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1949-06-30 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月三十日(木曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   —————————————
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは昨日に引続きまして会議を開きます。
  3. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 本日の議題は第二の手続に関する事項であります。この手続に関する事項の中には非常に技術的な選挙手続事項が多いのでありますが、逐一檢討するという建前でこの案はできているのでありまして、以下順次御説明を申上げます。
  4. 木内四郎

    木内四郎君 説明されるときに、現行制度はどうなつているという点をはつきりして置いて頂きたいと思います。
  5. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 一、選挙人名簿調製について定時名簿主義及び登録について職権主義を採用している現行制度を改める必要があるかどうか。 参 考  (1) 調製について   (イ) 永久名簿主義   (ロ) 定時名簿主義   (ハ) 随時名簿主義  (2) 登録について   (イ) 申告主義   (ロ) 職権主義   (ハ) 申告主義及び職権主義併用  この問題は、選挙人名簿調製につきまして、どういうふうにしたらよいかという問題であります。現行選挙法衆議院及び参議院地方自治法教育委員会選挙におきましても、この衆議院議員選挙人名簿が全部準用されておりまして、その他につきましても衆議院議員選挙人名簿の問題が各制度に関連を持つという建前になつております。名簿調製につきましては、衆議院議員選挙法ではこの(1)に書いてあります三つ主義のうち、定時名簿主義原則として採用しております。登録につきましては、三つ主義のうちの職権主義原則として採用しております。併しながらこれは原則でありまして、例外の規定があるのでありまして、衆議院議員選挙法の第十二條特例等に関する法律という單行法が出ておりまして、この法律はこの主義の面から申しますと、調製については随時名簿主義を採用しており、登録につきましては申告主義を採用しておるのであります。從いまして現行衆議院議員選挙法選挙人名簿調製に関しましては、定時名簿主義随時名簿主義併用されておる。登録につきましても職権主義申告主義併用されておる。こういう建前になると思うのであります。現在のこういう制度をどう考えるか、こういうことに帰するわけでありますが、問題の調製につきまして永久名簿主義と申しますのは、これはカード式でありまして、カードを備え付けまして、選挙人移動のある度にそのカード増減変更をして、そうして常に名簿というものが人の移動をはつきりと記録するという建前のものが永久名簿主義と言われております。又定時名簿主義と申しますのは、一定の時期に必ず名簿を作成するという主義でありまして、衆議院議員選挙があつてもなくても必ず一定の時期には名簿を作るという建前主義であります。随時名簿主義と申しますのは、選挙の必要が生じました際、随時その都度作つて行くという建前のものを随時名簿主義と言われております。登録の問題につきましても、申告によつて登録するかどうかという問題が申告主義でありまして、申告はなくとも職権選挙人名簿をどしどし作つて行くというのが職権主義であります。(ハ)の申告主義職権主義併用と申しますのは、今申しました二つの主義併用して行くという制度であります。いろいろと調製につきましても、登録につきましても、主義の取り方はヨーロツパにおいても可なり違つておるようでありますが、大体定時名簿主義を概ね採用しておるように伺つております。登録につきましても職権主義が多いように伺つておるのでありまして、申告主義を採用するような場合に、権利の上に眠つておるから、それでいいのだということになりますと、選挙人名簿というものが非常に不完全になるというような点から、職権主義というものが多く採用されておるというように承わつております。
  6. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この我が國の現行定時名簿主義というのは、一定の時期に名簿を作るというのは、毎年或る時期に作つておるわけでありますか。
  7. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) さようであります。從いまして日本では九月十五日現在で、それより六ケ月前に居住しておる者を押えまして名簿調製に着手して、十二月二十日に名簿が確定する、こういう建前であります。
  8. 島村軍次

    島村軍次君 私は事務の上から考えまして、毎年作る定時名簿主義は、現在の市町村事務の機構の点、及び相当の経費を要する問題であります。案外手数を要する問題と思いますので、むしろ事務的或いは財政的に考えると永久名簿主義がよいと思うのであります。特に農村地帶等では、比較的最近では引揚等の事実が沢山ありまするが、併し定住された人がその大部分を占めておるという現在においては、この第一の永久名簿主義というものが、カード式による方がよいのではないかと思うのであります。そこで定時名簿主義が他の國に多くとられたということは、永久名簿主義と私が申上げた点と理論的に考えて何か欠陷があるかどうか。或いは又定時名簿主義をとつた理由というようなものが、何か選挙管理委員会でお調べになつた実例があれば一つ承わつて置きたいと思います。
  9. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 名簿調製についてお話があつたのでありますが、おのおのやはり一長一短がありまして、定時名簿主義を現在とつておりますのは、やはり調査を丁寧にする意味だろうと思うのであります。毎年々々名簿を切換えて行くということについては、これは議論があるのじやないかと思います。五、六年、四、五年は据置いたらどうかという議論があります。併しながら五、六年据置くために調査疎漏にするということであれば、勢い脱漏者が多くなり、又間違つた名簿ができる。間違いの多い名簿ができるわけであります。その辺の点を十分そういうことのないように考えて行かなければならん。市町村行つて話を聞いて見ますと、町村あたりでは毎年々々は厄介だ、四、五年置いて貰いたいというのが相当あります。或いは又永久名簿主義というのでありますが、永久名簿主義になりますと、どうしてもカード式になるかと思いますが、カード式はよいのでありますが、ただ先程申しましたように、調査疎漏になりはせんかという点が一つと、それからカードでありますから、カードの保存が非常にむずかしいのであります。箱になんか入れて置きますと、その中の一枚でも拔けてもカードであると分らんのであります。併しながら綴じておりますと、その中の一部も拔くことができないので、その辺の間違いが少ない。又カードでありますと、カードを持つて行つて投票しますと、一々投票に來た人と対照をやるとかというのは、それが非常に私は面倒になるのじやないかということが、やはり投票に來た人の印しを付けて行つて二重に投票することは防がにやなりません。カードのどつかに印を付けにやならん。投票所へ持つて行つてカードを利用しないならば、結局抄本を作らなくちやいかん。別にやはり毎年々々カードから抜書きする現在の選挙人名簿と同じような帳面を作つて、それを持つて投票所で照合して投票させる、こういうことになりますので、いろいろ一長一短がありまして、人々の移動その他によつても便、不便があります。從つてこの辺は現在私共の方ではいろいろ技術的に全國的に調査をやつて、どれがいいか、研究をしておる最中であります。
  10. 小川友三

    小川友三君 この名簿の作成と、名簿の使用という面から、今までの定期的になつておる方法の方が非常に馴れておりますから、能率的であり間違いがないと、こう思いますが、今の定時名簿式で、それで申請と加入とをやつて行くというような式をとつて貰うという方法が非常に能率的であると思います。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 衆議院議員選挙法におきましては、定時名簿主義をとり、職権主義をとつておるのでありますが、現行法である衆議院議員選挙法第十二條特例に関する法律、これによりまして、この定時名簿主義の外に、臨時名簿主義が大いに加味されてあるということは、先程菊井課長説明があつたように思います。それでこれは特例に関する法律として置かないで、やはり私はこの臨時名簿主義を取入れることが、必要だろうと思うのであります。その理由は、選挙権が生じました者は、成るべく洩れなく選挙させることが必要なのでありまして、機械的に何月何日までに定時帳簿を作成し、その後選挙が一ヶ月後、二ヶ月後に起つたときには、選挙権利は生じておるのであるけれども、名簿登録されていないために、その選挙権を行使できないということは、これは成るべく避けるべきだと思うのであります。それでこの現行法特例に関する法律を、尚よく推敲しまして、臨時名簿主義を取入れることが私は必要であると、こういうふうに考えます。それに対して意見を吉岡さんから……。
  12. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今臨時名簿随時名簿主義を加味するというお話がありましたが、随時名簿主義原則ではないのですね。今お話臨時名簿主義を加味するということは、結局成るべく新らしい資料で選挙をやらせる、こういうことになるわけであります。その点結構でありますが、ただ随時名簿というのは、選挙が間近に迫つたときに縦覧期間、並びにその調査期間というものが非常に短いのでありまして、從つて疎漏脱漏があるということを考えて、結局申請主義にしているわけであります。調査が十分できないということを承知をして、この点をやつて行かなくてはならんのではないかと考えております。別に反対ではありません。
  13. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 大体議論が出盡したようでありますが、もう少し活撥に……。
  14. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今吉岡君から答弁がありましたが、この今おつしやつたことは、ちよつと分らないのですが、疎漏になる虞れがあるけれどもというのは、ちよつと私に分らないのですが、どういうことなのですか。
  15. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) それは定時名簿主義でありますと、相当な期間を置いて、普通でありますれば、調査票配つて町村によつては特に必要な所は更に調査票によつて出て來た選挙人名前を書いて、これを回覧いたして判まで取つて作る所もある。そういう丁寧な方法によつて調べると疎漏も少いのでありますが、それはやはり相当な期間を要しますので、やはり一定の、選挙のないときの方がむしろやりよい。選挙が差迫つて、特に解散の後の選挙のような場合は非常に忙しいのであります。縦覧期間調製期間等が非常に短いのであります。そうしますと、どうしても脱漏が起きる、こういう意味です。
  16. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その定時名簿主義でも随分疎漏があるので、だからそれに加えて臨時名簿主義と言いましたか、随時名簿主義というか、それを取り入れなければならない。この前の衆議院の総選挙に当りまして、私も投票場行つてこの状況を見て見ると、随分その定時名簿主義の間違いがあるのです。これは疎漏と言えば非常に疎漏なんです。それを是正するためにやはり臨時名簿主義を取り入れなければならんと私はこう思うのであります。だから多少の危險はあるでしようけれども、その危險よりか定時名簿主義の欠点を補うという効果が非常に私は大きいと思うのであります。
  17. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) それですから、私の申上げたのは、お話反対ではなくて、ただそういう非常に短かい期間調製するから間違いが起り易いということをまあ申上げただけなんです。
  18. 北條秀一

    北條秀一君 この問題は、この前に選挙資格要件をどうするかというときに原則的に我々は討論したのであります。その選挙要件に関連した問題なんです。從つてこの前に討議した問題を今成るべく、成るべくじやありません。原則としてすべてのものが選挙権を持つているわけで、その選挙権を完全に行使させるというために、どの方法が最も合理的であり、且つ脱漏なしに行われるかということなんですから、そういう点から考えて見たら、おのずから考案は非常にはつきりしているのだと私はそういうように考えているのです。そういうことを必要としないと思うのですが。
  19. 小串清一

    小串清一君 今の皆さんの御議論その通りですが、成るべく確実に選挙の場合に行使させるというのは、解散のない、例えば九月十五日からやる、定期選挙のある、例えば参議院のように決まつているのは、その前に嚴重に調べれば直ぐ訂正できますが、ただ問題は四十日間に選挙をしなければならん解散の場合における正しい名簿を作るということが困難だということになるのだと思います。
  20. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) そうです。
  21. 小串清一

    小串清一君 ですから解散の場合には、直ぐ何か今よりももつと活溌に公告なりで皆一般に知らして名簿の閲覧を直ぐやらせると、こういうような、解散のときに名簿を確実にする方法を先ず考えれば、あとの定期の、解散の時期が決まつているやつについては調べるのは、その前に整備すればいいのだから簡單じやないかと、こう思つているのですが、その方法一つ研究して貰いたいと思うのです。
  22. 小川友三

    小川友三君 今の岡本先生お話定時名簿主義臨時名簿主義を加えてやつて、そうして候補者名簿を呉れる。名簿を呉れなければ手紙出しようがありません。名簿の札を持つている人はいいですが、ない人もありますから、公平な点において名簿を作るときに余計に作つて、そうして候補者に呉れるというような方法をとつて頂く定時名簿主義は……。どうです。その点は……。
  23. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今の名簿を配布するという問題ですが、最近は止めておるかと思いますが、昔は好意的に名簿印刷をして候補者に配布をしておつたように思います。併しながらこれは最近は公営やらその他選挙執行事務当局の非常に負担が多いのです。それから予算や何かの関係から考えまして、法律で決めますれば、それは仕方がない問題でありますが、なかなか思うように行かんので、現在は名簿は配布していないと思います。
  24. 小川友三

    小川友三君 公営では手間がかかるし、予算がなさそうだ。ここに岡本先生選挙総額調というのがございまして非常に参考になりましたが、大分赤字のところもありますが、これに印刷費を加えれば尚赤字ですが、これは選挙の公平という点において、新らしく出る人は名簿がなくて手紙出しようがない、葉書は一万枚も貰つているが出すところがないわけです。しようがないから切つて名刺か何かに使うということになりましたが、それじや尚更選挙が公平にならないから、勿論名簿は大体候補者が何十人出るというような目標が大体決まつていますから、それを定時名簿主義に……それから一應臨時名簿はガリ版で刷つたのを呉れる、公営負担が重いでしようけれども、負担が重ければ失業救済のために(笑声)何人かを採用すればいいのですから、この点についてあなたのお考えはどうですか。
  25. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 現在名薄をやつておらないと申しますのは、昔は無料郵便というものがありました。つまり無料郵便で全有権者手紙を出しておつたわけなのです。ところが今はとにかく手紙は出せる枚数が決まつていまして、つまり葉書を出せる枚数が決まつておりまして、それは必ずしも全有権者名前が分らなくても、大体知つている人に或る程度出せばいいのではないか、まあ相当な知つている人を間接的に調べて出せば、大体法定枚数だけ出せる、そういうことで名薄配つていないのじやないかと思います。
  26. 城義臣

    城義臣君 小川君にお尋ねしますが、名薄を配るのは誰しも選挙をやつた経験からすれば欲しいのだが、全國の場合をあなたどう考えますか、失業救済言つても、全國を選挙区として出る者は困ると思いますが、どうです。それはなかなか言うべくして……。
  27. 小川友三

    小川友三君 全國の有権者は僅かに二千万くらいですから、(笑声)全部の名薄を刷つて出して貰いたい。有権者は僅かに二千万人程度です。リヤカー一杯くらいでも間に合います。
  28. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは大抵出揃つたようでありますから、第二に進みます。
  29. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 選挙人名薄調製について臨時名薄に関する特別規定本法中に規定し恒久化する必要があるかどうか。  参考 衆議院議員選挙法第十二條特例に関する法律の要点  (1)登録されていない者で選挙権を有するものがあるときは、申請により臨時名薄調製する。  (2)海外引揚者市町村住所を有すれば、六箇月以上住所を有しなくとも前項と同樣に登録する。  二の問題につきましては、衆議院議員選挙法第十二條特例に関する法律が出ておるのでありますが、先程申上げましたように、この調製につきましては國時名薄主義により登録については申告主義を採用しておるのでありますが、この特例法選挙手続出の中に一括して規定して恒久化して行く必要があるかどうかという点であります。現行特例法海外引揚者とか、そういうものを目標といたしまして、形式といたしましては臨時特例として出ておるのでありますが、こういう制度がよいとすれば、本法中に規定して臨時法でない、これは特例法でなくして基本法制度として取上げるのだという建前にする必要があるかどうか、こういうことであります。先程岡本委員がすでに触れられたところでありますが、そういうような点につきまして、どう考えるかということであります。
  30. 小串清一

    小串清一君 ちよつと質問します。それで先刻私の伺つたように、例えばこの十二條によつて十二月に名薄が確定した、ところが四月の三十日か、五月の三十日か参議院選挙がある前に、その当時の名薄に上らなかつた人も滞在期が六ヶ月以上とか、いろいろな條件が具備されるわけだ、だからどうしても総選挙がある前にもう一遍やる、それは申告でやるのですか、やはり臨時調査してやることになつておりますか、今までの何はどうなつておりますか。
  31. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) そういうものは前の定時名薄主義によりますと、当時六ヶ月の住所要件が具備されていないというので、一應名薄からは削除されて載つておらないわけでありますが、今度の四月或いは六月頃までには六ヶ月の住所要件を満たしているということになりますれば、当然選挙権を行使する資格があるわけであるので、そういう場合につきましては、それは申告によつて登録するのであります。
  32. 小串清一

    小串清一君 申告しなければ、それは駄目なわけですね。
  33. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) そうです。
  34. 小串清一

    小串清一君 來年の七月十五日までは駄目だというのですね。分りました。
  35. 小川友三

    小川友三君 途中ですが……海外引揚者市町村申告を要するかということですが、海外引揚者でなくても、國家公務員等において選挙の前に轉職喰つて、例えば警察署長であるとか、轉職喰つて遠くに行つてしまう。そうして投票したくとも自分の前の住所には帰るには費用がかかるし、公務も多忙で帰れないという場合が随分あります。それですから、これはとにかく改正して、自分の移轉した先で投票ができるようにしたいと思います。それから候補者の場合ですが、候補者が全國区の場合、東京選挙権があつて、九州で演説をしている場合に、鹿児島あたりで明くる日の投票日になつてしまう。どうしても自分はもう投票ができないという場合に、候補者立候補者証明を持つておりますが、候補者証明で自由にそこで投票ができる、で投票は何回もできないように投票済という印を押して貰う。殊に全國の場合には候補者が非常に廣く動いております。候補者が二百名なら二百名が、自分選挙権のあるところにいません。だからそういう場合に二百票なら二百票が全部無駄になつてしまう。この間の選挙の場合では、議員さんで自分選挙権を行使した人は殆んどいないでしよう。いても一割かそこらでしよう。みんな投票しそこなつた、そういう場面がありますので、候補者はどの選挙でも同じですが、今候補証明さえ持つておれば、どこでも投票できる。その投票の範囲においてはできるということにした方がいいと思いますが、どうですか、あなたのお考えをお伺いします。
  36. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 轉居した者が元の住所でなくて、外の行つた先投票するようにというお話でありますが、これは投票を成るべくさせるという意味からはその方がいいかと思いますが、その証明方法がなかなか厄介であります。不在投票式のものについてまで考えるかという問題でありますが、これはもう少し研究をして見たいと思つております。それから今お話の立候補をして、よそで運動をやつて、そこで投票されるようにというお話でありますが、これは今のお話のように、本人であるかどうかという確認がなかなかむずかしいのじやないかと考えますので、その点まで手が延びれば差支えないわけでありますが、これもやはりもう少し研究しなければならないも思います。
  37. 小川友三

    小川友三君 あなたはものを断わるような主義ですが、(笑声候補者が、例えば全國選出参議院議員選挙候補者候補者証明を持つているんですから、その人は大体あなた分りますよ。それを認めないで、その本人かどうか分らないなんて、そういうことはないと思いますから、その点は皆さんの御賛成を願いたいと思います。まあ研究問題ですが、全國選挙議員は全國が選挙区ですから、移動しているわけです。今度公営の場合は、明日は投票日だというので、東京議員が大阪の公会堂で演説している場合、そういう人は全部投票できない。帰つて來られないわけですから、こういう場合が随分沢山あります。全國選出議員もそうでありますが、殆んど投票していないのです。誰でも投票できないのです。投票所から離れておりますから。そういう不便があると思いますので、大いにこれは実現したいと思つております。それから証明が厄介だという言葉をあなたは使いましたが、そういう不親切な……投票権を行使するということが、國のいわゆる運命を担つている投票なんだと言つていて、証明するのは厄介だということはありますか。簡單なんです、証明するのは。それで厄介がらないでやつて頂きたいと思います。もう一遍一つあなたの、厄介だというのは六千三百七円ベースだから、食えないから厄介だからなのか、本当に氣持から厄介なのか一つ伺いたい。
  38. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 厄介と申さなかつたつもりでありますが、その秘密投票、或いは証明の、やはり選挙とのきは相当事務が忙しいわけであります。それで十分に手が廻り得るかどうかということを考えるわけであります。余り忙しくていい加減なことをやつたために間違いが起つても困ります。そういう点をよく考えて、お話の点をお断わりする意味じやありません。研究すると申上げたのであります。ただ今直ぐ御答弁ができないから研究をして見ますと申上げたのであります。
  39. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) もういいですね。それでは三に進みます。
  40. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 三、「衆議院議員選挙の場合の選挙人名簿につき登録に必要としている六箇月の住所要件を短縮するかどうか。附。地方公共團体の議会の議員及び長の選挙について六箇月の住所を有することを選挙権要件としているが名簿要件とするかどうか。」、この問題につきまして、第一の選挙制度のところですでに関連して出た問題でありますけれども、選挙人名簿登録につきまして、現行衆議院議員選挙法及び参議院議員選挙法は六ケ月の住所要件としておるのであります。選挙権は日本人で年齢二十以上の者はこれを持てる。併しながら選挙人名簿登録するのには引続いて六ケ月以上その市町村住所を有するというようになつておりますので、この点をどう考えるかどうかという問題であります。六ケ月の住所を全然削つてしまう、或いは技術的な面からしまして、六ケ月という期間を或る程度短縮するかどうかという問題であります。尚これは制度の点につきまして関連してお話の出たところでありますが、地方公共團体選挙の場合につきましては、六ケ月の住所を持つということが選挙権要件となつておるのでありまして、この調整をどう考えたらいいかという問題が附随して出て参るのであります。
  41. 太田敏兄

    太田敏兄君 この六ケ月の住所要件でありますが、これは地方選挙、殊に市町村議員選挙の場合はこれは妥当であると思いますが、他の選挙になりますると、理論上少し妥当でないことができて來ると思うのであります。それは例えば参議院議員選挙の場合に、その選挙区に六ケ月以上住居しておれば選挙権を與えていいのでありますが、市町村の住居を変つた場合に、その選挙区には六ケ月以上住居しておるが、市町村を変つたために選挙権がなくなるというような不都合が生じて來ると思うのであります。殊に全國選挙の場合であると、その國内に六ケ月以上住居を持つておれば当然選挙権が理論上あるべき筈であるのに、住居を変つたために選挙権がなくなるというようなことができて來るのであります。それから地方選出の参議院議員選挙の場合でもやはり同じような事情ができて來ると思うのでありますが、そこで、理論上は、町村は変つてもその選挙区内に六ケ月以上おれば当然選挙権があるということになるべき筈なので、ただ問題は選挙名簿登録手続の問題だろうと思うのでありますが、これは先の定時名簿主義に加うるに登録申告主義をとる、こういうふうにしますれば、さして手続上も困難な問題でないと思うのでありますが、こういう点について選挙管理委員会の方ではどういうふうに考えられますか。
  42. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 六ケ月の住所期間お話でありますが、これは名簿調製するのに相当やはり期間がかかります。全戸数について全部一齊に調査することはできないのであります。表を配つてそれを集めて書き上げるというような手数を要します。どうしても日にちがかかりますので、相当程度の住所期間ということは設けて置きませんと、二重に載つたり何かすることが相当考えられます。從つて或る程度の期間を置かなければいかんのでありますが、六ケ月がいいか、現在三ケ月という案が一つ出ております。三ケ月がいいか、これは町村の住居の移動関係なんかを調べて、三ケ月でもよければ三ケ月にしたらどうかという考えを持つて研究をしております。それからもう一つ考えなければならんのは、余り住居の期間を短かくしますと、前に岡本委員が御発言になつたのですが、つまり選挙目当にそこへ押掛けて行つて登録をされる、こういう危險がありますので、そういう点も併せて考えなければならん問題であります。
  43. 城義臣

    城義臣君 この調製に要する期間というのが、技術的にはどのくらい必要でございましようか、過去の経驗に鑑みまして、それによつて三ケ月か六ケ月にするかということを判断したいと思いますが、実情はどうなつておりますか。例えば三ケ月の……。
  44. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 三ケ月で以て差支えないと思つております。
  45. 太田敏兄

    太田敏兄君 そうすると今のお話ですが、その定時名簿一定期間に、六ケ月でも三ケ月でもどつちでもいいが、拵えて置いて、そうしてその移動した分についてのいわゆる申告制度にして、それを所掌するというふうにすれば、手続上別に差支えないと思いますが、今の社会事情からいたしましても、或いは官廳の行政整理、或いは民間の企業整備による失業者、そういう者は首を切られたらそこにおることができないで、自分の郷里に帰るとか、或いは他の職業を求めて轉勤するとかいうような場合もあるでしよう。こういうものも今後相当あると思うのです。そういう場合を考えますると、從來官廳の公務員であつたり、民間の労務者であつた者が首を切られて、首を切られたために経済上の、経済的な生活基礎を失うだけではなく、更にそれに加えて選挙権までも剥奪されるというような結果になると思うのです。そういう者にこそ私はできるだけ便宜を計つて選挙権を行使させるということが必要だと思うのですが、それをそういうことは、これは町村の住民の中にはそう沢山あるわけではないので、選挙期間前何日までに届出るというような、一定期間を定めて届出主義に、申告主義にすれば、そう大した手続上の困難はないと思うのですが、そういう点を十分考慮してやらないと、選挙権の行使を制度によつて妨げるというような結果になると思います。それでその点一つ十分に御研究を願いたいと思います。(「進行」「この次をやりましよう」と呼ぶ者あり)
  46. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは四。
  47. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 四、「衆議院議員の総選挙参議院議員の通常選挙地方公共團体の議会の議員及び長の選挙の施行時期に関する現行法を改める必要があるかどうか。」    〔参考〕  (1) 衆議院の場合、原則任期満了の翌日  (2) 参議院の場合、原則任期満了の前  (3) 地方公共團体の場合、原則任期満了前  この四の問題につきましては、衆議院議員の総選挙施行時期及び参議院議員の通常選挙の施行時期、地方公共團体の議会の議員及び長の選挙の施行時期に関しまして、現行衆議院議員選挙法参議院議員選挙法地方公共團体選挙法は、それぞれ異なつた建前規定しておるのでありますが、これもどういうふうに考えたらよいかどうか、こういう問題であります。現行衆議院議員選挙法におきましては、「総選挙議員ノ任期終リタル日ノ翌日之ヲ行フヲ例トス」、こういう規定があります。「但シ特別ノ事情アル場合ニ於テハ議員ノ任期終リタル日ヨリ五日以内ニ之ヲ行フコトヲ妨ケス」、尚「國会開会中又ハ國会閉会ノ日ヨリ二十五日以内ニ議員ノ任期終ル場合ニ於テハ総選挙ハ國会閉会ノ日ヨリ二十六日以後三十日以内ニ之ヲ行フ」というような規定がございますが、参議院議員選挙法におきましては、「任期が終る日の前三十日以内にこれを行う。」というのが建前でありまして、その期間参議院の開会中又は閉会の日から三十日以内にかかる場合におきましては、参議院閉会の日から三十一日以後三十五日以内にこれを行う、こういうように規定されております。從いまして各選挙の施行時期に関してそれぞれ違つた建前で來ておりますが、これをどういうふうに方針を立てる必要があるかどうか、こういう問題であります。尚この点につきましては、両院法規委員会におきましても、第五國会の際において、参議院の通常選挙の施行時期に関しまして、いろいろの問題があつた際でもありましたので、特にこの問題を取上げまして、何らか考慮をする必要があるかないかというような点を特に掲げた次第であります。
  48. 大野幸一

    ○大野幸一君 只今両院法規委員会から勧告を正式に両院に出しておる筈ですが、これを皆さんに発表して頂きたいのです。これは資料の中に入つていましたか、それを一つ……。
  49. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) この点につきまして、本年の五月九日に両院法規委員会におきまして、両院に勧告が出ております。その勧告の要旨、理由を只今読上げます。「参議院議員の通常選挙の施行期日に関する勧告。右國会法第九十九條の規定により勧告する。」とありまして、「要旨、参議院議員の通常選挙が、改選されるべき議員の任期滿了前に施行されるようにするため、参議院議員選挙法等改正の立法措置を講ぜられたい。理由、憲法第四十六條の規定によれば、参議院議員は、三年ごとに議員の半数を改選することになつている。從つて、改選されるべき議員の任期滿了前にその選挙が行われるのでなければ、参議は、ある期間議員の半数を欠如する結果となる。かくの如くして定員の半数の議員参議院の運営に当ることは、國権の最高機関である國会の権能を行使する上において、決して望ましいことではない。またかかる間隙のないようにすることが憲法の要請するところであると考えられる。この意味において、参議院議員選挙法等関係法を改正する必要がある。」只今読上げましたような勧告が出ております。
  50. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 我々がこういう立法について考慮をしますときに、昨日も申上げたことでありますが、各國の制度との比較研究が非常に日本では欠如しておるということを申上げたのでありますが、そうした小さな問題につきましても、やはりアメリカならアメリカでどういうふうに行われておるとか、或いはイギリスではどう行われておるかというようなことを、一應事務局でお調べになつて、資料として先にお出しになことが必要じやないかと思つております。アメリカの下院及び上院において、そうしたことがどう行われておるかは、今調べれば直ぐ分ることだと思いますが、誰でも知つておることは、大統領につきましては、大統領は就任数ヶ月前に選挙が行われるということは、これはどなたも御承知のことと思いますが、そういうことも一つ事務局で調べて資料を、比較制度的な立場からの資料を出されるようにお願いして、そうして我々がそういうことを決定する一つ参考になるようにしたい、そういうように一つ運んで頂きたいと思います。
  51. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 只今吉川委員のおつしやつた線に沿いまして、できるだけこの点に関する外國の立法令その他調査いたしまして、参考資料としてお手許に配付したいと思います。
  52. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 ひとりそれのみならず、外のことについても……。
  53. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この問題は両院法規委員会において研究をなさつたことと思いますが、その両院法規委員会に私の緑風会から出ておる委員の方から相談を受けまして、緑風会でも研究をいたしたことがございます。そこでそのとき我々が考えておつたことを申上げたいと思うのですが、参議院建前議員の任期の終る前三十日以内に通常選挙を行うことになつておる。衆議院の方は、原則議員の任期が終つた翌日にこれを行うことになつておる。これはこの閉会中でなければ成るべく参議院の方は半数ずつ改選されるのでありますから、半数ということになつていないで、全員おることが望ましいので、任期の終る前三十日以内にやつて、そうして絶えず全員がおるというふうにしようというのがこの第九條の趣旨だろうと思うのであります。ところが開会中でありますと、開会中にその選挙を行いますと、一方から言えば半数欠員ができるという弊害も考え、一方その開会中に選挙運動をどんどんやりますから、それこそ全員が一生懸命になりまして、應援をする人、又改選を受ける人が必死にやる。残りの半数は同僚のために一生懸命應援するということになりまして、もう開会といつてつても実は開会の事実がないというようなことを慮つて九條の二項の規定があると思う。「前項の規定により通常選挙を行うべき期間参議院開会中又は参議院閉会の日から三十日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から三十一日以後三十五日以内にこれを行う。」というのはそれを慮つた規定でありまして、現行法においては、そういう開会中において第一の原則による選挙は行わないという意思がはつきりしており、その規定を設けた理由は、私の言つたよう理由であると私は信じておるのであります。そこでこれを変えてどうするか、開会しておるのに選挙を行うことにすると、これは本当に開会という名だけで、事実参議院の職責が盡されないようになりはしないかと思うのでありまして、これまでの考え方からすれば改正する必要はない。開会中という、こういう第二項のような状況が起つた場合には、今度の、來年選挙にはこの状況が必ず起りますが、そのときには半数になる期間があつても仕方がないから、この二項通り選挙を行うことがよいのじやないかと思います。まあそれだけ意見を申上げて置きます。
  54. 大野幸一

    ○大野幸一君 岡本委員のような説も御尤もですが、それに関連して参考までに申上げて置きますことは、國会法の第二條に「常会は、毎年十二月上旬にこれを召集する。但し、その会期中に議員の任期が滿限に達しないようにこれを召集しなければならない。」こうありまして、会期が切れると同時に任期も切れて、そうしてそれから総選挙をやる、こういことが一番望ましいのでありますが、今岡本委員が言われたように、現在の予算、いろいろな関係上開会中に半数になることも止むを得ないだろうというお話がありますが、併しこの第二條を更にこれを改正いたしまして、議員の任期が滿限に達して、而も新らしい議員が当選するように召集しなければならない、こういうようにこれを改正して、いわゆる三年ごとにおいては、十月頃召集すればそれでいいじやないか、十月召集するということになりますると、三月までには優に閉会なれる、大体予算がそういうように四月からの予算になるならば、予算はそれまでにやつてしまわなければならないのであつて、これを十月上旬に召集するようにすれば、それがいわゆる両院法規委員会の勧告のようにできるのではないか、こういう考えから、この勧告があつたように記憶しております。  そこでこのときにいろいろ大藏当局なんかに來て貰いまして、一体十月に召集することができるかと言うと、現在の占領治下においては、いろいろな事象でできないけれども、十月になれば予算の大綱は決定し得られるのが通常である。こういう意見もありますので、こういう勧告案になつて來たいきさつを申上げる次第であります。
  55. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に御意見がございませんなれば、先に進みます。五、六、七、八が投票に関することで関連しておりますので、一括していたします。
  56. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 五、投票管理者の選任に関する現行規定を改める必要があるかどうか。  六、投票所の設置、告示、投票時間に関する現行規定を改める必要があるかどうか。  七、投票立会人の決定方式を選挙管理委員会による職権選任主義をとるか又は候補者の届出主義を採用するかどうか。 参 考  (1) 衆議院の場合職権選任主義  (2) 参議院の場合届出主義  (3) 地方公共團体の場合届出主義  八、投票方法について現行秘密投票主義に基く自書主義制度に考慮を加える必要があるかどうか。  (一) 投票方法について記号式を採用するかどうか。  (二) 記号式を採用するとすれば立候補届出時期について現行の時期より遡らしめる必要があるかどうか。  (三) 自書主義の例外として身体故障者の代書投票方法現行法は認めているが例外の範囲は現行の通りでよいかどうか。  五の問題は、投票管理者の選任に関する問題であります。この問題につきましては、現行衆議院議員選挙法は「投票管理者ハ選挙権ヲ有スル者ノ中ニ就キ市町村選挙管理委員会、選任シタル者ヲ以テ之ニ充ツ」というように規定しておりまして、その点につきましては参議院議員選挙法も同樣の趣旨で規定をしております。別段投票管理者の選任に関しまして、現在学説なり或いは地方の声でこれに関する変更の声を未だ聞いておらないのでありますが、一應問題として提供した次第であります。  六の投票所の設置、告示、投票時間に関しましては、現行衆議院議員選挙法は「投票所ハ市役所、町村役場又ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク」、こういうように規定されておりまして、参議院議員選挙法も同樣の趣旨でこの規定を準用しております。投票所の告示につきましては、衆議院議員選挙法で「投票管理者ハ選挙ノ期日ヨリ少クトモ五日前ニ投票所ヲ告示スヘシ」というように規定しておりまして、この点につきましても参議院議員選挙法も同樣の趣旨でこれを準用いたしております。投票時間に関しましては衆議院議員選挙法は「投票所ハ午前七時ニ開キ午後五時ニ閉ツ」というように規定しておりまして、参議院議員選挙法も同樣の趣旨からこれを準用いたしております。いずれもこの点につきましては、余り多くの問題はないのではないかと考えられますが、地方を歩きますと、投票時間に関しましては、九州あたりではもつと夏時間などに、夏季におきましてはこの時間を法定しないで、選挙管理委員会に任されていいではないかというような一部に意見もあるようであります。七の問題につきましては、投票立会人の決定の問題でありますが、現行衆議院議員選挙法におきましては、この投票立会人は市町村選挙管理委員会が選任するという建前になつております。ところが参議院議員選挙法におきましては、議員候補者は、選任名簿に記載されておる者の中から、本人の承諾を得て、投票立会人となるべき者を定めて届け出るというようになつておりまして、この建前衆議院参議院と異なつております。衆議院議員選挙法も以前参議院と同樣であつたのでありますが、先般の改正によりまして、ここが改まつたわけでありまして、この点衆議院参議院地方公共團体の場合歩調が狂つてつております。この点をどういたすかという問題であります。八の投票方法につきましては、現在衆議院参議院及び地方自治法とも秘密投票主義というものを建前といたしておりまして、投票は自書するという原則を立てております。從いまして自書できない者は投票ができないということになるわけであります。ところがこの自書主義に対しまして、欧米各國におきましては投票用紙に自書するということではなくして、すでに候補者名前印刷されておつて、そうしてそれに印しを付ける。そうすることによつて投票するという制度が行われておるのでありまして、日本においてもこの記号式制度を採用するかどうかという問題がその(1)の問題であります。特にこの問題につきましては、参議院議員の全國区というような建前をとる場合におきまして、この記号式は果して実際に実施し得る可能性があるかどうかということも手続の問題といたしまして、可なり問題になる余地があるのではなかろうかと考えられます。又この記号式を採用いたしますとすれば、候補者氏名を印刷して用意して置くということになりますので、そういう点からいたしますと、立候補の届出時期というものを大分前に遡つて締切る必要が出て來はしないかという、この問題も関連して出て参ります。又この記号式を採用しないという建前をとつた場合におきまして、現行衆議院議員選挙法におきましては、身体の故障者につきましては、氏名を書けないので、投票立会人の選任する者が代りに書くというような規定があるのでありますが、こういうような規定を残して置く必要があるかどうか、又こういう点について、身体故障者ばかりでなしに、自分で字の書けない者がある場合に、尚且つ代書を認めるかどうか、こういう点、これをどう考えるかという問題であります。
  57. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 こういう問題につきましても、さつき申しましたことを更に繰返すことになるのでありますが、結局こういうことを判断することについての、一番我々の有々なる参考資料であり、基準になるものは、やはり先進諸外國におけるやり方であると思います。今菊井君は欧米諸國においてはということを言われましたが、こういうような観念的な物の考え方はいけないのでありまして、アメリカならアメリカにおきましても、恐らく各州において、或いは各一つの小さい州の中における自治体等においても、それぞれ投票の仕方は多少違うのではないかと思うのであります。そうした投票場の絵図とか、写眞というようなものの載つているものなども若干私も持つておるものがありますから、今日もそうした外のことにつきまして、菊井君にこの資料のことを話したのでありますが、ただ單に欧米諸國においてというような、そういう粗笨なものでなしに、(笑声)もう少し的確な取扱いをして、そうしてこれに精細にして的確なる資料を研究の後我々に提供して、そうして判断を我々に求められることが、順序ではないかと考えます。
  58. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今の問題のうち、投票時間の問題ですが、これは北海道と九州と大分違いますし、殊に冬季に甚だ違う。で、一律に午前七時より午後六時と、こうすることは甚だそういうところから考えて見ると、不適当だと思う。これは十一時間ですから、十一時間ということは標準としまして、そうして府縣の選挙管理委員会とか、そういう所で適宜に決定をさせたらいいじやないかと、こういうふうに私は思うのです。それから投票立会人の決定方式ですが、これは参議院地方自治法規定の方が私は優れておると思う。何も別に衆議院のときのように選任をしなくても、本人から適当な者を届出をさせて、それが立会えばいいのであつて、私は衆議院の方の職権選任主義はとらない方に賛成であります。届出主義の方がいいと思います。それから投票方法に記号式を採用するか、自書をさせるかという問題であります。この問題は全國区参議院議員選挙の場合と、衆議院とか、参議院の地方区の場合によつて違うのですが、少数の候補者が出るようなことならば、これはまあ疑問でありますけれども、記号式の方が優れておりはしないか、ただ参議院選挙区の場合は非常に多く、三百人も四百人も候補者が出るのでありまして、そうしてなかなか自分の思つておる人が見ても見当らないということがあつても困りますから、これは大いに考えなければならない。自書式による外仕方がないのではないかと、こういうふうに思つております。
  59. 島村軍次

    島村軍次君 私は自書式の例外としての代書投票の問題でありますが、先般の衆議院議員選挙におきまして二三の投票所の樣子なり、選挙管理委員会の意見を聞きますと、大部自書式の例外に対する宣傳も行われておつたようであります。むしろ身体故障者ということでなしに、無筆文盲者というものに対しても百尺竿頭一歩を進めてやるというのが、基本的権利の行使を認める妥当な方法ではないか。これははつきりした考え方でもありませんが、そういうふうに思われるのです。その点についての研究一つ進めるべきではないかと思うのであります。理由としましては、演説やラジオ放送によりまして、相当耳学問で、実際は書けないが知識を得ておる。喋らして見ると、なかなか政治知識もあるというのが相当あると思います。そういう見地から、代書例外規定を設けた以上は、拡大することに対する方法研究の要があるということを申上げて置きます。(「進行を願います」と呼ぶ者あり)
  60. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ここらで休憩しましようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  61. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 休憩いたします。    午後二時五十三分休憩    —————・—————    午後三時三十一分開会
  62. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から会議を開きます。九、十の問題を一括して御協議願いたいと思います。
  63. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 九、特別投票に関する現行制度は改める必要があるかどうか。  (一) 特別投票の範囲について拡げる必要があるか。  (二) 投票方法について郵送の外提出等簡素化の方法を認める必要があるかどうか。  (三) 診断書の交付又は郵送費用について國の負担とする必要があるかどうか。  十 繰上投票、天災等による投票期日の変更、合併選挙投票の祕密保持、投票所の秩序保持等に関する現行規定を改める必要があるかどうか。  九の問題は特別投票に関する問題であります。この特別投票に関しましては、衆議院議員選挙法第三十三條に規定しておるのでありますが、いわゆるこれは不在者投票とも言われておる制度でありまして、この三十三條の規定によりますと、「選挙人其ノ属スル投票区所在ノ都市ノ区域外(選挙ニ関係アル職務ニ從事スル者ニ在リテハ其ノ属スル投票区ノ区域外)ニ於テ職務又ハ業務ニ從事中ナルヘキコト、二、前号ニ掲クルモノヲ除クノ外選挙人巳ムコトヲ得サル用務又ハ事故ノ爲其ノ属スル投票区所在ノ都市ノ区域外ニ於テ旅行中又ハ帶在中ナルヘキコト、三、前号ニ掲クルモノヲ除クノ外選挙人疾病、負傷、妊娠者ハ不具ノ爲又ハ産褥ニ在ル爲歩行著シク困難ナルヘキコト」、かように規定いたしまして、この三つの各号に該当するものは特別投票方法が認められておるわけであります。これにつきましては参議院議員選挙法もこの規定を準用しておりますし、又地方自治法関係の選挙につきましても、この規定を準用いたしております。この特別投票に関しましては、從來行われました選挙におきまして、監獄に未決で收容されておる者にも特別投票制度を適用すべきではないか、特にその收容されておる者の住所地を管轄する投票区の場合におきまして、三十三條に該当する規定がありませんので、そういう場合にどうするかというような問題があるのであります。そういうものにつきましても、尚特別投票方法を認めるかどうかという問題があります。又投票方法にいたしましても、現行のこの三十三條に基きまして出ております衆議院議員選挙法の施行令の規定によりますと、郵送の方法とか、或いは直接本人行つて投票するというような方法があるのでありますが、非常に嚴重な規定でありまして、今少しこれを簡素化する方法があるのではないかというようなことも考えられますのですが、そういう点、これはどうしたらいいかという問題があります。又この不在者投票をいたします際に、この三十三條の一号、二号、三号に掲げておりますような事由があるということを証明するために、診断書というようなものが場合によつて必要になつて來るのでありまするが、病人のような場合に、選挙権を行使するために診察料を一々拂つて証明して貰うということは非常に負担が重いのじやないか。こういう場合には無料にして貰う方法がなかろうかというような地方の声もあるやに聞いております。又郵便で送るというような場合に無料にして貰つてもいいんじやないかというような地方の声もあるかに聞いておりますので、かような場合にどうするかという問題を一應掲げたわけであります。尚十の繰上投票の問題につきましては、現行衆議院議員選挙法第三十六條に、島嶼その他交通不便の地にして前條の期日に投票函を送致することができない事情があると認めた場合におきまして、選挙管理委員会の適宜に投票の期日を定めるというような規定もありますので、こういうような点、如何にこれをするかどうか、尚この規定につきましては、参議院議員選挙法につきましても同様趣旨の規定を置いております。又天災等による投票期日の変更の問題につきましても、現行衆議院議員選挙法は第三十七條にこれを規定しておるのでありますが、それは天災その他避くべからざる事故によりまして投票を行うことができないとき、又は更に投票を行う必要があるときは投票局理者は選挙長を経て選挙管理委員会にその旨を届け出る。この場合においては、その委員会は期日を定めて投票を行わしむべしというような趣旨の規定がありまして、参議院議員選挙法も同様の趣旨の規定を置いております。尚合併選挙の問題につきましては、現行衆議院議員選挙法の第三十八條におきまして、一つ選挙を以て合併して選挙を行う場合を規定しておりますが、参議院議員選挙法も同様趣旨の規定を置いております。投票の祕密保持の問題につきましては、現行衆議院議員選挙法第三十九條におきまして、「何人ト雖選挙人投票シタル被選挙人の氏名ヲ陳述スルノ義務ナシ」、こういう規定を置いておりまして、参議院議員選挙法もこれを準用しております。投票所の秩序保持の問題につきましては、衆議院議員選挙法第四十條におきまして「投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ保持し必要ナル場合に於テハ当該警察官又ハ警察吏員ノ処分ヲ請求スルコトヲ得」、こういうように規定しておりまして、参議院議員選挙法もこの規定を準用いたしております。これらの規定は、現在のところこれを改めるというような声は別段聞いておらないのでありますが、一應議題といたしまして御檢討を願うという趣旨におきまして、ここに問題として挙げたわけであります。
  64. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ちよつともう一度伺いたいのですが、特別投票の範囲というものは現在はどうなんですか。
  65. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) それは現在衆議院議員選挙法の三十三條に一、二、三号と掲げてありまして、その第一号は、選挙人がその属しておる投票区のある都市の区域外において職務又は業務に從事中というのがまあその一つであります。
  66. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 まあ海員とか、鉄道職員とか……。
  67. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) そうであります。それから二の場合におきましては、そういう職務又は業務に從事中という以外の巳むことを得ない用務又は事故のために、その区域外に旅行中とか、帶在中であるという場合であります。
  68. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは具体的にどういうことを意味しておりますか。
  69. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 大体私用で旅行しておるという場合が多くこれに包含されるわけでありまして、それから三の場合は主に病氣とか、或いは負傷しておるために歩行ができない、投票所に行けないというふうな場合の規定であります。
  70. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この外にいわゆる被疑者というか、そういう取調を受けておるとか、或いはそういう人達はどうなるのですか。
  71. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 大体この三十三條の二号に、巳むことを得ざる用務というようなところに入れて通常は解釈せざるを得ないだろうと思うのですが、若しそうなつて参りますと、選挙人がその属する投票区所在の郡市の区域外に監獄があるとか、收容所があるという場合はこれに入つて來るわけですが、同じ東京の第一区に住所があつて、一区の拘置所に入つたというような場合になりますと、どれにも当らないので、これは投票ができない、投票所に行かざるを得ないということになつて來るわけですから、そういう場合は結局行きたくとも自由が拘束されておるというようなことで、そこに問題が起きて來るわけです。
  72. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点を拡大されることを私は希望したいのですが、その拘置中の方が投票所に行かれるようにですね。それから日本の今までの拘置所というのは一切外へ出さないという主義なんですが、アメリカの場合には奥さんと二人で散歩に出ることも規定從つて許されるというようなふうになつている。況んや貴重なる選挙権を行使するためにわざわざ郵送その他によらないでも、投票所に行かれることができるという方法をとられるようにお図り願いたいと思います。それから(二)の投票方法について郵送の外提出等簡易化の方法を認めるという規定があるかどうか、これは今認めてないのでしようか。
  73. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 認めてないですよ。それで非常に問題なんだ。これはどうしても認めた方がいいと思うのです。簡素化しないと無意味になるのですよ。折角の特典がですね。
  74. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今の不在投票のいろいろな未決拘留中の者の話でありますが、これは技術的に相当むつかしい問題でありまして、選挙の公正というような点もあるし、又未決拘留の投票をさせるについて、看守が附いて來たのでは却つて投票するのを嫌がるというような点がありまして、成るべく我々も選挙の公正を害しない範囲においてはやらせるように研究をしたいと思います。それから投票方法について郵送の外、まあ郵送しないで使者で以て持つて行けないかどうかというような点は、実情は尤もでありまして、どういうふうにしたら公正を害しないか、又祕密投票を保持できるかというような点を、これも研究したいと思います。
  75. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ついでに何ですが(三)の点はどんなふうにお考えになつておるか、さつきの診断書、又その郵送の費用。診断書の場合はお医者さんの業務だから無料にするとかいうことは問題があるように思いますが、郵送の場合は無料ということはできるのじやないかと思いますが。
  76. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) この診断書、郵送の費用共にやはり國が負担するということに恐らくなると思いますが、予算等の関係でどういうふうになりますか。これは実際は相当やはり費用になる。
  77. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 数が多いですか。
  78. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 病院なんかですと相当な数になりますから、費用が十分出るという見通しが付けば、これは無料にしてもいいのじやないかと思います。
  79. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 その郵送の費用は選挙管理委員会が出しているのじやないですか。
  80. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 出しておりません。つまり投票してやつを開票所へ送るやつは出しております。
  81. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 不在投票をする場合には、みずから郵送するのでなくして、自分がおるところの投票所行つて、そしてこれを市町村長ですけれども、いわゆる開票管理者にそれを提出するのですね。開票管理者がその住所のあるところに送つて行つておるのであつて、個人が郵送で送つて行つておるのじやないのです。
  82. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 現在は、つまりよその町村投票しますね。選挙人名簿に載つていない所で、それをその投票した所から元の名簿の載つている所まで送る費用は出します。それから自分の家で書いて投票するやつですね。在宅投票、つまり三号の場合なんかさういうものがあるわけです。つまり特別管理者の下まで行かないで、自分の家で書いて郵送するやつです。これは自分負担する建前になつております。
  83. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 その分を國と書いてあるけれども、國又は縣が、いわゆる國民が持つのじやなくして、國とか或いは縣とかいうものが持てということですか、これは或いは地方公共團体負担しておる現状であるからして、國の負担にしろということですか。
  84. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) この問題は、國の選挙の場合につきましては國の負担とする必要があるかどうか、地方公共團体選挙の場合は地方公共團体負担する必要があるかどうか、こういうことになるわけであります。
  85. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 やはり成るべくこれもその貴重なる投票権を行使するに便宜なような方法に改正を希望します。それから附帶して発言して恐縮ですが、ここに項目には出ていないのですが、衆議院議員選挙法の三十二條投票函の閉鎖のことなんです員。これは実は私がこの前の選挙のときに自轉車で馳けつけたのですけれども、五分遅れたのです。ところがもうすでに閉つちやつていた。閉つちやつていたのだが、まあ田舍ですからね。少し早目に閉けたのじやないかと思うのです。(笑声)五分前に閉めたにしては余り整頓してしまつておるのです。それで私は貴重な投票権を是非行使したいと思つたけれども、一旦閉めたものを開けるわけに行かないということになつて、私もそれで満足したのですけれども、投票函の閉鎖がやはり少し……殊に田舍の村なんかじや、もう三十分も一人も來ないなんというので、時間を遅らせるより早目にやるのじやないか。これは別に法律を以てどうするということはできないのだが、選挙管理委員会なんかでそういう何か御注意が全國的にあるような場合に、やはり多少の時間の余裕を以つてでも、貴重なる、つまり年に一遍とか、或いは何とかいう場合なんだから、少し三十分ぐらいは待つて笑声投票権を行使しようとして、僕のところなんか随分遠いので、自轉車で汗水垂して馳けつけて、五分遅れておるからもういかんというのでは、余り旧態依然たる感じがしますが、どうかなりませんか。
  86. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今の問題は、これは至るところで現実の場合に問題になつているようですけれども、その時間というものを、そのときに当つて五分とか、十分とか、一時間というものを使宜遅らすと、こういうことは相当問題が起きる場合もあるのですね。それは無効だということになるのですよ、法律的に訴訟しますというとね。時間外の投票であるから、それは無効であるということになるから、然らば法律で以て開票管理者がその立会人と一緒になつて、そうして相談をして決めた場合には、まあその時間だけは延長することを許すとか、そういうような特別の法合が、例外的な法令がありますれば、これはいいのだけれども、それがない限りにおいては、時間外における投票については相当有効無効のような異議なんかもございますので、非常にこれは、運営上それをやるということは非常に困難だと思うのです。ただ今問題になつておるのは、開票管理者が、非常に投票所が小さいのですね。そこに沢山の人が行くわけですよ。ところが田舍においては、ずうつとまだ入れないで並んでいるというような場合に、その投票所というものはちやんと決まつておりますから、受付けして者が投票するのでございますね。受付けしないで並んでおつたやつは時間が切れてしまうと、受付けした者だけが権利を持つと、こういうような形になるのですね。あけが丁度國会において議場の閉鎖と同じような形においてぴたつと閉鎖してしまうと、投票所というものは屋内になるのですね。その屋内に入つていない者はもう効果がない、こういうような解釈になる場合があるのですね。そういう場合に臨時的に、そこまで來ていた者は、ずつとそこまで入れてしまうとか、或いは入つたものと見なして、ここまでは投票所に入つたのだ、こういうふうに区切つて、それ以外は受付けないということは、こういうようなことはよろしいと思いますが、五分後において、自動車で馳付けて來たから、それをやるということになると相当問題が起きるから、もう少し法制的に何か考えて……。
  87. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういう意味なんですがね。
  88. 大野幸一

    ○大野幸一君 ちよつと鈴木さんにお尋ねしますが、どういうものを閉鎖するのでありますか、受付けたものを投票させるのですか、現在は……。
  89. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 現在は屋外の投票所はないのであります。
  90. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 屋外に並んでいたやつは駄目なのであります。屋内に入ると受付けたことになるのであります。入つて閉鎖しますから、そこまで入つたものは到着したことになります。
  91. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 ところが役場なんかは非常に小さいところに一杯に來てしまいますので、ぴしやつと閉めてしまいまして、その他のところは駄目だということを言うところがあるのであります。併しどうも折角來ておるところが駄目だ、学校の門なら門に來ておるものに対しては一應入れるということを現実に許して、そうして時間のあとで來たものは受付けないと、こういう形に行つておるのであります。羽仁君のやつはそれだろうと思うのであります。
  92. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私の場合には、自轉車で投票所の入口に到着したときに橋に五時だつたのであります。自轉車をそこに置き、私はそのとき編上げをはいていたものですから、それを拔いでいた、それから受付の所に行つた、受付けて呉れというと駄目だと言う、まだ二分か三分だと言い爭つていたのであります。中へ行つて呉れというので、そうして行つたときに五分過ぎておるということを申されたのであります。つまり余り不親切だと思うのであります。これは私の村の場合の話でありますが、全國には若干そういう不親切があるのじやないかと思うのであります。法律を改ためてまで、そういうことをしようとは思つておりませんが、投票の有効無効の弊を防ぐに、そういうことをやれということを言いたかつたのであります。鈴木さんが発言したように、投票所に先ず大体到着しておる人の投票をさせるということだと思うのであります。選挙管理委員会では、そういうチヤンスがあるのではないかと思うのでありますので、そんな際にお考え下されば結構です。
  93. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その問題で地方に調査に行きまして、選挙管理委員会の人から訴えられることは、今問題が出ましたこの選挙人で病氣や、負傷や妊娠、それからお産のために投票所へ行けない人、これは法律ではありませんが、選挙法の施行令によつて二十七條ですか、それによつて医者の証明を貰わなければならない。今証明料も高いですから、百円とか取られる、それを今度は施行令の三十條によりまして書留で出す、これで又費用がかかる、折角こういうふうな選挙法によつて、そういう人にまで投票を行使させようという親切な規定がありながら、施行令の規定によつてそれができない。そんな高い金まで出して一票を投ずる必要がないというような感じが、これはいけないのでありますけれども、今の地方の人に非常に多い。だからそれを何とか救済して、医者の証明書を只にし、郵送料も只にするという方法はないか、そういうふうに私は変えて行つた方がいいのじやないかと思います。それからそれに関連してお尋ねするのですが、これは私は問題をよく焦点を忘れたんですが、船員なんかの方々が投票をなさるのにむずかしい。それもこの規定によつて途が開けてあるのだけれども、それが実際はなかなか投票ができない。それでいろいろの不平が起る。それはどういうところに欠陷があるのか、それを吉岡君から聞きたい。
  94. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今の岡本委員お話は、現在は特別投票管理者というものに船長がなり得ない恰好になつておるのです。從つてつまり船で船員が不在投票ができない。どこかやはり役場その他に行かなければ、やはり特別投票管理者となる人のところまで行かなければ投票できない。そういうことで船員がなかなか不在投票ができないというお話で、それを船長を特別投票管理者にして呉れ、こういう話なんです。これは投票の秘密という点を相当考えて、やはり相当大きな單位であれば、それはしてもいいのでありますが、余り小さな船等で船長を特別投票管理者にするということは、やはり投票の秘密という点から考えて如何かと思うのでありますが、そういう点を考えて成るべく投票のできるように考えたいと思つております。
  95. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 船員は実際に不在投票を行なつておると思いますがね。船出する前にその自分の住居の役場に行きまして不在投票をして、そうして出て行く。ところが今度はもう半年も一年も前に出て一年も帰つて來ないというような船員、これは船長が不在投票をして、その船で投票したところで開票するには間に合わないことがはつきりしておることだから、これは何らの意味をなさない。どうしても開票日に間に合うように予め投票して置く必要があるのであつて、おやりになるのであれば電報で投票するとか、或いは郵送で投票するとか以外に途はない。
  96. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 前は船長を特別投票管理者にする制度になつてつたのです。それを統一したのです。特別投票管理者というもので、お話のように救われるというのは割合に少ないのですがね。数は……。
  97. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 併し今の問題は選挙ごとに起りますね。問題は不平が起る。その不平をどういうふうにしたら済むか。実は私は問題の焦点をはつきり把握していないから、的確な質問もできないし、意見を吐くことができないんだが、そういう問題は相当大きな問題だと思うから、研究して頂きたいし、又我々も研究したいと思います。
  98. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) お諮りいたします。今日はこの辺で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) では散会いたします。    午後四時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    理事            大野 幸一君            小串 清一君            木内 四郎君            鈴木 直人君            太田 敏兄君    委員            吉川末次郎君            城  義臣君            遠山 丙市君            鬼丸 義齊君            佐々木鹿藏君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            西郷吉之助君            宿谷 榮一君            島村 軍次君            北條 秀一君            兼岩 傳一君            羽仁 五郎君            小川 友三君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君   説明員    全國選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君