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1949-06-29 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十九日(水曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   —————————————
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 今から会議を開きます。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ちよつと議事の進行についてよろしうございますか。
  4. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) どうぞ。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 一昨日來、この委員会に出席いたしまして考えたのでありますが、この委員会をどういうように議事を御運営になるおつもりなのでありますか。委員長及び理事方々の心組みはどうであるのか、ちよつとはつきりしないような感があるのであります。最初のときにそのことについていろいろお話があつたようでありますが、私の不敏のためか、どうもあのときはよくはつきりしなかつたのでありますが、承わるところによりますと、大体十ヶ月ぐらいを予定して予算をお取りになることになつているということであります。そうすると、やはりウイリヤムスが先般我々に個人的な立場で話しいたしましたように、選挙に関する全部の法律を集めて選挙法典を作るというようなことでやはりおやりになるのであるか。それと來年参議院議員選挙には選挙法規改正、これは当然しなければならん部分があると思いますが、それとの関係はどういうようにするおつもりなのでありまするか、或いはこの委員会で段々やつて行くうちに決めて行くのだというお考えもあるかも知れませんが、大体の委員長のお手許においての御意見があるのじやないかと思うのであります。例えば來年参議院議員選挙を日当としての法規改正は早きを要するから、差当りそれだけは先に急にやつて行く、そうして選挙法規全般についての檢討というようなことは、ゆるゆるとその店で十ヶ月程予定してやるというようなお氣持なんであるか、そういう点をもう少しはつきり一つ、大体理事会等中心としての御意見を承わりたいと思うのであります。それから第二に申上げたいことは、昨日大畠君から話が出たのでありますが、世間では参議院無用論相当に唱えられているということでありましたが、これは極めて重大な問題でありますから、選挙法規改正の問題と直接的にはそれを意味しておりませんけれども、参議院制度全般というものと選挙法規問題等は、これは不可分のものであると考えるのであります。大体大畠君が言われましたような問題は、やはり我我が当面している廣義意味においての大きな我々の考えるべき対象の一つであると考えるのでありますが、先般も申しましたように、大体衆議院議員諸君というものは、突き詰めて行きまするというと、大方は参議院無用論一院制見解を持つている人が大体多いと思うのであります。これは私共の経驗からも、私の所属しております政党議員等においてもそういうことが言えると思うのでありますが、それは前の貴族院の存在いたしておりました旧憲法時代におきまして、我々は党員生活政党生活三十年に近いのでありますが、大体貴族院というようなものは要らんものである、有害無益な存在であるというようなたちのことを地方党員等に大体吹つ込んで來たのであります。新憲法によつて貴族院参議院に変りましても、そうした昔からの旧帝國憲法時代考えというものをひとり社会党のみならず、民自党でも、民主党の諸君でも、そういうようなことを漠然と考えているような人が大体多いのじやないかと思うのであります。殊に共産党のごときは一院制政綱に掲げているのでありますから、そういうようなこともいろいろ考えて、考慮の中に入れて審議を進めて行く必要があるのじやないかと思うのであります。尚選挙法規は、参議院の問題につきましても参議院全般制度と不可分のものでありますが、その参議院制度をどうして行くかというようなことにつきましては、我々が考えて行く上におきまして先ず第一に参考として行かなければならんのは、各國におけるところの両院制院がどういうようになつてつて、どのように運営されているかということが、非常に我々が考えて行かなければならない問題だと思うのであります。ところが大体におきまして、日本の旧憲法というものが神懸り的なああいう憲法でありまして、世界に比類のないところの專制主義的な憲法でありましたために、外國において、例えばアメリカ大学などにおきましては、比較憲法研究というものが憲法政治学研究と並んで必ず大学で行われているのでありますけれども、日本ではそれ程比較憲法研究が行われておらなかつたので、比較憲法著書等も比較的少いのであります。従つてそういう比較憲法的な立場から日本國会日本上院制度がどういうものであるかということに対する十分な知識國民の間に十分に普及していないという感があるのでありまして、その節申しましたように、例えば参議院議員任期が六年であるということは長過ぎるというようなことを木村國務大臣のみならず、新聞などもちよちよいこの頃書いているのでありますが、丁度その節申しましたように、アメリカ政治年鑑の一九三五年版でありまして大分古いのでありますけれども、私の友人が書きました比較憲法の本の中にそれを引用いたしております。御参考になるかと思いますので、事務局プリントを出しておきましたが、圧倒的に六年が多いのでありますから、或いは六年以上が多いのでありますから、このプリントをよろしければ配付するようにお許しを願いたいと思います。それから尚それに関連しておることでありますが、今言うように、比較憲法的な立場からの上院制度というものに対する研究が非常に十分に普及していないということを申しましたが、貴族院時代に、昭和二年に列國上院制度でありましたか、二院制度でありましたか、調査相当厚い本が貴族院から発行されておりまして、我々も頂きまして読みまして、大変参考になつたのでありますが、何分二十数年前の調査でありますから、その後第二次欧州大戰もありましたし、新らしい國々ができたり、新らしい憲法が制定されたりしまして、余程制度が変つております。それでこれは小林事務総長にも個人的に大分前に話したことがあるのでありますが、これは一つ今度の選挙法改正に関連いたしまして、若しできれば、この選挙法改正特別委員会において議決をいたしまして、その議決に基きまして議院運営会中心として、昭和二年に発行されているところの、あの各國上院制度研究調査書類基本といたしまして、あれを修正して、その後どのように上院制度世界において変つておるかというようなことの調査をこの際我我から提議いたしまして、参議院事務当局になさしめるように一つ議決して、そういうふうに取運んだらどうかしらと思います。特にその節に私小林事務総長に言つて置いたのでありますが、あの本においても、又その外の研究においても、比較憲法研究は、外國に比べて非常に日本政治学研究において普及しておらんのでありますけれども、併しアメリカ上院がどうなつておるとか、或いはフランスの上院がどうであるとか、イギリスの貴族院がどうであるとかいう一通りのことを皆書物に書いてあるのでありますが、全然日本で行われておらんと思いますることは、今日軍事占領下においてアメリカのいろいろな制度文物影響を多分に受けなければならない立場に置かれておりますところの日本で、アメリカにおけるところの各州上院制度研究というものが、私の今見るところではどこにも日本には行われていないと思うのでありますが、特にそれらも考慮して研究を進めて貰いたい。そのことに関連いたしましてでありますが、参議院は要らんものであるというのは、共産党が公式に政綱に掲げておるばかりでなしに、参議院議員共産党以外の者でもそういう言論を発表されている人があるということでありまして、それは労農党堀眞琴君でありますが、堀眞琴君が朝日新聞に先般そういう議論を発表しておつたのであります。堀君の論旨によりますと、アメリカ連邦國であるから上院というものが生れているのであつて日本連邦國ではないから、ああいうものは要らんという御議論だつたと記憶するのであります。これは一面において連邦國であるからというのがアメリカ上院のできました一つ原因にはなつておりますが、そればかりではなく、二院制度におけるところの上院で極めて権力の強い、アメリカ政治上に極めて有効なるところの機能を発揮していることは、皆さん御承知の通りだと思います。殊に今申しました連邦國アメリカ合衆國のみならずして、合衆國を組織しておりますところの各州がそれぞれ二院制度でありまして、上院即ちセネートのないところのステーツというものはないのであります。最近におきましてネブラスカ州が一院制なつたということを聞いておるのでありますが、それも下院をなくして上院を存置するというようなことでありまして、ともかくそれ以外には米國各州において二院制度をとつておらんところはないのでありますが、堀君のような、どつかの大学政治学を講義しておられるという斯道の專門家が、そういう間違つてことを言われている程私は日本におけるそうした上院制度というものが、比較憲法学的な立場からその知識が普及いたしておりませんために、或いは参議院無用論であるとか、或いは任期が長過ぎるとか、実に愚にもつかんような低級なる俗論があります。新聞その他の上におきましても行われている一つ原因になつていると思いますので、是非この際そうした昭和二年度の上院制度調査研究報告書を更に完成したものにするところの調査研究を進めるように、この委員会において一つそれを促進するべく御議決を願いたい。大変どうも長いこと申しましたが、第一には議事運営についての理事及び委員長のお考えということ。それから今のような上院制度調査研究をこの委員会でするように議決して貰いたい。それから第三番目には、このプリントを廻してもよろしうございますかということ、この三つの点であります。
  6. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは議事を進めて行くことについてでありますが、両方から行けると思うのでありますが、大法典を作る。その含みを以て参議院選挙法改正を來る選挙までに間に合せるように、先ずそれを作つて行こうということであります。だから今やつているところの、或いは來年選挙に間に合うように参議院議員選挙法改正をしよう。併しそれは法典を作るという含みを土台において進んで行くと、こういうことに委員会で話が決まつたのであります。今の第二の問題は、一つ皆さんにお諮りをいたしまして、そうして決を採つて進みたいと思います。第三の問題は今もうすでに実行をいたしましたから……。そうして理事会で決まりましたその点については一番最初委員会で檢討しまして、委員会でそういうふうに決まつたのであります。それでは昨日に引続きまして会議を続行いたします。七の(二)。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の二点に対して、理事会でよくお話を願つて適当に御処置願つても結構ですが、皆さん大体御賛成であれば議決して頂きたいと思います。
  8. 小串清一

    小串清一君 只今吉川委員の御意見同感でありまして、是非そういう形で行きたいと思います。賛成して置きます。
  9. 鈴木直人

    鈴木直人君 私も賛成であります。
  10. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは今の吉川さんの提案されました各國上院制度研究……。
  11. 鈴木直人

    鈴木直人君 その前にちよつと申上げますけれども、私の賛成いたしましたのは、この上院制度が必要であるかどうかという議論を持つているがために研究するのではありませんです。この参議院は必要であるという確信を持つものであつて、この委員会においてもそういう前提の下によりよき参議院の使命を達する場合にどうなつて行くかということを研究する、或いは又更に一院制度のいいところとか、悪いところとかということも参考のために研究すると、こういう態度で以て私は賛成したのであつて参議院世間無用論が行われている。そこでこれは無用であるかも知れん。それで結論が出たならば、我々委員会としても無用であるという結論に到達するという考え方の下に研究を進めることに賛成しておるのでないということを、この際申上げて置きます。(「同感」と呼ぶ者あり)
  12. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) では各國上院制度調査研究をするということに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  13. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御異議ないと認めます。
  14. 鈴木直人

    鈴木直人君 この配付された資料の二に、英國二院改正調査会報告書のブライス・レポートか総理大臣閣下に対して報告をした内容が拔粹されてあるのですが、それから日本参議院ができる場合においても、その調査会において研究したところの結果もこれに拔粹されておつて、この資料は非常によいと思う。特に英國の第二院制度改正調査会報告書というのをずつと読んで見たのですが、実に参考になりますし、これと同じように先程吉川君が言われたアメリカ各州上院制度研究なんかも非常に参考になると思います。そういうものはガリ版でなくて印刷にして貰つて、我々保管する場合にも愛着を持つてその書類を書棚の中に置けるという氣持を持つて行けるようにして貰いたいと思う。そうすればそういう研究をする氣持にもなると思います。
  15. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 只今委員方々から資料につきまして御注意がありましたが、今後資料の作成につきましては、印刷をしてお手許に配付することにいたしたいと思つております。尚、現在配付してございます資料は、臨時緊急に間に合わせるために止むを得ないでこういう方法をとつたのでありまして、この資料につきましても將來印刷をいたしまして、改めて御配付するように手続をとりたいと思つております。
  16. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それからさつき決まりました調査研究の件でありますが、提案者趣旨の決定、具体化方法理事会に一任して頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  17. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今申されました第七の(二)ですが、当該選挙公職と相兼ねることを得ないという意味でありまするが、どういうことを指すのであるか、やはりそれぞれの参議院衆議院或いは知事とか、或いは地方團体議員とかいうものが、それぞれ兼ねることのできないところの制限があるという意味でございますか。
  18. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 只今御指摘になりました点は、鈴木委員のおつしやる通りでありまして、現在衆議院議員選挙法には、第六十七條第五項に「法律ノ定ムルトコロニ依リ衆議院議員ト相ヌルコトヲ得サル國ハ地方公共團体公務員ニ係ル第一項乃至第三項ノ届出ハ其者カ公務員タルコトヲ辞シタル後ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス」、こういうような公務員立候補に関する制限規定がございますので、こういうような規定につきましては、参議院議員選挙法にはないのでありますが、こういう問題を地方自治法の場合にどうするか、こういうことであります。現在衆議院議員選挙法規定がございますし、それから地方自治法の方にもいろいろ議員及び長の選挙に関しまして規定があるのでありますが、大体この規定というものがいろいろ多くの問題を提供しておるように思われますので、どう考えたらいいかどうかということであります。
  19. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから更に(四)の御説明を、一つ関連しておりますから、ちよつと説明して頂きたいと思います。
  20. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) (四)の問題は、議員候補者議員と相兼ねることのできない公務員なつた場合において候補者を辞するものとみなすかどうかということでありまして、これは現行衆議院議員選挙法の六十七條の八項に「第一項乃至第三項ノ届出アリタル者」というのは、立候者届出ででありますが、そういう届出をした者が、法律の定めるところによりまして、衆議院議員と兼ねることを得ない國又は地方公共團体公務員なつたときには、「議員候補者タルコトヲ辞シタルモノト看做ス」というように規定いたしまして、議員候補者を辞したものとみなす非常に擬制的な規定を置いておるのであります。さような点からこの問題をどう関連して考えたらいいか、こういうことであります。これも現在衆議院議員選挙法には規定がありますが、参議院議員選挙法には規定がないのでありまして、かような点、今後統一的に考える必要があるのではないかどうか、こういうことであります。尚「衆議院議員ト相ヌルコトヲ得サル國ハ地方公共團体公務員ニ係る」云々という衆議院議員選挙法の六十七條第五項の規定に関連いたしまして、國会法の三十九條の規定があるのでありますが、「議員は、内閣総理大臣のその他の國務大臣内閣官房長官各省次官及び別に法律で定めた場合を除いては、その任期中國又は地方公共團体公務員と兼るねことができない。」こういうように規定がございまして、議員に一度なりますと、これ以外の公務員は兼ねることができない、こういうふうになつて参るのでありまして、立候補の際におきましても、当然こういう問題が引つかかつて來るということに現行法はなるのでありますが、その点どう考えたらいいか、こういう問題であります。
  21. 北條秀一

    北條秀一君 この問題は先の衆議院議員選挙法改正によりまして、こういう規定を作つたわけでありますが、そうすることによつて、私は眞に國民代表者が選ばれるかどうかという点について疑問があると考えます。從つて当選した後、これは一方欠格することはいいと思いますが、公職の者が立候補することは何ら差支えないという考えを私は持つておるんです。從つて衆議院の先の選挙法改正は、むしろ改悪であるという考えなんですが。
  22. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 私も北條委員のような考え方で、北條委員の説に賛成です。ただ問題は、(三)にもあるんですが、(一)と同じように被選挙権は認めないということがあるんです。これは誠に乱暴な言葉で、昨日から私は納得行かないのですが、大体被選挙権候補者になるということを同一に考えるならば、それはいいのですが、併し法律として出した以上、被選挙権立候補と同じに解釈することはないのじやないですか。被選挙権というものは、大体國民が或る年齢に達すれば、どんな人間でも持つておる。それをただこんなために剥奪してしまうということは、これは大いに非立憲的なんである。ですからここに被選挙権は認めないというこの言葉は、これまこの前の國会でも恐らく大きなミスであろうと思うのです。こういうものは改めて、少くとも候補者となることができないとか、立候補することができないとか、こういう言葉を使うのが当り前であつて被選挙権をとつてしまうなどと、こういう言葉は甚だ不穏当である。私はこの考えからいつて、(一)の場合と、(三)の場合、この被選挙権を認めないということについては相当異議を持つています。」元來候補ということは、被選挙権から出るところの一つ機能立候補をするという権能に基いて立候補する一つのこれは法律事実である、事実行爲なんです。権利でも何でもない。それを被選挙権立候補と同じように考えておるから、ここにこういうことを書いてしまう。これは大きな誤まりです。立候補する権限は誰でも持つているんです。ですからこの点を変えればいいという意見を持つております。
  23. 北條秀一

    北條秀一君 只今大畠委員から御意見が出たのでありますが、つきましては、この(二)と(三)について、衆議院が先にああいう選挙法改正したのでありますが、改正したときの事情に明るい方がおられましたら、その方から当時の模樣を知らせて頂けたらどうかと思います。
  24. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 事務局といたしまして、この問題につきまして立法当時の速記録、その他をいろいろ研究したのでありますが、速記録に、この点に関する事項が何ら載つておらないんです。それで一番よく事情を承知されておるのは衆議院法制局三浦部長であろうと思うのですが、三浦部長には一應この立法趣旨をお伺いして参つたんでありますが、詳細の点はやはり三浦部長から直接聞いた方がいいと考えられますので、後日連絡いたしまして、説明をお伺いする手配だけはいたします。
  25. 北條秀一

    北條秀一君 この点は別途事務局が準備しましたこの資料を見まして、凡そどの國でもこういうふうな制限をしておるところは殆んどないんですね。だから日本もそうだということではありませんが、我々は他の國よりも昨日來話がありましたように、より一層だんだんと進歩的にものを建設して行かなければならん立場におかれておりますので、こういう点については特に私共は國民基本人権を侵害しないように努力しなくちやならんと考えております。そういう立場から、私は先程申しました見解を重ねてここに主張したいと思います。
  26. 鈴木直人

    鈴木直人君 私もこの(三)は別ですが、この(二)と(四)でございますが、これについては現行法参議院議員選挙法のようなふうなものじやないかということで、今お二人の方の御意見と同じように考えておるのです。これは漠然としておつて、まだ結論に達しておらないんですが、從つて現職のまま立候補して、当選した曉においては当然兼ねることができないのであるからして、その公務員を辞める、こういうようなところまで許しても、公正なる選挙を行うという点に支障がないんではないかというようなことも考えるわけであります。從つてこれは一つ今後も研究の余裕を十分残して置いて頂きたいと思うのであります。更にこれに関連いたしまして、然らば衆議院議員現職であるまま、具体的に申しますると、來年参議院議員選挙立候補したいという人もあるかも知れない、これは公務員ではないんでありまするが、衆議院からまあ参議院に鞍替するというか、その場合に衆議院を辞めないでいて、そうして参議院立候補して当選した曉にこれを辞めると、これは現行法ではできないわけです。そういうことが果していいかどうかということが一つ問題になるんですが、或いは知事現職のまま参議院議員立候補して、そうして当選した後に知事を辞めるというようなことが、選挙の公正という点からして、果していいかどうかということが考えられる。いわゆる現職のまま立候補するということが、國民権利ではあるけれども、場合によつては或は不利なハンデイキヤツプが……当選の前においてお互いに選挙するということに欠ける点がある場合もありはしないかということも考えたりするので、相当これは研究の余地があると考えます。それからもう一つは、昨日も大野君から質問があつたと思いますが、その後二三の人から意見を私宛にお述べになつたんでありまするが、官吏が、これは官吏と言いましても、相当官吏の職務が平素國民に侵透をして、そうしてその官吏がそのまま立候補した場合においては、非常にハンデイキヤップが付く、例えば知事現職のまま、或いは辞めて直ぐ立候補するという場合に、相当影響があるというようなことが言われておる、私も実はそういうその経驗者なんですけれども、そういうふうなことはいけない。從つて一ヶ年くらいは辞めてから間を置いたのでなければ立候補できないというような規定を挿入したらどうかというようなことを、委員以外の人で二、三申出て來た人なんかもあるわけでございます。こんなことも一つ研究の問題になりはしないかということを考えておるのであります。これについては私はまだ態度は決まつておりませんのですが、そのことを一應申上げて置きます。
  27. 小川友三

    小川友三君 今のお説ですが、知事の場合は現職のままで、議員の場合は議員をよして、有利な態勢で又次の選挙に臨むという場合もありますから、そういう点は非常にむずかしいと思うのですが、如何ですか。
  28. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから私は直接関係しておりませんでしたが、來年度の参議院選挙が、いろいろな手続上の関係或いは國会との関係から少し繰り上げてやつたらどうか、そうなるというと、現在の参議院議員任期中の選挙するようなことに仮になつたような場合においては、現在の参議院議員現職のまま辞めないで、一應又選挙するということを法制的に認めるべきであるというようなことが法規委員会でしたか、そういうことが曾て議されてあつたということを聞きましたんですが、法規委員会の方ではそれについて何かあつたんですか、ないんですか。憲法によれば一應任期が終つてから後に参議院議員選挙を行うということになるんだけれども、通常國会との関係においてはまあそれがなかなかできない。選挙運動の関係とかいろいろあつてできないから、むしろこれを繰り上げたらいいじやないか、繰り上げた場合においては、現職のまま辞めないで立候補できるように規定を変更したらいいじやないかというようなことも、両院法規委員会において檢討されてあつたと聞いておりますが、その経過がありましたら参考のために伺いたいと思います。
  29. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 だんだん御意見が出ておりますが、私はこの問題につきまして、参議院議員衆議院議員と方針が異るという選挙制度はおかしいと思う。どちらかに一定しなければならない。衆議院議員の方では衆議院議員のまま参議院議員選挙立候補し得る。参議院議員の方は衆議院議員に出ようと思えば辞めなければならないというような、ちぐはぐの起つておることは、これは是正しなければならない。これは勿論ですが、私はどちらかと言えば、やはり成るべくどんな人でも立候補ができるという方針をとつた方がいいと私は思つておりますが、併し全部いいかどうか、その点は尚細かに研究いたしたいと思います。
  30. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 只今鈴木委員から御発言になりました両院法規委員会で、参議院議員選挙法第九條に関する問題につきましてお話がございましたが、両院法規委員会の当時事務に関係しておりましたので、その経緯についてお答えいたします。当時両院法規委員会におきまして、参議院議員選挙法第九條によりまして、「通常選挙は、議員任期が終る日の前三十日以内にこれを行う。」、こういうふうに規定してあるので、大体原則といたしましては任期が終る前に選挙が行わるべきものである。ところが二項の規定によりまして、その期間が國会の開会中又は閉会の日から三十日以内にかかつておる場合には、通常選挙は閉会の日から三十一日目から三十五日以内に行う、こういうように規定してありますので、國会の開会中又は閉会の場合になつておりますと、この規定によりまして参議院の半分の構成が任期が終つてしまつて、半分しか残つていないという場合が生ずるであろう、そういうことになりますと、参議院の構成が半分しかないということは好ましくない、かような報合に緊急集会或いは國会が召集された場合に、議事運営について支障を來すんではなかろうか、かような御意見が出まして、大体参議院の構成は常に全体のメンバーがいなければならない、かようなふうな御意見がありまして、結局任期が終る日の前三十日以内に行うという第九條第一項の規定によつて來年の通常選挙を行なつたらいいんではなかろうか、こういうような御意見が出たわけなんですが、いろいろ檢討いたしました結果、この問題は暫く保留しよう、こういうことでそのままになつておるという次第であります。
  31. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これで(二)、(三)、(四)は大方意見が出盡したようでありますが、御意見がございますならばもう少し活発に出されて、なかつたら次を進みたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは八に移ります。
  33. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 八の問題につきましては、各選挙管理委員会の組織、権限、運営等につきまして、何らか改善を加える必要があるかないか、こういう問題であります。その(一)の問題につきましては、現在参議院議員選挙法の中におきまして、全國選出議員選挙管理委員会に関する規定があるのでありますが、この全國選出議員選挙管理委員会というものは、現在政府の方に設けられました全國選挙管理委員会というものができ上る前に設けられた機関なのでありまして、現在全國選挙管理委員会が設けられておる場合におきまして、尚且つこういう選挙を管理する機関を置いて置く必要があるかどうか、こういう問題であります。その次の(二)の問題は、都道府縣以下の選挙管理委員会におきまして、予算につきまして教育委員会のように予算の独立を認めるかどうか、こういう問題であります。これは都道府縣以下の選挙管理委員会におきましては、地方自治法によりまして都道府縣に設けられておるのでありまするけれども、都道府縣自体ではないのでありまして、予算の編成、執行というような場合に、予算を独立に編成して、そうして都道府縣の議会に提出するというような、或る程度の予算の独立を認めるかどうかというような問題であります。これは先般行われました衆議院議員選挙の実際の経驗に徴しまして、各都道府縣以下の委員会におきましては、縣当局との間に、いろいろ予算の問題において折衝があつたように伺つておるのでありまして、或る面では、現在のままではやりにくいという意見もありますし、或いは現在の方がやりよいというような御意見もあるようなので、これを一應どう扱つて行つた方がよいかどうか、こういう問題であります。(三)の問題につきましては、これも都道府縣以下の委員会におきまして、人事に関する権限をどうしたらいいかということでありまして、これは現在都道府縣の選挙管理委員会に書記を置くというようになつておるのでありますが、もつとはつきりした事務局の設置を規定して行く必要があるのかないのかという問題であります。尚、(四)の問題につきましては、その次の九の選挙管理費用に関連いたしますので、その際に……これは本來そつちの方に議題として入れるべきであつて、ここでは間違つて入つたと思われますので、九の問題に一括して御説明いたしたいと思います。
  34. 小川友三

    小川友三君 この(一)の全國選出議員選挙管理委員会をどうするかという問題ですが、これは全國選出議員選挙管理委員会というものの使命が非常に大きいと思うのでありまして、この委員会は勿論存置して置いて、そうして平素この選挙の必要なゆえんを有権者大衆に知らせて行くという活動をして貰う、そうした動きをするために置いて、これは存置すべきだと、こう思います。それから独立の事務局を作るかどうかという(三)の項ですが、都道府縣の選挙の人事問題に関して、こうしたものを、独立した組織を持つてつて、絶えずできるだけ指導する。棄権者をなくする、選挙の必要を説して行く観点から、事務局は活溌に働くことを條件として、事務局を存置した方がいいと思います。
  35. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は曾て地方制度委員会において一言申述べたのでありますが、この全國選出選挙管理委員会は、まだ全國選挙管理委員会ができない前に、参議院の全國選出議員選挙を行うための発足されてでき上つたものであるから、全國選挙管理委員会が、包括的な選挙をやる権限を持つて誕生した現在においては、これは要らないものである、こういうふうに私は思つております。從つて全國選出の参議院議員選挙は、全國選挙管理委員会において、これを行うというようにする方が、一本にして行く方がよろしいと、こういう意見を持つております。第二の予算につきましては、教育委員会の予算と独立という趣旨は、教育費というものが、いわゆる知事の総合行政の犠牲になり勝ちであるという経驗からしてやはり教育委員会に予算の提出の独立権を認めて、そうして教育委員会において考えたところの教育費予算を、直接府縣の議会にそれを提出する。そうして若し知事が、その教育委員会の提出した予算に異議があつたような場合は、それを削減するという必要があつた場合においては、知事においてもその削減したところの予算を議会に提出するという、丁度人事院においての独立性を、國会において、中央において認めたごとき考え方を持つた理由のものは、教育注というものを或る程度まで確保して、そうして教育委員会の権威を保つて行くという見地から行つているものであつて、全國選挙管理委員会のごとく、單なる選挙の事務をして行くという程度のものにおいては、予算の独立性は要らないと、こう思うものであります。勿論昨年の衆議院議員選挙におきましては、國の予算が、全國選挙管理委員会の予算が非常に少いために、各縣において衆議院議員選挙の予算のときに非常に困つた事例がございます。そういう観点から見れば、必要なところの予算は独立性を認めて行くということも必要だと思うことであるし、又この選挙法改正によつて選挙公営というものが相当大福に実施されるというようなことに仮になつたという曉においては、相当選挙のために費用が必要であるからして、これに独立性を認めて、そうして完全に選挙を行うということも、これも又必要であるとは思いますけれども、人事院のごとき、或いは教育委員会のごとき程度の予算の独立性を全國選挙管理委員会に認めて行くということについては、もう少し考えさせて貰う余地を残して置いて貰いたいと、こういう考えであります。尚参考のために、全國選挙管理委員会からも來ておられるようでありますが、私見のようでありますが、参考のために聞いて置きたいと思います。
  36. 吉岡惠一

    説明員(吉岡惠一君) 今全國選挙管理委員会の予算の独立或いは人事、全國選出議員選挙管理委員会をどうするかというような、全國選挙管理委員会としての意見、この全國選出議員選挙管理委員会の予算をどう扱つたらいいかというお話につきましては、只今鈴木委員お話に線に大体賛成であります。実はこの前の議会に出す予定で立案をしたのでありますが、必要な方面の了解を得られませんで、そのままに……それから予算の独立性を認めるかどうかという問題は、只今お話のような点もありましたが、地方の、府縣の選挙管理委員会等においては相当要望しておるところもあります。併しこれは只今お話にように、つまり交渉をするについて、予算の折衝の経過を公にした方がいいかどうか、それが結局予算を取る上において有利であるか不利であるかというような点でありまして、これは相当研究をしなければならん問題だと思います。全國選挙管理委員会政治的な性格と、そういうような点も考えて、十分愼重にやりませんと、却つて公にした折衝をやつて、却つて不利になる点もなきにしもあらず、この点は尚研究をしたいと思います。尚、人事の点はお話は余り出なかつたようでありますが、人事の点につきましては、これは独立をさせた場合、どういうことが考えられるかと言いますと、一つは、非常に選挙管理委員会事務局式のものが、人が少いために小さな部局になる。そうしますと、小さな部局でありますと、どうしても人事の交流その他の点から考えましていい人が來ない。そういう点もあるし、又選挙というような仕事は、選挙を執行する際は相当沢山の人を頼んで働いて貰わなければならない。そういうことを頼む際に障害になると考えますし、これは一部要望はありますけれども、これはちよつと考え物ではないかというように考えております。
  37. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 鈴木君からお話がありましたように、地方行政委員会におきましては、選挙制度改正について審議をいたしました。そのときに、この選挙管理委員会の組織、権限、運営等をどうするかということを研究したのであります。参議院全國選挙管理委員会委員長も來て貰いまして、(一)の問題について存続を主張する根拠があるかどうか確かめたのであります。ところがそれ程根拠はないということを委員長自身も半ば認めておつたような次第であります。只今全國選挙管理委員会の方から説明があつたように、これは廃止すべきものと思います。それから予算、人事について、これは地方の各府縣等について調査をいたしますと、大きな府縣については、この予算の独立、人事の独立を主張するのであります。小さいところはむしろそれ程主張しないのみか、独立すれば却つてやりにくくなるというような考え方をしておるところもあるように思います。これは今後の研究に俟つべきものと思います。
  38. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それではもう他に御意見もございませんようですから、次に移ります。九、選挙管理費用について。
  39. 菊井三郎

    法制局參事菊井三郎君) 九の問題は、選挙管理の費用についての問題でありまして、その(一)の問題は、國の負担する選挙管理費用の配分につきまして、一定の基準を設ける必要があるかどうかという問題であります。衆議院又は参議院選挙の場合におきましては、各都道府縣選挙勘理委員会のなす事務につきまして、その経費は國の事務でありますので、当然國が負担することになるのでありますが、この費用の配分につきましては、現在選挙管理委員会が詳細な基準を設けましてやつておられることだとは思うのでありますが、何らかその配分方法につきまして基準を設ける必要があるのではなかろうかというようなことが一應考えられますが、こういう問題をどうしたらいいかということであります。(二)の問題につきましては、國の負担する選挙管理費用の支出方法及びその支出の監督につきまして、何らか考えて見る必要があるのではなかろうか、こういう問題であります。これは先般ウイリヤムス博士との懇談会の際にも、國会がこの費用の支出について何らか監督する必要があるというようなお言葉もあつたのでありますが、さような点に関連いたしまして、どう考えて行くかという問題であります。(三)の問題は、地方公共團体が負担する選挙管理費用についてはどうかという問題であります。これは各都道府縣の事務を、市町村というような地方公共團体選挙管理の事務を行なつた場合において、その管理費用をどうするかということであります。大体(二)に準ずる問題であります。これらの問題についてどう考えたらいいかどうかという問題であります。
  40. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 むしろ前の八の項でお尋ねすべきかと思いますが、ちよつとしたことですが、吉岡君が事務局長をしていらつしやる全國選挙管理委員会は、一年にどのくらい予算を使つているのですか。
  41. 金丸三郎

    説明員(金丸三郎君) 事務局の経営費が約二千万円、あと政治資金規正法とか、選挙人名簿の調製費用、これは府縣市町村に交付いたします分でありますが、これまで加えますと約二億になります。
  42. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 全國選挙管理委員の俸給なんか、それは事務局の中に……。
  43. 金丸三郎

    説明員(金丸三郎君) 入ります。これは法律の中に規定してございます。
  44. 小串清一

    小串清一君 これは選挙のあるときと、ないときと分けて、選挙のあるときは別に臨時に出るので、これだけは経営で一應要るというのですか。
  45. 金丸三郎

    説明員(金丸三郎君) 合計いたしまして二億でございます。
  46. 小串清一

    小串清一君 つまり二千万が事務局の経営費で、あとの一億八千万が全國各地で起つたもの、こう見ればいいわけですね。分りました。
  47. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 九、選挙管理費用の(一)ですが、地方行政法によりまして、主として國の利害に関係ある事務を行うために要する経費については、地方公共團体はその経費を負担する義務を負わない。で、その第一が國会議員選挙及び國民投票に要する経費と、こういうふうに明記してある。ところが今年やつて衆議院議員の総選挙、それから最近行われた兵庫縣における参議院議員の地方区の補欠選挙、これなんかの状況を見ますと、國の方の予算の都合で、選挙管理費用の全額を出さないのです。で、この衆議院の総選挙の場合においては殆んど三分の二ぐらいしか出しませんので、その三分の一は今地方が借金したり何かしまして非常に困つているという状況なんです。又兵庫縣におきましても、節約に節約して選挙費用をかけないように、選挙管理費用をかけないようにやつたのですが、それでも國は一千四百万円しか出さない。七百万円は各地方、各市町村が負担しなければならない。こういうような状況で、地方はもうほとほと困つている。これは法律で保障されたことでありまするが、國の予算の都合でこういうことになり勝ちでありますから、どうしても一定の基準を設けまして、その準備によつて行う比率については是非共國が負担するようにしなければいかんと思う。それで掴み取りでこれだけやれと言われても、なかなか縣によつて、廣い縣と狹い縣とありまして、そう行かないのでありますから、基準を設けることはどうしても必要と思います。ではどういう基準を設けるかというと、これは今私は的確な基準をまだ考えておりません。これはむしろ全國選挙管理委員会において、どういう基準を考えているか承わりたいと思います。
  48. 吉岡惠一

    説明員(吉岡惠一君) 今基準のお話がありましたが、目下研究中でありまして、お話し申上げるところまで至つておりません。ただ考えられますのは、物によつて違うと申しますか、名簿の費用でありますれば人口とか、それから投票に対しましては投票者の数でありますとか、或いは開票者の数というものが結局基準になつて來る。それから一般の事務の費用が非常にむずかしいのであります。都会地はどう考えるか、或いは非常に交通の不便なところをどう考えるかということを今研究しております。最近我々の事務局の者が全國へ出まして、実際の費用の関係相当詳しく調べて、何らかうまい基準が出ればいいと思つて研究しております。
  49. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ここで五分休憩いたしたいと思います。    午後二時四十二分休憩    —————・—————    午後三時十五分開会
  50. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 会議を再開いたします。  選挙管理費用について御意見がございますならば……御意見がございませねば、次に移ります。
  51. 北條秀一

    北條秀一君 第一の問題については、先程岡本委員お話になりましたように、一定の基準を設けなければ、これは処理のしようがないと考えますので、岡本委員の御意見に私は賛成であります。(二)と(三)の問題につきましては十分にまだ資料研究しておりませんので、これは現実の予算の問題になりますので、私としては若干の間保留させて頂きたい、先に延ばして頂きたいと思います。
  52. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この九の(一)の國の負担する選挙管理費用の配分について、一定の基準を設ける必要がある。その一定の基準を設けるのにつきまして、この今までの現状、さつきちよつと選挙管理委員会の方から御説明があつたのですが、事実問題として地方公共團体が國の選挙の実務を行なつて、そしてそれについて容易にその費用が支拂われない、或いは実際に要した費用が支拂われないという困難が今までも随分あつたようであります。中にはそれで破産してしまうというようなことも新聞で読んだこともありますし、それから又、地方自治体が、こういうふうな樣子ならば選挙管理費を負担するということは返上したいというような方向に動いておられたところもあるように聞いておりますし、その実情を現在選挙管理委員会相当お調べになつているので、その実情に基いて或いは全國的に画一的にすると、やはり物價の高い所と、物價のそれ程高くない所ではいろいろの違いも起りましよう。それから又人口によつても違うでしよう。こんな点について現在調査をなさつておいでになることと思うのですが、そういう実情に基いて基準が立てられないと、やはり選挙が円滑に行われないというような方向に進んでは大変だし、そんな点についてどの程度までの調査をなさつておいでになるか、伺えれば有難いと思います。
  53. 吉岡惠一

    説明員(吉岡惠一君) 今選挙管理費用についてのお話でありましたが、從來のことを申上げますと、從來は府縣或いは市町村で施行します國会議員選挙等について、まあ相当な費用を國で出しておりましたけれども、地方でも相当費用を負担して執行しておつたのであります。それが地方財政法でああいう、國会議員選挙については國で負担するということをはつきり書きまして、從來から申しますれば、國の事務であるから國で負担するということは大体は考えております。それを嚴格に又地方で強く主張もしませんし、地方財政もそれ程苦しくなかつたので、まあ或る程度負担するのは止むを得んという程度でやつて來ておる。それが最近のように地方財政が非常に苦しくなりますと、選挙費用を取る方でもなかなか取りにくい、又出す方でもなかなか出しにくい、國の事務だから一つ全部國費でやつて貰いたい、そういう要求もありますし、やかましくなつて來たわけです。從いまして、ここへお配りをしております昭和二十一年四月以降の國会議員選挙の費用を御覽になりますれば分りますが、この最後の有権者一人当り金額というのを御覽になると、凡そ見当がおつきになると思います。前の選挙では物價その他の関係から申しまして、相当やはり地方で負担していると思われるような費用が出ておるのです。最近は十分ではありませんが、まあ國が割合に面倒を見ているのじやないか、こういうことが言える。從つて地方でやかましく申しますのは、本当に選挙を執行するに必要な十分な費用を出して貰いたい。総額の問題であります。ここへ出ております問題は、その総額をどう地方へ分けるか、この二つの問題があるわけでありますが、この分ける基準を決めますと、勢い総額の方も折衝するにし易くなるという点でありまして、総額を要求する上においても一つ有利な点があると考えるのであります。それから今お話の、これを分けるについてどういう標準で分けるか、都会と田舍は物價も違う、実際において人を雇いますような場合は都会と田舍では違います。殊に時期によりまして、農繁期というような場合では田舍の方が却つて高い。いろいろ違うのでありまして、その点も十分考えまして愼重な基準を立てたいと思つております。ただ余り大雜把に基準を立てますと、どうしても不公平に、実際の使う費用にマツチしないということが、これはどうしても避けられない。從つて我々は実際にどのくらいの費用を使つておるのか、又市町村によつて非常に費用の使い方が違います。今般の参議院議員の補欠選挙でありますが、兵庫で行われました参議院議員の補欠選挙で、或る町村では國から行きました補助の五倍も六倍も使つておる。外の町村では國から來た費用に僅か足した程度、或いは國から來た費用だけを使つておる。例えば主として啓蒙宣傳なんかにおいて違うのでありますが、投票率をよくするために投票に來た人に抽籖をして懸賞を出す。そういうことをやれば相当費用がかかる。又出て來いということについていろいろリーフレツト等を配る。そういうことで非常に違うのでありまして、それをどれだけ見るか、又どういう基準で見て行くかということが非常にむずかしいのであります。実際に最近の選挙において使いました費用と、それから國から行きました費用とをよく調査をしまして今統計を作つておる際であります。それによつて余り基準を設けるということばかりに囚われて、基準を設けたために不公平なことにならんように十分我々は注意したいと思つております。從つてこの基準は、どうしても或る程度最後には何か特別補助金的なものを残すような恰好で、或る程度裁量の余地を設けて基準を作らなければならんじやないかということを考えておるのであります。御承知のように地方配付税等の配分にしましても非常にむずかしい問題でありまして、これは簡單には行かないと思いますが、十分遺漏のないように考えておるのであります。
  54. 小串清一

    小串清一君 今のお話で、実はここにもございますが、補欠選挙だと有権者一人五円かかつているのもあるが、大体今までの例は衆議院参議院、全國一齊にやるのは一円六、七十銭になつておりますが、この選挙が先頃行われてときに、私は確か私の縣だと思うが、選挙管理委員会の会で費用がなくて、どうしてもこのままではもうできない。途がない。我々手を出さんことになるより外仕方がないというので、私の縣ばかりじやない、二、三縣か、或いは全國沢山か知らんが、政府に要求して、結局あとから相当の補充が出ておる筈ですね。そう聞いておりますが、そうすると、一番初めはやはり中央の方で、この縣はどのくらい上げるという一定の率を作つて配付したわけなのでしよう、ところがやつて見たら足らないので、足らないところから足らなくなつたとやかましく言われるので、更に何かして、予備費で廻したのか知らんが廻した、こういう例があるのですが、あれは縣によつて二度目のやつは大分違つて配付されておりますが、どんなふうになつておりますか。
  55. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 地方行政委員会の方で調べましたのがここにありますから、これは後程委員長のお許しを得まして、刷つて皆さんのお手許に差上げたいと思います。それは衆議院議員のこの間の総選挙によりまして、都道府縣選挙管理委員会が管理費用を使用いたしました額と、それから政府から配付を受けました額、今小串さんが言われました第一回に配付しましたものと、追加して配付して貰つたもの、その計と、それから不足額、これが出ておるのでありますが、これは都道府縣の選挙管理委員の連合会で作つた表であります。一例を申しますと、どうしても基準を作らなければならんと私が痛切に感じておりますことは、岩手縣が第一回、第二回の配付額を通じまして、一千百八十六万円を貰つております。ところが使つたのはそれより少くて一千百七十七万円しか使つていない、余りが出た、こういう状況であります。ところが鹿兒島縣、これは極端な例ですが、それをやつて見ますと、一回、二回で配付を受けましたものは千三百六十一万円、それに対しまして使つた額が実に二千九百三万円、不足額が千五百四十一万円、つまり配付額が千三百六十一万円に対しまして不足額の方が多いのです。そういう状況になつております。これはどういうことであるか。実情は実はよく調べておりませんけれども、どうしてもそれで基準を設けないと、こういうことになるという好適例でお廻しいたします。
  56. 吉岡惠一

    説明員(吉岡惠一君) 費用のお話がございましたから、御報告みたいなことで申上げて置きますが、一月の衆議院議員の総選挙で七億近くの金を出したのであります。それが足りないということで、ああいう問題になりまして、その当時政府が声明をいたしまして、足りなければあとで考える、こういうことであつた。從つて我々の方といたしましては、今岡本委員からお話のあられましたように、全國で大体どのくらい足りないかを紹介をしまして、約二億足らずの数字が出た、それを大藏省に要求をしておりまして、今折衝中であります。それからその後の参議院議員の兵庫の補欠選挙につきましても足りないというお話がありまして、これも縣から七百万円くらいの不足というお話があつたのであります。これも大藏省に持込みまして目下折衝をしております。大藏省としては何か基準をよく考えて、基準によつて一つ不足額を出して、それについて考えようというような調子で今行つております。それから今お話選挙の費用の問題は、これは選挙費用が次からどのくらい行くかということが、決まる時期によつて相当出し方にも違つて來るわけです。この前は甚だ申訳ない話でありますが、余り早く決まらなかつたために悶着を起したような縣もあります。我々としてはできるだけ早く決めて、予めこれだけやつて呉れと申しますれば、地方も大分心組みが違います。そういう点も或程度……。
  57. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に御発言もなければ十ヘ移ります。
  58. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 この頂いた資料の一頁の上の二段目に、有権者一人当金額が十四円三十二銭と書して、括弧して三円十四銭とあるが、これは指数かなんかで直した意味ですが、分りませんか。
  59. 吉岡惠一

    説明員(吉岡惠一君) 國民審査の費用であります。
  60. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 括弧の中は……。(「最高裁判官」と呼ぶ者あり)
  61. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ああそうですか。分りました。
  62. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは十へ進みます。
  63. 菊井三郎

    ○法制局参事(菊井三郎君) 十の問題は、補欠選挙の現行制度を改める必要があるかどうかという問題であります。補欠選挙制度に関しましては、衆議院選挙法では、原則といたしまして、欠員が二名に達したならば補欠選挙を行うというような建前をとつております。参議院の場合におきましては、在任期間が同一議員の欠員の場合には、全國区につきましては当選人の不足数と通じて、定員の四分の一を超えるときに行う、地方区につきましては、欠員が四分の一を超えるときに行う、こういうように規定されているのでありますが、補欠選挙に関しましては、只今お話しの出ましたように、多くの費用を要するという点から考えまして、この制度をどういうふうに考えたらいいがどうか、こういうことであります。それで(一)にありますように、補欠選挙を行う欠員の数を現行規定よりもつと殖やす必要があるかないかというような問題、(二)の問題は、改めて補欠選挙というようなものを行わないで、繰上補充というような方法を認めるかどうかというようなことであります。諸外國の例におきましても、比例代表制をとつている國におきましては、場合によりましては次点者を繰上げて補欠にするという場合もありますし、又日本のように補欠選挙制度をイギリス、アメリカなどはとつておりますが、こういうような制度自体をどう考えたらいいかどうか、こういう問題であります。
  64. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 参考の(一)の中の(イ)と(ロ)ですが、この中に「四分の一を超える」と、こう書いてある。この解釈ははつきりして頂きたいのですが、これはどういうことなんですか。「四分の一を超える」ということは、四分の一は入らないということですか。
  65. 菊井三郎

    ○法制局参事(菊井三郎君) これは四分の一は入らないのであります。
  66. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この十の問題は、今説明があつたような趣旨で進められることを私も希望するのですが、つまり補欠選挙を行うことが費用の点等で可なり問題があるとすれば、その欠員の数を現行規定よりも若干増加する。併しその代りに、その(二)で、次点者の繰上補充というものを認めるということが行われればいいのじやないかと思うのです。可なり現在選挙はいろいろ、多いという費用だけの点でなく、國民のそういう意味の負担ということもありますから。
  67. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私も是非そういうふうに皆様にお考え願いたいと思うのです。一人の選挙をいたしますのに、参議院で例を申しますと、今度兵庫縣でやりました。それでやはり節約に節約を重ねたと申しているのですが、それでも二千二百万円一人についてかかつている。それで衆議院選挙の場合には四千四百万円、その半分はかかつているというわけであります。全縣一区のときと、四区ですが、衆議院は四区とか五区になつておりますが、これは変つて参るのですが、ともかく一人の選挙をするのに、この財政の逼迫しておるときに二千二百万円もかかるということは由々しいことなんです。それから、これは國家が原則としてやつて呉れるのだから、地方公共團体は負担は免れる建前でありますがやはり今のような現状で、相当の部分は引受けなければならんということになつているのです。それから地方公共團体の縣会議員とか、その外の議員選挙ですが、これもしよつ中選挙があつて、今羽仁君からお話がありましたように、選挙選挙で参つてしまつている。選挙そのものは結構ですが、費用がかかるので参つてしまう。これは何とかしてこの欠員ができたときの、欠員の定員の数をもつと引上げて貰いたいということが地方の要望であります。どうか皆様にお考え願いたいと思います。
  68. 北條秀一

    北條秀一君 只今のお二人の御意見の中に、私はちよつと理解できない点があるのです。それは、現行の規定を増加するということは、選挙をやらない、従つて議員の数を、欠員を欠員のまま成るべく空けて置くというふうな、長い期間置くということになつて來まして、國会の主張というものを議会或いは國会に反映しないということになつて來ると思う。問題は、選挙の場合には通常選挙のあつた場合、次点者が一人か二人がある。そうして当選者が、現行においては十日以内に死んだ場合、或いはその後亡くなつた場合に、一定数に達したら補欠選挙をやるということになつていますが、その間というのは、参議院においては三年、衆議院においては長くて四年なんです。地方議会の議員においてもいずれも任期は四年なんです。三年乃至四年の間に選挙民の信頼の変更があるかどうかということが私は根本だろうと思うのです。勿論この次点者が選挙の済んだ後、その居を変えて他の縣に移るという場合は別ですが、その縣にずつとおる場合には、恐らくこれは私は信頼の度は変らないのじやないか、著しく変つたと考えられる場合があるかも知れませんが、大体変らない。而も極端な場合は、十日後に当選確定して、そうして当選者が十日後に死んだとすると、翌日は又直ぐ補欠選挙をしなければならない、僅か十日間に選挙民の信頼の度が変るとは思われない。補欠選挙の場合は繰上補充ということを大幅に認めるべきじやないかというふうに考える。これは繰上選挙を大幅に認めれば、先程から問題になつております費用の点から申しましても、問題にならないというふうに考えますので、私はそういうふうにした方が現状には適應するのじやないかと考えるのです。
  69. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 北條君は今我々の意見を、欠員をそのままにして置くというふうに言われたのですけれども、それは全く誤解でありまして、あなたが今言われたことを菊井課長の方から説明があり、我々もそういう趣旨で言つていたいのです。
  70. 北條秀一

    北條秀一君 ああそうですか。
  71. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ですから、そういう点は誤解にすぎないから構わないのですが、そういう点もあり、或いは又(一)の欠員の数を現行規定より増加するということはしないで、欠員の数は現行のままにして置いて、そうして(二)の方のつまり繰上補充の範囲を拡大して行くという方がいいかも知れない。これは欠員の数を増大するということは、やはり今北條君が誤解されたような意味で、欠員を多くしてそのままにして置くのじやないかという誤解を招くから、欠員の数の方は増加しないで置いて、繰上補充の方を拡大して行くというふうにせられる方が最もいいかと考えます。
  72. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の御意見は、選挙というものが非常に億劫であるということを前提として……前提でもないが、いろいろ一つの要素にして考える。(「それは全然誤解だよ」と呼ぶ者あり)それじやそれは取消しますけれども、こういうことも考えられる。例えば二人の定員である。ところがABCという順序であると、それでAとBが当選した。ところが仮にBならBが何かのことで失格したという場合、相当長い期間を置いて、そうして議員が失格すればCが上る。こういうふうな形になるわけです。ところがAの政党とBの政党とCの政党とあつた場合に、若し補欠選挙をしたような場合には、そのときの政治情勢によつては、必ずしもそのCの政党が補欠選挙の場合に当選するとは限らない。やはりAならAの政党候補者が当選するということが考えられる場合がある。そうするといわゆる國会内における勢力分野を考えるというと、繰上当選を長く置いて、そうして次点者をやるということになると、結局Aの政党が一人、Cの政党が一人という形になる。ところが補欠選挙をやるということになると、仮にAが出たとすると、Aの政党が二人であつてCの政党が零、こういうような形になるのであつて、そういうふうな政党的な分野のことを考えると、補欠選挙というものについても意味のないわけでもない。こういうことも考えられるということだけをちよつと申上げて置きます。
  73. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 今の欠員の場合ですが、憲法の九十六條にあります「この憲法改正は、各議院の総議員の三分の二以上の」、こうあるのです。この場合の「総議員の」ということは、現在議席を占めておる議員を指すのか、それとも法定数の議員を指すのか、どちらなんですか、これは法制局から聞きたい。(「これは現在数だ」と呼ぶ者あり)
  74. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 今問題がいろいろ審議されておりますが、私は羽仁君の御意見のように、補欠選挙を行わないで、次点繰上がよいと思います。併しこれを無制限にやるということでは弊害がありますので、一ヶ年間に限つて繰上を行う、こういうことにしたらどうか。
  75. 島村軍次

    ○島村軍次君 選挙管理委員会か或いは法制局の方にお尋ねいたしたいが、從前の規定に確か繰上補充は一年の期間があつたと思うが、それを現行に改めたときの経緯及び経過理由等を一つ聞かして貰いたいと思います。
  76. 吉岡惠一

    説明員(吉岡惠一君) お話通り、前には一年間の繰上補充があつたのです。これは戰後選挙法改正問題で関係方面と折衝をした場合に、成るべく選挙をやることはやつて國民の意思を反映するのが民主主義の本旨に適うのだ、こういう考えだろうと思うのですが、アメリカ等においては、そういう例がないために繰上補充制度はなくなつたように伺つております。
  77. 北條秀一

    北條秀一君 先程申しましたことを繰返すわけですが、一番簡單なのは、適切な例だと思うのは、出淵参議院議員が五月に出て七月に亡くなつた。僅か二ヶ月で岩手縣の縣民の信頼の度は変つておるとは考えられない。ですからああいう例を見ると、現在の十日以後はすべて補欠選挙に求めるという考え方は非常に見解の狭い考え方です。これは直さなければならんと思います。
  78. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつき鈴木委員の御発言があつたのですが、あれはいろいろな面からも考えて見なければならないので、例えばABCと三つの政党があつて、Cが次点であつた場合、これはやはり次点として当選はしていないのですが、併し投票を得た、つまり人民の意思を反映しておるという点においてはまあ第三位の價値を持つていたわけなんです。從つてそれが補欠選挙によつて再びAが出て來たことが、人民の意思のプロポーシヨンをそのままで反映しておるかどうかということは、又別個に考えなければならないと思います。で恐らく今まで次点補充の繰上という意味を採用しなかつたのは、今御説明があつたように、できるだけ選挙を度々やるということがいいということであつたと思うのですが、それと同時に、併し又一つ選挙において現われて來た次点者というものの意義も十分考えられていいのじやないか。この辺のところはいろいろまあ研究して頂いて、佐々木委員の御発言の御趣旨のように、適宜のところに落付けば結構かと思います。
  79. 柏木庫治

    委員町(柏木庫治君) 公務員立候補につきまして、衆議院法制局三浦部長がお見えになりましたら、三浦部長説明を聞いて見たいと思いますが、如何でございますか……。
  80. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 公務員の兼職禁止の問題に関連いたしまして、立候補する場合に辞めなければならない、この立法精神が衆議院においてどういうふうにそれを考えられておつたかと、こういうようなお尋ねのように伺いましたのでありますが、実はこの点に関しましては、衆議院委員会におきましても非常に論議を交わされました点でありまして、結局その理由を申上げますれば、公務員がその地位を利用いたしまして、いろいろ選挙運動をやる、こういうことは好ましくない、從つて國政運営の重要な職に当る議員の選出に当つて立候補しようと思う場合においては、その地位を辞して、そうしていわゆる裸一貫になつて選挙に立つことが、選挙の公正を確保するゆえんであろうと思う、こういうことがその主たる理由であつたのであります。それから尚供託金の引上等に関連いたしまして、こういう人達の立候補の乱立をまあ抑せると申しますか、抑制するというような意味も或る程度含まれておつたかとも想像されますが、大体前に述べましたような意味がその重点であつたかと承知いたしておるわけでございます。
  81. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ちよつとお尋ねしたいのですが、その公務員という解釈が國家公務員法以來大分変つて來た、変つて來たというより拡大されて來たということが言えると思う。今御説明のような点は有力なるインフルエンシヤルな公務員の場合には全くその通りなんですが、そうでなくて大体においてそのおる地位とか、仕事とかいう意味においては民間で働いている人と同じであつて、ただそれが國家に対する業務であるという意味公務員というように規定されておる人が今非常に多いのですね。その点についてはどうお考えになるですか。
  82. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 公務員の範囲の問題につきましては、その当時からすでに公務員法ができておつたのでありますが、御承知の通り國会法の三十九條の公務員議員との兼職禁止の規定がございまするが、あの公務員の範囲がどういう程度に及ぶか、どういう範囲まであの趣旨考えられておるかという問題に関連いたす事柄であろうと思うのであります。実際問題といたしまして非常にインフルエンスを與える人に限りまして、先程申しましたような処置をとることが好ましいと考えるのでありまするけれども、実際問題といたしましては、例えばこれを地方の公共團体の例をとりますれば、例えば或る係長程度の人でありましても、相当地方におきましては予算の配分その他の行政面におきまして、事実上指導的な地位に立ち、且つ権力を持つておる。こういう人もいろいろあるわけでありまして、実際問題といたしまして、どこでこの線を引きまして区切るかという点になかなかむつかしい点がありますので、結局公務員考えられる人は全部そういう趣旨によつて立候補する場合には辞めなければならんと、こういうことに、そのときに考えられましたわけでありまして、只今お尋ねのような点も確かに問題とはなりましたが、結論といたしましては、只今申上げましたような通りでございます。
  83. 鈴木直人

    鈴木直人君 公務員立候補制限したところの理由としては、いわゆる公務員というものが現職でおりますというと、相当のインフルエンスを與える。從つてハンデイキヤツプが多く付き過ぎるというような考え方でありまして、公正な選挙に邪魔になるというお話のようであつたと思います。從つて立候補しようとするために、予め公務員としての仕事をする場合に、公務員として公正な適当な仕事をすることについて欠ける点があるという点からではなくして、インフルエンスを與えるのだという点であつたとするならば、私は公務員だけでなくて、全國参議院議員選挙のごときにおきましても、例えば一つの組織を持つておる。そうして全國的な組織を持つておるというような人は、やはりその組織の力というものがありまして、そうして相当のその組織の力によるインフルエンスというものが、労働組合におきましても、それは全國の理事長ということになれば、或いは組合長ということになれば相当のインフルエンスがあります。又その外のいろいろな團体におきましても相当のインフルエンスがある。そのインフルエンスということを考えるならば、公務員だけを限つてそういうことを考慮する必要がないと思うのです。ただ別の観点から立候補ということを認めれば、公務員である間において相当選挙に出ようということを考えるために、まあ正当な公務員としての仕事をしないようになるということであるならば、又別であります。併しながらこれは立候補制限だけであるからして、立候補する場合に公務員を辞めさえすればいいのであつて、その公務員としての仕事をまじめにやらないで、選挙運動のために公務員の地位を使うという点については、ただ立候補制限しただけでは、それを防ぐわけに行かないということになるのですが、ただ徒らに公務員だけを立候補制限をする意味がないように思うのです。その点はどうでしようか。
  84. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) その点はなかなかむずかしい問題でございますが、公務員立候補をいたします問題と、それから公務員公務員としての職責をどう行うのかという問題は、これはおのずから別個の問題だろうと思うのでありまして、先程も申上げましたように、選挙の公正を確保すると、こういうことがその重点でなければならないと考えられますので、公正を確保するという見地から申しますれば、殊にそういう公務員の地位にある者が、ややもすれば、その地位を利用し、或いは濫用し易い事例等もありますので、それらに鑑みて、それらを或る程度抑制するということは止むを得ないことではないかと考えるのであります。ただ組織等の力を持つておりますそういう人達の問題につきましては、これも憲法上いろいろ疑義のある問題かと思いますが、いわゆる憲法の第四十四條に、この議員の資格につきまして、「人種、信條、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は收入によつて差別してはならない。」と、こういう規定がございますので、只今お話のような点は、そういうことによつて、いわゆる差別と申しまするか、そういう範疇に入る嫌いがありはしないかと、これは私見でありますが、考えられまして、公務員というものは、これは社会的身分であろうと思いますので、社会的身分と申しますか、まあそういうような特殊の地位に立つておるのでありますので、多少そこに先程のあれとはおのずから考を異にしてもよくはないではなかろうかというような氣がいたします。
  85. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今鈴木君からもおつしやつた点もあると思いますが、原則的にはやはり公務員であるからといつて選挙制限を受けるべきではない。原則的には私はそうであると思います。組合とか、團体とか、そういう人ばかりではなくて、やはり会社の社長だつて相当のインフルエンシヤルがあると思います。大低何らかのインフルエンシヤルな人間でなければ選挙立候補するということはないだろうし、まあそういう意味では、それが投入であるからいけない。民間のインフルエンスを持つた人なら構わないということは、公平じやないのではなかろうか。そういう意味で原則的には官吏であろうと何であろうと、平等のチヤンスが與えられるということが、まあ理想だと思います。日本の現状ではそれによつて得られる公平原則の方が多いか、或いはむしろそれによつてつて不公平ないろいろの影響が起るではないかということで、現行法が決定されると思います。從つてさつきの点ですね。公務員においても一律に公務員制限するという考え方よりも、丁度あの最初の國家公務員法がとつておつたような精神ですね。つまり國家公務員は実際においては一般の社会の人と余り大した違いはない。或いは最初特別職に扱われておつた点ですが、そういう点を御考慮される余地があるではないかと思います。
  86. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ申上げて置きます。公務員の中で、或る特定の公務員を指定したのでしようか。その点ははつきりしませんが、辞めてから一ヶ年の間は立候補ができないような案が衆議院において作られておつたようですが、その内容はどんなものですか、そうしてその理由。
  87. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) その点は、先般選挙法の臨時特例等に関する法律改正審議の際に、そういう問題が提起されまして、衆議院委員会におきまして、公務員立候補禁止の制限を、只今お話の点よりも更に進めまして、たとえ公務員を辞めましても、一定期間の間立候補の禁止をしようと、こういう問題が取上げられましたのでありますが、この点に関しましては、衆議院委員会におきましてもいろいろの意見がございまして、結局委員会の案といたしまして成立を見ないままに済みました次第でありまして、ただ委員会で取上げられた問題であるという点に止まつておると思つております。内容といたしましては、先程お話のありましたように、辞めましてから一年の間は立候補を禁止しようと、こういうような事柄だけ含まれておりました。
  88. 鈴木直人

    鈴木直人君 関係方面の意向によつて止めたというような話も聞いておりましたが、その点はどうだつたんですか。
  89. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 委員会としての正式なあれはございませんでしたが、まあ小委員会におきまして纒めました案を、それを関係方面に持さて参りまして、先方からの意見がございまして、確かにお話のような意見等も開陳されましたので、そういう点も考慮されまして、さような結果になつたと考えております。
  90. 鈴木直人

    鈴木直人君 公務員の種類はどういう種類ですか。
  91. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 公務員の種類は中央官廳、それから地方官廳とに分けまして、中央におきましては、その範囲につきましては、これもいろいろ議論がありましたが、大体課長以上、それから地方におきましては、いわゆる地方の出先機関の局長とか、或いは府縣の知事、部長、それから課長級、それから今度の專賣公社とか、或いは日本國有鉄道等もできましたので、それからの場合におきましても、やはりそれに準ずるような程度の地位にある人、こういうようなことであつたと記憶しておりますが、只今案を持つておりませんので、正確には申上げられません。
  92. 北條秀一

    北條秀一君 質問さして頂きます。憲法に基く公務員というものと、國家公務員、それから今の関係で、今いろいろお話があつたんですが、衆議院議員選挙法の第九條、これも先程菊井さんから説明があつたんですが、議員が、任期を終る日の前三十日以内に選挙を行うということになつておるわけですが、今のお話のように、公務員公務員のままで選挙することができないということになると、この場合は例外になつて來るわけですね。この点について、衆議院で論議されたことがありましたら、その模樣をお知らせして頂きたいと思います。
  93. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 先程來問題になつております点は、衆議院議員立候補いたしまする場合におきまして、公務員を辞さなければならない、こういう問題でございますので、参議院議員立候補いたされます場合に関しましては、何らそういう制限規定は、現在におきましてはございませんから、第九條の問題に触れることは全然ないと思います。但し將來の問題といたしまして、先程のような点をどう取扱うかということは、これは全く別個の問題であろうと、かように考えております。
  94. 北條秀一

    北條秀一君 それをお聞きましたのは昨日でございましたか、岡本委員から話がありまして、衆議院参議院と規則がちんばになつておる。その点を我々としては是正すべきだというふうに考えましたので、今の点をお聞きしたんです。
  95. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 実は衆議院議員選挙法の六十七條の五項、六項等に関しまして、公務員立候補禁止の規定を置いたわけでありますが、その場合におきましては、衆議院議員選挙法改正の問題だけを取上げましたので、参議院議員選挙法につきましては、衆議院委員会議におきましては触れるところがありませんでしたから、その問題に何ら審議が及びなかつたわけでございまするが、將來の問題といたしまして、衆議院参議院の両方のいわゆる國会議員選挙に関しまして、先程來お話がありました点を、今後の問題としてどう取扱うかということは、確かに研究問題であろうと考えております。
  96. 北條秀一

    北條秀一君 それは今我々は衆議院参議院と両方一齊に選挙法改正委員会を作りまして、そうして選挙基本法さえも考えて行こうという立場にあるわけなんですが、純粹に法制上の立場から各國の例を考えられて、今のような衆議院の、公務員ならば立候補できないという規定について、個人的な見解でもいいですが、聞かして頂くわけに行きませんか。
  97. 三浦義男

    衆議院法制局參事(三浦義男君) 外國のやつは存じませんですか。
  98. 北條秀一

    北條秀一君 それでは結構です。
  99. 岸田實

    法制局參事(岸田實君) 先程九十六條の憲法改正の定数に関しましての総議員憲法改正の定数に関しましの総議員とは、議員の定数を言うのか、或いは欠員を含まない実員になるのかという御質問がございましたが、この点につきましては、私の承知いたしておりまするところでは、学者の意見としましては両説でございます。欠員を含まない実員を指して、そうして総議員と称するのであるとい説と、それから議員の定数を指するのであるという説と、二説ございますが、そのうちで大体多数の説は、議員の定数を指すのであるという説であるかのように存じております。実際に衆議院参議院におきまして、從來本会議における定足は、定数の算定の基礎になりまする総議員というものは、議員の定数を根拠にして取扱われておるように伺つておりますが、これに対しましては、只今申上げましたように異説もあることでございますので、法制局といたしましても重大な問題でもありますから、今後愼重にこの点は研究いたしたいと存じております。
  100. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 十の問題について御意見ございますならば一つ……。御意見大体済んだということでございましたら、これで散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ではこれで散会いたします。    午後四時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    理事            大野 幸一君            小串 清一君            木内 四郎君            鈴木 直人君            太田 敏兄君    委員            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            北村 一男君            城  義臣君            遠山 丙市君            佐々木鹿藏君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            西郷吉之助君            宿谷 榮一君            島村 軍次君            北條 秀一君            兼岩 傳一君            羽仁 五郎君            小川 友三君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君    参     事    (第二部第二課    長)      岸田  實君   衆議院法制局側    参     事    (第一部長)  三浦 義男君   説明員    全國選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君    総理府事務官    (全國選挙管理    委員会事務局選    挙課長)    金丸 三郎君