運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-07-02 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年七月二日(土曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   —————————————
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から会議を開きます。  昨日に引続きまして選挙法改正に関する要綱案の第三選挙運動に関する事項、その一。
  3. 杉山惠一郎

    法制局参事杉山惠一郎君) 第三選挙運動に関する事項  一 選挙事務所休憩所を含む、)について   (一) 数及び設置者制限を加えるかどうか。   (二) 選挙当日における投票所からの距離制限は必要かどうか。    参考    (1) 衆議院選挙一人一箇所、例外五箇所まで    (2) 参議院選挙制限    (3) 都道縣知事選挙一人一箇所、例外五箇所まで    (4) 地方公共團体議会議員及び教育委員会委員選挙一人一箇所    (5) 市町村長選挙一人一箇所  こういうふうになつております。
  4. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) この問題は選挙事務所の問題でありますが、現行衆議院議員選挙法におきましては、八十九條にこれを規定いたしております。尚九十條にその事務所の数について規定をいたしているのでありますが、衆議院議員選挙法におきましては、「議員候補者一人ニ付一箇所ニ限ル」ということを原則といたしまして、「但シ命令ノ定ムル所に依リ五箇所迄之ヲ設置スルコトヲ得」と規定いたしております。それでこの規定によりまして衆議院議員選挙法施行令五十七條第二項の規定に依る選挙事務所を五箇所迄設置することのできる選挙区及び選挙事務所を定める規則というのが、全國選挙管理委員会規則で出ておりまして、この規則によりまして、選挙事務所の数を更に個別的に、都道府縣につきまして規定いたしております。この規則によりますと、京都府第二区が二箇所、兵庫縣の第二区第五区が二箇所、こういうふうに詳細の規定があるのでありますが、その最高限を取りましても三箇所までしか設置できないようになつております。参議院議員選挙の場合におきましては選挙事務所に関する規定が全然欠けておりまして、ないのであります。これは全國区におきましても、地方区におきましても選挙事務所に関する規定がないのであります。都道縣知事選挙におきましては一人一箇所、例外五箇所まで設けることができるというようになつておりますし、地方公共團体議会議員及び教育委員会委員選挙につきましては、一人一箇所というようになつております。市町村長選挙に関しましても一人一箇所となつているのでありますが、選挙事務所の問題はいろいろ立看板の問題でありますとか、文書図画の提示にいろいろ非常に関係を持つておりますし、これをどう考慮したらよいかという問題であります。この事務所の問題の(一)につきましては、数及び設置者について制限を加えるかどうか、それから(二)の問題は、選挙当日におきまして投票所からの距離制限を、現行法規定いたしているのでありますが、この制限を必要とするかどうか、こういう問題であります。
  5. 藤井新一

    藤井新一君 その第一番目の事務所の設置問題ですが、その参考に書いてある第一と、第三の都道縣知事選挙の場合とこれは趣旨においては同じであるが、やはり遠隔の地とか、不便という意味においての一箇所、或いは例外五箇所となつている、そういう意味でございますか。
  6. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 原則といたしまして一箇所でありますが、交通の便不便、それから人口分散状態、そういうような点を考慮いたしまして、例外規定が設けられたものと考えられます。
  7. 藤井新一

    藤井新一君 ついでに聞きたいのですが、第二の参議院選挙の無制限ですが、これは衆議院が仮に一選挙区一箇所ということになれば、参議院もそれと歩調を合せて、一縣一区ならば一箇所、一縣が仮に三区に分れておる場合には、参議院地方区の方は三箇所というふうにして、そうして全國区だけは制限なし、こういうようにする方が衆議院選挙と、参議院選挙の釣合いが取れるようにも考えております、その点は如何ですか。
  8. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 確かに御説のような立て方もあるかと存じますが、主として地域と交通関係でございますから、やはり各府縣が幾つの選挙区に分れておりますかということを、具体的に考えまして、個々的に考究いたした方がいいと思います。原則といたしまして只今藤井委員のおつしやいますように、衆議院が中選挙区に分れて二つの選挙区になつておる以上、全縣一区であるから少くとも選挙事務所を二箇所以上に設けることが適当ではないか、こういうことは確かに原則的な方針といたしましては、そのように言えるかと存じます。具体的に尚各府縣ごとに詳細に亘りましてすべて二箇所がいいか、三区に分れております府縣は三箇所がいいか、或いは人口が稠密になりますというと三箇所でも、例えば新潟縣が仮に三つに分れておるといたしました場合に、衆議院選挙区におきましては一箇所ずつでいいかも分りませんが、全縣下通じて選挙いたします場合に、機械的にそれを三倍しただけでいいか、或いはやはり同時的に運動いたします場合には四箇所必要か、或いは三箇所は必要でないので、二箇所くらいでいいのではないかというようなことも、各府縣を具体的に当つて見ますと、あり得るかと思いますので、その点は尚研究をいたして参りたいと思います。
  9. 藤井新一

    藤井新一君 第二の問題で、選挙当日における投票所からの距離制限ですが、これは成るだけ距離を離した方がいいように考えます。その理由は、例えば熱海市において市長選挙があつた。市役所から極く近い距離まではよかつた、そうすると、あすこは非常に町が狹隘で一筋の道しかない、そこでスピーカーでがんがんやつておる、そうすると投票する人がその方を見ていて行つておる、それによつて直ぐがらつと変つてしまう、投票心理作用が……、だから距離を成るだけ離して置けば、そういうようなスピーカーがあつても、幾分かそこに緩和されることがありはしないか、この見地から私は、距離は或る一定距離を、現在よりももつと遠距離までに制限して置く方がよいのでないかとも考える次第であります。
  10. 城義臣

    城義臣君 藤井先生の今のお話ですけれども、選挙の例えば参議院の場合でも、前の衆議院の場合など考えて見ますと、投票する当日は運動させないということにしてある。そういうことを考えれば今のお話は少し外れるのではないですか。
  11. 藤井新一

    藤井新一君 熱海の場合には、それを盛んにやつていました。現実において今度の市長選挙に……
  12. 城義臣

    城義臣君 ああ、市長選挙の場合ね。
  13. 北條秀一

    北條秀一君 参議院の場合じやないんです。衆議院の場合だけを改めてそういうことにしたわけですから……
  14. 城義臣

    城義臣君 だから投票当日に演説させないということに別段のところでそういう定めができたとすれば、そういうことは余り関係なくなる。
  15. 藤井新一

    藤井新一君 現在のところはできるのです。ですから私はそう言うのです。
  16. 城義臣

    城義臣君 さつきの事務所の数ですが、これなどはできるだけ遵法の精神に則つて法規を正しく解釈してやるやり方と、成るべくその裏をくぐつてやる心臓の強いやり方とは非常な開きが來る。こういう点について何かこれまで過去の経驗から推して、先程藤井さんのお話のようにやはり或る程度の数の制限を設けた方がいいというようなことになるような事例を御存じではございませんですか。
  17. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 事務所の数につきましては、非常に少な過ぎるというような御意見は余り承つておりませんので、参議院につきましては、数に制限がございません関係から、文書とかの掲示の枚数に制限がありますので、選挙事務所という文書を出して一般の文書制限を免がれるというようなことは聞いております。從いましてそれとの関係において参議院選挙につきましても、一定数の合理的な事務所の数を押えるようにするということは必要かと思います。その場合に事務所の場所を変更してはいけないという規定が現在ございません。從つておつしやるように事務所を変更したということで思い切つてどんどんやれば、その点は又意味がなくなるわけであります。從つて変更ができないとか、変更する場合には通じて何箇所というようなことでいたしますと押えられますけれども、通じて何箇所以内という規定を置きますとその限度内だけは変更するということも考えられます。
  18. 城義臣

    城義臣君 そういうようなお話であれば結構です。そうでないと敵本主議で、明らかに他の目的のために事務所を設けるという形で事務所を濫用します例がありますから、その辺はよく実状を考えて頂きたい。
  19. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今のお話でありますが、事務所の数の問題ですが、参議院選挙においては、現行法においては無制限となつているのでありますが、過去の経驗から申しますると、今丁度全國選挙管理委員会事務局からお話がありましたように、候補者の氏名を書いたポスターの貼示につきましては、千枚とか或いは一万枚とかというような制限があるのでありますから、それの宣傳方法を補充する、同じような宣傳力を強化するという建前から実際下選挙事務をそこでとつているのでなくして、架空事務所を名目的に非常に沢山作りまして、そうしてそこで制限されているところの大きさ以上の……制限されている大きさ、それはポスターについては大きさの制限がありますが、事務所看板については制限がないものでありますから、非常に大きな看板を立てたり、幟りをぶら下げたりして、そうしてぶら下げたりして、そうしてその架空事務所随所に非常に沢山拵らえてポスター代りに使つているということが行われているかと思うのでありますが、これは相当考慮して何か統制、制限方法を考えて行くということが必要じやないかと私も考えます。どうしたらいいかということは今はつきり申せませんが、一つの問題だと思います。
  20. 藤井新一

    藤井新一君 吉川委員のに関連して申しますが、選挙課長の方からは、事務所は変更してはいけないということを申されたが、私の知つておる範囲内においては、この前のときには衆議院は別じやけれども、教育委員その他の選挙には事務所を絶えず変更する、一日置いて、又一日変える、そうしてその度ごとに手紙を出しまして、事務所変更届を各方面に出す。全く案内と同じなんですよ。一日置いて一日、変つたから変つたということを有力者に出しておる、そういうことは全くなんですね、選挙を侮辱することと思うのですが、そういう点があつたのですが、金丸課長御存じありませんか。
  21. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 只今私は現行法では、選挙事務所を変更してはならないという規定がございませんので、そのような例が見受けられると、こういうふうに申上げたつもりでございます。
  22. 藤井新一

    藤井新一君 それなら聞き違だつたんです。
  23. 北條秀一

    北條秀一君 選挙事務所の問題については、先程藤井委員が言われましたことで、大体妥当でいないかと私は考えるのでありますが、一つ今回の兵庫縣補欠選挙の際に、ポスター制限されておりましたが、街頭演説会ビラが、誰々候補街頭演説場随時随所というポスターが到るところに貼られたものであります。これは非常に無制限に貼られておるのであります。而も兵庫縣選挙管理委員会は、何らこれに対して、これを取締つていないのであります。こういうことでありますと、如何なる法律作つても、如何に選挙運動制限いたしましても、管理委員会が積極的に動かなければ、これは三文の値打もないということになるんですが、この兵庫縣補欠選挙のときに、なぜこういうふうな法を無視して、ああいうビラを許したか、これについて選挙管理委員会の方の御意見を承わりたい。
  24. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それは北條君後から出て來る問題じやないですか。
  25. 北條秀一

    北條秀一君 ただこれは選挙運動に関連して、今の事務所を出たらめに作るということになりますからね、だからそれと同じなんです。同じことで、幾らこういう規定作つても、守らなければこれは意味ないんだから、從つてその守らないいい例が兵庫縣に今回たまたま起きたわけです。ビラの数を制限しておりながら、演説会ビラですね、ビラは或いは新聞紙或いは反古紙に印刷して、而も何々候補者随時随所において街頭演説をするというビラももう無制限に貼つたわけなんです、各候補者とも……。而もそれに対して管理委員会は何らの掣肘を加えていないと、こういうことがあるわけです。当然その報告選挙管理委が会に私はあつたものでと考えたものだすから、そこで選挙管理委員会の方へそういう報告が私來たと思うが、あつたかどうか、あつたとすれば、今日までそれに対してどういう処置をされたか。
  26. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 兵庫縣ビラの問題は、そういう話を伺つていないような氣がするんですが、よく調べてからお答えいたします。
  27. 北條秀一

    北條秀一君 それは調べてからやるなんということは、これはもう凡そ生温いというんですがね、私は現に行つて、私のみならずすべての者が行つて、なぜこういうことをやつているのかということについて、非常に心ある者は選挙管理委員会に苦情を述べたわけです。ああいうことを許されますと、今後の選挙運動というものの制限というものは意味がないということになつて來るんです。ああいう事情を、中央における管理委員会が、これは調べてというのでは、甚だ迂遠なことだと思うんですがね。それは、まだ調べてなければ至急兵庫縣に照会をやつて、どういう理由でそういうことをしたか、或いはそれは当然選挙法に違反するわけですから、違反した場合に後の処置をどうしたか、これを至急にお調べ願いたいと思います。特に私はこの選挙運動に関連があつたからそれを申上げたのです。勿論これは後の罰則の問題に関連して來るわけですが、特に皆さんの注意を喚起したいと考えて発言したのです。
  28. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 大方御事見も出揃つたようでありますから、二から五まで二、三、四、五一括したしまして審議をいたします。
  29. 杉山惠一郎

    法制局参事杉山惠一郎君) 二、事前運動について  (一) 事前運動の禁止に関する規定は、緩和するか又は廃止するかどうか。  (二) 事前運動を緩和する場合において、許される行爲をどの範囲にするか。  (三) 個々面接は、現行法上許されているが、その定義規定するかどうか。  四 戸別訪問について  (一) 戸別訪問を禁止するかどうか。  (二) 候補者選挙運動に從事する者等一定範囲の者の行う戸別訪問のみを認めかどうか。  (三) 候補者の親族、知己等一定範囲の者に対してない戸別訪問を認めるかどうか。  (四) 戸別訪問定義規定するかどうか。  (五) 電話によつ選挙運動は自由でよいかどうか。
  30. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 二の問題は選挙運とのいわゆる事前運動に関する問題でありまして、この事前運動に関しましては衆議院議員選挙法の第九十五條にこれを規定しておるのであります。現行法によりますれば、選挙運動立候補届出がありたる後でなければこれをなすことを得ない、こういうふうになつておりまして、参議院議員選挙法もこれを準用いたしております。こういうように選挙事前運動というものを現行法規定いたしまして、そうしてできないようにしておるのでありますが、この事前運動に関しましては、立法趣旨は恐らく事前運動を禁止いたしまして、立候補届出があつてから同等のスタートをしよう、こういう趣旨のように考えられるのでありますが、いろいろこの運動という問題を廣く廣議に解釈いたしますと、事前運動なりや否やということは取締方面から見ましても相当デリケートの問題でありまして、嚴密にこれを取締るということは非常にむずかしいように考えられるのであります。こういうような制度を今後取るかどうかというのが(一)の問題でありまして、(二)の問題はこの運動を或る程度緩和するという場合においては、どの程度行爲を許されるものとするかどうか、こういう問題であります。  三の個々面接現行法上許されておりますが、その定義規定するかどうかというような問題につきましては、現行法個々面接というものについては、別に規定いたしておらないのでありますが、戸別訪問に関連いたしまして、戸別訪問は禁止されておるが、個々面接はいいというような点、このバランスをどう考えて行くかどうか、こういう問題であります。尚個々面接ということにつきましても非常に定義がはつきりいたしませんので、これを許すにいたしましても、禁ずるにいたしましても、何らか定義規定する必要があるかどうか、こういうことであります。  四の戸別訪問につきましては、現行衆議院議員選挙法におきまして、第九十八條に、「何人ト雖投票ヲ得若ハ得シメハ得シメサルノ目的以テ戸別訪問爲スコトヲ得ス」こういうように規定いたしております。又参議院議員選挙法も同樣趣旨規定をしておるのでありますが、この戸別訪問を禁止する必要があるかないかということであります。その立法趣旨は恐らは戸別訪問それ自体は差支ないのでありましようが、これに関連いたしまして選挙買收というような問題が起きて來るので、買收取締の面からいたしますと、非常に戸別訪問が関連いたしまして、認定が困難になるというようなところから、これを禁ぜられたのではなかろうかと思うのでありますが、この戸別訪問の禁止問題についてどう考慮する必要があるかというのがこの四の問題であります。四(二)の問題は候補者選挙運動に從事する者第一定範囲の者の行う戸別訪問だけを認めるかどうか、戸別訪問を或る程度許すといたしましても、その範囲をどの程度にするかどうかという問題であります。候補者だけが戸別訪問することはよろしいというように考えて行くか、或いは選挙運動に從事する者がやるのならいいというふうに考えるかどうかというような問題であります。(三)の問題は候補者の親類とか、或いは知己等一定範囲の者に対してなす戸別訪問はいいというように考えるかどうかという問題であります。尚(四)の問題につきましては、いわゆる戸別訪問ということを言つておりますが、それは一軒の家を訪問した場合に直ぐそれが戸別訪問になるのか、或いは選挙運動目的を以て二戸以上の家を次々訪問して行く場合に戸別訪問になるのかというような点、はつきり法律上に掲げる必要があるかどうか。こういう点であります。  五の問題は現行衆議院議員選挙法及び参議院議員選挙法におきまして、電話による選挙運動については何ら規定いたしておらないのであります。從いまして電話による選挙運動は、これは戸別訪問ではないというふうな解釈からこれは自由に行われておるのでありますが、戸別訪問がいけないというような場合に電話によるのはいいというような点はこれはどう考慮したらよいかというような問題であります。これも個々面接戸別訪問と関連いたしましてどう考慮いたしたらよろしいかというような問題であります。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 事前運動でありまするが、先の衆議院選挙の際におきまして、例えば東京においては共産党の徳田球一、ああいうふうな人の名前を入れたいろいろの各種ポスターとか提灯をぶら下げるというふうなことが可なり顯著に行われておつて、或る委員会においてはそれを注意したこともあるのでありますが、そういうような際でも何らの手をも下してなかつたように思うのですが、選挙管理委員会としては、その事前運動についてはどの程度がいいかというふうな限界を特に置かれておるのか、その点を一つ伺いたいと思います。
  32. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 一月の総選挙の場合に只今御指摘のございましたような文書東京と申さず全國相当沢山に掲示されたおりましたのは事実でございます。併しこれは総選挙の前に殆んどすべて撤去された筈になつております。当時輿論も非常にやかましくなりまするしいたしますから、國警の方から全國に指令が出まして、そういう文書は全部撤去いたしましたし、或いはペンキで書いてありましたようなものも消したり、そういうふうにされた筈でございます。それに関連いたしまして事前運動がいいか悪いか、仮に認めるとしてどういう範囲事前運動はいけないか、その点をどういうふうに考えるかという趣旨の御質問であろうと思いますが、御承知のように去る四月の四日に私共の選挙管理委員会で、選挙運動改正要綱試案というものを発表いたしまして、その中に事前運動を認めるようにしたらどうかということが入つてつたのでございます。ただこれは当時やや誤まられまして傳えられておるような嫌いがあるように存じておりますけれども、試案でございまして、委員会として最終的にそのように決定をいたしたわけではないのであります。このような一應の見解に到達して試案として発表いたしましたのは、ここでくどくどしく申上げるまでもなく、先程菊井課長から御説明もありましたように相当事前運動現実の問題として行われている、これを法律に照して取締ります場合、文書のようなものは割合に取締がいたし易いのでありますけれども、演説会でありますとか、或いは講演会でありますとか、或いは労働組合の種々の名目の会合でありますとか、或いは政党関係のいろいろな会合、大会というようなものになつて参りますというと、事前運動であるのか、労働組合本來の活動であるのか、或いは政党の、全く政策の普及或いは宣傳周知徹底というようなための会合であるのか、なかなか限界が引きにくいのであります。從いましてむしろ大胆にそれをやつた方が得をする、法律を氣にしておりますような人の方が損をしてやれないというような傾向があるといいますことと、労働組合政党の平素におきます各種活動を抑制するということは困難ではないか、又時勢から考えましても適当ではないのではなかろうか、それからいわゆる選挙区培養ということが合法的に認められているのでありまして、これは又公選による公職の方としましてはむしろ本質的に言つても当然なことであろうかと思われるのであります。ただ事前運動をそのような理由で認めるといたします場合に、費用が非常に嵩んで來る、又事前運動選挙運動限界が極めて困難になる、こういうふうな点におきましていろいろ考えなければならない問題が種々あろうかと思うのであります。まだそれらの点につきましては私共の方の委員会といたしましても、本日申上げるまでに熟した考えを持つておりませんので、一應の試案として達しました理由と、それから問題になりますような点を申上げましてお答えに代えたいと思います。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の選挙課長の御説明でよく分りましたが、現在の事前運動規定というものが実際の面から行くと非常に取締りにくい、そうして有名無実なんですね、やはりどの線に置くかということになると、その点今お話の通りいろいろな関係で判別しにくいというようなことはよく分つているのですが、選挙管理委員会でプライベートで御研究なつたと今言われたのですが、そうすると例えば諸外國の例はという問題になるのですが、資料は今直ぐというわけではありませんが、御研究なつたら、諸外國の例なんかどうなんだか、分つている程度一つお話し願いたいと思います。
  34. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 英米等におきましては勿論事前運動は禁止いたしておりません。
  35. 藤井新一

    藤井新一君 例を衆議院選挙にとりますが、衆議院議員選挙法九十五條によると、告示の後、而も届出後において選挙運動のできるのは当然であるが、議会解散なつた場合、解散と同時に選挙運動をやる、それはもう解散なつたから選挙するのだという氣持でやるところに大きな誤まりがあるので、解散告示の間の期間を我々がどういうふうに扱うかという問題が起つて來るのであります。例えばこの前の選挙においては解散があつた後に徳田球一その他の者は直ぐポスターを貼つた。その解散と同時にやるということは、すでにこれは選挙にみずから入つたということを認識してやることだから、現在の法規では違反であります。そう考えております。そういう意味から見るならば、それを我々が將來防止できないのであるならば、事前運動を緩和するという意味解散と同時に選挙動運はしてもよいという規定作つたらばどうかと考えますが、金丸課長にお尋ねいたしたい。
  36. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 私共もそういう点につきましては、お説のような方向の改正が望ましいて思います。
  37. 北條秀一

    北條秀一君 これは選挙事前運動については時期を明示しておりますけれども、選挙運動の内容は全然記してない、ですからこれは取締りようがない。先般金丸課長のお話を聞いておりますと。前の選挙では、いよいよ選挙運動に入るという前には事前運動に類するポスターその他はすべて撤去されたと、こういうお話であります。撤去すればそれで事前運動にならんかと言うと、それはそのまま撤去すればよいわけですが、そういうことになれば事前運動を禁止するという規定はこれは全く意味がないということになる。実際に事前運動をどこでどういうふうに取締るかということは非常に困難だと思う。だからこの規定はむしろなきに如かずというふうに私は前から考えております。  それからもう一つ、これは奧野法制局長に特にお聞きしたいが、九十八條であります。この選挙運動についていずれも運動の時期を明示しておるのですが、九十八條は「何人ト雖投票ヲ得若ハ得シメハ得シメサルノ目的以テ戸別訪問爲スコトヲ得ス」とありますが、時期を明記されていない。選挙運動について九十八條は時期が明示されておりませんが、これについてはどういうふうに解釈されますか。
  38. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) これは全部選挙運動に関する規定の中にありますから、やはり選挙運動が許されてない前のものまでも禁止しておるというふうに解釈できないのではないかというふうに考えております。
  39. 北條秀一

    北條秀一君 そういう解釈が成り立ちますと、九十五條の「選挙運動ハ……届出アリタル後……」というふうに時期を明示する必要はない。ところが片方は時期が明示してあつて、片方は時期が明示してない。從つて九十八條はずつと戸別訪問はできないというふうに解釈されると思う。
  40. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 政府当局に伺いますが、若し事前運動の禁止をしないということになりますれば、選挙費用の問題はどうなりますか。いつからの運動から選挙費用に計算するか。
  41. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 只今の問題は、事前運動を許すとしますれば、当然選挙費用の問題に関連してこれをどうするかというような問題が出て参るのでありますが、これは相当大きな問題でありまして、どこでその費用を押えるということになりますと、なかなか押える時期というものが極めてむずかしくなるだろうと思うのであります。一つの考え方といたしましては、事前運動を許すとすれば、費用の押えどころがないから結局これは費用の点では押えないというようなことも考えられますし、これは非常にむずかしい問題だと思います。
  42. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の岡本さんから御質問になつた問題でありますが、先程來全國選挙管理委員会の方からも御答弁がありましたが、全國選挙管理委員会の方から今菊井君が答弁しましたことについて、管理委員会のはつきりした御答弁を一つ願いたいと思うのでありますが、それに先んじて先程來北條君がお話しになつたのでありますが、例えば事前運動をして選挙演説会ポスターをそこらへ貼る、例えばこの間の選挙において徳田球一氏等が税務相談所であるとか、或いは演説会等のポスターを共産党が非常に貼りました。ところが現行法に基いて非常に我々の趣旨からすると不十分であつたのでありますが、國警の方から選挙開始前に、不十分でありましたけれどもともかくそれを剥がさしてしまつたのであります。これは地方行政委員会で非常に問題になつたことが一つの大きな原因であると思いますが、ともかく剥がさしたのでありますが、今北條君はそれを取締ることができないのだからして、無制限にそのままにして置いたらいいということになつて來ますと、これは今の費用の計算の問題とも関連して來るのでありますが、非常にそうした運動をば法定の選挙開始期日以前にやることになつて來るだろうと思うのであります。現在の法律が成る程藤井君やなんかが言われるように、多くの欠陷がありますけれども、併しながらやはり若干の選挙運動をフェア・プレーでやる、或いは事前運動を猛烈にやらせない、或いは費用を或る程度まで制限するということにはやつぱり消極的に貢献は相当していると思うのであります。だからして選挙管理委員会の金丸君が言われるように、無制限にして頂きたいというように法律を御改正願いたいというような考えには私は反対であるということを申上げて置きますが、今岡本委員がおつしやつたことについて選挙管理委員会から一つ御答弁を願います。
  43. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 先程申上げましたように、事前運動は成るべく緩やかにするような方向に行つたらどうかという一應の選挙管理委員会といたしまして見忠に到達したというふうに申上げたつもりでおります。ただ先程申上げましたように、それに伴いますいろいろな困難な問題が起つて参りますので、事前運動を仮に認めるといたしましても、その中に一定の限度があるのではなかろうかというようなことも考えているのであります。殊に問題になりますのは費用の点でございまして、仮に事前運動を認めるということにいたしますというと、いつでも行い得るのか、或いは半年とか一年とかいうような時期を決められないものかどうか、或いは一定届出をして事前運動の名乘りを上げまして開始するというような措置がとれないものかどうか、そういうようなことも考え得るかと思います。併しながら事前運動一定の幅を設けるということは相当に困難な問題があるように思います。從いまして費用の点になつて参りますというと、仮に半年とか一年とかいう制限を置きましても、皆がいわゆる選挙運動の費用と同じように一定の金額の範囲内で事前運動を行うというようにいたすことが適当かどうか、そのような最高限を設け得るかどうか、この点は相当に困難性があるのではなかろうかと思われますので、まだこれは委員会として結論に到達しているわけでもございませんけれども、私共の考えといたしましては、事前運動に要しました費用を公開をするというような方法によりまして、合理的な、或いは常識的な制限をつけて行くというような方法が適当ではなかろうか、かように考えております。
  44. 藤井新一

    藤井新一君 吉川委員お話の中に、藤井委員は無制限にと言われたが、私は解散一つの機としてそれ以前は制限する、解散後においての運動はいいのじやないかという、いわゆる告示以前とその間の期間だけを認めてはどうだろうかという意味で申上げたわけであります。
  45. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今吉川委員の御質問に対する選挙課長お話なんでありますが、それに関連していろいろ御研究になつたようでありますが、例えば來年に参議院選挙を控えている我が國の現状から言うと、事前運動を自由にするというと、どうしても選挙費用というものが総体的に非常にかかつて來る。そうすると又選挙インフレを我が國の現状では惹き起す結果になるので、英米等の先進國の現状において、それは事前運動は自由であるということは可能であつても、我が國の現状から言うと、どうも再建の途上において選挙インフレを起すというような結果になり、そうなるとどうしても多額の選挙費用を要するということになつて現実には直ぐ余程の成金でなければ立てないようなことになるので、そういうような意味から考えて行くと、我が國の現状としては、事前運動を自由にして選挙費用が嵩むというようなことは、余程我々として考えなくちやいけないのじやないかと思うのでありますが、そういうような点御研究なつたのだろうけれども、どうも日本の現状から言うと、非常にふさわしくないように思いますが、重ねてそれについて何か御意見があれば伺いたいと思います。
  46. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私は選挙費用は制限しなければいけないという意見なんです。そういう前提に立ちますと、やはり事前運動を無制限に許すということは、どうもフェア・プレーでなくなる。それでこの選挙法に言う選挙運動とは、選挙告示があつて候補者届出をして、それからするものは何々々ということを選挙法で決めまして、それは届出の前にそういう行爲をしてはいかんということにして、この法で列挙しない方法による、いわゆる廣義の選挙運動差支ない、こういうようにしなければならないのだろうと私は考えているのであります。今度立候補するからという挨拶状とか、ビラを貼ることとか、推薦状を配つて貰うこととか、又事務所を正式に設けること、そういうことは届出した後において初めて行われる選挙運動であつて、そういうものは事前には行われていない。ただ言葉で友達に今度立つことになつたからよろしく頼むぞということは差支ない、そういうように私は今のところ考えているのであります。それに対する御意見一つつて見たい。金丸課長一つ……
  47. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 西郷委員の御質問からお答えを申上げたいと思います。事前運動につきまして一番困ります問題は御指摘の通りに選挙運動の費用が非常に多額になつてしまうのではないかという点にありますことは、私共も一番その点に合理的な規正が加えられないかどうか研究をいたしておる問題でございますが、先程もちよつと申上げましたように、あらゆる方法について事前に運動を行い得るようにするか、或いは演説会でありますとか、或る一定ポスターでありますとかいうような限度だけに制限をいたしますかどうか、そういうような事前運動について弊害のないと認められるようなものがありますれば、それによつて一定の合理的な選挙運動の費用の制限というものはおのずから出て來るのではなかろうか。又窮極においては議員立候補される人の政治的な良識に俟つのでありまして、我が国の現状からそれが適当かどうかという判断になつて來るかと思いますけれども、全般の情勢から見ましてそういうようなことにしてはどうかというふうな考えになつてつたわけでございます。  それから岡本委員からお話のございましたように、個々の行爲について適当かどうかということを檢討して定めて行くというようなことにつきましては、私共もそのような見解で実は内々はそういうものを振り分けられないかどうか研究をいたしておりますけれども、まだ不十分でございまして、本日申上げるまでの時期に達しておらないのであります。
  48. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の選挙課長お話なんですが、今の御説明ですと、いろいろ全般の事情から言つて選挙管理委員会の御研究では事前運動をむしろ禁止しない方がいいという結論に達したようであるけれども、重ねて私が申上げることは、全般の事情からお考えになるならば、我が國の現状というものは再建の途上にあつて、通貨の増発ということは少しでもやつちやいけない現状にあつて選挙であるからと言つて非常にインフレを助長するというようなことは万が一あつてはいかん。それが日本の現状です。そういうふうなことから考えますと、いろいろ全般と言われるけれども、選挙管理委員会の御研究はまだ研究して足らざるところがあると思う。それは余程この委員会のそういうふうな意見を尊重して、もう一度考え直す必要があると思います。全般の意味から考えると、むしろ緩和すると選挙に金がかかる。金がかかる選挙は日本の現状から言つて非常に僕はいかんと思う。弊害こそあつて益は一つもないと思います。又金のある者は出るということはよくないと思う。全般から考えるとむしろ反対の結論になると思うのですが、それはもう少し研究する必要があると思います。
  49. 城義臣

    城義臣君 重ねて私も希望申上げて置きたいのですが、それは事前運動の禁止を緩和していいか惡いかということは、議論ではなくして現状に立つて考えるということは大体皆さん御同感だと思いますが、それにも拘わらずそういうことが一應にも考えられるということはフェア・プレーを破る連中があるので、それで先程のあなたのお言葉をそのまま申上げれば大胆にやつた者が得をする、こういうふうなことを申されたようでしたが、そういうことのために何かやはり大胆になつてやる者が、言い換えると横着な連中が得をしないような公平な選挙をさすためには或る程度の緩和が必要じやないかと思う。大胆な者が損をするというふうにやはりここは一つはつきり考えて頂いて、緩和した方がいいか、或いは禁止した方がいいか、大胆にやれないように、はつきり而も具体的にお考えを是非お聽きしたい、こう思うのであります。
  50. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 戸別訪問の問題ですが、これは全國選挙管理委員会が先に御発表になりましたところの案によりますると、戸別訪問は自由に許す、その外選挙運動方法につきましては極めて自由な立場を取るということが謳われておりまして、ただ制限は、費用の総額についての一定制限を設けるというようなことだけが主たる制限方法であつたと記憶いたしておるのであります。その節地方行政委員会におきましても若干申上げたのでありますが、大体同様のことを又繰返して申すわけになるのでありますが、私は全國選挙管理委員会が発表されましたような戸別訪問を自由に許すというようなことは絶対に反対であります。その節申しましたように戸別訪問の禁止につきましては、すでに普通選挙法が実施されましたとき以來、これは嚴格に禁止されておるのであります。それ以前の戸別訪問は許されておりましたときの実情等につきましては、皆様よく今日尚御承知のことだろうと思うのでありますが、非常に思は弊害がある、それに伴うて買收等の不結果をも生んで來る起因になるだろうと思うのであります。戸別訪問ということだけでありますると、別に費用は要らないというようなことが考えられるかも知らんと思うのでありますが、実際上は費用なくしてこれは行われないものでありまして、それに要するところの費用というものは実際においては、現実には、非常な額に上るだろうと思うのであります。若し一人の候補者戸別訪問をいたしますならば、全部の候補者が、極めて戸別訪問が有効なるところの選挙方法でありますから必ずやるに決まつております。それに要する費用というものは実に莫大なものになるだろうと思います。費用の点からいたしましても、亦そのやり方がフェアでないというような立場からいたしましても、その結果いろいろな買收その他の不結果を生み出すというようなことからいたしましても、それは絶対にやはり現行法通り禁止して置く方がいいと思うのです。折角二十数年來、もうすでに國民の選挙運動に関する慣習的なことになつておりますものをば今更時代を逆轉させて、過去に行われて非常な弊害を起した戸別訪問をここに自由にするということは、非常な反動であると私は考えております。
  51. 北條秀一

    北條秀一君 吉川委員の説に私も賛成でありますが、これは遺憾ながら先程奥野法制局長が言われました時期というものが明示されていない、漠然としておる。やはりこの時期をはつきりする必要があると考えます。それはそれだけですが、この際九十九條について「其ノ関係区域内」というのが前から條文に出て來るのですが、選挙はその選挙区において行うということを書いてありますが、この選挙事務関係者だけについては「其ノ関係区域内」という字を使つておるのですが、こういう特に用語を使つたというのは何か意味があるのでしようか。
  52. 金丸三郎

    説明員金丸三郎君) 例えば府縣選挙管理委員会関係いたします場合には、東京都でありますと、東京都下全部の選挙人に関係があるわけになります。それが同じ選挙管理委員会の者でありましても、地方事務所の職員が選挙事務を命ぜられております場合は、北多摩郡とか南多摩というような工合に東京では七区でございますが、七区だけにしか関係がないわけでございます。そうしますと地方事務所の職員は七区の参議院議員選挙についてだけ被選挙権がないということになつて参りまして、一区、二区、三区というようなことは関係がございませんから、そちらの方では被選挙権がある、こういう工合になつて参るのであります。
  53. 藤井新一

    藤井新一君 戸別訪問については吉川委員も言われましたが、又北條委員も言われましたが、私は現行法通りでいいのであるが、中には家を個々でなく、相当なる距離を置いて家ごとにやつておる、これは戸別訪問ではない、戸別訪問という定義は、個々に行くのが戸別訪問だ、こういう解釈をしてやつておりますが、それは選挙管理委員会においては、これを個々でなく轉々として行くものについては、どういうように見ておるのでしようか。
  54. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 個々というのは何もくつついておるというのじやない、戸別にというので、距離があつても個々になる、続いて行く意思があれば……
  55. 藤井新一

    藤井新一君 それは運動者はこれは戸別訪問でないから構わないというので、現行法に反してやつていますが、あなたの方では十分にこれを一般國民に周知さしていないと思いますが、甚だ遺憾な点が多いですね。その点如何ですか。
  56. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私も大体戸別訪問には反対であります。併しこの戸別訪問定義がはつきりしないのであつて、自分の友人が自分の町の隣村に数人ある、そこへ今度立つから頼むと言つて電話をかければいいが、自分で行つて頼むと戸別訪問になる、これはどうも私は行き過ぎだと思う。それで今藤井君からも御指摘がありましたが、知らない家に候補者又は運動員が軒並に行つてお辞儀してよろしく頼むと言うのは、これは当然禁ずべきものであると思います。併し候補者がよく知つておるところに対して訪ねてはいけない、電話で言わなければならんということは非常におかしいのであつて、そこは戸別訪問定義をはつきりさせなければいかんと思います。  戸別訪問がなぜいけないかというと、これは要するに情実選挙になる、理性による選挙は地を拂つて情実選挙に陷り易いということ、それからまあぺこぺこ議員が頭を下げて歩くのですから、議員の品位を傷付けるということ、一般家庭にとつても、この候補者が來た、あの候補者が來た、毎日のように來るというので、應接に遑がない、ということが弊害だろうと思うのです。まあこの頃はないと思いますが、選挙干渉だとかいうことを誘発するという憂いもある。私は個々に知らないところまで行つて頼み廻ることは勿論いけない、禁じなければいけないと思いますが、自分の知つておるところまで頼みに行くことは許していい、私はこういうように思います。
  57. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の事務局長の御説明ですが、轉々としているのもこれは戸別訪問であるというお話でありましたが、そうすれば選挙候補者はどこにも行けんということになりますね、嚴密に言えば……。選挙中は轉々としてもいかんということになると、一々それは行つてはいかんということになるとえらいことになる。僕は実際はそうじやないと思います。戸別訪問というのは、次から次に軒並に行くのを戸別訪問だと解して実際にはそれを取締つているので、あつちに行つたり、こつちに行つたりするのは、実際候補者も用事がある場合があるのだから、轉々として行くのを戸別訪問だということになると、候補者はどこにも行けんということに嚴密に解釈すればなると思います。次から次に軒並に行くのをいわゆる戸別訪問だと言つているのじやないのですか。
  58. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 轉々と言つたのは、私の言いようが悪かつたと思います。轉々とは申さなかつたつもりで、距離がある場合にこれも例えば五軒続いている、それで最初の家は寄つたが、次のは寄らんで、その次は寄つた、あとずつと寄つた、そういう場合やはり連続して戸別に訪問する意思があつたかどうかということで裁判をやつているようです。從つて轉々という具体的の場合をよく考えないと分らないのですが、連続する意思があれば、あれは判例では、一戸だけ訪問しても連続する意思があれば戸別訪問として扱つているように思います。  それから藤井委員お話宣傳の問題ですがそういう細かいことまで宣傳すれば申分ないわけですが、そういう細かいことまで書きますと、相当部厚なパンフレットか何か配らなければならんことになりまして、費用や何かの関係でどうもいかないのじやないかと考えます。
  59. 城義臣

    城義臣君 今の御説明でどうも私腑に落ちないのですが、現に私の方なんかでは、こういうことを戸別訪問と解釈しておつたのです。一軒ごとにずつと軒並に行くのは、西郷さんの話と同どようにこれは戸別訪問だ、從つて一軒を飛ばして行けば戸別訪問にならないのだということを明らかに運動員に言いまして、而もそれを各候補者がやつた、皆がやつたから結局問題にならなかつたのですが、併しこれは甚だ不穩当な考えだと思います。実際問題は、継続して訪問する意思があるならば、一軒でもいけないということは法律的の解釈で、実際の選挙となれば、やはり岡本委員の言われたように、知らないところに頼むと言つて行くのは、これはやはり一軒であつても、そういうように解釈されるのです。たまたま人間お互い付き合をしておりますと、あの部落に行くと軒並に知つているけれども、この町は全然知らないということがある。知つた家へ寄つてもう一軒寄らないと票が逃げてしまう、それはたとえ戸別にならんでも、本人が挨拶する。ところが知らんところへ行つて、たまたま一軒寄つてもそれはいけないというのが、私は実情に即した選挙じやないかと、こんなふうに考えますので、これは岡本委員が言われたように、第三者が知らない家を一軒であろうと行くのはいけないので、本人が知人の家に挨拶をするのは個々面接だというように解釈して戸別訪問じやない、こういうように見ることが実際に即した選挙じやないかと思います。こうゆうふうに申上げまして御意見を承わりたいと思います。
  60. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今の戸別訪問お話でありますが、岡本委員お話にも関連して申上げるのでありますが、戸別訪問は全然知らない家へ行つてやはり頭を下げてお願いしますというのが、選挙運動として効果もあるし、又それを禁ずるのが趣旨だし思うのであります。ところが法律では全般に戸別訪問はいかん、こういうようにきつぱり書いてある。今度の改正法に関連しまして我々いろいろ研究をしているのですが、取締の当局と話合つて、知つている家に行つてはいいという但書をつけたらどうか、そういうことを私ら言つたのですが、ところが取締当局はそういうことをやられると取締ができない、その限界が知つているか知つていないか曖昧だ、親族と書いたらはつきりする、併しながら知人と書いたら、知人の範囲も非常にむずかしいというのです。冗談話ですが、立証責任を逆にしてやればできるかも知れないけれども、そうでないと取締当局として非改にむずかしいから、そういう但書をつけて貰つては困るという意見があるのです。
  61. 城義臣

    城義臣君 今のお話は実際に即した話ですが、取締の便宜のためにするというなら、私は承服できない。委員会で、それじやいかんと思うのです。委員会としては実情に即してやはり人情の機微をよん洞察なすつて取締に不便であつても、親族に限るとか、親族だつて喧嘩していれば絶対に入れないから、そういうことは意味がない。本人がかねて面識のある間だけに、頼むといつて挨拶に寄る。現実参議院選挙になれば、全國区においてはもとよりのこと、地方区でも一縣單位ということになれば、戸別訪問しろと言つても、行けるものじやない。事前運動でない限りは……。そこまで御心配要らないというようなことを十分に含んで頂きたいと思います。
  62. 小川久義

    ○小川久義君 この戸別訪問というのは選挙目的とする場合都合が悪いだけです。選挙目的でなければ立候補中戸別に廻ることも何にも差支ないのですが、一体その点は仮に具体的に申上げますと、ずつと街頭演説に廻るとその知つた人が出ら來て、それは御苦労だ入つてお茶を一杯飲んで行けということでその家へ入つてお茶を飲む。その次の家へ行く。お腹が空いたから御飯を食べろというような、これは勿論選挙目的じやないのですから、そういう点は何かはつきりすべきだと思うのですが、何か條文の中でその見解をはつきりするように入れるべきだと思うのですが、御当局はどうですか。
  63. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今のお話投票を「得シメ又ハ得シメサルノ目的」という、この目的に、若しそういう事実があれば、入らんと思います。それで差支ないと思います。  それからさつきの取締の便宜のためのあれというお話がありましたが、一言弁明にならんと思いますが、弁明して置きます。取締のための、非常に不明確の規定で以て取締をしますと、結局不公平になる。不公平になると結局取締の野郎ということになるのです。そういう結果になるものですから、やはり成るべくできれば明瞭な基準を設れないと取締の当局としては非常に困るという意味なんです。
  64. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 戸別訪問を禁止することの意味はどういうことなんですか。なぜ禁止しなければならないのか。
  65. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 戸別訪問は普選の前は許しておつたのですが、普選後禁止したのです。これは從來の選挙が代議士に出るために運動として非常に威嚴を損う、偉い人を個々にゲートルを附けて歩くというのは威嚴を損するというのが一つだろうと思います。それから又買收の虞れがある。主なる理由はそういう点ではないかと思います。
  66. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 外國戸別訪問を禁止しておる例があるでしようか。
  67. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 多分我々知つておる範囲ではないだろうと思います。
  68. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は戸別訪問を禁止するという理由は今の御説明では全然納得できないのです。それから理論上戸別訪問を禁止しなければならないという理由があろうとは考えられない。從つて世界各國いずれも戸別訪問を禁止する規定がないというのは当然であつて、我が日本においてだけこういうものを設けるということは甚だ恥かしいことじやないかと思う。速かに廃止せられたいと思います。
  69. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は選挙というものの本質を考えて見ると、投票する場合にどういう人に投票するかという、投票をする氣持を推察した場合に、この人は仮に参議院なら参議院議員としての使命があるのです、参議院議員としての使命を達成するためには最も適当な人である、こういう人を投票する。村会議員であるならば、この人は村会議員として非常に適当な人である、即ち議員は國家或いは地方自治團体のために仕事をするわけでありまするから、そういう人としては最も適当であるという判断の下にのみ投票をされるべきものである。從つて國会議員のごときは間当政策を知つて、そうしてその人の識見が國家のたるに非常に役立つ。その施策がよろしきを得るような識見を持つている人であるかどうかというようなことをよく選挙民が知つて、そうしてその認識の下に個々に投票場に行き投票するというところに投票の意義があるわけでありますが、買收をして金を貰つたからその人に投票する、或いは戸別訪問されて頼まれたからその人に投票するというようなことが仮にあつた場合においては、それは投票というものの本質、性質と違う投票にもなつて、そうして当選した人は必ずしも國会議員なら國会議員として非常に國家のたるになるような人でない人でそのために多数を取り得るようなことがあり得ると、こういうようなふうにも考えられて、演説会で以てその人のいわゆる見識をよく知るというようことに集中されたんだと思うのです。從つて戸別訪問というものを禁止したところの理由一つも、やはり人間は戸別訪問されれば、その人はどういう人であつてもそれに引かされて投票するということになる可能性が多いという点がらこれは行われたのが、その一つ理由であつたと思います。勿論買收というようなものもあるでありましようが、そこで選挙民の考え方が幾ら戸別訪問されうが、買收、金を貰おうが、それは何も関係はない。自分は自分の良識によつて投票するんだと、こういうところにまで政治意識が盛んに発揚されるようになれば、何らの私は弊害がない。そこで現在の実情はどうであるかというと、政治意識、國民の政治観念の程度によつてあま今までは戸別訪問というものを禁止するということになつてつたと思うのです。仮に戸別訪問が自由になつたという場合においては、恐らく甲も行く、乙も行く、丙も行く。沢山行くから、むしろその間においてこの人は立派な人だ、或いは立派な人でないという判断を下すことができる場合があるかも知れない。そういう意味戸別訪問を自由にするということは、却つて選挙の公正になるというふうなことにもなると思うのです。ただこれを自由にした場合に、今度候補者の立場になつた場合に、とてもやり切れん、金もかかるというようなことになつて、とてもこれはやり切れんからお互いの一つ戸別訪問というものを止めようじやないかということを一つの競爭のルールにするというようなことも考えられると思うのです。從つて今羽仁君から言われた戸別訪問を禁止する理由は全然ないということも現在の日本の段階においてはそうも言い切れんのじやないかと思うのです。然らば戸別訪問をどの程度までするか、或いは許すか、許さんか。自由にするということにつていは私自身まだ結論を得ておりません。まあ皆さんの御意見によつて私も考えて見たいと思つているわけなんですが、そういう理由戸別訪問を禁止した理由もあるのじやないかというふうに考えております。
  70. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私はその大した理由がないのに、いろいろな規定を置いて置くと、要するに……。
  71. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 大した理由はないことはないのです。あなたは遅くやつて來たから聞きなかつたのだ。あなたのように非常に簡單にそんなこと言えるものじやない。
  72. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 発言中です。さつき私が質問した限り、今まで私が考えた限りは大した理由はない。要するにこれは官僚支配の残存だと思うのです。それで選挙民と被選挙者はできるだけフリーに接触する機会がある方が公平な判断ができるわけで、選挙民と被選挙人の自由な交渉の機会を制限されるということは理由がないのです。從つてこういうものを設けて置くことによつて我々が官僚の支配に屈服するチャンスが増大される。そういう意味で私は是非一つ廃止して頂きたいと思います。
  73. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この戸別訪問につきましては当然起り得るのですが、今度調査に出張されるときに、各市町村について実情を尋ねて見られると一番いいと思つておるのです。私共はこれまで選挙の調査に歩き、その他の出張なんかにつきまして市町村長に尋ねた限りにおいては、やはり今の日本の民主化の段階においては、戸別訪問をやられたら違反が続出するということを申しておりました。これは一つ調べて頂ければ結構と思います。  それからもう一つ出張して愬えられることは、リコールの制度が地方自治法によつてありまして、この選挙中にリコールがあるということは非常に困る。一方では戸別訪問が禁止されておる。ところがリコールでその賛成を求める、署名を求める運動戸別訪問してずつとやる、そのときにそれは法律上を許されているのでありますから違法ではありません。リコールについて署名を貰いに歩くのですが、ついでに頼んで來るのです。こういう人はどうだろうかということが行われている。これは選挙中においては地方自治法でリコールの署名を貰いに歩くことは禁止をする規則作つて貰いたいという愬えがありました。それを今思い出しましたから御参考までにお話しいたします。
  74. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ここらで休憩をいたします。    午後三時十二分休憩    —————・—————    午後三時三十二分開会
  75. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から会議を再開いたします。第六。
  76. 杉山惠一郎

    ○法制局參事(杉山惠一郎君) 六事後運動を禁止するか。  事後運動として  (一) 選挙人に対して戸別訪問することはどうか。  (二) 自筆の信書及び当選又は落選に関する祝辞、見舞等の答礼のためにする信書はどうか。  (三) 前号以外の文書図画を頒布し、又は掲示することはどうか。  (四) 新聞紙又は雜誌を利用することはどうか。  (五) 当選祝賀会その他の集会を開催することはどうか。  (六) 自動車を連ね又は隊伍を組んで往來する等氣勢を張る行爲をすることはどうか。  (七) 当選に関する答礼のため当選人の氏又は政党その他の團体の名称を連呼することはどうか。
  77. 菊井三郎

    ○法制局參事(菊井三郎君) この問題は選挙期日後の運動に関する問題であります。現行衆議院議員選挙法の百條の二におきまして、「何人ト雖選挙ノ期日後ニ於テ当選又ハ落選ニ関シ選挙人ニ挨拶スルノ目的ヲ以テ左ノ各号ニ掲クル行爲爲スコトヲ得ス」、こういうふうに規定いたして、選挙期日後の特定の行爲を禁止しております。その禁止されております行爲は、「選挙人ニ対シテ戸別訪問ヲ爲スコト」、それから「自筆ノ信書及当選又ハ落選ニ関スル祝辞、見舞等ノ答礼ノ爲ニスル信書ヲ除ク文書図画ヲ頒布シ又ハ掲示スルコト」、それから、「新聞紙又ハ雜誌ヲ利用スルコト」、「当選祝賀会其ノ他ノ集会ヲ開催スルコト」、「自動車ヲ連ネ又ハ隊伍ヲ組ミテ往來スル等氣勢ヲ張ルノ行爲ヲ爲スコト」、「当選ニ関スル答礼ノ爲当選人ノ氏名又ハ政党其ノ他ノ團体ノ名称ヲ連呼スルコト」、こういうふうな行爲につきましてこれを禁止しておるのであります。この点につきましては参議院議員選挙法にはこのような禁止規定がないのであります。それでこの禁止規定はどういう立法趣旨で禁ぜられておるかというような点をいろいろ考慮いたしますのに、これは選挙費用が嵩むというような点からこれが禁止せられたものと一應考えられますが、その他にも尚いろいろな含みも持つておるように思われるのであります。こういうような行爲につきまして参議院議員選挙法については規定がありませんし、地方自治法関係につきましても何ら制限しておらないのでありますが、こういうような問題をどう考慮するかどうかという問題であります。
  78. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 私は選挙期間後の運動でありまして、選挙には直接関係がないというような形になつて來るだろうと思うのでありますから、特にこれを禁止する必要はないと思うのでありますけれども、こういうようにどういう方法でもいいからということになりますると、やはりおのずから社会の秩序もありますし、お互いに良心を外れたような行動も出て参ります。從つて先ず許すとするならば、新聞紙のみを以て利用する、而もその利用の範囲は或る枠を決めて、こういうものに限つて新聞紙を以てやることができる、その範囲に止めたいと思います。
  79. 藤井新一

    藤井新一君 大畠委員の発言に関連して申上げますが、衆議院議員選挙法第百條の第二項に掲げてありますが、教育委員選挙には、当選後一回に限り新聞に廣告していいということになつておると思いますが、その実例は、私の家内が当選した挙句にそれを新聞に載せることを可なりというので載せておりますが、それは少し衆議院と違うのでありますが、大畠君も新聞ぐらいはよかろうという、私も新聞に一回或る一定範囲の寸法を決めてすることぐらいはいいように思うのであります。それからもう一言申上げて置きますが、この前の衆議院選挙において、地方警察が余り貧困であつたからかも知れないと思いますが、或る町で祝賀会をしたいがどうだろうかと聞いたら、署長は三十人まではいいと言うたそうであります。三十人の程度で方方でやつておる、そういうことをするということは無論違反であるが、それも私はいかないと思うんですが、その点どうですか、そういうことは百條二項に書いてあるけれども、寛大なものですか、吉岡局長に聞きたいんですが……
  80. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 当選祝賀会のお話があつたんですが、そう寛大にやつておるとは思わないんですが、それもやはり若しそういう事実があるとすればよろしくないんじやないかと思います。
  81. 菊井三郎

    ○法制局參事(菊井三郎君) 只今説明申上げます際に、地方自治法の関係では、これについて規定がないと申上げましたが、間違いでありました、これは地方自治法におきましても、衆議院議員選挙法を準用いたしております。規定がないのは参議院議員選挙法だけであります。訂正いたします。
  82. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私はこの参議院議員選挙法にこういう規定がないことはやはり非常に立派なことであつて、こういうようにできけるだけいろいろな制限を設けて、この制限によつて選挙の公正を得るという方法でない方法で、國民の政治的意識の成長によつて公正なる選挙が行われるという方向に進んで頂きたいと思います。こういう制限は、要するに結論として制限に触れなければいいということで行われることになりますし、それよりも何らの制限がなくてそういうことをやることを國民の方で潔よしとしないという方向に進むには多少あれですけれども、制限を設けないに如かないと思います。
  83. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは後の大事な問題がありますから七に進みます。選挙費用について。
  84. 杉山惠一郎

    ○法制局參事(杉山惠一郎君) 七選挙費用について  (一) 選挙費用を制限するかどうか。  (二) 選挙費用を制限するとすれば、その最高額を実状と合わせる必要はないか。  (三) 選挙費用の制限を定めた場合においてその違反の取締が可能かどうか。  (四) 選挙費用を制限する場合において、選挙費用制限額の算定方式は、衆議院議員選挙法第百二條の通りでよいかどうか。  (五) 選挙費用を制限する場合において、選挙運動の費用とみなさない費用は、衆議院議員選挙法第百四條の通りでよいか。   (1) 候補者が乘用する船車馬等に要した費用   (2) 選挙の期日後において選挙運動の残務整理のために要した費用   (3) 立候補届出候補者又は出納責任者と意思を通じて支出した費用以外のもの(政治資金規正法第二十六條参照)   (4) 立候補準備のために要した費用であつて候補者又は出納責任者となつた者の支出した費用又はその者と意思を通じて支出した費用以外のもの   (5) 選挙運動に関し支拂う國又は地方公共團体の租税又は手数料  (六) 政治資金規正法の適用範囲を拡げるか。(同法第二條参照)  (七) 事前運動を禁止しない場合において、運動費用は選挙費用に加算するか。
  85. 菊井三郎

    ○法制局參事(菊井三郎君) この問題は選挙費用につきましてどう考慮するかという問題であります。選挙費用につきましては、現行衆議院議員選挙法の第百二條におきまして、「選挙運動ノ費用ハ議員候補者一人ニ付左ノ各号ノ額ヲ超ユルコトヲ得ス」、かように規定いたしておりまして、「選挙区内ノ議員ノ定数ヲ以テ選挙人名簿確定ノ日ニ於テ之ニ記載セラレタル者ノ総数ヲ除シテ後タル数ヲ命令ヲ以テ定ムル金額ニ乘シテ得タル額」尚二号におきまして選挙の一部無効の場合における費用の算出方法規定いたしております。尚三号におきまして天災等による投票期日の変更の規定によつて投票を行なう場合における算出の額を規定いたしております。かように選挙費用につきましては法律で法定費用額というものを決める建前を採つておるのでありますが、この選挙の費用につきましてはいろいろな多くの問題を含んでおりまして、実際の費用と法定費用とが果して一致しているかどうかという点につきましては、いろいろな問題があるようでありますので、この費用をどうするかということであります。  (一) の問題はこの選挙費用を如何に制限して行くかどうか、法定費用額の制度を設けまして制限して行くかどうかという問題であります。  (二) の問題は仮に制限をするとしたならば、その最高額と現在行われております選挙の実情とを睨み合わせまして、何らかこれが守られ得るような額に定める必要があるかないかというような問題であります。これは又取締の面とも関連を持つのでありまして、その点をどう考慮したらよいかという問題をも包含すると思います。  (三) の問題は選挙費用の制限をするとして場合におきまして、その取締の面はどうなるか。取締が可能かどうか。これは実際問題であるのでありますが、そういうような見地から取締の点をどう考慮するかという制限の問題に対しましては、実際問題といたしまして選挙法の建前からいたしますと、法定費用超過によりまして選挙の当選訴訟の問題が関連いたして参ります。それで選挙の当選無効の訴訟において、結局費用を超過しておるということになりますれば当選が無効になるということになるのでありますが、これをいわゆる刑事事件と関連してどう考えてよいかどうかという問題であります。  (四) の問題は選挙費用を制限する場合におきまして、その額の算定方法現行衆議院議員選挙法の百二條のような行き方でよろしいかどうか。この点につきましては参議院議員選挙法、地方自治法の関係につきましても同樣趣旨の建前になつておるのであります。これをどう考慮すべきかどうかという問題であります。  (五) の問題は選挙費用を制限する場合におきまして、選挙運動の費用とみなさない費用についてはこれをどう考慮いたしたらよいか。現行衆議院議員選挙法の百四條は「選挙運動ノ費用に非サルモノト看做ス」という規定を置きまして、一定事項に要した費用を選挙運動費用から除外いたしております。この点につきましては参議院議員選挙法もこれを準用いたしておりますが、こういうような法定費用とみなさない費用のものと規定するかどうかという問題であります。衆議院議員選挙法の百四條の規定は「議員候補者カ乘用スル船車馬等ノ爲ニ要シタル費用」、それから「選挙ノ期日後ニ於テ選挙運動ノ残務整理ノ爲ニ要シタル費用」、尚第六十七條第一項乃至第三項、これは立候補者届出でありますが、その届出をした後「候補者又は出納責任者と意思を通じて支出した費用以外のもの」、「立候補準備のために要した費用であつて候補者又は出納責任者となつた者の支出した費用又はその者と意思を通じて支出した費用以外のもの」尚「選挙運動に関し支拂う國又は地方公共團体の租税又は手数料」、こういうようなものを選挙運動の費用とみなさないという建前を採つておるのでありますが、こういうような点についてどう考慮するかという問題であります。尚この点につきましては参議院議員選挙法もこの通りの規定になつております。こういう点をどう考慮したらよろしいかという問題であります。
  86. 小川久義

    ○小川久義君 この選挙費用の問題は如何に法定費用を決めて置いても実際には守られておらん。ただそれに合して書いてある程度でありまして、これは全面的に撤廃したらよいと、かように考えます。併しこの政治資金規正法のやつは五百円以上はあれは書くことになつてつたと思いますが、あれはもつと五千円とか、一万円とかに増加される必要がある。小遣銭くらい貰つてそれを書いてなかつたら罰金を取られるとか、懲役になるとかいうことは現在の貨幣價値から穏当ではないのであれを増額する方がいいと思います。
  87. 藤井新一

    藤井新一君 選挙費用ですが、これはやはり制限をしなければいかんのです。というのは、制限をしなければ、ボスとか或いは闇で儲けた者とかいう者が出て來て政治をいわゆる腐敗せしめるから、どうしても有無な青年、有爲な人を出すためにどうしても制限をしなければならん。ボス國家政治ということになるから、これはもう私は極端に制限願いたいと思うのですが、全國選挙管理委員会で無制限とか、百万円とかいうことを言つたようですが、無制限に使つていいということはどういうことであつたかその氣持を聞きたいのです。
  88. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 無制限と申した覚えはないのでありまして、現在の選挙費用がどうも実情に副わない、それで実情に合せて制限をする考え方であります。
  89. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ちよつと伺いたいのですが、今まで選挙費用が超過した理由で以て失格した議員はありますか。
  90. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今まで三件あります。
  91. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうですか。
  92. 小川久義

    ○小川久義君 藤井さんの意見もありますが、仮に今の実態に合せてということになりますと、少くとも五十万円くらいの法定費用の枠がないと実態に副わんと思いますが、その五十万円に、仮に枠を決めましても我々のような貧乏議員は三万か五万でやらなければ一家の経済が崩れるということで、從つて先程も申しましたように余計使つた者は本当のものは出さない、ただその数字を法定費用に合せて出すだけであつて、如何にその額を決めてもその額まで使うことのできん候補者もあるのでありまして、両方の面から見ましても制限の必要はないと思います。
  93. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 参考に申上げますが、兵庫縣の今度の選挙は二十八原幾らでした。
  94. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつき伺つた三件というのは、いつ頃の時期だか伺つて置きたいと思います。
  95. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) はつきり分らないのでございますが、初めの方に多かたのではないかと思います。つまり普選が始まつてから制限をやりましたが、それより最近の方が少いのではないか。
  96. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 昭和九年ですか。
  97. 小川久義

    ○小川久義君 最近はないのだ。
  98. 大野幸一

    ○大野幸一君 選挙費用撤廃論というのは常識的に言つてしまうわけにもいかんと思います。というのはやはり誰にでも立候補する機会を與えるという原則から行くとその意味は、金のある人もない人も出られるようにしなければいかん。金のない人も出られるようにしなければいかんというところに意味があるのでありまして、そういう半面からすればどこかでこれは制限をしなければならん。全部無制限論では、そういうことは理想から遠ざかると私は思うのであります。そこでまあ遵法精神から言つて、誰でも嘘を言つて書かなければならない、こういうところが甚だ心苦しいというので、これを実態に、実質的に当嵌めるように、而も、理想選挙の金のかからない選挙が行われると考える範囲をどう解決するかという問題に止つて選挙費用撤廃論、制限論なんということは容易にこれは賛成のできないことと思います。
  99. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 私はこの選挙費用の制限などについては今後のやり方によつて、その支出の大小にかかると思います。そこでこの問題を解決するには公営をどの程度拡充するのかどうかということが先に決められて、その後に制限をすべきではないか、こう考えます。從つて私は適当な制限をしない場合は、何億とか、何千万円とか、儲けた人達が非常に有利なわけで、誠に出て貰わなければならんというような人が選挙費用に圧迫をされて、出られないという虞れがあるから、この程度制限を必要といたします。
  100. 藤井新一

    藤井新一君 この政治資金規正の適用範囲ですが、これが非常に重大なる事件ですが、これは事前運動がいいか悪いかという問題と関連するのですが、一ケ年以前に事前運動をする、一ケ年以前の寄附行爲を全部これは届出をすることになつておりますけれども、そうすると若しかこれを変えるということになるというと、選挙運動以前の寄附を各方面にやりますと、そうすると、これが非常な額になります。何とかこれを嚴守して、選挙運動を一ケ年以前になした行為は必ず届出をするということを嚴守する必要があると考えます。と同時に事前運動は、やはりこれは選挙費用に数えるようにしなけば、もう選挙が近いからと言つて、今も各方面に廻つて、轉々金を置いて行つたり、いろいろすると、これこそ莫大な金になると思います。これは嚴重に取締る必要があるように考えます。
  101. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これは意見も沢山あると思いますが、佐々木君のあれで一つ規定ができたような思いがいたしますので、八へ進みます。
  102. 杉山惠一郎

    法制局参事杉山惠一郎君) 八経歴公報について  (一) 経歴公報をどうするか。掲載文の文字数を増加するかどうか、   (1) 衆議院議員選挙の場合はどうか。   (2) 参議院議院の選挙について、    (イ) 全國内の場合はどうか。    (ロ) 地方区の場合はどうか。   (3) 都道府縣議会議員選挙の場合はどうか。   (4) 都道縣知事選挙の場合はどうか。   (5) 市町村の議会議員選挙の場合はどうか。   (6) 市町村長選挙の場合はどうか。   (7) 教育委員会委員選挙について    (イ) 都道府縣教育委員会委員の場合はどうか。    (ロ) 市町村の教育委員会委員の場合はどうか。  (二) 候補者の氏名等を投票所の入口等に掲示するかどうか。  (三) 氏名表の配付をどうするか。
  103. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) この問題は経歴公報に関する問題でありまして、経歴公報につきましては、衆議院議員選挙に基くところの施行令の第八十七條の二以下に細かなことをいろいろ規定いたしておるのであります。参議院議員選挙法施行令につきましても、第四十條以下に規定にいたしております。これは選挙ごとに経歴公報を一回発行すべし、又選挙区ごとにこれを発行せよ、選挙の施行期日前三日までに、選挙人名簿に記載されておるものの世帶に配付するというような、いろいろ細かい規定があるのであります。この経歴公報につきましては、衆議院参議院選挙法には規定があるのでありますが、市町村の議会議員選挙の場合には、こういうものが規定がないのであります。又教員委員会選挙の場合につきましても規定がないのでありますが、こういうものにつきましてどう建前を考慮するかというも問題であります。それは今後選挙運動方法につきまして、選挙の公営の立場を強く採るといたしますれば、当然経歴公報の問題はその中に包含されて、その一連の関連において考えらるべきものと考えられるのでありまするが、こういう点如何に考えて行くべきかという問題であります。
  104. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これはさつき佐々木委員から御発言があつたように、選挙公営の趣旨をできるだけ充実さして頂きたい。そういう意味からこれもそういう方向に解決して頂いたらいいじやないかと思います。
  105. 藤井新一

    藤井新一君 羽仁委員に賛成であります。と同時にこの公営と相関連をするのですけれども、現在経歴公報は二百字以丙ということになつておりますけれども、全國区の場合はもつと字数を殖やして貰いたい、こうしなければ誰が誰だやら分らん。その人の経歴のみならず、その人の意見をやはり、加見せなければ公営にならんのです。そういう意味においても僕は羽仁君の意見に賛成です。公営にいたしますならばもつと自分の識見を入れよ。こういう意味で字数を殖やせ、こういうことです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  106. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 今日はこの辺で散会したいと思いますが、御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  107. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 異議なしと認めます。散会いたします。    午後四時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    理事            大野 幸一君            鈴木 直人君            太田 敏兄君    委員            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            北村 一男君            城  義臣君            遠山 丙市君            藤井 新一君            伊東 隆治君            鬼丸 義齊君            佐々木鹿藏君            鈴木 順一君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            西郷吉之助君            北條 秀一君            羽仁 五郎君            小川 久義君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君    参     事    (第二部第一課    勤務)     杉山惠一郎君   説明員    全国選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君    総理府事務官    (全國選挙管理    委員会事務局選    挙課長)    金丸 三郎君