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1949-10-17 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月十七日(月曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   —————————————
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から委員会を開会いたします。小委員会における参議院選挙法案の立案の経過を御報告いたします。小委員会は九月十二日から二十日まで参議院選挙法要項仮案の第一部、第二部に從つて審議をいたしました。尚要項中に載つてない事項は本委員会において各委員から問題を提出されたいということに終りました。最後は菊井君に報告をいたさせます。菊井君。
  3. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 小委員会におきます要綱審議経過大要並びに結果につきまして、委員長の命によりまして御報告いたします。  要綱仮案の第一部につきましては、第六、第七、第十を除く外の部分全部につきましては、別に御意見もなくて原案を了承するということに意見の一致を見たのであります。併し第六の投票立会人決定の問題につきましては、原案通り届出主義を可とする意見と、衆議院議員挙法に準じて職権選任主義によつた方がいいという意見と対立いたしましたが、結局原案を可とする意見が多数でありまして、原案通りとすることに決定いたしました。  次に第七の供託金及びその沒收率の問題につきましては、供託金金額につきまして、十万円説、五万円説、三万円説等いろいろ多数に意見が分れました。又その沒收率につきましても原案の五分の一及び十分の一の二つに分れましたが、種々論議を盡しました結果、供託金全国選出議員については十万円、地方選出議員につきましては六万円、沒收率原案の五分の一とする意見が多数でありまして、供託金三万円沒收率十分の一の説は非常に強い主張でありましたので、未決定のまま本委員会においてそれをそのまま報告するということに相成つたわけであります。  第十の費用超過による当選無効の訴について、出訴裁判所全国高等裁判所とする原案につきましては、大野委員から選挙訴訟という特殊事情からして、東京高等裁判所專属管轉にすべきであるという意見が述べられました。各委員もこれに賛成しました結果、結局東京高等裁判所にするということに決定いたした次第であります。結局これは現行法通りということになつたわけであります。以上で第一部の分を終りまして、第二部の問題に入りました。  第二部につきましては、選挙運付関係が中心となつております関係上、非常に多くの議論が出たのであります。第一の選挙事務所設置の数の問題でありますが、(一)全国選出設置箇所十五箇所、但書の一都道府県設置し得る事務所の数、これも原案通り決定いたしました。(二)の地方選出につきましては、衆議院議員選挙の場合における、選挙区毎に設置し得る事務所の数と合致した数と同一数ということに修正いたしまして、それぞれ多数意見がかように一致したのであります。併し全国選出議員につきましては、選挙事務所は四十六箇所、地方選出議員については郡市の区域毎に一箇所づつ設置し得るようにすべしという意見がありましたが、結局只今申上げたように決定なつたわけであります。尚(三)(四)につきましては、原案通り決定になつたのであります。  第二、第三、第四につきましては別に大した論議もなく原案通り決定になりました。  第五の戸別訪問につきましては現行法通り禁止するということに決定になりました。但書の点につきましては、候補者が知人を訪問することは個々面接となるということを明確にして置くということで決定になつたのであります。  第六につきましては別に論議はなくて原案通り決定になりました。  第七の選挙費用の問題につきましては原案通り決定になつたのであります。併し「額を害状に合わせる」という点に関しましてはいろいろ論議がございまして、結局選挙管理委員会が、基礎金額を算出する場合に愼重に運ばなければならないということで、結局その場合に十分考慮されたいということで原案通りとなつたのであります。  第八の経歴公報の字数の問題につきまして、全国選出につきましては、三百字、地方選出につきましては二百字とするという原案に対しまして、全国地方とも二百字とするということにつきまして、結局現行法通り決定になつたのであります。  第九の立会演説会の問題につきましては、本文については原案通り決定になりました。(一)の代理者演説回数を三分の一とする原案につきましてはいろいろ論議がございまして、選挙演説は本人が行うべきものであるという立場から、代理者演説回数はできる限り少くした方がよいという意見がありまして、現行法通り五分の一を主張する意見もあり、或いは候補者病気等の特殊の場合におきましては、二分の一くらいは認めた方がいいのではないかという意見もありましたが、結局原案の三分の一とする説が多数を占めて、そのように決定なつたわけであります。(二)から(八)までの問題は別に大いした論議もなく原案通り決定になりました。(八)の立会演説会場秩序維持につきまして、選挙管理委員会委員又は職員に権限を持たせるということに関連しまして、警察官の処置について規定する必要の有無が論議の対象になりましたが、結局規定する必要がないということで、原案通りとなりました。  第十、第十一の演説会の問題は原案通り決定になりました。ただ十の個人演説会の開催は自由であるけれども、公営施設を使用する場合には、同一施設について一回を限り無料とすべきであるという意見がございまして、多数の賛成によつてその趣旨附加すねということになりました。  尚第十、第十一に関連いたしまして、駅とか車中等における演説はどうするかという問題が出たのでありますが、これは管理者の許可を要するか、どうか、それぞれの規定に一任して、この選挙法におきましては、別に規定する必要がないというように意見が一致いたしました。  第十二は、原案通り決定になりました。  第十三の(二)の放送回数につきましては、技術的な面があるので回数につきましては保留になりましたが、それ以外の点につきましては原案通り決定になつたのであります。  第十四の新聞広告の問題につきましては原案通り決定されました。  第十五は但書を削除して原案本文通り決定になりました。即ち公営による新聞広告以外の新聞による選挙運動は禁止するということになつたのであります。尚この点につきましては、新聞選挙運動は自由であるべきだというようなインボデン声明経過に関しまして、選挙管理委員会吉田局長からその経過につきましていろいろ説明を聽取いたしたのであります。  第十六につきましては、(一)(二)ともに原案通りと多数を以て決定になりました。但し(一)におきましては、全国選出地方選出と組んで頒布することを自由とするかどうかということが、非常に問題になりましたが、結局原案通りでよいという出見が多数でありました。尚葉書の枚数全国三万、地方二万という意見もあつたのであります。  第一七は文書図画の掲示を制限する問題でありますが、第二号の貼札が削除するということになりまして、他の部分につきましては原案通り決定になつたのであります。  第十八の貼紙の枚数全国選出三万枚、地方選出六千枚という原案に対しまして、いろいろ審議の結果、全国選出は二万枚、地方選出は四千枚に修正することになりまして、他の部分につきましては原案通り決定になりました。  第十九、第二十につきましては原案通り決定になりました。  第二十一は、年賀状、暑中見舞等挨拶状頒布は禁止するということにいたしまして、本文中にこの趣旨を入れるということに決定になりました。  第二十二から第二十四までは別に大した論議もなく原案通り決定になりました。  第二十五は名称連呼を禁止すべきであるということになりまして、結局二十五の行為全部を禁止するということになつたのであります。  第二十六は原案通り決定になりました。  第二十七の問題につきましては「用紙及び」というところを削ることにいたしまして、他の部分原案通り決定になりました。尚ポスターに使用するための用紙交付につきましては、公営とするということに決定になつたのであります。この点につきましては反対意見といたしまして、用紙候補者負担にすべきであるという少数意見がありました。  第二十八の国庫負担経費につきましては、原案の一から五までの外に、ポスターに使用する用紙交付に要する経費個人演説会場として公営営造物設備使用に要する経費、これは「同一施設ごと候補者一人につき一回限り」という括弧附で、国庫負担とする二項目を追加するということに原案の修正をした上で、決定になつたのであります。  第二十九は、候補者公営使用の一部を負担しないということとして、原案を削除することに決定になりました。  第三十、第三十一につきましては、原案通り決定いたしました。  大体小委員会における審議経過並びに結果につきまして大要御報告いたしました。
  4. 小川友三

    小川友三君 第十六條の文書図書頒布の問題ですが、これについて投票立会人及び開票立会人を依頼するという文書の点につきまして、小委員会におきましては御質問が出たと思いますけれども、どういう工合になりましたのでしようか。各選挙におきまして投票立会人開票立会人依頼状を出すということは制限がないことになつておりますので、相当巧妙に沢山の文書を出しておりますけれども、これはどういう工合になりましたかお伺い申上げます。
  5. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) その点につきましては小委員会におきまして御意見もありましたが、候補者一人について何万枚こういうふうに規定いたしますと、結局その枠の中で文書図画頒布をするということになるということでございました。
  6. 小川友三

    小川友三君 従来の選挙におきましては、投票立会人又は開票立会人を依頼する文書の数につきましては、制限が全然ないのであります。この無制限なるところの規定を利用しまして、何千通或いは何百通或いは何万通の文書を巧みに出すことができ得るのでありますが、この点につきまして結論としましては小委員会はどういう工合になりましたのでしようか、お伺い申上げます。
  7. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) そういう点につきましては、小委員会で別に意見はなかつたのであります。
  8. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて。    〔速記中止
  9. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて。お手許に届けてあります選挙基本法案要綱仮案について寺光君に説明をして頂きます。
  10. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) お手許選挙基本法案要綱仮案と称するものをお配りいたしたのでございますが、これは前回の当委員会の御決定に基きまして、法制局において担当者が全力を盡してともかくここまで作り上げたのでございます。ただ非常に時間が短かくございました関係上、後半の部分印刷がこの本日の委員会に間に合いませんで、夕刻にならなければできないというような事態ができましたことは、甚だ申訳ないと存ずるのでございます。一応この仮案につきまして概略的な概観だけを申上げて御参考に供したいと思います。  お手許に配付いたしてございます仮案は先程印刷の方から帰つて参りましたばかりでございまして、正誤等はまだ全然いたしてございません。従いまして明日あたり正誤表等を作りましてお手許に差上げますまでは、小さな字句の点につきましては間違いも間々あるということを御了承願いたいのであります。  それから仮案を作ります過程におきまして、衆議院法制局で作りました要綱と比べまして、若干字句の点であるとか若しくは立法上の体裁というようなものとかという点においても手入れをいたしましたし、それからその他細かい点におきましてはあちこちに條文の入れ替え、それから内容についても若干の変化というようなものもございますけれども、それらの細かい点につきましては、逐條等の御審議の際に申上げることにいたしまして、ここでは概略だけ申上げたいと思います。  先ず初めに御審議の御便宜から申しまして、衆議院基本法案要綱現行法と異つております非常に重大な点の一、二を申上げたいと思います。衆議院要綱によりますと、先ず第一に選挙権につきまして、地方公共団体議会議員及び長につきましての住所の要件を六月以来というところを三月以来に縮めております。この点は仮案におきましてもそのまま踏襲いたしております。  それから第二には、現行衆議院議員選挙法の八條及び九條に規定しておりますところの被選挙権制限を、被選挙権の関する限りにおいてはそのままにいたしまして、立候補についての制限に変えております。これも仮案の方で、そのまま採入れました。  それから選挙人名簿につきまして基本名簿というものと補充名簿というものの二本建にすることにいたしております。尚基本名簿につきましては船員に関しまして特別の特例を設けております。それから基本名簿に登録いたします要件が、従来六月以上というようなことになつておりましたのをやはり三月以上というように改めております。  第四に衆議院議員任期満了によります総選挙につきまして、その選挙期日現行法任期滿了の翌日ということにいたしておりますが、それを参議院議員選挙の場合と同じように任期滿了前三十日に総選挙を行うという形にいたしております。それから地方議会議員選挙及び地方公共団体の長の選挙の名前を総選挙というふうに言つておりましたのを、一般選挙という言葉に改め、それから教育委員選挙通常選挙と言つておりましたものを定例選挙というふうに改めております。従いまして選挙の種類は衆議院における総選挙参議院における通常選挙地方議会及び公共団体の長における一般選挙教育委員会における定例選挙というふうな用語の差をつけて、事態をはつきりさせて置くということであります。  それから投票に関しましてでありますが、投票に関しまして現行法がとつております自筆主義を放棄いたしております。文盲等によつて自筆による投票のできないものに対しては代理投票制度を認めるということにいたしておるのでございます。  それからもう一つ申上げなければなりませんのは議員当選した場合に当選人の辞退又は承諾ということをやめたことでございます。当選人に関しましては当選を辞退するとか、承諾するとかいうことを全然認めないという建て方にいたしております。  その次に参議院法制局案としての仮案につきまして衆議院案と異る点を二、三申上げたいと思います。それは先ず第一に参議院全国選挙とそれから地方選挙とを、独立の選挙という建前で一貫することにいたしたのでございます。参議院議員選挙というものに二種類あるということはその通りでございますが、選挙法建前としては大体独立して考える方がいいのではないかということから、基本法仮案の建て方を参議院議員選挙につきまして全国地方の二本建にするということで進んでおるということでございました。  これから選挙期日につきまして教育委員会委員任期滿了による選挙は、現行法におきましては任期滿了の三十日前ということになつておりますのを、衆議院任期滿了の翌日というふうに改めております。これをやはり現行法と同じように定例選挙につきましては前三十日というふうにいたして置いたことでございます。  投票立会人につきまして衆議院の案によりますと職権專任主義をとつております。これを当委員会の小委員会における多数の方の御意見によりまして届出主義ということに改めました。もとより開票立会人選挙立会人については届出主義でございます。  それから選挙会及び選挙分会でございますが、これにつきまして現行法選挙長及び選挙会長制度を置いておるのでございます。ところがこの選挙長及び選挙分会長というものが制度としてどの程度に必要であるかということをいろいろ考えましたところ、管理委員会委員長をしてやらせれば足りるのではないかというので、選挙会事務当該選挙管理委員会委員長をしてやらせるということにして、今までややもすれば不明瞭といえば不明瞭であつた選挙長及び分会長というような制度をやめたのであります。  その次に、供託金制度を廃止いたしまして濫立候補を防止するという建て方は別途の方法によつて考える、若しくは考えないというふうなことにすべきだということにいたしたのでございます。  次に選挙公営に伴いますところの費用を分担する分担金についてでございますが、衆議院要綱案によりますと、これが二万円ということになつておりますのを五万円というふうに上げたのでございまして、この点は供託金の廃止と睨み合せて考えられたというふうに御了解願いたいのであります。  次に当選人についてでございますが、当選法定得票衆議院案によりますと、参議院全国選出議員につきまして四分の一というふうにいたしておるのでございますが、それをやはり現行通りに八分の一に改めております。  又補欠選挙につきまして、参議院地方選出議員につきまして、同一選挙区で二人以上欠員が生じた場合でなければ補欠選挙を行わないといたしております衆議院案に対しまして、現行法通り四分の一ということにいたしておる次第でございます。  次に選挙運動についてでございますが、選挙運動についての衆議院案との相違は本当細かいことになるのでございますが、四つ五つその点についてだけ申上げた置きます。先ず衆議院の案によりますと、選挙運動については期間を冒頭に法定いたしておるのでございます。それによつて選挙運動始期選挙運動終期とを定めるということをいたしておりますが、選挙運動終期を明らかに決めてしまうということは後の條文におきまして立法上支障を来す点があり、複雑さを生じますので、やはり現行法と同じように選挙運動始期だけを法定いたしまして、それから後個々選挙運動について、選挙当日の運動の許すべきもの、許すべからざるものを法定するという形を採つたわけであります。  それから教育者のその地位を利用する選挙運動に関しまして、衆議院案によりますと、現行法の上に「教育上特殊の関係のある地位」ということで「教育上」という三つの字を入れておるのでございまして、その代りに「二十歳未滿の者に対する」という言葉を取つておるのでございます。そこで仮案におきましては「教育上特殊の関係のある地位」ということはその儘といたしましても、二十歳未滿というのを削除することは如何かと思いましたので現行通り復活いたしております。  次に衆議院参議院地方選出議員地方公共団体の長、それから都道府県教育委員会委員につきまして、衆議院案拡声機の外に自動車及び船舶につきまして各一台としているのでございます。それを当小委員会の御意見の線に副いまして自動車及び船舶について各二台ということにいたしております。  それから新聞広告につきまして、衆議院案政党等新聞広告を認めておらないのであります。それでこれも当小委員会における御決定のように政党についても個人の外に一回を限り新聞広告を認めるということにいたしました。右のようなことが選挙運動に関する違うところでございます。  次に選挙運動費用に関しまして、政治資金規正法の中で、政党選挙運動のために支出いたしますところの費用及び第三者が選挙運動のために寄付等をいたします場合についての規定衆議院案には載つておらないのであります。それをやはり選挙運動に関連するものについての規正規定として、政治資金規正法の中から本仮案の中に取入れることにいたしました。  次に当選訴訟についてでございますが、当選人被告とするということが一種の便宜とはいたしましても、行政訴訟建前から又この仮案が持つております選挙管理委員会を表に持ち出す考え方からいたしまして如何かと思われますので、一切の当選訴訟といたしまして選挙管理委員会委員長被告とし、当選人訴訟に参加させるという形を取るということにいたしたのであります。一応気が付きました現行法及び衆議院要綱しの相違点を申上げたのでございますが、細かい点は逐條等の御審議の際に申上げることにいたします。
  11. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  12. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて。それでは選挙基本法案要綱仮案について今から審議をいたします。第一章総則寺光君。
  13. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 第一章総則の中には基本法案といたしましても、特に総則的なものを羅列するということにいたしたのでございます。この中には現行参議院議員選挙法の中に総則として掲げられてありますところの事項のうち定数に関する規定を除きまして、定数に関する規定はこの仮案に挙げております総則規定に比較いたしまして、やや総則的観念から離れるとも思われますので、第二章に別章として規定いたしたのでございます。衆議院案によりますと、これが総則の中に定数規定が入つておりますが、そのため衆議院案によりますと、地方公共団体議会議員定数については地方自治法の定めるところによる、教育委員会委員定数については教育委員会法の定めるところによるというふうな規定に基いているのでございます。さような規定の仕方よりもやはり定数というものは基本法に明らかにしておいた方がよかろうと思いましたので、別章としてやや細かくなる虞れもありますけれども、地方公共団体及び教育委員会につきまして共に定数を明らかにするというふうにいたしたのでございます。    〔法制局職員朗読〕    第一章 総則   (この法律目的)  第一 この法律は、公選による選挙に関する制度を確立し、選挙選挙人の自由に表面する意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。(この法律適用範囲)  第二 この法律は、衆議院議員参議院全国選出議員参議院地方選出議員地方公共団体議会議員及び長並びに教育委員会委員選挙(以下各選挙という。)について適用する。(公職候補者の意義)  第三 この法律において公職候補者とは、衆議院議員参議院全国選出議員参議院地方選出議員地方公共何体の議会議員及び長の選挙において候補者として届出をし又は推薦届出をされた者及び教育委員会委員選挙において候補者として推薦届出をされた者をいう。(選挙事務管理)  第四 この法律において選挙に関する事務は、参議院全国選出議員選挙については全国選挙管理委員会が、衆議院議員参議院地方選出議員都道府県議会議員及び都道府県知事並びに都道府県設置する教育委員会(以下都道府県教育委員会という)の委員選挙については都道府県選挙管理委員会が、市町村議会議員及び市町村長並びに市町村設置する教育委員会(以下地方教育委会という。)の委員選挙については市町村選挙管理委員会が、それぞれ管理する。(選挙事項の周知及び棄権防止)  第五 全国選挙管理委員会都道府県選挙管理委員会及び市町村選挙管理委員会は、投票方法選挙違反その他選挙に関し特に必要と認める事項選挙人に周知せしめるとともに、棄権防止につき適切な措置を講じなければならない。  2 選挙人に対しては、特別の事情がない限り、選挙の当日、その選挙権を行使するために必要な時間を與えられなければならない。(選挙取締公正確保)  第六 検察官、都道府県及び市町村公安委員会委員並びに警察官及び警察吏員は、選挙取締に関する規定を嚴格に執行し、選挙の公正を確保しなければならない。(特定地域に関する特例)  第七 交通至難の島その他の地において、この法律規定を適用し難い事項については、政令で特別の定をすることができる。
  14. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 第一の目的については別段に申上げることもございません。第二は適用範囲を定めておるものであります。第三の公職候補者の意義のところにおきましては、一般には本人の届出及び推薦届出を認めましたけれども、教育委員会委員選挙についてだけは現行法と同じように推薦届出だけにいたしたのでございます。その趣旨は後の公職候補者の立候補の届出の際に細から規定がございますが、そこのところを受けることにいたしたのであります。  第四の選挙事務管理に関する規定は、衆議院議員選挙法の第十九條の二、蕨議院議員選挙法の十二條、地方自治法の百八十六條の規定を受けたものでございます。ただ選挙管理委員会の間における指揮命令に関する事項につきましては、選挙管理委員会法において規定をすべきものであると考えまして、ここではただ管理に関する規定だけを置きました。  第五の選挙事項の周知及び棄権防止に関する規定は、衆議院議員選挙法の百四十條の二に規定するものでございます。  第六の選挙取締の公正確保は、衆議院議員選挙法百四十條の三の規定であります。  次、特定地域に関する特例は、衆議院議員選挙法百四十六條の規定であります。特段に申上げねばならんこともないと存じます。
  15. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 第一章に規定されておりますことは衆議院基本法と対照しますと変りはないのですか。
  16. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 第一章におきましては、衆議院基本法には先程申上げました議員定数に関する規定があるのでございますが、それを第二章に讓りました。  それから第一の目的につきまして細かいことを申上げますれば、衆議院は「この法律は、日本国憲法の精神に則り、」という言葉を上に被せておるのであります。そうしてその後に「国会議員並びに地方公共団体議会議員及び長、並びに教育委員会委員を挙げておるのでありますが、一番初めに日本国憲法の精神に則りという言葉は強いてここに挙げる必要もないと思いましたので、次に挙げておる選挙の種類につきましては第二の方で明瞭にいたしておりますので、それを省いた方がすつきりすると思いましたので、公選による選挙に関する制度ということだけを第一に持つてつております。以上が違う点でありましてその他は大体同じであります。
  17. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 第一章中にも書いてありますが、特に参議院に関して全国地方とを区別してここに明示しなければならない理由は何かあるのでしようか。  それから第二としては全国選挙管理委員会の職務規定というのか、執行規定について何か特に特別な規定があるのか、或いは第五の規定に基いて全国選挙管理委員会の、全国のみでなくその他の選挙管理委員会の職務範囲はこれに根柢を置くものなんですか。
  18. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 一番初めの参議院議員選挙についてでございますが、これにつきましては、若し参議院議員選挙と一本で行きますと、後の方で各所におきまして必ず区別をしなければならんところが多いのでございます。殆んど参議院選挙につきまして全国地方とが共通の規定になるということはむしろ稀なんでございまして、従つてそれならば独立した選挙という観念といたしまして、基本法には規定をいたす方が便宜でもあり、そしてそれによつて実体は支障を来さないものという観点からさようにいたしたのであります。若し参議院議員選挙ということで一本にいたしまして、そうしてその必要な場合毎に地方それから全国に分けるといたしますと、規定の仕方が常に二段になるのでございます。一例として申上げますれば、「投票は各選挙につき一人一票に限る。」という規定を置きますと、その後に必ず又、但し参議院議員選挙については地方及び全国選出議員につき一人一票とするというような但書を置かなければならないことになる。そういうふうなことの煩わしさを避けるという一種の立法の技術と、それから実体上に差はないという考え方からそういうふうにいたした次第であります。  それから第四の、今の管理委員会の職務権限等に関する規定は別途管理委員会法、只今あります全国管理委員会員会法、只今あります全国管理委員会法の改正によつて始末を付けなければならんかとかように考えておるのであります。
  19. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうしますと法文の付け方から見ると何だか諄くなるかも知れませんけれども、参議院の中で以て根柢において同質なものであるならば同質なものを基本として若しその取締について規定を別にしなければならんというふうになるならば、その場合に分けることの方が筋の通つた行き方ではないかと思います。同質のものを殊更冒頭から別種な取扱いをするということはこれは法文の規定を整理する必要から、やがては参議院地方区と全国区とを別なものの扱いをするというふうな嫌いがあると思います。同質であるが基本はやはり一つでなければならないと思うのですが、その点はどうでしようか。ただ單に区別したのは法文の体裁を便ならしめる意味において区別するだけであるとするならば、甚だどうも規定としては少し筋違いではないかと思います。  それから御説明なつた第五の点ですがこの点はそうするとこの選挙法基本法からは抜かれるわけなんですが、別な委員会の方にこれを取つて行くのですか。この周知及び棄権防止については特にこの項目に関しては別に選挙管理委員会法によつてつてつてしううことになるのですか。或いは委員会法中の職務の一部というものを基本法内に立つということになれば非常に散逸する嫌いがありはしないか、その点如何でしようか。
  20. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 一番初めの方のことでございますが、選挙という観点から見ますと全国議員地方議員とを区別して立法して支障のないものというふうに考えたわけであります。そこのところがこれが選挙に関する法律であるという点を御了承願えるのじやなかろうかと思うのです。  それから次の点でございますが、それは只今私の申上げましたのは言葉が足らなかつたかと思いますが、全国管理委員会都道府県管理委員会及び市町村管理委員会の相互関係の指揮監督に関する規定現行法にあるのでございます。上下の関係その上下に関する規定はこれを管理委員会法という別途の法律規定いたしたいということでございます。  それから全国選挙管理委員会法が現在持つております職務権限の規定が若干ございますが、あの一号から七八号まで羅列しております権限は、この仮案によりますともう少し執行の面において強化されなければならないことになりますのでその点についての改正規定は置かなければならんかと思つております。  第五の方のこの選挙事項の周知及び棄権防止はお言葉通り管理委員会の権限としてここに掲げてあれば、向うの局理委員会法の中に入れるべきじやないかという御意見も御尤もでありますが、選挙基本法としましては、一応この総則規定に挙げて置く方が適当ではないかと考えまして、ここに挙げたのであります。
  21. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると第五の選挙管理委員会の職務規定その他というものは、この基本法とそれから委員会法との二つに分れて活動分野を規定することになるのですか。一括して選挙管理委員会に対する組織並びにその職務権限を、一つの法案中に特に纏めるというわけには技術的に行かないですか。
  22. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 例えば選挙管理委員会という一章を設けることも、只今御説を聽きますと考えなければならぬことになりそうでございます。ただこの仮案を作ります過程におきましては、別途の案として残すということで実はやつて参りましたので、この仮案の中に含ましめることが絶対に不可能ということはないかと思います。
  23. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると或いは選挙管理委員会法において法文の整理をする場合に、これを持つてつてしまうということも、必ずしもこの基本法の骨抜きになるという理由にはならないですね。別な法律ができるのであるならばそれの方に一切を取纏めてしまう方がいいのじやないですか。その管理委員会のこれを取除いて、ここに特に持つて來なければならぬという理由がどこにあるかということです。
  24. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 全国選挙管理委員会法を御覧くださいますと、全国選挙管理委員会にはそれぞれの委員の選任方法等に関する規定が細かくございます。そういうことまで皆取入れますことが煩わしいといえば煩わしうございますし、又現行法選挙管理委員会に関する規定を、全国については單行法を作つており、地方委員会につきましては地方自治法等に規定いたしております関係上、別途に規定もいたしても支障のないものだというような、現行法尊重というような考え方から、この仮案の中に取入れるということを考えなかつたのでございます。
  25. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうしますと、今ありまする選挙管理委員会法というものは、大体余り破らずしてそれをそのままにしておいて、それに足らない点をここに入れて補充するという必要もないですね。それも併せてこれから改正して行くと、それで実際この新法と並行して運用の全きを期し得られる方法に行くという考え方ですか、その点を。
  26. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今のお言葉通りでございまして、全国選挙管理委員会委員会法はこのままではいけないのでございまして、若干手を入れなければいかん。それから同時に地方自治法規定しておりますところの都道府県及び市町村選挙管理委員会につきましても、全国選挙管理委員会法の一部といたしまして、言葉を変えて申上げますれば全国選挙管理委員会法というものと、一般のただの選挙管理委員会法というような立法でもいたしまして、すべての選挙管理委員会に関する規定を一本に纏めるということを一つの構想として持つておるのでございます。そういうふうなことに関連いたしましての他の法律の改正から、整理ということについては別途にこの案ができましたら進めて行かなければいかんと思うのです。その点はさように考えております。
  27. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今鬼丸委員から質問された点なんですが、第五ですが、総則に、選挙事項の周知及び棄権防止ということを入れていることの意味が、この総則の第一などとの均衡でですね。恐らくこれが立案されたときの意図は、やはり第一などと同じような意味で選挙についてのもう少し根本的な問題も考えておられたのではないかと思うのですが、それが技術的な点になつたために、選挙課理委員会に関する規定とダブつたり或は散逸したりするというような程度のものになつたのではないかと、論理上そんなふうにも考えられるのですが、若しそういうことがあるにせよ、ないにせよ、第五で取扱われているような問題を、もう小し根本的にここで取扱つて頂くことができれば非常にいいのではないかと思います。これは公聽会に準ずる各地の選挙管理委員会の御意見大野委員と御一緒に京都、大阪、神戸で伺つた当時に、選挙管理委員会選挙のときだけ仕事があつて、ふだんは仕事がないようになつていることは困る。それから一般の方々からふだんも政治的啓蒙をやつて貰いたい、選挙管理委員会の任務の一つとして政治的啓蒙ということも相当考えて貰いたいというような、これはこれで規定されているよりもう少し根本的な点ですが、或は選挙法の第一章の中の第一條としてはそんな点を考慮されて、そういう意味を入れて頂く方が選挙法としても立派になり、又選挙管理委員会の任務としても根本的な任務がそこにはつきり明記されて目的に適うのじやないかと思うのです。どうも選挙の前に俄かに政治啓蒙をやる、これは関係方面その他からもその直前には非常にそういう要求が出て来る。だけれどもなかなかそれが機械的になり、いろいろな意味でそのときだけ節句働きのようなふうにやる。そういうことが選挙管理委員会からもその他の方面からも言われている。いわば常時選挙管理委員会が政治啓蒙をやる任務を持つた方がいいのじやないか。若しそうだとすれば選挙管理委員会に関することも勿論入るわけですけれども、そういうことは根本的な点だからそれだけ取出して、選挙基本法の中に第五の所に入れるということも妥当ではないか。そんなふうに考えるのですが、その点についてはどうなんですか。
  28. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今の御意見全国選挙管理委員会等の各委員会の職能と申しますか、そういうものを、いわば現行のままよりももつと広めるというような御意見につきましては、先程お答えいたしました管理委員会法の別途整理改正等の際には考えられるといたしましても、この際の仮案といたしましてはいろいろのことが考えられるのでございますけれども、むしろそれを控えたのでございます。ただ第五に掲げておりますこの事項は、現行衆議院議員法にございますので、この限りなら載せることに、別に新らしいものを加えるわけではございません。こう思つてここに載せたわけでございます。現行の衆議院議員選挙法は御承知のように総則という一章を設けておりません。それでこれが補則の所に入つているのでございます。それを総則の方に挙げたというふうに御了解願いたいのです。
  29. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 鬼丸君から御意見が出ましたが、この総則の二條、三條、十二條なんかで参議院全国選出議員参議院地方選出議員が分けて書いてある。これは私も非常にまずいのじやないかと思う。何故こういうふうに書かなければならなかつたか。お気持は分りますが、この第二、第三、第十二におきまして、これを二つ合せて参議院議員とこう書いてもちつとも差支ないと思います。差支がどういうところが起つて来るか、これを聞かしい貰いたいと思います。
  30. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今御指摘になつたところでは参議院議員というふうにいたしてもいいのでございます。ただ第二で明らかに区別いたしましたのでその区別した線で整理いたしただけでございます。
  31. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 それならば第二なんて、初めところなんですから衆議院議員参議院議員とこうやつてつて、第四で初めて参議院地方選出議員全国議員と、こういうふうに分けて書かなければならん必要が起るから第四は書く。それから第九にもすでに「参議院議員定数は二百五十人」このことは書かざるを得ないのですから書くのですが、その後に「百人を全国選出議員、百五十人を地方選出議員」と分けて書いてある。その前の第二、第三なんかは当然参議院議員と書かれて私はいいと思う。又そうしなければいかんと思う。それから第十二におきましてもおかしいですよ。「日本国民で年齢二十年以上の者は、衆議院議員参議院全国選出議員及び参議院地方選出議員選挙権を有する。」参議院議員選挙権を有するで当然のことであつて、分けて書く必要は毫もない。だからそれは訂正をする、修正をする。
  32. 小串清一

    ○小串清一君 全国地方と区別しなければならんところだけ区別して、あとは区別せんでもいいじやありませんか。(「それで賛成です」と呼ぶ者あり〕
  33. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 区別する必要のないところは区別しないで書いた方がいいと思います。鬼丸さんの意見に賛成いたします。
  34. 小串清一

    ○小串清一君 私も今の御意見に賛成しておきます。必要のところだけ書くということにお改め願つたらよかろうと思います。
  35. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは必要のところはこの第九のごとく、参議院議員定数は二百五十人とし、そのうち百人を全国区、百五十人を、こういう絶対的必要なところはそういうふうにいたしまして、参議院議員で事足りるところは一本にするということに訂正意見が出たのでありますが……。
  36. 城義臣

    ○城義臣君 賛成であります。
  37. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の点で私も大体異議ないのですが、ただ二の場合なんかに「以下各選挙という」というふうに各選挙ということがしばしば出て来るんだと、参議院議員が二つが一本になつちやつておるとさつき説明にもあつたように困るのじやないかと思う。この各選挙というふうに呼ぶべき場合が非常に多いのですか、どうでしようか。それを伺いたい。
  38. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) たとえば第四十七でございますが、第四十七の「投票は、各選挙につき、一人一票に限る。」これは先程御説明の一つの例として申上げたのですが、こういうときに各選挙ということが使えればいいのでございます。それを区別いたしますと、先程申上げましたように、ここに但し書をつけて、参議院全国選出議員及び地方選出議員についてはそれぞれ一票とするということを入れなくちやならないわけでございます。要するに先程御指摘になりました十二條の選挙権のところなどは、参議院議員につきましては地方区及び全国区につき、それぞれ選挙権を持つというようなことの考え方で、この現行の選挙法もできておるというふうな理解で進んで来たわけでございます。従つてもとより参議院の構成というような点について、これが別途のものであるというような考え方をいたしたわけでは勿論ないのでございますけれども、選挙という点からはそういうことであるという考えで実はこれを作つたと申上げていいのでございます。もとよりそれが非常におかしいということでございますれば、今申上げました四十七とかその他のところで、必要ごとに全国地方と分けるということも勿論できることでございますから、それにお改め願うということに御決定つてもいいと思います。
  39. 大野幸一

    ○大野幸一君 私は第一ですが、衆議院の第一の「この法律は、日本国憲法の精神に則り、」云々「もつて御主政治の健全な発達を期することを目的とする。」ここで「日本国憲法の精神に則り」というのを参議院では省いた。併しこれは選挙法は何といつても憲法附属法典の第一のものであつて、その第一條に「日本国憲法の精神に則り」ということを入れる方が私はむしろ進歩的であり、ここにこの法律をこれからの解釈、運営について、憲法の精神を充足するものである。その方法民主政治においては選挙より外にない、こういう意味で選挙法の冒頭に日本国憲法との関連を強調する意味において、衆議院で入れておるくらいであるからこれは入れた方がむしろ私はいいと思うのですが、一方創案された人にもう一度お伺いしたいと思うのですがね。
  40. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 御意見通りでありますから、私共一種のと申しますか、そういうところは甚だ、特に何故削つたかというようなところは御説明いたしにくいのでございますけれども、ただ「日本国憲法の精神に則り」ということは言わなくても当然という気分でございましたので、一種の気分というくらいに御観察願つて結構であります。
  41. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 人れて頂いた方がいいんじやないですか。
  42. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 尚私はこの第七の「特定地域に関する特例」の委任命令の規則になるべき條項なんですが、この第七には交通至難の島その他の地において、この法律の適用がそのまま困難な場合は処するために特に政令で以て特例を定めることができる。この第七が委任命令の規則というものの根拠となるものだと思います。ところがこの委任の範囲が余りにも広すぎやせんかと思う。というのは、この法律規定を適用し難い事項については、一切挙げて委任命令の規則なんです。そうしますというと、ここに本法の基本法を定めたならば、この基本法と全然違うものを別な島域いは地域において定め得られるようなふうな、余りに広範囲の委任命令の基礎をここに掲げるのはどうかと思う。そこでこの委任命令の基礎を決めるならば、こうしたいわゆる交通至難の島その他の地における何々の点については政令に定めることを許すということにならなければ、この法律全体の規定を適用し難い事項についてということになりますと、余りに広きに失して別な基本法律が定めることを政令でできることになると思いますが、もう少しこの委任命令の基礎となるべき根拠を特に限定して置くことはできなかつたでしようか。
  43. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) この第七の規定現行衆議院議員選挙法参議院議員選挙法の規定をそのまま取入れただけでございまして、その点につきまして特に考慮いたさなかつたのであります。
  44. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今、鬼丸委員の言われておる点は文章の上でそういうことを現わすこともできるのではないか、この法律規定を適用し難い事項に限り……。
  45. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうです、そうなると大変いいです。
  46. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつき申上げた第五の点、委員の皆さんのお考えを飼いたいのですがどうでしようか。総則の一で可なり目的を壯大に規定して、それから適用範囲候補者の意義、選挙事務管理、この選挙事務管理もなかなか重要なことですが、この第五で今までの法律関係ではこれで必要にして十分だというふうにさつき説明されたのですが、ここにさつき申上げましたような公聽会に準ずる各種の会合で現われて来たような意見を取り入れて頂くというようなことはどうでしようか、皆さんの意見をお伺いしたい。
  47. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 伺いますが補則というのはできないのですか、補則とか雑則……。
  48. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 補則はできるのでございます。
  49. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 その中へ入れてはどうですか。
  50. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) どれですか。
  51. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 今羽仁さんのおつしやつたこと、総則じやなくて……。
  52. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 羽仁さんの今おつしやつておることは総則規定してあるんじやないかと存じますが、若し入れるとすれば総則規定するか、選挙管理委員会規定かと思うのでありますが……。
  53. 小串清一

    ○小串清一君 御尤もですけれども、第一に「公選による選挙に関する制度を確立し」云々ということがあるのだから、皆それに從つてやられることだから全国選挙管理委員会についてはこういう処置をとるということもそれは後に讓つてあるのだから、繰返すようなことを書く必要はないと思うのですが、このままでよいではないか、ずつと長くやつて來ておるのですから。第一に選挙の大方針を明らかにしてあるのだから後は事務的に投票方法選挙違反その他の選挙に関し必要な事項の周知、棄権防止あらゆることについて適当な処置を講ずることだけいつてあればよいのではないかと思うのですが……。
  54. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 羽仁さんがおつしやること具体的にどういうことを意味されておるのか。選挙管理委員会選挙の間際になつて何かそうしたことをやるのでなしに、絶えずやつておれという、絶えずということは選挙を中心としての広き意味においての政治教育のようなことを意味して言われるのであれば私はこの案に規定されておることで十分じやないかと思う。そういう広義の政治教育に属するようなことは非常に広範になりますし、例えば小学校等でやつておる社会科のような事柄であるとか、或いは平常新聞紙が書いておることであるとか何とかいうこともそれに該当することなので、選挙管理委員会としてはそういう広汎なものまではやる必要はそれほどないじやないかと思われるので、大体これでよいのではないかと思う。但し私の了解している以外に何か特別に具体的なこういうことを意味しているのだというお考えがあれば伺いたいと思います。
  55. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私の申上げておりましたのは、この第五の條文で「全国選挙管理委員会都道府県選挙管理委員会及び市町村選挙管理委員会は、投票方法、」というふうに直ぐなつておるのですが、その投票の基礎となるまあ選挙の意義というと少し広くなり過ぎるかも知れないのですが、どういうような選挙の種類があるか。それぞれの選挙人がどういう意思をそれにおいて現わすかというような意味、その投票方法という上に、そういう意味で、その後に「その他選挙に関し特に必要と認める事項」というふうになつておりますから、だから今吉川委員が述べられたように非常に広範な私の言う意味はないので、選挙に関し特に必要と認める程度において、この上に選挙の意義というのが入れられれば一般にあるそういう希望に対しても応えることができるんじやないか。いきなり投票方法というふうになるわけですが、投票方法といつても、これを広く理解すれば投票方法ということに選挙の意義が入つているということにもなりますが、若しここに選挙の意義ということを入れて頂けば、そういう意味もはつきりするのじやないか。選挙の意義というふうに入れると、特に広範になりはしないかという御心配に対しては、その下で「特に選挙に関し必要と認める事項」というふうに言つているからそんなに広範な部面もないんじやないか。そういう意味で私は具体的にここに投票方法の上に選挙の意義という五字を入れて頂いたらどうかと思う。
  56. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この第五、第六、第七もその中かと思うのですが、どうも総則とつぱなへ持つて来るのは工合が惡いので、雑則とか補則というのが最後に出て来れば、そこでいいじやないかと思うのです。前へ持つて来るから皆さんの疑問が起るのであつて総則のところで選挙管理委員会が「特に必要と認める事項選挙人に周知せしめる」とかいうようなことを出して来るのはどうも私にはおかしい。これはやはり補則に移した方がいい。違反のときには、「選挙の公正を確保しなければならない。」という、これは総則でなく雑則又は補則というふうにもつて来るのがいいと、こういうふうに思います。
  57. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 この第六なぞのような規定は私はいらんのじやないかと思う。殊に選挙取締に関する規定なんぞ、取締るなんということはおかしい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)検察官やそれらの人、すべての人は執行すべき本来の職務権限を持つておるのであるからして、それらのものを命令がなければ執行できないということはおかしい。況んや選挙取締るというような字句を以て法文自体に現わすということは甚だ不見識であると思います。であるからことさら第六なんというのは全く冗文に属するんじやないかと思いますから、むしろ第六のごときものは省くべきものじやないかと思う。更に又第五の二のことはどういう趣旨であるか私には理解できませんが、これなんかの規定も余り業々しく総則第一章にこんなものを掲げなければならん理由はちよつとどうかと思いますが、その点一遍伺いたいと思います。
  58. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) これは先程来申上げますように、現行衆議院選挙法にあるものでございますので、あるものを特に落すということになりますと、当委員会委員の皆さんの御意見に従わなくちやなりませんので、これは上げておいたわけでありますので、若し削除すべきものだということに御決定になれば、別段に本質的に必要というようなことで固守しなければならんものはないのでございます。
  59. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は第六を削除すべしという鬼丸委員の御意見に強力に賛成したいと思います。これはぜひとつて頂きたい。殊にこれは岡本委員のおつしやるように第一章の総則に入るべきものじやない。先ず総則から抜いて頂いた方がいいのではないか。
  60. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 第五の第一項及び第二項でありますが、これはその規定の内容は選挙事項の周知及び行使ということは、目的として規定されたものであるように掲げられておりますが、私はむしろ第一項の方は選挙管理委員会というものがどういう職務を行うものであるかということを示したものであり、第二項は棄権の防止というような、むしろ消極的な意味でなくして積極的に、国民が完全に選挙を行うところの権利を持つておるものであるというようなことを内容にしたものであるように解釈したいと思うのですが、どうでしよう。
  61. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 只今吉川さんのおつしやるような趣旨においてそれを保障するというような意味の規定でしよう。私の方では了解しておつたんです。
  62. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 そういう意味合から第二項のごときは私は賛成なんですが、そうすると棄権防止というような意味合でないとその言葉が該当しないと思われますが。
  63. 寺光忠

    法制局参事寺光忠君) 第二項の規定につきましては、これは極めて立法技術としては非常にむずかしい規定なんでございまして、第二項の規定の文句の意味で果して十分足りておるかどうか疑義があると思われるのです。衆議院の案によると選挙人に対しては特別の事情がない限り、選挙の当日その選挙権を行使するために必要な時間を與えるよう措置されなければならないと規定しておるのです。その措置すると規定いたしましても、誰がどう措置するのか全然分らないのです。それでむしろ措置をするということは誰が措置するかという疑問が出るので、ぼかした方がいいというので第二項仮案をぼかしたのでありますが、ぼかせば一層分らないと言えばその通りなんであります。法律的にすべての選挙人に対して必要な時間を保障するというような規定を明確に置くということも、これ亦若干考えなければならんところであろうかと思いますし、一種の注意規定と申しますか、念のため規定と申しますかそういうふうなものとして規定いたしたものでございます。
  64. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 第六の規定等ここに置くこと自体が、非常に私共はこの基本法というものは、やはり嚴として存する一つのエツキスでなければならんと思います。それに対してこんな冗文を書くことによつてつて選挙の公正に行われることに対するむしろ障碍となる。殊に従来あるからそれを認めるのは非常に……、第六のことについて今卑見を申述べておるのですが、この規定をつくること自身によつてつて不自由も生じて参りますことも考えられますし、全くそれはその冗文に属するし、従来の規定があるものを取除くことは非常に重大であるという御解説がありましたが、その理由は従来ある規定をこの際立派な規定に改めるということが本委員会趣旨であるのです。何もお座なりの規定をお座なりのままで進んで行くなら改正の意味はないと思います。こういうような冗文は少くとも省いて本当の基本法たる権限を持つて私は行くべきものではないかと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  65. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記ちよつと止めて。    〔速記中止
  66. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記をとつて
  67. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 若し後に至つて衆議院との折衝において生かすにあらざれば、衆議院との折衝がつかないというような場合なら別としまして、我々のやはりここに審議いたしまする上においては、先程も小串さんのお説もございましたので、ともかく極めて良心的に全く冗文であるのならば潔よくこれは削つておいて、後に至つて両院の交渉において生かさなければならん事情が生じて参りました場合に生かすことにいたしまして、全く冗文と決したならばむしろ潔よく私は削つた方がいいのではないかと思いますが。
  68. 城義臣

    ○城義臣君 いろいろ御議論が出ておりますが、これはこれまでの小委員会からの空気とか少くとも前回の当委員会における皆さんの御議論で、法制局としては非常に事実困難だということを、何とかこの際参議院の方でも一応衆議院の方でできたんだから我々の方も纒めなければならないという立場から、時間を切つても揉んで欲しいということでこの仮案が出ておる。その事情も我々了承しておりますが、今日いろいろ審議に当つて御質問されておる方は、その辺の空気ということ等について、よく御承知ない点があるのじやないか。勿論私はそういうことがいいとか悪いとかいうことではなしに、当委員会の運営、今後のやり方についてそういう点を、一つ委員長から又御説明をして頂いて、そうしてなんとか議事を進行するようにしなければ、修正案にしましても一度持ち帰つて、お互いによく読んで要点だけをなにするということにしないと、前委員会で申合わせたようなことが殆んど反故になつてしまつて、どうも難航に難航を重ねて当初の目的を達し得ないというようなことにでもなるのじやないかという虞れを抱くのであります。そこでその辺を一つ御説明をして頂いて速記録にも明らかにして頂いて、何らかもつと運営がスムースに行くような方法を考えて見たらどうか、こういうことを思うのですが、委員長、如何ようにお考えですか。
  69. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  70. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それじやちよつと速記を取つて。今日はこれで委員会を閉じます。    午後三時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    理事            鈴木 直人君            小串 清一君            大野 幸一君    委員            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            城  義臣君            鬼丸 義齊君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            西郷吉之助君            宿谷 榮一君            北條 秀一君            羽仁 五郎君            小川 友三君   法制局側    参     事    (第二部長)  寺光  忠君    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君    主  事  補    (第二部第一課    勤務)     松澤 浩一君