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1949-10-21 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十一日(金曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   —————————————    午前十時四十六分開会
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から会議を開きます。昨日八十八から二百七までを朗読いたしました。第十五章であります。これにつきまして御意見のある方は、是非意見を出さなければならないというような大事なところを簡單一つ出して頂きまして、どうかできることなら本日中に一應終りたいという委員長意見だけ申上げて置きます。
  3. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 昨日申上げて置いたのですが、この第百六十九ですね、これはこの前の小委員会で以て、こういう規定を設ける必要はないということを決定したのでありますから、削除して頂きたいと思います。
  4. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 議事録を調べて見ました結果、只今羽仁君が申しました百六十九は削除するということに小委員会においては決定しておりました。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 ですから、この要綱案選挙基本法案要綱仮案においても削除して置いて頂きたい。
  6. 城義臣

    城義臣君 ちよつと速記を止めて協議して頂きたい点があるのですが……。
  7. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて。    〔速記中止
  8. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて……。
  9. 城義臣

    城義臣君 第百七十でありますが、これは速記を調べて見ますというと、原案賛成ということになつておるのであります。小委員会では……。そこで第百七十の文章の最後のところの当該選挙管理委員会は「これを制し、命令に從わないときは会場外に退去させることができる」ということになつておるのを「会場外に退去させなければならない」と、こういうふうに修正したいと思うのであります。百六十九は削除する。これについてお諮り願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 百六十九を削除いたしまして、百七十の「命に從わないときは会場外に退去させることができる」とありますのを「退去させなければならない」と修正意見が城君によつて出ました。別の御異議ございませんか。
  11. 鈴木直人

    鈴木直人君 これについてもう一度はつきりして置きたいことがあります。只今の「命に從わないときは会場外に退去させなければならない」ということは、管理委員長又委員義務になつておるわけです。そこで命に從わない者が若し退出しなかつたという場合には、委員長乃至委員には義務があるが、從わない者についてのそれを無理に退出せしめるという方法がないことになりはしないか。この解釈を、この法文では当然從わない者は、場外に退去しなかつた場合においては、いわゆる退去させるという場合には、退去しなければならないのだという意味も含むものであるというようなことをはつきりしなければならんと思うのですが、命に從わない者は若し管理委員長乃至委員が退去さした場合には退去しなければならないのだと、こういう從わない者に対する退去義務ですね。
  12. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これでいいじやないですか。
  13. 鈴木直人

    鈴木直人君 これを含むものであるという解釈で下せますですね。
  14. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その点は、さつき委員長が言われたように、選挙委員長又委員がその退去させるという全責任を負うということで解釈して行くと思うのですがね。
  15. 鈴木直人

    鈴木直人君 羽仁君の言うようなことでは解決できません。それは委員長義務があるのであつて、それを若し退出しなかつた場合には当然解決できないわけです。例えば不退去罪とか、別途の刑法上の問題は勿論出て來ますが、選挙法のこの條文に基いてはそういう解釈はできて來ないと思うのですが、そういう解釈を下すものであるということで行けるならば、私はこれで賛成なんです。
  16. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) まあ案としてこれも一つ……。もうこれであるんだから、第百七十は城君の修正通りに可決いたします。
  17. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 百六十九は削除……。
  18. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 百六十九は削除するということは前申しました。  今度百八十八から二百七までで御意見のある方は簡單に……。
  19. 城義臣

    城義臣君 別にないようでございますから、御進行をお諮り願いたいと思います。
  20. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に御異議ございませねば、進行いたします。    〔法制局職員朗読〕    〔選挙運動に関する支出金額制限〕 第二百八 選挙運動に関する支出金額は、各選挙につき、公職候補者一人ごとに左の各号の区分による数をそれぞれの選挙ごと命令で定める金額に乘じて得た額をこえることができない。  一 衆議院議員選挙 当該選挙区内議員定数をもつてその選挙期日公示又は告示の日において当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た数  二 参議院國選出議員選挙 通常選挙における議員定数をもつてその選挙期日公示又は告示の日において当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た数  三 参議院地方選出議員選挙通常選挙における当該選挙区内議員定数をもつてその選挙期日公示又は告示の日において当該選挙人名簿は登録されている者の総数を除して得た数  四 地方公共團体議会議員選挙 当該選挙区内議員定数   (選挙がないときは議員定数)をもつてその選挙期日告示の日において当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た数  五 地方公共團体の長の選挙 その選挙配日告示の日において当該選挙人名簿に登録されている者の総数  六 教育委員会委員選挙 定例選挙における委員定数をもつてその選挙期日告示の日において当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た数 2 第百二十九第一項の選挙においては、前項規定による地方公共團体の長の選挙についての額の六分の一に相当する額を超えることができない。 3 前二項の場合において百円未満の端数があるときは、その端数は、百円とする。   (選挙の一部無効及び繰延投票の場合の選挙運動に関する支出金額制限) 第二百九 選挙の一部が無効による再選挙における選挙運動に関する支出金額は、前條の規定にかかわらず各選挙につき公職候補者一人ごとに左の各号の区分による数をそれぞれの選挙ごと命令で定める金額に乘じて得た額をこえることができない。  一 衆議院議員選挙 当該選挙区内議員定数をもつてその選挙期日告示の日において関係区域における当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た数  二 参議院國選出議員選挙 通常選挙における議員定数でもつてその選挙期日告示の日において関係区域における当該選挙人各簿に登録されている者の総数を除して得た数  三 参議院地方選挙議員選挙 通常選挙における当該選挙区内議員定数をもつてその選挙期日告示の日において関係区域内における当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た数  四 地方公共團体議会議員選挙 当該選挙区内議員定数選挙区がないときは議員定数)をもつてその選挙期日告示の日において関係区域における当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除した得た数  五 地方公共團体の長の選挙 その選挙告示の日において関係区域における当該選挙人名簿に登録されている者の総数  六 教育委員会選挙 定例選挙における委員定数をもつてその選挙期日告示の日において関係区域内における当該選挙人名簿に登録されている者の総数を除して得た額 2 第六十八第一項の規定により投票を行う場合においてその選挙運動に関する支出金額は、公職候補者一人につき、前項規定に準じて算出した額をこえることができない。但し、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会において必要があると認めるときは減額することができる。 2 前條第三項の規定は前二項の場合に準用する。  (選挙運動に関する支出金額制限額告示) 第二百十 当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会は、当該選挙期日公示又は告示があつた後、直ちに前二條規定による額を告示しなければならない。  (選挙運動に関する支出でないものとみなされる支出) 第二百十一 左の各号に掲げる支出は、選挙運動に関する支出でないものとみなす。  一 立候補準備のために要した支出公職候補者又は出納責任者となつた者がしたもの以外の支出  二 立候補準備のために要した支出公職候補者又は出納責任者となつた者意思を通じないでなされた支出  三 第九十六第一項から第四項まで及び第六項の届出があつた公職候補者又は出納責任者意思を通じないでなされた支出。  四 公職候補者が乘用する船車馬等のために要した支出  五 前号に掲げるものの外第百五十一第一項の規定による自動車及び船舶を使用するために要した支出  六 選挙期日後において選挙運動残務整理のために要した支出  七 選挙運動に関し支拂う國又は地方公共團体の租税又は手数料  (選挙運動に関する支出金額制限額超過による当選無効) 第二百十二 公職候補者のためになされた選挙運動に関する支出金額が第二百十の規定により告示された額をこえたときは、その公職候補者当選を無効とする。但し、公職候補者及び推薦届出者出納責任者又はこれに代つてその職務を行う者の選任及び監督につき相当の注意をし、且つ、出納責任者又はこれに代つてその職務を行う者において選挙運動に関する支出につき過失がなかつたときは、この限りでない。 第百十三 左の各号に掲げる者は、選挙に関し、寄附をしてはならない。但し、第一号に掲げる者がその属する政党、協会その他の團体又はその支部に対し寄附をする場合及び当該選挙関係区域外にある者に対し寄附をする場合は、この限りでない。  一 当該選挙公職候補者  二 参議院議員選挙及び参議院議員選挙に関しては國、地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙に関しては当該地方公共團体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者  三 昭和二十二年勅令第一号第三條にいう覚書該当者 2 前項第一号の候補者は、選挙期日公示又は告示の日前一年間にしたすべての寄附について、寄附を受けた者(團体にあつては名称)、寄附金額及び年月日を記載した報告書を、立候補届出後七日以内に、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に提出しなければならない。  (特定人に対する寄附の勧誘、及び要求の禁止) 第二百十四 何人も、選挙に関し、前條第一項各号に掲げる者に対して寄附を勧誘し又は要求してはならない。 2 何人選挙に関し、前條第一項各号に掲げる者並びに外國人外國法人及び外國團体から寄附を受けてはならない。  (匿名寄附禁止及び國庫帰属) 第二百十四の二 何人選挙に関し、本人の名議以外の名義を用いた寄附及び匿名寄附をしてはならない。 2 何人も、前項寄附を受けてはならない。 3 第一項の規定違反して寄附がなされたときは、その寄附にかかる金錢又は物品の所有権國庫に帰属するものとし、これが保管者において、國庫に納付の手続をとなければならない。  (教育委員会選挙に関する例外) 第二百十五 第百八十九、第百九十、第二百三、第二百四、第二百十三、第二項の規定教育委員会委員選挙には適用しない。
  21. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 二百八條衆議院議員選挙法の百二條でありまして、以下現行法と特に異るものはございません。二百八、二百九、二百十、二百十一、二百十二は衆議院議員選挙法規定によつたままであり、從つて参議院選挙法通りです。二百十三、二百十四、二百十五までは、これは規正法の三十五、三十六、三十七の規定でありまして、それもそのままになつております。
  22. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今のに関連して、今そうすると、ここに書いてあることは、現行選挙運動に関する費用とか、その他と違つた規定はしていないのですね。現行法通りですね。
  23. 寺光忠

  24. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 質問ですが、第二百十一の五項ですね。「前号に掲げるものの外第百五十一第一項の規定による自動車及び船舶を使用するために要した支出」というのは、参議院全國の場合には、この前採決の結果、多数で自動車三台、拡声機三台、船舶二隻、それに要した費用選挙費用或いは選挙運動に関する支出でないとみなされるのですか。
  25. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) その通りでございます。
  26. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 丁度この項において考慮を拂わなければならんと思いますことは、この政治資金規正法によつてすべての費用届出を命じられておるのでありますが、ここでその選挙が終りますると選挙費用支出についての届出義務を履行しなければならない。ところがそれは法的には勿論理論上止むを得んことではありまするけれども、実際問題として、限られたる選挙費用範囲において、各候補者共に出費の届出をいたしまするが、若しもその費用を超過して選挙に使いましたということが明らかになつた場合には、他の選挙法違反となるばかりでなく、又仮に違反にならないかつたとしても、その費用支出の事実がありまして、その届出を怠つたというときには、常に効令違反の、政治資金規正法によつて刑罰を受けることがあるんです。そこでこれはみずから犯した責任をみずから負うのであるから、何も不思議はないとは申しまするものの、実情の上からいたしますると、往々にしてこの費用を超過して過しまする人が多いのであります。その場合には、もう動きが取れなくなり、悉くこれが刑罰法規に触れて刑法上の責任を負わなければならんことになるのです。今後はこうした選挙法改正であり、法を忠実に守つて行きまする者ばかりで、選挙が終始いたしまするならば、これはもう理想であると同時に、結構なことでありますけれども、今までの実情からいたしますると、大部分候補者が、この限られたる費用より超過して選挙を過す人が多いのであります。でありまするが故に、その場合には必らずこの屆出、いわゆる費用支出についての屆出が、実際と合わない関係上、政治資金規正法によつて体刑の処分を受けるという実情であります。若しそういうことになるならば、從來の行き方であるならば、殆んど余すところなく、大部分がその政治資金規正法によつて刑事上の責任を負わなければならんようなふうであつて、いわゆる法規則つてつて、そうして選挙をやれば、それでよろしいのでございますけれども、勢いの赴くところ、とかくその範囲を逸脱するのが多いのであります。そういうことになりますと、選挙をやるということは、やがて体を張つて自分の名誉をかけてやらなければならんというようなことになつて、眞にけわしい状態に我々も置かれるということを考慮せなければならんと思う。一体その点を何とか緩和するにあらざれば、今後狙い打ちされた場合には、一人残らず皆やられてしまうことになつてしまう。現に今選挙法違反に問われて、各候補者とも、つまり政治資金規正法によつて最後に必らず押えられておるという実情にある。選挙違反の嫌疑を以て刑事訴追を受けて、公判においてその行爲選挙法自体には違反しないということが明確になりましても、最後はやはり政治資金規正法によつて取上げられるというような現状にある。而もこの政治資金規正法なるものが極めて簡にして明なる法規のために、如何ともなし能わざる状況にあるのであります。この点は起案者の方で以て、何らかの考慮を拂われて、この規定を作られておるのであるかどうか、この点について一應伺いたいと思います。
  27. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 仮案の起草に当りましては、これらの点につきましては、現行法通り規定するという方針で参つておりますので、特段な只今仰せられたような点についての規定考慮いたしておりません。
  28. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 ちよつと速記で止めて下さい。
  29. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて。    〔速記中止
  30. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて。
  31. 鈴木直人

    鈴木直人君 この二百八條で実は最初から問題になつた点なんですが、選挙費用をどの程度にまで、最高、最低でしたか、制限するかということの金額について問題になつてつたのです。この案によりますと、命令で定めることになつておりまして、この基本法を檢討する場合に、その金額はまあ後に考えることにして、命令で定めるということにしてこのまま通すべきか、この二百八條命令という場合に、現実の場合に今度は幾らにすべきであるというふうに決めますかということをしなければならんと思うのであります。これは私の考え方では、相当物價が違つたりいろいろしますから、命令で定めることにして置いても、これを定める場合においては、政府が單独に命令簡單に考えることなくして、國会相当委員会において檢討して、そうしてそれを命令して出さしめるような、命令手続で出させるようにするのであるならばいいのですが、ただいつも命令政府がそのときどきの事情によつて定めるということであるというと、國会意思が反映できませんから、その点はやらない方がよいとこう考えるのですが、どうでございましようか。この命令で定めるということにして、金額はこのままに後日考えることにすべきものであるかどうか、そういう点ですね。そこで起案者にお聞きしたいのですが、参議院の全國選出議員の場合においては幾らに定めてあるか。そうしてこれを仮に四百五十人の立候補者であつたとするならば、現在の命令においては幾ら金額になつておるか。
  32. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 現在と申しますのは、この前の選挙でございますか。
  33. 鈴木直人

    鈴木直人君 まあ仮に五百人の立候補者があつたとした場合に、この規則で行けば、現在の命令による金額によれば幾ら制限になるか。この前の選挙と同じことになりますね。この前は幾らになつておりますか。
  34. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  35. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて下さい。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 私の先程申上げました二百八條命令金額を、今ここで決めるか、或いは保留して進むかということについて委員長においてお諮り頂きたいのです。
  37. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 二百八條金額につきましては、保留して置きたいと思いますが、如何でしようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  38. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) じや保留。
  39. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 つまり必ず命令ということでなくて、若し命令というのならば、國会決定に基く命令とかね。
  40. 鈴木直人

    鈴木直人君 私さつきのところ、それを申上げておるのです。
  41. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そういうふうにして頂きたい。
  42. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから二百十一條の問題ですが、これは衆議院選挙法には載つておるわけです。そこで今の問題となつている選挙運動支出でないものとすると、一号、二号、三号、四号から七号までの点なのですけれども、自動車等を除外するのかどうかというような点は一つの問題となると思うのですが、どうでしようか、これはやはり現在のままで行つてもいいのじやないでしようか。
  43. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 これはつまり四号ですね、「候補者が乘用する船車馬等のために要した支出」というのは、その候補者のプライベートなトラベルエクスペンス、旅費というようなことだから、これは選挙費用に加算しないということは妥当だと思うのですが、併し五号の自動車及び船舶というのは、実際その候補者自動車を、まあ参議院全國の場合について言えば自動車三台、拡声機三揃、船舶二隻というものをプライベートな、その候補者自身の旅行するために要するものじやない、純然として選挙のために使用するもんだから、それをこの四と並べて同じように取扱うということは論理上おかしいと思う。
  44. 大野幸一

    大野幸一君 私は羽仁委員意見賛成です。
  45. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 大体つまりここで選挙費用でないとみなすというのは、その候補者の個人的な生活に関するものという趣旨だろうと思うのです。それとそれ以外の純然たる殆んど何というか、まあ例えばオーストラリア選挙法の場合には、選挙名簿を購入する費用とか、そういう種類のものだけに除外されているので、こういう純然たる選挙運動に用いた費用選挙運動に関する支出でないというふうに言うことは論理的に全然了解できない。
  46. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私もこれを除外しない方がいいと思います。で何故これは除外したかということは、自家用を持つている人、自分トラツクを持つている人、そういうものを計算する方法がないから除外しようということになつたのじやないかと私は思うのです。併しそれは自家用であつても、それを選挙運動に使うときには乘用車は一日幾らという、それからトラツクは一日に幾らと計算するという規定をこの選挙法の中に置くか、或いは委任した命令の中に置きまして、そうして選挙費用の中にその車馬に要した費用も包含するということが私もいいと思うのです。
  47. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それではお諮りいたしますが、第五の内容は、選挙費用に加算する選挙費用であるという修正意見でありますが、賛成の方は挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  48. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 多数であります。
  49. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 つまり第五号を削除するわけですね。四はいいんでしよう。
  50. 鈴木直人

    鈴木直人君 四を含むのですか。
  51. 大野幸一

    大野幸一君 見積りは困難ですよ。私用と公用とは……。
  52. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて。    〔速記中止
  53. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて……さつき第五はもうすでに削つてあるのであります。岡本君の修正意見によりまして第四号を削る、これについて賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  54. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 多数と認めます。別に御異議もございませねば、第十六に進みます。    〔法制局職員朗読〕   第十六章 爭訟  (地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙効力に関する異議申立及び訴願) 第二百十六 地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙において、その選挙効力に関し異議がある選挙人又は公職候補者は、当該選挙の日から十四日以内に、文書当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対し異議申立をすることができる。 2 前項の期間は、地方公共團体の長の選挙について第百二十九第一項の選挙行つた場合においては、同條同項若しくは同條第三項の選挙の日から起算する。 3 前二項の規定により市町村の選挙管理委員会に対して異議申立をした場合において、その決定に不服のある者は、その決定があつた日から二十一日以内に、文書当該都道府縣の選挙管理委員会訴願提起することができる。  (地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙効力に関する訴訟) 第二百十七 地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙において、前條第一項の異議申立又は同條第三項の請願に対する都道府縣の選挙管理委員会決定、又は裁決に不服がある者は、その決定書又は裁決書の交付を受けた日又は第二百三十の告示の日から三十日以内に、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の所在地を管轄する高等裁判所(以下高等裁判所という。)に訴訟提起することができる。  (衆議院議員参議院國選出議員及び参議院地方選出議員選挙効力に関する訴訟) 第二百十八 衆議院議員参議院國選出議員及び参議院地方選出議員選挙において、その選挙効力に関し異議がある選挙人又は公職候補者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会委員長を被告とし、当該選挙の日から三十日以内に、高等裁判所訴訟提起することができる。  (選挙の無効の決定裁決又は判決) 第二百十九條 選挙効力に関し異議申立訴願提起又は訴訟提起があつた場合において、選挙規定違反することがあるときは、選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない。  (地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員当選効力に関する異議申立及び訴願) 第二百二十 地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会選挙において、その当選効力に関し異議がある選挙人又は公職候補者はその選挙に関する第百八第一項又は第百十二の告示の日から十四日以内に、文書当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対し異議申立をすることができる。 2 前項の期間は、地方公共團体の長の選挙について第百二十九第一項の選挙行つた場合においては、その選挙に関する第百八第一項又は第百十二第一項の告示の日から起算する。 3 前二項の規定により市町長の選挙管理委員会に対して異議申立をした場合において、その決定に不服がある者は、その決定があつた日から二十一日以内に、文書当該都道府縣の選挙管理委員会訴願提起することができる。  (地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員当選効力に関する訴訟) 第二百二十一 地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙において、前條第一項の異議申立又は同條第三項の訴願に対する都道府縣の選挙管理委員会決定又は裁決に不服がある者は、その決定書又は裁決書の交付を受けた日又は第二百三十の告示の日から三十日以内に、高等裁判所訴訟提起することができる。  (衆議院議員参議院國選出議員及び参議院地方選出議員当選効力に関する訴訟) 第二百二十二 衆議院議員参議院國選出議員及び参議院地方選出議員選挙において、当選をしなかつた者当選効力に関し異議がある者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会委員長を被告とし第百八第一項及び第百十二第一項の告示の日から三十日以内に、高等裁判所訴訟提起することができる。  (当選効力に関する爭訟における選挙の無効の決定裁決又は判決) 第二百二十三 前三條の規定による当選効力に関する異議申立訴願提起又は訴訟提起があつた場合においても、その選挙が第二百十九の場合に該当するときは、選挙管理委員会又は裁判所は、その選挙の全部又は一部の無効を決定し、裁決し又は判決しなければならない。  (選挙運動費用の法定額超過による当選無効の訴訟) 第二百二十四 第二百一の規定により当選を無効であると認める選挙人又は、公職候補者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会委員長を被告とし、第百八第二項の告示の日から三十日以内に高等裁判所に、訴訟提起することができる。  (選挙運動総括主宰者の選挙犯罪による当選無効の訴訟) 第二百二十五 選挙運動を総括主宰した者が、第二百三十三から第二百三十五までの罪を犯し刑に処せられ、第二百六十四第一項後段の規定により当該当選人の当選を無効であると認める選挙人又は公職候補者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会委員長を被告とし、その判決確定の日から三十日以内に、高等裁判所訴訟提起することができる。  (出納責任者の報告義務違反による当選無効の訴訟) 第二百二十六 出納責任者が第二百六十の罪を犯し刑に処せられ、第二百六十四第二項の規定により当該当選人の当選を無効であると認める選挙人又は公職候補者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会委員長を被告とし、その判決確定の日から三十日以内に、高等裁判所訴訟提起することができる。  (訴訟参加) 第二百二十七 前三條の訴訟については、裁判所は、当該当選人を訴訟に参加させなければならない。  (訴願及び訴訟の処理) 第二百二十八 本章に規定する爭訟については、異議申立に対する決定は、その申立を受けた日から三十日以内に、訴願裁決は、訴願を受理した日から六十日以内に、訴訟の判決は、事件を受理した日から百日以内に、これをするように努めなければならない。 2 裁判所は、前項の討訟については、他の訴訟の順序にかかわらず、速やかにその裁判をしなければならない。  (爭訟の提起と処分の執行) 第二百二十九 本章に規定する異議申立訴願提起又は訴訟提起があつても処分の執行は、停止しない。  (決定書裁決書の交付及びその要旨告示) 第二百三十 第二百十六條第一項及び第二百二十の規定による異議申立に対する決定又は第二百十六第三項及び第二百二十第二項の規定による訴願に対する裁決は、文書をもつてし、理由を附けてこれを申立人に交付するとともに、その要旨を告示しなければならない。  (選挙関係訴訟に対する法規の適用) 第二百三十一 第二百十七、第二百十八、第二百二十一第一項、第二百二十二又は第二百二十四から第二百二十六までの規定による訴訟については、本章並びに行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)第二條、第八條、第九條、第十條第七項及び第十二條規定によるの外、民事訴訟法(明治三十三年法律第三十九号)の定めるところによる。  (選挙関係訴訟についての通知及び判決書膽本の送付) 第二百三十二 第二百十七、第二百十八、第二百二十一第一項、第二百二十二又は第二百二十四から第二百二十六までの規定による訴訟提起されたときは、訴訟提起された選挙管理委員会委員長は、左の区分によりそれぞれにその旨を通知しなければならない、訴訟が係属しなくなつたときも、また同様とする。  一 市町村の選挙管理委員会委員長が被告であるときは、全國選挙管理委員会及び当該都道府縣の選挙管理委員会に。  二 都道府縣の選挙管理委員会委員長が被告であるときは、全國選挙管理委員会に。 2 前項に掲げる訴訟につき判決が確定したときは、被告であつた選挙管理委員会委員長は、前項区分に從い、その判決書の膽本を送付しなければならない。この場合において、衆議院議員又は参議院議員については衆議院議長又は参議院議長に、地方公共團体議員については当該議会の議長に、教育委員会委員については、当該教育委員会委員長に併せてこれを送付しなければならない。
  55. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 第十六章の訴訟につきましては、劈頭に当委員会に申上げましたように、当選訴訟につきましては、全部被告を当該選挙管理委員会にいたしました。その関係で第二百二十二條、第二百二十四條、第二百二十五條、第二百二十六條の四つの場合におきましては、現行法当選人を被告にいたしております。衆議院案も当選人を被告といたしておりますが、選挙管理委員会を被告にいたすことの方が実体的には、或る場合にはむしろ適当であると思われますのと、それから事が行政訴訟であるという観点からいたしまして、当選人を被告にすることは如何かということを考えたのであります。これはただ特に二百二十六條につきまして、これを当選人であることを止めて選挙管理委員会であることにいたしますことが、やや考慮を要する点があるかという疑問を持つていることだけは申上げて置かなければならんと思うのでございます。即ち二百二十六の場合におきましては、出納責任者が刑に処せられて、そうして当選人の当選が無効であるという場合に、それは二百六十四條の規定によりまして、第二項、第一項もそうですが、「公職候補者出納責任者が第二百六十の罪を犯し刑に処せられたときは、当該当選人の当選は、無効とする。但し、当選人がその出納責任者の選任及び監督につき相当の注意をしたときは、この限りでない。」ということになつているのであります。当選人が選任、監督について相当の注意をした場合にだけは当選無効にならないという、そういう実体の爭いをいたします際に、管理委員会を被告にすることが如何かということでございます。それでこの場合についてだけは当選人を被告にすることの方がむしろ適当でないかという疑念を持たないのではござませいんけれども、当選訴訟についてはすべて管理委員会を被告にするという建前でこの仮案は一貫して来たのであります。但しさような場合におきまして、当選人にいろいろ弁解の機会その他を與えることがなければなりませんと思いますので、第二百二十七條に特に訴訟参加に関する規定を明らかに規定いたしたのでございます。
  56. 大野幸一

    大野幸一君 この当選訴訟選挙無効訴訟というのは、今説明者は行政訴訟と言つているのですが、從來もこれは民事裁判所でやつてつて、行政裁判所でやつているのではないということ、それからもう一つ、これはあなたの新らしい、選挙管理委員会委員長を被告とするということであるが、これは衆議院の方にもないし、この前の小委員会にもこの話は出なかつたのですが、あなたの独創的な考えか。もう一つさつき鈴木委員の言われた東京高等裁判所と現在なつていて、それを衆議院では高等裁判所と直したようだが、参議院は更に東京高等裁判所にしようということなんかがちつとも斟酌されていないようだがどういうわけですか。
  57. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 管理委員会委員長を被告にするということは、これは只今御説明いたしましたように一種の案なんでございまして、ただ一ケ所從來選挙長を被告にいたしている場所がございます。このところは必らず選挙管理委員会委員長にこの仮案の建前では変えなければなりませんので、そこで選挙長を被告人にしているところを管理委員会委員長に変えた際に、当選人を被告にすることが例えば昨年……。
  58. 鈴木直人

    鈴木直人君 原則として結局罪を犯したものが被告人になるのであつて、その罪を犯した者に代つて選挙管理委員会が被告になるという法はないと思う。選挙管理委員会においてなす分野において、それが法に反したというときには選挙管理委員会が被告になるということは考えられる。ただいわゆるあなたの言う行政訴訟的な立場において選挙管理委員会が無効にするか、有効にするかという決定する分野が可なりある。それを無効にしたとか或いは有効に決定したというような分においては、それはその被害者が選挙管理委員会を訴える。そうして今までは市長の選挙が有効であつた、或いは無効であつたということを選挙管理委員会とその被害者と爭うということはあります。併しながらこれは選挙運動とか或いは選挙法に基いて規定されたいわゆる候補者にその義務として規定されたものについて、それに違反したという場合に候補者に、その違反した者に代つて選挙管理委員会を被告にするという建前は私は筋が合わないと思うのですね。ですから、これは私はそういう案でない方がよいと思います。
  59. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今の鈴木さんのおつしやいましたこと、確かにその通りなんでございますが、ただ例えば二百二十二條を御覧願いたいのでございますが、二百二十二條のような場合でも、現在当選人が被告になつておるのでございます。第二百二十二條のような当選決定についての……ですから、当選人には全然関係はないような事態において、やはり当選人が被告になつておるというのが現行法なんでございます。
  60. 大野幸一

    大野幸一君 ちよつと持つて下さい。その場合は今でも選挙管理委員長を被告にしておるでしよう。実例はどうなつておるのですか。鈴木さんの言う通り選挙管理委員長が被告になつて訴訟をやつておるのじやないか。
  61. 杉山惠一郎

    法制局参事(杉山惠一郎君) 現行法では、規定の上では原則として当選人を被告にする、或いは一定のこれこれこういう事由の場合に管理委員長を被告にするということに書いてあります。
  62. 大野幸一

    大野幸一君 鈴木さんの言う通りだ。当選訴訟の内容によつてつて來るのだ。ここは一つ省略してあとで……。
  63. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 午前中はここらで一つ打切ります。午後は一時から開会いたします。    午後零時二分休憩    —————・—————    午後一時三十二分開会
  64. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から会議を開きます。では第十七章二百三十三。
  65. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 ちよつと遡りまして甚だ恐縮ですが、本法において公職候補者という文字が数限りなくありますが、如何にもどうも耳障り、目障りですが、第三條において、すでに公職候補者の定義はちやんと限定されて、「衆議院議員参議院國選出議員参議院地方選出議員地方公共團体議会議員及び長」というものをちやんと指摘してありますので、殊更公職候補者ということを一々法文に書くことは非常に煩に堪えませんから、むしろ第三條中において、公職候補者というのは候補者を略称するということを一句入れて置けば、後は全部候補者で法文は樂になると思いますが…。
  66. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今の鬼丸委員の御意見異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは文章を変えますことは、委員長に一任をお願いいたします。
  68. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 そういうことでお願いいたします。
  69. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは第十七、罰則を読んで下さい。第十七章、二百三十三。    〔法制局職員朗読〕   第十七章 罰則  (買收及び利害誘導罪) 第二百三十三 左の各号に掲げる行爲をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。  一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金錢、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供與、その供與の込申若しくは約束をし又は饗應接待、その申込若しくは約束をしたとき。  二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係ある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。  三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくは止めたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行爲をしたとき。  四 第一号若しくは前号の供與、饗應接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込を承諾し又は第二号の誘導に應じ若しくはこれを促したとき。  五 第一号から第三号までに掲げる行爲をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金錢若しくは物品の交付、交付の申込若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け若しくは要求し又はその申込を承諾したとき。  六 前号に掲げる行爲に関し周旋又は勧誘をしたとき。 2 選挙管理委員会委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、又は選挙事務関係のある官吏若しくは吏員が当該選挙に関し、前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は七万五千円以下の罰金に処する。公安委員会委員又は警察官若しくは警察吏員がその関係区域内の選挙に関し前項の罪を犯したときも、また同様とする。  (多数人買收及び利害誘導罪) 第二百三十四 左の各号に掲げる行爲をした者は、五年以下の懲役又は禁錮に処する。  一 財産上の利益を図る目的をもつて公職候補者のため多数の選挙人又は選挙運動者に対し前條第一項第一号から第三号まで、第五号又は第六号に掲げる行爲をし又はさせたとき。  二 財産上の利益を図る目的をもつて公職候補者のため多数の選挙人又は選挙運動者に対し前條第一項第一号から第三号まで、第五号又は第六号に掲げる行爲をすることを請負若しくは請負わせ又はその申込をしたとき。 2 前條第一項第一号から第三号まで、第五号又は第六号の罪を犯した者が常習者であるときも、また前項と同様とする。  (公職候補者及び当選人に対する買收及び利害誘導罪) 第二百三十五 左の各号に掲げる行爲をした者は四年以下の懲役若しくは禁錮又は七万五千円以下の罰金に処する。  一 公職候補者たること若しくは公職候補者となろうとすることを止めさせる目的をもつて公職候補者若しくは公職候補者となろうとする者に対し又は当選を辞させる目的をもつて当選人に対し第二百三十三第一項第一号又は第二号に掲げる行爲をしたとき。  二 公職候補者たること若しくは公職候補者となろうとすることを止めたこと、当選を辞したこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて公職の公補者であつた者公職の公補者となろうとした者又は当選人であつた者に対し第二百三十三第一項第一号に掲げる行爲をしたとき。  三 前二号の供與、懲應接待を受け若しくは要求し、前二号の申込を承諾し又は第一号の誘導に應じ若しくはこれを促したとき。  四 前各号に掲げる行爲に関し周旋又は勧誘をなしたとき。 2 選挙管理委員会委員若しくは職員、役票管理者、開票管理者、又は選挙事務関係のある官吏若しくは吏員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、五年以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。公安委員会委員又は警察官若しくは警察吏員がその関係区域内の選挙に関し前項の罪を犯したときも、また同様とする。  (買收及び利害誘導罪の場合の沒收) 第二百三十六 前三條の場合において改受し又は交付を受けた利益は、沒收する。その全部又は一部を沒收することができないときは、その価額を追徴する。  (選挙の自由妨害罪) 第二百三十七 選挙に関し左の各号に掲げる行爲をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は七万五千円以下の罰金に処する。  一 選挙人公職候補者公職候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれを拐引したとき。  二 交通若しくは集金の便を妨げ又は演説を妨害しその他僞計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。  三 選挙人公職候補者公職候補者となろうとする者、選挙運動者若しくは当選人又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人公職候補者公職候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人を威迫したとき。  (職権濫用による選挙の自由妨害罪) 第二百三十八 選挙に関し官吏若しくは吏員又は選挙管理委員会委員若しくは職員、役票管理者又は開票管理者、が故意にその職務の執行を怠り又は正当な事由がなくて公職候補者若しくは選挙運動者に追随し、その居宅若しくは選挙事務所に立ち入る等その職権を濫用して選挙の自由を妨害したときは四年以下の禁錮に処する。 2 官吏若しくは吏員又は選挙管理委員会委員若しくは職員、投票管理者又は開票管理者が選挙人に対し、その投票しようとし、又は投票した被選挙人の氏名の表示を求めたときは、六月以下の禁錮又は七千五百円以下の罰金に処する。  (投票の秘密侵害罪) 第二百三十九 選挙管理委員会委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者又は選挙事務関係のある官吏若しくは吏員、立会人又は監視者が選挙人投票した被選挙人の氏名を表示したときは、二年以下の禁錮又は二万五千円以下の罰金に処する。その表示した事実が虚僞であるときも、また同樣とする。  (投票関渉罪) 第二百四十 投票所又は開票所において正当の事由がなくて選挙人投票に関渉し又は被選挙人の氏名を認知する方法を行つた者は、一年以下の禁錮又は一万五千円以下の罰金に処する。 2 法令の規定によらないで投票箱を開き又は投票箱の投票を取り出した者は、二年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。  (選挙管理機関、施設等に対する暴行罪) 第二百四十一 選挙管理委員会委員投票管理者、開票管理者、立会人若しくは選挙監視者に暴行若しくは脅迫を加え、投票所若しくは開票所選挙会場若しくは選挙分会場を騒擾し又は投票投票箱その他関係書類を抑留、毀壤若しくは奪取した者は四年以下の懲役又は禁錮に処する。  (多衆の選挙妨害罪) 第二百四十二 多衆集合して第二百三十七第一号又は前條の罪を犯した者は、左の区別に從つて処断する。  一 首魁は、一年以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。  二 他人を指揮し又は他人に率先して勢を助けた者は、六月以上五年以下の懲役又は禁錮に処する。  三 附和随行した者は、二千五百円以下の罰金又は科料に処する。 2 第二百三十七第一号又は前條の罪を犯すため多衆集合し当該公務員から解散の命令を受けることが三回以上に及んでもなお解散しないときは、首魁は、一年以下の禁錮に処し、その他は、二千五百円以下の罰金又は科料に処する。  (兇器携帶罪) 第二百四十三 選挙に関し銃砲、刀劍、棒その他人を殺傷するに足るべき物件を携帶した者は、二年以下の禁錮又は二万五千円以下の罰金に処する。 2 当該警察官及び警察吏員は、必要と認める場合においては、前項の物件を領置することが出來る。  (選挙会場等における兇器携帶罪) 第二百四十四 前條の物件を携帶して投票所又は開票所選挙会場又は選挙分会場に入つた者は三年以下の禁錮又は五万円以下の罰金に処する。  (携帶兇器の沒收) 第二百四十五 前二條の罪を犯した場合においては、その携帶した物件を沒收する。  (氣勢を張る罪) 第二百四十六 第百五十及び第百八十七第四号に規定するものを除く外、選挙に関し多衆集合し若しくは隊伍を組んで往來し又は煙火、松明の類を用い若しくは鐘鼓、ラツパの類を鳴らし、旗しよくその他標章を用いる等氣勢を張る行爲をして当該警察官又は警察吏員の制止を受けてもなおその命に從わない者は、六月以下の禁錮又は七千五百円以下の罰金に処する。  (選挙犯罪のせん動罪) 第二百四十七 演説又は新聞紙、雜誌、引札、ポスターその他いかなる方法をもつてするを問はず、第二百三十三から第二百三十五まで、第二百三十七、第二百四十から第二百四十四まで及び前條の罪を犯させる目的をもつて人をせん動した者は一年以下の禁錮又は一万五千円以下の罰金に処する。但し、新聞紙及び雜誌にあつては、なお、その編集人及び実際に編集を担当した者を罰する。  (虚僞事実の公表罪) 第二百四十八 演説又は新聞紙、雜誌、引札、ポスターその他いかなる方法をもつてするを問はず、左の各号に掲げる行爲をした者は、二年以下の禁錮又は二万五千円以下の罰金に処する。新聞紙、雜誌にあつては前條但書の例による。  一 当選を得又は得させる目的をもつて公職候補者の身分、職業又は経歴に関し虚僞の事項を公にしたとき。  二 当選得させない目的をもつて公職候補者に関し虚僞の事項を公にしたとき。  (詐僞登録、虚僞宣言罪等) 第二百四十九 詐僞の方法をもつて選挙人名簿に登録された者又は第六十一第一項の場合において虚僞の宣言をした者は、二千五百円以下の罰金に処する。 2 第二十八の規定違反して船員の名簿の提出を怠つたものも、また前項と同樣とする。  (詐僞投票及び投票僞造、増減罪) 第二百五十 選挙人でない者が投票をしたときは、一年以下の禁錮又は一万五千円以下の罰金に処する。 2 氏名を詐称しその他詐僞の方法をもつて投票した者は、二年以下の禁錮又は二万五千円以下の罰金に処する。 3 投票を僞造し又はその数を増減した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。 4 選挙管理委員会委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙事務関係のある官吏若しくは吏員、立会人又は監視者が前項の罪を犯したときは、五年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。  (立会人の義務を怠る罪) 第二百五十一 立会人が正当な事由がなくてこの法律に規定する業務を欠くときは二千五百円以下の罰金に処する。  (事前運動、教育上の地位利用、戸別訪問等の制限違反) 第二百五十二 左の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮又は一万五千円以下の罰金に処する。  一 第百四十又は第百四十七の規定違反して選挙運動をした者  二 第百四十五の規定による命令に從わない者  三 第百四十八の規定違反して戸別訪問をした者  (選挙事務所、休憩所等の制限違反) 第二百五十三 左の各号の一に該当する者は、七千五百円以下の罰金に処する。  一 第百四十二の規定による定数をこえて選挙事務所を設置した者  二 第百四十三の規定違反して選挙事務所を設置した者  三 第百四十四の規定違反して休憩所その他これに類似する設備を設けた者  (選挙事務所設置違反、特定公務員の選挙運動禁止違反) 第二百五十四 左の各号の一に該当する者は、六ケ月以下の禁錮又は七千五百円以下の罰金に処する。  一 第百四十一第一項の規定違反して選挙事務所を設置した者  二 第百四十六の規定違反して選挙運動をした者  (選挙事務所設置の届出違反) 第二百五十五。第百四十一第二項の届出を怠つた者は、二千五百円以下の罰金に処する。  (選挙運動に関する各種制限違反、その一) 第二百五十六 左の各号の一に該当する者は、二年以下の禁錮又は三千円以上五万円以下の罰金に処する。  一 第百四十九の規定違反して飮食物を提供し又は飮食物を受けた者  二 第百五十一第一項の規定違反して自動車拡声機又は船舶を使用した者  三 第百五十三の規定違反して文書、図画を頒布した者  四 第百五十四又は第百五十五の規定違反して文書図画を掲示した者  五 第百五十七の規定違反して文書図画を頒布し又は掲示した者  六 第百五十九の規定違反して新聞廣告をした者  七 第百六十四第一項又は第二項の規定違反して演説をした者  八 第百七十四の規定違反して演説会を開催し又は演説した者  (選挙運動に関する各種制限違反、その二) 第二百五十七 左の各一に該当する者は、一年以下の禁錮又は千円以上三万円以下の罰金に処する。  一 第百五十に違反した者  二 第百五十一第三項又は第四項の規定違反して証明書を携帶せず、表示をせず又は提示を拒んだ者  三 第百五十六の規定違反して文書図画を掲示した者  四 第百五十八の規定による撤去の処分に從わなかつた者  五 第百七十の規定による退去の処分に從わない者  六 第百七十五の規定違反して演説をした者  七 第百八十六第二項の規定によるガソリンその他の自動車用燃料又は用紙を正当な事由がなくて返還しなかつた者  (選挙期日後の挨拶行爲制限違反) 第二百五十八 第百八十七の規定違反した者は、一万円以下の罰金に処する。  (選挙運動に関する收入及び支出の規正運反) 第二百五十九 左の各号に掲げる行爲をした者は、三年以下の禁錮又は千円以上五万円以下の罰金に処する。但し、第二号、第三号、第五号又は第八号に掲げる虚僞の記入をした者又は第九号に掲げる虚僞の報告若しくは資料を提出した者に科する罰金は、五千円以上五万円以下とする。  一 第百九十五の規定違反して寄附を受け又は出したとき。  二 第百九十六の規定違反して会計帳簿を備えず又は会計帳簿に記載をせず若しくはこれに虚僞の記入をしたとき。  三 第百九十七の規定違反して明細書の提出を怠り、又はこれに虚僞の記入をしたとき。  四 第百九十八第一項の規定違反して支出をしたとき。  五 第百九十九の規定違反して領收書その他の支出を証すべき書面を徴せず若しくはこれを送付せず、又はこれに虚僞の記入をしたとき。  六 第二百一の規定による引継をしないとき。  七 第二百二の規定違反して会計帳簿、明細書又は領改書その他の支出を証すべき書面を保存しないとき。  八 第二百二の規定により保存すべき会計帳簿、明細書又は領收書その他の支出を証すべき書面に虚僞の記入をしたとき。  九 第二百七の規定による報告若しくは資料の提出を拒み又は虚僞の報告若しくは資料を提出したとき。  十 第二百三、第二百四又は第二百十三第二項の規定違反して報告書の提出を怠り、又これに虚僞の記入をしたとき。  (報告書提出の義務違反) 第二百六十 第百八十九、第百九十又は第二百の規定違反して報告書の提出を怠り又はこれに虚僞の記入をした者は、五年以下の禁錮又は五千円以下の罰金に処する。  (寄附制限違反) 第二百六十一 第二百十三第一号又び第二号に掲げる者が同條の規定違反して寄附をしたときは、三年以下の禁錮又は五千円以上五万円以下の罰金に処する。第二百十四の二第一項の規定違反して寄附をした者も、また同樣とする。 2 第二百十三第三号に掲げる者が同條の規定違反して寄附したときは、六ヶ月以上三年以下の禁錮に処する。  (寄附の勧誘要求等の制限違反) 第二百六十二 第二百十四第一項の規定違反して寄附を勧誘し若しくは要求し又は同條第二項若しくは第二百十四の二第二項の規定違反して寄附を受けた者は、三年以下の禁錮又は五千円以上五万円以下の罰金に処する。  (禁錮及び罰金の併科・重過失の処罰) 第二百六十三 第二百五十九、第二百六十、第二百六十一第一項及び前條の罪を犯した者には、情状により禁錮及び罰金を併科することができる。 2 重大な過失により第二百五十九、第二百六十、第二百六十一第一項及び前條の罪を犯した者も、処罰するものとする。但し、裁判所は、情状により、刑を減軽することができる。  (当選人、総括主宰者、出納責任者の犯罪による当選無効) 第二百六十四 当選人がその選挙に関し本章に掲げる(罪第二百五十八、第二百五十九第二号から第十号まで、第二百六十一及び第二百六十二の罪を除く)を犯し刑に処せられたときは、その当選を無効とする。選挙運動を総括主宰した者が第二百三十三から第二百三十五までの罪を犯し刑に処せられたときも、また同樣とする但し、当選人が選挙運動を総括主宰した者の選任及び監督につき相当の注意をしたとき若しくは選挙運動を総括主宰した者であることを知らなかつたとき又はその者が当選人の制止にかかわらず選挙運動を総括主宰した者であるときは、この限りでない。 2 公職候補者出納責任者が第二百六十の罪を犯し刑に処せられたときは、当該当選人の当選は、無効とする。但し、当選人がその出納責任者の選任及び監督につき相当の注意をしたときは、この限りでない。  (選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止) 第二百六十五 本章に掲げる罪(第二百五十三、第二百五十五、第二百五十七及び第二百五十八の罪を除く。)を犯した者で、罰金の刑に処せられたものは、その判決が確定した日から五年間、禁錮以上の刑に処せられたものは、その判決が確定した日から刑の執行を終るまでの間又は刑の時効による場合を除く外刑の執行の免除を受けるまでの間及その後五年間、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。判決が確定した後刑の執行を受けることがなくなるまでの間も、また同樣とする。 2 第二百三十三から第二百三十五までの罪につき刑に処せられた者で更に第二百三十三から第二百三十五までの罪につき刑に処せられた者については、前項の五年間は、これを十年間とする。 3 裁判所は情状により、刑の言渡と同時に第一項に規定する者に対し同項の選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず若しくは同項の五年間の期間を短縮する旨を宣告し又は前項規定する者に対し同項の十年間の期間を短縮する旨を宣告することができる。  (罪の時効) 第二百六十六 第二百五十九から第二百六十二までの罪の時効は、二年を経過することにより完成する。 2 第二百五十第三項及び第四項の罪の時効は、一年を経過することにより完成する。 3 前二項に掲げる罪以外の本章の罪の時効は、六箇月を経過することにより完成する。但し、犯人が逃亡したときは、その期間は、一年とする。  (当選人等の処刑の通知) 第二百六十七 当選人がその選挙に関し本章に掲げる罪(第二百五十八、第二百五十九第二号から第十号まで、第二百六十一及第二百六十二の罪を除く。)を犯し刑に処せられたとき、選挙運動を総括主宰した者が第二百三十三から第二百三十五までの罪を犯し刑に処せられたとき、又は出納責任者が第二百六十の罪を犯し刑に処せられたときは、裁判所の長は、その旨を全國選挙管理委員会及び関係都道府縣知事又は市町村長を経て当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に通知しなければならない。  (不在者投票の場合の罰則の適用) 第二百六十八 第六十の規定による投票については、その投票を管理すべき者は、これを投票管理者、その投票を記載すべき場所は、これを投票所、その投票に立合うべき者は、これを投票立会人とみなして本章の規定を適用する。
  71. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 本章の罰則に関する規程は、衆議院議員選挙法及びに規正法の罰則の中の一部を若干字句その他に違いはございますけれども、そのまま規定いたしたのでございます。
  72. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 この罰則中で以て全刑の價格を決めたのは何かの標準によつたのであるか、殊にこの端数なんかを大分いろいろ書いておりますが、何かやはりこれについて基準があるんですか、その点どういう工合です。もう一つ、尚非常に考慮を要することとしては罰金刑が本則において安いために、罰金刑では裁判所では滿足しない。罰金刑では刑の目的は達し得ない、額が小さいために、それがために体刑に変わるような場合が実際の裁判の上においてしばらく散見するところです。故に罰金刑を軽くして置くことは、必ずしも実際の適用の場合に不適な場合があることを考慮に入れなければならんと思います。例えば五年以下の禁錮に処す刑があるかと思えば、それに対する罰金刑は僅かに一万五千円だとか乃至は七千五百円だとかいうことになりますが、この七千五百円或いは三百円の罰金で済むような事犯に値いすべき場合においても、一万五千円しかないというようなことのために、特に体刑に廻される嫌いがしばしばあるのです。この点を深く考慮に入れて、この罰金刑は定めなければならんと思ます。額はやはりむしろ小さいことを以てよしとせず、却つて罰金刑は高く規定しておつた方が、適用の上において体刑を救うことができることを考慮に入れて貰いたいと思います。何かその標準について……。
  73. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 特段にどういう標準で以て、特にその場合が出て來ておるというようなことについて、はつきりしたことを申上げ兼ねるのでございますが、恐らくは旧罰金刑を何倍にしたというようなことではないかと思われます。それから現行法の罰金刑の重さにつきまして、特にこれを重くするとか、軽くするとかいうことについては、の仮案の起草に当つては別段に考慮いたしませんで、現行法のままにいたしたのでございます。
  74. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 私の今申上げましたことは、選挙違反としてしばしば法廷に運ばれました事件について、裁判所が法定刑の罰金刑が非常に安いというために、それでは滿足し難いために、額さえ多かつたならば、体刑にかけずして、罰金刑で救い得られるというような事件が、先程申しましたように、罰金で滿足せず、体刑でそれに変えるという場合があるといたしますならば、非常に不自由を感じますから、裁判所に裁判の自由な載量を與えて置きますることが、大体の刑罰法規の建前であるといたしましたならば、この罰金刑というのは経済事情の変つております今日においては、額を高く定めて置いた方が、適用の場合において非常に自由があつていいと思いますが、皆さんの御参考に供したいと思います。
  75. 城義臣

    城義臣君 只今の鬼丸委員に御質問、私全く同感でありますので、そこでお伺いできれば、具体的にどういうふうなことにすればいいか、基準などについてお考えあれば伺いたいと思います。
  76. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 私は実は法務委員会で以て、刑法の本則その他において、経済事情が非常に変つて参りましたために、一般にすべての罰金刑の定め方が凹凸が非常に激しくなつておりまして、これをいじりかけるというと殆んど全罰則に対するものをやらなければ徹底とないというために、余りに廣汎なために、法務廳の方においても手の付けようがなくて、今尚見送つておるような状態であります。そこでどの程度にこれを罰金刑を決めて方が適当かということについては、私何らの成案を持つておりません。ただ今日の経済状態においてお考えを願つて、新らくし作ります法律のことでありますから、その辺を皆さんにおいて、御考慮頂いて取決めをして頂いて然るべきことではないかと思います。今新らしい法規のものは別でありますが、從來ありまする形法なんかには、罰金刑で以て、例えば五十円以下の罰金に処すという法律がまだあるのです。それは而も脅迫罪のごと相当大罪でありますのに拘わらず、実に滑稽に私は思つております。のみならず滑稽だけでなく、それがためには結局処罰は何らの威力なしということになつて空文に終つております、死文に終つておりますことがあります。今度新らしく作ることでありますから、一つ思い切り罰金刑を多くして置いた方が便利かと思います。尚今素読されましたところで、私は十分に見究めておりませんが、從來の選挙違犯などにおきましては、罰金刑に処せられた場合には直ちに失格になつていなかつたと思います。罰金刑の場合には失格にならなかつた、体刑の場合に失格することに大体思つております。資格を失うという……併し罰金刑の場合には資格を失わないで、日本のあらゆる法規の建前の上において、金刑に処せられた場合には確段身分とか、資格とかいうものには影響ないのが、すべて法規の建前になつております。それに拘わらず、ここの規定によると罰金刑になつてつても資格を失うようなことが、どつかの一筋にあつたと思いますが、その点一つ併せて御考慮を願いたいと思います。
  77. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 只今の鬼丸君の御意見であります。大体私はうなずけるのでありますが、どうも今度の罰金の額を定めました標準がよく分らんから議論がし難いのでありますが、大体今までの刑法各本條等に書いております罰金が、大体五十倍ということの一つの單行法ができまして、五十倍で押えておる。そうするというと、今まで現行選挙法等においての、いわゆる罰金の額と対應して、この仮案というものは何倍くらいで押えて來ておるか、五十倍というのも、頗る物價指数といろいろ睨み合わして五十倍として、刑法各本條の罰金金額を定めて、一本の法律で纏めて來たのが、最近の実情と言いますか、五十倍という標準で押えて來ておるのかどうか、若し違つておるとすれば、選挙法だけ違えて來た理由を承わりたい。
  78. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今の遠山さんのお尋ねに対しましては、調査してお答えいたしたいと存じます。
  79. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に……
  80. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 速記ちよつと……。
  81. 柏木庫治

    委員町(柏木庫治君) 速記を止めて下さい。    午後二時十九分速記中止    —————・—————    午後二時二十七分速記開始
  82. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは速記を始めて下さい。
  83. 小串清一

    ○小串清一君 第十七條については大体この原案にあるから、これを認めますが、その細部に亘つて調査の上他日又修正をすることができるという意味で一つこれを認めることに願います。
  84. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 小串君の御意見に別に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは御異議ないものと認めます。
  86. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の点について異議ないのですが、その他の点についてちよつと述べたいのですが、それはこの第二百四十六、それから二百四十六から除かれておる第百五十及び百八十四第四号などですが、これはもうすでに決定されたことなんですが、この委員会として明らかにして置いて頂きたいと思いますのは、これが決して憲法第二十八條「勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利は、これを保障する。」とある権利を決して侵すものではない。又憲法第二十一條の集会の自由というものを決して侵すものではないということは是非明らかにして置いて頂きたいと思うのです。
  87. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 先程の遠山さんのお尋ねでございますが、一例を衆議院議員選挙法の罰則の一番初めの條文、即ち百十一條に取りますと、選挙法のできた頃、これは百円になつております。一番初めが百円なんでございます。百円が現在二千五百円になつておりますから、二十五倍になつておるわけでございます。但し現在の二千五百円と申しますのは、政治資金規正法ができましたときに二倍半にいたしたものでございます。ですから政治資金規正法が制定せられる以前には千円だつたのでございます。政治資金規正法を作りますときに、衆議院議員選挙法の罰則を一律に二・五倍にしたのであります。それで從つて端数などが出るということになつたのであります。
  88. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 今御答弁願つたのでありますが、大体この刑法各本條のいわゆる罰金ですが、これはまあ古いので、ちよちよい改正はあつたのですが、これは古い標準でしたために、総括して各本條にある罰金というものを大体五十倍、こういうふうになつて來たのであります。そうすると、その選挙法が最初のできた当時から押えて行くというと五十倍になつておるかどうか、そういう点で、全体であれも相当細かい何が物價指数等から出して來て五十倍といたようでありまするが、権衡ということがあるので、ただ二十五倍とか何とかということだけではどうも承知ができないと思うのであります。
  89. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 大正十五年現在の選挙法、いわゆる普通選挙法ができましたときの選挙法の額が百円であつた、從いまして今遠山さんのおつしやる五十倍と申しま刑法の五十倍というものは、いつ作つたかということで違うことになります。
  90. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 それは刑法は古いのでありますけれども、その後何回も改正も出て來ているのですけれども、大体物價というものが動かなかつたものでありますから、そのまま昔のままで押えておつたと思うのでありますが、十五年頃だとよく分らんのですが、若干上つてつたと思うのでありますが、ただ五十倍というものを非常に研究した上で、いろいろ議論があつて四、八十倍にした。して見るというと、十五年のときにいわゆる倍ぐらいにたつておるとすると、二十五倍で大体いいのですが、そのところの定め方がよく分らないのでありますけれども、総じて先程來の御議論を拜聽いたしておりますと、どうも罰金の額が上に低いというために懲役刑に持つて行かれるという嘘が多分にありということを鬼丸君などは力説されております。そういう点を考慮に入れますと、大体四、五十倍に持つて行くということだと大体目的が達し得るのではないか、鬼丸君の言われます議論も條文の上に直つて行くのではないかと思います。少し御研究願つて置きたいと思います。
  91. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 もう一つの点は、第二百五十六の八の小さな点ですが、第百七十四の規定に反して演説会を開催し又は演説をした者というふうにある。演説会を開催した者がその責任を問われるのは当然だけれども、演説をした人がその演説会が合法的の演説会であるかどうか知らないで演説をした場合もある。これは小さな点で、元程お話のように大体原案を認めるということにしたのですが、これも多少行過ぎておると思いますが、どうですか。
  92. 小串清一

    ○小串清一君 只今の御意見は第百七十四に、「何人も、この法律に定める立会演説会が開催される同日同時間内には、当該立合演説会の会場から三町以内の区域において、選挙運動のためにする演説会を開催することが、できない。選挙運動のために街頭演説をすることも、また同様とする。」とありますから、これはどうしても立会演説会を保護する意味においてこの條文は必要と思います。
  93. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に御意見ございませんければ、第十八章に進みます。
  94. 遠山丙市

    ○遠山丙市君 只今の小さな問題と言われましたが、これは見ようによつては小さいですが、演説会を開催した人は、これが三町以内であつたかどうかよく承知しておるが、ちよつと來てやつて呉れと言われ、我々もすぐ走つて行つて飛込んで演説をした場合、三町以内であつたかどうか分らないでやつて、主催者と同じように締められるということは穩かでないということは、これも私も同感に思います。この点は御考慮願いたいと思います。区別して処罰すぐきだと思います。
  95. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) そういうのは事実においてない……。  次に第十八章に進みます。    〔法制局職員朗読〕   第十八章 補則  (衆議院議員の任期起算) 第二百六十九 衆議院議員の任期は、前の総選挙による衆議院議員の任期満了の日の翌日から起算する。但し、任期満了する総選挙が前の総選挙による衆議院議員の任期満了の日の日翌日後行われたとき又は解散による総選挙の行われたときは、総選挙期日から起算する。  (参議院議員の任期の起算) 第二百七十 参議院議員の任期は、前の通常選挙よる参議院議員の任期満了の日の翌日から起算する、但し、通常選挙が前の通常選挙による参議院議員の任期満了の日の翌日後行われたときは、通常選挙期日から起算する。  (地方公共團体議会議員の任期の起算) 第二百七十一 地方公共團体議会議員の任期は、前の一般選挙による地方公共團体議会議員の任期満了の日の翌日から起算する。但し、任期満了による一般選挙が前の一般選挙による地方公共團体議会議員の任期満了の日の翌日後行はれたとき又はその他の事由による一般選挙が行われたときは、一般選挙期日から起算する。  (地方公共團体の長の任期の起算) 第二百七十二 地方公共團体の長の任期は、前任者の任期満了の日の翌日から起算する。但し、任期満了による一般選挙が前任者の任期満了の日の翌日後行われたとき又は任期満了による一般選挙以外の選挙が行われたときは、その選挙期日から起算する。  (教育委員会委員の任期の起算) 第二百七十三 教育委員会委員の任期は、前の定例選挙による教育委員会委員の任期満了の日の翌日から起算する。但し、第百二十八の規定による選挙が行われたときは、その選挙期日から起算する。  (補欠議員、補欠委員及び補充委員の任期) 第二百七十四 衆議院議員参議院國選出議員参議院地方選出議員又は地方公共團体議会議員の補欠議員並びに教育委員会委員の補欠委員は、それぞれ前任者の残任期間在任する。 2 市町村の議会議員定数に異動を生じたためあらたに選挙された議員は、一般選挙により選挙された議員の任期満了の日まで在任する。 3 教育委員会の補充委員は、次の定例選挙期日の前日まで在任する。  (選挙管理費用の國と地方公共團体との負担区分) 第二百七十五 選挙に関する費用で國と地方公共團体とが負担するものの区分については、本章に特別の規定があるものを除く外、地方財政法  (昭和二十二年法律第百九号)の定めるところによる。  (各選挙に通ずる選挙管理費用國庫負担) 第二百七十六 選挙に関する左に揚げる費用は、國庫の負担とする。  一 選挙人名簿の調製に要する費用  二 点字器の調製に要する費用  三 第二百六の規定による報告書の公表、保存及び閲覧の施設に要する費用  (國会議員選挙管理費用國庫負担) 第二百七十七 衆議院議員参議院國選出議員及び参議院地方選出議員選挙に関する左に揚げる費用は、國庫の負担とする。  一 投票の用紙及び封筒、第六十の規定による投票に関する特別投票者証明書及びその封筒並びに投票箱の調製に要する費用  二 選挙事務のため都道府縣及び市町村の選挙管理委員会投票管理者及び開票管理者において要する費用  三 投票所、開票所並びに選挙会場及び選挙分会場に要する費用  四 第六十の規定による投票に関する選挙事務のため特別投票管理者において要する費用及び投票記載の場所に要する費用  五 投票管理者、開票管理者、並びに投票立会人、開票立会人及び選挙立会人の職務のために要する費用で全國選挙管理委員会の定めるもの。  六 第百五十三第一項の規定による通常葉書の費用  七 第百五十九の規定による新聞廣告に要する費用  八 第百六十及び第百六十一の規定による放送に要する費用  九 第百六十二の規定により行う立会演説の開催に要する費用  十 第百七十二の規定による個人演説会のための施設に関する費用、但し、公職候補者一人につき同一施設ごとに一回を限る。  十一 第七十六第一項の規定による選挙公報の発行に要する要用  十二 第百八十二の規定による掲示に要する費用  十三 第百八十五の規定による交通機関の使用に要する費用  (地方公共團体選挙管理費用及び教育委員会委員選挙管理費用地方公共團体負担) 第二百七十八 地方公共團体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙に関する左に掲げる費用は、当該地方公共團体の負担とする。  一 前條第一号から第四号まで及び第十号に掲げる費用  二 前條第五号に掲げる者の職務を行うために要する費用当該選挙を管理する選挙管理委員会が定めるもの。 2 都道府縣知事の選挙に関する前條第八号から第十三号までに掲げる費用については、当該都道府縣の負担とする。 3 都道府縣教育委員会委員選挙に関する前條第八号、第十一号及び第十二号に掲げる費用についても、また前項と同様とする。 4 第百三十一の規定により都道府縣の選挙と市町村の選挙を同時に行う場合の費用の負担区分については、関係地方公共團体が協議して定める。  (特別市の特例) 第二百七十九 第十三及び第二十一第三項中市に関する規定は、特別市に適用する。 2 前項規定するものを除く外、この法律中都道府縣に関する規定は、特別市に適用する。 3 衆議院議員参議院國選出議員参議院地方選出議員並びに特別市の議会議員及び長並びに特別市の教育委員会委員選挙に関するこの法律の適用については、行政区を市とみなす。 4 特別市の行政区の区長の選挙に関しては、この法律の市に関する規定を適用する。 5 前四項に規定するものの外、特別市に関し必要な事項は、政令で定める。  (特別区の特例) 第二百八十 この法律中市に関する規定は、特別区に適用する。但し、第十三條第一項及び第二項の規定の適用については、これらの規定中「三箇月以來市町村の区域内に住所を有する」とあるのは「三箇月以來特別区の存する区域内に住所を有する」と読み替えるものとし、第二十七第二項及び第三十四第一項の規定の適用については、これらの規定中「三箇月以來その市町村の区域内に住所を有する」とあるのは「三箇月以來その特別区の存する区域内に住所を有し、且つ、その日においてその特別区内に住所を有する。」と読み替えるものとし、第三十四第二項の規定の適用については、同條同項中「三箇月以來市町村の区域内」とあるのは「三箇月以來特別区の存する区域内」と、「新たに市町村の区域内に住所を有するに至つた」とあるのは「新たに特別区の存する区域内に住所を有するに至り、且つ、その日においてその特別区内に住所を有する」と読み替えるものとする。  (地方公共團体の組合特例) 第二百八十一 地方公共團体の組合の選挙及びその組合に設置した教育委員会委員選挙については、法律に特別の定があるものを除く外、都道府縣及び特別市の加入するものにあつてはこの法律中都道府縣に関する規定、市及び特別区の加入するもので都道府縣及び特別市の加入しないものにあつてはこの法律中市に関する規定、その他のものにあつてはこの法律中町村に関する規定を適用する。  (財産区の特例) 第二百八十二 財産区の議会議員選挙については、地方自治法第二百九十五條の規定による條例で規定するものを除く外、この法律中町村の議会議員選挙に関する規定を適用する。但し、被選挙権の有無は、市町村又は特別市若しくは特別区の議員決定する。  (五大市及び町村組合に対する本法の適用関係) 第二百八十三 衆議院議員参議院國選出議員参議院地方選出議員都道府縣の議会議員及び長並びに都道府縣の教育委員会委員選挙に関するこの法律の適用については、五大市においては、区を市とみなし、区の選挙管理委員会及び選挙管理委員を市の選挙管理委員会及び選挙管理委員とみなす。但し、第十三條第一項及び第二項、第二十七第一項並びに第三十四第一項及び第二項の規定の適用については、第二百八十但書の規定を準用して読み替えるものとする。  (衆議院議員及び都道府縣の議会議員選挙区の特例) 第二百八十四 衆議院議員選挙区に関し、別表第一に掲げる郡の区域又は支廳の所管区域に変更があつても、選挙区は、なお、從前の区域による。但し、市町村の境界の変更があつたため又は町村が市となり若しくは市が町村となつたため郡の区域に変更があつたときは、この限りでない。 2 第二十第二項中郡とあるは、都においては支廳長の所管区域を含み、道においては支廳長の所管区域とする。  (施行に関する政令) 第二百八十五 この法律の施行に関し必要な規定は、政令で定める。  (選挙政令の立案) 第二百八十六 選挙に関する政令は、全國選挙管理委員会の立案するところにより定むべきものとする。
  96. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 補則は現行法が補則としておりますものの外に、ここへ任期の規定を入れましたのでございます。任期に関する規定を補則という形の章の中に入れますことについては如何かと思われるのでありますけれども、別段に入れる場所も適当なところがございませんし、別章を設けるには選挙基本法として如何かと思われます関係で、補則の中に入れております。内容的には現行法とそのままでございます。
  97. 鈴木直人

    鈴木直人君 任期は現行法はどこにあつたですか。
  98. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 任期及び補欠というところで、衆議院議員選挙法参議院議員選挙法とも眞ん中辺でございます。
  99. 鈴木直人

    鈴木直人君 それで私はちよつと疑問があるので御質問しますが、例えば参議院において参議院議員の資格を得たか、得る場合、これはどういう場合になりますか。これは百十五條で選挙会で決定して選挙管理委員会告示したときに初めて参議院議員の資格を得るということになるのだと思つておりますが、どうですか。
  100. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 議員たる資格が議員として始まります時期は任期の始まる日なんでございます。そして只今おつしやいましたのは、この仮案では百十五條でございまして、「第百八の規定により告示された当選人は、議員、長又は委員の任期の起算の日からそれぞれ議員、長又は委員となる。」、告示を受けるまでは当選人であり、又任期が始まるまではやはり当選人であるという形でございます。迎つて任期の始まります場合には、もとより告示を受けたときから直ぐ遡つた議員になりますが、告示を受けた後に相当の期間があつて議員の任期が始まります場合においては、その議員の任期の始まりますまでは依然として当選人という資格においておられる、こういうことになります。
  101. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、第百十五條によりますというと、議員の資格を取るのは議員の任期の起算の日からということになつておるということで、今の二百七十條によりますと、選挙期日から起算するということになりますから、この二つの條文を考えると、仮に参議院議員選挙が行われて、そうして例えば全國選出参議院議員ごときは一週間か二週間かかる場合があるのですけれども、そうして選挙会を経てそれから告示をされた、併しながらこの二百七十條によつて通常議員選挙の日に遡つて議員の資格を得るということになりますか。
  102. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) さようでございます。或る場合においては遡つてその任期を得られることがある。議員たる資格を得られることがある。
  103. 鈴木直人

    鈴木直人君 二百七十條によりますと、選挙の日から議員の任期が始まる、そうして百十五條によりますというと、その議員の任期の始まるときから議員となる。こうなつておるのだから、常に選挙の日に遡つて議員の資格が得られる。こういうことになりますか。
  104. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 通常選挙が前と申しますか、現と申しますか、まだ議員の任期中に行われることがある。任期終了後において行われる場合は常に遡るのでございます。任期終了前に行われる場合はその後に任期が始まるのでございます。
  105. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうすると、当選をした限りにおいては常に選挙の日に遡つて議員たる資格がある、從つてその告示される間、仮に一週間あつた場合には、その日の行動はいつも議員としての資格を與えられて……遡つて與えられることになりますか。
  106. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 遡ればその期間與えられることになりますが、現実の行動としてはその期間議員としての行動は許されない。告示を受ける前は議員たり得ないのですから、告示を得たときに遡つて何日か前から議員となる、こういうことであります。これは遡及する場合においては法律は大体すべての場合そういうことになると思います。
  107. 城義臣

    城義臣君 補欠議員及び補充議員の任期のところですが、第二百七十四ですね。「衆議院議員参議院國選出議員又は」云々と書いてありますが、これはこの通りなんですか。
  108. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 二百七十四條はこの通りでございます……間違いました。これは間違いでございまして、地方選出議員が落ちておるのであります。
  109. 城義臣

    城義臣君 参議院議員だけでいいのではないのですか。
  110. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) ですからそういうことになります。
  111. 城義臣

    城義臣君 もう一つ、寺光君に伺いますが、議員の任期を入れる適当な場所がなかつたと先程説明されたと思いますが、これは私素人が考えて見ても、どこか適当なところに入れなければ却つて附則に入れるのはおかしいのでありまして、これはどうですか、規定を……。
  112. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) これは一章を設けて、任期というところをどこか初めの方に規定してもいいと思いますが。   (「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
  113. 城義臣

    城義臣君 その方が形はいいと思います。ではそういうように一つ任期の点を適当に考えて頂くということに……。
  114. 小串清一

    ○小串清一君 一つお尋ねするのですが、この任期によると、例えば参議院選挙の翌日、総選挙の行われた翌日から任期があるのだから、今度の國会、來年の國会が、通常議会の終らないために選挙が五月になつた、そうすると五月三日なら三日、六月三日なら六月三日に総選挙が行われると、六月四日から任期が來るのだが、そうすると、その間段々に皆延びて行くことになりますね。先の総選挙のときも又先に上つて行つてしまう。それがやれないというから議員のあれが段々先に上つて行つてしまうでしよう。おかしいけれども仕方がないのだ。
  115. 鈴木直人

    鈴木直人君 任期に関して、現在の参議院議員の任期ですね、これは五月二日に告示されたですね、全國は………。從つて我々は四月二十日に選挙されたのだけれども、五月二日に資格を得たわけですね。從つて我々はそれと別な法律になりましたから、この法律によれば、四月二十日から結局参議院議員なつたということになるわけですな。
  116. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) ならないのでございます。
  117. 鈴木直人

    鈴木直人君 今じやないですよ。今のものを仮に例に取つて見れば……、現在おるものをこの法律に適用して見れば……。
  118. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) この仮案によりますと、やはり……。
  119. 鈴木直人

    鈴木直人君 告示されたのは五月三日でしたかな。そこでそのときから議員の任期が始まつたとされていた。憲法の問題は別として……。ところが今の任期の法律によるというと、選挙の日から任期が始まるのであるから、結局四月二十日に遡つて任期があつたということになる。
  120. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) それがそう一概に言えないのですが、この前の参議院議員選挙のときには、前任者の任期がないわけであります。從つて今のところ前任者の任期が五月二日まであつたものとお考え願いますと、四月二十日に通常選挙が行われた場合のその議員の任期は五月三日から始まるわけであります。前任者の任期が終るまでは議員でないわけであります。それが二百七十條の本文の規定なんです。そうして通常選挙が前任者の任期満了後においで行われた場合には、今度の場合を申しますと、選挙が行われました場合には、その選挙が行われた日から任期が始まるのであつて、前任者の任期が切れます五月三日からではない。これが正しいわけであります。從いまして前任者の任期満了後に総選挙が行われることが、その度ごとに繰返して参りますと、常に任期は移動するということになると思うのであります。選挙の時期が変つて來るということになります。
  121. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この前小委員会で、國庫負担の経費にしようというものがこの中に一つ拔けておるのです。それは選挙のために使用する張札、ポスターの用紙を國庫負担にしようということを小委員会では満場一致で決定したのです。だがそれが拔けておりますから、それを入れて貰いたい。
  122. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 第十八章は御意見も出盡しましたので、これを以て決定いたします。それから保留になつてつた問題を今から審議いたします。
  123. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 保留になつておりますもののうち、字句の程度のものにつきましては、作文の問題として後に案を作りまして御決定を願うことにお願いいたしたいのでございますが。実体の問題がまだ残つておるのが数件ございますので、その点について御決定願いたいのであります。大体五件あるのでございますが、第一に公務員の立候補制限に関する点でございます。
  124. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その五件を一番最初に全部おつしやつて下さい。
  125. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 特殊の公務員の立候補制限に関する件と、供託に関する事項、即ち供託金の額沒收の問題でございます。それから通常葉書の枚数の問題が残つております。それから二百八條選挙運動に関する支出金額についての基準額を決めるとか、決めないとかいう問題が残つております。それから二百二十四條に関しまして、選挙運動費用の法定額超過による当選無効の訴訟裁判所を東京高等裁判所にするという問題は、これは小委員会ではそのように決定しておりますけれども、ちよつともう一度御協議願いたいところもございますので、以上の点を御決定願いたいと思います。先ず初めは特殊の公務員の立候補制限についてでございますが、一應案を作りましてお手許に只今お配りしたのですが、これはこの小委員会で御決定になりました線と、この委員会決定になりました線と合つておりますかどうかということに少し自信を持つておらないのであります。それから字句についてはまだ十分練れておりませんので、十分御審議願いたいと思います。要するにこれは都道府縣知事及び五大市の長につきまして、離職後六ケ月間、参議院の全國選出議員と、それから当該地方公共團体の地域を含むところの選挙区の衆議院議員選挙及び参議院地方選出議員選挙立候補することができない。こういうことに一應書いたのであります。
  126. 小串清一

    ○小串清一君 これは私はやはり五大都市をちやんと言つたらどうですか。五大市とやらんで、これはどこかの法文にあつたが、福岡なんかも入つていいと思う。(「同感」と呼ぶ者あり)だから五大市と言わず大阪、横浜、神戸、名古屋、それから福岡、廣島とか京都、こういうような市をちやんと書いて、そうしてそれだけのものでやらないと、今五大市と言つても、それより勢力を持つ福岡のような所もあるし、どうだろうかと思いますがね。
  127. 小川友三

    ○小川友三君 今の案ですが、九十八條の五大市の長とやらないで、人口三十万以上の市長というふうに出したいと思いますが。
  128. 小串清一

    ○小串清一君 それはいいでしよう。都道府縣とか、人口五十万以上とか、七十万以上とか、それはいいと思います。
  129. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 修正案を出したいと思います。修正案「地方公共團体の長(但し町村長を除く)は、その任期中自発的に離職したときは、離職後の六ケ月間は、」以下同じ。
  130. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御審議願います。
  131. 城義臣

    城義臣君 只今岡本委員の修正案に対して私も賛成いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  132. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 岡本委員の修正案に対して御賛成の方は挙手を願います。    〔総員挙手
  133. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 全員挙手と認めます。それから今度は供託金の問題をお諮りいたします。
  134. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 供託金の問題につきましては、先般お手許にお配りいたしてありますところの衆議院要綱案を御覽願いまして御審議願つたら如何かと存じます。
  135. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 供託金の額につきましては、今日まで委員会においてたびたび発言をいたしまして、我々の意見のあるところを申したのでありますが、先に申しましたように、参考資料でありまするオーストラリアの選挙法におきましても、供託金は二十五ポンド、即ち時價一ポンド千円といたしますと、約二万五千円でありますが、私達はオーストラリアと日本との経済生活程度が、日本の方が十分の一くらいであると大体考えまして、それ以上に出るべきではないと考えるのであります。併しながら他会派の方々の御意見は、大体それよりも非常に多額を予想してお話になつておるようでありますが、先般來非公式の会合等におきましての御意見等も総合いたしまして、先に大体皆さんが御了解になつておりまするように、現行法における二万円の負担金を撤廃いたしまして、それを現行供託金の三万円に加算いたしましたところの合計五万円を以て供託金の額とするということに、先程も大体私的会談において御意見の御一致があつたように思いますが、我々はそれよりも遥かに少額でなければならんと考えておるものでありますけれども、極めて協調的な趣旨を以ちまして、最高併せて五万円という先程の御意見ならば、これは私だけの意見でありますが、できるだけ帰りまして我々の会派の者にも、それに協調して呉れるように勧めるようにいたしたいと思います。
  136. 小川友三

    ○小川友三君 これは選挙法でありまして、恒久性のあるものでありまして、オーストラリアの方の二十五ポンドという制限がありますが、日本の円は、或る一定の期間のうちに又金本位に切換えられる点も勘案されますので、ドルを換算しまして、何ドルというドル計算で行つた方が非常によろしいと、こう思います。これは金本位に切換えますと、うんと額が違つてしまいまして、今五万円と決めますと、今度四、五年後の五万円が今の一千万円くらいになるかも知れませんからして、ドルを中心にやりたい、かように思いますが、お諮り申上げます。(笑声)
  137. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 大体私の申しましたのは、小川さんがおつしやるように、金本位の立場で大体計算されておるかと思うのであります。尚附加えて申しますが、先般來委員会において度々意見がありましたように、地方議員と全國議員との参議院議員につきまして、供託金の額に差等を設けるということは、專ら交付されるところの葉書の数を基準にして想定されておるようでありますが、そうした葉書の数を自由にするというような考え方に反対するものでありまするし、又全國議員と地方議員との間に供託金の額の差等を設けるということも、從つてこれには反対であります。
  138. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私の方では、從來供託金の額を成るべく合理的に決めたいということで、一應無代で貰う葉書の金額ということで全國選出議員は五万枚を十万円にし、地方選出の方は三万枚であるから六万円というようにいたしました。併しだんだん皆様方からの御意見もありますから、私の方では五万円ということで同意をいたしたいと思います。
  139. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 吉川君の修正案の意見に御賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手
  140. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 全員一致であります。補足いたしますが、今のは参議院だけでありまして、後は衆議院……。
  141. 小串清一

    ○小串清一君 衆議院も参議院も同じにして、そうして負担金はなくして、参議院としては五万円の供託にして、こういうことでやつたらとうですか。
  142. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 小串君の意見に……ちよつと読上げますが、衆議院の要綱案は、衆議院五万円、参議院五万円、都道府縣の議会議員選挙が一万円、都道府縣知事が三万円、市の議会議員選挙が五千円、市長選挙一万五千円、都道府縣の教育委員会選挙二万円、市の教育委員会委員選挙一万円。
  143. 小串清一

    ○小串清一君 只今御朗読になりました案の都道府縣知事はやはり廣い区域ですから五万円でいいと思います。都道府縣の市の選挙は区域が幾らか小さいから二万円としたらどうですか。それから今申上げた外に、供託物の沒收の規定は、大分前に第一部、第二部と委員会でいろいろ御議論があつたのですが、結局有効投票総数を以て除して得た数の五分の一が國会議員、それから都道府縣の場合には……知事の場合には……こういうふうに沒收規定を適当に設ける必要があると思いますから、やはり五分の一はこの小委員会で決まつた数だと思つております。そういうふうに直して頂くことに……。
  144. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうすると、供託物の沒收はこの原案にある通りでいいわけですね。この原案は一つ速記録の方に……今読まなくても後にでも入れて貰つて、そうして原案の通り御審議願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)衆議院議員が五分の一、参議院全國選出が五分の一、地方選出も五分の一、都道府縣及び市の議会議員は十分の一、都道府縣知事と市長は十分の一、それから都道府縣及び市の教育委員会委員も十分の一。
  145. 島村軍次

    ○島村軍次君 町村の教育委員はない。
  146. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 町村の教育委員についてはないのでございます。
  147. 鈴木直人

    鈴木直人君 町村会議員もないですね。
  148. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 今の供託金の額の方の問題をはつきりお伺いして置きたいのですが、衆議院議員が五万円、参議院議員が五万円、それから都道府縣の議会議員は一万円でいいですか。第三号の都道府縣の議会議員は一万円、四号の知事の選挙は五万円、五号の市の議会議員選挙は五千円。六号の市長の選挙は二万円でございますか。
  149. 小川友三

    ○小川友三君 二万円でいいよ。
  150. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 都道府縣の議員は二万円くらいでいいじやないですか。
  151. 小串清一

    ○小串清一君 それじや市の議会議員も五千円では少いでしよう。
  152. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは都道府縣の議員選挙は大概郡市に分れているのですから一万円でよいと思う。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  153. 小串清一

    ○小串清一君 そうすると市会の議員も……。
  154. 島村軍次

    ○島村軍次君 市会は五千円でいいでしよう。
  155. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) そうすると原案の通り異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御異議ないと認めます。
  157. 鈴木直人

    鈴木直人君 ですから知事だけは五万円になる。
  158. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それはもう五万円と言つた
  159. 小串清一

    ○小串清一君 委員長、あとの分をお諮り願いまして……。
  160. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 第百五十三條。
  161. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 百五十三條の通常葉書の問題につきましては、供託金の額と睨み合せて留保するということでございましたので、御決定願いたいのであります。(「もう一度」と呼ぶ者あり)第百五十三條の通常葉書の枚数につきましては、供託金の額を決定するまで留保ということでございましたので……。
  162. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 葉書の枚数につきまして留保してあつたのは、私の方で葉書の枚数に合して供託金の金額を定むべしということを主張した関係で、留保してあつた。その問題は片附きましたから、これはもう原案通り決定つていいのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  163. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 原案通り賛成の方の挙手を願います。
  164. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 原案通りというと、衆議院、参議院おのおの三万枚ですか。(「違う違う、書いてある通り」と呼ぶ者あり)書いてあるのは何枚ですか。全國は三万枚になつておるですよ。(「全國は五万だ」と呼ぶ者あり)
  165. 小串清一

    ○小串清一君 「第百二十九第一項の都道府縣知事の選挙にあつては五千枚」これは再選挙の場合を言つたんですが、再選挙の場合は五千枚にしますか。    〔発言する者多し〕
  166. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) はつきり意見を出して下さい。
  167. 小川友三

    ○小川友三君 百五十三條の第一ですが、衆議院と参議院の地方選出の場合が、衆議院は選挙区が、例えば埼玉縣の例にしましても、一区から四区まで四分の一に埼玉縣を区切つてありますが、参議院議員選挙の場合は全縣一区であります。從つて有権者の数も四倍、三倍、七倍という都道府縣が沢山あるのでありまして、一縣一区の衆議院と参議院と同じ場合は三万枚で結構ですが、縣が幾つも割れておる衆議院の選挙と、一つの縣の参議院の地方選出の場合は、地方選出の方を三万枚にするならば、衆議院の方は一万枚か、一万五千枚程度に修正案を提出いたします。
  168. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  169. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて……。  原案に賛成の方の挙手を願います。……もう一遍挙手を願います。    〔挙手者半数〕
  170. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 同数であります。参議院と衆議院と一緒に選挙するのじやないから、参議院参議院で同じ條件でやるのだから、それは衆議院は通らないよ。それならば全國区のものは五十万ぐらいにしなければいかんよ。同じ條件でやるのだから……。    〔「委員長怒らないで」「委員長怒つち駄目だよ」と呼ぶ者あり〕
  171. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  172. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて。
  173. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは只今の葉書の枚数につきましていろいろ御議論が出ましたが、改めて次のような修正案を衆議院議員の葉書の枚数については出したいと思います。それは衆議院議員については無料葉書は二万枚、但し、全縣一区の選挙区におきましては三万枚、こういうふうに修正案を出したいと思います。
  174. 小川友三

    ○小川友三君 岡本さんの修正案に賛成します。
  175. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 岡本君の修正案に御賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  176. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 多数。
  177. 鈴木直人

    鈴木直人君 この項目においてもう一つ問題が残されていたと思いますが、これは一枚の葉書に二名以上の候補者の名前を記入したような場合においては、一名を以て一枚と計算するというようなことに小委員会においてなつていたと思うのですけれども、その点について一つ意見を頂きたいと思います。
  178. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今の議論は昨日決まつたんです。決まりましたから……。
  179. 鈴木直人

    鈴木直人君 その文句は適当に入れて貰いたい。
  180. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 それから選挙費の額はやらないのですか。
  181. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 今からやります。    〔「委員長進行」と呼ぶ者あり。〕
  182. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは選挙費用
  183. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 選挙費用算定の基礎額につきましては、御提案になりました鈴木さんからも適当に今後の問題というふうなお話でございますので、この際は問題にしなくてもいいのではないかと思います。
  184. 鈴木直人

    鈴木直人君 政令で定めるのですね。これは一つ、私はそれを決定する場合には國会の方にも相談するというような含みを以て政令に謳われるという行き方はいいと思います。併しこれを進行する上においてやはり「以下」ということをやはり決定しませんと、選挙費用は「以下」ということは非常に重要な問題です。徒らに政令に任してしまうのではいけないので、手続上では政令に任しても、やはりこの基本法決定する段階においては「以下」、ということを決めて頂きたいと思います。
  185. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 これも先般來委員会においてたびたび議論があつた問題でありますが、私達は金がなければ選挙立候補することはできないというようなことを打破しなければならないと考えておるものでありますが、そういう基本的な立場からいたしまして、これ又羽仁君の御主張に從つて、頻りにオーストラリアの憲法を引用するようでありますが、昨日も申しましたように、このオーストラリアの憲法におきましては、選挙費は参議院議員であつては百五十ポンド、それから衆議院議員であつては百ポンドと限定しておるのであります。大体におきまして一ポンド千円といたしますというと、参議院議員は十五万円、衆議院議員は十万円でありますが、先程の供託金の額が五万円ということに大体落ちついたのであります。皆さんの御賛成を得たのであります。それは向うでは二十五ポンド、二万五千円に当るもので二倍になつておるのでありますから、一ポンド千円といたしまして換算いたしましたが、オーストラリアの選挙法規定をいたしております額の二倍としまして、衆議院議員については二十万円、参議院議員については三十万円というようなことで、私の会派といたしましては総会の議を経なければなりませんが、私個人としては大体そのような基準で賛成を得られるならば、できるだけ取纒めるように努力いたしたいと考えております。大体小数の者で、今日集まつております者で話合つて見ましたところでは、今私が示しました額以上では絶対に反対だと言う者が圧倒的でありましたことを一つ御了承願いたいと思います。
  186. 小串清一

    ○小串清一君 只今の吉川君の御議論は、実は先刻から諸先生方の御意見ですから謹聽していましたが、オーストラリアの貨幣の数をすぐ日本に持つて來て、オーストラリアの物價、オーストラリアのあらゆる経済関係を調べずに、その通りにやればよいということは、私は全く無謀な御意見ではないか、私共は選挙費用は成るべく要らないようにしたいけれども、とても今の十五万円、二十万円では、本当にその通りにやるというならば、当選した者の半分以上は皆違反者になる筈です。それ故に実情に副うことにならない。先刻鈴木君の言われた通り、私は更に研究をして、そしてこの参衆両院、國会意思をとにかく表示して、それを選挙管理委員会の方で政令で以て実行するとかいう形にしなければならない。さもなければ制限上置くのですが、無制限ではこれは又実際困るのではないか、併し制限を置く以上は、今の吉川君のお話のようなことで実際に当選のできないことは、私は自動車を使いましても、先頃衆議院のときの自動車でも、一方或る方面からガソリンを使つてはいけないということで、木炭若しくは炭の自動車を使うということになつておる。それを各縣の事情を調べて見ると、自動車の数が更にオミツトされたわけであるから、非常に金がかかつておるので、一日一台一万円出したのは普通であつて、確か選挙費用にそう計算しておるところもあります。自動車だけでも一ケ月二十日間使うといたしましたならば、一台でも借賃だけで二十万円になる。それで外にポスターとか、いろいろな他の交通費等を加算して見ますと、いうと、そういうような金で実際には出られない。それでただ出られる人は同情されて、外の人がいろいろ助けて呉れるからだけれども、その選挙法の精神から行くと、助けて貰つた者に対しては、やはりその行爲を價格に評價しなければならない、かようにいたすときに、それくらいの費用で出られるということは私は考えられません。それ故に、費用制限を置くならば、実情に副う程度のものにしなければ私はならないと、かように存じまして、只今の御提案、遺憾ながら私は更に御一考を願わなければなるまいと、かように存じております。
  187. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 オーストラリアの選挙法を引用いたしましたのは、深き根拠があつて、それを唯一のものとしておるわけではないのでありまして、私の根拠につきましては、今日まで速記録にも記録されておると思うのでありますが、その他幾多のことを申上げておるのであります。結局金がなくても、適材の人材が國会議員になり、その他の議員になるということが、私達の基本的な立場なのでありますから、從つて選挙運動方法につきましては、選挙公営主義を徹底させて行くということが、我々の基本的な考えであります。オーストラリアと日本と経済生活程度において非常に差等があるというようなことは、先般來たびたび申上げておることなのでありまして、むしろ我々の方が生活程度が高いのではなくして、向うの方が十倍程生活程度が高いのであります。そうした生活程度が高い國におきましては、そうした少額の選挙費用において選挙が行われておるということを我々は考えることが必要なのであると思うのであります。又小串さんは自動車を二台使つたならば、これだけでも金が要る云々のことをおつしやつておりますが、何も自動車を使わなくても、選挙は十分やれるのであります。私のごときは自動車なんか何も使つたことはないのであります。又たびたび今日までの選挙において、これだけの法定額においては選挙はやれるものではない、実情においてそんな選挙をやれるものでないということは、專ら今度の選挙法の改正について、選挙費用の額を決定することについて言われておるのでありますけれども、一般に言われておりますることは、非常に選挙費用を余計使うというような立場についてのみ言われておるところの説が多いのでありますが、非常に少額の選挙費用を以て、小串さんのように何も他人が運動しておるのではなくして、他人の運動を勝手にすることは選挙法では違反でありますから、選挙法規に基いて、本当にその人が法定の選挙をやるだけで以て、法定額以内の選挙運動をやつております者は多数あるのであります。その者につきましては安部磯雄さんの例、その他のことを今日までもすでに申したことでありますから、繰返して申しませんが、大体におきまして、我々の会派の者の所属いたしております者のごときは、法定額以上の額を何も使わないで、いずれも当選して立派に出て來ておるのであります。十分であります。そのできる正しいところの合法的な選挙をやらないで、必らず選挙をやるならば、何百万円要るとか、或いはそれ以上の額が要るというようなことが一般の考えになつておりますことこそ、我々は破らなければならんと考えるのであります。聞くところによると、某会派の某所属議員ごときは、私達が合法的な法定額以内のそれの半分くらいの金で選挙をやりましたときに、一千万円以上の金を費して、参議院議員に出て來られたという人があるかのごとく、これは眞僞の程は知りませんが、一般に聞いておるのでありますが、そういう人が実情に副わないのであるというような立場から、法定額を非常に多額に決めようといたしまするような見解が一般的でありまするならば、それこそ我々は破らなければならんと思うのであります。オーストラリアの選挙法において、何故こんなに少額の額が規定されておるのであるかということこそ、我々が非常に考えなければならんことであると思うのであります。何も自動車を使わなくても十分選挙ができるのであります。要は選挙公営主義を徹底して、有爲の人材が、本当の適材が國会議員に金がなくても出て來られるということに、選挙法法規選挙費用の額の決定の基準を置いて頂かなければならんという立場から申上げておるのであります。ちよつと申上げて置く次第であります。
  188. 鈴木直人

    鈴木直人君 非常に御尤もな御意見であり、傾聽すべき御意見があつたのでありますが、具体的に今この金額をここで決定するということは困難であります。從つて基本法も本日で以て一應は纒めるというわけでありますから、私は先程申上げました、又今小串さんからお話がありましたように、額の決定は又この次の臨時國会もありますから、その間においていろいろ申合わせることにして、そうして一應原案の通りに、命令で以て定むると言いますか、そういうふうなものだけを決定して進んで貰いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 城義臣

    城義臣君 只今の鈴木委員の動議に私は賛成いたしますが、この際吉川委員に希望申上げて置きたいことは、折角皆さん研究された結果、自動車の数なども全國三台、地方二台と決まつておりますから、それを使わせないというようなことでなしに、それを使う者なりという前提に立つて、具体的に同会派の方々にも実情に即して、その自動車を使つた場合は幾ら要るかということ、而も今度第二百十一條の四号、五号とも削除したために計算を出さなければならんのであります。その場合はどういうようなふうになるかという実情に即したことをしなければ困難であるということを十分お話して頂きたい、私共決して費用の嵩むことは希望いたしませんから、その実情に即した、実際に具体的数字を私共出すようにいたしておりますが、吉川さんの方も十分に研究をして頂いて、早く可決いたしたいものと、私はかように一言希望を申上げて置きます。
  190. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 鈴木君の意見はこの原案通りでありますが、御賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  191. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 多数。それからもう一つございますが……。
  192. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 第二百二十四條に関連してでございます。第二百二十四條につきましては、これに該当します参議院議員選挙の場合におきましては、東京高等裁判所に出訴することになつておるのでございます。併しながらその他の選挙におきましては、一般に高等裁判所に出訴することに規定がなつております。当委員会の小委員会におきまして、この二百二十四條の訴訟を東京高等裁判所にという多数の御意見でございましたのですけれども、他の選挙とすべて一括して規定いたします建前を取りますと、少しその点如何かと思われましたので、仮案の方は一括して高等裁判所というふうに規定いたしました。從いまして他の選挙における該当の訴訟等と比照されまして御檢討願いたいと思うのであります。
  193. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 私少しく補足いたしますが、第十六は、先程一括いたしまして、原案通りということになつたのであります。ところがその中の二百二十四條が、今寺光君の申しました通りに、外の選挙は縣会も、何も高等裁判所と全部なつておりますのに、参議院の小委員会で大野君の御意見で、参議院たけは東京の高等裁判所、こういうことにいろいろ議論がありまして最後に決まつた。それで参議院の小委員会意見を措置をするという意味で、もう一度ここに上せまして再確認いたしたらどうかと思います。そうしなければ基本法といたしまして体裁が成立たない。
  194. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の御説明でしたが、私達の了解してりますのは、費用超過による選挙無效の訴訟は東京高等裁判所に出訴すると、こういうふうになつてつたと思います。ところが今日のこの罰則のところを見ますと、無效の訴訟というものは沢山あるのですね。費用超過のときだけを高等裁判所に訴えるということもどうかというふうに、実は今日罰則の方を考えて、却つて高等裁判所の方がいいんじやないか、單に費用超過のことだけを東京高等裁判所に出訴するということもどうだろうかという感じを持つてつたわけであります。ただこれは大野君が非常にそれ主張された御本人で、その主張は尤もだと思つて私達は賛成したわけなんですが、その御本人の大野君がおられないのですけれども、外の方方はどういう御意見ですか。
  195. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 全國区の場合には東京でいいけれども、その他の場合にはやはり各高等裁判所でいいじやないですか。一つ訴訟というものは訴訟関係人が非常に多いのであるから、一々東京に持つて來るというのは非常に煩わしい、大変なことになると思います。殊に費用超過というような関係者の多い場合に、一々東京へ持つて來て、東京で審判しなければならんという理由は立たないのじやないかと思います。
  196. 小串清一

    ○小串清一君 私も今の鬼丸君や鈴木君の意見に大体賛成します。それで大野君に了解を得るようにしたらどうですか。実際は不便になるんだろうと思うのです。そうして又理窟がおかしいと思うのです。或る問題だけは東京の高等裁判所に持つて來る、外のものは地方でやるということは……、これは高等裁判所でやるということが却つて穩健じやないのですか。又便利じやないのですか。
  197. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは原案に御賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  198. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 多数。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  199. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて。
  200. 小串清一

    ○小串清一君 第十五の参議院議員選挙資格につきましては、私は参議院と衆議院とのあり方を変えたいという意見の上から、十分世故に熟練した人を採るという形で、いわゆる不惑の年、即ち四十年以上の者ということに修正意見を提出いたします。どうぞ皆さん御賛成を願います。
  201. 城義臣

    城義臣君 只今の小串君の修正意見賛成をいたします。
  202. 小川友三

    ○小川友三君 十五の修正意見ですが、二十五歳以上、もう三十になれば大体不惑の年ですから、この原案に賛成しまして、修正意見に反対いたします。
  203. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に御意見もございませんようですから、小串君の出された修正意見賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  204. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 多数。これで選挙基本法案要綱(仮案)についての一通りの審議を終つたわけであります。  つきましては、議院に本調査の報告書を提出しなければなりませんが、報告書には種々御議論のあつた経過は勿論述べなければなりませんが、一應の締めくくりとして、法制局立案の仮案の各條項について、本委員会における多数意見と認められるものを、本委員会の作り上げた一應の選挙基本法要綱案として添えて報告書を提出することについて御賛成を得たいのであります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御異議ないものと認めます。本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますから、御賛成の方は順次御署名を願います。多数意見者署名  小串 清一  鈴木 直人  大畠農夫雄  吉川末次郎  城  義臣  遠山 丙市  伊東 隆治  鬼丸 義齊  飯田精太郎  岡本 愛祐  宿谷 榮一  島村 軍次  小川 久義  小川 友三
  206. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本委員会における調査の方針、経過及び一應の結論を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御異議ないものと認めます。  それではこれにて本委員会を終ります。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    理事            大野 幸一君            小串 清一君            鈴木 直人君    委員            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            城  義臣君            遠山 丙市君            伊東 隆治君            鬼丸 義齊君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            宿谷 榮一君            島村 軍次君            羽仁 五郎君            小川 久義君            小川 友三君   法制局側    参     事    (第二部長)  寺光  忠君    参     事    (第二部第二課    長)      杉山惠一郎君    主     事    (第二部第一課    勤務)     木内  茂君    主  事  補    (第二部第一課    勤務)     松澤 浙一君