても、例えば北海道に重点を置いて選挙をするとしたら北海道地元新聞廣告を出した方が朝日読賣よりも得だということがあり得ないとも言えないわけですね。ですから四十六の新聞のどれか一つに載せれば一回載せたということで計算をするのがこの趣旨だろうと思いますけれども、予算が非常に違うのですから、その点をはつきりして置いて頂きたい。後で解釈とか政令の問題で委員会考えと違うというようなことが起きませんようにというような趣旨でございます。
  10. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この十四の本文ですね。「新聞廣告公営により行い、回数を二回とし、」というのは恐らく今の意味を含めて、一回は全國的、一回は地方的という意味に理解される方が自然じやないかと思います。
  11. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) それは何じやないですか、候補者と、政党と、この二回の意味じやないですか。
  12. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) そういう意味です。
  13. 大野幸一

    大野幸一君 その全國区についての新聞廣告ですが、今の選挙管理委員会の方から全國区と雖も、北海道主眼を置く、或いは関東に主眼を置くというようなお話がありましたが、前回には一つの社ということになつていたが、私は全國版で出した。そうすると何ら制裁を受けなかつたから、これは見ようによつて法律欠陷か、全國版で許された、朝日新聞なら朝日新聞、そうすると今管理委員会の方がおつしやつたように、三冠に出した。これは全國区については正しいと思うのですが、そういう解釈の下にこれを進行されるならば異議はないのでありますが、大阪毎日新聞社東京毎日新聞社ということになつて、これが各社ということになれば、これは全國に掲載できるように決めておかなければならんと思うし
  14. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 選択候補者に任せてあるのだから、候補者の希望なんだからこれでいいのじやないか。
  15. 大野幸一

    大野幸一君  一社じやない三社だ。
  16. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今大野君のお話非常に重大な点です。これを若し大阪朝日東京朝日と別だということなら、全國議員として割合範囲が狭い。これが朝日新聞大阪でも東京でも九州でも朝日新聞なんだからこれは一社なんだという解釈なら、非常に廣いし部数も多い。
  17. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) だから全國版でいいじやないか。
  18. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 全國版ということは言えないのです。大阪朝日東京朝日と違うのです。全國版でなくて、新聞が違う新聞だし、号数も違うだろう。
  19. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 大阪朝日東京朝日とおのおの全國版がある。やはり配る範囲も違つてくると思う。
  20. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて。    午前十時五十三分速記中止    ——————————    午前十一時十三分速記開始
  21. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて。十四は留保いたします。第十五。
  22. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 十五は十四をどうするかによつてだね。
  23. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これも留保。では第十六。
  24. 菊井三郎

    法制局参宮菊井三郎君) 第十六文書図画頒布については無料葉書のみを認めそれ以外は禁止すること。  (一) 選挙運動のために使用する文書図画は左の各号に定める無料葉書の外は、これを頒布することが場できない。(文、二)   一、全國選出議員候補者一人について五万枚。   二、地方選出議員候補者一人について三万枚。  (二) 選挙運動のために使用する回覧板その他の文書図画又は看板(プラカードを含む)の類を多数の者に回覧させることはこれを前項頒布とみなし禁止すること。(臨、十九、文、三)
  25. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 (二)説明して下さい(一)も(二)も説明して下さい。
  26. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 大体この十六の問題につきましては、文書図画頒布の問題であるわけですが、文書図画頒布について全く自由にするか或いは制限的にするかというような問題について、どういう立場をとるべきかという問題でありすがが、この案は文書図画頒布につきましては無料葉書だけを認めて、それ以外は禁止するという建前をとつたらどうかという意味であります。これは前回委員会におきましてもこういうような意見が非常に多かつたので、こういう案を出したわけであります。  (一)の問題は、選挙運動のためにする文書図画無料葉書の外は頒布ができない。こういうようにいたしまして、その無料葉書については、全國選出地方選出とを分けましてその数を幾らにするかという問題があるわけでありますが、現行法におきましては無料葉書は全國の場合には三万枚でありまして、地方の場合には二万となつておるのであります。それをどれくらいに増加する必要があるか、或いは又現状でよいかどうかというような問題があるのでありますが、一應この案といたしましては、全國の場合には非常に後補者名前すら分らないというような御意見も多いので、少し増したらどうかというような観点から少し増加したわけであります。又地方につきましてもその点考慮して殖やしたのでありますが、これは公営ということになりますと勢い予算の問題にも関連して参りますので、多いことは結構であろうと思いますが、國家財政の見地からこういう点が果して賄い得るかどうかという点も十分考慮する必要があるかと存じます。  (二)の問題は選挙煙動のために使用する回覧板もその他の文書図画、例えば引札とか或いは名刺というようなものもあるのでありますが、こういつたようなものを多数の者に回覧させるというようなことは、これは回覧であつて頒布にならないというような法規上の解釈論も出て参りますので、こういつたようなものも禁止する必要がやはり頒布と同時にありますので、これを頒布と見て禁止する、こういうことであります。
  27. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 ここで問題になるのは名刺なんですが、名刺自分の知つておる者にやる場合には頒布と見ないのですか、どうなんでしよう。
  28. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 名刺の場合ですと、沢山刷りまして、個々に交付して歩くということになりますとこれは回覧ということではなしに名刺頒布するということになるだろうと思うのですが、その場合におきまして、知つておるところに名刺を配るということになりますと、この頒布というのはこの定義の問題としましてやはり不特定多数というようなものに配るというような意義があると思うのでありますが、知つておるところに配るということになりますと頒布ではないということも解釈論として言えると思うのですが、知つておるところに今更名刺を配るということも亦おかしなものであるのでありまして、そういう点が解釈論としては問題になる余地が残ろうと思います。
  29. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 我々は先日公聴会に準ずる会合を各地で開いていろいろ意見を伺つたときに、兵庫縣検察当局の方から述べられたことはこういうことがあつたのです。それは初め検察当局ではいわゆる選挙法によつて、そうしてそれによつて禁ぜられておるいろいろな問題というものは一々險挙する方針であり、又事実検挙もした。ところが途中においてその選挙取締買收取締ることに中心を置くべきで、その他の細かいことを余り取締るということは正しくないという判断が下されて、途中でその態度を変更しなければならなかつたので検察当局としては甚だ困つた。その結果として檢察当局自身意見としては、常識に合わないような取締を法の上でなさることは是非止めて呉れということを、これは大野委員もそのとき隣席しておられたわけですが、非常に強い意見を言われたわけです。やつぱり常識に合わないような規定まで法律の上で桁えまして、それを事実上取締ろうとしても、選挙取締のときにそういうものが中心問題にはならないのだから、やつぱり買収取締れ、それ以外のことはそう取締る必要がないという判断が最近においてされている。それが又検察当局においても全國的に可なり納得されているところなんです。それで人情、風俗、常識に背くような取締まで法律で御規定になつては甚だ困るということを言つておられた。そういう意味から私は今の六の一の方だけで結構であつて二の方まで規定する必要はないと考えます、是非そういうふうにして頂きたい。
  30. 小川久義

    小川久義君 この無料葉書によることになつていますが、従來の各選挙においては肉筆信書をずつと許しておつて、それをここで禁止をすることは変じやないか。例えて申しますと、所用があつて手紙を出す、その終でも前でもよいが、立候補しているからよろしく頼む、こういうことを書いても、これで行くと違反になるのですが、そういうことは今羽仁さんの言われた論理通り行つてもおかしいので、これはやつぱり今まで許した各種選挙通り肉筆信書は辞すべきだと思いますが……
  31. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 名刺をいかんとした理由はどんなところにあるのですか。
  32. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 前回委員会におきまして要綱案として出しましたのは、文書図画頒布につきましては無料葉書については全國は五万、地方は三万とする、それから自筆の推薦状の郵送とか演説会告示引札頒布を自由にしたらどうか、それ以外の文書図画頒布は禁止する、こういうことで案を出したのでありますが、その際におきまして葉書はよろしいがそれ以外のものは禁止すべきであるという御意見が非常に多かつたのでありまして、それによつてこういう案になつたわけなのであります。
  33. 大野幸一

    大野幸一君 私は第一項の全國と地方との枚数についてこの前意見を述べて置いたと思うのですが、一体葉書を出すということ自体が情実を唆る、こういうことになるので、そう私は感心したことではないと思います。やはり昔戸別訪問をして、名刺が何枚も來たところに投票する、葉書の來たところに投票しようというので、葉書情実を唆るので、選挙民情実によつて投票してはいけないということと相反すること、もう一つ五万人というものを出せる人は大きい組織を持つている人で、組織を持つていない人は一体どこから名簿で五万人を見付けるかということになつて、徒らに組織を持つている人のみ有利になるのではないか。こういうことになるので、五万枚と三万枚は、前回の三万枚と二万枚で十分だと思います。  もう一つお伺いしたいのですが、この前の選挙のときに、地方と全國と組むとこれは八万枚出してもいいことになるかどうか、そういう解釈の下にこれは規定してできているのかどうか、こういうことを伺いたい。全國と地方と組むと、一縣で仮に組んでしまうとすると、八万枚出してもいいということになるが、この前はそうしたのです。が……
  34. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今大野君からお話が、ごさいましたが、全國区の候補者地方区候補者と組んで、選挙に立ちましたときに、この五万枚三万枚、合せて八万枚を両人の名前で組んで選挙運動のために出していいかという問題ですが、これは当然いけないと思うのです。それははつきりしておると思うのですが、一人の人について見ても組んではおるけれども、八万枚出しているのですから、八万枚に限つているのだからそれは私は問題はないと思うのです。皆さんの御意見をはつきりして置きたいと思う。
  35. 北條秀一

    北條秀一君 只今の岡本委員の御意見通り賛成です。
  36. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 たびたび繰返して恐縮なのですが、我々がどういう選挙法を併るか、今日は僕は鈴木直人さんに是非申上げたいと思つていたが、御欠席で非常に残念なのですが、(笑声)我々は敗戦前の選挙法と今日の選挙法とはどういう点がはつきり違わなければならないかという点を十分考えなければならんと思うのです。これは根本的に違わなければならないものなのです。ところがどうも先日來の御討論を拝聴していると、大体において敗戦前の選挙法皆さんが今立案されようとしている選挙法と根本的な違いを私は認めることができないのです。これは非常に重大な問題であつて、やはりそこにはつきりした違いがなければならん。敗戦前の選挙法というものは警察選挙取締るのに便宜のように作つておる。併し今日の選挙法というものは警察選挙取締るのに便利だという点に主眼を置くべきではなくて、選挙の立候補となかんずく選挙民ができるだけ自由に選挙をやれるということに主眼点を置かなければならないのです。だからその点は私はたびたび繰返さざるを得ないことを非常に遺憾だと思うのですが、依然として選挙取締便宜のような選挙法を作ろうというような若しお考えがあるとすれば、私はそれに飽くまでも反対せざるを得ない。從つて我々が最初にこの四つの基本的な原則を立てたわけでございます。この四つ基本的原則従つて考えて行けば、つまりできるだけ選挙民選挙について十分の知識を得るようにしなければならん。そのために金のない人も立候補できるように、金のかかることはすべて公営でやつて行く、金がかからないでやれることはすべて自由にして行くという原則を立てたわけです。從つてあらゆる問題についてそれは貫徹していることを希望するのですが、事務局の作成された原案を見てもそれが貫徹していないし、又御説明を承つてもそういうふうな点に必ずしも従うべきではなくて、取締に不便ではないか、取締上はつきりしないじやないかという警察的な考えがどうも非常に強いのじやないか。そういう意味でこれは若しこの十六の葉書枚数議論するとすれば、やはり今のように選挙民にできるだけ十分の知識を與える、そうして金のかかることであればそれを公営にして行く、金のかからないことであれば自由にして行く。從つて全國区と地方区とが若しタイアップされて八万枚を使われるということは別に特にそのために金を要することではないのです。ですからそういうことは自由にして置いた方がいいと思うのです。    〔兼岩傳一君「賛成」と呼ぶ〕
  37. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 羽仁君の御議論は私ちよつと不可解なのですが、我々基本方針として選挙の自由を期して運動明朗濶達ならしめるということを決めると同時に、選挙運動の公明を図るために選挙費用制限その他適当な規律を設ける。つまりフェアプレーをやるためにルールを作ろう、これが我々のこの委員会の使命なのです。そこでこの公明な選挙をやるために選挙費用制限その他適当なルールを作ろうとすると、それは警察万能だというようなことになつたら議論にならないのじやないか、選挙法なんか作らす必要はないのです。だからそこはそうむきになつて言われないで、そこはお互いが何も基本方針を無規してやるつもりでなくて、それは自由にすると同時に一方にはフェアプレーをするルールを作る、こういうつもりでやつておるのですから、その点誤解のないようにして頂きたい。それから公明な事柄といえば、それじやどうしても全國区と地方区と組まなければ八万枚は出せない。それじや地方区の人が三人、十人組んだら全國区はえらい数になる。そういうようなこともこれはフェアじやないと私は思う。(「数が八万枚以上超えることはできない。」と呼ぶ者あり)八万枚でなくて五万枚ですが……、それは物取りだと私は言うのです。それはその人にとつては八万枚出すことになるのですから、自分名前羽仁とか岡本にとつて見れば五万枚も出し、その外三万枚も出すのだから、八万枚になつているのです。それはいかんと言うのです。それはこの規定でそういうふうに決めるとすれば、それはそんなこと注意書きしなくたつて当然のことなんです。その議論で行けば、地方議員と組めば組む程全國区の人は沢山葉書が出せるということになつて、これはアェアじやないですよ。
  38. 小川久義

    小川久義君 先程來議論になつている全國区と地方区葉書の数を違えるという根拠は私は薄弱じやないかと思う。全國の地区は廣いから葉書を余計出すということ、それから前例にあつたから、この前は三万枚と二万枚だつた、従つて今度も全國を殖やそうという考え方も一應肯けるのですが、結果を見ると六万くらいで全國区に当選している。地方区においては十万とつても落選している。そうするとおかしいことが現実的にはそこに出て来る。六万とるために五万の葉書が出る。一方は十万獲得したが葉書が二万だつたために落選した。
  39. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それは併し人口の地域的な密集と全國的な分散を考えなければならんですから。
  40. 小川久義

    小川久義君 併しそれは結果から見ると六万とつて当選している人と十万とつて落選している人とある。十万とつた方が葉書が少い、六万とつた方が葉書が余計出ている。
  41. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 単に算術的には言えないことですよ。
  42. 小川久義

    小川久義君 ところが地方においても二十万見当取らんと当選できんと思う。
  43. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その点は併し大体議論が盡きているのじやないですか。今問題になつているのは三万と二万になつているのを五万と三万に殖やすかどうか、全國と地方と組んだ場合には八万に殖やすかどうかということについて討論が行われている。
  44. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今後又岡本君の議論が蒸し返されて來ると思うから一言あれにしたいのだが、解釈論を我々はしているのでなくて、立法機関としてどういう法律を作るかということを議論している。五万と三万と組んだ方がいいか、組まん方がいいかということを議論すればいいので、こういう規定はこう解釈できるという議論は止めて、組んだ方がいいのか、組まん方がいいのか、國民のためにどつちがいいのかという議論をすることを私は提議したいと思うのです、私はどちらがいいかと言えば、同じものを使うのだから同じものを違うなら二人で組んだつていいのじやないか、こういう議論を立てたいと思うのです。
  45. 小串清一

    小串清一君 私は岡本さんの議論と全く同一です。つまり小串清一が三万枚の葉書を出して神奈川縣候補者に立つた。ところが全國の人が君も三万枚なら俺の方の名前を入れてそうしてやれば葉書を八万枚取れるから、入つちやえばいいじやないか、これは結構な話だが、三万しか配れない所へ八万の自分名前を宣傳して歩いたことになるから、理窟も何もなく、当然これは三万も五万もそんな数は置かないで、葉書は出し放題出していいというならいいけれども。これを皆さん議論なさるのはおかしいと思う。私は岡本さんのいつていることは簡單にその通りじやないかと思います。
  46. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今兼岩さんに……。は原案について言つているのですから、原案通り決めるとすればその解釈はそうなるのが当然じやないかと言うのです。
  47. 大野幸一

    大野幸一君 小串委員から意見がありましたが、前回衆議院参議院地方区、全國区の全部組んだのです。それでどのくらいの弊害があつたかというと弊害がなかつた。むしろ同じ公費で周知徹底せしめるということの方が効果があるのです。
  48. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私は前回皆さんが組んでおるときに私は組まなかつた。それは自分と志を同じくする者がないときには組まなければいいのです。そういうことはできるだけ選挙民に周知させて、そうして費用掛つて選挙に立候補するのに自由を制限されることになる場合にはいいが、費用のかからない場合には全國の人が数人組んで葉書を出した場合には、それがいいか悪いかということは選挙民判断する、候補者判断するのであつて、そこまで干渉する必要はないのです。
  49. 木内四郎

    木内四郎君 私は今の御議論を拝聽しておると、経費が同じだからその範囲内ならば何をやつてもいいじやないか、経費の点については納得するが、何をやつてもいいじやないかということは納得し兼ねる。若しこれが他の面から言つてこの規定を濫用して地方区で出たつて全國区の仮想候補者……仮想じやありませんけれども、三人なら三人立つていると、その人から五万枚で三五十五万枚というものがその地方だけ配ばられる。本当に選挙をしようとする人はそんな人はおりませんけれども、三万枚と五万枚と組んで他の縣にも配るのだから八万枚をその縣内に利用する筈がないと思うのです。若し悪意を持つてこの規定を濫用すれば、私は三人の全国の候補者当選を期せずして立てて、十五万枚の葉書を得て配るということは可能なのじやないか、そのようなことを防ぐような規定考えて置くべきじやないか。例えば埼玉縣に立つ場合には自分の親戚か何かを全國の候補者に三人立てて十五万枚の葉書埼玉縣だけ撒く、そういうことはよくないと思うのです。
  50. 北條秀一

    北條秀一君 私は先程の岡本委員意見に全面的に賛成したのです。先程來原案解釈論について云々しているのですが、それは当らないと思うのです。何故かというと、この委員会各種研究に基いてその結論を事務局が纏めて出して頂くだけであつて解釈というよりは我々の積極的な主張に基いてこういう案が出ているのだから、従つてその解釈論でやるというのは私は全く逆立ちした議論であると思うのです。そこでそういうふうな原則論は止めまして、今の葉書五万枚と三万枚の問題は、これは昨日私は保証金の場合にも申しましたけれども、今木内委員から話がありましたように、若し極めて悪意に満ちた計画を立てたものとすれば、供託金の関連において私はこの葉書というものも非常に悪く利用されることができると思うのです。今のお話通り、全くそれは架空の候補者を立てて、それによつて葉書を獲得して、即ち保証金で五万枚の葉書を獲得して出すということは大変なことになつちやう。そういうこともありますので、そういうことも十分に頭の中に入れて置いて全國区は五万枚、地方区三万枚と制限を置いたので、解釈云々というのは全く今日は元に返つて來る議論であつて、当然岡本委員意見通りにこの法案は作り上げるべきものだというふうに私は考えております。
  51. 小串清一

    小串清一君 数の当否はとにかく委員の顔振も決つているのですから原案を決めて下さい。
  52. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) この原案につきまして「一全國区を葉書三万枚に、地方区二万枚に」という意見者もあるのでありますが、原案にいたしますか、さつき言うた三万枚と二万枚にいたしますかこれを一つ採決をいたします。    〔「原案賛成」と呼ぶ者あり〕
  53. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 原案賛成といたします。  それから一枚の葉書に、地方の選出議員の名前と全國議員名前と、二人の名前を書くことを許すか、葉書一枚は、一人の名前で行くか、この点について……
  54. 北條秀一

    北條秀一君 それは先程私お話しましたように、從來の経過に鑑みてこれは立案されたので、この中には両方が、地方区、全國区が一つ葉書に書くということの考えが全然入つていないのです。確かに大野君がこの前そういう意見を出しましたけれども、今日までのところはそういう意見は入つていないのです。ですからここで修正意見を出して、そういう考えを入れたらどうかというお考えならば、新らしく取上げることはいいと思いますけれども。
  55. 大野幸一

    大野幸一君 解釈に委せる……
  56. 北條秀一

    北條秀一君 いや、そうではない。
  57. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 解釈に委するのではなくて、葉書三枚……この五万枚、三万枚という意味は、葉書一枚に一人の候補者名前を書くということが原案趣旨であります。だからこの問題は原案通り賛成の方は一つ挙手を願います。
  58. 北條秀一

    北條秀一君 今委員長が話しました一人一枚に書くということは、それはよく意味は分りますが、全國区の場合は全國だけ地方区なら地方区だけ、それを葉書に書くということなのです。そういうことなんでしよう。
  59. 木内四郎

    木内四郎君 推薦される候補者名前はね。
  60. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 選挙区が別々なんだからそこまで解釈されることは……
  61. 鈴木直人

    鈴木直人君 一体その選挙は全國選出選挙と、地区選出の選挙とは別なものですよ。性質が……。その別なものの実質的な事情が違う。そういうその法律的に……    〔「進行々々」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは(二)について、これは全廃するとさつき言つた意見者もあつたのでありますが、原案と全廃論と一つ簡單に……
  63. 木内四郎

    木内四郎君 羽仁さんに伺いたいんだが、自由にするということは、あなたの主張に大いに賛成するところがあるんだが、これはやはり金が掛つて非常に困るんだ。その点から言つて金の方から、なかなか金の掛からぬようにしたいというので、これはやつぱり制限したらいいじやないか。そうでないと印刷して配ると、莫大な金がかかる。だからこれは金のある者が有利にできるということになるんだ。
  64. 大野幸一

    大野幸一君 私もその点について同感ですから、羽仁さんに賛成を求めます。    〔「全員賛成」と呼ぶ者あり〕
  65. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 一日の総選挙規正もこれと同じような規定がございましたが、包括的に禁止されておりますので、候補者運動員が腕章をつけたり、たすきを掛けたりすることも、実は厳密にはできなかつたわけなんです。こういうことも常識上許さなければならないと思つておりますけれども、できますならばそういうことがはつきりするようなふうに、疑問を残さないようなふうに御考慮をお願いしたいと思います。
  66. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 事務局に対して私は資料を希望しているんですが、オーストラリヤの選挙法について資料を依然として委員にお配りにならない。これは是非委員各位に御研究願いたいと思うのです。それでいわゆる民主々義先進國における選挙法というものと、我々が今立案しようとしている選挙法とは、どういう点が非常に違うかということを、是非お考えを願いたい。さつき鈴本さんの欠席のとき、鈴木委員の名前を挙げたんですが、是非お考えを願いたいんだ。というのは、敗戰前の選挙法と今日の選挙法が、どこか違わなければならないということだと思う、やつぱりこれはどうしても……。たびたび繰返すのは恐縮ですが簡單に申上げますが、選挙取締りいいような選挙法を作るのじやなくして、國民が自由に選挙ができて、そうして弊害のないような選挙法を作るということ、そういう意味では、オーストラリヤの選挙法なんかを見ても、重点を置いているのは買収です。飽くまで、つまり利益によつて選挙民を欺く、或いは偽り導くということを防ぐという以外は、すべて自由にして行く。金の掛かる意味において選挙に立候補できないような妨げをなす事情は、公営によつて貧しい人でも立候補できるようにして行きたいと、併してそこまでの……今岡本さんが見えたからいいが、むしろルールというのは、ルールということにすべて規定してしまうのではなくて、スタートしてゴールに入るまでの最小限のルールを決めて行くのであるから、その間で手の動かし方、水をどう掻いちやいけないということまで決めるんではない。だから貧しい人でも立候補できて正々堂々と言論で戰える。その場合に或いは金のある人がいろいろな方法をやるかも知れない。そのために金のある人が勝つて、金のない人は負けるかも知れない。併しそれはすでに候補者選挙民の問題であつて法律の予見し得るところではない。そういう意味においてはこの第十六の(二)は、先ずさつきの二つの点で私は削除を要求したのですが、第一はこれは非常に金の掛かる問題とは思わないし、且つ又これをしなければ立候補できないという問題でないということ、第二はこういう規定を置かれることによつてさつきの名刺の問題とか、或いは又腕章の問題というような点についてまで、官僚的な喜取締が及ぶ恐れがある。人情に反し風俗習慣に反するようなことまで禁止され、その取締を行おうとしてもつと高い方針から、そうう取締り方をする必要がないというふうな、非常に検察当局を窮地に陷れるという恐れがある。その意味から二つの理由、即ちこれは必ずしも正しい人が立候補できるかできないかという問題とは関係していないと思う。それは大体回覧ですからね。それから第二にはこういうことまでやると、名刺や腕章まで、そういうことまで問題が及んで来るという点から、是非この(二)は削除して頂きたいと思う。
  67. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと中座して失礼しましたが、羽仁さんの御議論は、この回覧板なんかは許せばいいじやないか、名刺は許せばいいじやないか、こういう御議論と承わります。それならそういうふうに規定して行つたらいいじやないかと言うんです。こういうものがないと、その回覧板はいいのか悪いのか分らん。それで名刺を配ることがいいのか悪いことなのかも分らん。或る所でいけないと言われたら良心的な人は配らん。大胆な、違反のすれすれま書くことを好む人はどんどんやつて行くというなら、そこが私はフェアではないと思う。だからそういうものを許す意味ならば、それは名刺は差支ない、回覧は差支ないということを規定すればいいのじやないかというのが私の説であります。……私の趣旨はそういうものは規定していかんということは、私は規定したければいいのか悪いのか分りませんから、だからそこまでそういうものを許すつもりならば、同様に許さなければいかんというのが私の趣旨なんです。
  68. 小串清一

    小串清一君 先刻から羽仁さんのお話、私も何回聞いたか知れないが、幾ら公営でやろうとしても、速記録に幾ら書いて見てもいいかも知れないけれども、私はオーストラリヤやインドネシヤの方まで持出してやるという、そんな余計な暇はないのですから、どうか早く採決して決めて下さい。それでなければ今日はこれで早く散会を願います。
  69. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 オーストラリヤの選挙法は翻訳中じやないですか。
  70. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 よく研究してから御意見を……
  71. 木内四郎

    木内四郎君 どうも羽仁さん今のような議論をされると、この法律全部やり直さなければならないという氣持になる。金のある者は使つてもよいと言われるか、そうならば新聞廣告なんかは私は公営以外のものは禁止する必要はないと思う。新聞廣告というものは最も廣く、最も簡單な、而も文書図書を頒布するよりも最も安い。これを印刷して配つて何にするということは、経費がかかつて新聞よりも余程高いものになる。新聞などは留保してあるかないか知らんが、我々は全般的に考え直さなければならないと思う。
  72. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 原案を多数意見と認めまして、今日はこれを以て委員会を閉じまして、あとは懇談にいたします。    午前十一時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    委員            鈴木 直人君            岡本 愛祐君            北條 秀一君            小串 清一君            木内 四郎君            伊東 隆治君            佐々木鹿藏君            大野 幸一君            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            兼岩 傳一君            羽仁 五郎君            小川 久義君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君   説明員    全國選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君    総理府事務官    (全國選挙管理    委員会事務局選    挙課長)    金丸 三郎君